08/06/02 厚生科学審議会科学技術部会ヒト胚研究に関する専門委員会 第17回議事録 第16回 科学技術・学術審議会 生命倫理・安全部会「生殖補助医療研究専門委員会」 第17回 厚生科学審議会科学技術部会「ヒト胚研究に関する専門委員会」 議事録 日時:平成20年6月2日(月)15:30〜18:00 場所:中央合同庁舎第7号館東館 16階特別会議室 出席者:  (委 員)笹月主査、安達委員、石原委員、加藤委員、木下委員、後藤委員、鈴木委員       高木委員、中辻委員、秦委員、星委員、町野委員、水野委員、吉村委員  (事務局)文部科学省:長野安全対策官、高橋生命倫理・安全対策室長補佐       厚生労働省:千村母子保健課長、梅澤母子保健課長補佐、小林母子保健課長補佐 議事: ○笹月座長  それでは、時間もちょっと過ぎましたが、第16回生殖補助医療研究専門委員会、それか ら第17回のヒト胚研究に関する専門委員会を開催いたします。  まず、資料の確認を事務局からお願いいたします。 ○高橋室長補佐  本日は、14名の先生方にご出席いただく予定でおります。5名の先生方がご欠席の予定 なんですけれども、町野先生が最後の30分だけ出席していただく予定です。 もともと授業があるということでご欠席の予定だったんですが、事務局のほうで最後の30 分だけでもぜひご出席くださいということで、お願いしております。  本日の資料の確認でございます。議事次第をひっくり返していただきまして、そこに配付 資料の一覧がございます。今回の資料、申しわけございません、事前送付しておりませんで、 本日初めてごらんに入れるものも幾つかございます。  資料1から資料4−2までは、前回までもお配りしているものでございますので、ご確認 ください。資料5といたしまして、今回初めて、検討のためのたたき台というものをご用意 させていただいております。それから、資料6−1は、インフォームド・コンセントに関す る資料でございます。これは、前回までも1度出させていただいておりますけれど も、今回新たに追加して記述しているものがございます。それから、資料6−2、資料6−3、 資料6−4は、それに関連する資料でございます。  それから、参考1から参考3までの資料、それから、参考資料の緑色の紙ファイルが1つ ございます。いつもピンク色の紙ファイルと水色の紙ファイルもございますけれども、本日、 すみません、ご用意できませんでしたので、緑色の紙ファイル1冊ということになっており ます。どうぞご確認くださいませ。 ○笹月座長  どうもありがとうございました。  それでは、まず資料1ですけれども、これは前回の委員会の議事録で、既に委員の先生方 からはご意見を賜っておりますので問題ないと思いますけれども、何か特段ございますか。 特にございませんようでしたら、前回議事録(案)は承認ということにいたしたいと思います。  それでは、本日の議事に入りますが、前回の委員会で検討して合意した事項につきまして、 前回の合意事項のおさらいということで、説明をよろしくお願いいたします。 ○梅澤母子保健課長補佐  それでは、資料3−1をごらんいただけますでしょうか。資料3−1になります。検討のた めのたたき台(II−4、研究実施の要件について)という紙でございます。前回の議事に関し まして、ポイントのみ紹介させていただきたいと思っております。  それでは、11ページをごらんいただけますでしょうか。(4)研究実施者の要件というと ころで、従来のように、○に関しましては今後整理が必要な事項、また、●に関しましては整 理された事項でございますけれども、前回の委員会におきまして整理された事項のみに関しま して、読み上げさせていただきます。  4つ目の●です。研究実施者は、生命倫理に関して十分な知識を得るため、教育研修を受講 した実績が必要であるとする。(具体的な教育研修の内容としては、指針を策定するに至った 背景や指針の内容の理解、生命倫理に関する一般的な知識の向上等を目指すための勉強会、講 習会等が想定される)。  続きまして、14ページをお願いいたします。(5)、4つ目の●が前回整理された事項で ございます。さらに研究計画の専門性に考慮し、ヒト受精胚の作成を伴う研究の科学的妥当性 を審査するために、医学に関する専門家として、生殖補助医療に識見がある者を委員に含める こととする。  次の●です。機関内倫理審査委員会は、研究関係者と常に中立性を保ち、第三者的立場から 意見を述べる立場にあることから、研究実施機関の長、研究に関係する者(研究責任者、研究 実施者、研究責任者との間に利害関係を有する者及び研究責任者の三親等以内の親族)は、当 該案件に関しては機関内倫理審査委員会における検討に加わってはならないこととする。  それでは、16ページをごらんいただけますでしょうか。2−2.提供機関、(1)提供機関 の要件、そして、(2)、真ん中から下ぐらいのところでございます。(2)精子(精巣を含む)の提供 機関です。  ● 提供機関は、提供者から直接ヒトの精子の提供を受けることから、精子の保存設備など 十分な施設、設備が整っているとともに、管理体制(管理者の設置、管理記録の保存、施錠管 理等)及び遵守すべき規則等が整備されていることとする。  ● 採精室が設置されていることが望ましいとする。  ● 提供機関は、ヒトの配偶子の提供を受ける目的について、科学的妥当性や倫理的妥当性 について、第三者的な立場から意見を述べることのできる機関内倫理審査委員会を必ず機関内 に設置することを必要とする。  ● 提供機関は、十分な臨床経験のある産婦人科又は泌尿器科の医師が所属していることを 必要とする。  次の17ページの●になります。17ページです。上から。提供機関は医療機関でなければ ならないとする。  次の●です。手術等で摘出された精巣又は精巣切片からの提供の場合については、精子の採 取に必要な採精室のような施設、設備は必要ないとする。ただし、その場合であっても、管理 体制(管理者の設置、管理記録の保存、施錠管理等)及び遵守すべき規則等が整備されている こととする。  20ページをごらんいただけますでしょうか。(2)提供機関の長の要件。すぐ次の●にな ります。提供機関の長は、研究実施機関の長より依頼された研究計画について、インフォーム ド・コンセントの内容も含めてその妥当性を確認し、その実施を了解するとともに、提供の進 捗状況を把握し、主治医に対し必要に応じて指示を与えること等の監督業務等の役割が求めら れるが、研究の実施には直接関わらないことから、提供機関の長が主治医を兼ねることを認め ることとする。  21ページです。(3)提供機関における機関内倫理審査委員会の要件です。すぐ次の●で す。提供機関の機関内倫理審査委員会は、提供機関におけるインフォームド・コンセントの手 続き等について審査を行うとともに、研究実施機関が行う研究計画の科学的妥当性及び倫理的 妥当性についても配偶子を提供する提供機関としての立場で審査を行うこととし、研究実施機 関の機関内倫理審査委員会と同等の要件を満たすものとする。  次の●です。機関内倫理審査委員会は、提供者と常に中立性を保ち、第三者的立場から意見 を述べる立場にあることから、提供に関する者(主治医等)も、当該案件に関しては機関内倫 理審査委員会における検討に加わってはならないとする。  1ページおめくりいただきまして、22ページです。3ポツといたしまして、研究実施機関 と提供機関が同一の場合。(1)機関の要件。  ● 機関の要件については、前述の研究実施機関の要件及び提供機関の要件をともに満たす こととする。  ● 研究実施機関と提供機関が同一である場合、当該機関には提供機関として提供者の個人 情報を有しているため、通常の個人情報の保護の措置に加え、必要に応じて個人情報の保護の ための特段の措置を講じることとする。  次に、※で1行ございまして、留意事項です。提供者の個人情報の保護については、別途議 論することとする。  次のページ、23ページの(2)機関の長の要件です。ポツの次の●です。機関の長の要件 については、2−1(2)の研究実施機関の長の要件及び2−2(2)の提供機関の長の要件 をともに満たすこととする。ただし、研究を推進するインセンティブを持つ研究機関の長でも あることから、配偶子の提供者に対する心理的圧力を防止する等のため、主治医を兼ねてはな らないとする。  1ページおめくりいただきまして、24ページです。(3)研究責任者の要件。● 研究責 任者は、生殖補助医療研究を実施するとともに、その研究に係る業務を統括するという責任を 負うため、配偶子の提供者に対する心理的圧力などを防止する観点から、主治医を兼ねてはな らないとする。  (4)研究実施者の要件。● 配偶子の提供者に対する心理的圧力などを防止する観点から、 主治医が研究実施者を兼ねてはならないとする。  (5)機関内倫理審査委員会の要件。● 研究実施機関と提供機関が同一である場合、機関 内倫理審査委員会は1つでよいとする。また、機関内倫理審査委員会の要件については、 2−1(6)の研究実施機関の機関内倫理審査委員会の要件及び2−2(3)提供機関の機関 内倫理審査委員会の要件をともに満たすこととする。  最後の●です。上記の要件に加え、必要に応じて個人情報保護の措置を講ずることとする。  26ページになります。4ポツといたしまして、複数の研究実施機関が共同でヒト受精胚を 作成又は利用する場合について。● 研究実施機関は、作成されたヒト受精胚からの個体産生 を事前に防止するという観点から、原則として、そのヒト受精胚を他の機関に移送してはなら ないとする。  次の●です。ただし、複数の研究実施機関が共同でヒト受精胚を作成又は利用することが考 えられるが、この場合は例外として、共同で研究を行う研究実施機関の間でのみ作成されたヒト 受精胚の移送を認めることとする。  留意事項として、※となっております。複数の研究実施機関が共同でヒト受精胚を作成又は 利用する研究を行う場合の研究実施の手続きについては、研究実施の手続きについての資料に おいて改めて検討することとする。  以上でございます。さらなる指摘事項ある場合は、委員会の最後に改めてご指摘いただけれ ばと存じます。 ○笹月座長  どうもありがとうございました。ただいまご説明いただきましたが、資料3−1、「研究実 施の要件について」というところで前回合意したところをおさらいで簡単にご紹介していただ きました。その後、27ページに研究終了後のヒト受精胚の取扱いについてということで、こ れは、前回もちょっと触れましたけれども、最終的な結論にはまだ至ってないということで、 きょうこれについては議論をしますが、一応、前回のところまでは復習ということで、また1つ 1つについてコメントを伺っていると元に戻ってしまいますので、これは合意したこととして、 頭にとどめていただいてということにしたいと思います。  27ページの5というところをちょっとご説明いただけますか。 ○高橋室長補佐  そうしましたら、5.の研究終了後のヒト受精胚の取扱いについてでございますが、黒ポツの ところで今までの考え方を少しまとめさせていただいております。  総合科学技術会議の意見におきまして、ヒト受精胚の研究目的での作成・利用につきまして は、ヒト受精胚を損なう取扱いを前提としており、認められないが、基本原則における例外の 条件を満たす場合も考えられ、この場合には容認し得る。  生殖補助医療研究は、これまで体外受精の成功率の向上等、生殖補助医療技術の向上に貢献 しており、今後とも、生殖補助医療技術の維持や生殖補助医療の安全性確保に必要と考えられ る。こうした研究成果に今後も期待することには、十分科学的に合理性があるとともに、社会 的にも妥当性がある。このため、生殖補助医療研究のためのヒト受精胚の作成・利用は容認し 得る、というふうに書いております。  さらに、同意見におきまして、ヒト受精胚の取扱いのための具体的な留意事項のうち、研究 実施の要件に関する事項といたしまして、研究に用いたヒト受精胚を臨床に用いないこと、 胚の取扱い期間の制限等が挙げられております。  この意見を踏まえまして、ヒト受精胚の取扱いについては、下記の項目について本委員会で 既に合意を得ております。  1枚めくっていただきまして、資料2にも掲載されておりますけれども、今までの検討事項 の中で、ヒト受精胚の作成・利用における禁止事項といたしまして、研究のため作成した胚の 取扱いとして5つの●がございまして、その事項につきましては合意いただいております。具 体的には、胚の胎内への移植については行わないこと。それから、胚の取扱い期間については、 受精後14日以内とすること。それから、作成・利用した胚については凍結を認めることとす る。ただし、例えば凍結技術の向上を目的とした研究等については認めることとする。そして 最後に、胚を凍結する場合には、その凍結期間については胚の取扱い期間に算入しないこと。  それから、資料4−1のほうに「研究実施の手続きについて」の資料がございますけれども、 その中でも、胚の作成を伴う生殖補助医療研究を実施するに当たっては、あらかじめ個別の研 究について具体的な研究計画が確定していることを条件とする。  以上のようなことが、今までの議論の中で合意されていることでございます。  また前のページの黒ポツに戻っていただきまして、そこに、研究目的で作成されたヒト受精 胚の胎内への移植は行わないこと、それから受精後14日以内に取扱いを限ることということ を改めて書かせていただいておりまして、これらを踏まえまして、○といたしまして、生殖補 助医療研究目的でのヒト受精胚の作成は、ヒト受精胚尊重の原則の例外として、特定の研究の ために容認されたものであるから、その数は当該研究に必要とされる最小限にとどめることと し、当該研究終了後は作成したヒト受精胚をすべて速やかに滅失させることとしてよろしいか どうかということをご議論いただければと思います。 ○笹月座長  どうもありがとうございました。  これまで既に合意したこと、それから、総合科学技術会議としての意見というものを踏まえ て、最後の○、作成したヒト受精胚は、研究終了後には速やかに滅失させる。この件について ご意見を賜りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  生殖補助医療に資する研究と。そのために必要であれば、ヒト受精胚を作成・利用すること は認めると。その前の大原則としては、ヒト受精胚を損なう取扱い、これはとんでもないこと であるという、もちろん大前提があるわけですので、そういう大前提のもとで研究を認めたと いうことは、最終的には、その研究においては終了したときにその胚を滅失するということで、 大前提とはちょっと矛盾しますけれども、もともとヒト胚作成ということ自身が例外的に認め られたことであり、その重要性にかんがみて研究が終われば滅失させますということで、ご理 解いただけることだと思いますが、何か特にご意見ございますか。 ○安達委員  確認なんですが、28ページの資料2の2のところの下から3番目と4番目、作成・利用し た胚については凍結を認めることとするで、その下に、胚の凍結については、凍結技術の向上 を目的とした研究は認めることとするというふうに2つ書いてあるんですけど、これは「凍結 を認めることとする」の内容をさらに書いたということでよろしいんでしょうか。そういう ニュアンスでしょうか。 ○高橋室長補佐  そのように理解しております。 ○笹月座長  凍結を認めるという場合に、将来何に使うかはわからないけれども、とにかく凍結しておき ましょうというふうなことは認めませんと、そういうことですね。逆に言えば、そういう研究 がもう終わってしまったけれども、とにかく凍結して、また将来何かに使いましょうみたいな ことは認めませんと。それはすぐ滅失させるべしであるという、そういう意味ですね。 ○高橋室長補佐  はい。 ○安達委員  ちょっと読み取りにくいです。  こういうふうに書かずに、初めから、こういう場合にだけ凍結を認めますと、1つの文章に してしまったらどうですか。 ○高橋室長補佐  もし差し支えなければ、●の3番目と4番目の関係がわかりにくいので、3番目を消してし まってもよろしいんじゃないかと思いますけれども、よろしいでしょうか。 ○笹月座長  うん。そうすると、3番目がなくなると、4番目は、「作成・利用した胚の凍結については、 例えば凍結技術の向上を目的とした研究等は、認めることとする」。この「等」がまた悩まし いということで、一体どこまで含むのかとか、「等」と書いてあるからこれもいいだろうとか、 すぐそういう話になりますので、その辺をちょっと確認さえしておいていただければ、2つの 文章は必要ないですね。 ○中辻委員  念のためですけど、これは、凍結技術の向上とは違う研究であっても、研究の目的に一たん 凍結しておくことが必要であれば、それができるという意味ですね。 ○笹月座長  研究の目的は達したのに無制限に凍結しておくということを禁止しようという、むしろそう いう趣旨ですね。  よろしいですか。 ○水野委員  速やかに滅失させる必要がある理由をもう一度確認させていただけませんでしょうか。と申し ますのは、つくったヒト受精胚をみだりに、例えば余っているから誰かに産ませてみようとか、 あるいはいい加減に管理するとか、そういうことはもちろん許すべきではまりません。しかし 特に最近、研究のいろんなミスコンダクトに関する仕事をしたりしているものですから、後で 追試をしろというふうなこともしばしばありまして、研究目的で作ったときに、厳重な管理の もとに凍結して相当期間とっておくこと自体の弊害がいまひとつよくわからないんです。つまり、 いいかげんなことに使ってはいけないわけですが、研究のためにつくった胚を凍結して厳重な 管理のもとに保存しておくことの弊害がよく理解できず、直ちに滅失しなくてはいけないとい うニーズを教えていただきたいのですが。 ○笹月座長  これは、私の理解では、ニーズとかいうことではなくて、提供者の心理的な問題じゃないん ですかね。例えば、自分の提供した受精胚がいつまでも何に使われるかわからないままこの世 にふらふら存在している。研究の目的で提供しました。その研究は終わりました。そうしたら、 それは滅失して、それで終わりです。完了ですと。ところが、にもかかわらずいつまでもある というのを不安・不快に思うとか、そういうレベルのことかと私は理解していて、何も、ニーズ とか、必然性とか、そういうレベルではないんじゃないんですか。 ○石原委員  前回の議論で私が覚えている範囲では、この話というのは、研究計画にのっとって研究が進 行して終了したということで、その場合には原則として滅失させると。ただし、それが凍結の 研究とかということだと、その時点では滅失しないからという、そういう議論でございません でしたか、前回は。鈴木先生がそれで言葉の問題をおっしゃられていたような気がします。 ○笹月座長  凍結のための研究というのはちょっと置いておいて、要するに、こういう目的で提供者は提 供したと。その目的が完了したんだから、それで終わりですということじゃないんですかね。 特に、それがほんとうに利用すればヒトになるかもしれないものであるということにかんがみ て。普通、DNAとか、そういうものも一応、目的を達したら破棄しますというのが、臨床研 究、あるいはゲノム研究なんかの一つのプリンシプルじゃないかと思うんです。ですから、そ れがましていわんやヒトになる可能性を秘めた、まさに人の生命の萌芽とかいうようなことに なると、目的が達成されたのなら、それで終わりにしてくださいと。 ○水野委員  理科系の研究者の感覚を教えていただきたいのですが、後から追試が必要になるというよう なことのために、ある程度、厳重な管理のもとに保存をしておくということが必要ではないの かなという気がしたものですから、理科系の先生方が滅失させて問題がないというご判断であ れば、私は専門外でございますので、固執するものではありません。 ○笹月座長  例えば、この間もちょっと議論しましたけど、実験に20個使いますと。ところが、実際の 研究というのはすべて成功するわけではないので、20個じゃなくて、ほんとうは100個ぐ らい欲しいと。だけども、そういうことはなるべく認めない。ほんとうに必要最小限度でいき ましょうと。それから、研究が進めば、もちろん理論的にはそのものがないことには再現性は チェックできないじゃないかと言われるかもしれませんけれども、それも認めませんというこ とです。 ○中辻委員  再度ですけど、ある研究を目的で、それが終了するまでに例えば1年間かかって、例えば DNAをとっていろいろ調べるのに時間がかかった。そういう場合は、そういう研究計画の中 での合理性があれば、1年間凍結保存しておくこともあり得るということですか。 ○笹月座長  それはもちろん、その研究がそこまで当然含んで、研究計画の中であれば、その間、凍結し たり、いろんな形で保存するということは、あり得ると思いますね。要するに、研究が終了し たら、目的が達成され、提供者は提供したあれがもうなくなるわけですので、それ以上に保存 されるというのは、提供者自身が望まないこと、あるいは提供者との契約にないことだという ことだと思います。  よろしいでしょうか。  そうすると、最後に残っていました○は、文章、あるいは必要があれば修文が必要かもしれ ませんけど、一応プリンシプルとしては、当該研究終了後は、作成したヒト受精胚をすべて速 やかに滅失させるということでご了解いただいたということにいたしたいと思います。  それでは、続きまして、次の議事、「研究実施の手続きについて」ということで、これも検 討のためのたたき台を用意していただいておりますので、事務局からよろしくお願いします。 ○高橋室長補佐  資料4−1をごらんください。「研究実施の手続きについて」の資料でございます。こちら は、既に「研究実施の手続きについて」の議論のときにかなりの部分が●として議論が終了し ておりますけれども、追加で論点が加わっているところ、それから後回しになっているところ が幾つかございますので、そちらをご説明させていただきたいと思います。  資料の4ページをお開きください。研究実施のための手続きでございますけれども、こちら につきましては、ヒト受精胚の生殖補助医療研究における作成・利用について、総合科学技術 会議の意見において、個別の研究について審査した上で実施を認める枠組みが必要であるとい うことでございましたので、その下の●2つでございますけれども、あらかじめ個別の研究に ついて具体的な研究計画が確定していることを条件とする。そして、研究計画の内容として、 少なくとも、研究実施機関の名称、研究責任者の氏名等が含まれていなければならないという ことで、以前合意いただいております。  そして、今回ご議論いただきたいことは具体的な研究計画書に記載すべき事項でございまし て、それが3番目の○の部分でございますけれども、読み上げさせていただきます。  (1)研究計画の名称、(2)研究の目的、(3)研究計画の概要、(4)予想される研究の成果、(5)研究実 施機関の名称及びその所在地並びに研究実施機関の長の氏名、(6)研究責任者及び研究実施者の 氏名、略歴、研究業績及び研究計画において果たす役割、(7)胚の作成に用いられるヒトの配偶 子に関する説明、(8)胚の作成・利用の目的及び必要性、(9)胚の作成・利用の方法及び研究計画 の期間、(10)研究実施機関の要件の適合性に関する説明、(11)研究実施機関の倫理審査委員会に関 する説明、(12)インフォームド・コンセントに関する説明、(13)提供機関の要件への適合性に関す る説明、(14)提供機関の倫理審査委員会に関する説明、(15)その他必要な事項。  以上を研究計画に記載すべき事項として挙げさせていただいておりますので、ご議論いただ ければと思います。 ○笹月座長  どうもありがとうございました。  研究計画書にはそのプロポーザルが出るわけですが、それにどういうことを記載すべきかと いうことであります。研究計画の名称、あるいは研究課題名。(1)は研究課題名ということだと 思いますが、その目的。研究の目的、概要、予想される研究の成果。予想される……。期待さ れる研究の成果。あとは、(5)、(6)はあれですが、(7)胚の作成に用いられるヒトの配偶子に関す る説明。これは具体的にどんなことを? こういうことを書けという、計画書、申請書に項目 がありますけれども、一体何を要求されているのかがわからない項目があると、申請者は大変 困るんですね。ですから、これはこういうことを書くことを期待しているということが明確で あることが必要なんですが、(7)胚の作成に用いられるヒトの配偶子に関する説明というのは、 具体的にどんなことです? ○高橋室長補佐  胚の作成に用いられる卵子とか精子の入手方法でありますとか、数ですとか、そういった情 報をイメージしております。 ○笹月座長  そういうことを具体的にね。例えば、入手方法、数、何とかという。要するに、これを書か せる側からすると、何を知りたいのか、そして、それをどう審査・評価するのかということだ と思いますので、具体的に括弧の中で説明するにせよ、そこを少し明確にしていただくといい んじゃないかと思います。  例えば今の(7)で言うと、入手の方法、数、そのほか何かありますかね。 ○石原委員  質問なんですが、この研究実施のための手続きというのは、どこにこれを提出するためのも のなんでしょうか。 ○笹月座長  まずIRB……。 ○石原委員  まだその辺は決まってなかったはずですね。 ○笹月座長  当然、機関内の審査委員会に出される。 ○石原委員  機関内の審査委員会であるのに、実施機関の倫理委員会に関する説明があったり、提供機関 の倫理委員会に関する説明があるというのも、何か妙な気がするんですが。 ○笹月座長  そうですね。 ○石原委員  相手によるんじゃないかという気がいたします。 ○笹月座長  最終的にこれが承認されるためには、これはまだ最終的に決まっていませんね。国のかかわ り方というのは決めてないので、もう一つ、IRBIに国も関与するのか。関与するとすれば、 当然こういう計画書を提出させなければいけないということで……。 ○高橋室長補佐  確かに、将来的にどのような審査体制になるかによって、もしかすると不必要な項目という のが出てくるかもしれませんけれども、今は、あらかじめいろんな場合を想定して、必要な項 目というのはどういったものが考えられるかということでご議論いただければと思うのですが。 ○笹月座長  例えば遺伝子治療の研究の場合には、機関内の遺伝子治療に関する委員会があって、そこで 審査して、そこで承認を得たものが今度は国の遺伝子治療に関する委員会に出てきて、そこで 議論して承認されると、大臣を経由して機関に行くと。そういうあれですね。だから、そこが まだ議論されてないところでこの申請書が出てきたので、ちょっと中身については、今、石原委員 がおっしゃったように未確定のところを含んでいるということで。そうすると、これは最後に しますか。国の関与のあり方が決まってからに。どうですか。こっちを先にしなければいけない? ○高橋室長補佐  実は、同じ「研究実施の手続きについて」の資料の一番最後の12ページに共同研究の場合 というのがございまして、そこに実は論点がもう1つございまして、共同研究を行う場合に提 供機関でも研究実施機関の研究計画について倫理審査を行うことにするかどうかという項目が ございます。ですので、国の二重審査を行うかどうかは別といたしまして、例えば研究実施機 関の倫理審査体制がどうであるのかということをもしかすると提供機関のほうの倫理審査委員 会に提出しなければならない可能性があるということですので、確かに、この一番最後のページ の議論を先に進めて、さらに国の関与のあり方も決まってからというのもあるかとは思います けれども、国の関与があるなしにかかわらず、いずれにせよ提供機関がもしかすると研究実施 機関の倫理審査委員会の体制についても見たほうがいいという議論にもなるかもしれないとい う意味で書かせていただいているものでございます。 ○笹月座長  そうすると、この計画書に関する議論はそう紛糾することでもないので、一応、中身が決ま れば、ここにどういうふうにするかということを盛り込めばいいので、これは最後に置いてお きましょうか。 ○高橋室長補佐  共同研究でなくても、以前たしか提供機関のほうでも研究実施機関のほうの研究計画を審査 するということは決まっていたかと思いますので、共同研究に限らず、研究実施機関内の倫理 審査体制がどうであるかということは、書いてもおかしくはない……。 ○笹月座長  そういうことがすべて決まれば、ここはもう議論しなくても、ほとんど、はい、はいという ことで終わることなので、今、それを先にする必然性はないんじゃないかという。ですから、 すべてが決まったときにこれはやりましょう。  基本的な考え方、計画書、それから、その先と。そうすると、その次は……。あとはよろし いんですか。 ○高橋室長補佐  そうしましたら、研究実施者の手続きの一番最後のページの12ページは○が4つございま して、その部分を引き続きご説明させていただければと思います。 ○笹月座長  今の共同研究の場合。 ○高橋室長補佐  はい。共同研究につきましては、研究実施の要件のところでも一度出てまいりまして、基本 的には胚の移送を伴う場合に共同研究機関として整理されるであろうということでございまし た。今まさに後回しにするということになった研究計画書への記載事項がここにも出てまいり まして、上の○2つが研究計画書への記載事項として、共同研究を行う場合にさらに追加でこ ういうことが必要なのではないかという論点でございます。  一番上の○でございますけれども、胚の移送を伴う共同研究を行う場合には、その旨及びす べての研究実施機関が果たすべき役割分担について、研究計画書に記載することとするか。  それから、作成された胚から抽出したDNA、RNA、タンパク質等のみを分析するような、 胚を直接取り扱わない機関には指針の遵守義務はないんですけれども、参考情報としてそれら の関連する機関の役割分担についても、研究計画書に記載することとするか。  それから、その倫理審査委員会についても、共同研究について論点を挙げさせていただいて おります。共同研究を行う場合には、それぞれの研究実施機関の研究計画について、提供機関 の倫理審査委員会においても審査することとするか。  それから、最後の○ですけれども、共同研究を行う場合に、共同研究を行う研究実施機関の 研究計画について、各研究実施機関の倫理審査委員会においても互いに審査するということに してよろしいかどうかという論点を挙げさせていただいています。 ○笹月座長  わかりました。それでは、この共同研究の場合というところをまず解決したいと思いますの で、最初の○、共同研究を行う場合、胚の移送を伴う場合は、その旨及びすべての実施機関が 果たすべき役割分担について、研究計画書に記載することとするか。これは、当然そうすべき でしょうということでよろしいですね。  それから、2番目。また、作成された胚から抽出したDNA、RNA、タンパク質などのみ を分析するような、胚を直接取り扱わない機関には指針の遵守義務はないが、参考情報として それら関連する研究機関の役割分担についても、研究計画書に記載すること。これもよろしい ですね。研究の全貌ということを理解するためにこの情報は必要でしょうから、これもぜひ記 載すると。  その次はいかがですか。共同研究を行う場合、それぞれの研究実施機関の研究計画について 提供機関の倫理委員会において審査することとするか。  どうぞ。 ○石原委員  これも従来、吉村先生もよくご存じですが、産婦人科学会の登録調査委員会などで議論にな る場合、幾つかの共同研究のときにそれぞれの倫理委員会の審査が行われることがしばしばあ るわけですが、幾つかの、例えば大学の倫理委員会がそれぞれ他方の倫理委員会の結果を出せ というようなことも出てきて、非常に手続き上困難になる場合がありますので、範囲を決めて いただく必要があると思うんですね。先ほど少し話が出ていたように、例えばこの研究計画全 体のうちの一部、例えばタンパクの分析をするだけのところについては、ほんとうにそうした 倫理審査が必要なのかと。それは、研究の主体をなす、あるいはマネジメントをなす施設でま ず先にきちんとした審査をするべきであって、それ以外のところについては各倫理委員会が必 要と認める場合のみ再審査をするというような形を、むしろ明確に示していただいたほうが、 現場としてはおそらくやりやすくなると思います。 ○笹月座長  例えば、今おっしゃったDNAとかRNAのような場合には、今議論しているガイドライン の対象にはなりませんと。ただし、ゲノム解析をするのであれば、ゲノム倫理指針の委員会、 ガイドラインがありますので、それはそれで審査してもらわなければいけないということにな るんだと思うんですね。ただ、ここでの問題は、共同研究の場合の研究実施機関の研究計画に ついて提供機関の倫理委員会において審査するという言い方だと、実施機関の倫理委員会はど うなのかと、この文章だけ読むと、その辺が疑問にすぐ出てきますが。 ○秦委員  今、石原先生が言われたのは正論だと思うんですけど、要するにこの文言では、「それぞれ の研究実施機関の研究計画について提供機関の倫理委員会において審査することとするか」と。 これはちょっと漠然とし過ぎているような気がするんですね。具体的にどういうことを指して いるのか、少しわかりにくいかなという気がするんですが。 ○笹月座長  要するに、さっきのDNAとかタンパクだけを取り扱う機関は対象外として、このガイド ラインの網の中に入る機関についてはすべて、この文章だけだと、提供機関が審査しますとい う言い方ですね。 ○高橋室長補佐  資料3−3をごらんいただければと思うんですけれども、私どものイメージしているものは、 共同研究というのはこういうイメージでございまして、研究実施機関と提供機関が複数である 場合、あるいはその応用編といたしまして研究実施機関と提供機関が同一である場合について 図示してございますけれども、本指針の適用ということで考えますとオレンジ色で示している ような範囲でございますので、その中に入っている機関同士は互いに審査し合うと。けれども、 その枠外にある研究機関Cのように胚から抽出されたDNA、RNA等だけを研究として使う 機関については、研究計画には参考として情報は載せるけれども、互いの倫理審査委員会の審 査をし合う対象には入らないという理解ではいかがでしょうかということを考えております。 ○中辻委員  オレンジ色に入る範囲内ですけど、これは多分、共同研究を行う場合にはお互いにすべて倫 理審査委員会で審査させておいたほうがいいだろうという考えだと思うんですけど、1つの研 究計画全体像について適切かどうかというのをチェックするのはあり得るんですが、これをそ のままにしておくと、例えば変更とかということも全部審査することになってしまうと、例え ばある研究機関で担当者が1人追加されたというところの審査を全部がやらなきゃいけないと いうことになってきて、際限がなくなってくるんですね。これは実際に起きることですけれど も、そういう意味で、石原委員がおっしゃったように、どういうところを押さえれば、あとは 当該のところがやればいいとしたほうが、良いと思います。 ○笹月座長  今の、例えば共同研究者の研究、それに直接携わる人の変更とか、あるいは1人抜けました とか、あるいは1人追加しましたとか、そういう、もちろんそれは正式な審査委員会ですけれ ども、いわゆる簡便審査みたいな、何かそういうのが、たしか普通のほかの倫理審査委員会で 行われているんじゃないんですかね。1人追加しました。それをわざわざまた全員それぞれが 集まって議論しなくても、文書なら文書でやると。  それよりも、私、ちょっと問題にしたのは、この文章だけ読むと、何か提供機関がすべて取り 仕切るという、そういうイメージがあるので、どうなのかなと言ったんですが、資料3−3で この3つは、どこかに主任研究者というのがいるはずですね、このプロジェクトの中で。それ は必ずしも提供機関ではなくて、実施機関だと思うんですが、その主の主任研究者がいるとこ ろがまずやって、それから、それぞれを分担するB、この絵で言えばBですね。それから、提 供機関は提供というところを分担しますというふうに把握すれば、それぞれのところをそれぞ れの機関がしっかりやりながら、もちろん全貌は見なきゃいけませんけれども、というような 形になるんじゃないんですかね。だから、さっきのような文章があると、何か提供機関がすべ てを取り仕切って共同研究機関全体を面倒見ますみたいなイメージがあったので、それでちょっ と質問をしたわけです。 ○長野安全対策官  すみません、事務局のほうからちょっと、確認の意味で補足させていただきたいと思います。 提供機関と研究実施機関との関係としては、共同研究か共同研究じゃないかにかかわらず、手 続きの中で、8ページのところで、研究計画の審査の手続きというところで……。 ○笹月座長  8ページというのは、資料は何でしょう。 ○長野安全対策官  今ほどの資料4−1の8ページのところに、研究計画の審査の手続きというところがござい ます。これは研究実施するのにあらかじめ行う手続きですけれども、この中で、まさに主査 おっしゃったように、まず研究機関の長が倫理審査委員会に研究計画について意見を聞いて、 その後、提供機関の長にその研究計画について了承を求め、その際、提供機関の倫理審査委員 会から意見を求めるといったことになっていますので、まず最初、研究実施機関で、みずから はこれでよしということを見た上で、提供機関のほうに意見をいただくというふうになってい ますので、そういう意味では、今、○でお聞きした順番のせいで若干誤解を与えてしまったか と思いますので、表現ぶりについては修正させていただければと思いますけれども、流れとし てはそういうふうになっていまして、その応用として、共同研究の場合は研究実施機関が2つ 以上に分かれるという場合になりますので、その場合には、それぞれの分担に応じてそれぞれ が倫理審査をするということでよろしいでしょうかということでございます。 ○吉村委員  ちょっと長野さんにお話をお伺いしたいんですけど、ここで初めて共同研究というのが出て きたので、この共同という言葉をもう一回確認しておかなくちゃいけないんですが、3−3の 図を見ますと、要するに研究実施機関AとBが胚を受け渡しするから共同研究になるわけです か。という理解でよろしいですか。もしそうでなければ、提供機関と研究機関A、Bというの は、それぞれ独立した形で提供機関と研究機関A、Bが接触を持ってもいいと私は思うんです が。しかるべきプロジェクトはそうあるべきですし、胚を受け渡しするから共同機関として認 知されるというか、そういう理解でいいんでしょうか。ちょっとわからないところがあるので、 その辺を確認してから話を進めていったほうがよろしいんじゃないでしょうか。 ○長野安全対策官  確かにおっしゃるとおり、資料3−3で絵にしていましたのは、一番込み入ったパターンと いいますか、提供機関からそれぞれに卵子や精子が提供され、また、その胚のやり取りが研究 実施機関AとBであり得るといったことで絵のほうはつくらせていただいておりますが、共同 研究というのは必ずしも胚のやり取りがなければならないということではないかと思います。 何はともあれ胚の作成・利用を行う研究を共同で行うものということになろうかと思いますの で、そういう意味では、吉村委員がおっしゃったような、幾つかのパターンを考えたときに、 若干責任関係ということが違ってくるのかもしれません。 ○笹月座長  私の理解というか、生殖補助医療に資する研究というのが大前提としてあるわけですね。 その研究の主任研究者がいて、その機関が主任の機関であると。もろもろの共同研究が必要だ から、他の機関と共同します。ですから、それはすべて、胚の交換があろうが、なかろうが、 生殖補助医療に資する研究というものに関しての共同実施機関というふうに把握して、その中 で、まさに3−3の最初のページにあるように、このガイドラインの対象となる共同研究機関 と対象外の共同研究機関がありますよと、そういうことになるんだと思うんですね。  どうぞ。 ○後藤委員  共同研究機関A、Bというふうに書いてありますが、A、Bの中の何処かの機関に統括する 責任者がいるわけですね。ですから、A機関がそれかもしれないし、B機関の責任者がそうい うふうになるかもしれませんけど、AとBというのは提供機関をそれぞれ持っていて、独立し て個別に研究を進めるということですよね。 ○笹月座長  いや、独立じゃなくて、共同研究ですから、目的へ向かって……。 ○後藤委員  それぞれのシステムでやるということですね。そういうところですると、Aの主たる関係の 倫理委員会、Bの主たる倫理委員会にお任せするということですかね、結局は。統括する主機 関で。まず倫理委員会審議して倫理委員会の承認を戴き、つまり統括する機関でまず倫理委員 会を通して、それからB、Cの倫理委員会審議というふうに、普通、共同研究というのはそう いうふうになるんじゃないかなというふうに思いますが。 ○笹月座長  ですから、それでいいと思うんです。要するに、そのプロジェクトそのもののサイエンティ フィックなラショナルがあるということを主研究機関がまず認める。それが大前提。それがな いのに提供機関の倫理審査委員会なんかやっても意味がありませんから、まずそのプロジェクト そのもの全体の審査を主機関が行います。それでゴーになったときに初めて、他の共同利用機 関が自分たちの分担のところを中心に審査をする。そういうことだと思います。 ○星委員  3)の○の3番目は、主査のおっしゃりたいことを踏まえて言えば、「提供機関の倫理委員 会においても」と、「も」を入れれば済むことじゃないでしょうか。 ○笹月座長  そうですね。要するに……。 ○星委員  このままでいくと、提供機関がすべて審査するようにとられるので、主体は研究実施機関で しょうけれども、その計画も提供機関で審査しなくちゃいけないんだということなら、「も」を 入れれば済むんじゃないかと思うんです。 ○笹月座長  そういうことです。 ○水野委員  提供機関の倫理委員会における審査が問題というよりも、最初に石原委員がおっしゃったこ と、それから、その後に吉村委員がおっしゃったことは、このAとBとの関係、AとBないし、 これがA、B、C、D、Eと膨れ上がってくるかもしれないわけですが、それらの相互関係に ついてのご質問なのではないでしょうか。はっきりDNA、RNA、タンパク質という、胚に はかかわらない形で切り出せるものは別ですけれども、大規模な生殖補助医療に関するプロジェ クトで多くの研究実施機関に所属している研究者が共同研究をするような場合に、それぞれの 所属機関ですべて全部を倫理審査委員会にかけることになりますと、非常に大変であり、それ ぞれの審査委員会の審議の前後関係がどうなるかということも問題になるというご趣旨だった ように伺いました。そうすると、むしろ、先ほどからおっしゃっているように、主となる統括 する研究機関1つが全部について責任を持って審議し、そして、それを提供機関の倫理委員会 もやるということで、あとのそれぞれそれに協力する研究実施機関における倫理委員会は統括 研究機関の倫理委員会の結論を前提として、一から判断しなくてもいいのではないかというご 趣旨だと理解したのですが。 ○笹月座長  いやいや、私は、それではだめだと思うんですね。例えば、主たる研究機関と、その一部を 分担する分担研究機関があるとすると、その機関は、やはりその機関の長は、こういう研究が サイエンティフィックにラショナルがあるのかどうか、倫理的・社会的に見て問題がないのか どうかということをきちんと審査して、そしてオーケーを出さなくてはいけないわけですね。 主たるところがやったからもういいんだというのでは、共同研究機関の長は責任を負えないと いうことになるわけです。 ○石原委員  それに関してなんですが、その話は、例えば国その他の外部の者が一切関与しないという形 に最終的になるのであれば、その必要性は高いと思うんです。どのように想定されているのか わからないですが、図では点線になっているのでわからないですが、もしこうしたものを例え ばESガイドラインのようにもう一回何かという形でされているんだとすると、共同研究実施 機関すべての施設で同じように同じ審査を何回も繰り返すということの合理性というのはあま り……。 ○笹月座長  いや、同じことじゃない。その分担研究機関が担当する部分をきちんと倫理審査するわけで す。全体をもう一回やろうというのではないです。全体に関しては、本来、分担研究機関は責 任を持たないわけですからね。ただし、一応全体を見る必然性は、これがほんとうにサイエン ティフィックなラショナルがある、そして全体としても倫理的に問題がないという大前提を片 一方では確認しながら、あとは自分たちの分担のところをきっちりやる。その機関の長の責任 は自分たちの分担したところに及ぶわけですので、そこをしっかり見るということです。だか ら、それは、国が関与しようが、しまいが、必要なことだと思います。 ○水野委員  全部でこの倫理委員会を動かさなくてはならないという主査のご判断だとすると、現実問題 として動かすためには、少なくとも主たる、統括する研究実施機関における倫理委員会の審査 が成立した後で、それを受ける形で分担する研究機関の倫理委員会が審査するという順序にし たほうがいいのではないでしょうか。 ○笹月座長  そうです。それを最初から私は申し上げています。 ○水野委員  結論をもらってきて、そしてそれぞれの研究実施機関がそれ確認をするという形であれば、 現実的可能性があるかと思いますけれども、一斉にということだと難しいかと……。 ○笹月座長  いやいや、そんなこと初めから申してません。まず主たるところがやって、サイエンティ フィックにラショナルがある、倫理的にも社会的にもオーケーですということが出て初めて分 担研究機関というものが成り立つわけですから、その後、そこの倫理委員会がそれを審査する。 分担するところを審査する。それは、何も胚の作成云々じゃなくて、一般の倫理審査委員会が やっていることだと思います。 ○水野委員  すみません、しつこくて。主たる研究があって、そして枝が幾つかある、例えばこの場合で すと、Aが主たる機関で、Aにメーンの先生がいらっしゃって、そして、B、C、Dという機 関にそれぞれ若手の研究者がいらして、若手の研究者もAの研究にいわば加わる形でやってい こうという共同研究があった場合に、Aが行った倫理委員会の審査結果をBとCとDがそれぞ れもらってきて、それぞれBとCとDの研究機関でも自分のところの若い先生はこういう研究 に従事するんだということでそれぞれ倫理委員会が審査するというのはあり得ると思うのです が、その場合に、BとCとDの関係はどうなるんでしょうか。つまり、AがやったものをCが、 AがやったものをBが、AがやったものをDがそれぞれもらってきて、それぞれのところで メーンになるのはこういう研究で、それにうちの若い先生が関与するのだということを審査す ることは可能だろうと思うんですが、メーンのもの以外の部分も他の研究機関審査する、つま り部分についてもそれぞれが全部やるということになると、これは順列組み合わせで、ものす ごい数の審査委員会が動かなくてはならないことになると思うんです。 ○笹月座長  まず、若いとか何とかは関係ないんですね。分野が違って、Aという機関だけではできない 別の技術を使うから、別の研究機関があって、共同でやりましょうということなんですね。し かしながら、全体をプロポーズしたのは、主任研究者がいて、その人を中心とした機関がやり ます。そこでやれないことを、B、C、D、幾つあろうが構いませんけれども、そこが分担し ます。だから、その全貌はAが責任を持って、まず全貌の審査をします。サイエンティフィック に、それから倫理的に、あるいは社会的に。それがオーケーになったら、自分の分担するとこ ろを今度はそれぞれの倫理審査委員会がやるということになりますね。だから、BとCの関係 とか、CとDの関係とかは、あり得ないわけです。 ○水野委員  あり得ないと。 ○笹月座長  はい。 ○水野委員  最後の確認ですが、そうすると、Aが研究計画を立てて、それについて提供機関の倫理委員 会も動いて、両方でオーケーが出たとします。その後、BとCとDで、部分審査してはじめた ら、Dが途中で抜けたりすることもありますね。Dはあまり役に立たなかったからDの研究機 関は抜けるということがありますと、そのたびに一々やり直すことはないわけですか。 ○笹月座長  それを小さくしたのが、さっき中辻先生から、研究者が1人抜けたとか、あるいは加わった とか、あるいは変更しましたとか、そういうほんとうにマイナーなことはマイナーチェンジと して簡単にやればいいじゃないですかと言ったんですけど、今のように1つの研究機関が抜け ますよということは、研究が終了したから抜けるのか、あるいは研究の途中で必要ないと言う から抜けるのか、場合はいろいろありましょうけど、そういうことを1つずつやっていたら切 りがないので、とにかく、最初に私が申したように、全貌をまず認められれば、それぞれの分 担者は分担分をその機関で申請して、その倫理委員会が審査するという。特別なことではない と思いますけど、例えば、ゲノム解析にせよ、臨床研究にせよ、疫学研究にせよ、すべてそう いう形で行われているんですけれども。 ○水野委員  提供機関の倫理委員会はどこまで審査をするのでしょう。メーンのものを審査すればよろし いのでしょうか。それとも、枝葉のものを全部するのでしょうか。 ○笹月座長  まず、主たる研究者が共同研究者を集めてプロジェクトをつくりますね。そのときには当然、 相談もせずにそういうプロジェクトをつくったんじゃなくて、共同研究者と十分案を練ってつ くっているわけですから、そのことは前もって共同研究者は知っているわけですね。そこにもし サイエンティフィックなラショナルがないのに加わるはずもないし、倫理的に問題があるのに そういうものが企画されることもないという大前提に立つと、まずメーンのところがきちんと 審査して、そこでオーケーが出れば、そのことについてはさらりとやるということじゃないで すかね、各機関は。その全貌についてはね。そして、自分たちが分担するところをメーンに きっちり見ます。だけども、自分たちが分担するところのゴールがほんとうに反社会的であれ ば、それはとんでもないことですけれども、それは共同研究を立案するときに既に十分議論し ていますから、そういうことはあり得ないんじゃないですか。 ○水野委員  くどくど申し上げて申しわけないのですが、つまり、審査にかければかけるだけ安全になる というものではないと思うのです。多くかけてしまいますと、それだけ膨大な量がかかること になりますので、むしろ審査が形式化して流れていってしまうリスクもありますので、ほんと うにきちんとまともに審査をするものをある程度絞り込んだ方が……。 ○笹月座長  それが、その主たる研究機関ですね。 ○水野委員  主たる研究機関がそういう形で実質的な審査ができるような制度設計にしたほうがいいと思 うものですから。私は門外漢で、現場の感覚はほんとうによくわからないのですが、石原委員 が最初に危惧しておられたようなことは、今の主査のおまとめでおそらく問題なく動くだろう とお考えならば、それで私は結構です。 ○笹月座長  よろしいでしょうか。  実際に主たる研究機関がゴーを出したんだけれども、分担研究機関のほうの倫理審査委員会 がちょっと危惧の念を示したというようなことは、これまでのいろんな倫理委員会であるんで すね。そのときには議事録を交換してどこがどうなのかということをもう一回やって、主たる ところがそれを受けてもう一回審査をやりますというふうな形で解決ができたと思います。 ○秦委員  今、笹月先生が言われていることは、我々そういうふうに考えているんですが、それに沿っ た文言というんですか、それをもうちょっと明確にできるようにしたほうがいいと思うんです ね。ちょっとわかりにくいです、これでは。 ○笹月座長  わかりました。 ○高橋室長補佐  事務局からですけれども、おそらく主たる研究機関という概念を今の説明資料に載せていな いということがわかりにくく、今のご議論を反映する上では、おそらく「主たる研究機関」と いう言葉を載せないとなかなか説明しにくいのかなというふうに考えておりますけれども、そ ういうことでよろしいでしょうか。 ○笹月座長  研究というのは、だれか個人が発案して、そしてチームをつくってやる。そのチームが1つ の機関で閉じる場合と、そこだけではできないので、ほかの協力を得る、共同研究機関をつく る。私が言いたいのは、必ず中心人物がいて、その人が属する中心機関があるわけですから、 そこが、議論を十分して、きっちり計画を練って、そこの倫理審査委員会をパスする。それが 大前提で、それがなされた後に初めて分担研究機関がその分担のところを中心に倫理委員会を 開く。もちろん、その全貌は確かにラショナルがあるということ、倫理的であるということは、 その委員会も一応はチェックしますけれども、主たるところがやったほど全貌を詳細にする必 要はなかろうということで、大事な観点だけを。しかも、その議事録なり、主たる研究機関の 倫理委員会からの意見はもらえるわけですからね、共同研究機関は。かくかくしかじかで倫理 審査委員会はパスしましたということを。 ○高橋室長補佐  ご参考までになんですけれども、ほかのゲノム指針とか疫学指針の中では同じように主たる 研究機関という概念がありまして、その中では、主たる研究機関の倫理審査委員会で審査が行 われた場合の迅速審査という仕組みがございます。そういったものが必要であるかどうかとか、 おそらく主たる研究機関という概念が出てきますとそういった指針も参考にさせていただくこ とになるかと思いますけれども、そこら辺についてはいかがでしょうか。 ○笹月座長  今それをする必要があるかどうかは別として、大枠としては、詳細は、このガイドラインに 出てくるか、あるいは倫理審査委員会のあり方というものに出てくるのか、付記みたいなこと になるのか、ちょっとわかりませんけど、それは、最初に私が申しましたように、簡便なやつ に関しては迅速審査とか、あるいは主たるところがやったものについては簡単に行きましょう とか。 ○安達委員  そうしますと、大分書きかえがあるということですね。この12ページ目の3)共同研究の 場合の上の2つ、これはどちらも、読みかえれば、胚の移送を伴う場合のある共同研究施設で あっても、特に胚の移送は伴わないものであっても、研究機関の役割分担についても研究計画 書に記載するというふうに、同じことを言っているように思うんです。これは、今のような形 で、主たる研究機関と従の研究機関という形で、書きかえるというふうに理解してよろしいで すね。 ○高橋室長補佐  上の2つについては、結局同じことなので、2つ合わせるようなイメージということです。 そういう意味で書き直させていただきますし、下の2つの○につきましても、今ご議論いただ いたように、主たる研究機関という概念を入れまして、文言を少し考えまして、次回にまたお 示しさせていただきたいと思います。 ○笹月座長  12ページの最後の○は、前、当然だとして認めたことではないんですか。研究実施機関の 研究計画について、各研究実施機関の倫理委員会において審査することとするかというのは。 そのために倫理審査委員会を各研究実施機関はつくるわけですから、当然そこは審査するわけ でしょう。 ○後藤委員  よろしいですか。 ○笹月座長  はい。 ○後藤委員  先ほど互いに審査するというようなことを言われたものですからちょっと気になったんです が、互いに審査するということはあり得ないと思うので、むしろ、各機関が、統括者がその統 括者の研究機関で倫理審査を通ったら、例えば、どこどこ大学は通ったら、ほかの大学が別個 に自分たちの分担のものと、全体像を参考にしながら自分たちの仕事を倫理審査委員会で審査 するということであって、互いにということはないと思うんですけど、互いに審査し合うとい うことはないと。 ○笹月座長  互いにというようなことは、そもそもあまり議論してないと思いますから、出てきてないと 思いますけど。何度も私が繰り返しますように、主たるところがきっちりやって、その共同研 究機関は自分のやるところをしっかりやります。だけども、自分たちが属するプロジェクトそ のものがサイエンティフィックにちゃんとしているのか、倫理的にちゃんとしているのかは当 然知るべきでから、その点はちゃんと見ますよという、これに尽きると思うんです。同じこと を何遍も言いましたけど。 ○石原委員  最終的に最後のマルについて確認をしたいんですけれども、要するに、「共同研究を行う研 究実施機関の研究計画について」というのは、例えば主と従があるとしますと、従のほうも主 のやることについて各倫理委員会で審査するように読めてしまうんですね、この文章は。 ○笹月座長  だから、こんなのは要らないと思うんですよ。要するに、このプロジェクトについては各共 同研究機関も倫理審査委員会を持つべきであると。主たるところが全部をやります。それから、 その他の共同機関は自分のところを中心に。だけども、全貌がきちんとしているかどうかも、 もちろん見ますと。そういうことでしょう、やってほしいことは。そうじゃないんですか。 ○高橋室長補佐  そうです。やっていただきたいことは、そういう趣旨でございます。 ○中辻委員  ただ、何人かの方が懸念されているのは、それを文言で書いてないと、安全なように、安全 なようにということで、全部お互いにチェックをしなきゃいけなくなってしまうということに なる。 ○笹月座長  いやいや、だから、ここは全部、倫理審査のあり方という形でもう一回まとめ直していただ けますか。 ○高橋室長補佐  そのように修正させていただきます。 ○吉村委員  研究計画の審査の手続きというところなんですけれども、共同研究ももちろん今のお話のよ うに大事だと思うんですが、研究機関と提供機関が別の場合、これは具体的に8ページに書い てありますけれども、提供機関の倫理審査委員会が大切になると思うんですね。先ほどの、例 えば4ページに書かれたような、主査からこれは何を説明するんですかというようなことの質 問もあったんですけど、胚の作成に用いられるヒト配偶子に関する説明などは、提供機関の倫 理審査委員会で十分検討されることだと思うんですね。おそらくこれはES細胞指針をもとに してつくられていると思うんですけど、生殖補助医療の研究に関しては、新しい配偶子を使っ て胚がつくられるというところは全然違いますので、提供機関からどのようにして配偶子をい ただくかということは極めて重要なことなので、ESとは分けて考えられたほうがいいのでは ないかなということをちょっと思いました。 ○高木委員  私も、提供機関は、主たる研究機関がどういうことをやるかということに関して、倫理委員 会が言及していいと思うんです。ですので、提供機関のほうは、出された研究に関して、きっ ちりと審査する。Bは、Aがどういうことをやるかを全部倫理委員会で把握した上でオーケー を出さないと、やっぱりおかしいわけです。 ○笹月座長  もちろんそうです。 ○高木委員  そういうことですよね。だから、部分的にと聞こえたのが、全部を、ある意味互いに監視す るという形になってしまうんじゃないか……。 ○笹月座長  監視というよりも……。 ○高木委員  監視という言い方はおかしいですけれども。 ○笹月座長  私、何度も言いますように、プロジェクト自身がほんとうに科学的に根拠がある研究である かどうか、そして、それが倫理的・社会的に受け入れられる研究であるかどうか、それを主た る研究機関がしっかりやって、そして出しますね。そうしたら、分担しているところは、自分 のところのをしっかり見るんだけれども、自分が属する研究プロジェクトそのものがサイエン ティフィックにほんとうに大丈夫なのか、社会的・倫理的に大丈夫か、当然それは見る。だか ら、いろんなことを言うのでわからなくなるとすれば、みんなしっかりやりますということで す。こっちはこの程度でいいとか言い出すとまた誤解を生じますので、それぞれ科学的・社会 的・倫理的・法的に大丈夫かということは、すべての倫理委員会がきちんとそのプロジェクト の全貌を見なければいけない。それはあまり個々のことを述べる必要はないと思うんですね。  ということでよろしゅうございますか。  それでは、一応この4−1については、これでよろしいですかね。4ページの○は依然とし て残っていますが、これは国の関与のあり方ということもあるので先へあれするとして、その 次、4−2というのはその図ですね。  それでは、議事の(3)、配偶子の入手方法、インフォームド・コンセントのあり方について。 これも事務局でたたき台を準備していただいておりますので、ご説明、よろしくお願いいたし ます。 ○高橋室長補佐  それでは、資料5をごらんいただければと思います。今回初めてごらんに入れる資料でござ いますけれども、インフォームド・コンセントの議論に先立ちまして、まずは配偶子の入手方 法について考え方を整理してはいかがかと思いまして、資料をご用意させていただきました。  1.の配偶子の入手のあり方についてでございますけれども、ここにはまず配偶子に対する考 え方を書かせていただきまして、ポツに書いてございますけれども、卵子の採取につきまして は、精子の採取よりも肉体的・精神的な負担が大きく、一度に採取できる数などに違いがある と考えられることから、その提供の際には、より慎重な配慮が必要であると考えられる。  こちらの資料4−1の今ほどご議論いただきました手続きの資料におきましても、卵子と精 子は概念的に区別すべきではないけれども、実際には採取における身体的・精神的負担、一度 に採取できる数などに違いがあるということで、医療の過程における配偶子の提供の手続きに ついては、卵子、精子を区別して議論するというふうな整理にしてございます。  なお、総合科学技術会議の意見「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」におきましては、 精子の入手のあり方につきましては、特段意見が記述されておりません。そういった前提のも とで議論を進めさせていただければと考えております。  1枚めくっていただきまして、最初に、今申し上げました考え方に基づきまして、主に未受 精卵の入手について、先に議論を進めさせていただければと思っております。  2ポツの未受精卵の入手についてでございますけれども、総合科学技術会議の意見におきま しては、未受精卵の女性からの採取には、提供する女性の肉体的侵襲や精神的負担が伴う。未 受精卵の採取が拡大し、広範に行われるようになれば、人間の道具化・手段化といった懸念も 強まる。未受精卵の入手については個々の研究において必要最小限の範囲に制限し、みだりに 未受精卵を採取することを防止しなければならないというふうに述べられております。また、 同意見におきまして、ヒト受精胚の取扱いのための具体的遵守事項として、未受精卵の無償提 供等を定める必要がある、としております。  ○でご議論いただきたいところなんでございますが、こういった考え方に基づきまして、未 受精卵の研究への提供については無償としてよろしいかと。  それから、下の黒ポツでございますけれども、また、無償の場合であったとしても、同意見 において、いわゆる無償ボランティアからの未受精卵の採取については、自発的な提供を望む 気持ちはとうといものとして尊重するとしても、一方で、関係者等である女性に未受精卵の提 供が過大に期待される環境が形成され、本当の意味での自由意思からの提供とならない場合も 考えられるため、原則認めるべきではないというふうに書かれております。  これにつきましても○にさせていただいておりまして、このような考え方に基づいて、いわ ゆる無償ボランティアからの研究目的での未受精卵の採取は認めないとするかという論点を挙 げさせていただいております。  ここで一たん……。 ○笹月座長  1つ1つやりましょう。  それでは、ただいまの未受精卵の入手について、総合科学技術会議からの意見、それから、 私どももこの委員会でかなり議論をしてまいりましたのでよくご理解いただいていると思いま すが、○の、上記の考え方に基づき、未受精卵の研究への提供については無償とするかという ことで、無償とするということでよろしいでしょうか。よろしいですね。  ありがとうございます。  じゃあ、無償であって、今度はボランティアが登場した場合に、それは認めるかどうかとい うことですが、ここにありますように、その気持ちというか、ボランティアの精神はとうとい としても、関係者など女性に未受精卵の提供が過大に期待される環境が形成され云々と。ここ では、無償ボランティアからの研究目的での未受精卵の採取は認めないと。よろしいでしょうか。  どうぞ。 ○加藤委員  これは、無償ボランティアがもしほんとうに無償でボランティアであるならば認められるべ きだけれども、そういうルートをつくると、それが必ず乱用されて自発性がむしろ尊重されな いような条件がつくられるから禁止すると、そういう趣旨ですね。 ○笹月座長  そういう論調です。 ○加藤委員  そういう趣旨であるということをまず確認したいと思うんですけれども、そうすると、例え ば、関係者等である女性に未受精卵の提供が過大に期待されるというけれども、関係者でない 人の場合も禁止するという理由は成り立たなくなるんじゃないかと思いますけど。 ○笹月座長  結局、ボランティアのボランティアたるところが、自発的意思というのがはかりようがない といいますか、何らかの影響を受けたのではないかと言われると、これははかりようがないと いうことになりますね。自由意思による提供ということをどこまで確認できるかという一つ悩 ましい問題があるというのが、一つだと思いますね。 ○高木委員  ちょっと前知識としてお伺いしたいんですけれども、最近、以前と違って、子宮に戻せるだ けぐらいの卵子しかつくらないという排卵方法に変わってきていると聞いたんですが、今は。 以前は排卵誘発剤でたくさん卵子をつくっていたのが、そうでなくなっているという。 ○笹月座長  石原委員、どうぞ。 ○石原委員  日本産婦人科学会のほうで、ことし4月1日から、子宮に戻す胚の数を、35歳より下の年 齢の方という枠はついておりますが、あるいは2回目まででありますが、原則1個にすると。 世界中において移植胚数をできる限り減らしていこうという動きがあることは事実でありまし て、それは多胎妊娠などをできる限り減らそうという動機があるわけでありますが、それに 伴って、必要とされる卵子数というのが以前ほど多くないことは事実です。したがって、流れ として、排卵誘発、卵巣刺激などに使う薬の量は減っている、あるいは方法が変化していると いう事実があります。そのことは一方で、残る、移植されない胚の数を無用に多くしたくない という意味も同時に伴ってくると。そういう事実はあると思います。 ○笹月座長  どうぞ。 ○安達委員  ちょっと確認なんですけど、無償ボランティアの定義は、治療のためというのを入れないと いう理解でよろしゅうございますか。 ○笹月主査  そうですね。 ○安達委員  生殖補助医療としての治療じゃないんですけど、例えば多嚢胞性卵巣症候群とか、そういう ものがあって、腹腔鏡などで卵巣の表面を削ったり穴あけたりしたときに卵胞を一緒に穿刺し たりします。そのとき吸い上げた卵というのは、捨てちゃうというか、卵子が入っているかど うかということも別に検索しないで捨ててしまうんですが、そういうものは無償ボランティア とは言わないという理解でよろしいんですか。 ○笹月座長  それは今まで議論はしてないと思いますけど、例えば治療のためにとった卵巣から卵をとる 場合にはインフォームド・コンセントを得てみたいな議論をしましたよね。だから、今の医療 の範疇に入れば、そういうものも広い意味で入ってくるのかもしれませんね。ただ、具体的に そういう例としては議論してないですが。 ○安達委員  自分が不妊症の治療に使おうと思って卵子をとってもらったというものは無償ボランティア とは言わないと思うんですけれども、今のも無償ボランティアと言わないというような判断で よろしいんでしょうか。 ○笹月座長  そういうふうに定義する無償ボランティアということでくくるのか、それとも医療行為で、 今のは診断とか治療とかの医療行為で手にした卵巣の一部に卵が入っているかもしれないと。 その卵についてはどうしますかというのは、いわゆる病気の治療として卵巣からの卵の採取と いうことは議論しましたけれども、今のはちょっと具体的には入ってこなかったので、それは 議論してもいいかと思います。 ○吉村委員  通常は、そういったものは無償ボランティアには入らないと思いますね。無償ボランティア と言う場合には、この研究目的のために未受精卵をいただく、これが無償ボランティアだと、 私は思うんですね。例えば卵巣がんの一部で卵巣をとってくる、その場合と変わらないと、そ ういう認識をしているんですけど。 ○笹月座長  だから、無償ボランティアというカテゴリーをそこに導入せずに、医療行為で手にした卵巣 の一部の卵をどうするかと、そっちのカテゴリーに入れるべきものだと思います。 ○加藤委員  そうすると、この無償ボランティアというのは、金銭的な報酬が伴わない場合というのと同 時に、提供者自身が治療目的で卵子を採取した場合は除くという、そういう趣旨ですね。全然 関係ない人が、私、研究に協力しますって提供する場合。だから、無償と書いてあるけど、実 は2つ条件が入っているんですね。 ○笹月座長  ボランティアというと……。 ○加藤委員  治療目的ではないということですね。 ○笹月座長  そうですね。 ○梅澤母子保健課長補佐  先ほどの安達委員のことに関しましては、事務局としても、同じ資料5の8ページの真ん中 あたりの3)の手術等で摘出された卵巣又は卵巣切片からの提供、確かに、Polycystic Ovaryの フルードは、卵巣でもないし、卵巣切片ではございませんけれども、(1)の婦人科疾患等の手術 により摘出された卵巣又は卵巣切片の次の●のところに含まれるというふうに理解しております。 ○笹月座長  それが、私が先ほど申したことなんです。それがいいと思います。  もとに戻りまして、要するに無償ボランティアというものは認めないということでよろしい かどうかというところでご意見をいただければ。 ○石原委員  これは個人的な意見ですので、最終的なことに反映されるかどうかは別問題といたしまして、 私は、未受精卵を提供していただく中で最もいろいろな倫理的な問題が小さいのは、ほんとう に純然たる無償ボランティアがいるのであれば、そういう方であろうというふうに、いまだに 信じております。それが私の意見です。 ○笹月座長  ただ、その場合に、純然たるボランティアというところの判定が非常に難しいというのが、 悩ましいところなんですね。 ○中辻委員  私も石原委員と同じで、結論は全く医療行為を受けてない人からのボランティアは認めない ということになるかもしれないんですけど、ただ、この書き方の理由としては、私としては自 分の考えにそぐわなくて、ほんとうに自発的に提供したいということであれば、それは認める べきだと思うんですが、多分、この文章に書いてないのは、要するに、全く医療行為を受けて いなくて、何のリスクも負ってない健康な女性がわざわざそういうことを申し出たときにそこ まで十分チェックできるかどうかという問題があって、この後出るんでしょうけど、もし実際 に不妊治療を受けている女性の医療行為の中で適切に提供されるものがあれば、そちらのほう がいろんな危険が少ないんじゃないかという、そういう考え方のもとで無償ボランティアは認 めないということになっているんだと思うんです。 ○笹月座長  いや、これは、こうしますかというものであって、認めないと言っているわけじゃないので、 これはここでの議論で決めていただければいい。 ○中辻委員  だから、ちょっとこれも、ある意味では無償ボランティアになろうという女性をばかにして いるということでもあるわけですね。その方たちは自分で判断できないんでしょうか。パター ナリズムの一種だということを言われてしまいますね。 ○笹月座長  まあ、そういう気持ちもありますわね。 ○木下委員  すべてを規定してしまうということはどうかなという理由の一つは、将来的に我が国で、若い 人が未受精卵をとっておいて、凍結しておいて、ほかのところで研究が進んできて、受精能力 を持つような卵子、そういったことができるようになった段階では、社会的・倫理的に許され るかは別としましても、30代、40代になってからそれを使いたいと言ってくる可能性とい うものは将来あり得はしないかということであるだけに、すべてこういった未受精卵は特殊な 状況でしかとれないというよりは、表現はちょっと難しいんですけど、どこかで残しておくの も大事ではないかなという気がするんです。そういう時代になったら変えればいいんだという ことであれば別ですが、そういうことも可能性としてあるんじゃないかと思うんですが、どう でしょうか。 ○笹月座長  先生のおっしゃるのは、自分の子供を得るときに、若い時代の卵がよかろうという、例えば そういうことですね。 ○木下委員  そうです。例えば、正直言って43歳、44歳になってきたら残念ながら子供をつくること は現実的に難しいとすると、社会的にはなかなか卵をとっておくというのは難しい時代ではあ りますけれども、とっておいて、45ぐらいになってからということもあり得る時代じゃない かと思うので、そういったことの可能性も残すのは大事じゃないかと思うんですが。 ○笹月座長  これは研究目的ですし、先生がおっしゃるのは別ですから、それは、ここで縛ったからといっ て、そちらが縛られることはないと思うんですね。 ○木下委員  未受精卵の入手という幅広いカテゴリーの中に入っちゃいやしないかなと思ったんですけれ ども。 ○笹月座長  研究目的での未受精卵の採取は認めないと。 ○木下委員  そういえば、そうなのかな。わかりました。 ○笹月座長  それでよろしいかどうかということで、どうぞご議論を。 ○加藤委員  私、この文章は、原則的に反対です。つまり、「関係者等である女性に未受精卵の提供が過 大に期待される環境が形成され、本当の意味での自由意思からの提供とならない場合も考えら れるため、原則、認めるべきではない」という、この文章全体が論理的に整合的でないので、 こういう文章を原則として残すと、この解釈をめぐってもめた場合、これは判の決着の根拠に ならない、あいまいであるという理由で、この文章は原則として採用できないと思います。 ○笹月座長  この長い文章を根拠に認めないと言っちゃうと、先生おっしゃるようなことかもしれません が、いかがですか、ほかの委員の方。  もう一つの視点は、ボランティアを募って集めなければいけないほど、未受精卵が足りない のか。その視点はどうでしょうか。 ○吉村委員  それはないと思います。未受精卵を得ることはなかなかできないと思いますけど。 ○笹月座長  だから、未受精卵は足りない。 ○吉村委員  足りない。未受精卵はほとんど不可能だと。未受精卵を使って受精の研究は皆無と言っても いいくらいですから。 ○笹月座長  だから、無償ボランティアがぜひ欲しいと。 ○吉村委員  それは私が判断するべき問題ではない。皆さんが判断されればいいんですが、未受精卵を得 ることは、難しいと思います。現実においてはですよ。現実の医療で未受精卵をいかにしてい ただくかということは、かなり難しい問題だと思います。ですから、皆さん、いろんな意味で ご苦労されているんだと思います。 ○加藤委員  フレッシュな未受精卵が必要だという、研究に役立つという意味もあるんじゃないですか。 ○石原委員  現在、入手の可能性があるとして、ここに挙げられている、例えば不妊症の治療を受けてい る患者さんからいただくとか、摘出された標本からいただくとか、そういうオルタナティブは 出ているわけですが、現実にそこには2つの問題があって、1つは、そういう患者さんから得 られる未受精卵子というのが、研究に使うのに耐える、あるいは適切なものであるかという問 題が1つと、もう1つは、特に治療を受けていらっしゃる方からその卵子をもらうということ 自体が、倫理的にそういうことをして許されることなのか、その2つの問題があって、現実に は、これまでも行われておりませんし、今後も行われる可能性はあまりないわけですね。した がって、残されている可能性のあるルートは、無償ボランティアぐらいしかないのではないか。 それはなぜかというと、今申し上げましたような点での倫理的な問題点というのが、私の観点 ではほとんどないだろうと。本人がほんとうに自発的にボランティアとして提供したいという のであれば、そういった意味での倫理的な問題点は少ないのではないかと。比較的の話ですが、 そういう意味で申し上げた次第です。  以上です。 ○笹月座長  ほかの委員の方、いかがでしょうか。どうぞ。 ○鈴木委員  1つ確認なんですが、この黒ポツは総合科学技術会議の報告からそのまま引っ張ってきた文 章なわけですよね。 ○加藤委員  だれが書いたのか。 ○鈴木委員  もともと変だということなのかもしれませんが。おそらく、関係者等であるというような話 は、例えばクローン胚をつくろうとしたときには、いわゆる難病、自分の家族が難病であると いうようなときで、わりと直接的にその家族なりということが関係していたがゆえにこの関係 者等という話も入ってきたと思うんですけれども、今回の胚を作成する生殖補助医療研究に関 しては、その人に直接それがそのまま返ってくるというような研究では全然ないわけですよね。 そういう意味では、関係者等というところの、いわゆる家族関係からのプレッシャーみたいな ことを懸念した文章であるとは思うんですけれども、こちらの委員会での議論には、これはあ まり当てはまらないのではないかなということを感じます。  2点目に、自由意思云々も大事なんですけれども、結局、卵子を売買というか、売買の対象 にしてはならないということも一つのポイントだったと思うんですね。つまり、お金のために 卵子を研究に差し出しますよということは避けたいというのも、無償というふうになったとこ ろの大きな理由だったのではないかと思うんです。ですから、先ほどから石原委員、加藤委員 がおっしゃっていたように、むしろポイントは無償であるということが多分一つ大事な点なの であって、そのことがきちんと担保されているのであれば、それこそ自発意思でボランティア で研究のために提供しますということはものすごい決断の上になされたお話であろうというの が、おそらく石原委員なり中辻委員なりのおっしゃっているようなボランティアのイメージで あろうと私思うのですが、それは非常に理解はできますというふうに思うんです。  だから、この総合科学技術会議の文章をここにこのまま持ってくるのはちょっとまずいんじゃ ないかという気がしますが。 ○笹月座長  これは、総合科学技術会議でこう言っているからこうしましょうという意味じゃなくて、ち なみに総合科学技術会議はこう言っていますという、その程度にとっていただければと思いま す。すべて、これまで出てきたのはそうですけれども。  それと、自発的、あるいはボランティアというのは、よっぽどそのニーズがあるということ を国民を知らないことには、そういうことはあり得ませんよね。だから、それこそそういう情 報をどんどん出して啓発してということになるのか。何か難しい気がいたしますね。例えば、 骨髄移植で白血病の患者がこれほど助かるということをあれほど言っても、なかなかボランティ アで充足するというのは難しい、目標がなかなか達成できないという状況なので、それはここ で認める認めないの問題じゃないんですけれども、一般的には、まずニーズがないのにボラン ティアが出てくるということはあり得ませんよね。それを十分理解して初めて、それなら私が 提供しましょうということになるわけだから、社会的にそういう分野がよほど周知されない限 りは、ボランティアに頼るということがほんとうに現実的に起こり得るのかどうかという気も いたしますね。 ○木下委員  私も全く、今、石原先生や私が未受精卵を手に入れることは極めて難しいし、ほとんど無理 だというのは当然の話で、有償であるならば話は別だろうと思いますけど、現実的に有償でな いということが大原則でありますから、そうなると、自分が研究者であって、自分の卵子を提 供したいと。いろいろするということはありますけど、そうならあり得るかもしれませんが、 そうじゃない、一般的に広げたときには、まず無理だと思いますね。ですから、今、先生がこ れは残せとおっしゃった理由は、確かに思想としてはわかるんでありますけれども、無償とい うふうなことが続く限りにおいては、永遠にこれは、研究に資するだけの数をとるためのとい うことになったら、それは無理だろうと思うので、現実的に研究になったら、それ以外にどう いう場合だったらとれるかということに尽きるんだと思うので、そっちのほうにむしろ、ほん とうにとっていくためには、それをいかに活用するかということのほうが現実的な対応で、無 理なものを一生懸命条件をつくることによってやらせようというのは無理な話で、もうちょっ と建設的な議論をしたほうがいいと思います。というような感覚を持っております。  ですから、もう一つの考え方は、我が国ではだめだと。じゃあ、よその国に行って有償でた くさん集めて、日本に帰って研究していいか。そういったようなことは許されるのか。少なく とも我が国ではだめだというふうなことであるならば、もっと現実的なことのほうがという思 いがございます。 ○笹月座長  ありがとうございます。 ○高木委員  この前、総合科学技術会議のクローン胚の議論の中で、自分の卵子をとって研究したい場合 も規制されるのかみたいなことを言っている研究者がいるけど、それは話し合ったのかとかと いう意見が出ていたんです。そんな話はクローン胚のときはしていません。研究者が、自分の 卵子を使って自分で研究していいかどうかということも、考えておく必要があるかもしれません。 ○中辻委員  無償ボランティアにしても、おいそれとは来ないのであれば、別に道を残しても被害はない かと思います。(笑)確かに無償というのを、実は国際幹細胞学会で卵子提供のことを話した ときに、意見はいろいろ違うんですけれども、最低限、例えば無償ボランティアの場合に、その 処置を受けるためにかかる経費がありますね。交通費なり、それの経費。それはやはりサポート すべきだというふうなこととか、さらに言えば、例えば日当とかという話もあり得るんです。 ですから、指針をつくって、実際、研究ができないのであれば、何のためにやっていたかとい うことになるわけですね。ですから、現場のほうの意見を聞いて、この道も残しておかなけれ ば絶対に不可能であれば、どうやって残すかを考えるべきだと思うんです。  例えばある注目される研究が進むというと、提供したいという人が列をなすようなことだっ て起き得るわけですね。これによって新しい不妊治療が非常に進むなんていうことになれば提 供者がふえることもあり得るわけで、その道を完全に閉ざしてしまえば、あと10年ぐらい閉 じてしまうわけですね。ですから、問題があまり起きないのであれば、道は残すべきかなと思 います。 ○安達委員  もう1つ質問していいですか。 ○笹月座長  どうぞ。 ○安達委員  もしこの道を残すとしますと、自然の状態で無償ボランティアから採卵するというふうな ニュアンスですよね。例えば、無償ボランティアでどうぞといったときに、通常だと発育卵胞 の一番大きいのを1個しかとらないんですけれども、せっかくですからといって排卵誘発剤を 飲んでもらうとか、注射をしてもらうとか、それを本人が承知すれば、それも無償ボランティア でいいんですか。 ○笹月座長  無償ボランティアに入るんじゃないですか、それも。 ○安達委員  そういうふうな人為的な、肉体的な侵襲を少し加える……。そういうようなことをしても いいという、そういうふうな理解でよろしいんですね。 ○笹月座長  いやいや、いいと言っているんじゃなくて、無償ボランティアってそういうことも含まれるん じゃないかと。 ○水野委員  私はやはり、この原案で、認めないほうがいいのではないかと思います。先ほど女性の研究 者が自分の卵子を使ってという設例がありましたけれども、それよりもっと可能性が高いリスク 例は、韓国であったように研究をする先生の周囲の女性たちが無償ボランティアになることで はないかと思います。そのリスクと、この道を開いておいて、ほんとうに心からなるボランティ アが出てくる可能性と、どちらをとるかということですけれども、やはりそのリスクを抑える ほうがよいでしょう。あとは、先ほど木下委員がおっしゃったように、それ以外の道ですね。 特に(4)などの、未受精卵子を凍結できるようになりましたから、白血病の患者さんなどがとっ ておきたいというニーズもどんどん出てくることになりますと、そちらのほうの現実かを追求 していくほうがいいのではないでしょうか。そして、将来的には、すべて封じるというわけで はなくて、例えば画期的な研究が進んで、これでもし未受精卵子のボランティアを募ることに よって非常にすばらしいことがあるんだということであれば、そのときに改めてその研究につ いて解除をするということを考えればいいのではないか思います。今、解禁すると非常にリス クが高い。そちらの危険性が高い気がいたします。 ○笹月座長  ほかの方、いかがでしょうか。 ○鈴木委員  先ほどの自分の卵子で研究という話でちょっと考えたんですけれども、卵子や胚は買えます よね、海外から。精子も輸入することはできますので、その辺は、例えばほかのところでは、 議論はどうなっていたりするのでしょうか。そういうものは研究に使ってはいけないとか、 何か文書があったりするのでしょうか。少なくとも精子は、海外の精子バンクから、アメリカ の精子バンクから輸入して、日本で生殖目的で行っているところが過去あったのは知っていま すし、そういう例はありましたし、その辺はいかがでしょうか。 ○笹月座長  ちょっと時間がなくなってきましたから、最終的にこれは、議論はここで終わるというより は、次回までということにしますか。もう、認めないということで……。 ○加藤委員  この文章をもし書き直すとすれば、不必要な侵襲を加えることがあってはならないというこ とと、それから、女性に対して精神的な圧力を加えることはないように配慮をしなきゃならな いと、そういうただし書きはどっちみち必要になるんじゃないかと思います。ただ、一律に初 めから全部禁止しておくというのではなくて、応募者はいないかもしれないけれども道は残し ておいて、ただし、こういう弊害については十分配慮をしなきゃならないという、そういう趣 旨に書きかえるべきだと思います。 ○笹月座長  そうすると、今、加藤委員は、無償ボランティアは認めるけれども、こういう条件のもとに と、そういうことですね。 ○加藤委員  はい。 ○笹月座長  ほかの方はいかがでしょうか。 ○石原委員  私は、先ほど申し上げたとおり、無償ボランティアは認めたほうがいいと思います。 ○笹月座長  だから、私がさっき申しましたように、社会的なニーズがどれぐらいあるのかということは、 ほんとうは非常に重要なファクターだと思うんですね。無償ボランティアなんかに頼らなくて も、たくさん、いろんな形で手に入りますよということであれば無償ボランティアなんていう ような言葉は出てこないし、それから、生殖補助医療というものの重要性、それにおける未受 精卵の重要性、そして、それが手に入らないという、もろもろのことがないと、ボランティア なんていうのは出てきませんよね。ですから、そこのところを無視して無償ボランティアがい いかどうかだけでは、先生おっしゃるように現実的な議論になかなかならないんじゃないかと 思う。  ところが、ニーズがあるから許すんだというと、これまたおかしな話で、ニーズはあっても、 かくかくしかじかだめなんだというのは、当然出てくるわけですからね。だけども、ニーズが ないとなると議論をする必要もないわけで、吉村先生も私がお伺いしたら自分は云々とおっ しゃっているんだけれども、ほんとうは、例えば産婦人科で現実的に生殖補助医療を何とかや りたいと、そして研究を推進したいという人たちがどれほど未受精卵を熱望しているのかみた いなことがない限りは、議論の俎上にはのらないんじゃないかと思うんですけど。 ○吉村委員  先生おっしゃるとおりで、よくわかります。そうしますと、この委員会自体もやる必要がな くなるということになりますね。この委員会は、生殖補助医療の研究のためにつくった委員会 ですね。受精卵を作成してよろしいと。そして、それを研究のために作成していいですよと。 ということは、その必要性を認めているから、この委員会は設置されたんですね。 ○笹月座長  ええ、そこはいい。 ○吉村委員  そこは、ニーズはありますね。 ○笹月座長  いや、その先ですよ。未受精卵を入手することがいかに困難で、それを熱望する……。 ○吉村委員  それは、先生、未受精卵を入手することは困難。例えば、先ほど木下先生もおっしゃいまし たけど、今、卵子保存が行われるようになってきましたね。10年、20年先に凍結の未受精 卵が研究のために使われるようになるでしょう。その研究が必要であることだけは事実ですし、 ニーズはあると思うんです。ところが、どうやってその未受精卵を得ていくかということに対 して、無償ボランティアからいただくかどうかということが極めて重要になる。要するに、研 究に使える未受精卵というのは今のところないという理解でいいと思うんですね。卵子は常に 受精をさせて、赤ちゃんをつくるためのものですから、未受精卵を研究のためにとってくるこ となんてありません。まさに患者さんが妊娠するように一生懸命未受精卵をいただいてくるわ けですね。今までは、できた受精卵で赤ちゃんができて、この受精卵を研究に使わせてくださ いと、もうこれは廃棄するわけですから使わせてくださいということで受精卵を使わせていた だいているという現状であって、未受精卵が余っているということはない。ニーズは絶対ある と思うんですが、無償ボランティアを許していいのかどうかという問題を、要するに皆さんの ご意見を伺えればいいと。  ボランティアに関しては、無償ボランティアというのは難しい。クローン胚のときも言った んですけど、どうして有償ボランティアが許されないのかと。かえって有償ボランティアのほ うがすっきりしているし、金額をしっかり決めて、例えば、提供してくださる方に幾ら幾ら交 通費をお払いし、日当をお払いし、来ていただくというほうが、クローン胚研究もいいと、個 人的には思っています。そのほうが、韓国のような無償ボランティアで圧力がかかったりとか、 そういったことはなくなるのではないか。要するに、治験に来ていただくときにも、毎日お金 を払っているわけですね。例えば、3,000円とか、5,000円とか、病院によって違いま すけど、そういった金額をしっかり決めることによって、協力していただいているのです。で すから、無償ボランティアというのは、耳ざわりは非常にいいんですけれども、逆に危険なと ころもあると思います。 ○笹月座長  問題がもう1つ提示されたのであれですが、例えば、かつて売血というのがありましたね。 血液を売る。売血はよろしくないと。献血ですと。努力を一生懸命して、やっと献血というこ とになった。それから、骨髄移植の骨髄の提供もそうですね。それから、腎の提供、そういう のももちろん無償ですね。要するに、自分のものだから自分で勝手に売っていいだろうという ことに対しては、アゲインストの、すべてプリンシプルとしてはそうなっていますね。そのと きに、卵が忽然として有償だと、100万円出しますということがアクセプタブルなのかどうか。 ○吉村委員  社会がアクセプタブルかどうかということは問題です。ただ、ボランティアをやるならば、 有償でしかできないでしょうと。要するにそういった考え方であると。 ○笹月座長  時間が過ぎましたので、きょう結論を出すわけにはいきませんから、今のテーマを十分考え ていただいて、結局、残されたのは、そこが一番大事なところで、あとはインフォームド・ コンセント云々ですので、大体手続き論的なところだと思います。これを次回までに十分お考 えいただければと思いますが。 ○長野安全対策官  いわゆる無償ボランティアの議論は、また事務局のほうでも整理させていただいて、改めて ご議論いただくということでよろしいかと思いますが、この資料5で、その次のところで未受 精卵の提供が認められる要件以下のところについて簡単に事務局から説明させていただいて、 ご議論していただければというふうに思います。この資料そのものでは、配偶子の入手方法、 入手のあり方ということについて、それぞれの提供の場合分けについては以前の委員会でご議 論いただいて合意いただいたところですけれども、先ほどの無償ボランティアも含めてですが、 この後の部分についても若干、総論的な部分、基本的な考え方の部分でご確認いただきたいと いうところがございますので、そのことについて若干ご議論いただければというふうに思います。 ○高橋室長補佐  そうしましたら、同じ資料5の3ポツの部分だけ、3ページの1枚分だけ、ちょっと説明さ せていただいて……。 ○笹月座長  そうですね。この3を説明していただいてということにしましょう。それで一応、この資料5 は終わりになるわけですからね。 ○高橋室長補佐  そうですね。 ○笹月座長  わかりました。 ○高橋室長補佐  そうしましたら、3ポツの未受精卵の提供が認められる要件について、簡単にご説明申し 上げます。  総合科学技術会議の意見におきましては、未受精卵の入手の場合といたしまして、次の4つ があり得るとしております。生殖補助医療目的で採取された未受精卵の一部利用、手術等によ り摘出された卵巣や卵巣切片からの採取、媒精したものの受精に至らなかった非受精卵の利用、 卵子保存の目的で作成された凍結未受精卵の不要化に伴う利用等となっております。  こういった考え方を整理いたしまして、ヒト受精胚の作成を伴う研究への提供が認められる 未受精卵といたしましては、i)以後、生殖補助医療に用いる予定がなく、かつ本人の自由意 思によるインフォームド・コンセントが適切に得られたものと考えられまして、今申し上げま した(1)から(4)はそれに当てはまると考えてよろしいかどうかという論点を挙げさせていただい ております。  それから、その下に黒ポツがございますけれども、これは黒ポツではございませんで、その ○の論点に対するただし書きといたしまして書いてございます。ですので、黒ポツは消してい ただければと思います。  ただし書きといたしまして、(1)の生殖補助医療目的で採取された未受精卵の一部利用と申し ますのは、3パターン考えられますと。そのうちの1つが、形態学的な異常により生殖補助医 療に用いられなかった未受精卵を研究に利用する場合。それから、形態学的な異常はないが、 精子等の理由で生殖補助医療に用いられなかった未受精卵を研究に利用する場合。それから 3番目といたしまして、生殖補助医療目的で採取する未受精卵の一部を、自発的な申し出によ り、生殖補助医療に用いず、研究に利用する場合。この3つが考えられますけれども、上の(1)−1 及び(1)−2は、非受精卵に準ずると考えられますと。それから、(1)−3につきましては、本人 の自発的な申し出ということですので、生殖補助医療目的で採取された未受精卵の一部を生殖 補助医療に用いないことが確認されるということで、上記のi)とii)を満たすと考えられる、 こういった考え方でよろしいかどうかということをご議論いただければというふうに思います。  次のページにつきましても説明させていただきますけれども、(1)−3のような場合に、採取 された未受精卵のうち、研究に利用するものの選別については、グレードの低いものから順に 研究に利用するなどの配慮が必要であるとするかという論点を挙げさせていただいています。  それから、総合科学技術会議の意見におきまして、未受精卵の入手については、提供する女 性に精神的・肉体的な負担が生じるということで、その利用は個々の研究において必要最小限 の範囲に制限されるべきであり、そのための枠組みの整備が必要である。さらに、未受精卵を 提供する女性は、患者という自分の権利を主張しにくい弱い立場にあるということで、自由意 思によるインフォームド・コンセントの徹底、不必要な侵襲の防止等、その女性の保護を図る 枠組みの整備が必要であるというふうに述べられております。  以上を整理いたしまして、未受精卵の提供を受ける際の配慮事項といたしまして、3つ、 自由意思によるインフォームド・コンセントの徹底、未受精卵の採取は必要最小限の範囲とし、 肉体的侵襲や精神的負担は最小限にすること。それから、個人情報の保護を確保するというこ とでよろしいかどうかということを論点として挙げさせていただいております。  以上でございます。 ○笹月座長  先ほどのいわゆる無償ボランティアは認めるか認めないかということは、結論は出せません でしたけれども、それはちょっと横に置いて、それ以外に未受精卵を現実的に手にする方法は 何になるのかということになると思うんですね。総合科学技術会議の意見としては、(1)から(4) まで出しておりますと。しかしながら、もっとほかに何か可能性はないのかということで、産 科の先生方から何かご意見ございませんでしょうか。産科、婦人科の……。 ○長野安全対策官  事務局のほうから補足させていただきます。個別の未受精卵の入手方法、入手のあり方とい うことにつきましては、ここにあります総合科学技術会議の意見で(1)から(4)ございますけれども、 こういったことも眺めながら、この資料の6ページ以降になりますけれども、以前の委員会で 既にご議論いただいて合意いただいた内容でございます。これ、個別ケースでこういう場合は 認められるということで合意いただいたものではあるんですけれども、その全体がどういう考え 方で認めるということになるかという、そういうことについて若干整理させていただいたとい うものでございますので、そういった意味でごらんになっていただければというふうに思います。 ○笹月座長  私の質問はどういうふうになるんですか。ちょっと意味がよくわからなかった。要するに私 が知りたいのは、ここに書かれていること以外に、あるいはこれまで議論したこと以外に何か、 産科・婦人科の先生方から見て、こういう場合があり得るんじゃないかというふうなことがあ りませんかというのが、私の質問なんですけど。 ○中辻委員  それと、ここに書いてあるものは、可能性がほんとうにあるのかどうかというところも。 ○笹月座長  これをこれまで議論してきて、いかにも可能性があるので、じゃあ無償ボランティアなんか は要らないんじゃないかみたいなイメージで流れとしては来たような気もするので、もう一回、 可能性としてどんなものがあって、どれぐらいそれが現実的なものなのかと。 ○石原委員  口火を切るために一言言わせていただきますが、最初のところの(2)、(3)、(4)というのは、 かなり難しいということは以前にもこの会でかなり議論されていて、現実的に可能性があるの は、(1)が可能性としてはある。(2)というのは、手術により摘出する人というのは、ほとんど年 齢が高い人、あるいは悪性腫瘍でありますという話を以前申し上げたと思いますが、(3)につき ましては、そもそもこれは受精に至らないわけですから、正常の未受精卵ではない可能性が高 いであろうと。(4)については、先ほど吉村先生がおっしゃられたように、これは、実際に対象 となっている方は、未成年の方がほとんどであります。したがって、少なくとも10年ぐらい、 多分20年ぐらいは、現実には出てこないだろう。そうしますと(1)ということになるわけでご ざいますが、この下に(1)を(1)−1と(1)−2と(1)−3にしているわけでありますが、(1)−1はそ もそも異常卵でありますので、これは除外されるべきであると思いますが、そうすると、(1)−2 ということが起こった場合と(1)−3のような自発的な申し出があった場合というところで、私 が危惧しておりますのは(1)−3でありまして、これこそさっきの問題じゃないですか。自発的 な申し出というのがほんとうに自発的かどうかなんていうことを検証することはほとんど不可 能で、もしこれを考えていらっしゃるのであれば、僕は吉村先生の意見と全く同じで、これは、 有償でやらない限り、自発的だなどということを言うことは極めて難しい、非常に問題を中に 含んだ状況ではないかというふうに判断いたします。それが私の意見です。 ○吉村委員  クローン胚でも、未受精卵のについては十分に議論しました。ほとんどこれで言い尽くされ ていると思います。これをこれ以上議論するのは時間のむだかなという感じがいたします。  石原先生がおっしゃったことで、(1)−1、2、3ですけれども、ただ、クローン胚よりも、 生殖補助医療の研究においては、形態の悪いもの、受精しなかったもの、これらは、研究の余 地としてはあるんじゃないか。どうして受精しなかったのかといった研究に使えるのではない か。ということになりますと、クローン胚研究よりは意味があるのかなという感じもいたします。  それから、クローン胚で問題になったのは、3前核胚とか、そういった異常受精胚も問題に なりましたので、そういったものを入れておくと、どうして受精が起こらないかという研究は できてくるんじゃないかなと思います。石原委員がおっしゃったように、正常な未受精卵を得 ることは極めて困難という認識を先生が持っていただければよろしいかなと思います。 ○笹月座長  そうすると、自発的意思ということはほんとうに難しいと。認定も難しいし、ほんとうにそ ういうことがあり得るのかという状況を考えただけでも、難しい、非常にまれなことだと。 よっぽどそういうことを皆さんが認識しているという土壌がない限りボランティアなんていう のが出てくるはずはないですから、そういうことになると難しい。だから、むしろ無償ボラン ティアというところを一回外してしまって、要するに生殖補助医療目的で採取された未受精卵 の一部利用というところを、ほんとうにそれがぐあいが悪いのかどうかというところの議論が やっぱり必要なんじゃないんですか。無償ボランティアということから言えば、医師からの圧 迫があるだろう、自分が医療行為を受けているから自発的ではなかろうというから、自発意思 でなくて結構ですという、一回そういう頭にして考えてみるというのも、議論を進める上で参 考になるんじゃないか。それがいいと言っているんじゃなくて、そういうこともちょっと議論 する必要があるんじゃないかなと思います。 ○木下委員  生殖補助医療に資するような研究というものはものすごくいろんな研究があって、未受精卵 が足りないんだという状況じゃないわけですね。つまり、今ほんとうに何を求めて研究をして いるかという全体像を見て、世界中で見てそうなんですけど、どういうふうな部分でもっと積 極的にやっていくかというときに、(1)、(2)、(3)、(4)というのが現実的なものだとすると、その 枠の中でできることがまず第一だろうと思うんですが、ほんとうにフレッシュな未受精卵がど うしても必要だというのは、ちょっとくどいようでありますけれども、未成熟の卵をとってき て、それを成熟させて受精させるという研究は、全く手についてない。一部やっているかもし れませんけれども。そういうことをすることによって、対象となる若い諸君が、こういう目的 の研究をしたいんだけれども、それにはどうしてもフレッシュな未受精卵が必要なんだという ふうな研究目的がみんなに周知されたときには、中にはボランタリーに、それだったら将来の、 10年、20年先の自分のことを考えれば、やってもいいよという人が出てくるかもしれない わけですね。それは非常にピュアな気持ちで行くかもしれませんので、そういう意味で、先ほ ど来の無償のボランティアというのがだめというのではない道を残しておかないと、研究目的 が明確になって、一般の方たちもわかった上でだったらば、自分は参加していいと。先生が さっきおっしゃったような内容ですね。それによってはあり得る話だとすると、そういう道を 残した上でこの4つのことを今はできる範囲でやっておいた上で、そして、新たなところとい うのは、ほんとうに研究がどんどん進んでいって、このような研究のためにどうしても必要 なんだとなったときには、またこういったふうな手を使うというふうな、そういう時間的な経 過を見た上で考えていったらどうかなと思います。  ですから、おっしゃるとおり確かに未受精卵のフレッシュなのは得がたいのは事実でありま すけれども、現状としては、ほんとうにフレッシュな未受精卵が絶対に必要なんだという研究 は、今、正直なところ見えてこないだけに、あるとすれば話は別ですけれども、そのくらいの ステップを踏んだ上でということのほうがいい。だから、その意味では無償ボランティアのと ころはどうしても残しておいていただきたいなということが実はあるのでありますけれども、 そういった上でこの枠の中でどういうふうにするかというふうに考えたほうが、より現実的じゃ ないかと思います。 ○高木委員  採取する未受精卵の数を少なくするという方針の確認前のやり方だとたくさん摂取できたと いうのがあったのでしょうが・・・。そうすると、一部利用するとすると、また多く排卵誘発 剤をかけるということになってしまうのでしょうか。そうすると(1)もかなり難しいのかなと。 クローン胚のときは、有償については、治療費の一部負担などいろいろ話し合われたんです。 結局それも否定されたので、そこはもう、吉村委員がおっしゃていましたが、もう一回議論し てもあまり意味がないかなという気がしました。 ○秦委員  木下委員とほとんど同じような考え方なんですが、結局、どうしても未受精卵が欲しいとい うことになると、例えば(1)−3というのを根拠にしてやるという可能性があると思うんですね。 そうすると、原則を曲げて(1)−3を根拠にしてやるようなことを避けるような意味で、ボラン ティア、有償か無償かというのは非常に難しい問題だと思いますけど、僕は、ボランティアと いう道を残しておくという必要があると思いますね。 ○安達委員  先ほどちょっと私が申し上げた多嚢胞性卵巣症候群なんかで卵胞液からとるというのは、こ の(1)から(4)の中には厳密には入ってないので、(2)の中に、卵巣、卵巣切片ないしは卵胞液から の採取というような言葉を入れてくださればいいのかなと。  それから(4)なんですけれども、初めに採卵するときにこういう研究の話を持っていくという ことはあり得ないですね。今回の研究は多分、採卵をして、卵子を提供してもらうときにこう いうようなお話をするということが前提になっていたと思うんですが、そこをちょっと確認し たかったんですけれども、廃棄で利用というような意味のものでいいものなのかというのが 2点目です。  あと、今はなるべく単一卵胞とか少ない卵胞数で発育するような排卵誘発法をやっているの が現実なんですけれども、しかし、その方法をしてもたくさん卵胞が発育してしまうという症 例もないわけではありません。絶対的に必ず1つか2つしか発育しないというわけではなくて、 20個、30個と発育してしまう症例も中にはあるかと思います。 ○笹月座長  それが一つのソースになるんじゃないかという考え方はあり得るわけですね。 ○安達委員  それをソースとするか、どうするかということもあると思うんですけど……。 ○笹月座長  だから、それを議論……。要するに、無償ボランティアを議論すると同じように、(1)なんか ももっと議論を深めることも重要だと思うんですね。初めからそれは意思の何とかによってと いうようなふうに無視するんじゃなくてね。 ○安達委員  特に採卵をする段階の、採卵というか、卵をいただく段階というか、何かとる段階でこの研 究のお話をしなくてはいけないというような大前提だったのではないかと思うんですが、その 点についてはいかがなんでしょうか。 ○笹月座長  生殖補助医療のための採卵をするときに、初めから研究のことはむしろ言わないわけでしょう。 言うんですか。 ○安達委員  これは、インフォームド・コンセントの取り方ということは別途検討でございましたか。 ○笹月座長  ええ。 ○安達委員  じゃあ、失礼しました。 ○笹月座長  無償ボランティアというのは、これはまだ定義ですが、無償はどうでもいいけど、ボラン ティアというのは、例えば、だれかがキャンペーンを張って、これほど重要な研究には未受精 卵が必要で、どなたか未受精卵を提供してくれませんかというキャンペーンを張って、そこに 登場した人は、まさにボランティアでよろしいんですか。それはボランティアでしょうね。も しそうだとすれば……。 ○石原委員  決してこれは無償ボランティアではないですけれども、もしこの生殖補助医療の際の未受精 卵の一部を提供していただく方を探そうとするのであれば、例えば、もし何個以上とれたら、 そのうちの1個なり2個を提供していただければ治療の費用を幾ら割引しますとかという、そ ういういわゆるエッグシェアリングのような仕組みであれば提供者は必ずあると思いますが、 それは無償ではなくなりますね。ですから、どうしても未受精卵を得たいという方法をつくり 出さなきゃいけないと、先ほどの無償ボランティアは一切認めないという話になるんだとする と完全に全部八方ふさがりになるわけですが、その中で残すんだとしたら、それくらいしか思 いつかないです、私は。  もし無償ボランティアというのを残すんだとしたら、例えば生殖補助医療の採卵周期におけ る研究目的の卵子提供は禁止してしまえという選択肢だって、ないわけではないと思います。 ○吉村委員  (1)−3は、クローン胚においてもこういった項目があるんです。これはどうやってやるかと 申しますと、体外受精を2度ほど受けられている。卵はたくさんとれることがわかっている。 そして、研究の意図を、クローン胚の研究の意味をよくご説明申し上げて、そのうちの何個か を自発的な申し出によって提供していただける、そういう方をお探しすると。その際には、例 えば病院の中に、こういったクローン胚研究というのがございますと、難病治療のためのクローン 胚研究ございますというようなキャンペーンも行って、そして提供していただくというような 意味が(1)−3ですね。ですから、受精の研究がそこまでそういったものに行けるかどうかとい うことは、先ほどから先生がご心配されているニーズということもそれにかかってくるのかも しれませんが、いずれにしましても、(1)−1、2、3というのは、今の話し合いの生殖補助医 療に資する研究にも当てはまるのではないかと私は思います。多いか少ないかは別ですけれど も、すべてこういったものは残しておいたほうが、研究する立場としてはいいんじゃないかなと。 ○長野安全対策官  事務局から、すみません。今ほどの吉村委員のお話の中で、今おっしゃったのは、(1)−3の ケースについて、人クローン胚研究の場合の取扱いについてコメントされたかと思いますけれ ども、人クローン胚研究への未受精卵の利用について、この(1)−3のようなケースの場合もご 議論いただきました結果、こういった自発的な申し出といったようなことでいただくというの は、当時の議論では、生殖補助医療の成功率の低下のおそれや過剰排卵のおそれ等があること を考慮すると、社会から疑惑を受ける可能性があることから認められないということで、 クローンのほうではそういったご議論をいただきました。 ○吉村委員  それは失礼しました。それは認められたと思いまして、誤解していました。 ○笹月座長  さっき安達委員がおっしゃったように、今の方法を用いていくら少なく排卵させようとして も、二、三十個とれますと。しかしながら、実際に子宮に戻すのは受精卵1個だけにしましょ うとなると、かなりの卵が余ると。それを利用するというのが一番現実的な……。今は倫理と か何とかはちょっと抜きにして、現実的に未受精卵を手にする方法を考えたときには、それが 一番現実的で、じゃあ、それをどう社会的なコンセンサスを得られるように、あるいは絶対的 な倫理的に問題がないというふうに持っていけるのか。その辺なんじゃないんですか。例えば、 お金を出せばと石原委員はおっしゃったけれども、お金を出して、お金で解決するというのは、 医者が治療をやっているから患者が断りにくいというのと同じような、全く第三のファクター によって強制される。石原先生がおっしゃるのは経済的な圧力、もう一方は治療を受けている 自分の主治医からの目に見えぬプレッシャーという。だから、目に見えぬプレッシャーがなく て、そこで一般にボランティアを募るみたいな形で募りますというふうな形で(1)の未受精卵を 使わせてもらうというのが、一番現実的で、しかも一番健全なやり方じゃないかなあと思いま すけどね。ですから、そういうことを、ほんとうに今度は時間が来ましたので、次回までにお 考えいただければと思います。 ○高橋室長補佐  次回の予定でございますけれども、次回第18回につきましては、6月30日(月)15時半 から18時を予定しております。会場につきましては、決まり次第、ご連絡させていただきた いと思います。  ありがとうございました。 ○笹月座長  残りは大分目に見えてまいりましたが、ただし、大事なところが残っていますから、それを 存分にお考えいただいて、次回お集まりいただきたいと思います。  本日は、どうもありがとうございました。 ―― 了 ――  事務局:文部科学省研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室       電話:03−6734−4113(直通)      厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課       電話:03−5253−1111(内線7938)