08/06/09 第11回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会議事録 第11回 雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会議事録 1 日 時:平成20年6月9日(月)15:00〜 2 場 所:厚生労働省職業安定局第1会議室 3 出席者:【委 員】(公 益代表)征矢座長、田付委員、土井委員            (使用者代表)中谷委員、森川委員            (労働者代表)伊藤委員、糸谷委員、鈴木委員       【事務局】       大槻職業安定局次長、 増田建設・港湾対策室長、                   武隈建設・港湾対策室長補佐       【オブザーバー】    国土交通省港湾局港湾経済課                   澤本港湾運送サービス活性化対策官                   伊藤国際業務係長 4 議 題:(1) 新たな港湾雇用安定等計画の策定について(公開)       (2) 港湾労働者派遣事業の許可について(非公開) 5 議 事: ○征矢座長 定刻となりましたので、第11回「労働政策審議会雇用対策基本問題部会港 湾労働専門委員会」を開催させていただきます。議事に先立ちまして、昨年4月に委員の 交代がありまして、前任の椎谷座長に代わりまして座長を務めさせていただきます征矢 と申します。よろしくお願いいたします。また、事務局である職業安定局の幹部にも異 動がありましたのでご挨拶をお願いしたいと思います。 ○大槻職業安定局次長 厚生労働省の職業安定局次長の大槻と申します。昨年の異動で 代わっております。よろしくお願い申し上げます。本日は、皆様、大変ご多忙の中をお 集まりいただきまして、誠にありがとうございます。皆様には、日ごろ、職業安定行政、 とりわけ港湾の問題等につきまして、大変ご支援とご協力をいただいているところでご ざいます。この場を借りまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。  早速ですが、今日の議題の中身に若干触れさせていただきたいと思います。港湾労働 対策につきましては、申し上げるまでもございませんが、港湾労働法に基づきまして雇 用の改善等を図っているところでございます。今、現行の港湾雇用安定等計画というも のがありますが、これが平成16年度から平成20年度までの計画期間ということでござい ます。そういう意味では、今年度末に期限を迎えるということでございます。そこで、 平成21年度以降、この港湾雇用安定等計画をどうするのかということが、課題になって きているわけでございます。この問題につきまして、本専門委員会でご議論を開始いた だきたいということで、今日お集まりいただいた次第でございます。  本専門委員会での検討につきましては、平成21年度当初から、できれば現行の計画等 が切れ目なく、新しい計画をスタートしていただくことが重要かと思っているところで ございます。そういった意味で、新計画の策定、とりまとめにつきましては、今年度と りまとめということで、お願いいたしたいと考えているところでございます。後ほど、 細かなスケジュールにつきましてお諮りしたいと考えているところでございます。是非、 この検討にあたりましては、委員の皆様方のご意見を踏まえまして、十分慎重に検討を 進めてまいりたいというふうに事務局としては考えているところでございます。ご指導、 ご協力のほどお願い申し上げたいと思います。以上、簡単ですけれども、ご挨拶代わり にお願いをいたしました。よろしくお願いいたします。 ○征矢座長 次に、本日の委員の出欠状況ですが、使用者側の久保委員がご欠席ですの でご報告いたします。それでは、議事に入ります。本日の議題は2つです。1つ目の議題 は、ただいまもお話がありました「新たな港湾雇用安定等計画の策定について」です。 平成16年度から平成20年度までの現行の計画が今年度で終わることから、港湾労働法第 3条に基づきまして、平成21年度からの新たな計画の策定についてご議論いただくもの です。  2つ目の議題は、個別案件でありまして、「港湾労働者派遣事業の許可について」で す。2つ目の議題につきましては、その審査について、個別事業主の資産状況等に関す る事項を扱うこととなりますので、参考資料2「審議会等会合の公開に関する指針」の 「審議会等会合の公開に関する考え方」にある「公開することにより、特定の者に不当 な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当すると考えられますので、 これにつきましては非公開とさせていただきます。したがって、傍聴していただいてい る皆様におかれましても、2つ目の議題が始まる前にご退席をお願いすることとなりま すので、あらかじめご承知おきいただきたいと思います。  それでは、1つ目の議題の「新たな港湾雇用安定等計画の策定について」の説明を事 務局からお願いいたします。 ○武隈建設・港湾対策室長補佐 それでは、関連の資料につきましては、配付資料1及 び配付資料2並びに参考資料3から6ですが、時間の関係もありますので、配付資料1「港 湾雇用安定等計画の施行状況等について」、配付資料2「新たな港湾雇用安定等計画の 策定スケジュール(案)」、参考資料6及び7の平成20年港湾運送事業雇用実態調査につ いてご説明いたします。  最初に、配付資料1ですが、港湾雇用安定等計画の施行状況につきまして、頁に従い まして簡単にご説明いたします。1頁目、「港湾労働者の就労状況等」。(1)の「六大港 における港湾運送量の推移」ということで、数値は平成8年から10年間の推移を出して おりますが、近年はまた港湾取扱貨物量が増えてきているという状況です。  2頁目ですが、これは「六大港におけるコンテナ貨物量の推移」ですが、黄色の折れ 線がコンテナ化率なのですが、毎年わずかながらも高まってきているという状況が見ら れます。3頁ですが、「六大港における常用港湾労働者数の推移」です。平成16年度か らまた増えてきているという状況が見られます。  4頁目ですが、「六大港における港湾労働者の就労形態別就労延数の推移」です。こ れは就労延数の推移をグラフにしたものですが、企業常用労働者、港湾労働者派遣、日 雇労働者の直接雇用、これらも最近はまた増えてきているという状況が見てとれます。 5頁目の表につきましては、4頁のものを表にしたものです。  6頁ですが、「港湾労働者派遣事業新規許可事業所数の推移」です。これは各年度ご との新規許可事業所数を示したもので、これまで総計で327事業所が許可されて、廃止 も40ありましたので、現在の許可の計は287です。それから、下は都道府県別の許可の 事業所数を示してあります。  7頁ですが、「港湾別・業務別港湾労働者派遣事業の許可件数」です。これは港別に 作業ごとの許可件数を示したグラフになっております。許可件数ですので、1つの事業 所で複数許可を得ている事業所もありますので、許可件数の合計は332ということにな っております。  8頁ですが、「港湾労働者派遣による就労延数等の推移」です。これにつきましては、 平成12年度に制度がスタートして、着実に増えていっているということが読み取れると 思います。  9頁ですが、「港湾労働者雇用安定センターへのあっせん申込み数及びあっせん成立 率の推移」です。これにつきましては、派遣労働者を受け入れたいという所が多い、出 し手の数が少ない、というところが読み取れて、上の青い折れ線グラフは、出したいと いう所につきましてはあっせんの成立率が高いということが読み取れます。  10頁ですが、「常用港湾労働者の入職率・離職率の推移」です。棒グラフは港湾運送 事業の関係で、折れ線グラフは全産業のものです。押し並べて、全産業より入職率・離 職率が低いことが読み取れると思います。  11頁ですが、「港湾労働者の月間推計給与額及び月間推計実労働時間の推移」です。 これにつきましては、給与が棒グラフ、労働時間が折れ線グラフです。一般の全産業よ りは港湾労働者の賃金が高く、労働時間も長くなってきているという状況が読み取れま す。これにつきましては、資料の元データは平成8年から平成16年までは「屋外労働者 職種別賃金調査」ということで、この調査がなくなりまして、平成17年と平成18年につ いては「賃金構造基本統計調査」を基にしております。12頁ですが、これは11頁の数値 を表にしたものです。  13頁からが「港湾運送業における労働災害の発生状況」です。最初に、13頁が死亡者 数の推移です。青い折れ線が全産業で、赤い棒グラフが港湾運送業です。14頁は死傷者 数の推移ですが、グラフのような状況になっております。15頁は度数率の推移というこ とで、度数率とは100万延労働時間あたりの休業1日以上の死傷者数ですが、これにつき ましては港湾運送業は経年的に減ってきているというところが読み取れます。16頁は強 度率の推移です。これは1,000延労働時間あたりの休業1日以上、何日休んだかという労 働損失日数を示したものです。港湾運送業の場合は1度事故が起きると重篤な災害とい うことで、平成16年は結構高いデータになっております。17頁は千人率の推移ですが、 1,000人あたりの死傷者数です。  18頁からは「雇用秩序維持関係」のデータです。18頁は雇用管理者選任届の状況なの ですが、平成19年現在、雇用管理者が100%選任されていると届け出られております。  19頁からは「現場パトロール等の実施状況」について、現在の計画である平成16年か らの状況について表にまとめたものです。19頁の(1)が現場パトロール実施状況、(2)が 事業所訪問指導・立入検査の実施状況です。  20頁ですが、公共職業安定所・港湾労働者雇用安定センターとの連絡会議の開催状況 を示したものです。21頁からは、港湾労働法遵守強化旬間の際の実施状況、どういうこ とをやっているかということを示したものです。23頁ですが、「雇用秩序連絡会議の開 催状況」です。港湾管理部局等も含めた会議の開催状況です。25頁ですが、「小型フォ ークリフトの人付きリースの状況」ということです。これにつきましては、過去に比べ ては減ってきておりますが、まだ東京と横浜で残っているという状況です。  26頁ですが、「港湾労働者雇用安定センター関係」ということで、雇用管理者研修や 派遣元責任者講習の実施状況を示しております。27頁は、雇用安定センターでの相談状 況や港湾技能研修センターでの相談実施状況について示してあります。  28頁からは「能力開発関係」の資料です。28頁は「公共職業能力開発施設関係」の国 の施設での訓練等の実施状況について示しております。29頁は、港湾労働安定協会の施 設である豊橋の港湾技能研修センターでの技能研修の実施状況について示しております。 29頁、30頁、31頁とそのような状況になっております。以上、簡単でありますが、雇用 安定等計画の施行状況等についてご説明しました。  続きまして、配付資料2「新たな港湾雇用安定等計画の策定スケジュール(案)」に ついて、事務局が考えております案をご説明いたします。本日6月9日は、第1回目の審 議ということで、港湾雇用安定等計画の施行状況、今後のスケジュール等について話し 合っていただいた後、予定としましては、7月に、毎回、計画を実施する前に企業に対 して雇用実態調査を行っておりますが、今回も実態調査をすることを予定しております。  その後、この実態調査の集計がまとまった後に、9月の中旬から12月下旬ごろですが、 この専門委員会におきまして議論をいただきたいと思います。前回はこの間に4回委員 会を開催しておりますが、今回につきましては、議論の状況等を見ながら調整させてい ただきたいと思いますが、3回ないし4回を考えております。  その次に、来年の1月から2月ごろに、地方労働審議会の港湾労働部会等に意見を照会 することを予定しております。地方の意見も踏まえまして、来年の2月の中旬から下旬 に、この専門委員会におきまして地方への意見照会の結果等の報告と、それを踏まえて、 新たな港湾雇用安定等計画の案について、とりまとめをお願いしたいと思っております。  その後、2月の下旬ごろに、この港湾労働専門委員会においてとりまとめられた新たな 計画(案)を、この委員会の上部部会である雇用対策基本問題部会に審議いただくこと を予定しております。港湾雇用安定等計画の策定については雇用対策基本問題部会の専 決事項とされていますので、了承が得られれば、来年の4月1日からは新たな港湾雇用安 定等計画をスタートさせたいと考えております。事務局で考えているスケジュールは以 上でございます。  続きまして、参考資料の6と7ですが、先ほど説明した全適用事業所で調査を行う雇用 実態調査についての資料です。これにつきましては、毎回、計画を策定する前に実施し ておりまして、調査の内容は、ほぼ前回と同様のものになっております。事務局からの 説明は以上でございます。 ○征矢座長 それでは本件につきまして、ご質問あるいはご意見等がありましたらお願 いいたします。 ○伊藤委員 いま配付資料についてご説明いただきまして、港湾労働者の就労状況につ いて配付資料1の5頁に資料がありますが、六大港全体をまとめた資料になっております。 できれば、これは港別に資料提供がいただけないかと考えております。なぜかと申しま すと、例えば公共職業安定所で日雇紹介をやっている港、それがやられていない港等々、 港によって違いがあります。そういうこともわかるような資料を出していただけないか。 同じく、9頁に安定センターへのあっせんの状況に関する資料がありますが、これもあ っせんがうまくいっている所といっていない所があるだろうと思いますので、併せてこ れに関しましても港別の資料を出していただければと考えております。  もう1点は、11頁と12頁で、港湾労働者の月間推計給与等々の資料が出されております が、これはいつもこの委員会で議論になる問題であります。ここの統計で出されている のは時間外労働を含んだ賃金という形で、屋外職賃の統計はいつもそうなっておりまし たので、そういうふうになっております。  今日、私は資料をお持ちしたので、できれば事務局からお配りいただきたいと思いま すが、日本港運協会が出している「港運要覧」というものがあります。これの資料を見 ると、屋外労働者の職種別賃金調査でありますが、同時に労働時間に関しまして8時間 換算をしてどうなのかという統計を出しております。いまお手元に出された資料です。 そうすると、これは時間外を含まない形での数値ということで、8時間労働換算をして 日額いくらなのかという資料が出されていますので、私どもはこれを参考にしたほうが いいのではないかと考えております。  1枚めくっていただきまして、これは「賃金構造基本統計調査」の資料ですが、そこ の資料で見ていただくと、賃金構造基本調査では所定内給与額が入っているわけです。 この所定内給与額というのは平成17年、平成18年、平成19年と下がってきているという 数値がわかるだろうと思います。この所定内の労働時間数は、昨年の場合は159時間、 超過実労働時間数が46時間で、合計で月間205時間の労働時間ということです。これは、 この職種別の賃金調査の中で、いちばん長時間労働をしているのが港湾労働者という統 計上の不名誉な数値になっております。  そういう実態を見ていただきまして、今までの月収はトータルで見るとそう変化はな いのかもしれませんが、所定内給与がずっと下がり続け、それに対して長時間労働を行 うことによって生計を何とか維持している、収入を維持しているというのが実態なので はないかということで、私のほうで資料を作りましたのでご参照いただきたいと思って おります。 ○増田建設・港湾対策室長 最初にご依頼がありました資料につきましては、資料のほ うを調べまして、また秋からご議論いただくときに、そのような資料について提出をさ せていただきたいと思います。また、賃金の推移につきましても、私ども、前回議論さ せていただきました資料を更新という形で、また、賃金調査のほうが一部廃止になって、 新たに賃金構造基本統計調査が行われているということで提出しましたが、いま伊藤委 員からまた別の観点、あるいはさらに詳細な切り口の資料もいただけましたので、その ようなものも併せまして、次回の委員会においてきちんと整理した賃金資料を出させて いただければと思います。また、ほかにも皆様方からご意見があれば、そういうものも 含めて、議論のたたき台になるように資料を準備させていただければと思っております。 ○征矢座長 ほかに何かご意見ございますか。 ○土井委員 細かい点なのですが、2頁の図です。私もこの図を拝見したことがあります ので、もう少し早めに気がつけばよかったのですが、コンテナ化率がパーセント率で出 ています。これは定義の仕方が2種類あると思うのですが、分子がコンテナ貨物の量で、 分母のほうは全貨物量をとる場合と、いわゆるコンテナライザブルグッズ、コンテナ可 能貨物をとる場合とがあって、こちらは前者の全貨物でとっておられると思うのです。 だから、普通、読むとしたら、コンテナ貨物率みたいなものが分かりやすいかもしれな いのです。コンテナ化率というと、コンテナで輸送するのが可能な貨物が分母になりま すので、先進国の場合は90%をはるかに超えた率になるわけなのです。  これは港運要覧、出所のほうでそうなっているのかもしれませんので、改めて言葉を 変える必要があるかどうかはわからないのですが、そういう意味で見ていただいて、こ の58.6%から65.5%というのは、いまでもコンテナライザブルグッズが若干増えている ということもあるのですが、つまり今までコンテナで運べなかったものが新たに運べる ようになったというのも確かにあるのです。しかし、これは、どちらかというと、コン テナ以外の貨物よりもコンテナの貨物のほうが伸び率が高いという意味を示すと思いま すので、我々も注意して拝見したいと思います。 ○増田建設・港湾対策室長 先生がおっしゃるとおりでございまして、全体の港湾取扱 貨物量に占めるコンテナの割合ということですので、コンテナ可能なものが分母になっ ているわけではなくて、あくまで全体でコンテナによる輸送量がどのぐらいかというこ とを見るための資料です。先生にご指摘いただきまして、もう一度港運協会のほうの資 料も突き合わせてみまして、この名称につきましてはこのままでいくのか、変えること が可能であれば、先ほどお話があったような変更もいたしますし、資料の中でこういう 言葉を使っているとすれば、その意味合いはこうであるということで「注」でも付けさ せていただければと思います。 ○鈴木委員 資料の綴じ方の問題で、資料6以降がこっちの参考資料と一緒になっている でしょう。これは資料は資料用に、参考資料と配付資料の違いということなのだろうけ れども、先ほど説明されたのはわかりにくさが結構ありましたから、すぐ目がとおせる ように綴じていただきたいということを注文しておきます。  それから、安定等計画の施行状況を総括をしていく上で、配付資料の施行状況の、4頁 と5頁を見ていただくと、企業常用の派遣日数というのは、5日を7日に増やしたのは平成 16年度からでしたかね。2日増やしたことによって、この常用労働者の派遣人員が増えて いるのです。ですから、日数を増やすことによって、効果的な活用がされているという ふうに見たほうがいいと思うのです。  ただ、問題は、9頁を見ると、派遣元と派遣先のミスマッチがあるわけです。つまり、 常用労働者がぎりぎりの人員でやっていますから、派遣としてなかなか出すことができ ないということです。しかし、波動性があるから、派遣を受け入れる要望は多い。こう いうミスマッチになっているわけです。  それをどのように充足しているかというのは、4頁の平成19年度を例にとると、港湾 労働者の派遣が2,400〜2,500から2,600ぐらいに増えているのだけれども、実際は充足 をしていないわけです。職業安定所の紹介の日雇労働者が363人日、少ないですよね。 この下から3つぐらいが日雇の雇用になるわけですが、直接雇用が1万1,793人日、職安 紹介が363人日ですから、不足分の約8割ぐらいが直接雇用になっているわけです。  つまり、職安のあっせんが機能していないということがこの数字で出てきていると思 うのです。つまり、ミスマッチがある、次に紹介すべき職安が機能を果たしていない、 結局は直接雇いに委ねざるを得ない。こういう実態が出ているわけです。  本来、港湾作業は常用労働者を基本にして、波動性には常用港湾労働者の派遣制度で 対応するという原則があるわけで、それを充足する場合でも、直接雇用の日雇労働者を 減らして職安雇用を増やすためにどうしたらいいのかというのは真剣に議論していかな いといけないし、公共的な紹介機能の強化については、次期計画の中でも真剣に議論さ せていただきたいと思うのです。  調査をするにあたっては、先ほど伊藤委員から港別にという提案も出されましたが、 直接雇用は特に京浜間が多いわけです。それには背景なり要因があるわけなので、そこ も洗い出していただきたいと思います。  もう1つ、25頁の人付きリースの問題ですが、これも京浜だけですよね。本来ならば、 これは完全縮小、廃止をしなければならない。そして、法的には違法の可能性もあるわ けです。しかし、ほぼ定着しているような感じになっていますから、次回の5カ年計画 では、日雇の直接雇用をどのように縮小していくのか、人付きリースをどのように解消 していくのか。こういう点で事務局からの調査資料なり聴き取りの内容なり、そして、 試案があれば考え方でも出していただきたいと思います。 ○増田建設・港湾対策室長 現行の雇用安定等計画の実施状況についての鈴木委員から のお話ですが、おっしゃるとおり、常用労働者数も増えておりますし、また、港湾労働 者派遣につきましても、先ほどお話がありましたように、派遣の日数の上限を5日から7 日に緩和したこと、あるいは荷役取扱量が増えているという中で着実に伸びているとい う状況はあります。しかしながら、おっしゃったとおり、それでも波動性による日雇労 働というものは残っておりまして、その中でも、安定所紹介についてはこの数になって いるのも事実です。全体としては、港湾労働者派遣も含めて、約98%の人日が常用労働 者による就労であるということは、一定の評価ができると思いますが、さらに日雇のほ うを縮小していくというような視点は大変重要かと思っております。  その中でどのような問題があるのか、私どもも調査等を含めて、ヒアリング等で現場 の意見を聞いてまいりたいと思いますし、また、皆様方からもいろいろなご意見をいた だきまして、その上で、秋以降、議論をする場で提供等をさせていただければと思って おります。  人付きリースについても同様でありまして、現計画の実施前よりは200件ほど減って おりますが、まださらに残っているという状況も事実です。指揮・命令等が行われれば、 先ほどのご指摘のような問題にもつながりますし、これについてはなくしていこうとい うことで計画にも明記されている状況ですので、これについてもそれぞれの港でどうな っているのか、そういうことについても、いろいろ実情を教えていただきながら考えて いきたいと思っております。 ○伊藤委員 先ほどの資料配付の点でもう1点お願いしたいと思っております。今、財 団法人港湾労働安定協会の中で、厚生労働省の委託研究という形で技能研修の高度化に 関する検討が進められております。私はこれは非常に重要な検討を進めていると思って おります。本委員会の一つの計画を立てる場合の項目の中にも、港湾労働者の能力の開 発向上という項目があるわけでありまして、そういった面から見ると、この技能研修の 高度化に関する検討の途中経過でも結構ですので、この委員会にもいろいろ情報を提供 していただきたいなと思っております。お願いいたします。 ○増田建設・港湾対策室長 いまお話がありました技能研修高度化委員会の報告につき ましては、厚生労働省の委託事業として港湾労働安定協会で行っていただいているもの で、報告書のほうをいただいております。しかしながら、この報告書につきましてはさ らに集めるべき情報等もありまして、今そのような情報等を含めて収集をしているとこ ろです。秋以降、実態調査結果が出たときに、同じように報告書の内容及びその周辺情 報につきましても、とりまとめ提供させていただいて、ご議論をいただければと思って おります。 ○征矢座長 よろしいですか。それでは、とりあえず本日はこのぐらいにさせていただ いて、ただいまお話がありましたように、第2回目以降、9月以降、調査結果等を踏まえ まして議論を続けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○伊藤委員 一応こういうスケジュールで進めていくということで結構でございますが、 私どもとしても、この間の港湾労働の状況を見ていますと、果たして今の港湾労働法が うまく機能しているのかどうなのかという疑問があります。また、一般の派遣労働者が 港湾労働に就労するような事態も出ておりまして、いろいろな問題点があるなというふ うに思っております。そういった項目も含めまして、この委員会で検討していただきた い課題といいますか、そういう問題も考えているところであります。  この計画にすぐ直接結び付くもの、結び付かないもの、いろいろあるだろうと思って おります。例えば私どもでいま考えているのは、港湾労働法の港湾労働者の雇用の安定 と福祉の増進という目的は、果たして六大港だけの問題でいいのかどうなのか。あるい はいま言った、日雇労働者のいろいろな違法な就労をなくすためにどういうことを考え ていったらいいのかとか。職業訓練なり技能向上の問題をどのように進めていったらい いのかとか。いろいろと考えている点があります。  そういった点もこの委員会で検討をお願いしたいと思っておりますが、事前に事務局 のほうにそういうことを申したほうがいいのか、あるいは次回の2回目のときにそうい うことを私どもが申したらいいのか、その辺の進め方の中で、座長のご判断も含めまし て、我々なりの意見を申し上げたいなと考えておりますので、よろしくお願いしたいと 思います。 ○増田建設・港湾対策室長 伊藤委員からお話がありましたが、委員会は計画の策定に 向けましていろいろと議論をいただく場ですので、いろいろな意見を出していただいた 上でまとめていくという方向だと思います。意見の出し方等につきましては座長ともご 相談させていただき、次の委員会が始まるときまでに、審議の流れ等についてご相談さ せていただいて、そういうものを次回の委員会でお出ししたいと思っております。 ○征矢座長 そういうことでよろしいですね。それでは、2つ目の議題「港湾労働者派 遣事業の許可について」ですが、これは冒頭申し上げましたとおり、非公開といたしま すのでよろしくお願いいたします。 (傍聴者退席) ○征矢座長 ほかにはよろしいですか。それでは、今後の日程につきましては、次回の 会合につきまして実態調査の結果が出る9月中旬ごろを予定いたしたいと思います。具 体的な日程等につきましては、また後ほど連絡させていただくことになろうかと思いま す。最後に、本日の会議に関する議事録の署名委員につきまして、労働者代表は伊藤委 員、使用者代表は森川委員とさせていただきますが、よろしくお願いいたします。それ では、本日はお忙しいところをどうもありがとうございました。                照会先:職業安定局                    建設・港湾対策室港湾労働係                    TEL 03-5253-1111(内線5802)