08/06/09 「第1回地域における産業保健活動の推進に関する検討会」議事録       第1回 地域における産業保健活動の推進に関する検討会 日時 平成20年6月9日(月) 15:00〜 場所 共用第8会議室(6階) ○中屋敷主任労働衛生専門官 石渡先生につきましては、若干遅れるという連絡をいただい ており、島先生につきましては若干遅れているようですが、定刻になりましたので、始めさ せていただきたいと思います。  本日はお忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。ただいまから 第1回「地域における産業保健活動の推進に関する検討会」を開催したいと思います。座長 が選出されるまでの間、事務局で進行をさせていただきたいと思います。まず事務局を代表 いたしまして、安全衛生部長の鶴田からご挨拶申し上げます。 ○鶴田安全衛生部長 ただいまご紹介をいただきました安全衛生部長の鶴田でございます。 検討会の開催に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。ただいま担当からも述べました が、大変お忙しい中、また暑い中、本検討会にご出席いただきまして、誠にありがとうござ います。また、日ごろから安全衛生行政の推進にご協力とご支援をいただいておりますこと につきまして、重ねてお礼を申し上げます。  本検討会におきましては、資料No.1の開催要綱にも示しておりますが、労働者の健康を巡 る状況の変化等を踏まえて、2つのことを検討していただくことにしております。労働者の 健康を巡る状況をまず申し上げますと、定期健康診断で何らかの所見を有する有所見者が 年々増加しておりまして、現在では2人に1人という状況にあります。また60%以上の方 が職場において強い不安や、ストレスを感じております。労働者は長時間労働により脳・心 臓疾患を発症したり、仕事のストレスなどによりうつ病などの精神障害を発病するケースが 高い水準で推移しておりまして、労働者への負荷は拡大する傾向にあります。大変憂慮すべ き状況となっておりまして、産業保健活動の活性化が必要になってきていると思っておりま す。  一方、産業保健活動は、企業のほうで力を入れていただきたいと思いますが、行政として も産業保健推進センターや、地域産業保健センターを通じて産業保健活動の推進を図ってい るところであります。  この4月から推進しております、第11次労働災害防止計画におきましても、「産業保健推 進センター及び地域産業保健センター事業の有効活用やその連携を図ることにより、地域に おける産業保健活動の活性化を図る」こととしております。  しかしながら、事業費削減等の独立行政法人を巡る動きや、行政改革の中で、随意契約か ら公募による競争入札の推進という問題もありまして、地域産業保健センターと産業保健推 進センターとの連携のあり方、地域・職域連携の中で地域における資源の有効活用のあり方 等、時代に適応した産業保健活動の推進のあり方も問われてきているところであります。  このような背景を踏まえて、今後の地域における産業保健活動の推進のための具体的な方 策等について検討するために、本検討会を開催することとした次第です。なお、この本検討 会は、概ね1年間を考えておりますが、検討項目の1つである(1)の「地域における産業 保健活動の推進のための具体的方策について」のうち、至急対応が可能なものについては、 平成21年度予算要求などに反映したいと考えておりますので、3回を目処に「中間報告」 という形で一応の結論をいただければと思っております。その後(1)のその他の関連した 事項、ならびに検討項目(2)の「地域における産業医による産業保健サービスの提供つい て」、ご検討いただきたいと考えております。  お手元に厚生労働省をはじめ、労働者健康福祉機構、日本医師会の検討会報告書を配布し ておりますので、これらの検討結果も参考にしていただき、さらに掘り下げた具体的な意見、 提案をいただければ幸いに思います。   以上、簡単ですが、本検討会を開催するに当たっての挨拶とさせていただきます。また現 在、厚生労働省におきましてもクールビズを推進しておりますので、暑いようですの上衣を 脱いで議論していただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 ここで資料確認をさせていただきたいと思います。最初が会 議次第、座席表です。資料No.1はこの検討会の開催要綱、資料No.2はメンバーの名簿一覧、 資料No.3は、今回第1回目の検討会のメイン資料の「地域における産業保健活動の現状及び 課題」で、両面コピーで21頁まであります。  参考資料No.1は、厚生労働省が平成19年8月に出した「産業医・産業医科大学のあり方 に関する検討会報告書」、参考資料No.2は、平成13年に厚生労働省が出した「小規模事業場 における健康確保方策の在り方に関する検討会報告書」、参考資料No.3は、日本医師会から 冊子をご提供いただいており、「産業保健委員会答申」ということで、今年の3月に出され たものです。  コピーに戻って、参考資料No.4は、平成19年7月と書いてありますが、独立行政法人労 働者健康福祉機構で検討された報告書で、「産業保健活動の推進のあり方に関する有識者会 議報告書」、参考資料No.5は、私どもがこの4月から5か年計画を策定した第11次の「労働 災害防止計画」の完成版です。  委員席だけに緊急に配布しましたのは、「地域産業保健センター活動記」という八王子地 域産業保健センターの活動状況を、産業医学振興財団の産業医学プラザに出され、あとでご 検討いただくことになろうかと思いますが、有効にサテライトをやられている地域産業保健 センターの好事例ということで、資料として付けております。以上、資料の足りない先生方 はいらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、第1回会合ですので、各委員を紹介させていただきたいと思います。資料No.2 です。遅れていますが、神奈川産業保健推進センター所長の石渡先生。社団法人日本医師会 常任理事の今村先生。日本労働組合総連合会総合労働局雇用法制対策局部長の漆原さん。大 阪市立大学大学院教授の圓藤先生。遅れていますが、京都文教大学教授の島先生。北里大学 名誉教授の高田先生。独立行政法人労働者健康福祉機構理事の中林先生。大森医師会理事・ 東京都医師会産業保健委員会委員長の北條先生。東京商工会議所産業政策部労働・福祉担当 課長の矢口先生の代理で森川さん。全国中小企業団体中央会常務理事の山崎先生。社団法人 日本経済団体連合会労政第二本部安全・衛生グループ長の輪島先生です。  事務局ですが、鶴田部長、金井労働衛生課長、濱本調査官です。産業保健推進センター関 係でご議論いただく関係もあり、資料No.3の資料を出していただいていますので、労働者健 康福祉機構から担当部の奈良部長にオブザーバーで参加していただいています。私は主任労 働衛生専門官の中屋敷です。  それでは、本日は第1回会合でもありますので、議事に入る前に検討会の開催要綱につい て、簡単に説明させていただきたいと思います。資料No.1ですが、時間の関係もあり、端折 って説明いたします。「趣旨」の4行目です。現在、郡市区医師会に委託して地域産業保健 センター事業を展開していますが、その事業について、利用しやすい事業への一層の取組、 事業の周知・広報の強化、この4月から長時間労働者に対する医師による面接指導が地域産 業保健センターでも開始しましたので、その面接指導やメンタル対策の充実が望まれている ところです。  また部長の挨拶にもありましたように、第11次労働災害防止計画において、「産業保健推 進センター及び地域産業保健センター事業の有効活用やその連携を図ることにより、地域に おける産業保健活動の活性化を図る」とされています。  このような背景を踏まえて、地域保健との連携強化、産業保健推進センター等、地域の各 種機関とのネットワークの構築が重要となっています。このため、今後の地域における産業 保健活動の推進のための具体的な方策などについて検討していただこうということで、皆様 方にご参集いただいたところです。  主な検討項目は(1)(2)です。(1)地域における産業保健活動の推進のための具体的な 方策についてということで、(1)と(2)ですが、(1)中小企業の労働者に対する産業保健サービス の充実について。(2)地域の各種関係者とのネットワークの構築について。(2)地域におけ る産業医による産業保健サービスの提供についてです。  「構成」は、(1)検討会は、学識経験者、検討項目に係る関係者をもって構成します。(2) 検討会には座長を置き、座長は検討会の議事を整理する。(3)メンバーは必要に応じ追加 することができる。  4「その他」は、(1)検討会は原則として公開。(2)庶務は、厚生労働省労働基準局安全 衛生部労働衛生課において行う。(3)この検討会は、検討結果が取りまとめられた時点に おいて終了しますが、別途検討すべき事案が生じた場合は、本検討会において検討できるも のとするとしています。  開催要綱の3の(2)に記載されているように、本検討会において座長を置くことになっ ておりますので、事務局としては、地域における産業保健活動にも詳しい高田委員にお願い したらどうかと考えておりますが、いかがでしょうか。                  (異議なし) ○中屋敷主任労働衛生専門官 それでは、高田先生に座長をお願いしたいと思います。これ 以降の議事進行につきましては、高田座長のほうでお願いしたいと思います。よろしくお願 いいたします。 ○高田座長 それでは、いまご推薦、ご指名をいただきましたので、高田でございますが、 この会の座長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。今日は暑いよ うで、安衛部長から上衣を脱いでやろうではないかというご提案もありましたので、上衣を 脱いで、自由なご意見をいただきたいと思います。リラックスしてお願いいたします。  それでは議事に入りたいと思います。いまご説明がありましたように、「地域における産 業保健活動の推進のための具体的な方策について」というのが議事の第1番ですが、それに ついて検討をしてまいりたいと思います。いま説明がありましたが、事務局から資料No.3に ついて、ご説明をお願いします。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 それでは、引き続きまして説明させていただきたいと思いま す。資料No.3ですが、今回皆様にご検討していただきたい項目は大きく5つあります。1つ 目は2頁の「地域産業保健センター事業の現状と課題」、2つ目は5頁の「地域におけるメ ンタルヘルス対策の現状と課題」、3つ目は8頁の「都道府県産業保健推進センターの現状 と課題」、4つ目は11頁の「地域の各種関係者とのネットワークの現状と課題」、5つ目は 14頁の「地域保健との連携の現状と課題」です。  1頁です。資料No.3の1、職域においては事業者の産業保健活動を支えるために、私ども としては2つのセンターが地域に設置されています。1つが「都道府県産業保健推進センタ ー」という左に書かれているもので、全国に47あり、正確には労働者健康福祉機構の出先 の機関として設置しています。どういうことをやっているかというと、主に50人以上の事 業場の産業医などの産業保健関係者に対して、専門的相談・研修、情報の提供などを行って います。  右のほうは、「地域産業保健センター」が全国に347あり、監督署はもう少し少ないので すが、監督署とほぼ同じ数のセンター数を持っており、国が郡市区医師会に委託して、50 人未満の事業場に対して相談窓口の開設、個別訪問で産業保健指導をしたり、情報提供を行 っています。この2つは支援・連携をとるようにしています。  ここで言いたいのは、地域における職域のセンターは「産業保健推進センター」と「地域 産業保健センター」があるということです。  2頁です。1つ目の大きな課題は「地域産業保健センター事業の現状と課題」です。現状 はグラフにしましたが、地域産業保健センターは窓口相談と事業場訪問が2本の柱になって おり、その推移を書きました。どちらも長期的には増加傾向にあるわけです。  それをもう少し具体的に見たのが下のほうです。アの「地域産業保健センターの状況」は、 347カ所ありますが、そのうち87カ所は拡充センターということで、メンタルヘルス相談、 夜間相談が少し回数が多くなっており、これを合わせてイの「健康相談窓口」の実施回数は、 平成18年度の実績で約2万4,000回あり、利用者延べ人数は約7万4,000人となっていま す。主にどういう相談が多いかですが、健診結果に基づく保健指導に関する相談が47%で、 いちばん多くなっています。  (ウ)の窓口別利用者数は、現在、地域産業保健センター内での相談窓口のほかに、地域 の医療機関にお願いしてサテライト方式をとったり、例えば産業安全衛生大会のときに、相 談窓口をするというイベント時などにも積極的にやっていただいています。それによると、 地域産業保健センター内での相談人数は減っていますが、サテライトやイベント時には増え ています。  次の頁はサテライト方式です。これは東京都区部で13、大阪市で6センターです。平成 17年度はサテライト方式をとっていなかったセンターが、平成18年度にサテライト方式を とったらどれだけ効果があったかを見たものです。東京と大阪は平均で約2割の増加が見ら れ、サテライトは効果があるのではないかと思っています。  ウの「個別訪問指導」ですが、平成18年度は年間約1万2,000事業場を訪問しています。 エの「周知広報活動」については、主にコーディネーターによる周知広報活動を中心に、ご 覧の回数、またはパンフレットを配っています。しかし、オとして、知名度は約半分強の事 業場が、総務省が行った調査で、地域産業保健センターを「知らない」と回答しています。  先生方に検討していただきたい私どもの課題は、(1)として、健康相談窓口の利用者数や個 別訪問実施事業者数とも増加してきていますが、平成18年度実績がそれぞれ1センター当 たり213人、36事業場と未だ一歩と感じていることと、地域産業保健センターを未だ知ら ない事業場も多いという状況がありますので、これらに対する対応が必要ではないかと考え ています。(2)として、サテライトやイベント時での人数は大幅に増加していますので、窓口 開設場所、実施時期などの工夫が必要ではないかと考えています。  参考は、本日は説明しませんが、先ほど紹介した4つの報告書で、この項目に該当するの ではないかと思われる箇所をピックアップして、検討の際の参考にしていただければと思い ます。  5頁です。2つ目の大きな課題の「地域におけるメンタルヘルス対策の現状と課題」です。 産業医は全国で3万人が登録しており、19頁を見ますと、都道府県でどのように産業医が 登録しているかです。50人未満の事業場で働く労働者で割ってみたところ、大体1,000人 当たり1〜3人の産業医の登録状況にあります。元へ戻って、うち精神科医の登録数ですが、 1,131人ということで、1センター当たり347で割りますと、平均3人程度です。  イの相談人口ですが、メンタルヘルス相談は年間約3,700人で、労働者側か事業者側かを 分類すると労働者側が約8割です。メンタルヘルス相談で、何人センターが年間相談してい るかを統計で見ますと、10人以下の所が約8割で、これを棒グラフにしたのが真ん中の図 です。一方、51以上という所も16センターあり、100人を超えるセンターもここのところ あるわけです。要するに少ないセンターもありますが、多いセンターもあるということです。  ウの働き盛り層のメンタルヘルスケア支援事業は何かということです。6頁の上の図を見 ますと、メンタルヘルス相談をしたいと思っている労働者及び家族に対して、そのきっかけ づくりをしたほうがいいのではないかということで、まず講演会を実施し、そのあと相談会 を開催する。相談会については日にちを変えてもいいということをやっているわけですが、 その実績が5頁です。平成18年度実績で約200回程度やっていますが、セミナーについて は約1万人が利用しており、個別相談となると500人で、ちょっと少ないという状況です。  それを踏まえて、先生方に検討していただきたいのが6頁です。6頁の(1)に入る前に、先 生方に知っておいていただきたい情報が7頁にあります。私どもにおいては「メンタルヘル ス対策支援センター」を平成20年度から設置しようということです。どういうセンターか というと、どういう所に一定の基準を満たしている相談機関、カウンセリングを行う機関が あるかを事業場が知らないということで、一定の基準を満たす機関を登録していただいて、 事業場から相談があったらそれを紹介する。事業場に対して、こういう仕組みがあることを PRするセンターを、今年度から都道府県単位で置くことにしています。  6頁の(1)に戻って、平成20年度から一定の基準を満たす相談機関を登録・公表・紹介す る機能などを有する「メンタルヘルス対策支援センター」が設置され、平成20年度は企画 競争入札で労働者健康福祉機構が落札されましたので、都道府県産業保健センター内に設置 されます。職域におけるメンタルヘルス対策のセンターとして3つ存在することになります。 1つ目が「メンタルヘルス対策支援センター」、2つ目が「都道府県産業保健推進センター」、 3つ目が「地域産業保健センター」、この3つのセンター体制となるために、それらの連携 や支援体制を明確に位置づけるために、各々の役割分担の明確化や、それらを踏まえた地域 におけるメンタルヘルス対策の拠点づくりが必要なのではないかと考えています。  (2)はあとで説明しますが、職域における社会資源と地域における社会資源との連携が不十 分なので連携したほうがいいのではないか。(3)として、面接指導や一般健康相談、それ以外 の相談において、労働者のメンタルヘルス不調が深刻な状況にあることが把握された場合に、 適切に精神科医等に繋げる方策が仕組みとして出来上がっておりませんので、それが必要な のではないか。(4)として、産業医と精神科医の個人単位のネットワークが必要ではないかと いうことです。  8頁です。3つ目の課題は「都道府県産業保健推進センターの現状と課題」で、産業保健 推進センターでは、研修と相談が大きな2つの事業です。研修については産業医など労務管 理者が中心と聞いていますが、年間約3,000強の研修を行っており、主な研修内容は右に書 いてあります。受講者数は約1万人です。  (3)は相談対応で、各推進センターに6分野の専門家で構成される非常勤の相談員を約 1,300人配置し、約1万3,000件の相談に乗っています。そのうちメンタルヘルスが約3,000 件強の相談に乗っています。  イに「助成金の支給」がありますが、これも飛ばして、重要なウに行きます。「地域産業 保健センターへの支援」ということで、産業保健推進センターでは、地域産業保健センター に現在どのような支援をしているかです。(1)は、地域産業保健センターに配置されているコ ーディネーターに対する研修を、平成19年度は79回、860人に対して実施しています。 (2)、地域産業保健センターの登録産業医に対して83回の研修を実施しています。それから (3)、地域産業保健センターの運営協議会に対して、推進センターの職員が出席してアドバイ スをしております。(4)として、随時地域産業保健センターのコーディネーターに対して、専 門的な立場から相談に乗っています。  10頁はどういう課題があるかです。いまご説明したように、推進センターでは地域産業 保健センターへの支援をしていますが、それよりもさらに充実した支援が必要ではないか。 (2)として、先ほどもメンタルヘルス関係で出ましたが、地域における産業保健活動の拠点と しての役割を明確にする必要があるのではないかと考えています。  11頁の4つ目の課題です。「地域の各種関係者とのネットワークの現状と課題」というこ とです。真ん中の図を見ますと、産業医学振興財団において、産業医に対してメンタルヘル スの研修を、精神科医、心療内科医に対して産業保健に関する研修会を実施しております。 それぞれ産業医についてはメンタルヘルスの分野が弱いのではないか、精神科医については 産業保健が弱いのではないかということで研修しています。平成17年度からスタートして いますが、このトータルで3年間で産業医に対しては1万人を超える人たちに研修を実施し ています。それから精神科医に対しては1,600人に対して研修を修了しています。これの都 道府県別の修了者数は20頁に書いております。  ウの地域産業保健センターに対して、保健師の活動実績がどうかということで、これは昨 今、医師が忙しいということで、保健師の活動状況はどうかということで調べたものです。 地域産業保健センターについては、年間で236人で、あまり活用されていないのではない かという結果になりました。  エ、日本医師会で認定産業医を平成2年から行っていますが、その状況は全国で約7万人 が認定産業医になっているという状況です。これの都道府県別が21頁に載っています。  課題は12頁の(1)で、先ほどご説明しましたように、産業医に対してはメンタルヘルス、 精神科医に対しては産業保健医の研修を行っていますが、今後は研修するだけではなく、産 業医と精神科医とのネットワークの強化をしていったらどうかと考えておりますので、どの ように強化していったらいいかをご検討いただければと思います。  (2)は、保健師の活動実績が少ないので、保健師などの産業保健スタッフの積極的な活用を 図る必要があるのではないか。(3)は、ちょっと違った視点ですが、産業医には専属産業医と 嘱託産業医がおり、それぞれ専門知識を持っていますので、専属産業医と嘱託産業医の連携 を考える必要があるのではないかと考えています。  参考として、これについて、過去いろいろな検討会でさまざまな多くの意見をいただいて いますので、約1頁にわたって記載しています。  最後の14頁の地域保健関係です。これは(1)のメンタルヘルス、自殺対策と(2)の地 域・職域連携推進協議会と2つに分けて課題を書いています。1つ目はメンタルヘルス、自 殺対策ということで、職域は先ほどから何回も言っていますように、支援センター、推進セ ンター、地産保センターですが、地域の社会資源には調べたところ、(1)〜(8)のような多くの 社会資源があるということで、課題として職域の社会資源と地域の社会資源の連携が、いま ひとつという感じがありますので、それへの対応が必要ではないか。  (2)は、よく言われているのが、地域にある社会資源が事業場において、どういうものが、 どういうことをやっているのかよくわからないと言われていますので、それにより必要なサ ービスが提供されていないのではないか。ですから、もっと事業場が、どこがどういうこと をやっているのかを知らせる必要があるのではないかということで書きました。  (2)として、「地域・職域連携推進協議会」がありますが、これについては2つあって、 都道府県単位と2次医療圏(保健所)単位と2つあり、15頁に書いてあります。構成メン バーとしては、都道府県協議会には都道府県産業保健推進センターが入っている場合があり ます。地域産業保健センターは保健所単位の2次医療圏に入っている場合があります。実績 は都道府県協議会は43カ所、2次医療圏協議会は194カ所と聞いております。  16頁の課題です。課題(1)は、職域関係者のメンバーは労働行政関係者にとどまっており、 事業者もメンバーになることになっていますが、その参加が少ないということが指摘されて います。これは厚生関係の検討会の報告書から抜き出してきたものです。(2)は、複数の2 次医療圏協議会に労働基準監督署が参画しなければならないということで、保健所と監督署 の管轄区域が若干異なっているので、監督署が複数の協議会に行かなければいけないことか ら、なかなか協力が得られにくい状況です。(3)は、この協議会のメリットについて明確化さ れていないことから、具体的な連携事業の取組が進んでいないことが指摘されています。  「参考1」と「参考2」は、歯科とがん検診で、連携が図られている事例を検討のための 参考として付けています。長くなり端折ったところもあって、わかりづらいところがあろう かと思いますが、よろしくお願いいたします。 ○高田座長 ただいまの説明について、これからご質問等を受けるのですが、その前に島先 生、石渡先生がお見えになりましたので、簡単にご紹介をお願いします。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 神奈川産業保健推進センター所長の石渡先生、京都文教大学 教授の島先生でございます。 ○高田座長 それでは、委員の先生方が全員お揃いになりましたので、ただいま事務局から、 地域の産業保健活動の現状と課題で5つのご説明がありました。それぞれの5つの課題につ いて、いまお話のように、3頁、6頁、10頁、12頁、14頁、16頁とそれぞれ考えられる課 題について整理をして、そこにございます。  これからの審議の進め方ですが、事務局で今までの資料等を整理して、ご説明しましたが、 示されたそれぞれの課題について1つずつ、各先生方から自由な意見交換をしていただき、 今日の話を踏まえて、第2回目、第3回目の段階でそれぞれの意見を全部まとめていきたい と思っております。今日は第1回ですので、ご自由にご意見をいただければ幸いでございま す。  まず第1の、地域産業保健センターの課題から説明がありましたが、先生方は日ごろから この問題についてご関心をお持ちだと思いますし、またいろいろな問題点があるというご指 摘がありましたら、そういった問題についてもご自由にお願いしたいと思っております。  「地域産業保健センター事業の現状と課題」ですので、これについて実際に地域産業保健 センターをおやりになっておられる北條委員、石渡委員、日本医師会として今村委員もお見 えですので、皮切りにいかがでしょうか。『産業ジャーナル』にも出ておりました八王子の 地域産業保健センターの資料等もありますし、北條委員もかの有名な大森でいろいろおやり になっておられますので。 ○今村委員 まず皮切りにちょっと教えてください。サテライト方式は相談者数もどんどん 増えているということで、マクロ的に見ると、とてもいいように見えるのですが。地産保の 事業は全体を通しても、個別の事業内容に大きな差があることが問題視されているわけです が、サテライトは多い少ないはあるにしても、大体どこもみんな増えているという認識でよ ろしいのでしょうか。東京、大阪19カ所ですが。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 増えていると思います。サテライトというのは、事業場の近 くの病院とか診療所に11の窓口を作って、そこに出かけるというので、わざわざ遠くまで 行かなくてもいいというので気楽さもあるのだと思います。 ○今村委員 サテライトを設置するときに、「ニーズがありそうだから、もともと地産保に 実績があって、さらにある個別の事業場の近くの医療機関にお願いすれば、きっともっとも っと相談がしてもらえるだろう」ということでサテライトを指定しているのか、それとも手 挙げたみたいな形で、「うちがやりたい」という所に自由に任せているのか。サテライトの 指定はどういう形で決められているのか、事情がわかれば教えていただきたいと思います。 ○高田座長 行政のほうでは、いまのご質問について、このようにしなさいということは。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 こうしなさいというのは特にないと。 ○高田座長 むしろ北條委員なり、石渡委員はどうですか。 ○石渡委員 神奈川での実態を見ていますと、サテライトは何箇所という数だけで、具体的 な内容はそれぞれの地域センターを運営している医師会にある程度投げているというのが 現状で、うちではこういう所をやりましょうとか、地域によってかなりばらつきがあるのが 現状のようです。 ○北條委員 地産保センターのそれぞれの選択に任されて、その中でまたさらに手挙げ方式で やることになっています。もう少しサテライトに対して明確なガイドラインや設置の建物基 準。人的というのは産業医なので、まず問題はないと思いますが、運営の基準とか。開業医 ですから、のべつ来られても困る部分があろうかと思いますので、何かそういうガイドライ ン的なものがあったほうがいいのかと思います。  地域特性があって、大田区などは工業団地は300あるいは200という塊で、ボンボンと あるのですが、ここはいずれも無人地帯で診療所もありませんので、そこの中にも会館の中 にサテライトを設置しているという現状です。 ○高田座長 今度は利用する側のお立場でどうでしょうか。商工会議所は今日は代理でご出 席なのですが、それでは漆原委員、組合としてどうですか。 ○漆原委員 実は連合の中で調査を3年ごとに行っているのですが、事業場別の調査におい ても認知度があまりないというのが現状で、知名度を高めることが利用を増やすということ になると思います。こちらも何かあるたびに、いろいろ地域にあるので、地域にあるものを 活用してくださいとお願いしているのですが、そこのところが現場ではなかなか進んでいな いというのが実際のところです。  最近、地方から言われるのが、地域の医師不足と併せて、本当にこちらの要求に応えても らえるのかどうなのか。これは地域によって温度差がたぶんあると思いますが、地域によっ ては対応がそれほど良くなかったという事例もあって、それが単にそのセンターの問題なの か、あるいは地域全体の医師不足等を踏まえた問題なのかわかりませんが、そういった声も 上がってきているのが現状です。これが医師不足という問題であれば、ここではなかなか対 応できないこととは思いますが、ばらつきがあるというところが、できるだけボトムアップ に繋がるような対策をとっていただけたらと思います。 ○山崎委員 小規模の、特に小さい50人未満の事業場なども、健康管理をすることは十分 わかっているのですが、時間的制約とか、経済的な面もあって。産業医のことも80%以上 の事業者があまり知らないというのが現状です。  ここで1センター当たり36事業場ということで、かなり少ないということですが、先ほ ど50人以上の所は14万事業場とありましたが、東京では50人未満は500万事業場ぐらい あって、従業員も3,300万人ぐらいいるのです。それとの兼ね合いで見ると、もっとたくさ ん来て、センター自体が347ですから、かなり少なくて音をあげているのではないかとい うことに持っていくのが実際だと思います。なかなかないということになりますと、それだ けそれに対する制度を知らないとか、中小企業の事業者は仕事に追われて全くあれがないと か、あるいは事業者の決断というか、そういうやる気がないといった、産業保健に対する理 解がないと言えると思うのです。  ちょっとお聞きしたいのは、36事業場が相談や活動を利用しているのですが、各地域セ ンターに対するホームページがありますが、そこへのアクセスはどのぐらいあるのでしょう か。ただ単に数で決めることはできないと思いますが、利用したいのでやる人と、単に見て みたいというのがあると思うのですが、その数はかなり多いのでしょうね。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 私どもの地区医師会から地方の労働局を経由して私どもに 報告をいただいているのを集計したのですが、ホームページのアクセスまでは報告してもら っておらず、そのデータはありません。 ○漆原委員 実はそのホームページのことも、私どもの地方からいろいろ意見が出ておりま す。各医師会の中にホームページがあるケースがほとんどで、その内容が濃い、頑張ってい ると思われる所と、そうではない所の差があるという報告がありました。そこのところは委 託ということでなかなか難しいと思いますが、情報の提供をできるだけ多くしていただけれ ばと思っています。 ○今村委員 そのことについてのお答えではないのですが、地域産業保健センターの知名度 が低いことが利用が低くなっている理由の1つということは、十分認識しています。こちら の資料で挙げていただいている総務省の調査というのがあります。いま山崎委員からもお話 があったように、500万事業場の中から無作為に抽出したとすると、54%が知らないと言 えば、46%は知っているということで、その数は割合からいえば非常に低いのですが、絶 対数でいえば極めて多いわけです。本当にこの調査自体が、どういう聞き方をして答えが出 ているのか、私も不思議な感じがしています。  逆にそれだけ知っているのに利用できないとすれば、何が原因なのかという話になるのだ と思います。この辺は数としていかがなのでしょうか。厚生労働省としても、だいぶ前です が、認知度みたいな調査をされてデータを取られていますよね。もっと少ない人しか知らな いようなデータだったような気がしたのですが。 ○高田座長 1つの課題ですね。今度進めていくのに、そういうことを調べて、ちゃんと把 握することが必要ではないかというご意見です。 ○今村委員 ですから知名度が低いと、この検討会として言い切ってしまっていいのかどう か。数字だけを見ると、半分は知っているのだぞという話になるのかと思ったのです。 ○石渡委員 例えば神奈川県の場合、県の労政福祉課が小規模事業場をかなり握っていて、 そこのアンケートをやるともっと低いのです。ですから対象が、いま今村委員がおっしゃる ようにかなりターゲットが違っているという認識です。  ついでに私の意見としては、もう1つは、嘱託の地域のセンターの先生には大変酷なので すが、夜間とか、そういうところへ手が行っていない。例えば、神奈川県の場合、相模原は 夜間の6〜8時の2時間を、月に2回、事業場でのメンタルの相談に回っているのです。そ うすると、それぞれ工業団地とか団地を中心にしてやっていると、ある程度来るという実態 はありますから。日常診療が忙しい先生には酷なのですが、そういうことが大きいと思いま す。今度の長時間残業にしても、午後の診療時間、あるいはちょっとはみ出るぐらいの時間 的なタイムスケジュールだと、なかなかうまくいかないのではないでしょうか。 ○高田座長 北條委員、現実にいろいろご苦労されていると思いますが、いかがですか。 ○北條委員 開業医が主なものですから、小児救急から休日診療まで夜間やっておりまして、 どちらかというと急病的な対応のほうでめいっぱいで、さらに産業保健のご協力を会員の先 生にいただくのですが、予約制をとっております。でも、うちに関してはほとんど電話は鳴 りません。  広報の仕方ですが、区報を使っていますし、目には届くはずですが、興味がないので読み 飛ばされる。各事業場にもパンフレットも相当配っております。特に選任義務のない49人 以下というか、今度初めて長時間労働の面接が入ったわけですが、ごみ箱にダイレクトに行 くような、ダイレクトメールと呼んでいます。 ○高田座長 ありがとうございました。いまだいぶご意見が出ましたが、全部で6つの課題 がありまして、5時までに終えたいと思っております。時間配分を見ますと、1課題10分 ずつという議事進行をしないと終わらなくなってしまいます。今日は第1回ですので、全部 の課題について、それぞれご意見をいただいたほうが、事務局としても先生方のご意見をま とめて、次回に議論を整理して出したいと思いますので、どうぞよろしくご協力のほど、お 願いしたいと思います。  それでは、第1の課題の第1番の「地域産業保健センター事業の現状と課題」について、 次の課題に移ってよろしいですか。それでは次に「地域におけるメンタルヘルス対策の現状 と課題」です。非常にメンタルヘルスの問題が大きくなっていますが、自殺の問題等もあり ますので、資料の6頁に課題が出ております。メンタルヘルスについては課題が4つありま す。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 4つありますが、(2)と(4)はあとでご議論いただきたいと思っ ておりますので、(1)と(3)でお願いしたいと思います。拠点づくりと、あとは面接指導・相談 の精神科医への引継ぎの2点をお願いしたいと思います。 ○高田座長 今度はメンタルヘルスの問題ですが、ご説明した資料の6頁をご覧にいただき、 国の行政のほうでも働き盛り層のメンタルヘルスの支援事業とか、いろいろやっておられま すが、これについてお願いします。 ○今村委員 2点あります。7頁のメンタルヘルス対策の支援センターです。一応確認です が、事業場の規模は問わない。ですから、地産保が50人未満で、推進センターが50人以 上という対応を、いま大きく分けているわけですが、これについては、そういう規模は一切 問わないという理解でよろしいでしょうか。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 そうですね。 ○高田座長 これは規模を問わないということですね。 ○今村委員 個別相談会は絶対数で言うと2人だから、多いか少ないかは別として、参加さ れているのですが、課題の(3)にある連携の方策に関わると思いますが、このような所で相談 された方がそのあとどのような対応をされているかについて、データはあるのでしょうか。 つまり、現状としてこういう連携がある、ない、ないなら何が悪いからできないのか、そこ にいかないとわからないと思うのです。もしデータがあれば教えてください。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 相談会のあとどうしたかですが、そこまでデータを取ってい ないのです。ここに書いてあるように、多い所は多いのですが、少ない所は1人という所も あります。まだ3年目なので、とりあえず相談が中心なのかなと。そのあとどう引き継いだ かまでは、あるのかもしれませんが、そこまで本格的にはいっていないのではないかと思い ます。 ○今村委員 是非、ここに出ている20人とか、多い所は50人以上やっている所がどのよ うな仕組みを持っているかを教えていただければありがたいと思います。 ○高田座長 それは調べれば調べられますね。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 聞いてみればわかると思います。 ○高田座長 今日はメンタルヘルスのご専門の方もいらっしゃるので、島委員あるいは圓藤 委員、いまの課題について何かありましたらどうぞ。 ○島委員 質問ですが、1つは5頁の産業医登録数のうち、精神科医等登録数が1,131人に なっていて、「等」には何が入るのかを見ていたのです。一方で、11頁の産業医と精神科医 とのネットワークの所は「精神科医、心療内科医等」になっているのです。最初、「精神科 医等」には心療内科医が入っていると思ったのですが、さらに「等」が入っているので、確 認です。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 これは島委員がおっしゃるように、中心は精神科医と心療内 科医です。 ○高田座長 「等」は臨床心理士とか、そういうものですか。 ○島委員 これはおそらく医師ですね。 ○高田座長 これは医師でしょう。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 対象は全部医者ですので。 ○島委員 精神科医と心療内科医でしょう。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 はい、その2つだと思います。10頁のパワーポイントの「等」 は、少し違うかもしれません。 ○島委員 もう1つは、5頁で、地域産業保健センターのメンタル相談は4,000弱あるので すが、事業場の規模ごとのデータはありますか。それがいちばん関心があるのですが。もし、 次回でもいただければと思うのですが。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 健康相談件数の規模別ですか。 ○島委員 事業場の規模別です。これは難しいと思うのですが、いわゆる分散事業場が入っ ているか入っていないかです。その辺りの特性がわかればと思うのです。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 データ的にはあるかどうか分からないのですが、調べてみま す。 ○島委員 地産保のほうが、大体全体相談件数の中でメンタルヘルス関連が4%ぐらいにな るのです。一方で産業保健推進センターのほうはかなり多くて、おそらく20%を超えるの です。これだけ乖離があるのはどうしてだろうと考えているのですが、おそらくニーズがあ るのだろうと思うのです。その辺りは広報の問題なのか利便性なのか、今後検討を要すると 思いますが、乖離がこれだけあるというのは、小規模事業場がなかなか利用しにくい現状が あるのか。乖離が生じている背景を、少し検討していただければと思っています。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 ちなみに、地産保のメンタル相談はあくまでも50人未満が 中心で、推進センターのメンタル相談は50人以上が中心です。事業場規模別でいくと、10 人とか20人とか30人というのがわかるかと思いますが、5頁目に関しては50人未満とい うことです。 ○島委員 5頁は大体50人未満で、全体相談件数が4%ぐらいなのです。9頁の上にある表 の中の件数を見ると、かなりメンタル相談件数が多くて、20%強ぐらいなのです。おそら くもっとニーズがあるのだろうと考えるのですが、利便性という意味では時間帯などはわか らないと思うので、どうすれば利用促進できるかなと考えていました。 ○中林委員 推進センターのほうですが、いまの島委員の疑問に対しては、正確には数字が ないからよくわかりませんが、2つのファクターがあるだろうと思います。1つはその事業 の、特にメンタルに対する事業の立上げの時期の話があって、地産保は比較的新しいのでは ないかと思うのです。もう1点は、推進センターの場合は基本的に50人以上と、比較的大 きな所を対象にしています。ということは、そうした企業においては、メンタル以外の部分 はいままではそれなりに歴史を持って対応してきたけれど、メンタルについては特に遅れて いることから、相談件数に占めるメンタルの割合が高くなっているのではないかと思うので す。一方、中小零細企業になると、メンタルもあるけれど、ほかのいろいろな課題もあるの で、そうした事業場側の状況の違いが、この数字の割合の違いに表れているのではないかと いう感じを受けております。 ○金井労働衛生課長 地域産業保健センターにおけるメンタルヘルスの件です。メンタルヘ ルス相談については、拡充センターには週1回はやってほしいと言っているのですが、拡充 センター以外は可能な限りやっていただきたいというのが行政側の考え方です。実際に地域 に出ると、精神科医等の確保が難しいこともあっての話だと思うのですが、例えば資料の 19頁を見ると、「精神科医等のための産業保健研修会」とあります。これはあくまでも研修 を受けた方の地産保における登録ですが、これを見ると都道府県ごとでかなりばらつきがあ り、地域においてもばらつきがあるということはあると思います。  一方で、今年度から50人未満の事業場においても、長時間労働者に対する医師の面接指 導制度が導入されていますが、こちらは必ずしも精神科医等には限らないというのが頭にあ るので、全地産保において実施をしていただくことにしているわけです。メンタルヘルス相 談はどのような方がやるのが望ましいのか、あるいはどの辺までやるのかについては考え方 を整理しないと、いきなり拡大するのもなかなか難しいので、その辺りもご指導いただけれ ばありがたいと思います。 ○高田座長 島委員、いまの労働衛生課長のコメントについてはいかがですか。 ○島委員 メンタルヘルス相談担当者のことですか。ここはいろいろ議論があるかと思いま すが。 ○漆原委員 質問が1点あります。7頁の図に、労働者から事業場窓口を通じてメンタルヘ ルス対策支援センターに矢印がいっているのですが、このセンターを利用するのは、産業保 健スタッフなど産業医等を通じて利用するという位置づけなのでしょうか。どのようなルー トで相談を持っていくのでしょうか。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 平成20年度のメンタル対策支援センターは機能が限定され ていて、言葉は正しくないかもしれませんが、比較的優良な相談機関がどこにあるかわから ない事業場に対して、リストアップしたものから一定の基準を、リストアップしたものを事 業場に提示するという、いわゆる相談機関の紹介事業みたいなことに限定してやっています。 事業場の窓口ということで、産業保健スタッフなどが出たのだけれど、どこかいい相談機関 はないかと探しているときに紹介するという意味で、このような図になっています。メンタ ルヘルス対策支援センターの機能を少し拡充するならば、もう少し違った矢印も出てくるか と思います。 ○高田座長 ということですが、いまの説明についていかがですか。 ○山崎委員 先ほどの統計を見ると、500万のうちの5人以下が350万いて、9人以下を含 めると400万ぐらいになるのです。そうすると、小さい所は本当に家族的な経営ですし、 同族者だけですから、相談ごともうまく解決していることもあって、相談もあまりしないの ではないかと思うのです。そのようなことが、いくらかでも影響はしていないかと思います。 大きくなると、意外と厳しい人事管理の下でやられるのできついのでしょうけれど、小さい 所は和やかな雰囲気の所もありますので、そういうことがあるのかもしれません。 ○今村委員 確認なのですが、今年度の取組としては相談機関を紹介するというお話ですが、 今後はどのようにこの事業を考えているのかによって、先ほどの推進センターや地産保との 関係は大きく変わってくるのかなと思いますので、その辺りの方向性というか、考え方を教 えていただければと思います。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 事務局の考え方ですので、またご議論いただければと思いま すが、担当者が考えているのは、メンタル対策支援センターを紹介するだけでとどめるのは どうかと思っていて、もう少し機能を拡充させたいと思います。できれば、メンタルヘルス 関係のワンストップサービスで、そこに行けば、例えばあそこで何がやられているとか、地 域保健で何がやられているかなどがわかるような機能を設けられたらいいかと思います。ま た、地産保センターで何か困ったことがあったら、メンタル対策支援センターに相談すれば それなりのアドバイスが返ってくるといった、地産保センターの支援機関にもできればと思 っておりますが、先生方にご議論いただければと思います。 ○今村委員 そこで確認したいのですが、それは先ほど漆原委員がおっしゃったような、労 働者も直接メンタルヘルス相談に乗っていただくような機能も持つということなのでしょ うか。地産保も50人未満の相談をします、推進センターは50人以上の相談をします、こ ちらはそのような人数を問わず、どこからでも自由に相談に乗りますという仕組みになると、 利用者のほうが非常にわかりにくいというか、ワンストップにならなくなってしまうのでは ないかと思うのです。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 基本的には、カウンセリングなどはそれなりの専門機関にお 願いするのかなと思っています。そこの機関は、事業場の労務管理者とか、大きくなれば保 健師や看護師が相談して、あるときは県に行きなさい、あるときは労基署に行きなさいとい うのではなく、そこに行ったら事業場の実情を聞いて、おたくの事業場にいちばんいいのは 地域保健だから、そこを活用してみたらどうですかとか、地産保センターでこのようなこと をやっているから活用されたらどうですかといった、交通整理役かと思っています。これも 単なる事務局の案ですので、これでいいのかどうかは定かではありません。 ○金井労働衛生課長 この支援センターについてはいろいろ考え方があります。地域におけ る社会資源としてそれぞれをどのように位置づけていくか、相互連携をどうしていくかなど もありますし、どちらかというと職域は職域で固まっていて、地域や福祉のほうまで行くの かどうかはわかりませんが、そういったものについてはあまり詳しくないと。ですから、地 域における社会資源について、その人にとってどういうサービスがいちばんいいのかを、あ る程度把握している機関が必要だと思うので、そのような機関になっていただくということ も1つあります。  また、別の切り口ですが、メンタルヘルス対策を一次予防、二次予防、三次予防に分けた 時点で、相談の程度はどちらかというと一次、二次に近いと。三次は社会復帰のほうですが、 三次をメンタルヘルス支援センターで重点的にやっていただく考え方など、考え方はいろい ろあると思います。切り口をいろいろご指導いただきたいと思います。 ○高田座長 ありがとうございました。ほかになければ、次の課題にいきたいと思います。 それでは、3番目の「都道府県産業保健推進センターの現状と課題」に移ります。これにつ いてご意見をいただければと思います。8〜10頁に出ておりますので、課題の整理はしてい ますが、都道府県産業保健推進センターにおける域内の地域産保センターの活動に対する支 援を充実することが必要であると、当然しなければならないけれど、何かいい方法があるか どうか。また、地域における産業保健活動の拠点としての役割を明確にする必要があるので すが、いい方法がないか。石渡委員、何かありますか。 ○石渡委員 1つは、地域センターとの連携というのが、言葉では簡単なのですが、これが 非常に難しいという現実があります。それは何かというと、地域センターは医師会と委託契 約をしている関係上、そこの医師会の考え方もありますし、コーディネーターにその意見が 強く反映されているために、我々がもう少し歩み寄りましょうと言っても、実際にはコーデ ィネーターがいろいろなしがらみで、こちらへ足を向けられないといったことがいちばん大 きいのかなと思います。  神奈川などでは、医療法人の医師会と契約をしているのだけれど、医師会によっては実際 の地域センターを運営しているのが法人格のない医師会があるのですが、横浜などがそうで す。そうすると、非常にやりにくいというか、どこへ連絡先をつくっていいのか、繋いだら いいのか。横浜市の医師会では駄目だし、駄目なわけではないのですが、区の医師会に任せ ているという立場が非常に強いので、政令指定都市の地域センターの運営はそこがいちばん ネックかなと思うのです。 ○高田座長 それは今村委員は東京都ですから。 ○今村委員 たぶん、東京の区は皆社団法人を持っています。横浜市の区は行政区で、社団 法人格を持っていない所が多いのです。そこがいまお話いただいたような運営をしているこ とに問題があるのだと思います。 ○高田座長 郡市区医師会とはうまくそれぞれ手を握って、川崎も横浜もそうで、横浜がい ちばんあれだと思いますが、委託先が横浜市医師会だけれど、実際の運営は区医師会で、そ の辺りをどうするのか。事務所の問題もそうです。郡市区の医師会ですと、医師会の事務所 を借りる形で地域センターを運営している所が随分ありますが、横浜市は、法人格がない区 の医師会で。事務所さえ移すのが難しくて、一時やったのだけれど、行政が困って労働局が お願いをしたという話がありますから。 ○今村委員 安衛部長が神奈川県にいらっしゃいますから。 ○石渡委員 例えば、お金の問題にしても、たしかいちばん安い所で月6万円と聞いている のですが、そうすると地域センターの運営費が、年間で助成金の4分の1は借りた事務所に 行ってしまっているのです。もう1つはコーディネーターで、神奈川の場合だけですが、医 師会に入った電話をコーディネーターの携帯に直接つないで、いろいろな問題を解決してい る医師会は、地域センターとしてはコーディネーターのポテンシャルが高いのです。ところ が、そこが切れていると、外から電話がかかってきても、今日はコーディネーターがお休み です、いませんということになると、返答が2日か3日あとになるとか、そのうち切れてし まうわけです。その辺が、数の問題の対応としては大きいのではないかと、外から見ていて 思います。 ○今村委員 唐突な話で申し訳ないのですが、根本的なことに関わることです。厚生労働省 としては、国に均一に、全体に産業保健サービスを行き渡らせることが当然の使命だと思っ て、いろいろ考えていると思いますが、本当に監督署全部にそれだけの施設をつくる必要が あるのかどうかというお考えが、もしあれば伺いたいのです。  というのは、この347カ所は極めて温度差があって、日本医師会としてはすべての産保 に一生懸命頑張ってくださいと働きかけはするけれど、石渡委員がおっしゃったようにもの すごく温度差があって、一生懸命取り組む地域もあれば、そうでない所もあります。予算規 模もあまり大きくないために、結局小さな医師会にとっては非常に負担になっていると。そ れをある程度数を集約して、いま国が医療のほうでも集約、集約と言っているわけで、ある 程度の大きさに集約することで予算規模を大きくして、コーディネーターもある程度集約さ れてくれば、コーディネーター不足も解消して、広い範囲でサービスを提供することができ ないかどうかについて、ご意見を伺いたいと思います。 ○金井労働衛生課長 地域産業保健センター事業は平成5年から始まりまして、当時から労 働基準監督署と郡市区医師会が大体一致していて、1つの監督署の中にいくつかの医師会が ある所もありますが、それなりに定着してきているというのが行政の見方です。ただ、より 一層産保事業を発展させるためにはどうしたらいいのかという観点から、必要があればこの 委員会でいろいろご指摘、ご指導いただければと考えております。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 参考までに10頁をご覧ください。参考だったのでご説明し ませんでしたが、労働者健康福祉機構の有識者会議の報告書で、具体的な連携のあり方をこ うしたらどうかと提言されているのでご紹介します。ポツが6個ぐらいありますが、1つ目 として、地産保に配置されているコーディネーターに対して、研修はしていますが、情報交 換と交流の機会を提供したらどうかという提案がされています。3つ目ですが、登録産業医 に対して、これも研修はやっているのですが、一歩踏み出して情報交換の場と機会を提供し てはどうかという提案をいただきました。4つ目ですが、地産保と一緒に研修や相談事業を 共同開催してはどうかとの提案もいただいています。下から2つ目ですが、推進センターの 相談員を、地産保の登録産業医のアドバイスをするために、地域センターに派遣してはどう かということも言われています。検討の参考にしていただければと思います。 ○高田座長 よろしいでしょうか。特にご発言がなければ次の課題に進みます。  それでは、4番目の「地域の各種関係者とのネットワークの現状と課題」です。これはい ますでにいろいろお話がありましたが、地域の資源とどのように連携したらいいかというこ とで、11〜13頁に整理をしております。これについては、課題として12頁に3つほどあり ますので、これらについてご意見をお願いします。  11頁の図にもありますし、現状としては、すでに過重労働・メンタルヘルスの問題は50 人以上についてはどんどん進められていて、50人未満についても今年度から始まることに なりますが、いかがでしょうか。精神科メンタルの方面は、圓藤委員、何かありますか。い ろいろな地域の関係者とのネットワークの問題について、関西ではいかがでしょうか。 ○圓藤委員 産業医と精神科医とのネットワークはうまくいっているので、特に問題ないの ですが、地産保事業でいちばんネットワークを密にしなければならないのだけれどしにくい のは、監督署とのネットワークです。すなわち、ここの事業場でこんな問題がありますとい う情報があれば指導がしやすいのですが、その情報は出せないということがありますね。そ うすると、手探りで産業保健活動をせざるを得ないわけです。立場上守秘義務があるので出 せないということなのですが、そうするとどこの事業場でどんな問題が起こっているのかが、 地産保はわからないのです。したがって、非常に効率の悪い活動の仕方になるのです。事業 場へ行っても、実はこんな事件がありました、事故がありましたと事業主がしゃべらなかっ たらわからないので、対策のとりようもないということがあります。何とか秘密を守りつつ 情報交換できるような方策を考えていただければと思います。 ○金井労働衛生課長 個人情報や企業情報などは取扱いが厳しいわけですが、そうは言って も、法令には触れないけれど問題がある事業場もあるので、そのような所については事業場 のご理解を得て、いやだと言うのを得るのは難しいと思いますが、このような仕組みがある のでうまく使わないかなどと言って、その中で地産保事業を紹介するといったことは可能だ と思います。もうすでにやられている所はあるかもしれませんが。そういう範囲でやるのか、 もう一歩踏み込むのかどうかは、行政側として検討したいと思います。 ○石渡委員 (2)の保健師の活用の中で、実際に全国のコーディネーターに保健師がなってい る地域が何箇所かありますね。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 何箇所かは。 ○石渡委員 保健師がコーディネーターになっているのと、そうではない人がコーディネー ターになっているのとは、登録事業場の種類が違うのかどうかがわかれば知りたいのです。 保健師にやりましょうと言っているのですが、なかなか動かないのが実態なので、介護など 医療関連のほうに保健師が入り込める所はあるかと思うのですが、実態がわからないので、 もしわかったら教えていただきたいと思います。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 それは調べられるかどうかわかりませんが、調べます。 ○石渡委員 大雑把でも結構ですので。 ○高田座長 それでは、いまのお話については調べさせていただく。 ○輪島委員 11頁の「産業医と精神科医等のネットワーク」ですが、非常に重要な点だと 思っておりますので、是非連携の推進をお願いしたいと思っています。うつ病が増えている というところで、私どもは休職から治療期間を経て職場復帰をするときの、いわゆる診断書 が上がってきて、そこでどのような職場復帰をするのかを検討するわけですが、得てして診 断書の中に「現職の復帰が可能」とか、「ただしあまりストレスがない所」といった記述が あるわけです。そうなると、どうやって復職を認めたらいいのか苦慮する場面が多いのです。 その点では、人事のほう、企業と主治医の方とお話をしてもなかなか難しい点もあるので、 産業医である精神科の先生と、1,100人と非常に少ないのかもしれませんが、主治医の先生 と連携をとっていただくと、何に注意をしなければいけないのか等々の注意事項も、それな りに教えていただけるのではないかということで、非常に重要だと思っておりますので、是 非推進していただきたいと思います。 ○高田座長 大変いいご意見で、島委員、ご専門の立場からいかがですか。 ○島委員 全般の状況としては、学会に登録している精神科医は1万3,000人ぐらいいて、 最近も総会があったのですが、産業保健に関して関心を持つ先生が増えていますので、徐々 に産業保健とは何ぞやということが広がっていくのだろうと思っています。いまお話があっ たように、地産保に登録している精神科医が間に入るといった構造も確かにあると思います が、追い追い状況は改善していくだろうと思っています。 ○高田座長 それは、先生も是非ご努力をお願いします。 ○島委員 それは行政に後押ししていただければ、より進みやすいと思いますので。  質問なのですが、保健師の活用236人とありますが、これはどのような方なのか、要す るにフリーの保健師はそんなにいないと思うのですが、どのような方が参画しているのかと 思うのです。実態として、いま保健師はメタボの関係でかなり逼迫した需要なので、活用し たいと思ってもなかなかリソースがないのではないかという気もするのです。236人活用し ていただいているので、どのような方が関与しているのかについて、後日データをいただけ ればと思います。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 そこまで詳しいデータはいただいていないのですが、保健師 を活用しているセンターに聞いてみればわかると思いますので、聞いてみたいと思います。 ○島委員 これは保健師でない人、看護師も入っているのですね。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 保健師だけです。 ○島委員 課題のほうに「保健師等」と書いてあるので、必ずしも保健師にとどまらないと いうことでよろしいのですね。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 課題のほうは保健師ではなくて、先ほど言ったようにメタボ 関係では保健師も結構働いているので、それ以外の産業保健スタッフも、活用の仕方はいろ いろあると思いますが、活用できないかと提案はしています。 ○金井労働衛生課長 産業衛生学会の産業看護部会でも、職域保健における保健師活用の促 進を、行政側としてもやってくれという話をしておりますので、産業看護部会のほうからも ご意見を伺った上で、本当に保健師が要るのかどうかも含めて、産業看護部会も看護師の産 業保健に関する養成をやっているので、そういった方たちの動向などをお聞きできればと思 います。 ○高田座長 ありがとうございました。 ○今村委員 お願いなのですが、19頁を見ると、地域産業保健センターに登録されている 精神科医が、県によってものすごく差があるのです。おそらくいまはデータがないと思いま すので、次回にでも教えていただければと思いますが、たくさん登録されている所は相談を 活発にやっているのかどうか。つまりたくさん精神科医が登録されていても、あまりそうい う事業がないのか、それとも人数が多ければそれなりに相談が多いのか、もしわかれば次回 教えていただきたいと思います。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 次回調べてご報告します。 ○島委員 もう1点だけ、産業医と精神科医等とのネットワークの話なのですが、いろいろ な所でこんな試みをしています。精神科医を1人か2人講師として、産業医5〜10人ぐら いで事例検討会をやる所が増えてきているのです。具体的な事例を通じてでないと、なかな か産業保健を理解しにくいということがあるし、逆に産業医の先生も、精神科の診断とはい かなるものかがわからないと思うので、是非そういった交流の場を確保する施策をしていた だけるといいのかなと考えています。 ○金井労働衛生課長 非常に貴重なご意見をありがとうございます。そのようなご指摘もこ れからまとめるように、先ほど部長の挨拶にもありましたように、中間報告をまとめていた だくことになっておりますので、そういったものに盛り込んでいただければと思います。 ○高田座長 ありがとうございました。それでは、時間の関係もありますので、最後の5 番目の課題に入ります。これは地域保健と職域との連携等もあるので、それぞれ地域にあり ますが、「地域保健との連携の現状と課題」です。これは、そこにあるように特にメンタル ヘルス・自殺の問題と地域との関係で、(2)にあるように「地域・職域連携推進協議会の 活用促進」ということで15頁に図があります。16頁に課題として3つ提示しております。 これらについて貴重なご意見をいただければと思います。医師会のほうから、今村委員、お 願いします。 ○今村委員 地域・職域連携協議会については、15頁の図を見ていただいてもわかるので すが、医療圏でものを考えていくと、課題の(2)にもあるように、福祉が全く別の切り分けに なっていて、医療圏と福祉圏がずれている所が結構あるのです。そのために、医療と介護を 一体化、地域でケアと言いつつ、全然そこが合っていない。また労働基準監督署も別になっ ているということで、縦割りの弊害があって、それぞれの都道府県の中でも一緒にしてくだ さいとお願いするのですが、なかなかそれができていないのです。だから、ここで議論して も難しいとは思うのですが、このような仕組みを機能させるためには、きちんときれいに切 り分けないと無理なのだろうと思います。都道府県でこのような会に参加していてつくづく 思ったので、ここでどこまで言えるかということはありますが、それが大きな課題だなと思 っております。  もう1点、医療ということが出てきたので言うのですが、医療計画があって4疾病5事業 ということで、医療機関や医師は自分がどのような役割を、病気なら病気、あるいは事業で 担うかがきちんと法律の中で位置づけられるように。これだけ自殺やメンタルの問題が大き くなっているのであれば、自分は何ができるか。産業医だったら医師なら医師、開業医であ りつつ産業医の資格を持ち、その中で何ができるかを、それぞれが明確に位置づけられるよ うな仕組みを、この分野でできないのかなと思うのです。法律を作るみたいなことで大変な 話なのかもしれませんが、その辺りはいかがでしょうか。 ○高田座長 これは、圓藤委員、そのような問題について日ごろからご主張があるようなの で。 ○圓藤委員 同感です。 ○漆原委員 まさに14頁の課題の(2)にあるように、地域でどのようなものが利用できるか がすぐわかるようなシステムがあれば、連合として相談をやっている所もあるので、情報が 提供されるようなサービスがあれば、こちらも大変ありがたいと思っております。 ○森川様(矢口委員代理) 商工会議所の会員の方の声を聞いていると、いま気になってい るのは人材確保の部分で、それに繋がってくるのはメンタルヘルスの問題です。メンタルヘ ルスの面で病気になった方がいたり、そういったことが出ると、いちばんつらいのはなって しまった労働者であり、その同僚の方であり、その会社になってしまいます。そういった中 で、詳しいデータはまだ取っていないのですが、そのような時にどうしたらいいかわからな いという声が、いくつかの事業場から聞こえてくるので、周知をどのようにしたらいいのか。 その地域で何ができるかという部分で、このようなことができますとか、このような仕組み ができていますとか、このような所に行けば相談ができますといった周知の部分が足りない のかなと思います。そのような部分で、もう少し頑張っていただきたいと感じております。 ○高田座長 関西の商工会議所がこちらの方面で研修を始めていますが、あれはどういうも のですか。東京商工会議所は応援をしていると。 ○森川様(矢口委員代理) 東京商工会議所としては、そういった部分ではまだ力が入れら れていないのですが、いろいろな機運を見て何かできればと感じております。私どもも、ポ スターの設置などですが、お手伝いできることがあればやっていきたいと感じております。 ○高田座長 商工会議所の青年部などで、ドクターが随分いるのです。 ○森川様(矢口委員代理) 私どもも、前年度、社労士の先生等に窓口を設置させていただ いて、企業の方がそこに相談に来られるといったことはやっておりました。中小企業の方も どこに頼っていいかわからないというのが多くて、そういった面で商工会議所に来ることが あるので、どこに相談したらいいのか、誰に話したらいいのか、誰に話せるのかを明確にし ておく必要はあると思います。 ○島委員 メンタルヘルス、自殺に関する社会的資源に関して、ご存じのように各都道府県 で自殺対策協議会を設置して、かなりリストアップはしているのです。東京都の協議会に関 わっているのですが、かなり詳細な資料が作られているので、それを活用すればいいだろう と思っております。 ○高田座長 その資料を、是非、主任労働衛生専門官に差し上げてください。 ○島委員 各都道府県、政令指定都市辺りは大体できているのです。もう1点、これはここ で論議することではないのですが、経営者のケアをどうするかが非常に気になっているとこ ろなのです。東商も当然会員の経営者の方のサポートということになると思います。ここは 労働者について論議する場で、経営者ではないのですが。例えば、文京区で数カ月前に印刷 業者の方が一家心中したという事件がありました。あれについては多少背景を知っているの ですが、非常に零細で、4人か5人ぐらいの規模なのです。ですから、是非経営者及び労働 者をケアするような体制を考えていただければと思っています。 ○高田座長 いま話題が1つ出ましたが、ほかにありませんか。あと次回いつごろやるかと か、打合せ等もしなければならないので、今日事務局のほうで整理をして出していただいた 5つの課題についてご議論をいただき、いいご意見をいただいたので、それを整理して次回 にお諮りしたいと思っております。これを言い忘れたから最後に、ということがあればお願 いします。 ○圓藤委員 全体にわたってですが、最初の開催要綱に労働者数50人未満の小規模事業場 と、(1)で中小企業となっています。小規模事業場イコール中小企業ではないということです ね。すなわち、大企業で分散事業場もある、このごろ分社化が盛んなので資本関係は一緒な のだけれど、会社としては別会社にしているために50人未満になっている所があるのです。 それと純粋な中小企業と、大きく分けて3つに分かれるのではないかと思うのです。その3 つに対しての方策は、同じではないだろうと思うのです。  特に大企業の分散型に関しては、すでに産業医等が選任されていますし、いろいろな体制 はできています。したがって、それを推進する方策でいけるのではないかと思います。資本 関係のある所もそれに準じて、何らかの方策ができるのではないかと思います。すなわち、 地産保が担わなければならない対象がべらぼうに大きすぎて、かつ予算が限られているので、 絞らないと駄目だろうと。絞るのは、純粋な中小の単独企業でいいのではないかと。方策を 3つに分けたほうがいいのではないかと思っております。 ○高田座長 なるほど。いまのご提案で、そのような整理をしたほうがいいのではないかと いうことですが、いかがですか。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 ありがとうございました。いずれこの会で総括産業医等につ いてもご議論をいただきたいと思っていましたので、圓藤委員のおっしゃることはもっとも な視点だと思います。 ○高田座長 ありがとうございました。それでは、事務局のほうから今後の問題等について どのように進めていくか、ご説明をお願いします。 ○中屋敷主任労働衛生専門官 それでは今後のスケジュールについて、ご説明いたします。 先ほど鶴田部長の挨拶にもあったように、今回皆様方にご検討いただいている事項のうち、 至急対応したほうがいいと思うものについては、平成21年度の予算要求などに反映してい きたいと考えておりますので、今回を含めた3回で中間報告の形で一応の結論をいただきた いと考えています。4回目以降は、さらに議論を深める必要がある項目について、さらに議 論を深めていただこうと考えております。先ほど圓藤委員からもあったように、地域におけ る産業医による産業保健サービスの提供のところで、総括産業医などのご議論もいただきた いと思っておりますので、その検討に移っていきたいと考えております。  そのようなことで、3回目までは1カ月置きぐらいに開きたいということもあり、各先生 方の日程を事前に聞いておりますが、皆さん非常に忙しくて、全員都合がいい日がないので、 いちばん出席の方が多い日を申し上げます。バツの付いている方もいらっしゃいますが、ご 了解いただきたいと思います。第2回目の候補日が7月7日(月)の1時から、第3回目の 候補日が8月6日(水)の3時からです。場所はいまから探して通知します。特に7月7 日は、すでにバツを付けていらっしゃる先生方について無視している感じがしますが、ご了 解いただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○高田座長 繰り返しますが、7月7日(月)の1時から3時です。8月6日は全員の先生 方が都合がいいようですので、この日は予算要求の問題が出ますので、全員ご参加いただい てまとめていきたいと思います。4回目以降はまた日程を調整しますので、そのような運び 方でいきたいと思います。どうぞご協力をお願いします。  座長としてはいまのようなことですが、事務局から何かありますか。よろしいですか。な ければ、以上です。今日はどうもありがとうございました。 照会先:労働基準局安全衛生部労働衛生課 電話03-5253-1111(内線5496)