08/05/28 第1回議事録 第1回高度医療評価会議 (1)日 時:平成20年5月28日(水)9:30〜11:00 (2)場 所:東海大学校友会館 富士の間 (3)出席者:猿田座長、山口座長代理、飯沼構成員、伊藤構成員、 金子構成員川上構成員、柴田構成員、関原構成員、田上構成員、 竹内構成員田島構成員、藤原構成員、村上構成員 (事務局) 医政局研究開発振興課長、保健局医療課長、保健局医療課企画官 医薬食品局審査管理課長、医薬食品局医療機器審査管理室長 他 (4)議 題:1.高度医療評価制度について        2.高度医療評価会議の運営要項等について        3.高度医療の安全性情報等に係る取扱いについて        4.肺ラジオ波焼灼療法に関する報告について        5.申請技術について        6.その他 (5)議事内容: ○事務局(中谷)  2名の委員の方の到着が遅れているようですが、定刻となりましたので、 ただいまから「第1回高度医療評価会議」を開催いたします。本日はご多忙 中のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。議事に 入る前に、医政局長の外口よりご挨拶申し上げます。 ○医政局長  外口でございます。高度医療評価会議の第1回を開催するに当たりまして、 ご挨拶申し上げます。本日は大変お忙しい中、この評価会議に御協力いただ きまして誠にありがとうございます。医学医療の高度化等に伴いまして、患 者のニーズ等に対応するため、薬事法の承認等が得られていない医薬品や医 療機器の使用を伴う医療技術を一定の要件下に認め、保険診療と併用できる こととし、科学的評価可能なデータ収集の迅速化を図るための仕組みとして、 この4月から「高度医療評価制度」を開始いたしました。もともと医療保険 制度の中で、保険診療と保険外診療とを併用する仕組みとして「特定療養費 制度」というのがありましたが、そのうち保険外の先進的な医療技術を併用 する仕組みとして、「高度先進医療」というのがありました。その仕組みが平 成18年10月の健康保険法の改正により、新しくできた仕組みである「先 進医療」と統合されることとなりましたが、このときに薬事法上の承認が得 られていない医薬品や医療機器の使用を伴う15の技術については、何らか の措置を講じなければ先進医療の枠組みから除外されて、保険との併用がで きなくなるとの方針が示されました。  しかしながら、これらの医療技術を先進医療から除外してしまいますと、 当然ながら患者さんへの影響が懸念されるわけでございます。この15の技 術について、引き続き保険との併用が認められるような新たな枠組みを検討 する必要があると考え、医政局におきまして昨年6月から「臨床的な使用確 認試験に関する検討会」を設置し、どのような要件であれば継続させて良い か、15の技術がその要件に該当するか等について検討を行ってまいりまし た。有用な医療技術については、もとより早く保険収載を目指すべきであり ます。「有用性を評価するための科学的評価可能なデータ収集を行うこと」や、 「倫理的観点から患者への説明文書や同意書の整備を行うこと」等を要件と して、この15の技術の適格性について検討を行い、その結果、15の技術 についてはこの4月以降も保険との併用が可能となりました。  さらに、国民に有用な医療技術の提供を迅速化するために、薬事法上の未 承認あるいは適応外に当たる医薬品や医療機器を使用する医療技術のうち、 同じような要件を満たすものについては、新たに「高度医療」として位置づ けて、この高度医療評価制度の中で運用していくことといたしました。この 高度医療評価会議は、高度医療評価制度に申請のあった技術について、その 適格性の評価をしていただくための会議であります。今後、徐々に申請が増 えてくると思われます。この制度を待ち望んでいたという声も耳にするとこ ろでございますので、そのような期待に応えるためにも皆様の御協力を賜り、 円滑な運営を図ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいた します。 ○事務局  本日ご出席の委員の皆様のご紹介をいたします。なお、お手元の資料2が 構成員名簿ですので、併せてご覧下さい。まず、日本医師会常任理事の飯沼 雅朗委員です。国立病院機構本部医療部研究課長の伊藤澄信委員です。国立 成育医療センター形成外科医長の金子剛委員です。京都大学大学院医学研究 科薬剤疫学教授の川上浩司委員です。慶應義塾大学名誉教授の猿田享男委員 です。国立がんセンターがん対策情報センター薬事安全管理室長の柴田大朗 委員です。日本インベスター・ソリューション&テクノロジー取締役社長の 関原健夫委員です。東京医科歯科大学歯学部長の田上順次委員です。北里大 学薬学部臨床統計部門教授の竹内正弘委員です。さわやか法律事務所弁護士 の田島優子委員です。国立がんセンター中央病院臨床検査部長の藤原康弘委 員です。先端医療振興財団常務理事の村上雅義委員です。癌研究会有明病院 外科部長兼院長補佐の山口俊晴委員です。なお、本日はご欠席ですが、神戸 学院大学法学部准教授の佐藤雄一郎委員、国立循環器病センター臨床研究開 発部室長の山本晴子委員にも構成員として参加していただくこととしており ます。また、事務局として研究開発振興課長の新木、保険局医療課長の原、 保険局医療課企画官の宇都宮、医薬食品局医療機器審査管理室長の俵木が出 席しております。  次に、配付資料の確認をいたします。お手元の資料の1枚目は議事次第、 2枚目は座席表です。事務局の不手際で飯沼委員が記載されておりませんで したので、申し訳ございませんが、追加をお願いいたします。資料1は高度 医療評価会議開催要綱、資料2は構成員名簿、資料3-1は高度医療評価制度 の概要、資料3-2は高度医療評価制度についての説明、資料4は運営要項 (案)、資料5は技術委員一覧、資料6-1は不具合等が発生した場合の対応 について、資料6-2は有害事象の情報に係る取扱いの図、資料7は報告の事 案、資料8は一覧、資料9は評価の進め方です。参考資料1は高度医療に係 る通知、参考資料2は先進医療に係る通知、参考資料3、4は通知に関係す る資料、参考資料5は第3項先進医療の一覧、参考資料6は健康危険情報の 扱いについてです。すべての資料には右肩に資料番号が記載して御座います。 過不足等ありましたらお知らせください。  引き続き、本会議について説明いたします。なお、座長選出前であり、そ れまでは事務局が司会を務めさせていただきます。私は研究開発振興課の中 谷と申します。よろしくお願いいたします。まず、資料1の開催要綱をご覧 ください。この評価会議の目的等について記載しておりますが、医政局長の 挨拶にありましたように、本評価会議は高度医療評価制度の創設に伴い、高 度医療に係る適合性の評価・確認を行うことを目的としております。  主な検討事項としては、申請のあった医療機関の評価、医療技術の内容の 評価及び高度医療の実施状況の確認などです。この評価会議の構成について は、各分野に係る有識者により構成し、構成員のうち1人を座長として選出 いたします。座長は必要に応じ、検討に必要な有識者の参加を求めることが できます。運営については原則公開とし、議事録も公開いたします。運営に 関するその他の事項は、後ほど議論させていただく運営要項によるものとい たします。本評価会議は医政局長が主催し、庶務は研究開発振興課において 行い、必要に応じて医薬食品局、保険局の協力をいただくことといたします。 開催要綱について、ご質問などあればお願いいたします。  ないようですので、早速開催要綱に基づき、座長の選出を行います。特段 の自薦、推薦がないようでしたら、事務局としては先進医療専門家会議の座 長でもある猿田享男委員にお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょ うか。 (承認) ○事務局  ご承認いただき、ありがとうございます。それでは猿田委員に座長をお願 いいたします。どうぞ座長席にお移りください。以降の議事については猿田 座長にお願いいたします。 ○座長(猿田)  ただいま座長に選出いただきました猿田でございます。先ほど外口医政局 長よりお話がありましたように、先進医療が始まる前、高度先進医療という のがありましたが、その際の座長を務めましたので、少しは役立つかもしれ ません。どうぞよろしくお願いいたします。  早速ですが、議事に入りたいと思います。先ほど説明があった資料の議題 に従い、まず、高度医療評価制度について、事務局から説明をお願いいたし ます。 ○事務局  資料3-1、3-2を用い、高度医療評価制度について説明いたします。ま ず、資料3-1は高度医療評価制度の概要を簡単にまとめております。こちら をご覧いただきながら、説明は資料3-2で行います。初めに、高度医療の概 要ですが、目的は薬事法上の承認などを得ていない医薬品・医療機器を用い た医療技術を、一定の要件の下に「高度医療」として認め、保険診療と併用 できることとし、また薬事法上の承認申請などにつながる科学的評価可能な データ収集の迅速化を図るとことです。したがいまして、対象となる医療技 術は薬事法上の承認または認証を受けていない医薬品・医療機器を使用する 技術、またはその承認内容に含まれない目的での使用、いわゆる適応外使用 を伴う技術の2つです。  3頁は高度医療の取扱いを概念図でまとめたものです。現状で未承認や適 応外のものを用いた医療は、入院料や基本診療の部分を含めて基本的には保 険の利用ができない状況ですが、技術要件および施設要件として、例えば有 効性、安全性が期待できる技術であって、特定機能病院など安全や管理の体 制が図れる医療機関といった要件を満たすものについては高度医療として認 め、基本診療の部分は保険の利用が可能なるという仕組みです。要件につい ては、参考資料1の高度医療に係る取扱いの通知をご覧下さい。2頁目の下 の3.「高度医療を実施する医療機関の要件」の(1)から(4)で要件を示 しております。4の「高度医療に係る要件」は技術要件で、(1)及び3頁目 の(2)の要件を満たすこととしております。(1)として、基本的には国内 外の使用実績や有用性を示す文献等により、安全性及び有効性の確保が期待 できる科学的根拠を有する医療技術であることを要件としております。  3頁目について、高度医療の申請に当たっては試験計画の提出をしていた だきますが、試験計画の内容が(1)から(6)をすべて網羅するものであることが 要件になっており、臨床研究に関する倫理指針の適合の他、患者や家族の同 意をきちんと得ていること、有用性が客観的に確認できる試験計画であるこ と、あるいは試験期間や症例数、評価基準に係る内容がきちっと書かれてい ることなどが要件となっています。  資料3-2に戻り、4頁目をご覧ください。この高度医療という制度は、保 険との併用に当たっては先進医療の一類型と位置づけられております。先進 医療の仕組みは、基本診療部分については保険外併用療養費として医療保険 から、図の右側の高度な医療技術に係る部分については患者から費用を徴収 できるという、保険診療に保険外診療を併用ができるという仕組みです。5 頁に入り、このように保険診療に保険外診療の併用を認める仕組みとして保 険外併用療養という枠組みがあり、大きく2つの類型があります。図に示す ように、左側が評価療養、右側が選定療養の一覧です。評価療養の枠組みに は将来的に保険給付の対象とすべきか否かの評価が必要な療養が入ります。 一方、選定療養は被保険者の選定に係る特別室その他の療養で、評価はしま せんが、被保険者の選定によって選べるというもので、特別な療養環境や予 約診療などが入ります。評価療養について具体的に言うと、その1つが先進 医療、その他治験に係る診療、薬事の承認後、収載前のものといった類型が いくつかあります。評価療養の1つとして、保険診療に保険外診療を併用で きるということです。  6頁は保険外併用療養費における高度医療の位置づけです。先進医療の一 類型になりますが、先進医療は薬事法の承認や認証・適応があるものとない もので大きく2つに分かれ、承認や認証・適応があるものは先進医療の中の 第2項で定められており、従来からの先進医療になります。また、薬事法の 承認や認証・適応がないものは先進医療の中の第3項で定められており、こ れが高度医療になります。第2項と第3項に分かれますが、保険外併用療養 費の中ではどちらも先進医療として扱うことになっております。参考資料2 は先進医療に係る届出等の取扱いの通知で、2頁には第2項先進医療に係る 取扱いが記載されており、こちらに従来の先進医療の取扱い、つまり薬事法 の承認があるものの取扱いが御座います。  6頁の中程には、第3項先進医療に係る取扱いが御座います。第3の1の (3)では、高度医療に係る通知に基づき、個別に認められた高度医療実施 機関をいうとされており、この部分が第3項は高度医療であることを定めて います。  資料3-2の6頁に戻り、このように先進医療の中で第3項先進医療と位置 づけられたものが高度医療になります。7頁は、保険外併用療養の一覧をま とめたものです。高度医療は、評価療養のひとつである先進医療に、「第3項 先進医療」として含まれることになります。8頁、9頁はそれぞれ第2項、 第3項の手続の流れ図となっております。第2項の先進医療については従来 どおりで、中央にある先進医療専門家会議において評価することが、第3項 の先進医療については、高度医療評価会議で安全性や有効性の確認をするこ ととしております。参考資料3、4は高度医療の基準に係る関係の資料です ので、併せてご覧いただければと思います。以上で高度医療評価制度の説明 を終わります。 ○座長  ただいまの説明に対し、何かご質問があればお願いいたします。特に、先 進医療との関係をご承知いただきたいと思います。特になければ、先へ進み たいと思います。 ○事務局  次に、運営要項などを説明いたします。資料4では、この高度医療評価会 議の運営について定めております。第1条は高度医療評価会議の実施につい てですが、先ほど開催要綱でも述べたとおり、高度医療に関する事項、評価 等です。第2条は組織についてですが、本日お集まりいただいている委員の 方々は常時評価会議に参加し、意見を述べていただく構成員となります。こ のほか、必要に応じて個々の技術について、技術的な観点から検討する「技 術委員」を定めております。技術委員は、あらかじめ座長が認める委員をも って充てることといたします。また、座長に事故があるときは、あらかじめ 座長が指名する構成員がその職務を代行することとし、座長代理を定めたい と思います。また、これら委員の任期は2年とし、再任は妨げないこととし ております。第3条は定足数で、構成員の総数の2分の1以上。ただし、意 見書の提出があった者は出席と見なすということです。  その他として、1頁のいちばん下の第6条の留意事項をご覧ください。構 成員及び技術委員は担当技術の検討のために必要な資料は事務局から入手す ることとし、担当技術に使用される医薬品・医療機器の開発企業や個人から 直接資料の提供を受けることができないとしております。2頁の第7条は関 与委員の扱いですが、審査の公平性などを確保するために、高度医療の申請 などを行っている医療機関に所属する構成員及び技術委員はこの評価の担当 はしないことでお願いいたします。また、構成員、技術委員は検討対象とな る技術に使用される医薬品・医療機器についての関与または特別の利害関係 を有する場合にあっては座長に申し出ることとし、検討を行うこと及び発言 することができない。3として、ただし、座長が関与ある委員の発言を必要 と認めた場合は参加することができるが、決に加わることはできないことと しております。関与のある方々については、事務局のほうで事前に確認いた しますので、基本的には関与しないことといたします。  この評価会議及び会議の議事録は特別な配慮が必要と認める場合以外は、 原則公開といたします。この評価会議の運営に関して必要な事項は座長が評 価会議に諮って定めることとし、本日から施行していただければと思います。 資料5は運営要項第2条に係る技術委員についてです。主な診療科の先生方 と、現在高度医療の申請に係る事前の相談を事務局にいただいている技術に 関する専門領域の先生方を、座長にも確認していただきながら事務局として 選出させていただきたいと思います。併せて、座長代理についてもご指名も いただければと思います。 ○座長  ただいまの運営要項の説明について、何かご質問があればお願いいたしま す。 ○田島構成員  単なる誤記だと思いますが、第3条に引用されている意見書提出関係の条 文は、第7条ではなく第8条だと思います。 ○事務局  失礼いたしました。第8条の誤りです。 ○関原構成員  基本的な所管業務のところですが、これは医療技術の適格性及び実施機関 の適格性を評価するという話であって、この医療の値段は誰が評価するのか、 本会議は値段は全く関係なしということですか。例えば、ここにあるロボッ トを使った心臓のバイパス手術がありますが、これがいくらかということに ついての評価はどこで行うのか、この評価会議ではないのかということをお 伺いしたいと思います。 ○保険局医療課長  この高度医療評価会議の中では医療機関とその技術の適格性を判断してい ただきます。実際に行われるときには、保険外併用療養として、つまり先進 医療として行われます。そのときに患者さんからいくらいただくかについて はそこで具体的に決まるわけですが、先進医療を決める際に専門家会議とい うのがありまして、その中で1人当たり大体どれぐらい取るのか、必要にな るかということも併せて出していただいております。その際、過度であって はいけないという規定を持っていますので、その中で個々に見ていくという 形になります。 ○関原構成員  わかりました。 ○座長  評価に関しては、いままでも大体そのようなことを考えながらやっていた ということだと思います。先進医療の場合もそうです。 ○藤原構成員  3つほど質問があります。まず、第1条で高度医療についての技術として 書いてあるのですが、この技術というのは、いわゆるロボット手術、腹腔鏡 などといった技術のほかに、私ども内科の医師からすると、未承認や適応外 の医薬品を投与するといった部分も含まれた技術だと理解していいのかとい うのが1つ目の質問です。  次に、第7条に「特別の利害関係を有する場合にあっては、座長に申し出 ること」とありますが、最近は利益相反については事前に何か、私は癌治療 学会の倫理委員会で利益相反のいろいろなガイドラインを作ったのですが、 その中では癌治療学会の会員用の学会で発表するとか、学会誌に発表する場 合にはあらかじめ利益相反を決められたフォームに書いて提出するなどとい ったことも始めております。今回のもののように、未承認や適応外の医薬品・ 医療機器を企業から提供を受けてやるような試験を評価するとき、競合企業 の治験を例えば私どもがやっているといったときはかなり利益相反というか、 相手企業は治験でやっているが、そうではない所は高度医療でやっているな ど、ちょっとドロドロしたところが見えてくるような気もするのですが、利 益相反については性善説で、何かあったら自分が言うか、あるいは事務局が 調べるのか、それとも何らかのフォームを作って事前にチェックするのかと いったことがもう1つ聞きたいところです。 ○座長  一応そこまでということで、事務局いかがですか。 ○事務局  1点目の技術に含むかというところですが、これは当然含まれます。2点 目のフォームがあるかについては、今日は技術の審査がないのでやっており ませんが、フォームでこちらから記載していただき、確認を取らせていただ きたいと思います。 ○座長  特に、2番目の利益相反の問題は非常に重要ですので、しっかりとやって いきたいと思っております。 ○藤原構成員  最後の質問です。私は抗がん剤の治療専門ですが、この制度ができて同僚 たちはみんな非常に喜んでおります。適応外だったいろいろな臨床試験をや るとき、いままでは非常にやりにくい状況だったのですが、これができると、 応募して何かやりたいと言う先生方は全国にたくさんいるのです。自分はこ のような評価委員ですから、皆が考えている適応外のことがドカっと全部き てしまったら、審査するときにパンクするのではないかとちょっと心配して います。審査の留意事項のところで、審査の流れはここには詳しくは書いて いないのですが、何らかのエビデンスのレベルというか、これまでの通常の 学会のいろいろなガイドラインに書いてあるとか、ピアレビューなどのある 非常にきちっとした、例えば『The New England Journal of Medicine』『LANCET』 などでエビデンスのレベルが高い医療技術、医薬品の適応外使用などについ ての申請がきたときに、もう一度ここで改めて詳しく審査するのか、それと も事務局がスクリーニングをかけてくれて、難しいところを私たちがチェッ クしたほうがいいのかといった手段は取っていただけるのかと思ったのでお 聞きしました。 ○座長  いま言われた3番目のことは非常に重要なことで、私もいままで先進医療 をやっていて、どうしても先進医療では引っ掛かってしまうことがあったの で、このような高度医療ができれば非常にありがたいという考えは皆様お持 ちだと思います。ただし、そこでいちばん重要だと思うのは、出してくる施 設がしっかりした所でないといけないだろうということです。非常にたくさ んの機関が出てきたときにどうしたらいいだろうかということは、実は新木 課長のところにいちばん集まるのではないかと思います。その辺りについて、 新木課長から何かあればお願いいたします。 ○研究開発振興課長(新木)  ただいまのご指摘については、実は我々も懸念しているところです。もち ろん、安全性や倫理性の問題を軽視することはあってはらなないことだと思 っておりますが、藤原構成員から指摘のあったような、エビデンスが一定程 度あるものについて迅速かつ効率的に進める方法については、ご議論いただ く必要があると考えておりましたのでので、次回にでも、その具体的な方法 についての案をお諮りしたいと思います。つきましては、何人かの先生方に はご意見を伺うこともあろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○座長  少し動き出さないと、どのぐらいくるかの予測はつかないでしょうね。か なり出てくる可能性はあるかもしれません。その他ご意見があればお願いい たします。 ○村上構成員  いまの話に関連して、今回の高度医療というのは、参考資料1の「実施上 の留意事項」に臨床試験の計画書に基づいて行われる旨の記載がありますの で、いまのお話のような臨床試験を行う段階のものも高度医療の対象になる のだと理解しました。そうした場合、これからのいろいろな議論の中で対象 となる医療技術が何なのかが明確になってくるだろうと思いますので、それ を待つということもあるのですが、少なくとも安全性、有効性をある程度示 すレベルというものがどのレベルであるかといったところも含めて検討して いただければと思います。また、臨床試験をやるわけですから、少なくとも 目的があるわけで、高度医療として行う臨床試験の目的が、安全性、有効性 の再評価なのか、あるいは多施設でやる場合の施設間の差違を見ることなの かといった辺りの「試験目的」もある程度明確にしていただくこともお願い したいと思います。 ○研究開発振興課長  いま指摘された事項は、申請される内容、例えば具体的な安全性のレベル がどのレベルに設定できるかなど、技術の内容や用いられる医薬品・医療機 器の内容によって異なってくると考えております。したがいまして、一律に 明確な基準を事前に設定することはなかなか難しいのではないかと思います。 これらについては、各々に審査を続けていく中で具体的な基準、判断が積み 重ねられてガイドラインのように一定の考え方に収束していくのではないか と思います。また、これらの技術については、薬事法の申請を将来に控えて いるもの、言葉を換えますと、現時点ではそこまでのエビデンスはがないが、 一定程度の安全性が確保され、臨床研究の実施にあたり支障がない又は実施 可能なレベルまで達しているものが、判断の基準になろうかと思います。そ れ以上の具体的なものについては、この場で個別にご検討いただきながら判 断を積み重ねていただければと考えております。 ○座長  そのほかに何かあればお願いいたします。 ○田島構成員  第6条についてお尋ねいたします。「直接資料提供を受けることができな い」となっておりますが、例えば説明に行きたいといった申し出があったと きも、これを根拠にお断りするという理解でよろしいでしょうか。 ○研究開発振興課長  いま尋ねられたことを含めて、原則として直接の話合いはお断りいただき、 直接意見のやり取りが必要な場合については、個別に事務局へご相談いただ きたいと思います。申請者と委員の方々の直接のコミュニケーションは不適 切ではないかと思っております。 ○座長  一応新木課長の方へ返すのがいいかと思います。特に、動き出した状態を しばらく見ていかないとどのように動くかわかりませんので、ともかく困っ たら新木課長の所へ持って行くということでどうでしょうか。ほかにご意見 があればお願いいたします。 ○関原構成員  私はこの中でたった1人患者の立場の委員ということですが、結局、技術 的に評価できても、患者の納得を書面にしても、死ぬか生きるかの患者が本 当に解って同意するというプロセスは、技術的に非常に難しい。私もまだ十 分考えていないですし、私なりに今後いろいろな人の意見を聞いてみないと わかりません。ここにいらっしゃるのは大体先生方が中心で、最後は先生方 のご意見に任せることになるものですから非常に難かしい。 ○座長  特に倫理委員会、その他が非常に重要なところになると思いますが、それ も議論していきながらどのような形でやっていけばいちばんいいか、進めて いく上で検討していきたいと思います。 ○田上構成員  医療機器等、特に国内開発になると、製品でない試作機の状況のものがあ ると思いますが、そのようなものを使ってこういった申請をしていくという ことも含めて考えてよろしいのでしょうか。 ○研究開発振興課長  薬事法の承認を受けて販売・流通しているものもあると思いますが、ご指 摘のありました試作、つまり承認を受ける前のものについても対象になりま す。それらを使えるようにして臨床研究を進めるとともにサービスを提供す ることは目的の1つにもなっておりますので、そのようなものを使うことも 可能な制度と考えております。 ○座長  ほかになければ先へ進みたいと思います。いま説明していただいたように、 運営要項の第2条の5に「座長に事故があるときは、予め座長の指名する構 成員が、その職務を代行する」となっておりますので、ここで座長代理を決 めたいと思います。先進医療専門家会議で一緒にやっていただいた山口俊晴 先生にお願いしたいと思うのですが、お引き受けいただけますでしょうか。 ○山口構成員  了解いたしました。よろしくお願いいたします。 (座長代理選出) ○座長  ありがとうございます。座長代理席のほうへお越しください。 ○座長代理(山口)  猿田座長に比べてまだまだ未熟でございますが、少しでもお役に立てるよ うに努力する所存でございます。よろしくお願いいたします。 ○座長  もう1つ、先ほど資料5でお示しいただきましたように、高度技術評価の 技術委員というのがありましたが、事務局で各専門家を技術委員としてお決 めいただいております。循環器内科、整形外科、消化器外科、脳神経外科、 心臓血管外科、眼科、産婦人科、泌尿器科、膠原病内科、放射線科、臨床検 査の各先生方のお名前が挙がっていますが、これに関して何かご質問があれ ばお願いいたします。これらの先生方に一応お願いし、先に進めていったと きに特別な技術が出てくれば、またそのときには事務局のほうと検討させて いただき、技術委員を決めることが必要になるかもしれませんが、スタート はこのような形でどうかということです。もし、ご意見がなければご承認い ただけますでしょうか。 (承認) ○座長  ありがとうございました。次に、議題3の高度医療の安全性情報等に係る 取扱いについて、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局  資料6-1をご覧ください。高度医療において予期しない重篤な有害事象や 不具合などが発生した場合の対応について、あらかじめ議論していただきた いと思います。4頁は高度医療に係る取扱い通知に記載しております、医療 機関においての対応です。高度医療実施医療機関では、高度医療の実施によ り、予期しない有害事象などが発生した場合は資料に示す対応を行い、厚生 労働省に逐次報告することとしております。1頁は報告などについて具体的 に記載しております。高度医療実施医療機関における対応として、有害事象 等が発生した場合は速やかに救命措置などの必要な対応を行い、倫理審査委 員会への報告等、必要な対応を実施していただきます。また、協力医療機関 などに周知し、状況、結果については公表することとしております。一連の 流れについては1から4に示します。併せて厚生労働省医政局研究開発振興 課に報告していただくこととしております。四角で囲んであるのが連絡先、 2頁が報告に係る様式です。報告内容ですが、通報者、具体的な内容の入手 日、入手方法などを記載していただきます。  1頁に戻り、四角の下ですが、これは有害事象などが発生した場合の対応 で、いま目の前にはそのような事例はないが、海外で発生した事例が実施し ている技術に関連があるといった場合も、これに準じて報告に努めていただ ければと思います。また、この対応以外に先進医療や、厚生労働科学研究な ら厚生労働科学研究に定める通報なども適切に行っていただくことを考えて おります。また、行政における対応としては別添として3頁をご覧いただく と、研究開発振興課に医療機関から通報があった場合の対応の流れを書いて おります。研究開発振興課で受けた情報については省内の関係課と共有しつ つ、その内容などについて通報者に確認をしまして、必要に応じて構成員の 皆様のご意見などを伺いながら公表等の対応をいたします。資料6-2はこれ を示したものです。  高度医療に係る有害事象等の情報に係る扱いですが、実施医療機関から通 報について情報を共有しながら、得られた情報の緊急性について「グレード 分類」をいたします。グレードの分け方については2頁をご覧ください。健 康危険情報の通報について既に定めているグレード分類のフローがあり、そ れを参考に判断しております。緊急度が高いか、科学的根拠が明確であるか、 重大な影響が予測されるかといった点から、A、B、Cの3つのグレードに分け ております。  1頁をご覧ください。調整医療機関は事務局の通報を受け、高度医療実施 医療機関に周知するとともに、グレードに応じた対応をすることになります。 グレードAの場合は緊急度が高いため、厚生労働省からも公表することにな ります。B、Cについては資料に示したとおりですが、高度医療に係る情報と その流れ、対応結果などについて高度医療評価会議に報告し、医療機関に伝 えるべき意見等をいただいた場合は医療機関に伝え、フォローアップなどを することを考えております。参考資料6は厚生労働科学研究における健康危 険情報の取扱いですので、併せてご覧ください。  また、議題4として取上げておりますが、本年の4月にこのような報告を 受けた事案がありましたので、資料7に基づきこの場で報告させていただき たいと思います。これは4月9日付で岡山大学から報告された内容で、既に 第3項先進医療にある胸部悪性腫瘍のラジオ波焼灼療法を同大学が実施して おり、これに関係する情報があったことから通報があったというものです。 4頁に米国FDAのホームページからの内容を添付しております。これは米国 において死亡例が報告されたというものです。対応としては、院内における 情報伝達等を行い、縷々対応したということです。既に関係の先生方にはご 連絡しておりますが、本邦では事例がありませんので、報告された事例につ いて本会議にご報告いたしました。議題3、4についての説明は以上です。 ○座長  ただいま説明された安全性の問題は、この委員会では非常に重要なことだ と思いますが、何か問題がありそうな点についてご意見をいただければと思 います。特に、田上先生が言われた新しい機器などを使うこともありますか ら、安全性は非常に大切だと思います。情報をどのように流すかということ も大切ですから、このような形にまとめられたのだと思いますが、資料6-2 など、ご覧になって何かお気付きの点があればご指摘ください。 ○藤原構成員  2点質問があります。「予期しない」とか「重篤な」と書いてありますが、 医師主導治験などをやっていると、薬事法や薬事法施行規則など、厳しい基 準に則ってやらないといけないということがある。しかし、今回の場合はあ まりそこは厳しく定義せずに、予想していなかったようなすごいことが起き たときに報告するといったファジーなイメージなのか、事務局としてはもう 少し具体的に、例えば添付文書に載っていないような予期しないものとか、 重篤に関してもある程度のグレーディング、副作用のグレードについてはい ろいろやっていますが、そのグレードで4以上とか、具体的なイメージとし て何かお持ちなのかというのが1つ目の質問です。また、例えば医薬品や医 療機器が企業から提供されて、このような臨床試験を行っている方々がいた 場合、提供先の企業に対しては厚生労働省から連絡していただけて、申請者 や実施者たちは提供者に関しての情報提供はしなくていいかどうかというの が2つ目の質問です。 ○事務局  例えば適応外の医療機器、医薬品を使うような場合は、やはり添付文書に 記載されている副作用などの有害事象が1つの判断のベースになっていくだ ろうと考えております。ただ、未承認のものなどの事例については、この評 価会議でも少し事例を積み重ねていきながら考えていかざるを得ない部分だ ろうと思っております。また、薬事法との関連からは、未承認のものではな く適応外のもの、つまり承認されている医薬品・医療機器を使用した場合は、 薬事法第77条4の2によって、先生方にも必要な報告の努力義務がござい ますので、同時に対応していただくよう、今回の高度医療の通知でもお願い をしているところです。 ○座長  そのような考えだということです。 ○事務局  したがって、情報をいただいて、企業にも必要な連絡等をこちらからする ケースもあるでしょうし、先生方から企業へ連絡していただくこともあると いうことです。 ○座長  要するに、安全性の評価に関しては、技術委員やここの先生方にもそうい ったことをある程度考慮していただき、評価していただきたいということに なると思います。これから実際に評価していく上で、どのような事例が出て くるかでも変わってくると思います。 ○研究開発振興課長  企業への報告は研究者、もしくは医療機関から企業へということを原則と しております。必要に応じて行政から企業へのコミュニケートを図る場合も ありますが、原則は研究者と考えていただきたいと思います。 ○座長  実際にいままで先進医療でそういったことは出てきていましたか。いまの ところ、大きなものはあまり出ていないですか。 ○関原構成員  日本の企業などでも、この問題については内部通報のような制度がたくさ ん出ております。例えば、患者が投薬を受けて体調が変変になったときに、 その患者が直接医師に言いにくかったり、医師からもそんなものだと言われ てしまうことがあるかもしれない。報告というのはこの書式にあるような形 でしかできないのか。このようなことが起こったとしても、必ずしも医療機 関、看護師などに報告がいくということにはならないのではないかという気 がいたしますが、その辺はどのように考えればよろしいのでしょうか。 ○座長  先ほどの資料6-1に連絡先というのがありましたから、ここは1つ重要で すが、そのほかで何かご意見があればお願いいたします。 ○研究開発振興課長  我々の処理に必要な情報でもありますので、基本はこのフォームに則って やっていただきたいと思いますが、緊急の場合、これを全部書き切れないた め、まず電話で一報という場合もあるかと思います。また、患者さんからの 相談については、院内でそれらに対する体制を整えていただいて、例えば院 内の相談窓口や倫理審査委員会で行っていただくことが原則であり、また、 そのような体制がある医療機関でなければ、高度医療を実施するには不適切 ではないかと考えています。具体的に必要な体制については、個別に医療機 関を審査する段階で見ていただきたいと思いますが、国や行政に言わないと 患者さん、家族の方の苦情に対応できない体制では、医療機関としていかが なものかと考えています。 ○座長  ありがとうございます。いまお話がありましたように、特に、やる施設の 状況がそういうことにしっかり対応できるところでこういったことをやって いただくというのが、この高度医療のときに入ってくるものですから、そう お考えいただければと思います。 ○関原構成員  いろいろな苦情や問題が起こっているわけなので、ちょっと気になったの で質問しました。 ○座長  ありがとうございました。そのほかにございますでしょうか。大体こうい う形で安全性のほうはやっていくということでご理解いただけましたでしょ うか。 ○村上構成員  いまの話について確認させてもらいたいのですが、高度医療の申請におい て試験計画がきちんと書かれるということですから、当然ながら、その中で、 安全性情報の取扱いとか、有害事象への対応といったものも記載されると理 解するのですが、それでよろしいでしょうか。 ○研究開発振興課長  その取扱いについても、不備な点があれば審査の過程で指摘をして、当該 医療機関において整えていただくというようなことになろうかと思います。 ○座長  ほかにございますか。もしよろしければ、今日のスタートラインのところ ではそう考えて、こういう方式でやっていくということでご理解いただきた いと思います。それでは、時間の関係もありますので、次の議題です。申請 技術につきまして、これも事務局からご説明いただけますでしょうか。 ○事務局  それでは、資料8をご覧ください。ただいまこちらで申請を受理している 2件の医療技術です。技術名としまして、1つ目は「ロボット支援手術」と いうことで、こちらは未承認の医療機器を用いた技術です。東京医科大学病 院から申請がきています。2つ目は「腹腔鏡補助下肝切除術」ということで、 こちらは適応外の医療機器を用いた技術で、岩手医科大学付属病院から申請 がきています。資料8の右側に、この審査をご担当いただく先生方のお名前 を記載させていただいております。  併せて、資料9をご覧ください。審査の方法についてまとめています。ま ず技術の検討ですが、申請されたものの審査については、主担当の先生を1 名、副担当の先生を、倫理的な観点と技術的な観点から各1名の2名、また、 必要に応じて技術委員を座長の意見に基づいて選任させていただきたいと思 います。こちらの先生方に事務局から申請書および評価表を送付させていた だきまして、副担当の先生および技術委員の先生は、評価表のうち自分の担 当する部分について評価を記載して事務局に返送していただき、事務局は、 それを最終的に主担当の先生におまとめいただくという流れで考えています。  2頁が、評価をしていただいた結果を記載していただく様式の案です。2 頁の中央辺りが実施体制に対する評価ということで、この実施体制の欄を評 価者の技術担当の先生にお埋めいただくと。2頁の下は倫理的な観点からの 評価ということで、こちらの部分の評価を倫理担当の先生にしていただくと いうことです。  3頁目をご覧ください。「プロトコールの評価」とありますが、試験計画の 内容に関する評価を記載いただき、最後に主担当の先生が、「総評として総合 評価に適当か不適当かの判断を記載していただくという形で審査をいただき たいと考えています。  したがいまして、資料8につきまして、ロボット支援手術の主担当は竹内 先生、腹腔鏡補助下肝切除を藤原先生、倫理的な部分をそれぞれ田島先生、 佐藤先生、技術的なところを山口先生、また、ロボット支援手術は心臓外科 領域でしたので、技術委員として澤先生にご審査、ご評価をいただきたいと 考えています。以上、申請技術とその審査の流れについてご説明させていた だきました。 ○座長  どうもありがとうございました。1つ私のほうから伺いたいのですが、委 員になられた先生方は非常にお忙しいと思うのです。お願いしてからの評価 期間というのはどのぐらいをお考えになっているのでしょうか。 ○事務局  お送りしてから1、2週間、長くても2週間ぐらいでご回答いただければ ありがたいと思うのですが。 ○座長  先生方、どうですか。先進医療はかなり短期間でということで、忙しい思 いをするわけですね。この高度医療のほうはどうかということなのですが、 どうでしょうか。 ○研究開発振興課長  これは、実際に運用してみないとわからないと思いますが、申請を受け付 けてから、特別な審査が必要なものを除き、通常は3カ月ぐらいで結論を出 したほうがいいのではないかというご意見を、内閣府の総合科学技術会議な どから伺っております。それらを目標と出来るよう逆算して、1週間は確か に大変かもしれませんが、2週間ぐらいでと考えておりました。その意味で も、多くの技術委員の先生方にご協力いただき、審査が集中しないようなこ とも含めてお考えいただければと思っています。 ○座長  ありがとうございます。いまのお話だと大体2週間ぐらいということかと 思います。もちろん技術次第だと思いますが、そんなことを頭に入れていた だいて、トータルとして3カ月で結論を出さなければいけないということで、 先進医療の場合よりは少し時間の余裕を考えなければいけないというのは当 然かと思いますが、そんなことでご理解いただいて、いまの2つの技術に関 して引き受けることと、委員をもう決めていただいていますが、どなたかご 意見はございますか。 ○竹内構成員  主担当になっているのですが、企業の方とは直接お話できないというのは 理解できるのですが、各担当の先生方とはお話はして構わないのでしょうか。 例えば、この場合は技術委員は澤先生ですが、申請書をいただいてわからな いときに、先生のご意見をくださいということを、私から直接澤先生に連絡 して構わないのか、それとも事務局を通して連絡するのかということを、お 聞かせ願いたいと思います。 ○研究開発振興課長  委員の方同士の情報交換や意見交換については自由にしていただいて結構 だと思います。申請に絡む企業や医療機関と行うのはやや不適切ではないか と思います。 ○座長  もう1つは、よく学会で最先端が話されますから、学会との関係もありま すね。そこは、どうとったらいいのでしょうか。非常に難しいところかと思 いますが。 ○研究開発振興課長  大変難しい点だと思います。通常、学会等とのやり取りも我々を介してい ただくことが多いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。しかし、 その方法は実務的でないということであれば、考えなければならないと思い ます。その辺については、先生方のご意見を伺いながら考えていくべきと思 います。 ○竹内構成員  評価期間が1、2週間ということで、期間が短いですよね。 ○座長  2週間ぐらいとお考えいただいて、もしわからなければ、新木課長に相談 させていただいていいですよね。 ○研究開発振興課長  特に初期の段階では、実施方法をご相談させていただきながら進めたいと 思います。 ○座長  そのほうが問題もないと思います。 ○金子構成員  先進医療のときには、学会等で検討の委員会を組んでも構わないという形 でやらせていただいていたのです。そうしないと、なかなかいろいろな意見 が得られないし、その中に申請する方も入っていただいたほうが、きちんと した情報が得られるような気もするのです。それも駄目ということになって しまうのですか。企業の方がそこに入っていいかどうかは問題ですが。 ○座長  1つは、いま技術委員を決めてありますよね。その先生は、たぶん学会と の交流がありますよね。そこを介しながら、情報には気をつけていただいて、 あとは本部との関係もとりながらと考えるのがいいのではないかと思うので すが、そこはどうですか。 ○研究開発振興課長  確かに学会等とのやり取りは、あまり厳しくすると実務的でないような気 もしますので、ここでの合意事項として、学会等とのやり取りは構わないと してはいかがでしょうか。もちろん、社会的常識の下でやり取りしていただ くわけですが、その点については先生方にお願いするという取扱いではいか がでしょうか。 ○座長代理  プライベートにわかる範囲で調べるわけですが、高度先進医療のときにも その辺りが問題だったと思います。これは私的な考えですが、個人的に調べ るよりも、技術的な側面の評価だけでも複数の学会が集まった組織、たとえ ば外保連の手術委員会で客観的に評価してもらったほうが、評価する委員と してはやりやすいのではないかと思います。   ○関原構成員  私は、たまたま心臓のバイパス手術もカテーテルもやりましたし、肝臓の 切除手術も2回やっていますから、患者としても個人的に関心があります。 手術を受けるときに何人かの先生に話を聞きました。先生方はそれぞれ少し ずつ違うのです。私は、最終的には保険医療につなげていくような治療であ れば、みんなに普及するわけなので、隠しても仕方ないから、できるだけそ の道のプロの人の意見を聞いてもらうということで、むしろオープンにした ほうがいいのではないかと思うのです。患者だって心配だと思います。1、 2週間で決めたなどと言われると、心配になりますよね。 ○座長  ありがとうございました。 ○研究開発振興課長  それでは、関係学会とは適宜連絡をお取りいただきまして、それらの意見 を含めて、委員の先生方にご判断をお願いするという取扱いにさせていただ くということでよろしいでしょうか。 ○藤原構成員  学会、学会といっても、雨後の筍のようにあるし、研究会など訳のわから ないものもあったりするのですが、外保連とか内保連ならクオリフィケーシ ョンされた学会の集団だと思うのです。審査をまとめるときに、こういうと ころから意見を聞きましたということは、何か文書で残しておかないといけ ないと思うのです。それを留意していただきたいということと、もう1つは、 学会とか研究会のクオリフィケーションは何もせずに、「何とか学会」と付い ていればもうよしとするのか。その辺は、走りながら考えるということでし ょうか。 ○研究開発振興課長  最初のご提案ですが、どこのご意見かを明記していただくというのは、透 明性を確保する意味でもいい方策だと思います。学会、研究会に○×を付け ていくことについては、医学会の会員であり現実的には厳しい対応と思いま すので、その辺は委員の先生方の良識、ご判断にお任せしてはいかがかと思 います。 ○座長  そうですね。あと、先生方もいろいろなところに属されていると思います ので、先生方のご意見を伺いながらここで議論させていただくと。どうでし ょうか。あまりひどいところから出てくれば、わかると思います。少し動き 出してみて、また問題があれば整理していくという形でよろしいですか。 ○川上構成員  私はバイオテクノロジー医薬品の審査が専門なのですが、医療機器や医薬 品の場合は別かもしれませんが、通常は、CMCという製剤そのものの規格と、 非臨床試験すなわち動物試験のデータ、臨床のプロトコールというのが審査 されます。FDAではそのような作業をしているのですが、それでも2、3人の 専門官が審査をして、通常30日間審査するのです。30日掛ける3人です。 1週間か2週間で1人というのは、そもそもの審査とは少し違いますが、で きるのかなというのが1点。また、審査は、すべからく科学的データが基本 だと思うのです。すなわち、学会の先生がどう言ったとか、情報がこうだと いうのはあまり意味がないかもしれないことで、本質的なところは、科学的 データで判断する。それが審査の心得だと私は思っています。そういった中 で、もし規格のデータ、動物実験のデータ、臨床プロトコールに不備があっ た場合、それを事務局を通して指摘、聞いていただいて、追加資料を求める ということは可能なわけですね。 ○研究開発振興課長  はい。 ○川上構成員  ただ、それが2週間で終わらない場合も十分にあり得ますね。その場合は、 先方の持ち時間対応ということでよろしいのですか。 ○研究開発振興課長  2週間というのはここでの議論の話ですので、もう少し前後の事務処理作 業も精査して、どのぐらいが標準的な期間かということは、改めて事務局で も検討させていただきます。2番目の3カ月程度というのは、相手方のやり 取りで時間が大幅に超過した場合は通常の処理の目処に入らないと思います ので、データが足りないとか、適正な資料が提出されていないということで したら、その目処を超える場合もあり得ると思います。また、無理をして短 期間で結論を急ぐのは適当ではないのではないかと思います。 ○座長  よろしいでしょうか。技術によって随分違うと思うのです。そこも、この 委員会でやっていきたいと思います。 ○藤原構成員  いまの川上先生のご疑念ですが、この通知を見てみると、私どもが見る前 に医療機関の倫理委員会を通っているように見えるのです。ですから、私ど もの責任以上に各医療機関の、倫理委員会のそういうところに対する責任が あるのかと思うのです。例えば高度医療評価にしても、間違って評価してし まって、とんでもないCMCのものが患者さんに投与されてしまって、健康被 害が起きてしまったというときには、この流れからすると、医療機関の倫理 委員会が先に見ているので、そちらの側の先生方の責任も結構あると理解し ていいのでしょうか。 ○研究開発振興課長  一義的には、責任またはその判断は倫理委員会を含めた医療機関で行い、 高度医療を実施するにあたり適切な医療機関であるかどうかが、この評価委 員会での議論だと思います。したがって、こういう議論が抜けているという ことであれば、倫理委員会を含めて当該申請医療機関に指摘して議論させる というのが基本であると思います。個別のケースで責任がゼロか100かと いうのは申し上げにくいですが、医療機関の倫理委員会できちんと審査をし ていただいて上で、この場で先生方にご議論していただくということを考え ています。 ○村上構成員  確認させてください。高度医療というのは安全性、有効性の確保が期待で きる科学的な根拠を有する医療技術が対象になるわけですが、資料9の2枚 目、3枚目の高度医療評価表には、「実施体制の評価」と「倫理的観点からの 評価」と「プロトコールの評価」という項目で括られていることから、医療 技術の安全性、有効性を示す科学的な根拠があるのかないのかということが この評価表のどこでチェックされるのかわかりにくいのですが。いまのお話 を伺うと、その部分は申請される施設のほうで事前にきちんとチェックされ ているという理解なのでしょうか。それとも、評価会議で改めて評価をする ことになるのでしょうか。 ○事務局  評価表では2カ所にあります。2頁目の実施体制の3番目、医療技術の有 用性の部分と、3頁目の「プロトコールの評価」の期待される評価という部 分が、エビデンスに基づいた効果かどうかということを評価いただくものだ と考えています。 ○座長  それと、7の「予測される安全性情報」も入るかもしれませんね。よろし いでしょうか。 ○座長代理  ちょっと確認したいと思います。本来、医療技術評価のメインストリーム は「きわめて優れた先進的な医療」というところではなくて、薬事法を通し てきちんと評価されるところにあると思うのです。今回のような組織が作ら れたのは、諸外国にたくさんエビデンスがあるのに、我が国では薬事などの 手続きがちょっと遅れているものを何とか迅速に検討するためのものではな いのでしょうか?つまり、本当に諸外国のエビデンスが妥当かということを 確認して、こちらで迅速に認めてあげるというのが本来ではないかと思うの です。もともとの手続を細かくやってしまうと、この会議の意味がなくなっ てしまうと思うのですが、そのような観点からこの会議があるのだと、そう 理解してよろしいのでしょうか。 ○研究開発振興課長  ここ会議での議論は、外国で使えて日本で使えないような技術が多くなる のではないかと思います。未承認なのか、適応外なのか、いろいろあろうか と思います。言葉を換えますと、世界で初めてというものなどについては、 この場においてもきわめて慎重に対応すべきものではないかと思っています。 そういう意味で、諸外国を含めてある程度のエビデンスがあるものが多くな る、またはターゲットになってくるのではないかと思っています。 ○座長  ほかにございますか。今日の流れは大体そういうことで、この2つの技術 に関しましては一応承認を受けさせていただいて、担当の先生方にどのぐら いかかるかやっていただいて、できるだけ早く結論を出していただきたいと いうことになるかと思います。今日予定された議題に関しては以上です。そ の他に関して事務局から何かありますか。 ○事務局  特にありません。現在のところ2件の受理ですが、今後受理したものにつ いても、座長と相談の上、審査をお願いしたいと思います。委員の先生方に おかれましてはよろしくお願いいたします。次回の日程については、これか ら調整いたしまして、追ってご連絡させていただきます。よろしくお願いい たします。 ○座長  よろしいでしょうか。全体的には設けられた議題はこれだけですが、折角 の機会ですので、委員の方々から何かご質問はございますか。 ○金子構成員  高度評価医療として適格であるということになると、臨床試験として期限 を決めた状態で始まりますね。そうすると、例えば2年とか3年で終わって、 そのあと先進医療のほうに移るには、薬事承認を取っていないと移れないわ けですから、それが使えなくなってしまうという時期ができてしまう可能性 があるのですが、その辺はどう考えたらよろしいでしょうか。 ○研究開発振興課長  当初の計画が3年であれば、3年間実施いただきまして、中間評価を毎年 行い、計画終了時にその後の取扱いも含めて議論をします。すぐに治験申請 できるのか、データをためれば治験申請ができるのか、それとも、そもそも 間違っていて、計画をやめてもらうのか、いくつか選択肢があろうかと思い ます。また、医療機関等の考え方を含めて、その取扱いについてご検討いた だければと思っています。 ○座長  高度先進医療の場合には、必ず1年に1回、全体的な技術に関していろい ろな面から評価して、これは保険に持っていくのか、やめるべきか、いろい ろなことをやらせていただくという、たぶん、そういう方向でいきますよね。 それで、この委員会でそれを議論させていただくということになると思いま す。 ○柴田構成員  先進医療の場合と違って、試験として終わる時期が来ますね。その時期か ら保険の議論に入るまでの期間は実際にはどう扱われることになるのでしょ うか。 ○研究開発振興課長  一例として、試験が終わって直ぐに治験を開始し、治験が終わって薬事法 の申請、承認という流れを考えますと、治験が始まれば評価療養として取扱 われて併用ができる。治験の前は、高度医療で併用できる。治験の後は、保 険に収載されるという途切れのない内容がいちばん順調な流れですが、現実 には全てが順調に進むわけではないと思います。例えば高度医療を引き続き 行うような場合もあると思いますし、先ほど金子先生のご質問にお答えした ようないろいろなケースが出てくるかと思います。そこは座長がお話になっ たように、途中評価、中間評価、最終評価を含めて検討していく中で考えて いきたいと思っています。 ○座長  ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは、これで第1回 の高度医療評価会議を終わらせていただきます。ご協力ありがとうございま した。 照会先:厚生労働省医政局研究開発振興課 総務係 03-5253-1111(2543) 03-3595-2430