08/05/29 平成20年5月29日薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録 1.日時及び場所   平成20年5月29日(木) 14:00〜   厚生労働省専用第22会議室 2.出席委員(13名)  五十音順    荒 井 保 明、 飯 沼 雅 朗、 石 山 陽 事、 小 田   豊、    小 俣 政 男、◎笠 貫   宏、 北 村 惣一郎、 澤     充、    勝 呂   徹、 武 谷 雄 二、 土 屋 利 江、 富 田 基 朗、   ○中 原 一 彦、   (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(4名)五十音順    倉 根 一 郎、 長谷川 紘 司、 松 谷 雅 生、 山 口 照 英 3.行政機関出席者   俵 木 登美子(医療機器審査管理室長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   村 上 貴 久(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、   望 月   靖(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、他 4.備考    この会議は、個別案件は企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催され、個   別案件以外は公開で開催された。 ○医療機器審査管理室長 定刻より少し早いのですが、ただ今より「医療機器・体外診断 薬部会」を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、御多忙中、御出席 いただきまして大変ありがとうございます。本日は、医療機器・体外診断薬部会委員17 名のうち、13名の先生方に御出席をいただいておりまして、定足数を満たしております ことを御報告させていただきます。  本日の議題のうち、議題1の「医療機器の認証基準案について」は、審議会の決議に基 づき、会議を公開とさせていただきます。公開案件終了後、個別品目の審議へ移らせてい ただきますが、それ以降は非公開とさせていただきたいと思います。  それでは、笠貫部会長、進行をよろしくお願いいたします。 ○笠貫部会長 それでは、最初に事務局から資料の確認をお願いします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。公開案件の資料としては、資料1-1「医療 機器の認証基準案について」、参考資料1-1「医療機器の認証基準に関する基本的考え方 について」、参考資料1-2「超電導磁石式全身用MR装置等認証基準案について」、参考 資料1-3「認証基準において引用する日本工業規格」です。以上ですが、お手元に資料の ない先生がいらっしゃいましたら、事務局までお知らせいただければと思います。 ○笠貫部会長 資料はおそろいでしょうか。それでは、議題に入りたいと思います。議題 1、医療機器の認証基準案について、事務局から御報告をお願いします。 ○事務局 医療機器の認証基準案について御説明します。今回、御報告する認証基準案は、 「超電導磁石式全身用MR装置等認証基準(案)」です。基準案の概要等については、基準 案の調査を行った独立行政法人医薬品医療機器総合機構より御説明します。 ○機構 それでは、総合機構から御説明します。資料1-1が認証基準案になりますが、基 準案の概要を参考資料1-2にまとめておりますので、この参考資料を用いて御説明いたし ます。  基準の構成は、該当する医療機器の一般的名称と使用目的、効能又は効果を規定した告 示と基本要件適合性チェックリストからなっています。今回、報告いたします認証基準案 は、平成20年3月10日に総合機構にて開催した医療機器承認基準等審議委員会において、 非臨床系委員、臨床系委員に御審議いただき、審議時にいただいた御意見を反映させ、了 承されております。また、平成20年4月11日〜平成20年5月11日までパブリックコメ ントの募集を行っております。  参考資料1-2を御覧ください。超電導磁石式全身用MR装置等認証基準案の対象となる 医療機器は、超電導磁石式全身用MR装置を始めとする12の磁気共鳴画像診断装置で、 各一般的名称及びその定義は、次のページの別紙のとおりとなっています。日本工業規格 JIS Z 4951「磁気共鳴画像診断装置-安全」を技術基準としております。JISは参考資 料1-3に示しております。平成17年厚生労働省告示第112号にて制定された超電導磁石 式全身用MR装置等認証基準の適用範囲は、通常操作モードのみとされておりましたが、 今回、適用範囲として第一次水準管理操作モードを追加するものです。簡単ですが、報告 は以上です。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。ただ今の御報告について御質問、御意見はござ いますでしょうか。 ○石山委員 小さいことですが、参考資料1-2で、「磁気共鳴画像診断(MR)」の「(M R)」の位置を直しておいた方がいいのではないかと思います。「磁気共鳴(MR)画像診 断」にした方が誤解がないと思います。 ○笠貫部会長 そうしますと、その後の「MR装置」のところは、「MR診断装置」とい うことですべて入るということでよろしいでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 はい。 ○笠貫部会長 ほかにございますか。それでは、御意見がございませんでしたら、公開案 件は以上ということになります。 ○事務局 ありがとうございました。それでは、以降の議題は非公開とさせていただきま すので、大変恐縮ですが、傍聴者の皆様には御退席をお願いしたいと思います。非公開案 件の審議ですが、退席が終わり次第始めさせていただきたいと思います。  ── これより非公開 ── ○笠貫部会長 時間が少し繰り上がっておりますが、今日は審議いただく案件が多いの で、これから会を始めさせていただきます。非公開案件の審議・報告ということで、初め に、事務局から資料の確認をお願いします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。非公開案件の資料ですが、資料2-1は「医 療機器「エキシマレーザ心内リード抜去システム」の生物由来製品又は特定生物由来製品 の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について」です。資料2-2は本 日配付した資料ですが、「エキシマレーザ心内リード抜去システムの審査報告」、併せて 参考資料2-1は「エキシマレーザーリード抜去システム国内導入に関わる体制等(医師お よび施設)の要件について」です。資料3-1は「医療機器「中心循環系血管内塞栓促進用 補綴材」を希少疾病用医療機器として指定することの可否について」です。参考資料 3-1は「希少疾病用医薬品及び希少疾病用医療機器の指定制度」です。資料4-1は「医療 機器「ヒト他家移植組織」を希少疾病用医療機器として指定することの可否について」で す。それから、お手元に1枚紙で「当日配付資料」として「ヒト他家移植組織(AMT-301) の希少疾病医療機器指定の可否についてのコメント」ということで、国立医薬品食品衛生 研究所の山口照英先生からのコメントをいただいております。資料5-1は「医療機器の一 般的名称の追加、そのクラス分類及び特定保守管理医療機器等の指定について」、その関 係の参考資料として参考資料5-1は「医療機器のクラス分類ルールについて」、資料6-1 は「1片中エタンブトールとして25.6μg以下を含有する体外診断用医薬品の劇薬の指定 の除外の可否について」、資料7-1は「医療機器・体外診断薬部会 報告品目」、資料8-1 は本日配付の資料で「競合品目・競合企業リスト」、参考資料8-1は「審議参加に関する 遵守事項」、以上です。お手元に資料のない委員がいらっしゃいましたら、事務局までお 知らせいただければと思います。 ○笠貫部会長 よろしいでしょうか。それでは、審議参加に関する申合せに関して、事務 局から御報告をお願いします。 ○事務局 御報告申し上げます。参考資料8-1を御覧ください。既に御存じの先生もいら っしゃるかもしれませんが、「審議参加に関する遵守事項」について、本年3月24日に 薬事分科会の申合せが行われ、医療機器・体外診断薬部会では、今回の会議から適用され ることになっています。既に資料を送付していますが、主な変更点としては、今までの暫 定ルールに加えて、新たに、審議の対象となっている医療機器だけではなく、競合品目・ 競合企業についても申出の対象となっていることがあります。  初めてですので、参考資料8-1の中身も説明させていただきたいと思います。1枚目、 2枚目はこういうことを決めた経緯ですので、2枚目の適用範囲から説明したいと思いま す。簡潔に申しますと、いわゆる利益相反の関係のことで、きちんと手続を決めていこう ということで、今回、審議参加に関する遵守事項が定められました。  2ページの「2.適用範囲」から御紹介させていただきます。「適用対象部会等」とい うことで「(1)分科会、次の部会及び当該部会に設置された調査会を対象とする」という ことですが、この中に「医療機器・体外診断薬部会」と入っていますので、この部会も適 用対象になっています。  「適用対象審議」が(2)にありますが、「個別の医薬品等」の「等」の中に医療機器が 入っており、こういった医療機器の承認審査や安全対策に係る審議のほか、厚生労働大臣 から諮問された案件等すべての議決を要する審議に適用するということですので、基本的 にすべての諮問事項の審議について適用の対象となります。  「適用対象委員等」ですが、(3)にありますように、この遵守事項は、委員、臨時委員、 専門委員、必要に応じて外部から来ていただく参考人についても適用されます。  「3.委員等が申請資料作成関与者等である場合の取扱い」があり、申請者から申請資 料作成関与者のリストの提出を受けて、該当する委員等がある場合には、部会長等はその 審議の開始の際にその氏名を報告することになっています。また、申請資料作成関与者で ある委員等は、当該品目についての審議又は議決が行われている間、審議会場から退室す ることになります。ただし、当該委員等の発言が特に必要であると部会等が認めた場合に 限り、当該委員等は出席し、意見を述べることができます。  次に、申請資料ではなく、利用資料の作成関与者の取扱いがあり、4ページの(1)、(2)に ありますように、リストの提出を受けて、これに該当する委員等がいれば、その氏名を報 告することになっています。また、関与者である委員等は、当該資料について発言するこ とはできないことになります。ただし、発言が特に必要であると部会等が認めた場合に限 り、意見を述べることができます。  それから、今回新しく入っている、競合品目に関する取扱いというものがあり、(1) の取扱いについて、競合品目に係る申請資料の作成に密接に関与した者についても同様と するというものがあります。競合品目については、7ページに注3.がありますが、「開 発中のものも含め、市場において競合することが想定される製品を「競合品目」とし、競 合品目を開発中又は製造販売中の企業を「競合企業」とする」ということです。競合品目 については、審議品目の申請者に申告をさせて、その数は3品目までです。「申請者から、 競合品目、企業名及びその選定根拠に係る資料の提出を受け、部会等においてその妥当性 を審議する。なお、当該資料は公開する」ということです。この説明をした後で、当該競 合品目の資料について説明させていただきたいと思います。  4ページにお戻りいただきまして、(4)の「特別の利害関係者の取扱い」ということで、 「(1)の場合の他、申請者又は競合企業との間で、審議の公平さに疑念を生じさせると考 えられる特別の利害関係を有する委員等は、部会長に申し出るものとする。この場合には、 (1)の(2)と同様とする」という扱いになっています。  (5)の「情報の公開」ですが、「以上の場合においては、その旨を議事録に記録する」 ということです。  「4.委員等が申請者等より寄附金・契約金等を受けている又は割り当てられている場 合の取扱い」ですが、まず、「審議不参加の基準」として、「委員等本人又は家族」とあ ります。「家族」については、7ページの注4.にありますように、「「家族」は、配偶 者及び一親等の者(両親及び子ども)であって、委員等本人と生計を一にする者」という定 義になっています。  4ページにお戻りいただきまして、これらの「委員等本人又は家族が、申告対象期間中 に審議品目の製造販売業者又は競合企業からの寄附金・契約金等の受取実績があり、それ ぞれの個別企業からの受取額が、申告対象期間中で年度あたり500万円を超える年度があ る場合は、当該委員等は、当該審議品目についての審議又は議決が行われている間、部会 等の審議会場から退室する」ということです。  「申告対象期間」については、5ページの(4)に書いてありますが、「申告対象期間は、 原則として、当該品目の審議が行われる部会等の開催日の年度を含め過去3年度」という ことです。「部会等の開催の都度、その寄附金・契約金等について、最も受領額の多い年 度等につき、自己申告をする」となっています。  4ページにお戻りいただきまして、「議決不参加の基準」ということで、「委員等本人 又は家族が、申告対象期間中に審議品目の製造販売業者又は競合企業から寄附金・契約金 等の受取実績があり、それぞれの個別企業からの受取額が、申告対象期間中いずれも年度 あたり500万円以下の場合は、当該委員等は、部会等へ出席し、意見を述べることができ るが、当該審議品目についての議決には加わらない」という取扱いです。「ただし、寄附 金・契約金等が、申告対象期間中いずれも年度あたり50万円以下の場合は、議決にも加 わることができる」ということになっています。  次に、「議決権の行使」ですが、「委員等が議決に加わらない場合においては、当該委 員等はあらかじめ議決権の行使を部会長に一任する旨の書状を提出することにより部会 等に出席したものとみなし、当該委員等の議決権は、議決に加わった委員等の可否に関す る議決結果に従って部会長により行使されたものとする」となっています。  (5)の「特例」ですが、「(1)又は(2)に該当する場合であっても、当該委員等が審議 又は議決への参加を希望し、寄附金・契約金等の性格、使途等の理由書を添えて申し出、 その申し出が妥当であると部会等が認めた場合、又は、当該委員等の発言が特に必要であ ると部会等が認めた場合においては、当該委員等は審議又は議決に参加することができ る」ということです。  「情報の公開」ですが、「審議会においては、事務局より、各委員等の参加の可否等に ついて報告するとともに、取扱いについて議事録に記録する。なお、各委員等から提出さ れた寄附金・契約金等に係る申告書は、部会等終了後速やかに厚生労働省ホームページ上 で公開する」となっています。  以上、簡単ですが、紹介させていただきました。今回、この取扱いの関係で、お手元に 資料8-1「競合品目・競合企業リスト」を配付しております。本日の審議対象となってい る品目の競合品目等について、説明をさせていただきたいと思います。  まず、資料8-1の1枚目が議題2の関係のもので、申請品目「エキシマレーザ心内リー ド抜去システム」ということで、ディーブイエックス株式会社から申請のあったものです。 こちらの審議参加に関する遵守事項における競合品目、競合企業、その選定理由は以下の とおりですということで、競合品目はこの品目については該当がない、競合企業も該当が ないということです。  その理由ですが、本申請品目は、植込み型ペースメーカ又は植込み型除細動器のリード を抜去するために、リード周辺に癒着する瘢痕組織を、レーザ光により蒸散させる機器で あり、一般的名称は、「ペースメーカ・除細動器リード抜去キット」に該当します。一方、 競合品目を選定する上で、海外においては、植込み型ペースメーカ等のリードを抜去する ために、リード周辺に癒着する瘢痕組織をRF波(ラジオ波)により蒸散させる機器として 「PERFECTA ELECTROSURGICAL DISSECTION SYSTEM」が製造販売されておりますが、当該品 目については、本申請品目と使用目的が同一であり、作動原理が類似しているものの、我 が国において未承認品ということで、国内での開発状況については公開されている情報を ベースに確認したところでは確認することができなかったということで、競合品目として の選定は行わなかったものです。  続けてすべての品目について説明してしまいたいと思います。議題3の関係ですが、 「中心循環系血管内塞栓促進用補綴材」は、希少疾病用医療機器の指定に関する審議をい ただくものです。競合品目1としては「中心循環系血管内塞栓促進用補綴材」で、海外に おける製品名として「コーディス エンタープライズ」という、競合企業としてジョンソ ン・エンド・ジョンソン株式会社のものがあります。  競合品目を選定した理由ですが、当該申請品目と同一の医療機器の名称、並びに、同様 の予定される使用目的、効能又は効果で類似の医療機器が希少疾病用医療機器の指定を受 けているということです。このようなことから、競合品目として選定したということです。 なお、このほかには競合が想定される品目は把握していないということです。  議題4の関係ですが、「ヒト他家移植組織」はアルブラスト株式会社から申請があった ものです。競合品目1としては「ヒト再生角膜」、開発名は分からないということです。 競合企業としては株式会社セルシード。競合品目2としては「自家培養角膜上皮」で、 「EYE-01」、競合企業として株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングによるも のです。  これらを選定した理由ですが、これらの内容については、各社ホームページにおいて公 表されている内容からも確認することができるということです。いずれも角膜上皮幹細胞 疲弊症を適応とする点で今回のものと似ているということ。いずれも角膜上皮幹細胞を培 養することにより製造されるシート状の機器であるという点。ただし、競合品目1につい ては口腔粘膜を培養することにより製造されるシート状の機器も含むということになっ ています。このような理由から競合品目として選定させていただきました。  議題5の関係で、「メドトロニック Reveal DX」ですが、こちらは今回は一般的名称と 医療機器の分類について御審議いただくものです。これについては競合品目、競合企業は なしです。公表資料をベースに競合が想定される品目について把握していないことが理由 です。  議題6の関係は、体外診断薬の劇薬除外についての御審議をお願いするものですが、 「ブロスミックMTB-I」というもので、極東製薬工業株式会社から要望があったものです。 競合品目1として「ウエルパック培地S」、競合企業として日本ビーシージー製造株式会 社。競合品目2として「ミジットシリーズ エタンブトール」、競合企業として日本ベク トン・ディッキンソン株式会社です。  競合品目を選定した理由ですが、劇薬指定からの除外を要望する体外診断用医薬品は、 抗酸菌のエタンブトールに対する薬剤感受性を判定するためのものです。同じ使用目的を 有する体外診断用医薬品としては、「極東 結核菌用感受性-濃度培地-EB」、「極東 結 核菌感受性ビットスペクトル-SR」、「ブロスミック MTM」、「ウエルパック培地S」、 「ミジットシリーズ エタンブトール」がありますが、極東製薬工業株式会社の自社製品 であるものも幾つか含まれているために、それらを除いた「ウエルパック培地S」と「ミ ジットシリーズ エタンブトール」を競合品目として選定したということです。なお、この ほかに競合が想定される品目は公表資料ベースでは把握していないということです。  追加ですが、議題2の関係の「エキシマレーザ心内リード抜去システム」と議題5の関 係の「メドトロニック Reveal DX」は、いずれも「医療ニーズの高い医療機器の早期導入 に関する検討会」で選定されたもの、いわゆる既存の機器がないなどの理由で選ばれたも のですので、競合品目がないということにもつながっているのではないかと考えておりま す。以上です。 ○笠貫部会長 事務局から利益相反にかかわる審議参加についての御説明がありました が、御質問、御意見はございますか。 ○土屋委員 参考資料8-1の5ページ、1行目で、先ほどの御説明では「申告対象期間中 いずれも年度あたり500万円以下の場合は」ということですが、以上の場合ではないので すか。 ○医療機器審査管理室長 以上の場合は、4ページの(1)の審議自体に御参加いただけな いのですが、500万円以下の場合には、審議には御参加いただけるのですが、議決には御 参加いただけないということです。 ○土屋委員 分かりました。 ○笠貫部会長 ほかにはございますか。ないようでしたら、本部会における審議に際して の申合せ事項については、競合企業の妥当性も含めて、各委員の御了解を得たものといた します。  続きまして、委員からの申出状況等についての御報告をお願いします。 ○事務局 各委員の申請資料作成への関与、各委員からの申出状況について確認させてい ただきましたところ、本日の審議品目については、御退室いただく委員、議決に御参加い ただけない委員はいらっしゃいませんでした。以上です。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。それでは、議題に入りたいと思います。議題2は、 医療機器「エキシマレーザ心内リード抜去システム」の製造販売承認の可否等について、 審議を行います。審議品目の概要について、事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 御説明申し上げます。医療機器「エキシマレーザ心内リード抜去システム」の 申請者はディーブイエックス株式会社です。こちらは、植込み型ペースメーカ又は植込み 型除細動器のリードの抜去が必要となったときに、専用装置から発振されるエキシマレー ザ光によって、リード周辺に癒着している瘢痕組織を蒸散させて、リードを抜くという術 を施行するために使用する機器です。  なお、「エキシマレーザによる不具合リードの抜去システム」については、「医療ニー ズの高い医療機器の早期導入に関する検討会」において、「日常生活への著しい影響があ る疾病で、当該医療機器等の医療上の有用性が高い」ことから、「我が国での医療ニーズ が高く、優先して早期導入すべき医療機器」として選定され、優先審査の品目となってお ります。  本品目の審査の概要等については、審査を行った独立行政法人医薬品医療機器総合機構 より御説明申し上げます。 ○機構 それでは、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。資料2-2を御覧くだ さい。医薬品医療機器総合機構での本品の審査に当たっては、御覧の専門委員の先生方に 御意見をいただきました。  ペースメーカ等の留置されたリードは、感染による敗血症や心内膜炎など、患者の生命 を脅かす問題を引き起こすことがあります。これらのリードは抜去する必要があります が、御覧のようなリード周辺に癒着した瘢痕組織により、リード抜去術は非常に困難なも のとなっています。本品は、この瘢痕組織を専用のエキシマレーザ装置からのレーザ光に より蒸散させ、リード抜去術を施行するために使用する機器です。  本品の外観写真をお示しいたします。本品は、レーザシースと付属品(レーザシースに 被せて使用するアウターシース等)から構成されています。レーザシースは中空構造とな っており、右上の図のように、レーザ光を導光するための光ファイバが円周上に設置され ております。この中空部分に抜去対象リードを通し、レーザシースを癒着部位まで導入し ます。  現状では、リードを経静脈的に牽引する方法がリード抜去術としてありますが、リード の脆弱化や静脈内の瘢痕組織により、リード破断や血管壁・心壁の傷害などのリスクを伴 います。また、瘢痕組織の形成が著しく、牽引でのリード抜去が困難な場合は、開胸術を 実施することとなりますが、患者への負担が大きく、リスクも高くなります。そこで、リ ード周辺の瘢痕組織を機械的な力をかけて剥離するのではなく、レーザ照射により蒸散す ることで、従来のリード抜去術におけるリスクを低減させることを目的として、本品が開 発されました。  本品の海外における承認・使用状況ですが、米国では平成14年にPMA、欧州では平 成13年、14年にCEマークを取得しており、累積出荷数量はおよそ□□□□本となって おります。また、平成19年12月までに、海外における不具合として、上大静脈の裂傷9 例、腕頭静脈の裂傷2例、心房穿孔1例が報告されております。  安定性及び耐久性については、2年間以上の実時間保存検体を用いた安定性試験が実施 されました。  また、安全性を裏付ける試験として、物理的、化学的特性に関する試験、生物学的安全 性試験、機械的安全性試験が実施され、これらを妥当なものと判断しました。  性能を裏付ける試験として、□□□試験及び□□□□試験が実施され、いずれも問題が ないとする成績が提出されました。  使用方法を裏付ける試験としては、イヌを用いた安全性確認試験が実施され、通常の出 血がわずかに見られた以外は、特段の問題は認められませんでした。  その他の資料については、こちらにお示しします資料が提出され、その妥当性を確認し、 了承しております。  臨床使用上の有効性・安全性を担保するために、米国にてPLEXES試験とレジストリ試 験の二つの臨床試験が実施されました。PLEXES試験では、本申請品とは若干形状等が異 なる12Frの旧型レーザシースを用い、レーザを用いない従来のリード抜去術を対照群と して比較試験が実施されました。レジストリ試験では、14Fr、16Frの旧型レーザシース を用い、PLEXES試験の12Frレーザシースの結果との比較を行いました。  なお、本臨床試験は米国で実施されており、体格等の人種差の影響が懸念されますが、 本臨床試験も含めて、体格が小さいと思われる低年齢層の患者のリード抜去にも成功して いること、また抜去対象となるリードや対象患者は、米国と同等と考えられることなどか ら、米国臨床試験結果のみで評価は可能と考えております。  有効性について、PLEXES試験でのリード抜去成功率は、レーザ群で94.3%となり、非 レーザ群の64.3%を有意に上回りました。さらに、非レーザ手技で抜去できなかった後 に、レーザ手技を施した手技切替患者での成功率が、87.5%となりました。  一方、評価項目が異なっておりますが、レジストリ試験でのリード抜去失敗率は、PLEXES 試験の12Fr群の結果と比較して、特段の差は認められませんでした。  安全性について、PLEXES試験での急性期合併症発生率は、レーザ群で2.0%となり、非 レーザ群では合併症は発生しませんでした。発生した合併症については、レーザ照射に直 接起因するものではなく、リード抜去における手技に伴うものと考えられることから、従 来のレーザを用いないリード抜去術と大きく異なるものではないと考えております。  なお、レジストリ試験では、レーザシースのサイズの各群間で合併症発生に特段の差は 認められず、リード径、レーザシース径に依存するような合併症の発生はありませんでし た。  以上の非臨床試験及び臨床試験の結果を踏まえ、本品のリスクは臨床上の有用性を上回 るものではないと判断しました。ただし、リード抜去自体に重篤な合併症が発生する可能 性があることを考慮し、その実施の必要性も含めて、個々の症例についてより慎重に検討 する必要があること、また他のリード抜去術への適応も選択肢に含めて、総合的に判断す る必要があることについて、添付文書等にて注意喚起することとしました。  さらに、本邦への導入に当たり、市販後調査において本品の日本人への安全性に関する 情報を収集することが必要と考えられること、本品をより安全に使用するためには、本品 の有効性及び安全性を十分に理解し、手技等の教育訓練を十分に受けた医師が使用するこ とが望ましいと考えられること、リード抜去術に伴う合併症が発生した場合に速やかに適 切な処置を行うことが必要となることを踏まえ、こちらにお示しします承認条件を課すこ とが必要と判断しました。  以上を踏まえ、本品はこちらにお示しします使用目的で承認することが妥当であると総 合機構は判断しました。本品は新性能医療機器であることから、再審査期間は3年が妥当 であると考えます。なお、生物由来製品又は特定生物由来製品の該当性については非該当 と考えています。  部会委員の先生方からいただいた事前のコメントについて紹介いたします。笠貫委員か らは「使用成績調査実施計画書において副作用・合併症等の記載を統一すること」という 御意見をいただいております。これについては申請者に適切に修正するように指導したい と思います。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。ただ今の「エキシマレーザ心内リード抜去シス テム」について、委員の先生方から御質問、御意見はございますか。 ○事務局 本品については、1枚紙の参考資料2-1を併せて御覧いただきたいと思いま す。参考資料2-1の裏面にありますように、これについては日本循環器学会、日本不整脈 学会、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会などの先生方にお集まりいただいて御審 議いただき、参考資料2-1にあるような、「エキシマレーザーリード抜去システム国内導 入に関わる体制等(医師および施設)の要件について」ということで、学会としての基準を まとめていただいたところですので、御報告させていただきます。 ○笠貫部会長 大事な要件についての御説明をいただきましたが、全体を含めて御意見、 御質問はありませんか。 ○土屋委員 本品目の必要性は十分理解しており、優先審査の品目になっているというこ とです。私の生物学的な立場から、若干表記等に間違いがあるのではないかと思いますの で、その点について修正のみしておいていただきたいと思います。例えば、144ページの 「遅効性」は「遅延型」、それから、100%抽出液と言っている意味が、油などでは濃縮 できないので、20%以下になるのではないかというところです。機器については、今、見 せていただきますと、かなり先端は太いということで、通常の細いタイプのガイドワイヤ ーのようなチップとは違うということを理解しました。 ○機構 今いただいた御意見については申請者にお伝えして指導したいと思います。 ○笠貫部会長 ほかにはありませんか。 ○北村委員 レーザと無関係な、粗暴な太いカテーテルの操作によるものだと思います が、心タンポナーデ等、あるいは血管の裂傷に基づく心タンポナーデでしょうね、死亡が ありますね。ペースメーカのリードを抜くだけなのに死んでいるというのは、非常に馬鹿 げたことに近いと思います。ペースメーカを残しておくことが非常に危険な場合はともか く、抜くために死なせているということは。そうすると、是非ともその条件に、循環器内 科が何人か書いてありますが、万が一の腕頭静脈、上大静脈、心房もすべて心外膜腔内の 損傷だと思うので心タンポナーデで死んでいるのだと思うので、これは簡単で、胸を開け て出血を指で押さえていれば死なない病気で、これに2%という死亡発生率と8人が死ん でいるという実地データがありますので、これを扱う場合は外科医を必ずアテンドさせる べきではないのでしょうか。  参考資料2-1で、「心臓血管外科専門医が常勤医として1名以上在籍すること」はいい のですが、この操作のときにはすぐに連携がとれるような体制をとってもらう。そうでな ければ、これは大変もったいない死亡だと思います。 ○機構 その点についてですが、承認条件の3.を御覧ください。スライドは14ページに なります。合併症、心タンポナーデ等が発生したときには緊急心臓外科手術がどうしても 必要だと思いますので、そういった迅速な体制がとれるような状況で使用するようにとい うことで、そういった外科手術の常勤医がいるだけではなく、リード抜去術をやるときに その体制を整えた上で。 ○北村委員 別の手術をしているとか、離れているとか、出張しているとか、ですから、 この操作を行うときには、内科、外科が力を合わせて、そばにいる必要はないかもしれま せんが、すぐに来られる形をとる体制をお願いしたいと思います。 ○機構 そういった意味を込めて、承認条件3.では、緊急心臓外科手術ができる体制が きちんと整った状態でということで、こちらに承認条件として書いております。 ○医療機器審査管理室長 資料2-1に「添付文書(案)」という耳が付いていると思います が、添付文書の「警告」の1.の1)に、「緊急時の心臓外科手術に対応できる外科医の迅 速な対応が得られること」を施設の条件として記載しています。 ○北村委員 参考資料2-1には書いてありません。 ○医療機器審査管理室長 厚い方の資料です。 ○北村委員 これは全部読んでいません。でも、それは大事ですので、学会の要件にも。 こちらには常勤とは書いてあるのですが、一緒に治療するという形を示してほしい。 ○機構 参考資料2-1というのは、日本循環器学会を始め、学会におまとめいただいたも ので、それに我々として、施設条件として、常勤しているということだけではなく、体制 が整っている必要があるということで、今、お示ししております承認条件の3.として、 必ずそういった体制が整った状態で使うことという承認の条件を課すことにしたいと思 っています。 ○北村委員 それで結構だと思います。 ○笠貫部会長 私は専門委員でしたので、先生の御指摘どおり、循環器内科としても適応 については非常に大事だと思っていますし、NASPEのガイドラインにクラスIとクラスII と書かれてあり、絶対適応は緊急避難的なところでやることになるだろうと思います。  それから、参考資料2-1ですが、主治医は循環器内科ですけれども、その危険も含めて、 施設要件でこう書かせていただきましたが、使用方法では、添付文書の警告に外科医が対 応としてスタンバイするという意味付けのことを書いてあります。この機器が非常にリス クの高い、しかし、ニーズとして緊急性の高いということで、厳しい医師と施設とその状 態の条件を付けたいということでよろしいでしょうか。ほかにはありませんか。 ○土屋委員 レーザには様々な波長のものが使われますが、308nmというのはそれほど安 全な波長だと思えません。安全性のデータは必ずたくさん文献から出ていると思いますの で、そういうものを添付文書なりに記載しておいていただいた方が、ほかの使用方法を考 えたときに参考にして、中止とか、いろいろな判断基準になると思いますので、よろしく お願いします。 ○機構 そちらについても添付文書等で十分に確認した上で記載の方を検討したいと思 います。 ○笠貫部会長 ほかにはございますか。それでは、ほかに御意見がありませんでしたら、 議決に入りたいと思います。医療機器「エキシマレーザ心内リード抜去システム」につい て、本部会として、先ほど御指摘いただきましたような条件を付した上で承認を与えて差 し支えないものとして、再審査期間は3年間、また、生物由来製品及び特定生物由来製品 の指定は不要としたいと思いますが、よろしいでしょうか。異議がないようですので、そ のように議決させていただきたいと思います。この審議結果については、次回の薬事分科 会において報告することにしたいと思います。  続きまして、議題3、医療機器「中心循環系血管内塞栓促進用補綴材」を希少疾病用医 療機器として指定することの可否について、審議を行いたいと思います。審議品目の概要 について、事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 まず、希少疾病用医療機器の指定に関して、その指定の制度についての概略を 簡単に説明させていただきたいと思います。  参考資料3-1を御覧ください。これも1枚紙になっていますが、希少疾病用医療機器の 指定制度ということで、この制度の主旨は、難病やエイズ等の希少疾病を対象とする医療 機器は、医療上の必要性が高いが、患者数が少ないということで十分研究開発が進んでい ないという状況があり、国としてこうした医療機器等について特別の支援措置を講じると いうのが主旨です。  指定の基準としては、1ページ目に(1)、(2)、(3)と三つの基準がありますが、(1)は対象者 数ということで、当該医療機器の用途に係る対象者の数が、日本において5万人未満であ るということ。(2)は医療上の必要性ですが、こういった医療機器の製造販売の承認が与え られたとすると、その用途に関して特に優れた使用価値を有することとなること。「特に 優れた使用価値を有する」というのは、いわゆる難病など、重篤な疾病を対象とするとと もに、次のいずれかに該当するなど、特に医療上の必要性の高いことをいうものというこ とです。(ア)として、代替する適切な医療機器、治療方法がないこと、(イ)として、既存 の医療機器等と比較して著しく高い有効性又は安全性が期待されること。(3)は開発の可能 性ですが、対象疾病に対して当該医療機器を使用する理論的根拠があるとともに、その開 発に関する計画が妥当であると認められること。このような三つの条件です。  これらの条件をクリアして希少疾病用医療機器として指定されると、次のページにある ような支援措置が講じられることになります。例えば、「(1)助成金の交付」で、こちら は独立行政法人医薬基盤研究所を通じて助成金の交付が行われます。「(2)税制措置」で すが、希少疾病用医療機器に指定されると、試験研究費の15%相当額を増加試験研究費 の控除限度額に加算することができます。「(3)指導・助言」として、独立行政法人医薬 基盤研究所は、希少疾病用医療機器に関する試験研究について指導及び助言を行うという ことです。「(4)優先的な治験相談及び審査」ですが、希少疾病用医療機器として指定さ れると、できるだけ早く医療の現場に提供できるよう、他の医療機器に優先して治験相談 及び承認審査を行うことになります。「(5)再審査期間の延長」ですが、希少疾病用医療 機器に指定され、承認された医療機器については、再審査期間を最長7年間に延長するこ とができるという制度です。  資料3-1を御覧ください。2ページほどめくっていただきますと、「希少疾病用医療機 器概要」があります。こちらは中心循環系血管内塞栓促進用補綴材というものです。一番 後ろに「希少疾病用医療機器指定申請書添付資料」が付いておりますが、この7ページを 御覧ください。脳動脈瘤に対しては、例えばクリッピング術などの外科手術、若しくはコ イル塞栓術などをやるわけですが、今回対象となっている機器は、ネック部が広いワイド ネック型の脳動脈瘤に対して適用するものです。ネック部が4mm以上、若しくはドーム/ ネック比が2未満となっているような脳動脈瘤を有する患者に、コイル塞栓術をする際に コイル塊が親動脈の方へ出てくる、又は逸脱を防ぐために適用されるということで、9ペ ージにそのイメージ図が出ています。9ページに図2.2-4がありますが、「塞栓コイルと ステントの併用の概略図」ということで、瘤のある部位の血管にステントを留置しまして、 さらにコイル塞栓術をやるわけですが、このステントを置くことによってコイルがまた血 管に戻ってきてしまうのを防ぐことを目的とするものです。  今回申請いただいたのはボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社ですが、 既にジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社の同様の医療機器が平成17年12月9日に 希少疾病用医療機器に指定されています。  資料3-1の「希少疾病用医療機器概要」に戻りますが、対象者数については、年間で 632〜948人くらいということで、条件の一つである5万人未満を満たしています。また、 医療上の必要性についても、ここに書かれていますように、脳血管への挿入を意図したデ リバリーシステムを有する自己拡張型のステントで、既存の治療方法と比較して安全、か つ、術後効果の高い治療が可能となることもありまして、医療上の必要性についても満た されると思われます。開発の可能性ですが、2002年9月に米国FDAから認可を取得し、 既に臨床使用されていること、また、欧州諸国においても小規模臨床試験を行いまして、 2002年6月にCEマークを取得し、臨床使用されていますので、我が国できちんと開発 できる可能性は非常に高いのではないかということで、三つ目の条件も満たすのではない かと考えられます。説明としては以上です。よろしくお願いします。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。この医療機器について、委員の先生方から御質 問、御意見はありますか。 ○事務局 一点だけ付け加えですが、今回御審議いただく趣旨は、希少疾病用医療機器に 指定するか否かについて御審議いただくもので、今回の審議をもちましてこの機器を承認 する、しないということではありません。希少疾病用医療機器に指定されたとしましても、 この後、治験のデータなり何なりをまたこの部会に御提出いただきまして、承認するかど うかの審議は別途行われることになりますことを申し添えます。よろしくお願いします。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。希少疾病用医療機器としての指定について、御質 問、御意見はありませんか。 ○北村委員 脳動脈瘤そのものは希少疾患ではないのですね。ワイドネックというところ が希少疾患に入るということですね。ワイドネックというものを対象とする限りにおいて は希少疾患とするのですか。 ○事務局 対象疾患のところにありますように、コイル塞栓術で治療困難なワイドネック 型未破裂脳動脈瘤を有する疾患で、最大径が10mm以上の患者を対象とする場合に、年間 でこのくらいの人数だということです。 ○北村委員 分かりました。 ○土屋委員 医療機器の場合、改良のスピードが速いと言われていますが、この機器も改 良品が出て3年くらいになっている状況で、更に最新版の改良品が出ていることはないの でしょうか。 ○医療機器審査管理室長 今、指定しようとする品目の更に改良品というのは特に聞いて いません。 ○土屋委員 もう一点、ジョンソン・エンド・ジョンソンが以前、希少疾病用医療機器の 指定を受けて、2年半の経過で、承認審査というのが難しいのかどうかは分かりませんが、 いまだ出ていないというのは、何か困難な状況が発生したとか、そういう情報はつかんで いますか。これと関係ないかもしれませんが。 ○医療機器審査管理室長 ジョンソン・エンド・ジョンソンの製品については、希少疾病 用医療機器として指定を受けた後、日本国内での治験を行っていまして、まだ治験中と承 知しています。 ○土屋委員 米国のHDEのシステムというのは4,000人以下。日本は5万人以下です ね。そして、もう一つ、米国では、13ページの文書では、市販前承認の有効性要件の適 用免除となっていますが、この有効性要件の適用免除というのは、臨床で有効性というの を見なくてもオーケーということなのでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 アメリカのHDEは、対象患者数が4,000人未満の疾患にあっ ては、臨床試験の実施が極めて難しいということもありまして、有効性についての立証を 免除されているといいますか、有効性についてはプロバビリティーが示されれば一定の条 件の下に承認を与える制度です。日本の希少疾病用医療機器の制度は5万人ですが、HD Eの患者数とオーファンの患者数を単純には比較できないと思いますが、日本では5万人 以下の患者数の疾病については、企業の開発インセンティブが非常に低いということで、 従来より希少疾病用医療機器として指定するシステムをもって、開発の支援というか、優 遇策をとることで、インセンティブを少し付けようということです。 ○土屋委員 そのプロバビリティーというのは、前臨床試験とか、研究報告というところ から出てくるのでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 基本的にはクリニカルと理解しています。これまでもアメリカ で承認されているHDEについては、例えば100人を超えるような臨床試験も行われてい ますが、必ずしもGCPにのっとって行われていないデータも組み合わせた評価が行われ ている例など、科学的にコントロールされた試験かというと、必ずしもそうでない臨床デ ータについても評価の対象としてきているようです。 ○土屋委員 私は、この製品は希少疾病用医療機器としてもよろしいのではないかと考え ていますが、この場合、ステント側だけではなくて、中に入れるコイルも今は様々な材質 のものがありますけれども、そういうものも両方考慮して審査しないと、不具合の率など が変わってくる可能性はないでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 このステントを使って瘤そのものの中に入れるコイルの方は、 先生のおっしゃるように幾つもの種類が既に承認にもなっていますし、そういったものを 恐らく使うと思います。症例の病変に合わせて先生がお選びになるのだろうと思います が、それについては本品の承認の審査における評価のときに考慮していくのだろうと思い ます。 ○北村委員 この名称が「中心循環系血管内塞栓」といって、医師にとっても何のことを 言っているのだろうという名前になっています。曲解すれば、オーファン機器として申請 して承認を受けた後、適応拡大を行うときにしやすいように考えられて、このように多目 的に適用可能なような名称にしてあるのかとも取れるくらいです。中心循環系というのは 何のことですか。脳血管は中心循環系ですか。これは解剖学的にも難しい名称ですよ。 ○事務局 この名称については、医療機器の一般的名称を書いていまして、その名称で類 似の使用目的のいろいろな機器をくくってこういう名前を付けているものですから、名称 的には幅広いものが解釈でき得るような、少々ややこしい名前になっています。 ○北村委員 英語の直訳ですか。 ○事務局 英語のGMDNからきているものです。 ○医療機器審査管理室長 原則として英語の訳です。国際整合した名前、クラス分類とし ています。中心循環系の定義もありまして、脳と心臓周りの血管と、腹部も大動脈が入っ ていたと思いますが。 ○北村委員 そのように適応拡大が図れ得るということを考慮しての申請と。 ○医療機器審査管理室長 決められた一般的名称を記載したもので、特に適応拡大を考慮 したものではないと思います。 ○北村委員 しかし、曲解できます。オーファンとして申請したいというところは、脳の 非常にワイドネックの動脈瘤に限って申請を出すけれども、実際は心臓あるいは大動脈ま で適応拡大し得るように名称を申請するという、悪巧みと言ったらいかんだろうけれど も、そういうことはありませんか。 ○医療機器審査管理室長 この一般的名称は、もう行政的に厚労省で決めてしまっている 名称でして、医療機器については4,000くらいの一般的名称がありまして、これは名称の 欄に記載されていますが、厚労省で一般的名称としてこういう名前を付けていまして、こ のものがもし承認になるときの実際の販売名は、違った名前が付いてくるということで す。 ○北村委員 分かりました。 ○笠貫部会長 一般的分類ではこの名称に入っていて、ワイドネック型の脳動脈瘤には自 己拡張型□□□□□□□マイクロステントというのが具体的なこの機器の名称となりま すか。 ○医療機器審査管理室長 予定される販売名は、申請書によれば、「□□□□□□□□ □□□□」ということです。 ○笠貫部会長 大きいくくりの中でこの機器の名称は。 ○北村委員 これは、申請者がこういう名称でしてきているのではないのですね。そうい うことなら、先ほどのは曲解ですので明記しておいてもらわないと怒られるかもしれませ んが、分かりにくい言葉ですね。 ○笠貫部会長 一般的分類の中でこういう大きいカテゴリーに入っても、この名称で希少 疾病用として指定することが良いかどうかについては、□□□□□□□□をと書いていた だいた方がいいかもしれません。それは可能ですか。 ○事務局 これは、決まりますと告示としてお示ししますが、その際に書いている名称は、 機器の一般的名称で書いています。ただ、オーファン、希少疾病用医療機器の指定の際に は、名称だけを指定しているわけではなくて、予定される使用目的、効能又は効果までを 含めて指定になっていまして、例えばこういうものであれば、コイル塞栓術で治療困難な 動脈瘤で最大径が10mm以上ということも含めて、細かく書いた上で指定することになり ますので、それ以外のものに簡単に適応拡大できることはありません。 ○笠貫部会長 曲解ではなくて、誤解を受けるという意味だと思います。一般的なカテゴ リーとして中心循環系と書いてありますが、実際はこの医療機器は□□□□□□□□とい う自己拡張型のマイクロステントということなので、それが分かるようにしていただくと 誤解されないのではないかと思います。一般的なカテゴリーを書いて、あとは細かい説明 で使用目的と効能になっていますと、名称で書いてあるものの使用機器という目的に捉え てしまうので、その間に「本医療機器」という名称が抜けてしまうのです。北村先生、そ ういうことでよろしいですか。 ○北村委員 曲解ではなくて、誤解がよい。分かりにくい。こういう言葉はないです。中 心静脈系というのはある。しかし、中心動脈というのはない。中心循環系というのは解剖 学的にどこのことを言っているのかは、お役所の言葉として脳が入っているということが あると今初めてお聞きしましたが、医学の中ではセントラルサーキュレーションシステム というのは医学用語辞典(日本医学会 医学用語辞典 英和 南山堂)にはない。 ○医療機器審査管理室長 どういう名称で告示というか、お示しできるか、検討します。 ○荒井委員 特に今の議論についての異論でも何でもないですが、一応一般論として御記 憶いただきたいのは、先ほど御説明のあった普通のコイルで塞栓が難しいワイドネックの 10mm以上の動脈瘤というのは、体の中で別に中枢神経の動脈ではなくて、どこにでもで きるものです。これに関しては希少というか、まれなものということですが、確かにそう いうものはどこの臓器にでもできますけれども、多分その数をきちんと集めたらすべて5 万例はないくらいのまれなものだと思います。これはたまたま申請が比較的に数を集めや すい脳神経外科領域で出ていますが、現場としては決してこれはまれではなくて、これを 使わないと止められない動脈瘤は多分、脾臓にも肝臓にもできますので、そういう中でこ れは資料がそろったのでオーファンとして今回は認めるというような状況だけは、一応知 っておいていただいた方がいいと思います。 ○笠貫部会長 今の表現は御検討いただくということで、事務局はよろしいでしょうか。 これはGMDNという世界の共通語として作られたものが臨床の現場とはなかなか合わ ないということと、これで結果を報告したときに一般のドクターにも患者にも誤解をされ てしまう可能性があるという御指摘だと思いますので、これからどう工夫するかを含めて 御検討いただけたらと思います。ほかにはありませんか。 ○勝呂委員 専門外なのでよく分かりませんが、ワイドネックというのは一応10mmとい う規定がありますが、これが、普通の塞栓術だけでも現在はほとんどされているわけです ね。もし適用拡大というか、8mmあるいは9mmのものに持ってくると非常に使いやすいわ けですね。そうすると、今までのものは塞栓するときに、コイルを入れるときに非常に苦 労しながら入れているものが、これを使うことによって容易にできることを考えた場合 に、果たしてこれをオーファンと考えるかどうかですよね。早い話が、今、塞栓をやると きはテクニックが必要で、うまくやらないと流れていってしまいますね。ですから、もし 5mmのものでも、こういうものを使うことによって失敗がなくなると考えて適用を拡大さ れた場合に、オーファンではなくなってしまうのです。そういう形でやると、9mmだから 10mmにして使おうとか、7mmだからこれは方向性が悪いから塞栓ができづらいな、とい うときにこれを使われてしまうのではないかと思います。多分、そうなると思います。で すから、オーファンがいいのか、本来のステントそのものをうまく使うような形でいいの ではないかと私は思っています。これをあえてオーファンにするのがちょっと。恐らく、 世界もそうだと思います。ある範囲でやっているのはやりづらいから、もう少し小さいも のも適用にしましょうとなるに決まっているのです。そうした場合、この数ではなくなっ てしまうのではないかと思います。 ○笠貫部会長 先ほどの5万人というのをもう一度確認したいのですが、これはワイドネ ックで最大径が10mm以上で、かつネックの部分が4mm以上と限ったものということです か。適応拡大という話が出ると、その5万人が問題となってきます。希少疾病の場合の条 件になりますから、この定義は、ワイドネック型で10mmで、ネックは4mmという、全部 を満たしたものが5万人ということで考えてよろしいですか。 ○事務局 対象者数については、ワイドネック型の未破裂脳動脈瘤で最大径が10mm以上 が対象ということですので、4mmなどというのは別途、効能として入ってくるだけで、恐 らく対象としての計算では、最大径が10mm以上の患者で600〜900人くらいということで されていると思います。 ○笠貫部会長 希少疾病の場合には、今後、適応拡大されて、患者数が増えた場合のこと を想定するかどうかという問題を指摘されたと思いますが、これについては何か事務局と してお答えはありますか。 ○機構 少し、その辺りについてコメントします。まず、ワイドネックでなくなると、サ ポートするステントがなくても入ることになってきて、これが要らなくなるので、確かに ワイドネックの径の大きさは10mmがいいのか、ドーム/ネック比が2というのがもう少し 小さくなってもいいのではないかといった議論は多少はあるかと思いますが、前回のジョ ンソン・エンド・ジョンソンのときもそうですけれども、現状は、そこのデータをそろえ る上で、例えばワイドネックをこのくらいにすると大体どのくらい入りにくいという論文 的な検索をやっていただいた結果、妥当なところに落ち着いたというのが一つです。それ から、瘤径の大きさ10mmというのは、ISUIAというスタディの中で7mmで一応予後を改 善するデータが出ていますが、日本では脳ドックのガイドラインが10mmを推奨する部分 から10mmとなった経緯がありまして、そこを下げてくると重篤度というか、治療をする 妥当性という部分のリスク・ベネフィットの観点で少し議論がありまして、確かに希少疾 病という範疇からいきますと、この報告書にもありますように、全体が2万例くらいから 計算が始まっているところで、5万人という数字からいくと少ないということがありま す。最終的に1,000人以下になってしまっていて、そこを多少広げても到底5万人には達 しない部分がありますが、実際にリスク・ベネフィットの観点から希少疾病用医療機器の 指定の条件をすべて満たすところについてデータを整理した結果、この形に落ち着いてい るというところで、前回のジョンソン・エンド・ジョンソンのときに指定に至ったという 経緯がありますので、それに倣って今回も設定しています。 ○笠貫部会長 勝呂委員よろしいですか。適応は10mm以上の未破裂の脳動脈瘤で、それ より小さいものについてはオーバーインディケーションになるという考え方でいいです ね。リスク・ベネフィットを考え厳しく、オーバーインディケーションにならないように ということで、症例数としては5万人以下という捉え方をしていただけたらと思います。 それ以外にはありますか。 ○澤委員 これは、オーファンに指定されますと、助成金が交付され、なおかつ税制措置 が講じられる。今まで米国でもある程度開発は行われている。それに対して、我が国から なぜ助成をしなければいけないのでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 オーファンに指定されて以降の開発についてしか適用されま せん。この品目についてはリスクも高いですし、埋植の製品ですので、国内での補完的な 臨床試験をやることになりますので、オーファンに指定されて以降、その開発費の部分に ついてこれが適用されるということで、既にアメリカなりヨーロッパで開発が終わったそ の開発についてこれが適用されることはないです。 ○小俣委員 私も専門外で分かりませんが、オーファンというものを医薬品の場合と医療 機器の場合で同列に5万人という数字でくくるのが、少し問題かなと思います。例えば薬 剤ですと、投与されている患者の数は数万人、数十万人、時には数千万人になりますが、 一方、機器の使用規模はものすごく小さいと思います。同じくくりの5万人でオーファン ということにしてしまうのは、問題です。換言しますと、疾病数は非常に多くても一種の 亜分類ですね、例えば今回のようにサイズとか形態によって決めた場合にオーファン化で きる、この二点が、根本的な問題ではないかなと思います。 ○笠貫部会長 最先端の医療機器の問題と、適応患者が非常に多い薬の場合と同じオーフ ァンの指定の数でいいかという御指摘だと思いますが、これは今後の問題として御検討い ただけますか。 ○医療機器審査管理室長 検討したいと思いますが、医療機器メーカーにとっては、どの 医療機器も対象患者数が医薬品に比べて少ないと思いますけれども、開発意欲、インセン ティブという点では、患者数が少ないこと自体が開発を進めにくい要因にはなっているだ ろうと思いますので、そういう意味では一定の同じような数という考え方もあるかと思い ます。 ○小俣委員 繰り返しになると思いますが、例えば医療機器が5万人の使用頻度がなけれ ば、その5万人以下の使用頻度を理由に申請ができる、この場合ですと脳の血管性の病変 の分母は幾らあっても、用途にかかわるクライテリアはかくかくしかじかであって、その 使用頻度が5万人以下であるからゆえにこれは希少疾病用である、という逆の申請も可能 になってしまうということだと思います。また、医療機器全体が、循環器、消化器等々の すべての領域において5万人以上使われているものが、全体の10パーセントぐらいある かだと思います。そういう視点からnの設定をしないと、先ほどの適用範囲の拡大のみな らず、一種の盲点を突いてくる申請が増える心配があるということです。 ○笠貫部会長 御理解いただけましたでしょうか。これは大事なポイントだと思います。 医療機器はある疾患に対して非常に限られたものに使われますというところを、対象者と して5万人とすると、薬とは意味が違うのではないかという御指摘だと思います。これは すぐ答えが出ないかもしれませんが、医療機器と医薬品との違いについて、今まで「医薬 品等」ということで医療機器がその中に入っていたものを、その特性の違いを考えていく 必要があるのではないかという御指摘と捉えて、今後の課題とさせていただいてもよろし いですか。 ○医療機器審査管理室長 法令で5万人と決めていますので、5万人を動かすことが妥当 かどうかも含めて考えさせていただければと思います。 ○笠貫部会長 法令までいかなくても、解釈ということでも難しいですか。 ○土屋委員 御懸念の点は分かりますが、今まで実際に希少疾病用医療機器として申請さ れて認められている数は、かなり少ないですよね。ですから、それなりに審査されて選ば れているのだろうと思いますが、今後のことがあるのかもしれません。 ○荒井委員 小俣委員のお話で亜分類という言葉をお使いになりましたが、最初の分類が 疾病なら疾病という単位でいくのか、その中でこういう場合、亜分類ということを挙げれ ば簡単に5万人という数を割ることができるので、多分それを一番懸念しておられての御 発言と思いますし、確かに医療機器の場合というのは、決してレアではないけれども、亜 分類で分けていけばこれに適用するものはこれしかないということで、数は非常に少ない ということで、今後、これがまかり通るのであれば、これでたくさん出てくるかもしれな いという懸念を持っての御発言だと思います。私も全く同感です。 ○笠貫部会長 先ほど助成金の話も出ましたが、希少疾病用の特に医療機器の場合にどう かということを、これまでの機器も含めて一度御検討いただいて、また御報告いただけた らと思います。 ○北村委員 「希少疾病用医療機器」と、「疾病」と書いてあります。今日のような場合 は、疾病というよりは病態です。形態とか大きさとか。疾病ではなくて病態によって区分 してこれに最初に持ってくるとなると、いろいろな所で可能ではないですか。これは病気 そのものがまれというよりは、病態がまれという形になるので、今の亜分類ということと 共通すると思いますが、承認を疾病用と、希少病態というのを病気のエンティティとする のか、病態も含めるのか、その解釈も関係してきますね。おっしゃるとおり、医療機器で 年間5万件以上使っていないものはたくさんあると思いますが、逆に5万件を超えたら取 り消すのかどうかということもありますね。時間をかけて医療機器については検討してい ただくべきで、私もその時期が来ているのではないかという気がします。 ○医療機器審査管理室長 数等、三つの要件で指定をしていきますので、もちろん多くの 医療機器が対象患者数5万人を下回るだろうと思いますが、既存の治療法がないとか、既 存の治療法に比べてもはるかに優れているということがなければもちろん指定になって いきませんので、既存の治療法がないのに開発が進まないような部分について、それを支 援しようと、それに値するかどうかを審議して決めていくということだと思います。 ○北村委員 この件はどちらかといえば、希少疾病ではなくて、希少病態に対するものに なって、本来の用途からはずれる可能性もあり得ると思います。 ○笠貫部会長 希少疾病用医療機器の定義について、事務局からお話のあった対象者数と 医療上の必要性を満たしたものを希少疾病用医療機器と定義しているという捉え方でよ ろしいですか。 ○医療機器審査管理室長 病態を含めて、このものの対象患者になる人がどのくらいの数 になるかということで、これを使うことのリスクも含めて考えると、ワイドネックでない 人にこれを使うことは恐らく承認することも難しいのではないかという判断も含めて。 ○北村委員 今、先生がおっしゃったように、恐らく実際は、医療の場では抑えるのは難 しいと思います。ですから、今後のことも踏まえて、希少疾病なのか、病態も含めて良い のか、ということを明確にしていただきたいというのが全体の意見ではないでしょうか。 ○笠貫部会長 これまでの実態を、実際に申請されたもの、あるいはそのフォローも含め て、それから医療機器と医薬品との違いも含めてということですね。 ○土屋委員 私は先ほど認めてもいいのではないですかと言いましたが、一つは、海外で 既に認められているものをオーファンにすべきかどうかを考えるべきではないかと思い ます。 ○医療機器審査管理室長 海外で認められているものをどうするかということですが、海 外では開発がもちろんある程度進んでいますが、我が国での既存治療があるのか、ないの かということで、日本の患者へより早く届けた方がいいのかどうかの観点から言えば、海 外で承認になっているから日本での開発を支援する必要がないのだということには必ず しもならないだろうと思います。ですから、日本での現在の治療実態を見たときに、この ものが本当に必要な機器なのかどうかで御判断いただくのではないかと思います。 ○小俣委員 参考資料3-1の「用途に係る対象者の数が」の「係る」をどう解釈するかに よって、脳動脈瘤を持っている患者さん、そういう患者の場合でしたら明らかに数が非常 に増えますね。ところが、「用途に係る」の「係る」を、このものを使う具体的な数とい うことに限定すると5万人以下になりますし、たとえワイドネックを持っている方がいて も実際に使わない方もおられます。今日の御議論はどちらかというと、このものの使われ た数が5万であるから申請したいとも響きますので、この「係る」をどう解釈するかによ ってと思いますが、「係る」というのはどのくらいの意味を持っているのでしょうか。も しこれが脳動脈瘤の患者でしたら、5万人以上ではないかと思います。その辺はどうです か。教えていただければと思います。 ○医療機器審査管理室長 資料3-1の耳の二つ目に、総合機構で事前評価をいただいたレ ポートを挟んでいます。その2ページですが、脳動脈瘤の患者の数をどう算定するかとい うことで、これまでの調査によれば、外科的治療又は血管内治療を受けている患者、脳動 脈瘤を持っている全体の中から手術なり血管内治療を受ける方が1万人程度と言われて おります。保存療法又は経過観察だけの患者もいらっしゃいますので、そういう方も含め ると2万人くらいいらっしゃるのではないか。そのうちの1万人くらいが血管内治療とか 外科的治療を受けている。そのうち、径が10mm以上の脳動脈瘤の患者は4,000人くらい いる。この4,000人のうち、さらにワイドネックという、今回の製品の対象と考えられる 患者が1,000人くらいとなります。今回のものについては、脳の中にステントを持ってい くこと自体のリスクも兼ね合わせますと、破裂するおそれの高い径の大きな瘤であって、 かつワイドネックでコイルが飛び出しやすい人に限定して適用を考えるべきだというこ とから、そういう患者に限定して適用を考えなければならないので、そういう患者の数と して算定をして、およそ1,000人程度というのが調査の結果です。 ○小俣委員 そうしますと、ここの5万という数字は、たまたま両方とも2万356とか1 万26とか948も5万以下なので問題がないですが、将来、この数字でいきますと1万26 のところが7万幾つで、2万356が14万で、治療対象が1万といった場合は、この「係 る」の解釈はどの数字をもって5万以下になったかどうかと決めるのでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 今の考え方は、948人をもって5万人以下だと考えています。 ○小俣委員 分かりました。 ○北村委員 一番ポピュラーな心臓の手術のバイパス手術も年間2万です。そうすると、 それに使う自動吻合器の申請等もすべて希少疾患に相当する。病態で認めるならば。PC Iを加えますと20万、30万の数になりますが、手術だけに限ると日本中で年間2万です。 そうすると、それに使う自動吻合器などはすべて希少疾病器具として申請可能になってし まいます。ですから、病態で認めていくと、どんどんなってもいいのであれば結構ですが。 ○医療機器審査管理室長 患者数だけではなくて、バイパス手術の自動吻合器がもうある のであれば、今から新しい吻合装置を持ってきても、既存の治療機器がありますので、こ の対象にはもちろんならないということです。 ○北村委員 例えを言っているのですから。病態で認めていくと、そういうものが新たに どんどん来る可能性があるわけです。5万を超えている手術というのは、脳や心臓ではむ しろ少ないです。消化器くらいだと思います。 ○医療機器審査管理室長 もちろん、その対象疾病が重篤にもかかわらず治療の方法論が ない場合に、そういう新しい機器があれば、治療ができる可能性があるということで。 ○北村委員 全然ないものがあります。今から出てくる、今アメリカなどでやっているも のが幾らでもあると思います。大動脈系の吻合もあるし、冠動脈系の吻合の装置も、自動 吻合装置あるいはロボットによる吻合装置、そういったものはすべて。 ○医療機器審査管理室長 今の治療法がないのであれば。 ○北村委員 今の治療法といっても、今回の機器も補足のものですね。今あるコイルを入 れた後に対する新しいものですね。全く新しいというよりはそれにプラスされるものです から、プラスした概念と器械が導入されてきたものを病態に対する適応として、希少疾病 に対する器具として承認すると、多くが入り得るということは現実にあると思います。 ○笠貫部会長 各委員の先生方が、希少疾病用医療機器をどう捉えるかについての問題意 識をお持ちになっていることをまず御理解いただいて、その中で、参考資料3-1の希少疾 病用医療機器として指定する条件の解釈の仕方を、現時点で、ここの「用途に係る」は、 この医療機器の1,000名に限られたような亜分類あるいは病態の対象者の数と、医療上の 必要性という(2)の(ア)と(イ)を満たしたものをここで希少疾病用医療機器に指定するか どうかということで、今回は御判断をいただけますか。これから医療機器と医薬品がどう 違うかという問題点や、先ほど御指摘のあったような、今は海外との共同開発がされてい るようになっていますが、そうでなかった時点で、海外で認められていたものに対して日 本での開発には、この方法で臨床試験を進めないと日本の患者に新しい医療機器の提供が できないということを御理解いただいて、これから医療機器の開発は変わってくるだろう と思いますから、今日御指摘のあった問題を踏まえて事務局でもお考えいただけたらと思 います。医療機器が新しく開発されていくときに、「医薬品等」となっているところで、 医療機器の特性が余り強調されていないように思うので、大変意味のあった議論がたくさ んなされたと思います。  時間の関係もありますので、一般論としてもたくさん問題を指摘されましたが、本医療 機器、「中心循環系血管内塞栓促進用補綴材」という名前についても先ほど指摘がありま したけれども、これも今後検討させていただくということでもよろしいでしょうか。 ○北村委員 これだけ議論がありましたからね。何度も言うようですが、今後影響はある と思いますので、希少疾病を希少病態というものに変えてもよろしいということを認めた 上でないと、何のためにディスカッションをしているのかが分からなくなります。意見を 聞いていただいて、私だけだったら抑えますが。 ○笠貫部会長 先ほど小俣委員の御質問にあった「当該医薬品等の用途に係る」というと ころで、今回は「用途」に病態と亜分類が入るという解釈でもよろしいわけですね。そう いうことでこれを認めることでは御理解いただけますか。 ○澤委員 これは要するに、うがった考えですが、ジョンソン・エンド・ジョンソンが同 種同効で希少疾病の承認を受けてしまっているから、これもできれば同列で扱いたいとい う意味合いに取ってもいいのですか。 ○医療機器審査管理室長 できれば扱いたいと申しますか、部会の審議を経てジョンソン ・エンド・ジョンソンについては指定をいただいていますので、この両者の使用目的、対 象患者が違わないのであれば、指定されるものかと考えています。 ○笠貫部会長 常に先ほどの(1)と(2)で考えていただきたいと思いますが、(2)で、現時点で 開発されている、日本で認可されている代替はないという解釈でいくと、ジョンソン・エ ンド・ジョンソンと同じようにこのボストンのものを認めざるを得ないという判断になる かと思います。そういうことで、この指定基準を考えていただくことで、その解釈でよろ しければ、指定可としたいと思いますが、それでも問題がありましたら、今回延ばすこと もあるかもしれませんが、いかがでしょうか。 ○勝呂委員 平成17年に一つ通っているものがあります。今後のことを十分に考えて、 個人的には、これはオーファンでいくものではない、ごく一般にある治療の一つの手段だ と思っています。あえてこれにするのであれば、今後同じようなものがどんどん出てきた ときに、これが前例になって全部同じ形でいきますよということを何か考えておかなけれ ばいけないという形ですね。その辺のところを含めて、いわゆる病態治療に持ってくるか、 疾病治療に持ってくるかですね。 ○笠貫部会長 「用途に係る」について、この部会としては「用途」は亜分類、それから 病態という捉え方と、先ほどの海外での話とジョンソンの話については、現在日本で代替 する、これに相当する治療法がないということで御了解いただけるかどうかだと思います が、いかがでしょうか。よろしいですか。もしそれ以上御異議がないようでしたら、この 指定を可としたいと思います。この審議結果については、次回の薬事分科会において報告 することにします。  続きまして、議題4、医療機器「ヒト他家移植組織」を希少疾病用医療機器として指定 することの可否について、御審議をしていただきたいと思います。審議品目の概要につい て、事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 資料4-1を御覧ください。分厚い資料になっています。こちらも同様に希少疾 病用医療機器としての指定ということですので、指定制度そのものについてはいろいろ御 議論いただきましたが、同じ扱いになります。  厚い資料をおめくりいただきますと、右肩に「別紙1」と書かれている「形状、構造及 び原理」というものが8枚目にあります。この品目は米国のアイバンクより入手しました 輸入のヒト角膜から分離した角膜上皮輪部細胞をヒト羊膜から分離した基質羊膜を基質 として培養し、シート状に形成して患者の眼の表面に使用する「他家培養角膜上皮細胞シ ート」です。本品を角膜上皮が欠損した角膜上皮幹細胞疲弊症の患者の眼の表面に覆うこ とで、角膜上皮の修復又は視機能の改善が期待できるということです。  この品目について、オーファンとしての該当性ですが、2枚目にお戻りいただきまして、 申請者はアルブラスト株式会社です。対象者数は、本品については、スティーブンス・ジ ョンソン症候群や眼類天疱瘡、熱化学腐食等を原疾患とする重症の角膜上皮幹細胞疲弊症 を対象とするものです。これらについては、平成17年度時点において最大でも 1万1,000人未満と推計されています。  また、医療上の必要性についてですが、この対象疾患は、治療を行わなければ病状が進 行して失明に至る難治性の眼表面の疾患であること、この疾患に対する既存の治療法につ いては、具体的な有効性、安全性に関する情報は提出されていませんが、申請者によりま すと、保存療法や角膜移植は根本的な治療法となっておらず、角膜上皮の形成術や角膜輪 部の移植についても期待されるような治療成績が得られていないとされています。有効性 については、この医療機器の技術導入元であります京都府立医科大学で実施された32例 35眼の臨床研究成績として、上皮欠損の改善は□□眼、視力の改善は□□眼との結果が 示されています。ただし、この医療機器と京都府立医科大学の臨床研究に用いられた製品 は製造方法等が一部異なることや、最終観察時期が一定していないことなどの点が指摘さ れています。また、安全性については、生物由来原料に起因する感染症伝播の可能性等に ついて、今後、確認申請の審査を通じて十分確認する必要があるということです。  開発の可能性について、この医療機器は、同時に申請された確認申請の審査を平行して 行っているもので、現時点で治験の開始時期等は未定ですが、製品の開発の可能性そのも のを否定するものではないということです。説明としては以上です。よろしくお願いしま す。 ○医療機器審査管理室長 安全性ですが、この資料にもありますように、このものの安全 性については、細胞を使ったもので、培養中のいろいろな血清に由来する成分であるとか、 そもそもヒトの細胞組織をいただいてくるものですので、未知の感染のリスクというもの があります。その点については今後、確認申請の中で十分確認をいただかなければ、ヒト に適用されることは許されないということで、安全性についてはまだ評価を待たなければ ならない部分がございますが、この細胞製品そのものについては、例えば羊膜を使った眼 科の手技手術というのは既に行われていたり、角膜輪部の移植であるとか、角膜の移植が 眼科の領域では行われておりますので、今回のこの製品は細胞組織の培養製品ではござい ますが、そういったものを眼表面に適用することに由来する根本的な新たな大きな問題は ないのではないかと考えております。 ○笠貫部会長 それでは、本医療機器について、委員の先生方から御意見、御質問を伺い たいと思います。 ○医療機器審査管理室長 御欠席の山口先生から事前に意見書をいただいておりますの で、御紹介させていただきます。 ○事務局 山口先生からのコメントを読み上げさせていただきます。「当日配付資料」と 右肩に書いてある1枚紙の資料を御覧ください。  「本品目はスティーブンス・ジョンソン症候群や眼類天疱瘡、熱・化学腐食を原疾患と する角膜上皮幹細胞疲弊症の患者を対象とする培養角膜上皮細胞です。対象とする患者数 やその対象疾患の重篤性からは希少疾病医療機器としての要件を満たしていると思われ ます。一方、開発の可能性については、今後まだデータの蓄積、検討が必要な点が少なく なく、特に次のような点についての検討が必要と考えられます。ただ、これらについては、 臨床試験の進展によってのみ答えが得られるものもあり、これらの要検討事項が解決され ていけばこれまでにない有用な治療の機会を患者に与える可能性があり、以下の指摘事項 に対する検討を行って開発を進めていくことが重要であると思います」ということで、五 点、要件を挙げていただいております。  一つ一つの紹介は割愛させていただきますが、「現時点で開発の可能性を否定するもの ではなく、希少疾病医療機器として指定することは可能と考えます」というのが山口先生 からのコメントです。以上です。 ○笠貫部会長 山口委員のコメントも含め、委員の先生方から御質問、御意見はいかがで すか。 ○澤委員 私は眼科で特に角膜移植をやっておりますが、まず、例数としては、毎年行わ れる角膜移植が国内のドナー角膜で1,600例くらい、海外からのドナーで1,000例くらい ですから、1年間の角膜移植は2,600眼程度です。こうした一般的角膜移植が適用になら ない症例が、今ここに挙がっている症例なのです。通常の角膜移植は、畳で考えると畳の 芯と畳表、畳の芯の部分とその内側を取り替えるのと例えることができます。今回の申請 が対象とするものは畳表の部分が悪くて視力が落ちてしまう、失明状態になっているとい うものです。これは通常の角膜移植では治療ができません。そういうことで、本来は本人 のステムセルを使って培養してその上皮を治すということができればいいのですが、多く の場合、両眼罹患ですので、眼表面のステムセルが採れないということで、アイバンクア イのステムセルを使うという治療目的です。まだ治療法としても、京都府立医大、その他 の大学からデータとしてはかなりきちんと出ておりますけれども、工業的というか、一般 に市販される状態までにはなかなか至っていない。したがって、そこのところを大学レベ ルから技術移転という形でこういうものがオーファンドラッグとしての指定を受けるこ とで開発されると、両眼失明でQOLが下がっている人に非常に福音になると考えられる ので、希少疾病用医療機器としての認定というのは大変有用なのではないかと思います。 ○笠貫部会長 ほかの委員の方々はいかがでしょうか。 ○土屋委員 この治療器こそ希少疾病用医療機器としてふさわしいと思います。澤先生が 言われましたように、ステムセルが既に疲弊してしまっているようなものであって、この アロ移植ということですから、これまで治療法が確立していないものについて、今後も確 認申請をして、さらにその後、臨床試験を行って、承認、製造になるという段階ですので、 目が見えない患者さんが一人でも多く見えるようになるという、非常に素晴らしい治療法 だと思いますので、是非、希少疾病用医療機器として指定していただくことがふさわしい と考えます。 ○北村委員 私もこれは希少疾病用医療機器として認められることは大変結構だと思い ますが、確認をしたいのは、ここに書いてあるように、角膜というヒトの他家の組織移植 ですね。御遺体からこれの提供を受けて、それを営利企業が扱うことは、日本では認めて いないのです。臓器はもちろんですが、例えば重度熱傷に対する他家皮膚移植。これはヒ ト他家角膜細胞移植ですね。これをヒト他家皮膚移植と置き換えると、これは営利企業と してはやらない。臓器はもちろんですが。これは米国のものを輸入するとおっしゃってい ますが、日本から提供を受けた角膜を利用することはできるのですか。 ○澤委員 私の理解では、臓器の移植に関する法律で、多分、現状では難しいのかなと思 います。 ○北村委員 気になるのは、米国から輸入すれば、ヒト組織を営利企業が原材料として扱 って、高額のお金を獲得できる。一方、熱傷に対する他家皮膚移植は一切してはならない。 あるいは、日本の人からいただいた角膜は営利企業に渡すことができない。こういう移植 の倫理の問題との兼ね合いで、むしろ組織移植というのを角膜細胞移植というように表現 していただければどうでしょうか。細胞レベルまで分解すると、ヒトのものでも人格を持 たないと言いますか、機器から薬という扱いになるのですかね。組織になれば機器で、細 胞になれば薬になるのか、その辺もよく分かりませんし、実際、1ページ目の申請用紙を 見ると、最後までどのような器械なのかなと思います。2ページ目を見れば初めて細胞だ と分かるのですが。それで、そういった米国輸入の人の御提供に対して、金額を日本の会 社は払うのだろうと思うのですが、それを営利企業が原材料として使っていくということ で、日本人の場合はできないという、ボタンの掛け違い、齟齬が起こるわけです。これに ついてはどのように考えるのかということなのです。 ○医療機器審査管理室長 皮膚バンクのような組織バンクの取扱いについて、不勉強で、 法令で恐らく禁止されているのではないのだろうとは思いますが、法令上の取扱いについ て担当課に確認したいと思います。いわゆる細胞・組織加工製品については、既に平成 12年に、その採取なり利用についての倫理的な問題も含めて、基本的な考え方を医薬局 としては示しており、その中で、もちろん同種他家の製品についても、ドナーに利用目的、 利用方法について十分なインフォームドコンセントを取って組織をいただくのに、そこで 代金の授受があってはいけないとなっておりますが、いただいてきたものを薬事法上の細 胞・組織加工製品として利用していくことについては禁止をしておりませんので、こうい う製品の申請が出てきているということで、国内で採取された組織の利用について国内で のルールはどうなっているのか、そこはもう1回確認させていただきたいと思います。既 に、例えば間葉系幹細胞をアメリカから輸入してきて、それを培養して細胞・組織製品と して治験を開始しようという製品も審議会で御審議をいただいておりますとおり、薬事法 においては直ちに禁止というようなことでは取り扱ってきていないのが現状です。 ○北村委員 米国では組織の移植、皮膚等の営利企業があるのです。しかし、日本では、 亡くなった方から皮膚をいただく説明の中で、それを使って会社が製品を造って利益を得 ますということを申し上げたら、提供者はゼロになるのが日本の状態です。臓器では法で 移植臓器の転用は禁止されています。会社がもうけるのになぜうちのお母さんの皮膚を提 供する必要があるの、というのは誰が聞いてもおかしいと思うでしょう。それが今、日本 では行われているから、営利企業への組織の提供というのは研究目的で、研究用だけを何 とかしようと今やっているところなのです。企業に原材料として渡すというようなことは 日本の現状ではとても考えられない。しかし、米国は法律が違いますから、それに限れば いいのだと、抜け道のような感じがするのですが、これは米国から買う場合はお金がかか るのですよね。 ○澤委員 お金がかかると思います。ただ、米国においても営利としては認められていな くて、輸送費とか、例えば感染症の検査費用とか、保存のための費用とか、そのようなも のは全部上乗せできますが、それ以外はできないという形で運用されていると思います。 ○北村委員 例えばこの間の皮膚の場合のように大変高額なものになるのであれば、これ は「ヒト他家組織移植」ではなくて、「ヒト角膜由来細胞移植」というような名称にして、 細胞のレベルまで崩して。実際に治療方法がそうなのですよね。細胞まで崩していただく と、できると思うのです。「他家組織移植」と書かれて、営利企業に回っているというこ とになると、日本組織移植学会も日本移植学会も問題視せざるを得ないということになっ てくると思うのです。ですから、これは「ヒト他家角膜由来細胞移植」くらいであれば、 許容されるか。遺伝子になればもう薬になっていますね。特許も取れる。細胞もそうなっ ていますか。組織と臓器についてはそういう営利的なものが日本は非常に微妙な状態にあ るので、老婆心かもしれませんが、そこを少し御配慮いただいた方がいいような気がいた します。 ○土屋委員 ヒト間葉系幹細胞の場合には医薬品で、遊離した細胞を血管内に注入してい るのですが、その場合も日本人のものを一応検討はされたのですけれども、汚染等の抗体 があるとか、そういった問題があって、あえて外国のものを使われたとお聞きしています。 できなかったからということではなかったと、私は確認しております。 ○北村委員 米国の企業からは、御存じと思いますが、嫌気性菌のクロストリジウム感染 症が起こって、死亡例まで出まして、皆さんから通達を組織移植学会もいただきました。 米国の企業が出している米国のものだから安心だというようなことは、決してありませ ん。それに自己由来とか、羊膜のように生体由来のものとも異なる。御遺体からの採取の 場合はです。 ○土屋委員 それはそうですが。 ○北村委員 日本がきちんとやっている方が信頼性が高いものはたくさんあると思いま す。 ○土屋委員 それから、もう一つはクラスのところですが、それは私の範疇でないかもし れませんが、ハイブリッドであるとか、そういう構造物に近いような機能を有するものは、 医療機器というのではなく、細胞組織医療機器として分類され、例えばこういう角膜シー トのようなものも、今、次世代医療機器の事業の中の再生医療分野で既に評価手法案を作 成して、報告書も出しております。材料等のハイブリッドのようなものは、明らかにもう 米国でも、どちらかと言えば薬ではなくバイオの細胞組織メディカルデバイスとして分類 されています。ですから、そういう形の問題であって、実際の審査は医療機器の方も医薬 品の方も感染に強い方も同じように審査しておりますので、ただ名称を分けたと私は考え ています。 ○北村委員 医療機器という分類に入っても別に構わないとは思うのです。ただ、ここで も、シートというのは、人工的な物の上に、遊離した細胞を植えて、操作によって組織に 作り直しているような状況、上皮を作っているわけです。ですから、これはヒトから直接 もらってきたものではなくて、いったん細胞をそのシートの上で生やしているのですか ら、ヒト他家角膜細胞組織シートでよろしいではないですか。括弧に書いてあるとおり。 組織移植と書かれると、これは臓器移植とも関連してくるし、角腎法、今、眼科の澤先生 がおっしゃったように、日本の角膜は使えないという法律があるわけです。ですから、括 弧内に書いてある形でやっていただいた方がいいのではないかと思います。 ○笠貫部会長 希少疾病用医療機器としてお認めいただくということについては、皆さん 御賛同いただいたと思うのですが、この名称については、アメリカと日本、そしてこれは 国民的なコンセンサスが要るという意味で、学会を含めて、御検討いただけるということ であれば、よろしいかと思いましたけれども、それ以外の問題としては。 ○勝呂委員 細かく全部読み切っていないのですが、角膜のステムセルだけを話していま すけれども、ベースに使う羊膜というのはどこから来るものですか。これも輸入している のですか。日本国内で羊膜というのはそんなに簡単に人様のものを使っていいことになっ ているのですね。 ○医療機器審査管理室長 もちろんドナーの了解をいただいて。 ○勝呂委員 ですから、同じように了解を得て、それも企業が使うということを、一緒に 検討しておかないといけないのではないですか。細胞だけになっていますが、羊膜の方も 一緒にチェックして。 ○石山委員 オーファンデバイスとして私はこれはいいと思いますけれども、そうなった 場合に、総合機構からも指摘があるのですが、17ページのところで、これに開発のため に研究助成を与えるということに関して、京都府立医科大学では開発に対しての使用培地 の作り方がこのようにころころ変わっているわけです。最近は2004年からのO培地とい うのを使って5症例ですが、このように作る方法論がころころ変わっているものをそのま まメーカーに委託して、メーカーにオーファンデバイスとして研究費を助成することに対 して、少し気になっています。そういうころころ変わることも研究対象として、研究費を 助成するということでよろしいのですか。 ○医療機器審査管理室長 京都府大での開発の中で、確かに何回か方法が研究の結果も含 めながら変わってきているのは事実で、これを商業ベースで造ることになる場合には、も ちろん常に同じ品質のものが造られるということで、製造方法自体は確立していただい て。 ○石山委員 その上での助成ですよね。 ○医療機器審査管理室長 はい。 ○石山委員 そうすると、これからまた変わる可能性は十分ありますね。今までの経過で はかなり変わっていますね。 ○医療機器審査管理室長 今後絶対変わらないということも言えないと思いますし、これ から治験もやりますので、治験の中で場合によっては製造方法の変更というのが必要にな るかもしれません。それは開発の結果として、製造方法が変わってはいけないということ はないのだろうと思いますので。 ○石山委員 それらも含めて助成を出すと、そういう意味ですね。 ○医療機器審査管理室長 製造方法がもし変わるようなことがあれば、それは助成はでき ないということにはならないのだと思います。変更しなければならない理由に応じて、意 味もないのに変わるということはもしかしたら避けていただかなければいけないのかも しれませんが。 ○土屋委員 この分野は非常に発展が早く、いろいろなテクノロジーが毎年出ていますの で、やはりより良い方向に変化しているものは、むしろ変えて、より良いものを患者さん にお届けすべきだと思います。ですから、こういう意味での変更というのは、この分野で はある程度やむを得ないのではないかと思います。しかし、最終的な確認申請あるいは承 認申請の段階ではもちろん、一定の製造工程のもので承認するという形になるだろうと思 います。 ○笠貫部会長 今回は希少疾病用医療機器としての指定の御検討で、その後、確認申請、 あるいはさらにそれにいろいろなものを含めて最終的には承認申請までいくかどうかの 前の入口としては、先ほどの、表現の仕方を御検討いただくということでよろしいでしょ うか。ほかに御意見はございますか。  それでは、ほかに御意見がございませんでしたら、議決に入りたいと思いますが、医療 機器「ヒト他家移植組織」、これを変えまして、「他家培養角膜上皮細胞シート」につい て、本部会として、希少疾病用医療機器として指定して差し支えないものとしてよろしい でしょうか。どうもありがとうございます。それでは、指定を可とさせていただきたいと 思います。この審議結果については、次回の薬事分科会において御報告することにいたし ます。  続いて、議題5の医療機器の一般的名称の追加、そのクラス分類及び特定保守管理医療 機器等の指定について、審議を行います。事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 それでは、「医療機器の一般的名称の追加、そのクラス分類及び特定保守管理 医療機器等の指定について」ということで、資料5-1を御覧ください。「植込み型心電用 データレコーダ」ですが、「皮下に植え込み、心臓の活動や機能に関係する生体現象を測 定・記録する装置をいう。」ということで、「電池及び心臓の活動や機能に関係する生体 現象を感知する回路を内蔵し、信号は装置内部に保存される。一般にプログラミングや保 存されたデータの表示には、非侵襲的なプログラマ等を使用する。」というものです。  まず、一番目の「高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定について」 ですが、植込み型心電用データレコーダについては、副作用又は機能の障害が生じた場合、 適正な使用目的に従い適正に使用された場合に限りますが、人の生命及び健康に重大な影 響を与えるおそれがあることから、その適切な管理が必要なものであると考えられるの で、高度管理医療機器として指定すべきではないかと考えております。  二番目の「特定保守管理医療機器の指定について」ですが、植込み型心電用データレコ ーダについては、保守点検、修理その他の管理を必要とするものであるとは考えにくい。 適正な維持というか管理は必要なのですが、大型で据置型の機器のように定期点検をして 維持管理、保守管理、修理をするものとは考えられませんので、特定保守管理医療機器と しては指定しないでよろしいのではないかと思っております。  三番目の「生物由来製品又は特定生物由来製品の指定について」ですが、この機器につ いては、人その他の生物に由来するものを原料又は材料として製造されるものではありま せんので、生物由来製品及び特定生物由来製品としては指定しないということでいいので はないかと考えております。  それから、審議事項ではなくなるのですが、こちらの機器は、体に植え込んで、いわゆ る心電計として記録をするという機器ですので、やはりきちんとした設計が重要だという ことで、設計開発管理が必要な医療機器と考えております。以上です。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。この植込み型心電用データレコーダは、医療ニ ーズの高い医療機器の早期導入に関する検討会で出てきた機器ですが、それに伴って一般 的名称等の追加ということで、御説明をいただいたと思います。特に御意見、御質問はご ざいますか。よろしいでしょうか。  それでは、議決に入りたいと思います。この「植込み型心電用データレコーダ」につい て、本部会として、高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器、生物由来製 品及び特定生物由来製品への指定は不要ということでよろしいでしょうか。御異議がない ようですので、そのように議決させていただきます。この審議結果については、次回の薬 事分科会において報告することにいたします。  続いて、議題6、1片中エタンブトールとして25.6μg以下を含有する体外診断用医薬 品の劇薬の指定の除外の可否について、審議を行います。事務局から御説明をお願いしま す。 ○事務局 資料6-1を御覧ください。今回御審議をお願いするのは、1片中エタンブトー ルとして25.6μg以下を含有する体外診断用医薬品について、劇薬の指定から除外して差 し支えないかどうかをお伺いするものです。何度かこの部会でも体外診断用医薬品の劇薬 の指定の除外について御審議いただいていると思いますけれども、この品目は、承認に伴 い劇薬として指定されておりますが、体外診断薬として用いるものについては、1片中と 言いまして、あるディスクの穴一つ当たりに入っている量としては25.6μg以下を含有す るという体外診断用薬品であり、人体に直接投与又は塗布されるというようなことがな く、また製剤の一つ当たりに入っている含有量も非常にわずかということで、劇性が強い ものとは認められないというようなことがありますので、この劇薬の指定からは除外する ことが適当ではないかと考えております。指定の案としては、25.6μg以下を含有する体 外診断用医薬品を劇薬の指定から除外するとしております。  なお、毎回説明させていただいておりますが、まず部会で御了解いただけたら、その部 会の案をもちましてパブリックコメントの手続をいたします。パブリックコメントの際 に、これまで何回かやっている中で意見が出てきていることはないのですけれども、仮に 意見が出てきた場合には、再度、部会にお諮りして、先生方の意見をお伺いすることにな りますが、特段意見がない場合には、今回御審議いただいた内容をもちまして御了承いた だいたという取扱いにしたいと考えております。よろしくお願いいたします。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見等はございま せんでしょうか。特にございませんでしたら、議決に入りたいと思います。本議題につい ては、本部会として、この案でパブリックコメントを募集し、特段の御意見の提出がなか った場合には、この案で決定することについて御了承いただいたものとしてよろしいでし ょうか。パブリックコメントで御意見が寄せられた場合には、次回部会でその扱いを含め て審議することにいたします。それでは、議決をさせていただくことにいたします。次回 の薬事分科会において報告することにいたします。  それでは、報告事項に入ります。議題7、部会報告品目について、事務局から御報告を お願いします。 ○事務局 資料7-1を御覧ください。こちらは、本年1月1日〜3月31日までの3か月 間に承認された品目のうち、この部会への報告対象となっている品目について取りまとめ たものです。医療機器で21品目、体外診断用医薬品で5品目あります。  なお、この報告については、事前に資料をお送りしておりますので、この場での詳細な 説明は割愛させていただきたいと思います。何か御疑問の点等がありましたら、御意見等 をいただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○笠貫部会長 ただ今の報告品目について、御質問はございますか。それでは、御質問が ないようですので、本日の議事は以上で終了としたいと思います。今日は大変重要な、か つ多くの議題について活発な御議論をいただいたことを、心から感謝申し上げます。事務 局から、そのほかにございますか。 ○医療機器審査管理室長 次回の部会は、本年8月又は9月上旬を予定しておりまして、 近日中に先生方に御予定をお伺いして決めていきたいと思いますので、よろしくお願いい たします。連絡事項は以上です。本日は大変長い時間御審議いただき、ありがとうござい ました。 ○笠貫部会長 それでは、これをもちまして本日の医療機器・体外診断薬部会を終了とさ せていただきます。長時間にわたり、どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先:医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 広瀬(内線 2912)