08/06/02 第7回看護基礎教育のあり方に関する懇談会議事録      第7回 看護基礎教育のあり方に関する懇談会 日時  平成20年6月2日(月)13:00〜 場所  厚労省専用第22会議室(18階) 委員  井部俊子、尾形裕也、梶本章、田中滋、寺田盛紀、矢崎義雄(敬称略 五十音順) ○島田補佐 定刻になりましたので、ただいまより「看護基礎教育のあり方に関する懇談 会第7回」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、ご多忙中にもかかわらず ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。  まず議事に入ります前に、1点ご案内を申し上げます。本年も昨年同様6月1日から9月 30日まで、地球温暖化防止と省エネルギー対策としてクールビズという期間を定めており まして、軽装を励行することにしておりますので、出席の委員の先生方、そして懇談会に 出席の皆様には、ご理解を賜りますようよろしくお願いします。それでは、田中座長よろ しくお願いします。 ○田中座長 皆さんこんにちは。クールビズは誘いかけであって、国家はそういうことを 絶対に強制してはいけない。私はダンディズムの観点から絶対に従いたくない。大体ネク タイを外すと温度が下がるという因果はないですからね。冷房をきつくしないとの政策は 大変正しいと思うし、クールビズを実行する態度も尊重しますが。ということで各自勝手 な格好をいたしましょう。  本日は私も含めて、委員の皆様からのプレゼンテーションを行っていただきます。前回 までは、5回にわたり有識者の方々からさまざまなヒアリングを受けました。将来求められ る看護師像や看護師に求められる資質、またそのための教育についてご提言をいただいた 私たちが、今日は自分の意見を述べてみたいと思います。では、事務局から進め方につい て、説明をお願いします。 ○小野対策官 それでは、本日はまず最初にお一人10分程度で、先生方皆様にプレゼンテ ーションをしていただいた後に、意見交換などを行いたいと思います。恐縮ですが、順番 は五十音順とさせていただきまして、井部委員、尾形委員、梶本委員、寺田委員、矢崎委 員、最後に田中座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○田中座長 10分で納まらないと時間が足りなくなりますので、何とかよろしくお願いし ます。では、井部委員からどうぞ。 ○井部委員 私の資料は1枚だけですので、ご覧ください。最初に一箇所だけ訂正をお願 いします。下から3行目の所にKnowing-thatが2つ出てきますが、下から3行目は Knowing-howですので、そこだけ訂正をお願いします。  まず最初に、看護基礎教育の定義をしておきたいと思います。これは「看護基礎教育の 充実に関する検討会」報告書で定義されていたことですが、看護基礎教育は、免許取得前 に習得しておく必要のある知識・技術を教育するとともに、免許取得後も将来にわたり看 護職員として成長していくための基礎的な素養を身に付けることを主眼にした教育、とい うように説明されています。それがまず基本的な前提というふうに捉えました。  もう1点は、日本国憲法第25条に、国はすべての生活場面において社会福祉、社会保障 及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならないという文言がありまして、こうした 社会保障の一環を担う財としての看護サービス、公共性があるということを考えておかな ければならないと思います。  まず1番目が中長期未来で、この懇談会が目指しているおよそ20年後の看護職を取巻く 環境について予測してみたいと思います。これはヒアリングでも多くの方が語られている ことですが、まず人口構造の変化ということです。少子化とともに18歳人口の減少が示さ れています。このことは看護師の確保や、あるいは確保が潤沢にはできない可能性がある ということと、したがって看護師になった方の定着が非常に重要であると考えます。18歳 がすべて看護師にはなれないわけでありまして、少子化の時代における看護師は、力のあ る人たちが継続して仕事をすることが求められると思います。  もう1つは、高齢化です。高齢化は多くの方が亡くなるという多死の時代ということで す。長寿を全うする人々を支える保健医療福祉システムの基盤を作らなければならないと いうことです。私は、医師と看護職の価値観は異なるのではないかと思っておりますが、 看護職、あるいは看護師が持っている価値観が主流になってくるのではないか、価値観の 変容が起こるのではないかというふうに思っています。安らかな死への援助、これは死は 敗北であるといったような考え方ではなくて、生活の延長線上にある安らかな死というも のの手助け、もしくはケアをどうするかということが、高齢化の社会では非常に重要にな ると思います。  2つ目は、科学技術の進歩がどれほど加速するかはわかりませんが、いずれにしても医療 の高度化・複雑化は継続していくか、あるいはもう少し右肩上がりになる可能性がありま す。こうした中で安全性を確保して、科学技術の進歩の中で安全に医療や看護を提供する ことが、非常に大きな要素になると思います。  経済状況がどうなるかということですが、そんなに医療費に多くの国家予算を割くとは、 もっと割いてほしいとは思いますが、その分配がどうなるかということや、それによって 医療制度や介護制度が非常によくなるかどうかというのは、何とも言えない状況であると 思います。一定の限界の中で、仕事をしなければならないと思います。  もう1つは、ひとびとの暮らしや価値観です。私は、先日「人生85年時代ビジョン懇談 会の報告書」を読みまして、なかなか面白かったのですが、これからは文明の恩恵を受け るというよりも、江戸時代の隠居暮らしが推薦されておりまして、健康ニーズの多様化、 あるいは個別化・個性化といったようなものが顕著になるのではないかと思います。  こうした中で看護師に求められる資質ですが、これはこれまでのヒアリング、あるいは 自分の考えを入れてまとめました。1つは科学的な思考と表現力が、必要であると思います。 これには知識・技術、あるいは技能を学習することで、基礎学力と看護の専門性、看護の 知識体系をどうするかと、ここが非常に大きなところですが、基礎学力の中に、例えば哲 学やケア学といったような基本になる基礎学力だけではなくて、物理や数学といったもの が必要だと思います。コミュニケーション能力と、「分析」してそれを「統合」するといっ たような科学的な思考が、非常に求められると思います。  2つ目は、倫理的な判断力です。これに基づいて知識や技術を使う能力を修得しなければ ならないわけでありまして、ここには責任とか正義、あるいは分配の問題などを含む、倫 理的なことを考えなければなりません。さらに、先見性といったようなものも必要になっ てくると思います。  3つ目は創造性です。これには豊かな創造力が重要であると思いますので、人間の理解や 臨機応変さといったような資質も、求められると思います。  この3つは、中山先生のヒアリングに出てきた内容ですが、付け加えたいのは、生涯に わたる主体的な自己学習の継続といったようなことが重要であると思います。基礎的な知 識だけではすぐに限界になりますので、生涯にわたって学習を継続することが重要である ことや、鷲田先生がおっしゃっていましたが、「人としての成熟」が求められると思います。 人生の理解とか、あのときは塩梅というような説明がありました。あるいは自己コントロ ールといったようなことからしましても、人としての成熟が求められると思います。  3番目は、看護基礎教育の骨格です。Knowing that as Education、Knowing how as Training が中山先生のところで出てきましたが、つまりKnowing that as Educationで大学教育を きちんと行うことと、Knowing howのために卒後臨床研修がきちんと位置づけられていかな ければならないと思います。その点では指定のカリキュラムの最小化と、大学の個性化に 私は同意するものでありまして、魅力ある看護教育をするために、金太郎飴のような教育 カリキュラムではないほうがいいと思うことと、国家試験による保証は、今後ますます重 要であると思います。国家試験の方法やあり方については、今後検討していく必要性があ ると思います。以上が私の説明です。 ○田中座長 井部委員、ありがとうございました。委員同士の質疑は、一通り発表が終わ ってからにします。では、尾形委員お願いします。 ○尾形委員 それでは、私から発表します。10分という限られた時間であること、それか ら本格的な意見交換は今日が初めてということでもありますので、全体の言ってみればフ レームワークのようなことについてお話をしようかと思っています。資料はお手元のパワ ーポイントで、これはこちらに出ているパワーポイントと同じものです。あと10枚ほどの ワードの資料が付いていますが、これは参考資料ということで、後ほどお話したいと思い ます。昨晩急いで作ったものですから、文字どおり一夜漬ですので、変な所もいろいろあ ると思いますが、ご容赦いただきたいと思います。  お話したいのは、いま言いましたように全体のフレームワークということで、3点ぐらい お話をしたいと思います。1つは需要・供給両面からアプローチをしていく必要があるので はないかということです。2番目は、この問題全体のタイムフレームというか、時間軸をど う設定するのかといったようなところを、議論する必要があるのではないか。3点目は実際 にいろいろ改革をしていくということになったときに、またあとで申し上げますが、いわ ゆるPDCAサイクルというものを考えていく必要があるのではないかということを、お話し たいと思います。  まず、需要・供給両面からのアプローチの必要性です。まず需要面、看護に対する需要 を考えると、これもいろいろな考え方があろうかと思いますが、少なくとも2つぐらいの 局面があると思います。1つはここに書いてありますように、まさに最終需要、看護サービ スの受け手である患者、あるいは一般国民の立場から看護に何を期待するのかということ です。これについては前回辻本理事長のお話等もあったところですが、まずそういうとこ ろをしっかり押さえる必要があると思います。  それと並んで、言ってみれば最終需要ではなくて中間需要なのかもしれませんが、看護 職を雇用するという立場からの要請があると思います。この中にある医療機関については、 前々回でしょうか、全日本病院協会、あるいは日本医師会からお話を伺ったところです。 それに加えて保険者、あるいは行政、特に保健師の方等はこのような職業に就く場合が多 いと思いますので、そういう雇用をする側から一体看護に何を期待するのかということと、 2つの局面があると思います。  次に質量両面で現在の看護に欠けているものは何なのか、看護基礎教育のどこが問題な のかということを、需要面から整理をしていくということがあると思っています。  供給面は、ここでは2つに一応分けて考えています。まず最初は需要面のいわば裏返し になるわけですが、看護サービスをどのように提供していくかということです。ただいま 井部委員からお話があったことと重なりますが、医療の高度化、あるいは少子高齢化、ひ とびとの価値観の変化、医療制度改革等の中で、提供する看護の内容の変化をどう考える かということです。これについての私自身の考えについては、あとで参考資料のほうでお 話したいと思います。  もう1つの供給面の側面としては、そもそも看護職員の確保ということで、優秀な看護 学生をどうやって確保していくかという問題です。これも言ってみれば供給の入口の部分 の話だろうと思います。これについては少子化、あるいは高学歴化、男女共同参画社会と いった中で、質量両面での看護職員の確保をどう考えるか。まさに優秀な看護学生の確保 と、充実して魅力ある看護基礎教育を、どう実施していくかということだろうと思います。  この際に留意しなければいけないのは、これは1つ私の言葉ですが、従来の看護職養成 というのは大量生産・大量消費と、ちょっと言葉は悪いですが、そういう構造があったの ではないかと思います。いまは130万人ぐらい働いていらっしゃる一方で、55万とか言わ れるような大量の潜在看護職員を生み出している。こういう非常に非効率的なやり方とい うのは、もう限界にきているのだろうと思います。いずれにしても、こういったところか らの脱却ということが、1つ重要な留意点ではないかと思います。以上が需要・供給です。  2番目としては、時間軸をどう設定するのかということです。もちろんこの懇談会自身は 中長期的な見通しを考えるということなのですが、どの程度の中長期を見通すのかという ことです。これについてはいろいろな考え方があろうかと思いますが、よく出てくる議論 としては、少子高齢化の進行、あるいは人口構造変化との関連で、いわゆる高齢化のピー クをどう考えるかといったような議論が1つです。  いちばん短いところでは、例えば団塊の世代が65歳以上になる2015年という数字が出 てきますし、あるいは2025年といったようなことが、ここで出てこようかと思います。  医療制度改革等に最近は大きな動きがあるわけですが、それとの整合性ということでい うと、例えば2006年の医療制度構造改革では、2025年度が将来の医療費の給付費ベースで すが、予測としては2025年度が目標年度になっていましたので、その辺との整合性をどう 考えるか、という視点もあろうかと思います。  また、もう少し、教育のあり方ということで考えると、もっと長いタイムフレームがあ るのではないか、という考え方もあります。教育の安定性、継続性という観点から考える と、もう少し中長期という考え方もあろうかと思います。  最後にPDCAサイクルの設定ということですが、もうPDCAサイクルについては皆様はご 存じかと思います。最近特に民間のプロジェクトや事業では当然のことですが、公のいろ いろな計画や事業についても、PDCAサイクルをきちんと回すようにすべきだという議論が、 よく行われています。田中座長と私も参加しました医療計画の今回の見直しで、まさにPDCA サイクルをどのように導入するかというのが、最大の論点の一つとなりました。  看護の基礎教育のあり方を考えるに当たっても、やはりこういった考え方を少し取り入 れるべきではないかと思っています。どういうことかといいますと、最初にPDCAサイクル のプランですが、そもそも仮にある改革を行うとしたら、その基本的構造をどう考えるか。 そこに書いてありますように、政策目的と政策手段の間の整合性を図る必要がある。いわ ゆるエビデンスを、きちんとそこで確保しておく必要がある。  あくまでもここで中心的に論ずるのは看護の基礎教育のあり方ですから、もちろん卒後 研修であるとか看護業務範囲の見直し等、関連する分野は多々あるわけですが、それとの 関連を意識しつつも、看護の基礎教育で対応すべき課題というのはどういう部分なのかと いう辺りについては、少し絞った議論が必要だと思います。  Do、実行の局面ですが、具体的な改革を仮に行っていくとしたときに、それをどのよう に実行していくのか。実施の手順や誰が実施するのか。実施主体の権限と責務、あるいは どのようにそれを促進していくのか、あるいは非常に大きな改革を行うのであれば経過措 置をどう考えるのかといったことは、予め考えておく必要があるだろうと思います。そう いう実行面の話が、もう1つです。  最後の頁は、Checkです。医療計画でもそうだったのですが、Plan、Doというところま では普通大体何らかの形でやっているのですが、いちばん欠けているのはCheck、次に Actionというところでありまして、これはまさに政策評価の視点、測定指標をどう設定す るかということです。  そこに英語で書いてあるYou cannot improve what you cannot measure.というのは、よ く使われる表現です。最近カナダの医療制度改革のドキュメントを読んでいたらこういう 言葉が出てきたのですが、まさに測定できないものは改善できないということで、何をど う改善しようとしているのか、どういう指標を持って改善したと言えるのかというところ は、常に意識していく必要があるだろうと思います。誰が評価をするのかという評価主体 の問題、それから評価時点といった問題は、Checkには伴うと思います。  最後にActionにはちょっときついことを書きましたが、従来の公、あるいは役所という のは「無謬性神話」、つまり絶対に間違えないのだということできたわけですが、裏返すと、 それは間違えると責任追及が直ちにくる。その結果、絶対間違えないのだという、一種の 悪循環に陥っていたのだろうと思います。そういう意味で、PDCAサイクルというのはまさ に最後に書いてありますように、過ちを改めるに憚ることなかれでありまして、ある時点 で1回Checkをして、さらに改善すべきところは改善する、そういう仕組を是非入れてい ただきたいと思います。  以上ですが、あと参考資料として、お手元に10枚ほどの「医療制度改革と看護への期待」 というものをお配りしてあります。これは昨年の12月に、日本看護科学学会の学術集会で 特別講演をしまして、そのときにこういうテーマで、まさに今日お話することにかかわっ ていると思いましたので、医療制度改革と看護への期待ということで、お話をしたもので す。あとでこれはお読みいただきたいと思いますが、全体としては医療制度改革、特に医 療提供体制がどう変わろうとしているのかという辺りを3つの点から整理をし、そして最 後に8頁以降に看護への期待ということで、5点ほど私なりの考え方を提示したつもりです。 時間が長くなりますので、この説明については省略させていただきます。 ○田中座長 講演録、論文付きでありがとうございました。続きまして梶本委員よろしく お願いします。 ○梶本委員 私のレジュメは2枚ですが、報告書をまとめなければいけないということで、 どういうことを書かなければいけないのかを念頭に整理してみました。  まずいちばん最初は、この懇談会が一体何を求められているのかという点をもう1回確 認しておこうという趣旨です。この懇談会の前にあった「看護基礎教育の充実に関する検 討会」の報告書を簡単にまとめたレジュメ文書には「看護基礎教育の方法や内容、期間に ついては、我が国社会と保健医療福祉制度の長期的な変革の方向と、将来を見渡す観点か ら望ましい教育のあり方に関する抜本的な検討を早急にする」と書いてあります。我々の 懇談会はこれを受けたものですので、我々が考えなければいけないテーマはこの文言に示 されていることなのだろうと理解をしました。  もう1つ、当懇談会の趣意書の中の懇談内容という箇所に、「少子・高齢化等を踏まえた 看護と看護職員に求められる資質およびそうした資質の看護職員を養成していく上での看 護基礎教育の充実の方向性についての論点整理」をしろと書かれています。そこで私の受 け止め方ですが、中長的な我が国の社会・医療状況と、看護に求められる資質や技能、そ のために目指すべきこれからの看護基礎教育のあり方を論点整理すると、ということが当 懇談会に求められ、その報告書を作らなければいけないと理解し、それに沿って、論点を まとめてみました。  まず時間軸については、単純に20年後という形で、その辺を中長期の目安と見ておいた らいいのではないかということです。そこで20年後の医療と社会はどうなっているかとい うことですが、これは細かいことはわからないわけですが、いまの現状からみて大体こう いうことであろうということで、(1)から(6)のキーワードを並べました。皆さんとだいたい 共通していると思います。  次に看護職に求められているということも(1)から(6)まで並べてみました。いままで専門 の方々のヒアリングをして、なるほどなと思ったことです。そのために看護教育のあり方、 要するに看護基礎教育でどういうことが必要になるのかということで、これは基礎教育だ けではないのですが7点あり、こういうことが教育に求められているのだろうと思います。 ここまではそんなに皆さん方と意見は違わないのではないのでしょうか。  例えば基礎医学、基礎看護学などの充実をしなければいけない、あるいは病院や在宅医 療に必要な専門教育をもっと進めなければいけない、コミュニケーション能力を中心とし た人間力の涵養、こういうことは大体看護基礎教育の中に求められる。もっともっとこれ を充実させていかなければいけないということだと思います。  私は看護実習の増加をあえて書いたのですが、看護師さんは実際に患者さん、あるいは お医者さんと向き合いながらいろいろな仕事をしていくので、実習が非常に大事だろうと 思います。ところがいま、いろいろな教科が増えて、実習の部分を食って座学の教科が増 えているような話があったので、ここのところはもっと重視しなければいけないと思い、 強調しておきました。この辺までは、そんなに委員の間に大きな意見の差はないような気 がしているのですが、こうした基礎教育を実現するためには、実習を含めて3年で修得す るのは難しいだろう。やはりこれからは、4年制大学を目指していくことが妥当であろうと 指摘してあります。ただ、この問題に立ち入ると、以下の問題について具体的な方向を明 示しなければ簡単には移っていけませんねということで、5点ばかり問題点を挙げておきま した。  今回の報告書は、最初に示したテーマからいってそこまでは踏み込む必要はないし、ま た、きちんとした論議はしていないのです。ただ、看護基礎教育の充実に関する検討会の 報告書があって、今度我々の懇談会の報告書があって、次にたぶんまたこういう場が出来 るのだと思うのですが、そこではこの問題はきちんと論議した上で、看護基礎教育の内容、 方法、期間について結論を出さなければいけないということで、当懇談会としては次の課 題を掲げ、報告書に盛り込んでおいたほうが、次の人が議論しやすいだろうということで、 5点ほど並べておきました。  その1つは、准看護師の問題をどうするかということです。これまでの議論というのは、 看護の基礎教育をレベルアップしていかなければいけない。そのためには、おそらく3年 では間に合わないだろう。私は4年が妥当だろうと思うのですが、そういうことに具体的 に踏み出すにあたって、いまの看護の世界の中で、実際に存在している准看護師の問題を どうするのかということを放置したまま、片一方は大学化で基礎教育を充実させる、もう 片一方の准看護師は固定しておく、つまり看護師の二層構造をそのまま固定していくよう なことになると、これはたぶん一般の理解を得られないだろうということです。したがっ て私は、いまの准看護師の業務はできるようにするが、今後は養成していく必要はないの ではないかと思いますが、そこをどうするかということを検討する必要があるということ を、問題提起しておいたほうがいいのではないか。  2つ目は、移行過程をどう考えるかということです。ここで皆さん方の報告を聞かせてい ただいて、4年制の大学の方が学校数、生徒数とも伸びている。全体のトレンド、傾向は4 年制の大学のほうに進んでいる。これを久常さんはもっと早めろと言うわけですし、ある いは放っておいてもいまの流れに任せてもいいという意見もあるし、あるいはあえて社会 人から看護師になりたいという人のために、つまり、早く技能を修得して、早く病院で働 きたいという人のために3年制のコースを一部残しておく必要があるのか。そのような移 行過程をどう考えるかということが、非常に重要な次のテーマになってくるのではないか と思います。  3つ目はコスト問題です。いま、4年制の大学が増えているのは自然の流れで、大きなト レンドとしてそうなっていっているわけですが、しかし自然の流れに任しておけば、従来 の養成所がすべて大学としての認可に必要な教職員を増やし大学化するのかどうか、これ はハッキリしない。また、教育を受ける側が払うコストの問題もある。3年で看護師の資格 を取って病院に勤務したいという人もかなりたくさんいると思いますので、そういう人の ニーズにどう応えるかということもある。つまり、看護教育を3年から4年に延ばしてい くと、全体としてカネ、時間、あるいは資源を今までより多く使うことになるので、その コストをどうするのか。教育側にも生徒の側にも、医療全体にもコストがかかるが、これ をどうするのかということを整理しなければいけないでしょう。  4つ目は保健師・助産師の養成課程をどうするのかということです。現在の4年制の大 学は3年の看護師と1年の保健師、助産師の免許取得というのが大学としての認可要件に なっていると聞きましたが、全体を4年制にすると、この形式をそのまま踏襲するのかど うかと。久常さんは、要するに看護師の4年の大学を作るのだということで、いまのよう な3プラス1の4年制にはしない、それは希望しないとおっしゃっていました。そうする と、保健師とか助産師の養成課程を今後どう位置づけていくのか。大学から押し上げて大 学院の中で扱うのか、それとも4年の中で専門の看護師のコースと看護師の免許を取った うえでの保健師、あるいは助産師のコースというように3つのコースを作るのかとか、そ の辺もこれから考えなければいけないと思います。  5つ目に、医療関係者の合意が必要であろうと思います。病院の方々、あるいは開業医の 方々のご意見を聞くと、4年制は否定しないが、まず3年制の中で何ができるかをもっと考 えてくれというようなご意見もありました。全体として合意形成が図れるのか。このよう な問題を解決した上でないと、次になかなか進んでいかないと思います。  我々は、看護教育のあり方までは大体合意できると思いますが、それから先については、 こういう問題があるのだということを認識した上で次に引き継いだらどうかと、というの が私の考えです。 ○田中座長 答えとして出せるところと課題として提起するところは、分けていただきま した。ありがとうございました。 ○梶本委員 課題としての報告は、以上です。 ○田中座長 それでは寺田委員お願いいたします。 ○寺田委員 この懇談会の検討事項として記載されていることをよく飲み込めてないのか、 つまり具体的な意見に関することを書いてしまったなという反省があります。決して固定 的ではありませんので、今後いろいろ勉強させていただきながら、より幅広く考えていき たいと思います。全部しゃべっていると、時間が超過しますので、1番目についてはさらっ と、ということで、主に2番目、3番目を中心にお話したいと思います。  1番目については、看護師養成の在り方を検討する、あるいは改善する必要があるとすれ ばどういった点の検討が課題になるのかということを、私なりに養成の量質の面での変化、 問題があるとすればそれにどう対応するか。(2)のほうは、看護師のデマケーションに変更 の必要があるのかどうか。あるとすればどういうことが問題になるのか枠組み的なことが 書いてあります。  2番目の養成制度の在り方ですが、いまお話のように4年制化の話がずっとあって、いろ いろ考えてまいりましたけれども、一般的に生徒・国民の高学歴志向、あるいはよく言わ れるように医療技術、看護技術の高度化が進んでいるという中で、身に付けるべき知識・ スキルも当然増大していると考えられますので、その方向を向くということは、自然の趨 勢だろうと思います。ただし、医療現場のニーズといいますか、後ほども申しますけれど も、とりわけ患者、国民がどういったことを看護師に対して要望しているのかというニー ズ、これはポイントになるのではないかと思いますので、医療現場のニーズをより実証的 に検討して、計画的に大学化を進めていくということだろうと思います。ただし、一律4 年制化ということに関しては、少しどうなのかという疑問があります。どういうことが本 筋なのか。おそらく教育の時間の問題が大きいのかなと私としては思っております。  具体的なことですけれども、ヒアリングを通して特にイギリス、アメリカであるとか、 アングロサクソン系の国の看護師養成制度について若干紹介いただきました。私はたまた まドイツの職業教育を比較的よく調べてきたというようなことがあって、この国の制度と いうのは、ゲルマン・モデルといいますか、世界の中では職業教育としては1つのモデル になるということで、ドイツについてもちょっと調べてみました。(2)のところですが、い ま言いますように合衆国・英国です。英国の場合は3年制のようですが、ドイツのように3 年制の後期中等教育段階で、実技中心の養成を行っている国もある。ただし2004年以降、 かつてのようなKrankenschwesterというような言い方から、保健・疾病ケア専門師といっ た言い方に変わってきているということがありまして、それぞれの国の進め方というのは いろいろなのだなと思います。いずれの場合も、後ほど矢崎委員が触れられるのでしょう かね、階層化という言葉を使っておられたのでしょうか。いろいろなキャリアパスがあっ て、スキルの水準に応じたいくつかの職階といいますか、こういったことがあると思いま す。  (3)のところですが、一部だけあるいはすべてをバッチェラーレベルとしないという理由 が、一体どこにあるのかということですけれども、おそらく看護職に求められる、より技 術的・実践的な資質の問題、さらにそういったことを身に付ける上での適時性といいます か、そういったことを職業教育として考えておく必要があると思います。  次の頁ですが、患者、国民サイドに立って考えれば、看護師に求めるものは、しっかり とした医療知識、看護知識の基礎の上に、実践力の優れた、また人間の生命や心にしっか りと寄り添えるという言葉を使いましたけれども、そういう「医療ケアの専門家」だろう と私なりに思います。しかし、高等教育化が進む内外の職業教育全体の動向も考えますと、 これは文部科学省に私は再三提案しているのですが、看護師養成だけでなくて、一般の工 業系、商業系等々の職業教育も、従来は高等学校レベルだけでしたけれども、それにプラ スして、高等教育とつなげていくというような動き。しかもこれが世界的な動きになって いるということで、ただし必ずしもデュピュロマバッチェラーということではない。一般 大学とは基準だとか性格が異なった2年制から3年制、あるいは場合によっては4年制の 職業大学、あるいは専門大学、こういったものの法制化、制度化し、その中に看護師養成 を位置づけることができないのかと思います。  准看護師、高校の看護科については、長期的に見れば(2)のほうですが、現在の高校・専 攻科の5年間一貫のシステムに漸次的にシフトしていくということで、当面正看護師に至 るキャリアパスを残しておくべきだろうと思います。  教員の養成の問題です。教育学あるいは大学教員をしている者として、一度意見を出さ せていただきましたが、いくつか提案をしたいと思います。どうも看護学校、看護大学の 先生方は、看護大学はそうではないかもしれませんが、看護師経験者に限定されている嫌 いがあります。教員配置基準養成規則を見直していく必要があるのではないか。教員の専 門性というのは、科目の専門性によりますので、そういった観点からの配置が必要なので はないかと思います。看護師経験者が看護師養成所、学校の教員になる場合に、教育学、 心理学等のいわゆる教職の専門的課程の履修について、ある基準によると、大学で4単位 程度履修すればいいとなっているようですけれども、それは教職課程・教員養成とはかな り言いにくいというふうに思います。一般学校教師の場合、ご存じのように、最低19、20 単位以上の教職科目を履修するということがありますので、そういった点での補強という こともあってもいいのではないかと思います。  先ほどの看護師養成も含む職業専門大学構想との関連で触れなければならないのは、既 にたくさんある看護大学の問題ですけれども、これについては看護師のリーダー、あるい は看護教員養成機関として、場合によっては、大学院の部分を強化するというようなこと も含めて、特化しても良いのではないかと思います。  最後にカリキュラムについてですが、職業教育のどの分野も高学歴化、あるいは技術革 新の展開等の影響で、知識の部分が増えてきているということがあります。ただ、実習が 日本の場合は1,000時間で、かなり少ないような気がします。ドイツの例を挙げています けれども、やはり職業系の養成課程の場合は、実技を中心に据えていくということなのだ ろうと思いますので、ここでの格段の検討が必要ではないか。ただし、現状の枠ではなか なか難しいので、やはり授業時間全体の増、あるいは年限の問題に関連せざるを得ないと 思います。  統合カリキュラムが非常にいま進められているわけですけれども、この点についてはほ どほどにという言い方をしてみたいと思います。まずやはり個々の専門の知識・スキル、 あるいはコンピテンシー、あるいは看護倫理、こういったことをきちんとして、そのうえ でまとめの段階として、統合カリキュラムを位置づけるというのが本筋だろうと思います。  (4)のところですが、先ほどのお話にもありましたが、看護師に求められる資質形成、こ れを数年間の基礎教育のところだけで決着をつけてしまうということは、現実的にも無理 ですので、長い看護師キャリアの形成の中で考えていく、その中の基礎の部分と、継続教 育のところで図るべき課題というように分けて考えていくのが必要ではないかと思います。  全般的に今回の懇談会で、看護に直接携わっておられる方の話を中心にいろいろ聞いて まいりましたけれども、医師だとか、一般の職員の方、あるいは看護補助者の方々との職 務分担といいますか、こういった方々がどのように看護師のことを考えているのかという ことも、今後勉強し、さらにこういう問題について教育学・心理学等の研究との協同を強 めながら、基礎教育のあり方の提案を期待したいと思います。以上です。 ○田中座長 ありがとうございました。職業教育の専門の立場から意見をいただきました。 続きまして矢崎先生お願いします。 ○矢崎委員 前回50音順で意見を述べてもらうということで、いちばん最後になると、子 ども時代は予防注射とか、成績を渡してもらうときに、いちばん最後で、いつもどきどき 最後までしていると。せめて井部とか尾形さんというふうなことになればよかったという ふうに、子ども時代思っていました。こういう議論になりますと、基本的なことは皆さん 議論されるので、私は最後だと非常に自己中というのですかね、自分中心的な自論を展開 させていただきたいと思います。したがいまして論点メモも簡単にして出しました。ご議 論がありましたように、いま医療の質と安全が厳しく求められている中にあって、チーム 医療の要となる看護職のあり方が今後ますます重要になるし、問われると思います。即ち、 人口の高齢化と医療が高度、先進化する中で、看護師の質をいかに確保するかが大きな課 題になるかと思います。このような状況の中で、主に看護師養成の役割をいままで担って いた養成校の役割を、今後どのように位置づけるかということが問題になると思います。 これは基礎看護教育とは全然関係ないので申し訳ありません。先ほど申し上げましたよう に、私は国立病院機構におりまして、100以上あった旧来の養成校を集約して41校の大型 化にしました。それを今後どうするかというのが、いちばん大きな関心ごとであります。 医療の進歩とともに、看護師として知るべき知識、あるいは体験、習得すべき技術などが ますます増加している中で、従来の基礎看護教育のカリキュラムの中で、その習得がどん どん困難になっているのではないか。また、実習の時間が極端に現実には短縮されている ということを、ヒアリングの方々からお聞きしてよくわかりました。  一方若い女性の向学心が向上しまして、看護教育は4年制の大学でという傾向が強く、 養成校の志望者数が年々減少している。我々のところでも、成績のいい大学に行かれてし まうというところがあります。しかし、他方では、現在大半が3年制の養成校出身の看護 師さんが、医療の現場で立派に職務を遂行されておられますので、課題とされている離職 率も、他職種、特にサービス業に比べれば、むしろ低いのではないかというご議論もあり ました。  そこでヒアリングをお聞きし、いろいろな方と議論を重ねた結果、先ほど申しましたよ うに、私どもが41校に集約した国立病院機構の養成校のあり方での分析を加えて、私なり に考えますと、将来看護教育は4年制の大学で行う方向に位置づけるべきではないかと考 えます。しかし、それには現実的に条件がいくつかあります。それは先ほど指摘されたと おりで、養成校を大学化した場合に、コストの負担、インフラ整備のための教員を含めた 人材、あるいは財政的な資源をどうするかということです。  もう1つはスケールの問題があって、いま400校あって2万人の卒業生が養成校を出て いく。これをすべて大学院化することは現実的に可能であるかどうかということです。ち なみに、医学校は昭和42年から十数年かけて定員を4000名から8000名に倍にしたのです。 当初は新設校の国家試験の合格率が50%そこそこという、大変厳しい時代がありまして、 20年ぐらい経ってようやく格差がなくなったということです。それよりもはるかにスケー ルの大きな養成校の大学化で、今後具体的にどう進めたらいいかということがあります。  それから、ヒアリングのときしばしば申し上げた、(3年教育+1年実習)というコースを 考えられないか。先ほど寺田先生がおっしゃられたように、例えば、大学教育であればス テップワンみたいな試験をして、実地実習ができるような資格を与えて、もっと、どんど ん実習をしていただくような施設を入れなければ無理ではないか。それから、しばしば耳 にするのは、看護師さんとしての業務にいちばん大事な療養の世話、という部分をしっか り身に付けた看護師さんが、4年制で教育できるかということも聞きました。この会では、 看護の方々から、4年制でもっときっちりできるという話を伺ったので、これは実現できる のではないかと思います。  もう1つ。私どもがヒアリングや名病院長からお聞きするのは、養成校というのは、医 療施設が独自で作って、手塩にかけて看護師さんを育てて、その病院あるいは医療施設に 就職していただくということで、いままで養成校が担ってきたのですが、大学化にすると 競争原理になって、卒業生が自校の施設に就職してくれないのではないか。極めてローカ ルな利益相反の課題があるのです。私は率先して就職するような環境を、病院で実習のと きにしっかりやるのがいいのだと言っていますが、現実問題として、我々のところはある 程度できるかもしれませんが、多くの医療施設で、本当にできるかどうかということが問 題になります。それから准看の問題ですが、これはヒアリングのときに申し上げたように、 2年間で看護資格を取るのだったら、学士入学の制度でやられたらどうですかということで、 いまも准看の制度を廃止というよりは、自然にそういう方向になるのではないかと期待し ています。  看護師さんの業務ですが、基本は療養の世話という大きな大前提がありますが、その上 にこれからは医学の進歩で、治す医療と支える医療と言われていますけれども、急性期、 慢性期の在宅医療に関して、やはり看護師さんでもいろいろ業務分担というのを考えても いいのではないかということがあります。業務分担の明確化ということと、レジスタード ナースとか、ナースプラクティショナーとか外国にあるように、そういう資格があっても いいのではないか。それを取り入れるのにどうしたらいいか。しかしポイントは、看護師 さんに一生懸命そういう資格を作っていただいても、それを処遇する体制がなければやは りインセンティブが得られないと思います。それには田中先生にお願いして、病院運営は 本来なら労働集約型で、尾形先生もおっしゃっていますけれども、外国の大きな病院では、 人件費率が85%、90%あるのです。なぜか日本では病院の人件費率は50%以下にしなくて はいけないという、労働倹約型の病院運営をしていると。それを考え直さない限り、看護 師さんの処遇は改善されないのではないか。医師の処遇も改善されないと。そこを言いた いのですが、この場ですから看護師さんの処遇も変わらないのではないか。ここを抜本的 に変えていただきたい。初めのころは梶本委員がスキルミックスでと言われていたのが、 今日のメモには何もないので、なくなったのかなと思いました。しかし看護師さん自身が そうなっても、病院で働ける現場を作らない限り、それだけの処遇を与えない限り、机上 の空論になるので、田中先生には、機会を捉えていただければ大変ありがたいと思います。 ○田中座長 ありがとうございました。別な懇談会での発言までありました。座長はいま まであまりしゃべる機会がなかったので今日は楽しみにしていました。審議会によっては、 座長が半分ぐらいしゃべるケースもないわけでもないのですけれども、この会ではそうも いきません。最後の資料に座長資料と書いてあります。これは間違いで、田中「委員」の 資料です。座長としては取りまとめの方向を指示しようとしているわけでもないし、事務 局と打ち合わせて、座長用の資料を作ったわけでもなく、あくまで1人の委員としての6 分の1の意見です。3つありまして、1つは尾形委員と同じく経済学者ですから、需要と供 給の観点から書きました。2つ目は私はずっとプロフェッショナル教育をしてまいりました ので、その観点から看護とはどういうものかを考えてみた点を書いてあります。3つ目がヒ アリングから学んだ点ですが、臨床研修、臨地実習、それから学校内での実習、この区別 をまとめてみました。  1つ目は看護教育に対する需給です。先ほど尾形委員が言われたのは看護に対する需給で したが、私からは看護教育に対してどういう人が需要を持っていて、誰が供給するかをこ こに書いてあります。看護教育への需要は、少なくとも大学のほうは別として、明らかに 減っているわけです。いま矢崎委員も言われましたが、専門学校の看護教育に対する買い 手、入学希望者が減っている。その一方で、教育課程を高度化したほうに対して、大学に 対しての需要が増えている。明らかに二極化が起きています。では、即ち需要に合わせて 移ればいいかと、そう単純ではないのです。  なぜならば、高度化された教育課程、わかりやすく書けば大学教育の供給力がないから です。需要があればすぐ商品を作れる、すぐサービスを作れる世界ではなくて、教育とか 医療の特殊性ですが、生産者の側と需要する側とは共同生産していかなくてはいけないタ イプの財です。教育とは、そうすると、教育課程で大学教育に耐えられるだけの、教員と しての職業訓練がなされてきているか、それは寺田委員がご指摘になっているとおりです。 また、大学教育への需要も、学士という称号、大学卒という称号への需要なのか、4年分の 教育という年限に対する需要なのか、分けて考える必要があると思います。同級生の中で みんな大学に行く中で私も大学に行きたいという場合には、たしかに大学は需要があるこ とはわかりますが、それは即、4年間の教育課程で、狭義の専門の教育としての看護教育4 年に対する需要かどうかは分けて考えたほうがいいと思います。学士への需要があるのだ とすれば、そこでは、看護教育以前に例えば統計学とか生物学とか数学とか、あるいは文 学や歴史だっていいかもしれませんが、そういうものも含めて4年制への需要であって、 看護教育そのものが4年かかる話とは違うと思います。先ほど教育課程の供給力といいま したが、供給力は大学は大きいわけです。生物学や統計学や文学や歴史を、何も看護学部 で教える必要はなく、大学の持っている総合力を使えば看護学部の先生が何から何まで教 える必要はない。看護学を教える必要はあるけれども、統計学や生物学は大学共通で教え ることができますので、そうすることによって多少バランスが取れるかなと思いました。  もう1つは、尾形先生が言われた、いつの視点で考えるかがとても重要です。いま現在、 すぐには大学教育よりも現在の3年制教育のほうがいい。それから准看へのニーズもあり ます。前回までの話で、現在新卒看護師を雇用なさる方々、あるいは既にある看護師を雇 用なさっている方の立場の代表の方々は、即4年化大学化に反対のニュアンスの濃いご発 表がありました。これは、いまの時点としては納得できますが、この懇談会の視野が20年 先ならばそうではないだろうと思います。いまのお話で、いま答えを出すのか。来年どう するかではなくて、どちらにしても教員養成を含めたら20年かかる。矢崎先生から、時間 がかかるとお話してくださいました。そういうことを考えると、将来の視点から遡って逆 に戻してきて、将来はこうなるのだと説くほうが、こういう懇談会が果たす役割が高いと 考えます。  2番目、プロフェッショナル教育とは聞いたことのない言葉かもしれませんが、プロフェ ッショナルはスペシャリストとは違います。専門家ではなくて、高度職業人という意味で す。いままでの狭い意味の専門職を育てる教育課程はいろいろとあります。そうではなく て、プロフェッショナル教育とは幅広い人間を作る課程を言います。一般に欧米でプロフ ェッショナル・スクールとは、大きい分野で3つあります。メディカルスクール、ロース クール、ビジネススクールです。あとは公衆衛生、スクール・オブ・パブリックヘルスか スクール・オブ・ガバメント、行政大学院が大体プロフェッショナル・スクールと呼ばれ ています。ここでの教育方法は、私が属している慶應大学のプロフェッショナル・スクー ルのモットーでは、「叡知は教えられぬがゆえに」と格好いいのですが、知識を教えている のではない。意思決定課題を見付けて、ここがミソですが、それに対する正解群の中から1 つを選択し、実行する力の教育です。つまり、いわゆる専門職の方々への期待は、与えら れた指示をきちんと果たし、正解をこなすことですが、それに対し、組織のリーダーは正 解を見付ける力が必要です。しかも正解が2個、3個、4個とある。その中から自分の理念 や社会の環境から選ぶのは、独特の力を要求します。  まさに医師が治療方針を決めるとき、法律職がいろいろな答えがある中で、ある判断を したり妥協したりする。経営者がどのような方向で会社を経営するかを悩む際、唯一の正 解があるときは比較的楽なのです。唯一の正解ではなくて、正解が複数ある中から、理念 と社会環境や自分の持つ資源から選ぶ力を付ける。この訓練をするには、独特の教員資質 と教員訓練が必要です。そのあたりで、さらに高度の専門性を高めたい場合にはT型、つ まり、幅広いジェネラリストとしての能力の下に1つ深掘りがあったり、Π(パイ)型、2 つ深掘りがあったり、つまり医師という能力を持ちつつ、自分は心臓外科については深掘 りの部分があるとの意味です。  法律家もそうです。法律家の資格があって、その中でも自分は会社法の権威だ、に当た る主張は、ΠとかTの足に相当する部分を言います。それに対して、全く幅広いベースが ない姿をI型と言って、私たちはそういう専門職教育をしません。では看護師は、果たし て何を目指すか。プロフェッショナルなのか専門職なのか。先ほど言いました狭い意味の 正解が与えられて、それをきちんとこなしていく能力があればいい職業なのか、そうでは なくて、いろいろな場面の中で生きる判断をしながらこなしていく高度職業人たらんとし ているのか。20年後には、看護師像としてどちらを求めるかによって、プロフェッショナ ル教育の方向に行くのか、ずっと実務教育で終わってしまうのかにかかわる判断が必要で はないか。私はどちらがいいのかが分かりませんので、そういう問いかけをしています。  3番目は先ほど申しましたように、ヒアリングから学ばせていただきました。もちろん、 看護学校の中での実習は絶対に必要ですが、臨地実習が難しくなっている現状はなるほど と思いました。医学がますます高度化して、臨地実習に行っても資格を持っていない在学 中の学生ができることはほとんど限られているし、危なくて触らせられない。それから、 入院日数短縮化とともに、急性期病床入院患者は昔に比べると、はるかに平均重症度が高 まっていて、それも資格を持っていない看護師が触れるものではない。したがって、臨地 実習は1回申し上げたように、邪魔にならない動き方とか現場の雰囲気を味わうとか、先 輩看護師がどう動いているかを観察する。だんだん、観察になりつつあるのではないかと 思います。そこで、矢崎先生も言われたように、本当の意味の臨床研修は資格を取って、 患者に触れることができるようになってから行なう。臨床研修と、在学中の臨地実習、学 校の中でできる実習と3つをはっきりと分けて、どこが学校教育の中で、どこが資格を取 ってからなのか。もちろん、矢崎先生が言われたように授業の中でしてもいいのかもしれ ませんが、資格を取ってから後の研修と分けないといけない時代ではないかとの考え方を この懇談会で学びました。  私の経験からすると、プロフェッショナル教育には臨床研修を必要とします。臨床研修 をする資質は、教室で教える資質とはまた違います。いずれも、キーワードとして、教員 の質の量の話を併せて考えないと、需要側の動きだけでこうしたらいいかと言えるもので はないので、双方から進めていくべきだと感じました。以上です。  座長役に戻ります。皆さんのご協力を得て、素晴らしく6人で60分ピタリでした。まさ にプロフェッショナルな方々の発表でした。今日は私たちが喋りましたから、審議官や課 長から逆に問い質していただいても結構です。「君の意見は何だ」と言っていただいても結 構です。また、委員同士で話をします。いつものように、尾形先生は少し早く退席されな いといけないので、最初に何かご発言がありましたらどうぞ。 ○尾形委員 毎度中座をさせていただき、大変申し訳ありませんが、座長のご配慮により、 少し申し上げたいと思います。先ほど梶本委員がおっしゃったように、基本的な問題の整 理とか問題意識というのは、わりと共通しているのではないか。そこに非常に大きな相違 がある感じは受けていません。ただ、実際に今後どうしていくかについてはいろいろと意 見が出てくるだろうと思います。そういう認識を前提として、2、3最初に質問させていた だきます。  井部委員のご発表で、まさにそのとおりだなと思いましたのは、分析と統合や生涯にわ たる主体的な自己学習の継続ができるようなことを、教育の中に組み込んでいかなければ いけないだろうと思います。そういう意味では大賛成ですが、井部委員のご意見としては 教育期間の問題、あるいは大学教育に移行すべきかという部分についてはどういうお考え をお持ちなのか。ちょっと聞き落としたかもしれませんが、そこを確認したいと思います。  続けて梶本委員のご発表で、先ほども申し上げましたように検討が必要な問題点という ことで5点整理をしていただいて非常にわかりやすいですし、重要なご指摘だろうと思い ますが、(1)の准看護師のところでお聞きします。「准看護師の問題を放置したまま大学化を するということは、看護職の二層構造を固定することになり」とお書きになっていますが、 例えばこうは考えられないでしょうか。逆に差が拡大して、あるいは非常に大胆に推測す るとすれば二極に分かれてしまうというか、固定化するよりは分化していく可能性もある のではないかと思いますが、その辺についてはどうお考えかをお聞きできればと思います。  最後に寺田委員のご発表で、2頁の2、3年制あるいは4年も含むのでしょうが、職業専 門大学の制度化という大変興味深いご提案をいただいたわけですが、看護の場合に引き寄 せて考えると、現在の短大あるいは看護専門学校との違いがどうあるのかといったあたり をもう少しお話いただければと思います。以上、質問させていただきました。 ○田中座長 ありがとうございました。順番にお答えいただきますが、逆に尾形先生に質 問があれば先にしておいてください。差し当たり、まず井部委員お答えいただけますか。 ○井部委員 質問の内容がよくつかめなかったのですが。 ○尾形委員 教育期間を4年にすべきだというご主張なのか、それとも大学教育でやるべ きだというご主張なのかということです。 ○井部委員 大学教育です。いまのような、看護教育制度が非常に多様で、いろいろなル ートがあるわけですが、基本的に看護基礎教育は大学で行う。大学・大学院という公の教 育制度に則った教育制度に整理すべきであると思っています。 ○梶本委員 例えば、矢崎先生も看護師の業務分担の明確化と層別化という言葉を使って いますし、この階層化というものをどう見ていくのか。そこにカッチリと区別してしまう のか、大括りなところで役割分担をしていくのか、あるいは役割分担を固定するような形 で分けるのかというのはなかなか難しい問題で、もっと看護の現場の看護師たちの話を聞 かないと答えが出てこない感じがしています。ただ、准看と正看という固定化は、あまり 良くないのではないか。看護協会も廃止すべきだと言っているし、現実に3年制の養成所 にいた人の90パーセント余りは病院に行っている。病院に行く人は看護師で、准看護師は 開業医にとなっているのか、その実態はよくわかりませんが、いずれにしても私の問題意 識としては、看護協会は4年制の大学を推進している。開業医は准看を残してくれと言っ ている。看護師と医師が談合をして両方を採ったら、一般の人たちは同じ看護の世界なの に何をやっているのだろう、と奇妙に感じるのではないかと思うのではないか。一般の人 から見れば、普通の利用者から見れば、看護というものをどうしていくのかという全体の 大きな位置づけの中で看護師の能力をアップしなければいけないというのに、准看護師は いまのまま固定して、どうするのか回答を出さないまま、皆さん4年制でいきましょうと いうことは許されないだろうと思う。ただ、仕事が非常に専門的になるがゆえに、ある種 の職務の分担から3年と4年で区別があって悪いのかと言われれば、それはよくわかりま せん。この点はもっと医療の現場を見て看護師さんの話を聞いてみないとわからないと思 いますが、少なくとも正看の能力を上げようとしている中で、この准看の問題を抜きにそ ちらに行くと、一般の理解は得られないのではないかという感じがしています。うまく説 明できませんが。 ○寺田委員 痛いところです。1つは答えにならない話かもしれませんが、2点お話します。 まず、直接のお答えにならないほうから言うと、基本的に看護基礎教育というものが、現 在のように学校教育体系の正系というか、本来のシステムから区別されたところであるの ではなくて、きちんと位置付けることになると、いまおっしゃった養成所にしても、短期 大学は明らかに学校教育ですが、正規の学校教育の体系の中に位置付けるべきだろう。特 に専門学校等々の分野ではそのようなこと議論されていますが、そういうことを考えてい ます。  ただし、先ほど申し上げましたように、従来の一般大学とは違う大学ということを言っ ているのは、大学人の場合ですとどなたもご存じのように、通常の大学設置基準に多かれ 少なかれ制約をされて、平成4年の設置基準改定以降教育課程の作り方も縛りがなくなっ たとはいえ、実際には従来の共通教育等を3分の1ぐらい置いた大学教育カリキュラムを 作らざるを得ない問題があります。この縛りにかかると、基本的には職業教育なり専門教 育の部分がかなり薄まっていかざるを得ない認識を持っていまして、田中座長のようにプ ロフェッショナル教育か、スペシャリスト教育かということはありますが、どちらの場合 もその枠とは少し違う基準を適用するようなものを考えたほうがいいということが1点で す。  もう1点は非常に現実的な問題ですが、とはいえ日本の場合、高校生、中学生は学歴志 向といいますか、特に日本は学校卒業資格が大きな意味を持たざるを得ませんので、それ なりのディグリーを出す必要が出てきます。その場合に、先ほど言った設置基準との絡み が当然次の問題として出てきますが、現在の養成所あるいは短期大学との違いになります と、このディグリーのところで基本的に違いをつけていく。学位を枠の中で看護師という 職業性専門性を出したものを出していくことで、現在のシステムとは基本的に違うのかな と考えています。 ○尾形委員 寺田先生に追加的にお聞きします。同じ2頁の下に、看護大学についての位 置づけを看護師リーダーや看護教員養成機関(大学院大学)として特化すべきではないか とご提案をされていますが、この2つを併せて将来像を推測してみると、看護大学という のはそういう意味ではエリート養成的な感じで、それと併せてどういう基準にするかは別 にしても一応職業大学的なものがあって、そちらがかなり幅広いというイメージですか。 ○寺田委員 そうですね。看護師としての基本的なクオリフィケーションを与えるのはそ こで、それで3年制の大学なりというところで、現在の看護大学についてはさらにレベル アップをして、量的な需要供給の関係でいろいろ問題はあると思いますが、リーダー養成 なり看護教員養成といったところに特化したらどうかという考え方です。 ○尾形委員 既に看護大学が150ぐらいあるのは、むしろ上に行くほど絞れるということ でしょうか。 ○寺田委員 減らすのは現実的ではありませんので。 ○梶本委員 尾形先生のメモで問題のフレームワークはわかったのですが、論文の中に書 かれているかと思いますが、井部委員にされたのと同じ質問ですが、これだけの基礎教育 の内容を拡充していった場合4年制にしなければいけないという意見が出ていますが、尾 形先生はその辺はどんな形で書かれているのかをちょっと。 ○尾形委員 私は基本的には教育改革のタイムフレームをどこまで見るかという問題はも ちろんありますが、将来的には4年ということを考えるべきだと思っています。ただ、そ のときにすべて大学なのかどうかについては経過措置にするのか、梶本先生がおっしゃる ように課題としてどう整理するかはあるのかなと思いますが、出来上がりの姿としてはそ ういうことを目指すべきだと思っています。 ○矢崎委員 私のメモの最初に、3年教育の問題点は何かと言った場合に、先ほど医療の高 度化で教える内容がどんどん増えて、物理的にパンク状態になっているというヒアリング で、実習も少なくなるということで、もう少しカリキュラムをスリム化して整理すること が今後検討課題になるのかどうかというのは、先生のお考えとしてどうでしょうか。 ○尾形委員 スリム化といったときに、ただ単に時間数を減らすという話なのか、それと も中身についての入れ替えをするのかということはあろうかと思いますが、前々回でした でしょうか、全日病あるいは日本医師会の先生方から、3年教育の中でもっと充実を図るべ きではないかという意見が出ていたと思います。しかし、一方ではそれについてはもう限 界だという議論があるので、その辺をどう考えるかということかと思います。つまり、ス リム化の余地が時間数としてあるのか、それとも中身として組み替えをしていく中である のか、あるいは先ほどから出ているような臨床、臨地実習をどの程度組み込んでいくのか によって随分負担感、あるいは実際に学生が受けなければいけないカリキュラムの中身と いうのは変わってくるかと思うので、単純に時間数だけの議論ではないのではないかと思 います。 ○矢崎委員 そうしますと、看護基礎教育のあり方で実際にそういうカリキュラムの内容 とか、そういうものに立ち入った議論というのを先生は必要であると思われますか。 ○尾形委員 大きな方向性みたいなところについては、当然議論していいのではないかと 思います。ただ、この懇談会のマンデートというのはあるわけですから、それとの関連で こういう方向ではないかとか、こういうことが考えられるのではないかぐらいのところは 議論してもいいのではないか。それは、先ほどから出ています研修をどう考えるかという 話もそうですし、全体としてのカリキュラムの構成といったようなことについても、考え 方の整理というのはやってもいいのではないかと思っています。 ○田中座長 では、あとは委員として自由に質問をしたり感想を述べたり、付け加えたい ことがあればご発言をしていただきます。 ○井部委員 看護基礎教育の捉え方が微妙に違うなと思います。私は看護基礎教育の中に 「基礎学力」とここに書きましたが、先ほど尾形委員がおっしゃったような文学とか生物 学というものを含めて看護の基礎教育と言っているわけですが、寺田委員がおっしゃるの はもっと狭い意味の看護の職業に必要な中身を、看護基礎教育とおっしゃっているのでは ないかと思います。そこは間違いないでしょうか。 ○寺田委員 そうですね。基本的にイニシャルトレーニングですので、もちろんベーシッ クな学習というのはさらにその下にあるわけですが、職業教育という枠で考えるのであれ ば、そういうことだろうということです。場合によっては例えばドイツみたいに、職業教 育の中の基礎の部分が座学にしても、職業に特化したものだけで対応することもあり得る わけですね。一般的な教養をこの職業教育のところに持ち込むのではなくて、ということ だと思います。それは、別の教育機関といいますか、中学なり高等学校での基本的な課題 だろうと思います。職業教育の枠の中では、少し専門に特化した基礎の座学とか実習とい うこともあるのではないでしょうか。 ○田中座長 その点は、梶本委員が書かれている基礎的な人間力、人間力の涵養、社会的 な常識の涵養を、看護学の基礎教育と呼ぶか呼ばないかという話ですね。私はどちらかと いうと含めて話をしたのですが、梶本委員はどちらの側でご発言になっているのでしょう か。 ○梶本委員 ヒアリングで大阪大学の鷲田先生のお話を聞いて、臨機応変にやるとか、コ ミュニケーション能力というような力を、我々が理解している専門教育以外にももっと養 成していくには、幅広い教育をしないと身に付かないかなという感じがしているので、こ の看護職に求められることや教育のあり方の中に人間力の涵養という表現で入れました。 確かに看護師さんは基本的に患者とコミュニケーションを取りながら仕事をしていくわけ ですから、その基本の部分ができていないと仕事はたぶんうまく進んでいかないのでしょ う。だから、かなり実践的な看護教育として位置付けるにしても、人間力の涵養は必要だ ということです。そう思いました。 ○田中座長 この点は重要な点です。井部先生も、少しご自分の意見をお願いします。 ○井部委員 私は、看護基礎教育の中に一般教養的なものも含めたものを看護基礎教育と 言いたいと思います。単に職業に特化したものだけではないと思います。 ○寺田委員 誤解を与えたかもしれませんが、もちろんそういう部分を看護基礎教育が展 開されている同じ時期に一定程度与えることは、人間教育として当然必要だと思っていま す。ただ、看護基礎教育といった場合、狭義にはさきほどいったことになるだろうと。仕 切りの話だけです。 ○田中座長 ある期間に両方を学ぶことが必要であると。 ○寺田委員 そうです。どの程度それに時間を当てるかというのはまた別の問題ですが、 それを否定しているわけではありません。 ○矢崎委員 いまもカリキュラムの中に、そういう総合部分という時間があって、看護師 としての人間性を高めたりコミュニケーションを高めるという教育の場があると思います。 それは医学教育もそうで、いままで医師はパターナリズムで、患者も医師に医療を任せる 時代から変わってきています。看護師の立場としても患者と最も近くに接する立場におら れるので、医師以上にそういうコミュニケーションで患者の立場がよくわかると同時に、 ある程度いつもヒアリングでありましたように、それでのめり込むのではなくて、自分の 科学的な根拠で、看護の仕事をしっかりやっていく基本的な姿勢というか資質、看護師と しての資質の涵養というのはそういうところもどんどん重要になってくるので、スキルだ けではないので、基礎看護教育ではそういう部分を今後さらに充実させていただきたいと 思います。 ○井部委員 患者だけではないかもしれません。人のお世話をするということは、その方 の人生にある程度思いを馳せることができなければいけないと思います。看護職にありが ちなのは医療とか看護の知識はありますが、そのほかのことが乏しい。  私は非常にがっかりした経験があります。以前に私の大好きな作家が入院していたので すが、その人の名前を聞いても誰も感動しない。担当医は、「あの人誰」みたいなことでし た。私は、文学は非常に看護に近接性があると思っています。今日たまたま授業で学生が 源氏物語をつまらなそうに聞いていましたが、いずれにしても源氏物語のエッセンスぐら いは知っておくと、いつか「源氏物語のここがよかったですね」といった会話がベッドサ イドでできる看護師が必要だと思っています。 ○矢崎委員 もう一方では、私は看護領域のいろいろな研究発表をお聞きする機会が非常 に多くて、ものすごく皆さん熱心に課題に取り組まれてやっていますが、基本的な研究の 進め方とか統計学までいかなくても、ロジカルにどうやって進んだらいいかということが ある程度教育されていると、ベッドサイドでの患者の観察で積み重ねて何か結論を出すと きに、もう少しロジカルな結果が出るし、波及効果が出るような結果が出る。非常に皆さ んは一生懸命にやっておられるので、できればいまの人間性と同時にロジカルに物事を見 て組み立てていくといいますか、大学教育になれば少なくともある程度の考え方も教育す る場があってもいいのではないかと感じます。 ○田中座長 個別事例の個別判断ではなくて、もっとそれを一歩引いて統計的な確率事象 であるとの視点も、クールに見ながら個別の方に対応する両方が必要だと思います。矢崎 先生の国立病院機構では、看護学校を統合なさったときに物理的に場所も統合されて、先 生方も集めてしまうパターンですか。 ○矢崎委員 すごい抵抗がありました。 ○田中座長 場所を移るのは、そうでしょうね。 ○矢崎委員 要するに、看護学校というのは自分たちの施設の付属学校という感じを持っ ているのです。だから、それぞれが教育法人の法人資格を持って学校を経営するという観 念ではなくて、准看の教育もそうでしょうし、医師会の自分たちの学校という感覚です。 我々は、そういう感覚を無くして、できるだけ医師は患者に選ばれる医師になる。診療所 もそうだ。ですから、看護師に選ばれる病院にならなければならないというのですが、一 方では、いまいう病院の運営に危機的状態があるので、田中先生にお話を申し上げたよう に、本当に医師も看護師も急性期の病院ではなかなか働きにくい状況があります。もし、 しっかりした看護教育が確立して、我が国の看護教育が大きく変わるというのは10年、20 年かかると思いますが、そのときには病院のあり方もまた旧来の病院と看護養成校だけれ ども、今度はそうではないのだと。病院と大学でのしっかりした看護師が交流できるよう な、働けるような場を10年、20年かけて作らないといけない。  例えば井部先生のおられる聖路加病院が経済的にどうなっているかというのは、本当に 人件費率を切り詰めて運営されているかどうかがわかりませんが、いま企業も人件費率を 縮めて企業の利益を出しているような構造があるのではないかと思います。医療でそれを したら、絶対壊滅的な状態になるので、あらゆるところでそういうことは絶対にやめてく れと。医療だけは労働倹約型になっているのをなんとか直してほしい。労働倹約型になっ ている一方で、投資本意型になっていますよね。機械を揃えると、国民も「あそこは良い 病院だ」ということになるので、受療者側の意識も変えていただかないといけない。です から、我が国の全体の看護教育だけではなくて、医療制度全体が非常に大きな転換期に来 ているので、それにあって看護教育だけが遅れないように、時代の変換期に将来像はどう あるべきかをきちんと議論しておかないと、禍根を残すかなという感じがします。 ○田中座長 医療政策を経済学の立場から研究している身からすると全く同感で、患者に 見捨てられた病院、賃金をコントロールできない病院はどうしようもないですが、患者が きちんと来ていて地域に貢献している病院の経営が苦しい実態は、医療の危機ですよね。 そこは直さなくては20年後の日本の医療は持たない。その上に看護師の需給も教育も成り 立つ。私も、そこは同意見です。  ほかの点はいかがですか。課長から誰か委員を問い詰めてもいいですが、いかがでしょ うか。 ○寺田委員 反対に質問します。先ほどおっしゃったような点というか、特に先生がお書 きの2に挙げられているような「看護師に求められる資質」は非常に大事だと思いますが、 こういう議論というのはともすると抽象的になって、具体的にカリキュラムの問題として 考えたいなと思います。科学的思考力、表現力、判断力と倫理の問題がどこかにありまし たかね。抜けているような気がしますが、こういうものを現在のカリキュラムとの関係で 言いますと、新たに何か科目や教育方法として設けて展開するということでしょうか。あ るいは、教育のすべてのところで、こういう原理原則を徹底する形で対応すべきだとお考 えなのでしょうか。細かいことで恐縮ですが。 ○井部委員 カリキュラムをどう作るかは十分に検討されなければならないと思いますが、 ここで分けて考えてみたのは科学的な思考と、それを表現する力という知識や技術の習得 をするタイプと、それを使う能力を書いたのですが、それが倫理的な判断力を伴って知識 や技術を使うというふうに分けて書きました。しかし、教育カリキュラムを作るときには きちんと区別することなく、看護倫理という時間は設けるにしましても、臨地実習などで は倫理的な判断を実際に行いながら実習をするわけですので、そういう点では非常に統合 的だと思います。両方あるということです。  付け加えて、これまでさまざまな看護に関する検討会がありまして、いろいろな報告書 の最後に「抜本的な改革を」ということがよく出てくるわけです。抜本的な改革と書くと、 そのうちに良い方向に行くのだろうと、なんとなく確証のない安心感で終わっていますが、 そろそろ抜本的な改革の一環として看護の基礎教育はどうあるべきかをはっきりと決める と、それに纏わるさまざまな周辺の問題をどう計画的に解決していったらいいのかという 青写真が描けるのではないかと思います。ここでは国家20年の計ですが、その間をどうす るかを明確に出していただいたほうがいいのではないかと大変期待しています。 ○田中座長 抜本という言葉を使うと過剰な期待が生じたり、逆に言われなき反発、いま あるものを全部否定するのかと思われたりするので、改革のタイムテーブルの上では難し いかもしれません。どのような言葉遣いをするかは、私たちもあとで意見を言いますが、 この次の回に事務局から叩き台を出していただくときに、さらに書き方も含めて議論しな くてはいけませんね。 ○矢崎委員 あとは医学教育でもいちばん問題になっているのは、いま卒後臨床研修制度2 年ですが、あれは卒前の医学教育を変えればもう少し良いシステムに再構築できるのでは ないかと思っています。このカリキュラムを見ると、確かに臨地実習という時間をすごく 取られていますが、これが果たして参加型の実習になっているのか、見学型の実習になっ ているのか、どの程度になっているのかを、私は知りたいのです。本当に参加型の実習に するには、どういう条件を整えたらいいのか。ただ、カリキュラムで実習は何単位で分け れば終わりではなくて、現場の病院では患者の理解も得られなければいけないので、患者 が安心して実習が受けられるような仕組みも、何か考えていかなければいけない。そうい うことも中に入れていただければ大変ありがたいと思います。もし座長におまとめいただ けるときに、いろいろと行政のまとめでは「検討すべきである」とか「留意すべきである」 とか、優先順位で言葉が書いてありますが、いちばん大事なことはきちんとそれがわかる ような形で、是非まとめていただければ大変ありがたいと思います。 ○田中座長 ありがとうございます。事務局に伺いますが、看護教育の先ほど来言いまし たように、需要のほうは入学者の動向やその後の動向は前回に看護協会からのデータもい ただきましたが、いろいろなもので見ることはできます。教育の提供側、教員の資質向上 のためのプログラムとか、教員養成のプログラムについては、厚労省としては例えばお金 を付けたり中央でモデル教育をしたりする事例は何かあるでしょうか。 ○野村看護課長 厚生労働省では養成所の教員養成に補助金を付けて都道府県10カ所程度 で実施しており、また、看護課の看護研修研究センターで直接教員を年間約120名養成し ています。トータルで1年間に約500名ぐらいの養成所教員養成を行っています。期間は 短いものは8カ月ぐらい。10カ月から12カ月ぐらいの間に、養成所の先生になるための仕 掛けはあります。もう1つは、教務主任になるような方々の1年間のコースというのを看 護研修研究センターで行っています。ただ、大学の教員についてはこちらでは一切やって いませんで、大学は文科省となっています。 ○田中座長 そこは残念ながら、いまのところ何か共通の話合いがあるわけではない。 ○野村看護課長 そうですね。両者が話をしたことは、いまのところは特にありません。 ○田中座長 縦割のものですね。 ○寺田委員 教員養成の話ですが、先ほど申し上げましたように非常に関心はありまして、 いまおっしゃったように厚生労働省の養成所とかは2、3カ所あるようですね。年限がいず れも比較的に短期ですよね。1年以内でしたっけ。半年というのもあったのでしょうか。充 実という観点からすると、当然この年限にかかってくると思いますが、何かそういうご構 想はおありでしょうか。少し単位を増やすとか年限を延長するとか。 ○野村看護課長 現在のところ、8カ月にしても大体1年間ぐらい職場を離れてきて研修を していますので、それを2年にするといったところについてはいまのところは特に考えて いません。1年間で初期の研修ですので。 ○寺田委員 それは現職ということに限定されているからですね。 ○野村看護課長 そうですね。働きながら研修するような仕掛けはいまの段階ではないの で、1年以上というのはかなり厳しいかと思います。 ○田中座長 もう1つ矢崎先生が言われた臨地実習のプログラムの評価、PDCAで言う評価 ですが、臨地実習がどういう形で行われていると効果が高いとか、プログラムの評価など は誰か科研費か何かでしていたりしないのですか。看護教育の側で。 ○野村看護課長 前回の看護基礎教育の検討会で、その報告書の中に卒業時の看護技術項 目とその到達度といったものを示しまして、今年の1月に通知を発出したところです。そ ういった意味で、その到達度の表がありますので、それを使って評価ができるかもしれな いと思いますが、何しろ今年出したようなものですので、評価としてそれを使うとすれば 数年かかるかと思います。 ○田中座長 1つの方法として、臨地実習も学校によってきっと違うと思いますが、パター ンによってどこがどういう成果を上げているかといったケース研究というのはないのでし ょうか。 ○野村看護課長 残念ながら、聞いたことはありません。 ○田中座長 いずれにしろ寺田先生のご専門であれば、教育のパターンについても本当は 研究しなくてはいけませんよね。全体としての評価だけだと、何が効いたかわからないで すものね。 ○寺田委員 臨地実習に関しては、例えば教員実習とかなり違いはあると思いますが、い つも我々が大学も教員養成に関わっても問題になるのは、それぞれおわかりだと思います が、基本的には大学が単位を出すわけです。基本的には大学が責任を持つ。けれども、現 場で責任を持ってもらうというかメンターがいて、実習指導をしてもらうわけですよね。 仕組みはたぶん同じような感じですね。問題はそこのつなぎが非常に問題で、大学からは わりといろいろ濃淡ありますが、小まめに教員によっては、自分の指導生の実習先に出掛 けていったりとか巡回指導というのは必ずやりますが、そういったことが最低限あればい いのではないかと思ったりします。 ○田中座長 いろいろな点からご意見をいただきました。時間になってまいりましたので、 資料の最後に1枚、論点整理の構成案というか目次案のようなものが出ています。これに ついて説明をお願いします。 ○小野対策官 綴じてあるいちばん最後については、次回の会議で本日の議論などを踏ま えました肉付けをしたものをご提示しようと思っていますが、次回の会議に備えて先生方 にも頭のエキササイズなどをしていただければありがたいと思いまして、簡単に書いたも のです。論点整理の中に、概ね4点含められるかなと思っています。1つ目の看護をとりま く状況の変化については、まさに少子高齢化のお話、医療の高度化のお話とさまざまあっ たかと思います。チーム医療、スキルミックス、学生の状況、看護師の意識の問題といっ たようなことの看護を取り巻く状況の変化について、記述してはどうかと思っています。  2つ目の看護職員に求められる資質については、1番目の○を踏まえましてどういった資 質能力といったものが求められるかについて記述してはどうかと考えています。  3つ目の充実の方向性については、資質なり能力といったものを養成していくために教え るような教育の具体的な内容であるとか、教育をしていくために必要な環境整備、先ほど お話にありました、教員や実習のあり方のようなことも含めて整理してはどうかと考えて います。  4つ目の課題等においては、以上のような方向性を推進していく上で、今後引き続き検討 が加えられていくべき課題につきまして記述をしてはどうかと考えています。先ほど申し 上げましたように、これについては本日さまざまなご議論がありましたので、いまこれを 書くときに想定していたものと別の論点も出てきているかと存じます。次回は、これに肉 を付けていくような形で、さらに深くまとめたような骨子案をお示しした上で、次々回に 文書のような形でお出しできればと考えています。以上です。 ○田中座長 ありがとうございました。この構成案について何かご意見がありましたら、 ご自由にどうぞ。 ○梶本委員 看護を取り巻く状況とか看護職員に求められる資質、充実の方向性などにつ いては、きちんと良い方向に進めていこうよということで、委員の間にそんな差があると は思いません。そういう方向性で進めていくために、具体的にどういうことが問題になっ てくるかが気になっているわけです。看護をもっと充実させるためには、たぶんすべての 委員が3年の教育期間で全部やりきるのは難しいという認識では、濃淡の差はあるが、一 致しているという気がします。つまり、全部一気に4年制にしろという人はいませんが、 20年後を目指したら、将来的に4年制大学の方向を目指そうということについては、そん なに異論はないという気がしました。だから、その方向を1つの軸として盛り込んで、な おかつそれをやっていくためには、私が指摘したような問題があると思いますので、それ をもう少しきちんと指摘しておくことが欠かせない。というのも、みんなが一致すること を一致してまとめましたといっても、あまり褒められたことではなくて、これをやってい くためにどういう課題があるのだということを指摘しないと、当懇談会の任務を果たした ことにならないのではないかなという気がしています。 ○田中座長 乗り越えるべき課題をきちんと浮掘りにすることが大切であると。ありがと うございました。  ほかにいかがでしょうか。これは、たった2週間でまとめなくてはいけないので大変で すが。 ○矢崎委員 何回も繰り返しますが、梶本委員に全く賛成ですが、看護問題だけを独立議 論してもなかなか難しいところがあるので、医療全体の変わり具合も、要するに医療の高 度先進化、複雑化、国民の医療に求めているものの本質的な相違が出てきているので、そ ういうことも少し深めに触れていただくと大変ありがたい。 ○田中座長 単に数の上の需給バランス論ではなくて、実は大きな質的変化が起きている ことをしっかりわかるようにしたいとのご指摘です。 ○寺田委員 関連して、私のメモのいちばん最後にも書きましたが、いまご提案の構成案 の第2番目の看護職員に求められる資質をスタートに、あるべき制度や教育課程の話をす るのが本筋だろうと思いますので、年限の問題や教育制度の話はそのあとの話だと思いま す。これは非常に大事な点なので、しっかりお書きいただきたい。  もう1点はいまの矢崎先生の関連で、話が前後しますが2頁のいちばん下の医師職員看 護補助者等の職務分担といいますか、看護師の資質を論ずるときも分担関係がかなり変わ ってきていたりしますし、看護師の仕事も拡大していることがあったり、いろいろすると 思います。そういう全体的な職務の分担関係は、なかなか一概に統計的にとらまえること はできないかもしれませんが、その辺を踏まえた上であるべき資質を押さえないといけな いのかなという気がします。資質は大事ですが、看護師の視点だけからとなると、全体的 にバランスの取れた養成にならないだろうという気がしますので、ほとんどこの点は議論 がなかったと思いますが、できればそこを何か補足していただければと思います。 ○田中座長 年限とかの技術論より上に資質論があり、その資質のさらに上に看護とほか の職種との関係のほうがある。こちらこそ大切で、技術論が主になってしまうような報告 ではいけない。技術論があることは、もちろん可能ですが。それはあとのほうですよい。 ありがとうございます。よろしいですか。井部委員お願いします。 ○井部委員 尾形委員が出された参考資料で、これは看護科学学会の講演だとおっしゃっ ていて私も読ませていただきました。医療のあり方の4頁の真ん中あたりに、「つまり、国 際比較においては、日本の医療提供は労働集約的ではなくて、むしろ資本集約的で」、以下 の表3にあるようにCTやMRIに非常に投資しているといったようなことがやや批判的にと 私には読めるのですが書いてありますが、こうした医療体制ですね。つまり、ケアを提供 する人にあまりシフトしないで、機械を入れることに一生懸命だという現状についても考 えてもいいのではないかと。もう少し人を大切にするような医療提供体制に触れてもいい のではないかなと思います。 ○田中座長 先ほど来、矢崎先生が言っていらしたことと同じですね。今日のいろいろな 意見を取捨選択といいますか整理して、次回の資料をお願いします。本日の議論は、一応 ここまでといたします。次回の懇談会について説明をお願いします。 ○島田補佐 次回は第8回ですが、先ほど小野対策官からもお話しましたように、さらに 論点整理をお進めいただくことを考えています。日程は6月16日(月)13時から。場所は厚 生労働省5階共用第7会議室での開催となります。どうぞよろしくお願いします。 ○田中座長 以上をもちまして、第7回看護基礎教育のあり方に関する懇談会を閉会しま す。お忙しい中を資料をご準備いただきまして、どうもありがとうございました。  照会先 厚生労働省医政局看護課 福井 小紀子 (内線2599)   福井 純子 (内線2595) ダイヤルイン 03-3591-2206