08/05/28 第6回医療機関の未収金問題に関する検討会議事録 第6回 医療機関の未収金問題に関する検討会 日時:平成20年5月28日(水) 13時00分〜15時15分 場所:厚生労働省専用第18〜20会議室 中央合同庁舎5号館 ○岩村座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第6回医療機関の未収金 問題に関する検討会」を開催させていただきます。  今日は、お忙しい中をお集まりいただき、誠にありがとうございます。  今回は、畔柳委員、原委員が御欠席でございます。  なお、御欠席の原委員からは、「未収金問題に関する意見」という1枚紙の御提出をい ただいているところでございます。後ほど、報告書につきまして御議論いただく際に見て いただければと存じます。  前回、本日の検討会では、とりまとめに向けた議論をさせていただきたいというふうに 私の方から申し上げたところでございますが、もう少し議論すべきではないかという御意 見も多いようでございます。最終的には、今日の皆様の御議論の状況を見させていただい て、私としても判断させていただきたいと考えておりますが、必要があれば、次回、とり まとめをするという方向で調整をすることもあろうかと思いますので、その場合にはよろ しくお願いをしたいと存じます。  最初に、事務局の方から、今日の資料の確認をお願いしたいと思います。よろしくお願 いします。 ○神田国民健康保険課長 それでは、お手元の資料を確認させていただきます。  議事次第、座席票の次に、資料1といたしまして「未収金に関するアンケート調査報告」。  資料2といたしまして「外国人による未収金に対する都道府県の取組」。  資料3といたしまして「医療機関の未収金問題に関する検討会報告書(たたき台)」が ございます。  それから、参考資料といたしまして、未収金に関するアンケートの中の自由記述を抜き 出したものがございます。  以上でございます。何か抜け落ち等がございましたら、事務局まで言っていただければ と思います。 ○岩村座長 資料の方は、皆様、よろしゅうございましょうか。  それでは、議事次第に沿いまして始めさせていただきたいと存じます。  本日の最初の議題は「未収金に関するアンケート調査報告等について」でございます。 そこで、事務局の方から御提出いただきました資料1につきまして、御説明をお願いした いと思います。事務局の方でよろしくお願いいたします。 ○国民健康保険課 国民健康保険課課長補佐の江崎と申します。  アンケート調査の結果報告をさせていただきます。お手元の資料1でございます。前回、 速報値ということで発表させていただいたものがあるんでございますが、その時点から更 にデータが加わりまして、集計し直したデータがありますので、そちらについて、最終報 告ということでまとめさせていただいているのがこの報告書でございます。前回のものと 構成的には余り大きく変わっておりませんので、大きく変わっている点、注目すべき点に ついて、主に御報告させていただきたいと思います。  では、資料1をおめくりいただきまして、まず2ページをごらんいただきたいと思いま す。  概況でございますが、前回、速報値のときは、回収率約24%でございましたが、今回、 4月22日時点まで集計できる回収数ということで、28.6%、前回から約60件増えて、病 院団体の御協力をいただいて回収率もアップしたデータで報告させていただきたいと思い ます。  2ページ以降の基本的特性、回答いただいた病院の特性などについては、前回発表させ ていただいたものと大きく変わりませんので、省略させていただきます。  主な変更点がございますところといたしましては、8ページをごらんいただきたいと思 います。真ん中にありますけれども、今回の未収金について、入院と外来の比率というと ころで、件数ベースで行きますと、図表15でございますが、32.6%が入院でございますが、 金額ベースに直しますと、8割を超えて、83.5%が入院で、これにつきまして、入院の未 収金が大きな問題であるというところが明確に出ております。  前回御質問いただきました点の回答といたしまして、8ページの下に開設者別の未収金 というところがございまして、これにつきまして、1床当たりの未収金は幾らかというの をはじくようにという御指示がありました。  それにつきまして、9ページの図表17でございますけれども、開設者主体別の未収金に つきまして、1施設当たりの平均額が真ん中にありますけれども、その右端に1床当たり の平均金額が出ております。こちらにつきましても、やはり1施設当たりの平均金額が高 いところ、公立、公的、学校法人の金額が1床当たりの平均金額でも高く出ているという 傾向が見てとれるところでございます。  続きまして、11ページをごらんいただきたいと思います。  こちらは前回も一度発表させていただいておりますけれども、最終的に固まったデータ といたしまして、今回の医療機関の未収金の中で占める一部負担金相当額の部分はどれく らいかというものでございます。図表21にありますように、約45.0%ということで、4 割程度が医療機関の未収金と言われているものの中で、一部負担金相当額に相当する。医 療保険などの制度の中で発生している負担金の部分は約4割程度であるというのが明確に 出ているところでございます。  続きまして、13ページをごらんいただきたいと思います。  13ページは、未収金の保険種別の属性につきましての分布でございます。こちらにつき ましては、上の件数と下の金額ベースでございますけれども、国保と政管健保で半分近く を占めているところでございます。  この中で、自賠責の部分がかなり多く出ておるわけでございますけれども、こちらにつ きましては、今回の調査のやり方が、12月の診療分の医療費について、2月末日段階で未 収になっているものでございまして、まだ2か月しかたっていない段階で未収かどうかを 判断していただいているところがございます。自賠責につきましては、損害保険会社の方 に申請するのに、2か月というタームではなくて、もう少し時間がかかるというところが 関係者の方から聞き取りしましてわかりました。属性といたしまして自賠責が高くなって おりますけれども、今回の調査の特性というところを踏まえると、自賠責の割合は、今回 の調査のやり方を加味して評価する必要があるというところでございます。ですので、属 性から見ると、やはり国保と政管健保などが割合として高いというところがポイントにな ろうかと思っております。  前回御質問いただいた回答といたしまして、14ページの図表27でございますけれども、 保険種別ごとの未収金の発生比率でございます。図表27につきましては、それぞれの種別 ごとの患者数に対して、未収金の件数は幾らあるかというものでございます。それにつき まして、右端の方で比率を出させていただいております。これにつきましては、大きい値 といたしましては、資格証明書、自賠責などが高く出ている。更に、保険未加入、正常分 娩なども高い値が示されているところでございます。  続きまして、前回の回答といたしまして宿題となっておりました点につきまして、18ペ ージ以降をごらんいただきたいと思います。前回、外国人の未収金について、もう少し詳 細にデータを出してほしいというところがございまして、それについてお示ししているの が19ページ以降になります。  各都道府県における未収金件数の中で、外国人の未収金がどれぐらいあるのかという比 率を出しているのが図表37でございます。傾向といたしましては、関東、そこに出ており ますように、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川というところが、全体の平均 1.9%より高い値が出ている。また、愛知、静岡、三重、長野も高い値が出ている。  20ページの注釈にも書いてありますけれども、そもそもデータ数が少ないとか、都道府 県によってばらつきがありますので、すべてのデータが有効であるという解釈はなかなか 難しいかと思いますが、外国人の未収金については、それなりに地域的な特性が出ている ということで、対策を考えていく上で地域的な特性を考えていく必要があるというのが浮 き上がってくるところでございます。  続きまして、22ページをごらんいただきたいと思います。22ページ以降は、未収金の発 生理由についての質問でございます。  具体的には、23ページをごらんいただきたいと思います。これにつきましては、前回も 発表させていただいたところと大体同じ傾向となっております。こちらにつきましては、 1点、その他の部分がかなり多くなっておりますけれども、その他につきましては、自由 記載で記入していただいておりまして、そのデータを詳しく見てみますと、約7割程度は 近々に振り込まれるとか、支払われる予定であるというデータが7割近くを占めておりま したので、こちらにつきましては、今回の調査の特性などを加味して、未収金というより も、2か月後の段階でまだ払われていないだけでございまして、それは除外して検討して いく必要があるというふうに考えられるものが多く含まれていたというところでございま す。  これにつきまして、図表39、40を見ていただきますと、分納中・分納交渉中が多い。上 の図表39で見ていただきますと、回収の働きかけをしていないため、理由がわからない、 生活に困っており、支払い資力がない、もともと支払い意思がないといったものが上位に 来ておるわけでございます。  分納中・分納交渉中など、支払い途上のもの、または病院側で働きかけていないものな ど、そういった要因を除きますと、支払い資力がないとか、支払い意思がないといったと ころが上位に来ているところでございますので、後ほどの表とも合わせて、やはり資力が ないという生活困窮にかかわる部分、または支払い意思がないといった悪質滞納の部分が 重要な対策のファクターになってくるというのが明らかになっていると読み取ることがで きます。  続きまして、24ページ以降は、前回もお示しさせていただいた未収金全体について、悪 質滞納、生活困窮などの切り口から見たものでございます。こちらにつきましては、前回 発表させていただいものと基本的には変わらず、全体の中で生活困窮と判断されるものは、 金額ベース、件数ベースともに2割程度見られる。  24ページの下ですけれども、悪質滞納と見られるものは1割程度あるというところでご ざいます。  そして、25ページの上ですけれども、過去未収の有無というところで、金額ベース、件 数ベースともに25%前後、約4分の1は過去にも未収があったものということがアンケー ト結果で明らかになっているところでございます。  25ページの下でございますけれども、前回御質問がありまして、生活困窮というものと、 ほかの未収になっている理由とのクロスデータです。生活困窮であると判断される患者に ついて、どういった理由で未収になっているのかというのを調べてみてほしいというとこ ろがありましたので、そちらについて調べさせていただいているのが25ページの下の図表 47でございます。  生活困窮であるというふうに病院担当者が判断したもので、未収となっている主な理由 を見ますと、やはり資力がないというのが42.4%で、一番多くなっている。その次は、分 納中・分納交渉中というところで、引き続き支払いを行っていくというものが多くなって いるといった傾向でございまして、全体として、生活困窮というものと支払い資力がない、 分納交渉中というものは重なり合う部分があるということが言えるということでございま す。  続きまして、27ページをごらんいただきたいと思います。  同じような分析で、過去の未収の有無と、悪質滞納かどうかといったところの重なり具 合を見ているのが図表50でございます。過去未収があったもののうち、悪質滞納であると いったものは約19.8%でございまして、相関がなかなか難しいといったところでございま す。  そうは言っても、過去の未収の有無と生活困窮と悪質滞納はどういうかかわりがあるの かというのを、全部ひっくるめて見てみたのが図表51でございまして、真ん中にあります ように、過去の未収があったものの約29%は生活困窮であると判断できるものがあります。 また、7.3%は生活困窮で悪質滞納であります。また、12.5%は悪質滞納であるということ で、3つ合わせまして、約5割は生活困窮、または悪質滞納と重なり合っている。こちら につきましても、未収金の対策を考えていく上で、生活困窮、悪質滞納を重要視していく 必要があるというところが明らかになっていると考えられます。  以上が前回お示しさせていただいた速報値のデータにつきまして、データを加えまして リバイスさせていただいたものでございます。  前回お示ししたものではなくて、違った切り口からデータを分析しているのが28ページ 以降でございます。具体的には、先ほども御説明しましたけれども、未収の主な理由とい ったところで、その他の部分に近々に払われるであろうというものがたくさん入っており ましたので、それを除外しまして、残ったものにつきまして、理由がはっきりしているも のにつきまして、入院と外来に分けて、それぞれどのような特質があるかというのを見て いるのが28ページ以降でございます。  28ページにつきましては、金額でございますけれども、こちらにつきましては、入院の 方が高く出ているといったことで、こちらはそれほど議論がないところでございます。  29ページは年齢階層でございますけれども、入院未収金につきましては、やや年齢の高 い層で未収が発生している。外来につきましては、図表54でございますけれども、比較的 若い層で未収が発生しているといった傾向が読み取れるところでございます。  続きまして、30ページでございますけれども、保険種別ごとに入院と外来でどういった 特性があるかといったところを見ておる表でございます。こちらにつきましては、国保や 政管が全体の割合としては高い。図表55ですけれども、国保が46.5%で、政管が18.5% と高い割合になっている。入院と外来を見てみると、入院では国保の割合が非常に高くな っている。逆に、組合健保・共済などは外来の方で高く出ているといった傾向がある。ま た、類似した傾向といたしまして、保険未加入といったものにつきましては、外来の方で 高く出ている。自賠責についても同様に、外来の方では高く出ている傾向があるところで ございます。  続きまして、32ページをごらんいただきたいと思います。  図表59でございますけれども、生活困窮の状況について、入院と外来で分けて見てみる と、入院の未収金については、約4割近くが生活困窮であろうと判断できるものがあった。 逆に外来の方は14.4%で、入院の方で生活困窮と判断される未収患者が多かったというこ とが明らかになっているところでございます。  33ページをごらんいただきたいと思います。  続きましては、悪質滞納というところで見ておりますけれども、こちらにつきましては 1割程度で、先ほどの全体で見たときの悪質滞納の比率とさほど変わりはないといったと ころでございます。  過去の未収につきましては、そこに出ておりますように、入院では4割近くが過去の未 収があったといったデータが出ているところでございます。  続きまして、35ページ以降をごらんいただきたいと思います。35ページ以降は、基本的 に前回御説明させていただいた病院側の取組みについてのアンケート調査をまとめたもの でございます。  35ページにつきましては、具体的に未収金に対して取り組んでいただいている方策につ いて、病院側の取組みをお示ししているところでございます。  36ページをごらんいただきたいと思いますけれども、入院保証金の関係でございます。 これは基本的に前回もお示しさせていただいたものでございます。入院保証金がある、な いで、1件当たりの未収金額を見てみますと、あると答えているところは約13万6,000 円、ないと答えているところは11万3,000円といったところで、入院保証金があるからと いって、1件当たりの未収金額が落ちているとはなかなか言えないということで、分析の 仕方が難しいといったところかと思います。  また、入院保証金の平均的な金額ということでまとめさせていただいたのが図表66でご ざいます。入院保証金を取っていると言っている病院の平均的な金額は約8万1,000円だ といったところが明らかになってございます。  37ページは、基本的に病院側で取り組んでいただいている体制についての御質問でござ います。37ページの下にありますように、大体の病院では、一般文書による文書催告まで は行っていただいておりますけれども、訪問などは5割程度の病院までしか行っていただ いていない。また、法的措置につきましては、1割にも満たない値の病院しか取り組んで いないといった結果が明らかに出ているところでございます。  アンケート調査につきましては以上でございまして、私が今、述べさせていただいたよ うなことにつきましてまとめているのが39ページ、40ページの「まとめ」でございます。 アンケート調査報告につきましては、以上でございます。 ○岩村座長 ありがとうございました。  続きまして、前回、崎原委員から御質問がありました外国人の未収金に関する地方の独 自事業につきまして、事務局の方から資料2の御提出をいただいているところでございま す。そこで、この資料2につきまして、佐藤課長の方から御説明をいただきたいと思いま す。どうぞよろしくお願いいたします。 ○佐藤指導課長 医政局指導課長の佐藤でございます。座って説明させていただきます。  お手元に資料2がございますけれども、ごらんいただきますとおりでして、5月13日現 在で都道府県独自の取組みについて調査を行ったところです。独自の外国人未収金対策の 取組みを行っている都道府県は、東京都ほか6県、つまり7県で実施をしております。  その下に表がありますけれども、厚生労働省23件というのを参考に書きまして、茨城県 から長野県までと、こういうふうになっております。  以前、御説明をいたしましたが、厚生労働省におきましては、平成18年度以降、三位一 体改革の影響で、公立病院分が対象外になっておりますので、そういう関係から、19年度 補助実績は少ないということで御了解ください。  それから、茨城県から長野県までにつきましては、対象病院が救命救急センター以外の ものも含まれております。しかしながら、現実には、救急車による搬送をされたかどうか、 その他、緊急的な医療を要するものであったかどうか等の条件を付して対象病院を拡大し たというところがあるようです。  いずれにいたしましても、注のところに書いておりますように、救急告示病院と救急医 療を担う医療機関において、真に必要な患者さんに対しまして、公的医療保険制度の適用 を受けない外国人で、回収努力をしたにもかかわらず未収金に対する補てんをしたものと いうことで整理をしております。  以上でございます。 ○岩村座長 ありがとうございました。  それでは、ただいま事務局の方から御説明をいただきました資料1と2につきまして、 御意見、あるいは御質問がございましたら、お願いしたいと思います。崎原委員、どうぞ。 ○崎原委員 今、御説明していただきまして、特に国保に生活困窮者が多いなという印象 を受けました。今、後期高齢者の医療制度が問題になっていると思うんですけれども、こ れから75歳以上の保険制度の中で更に保険金が高くなる、それから、自己負担が1割、2 割とか、1年間のあれがございますけれども、こういう制度の中で、また一層、後期高齢 者は生活困窮というんでしょうか、医療に対してのお金が払えなくなるというようなこと が、私としては危惧しておりますけれども、そこら辺の御見解は何かございますでしょう か。 ○岩村座長 神田課長、お願いします。 ○神田国民健康保険課長 後期高齢者医療制度における高齢者の方の御負担ということで ございますけれども、まず、窓口負担に関して言いますと、原則1割負担で、現役並みの 所得の高い方が3割ということで、この部分は基本的に老人保健制度と変わっておりませ んので、患者負担について、何か御負担が増えるということはないのではないかと思って おります。  それから、保険料に関して申しますと、後期高齢者の方々は、従来、国民健康保険です とか、健康保険組合などにそれぞれ保険料を払っていただいていたわけでありますけれど も、その割合が給付に対しておよそ1割であるということで、マクロで言いますと、およ そかかった給付費の1割を御負担いただくということは基本的には同じでございます。  ただ、お一人お一人の影響といたしましては、影響の出方が変わってまいります。御承 知のように、被用者保険の被扶養者で、息子さんですとか、あるいは夫の被扶養になって おられた方で、新しい長寿医療制度に入ってまいりますと、従来、保険料の御負担がなか った方が御負担が増えるということがございますので、この点に関しては、半年間は保険 料を徴収しない、今年度後半の半年間は9割の軽減ということですので、平均いたします と、月額350円程度の保険料に軽減をする。  それから、その後1年間につきましても、均等割りと申します頭割りで払っていただく、 全国平均で言いますと3,500円程度の保険料を半額軽減するということで、大体1,700円 の御負担になるということで、新しく御負担いただく方については、被扶養者の方につい ては、今、申し上げたような軽減措置を講じているということでございます。  8割の方は、現在、国民健康保険に加入しておられますので、それが切り替わることに よってアップダウンというのが出てくるということは確かだというふうに思っております けれども、総じて申しますと、1,800の市町村のうち、約8割の市町村では資産に応じた 保険料という、資産割りと言っておりますけれども、固定資産税額に3割程度の割合をか けまして保険料を納めていただくというような方式を取っているところが多いわけであり ますけれども、今度の長寿医療制度に移りますと、少なくとも固定資産税に応じた保険料 というのがなくなります。高齢者の方が自分で固定資産名義をそのまま持っておられるケ ースが多いものですから、そういった点では軽減になる。  したがって、今、申し上げているのは、固定資産に応じた保険料を取っているような市 町村においては、基礎年金ですとか、あるいは厚生年金の平均額程度をもらっておられる 方々については、一般的には減る傾向があるのではないか。それ以外、いろいろ算定方式 がございますので、上がるケースも勿論ございます。  したがって、患者負担は基本的に変わらない、保険料は、被用者保険の被扶養者の方は 増える、国保は切り替わりになるということでございまして、その影響の出方は個々でご ざいますけれども、先ほど申し上げた一般的な算定方式のところでは、基礎年金ですとか、 平均的な厚生年金では減少する傾向にあるのではないかというふうに考えております。  この点につきまして、現在、全国の市町村にモデルケースを設定いたしまして、基礎年 金、あるいは厚生年金の平均額、あるいは400万という水準を設定いたしまして、それぞ れ、単身、夫婦といった世帯構成の類型を設定しまして調査をしておりますので、それが まとまれば、詳しい実態は御説明できるかと思っております。 ○岩村座長 崎原委員、よろしゅうございましょうか。 ○崎原委員 自治体からの補助制度が、今度、広域連合になりまして、そこら辺のところ の廃止も言われておりますので、そういう点でも高齢者の御負担が増えるんではないかと いう危惧をしております。 ○岩村座長 神田課長。 ○神田国民健康保険課長 おっしゃっておられるのは、一般会計繰入れのことではないか と思います。国民健康保険においては、一般的に、被用者保険と比べますと、同じ所得の 方で言いますと、保険料が総じて割高になって、負担感がありますので、なかなか保険料 を上げられないということで、一般会計から繰入れをされているところが多いことは確か でございます。単年度で言いますと、法定外で3,600億ぐらいの一般会計繰入れがござい ますので、大変苦しい財政運営をしているということは御指摘のとおりかと思っています。  完全に全国を調査できているわけではございませんけれども、一般会計繰入れが今度の 医療制度が導入されることによって、どのようになるのかという傾向につきましては、基 本的には国民健康保険の中では75歳以上の方が約2割ですので、2割の方が長寿医療制度 に移られることになるわけですけれども、それでは、2割一般会計繰入れが減るかという と、必ずしもそういう傾向でもない。  そこは2通りありまして、一般会計繰入れの中に事後的に赤字補てんをする、年度末に なって医療費の支払いが足りなくなって、やむなく一般会計から繰入れをするという部分 もございますので、そういうものは計画的に減らせる性格のものではございませんので、 そういう部分はなかなか減らせないというのと、それから、計画的に年度当初に一般会計 から繰入れをするというものについては、それぞれの市町村でルールを決めて、例えば、 何億投入するけれども、毎年少しずつ減らしていくとか、あるいは調整交付金ですとか、 国から送られてくる公費と合わせて5割までは基本的に公費補てんを含めて一般会計から 繰入れをするというような、それぞれの市町村における考え方を決めて一般会計の繰入れ をしておりますので、減少する傾向があることは確かだと思いますが、人数が減るのと同 じように、被保険者数が2割減ったからといって、2割削減できているかというと、決し てそういう傾向ではないということは、幾つかの市町村に直接聞いて確認はいたしており ます。 ○崎原委員 どうもありがとうございました。 ○岩村座長 それでは、今村委員、どうぞ。 ○今村委員 2点教えていただきたいんですけれども、今、後期高齢者のお話もあったん ですが、15%程度に件数、それから金額が出ているんですけれども、その未収金の理由の 中に、例えば、認知機能に問題があったというような記載はあったんでしょうか。私、日 ごろ診療していて、後期高齢者になってこられると、かなり認知機能が落ちてこられて、 財布を忘れてしまったりとか、いろんな方が結構いるものですから、今後、後期高齢者が 増えてくると、そういった部分で何か影響がないのかどうか。そういう記載が全くなかっ たので、そのことをまず1点、教えていただきたい。  もう一点、「外国人による未収金に対する都道府県の取組」を拝見すると、先ほどの都 道府県別の比率を見た、関東の多いところに全部こういう取組みがされているわけですけ れども、これは都道府県が独自にこういう取組みをされていて、国として何か、例えば、 愛知県だとか、静岡県だとか、非常に多いところに是非こういう取組みをやってください という働きかけをするようなことは可能なのかどうか。その2点、教えていただければと 思います。 ○岩村座長 2点ございましたので、課長補佐の方からお願いします。 ○国民健康保険課 最初の方なんですけれども、55%ですか。 ○今村委員 15%です。お示しいただいたアンケートで15%になっているんです。 ○国民健康保険課 ページ数を御指摘いただけますか。 ○今村委員 申し訳ございません。12ページです。図表22と23で、15%ぐらいはいらっ しゃるんだけれども、そういった方たちの中に、認知機能に何か問題があって、こういう 問題が起こっているというのは、病院側の印象というのがなかったでしょうかという御質 問です。 ○国民健康保険課 具体的には、そこまでの調査はしてはおらないんでございます。高齢 者の方の場合、これは一般的かどうかわかりませんけれども、年金を家族が流用している 場合とか、そういった特殊なケースがあるというふうに、自由記載では上がってきたもの がございます。そういった要因もあるのかなというふうには思っておりますけれども、認 知機能とか、そこまでの把握はできておりませんので、今後、調査をやる機会がありまし たら、そこの点も踏まえたいというふうに思います。 ○今村委員 今、いみじくもお答えいただいたように、私もそういうお話を聞いたことが あって、支払いにお願いに行ったら、家族が本人の年金を引き出してしまって、御本人に は支払うことができなくなっているというようなケースがある。そういうことがあって、 御本人の認知機能自体が何か影響していないのかなと思って伺いました。ありがとうござ いました。 ○岩村座長 それでは、佐藤課長の方で、もう一つの質問をお願いいたします。 ○佐藤指導課長 結論を先に申し上げますと、できるか、できないかということで申しま すと、できるんだと思います。ただ、これまでの国と県との関係から言うと、国は補助金 その他で応援はしないけれども、必要があるんだったら県でやったらどうですかみたいな 乱暴な言い方というのは余りしていないので、言い方は少し工夫をして、例えば、外国人 による未収金問題で苦労している医療機関があるとすれば、県単独事業を拡充するなどし てとか、種々の方策を講じられたいと、これだけピンポイントで、国は応援しないけれど も、やったらみたいな言い方はなかなか難しいので、少しオブラートに包んでお話をする というのは可能だと思います。 ○今村委員 どうもありがとうございました。 ○岩村座長 河上委員、どうぞ。 ○河上委員 外国人の未収金の話で、データの読み方を教えていただきたいんです。1.9 %とか、金額が全体で2.9%というのは出てきておりますけれども、この数値の基にある、 そもそも患者さん全体の中で外国人の方がどのくらいの割合がおられて、その外国人の方 の中で未収の問題に発展しているようなケースがどのくらいあるのかというようなデータ はわかるんでしょうか。 ○岩村座長 事務局の方、いかがでしょうか。 ○国民健康保険課 そういったデータはわからないということでございます。 ○岩村座長 言い換えれば、実際には国民健康保険に加入している外国人の方も含めて、 今回、調査対象となった個別のケースについて、何%外国人がいてというデータの集計は、 今回の調査ではできないというか、そういう形での調査をそもそも属性調査でやっていな いということですね。 ○国民健康保険課 未収金の患者1件1件について、外国人かどうかというものは取って おりますので、今回の国保の未収金の中でどれだけの外国人の割合がいるというのは種別 ごとに取れます。 ○岩村座長 どうぞ。 ○河上委員 データを評価するときに、外国人だから未収金が発生しやすいんだというよ うな話なのか、それとも、一般患者の中にこういう人がいて、回収の際に、外国人だから 特殊な考慮すべき問題があるから取り上げているんだというような話なのかでは、数字の 受け取り方が違うと思うんです。患者全体の中で、外国人が何%ぐらいいて、その中で非 常に多くの割合が未収になっているんだというような話であれば、外国人だからこそとい う話になりますけれども、そうでなければ、外国人という特性を余り強調する必要はない かという気もしたものですから。 ○岩村座長 ありがとうございます。  そのほか、いかがでございましょうか。山崎委員。 ○山崎委員 24ページに悪質滞納が出ているんですけれども、8.4%という数なんですけ れども、悪質滞納者の保険者別のデータというのはどこかにあるんですか。 ○国民健康保険課 それはデータとしてはございますが、今日、御提示している中にはご ざいません。集計は可能でございます。 ○山崎委員 大体、どの辺が多いんでしょうか。国保なのか、健保なのか、政管健保なの か。 ○国民健康保険 調べさせていただきます。すぐ出ると思いますので、後ほど御報告させ ていただきます。 ○岩村座長 では、そのようにお願いいたします。  よろしければ、今日はもう一つ、大きな議題がございますので、今回のアンケート調査 関係については、ひとまずこの辺までということにさせていただければと思います。よろ しゅうございましょうか。  それでは、次の議題に移らせていただきます。次の議題は、「検討会報告書(たたき台)」 ということでございます。基本的には、前回、これまでの議論の整理ということで、事務 局の方から御提示いただいたものに加筆、修正を加えたという性格のものでございます。 前回は、時間の関係もありまして、余り突っ込んだ議論ができませんでした。そこで、今 回は、このたたき台につきまして御議論をいただいて、それを基にしまして報告書をまと めてまいりたいと考えております。  そこで、もう一度、事務局の方から内容についてポイントを御説明いただいて、その後、 議論を行っていただくことにさせていただきたいと思います。神田課長の方から、この報 告書のたたき台についての御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○神田国民健康保険課長 それでは、お手元の資料3に基づきまして御説明をさせていた だきます。前回からの変更点などを中心に御説明をさせていただきます。  最初に書いてございます「未収金を取り巻く現状と問題」という部分につきまして、四 病協の方で行っていただいた調査で、1年間で200億、3年間で400億程度の未収金があ るというようなところについては、前回と同じでございます。  また、この場で御発表いただきました国立病院、あるいは都立病院の状況、医師会で行 っていただいた調査の概要などが記載されております。  なお書きのところでございますけれども、18年10月から出産育児一時金の受取代理、 19年4月から70歳未満の入院に係ります高額医療費の現物給付化というものが行われて おりますが、今回の調査でわかりましたとおり、産科における1件当たり未収金が高い、 あるいは入院分が金額的には83%を占めるということからしますと、現物給付にするとい うこと自体も相当の効果は見込まれるのではないかというふうに書いてございます。  1枚おめくりいただきまして、「未収金にかかる現行制度とその解釈」ということでご ざいますが、この点につきましては、前回から基本的に大きく変更はいたしておりません。 一部負担金については、保険医療機関に払わなければならないことになっておりますし、 保険医療機関、保険薬局はそれを受けるものということで、療養担当規則上義務づけがご ざいます。  それから「一部負担金と保険者徴収」につきまして、33年に国民健康保険法が改正され たときに導入をされたということでございます。前回、窓口払いに統一されたということ だけ書いてございましたが、なぜ統一されたのかというような記述を若干加筆をさせてい ただいております。  それまでは保険者と個々の医療機関の契約によって療養担当者を決めるというような、 個々の契約によっておりましたので、窓口払いか、保険者が徴収するのかということが医 療機関側でも個別にわかったわけでありますが、国民皆保険の導入に合わせまして、基本 的に知事に申請をしまして受理されると、県内において、すべからく療養取扱機関になる ということになりましたので、医療機関側で窓口払いか保険者徴収かが、保険者の種別が わからなくなるということから、統一をされたということでございます。その辺りの経緯 が前回と比べて書き込んでございます。  その際の保険者側の協力として、被保険者が一部負担金を払わない場合に、保険医療機 関等が善良なる管理者と同一の注意を持って支払いの受領に努めたが、なお払わない場合 に、保険者が徴収をして医療機関に交付をするという制度ができた。健保法については55 年にできたということでございます。  この解釈につきましては、2ページの下の方からでございます。厚生労働省の解釈につ いては、前回申し上げたとおり、基本的には債権債務関係の当事者ということではなくて、 3ページの2段落目のところに書いてございますけれども、保険医療機関等に、先ほど申 しましたような一部負担金の支払いを受けるという責任義務を履行していただくというこ とを前提にしながら、保険者としてもできる限り可能なことをするということから制度化 されたのがこの制度であるというのが、これまでの解釈であるということでございます。  それから「保険診療契約にかかる解釈」ということで、これは前回も御説明させていた だきましたので、個別学説については説明を省かせていただきますけれども、どの学説に いたしましても、実定法上、一部負担金については保険医療機関に支払わなければならな い。また、保険医の療養担当規則において、保険医療機関等は一部負担金の支払いを受け るものとされているということから、保険医療機関と被保険者との間の債権債務関係は明 確であって、保険者の未払いの一部負担金を立替払いする必要がないというのが私どもの 解釈でございますけれども、この場合におきましては、第三者のためにする契約説に立ち まして、未収となった一部負担金については保険者が保険医療機関等に支払うべきである という御意見があったということでございます。  ただ、いずれにしろ、実定法上、今、申し上げたような取扱いが決められておりますの で、解釈を何か確定させたからということで解決をするというものではございませんので、 未収金をいかに発生させないようにするかを検討することが有用であるということから、 具体的な対策が議論をされたという経緯が書いてございます。  4ページ目の「対策」についてでございます。「回収の実態」ということでございます が、病院の徴収努力につきまして、前回、御報告をいただきましたけれども、積極的に取 り組んでおられる病院におきましては、未然の発生防止にも力を入れまして、また、発生 後の対応といたしまして、プロジェクトチームで取り組むとか、未収者のリストを作成す るなど、組織的な対応をしているということですが、事後回収については限界があるとい う御発表がございました。  また、督促ですとか、法的手続等でなかなか回収の効果が上がらないのに、費用と時間 をかけるということについて、費用対効果が難しいというようなことですとか、債権回収 会社に委託すると、かえってイメージダウンになるというようなお話もこの場であったと ころでございます。  それから、先ほどのアンケート調査の中で申しますと、病院側で訪問まで行っているの が約5割、法的措置については1割に満たない状況である。これは客観的な事実が書いて ございます。  債権回収の法的な措置の実態につきましては、畔柳先生の方から御発表いただいた内容 が基本的に書いてございます。基本的には、法的な措置に訴えても、なかなか回収が難し くて、結論的には、電話催促、直接催促、払えない事情について優しく相談に乗ること等 が債権回収には一番効果があるという実態が御報告があったところでございます。  次は、国保の保険者徴収の実態ということでございます。先ほどの制度について、徴収 の実態を調査をいたしたところでございますけれども、これについては、実態として言い ますと、非常に限定的な数であって、実際に請求を受けたところで申しますと、ほとんど が文書催告であって、電話ですとか訪問などは余り行われていない。実際に回収できたの はわずか2件です。これは18年度単年度の実績でございますが、非常に限られていた。た だ、この中で申しますと、医師会の方で周知をされたということで、福岡県が非常に多か ったということがわかっております。  それから、請求があっても保険者側で徴収をしなかった理由といたしましては、医療機 関側の回収努力が不十分であるというものが多かった。また、国保の保険料自体の滞納が あるということも判明しており、そちらの方を優先しているとか、あるいは資力がないな どの理由によって保険者徴収には至っていないという理由が記載をされておりました。  それから、「未収金発生の原因分析」でございます。この部分は前回ございませんでし たけれども、今回の調査結果を踏まえて加筆をさせていただいたところでございます。前 回、後ろに出てくる対策と、なぜそのような対策を講じるのかというところについての記 述が不十分だという御指摘がありましたけれども、前回から今回にかけましての調査結果 を踏まえて、この点を加筆させていただいております。  先ほどの発表と若干重複いたしますので、簡便にさせていただきますけれども、最初の ところは、全体の傾向で言いますと、今回のアンケートですと、比較的病床規模が小さい ところの割合が少なくて、公的病院などの影響が少し高く出ているということが書いてご ざいます。  それから、先ほど申し上げましたように、件数ベースでは入院は限られておりますけれ ども、金額ベースですと83.5%でございますので、費用対効果ということを考えると、入 院未収金に対する対策がやはり重要ではないかと考えられます。  それから、これも先ほどの調査でございましたけれども、一部負担金相当額の割合は45 %となっております。この一部負担金相当額の中には、法制度上取ることが認められてい るものも入ってございますので、差額ベッドその他の利用料分が55%ということでござい ます。保険者徴収によって徴収できるというのは、厳密な意味での一部負担金のみという ことになりますので、保険者徴収によって仮に完全実施をしたとしても、4割程度しか解 決されないということで、残りの部分に関して申しますと、医療機関側で回収努力をして いただくということがないと、なかなか解決しない部分があるということではないかと思 っております。  それから、保険種別ごとの未収金金額ということで申しますと、先ほど申しました12 月のものを2月段階で調査をいたしておりますので、自賠責のものが非常に割合が高くな っておりまして、件数、金額ともその部分が大きいわけでありますが、それを除きますと、 約半分が国保と政管健保となっておりますので、国保と中小零細企業の被用者の方々に対 する対策の比重が大きいのではないかと考えております。  それから、外国人の未収金について、先ほど申しました標本数等につきましてばらつき があるということがございますので、一概に断定することは難しいと思いますが、地域的 には比率が高いということがございます。したがって、地域の実情に応じた取組みが重要 ではないかということが書いてございます。  その次が具体的な理由についてでございますが、分納中とか分納交渉中、あるいは第三 者行為によって支払い方法未定といった、理由が確定していないものを除きますと、件数、 金額ベースとも、生活困窮と、支払い能力があるけれども、支払い意思がない、言ってみ れば悪質滞納というものが上位に上がっているということでございます。  8ページに具体的な件数、割合が書いてございますが、件数ベースで言うと、生活困窮 が17%、金額で22.6%、悪質滞納が件数で8.4%、金額で7.8%でございます。したがっ て、この部分の対策が大事ではないかと思っております。  それから、先ほども調査結果で報告をさせていただきましたけれども、以前にも未収金 があるというところで言いますと、件数で26%、金額ベースで25.9%ですが、その半分は、 先ほどの分析で見ていただきますと、生活困窮、悪質滞納、または、そのいずれの理由も あるというようなものでございますので、以上、総じて見ますと、生活困窮と悪質滞納に 対する対策というのが非常に重要ではないかと考えております。  また、理由のところをごらんいただきますと、回収の働きかけをしていないので理由が わからないということで、これは2か月たった段階でございますので、このままにしてお きますと、なかなか回収が難しいというものが12%程度ございます。  また、時間外で会計事務ができないという、会計事務の問題も6.6%ございますので、 この点について言いますと、医療機関における未収金問題に対する体制整備等、医療機関 側での取組みが重要な部分ではないかということで、今回の調査の中からわかる対策の比 重について加筆をさせていただいております。  9ページ以降につきましては、前回から大きく変わっているところはございませんので、 簡単に御紹介をさせていただきます。未然防止ということで、生活困窮に対する取組みが 最も大事だということで、国保の一部負担金減免の実態調査をいたしました。  前回から若干加筆をしておりますのが、細かい分析ということで、9ページの下の方で ありますけれども、低所得で一部負担金減免をするということで、減免事由として低所得 を定めているところが155、その低所得の具体的な基準は、多くは生活保護に準拠したよ うな形で定めているところが111でございます。全国では、1万1,000件で6億5,000万 円の減免がございますけれども、実は、具体的な低所得の基準を決めている28の市町村で 4,500件ということでありますので、運用的には、極めて明確に基準を定めている限られ た市町村において、実際の減免の運用をされているという実態が今回、明らかになったわ けでございます。  したがいまして、10ページの上の方でございますけれども、生活困窮ということで言い ますと、まず、使える制度でこの一部負担金減免ということが考えられるわけでございま すが、1つは、減免の申請等についての病院側から市町村への速やかな連絡ということも 運用の問題としてあろうかと思っております。  初回に御紹介させていただいたあれですと、緊急やむを得ないことで、初めての診療の ときには、徴収猶予の証明書とか、そういうものを持っていないときには、速やかに連絡 をしていただいて、2回目までにそういう証明書を出すというようなことを、医療機関と 市町村の間でやるというような取扱いになっておりますが、この辺りの運用の改善という こともあろうかと思っております。  それから、先ほどごらんいただいたように、基準を決めているところで非常に運用され ているという実態を見ますと、やはり何か基準を明確にするといったことですとか、現在 で言いますと、一部負担金減免をいたしますと、その部分を一般会計から補てんをすると か、あるいは保険料で埋め合わせをするということになりますので、その部分についての 財政影響を懸念しておられるという点があれば、こうした点についての配慮も必要ではな いかということが書いてございます。  2点目の医療機関・国保・生活保護の連携強化というところでございますけれども、こ れは先ほどの一部負担金減免の実態調査の記述にもあったわけでございますが、何で一部 負担金減免の実績が出ないかというと、一部負担金減免というのは生活保護に準拠してい るので、実際は上がってきますと、生活保護に該当している場合があるので、そちらを紹 介するということで、実績は余り出ていないということがございます。この点、生活保護 が必要な方については、保険料が払えないということであれば、そちらの窓口にスムーズ につなげていくという取組みが重要ではないかということで、そこに書いてございます。  生活保護を廃止した場合の連携については、これは前回と同様でございます。  国保の資格証明書の交付における特別事情の把握というのも、基本的には前回と同様で ございます。  無料低額診療についてでございますが、これにつきましても前回と同様でございまして、 未収金発生防止に一定の効果があるということが考えられますので、この事業の位置づけ につきまして、十分な検討を行うべきではないかということで書いてございます。  その次でございますけれども、病院側の取組みということで、これは前回の発表を踏ま えまして加えさせていただいた部分でございます。医療保険制度においては、一部負担金 の受領義務が医療機関にございますので、一次的には医療機関に回収努力が求められてい るということで、未然防止策を行っていく必要がある。  この前、御発表いただいた報告を基に、次のような取組みを促すべきではないかという ことで、1つは、組織的な未収金の管理体制を確立していただくことが大事ではないか。 2点目として、未収金が発生する前に患者と積極的にかかわり、情報を多く取るようにす る。その過程で高額療養費などの公的保証制度を周知して制度の活用を図る。期日に支払 いがされない場合には、念書を取って、連絡先等の情報を確実に得ておくというようなこ とが必要ではないか。  特に入院の部分に関する未収が多いということでございますが、御発表の中では、入院 時にきちっとオリエンテーションを実施して、医療費の支払い方法ですとか、高額療養費 の仕組みがあるんで、一部負担金がみんな御自身の負担になるわけではないという説明を ちゃんと行うとか、退院時にカードによるお支払いを案内するとか、実際に払えない場合 には、一部入金をしていただくとか、カード支払いを勧めるといった、未収金の管理を適 切に取り組んでいただいているという御報告があったところでございますので、そういっ たことが考えられるのではないかということで書いてございます。  出産育児一時金の受取代理の徹底・制度化に関しましては、前回、記述がございません でしたが、現在把握されております実施状況を、パーセンテージを記入させていただいて いるということでございます。  資格喪失情報の交換等についても、前回と変わっておりません。  入院保証金の解釈の周知徹底等についても、前回と変わっておりません。  それから、「事後対策」のところで、これは本日、御議論いただきたいところでござい ますが、保険者徴収等の改善ということでございます。先ほど申し上げたように、保険者 徴収が余り実施されていない理由としては、医療機関からの請求自体が少ないとか、医療 機関が十分に善管注意義務を果たしていないというようなことが指摘をされているところ でございますが、保険者側として一体どういうことができるのかということでございます。  適切に運営されるということで申しますと、制度自体の周知ですとか、実施の基準の明 確化、あるいは保険料を納めることができない事情がないにもかかわらず、保険料を納め なかったという者に対しては、市町村は保険料の滞納処分を行うわけでありますが、そう いうときに一緒に行うというようなこと。この点については、どこまでのことが保険者側 でしていただけるのかということについての意見をいただければというふうに思います。  それから、具体的にできる協力として、電話や文書による催促など、どこまでしていた だけるのかという問題点があろうかと思っております。  それから、生活困窮に関して言いますと、発生してしまった後でも、先ほど申しました 調査結果の中にありましたけれども、一旦未収があっても、生活困窮ですとか悪質滞納で 半分を占めているということになりますと、事後的な対策としても、一部負担金の減免で すとか、生活保護ですとか、無料低額診療等の周知や、各制度の窓口にスムーズにつなげ ていくということで、医療機関、市町村、福祉事務所との連携体制が大事ではないかなと いうことで書いてございます。  救命救急センターの運営事業の拡充というところについてでございますが、報告書を引 用いたしまして、この事業ができた経緯を加筆させていただいております。  最後の「まとめ」のところでございますが、前回、委員の方から御発言ありましたよう に、国民皆保険を維持していくという観点から、それぞれの立場でお取組みいただく必要 があるのではないかという趣旨を、最後のところにとりまとめとして書かせていただいて おります。  後で御意見いただければと思いますが、基本的には医療保険制度というのは一部負担金 以外の利用者負担なく医療が受けられるという現物給付を原則としているということで、 保険医療機関等の保険診療等の費用は、保険者からの診療報酬と患者からの一部負担金で 賄われることになっておりますので、一部負担金が払われないということになりますと、 保険診療等の費用が十分に補てんされないということになります。  こうした事態を放置することとなりますと、保険診療等に対する医療機関等の取組み意 欲を阻害する、ひるがえって受益者である被保険者の医療機関へのアクセスにも悪影響を 及ぼしかねないという根本的な問題があると考えられますので、今後とも皆保険制度の枠 組みを維持していくためにも、医療機関の努力を前提としつつも、保険者や行政も、それ ぞれがこの検討会での議論を踏まえて、未収金問題の解決に向けた努力を行うことが強く 期待されるということで、皆保険制度を維持するために、それぞれの立場での取組みが必 要だという趣旨を書くようにという御意見がございましたので、そのようにとりまとめの 部分を書かせていただいております。  以上でございます。 ○岩村座長 ありがとうございました。  それでは、これから、この報告書のたたき台について、御意見、御質問等を伺っていき たいと存じます。大変恐縮ですが、議事を少し整理するために、順番を追いながら御意見 を伺っていきたいと思います。  最初に、たたき台の方では、「未収金を取り巻く現状と問題」ということで、1ページ 目にごく簡単な概要の現状分析があるのですけれども、ここについて何か御意見等ござい ますでしょうか。山崎委員、どうぞ。 ○山崎委員 最初の○なんですけれども、未収金の金額が病院団体の調査で219億円とい う数字が出ているんですけれども、これは3,270病院なので、9,000病院の補正の数字と いうのが病院団体の報告書に載っているんで、そちらの数字も並列で書いていただきたい と思うんです。 ○岩村座長 神田課長、どうぞ。 ○神田国民健康保険課長 調査報告書にそのように記述されていることは重々承知をいた しておりますけれども、調査で確認できている部分を書かせていただいた方がよいのでは ないかということで、確かに数の割合で伸ばすと、そのような推計になるということは承 知いたしておりますけれども、事実の部分をこのところで書かせていただいているという ことでございます。 ○岩村座長 私もやはりここは数字で確定しているところをお書きいただくということが、 文書の性格としても適切ではないかと考えますので、そこは山崎委員、御了承いただけれ ばと思います。  そのほかにいかがでございましょうか。辻本委員、どうぞ。 ○辻本委員 質問なんですけれども、出産・育児一時金は、いわゆる母子手帳を持ってい る人だけに支給されるものですか。ちょっと趣旨が違うかもしれませんけれども、要は、 奈良のたらい回しの後に、たらい回しがいけないということで引き受けたら、その大半が 未収金で逃げてしまったという話を聞いているものですから。 ○岩村座長 神田課長、どうぞ。 ○神田国民健康保険課長 母子手帳を持っているかどうかということは要件にはなってお りませんので、基本的に被保険者の方であるとか、被扶養家族の方であって、出産された 方であれば給付がされるということかと思います。 ○辻本委員 それは具体的にはどういう手続をするというふうになっているんでしょうか。 その辺りが知らされていないというか、わかっていない人が若い人の中に結構いるんです。 その辺が、この未収金の問題の根底のところにあるんではないかということを感じるんで す。 ○岩村座長 崎原委員、どうぞ。 ○崎原委員 健康保険に入っていれば、保険者に請求するというシステムです。だから、 お勤め先とか、国民健康保険とか、それに入っていれば、これはできるというふうに私は 解釈しております。 ○辻本委員 そうすると、入っていない人というところの問題ですね。わかりました。 ○岩村座長 そのほか、1ページ目はよろしゅうございましょうか。それでは、次にまい ります。もし何か後でお気づきであればおっしゃっていただければと思います。  2ページ目の「2.未収金にかかる現行制度とその解釈」ということで、4ページ目の 「対策」の前までになります。ここについて、御意見、御質問がありましたら、お伺いし たいと思います。河上委員、どうぞ。 ○河上委員 3ページ目の「(2)保険診療契約にかかる解釈」ということで、厚労省側 の解釈の仕方、それから、それ以外の幾つかの法的構成についての整理が行われていると ころなんですけれども、1つ、厚労省側からの解釈の中で、「窓口払いにおける関係は保 険医療機関等と被保険者との間の債権債務関係であることは明確であり」というふうに言 い切っておりまして、その理由は、いずれの説に立ってもこうなるはずだという言い方に なっております。ただ、健保法、国保法の規定というのは、一部負担金の支払先が医療機 関であると書いてあるだけなので、そのことだけから論理的に医療保険機関と被保険者の 債権債務関係であるという結論は普通は導けないことなので、そこまで言うんであれば、 何かもう一つ理由が必要ではないかという気がするんです。 ○岩村座長 神田課長、どうでしょうか。 ○神田国民健康保険課長 この点につきましては、基本的に実定法で、一部負担金を被保 険者が払わなければならないということと、保険医療機関等がそれを支払いを受けなけれ ばならないということが明定されていて、解釈として、立替払いまでの必要はないという 解釈はあれしておりますが、その理由づけのところとして、債権債務関係が明確というと ころが必ずしも適切ではないという御指摘でございますので、ここはどのような記述がよ いのか、御意見を伺って、もし適切な記述があるのであれば、そのように修正をさせてい ただきたいと思います。 ○岩村座長 崎原委員、どうぞ。 ○崎原委員 ここが非常に重要なところでありまして、保険者が全く入っていないという ことであれば、後からの代理徴収ということもあり得ないのではないか。私は法律の専門 家ではないのでわからないんですけれども、代理徴収ということも保険法に書いてあるの で、保険者が全く入らない、医療機関と被保険者の債権債務関係ということが明確である という、その記述はちょっと納得できないかなと考えるんです。 ○岩村座長 神田課長、どうぞ。 ○神田国民健康保険課長 これは私どもの解釈ということでございます。記述の場所はあ れでございますが、解説とかいうことで申しますと、2ページの後ろの方から書いてござ いますけれども、保険者徴収という規定が設けられておりますけれども、これは保険医療 機関と被保険者との間の債権債務関係でありまして、基本的には債権債務関係の当事者と しての保険者ではないですけれども、未払分を徴収して引き渡すということで、当事者と しての保険者ではないというふうに明文で書いてあるところはございますので、そういう 意味で書かせていただいたと、私どもの解釈として書かせていただいているということで ございます。 ○岩村座長 多分、2ページの2番目の○のところでの国保法改正の経緯ということを考 えたときに、それを受け継いでいるとすると、窓口払いとしたということは、保険者での 徴収という方式は取らないというのが当時の解釈、前提にあった考え方だと思うんです。  河上委員、どうぞ。 ○河上委員 徴収方法をどうするかという問題と、債権債務の帰属をどういうふうに考え るかというのは全く別問題です。ですから、ここでそこまで言い切るというのは、そこに 中間項が必要だという気がする。  それから、後の方になりますけれども、「まとめ」の頭のところで、「医療保険制度に おいては、一部負担金以外の利用者負担なく、医療が受けられる現物給付を原則としてい る」という言い方をしてまとめられておられることと関係してまいります。まさに保険者 が現物給付を行うということを原則としていて、そのうちの一部の負担金を被保険者に払 っていただいて、そのあて先を医療機関にするという構造にしているんだとしますと、ま さに保険によって現物給付を受ける被保険者と保険者との間での基本関係がまずあって、 それについての費用の支払先が保険料という形になっている部分と、医療機関になってい る部分とに分かれているんだという見方にならざるを得ないわけです。ですから、「まと め」の部分の記述と、債権債務関係という記述が矛盾してしまうので、何らかの中間的な 説明がないとまずいだろうという趣旨だったわけです。 ○岩村座長 そこはまた御検討いただくことにしたいと思います。  ほかの点はいかがでございましょうか。山崎委員、どうぞ。 ○山崎委員 今の債権債務のことなんですが、債権ということになると、その債権を第三 者に譲渡してしまうということは可能なんですか。 ○神田国民健康保険課長 具体的には、医療機関側の債権を売却するということでしょう か。どうでしょうか。 ○岩村座長 現行法上は、給付の受給権ということについては、健康保険法上も、譲渡、 差し押さえ、担保に入れるということは禁止されているんですが、ここでは、もう既に給 付を受けてしまった後に、一部負担金の債務というのが残って、それが回収されないまま 残っているということですので、恐らく条文をそのまま素直に解釈すると、譲渡、差し押 さえ等の禁止というのは、未回収の一部負担金という部分については、多分、適用がない というふうに、素直に考えるとなるんではないかと思います。  ですので、もし未収金があって、それを第三者に譲渡するということ自体は、これはあ くまでも私の個人的見解ですけれども、法律上、それが受給権の譲渡禁止等に抵触すると いうことには多分ならないだろうというふうに思います。  これが現金給付で、例えば、傷病手当金などについて、そもそもそれを第三者に、受給 者の側が譲渡してしまうというのは、これは譲渡禁止に触れるということになりますけれ ども、多分、一部負担金で未収になっているものについては、その規定の射程範囲の外で はないかというふうに、個人的には、今、ぱっと考えた限りでは思います。  そのほか、いかがでございましょうか。それでは、2のところまでは今、御議論があり ましたので、続いて、4ページの「3.対策」というところに入ります。長いことは長い んですが、最初に、「対策」の(1)(2)のところについて、御意見を伺えればと思い ます。具体的には、4ページの一番下から9ページの3行目まででございます。崎原委員、 どうぞ。 ○崎原委員 6ページの上から7行目で「徴収を実施していない理由としては、請求があ った場合でも、医療機関などの回収努力が不十分であるというものが多かった」と書かれ ていますけれども、医療機関としては、善意の管理者義務に従って十分やっていたという ところも多分あると思うんです。ですから、この報告書にこういうふうな形で書くと、誤 解を受けるかなという感じがする。アンケートでそういうものが多かったのも事実なんで しょうが、ここら辺の記入を少し考えていただけたらと思います。 ○岩村座長 御趣旨はわかりました。医療機関の回収努力が不十分であるというのは、あ くまでも徴収してくれと言われた市町村の側がそういうふうに見たということだと思いま すが、神田課長、いかがでしょうか。 ○神田国民健康保険課長 具体的には、お手元の資料の最後のページに、調査結果に基づ くとそうなっているということであって、なぜ請求があったのにしないかという理由を具 体的に聞いているところがございます。18年度実績で、実施していない理由という(8)のと ころに、実施方法、事務負担、回収努力、なぜやっていないのか、請求があってもやらな いのかという理由を聞いているところがございます。そこに幾つか理由が書いてございま すが、その中で16というのが一番大きくなっていて、回収努力と書いてある具体的な記述 として、医療機関等が善管注意義務を果たしていない等、回収努力が不十分と判断したた めということの回答数を見て、多くのところからそのような回答があったと、あくまでも 調査結果に基づく客観的な記述として書かせていただいているということでございます。 ○岩村座長 書きぶりは、市町村側の見方として、そういう回答をしているということが わかるように記述をしていただければと思います。  ほかはいかがでございましょうか。田中委員、どうぞ。 ○田中委員 区切られたので、最後に発言しようと思ったんですが、このたたき台の4ペ ージ以降がほとんど対策の記述なんです。4ページから回収の実態があり、6ページから 未収発生の原因分析があり、9ページから未然防止対策として考える方策があり、事後対 策、まとめということになっています。要するに、ここで表記されようとしている対策と いうものが、こういう整理の仕方でいいのかというところが1つありまして、例えば、1 と2に関して言っても、ここでは、病院の徴収努力対策とか、国保の保険者徴収対策実態、 それがまず最初に書かれているわけです。これは回収の現状であって、対策ではないので はないか。対策というのは、これからどうするのかというのが対策であって、この記述は 現状であって、対策なのかなという感じが1つ。  それから、6ページの(2)として「未収金発生の原因分析」とありますけれども、こ れは原因分析結果から見た対策だということだと思います。これからどうしたいというこ との提案としての対策が幾つか、7ページ、8ページ等々、○でいろんなことが書き込ま れていますけれども、すべてが同じレベルで表記するのか、と疑問に思うところが多々あ ります。そこら辺りの表記の仕方が未整理ではないのかと思うわけであります。  9ページからは、未然防止策として考える方策です。13ページが事後対策。これは課長 に聞きたいのですけれども、未収金という事態が発生しないような未然の防止策と、未収 金が発生した後の事後対策という意味なのか。それにしては事後対策の中で書き込まれて いることは、すべて未収金発生後の対策でもなさそうな感じもするが、そこはどうなのか。 全体的に、対策として整理するときに、もう少しキチンと整理してもいいんではないのか なという印象を持ちました。 ○岩村座長 神田課長、どうぞ。 ○神田国民健康保険課長 田中委員御指摘のとおり、「対策」と書いてございますが、対 策を考える上での背景と申しますか、そういうことを記述しているのが(1)(2)で、 具体的な対策は(3)から書いてあるということでございます。  ただ、大きな流れとして申しますと、対策を考えるうちの(1)の「回収の実態」とい うところを見ていただきますと、病院側から御発表いただきまして、未然防止に一生懸命 努めるわけですが、事後的な対策ということになりますと、実際は費用対効果を考えると 非常に難しいという御発表もありまして、法的措置を講じるというのも非常に件数が少な いという実態である。  それから、畔柳先生に御発表いただいた中でも、事後対策ということで法的措置に訴え ても、回収の実効は上がらないという御発表がございましたし、保険者徴収の中でも、い ろいろございますけれども、年度で2件、34万しか回収できていないという実態を申し上 げると、全体として見ますと、発生した後では、病院も難しいし、保険者も難しいし、民 間にゆだねても回収が難しいということを対策の念頭として押さえておく必要があるので はないか。そうしませんと、事後対策に重点を置いたとしましても、発生してしまってか らでは、いずれにしても難しいということを(1)で総じて、それぞれの側からの状態と いうのを記載させていただいているつもりでございます。  それから、(2)の「未収金発生の原因分析」というのも、そういう意味で、あくまで これは対策を考える上での前提として押さえておくべきポイントとして、入院の割合が高 いでありますとか、未収金の中には、保険者徴収でできない部分も6割程度あるとか、あ るいは原因的には生活困窮や悪質滞納といった部分については事後対策の部分もあろうか と思いますが、前提として押さえておくべき部分を(2)で記載をいたしまして、具体的 に(3)以降が未然防止で、(4)で事後対策という順序で記載をさせていただいており ます。  (4)につきましては、発生した後の対策ということで、ここに書いてあるものについ ては、一旦発生してしまった後で、どのような対策が可能かということで記述させていた だいておりますが、何か混じっているとか、そういう点があれば、もう少し整理をさせて いただきたいと思います。 ○田中委員 ありがとうございました。私は、書いてあることについては、これはこれで 事実でしょうし、そういった調査結果も出たと思いますけれども、読む側から見ると、問 題点は何なんだ、それに対する対策は何なんだということをもっと簡明に整理されたら、 そういった印象を持ったものですから、ありがとうございました。 ○岩村座長 貴重な御意見、ありがとうございました。  辻本委員、どうぞ。 ○辻本委員 8ページの○の最後ですけれども、「医療機関における未収金問題に対する 体制整備など医療機関側での取組みも重要な対策になると考えられる」とあるんですけれ ども、多分、医療機関は、今、この問題で困っているところは、「考えられる」と言われ ても、それが考えられないから困っているというような状況があると思うんです。  例えば、高額療養費のこととか、無料低額療養事業など、そうした細かなセーフティー ネットなど、お医者さんはほとんど御存じないし、説明もできない状況があって、MSW の配置というような具体的な方策の提案はここに書くことはできないんでしょうか。制度 がきめ細かくなればなるほど、複雑になると、被保険者である患者さんが問い合わせても、 問い合わせ先の対応が、人によってまちまちの答えが返ってくる。では、どうしたらいい んだろうというようなお問い合わせもあったりするんです。そうすると、その辺も、もう 少し具体的に踏み込んだ、医療機関側がどういうことをすべきかというような提言という んでしょうか、そういったことまでここに書くことを私たちは期待したいと思うんです。 ○岩村座長 神田課長、どうぞ。 ○神田国民健康保険課長 先ほどの(2)はどちらかというと分析的に書いてございまし て、今、いただいた御意見を踏まえまして、例えば、未然防止というところで、おっしゃ られたようなMSWの配置など、病院側の取組みの中にも、今、御指摘のあったようなこ とを記述することを検討させていただくようにさせていただきたいと思います。 ○岩村座長 ちょっと先走りになりますけれども、今、おっしゃったようなことは、10ペ ージのところで、関係各機関の連携というところがございまして、ある程度はそこに反映 されているのではないかというふうに理解はしているんですけれども、なお、今、御発言 もありましたので、神田課長の方でも御検討いただけるということですので、そこは検討 させていただきたいと思います。  なお、ついでに申し上げますと、8ページの最後の○の趣旨は、未収の主な理由として、 回収の働きかけをしていないとか、時間外で会計事務ができないで連絡が取れないという ような、それについての記述であるということを御理解いただければと思います。  そのほか、いかがでございましょうか。実は、一番大変なのが9ページからなので、で きれば残った時間をなるべくそちらに当てたいと思うんですが、9ページの3行目までの ところで、御発言ございますでしょうか。よろしゅうございましょうか。  そうしますと、今度は9ページの(3)の未然防止策というところでございます。先ほ ど神田課長の方からも趣旨の御説明がありましたように、ここでは、いかにして未収金を 発生させないようにするかという観点での方策を検討しているという部分でございます。 これも幾つかのパートに分かれているのですが、全体としては、大きく、行政側でやる取 組みと、11ページからの病院側の取組み、12ページからのその他細かい事項というような 感じで整理がされていると思います。  最初に、行政側でやること、特に未収金が発生しないようにするために、行政側での取 組みとして挙げられている9ページから11ページの?までについて、いかがでございまし ょうか。今村委員、どうぞ。 ○今村委員 11ページの?無料低額事業のところで、この事業の本体ではないんですけれ ども、ここの中の黒い文字の最後のところですけれども、いわゆる法人、医療法人が行っ た場合の税制上の優遇措置が受けられないのかという議論があったという書き方になって いて、確かにこういう話が出たと思うんですけれども、税制については、結局、厚生労働 省が取り上げていただかない限り、議論の俎上に乗らないことですので、こういった形で 書かれても何らの解決にもならない。したがって、厚生労働省がこういうことを税制上に 要望として挙げていただけるというような方向性があるのかどうか。そうであれば、これ は実現の可能性があるわけです。ここに幾ら書いても、それ以上先に行かない話だという ふうに理解します。 ○岩村座長 佐藤課長、お願いいたします。 ○佐藤指導課長 私の方からお答えするのがいいのかどうかはわかりませんが、これは医 療機関の未収金に関する検討会ということですから、その中で、来年度なのか、再来年度 なのかは別として、税制改正要望に当たって、こういうことをしますというのは、なかな か書きづらかったのかなという気がします。  先生は御存じの上で御質問になっているんだと思いますが、税制改正要望は言葉どおり 要望でありまして、手続を踏んで、相手方があって、相手方に御理解をいただくように説 明をしていかなければならないので、相当に関係の皆様方の御要望を含めた整理、調整を して、最終的に相手方である税務当局に説明をということになりますと、この時点ではっ きり書き込んで、絶対大丈夫なのかとか、あるいは逆に、他の税制改正要望とのバランス がどうなのかということもあるだろうから、こう書かれたんだろうと思います。勿論、役 所でこういうふうに議論があったとまで書かれているわけでしょうから、全く取り上げる こともなく、例えば、来年度であれ、再来年度であれ、税制改正要望の中で取り上げるこ ともなく打ち捨てるということはありませんでしょうということは、何となくオブラート に包んで申し上げます。  それから、1つだけ申し上げますと、社会的な情勢といいますか、無料低額診療事業に かかわる、税務当局を巻き込んだ一般的な雰囲気だけ申しますと、現行の社会福祉法人、 民法法人が行う無料低額診療事業についても、現在の社会環境や経済環境から見たときに、 こういうものをどんどん拡充すべきだという意見が大勢かというと、必ずしもそうでもな いような雰囲気であるということは、先生は御存じのとおり御質問になっているかもしれ ませんが、私どももそういう認識でおりますので、努力をするということは恐らく間違い ないだろうと思いますが、現時点ではっきりと、こうしますと、こういうふうにできます というところまではまだ行っていないのかなと思っております。 ○岩村座長 神田課長、お願いします。 ○神田国民健康保険課長 どこが税制改正要望をするのかということを置いて説明をさせ ていただきますと、確かにこの場で、同じように一部負担について軽減をしているとした ら、どうして医療法人は受けられないのかというお話があったことはそのとおりだと思い ます。そのときに社会援護局の方から説明がございました、ここにちょっと書いてござい ますけれども、社会福祉法人、民法法人が行う無料低額診療事業ということで、事業とい うだけではなくて、今、主体限定がかかっているわけでございます。法人税法なり、不動 産取得税とか固定資産税における主体の部分の整理というのがありますので、事業として 無料低額診療を行うことは多分、可能だとは思いますけれども、主体のところが医療法人 が社会福祉法人、民法法人と並ぶ主体となり得るかどうか、税法上の位置づけがそのよう に整理できるかどうかということが課題としてはございますので、その部分の整理という 問題が残っているので、直ちに要望するというふうには書いてございませんけれども、こ の場でそういう御意見があれば、それを踏まえて検討はさせていただくことになろうかと 思っております。 ○岩村座長 島崎委員、お願いします。 ○島崎委員 第4回目のときにも申し上げたのですが、無料低額事業の実績を見てみると、 減免の件数は、約半分が生活保護という実態になっているわけです。生活保護の場合には、 若干の例外があるにしても、基本的には回収が可能なわけで、これが本当に無料低額の典 型事業かというと、疑義があってしかるべきではないかと思います。したがって11ページ の文章については、「議論があった」という部分が前ではなくて、言葉はともかくとして、 そもそも「無料低額診療事業の本来的な在り方をきちんと再考すべきだ」ということがあ った上で、「こういう議論があった」という流れにすべきではないかなと思います。 ○岩村座長 ありがとうございます。貴重な御意見ですので、そこは含めて検討させてい ただくことにしたいと思います。  そのほか、行政側の取組みについてはいかがでしょうか。山崎委員、どうぞ。 ○山崎委員 ここの項目の大きな問題なんですけれども、国民保険の現行制度がこのまま でいいのかということも触れてほしいと思うのは、国民健康保険制度が始まったときは、 最初は林業、農業、漁業を含めて、かなり裕福な母体が入っていて、保険制度が成り立っ ていたわけです。それがだんだんと、加盟者の母体自体が経済的に悪くなってしまってい たんで、国民健康保険制度自体がだめになってきて、保険料はどんどん高くなる、保険料 が高くなるから払えないという負のサイクルに入ってきてしまっているわけです。ですか ら、その辺含めて、保険制度自体を変えていかないと、この未払いの問題は解決していか ないんではないかと思うんですけれども、その辺については全然触れないんですか。 ○岩村座長 神田課長、お願いします。 ○神田国民健康保険課長 この場の御意見を踏まえて、そういう問題提起について記述し ていただいて勿論よろしいと思いますけれども、制度論について申しますと、山崎委員御 指摘のように、国民健康保険というのは、今、半分が無職で、4分の1の方は非正規雇用 の給与所得者でありますので、おっしゃられるとおり、被用者保険に加入している方と比 べると、同じ所得で見ますと、負担感があるということは多分、避けられないというふう には考えております。それがひいては保険料を余り上げられないということで、一般会計 から法定外で3,600億の財源投入をして、保険料を余り上がらないように抑えているとい う実態があることは確かかと思っております。  ただ、そういうことの処方せんとして申しますと、18年の改正がございまして、国民健 康保険として言うと、65歳から74歳までの方の前期高齢者の財政調整、従来、退職被保 険者ということで、サラリーマンの年金保険に20年以上加入されていた方だけ被用者保険 の方から拠出をしていただいて医療費を賄うという仕組みでございましたけれども、前期 高齢者1,300万人についての財政調整が全体として入りますので、今度の長寿医療制度と 併せてそういう制度が導入されていますので、その部分、国民健康保険にとって見ますと、 若干御支援が増えているという側面はあろうかと思っております。根本的な問題について、 おっしゃられたような問題意識は私どもも持ってはおります。 ○岩村座長 非常に大きな問題でございまして、この報告書の中で書き込むというのはち ょっと困難かもしれません。あるいは「まとめ」のところで触れることができるかどうか ということを考えさせていただければと思います。それ以上に具体的なことというのは、 余りにも問題が大き過ぎて、今回の検討会の役割の範囲の外になってしまうかなというふ うに思います。  田中委員。 ○田中委員 座長、そのことについて、私は別の意見があって、何らかの形で「まとめ」 に入れることができればということですが、私は入れる必要はないと思います。要するに、 国というものを運営していく以上、いろんな社会システムをつくるわけです。未収金とい った問題は、そうしたシステム上、発生しているわけです。民税が100%支払われている かというと、そうではないわけです。民税もいつの間にか9割を切って8割台に入ってい る。では、今の税体系というものを、根本的に見直そう、そういった議論につながる話で あって、未収金問題があるから、医療保険制度全体の問題を考えろなどというのは暴論で あると私は思います。 ○岩村座長 私の申し上げた趣旨は、「まとめ」のところで国民皆保険の維持自体につい ては触れていますので、それとの関係で何か書けるかどうかということでありまして、そ れ以上に大きなことは、田中委員もおっしゃったように、私も先ほど申し上げましたよう に、今回の検討会の役割の範囲の外であろうというふうには思っております。ですから、 何か書き込めるかどうかということについては、検討させていただくことにしたいと思い ます。  対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員 今の座長のお話のとおりで結構だと思うんです。国保も確かにいろんな厳し い状況があって、そこはお話がありましたし、また、私どもの方も認識もしているところ です。ただ、これを言い出しますと、政管の場合どうだ、健保組合の場合どうだと、いろ んな問題が出てきますから、そこはおのずからなる限度、国民皆保険維持というようなと ころからということで私はよろしいかなと、こういうふうに思います。 ○岩村座長 ありがとうございます。  辻本委員、どうぞ。 ○辻本委員 10ページの(2)の2つの○、あるいは?のところもそうなんですけれども、国 保部門と福祉部門の連携強化とか、医療機関への連絡とか、あるいは国が指導を徹底する というような、言ってみれば、被保険者、患者さん本人が置き去りになっている状況が、 私は非常に気になって仕方がないところなんです。ですから、どういう形でまとめていた だくかは考えていただきたいんですけれども、やはり相談に来る被保険者本人への情報提 供というんでしょうか、わかりやすい説明の努力が必要であることをどこかに加えておい ていただきたいということをお願いしたいと思います。 ○岩村座長 ありがとうございます。  それでは、時間の都合もあって先を急がせていただいて、最後に全体的な御議論で若干 お時間を取れるかと思いますので、もしありましたら、そこのところで御発言いただきた いと思います。  次に、病院側の取組みというところでございます。そこで幾つかのことが書き込まれて おりますけれども、特に病院側の関係者の方々にお伺いしたいのは、先ほどの調査結果で もありますように、未収金のうちの45%ぐらいが一部負担金であって、残りは結局、保険 者徴収の対象にもならないということになっていて、そうしますと、1つは未収金になら ないような未然の防止策が重要であるということがあると思うし、あるいはこの後の話で すが、回収努力ということも関係してくると思うんです。その辺、病院関係者の方々では どういうお考えがあるかということについて、是非御意見をいただきたいと思います。 ○小森委員 最初の会議でも私は言いましたけれども、要は、病院が潤沢に利益を上げて いるときには、こういう未収金問題はほとんど起こらなかった。今になってこれだけクロ ーズアップされているということは、現在の病院がこれだけの未収金を十分に吸収できな くなっている。すなわち経営状態が非常に悪い。  まず、最初にわかっていただきたいのは、病院と診療所は違うということです。マスコ ミの方もよく間違えておられますけれども、診療所にはベッドがありません。病院という のは入院施設があって、患者さんが入院する施設があるところを病院と言います。すなわ ち、外来もしています。それを時たま、報道のキャスターとかが間違えて、病院と診療所 の区別がつかずにお話しされていることが非常に多いので、それを十分理解していただい た上で、現在、経営状態が特に悪いのは、急性期の病院の一部を含んで、病院全体がよく ありません。そういう中で未収金が発生すると、これを吸収できなくなっている。昔は、 少々の未収金があっても、3年後に利益の中から償却ということができていたのが、償却 をする利益すら病院に残っていないというのが現状です。  前回、私はほとんど否定しなかったんですけれども、例えば、対策で、カードの支払い 等ありますけれども、厚生労働省の方は当然御存じだと思いますけれども、病院の利益率 が5%を超えている病院などというのは実はないんです。2%あればいい方で、赤字の病 院の方がもっと多いと思います。すなわち、銀行の評価も、今や建設業界よりも下と言わ れるぐらい、病院への融資は非常に厳しい状況になっている中で、カードで支払いを受け ると、カード会社に利益費の2%、3%をお支払いしなければならない。ですので、なか なかカードの対策にも踏み込めない病院が多いというのも理解していただきたい。  その中で、リストアップをすればいいという話がありましたけれども、これも先ほど辻 本委員が言われましたように、非常によくない話であります。実は救急の問題も含めて、 救急がたらい回しになるという案件、皆さん、当然マスコミ等で御存じだと思います。基 本的に救急輪番から回ってきました場合は、氏名と生年月日をまず言います。どんな病状 だということを言います。それが悪質で、救急車を何度も利用したり、病院への多額の未 収金がある場合は当然受け入れません。救急隊は必ずどこかに置きに行かなければならな いから、いっぱい探します。そういうケースがあるということも十分かんがみて、リスト アップを推奨するというのは本当にいいことなのかどうかということがあります。  この中で、話が少し入ってきて止まってしまった応召義務です。病院側は基本的に外来 に来られたら診なければならなくて、診るように努力しています。診るように努力してい ますけれども、先ほど座長が言われましたように、実は、未収金の半分近くが室料差額と か、そういうものなんです。それは事実だと思います。ですけれども、患者さんを入院さ せれば、より未収金が大きくなるわけですから、極力そういうリストの方は外来で、それ もなるべく自己負担金のかからない、今で言うと、安いお薬で治療して帰しているという ケースも多々、病院の努力としてはあるのが現状です。ですので、病院側にこれ以上の対 策を講じさせるということは、患者を選別しろということになりかねないなというのが1 つ、私の懸念です。  もう一つは、先ほど債権譲渡の話がちらっと出ましたけれども、病院側は社会的ないろ んな問題から、業者に債権を任すケースはまだ非常に少ないです。多くの病院がこういう ところに債権を任すと、確かに病院側は人件費も削減できますし、時間的な問題、トラブ ル等がたくさんなくなって楽にはなるんですけれども、債権を回収する業者さんに追われ る患者さんたちが本当にそれでいいのかという問題もあって、この辺は書き方を間違える と余りよくないんではないかなと、そういうふうに考えています。  以上です。 ○岩村座長 今村委員、どうぞ。 ○今村委員 今の小森委員のお話の冒頭の部分だけちょっと訂正させていただきます。病 院に未収金が多いのは間違いありませんけれども、診療所にも有床診療所という19以下の ベッド数があります。有床診療所には負担もあるということを御理解いただきたいと思い ます。これだけです。 ○小森委員 申し訳ありませんでした。 ○岩村座長 崎原委員、どうぞ。 ○崎原委員 今、座長の言われた4割相当分というのは事実だと思います。診療の保険収 入にかかわる分の割合が多分4割で、後の、今、小森委員から言われました差額ベッドの 問題とか、特定療養費という自己負担分が残りの6割ぐらいということは事実でありまし て、特定療養費、自己負担分については病院の取り分になるように各自努力するしかない と思うんです。  今、ここで言いたいのは、混合診療という問題が新聞に載ったと思います。混合診療を すべきだという判決が地裁段階で出たんです。保険診療と自己負担分の診療を併せてやろ うと、こういうのが混合診療なんですけれども、今後、混合診療が解禁されますと、自己 負担分がどんどん増えてくる。そうすると、病院の未収金の自己負担分のところもこれか ら増えてくると、こういう問題もはらんでいるということを御理解いただきたいと思いま す。 ○岩村座長 先ほど小森委員が応召義務について触れられましたけれども、病院団体の関 係者、あるいは医療団体関係者の方で、応召義務について何か御発言ございますか。山崎 委員、どうぞ。 ○山崎委員 応召義務については、具体的に定義というのはどういうふうになっているん でしょうかというのは、365日24時間診察をしなければいけないのか、あるいは労働基準 法の労働時間を過ぎていても、疲れていても患者さんを診察しなければいけないのか。一 般病院で当直しているドクターというのは、本来、厚生労働省の通知で言うと、病院の患 者さんの急変に対しての当直医という規定になっているはずなんですけれども、病院の外 来に救急の患者さんが来れば、その患者さんにも対応しているわけです。だから、「応召 義務」という言葉で、一般の医療現場で診療をさせられているんですけれども、どういう ことを応召義務というのかというのを知りたいと思います。 ○岩村座長 この点について、医事課の方でお願いいたします。栗山課長。 ○栗山医事課長 これは第2回の検討会のときに御説明申し上げて、それ以上のことはな いんですけれども、要するに、物理的に不可能な場合は義務はかからないということと、 正当な事由がどういうことかということについては、社会通念上健全と認められるような 道徳的な判断によるということですから、当然、24時間365日絶対対応しなくてはいけな いというのも常識に反すると思いますし、逆にちょっと疲れているから診られないという ぐらいだと、通常、急を要する患者だったら、そういう場合でも診療する義務を負うとい うことですが、そこがどういうふうに区切られるのかはっきりしないというのはわかるん ですが、これはやはり具体的に個々のケースを見ないと何とも言えませんし、法律で特定 の行為を義務づけているとか、罰則がついているとか、そういうことでもないので、個々 のケースに応じて判断いただくということだと思います。 ○岩村座長 崎原委員、どうぞ。 ○崎原委員 応召義務については、具合の悪い方がおられたら、これは診なければいけな いというのは、医師の基本的な倫理の問題で、これは受け入れられると思うんです。ただ、 義務を果たしたならば、それなりの報酬が得られなければいけないということは、医者と して、多分、共通の認識だと思うんです。  以前、未収金がある患者さんが、かなりの数が来られて、またそれが未収を繰り返すと、 そういう問題が今回初めてわかったんですけれども、そういう患者さんに対する対応はど うしたらいいかということです。過去、厚生省の局長通達だったと思いますけれども、未 収があるゆえをもって診療を拒否してはならないという通達が大分前にあったと思います。 ただ、それは昭和初めで、みんな貧しかった時代に、そういった通達が出たんではないか と思うんです。今は時代が変わりまして、こういう時代になりまして、これからもそれが 続くのかということを、行政の側としても考えていただきたいと思います。 ○岩村座長 河上委員、どうぞ。 ○河上委員 応召義務の件ですけれども、基本的には、サービスと言っては怒られるかも しれませんが、手にいれるべき給付というのは、生存権にかかわるような、非常に生活に とって必需のものであるという場合には、相手がだれであるかにかかわらず、好き嫌いを して選別するようなことをしないで、締結の申出があったときにはそれに応じなさいとい う、ある種の締約強制が働いているということなんだろうと思います。その意味では、お 医者さんが疲れているのにやりなさいという問題ではなくて、自分がこの人はいい、この 人はだめという形で選別することをしてはいけませんというのが応召義務の基本なんだろ うと思うわけです。  こうした申請があったときに、合理的な範囲で契約締結に応じなさいというのは別に医 療だけではなくて、ガス事業法であったり、水道事業法であったり、すべてのところにあ ります。そのこと自体は、給付の性格によってそういう制約があるんだということで理解 するのが正しいだろうというふうに思っております。  その上で、相手方から申請があったときに、それに対して応じるという場合に、当然、 対価の問題が発生する。電気事業法でもガス事業法でもそうですけれども、対価を支払わ ないということを前提にして、なおかつ給付をしなさいなどということはいずれも考えら れていないわけです。ですから、契約を締結するかどうかということと、履行を強制され るかどうかということとは別問題なわけです。ですから、患者さんが金は払わないぞとい うことを言っているにもかかわらず、治さないといけないという、慈善事業をやりなさい というのが応召義務ではないということは、ちゃんと理解しておく必要があるかと思いま す。 ○岩村座長 ありがとうございます。  山崎委員、どうぞ。 ○山崎委員 悪質滞納のケースの場合は応召義務はあるんでしょうか。今日の調査でも、1 0%が悪質滞納で、リピーターが30%という数字があります。こういう患者さんが救急で 来て、しかも生命に危険があるような状態ではない患者さんの場合でも、やはり診療はし ないといけないんでしょうか。入院、外来を含めてそうなんですけれども、今、医療費の 中身の純粋な部分と、食事の給付費とホスピタルフィーに分かれています。ということに なると、ホスピタルフィーを払わないのは無銭宿泊ですし、食事給付費を払わないという のは無銭飲食になるんではないかと思うんです。したがって、本来の契約が成り立たない ような患者さんとの関係においても、診療契約というのが必要なんでしょうか。 ○岩村座長 河上先生、お答えになれますか。 ○河上委員 今の説明との関係で聞かれたんだと思いますので、お答えしますと、不払い の可能性が極めて濃厚であって、客観的な不払いの蓋然性が示されていたというような場 合には、医療側としては、例えば、保証金を担保として払ってください、それが払われて いない間は履行はできませんという形で履行拒絶をすることは別に問題はない。それは応 召義務として契約は成立しているけれども、履行に対して強制されるかどうかという段階 では、やはりそれなりの自衛策は取れるということだと私は思います。 ○岩村座長 今の問題はかなりクルシアルな問題でもありますので、今日の議論のやりと りを踏まえながら、まだこのたたき台には書き込んでございませんので、どういう扱いに するかということも含めて、事務局とも検討させていただきたいと思います。  定刻になっているんですが、是非お聞きしておきたいところがございますので、ちょっ と延長しますが、御協力をいただければと思います。  具体的には、事後的な対策のところについては余り議論できていないんですが、保険者 徴収というのを、適切な運営をしていきましょうというのが今日のたたき台として出てお ります。この点について、具体的に関係される当事者である保険者サイドで、例えば市町 村、あるいは国保中央会、あるいは健保連その他のところから、病院サイドでどこまでの 努力を求めるかということについて、もし御意見がありましたら、是非お伺いしておきた いと思います。今日、御欠席の原委員からは、ペーパーでその点についての御意見をいた だいています。では、鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員 それでは、市町村という立場で、原委員から、今日、意見書ということで提 出されておりますが、それとほとんど一緒でございます。9ページにありますように、生 活困窮者に対する取組みということで、国保の一部負担金の減免の運用の改善というとこ ろと、(2)の医療機関・国保・生活保護の連携強化ということで、こういったことは市町村 でできることですので、これにつきましては、生活困窮者が未収金の原因であるというこ とでございますので、保険者として、やるべきことは実施してまいりたいと思っておりま す。  現場といたしまして、一部負担金の減免制度の運用について一番問題になるのは、全国 の市町村で判定基準を定めている市町村が大変少ないということがございます。この辺の 統一的な運用基準、10ページの上段3行目に書いてありますように、国として統一的な運 用基準の提示、それから、市町村の財政影響への懸念に対する配慮等の対策を検討すべき ではないかと書いてありますので、この辺を是非お願いしたいと思います。  それから、未収金の保険者として立場です。市町村といたしましても、大変国保の財政 も厳しいという中で、国保の保険税の滞納者の回収に当たっては、職員が夜間、休日等、 電話催告はもとより、各家庭に訪問し、それも1回ではなく、2回、3回と訪問している ような実態でございまして、徴収に努力しているところでございます。医療機関におきま しても、今回のアンケートにありましたように、回収の働きかけをしていないという医療 機関もございますので、是非そういった回収努力を行っていただきたいと、このように思 います。  以上です。 ○岩村座長 ありがとうございました。  そのほかの保険者関係の方、いかがでございましょうか。松岡委員、どうぞ。 ○松岡委員 政管健保の立場からいたしましても同様のところがあるんですけれども、健 保法の第72条第2項といったところについては、今のところ、使われていないといった状 況にあるということなんですけれども、もしこれを活用して、実際動くような形にすると すれば、実施基準をしっかり明確化していく、どういったときに、医療機関サイドでどこ までやっていただいた段階で保険者の方に請求していただくようにするとか、あるいは請 求したときに、保険者としては、どこまでやるのか、あるいは入ったお金をどういう形で 渡していくのかとか、具体的に基準なり、手順なり、しっかりルールを決めていく必要が あるだろうと思います。  それから、実際、保険者としてやるとなると、我々も保険料の徴収にかなり手間暇かけ て苦労しているといったところがありますので、これは相応に事務としてはかかってくる といったところはあるだろうと思います。  また、13ページの最後の方でもございますけれども、保険者側でも協力すべき点で、例 えば、被保険者の方にどういった形でお知らせをしていくのかといったようなことなどに ついても、具体的にやるとすれば、考えていく必要があるんだろうと、そういうふうに考 えております。 ○岩村座長 対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員 前回、病院の関係者に2つの病院の方から説明がありまして、あそこまで努 力して尽力しているのかなということで感心もしたんですけれども、そういった御努力を 各病院側の方も、どこまでするかというのはありますけれども、従来以上に踏み込んだ御 努力をいただくということであれば、この検討会の目的そのものが、みんなで力を合わせ てということでしょうから、私どもとしましても、松岡委員の方からもお話がありました けれども、一定のルールなり、こういったことでということをきっちり確定しながらです けれども、対応を図っていきたい。要は、みんなで国民皆保険を支えていくと、まさに趣 旨のとおりだろうと、こういうふうに思います。 ○岩村座長 田中さん、よろしいですか。 ○田中委員 山崎先生もおっしゃったように、国保は大変な事態であることは御承知のと おりでありますが、さはさりながら、皆保険を支える医療機関の健全な運営という視点で、 そこに何らかの不安材料があるとすれば、何としても解決しなければいけないと思ってお ります。我々市町村国保保険者、組合国保保険者としても、厚労省の御指導を受けながら、 適切に保険者として対応していきたいと思っております。 ○岩村座長 時間が大分過ぎております。全体を幾つかのパートに分けながら御意見等伺 ってまいりましたけれども、今日の御意見の様子ですと、今日で全部をとりまとめるとい うのは無理だと思いますので、各委員お忙しいところ、申し訳ございませんが、もう一度、 最後のとりまとめの会合を持たせていただくことにせざるを得ないと思いますので、よろ しく御協力のほど、お願いしたいと思います。  その上で、もう時間も余りないんですが、全体を通して、次回のとりまとめに向けて、 何か御発言があれば、この際、承りたいと思います。島崎委員、どうぞ。 ○島崎委員 前回、「皆保険を維持するために、それぞれが応分の努力をしていかなけれ ばいけない」ということを書くべきだ申し上げたのですけれども、最後の「まとめ」のと ころを見ていくと、多少ニュアンスが違うのかなと思っています。というのは患者からし てみても、苦しい生活の中でまじめに保険料や一部負担金を払っている人は当然いる。む しろそっちの方がマジョリティーだと思います。その一方で、支払い能力はありながら払 わないという人といる。これを放置することは、著しく社会的な公正に反します。また、 国民皆保険そのものは相当無理をしてつくっている制度ですから、モラルハザードを放置 しておくことは、国民皆保険を揺るがすことにつながりかねないということを強調すべき だと思います。  勿論、グラデーションがあるんで、このグループはきちんと払えます、この人たちは払 えませんときれいに2分割できるわけではありませんけれども、払えるのに払わない人に 対しては、きちんと払っていただきますという毅然とした態度が必要だし、その一方で、 本当に生活困窮して払えない場合は、別に「取り立て屋」をしているわけではありません から、それに対して減免等の政策的配慮をどうしていくべきかということは峻別して考え ていかなければいけないと思います。全体の対策のところを見ると、そのところのめり張 りが多少弱いのかなという印象を受けます。  それから、先ほど資料を改めて見ていたら、この検討会は昨年6月1日にスタートして いるので、約1年たつわけです。事柄の性格上、いろんなところに波及する話であるし、 きちんと議論を整理すべきだという意見は勿論あるわけですけれども、その一方で、こう いう状態を放置することはできない実態が日々起こっているのだとすれば、やはりある程 度のところで区切って結論を出していくということを考えざるを得ないと思います。なお、 いろいろ意見があるのであれば、事前にメモなりで出して、ある程度事前に調整して、次 回、微修正で是非議論をまとめるようにしていただきたいと思っております。 ○岩村座長 ありがとうございました。  今村委員、どうぞ。 ○今村委員 是非「まとめ」のところにつけ加えていただきたいと思っているのは、これ だけいろんな項目を挙げていただいて、取組み事例を挙げていただいて、これが本当にど れだけ効果を挙げたかという検証というか、フォローをしていかないと、ただ報告書がま とまりましたで終わってしまっては意味がないかなというふうに思っています。何らかの 仕組みで、こんな検討会をずっとつくるということでなくていいと思うんですけれども、 経年的に、こういう取組みが、どれがどれだけ効果があったのかとか、こういうことは余 り効果がなかったというフォローアップの仕組みというか、何かを入れていただけると大 変ありがたいなというふうに思っています。 ○岩村座長 そこはまた検討させていただきたいと思います。  そのほか、いかがでございましょうか。田中委員、どうぞ。 ○田中委員 議論がされなかったんでしょうか、書いていなかったんですが、要するに、 未収金問題はなかなか大変な状況の中で、どうしても存在するとすれば、税法上の優遇措 置というのか、こういった対策というものは議論にならなかったのか。医療機関に対して の優遇措置というのはこれまでも、所得税法上の優遇措置もあったし、消費税法上の優遇 措置もあったし、税法上の優遇措置というところに結びつけられないのかなという感じが しているんですけれども、神田さん、どうですか。 ○神田国民健康保険課長 税法上の優遇措置というか、税法上の取扱いがどうなっている のかというような御議論はございまして、私どもの方でも国税庁の方に、どういう場合に 損金処理できるのかということをお聞きしましたけれども、結論から言うと、個別の状況 で判断をするというような取扱いになっているようでございますので、個々具体的な場合 に、債務者の資産状況とか支払い能力等から見て、金銭債権の全額回収ができないことが 明らかになったかどうか、そういうことの判断に当たっては、相手が破産したとか、行方 不明とか、死亡とかで回収の見込みのない場合は比較的明らかと思いますが、それ以外の 場合については、債務者について、こういう事実が生じていない場合でも、資産状況のい かんによっては該当する場合があるということで、そこは弾力的に扱うべきだということ になっていて、結局、税法上の扱いというのは、やはり個々具体的にということになって いるようで、一律に損金処理なりを優遇できるかということについては、これは私どもと いうか、実務の国税当局の運用になろうかと思いますが、なかなか難しいところはあるよ うでございます。実態としては、そういうことはお聞きしております。 ○田中委員 そうすると、今の税法上の対応というのはわかりましたから、これを本気で やるとすると、政治的な視点での活動をしないとなかなかというところなんですか。これ に書き込むということはなかなか難しくなるわけですね。 ○岩村座長 ちょっとそこは難しいのではないかというように思います。  そのほか、全体を通しての御意見ございますでしょうか。よろしゅうございますか。先 ほど申し上げましたように、この検討会については、先ほど島崎委員もおっしゃったよう に、もう1年間もやってまいりましたこともありますので、次回で報告書の方はとりまと めたいと考えております。  そこで、大変恐縮ですが、文案をまず事務局の方で御作成いただいて、それを各委員の ところにまたお持ちして御意見を伺うということになると思いますので、御意見がありま したら、そのときになるべくおっしゃっていただいて、検討会で、できれば、部分的な修 文程度で終わるということにさせていただけると大変ありがたく存じますので、各委員の 皆様方、よろしく御協力のほど、お願いしたいと思います。  それでは、大変時間をオーバーしてしまいましたけれども、今日の検討会はこれで終了 させていただきます。  次回につきましては、また事務局の方から御連絡をいたしますので、どうぞよろしくお 願いをいたします。  今日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。 (終了) 照会先:保険局 国民健康保険課 電 話:03-5253-1111 内3254