08/05/27 第44回厚生科学審議会科学技術部会議事録 第44回厚生科学審議会科学技術部会 議 事 録 ○ 日  時 平成20年5月27日(火)17:00〜19:00 ○ 場  所 厚生労働省 省議室(9階) ○ 出 席 者 【委  員】 垣添部会長     石井委員   岩谷委員   川越委員  北村委員  木下委員     笹月委員   佐藤委員   竹中委員  永井委員  西島委員     福井委員   南(砂)委員 宮田委員  宮村委員  望月委員 【議  題】 1.臨床研究に関する倫理指針の見直し案について 2.その他 【配布資料】  資料1−1.臨床研究の在り方に関する検討について  資料1−2.厚生科学審議会科学技術部会臨床研究の倫理指針に関する専門委員会         委員名簿  資料1−3.「臨床研究に関する倫理指針」の改正案の概要(案)  資料1−4.「臨床研究に関する倫理指針」(改正案・新旧対照表(案))  資料2−1.国立保健医療科学院の評価結果等について  資料2−2.戦略研究の中間評価について  資料2−3.「先端医療開発特区」(スーパー特区)の創設について  資料2−4.革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略の概要  資料2−5.革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略  資料2−6.革新的技術戦略についての概要(案)  資料2−7.革新的技術戦略(案)  資料2−8.革新的技術についての概要(案)  参考資料1.厚生科学審議会科学技術部会委員名簿  参考資料2.厚生労働省の科学研究開発評価に関する指針(平成20年4月1日厚        生労働省大臣官房厚生科学課長決定) ○坂本研究企画官   傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たりましては、既にお配りしてい る注意事項をお守りくださいますようお願いいたします。  定刻になりましたので、ただいまから第44回厚生科学審議会科学技術部会を 開催いたします。委員の皆様にはご多忙の折、お集まりいただき御礼を申し上げ ます。本日は今井通子委員、金澤一郎委員、菊川剛委員、末松誠委員、松本恒雄 委員、南裕子委員からご欠席のご連絡をいただいております。少し遅れていらっ しゃる先生もお見えのようですが、委員22名のうち、出席委員は過半数を超え ておりますので、会議は成立いたしますことをご報告いたします。  なお、本日は議題1「臨床研究に関する倫理指針の見直し案について」、こち らの審議の関係上、「臨床研究に関する倫理指針の見直しに関する専門委員会」 より、廣橋委員長代理にご出席いただいております。  続きまして、本日の会議資料の確認をお願いいたします。資料の欠落等がござ いましたらご指摘くださいますようお願いいたします。議事次第の真ん中辺に、 配付資料の一覧が書いてあります。資料1-1が「臨床研究の在り方に関する検討 について」です。資料1-2が「臨床研究の倫理指針に関する専門委員会委員名簿」 です。資料1-3が「『臨床研究に関する倫理指針』の改正案の概要(案)」です。 資料1-4は横長の資料で「『臨床研究に関する倫理指針』(改正案・新旧対照表 (案))」です。資料2-1は「国立保健医療科学院の評価結果等について」です。 資料2-2は「戦略研究の中間評価について」という横長の資料です。資料2-3 は「『先端医療開発特区』(スーパー特区)の創設について」です。資料2-4は「革 新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略の概要」という横長のものです。 資料2-5は「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」という資料です。 資料2-6、2-7、2-8は革新的技術戦略の関係の資料3点です。  参考資料1として委員名簿、参考資料2として「厚生労働省の科学研究開発評 価に関する指針」をお配りしています。資料のほうはよろしいでしょうか。それ では垣添部会長、議事の進行をよろしくお願いいたします。 ○垣添部会長   ただいまから第44回厚生科学審議会科学技術部会を開催いたします。委員の 皆様方には大変ご多用中、また遅い時間帯にお集まりいただきまして、誠にあり がとうございます。本日はあまり難しい案件はないように期待しておりますので、 やや早めに終わることができればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  まず最初の「臨床研究に関する倫理指針の見直し案について」をご審議いただ きたいと思います。見直しに関する専門委員会より、廣橋委員長代理にご出席い ただいておりますので、廣橋委員長代理よりご発言いただきたいと思います。よ ろしくお願いいたします。 ○廣橋委員長代理  ただいまご紹介いただきましたように、臨床研究の倫理指針に関する専門委員 会の委員長代理を務めている廣橋です。本日は本専門委員会の金澤委員長がご欠 席ということで、私から臨床研究に関する倫理指針の見直しに関する背景、経緯、 主な論点について、簡単に説明させていただきます。また、改正案の具体的な内 容については、後ほど医政局研究開発振興課の新木課長から説明していただきま す。  まず、本指針の見直しに至った背景と経緯ですが、資料1-1の「臨床研究の在 り方に関する検討について」というものをご覧ください。この臨床研究に関する 現行の倫理指針は、平成15年に高久史麿先生を委員長とした、臨床研究の指針 に関する専門委員会によって策定されたものです。本指針の中には制定より5 年後に見直しを行うという規定があり、今回の見直しの検討はこれを受けたもの です。  さらに制定されてから見直しに至るまでのこの5年の間に、第3期科学技術基 本計画や、「新たな治験活性化5ケ年計画」の策定があり、臨床研究予算も増加し ているなど、臨床研究が極めて重要であるという認識も高まってきた背景もあり ました。  こうした背景、経緯を踏まえて、本指針の見直しに向けた検討を行うために、 この科学技術部会の下に「臨床研究の倫理指針に関する専門委員会」が設置され、 平成19年8月17日より、10カ月の間に8回にわたる審議を行ってまいりました。  本専門委員会における主な論点をご紹介いたします。同じ資料の1頁目の3「専 門委員会で検討すべき論点」です。こちらに記載させていただいている事項につ いて、主に審議をしてきています。具体的には1番目は、医学研究の倫理指針に は臨床研究倫理指針のほかにも疫学研究倫理指針など、いくつかの指針がありま すが、各々指針の対象とする範囲がわかりにくいという指摘があり、臨床研究の 倫理に関する指針、つまり、本指針の対象範囲の明確化について検討いたしまし た。  2番目として、治験、医師主導治験と同様、臨床研究についても同等の補償措 置などが必要なのではないかという指摘の下、被験者の保護の向上について検討 いたしました。3番目は研究情報、有害事象の発生などについて、透明性が確保 されるべきではないかというご指摘があり、研究の信頼性・公平性の確保の向上 について議論いたしました。4番目としては、この指針の実効性を上げるため、 公的研究費による臨床研究との関係、指針の実施に関する監督機能について検討 いたしました。最後に臨床研究について、薬事法や健康保険との関係などの環境 整備はどうなるのかというご指摘の下、臨床研究の環境整備にかかわる他制度と の関連について議論しました。  また、同時にこの専門委員会の中で、光石弁護士、読売新聞社の増田記者、国 立がんセンターの山本精一郎博士、国立循環器病センターの山本晴子博士、東京 大学の赤林教授、民間保険会社の方々にも特別ゲストとしてお越しいただき、ご 意見を伺っております。  以上を踏まえまして、つい先日、今月の22日に開催されました第8回の専門 委員会において、臨床研究に関する倫理指針の改正案の概要がまとまりましたの で、このたび科学技術部会にご報告申し上げる次第です。私からの報告はここま でです。 ○垣添部会長  廣橋委員長代理どうもありがとうございました。それでは事務局から資料の説 明をお願いいたします。 ○新木研究開発振興課長  医政局研究開発振興課長です。ただいま廣橋委員長代理からご説明いただきま したその具体的な内容について、資料1-3及び資料1-4、特に資料1-3を中心に ご説明をいたします。先ほど廣橋委員長代理からお話がございましたとおり、5 年目ということで見直しを行いました。その主な内容が資料1-3に記載されてい ます。  1頁です。臨床研究に関する倫理指針の改正の方向性を述べています。ここに おいては臨床研究の倫理性の確保が大変重要な問題です。これは(1)にあるよ うに、臨床研究機関の責務であるという位置づけをしています。すなわち、臨床 研究機関の長の責任の下で、これが実施されるべきものであること。また、具体 的には研究者がそれに従って行っていくものと記載しています。また、この見直 しにあっては、諸外国の例などを参考に、倫理審査委員会の充実強化を図ること としています。  さらに関連する制度として(3)です。薬事法のGCP省令の改正の動向、また 疫学指針の改訂など、関係する指針関係の見直しと整合性を図るような内容とす ることで検討しています。さらに(4)ですが、その際に、特に侵襲性を有する、 非常に被験者に負担になるようなものと、比較的軽度な負担の研究や観察研究に ついて、その違いが出るように、また疫学指針等との整合性がとれるようにとい うことで検討を進めています。特に同意の取り方、保管資料の取扱い等について は深い議論が行われまして、疫学指針との整合性等について議論がなされました。  具体的な内容については、2「臨床研究に関する倫理指針の改正の概要」にま とめています。この第1から以下については、指針の内容のうち主な改正の内容 についてのみ記載しています。まず臨床研究のうち介入を伴うものと観察研究に ついて、明確にわかるようにすべきだという議論から、その定義を行っています。 (1)にあるように、「介入を伴う研究」の定義としては、通常の診療を超えた医療 行為を研究として実施する。もしくは通常の診療と同等の医療行為であっても、 被験者の集団を原則としてグルーピングして、それぞれに対して違う診療を行う ようなこと。こういうものを介入を伴うものとして、観察研究はそれ以外の、介 入を伴わずに試料等を用いるものとしています。  2頁です。(2)は、特に議論になったのが通常の診療との違いです。通常の診 療の範囲内であって、ランダム化、割付け等を行わないものについては、介入を 伴う臨床研究ではない。その結果を用いて解析するものは、あくまでも観察研究 としています。なお(3)に既存試料等用語についての定義がありますが、これ については他の指針等と同等なので省略します。  3頁です。「第2研究者等の責務」です。研究者等の責務ですが、研究者は一 義的にこの研究の推進に責任を負うことから、いくつかの要件を課すべきである という議論です。(1)は被害があって、有害事象というか、被験者に健康被害が生 じた場合の措置です。これについては一言でいうと、治験等と同等の措置を、無 過失補償の措置が必要であるということです。ここにあるように、被験者に健康 被害が生じた場合に、その補償のためにあらかじめ保険その他の必要な措置を講 じる。また、それについて文書により同意を得るとしています。なお、現在この 臨床研究の保険は民間保険会社等から提供されていませんが、この議論の中で民 間保険会社の方にも出席していただき、議論をしました。そして、現在最終的な 商品化に向けて調整を事務的にも行っています。  (2)は登録制度についてです。臨床研究についてその透明性を高めるなどの観点 から、登録制度について議論が世界的にも行われています。現在、我が国におけ る登録データベースとしてUMIN等があるわけですが、これを研究開始前にそこ に登録していただくとしています。なお、これについても世界保健機関などで並 行的に議論が行われています。これらの動向を見ながら、また詳細について運用 していく必要があると考えています。  4頁です。(3)は有害事象の発生時です。これは先ほど申したとおり、臨床研究 がその機関の長の責任の下で行われるという考え方から、有害事象があった場合 には、臨床研究の機関の長に研究者の方から報告をしていただく必要があること。 さらに(4)は、年に1回、特に有害事象等とは別に、年に1回進捗状況等について 報告をすることとしています。また、研究者は倫理等についてe-learning等、 さまざまな研修機会を厚生労働省としても研究費で、例えば先ほど廣橋委員長代 理からのお話にありましたように、研究班の中で提供しているところですが、そ ういうものを受けていただく。もちろんこれは厚生労働省のそれだけに限らず、 いろいろな形で提供されています。座学等でも提供されていますので、そういう ものを受けていただく必要があることを規定しています。  (2)は臨床研究機関の長の責務です。(1)に、いかなる臨床研究も、臨床研究 機関の長の責任の下で実施される。そしてその下で、さまざまな必要な補償その 他の措置を含めて、措置が講じられる必要があることを規定しています。また、 臨床研究機関の長は倫理審査委員会、今回の臨床研究の見直しの一つの重要な柱 で議論されていますが、この倫理審査委員会で審査をしていただく。これを長の 責務として位置づけています。さらに、(3)、必要に応じて自ら点検すること。ま た(4)として、臨床研究にかかる業務、有害な事象等について、適正に報告など必 要な措置を講じることを謳っています。  また、(5)として、研究者から重篤な有害事象などについて報告を受けた場合に は、それについて救命措置はもちろん、救急に必要な措置はもちろんですが、そ の原因究明などについて指示するとともに、倫理審査委員会の意見を聞いて、必 要な措置を適正に講じていくことを謳っています。また、(6)として、不具合等が あった場合には、厚生労働大臣にも報告をしていただくことを謳っています。さ らに(9)として、研究者が、自分の機関の研究者が臨床研究を始める前に倫理につ いて講習を受けられるように、必要な措置を講じていただくことを規定していま す。  第3が「倫理審査委員会について」です。先ほど申し上げたとおり、今回の改 正の大きな柱が倫理審査委員会の質の向上と透明性の確保です。これを行うため に(1)として、倫理審査委員会の活動を規定していますが、今回の見直しで共 同設置の、いま中央IRBなどいろいろな言葉で呼ばれることがありますが、共同 で設置している倫理審査委員会、ここを利用することも可能としています。  また(3)倫理審査委員会の具体的な内容です。(1)として、倫理審査委員会の 委員の名簿、開催状況などについて、厚生労働大臣に報告をしていただくこと。 また、(2)として、厚生労働省の調査に協力していただくこと。さらに(3)として、 上記を含めて手順書、委員の名簿など、会議の透明性を図っていただくために、 公表を行うこと。さらに(4)として、教育・研修について位置づけています。  6頁です。「第4インフォームド・コンセント」です。インフォームド・コン セントをとることは今回の改正でも非常に重要な柱として、介入を伴う場合、観 察研究の場合、各々についてインフォームド・コンセントを得ることを謳ってい ます。特に(2)では補償の有無について、研究者の責務と表裏の関係でここで 謳っています。  「第5試料等の保存及び他の機関での利用」です。これについては、基本的に は疫学指針での見直しの内容、これに整合性をもつように謳っています。議論と してはこの場でも疫学指針の改正が議論されていますので、詳細については省略 します。  8頁です。倫理指針の今回改正する適用時期です。これについては、一つは改 正されたものができるだけ速やかに全国で使われる必要があること。もう一つは、 一方でこれを実施するためには、医療機関をはじめとして関係機関での準備が必 要である。周知期間が必要であることから、内容によりできるだけ早く実施でき るものについては、10月31日に適用される。また、一定の準備期間や周知期間 が必要なものについては、来年の4月1日から適用するなどについて、適用時期 について謳っています。  9頁です。倫理指針に記載する以外のことで必要な事項について、9項目が取 りまとめられています。(1)です。臨床研究の登録データベース、先ほど申し上 げたとおりUMIN、JAPIC、日本医師会の登録システムと三つありますが、こうい うものについて登録がきちんとできるように相談体制について機会を提供する。 (2)として、公的研究費との関係で、公的研究費を出す場合にはこういうもの を要件とすること。(3)として、調査を行う。それについて関係省庁に通知をす る。(4)として、是正措置について。(5)また倫理審査委員会の費用が、今回の 見直しによってさらにかさみますので、それについて研究費の間接経費等の利用 が図れるように、研究費の必要な弾力化等を謳っています。  さらに(6)として、研修・教育の機会を我々行政としても提供していくこと。 その一部として(7)にあるようにe-learning等の提供。(8)は保険についてで すが、先ほど申し上げたとおりで、これについては研究者が入れる無過失の補償 保険が必要であることから、現在民間保険会社等と協議をしているところで、内 容については(2)にあるように、治験と同等の水準になるようにということで検討 しています。また、(3)として、倫理審査委員会等が健康被害に対する審議に協力 をしていくこと。さらに(4)として保険料が必要になりますが、これを研究費で払 えるようにすること。  (9)は補足で、本年4月1日から薬事法で未承認のもの、適応外のものを用 いた臨床研究について保険との整合性を図ることから、「高度医療評価制度」を 始めたところです。これを補足として謳うとともに、(2)として、まだこの検討会 の専門委員会の中での議論ですが、「疫学研究に関する倫理指針」との一本化に ついて、検討が今後必要ではないかという強いご指摘がありましたので、それに ついて記載しています。  いずれにしても今後、パブリックコメントを経て、必要な修正等を行って成文 化していくところです。今回お示ししたこの案については、座長をはじめ委員と の最終的な調整の後、できるだけ早くパブリックコメントを行い、1カ月相当を 想定していますが、最終的な取りまとめを行っていきたいと考えているところで す。 ○垣添部会長  ありがとうございました。ただいまの新木課長からの説明に関し、まだ補足等 がありましたら、ご出席いただいている廣橋委員長代理から何かありますでしょ うか。 ○廣橋委員長代理  十分説明いただきましたが、倫理審査委員会の強化、被験者のリスクの差異に 基づいて、観察研究から介入研究までを区別して、一方では疫学研究指針との整 合性をとり、もう一方では登録、あるいは補償を考えることで、適切な改訂だと 思います。しかし、こういったものが実現するためには、いちばん最後の9頁の いろいろな指針外への対応ができないと実現できないわけですので、これを同時 にきちんと対応することも、委員からの強い意見でここにまとめられたのだと思 います。 ○垣添部会長  ありがとうございました。それではただいまのご説明に関して、何かご発言が ありましたらお受けしたいと思います。 ○北村委員  随分わかりやすくなっているのですが、9頁のところで、まだ検討中のことも たくさんあるのではないかと思います。被験者の補償の保険を受ける者は研究者 自身になるのか、あるいはその臨床研究を承認した施設長が入るのか。もしも臨 床研究主任であれば、民間保険の場合とすると、その保険にかかる保険費用は公 的研究費で賄うことができるのか。その辺も実際の場合においては、研究者はど のくらいの金額になるかわかりませんが、医師の保険を考えてみると、マルプラ クティスの保険、その金額を研究者自らが払ってやるのか、あるいは公的研究費 に含まれると考えておられるのか。決めておられましたらお願いします。 ○新木研究開発振興課長  保険料については研究の一環で必要なことなので、公的研究費、例えば厚労科 研費等で支払える運用にしたいと考えています。また、その際、保険に入る被保 険者、保険に加入するのは、詳細については今後保険会社で商品設計の段階で具 体的になると思いますが、一つには研究者自身に入っていただく、というような 形が強く想定されるのではないかと思っています。なお、保険料の水準等につい ては、研究の内容によっても異なると思います。また、保険会社の今後の検討に よってもそれが反映されてくると思います。現時点では我々も正直を言うと、ど のくらいになるかは承知をしていないのですが、これからできるだけ早く検討し て、研究者の先生方に情報提供できるようにしていきたいとは思っています。 ○北村委員  導入される予定をいつごろぐらいと考えておられますか。この法律というか、 指針が10月から一応適用される。一部は来年からと書いてあるのですが、その 場合、保険の導入の予測される時間は、合わせていけるようになるのかどうか。 ○新木研究開発振興課長  保険の提供される時期は、現在まだ保険会社のほうでも最終的に決めていない 状態です。したがって、保険のところを含めて、保険会社の商品化の時期と合わ せて適用を今後考える。現時点ではとりあえず10月31日としていますが、そこ のところもこれからパブリックコメントの段階で、保険会社の方々からも意見を 聞きながらと思っていますが、できるだけ早く、我々の希望としては年度内にで きるだけ早く、そのようにしていただきたいと期待をしています。 ○北村委員  是非よろしくお願いします。 ○笹月委員  質問なのですが3頁の(1)研究者の責務等の(1)の最後の文章の意味がよくわ からないのですが。「補償には、被験者の健康被害に対する治療費であって、被 験者に負担させることのないものも含まれる」という、ここはどういう意味です か。 ○新木研究開発振興課長  補償のやり方については、さまざまなものが現時点でも行われていますし、今 後も行われると思います。例えば治療に必要な費用について、相手方というか、 被保険者に負担させずに病院側で負担する。それがここに書いている部分で、そ ういうものも補償の一環だろうという議論があり、単に保険だけということだけ ではなく、いろいろなサポート全体が補償なのだということで、こういう記載に なっています。 ○垣添部会長  ほかにいかがでしょうか。 ○福井委員  確認ですが、6頁の上から6行目からの観察研究の場合の二つ目のパラグラフ です。これは「人体より採取された試料を用いない場合」ということは、臨床の 通常の診療行為で得られたいろいろなデータそのものについて、例えば日本全国 である疾病についての登録をして、それを研究に用いることが、がんの場合と似 たような形で可能になるということでよろしいのでしょうか。プライバシーには 当然配慮して、例えば匿名化した上での連結可能なデータにした上で、データを 集めることが可能になるということでしょうか。 ○新木研究開発振興課長  これは疫学指針でも現在同様の規定があります。血液とかの検体ではなくて診 療情報を用いてやるものについての規定で、疫学指針と同様にこの中でも可能と しているところです。 ○垣添部会長  ほかにいかがでしょうか。 ○川越委員  プリミティブな質問で恐縮です。こういうガイドラインの将来的な役割につい て教えていただきたいのです。私たちのところは民間の一診療所なのですが、そ こでも一応研究的なことをやっています。もちろん研究機関ではありませんが。 その場合、こういうガイドラインがあるということは非常に助かっていますし、 我々のところも一応倫理委員会という形を設けているわけです。  このガイドラインの中で罰則というか、ガイドラインが罰則というのも変です が、このようにできたものが普及するために、どういうことを考えていらっしゃ るのか。つまり、我々のところでも研究をやっているのですが、そこにもこうい うガイドラインがあって、使ってもいいのですよという形にするのか。あるいは 何かこういう研究をするとか、こういう研究費を取るといったときには、ガイド ラインが必要だと。あるいは将来的には、臨床研究があるときにはこういう一つ のガイドラインに沿ったものにしなさい、ということを考えていらっしゃるのか。 その辺の考えを教えていただきたいと思います。 ○新木研究開発振興課長  この臨床研究のガイドラインの実効性というか、大変重要なテーマとして、ご 指摘のようにこの場でも議論されました。そして、位置づけとしてはガイドライ ンであり、特に具体的には公的研究費のことも記載されていますが、これはすべ ての臨床研究を行う研究者の先生方に守っていただきたい、守っていただく必要 があるものと考えています。公的研究費の補助を受けて行う研究の場合にはもち ろんですが、それ以外の研究の場合にもこれを守っていただくことが必要である と思っています。  そのためには、いまお話のように罰則というようなお話も公的研究費には一部 ありますが、何よりも研究者の方々にこのようなことを理解していただいて、守 っていただくような風土というか、雰囲気を作っていくことが重要であることか ら、普及啓発を十分にする必要があるということは、この委員会でも何度も話に 出ました。その一環として、特に倫理審査委員会の方々には、研修の機会等を提 供する、また、研究する人にも研修を義務づける、などの内容が入っているのは、 そういうことであろうと考えています。したがって我々も今後さまざまな機会、 学会などを幅広く使って、普及していきたいと思っています。 ○垣添部会長  ほかにいかがでしょうか。いまおっしゃった研修は、どこが主催されるのです か。 ○新木研究開発振興課長  現時点では研修は、例えば国立がんセンターや国立循環器病センターなどの臨 床研究の中核病院でもやっていただいております。また、治験の拠点病院などで もやっていただくように、我々の補助制度の中でそういうことを要件として謳っ ています。さらに厚生労働科学研究費を使って、e-learningのシステムなどを 先ほどのがんセンターの山本先生に作っていただいているなどがあります。この ほかに私の課でやっている直接的な研修も一部ありますが、今後さらにそれを拡 大していく必要があろうかなと思っていますが、現状ではそんなところです。 ○岩谷委員  研究が極めて多数の施設で行われる場合があるわけです。特に私たちのところ では、全国の数十の医療機関で数例ずつ集めてやっているわけです。その場合の 先ほどの有害事象に対する保険というのは、各施設で全部が入るということにな るわけですか。 ○新木研究開発振興課長  共同の場合の保険の加入の仕方については、これから具体的なところを保険会 社のほうでも設計していくところで、申し訳ありませんが、まだ申し上げるよう な状況ではないです。 ○垣添部会長  いまのご指摘は大変、実際に臨床試験、研究を行う上で大事な点ですので、是 非保険会社との詰めをよろしくお願いいたします。 ○宮田委員  少し教えてください。3頁の保険の範囲ですが、「研究者等は、医薬品・医療 機器による介入を伴う研究を実施する場合」には保険に入れという文脈ですが、 その下のデータベースに登録する研究の分類として、それ以外に「その他手術等 の侵襲性を有する介入を伴う研究」という分類もあるのですが、その場合は保険 には入らなくていいのですか。 ○新木研究開発振興課長  登録の範囲のほうが広くなっております。それは実際の無過失保険を提供され るのは、通常医療賠責などがありますが、今回、これで提供されるのは物が絡ん だような事故、有害事象については、治験と同様にしようということです。治験 はあってこっちにはないというのは、不都合ではないか。そしてまた、そういう ものこそ大きな被害を生じたり、またそういう意味での研究者、被験者を通じて 負担が大きいということで、そっちのほうについては保険が提供されます。ただ、 一方で、こっちの登録についてはもっと幅広く、透明性の確保を図る観点から、 物が絡まないようなものについても、幅広く登録すべきだということで、介入研 究についてなっているということです。 ○宮田委員  わかります。ただ、その物の絡まない、例えば術式法を開発しようみたいな臨 床研究のときには、もし何らかの事故があったときには医賠責でカバーするとい う考えですか。 ○新木研究開発振興課長  物が絡まない純粋な術式、物が絡まないものというのは、かなり限定されてく ると思いますが、その場合には通常の医賠責でカバーしていただくことになりま す。 ○宮田委員  それが前提ですよね。 ○新木研究開発振興課長  そうです。 ○宮田委員  わかりました。2番目に、その次の頁ですが、上の最初の1行目の右のほうか ら、「ただし、臨床研究の実施に著しく支障を生じる場合であって、倫理審査委 員会が承認し、臨床研究機関の長が許可したものについては、この限りではない」。 これはそのとおりですが、例えば10年ぐらい前だと、がんも告知できませんで したから、これは登録できなかったと思うのですが、だんだん医学が進歩したり、 あるいは救命率が上がってきて、許容できる範囲がどんどん広がったり変化した りする場合があります。そうすると、その判断をするのは倫理委員会だと思うの ですが、結局その倫理委員会の質がすごく重要になるという文脈がここで読み取 れます。  5頁の倫理委員会について、第3の(3)の(2)「厚生労働省等の実施する本指 針への適合性に関する実地又は書面による調査に協力すること」と書いてありま すが、これがすごく重要だと思っています。私の先ほどご指摘を受けた全国レベ ルのDNAを集める文科省のほうの研究ですが、その倫理委員会の審議結果を全部 集めて読むことをしたことがあるのですが、もうバラバラでして、倫理委員会の 透明性を確保する以前に、透明性を確保したときに恥ずかしくない倫理委員会を まず作ることのほうが、実は重要だと思っています。  先ほどご指摘もありましたが、厚労省はここ3年から5年ぐらいは教育、啓蒙 をしっかりやって、各倫理委員会がどういう例外処置をしたか、そういうことも 含めてきちんと把握をすべきだと、これはお願いですがしたいと思います。 ○垣添部会長  大変重要なご指摘かと思います。よろしくお願いします。ほかにいかがでしょ うか。 ○石井委員  今回の改正倫理指針では、研究責任者が一括して倫理審査委員会の承認をその 所属機関長を通して受ける形になるようです。いまは、各研究機関ごとに行って いるのではないかと思うのですが、それは必ずしも必要としないことになるので しょうか。 ○新木研究開発振興課長  倫理審査委員会の議論は今回、適用についていろいろな議論がありました。現 在は例えば10の医療機関で共同研究をやった場合には、10全部で同じような審 査を行っていますが、今後は主任研究者が属するA機関、A大学で一括してその 審査を行う。そういうことがより質の高い研究、それは必ずしも効率化ではなく、 全体を見た上でその中心となるところがやったほうが、十分な審査が行えるので はないかということから、そういうものについても、いままでは例外的に自分の ところでできないところという書き方だったのですが、正面からそういう中央合 同審査のようなものを位置づけています。したがって、Aでやればそれ全体の審 査が済むという形にしています。 ○石井委員  その場合にどこまでを一つの研究と見るかが、問題になると思います。厚生科 学研究などは、かなり広い研究を一つの研究として捉えているようですが、同じ 介入研究だけを一つの臨床研究と捉えるのか。それらを総合したものを、種類の 違う介入研究も含めて一括して、1カ所で承認すればよいというような、かなり 包括的な倫理審査を認める方向なのでしょうか。 ○新木研究開発振興課長  一つのプロトコールの中で、一つの一体的な研究として行われるものを、研究 単位という言葉はあまりないのかもしれませんが、一つの研究単位になろうかと 思います。すなわち主任研究者がいて、A、B、C、Dと四つがやる場合に、四つ の役割は各々異なると思うのですが、それが一つの研究班としてプロトコールを 作って、具体的には研究計画、プロトコールの中に、きちんと一つのプロトコー ルに位置づけられたものが1研究単位ということになろうかと思います。すなわ ち、類似の研究で別にやっている、協力しながらかもしれませんが、別にやって いるものは別の研究単位になると思いますし、一つの中に書いてあれば、四つで なくてそれが10であっても、それは一つの研究単位になろうかと思います。す なわちプロトコール単位、研究計画単位という取扱いになってこようかと思いま す。 ○福井委員  瑣末なことかもわかりませんが、1頁の下から2行目から始まる文章で、私に とって奇異に聞こえるのですが、「疫学研究は、集団としてのデータを取り扱う」 「臨床研究では、被験者ごとに個別にデータを扱う」とあります。臨床研究も大 部分は被験者ごとのデータを取った上で、集団としてのデータを最終的には扱う わけですので、そういう意味で臨床疫学という言葉もあるわけです。これだけの 定義だと、何となく区別が難しいのではないかと思うのです。専門の先生方が集 まって定義されたとは思いますが。 ○新木研究開発振興課長  実は、臨床研究の倫理指針と疫学研究の倫理指針の住み分けについては、この 検討会でも大変長時間議論が行われまして、最終的には非常に難しいということ でした。逆に言うと、いちばん最後に書いてありますが、委員会の意見としては 今後一本化すべきだというようなところも、そこから出てきています。  概念的には一言で簡単に言うと、こういう疫学研究と、臨床研究とは臨床・非 臨床でもありませんし、介入・非介入でもありませんので、同じディメンション で分けていないようなところから、そういう切り分けが難しいところが出てくる のだと思います。おっしゃるように、いろいろなボーダーラインといいますか、 難しい点が出てこようかと思いますが、少なくともその中で、どちらの指針がか かっても、ボーダーラインで同じ取り扱いになるように、そこのところの裾野と いうか、辺縁での調整を行った上での指針としています。何か言い訳がましくて 恐縮です。 ○福井委員  ディスカッションされたのかもわかりませんが、臨床疫学という学問の中では、 疫学は医療機関に来ていない人を扱い、臨床研究はあくまでも医療機関に自分の 意思で来た人、または運ばれてきた人を対象として扱うものであって、研究の方 法は同じように、以前からある疫学的な方法、統計学を使います。そのような定 義がされることもあります。 ○垣添部会長  ありがとうございます。では、ただいまのご指摘も参考にされて、最終的な調 整をしていただければと思います。 ○笹月委員  いまの問題ですが、福井委員がおっしゃるように、臨床研究では被験者ごとに 個別にデータは扱うものとするというのは、やはり問題があると思います。です から、この文章はもう今回は必要ないのではないですか。要するに、介入を伴う 研究と観察研究をここでは区別しようとしているものであって、いわゆる疫学研 究はその観察研究の中には含まないと言っていますから、それで十分であって、 疫学研究と臨床研究をここであえて定義してみせても、後の指針には関係ないの ではないかと思います。 ○新木研究開発振興課長  臨床研究と疫学研究ができた経緯に関係するのですが、疫学研究がありまして、 基本的には疫学研究の指針の定義が入るのですが、それ以外の部分についてはこ の臨床研究ができると。前後関係からそういう適用のところもありまして、そこ が今回も疫学研究の指針の見直しがあった後、これをやっているということで、 その辺も実は関与してくるのです。ここで疫学指針の適用でないものは、臨床研 究になるという背反関係といいますか、相互の適用関係を規定しており、そうい う意味で指針の適用関係なので、少しもしかしたら先生方の日ごろのワーディン グとニュアンスが違っている部分が出てくるところもあるのではないかと思い ますが、ここのところはそういうことで事務的に整理をさせていただきたいと思 います。 ○宮田委員  一つよろしいですか。そうすると、これは包含関係ではなくて、別の集合だと いう解釈ですか。というのはなぜかというと、例えばファーマコジェノミックス みたいに、ある特定の臨床試験をするときに、疫学研究でもあり臨床研究でもあ る。臨床の介入試験でもあるものではないかと思うのですが。 ○新木研究開発振興課長  ファーマコジェノミックスのようなものは、おそらく両方のものになろうかと 思います。 ○宮田委員  わかりました。 ○川越委員  教えていただきたいのですが、国内他施設の共同研究ということでよくわかっ たのですが、例えば海外と共同研究する場合、そういうことの議論は実際にあっ たのでしょうか。というのは、私たちのところでも、近々そういうことを予定し ておりまして、そういう場合には、何か一つの基準みたいなものがあったら非常 にありがたいのです。 ○新木研究開発振興課長  この資料1-4の2頁目のいちばん下の欄を見ていただきますと、内外の、国外 で行われているものについての言及があります。適用範囲の(2)ですが、国内 での臨床研究を基本的に対象としますが、国外の場合にもこれを遵守しているこ と。したがって、具体的には当該国でそういう研究があれば、それとプラスこの 両方がかかってくるのではないかと思いますが、そういう国外についてもこれを 守られていくことが必要であると考えています。 ○垣添部会長  大変活発なご議論をありがとうございました。時間の関係もありますので、先 に進ませていただきます。それでは本指針の改正案については、今後、先ほどご 案内のように、約1カ月をかけてパブリックコメントを行い、その結果を踏まえ て再度当部会で審議していただくことといたします。本日はご多用中ご出席いた だきました廣橋委員長代理には大変ありがとうございました。これでご退席くだ さい。  続きまして、研究開発機関の評価結果等についてということで、国立保健医療 科学院に関しまして、報告をお願いいたします。 ○坂本研究企画官  本件の資料については資料2-1ですが、先に参考資料2をご覧いただきたいと 思います。参考資料2は「厚生労働省の科学研究開発評価に関する指針」で、そ ちらの15頁に「研究開発機関の評価の実施方法」というところがあります。こ ちらでは「研究開発機関は、各研究機関における科学研究開発の一層の推進を図 るため、機関活動全般を評価対象とする研究開発機関の評価を定期的に実施す る」ということになっています。そして、こちらのほうの評価報告書については 科学技術部会に報告されてきています。  今回は国立保健医療科学院の評価結果及びその対処方針についてのご報告を いただくことになっています。本日は国立保健医療科学院の林次長にご出席をい ただいておりますので、評価結果等については林次長からご報告をいただきます。 それでは林先生よろしくお願いいたします。 ○林次長  ご紹介いただきました国立保健医療科学院の次長を務めております林です。ど うぞよろしくお願いいたします。このたび、本院の機関評価を実施いたしました ので、お手元の資料2-1に従って報告をさせていただきます。本題に入る前に、 国立保健医療科学院の概要について、簡単に紹介させていただきます。  まず資料9頁です。本院は平成14年4月に国立試験研究機関の再編の一環と して、旧国立公衆衛生院と、旧国立医療・病院管理研究所の二つの機関を統合し、 さらにこれに国立感染症研究所にありました口腔保健部を加えて、新たに発足し た機関です。新機関が発足し6年が経過しました。右側の「参考」は科学院の所 掌事務を規定している組織令の抜粋です。本院は国や自治体において保健医療、 生活衛生、及び社会福祉に関係する業務に従事する方々の養成及び訓練と、それ に関連する調査及び研究の二つを設置目的としています。  10頁は科学院の事業の全体像を表したものです。教育訓練はご覧のとおり研 究課程、専門課程、短期研修、国際協力研修に大別され、年間4,000名を超える 修了者を送り出しています。短期研修は数日間ないし数週間の研修コースであり、 現任専門技術職員の生涯教育として、あるいは厚生労働省の特定の課題に対応し て、さまざまなコース、約70から80コースが設けられています。  調査研究ではご覧のとおり、科学院の予算に計上されている経費により実施さ れる調査研究活動のほか、競争的研究経費による調査研究も行われています。金 額は19年度の実績です。また、こうした本来業務としての教育研修、調査研究 に加えて、最近は医療施策の支援のための事業が求められることが多くなってき ました。そうした事業について図の下部において紹介しています。  11頁です。本院の組織図です。広汎な分野をカバーする研究部門は15部1セ ンターで構成され、職員の定員は120名です。  それでは機関評価の報告に入ります。資料の1頁、「機関評価に関する厚生科 学審議会への報告」をご覧いただきたいと思います。機関の名称は国立保健医療 科学院。院長は篠崎英夫です。今回の機関評価は、ご覧の委員構成による評価委 員会において評価を行っていただきました。委員長は宮城県対がん協会会長の久 道茂先生にお願いしました。今回の評価は、平成17年度から19年度までの3 年間を評価対象年度としています。  資料2頁の2-4「機関評価の実施経過」に示したとおりの手順で、評価作業を 進めてきました。外部委員の先生方には事前に膨大な資料にお目通しをいただく とともに、10月と12月の2度、本院にお集まりいただき、熱心なご審議をいた だきました。  3「評価結果」が評価報告書に書かれた項目ごとの評価結果を要約したもので す。科学院の業務の中核は、先ほどご説明したとおり、1.教育研修と2.調査研 究です。このため、本院の評価項目の最初は教育研修としています。この点が他 の試験研究機関の場合と異なっています。3-1-1「教育研修の状況と成果につい て」では、二つ目の○で、地域のニーズ等に留意しながら、各コースの定員の見 直しや課程の統廃合等を検討する必要があるといった指摘をいただきました。  また、3頁の3-1-2「教育研修の分野・課程等の選定について」では、選定プ ロセスの明確化を図ることや、厚労省との密接な連携の下で研修テーマの発掘に 取り組むべきである等のほか、三つ目の○では、自治体職員が長期研修を受講す ることが難しい状況になっていることへの対応方策の検討や、自治体の事務職員 に対する研修への期待について、ご指摘をいただいております。  また、3-2はもう一つの柱である調査研究です。3-2-1「調査研究の状況と成 果について」では、二つ目の○で、今後調査研究の充実を図るため、研究部の枠 を越えたプロジェクトチームの導入や、他機関との連携、また、三つ目の○では、 論文の質の確保の観点から、客観的数値の検討についてご提言をいただいていま す。  3-2-2では、「調査研究の分野・課題の選定について」。また、3-2-3では、「研 究資金等の研究開発資源の配分について」ご指摘を頂戴しています。ここでは、 基盤的研究費や重点研究費は国の試験機関が持続的に担うべき基盤的課題や緊 急課題等の調査研究に必要不可欠の経費であり、十分な予算措置に務めるべきで あるといった指摘をいただいています。  3-3は科学院の「組織に係る評価結果」です。本院における教育研修、調査研 究の在り方について検討し、組織の再編に向けた周到な準備を進めるようご提案 いただきました。5頁以降に順次3-4施設設備、情報基盤、3-5知的財産権取得 の支援、倫理規定等の整備等に関する評価結果が書かれています。また、3-6共 同研究、国際協力等では、WHO等の国際機関や自治体との共同研究、研修につい て提言があります。3-7は研究者の確保、流動性の促進です。また、6頁から3-8 社会貢献、3-9「その他の特記事項」と、広範な評価項目について、的確なご指 摘やご提言が盛り込まれております。  1月30日に久道委員長から以上のような評価報告書をちょうだいしましたの で、本院ではそれらの指摘、提言を踏まえて、積極的に改善に取り組むことにい たしました。その基本的な考え方について、取りまとめたものが7、8頁の「対 処方針」です。その要点をご説明いたします。  まず、評価報告書のご指摘を踏まえて、教育訓練体系の抜本的見直しを行うこ とにしました。その第1段階として、できることから改善を進めていこうという ことで、本年4月1日に「教育訓練規程」という訓令の改正を行いました。各種 研修の目的や内容及び受講生のニーズ等の観点から、教育訓練区分の再編や各課 程の定員の変更等を行ったものです。引き続き教育訓練事業の点検、評価活動を 充実し、さらにその改善に向けて取り組むこととしています。  次に2の「調査研究活動の充実について」です。評価報告書において、院内の 研究活動に関し、その総合的な企画・調整が十分になされていないのではないか、 とのご指摘をいただきました。これまで教育訓練関係では、委員会組織を数多く 設けてまいりましたが、調査研究関係では、ほとんどありませんでした。このた め、院内の研究の企画、課題の選定・調整、各研究部や他機関の研究者との連携 等について、議論する場があまりなかったことを反省しております。今回のご指 摘を受けて、院内に「研究委員会(仮称)」を設けることとし、現在その準備を 進めております。また、プロジェクトチームによる研究の推進など、機動性に富 んだ研究体制の構築等にも取り組むこととしております。  最後の3「その他」では、科学院の組織の改編に向けた検討を着実に進めてい くこと、また、機関評価の手法の改善、その他、評価報告書においてご提言をい ただいたさまざまな事項についても、ご提言の趣旨、方向に沿って、鋭意検討を 行うこととしています。以上が私からの報告です。 ○垣添部会長  林次長、ありがとうございました。ただいまのご説明に関して、ご質問、ご意 見はいかがでしょうか。 ○宮村委員  この評価委員会からの指摘の中で、4頁のいちばん上に書いてありますが、調 査研究に係る発表論文の質の確保の観点から、Citation indexなどの客観的数 値を示しなさいと。そのときに大事なことが書いてあって、「いわばCitation がつきにくい調査研究等についても正当に評価されるよう留意する必要がある」 というのは、私どものNational Instituteとか、National Centerの中で、大 きなミッションワークがあるときに、いつも考えることです。これについてどの ように留意されているのか、何かいいアイディアがあったり、対処方針の中で検 討されたことがあるのでしょうか。 ○林次長  先ほど紹介させていただいたように10いくつの部がありますので、その中で も、例えば実験的な研究が主である部もありますし、そうではなく、むしろ政策 的な考察を中心とする、研究部もございます。実験あるいは疫学統計等のような 部では、Citation indexを使うことには院内でも賛同を得られていますが、厚 労省関係との政策的な研究については、例えば国際ジャーナルに投稿しても、な かなか受け付けられませんので、それは別の観点から、厚労省と内部の委員と合 同して、研究の意味あるいはインパクトについて検討していくつもりでおります が、詳細についてはこれから詰めていきたいと考えています。 ○垣添部会長  ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。ただいまのご指摘のご意 見も踏まえまして、国立保健医療科学院におかれましては、今後の運営の改善に 努めていただきたいと思います。本日ご出席いただきました林次長におかれまし ては、お忙しい中をありがとうございました。ご苦労さまでした。 ○林次長  どうもありがとうございました。 ○垣添部会長  続いて報告事項2-2「戦略研究(糖尿病、自殺)の中間評価結果について」、 事務局からお願いします。 ○矢島厚生科学課長  資料2-2に基づいてご説明いたします。1頁ですが、現在戦略研究は6本走っ ております。1頁の右の下にありますが、黄い線、青い線、赤い線、六つの戦略 研究が走っていますが、今回中間評価の対象になるのは、3年目を迎えた「糖尿 病予防のための戦略研究」、「自殺対策のための戦略研究」の二つです。  次の頁です。「戦略研究の実施体制」を簡単にまとめたもので、下の点線の枠 の中が実際の戦略研究の実施主体です。戦略研究の実施団体があって、その中に 戦略研究推進室というのがあります。その中にまた運営委員会、倫理委員会、評 価委員会、モニタリング委員会というものが、研究実施団体にありまして、ここ と連携をしながら、黄色の枠で囲われている戦略研究企画・調査専門検討会とい うものを厚生科学課の下に設置して、この中でプロトコール骨子の作成とか、モ ニタリング、中間評価・事後評価を行うというような位置づけです。この結果を 基にして、厚生科学課から、この科学技術部会にご報告をさせていただくという 枠組みになっています。  3頁です。これは実際の「モニタリング・中間評価の流れ」です。戦略研究企 画・調査専門検討会において、このモニタリング方針の検討とか、実際にモニタ リングをしていただく委員の教育について、ここでいろいろと検討していただき ます。実際にモニタリングシートを作成して、そのシートに基づいてモニタリン グ調査班が進捗状況をモニタリングする形で行っています。  このときに六つの戦略研究のモニタリングの中で、3年目となる二つの研究に ついては、モニタリングと併せて中間評価をしています。矢印の下のほうですが、 戦略研究企画・調査専門検討会において中間評価をいただき、これを本日審議会 に報告させていただきます。今回はこの中間評価の部分についてご報告させてい ただきます。  4頁が先ほどのモニタリングでやっているいろいろな分析項目、モニタリング 項目がこのような形で行われているというものです。5頁は、先ほどの二つの研 究においての評価で、A、B、Cの3段階で評価をしています。  具体的に戦略研究の中身に入りますが、6頁です。まず「糖尿病予防のための 戦略研究」です。糖尿病予防のための戦略研究には三つの研究課題があって、 J-DOIT1、J-DOIT2、J-DOIT3で、それぞれ成果を設定して、このアウトカムと研 究計画の概要策定をして、5カ年の予定で実施しているものです。J-DOIT1につ いては、予備群から糖尿病への移行率を半減させるアウトカムを目標にしていま す。J-DOIT2については治療の中断率を半減させる、J-DOIT3については合併症 への進展を30%抑制させる成果に向けて、具体的な研究方法の設定をしていま す。  7頁です。J-DOIT1の研究デザインです。簡単にご説明させていただきますと、 研究の計画の中にありますが、市町村や職域での健診等のときに発見された糖尿 病発症ハイリスクの者を対象として、参加地域・職域を「支援群」、IT等を用い た生活習慣変容支援サービスを提供する群と、「自立群」に割り付けますクラス ター・ランダム化の比較試験で、平成22年3月までの累積糖尿病発症率を主要 評価項目とする形です。具体的には、新たな空腹時血糖から判定した糖尿病の発 症率を評価項目としています。副次評価項目としては、ここにあるようなものを 副次評価項目とするものです。  8頁です。具体的に研究のイメージです。17団体43クラスターについて、こ のような形で自立群、支援群を分けて、非対面個別指導という形で具体的な介入 をしています。その調査を平成22年3月まで行いまして、その発症率を見てい くというイメージです。  9頁です。具体的な症例の登録状況です。具体的には、平成19年10月までに 目標の85%、約3,000名まで登録をしました。8カ月という短期間に約3,000 名の方を登録することができたのは、特筆すべき価値があるというご指摘をいた だいています。  10頁です。これは研究の見通しと総合評価です。研究の見通しにつきまして は、参加クラスターからのデータ収集の完了は次年度となることから、観察期間 を2年間とすると、すべてのデータが収集されるのは平成22年6月頃となり、 当初の予定期間中に検証を行うことは困難であると。戦略研究の枠組みの中で結 果を確認する方法については、再検討の必要があるという見通しをいただいて、 ここについての評価をいただいています。  しかし、総合的には、進捗に遅延が見られるわけではありますが、登録患者が 85%に達している点などで、かなり高く、これは我が国独自のエビデンス構築に 資することが期待されるということで、優先的に取り組み、成果を検証すべきで あるという評価をいただいていて、総合評価はAとなっています。  11頁です。これはJ-DOIT2のイメージです。2型糖尿病の患者について、これ は地区医師会ごとに通常診療群と支援群に割付け、これを4地区でパイロット試 験という形で、このようなものを作っています。具体的な糖尿病の診療の達成目 標を掲げて、このような形で通常診療群と、診療支援群という形で介入していま す。  12頁に研究のデザインがあります。まだ大規模研究はこれからですが、最終 的には大規模研究で受診中断率を見るわけです。パイロット調査では、具体的に サンプルサイズの推定とか、研究の実施可能性について評価をさせていただいて います。  13頁です。具体的な症例登録状況です。パイロット研究として、患者登録必 要数の約1,600名を確保し、パイロット研究という形で観察期間を終了していま す。  14頁ですが、具体的な研究の見通しと総合評価です。平成20年4月に解析を 終了し、その結果を踏まえて5月に本研究のプロトコールを作成し、IRB及び専 門検討会へ報告した後、7月に大規模研究の開始となります。すでにパイロット 研究ではありますが、この中で行動変容ステージに改善を認めています。受診中 断率などについては、すでにこのパイロット研究の段階でかなり成果が出始めて いるという意味で、総合評価はAとなっています。  15頁で、J-DOIT3の研究イメージです。これについては全国81施設について、 HbA1cが6.5以上の2型糖尿病の患者、あとは血圧とか、脂質代謝異常の条件を 示している患者について、ここにあるような形でランダムに割付けを行って、強 化療法群と従来治療群に分けて介入していく形です。  16頁が研究のデザインで、死亡、心筋梗塞または脳卒中の発症を主要評価項 目としています。腎症の発症・増悪といったものが、副次評価項目です。  17頁ですが、ここについては症例登録の状況です。これは研究体制の構築に 一定の期間を要したということで、若干遅れが出ていますが、現在全国で81施 設において、2月時点で1,678名の登録を完了しているところです。  18頁です。これが具体的な研究の見通しと総合評価です。平成20年の5月に 中間解析を予定しており、当初の計画より若干進捗状況に遅延が見られるが、目 的の実施可能性は高いということです。やはり時間を要したということで、総合 評価はBとなっていますが、継続的に追跡することにより、我が国独自の研究成 果が期待されるということです。  19頁で「自殺対策のための戦略研究」です。こちらは二つあって、ACTION-J とNOCOMIT-Jといわれるものです。ACTION-Jは自殺未遂された方の自殺企図の 再発率の30%減少ということが目標です。NOCOMIT-Jは地域における自殺率の減 少という成果目標を立てて、その研究方法を具体的に構築しています。  20頁ですが、研究のイメージです。ACTION-Jですが、救急救命センターに運 ばれた自殺未遂患者に対して、ケース・マネジメントの介入をして、自殺企図の 再発防止効果の検証をするものです。  21頁は研究のデザインです。ケース・マネジメントを実施する介入群と、そ うでない群を分けて、自殺の再発率を見ていくものです。  22頁ですが、具体的な進捗状況です。このデザインは、救急部門と精神科部 門が十分に連携している病院が参加対象となっていますので、その分で病院が少 ない等の制約がありますが、そういう意味で登録予定数の40%、登録患者数が 少ないという進捗状況です。  23頁で「研究の見通しと総合評価」です。必要な登録患者数を確保すること が課題となっており、当初の研究計画より遅延が見られるということで、今後こ の辺の向上が大事だということで、総合評価はBです。基盤となる疫学研究がな いことから、予備研究を実施し、必要な被験者数等を確認して開始すべきであっ たのではないかという評価を受けています。しかし、世界的に類を見ない大規模 研究として、国際学会などでも高い注目を浴びているという評価をいただいてい ます。  24頁ですが、NOCOMIT-Jの研究のイメージです。全国の14地区において、試 験開始以前の自殺企図、発生率が大体同等な地域を介入地区群と対照地区群に分 ける、割付けを行うという研究のデザインです。  25頁ですが、具体的に14地区、対象人口は212万人の地区になります。この 地域に対して、自治体によって変わってきますが、複合的な自殺対策プログラム、 いろいろな自殺対策プログラムを実施する所と、対照地域の2群に割り付けまし て、比較試験を行ったものです。  26頁は具体的な進捗状況です。介入地域では「試験介入地域におけるこころ の健康づくり・自殺予防連絡会」等を設置しています。こういうものを設置する ことで、かなり成果も出ているという指摘もあります。  27頁は研究の見通しです。自殺対策で効果が高いと言われている複合的介入 の方法を詳細に記入した「介入プログラム手順書」を作成し、それに基づいて介 入を実施し、随時その過程を把握していることから、介入効果を評価することは 可能である。また、本研究においては、人口動態調査死亡小票を用いることとさ れており、この活用を確実に行うため、保健統計担当部局との連携が必要である ことがありまして、総合評価はBです。  日本ではまだ数の少ない行政の事業効果を評価する介入研究ということで、本 研究によって明らかとなる詳細なデータの蓄積により、今後の有効な自殺対策に つながることが期待されるということ。医療従事者向けの研修会の開催とか、関 係者の知識・技能向上が図られておりまして、これにより地域における自殺対策 の実施基盤の強化が期待されるという評価をいただいています。以上です。 ○垣添部会長  糖尿病と自殺予防の戦略研究の中間評価をご説明いただきました。何かご発言 はありますか。 ○笹月委員  評価者は、この戦略研究のプロトコールを作り企画した集団と、同一の集団で すか。 ○矢島厚生科学課長  2頁をご覧ください。戦略計画企画・調査専門検討会は、戦略研究の最初のプ ロトコールを作っていただいた方々にかかわっていただいています。これを私ど も厚生科学課の下に設置させていただきまして、その下で評価を検討していただ いています。 ○宮田委員  二つあります。まず、自殺防止のプログラムのNOCOMIT-Jのほうですが、これ は自治体が地域ぐるみで入るということで、登録者数があっという間に確保され ているのですが、何を指標にBとしたのかが今一つわからず、何か研究の枠組み のスタートとしては、結構いいスタートを切ったのではないかと私は思ったので すが。ご指摘をもう少し教えてください。なぜ1ランク下がってしまったのかを 教えていただきたいのです。 ○矢島厚生科学課長  この総合評価のところは、厳密に言いますと、介入地区のみならず対照地区で も、さまざまな自殺対策の取組みが事業化されているため、どのような取組みが 有効であるかを正確に評価するためには、介入地区、対照地区とも、実施された 取組みを詳細に把握する。標準化が必要なのですが実際にどのように介入したか が標準化されていないのです。 ○宮田委員  わかりました。2番目の話は、J-DOIT3の話ですが、これに類似した介入試験 で、アコードという試験をNIHがやっているのです。これはあまりにも高度に血 糖を下げたために、心筋梗塞の死亡率が若干上がって、一部中断しているのです。 これも完全に同じと言えば言いすぎなのですが、非常に似た試験ですので、こう いった治験が2月に発表されていますから、これに対する対応策、つまりリスク マネジメントはどういうことをしているのかを伺いたいと思います。 ○矢島厚生科学課長  これについては、ご指摘のようないろいろと新しい情報は適宜入ってくると思 いますので、そこは実際に研究リーダーの先生も、16頁に研究リーダーの先生 を書かせていただいていますが、先生にはご指摘いただいたようなことも十分に ご承知いただいた上で、その辺のところは、有害な事象が起こらない形の工夫は 引き続きやっていく必要があると思っています。 ○宮田委員  それは改めて。 ○事務局  吉田と申します。これに関してはタイムリーに情報が入りまして、研究リーダ ーの先生のほうから、一旦登録を中止されました。そして、実際にそのような死 亡があるのかないのかを確認し、それを評価委員会で議論された後に、これは何 もないということで、安全性に問題はないということで再開されたという経緯が あります。かなりきちんと対応されていると思います。 ○宮田委員  それはリスク管理をしているということに関しては、我々のところにも上げる べき情報だと思います。 ○垣添部会長  ほかにいかがですか。 ○川越委員  6頁のJ-DOIT2ですが、「かかりつけ医で治療する云々」という言葉が出てい ます。12頁のいちばん上にも「かかりつけ医で治療する」と出ていますが、こ こで言っている「かかりつけ医」というのは、特別な定義はあるのでしょうか。 ○矢島厚生科学課長  基本的には地域の医師会の先生で、実はこれは医師会単位でやっていて、まさ に医師会に加入している医師会の先生という形になっています。 ○宮田委員  J-DOITの研究ですが、これは先行していたからあれですが、厚生労働科学研 究費の利益相反の指針が、いまや実効性を持ち始めましたので、ここで利益相反 に関してきちんとした確認をしておくことがすごく重要だと思います。なぜかと いうと、これは次のレジメを決めることになるので、そこにかかわっている人た ちがどういう利益相反を持っているかを明白にしておかないと、李下に冠を正さ ずですので、そこはよろしくお願いしたいと思います。 ○矢島厚生科学課長  貴重なご指摘をありがとうございます。我々もその辺はかなり意識させていた だいていますので、今後とも研究全般にわたって、しっかりとやっていただけれ ばと思っています。 ○垣添部会長  2-3「『先端医療開発特区』(スーパー特区)の創設について」、2-4「革新的医 薬品・医療機器創出のための5か年戦略について」、報告をお願いします。 ○武田経済課長  医政局経済課長の武田でございます。資料2-3に「『先端医療開発特区』(スー パー特区)の創設について」という、1府3省のペーパーをお配りしています。 これは今年3月に経済財政諮問会議の民間議員から提案があったもので、先端技 術の新しい形の特区を作るべきであると。その第一段として、医療の関係につい て具体化を早期に進める。こういうご指摘がありましたので、文部科学、厚生労 働、経済産業の3省は、昨年から「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年 戦略」ということで、連携をもってやっておりますが、そこに研究資金の統合的 な運用その他の観点から、内閣府が入りまして4府省の連名として、先般5月 23日の経済財政諮問会議で報告させていただいたものです。  1にあるように、「趣旨」としては、先端医療研究拠点を中核とした他の研究 機関、企業との複合体を選定し、研究資金の特例、規制等の並行協議を試行的に 運用して、より開発の促進を図るという目的です。  いくつかポイントがありますが、まず、既存の特区と何が違うのかです。既存 の特区は基本的に場所というのが単位で、地方公共団体を通じて申請が上がって くることになります。今回はそういう形ではない形で、構想を考えています。そ れから、既存の特区については、基本的に規制緩和のみということですが、今回 はそれにかかわらず、さまざまな政策手段を組み合わせる形で考えています。  2に、テーマ(案)があります。ここについては、諮問会議からの提案につい ては公募方式で選定すべきというご提案でしたので、私どもとしては、重点分野 をいくつか列挙するとともに、公募する際の要件について固めたということです。 ここに五つ例示がありますが、(1)が「iPS細胞応用」、(2)が「再生医療」、(3) が「革新的な医療機器の開発」、(4)が「革新的バイオ医薬品の開発」、(5)が「そ の他、国民保健に重要な治療・診断に用いる医薬品・医療機器の国際的な共同研 究開発」で、がん、循環器、精神神経、難病、その他の重大疾病領域などが対象 になると考えています。  「具体的施策」ですが、2頁目にまたがりますが、公募・選定を行っていきた いと思います。2頁の冒頭にあるように、既存の特区が場所であるのに対して、 この特区は先端医療研究拠点、臨床研究拠点が中核にありまして、それが他の研 究機関とか、民間企業と複合体を作る、その複合体を丸ごとスーパー特区の対象 として選定するという考え方です。  そのように複合体を作りまして、基礎技術が速やかに産業化されることを想定 していますので、2頁目の上から二つ目の○にあるように、ライセンス管理とか、 企業との共同研究の実績といった点を要件として考えてはどうかということで す。  (2)に、実施体制の整備のところがありますが、その際に関係省が連携して体制 整備の支援をすることとともに、産業界にも支援を求めると書いています。特に、 iPS細胞に関する研究については、知的財産戦略、知的財産をまず国際的に押さ えるというのが大変重要になっていますが、そういうノウハウが産業界にあると いうことで、産業界にも支援を求めるということをここに明記しています。  (2)スーパー特区の内容ですが、大きく分けると研究資金の運用における効 率的な運用と、制度面からの支援です。研究資金については、なるべく統合的か つ効率的な運用を行うことが、今回の目的になっています。制度面については、 開発段階から、厚生労働省、医薬品医療機器総合機構、審査当局側との早期の並 行協議が、今回のスーパー特区について行っていきたいと考えています。  3頁です。医療上特に必要性が高いと認められるものについては、優先相談、 優先審査、試作品の提供に関しても規制当局と早い段階から相談し、円滑に取り 組めるように取り組んでいきたいということです。  また、(3)のその他の関係施策のところにあるように、保険との併用の円滑実 施。それからこれは私どもの省庁ではありませんが、特許審査においても、早期 審査を活用することが、ここに明記されています。  これは、なるべく早く取り組めというような要請がありますので、予算がない とできないものもありますが、まず、公募を速やかにスタートしようということ で、3頁の下にあるように、平成20年度、今年度夏までに公募を開始すべく、 公募要件の最後の詰めを関係省庁の間でやっているところです。公募・選定がな されますと、とにかくできるところから速やかに取り組む。関係省庁はすでに研 究資金の交付決定を行っていますが、既存の研究資金について、なるべく統合運 用できないかどうか、運用改善を行うとともに、来年度以降どういう形で研究資 金の統合的な運用ができるかどうかの検討を、今年度行いたいということです。  来年度の予算要求を、これから各省庁から行っていきますが、この中でもスー パー特区に関する部分については、必要な額の要求を行っていきたいと考えてい ます。4頁の冒頭に書いていますが、こうやって検討を行っていきますと、場合 によっては立法措置を講じなければできないという、制度面の問題も出てくるか と思いますので、必要に応じ、立法措置も含めた検討を行うことが書かれていま す。  「その他」のところにありますが、昨年からスタートした官民対話の場を使い、 また、昨年作った5か年戦略に盛り込んで、着実に実施を図ることも最後に書か れています。  そういうことで、今年、昨年ご報告した5か年戦略の改訂を行っています。そ れは資料2-4が概略で、資料2-5が本文です。資料2-4の概略で見ていただきま すと、(1)から(6)までは、基礎的な研究の段階から、製品化、産業化という段階ま での流れを示していますが、昨年から項目がいくつか付け加わっています。基本 的には、いまご説明したスーパー特区の関係が付け加わっています。  例えば(1)の五つ目のポツに、先端医療開発特区に関連する研究資金の重点化・ 集中配分等というものがあり、また、「臨床研究・治験環境の整備」のところで は、いちばん最後に、先端医療開発特区における並行協議の場の設置、というも のが書かれています。併せて、その一つ上の「臨床研究・治験環境の整備」の下 から二つ目のところでは、これまでに中核拠点の整備をスタートさせていますが、 さらに高度な機能、中央IRB機能を持ち、かつ国際共同研究ができるようなグロ ーバルな臨床研究拠点ということを、今後財政当局の理解をいただきながら整備 させていただきたい。こういった点が入っています。  審査については、この概要版には明確には出てきませんが、昨年かねてからご 議論のありました審査官の倍増、そのためにどこから人を採用していくかといっ た場合に、民間の方々の人材を活用したい。いままでは、すぐに審査に携われな いという制限がありましたので、これを昨年、関係方面のご理解をいただき、活 用の道がより開かれましたので、いま審査官の充実が大きく進みつつあるという 状況です。  その他、この5か年戦略は5年の戦略ではありますが、昨年の初年度に多くの ことを実施する予定にしていまして、かなりの部分が措置をされました。これに ついては、2-4の2、3頁の行程表、2-5の本文をご覧いただきますと、これまで の進捗状況をご理解いただけるかと思っています。  5か年戦略は、昨年初めての試みとして作りましたが、このように必要に応じ て毎年フォローアップをし、必要なものは追加していくことで、今後とも革新的 医薬品・医療機器創出のために、関係省庁と協力して施策を進めていくと考えて います。私からは以上です。 ○垣添部会長  何かご発言はありますか。 ○北村委員  昨年から考えていた医療クラスターも書いてあるのですが、医療クラスターと スーパー特区の先端医療研究拠点というものはダブるのでしょうか、別ものとす べきと考えておられますか。 ○武田経済課長  昨年医療クラスターを打ち出しまして、これは私どもの高度専門医療センター を、産官学の共同研究機能を高めた形で、よりその研究を進めていけるような体 制整備ということで考えたものですが、一方、例えば文部科学省でも橋渡し研究 拠点ということで、大学の臨床研究施設の拠点化を図ることも併せて進んでいま す。そういうさまざまな取組みの中から、今回の要件に合うものが選ばれていく ということで、当然のことながら、医療クラスターの中から、こういったスーパ ー特区に該当する複合体が選ばれていくことはあり得るだろうと想定していま す。必ずしも一緒ではございません。 ○竹中委員  2番のテーマが五つありますが、それぞれ五つに関して、五つのスーパー特区 を作りたいとか、あるいはできる、そういうイメージでしょうか。それとも、テ ーマは五つあるけれども、これを二つとか三つに集約するとか。その辺はどうな のでしょうか。 ○武田経済課長  スーパー特区は、まさに粗々の提案を大忙ぎでまとめて報告した段階でして、 おそらく、いくつここを選べるのかというのは、これまでの規制改革オンリーの 特区と違いまして、国として研究資金を重点的に配分をすると想定していますの で、予算の枠の中でということも考えなければいけないと思っています。  一方で、それぞれ五つのテーマがありますので、一つのテーマ一つだけという ことでは必ずしもないだろうと思っています。一方でいろいろとご意見を伺いま すと、あまり総花的になると制度の趣旨も没却されるのではないかということで すので、今日の段階でははっきりと申し上げられませんが、関係省庁と、どうい った金額の予算要求をするかも含めて、いま相談しているということです。イメ ージとしては、ものによっては、一つひとつの重点分野について複数やられるも のもあるし、一つしか選ばれないものもあるという相場感かなと思っています。 ○宮田委員  二つお尋ねします。一つは、スーパー特区の公募を来月にもやるという噂が流 れていますが、公募申請があったときに、誰がどういう委員会のようなものを使 って審査することをイメージしているのでしょうか。  もう一つは、スーパー特区の中で、特に私が期待しているのは、統合的運用と いうことです。かつて我が国の政府がうまくいった経験のない各省庁からの予算 持寄りで、それを効率よく使うという、素晴らしいことだと思うのですが、例え ば文科省の利益相反のガイダンスと、私たちがこの間作った厚労省の利益相反の ガイダンスは、まあまあ整合性のある形でできていますが、いろいろな意味で、 お金の使い方とか、そういったものを取り巻く規制が意外と各省庁で揃っていな い場合があります。そこら辺の調整はどうやるのかということです。 ○武田経済課長  公募申請をいただいた後の審査体制については、まさに関係省庁と相談中です が、例えば厚生労働省だけが受け付けて、我が省で審査ということではなくて、 これは3省庁連携の下にやる形にはなると思っています。そういった前提の上で、 どういう人選、省庁は当然事務局として入りますし、外部の方の意見を聞くかど うかも含めて、いま細かいところを詰めているところです。  研究資金の統合運用については、おそらく現場からは期待をもってこれを見て いらっしゃるのではないかと思うのですが、役所的にというか、なかなか現実的 には難しい点も多々あるのではないかと思います。まともにやりますと、いまご 指摘のありましたような、各省庁それぞれのルールを変えるのかどうか。そうし ますと、スーパー特区に対する補助金だけルールを変えるのかどうか。悩ましい 点は少なからずあるということかと思います。  これは制度的対応も含めてということであり、かつ、その制度的対応も含めて の検討のために、内閣府が入っているわけですから、関係省庁だけの既存の制度 の中だけではなくて、どのようなことがあり得るのか、是非これから議論してい きたいと思っています。 ○垣添部会長  先に進みます。「革新的技術戦略について」ですが、事務局から報告をお願い します。 ○坂本研究企画官  「革新的技術戦略について」ご説明いたします。関連する資料は資料2-6、2-7、 2-8です。5月19日に、第75回総合科学技術会議が開催されて、そこでこの革 新的技術戦略について取りまとめがなされたということですので、本日お示しし ている資料は、そこで用いられた資料のコピーです。大きな動きですので、本日 その内容についてご報告させていただくものです。  革新的技術戦略については、福田総理が施政方針演説で言及されており、総理 からの指示があり、総合科学技術会議で検討され、5月19日の会議でこのよう に取りまとめられた旨報告され、意見交換の後、この原案どおり決定されたとい うことです。  資料2-6は本件の概要をまとめたもので、まずこちらを見ていただければと思 います。1枚めくっていただくと上のほうに革新的技術については「世界トップ レベルの技術」、「経済社会に大きな波及効果をもたらすことが期待される技術」 という解説的な説明が記載されています。真ん中のほうに「技術開発戦略の展開」、 あるいは「スピード感を持って発展させ、イノベーション創出につなげる」、「成 長力につなげ、世界との競争に打ち勝つ」といったキーワードが赤字で書かれて います。下のほうにあるように、目的とするところは「持続的な経済成長と豊か な社会の実現」ということです。  2頁です。左側にあるように、総合科学技術会議がこのものに関し司令塔機能 を強化して、府省の施策を統括して、責任をもって全体のマネジメントを行える ようにということ。それから、右に取り組むべき課題として「産業の国際競争力 強化」、「健康な社会構築」、「日本と世界の安全保障」という3点が示されていま す。  3頁に、革新的技術の内容について図解されています。「産業の国際競争力強 化」、「健康な社会構築」、「日本と世界の安全保障」というくくりで、「健康な社 会構築」のところと「日本と世界の安全保障」のところに、創薬技術が被ってい ますが、主に「健康な社会構築」関連のところに、厚生労働省関係のものがある ということです。この頁の下のほうにあるように、「『革新的技術』は、技術動向 を注視して総合科学技術会議が不断に見直す」ということで、これで固定的なも のではないということです。  4頁目に、「『革新的技術』の推進のための新たな仕組みの整備」というペーパ ーがあります。1番目として「革新的技術推進費の創設」がありまして、平成21 年度から、新たに革新的技術推進費を創設しようということが記載されています。 それから「『革新的技術』に係る研究開発のマネジメント」「『スーパー特区』制 度等を活用した革新的技術モデル事業の実施」といった課題が、こちらに示され ています。  5枚目が、「革新的技術を持続的に生み出す環境整備」ということで、「革新的 技術のシーズを生み育てる研究資金供給の実現」「未知の分野に挑戦する人材の 確保」の2点の課題について記載されています。  資料2-7が、革新的技術戦略の本文になっています。2頁に、先ほど言いまし た、革新的技術を推進することによって国として取り組むべき課題は、大きく以 下の3点に集約されるということで、「産業の国際競争力強化」、「健康な社会構 築」、「日本と世界の安全保障」というものが示されています。  3頁の下のほうから、「『革新的技術』の推進のための新たな仕組みの整備」と いう項目です。3頁の最後の行から、平成21年度に新たに、「革新的技術推進費」 を創設しとあり、4頁にいきますが、迅速かつ機動的に府省横断的な研究開発投 資を行うとともに、民間との連携も強化し、我が国の総力を挙げた体制を構築し て「革新的技術」の推進を図ると記載されて、その下の○で、革新的技術推進費 の創設の項目があります。  この○の中の2番目のポツですが、革新的技術推進費の説明で、「『科学技術振 興調整費』に新たに措置し、研究開発の加速を機動的かつ弾力的にできるよう制 度設計」となっています。括弧書きの中で、「具体的な規模については、科学技 術振興費の1%程度との提言が経済財政諮問会議においてなされたことを踏ま えつつ、6月中を目途に決定」ということで、こちらについてはまだ決まってい ないわけですが、科学技術振興費の1%程度となりますと、大体100数十億円に 相当すると思われますが、そういった提言があることを踏まえて、今後検討がな されていくとなっています。  4頁の下の方から5頁に、関係府省の協力の下で、研究開発の成果が社会に活 用されるまでを想定したロードマップを作成して、PDCAサイクルを確立して、 研究開発の一体的なマネジメントを実現するに当たって、制度改正が必要なもの は点検していく、といったことが書かれています。5頁の真ん中の辺りでは、先 ほど言いましたスーパー特区等の活用についても書かれています。  6頁では、「革新的技術を持続的に生み出す環境整備」として、「革新的技術の シーズを生み育てる研究資金供給の実現」ということで、切れ目なく、いいテー マに研究資金が投入されるようにといった趣旨での検討課題が書かれています。 「挑戦的かつ高い目標設定の基礎研究への投資」、「切れ目のない研究資金供給」、 こちらのほうで、進行中の案件について、継続課題としての採択審査の連携とか、 優れた成果を上げて、かつ発展が期待されるものについては、継続的に支援して いくべきという趣旨も書かれています。  先ほど委員からご指摘もありましたが、「競争的資金に係るルールの統一化」 に関しても、こちらでも検討課題となっていますので、今後、関係者の間で、こ ちらについてできるだけ統一するような検討を行っていくという方向が出てい ます。7頁の下から、人材の確保について、8頁にかけて記載されているところ です。  この資料の後ろのほうに、革新的技術として総合科学技術会議が選ばれたもの の概要があります。その革新的技術について、1枚紙で、それぞれ個々のものに ついてまとめたものを束ねた資料が、資料2-8となっています。資料2-8の目次 の中程にある「健康な社会構築」、一部「日本と世界の安全保障」までかかって いますが、主にここら辺のものが厚生労働科学研究関係の課題として考えられま す。  運用等については、5月19日において、これが決まったわけで、今後いろい ろ詰まっていくものと考えられますが、枠組みが決まったという状況であります ので、その状況についてこの場でご報告させていただきました。以上です。 ○垣添部会長  ありがとうございました。何かただいまの説明に関して質問、ご発言がござい ますか。 ○宮田委員  これはイノベーション25という、昔話になってしまったのかもしれませんが、 これとの関係はどのようになるのでしょうか。 ○坂本研究企画官  あれはあれで別にあるという理解です。 ○宮田委員  わかりました。 ○垣添部会長  ほかにいかがですか。ないようですので、これですべての議事が終了しました。 その他に事務局からありましたらお願いします。 ○坂本研究企画官  次回の開催については別途日程調整をさせていただいていますので、後日ご連 絡させていただきます。よろしくお願いします。 ○垣添部会長  本日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。                                 −了− 【問い合わせ先】 厚生労働省大臣官房厚生科学課 担当:情報企画係(内線3808) 電話:(代表)03-5253-1111     (直通)03-3595-2171