08/05/23 平成20年5月23日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日  時:平成20年5月23日(金) 13:59〜15:59 ○場  所:厚生労働省 共用第8会議室 ○出席者: 委 員  青木委員、大野委員(部会長)、尾崎委員、加藤委員、佐々木委員、      志賀委員、豊田委員、山添委員、松田参考人 事務局  國枝基準審査課長、小木課長補佐、江島専門官、中田専門官 関係省庁 農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室 小畠補佐      農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室 渡辺専門官      農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課     能田補佐      農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課     峯戸松係長 1.開 会 2.議 題  (1)食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について    ・ジメトモルフ(農薬)    ・ハロスルフロンメチル(農薬)    ・トルトラズリル(動物用医薬品)    ・ピルリマイシン(動物用医薬品)    ・豚オーエスキー病(gI−,tk−)生ワクチン(動物用医薬品)    ・シロマジン(農薬及び動物用医薬品) ・アスコルビン酸(対象外物質)  (2)急性参照用量について  (3)その他      3.閉 会 ○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会 食品衛生 分科会 農薬・動物用医薬品部会」を開催させていただきます。 本日はお忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたし ます。 本日は井上委員、斉藤委員、山内委員、吉池委員、及び鰐渕委員より御欠席なさる旨の御連絡 をいただいておりますが、農薬・動物用医薬品部会の委員13名中8名の御出席をいただいてお り、部会委員総数の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立しておりますことを御報告 いたします。 また、本日は国立医薬品食品衛生研究所食品部部長の松田りえ子先生に参考人として御出席い ただいております。 それでは、大野部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議よろしくお願い 申し上げます。 ○大野部会長 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。皆さんお暑い中集まってい ただいてありかとうございました。 初めに事務局から配布資料の説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、配布資料の確認をさせていただきます。 最初にジメトモルフ、農薬になります。資料1−1「食品安全委員会における食品健康影響評 価結果」。 資料1−2「農薬・動物用医薬品部会報告案」。 2番目にハロスルフロンメチル、農薬になります。 資料2−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。 資料2−2「農薬・動物用医薬品部会報告案」。 3番目、トルトラズリル、動物用医薬品になります。 資料3−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。 資料3−2「農薬・動物用医薬品部会報告案」。 4番目、ピルリマイシン、動物用医薬品になります。 資料4−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。 資料4−2「農薬・動物用医薬品部会報告案」。 5番目、豚オーエスキー病(gI-,tk- )生ワクチン、動物用医薬品になります。 資料5−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果案」。 資料5−2「農薬・動物用医薬品部会報告案」。 6番目、シロマジン、農薬・動物用医薬品になります。 資料6−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。 資料6−2「農薬・動物用医薬品部会報告案」。 7番目、アスコルビン酸、対象外物質になります。 資料7−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果案」。 資料7−2「薬動物用医薬品部会報告案」。 8番目「急性参照用量について」。 資料8、急性参照用量に関する説明資料。 あと、参考資料として、参考資料1「国民平均、幼小児、妊婦、高齢者別の農作物・畜水産物 摂取量(平成10年〜12年の国民栄養調査の結果より)」。 参考資料2「食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影響評価結果について」です。資料の 不足等ありましたら、事務局までお願いいたします。 ○大野部会長 資料はおそろいでしょうか。よろしいですか。 それでは、審議に入らせていただきます。本日は今、説明がございましたが、農薬が2剤、動 物用医薬品が3剤、農薬・動物用医薬品が1剤、並びに対象外物質が1物質ということでござい ます。 なお、資料の作成に当たっては皆さんに事前に資料をお送りしてございます。 それでは、まず農薬ジメトモルフについて、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 農薬1剤目のジメトモルフについて説明をさせていただきます。資料1−2になりま す。 事前に先生方にお送りしたものと若干変更が生じている部分かございますので、お手元の資料 に沿って説明をさせていただきます。 品目名:ジメトモルフ、用途:殺菌剤になります。 菌体の細胞壁の形成を阻害する作用機作と考えられております。 資料1ページの下になりますが、「適用病害虫の範囲及び使用方法」ですが、今回農薬取締法 に基づく適用拡大、それから申請者から国内で使用される農薬等に係る残留農薬基準の設定及び 改正に関する指針に基づいて、残留基準の変更の要請がされたということ。それからコーデック ス基準の設定ということから、以前の改正においてされていましたが、コーデックスの基準の設 定をにらみまして、基準値の設定を行わせていただいているものです。 2ページ〜3ページにかけて「国内における使用方法」を表にまとめてございますが、3ペー ジの下になりますが、「みかん」に枠囲いがされております。これが今回適用拡大をされる部分 になります。 4ページが「米国における使用方法」を書かせていただいております。 資料の10ページ「10.諸外国における状況」です。JMPRにおける毒性評価が2007年にな されまして、国際基準については、本年のコーデックス残留農薬部会においてブロッコリー、キ ャベツ等の残留農薬基準をStep 5/8に進めることで合意がされました。 従いまして、基準値の方は決まってきておりまして、今年の総会に諮られる予定になってござ います。 その辺をにらみまして、基準値案の方の表の中に入れさせていただいてきております。 米国、カナダ、EU、オーストラリア、ニュージーランドについて調査いたしましたところ、 米国においてぶどう、レタス等、オーストラリアにおいてぶどう、ねぎ等に、カナダにおいてば れいしょに、ニュージーランドにおいてぶどうに基準値が設定されている状況でございました。 9ページ、食品安全委員会の方でのADI の評価の部分ですが、食品健康影響評価の結果とし て、無毒性量としては11.3mg/kg体重/day で、ラットの混餌投与、発がん性試験2年間のもの で安全係数100 からADI として、0.11mg/kg体重/day という御連絡をいただいております。 資料の16ページが、基準値案を置かしていただく上での参考基準値の一覧になってございま す。資料の訂正がございますので、その部分を先に申し上げさせていただきます。 17ページの中ほど「その他のスパイス」の下のところに「その他のハーブ」という農産物名 が掲げられています。横に追っていただきまして、外国の参照基準値のところの記載なんですが、 今、お配りの資料が0.5 ppmとしてオーストラリアという記載がざれていますが、基準値案に あるように「20 アメリカ」が正しい記載でございますので、訂正させていただければと思って おります。 もう一点、大体3分の1くらい下のところなんですが、「乳」の下に「鶏の筋肉」ということ で、誤植ですが「0.0.1 」と点がダブってございます。「0.01」ですので、こちらも訂正をさせ ていただければと思います。 基準値案の方ですが、先ほど申し上げました国際基準の動向等を勘案いたしまして、農産物の 隣に書かしていただいている基準値案を置かせていただくことを検討させていただきました。 それで、こちらの食品につきましては、動物性食品の下のところ、17ページの下段にござい ますが、「とうがらし(乾燥させたもの)」「干しぶどう」ということで、一部加工食品にも、コ ーデックスで基準が設定されているという状況も踏まえまして、基準値の方を置かしていただく 形になってございます。 摂取量の評価の方なんですが、18ページ「別紙3 ジメトモルフ推定摂取量」という表でご ざいますが、基準値案に対しまして、国民平均のTMDIを計算いたしますと、表の中ほど下の ところにあります計の欄、692.0μg/人/day ということになりまして、幼小児では397.5μg/ 人/day ということで、対ADI 比としては、11.8、22.9%ということで基準を置かしていただ く形になってございます。 測定の対象物質ですが、こちらにつきましては、従来から記述されておりますので、ジメトモ ルフの本体ということで変わりはございません。 21ページ、こちらが今回御検討いただきます基準値の一覧表になってございます。御審議の 方、よろしくお願いいたします。 ○大野部会長 どうもありがとうございました。 それでは、ただいまの説明についての御質問、御意見ございますでしょうか。 私からですが、10ページの「10.諸外国における状況」で、2行目にある「ブロッコリー、 キャベツ等の残留基準をStep 5/8に進めることで合意された」ということですが、このStep 5/8 というのはどういう意味なんでしょうか。 ○事務局 それでは、御説明いたします。 コーデックスでは、御存じのとおりこういった基準を定めるときに、段階を踏んで基準を定め ているわけですが、Step5の次、本来であれば6、7というStepがありまして、各国の意見等 を聞くということもあるんですが、今回の場合は、その過程を飛ばして、8の最終段階に進めて も構わない。合意に達したということで、ほぼ基準値案としては、合意されたということです。 先ほど説明しましたように、総会で最終確定するのですが、その際、万が一了承されなかった 場合は、再度こちらの部会で審議いただく予定ということで考えておりました。 ○大野部会長 ありがとうございます。総会に行く前の段階ということですね。 ほかに御質問ございますでしょうか。 ○松田参考人 ジメトモルフに限ったことではないんですが、作残試験の方の分析法の概要で、 定量限界のみ示されているんですが、こういうのは回収率とか、精度というものは示していただ くことはできないんでしょうか。 ○大野部会長 いかがですか。今まではなかったですね。 ○事務局 作残試験のデータと農薬抄録の方から引っ張ってまいるんですが、実際には抄録の中 にそういったデータまでは盛り込まれていないケースがほとんどという状況です。 ○松田参考人 こちらで通知試験をつくるときには回収率を全部確認しているので、できれば示 していただきたいと思いますが、難しいでしょうか。これは今後のことです。 ○事務局 まず国内の部分については、農林水産省さんの方でデータが集まってくるとは思うん ですが、ただ、それが十分回収率まで出せるのかどうかというのは、農林水産省さんの方と相談 してみないといけません。あと、外国の方については、外国ということもあって、そこまでのデ ータは恐らく求めることはできないと思います。 ○松田参考人 ありがとうございました。 もう一つなんですが、16ページに基準値案の表がありますが、2.0 と2とけた数の違う数字 が混在しているんですが、これはどちらかに統一した方が、2ということにされた方がいいんじ ゃないかと思います。 ○事務局 こちらで2種類記載がございますのは、どの辺りから基準値を設定したかということ によっているんですが、例えばわかりやすいところで、16ページに「はくさい」がございます が、こちらはアメリカの2.0ppm という基準値を参考に2.0ppm と設定している。その下の「キ ャベツ」については、国際基準のコーデックスでは2ppmという形で設定しており、そちらを 参考にしているということで、こういう形で混在しております。 ○松田参考人 実際には基準値ができてからの運用上は、ここはすごく違うので、元はあれです が、どちらかに統一された方が検査する側としてはありがたいです。 ○大野部会長 ここは計算も小数点以下1けたまで測るか、2けたまで測るかということで、前 にもこの会議で何回か話があったんですが、その方法自体でそのデータによって、この数値はそ のことを意味しているんだと。キャベツの場合は小数点1けたまででいいと。そういう意味合い を含んでいるという御説明だったと思います。ものによって差が出てしまうということは仕方が ないということです。 格好が悪いことは格好が悪いんですが、よろしいですか。 ○佐々木委員 細かいことなんですが、18ページの「オクラ」の基準値案が1.0 ppmとなって いるんですが、これは国際基準では1ppmになっていますので、1ppmでよろしいんじゃない でしょうか。 ○事務局 申し訳ございません。推定摂取量に記載しているオクラの基準値案が1.0 ppmにな っているという御指摘ですね。こちらは1ですので、訂正いたします。 ○大野部会長 では、修正をお願いいたします。 そのほかございますでしょうか。 ○志賀委員 また文字のことですが、1ページの「5.適用病害虫の範囲及び使用方法」の書き 出しが「本薬の」となっておりますが、ほかのところは全部「本剤は」なんです。やはり統一し た方がいい。何か意味ありげに見えてしまう。 ○大野部会長 よろしいでしょうか。「本剤」ということです。 ○事務局 はい。 ○大野部会長 ほかにございますか。 それでは、幾つか修正がございましたが、修正した上でこの報告書をこの部会の報告書とさせ ていただいてよろしいでしょうか。 ○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。 それでは、次の品目に進めさせてください。 次はハロスルフロンメチルでございます。事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 ハロスルフロンメチル、資料2−2になります。 「用途」といたしましては、除草剤になりまして、スルホニルウレア系の除草剤です。こちら は食品安全委員会の方では評価が初めてなされたものになります。 2ページ「5.本薬の適用病害虫の範囲及び使用方法は以下のとおり」ですが、こちらの表に あるような形の農作物への適用となってございます。 とうもろこしにつきまして、飼料用ということで記載がございましたので、こちらに入れさせ ていただいております。食用のものとしてはさとうきび、稲という形になります。 8ページ「10.諸外国における状況」の一番上ですが、JMPRにおける毒性評価はなされてお らず、国際基準も設定されておりません。米国、カナダ、EU、オーストラリア、ニュージーラ ンドについて調査いたしましたところ、米国においてアーモンド、アスパラガス、オーストラリ アにおいて、とうもろこし、綿実等に、ニュージーランドにおいてとうもろこしに基準が設定さ れてございました。 前の7ページ、こちらが食品安全委員会の方から御連絡をいただきましたADI の評価です。 無毒性量としては、イヌでカプセル強制経口投与の1年間慢性毒性試験の10.0mg/kg 体重/ day 、安全係数100 として、0.1mg/kg体重/day という御連絡をいただいております。 13ページが基準値の一覧表です。基準値の現行のところに網掛けがされておりますので、基 準の見直しを併せて行っております。 注釈の方に書いてありますが、本文中に記載をさせていただいておりますが、0.02 ppmとい う基準を置かせていただいておりましたが、分析が0.01まで可能という確認がなされましたの で、一律基準ということで、0.01 ppmということで基準値欄の記載が削除になってございます。 参考基準値の欄の記載を参考にいたしまして、基準値案の作成をさせていただきました。 ア スパラガスのところで「0.8 アメリカ」という記載がございまして、基準値案としては0.2 ppm を置いているんですが、数字的にずれている部分があった関係でこのような基準の置き方になっ てございます。 14ページ〜15ページにかけまして、基準値案が表にお示ししております。その中で修正が必 要な部分がございましたので、訂正をお願いしたいと思いますが、15ページのところの「その 他のハーブ」「その他のスパイス」で、「作物残留試験成績」の記載で「米国の未成熟えんどうを 参照」となっていますが、これは「未成熟いんげん」に修正をお願いしたいと思います。 右側14ページの表と同様に未成熟いんげんを参照して、未成熟いんげん、その他の野菜等の 基準値を置かしていただいておりますので、この部分、未成熟えんどうをいんげんに訂正いただ ければと思います。 摂取量の評価ですが、1枚めくっていただきまして、16ページ(別紙3)「ハロスロフロンメ チル推定摂取量」ということで、国民平均で見まして、TMDIとしては32.0μg/人/day という こと。 それから、幼小児におきましては、18.2μg/人/day ということで、ADI に占める割合とい たしましては、国民平均では0.6 %、幼小児でも1.1 %という形で基準の方を置かしていただ いている形になってございます。 18ページが本剤につきまして、今回御検討をお願いいたします農産物の基準値の一覧表にな ってございます。 以上でございます。御審議の方よろしくお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明についての御質問、御意見 ございましたら、お願いいたします。 ○松田参考人 2ページの表ですが、「適用病害虫」となっておりますか、これは雑草ではない んでしょうか。表頭は雑草と書いてあります。 ○事務局 申し訳ございません。訂正させていただきます。 ○大野部会長 ありがとうございます。 ほかにいかがでしょうか。 ○佐々木委員 14ページの表の一番下ですが、「その他の果実」に「米国のトマト、ピーマン及 びとうがらし」を参照して基準値を置くというのはなぜなんでしょうか。これらは果実ではない と思うんですが、それを参照して果実に基準を置くという理由。 それから先ほどのハーブもなんですが、その他のハーブの場合、やはり野菜のいんげんを参照 して基準を置かなければいけないというのは何か理由があるんでしょうか。 ○事務局 まず第1点目の「その他の果実」の部分についてですが、米国の考えで、Fruiting・ Vegetablesというグループでなす科野菜等の基準を設定しておりまして、そちらからの「その 他の果実」ということで、日本の方では設定しております。 もう一点「その他のハーブ」なんですが、こちらはポジティブリスト制度を導入したときに「そ の他のハーブ」という食品分類をつくったときに、「その他の野菜」から分かれたという経緯も ございまして、基準値を引っ張ってくるときに、未成熟いんげんとその他の野菜の部分というこ とで、こちらの基準値を参考として、ほかの剤も設定を行っているという経緯がございます。 ○大野部会長 Fruiting・Vegetablesの中に果実も含めているということですか。わかりました。 ほかにございますでしょうか。 ○事務局 先ほどの「その他の果実」の部分で補足なんですが、Fruiting・Vegetablesの中には、 例えばペピーノといった果実も含まれるということで、そういった部分も参考にして設定してお ります。 ○大野部会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。 よろしいですか。 これについても若干修正がございましたが、その修正を踏まえたものをこの部会の報告として よろしいでしょうか。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。 次は動物用医薬品のトルトラズリルについて御説明お願いいたします。 ○事務局 それでは、説明させていただきます。 トルトラズリルになります。「用途」ですが「牛、豚・鶏等のコクシジウム病の予防及び治療」 に用いられます。 本薬については、既に食品安全委員会で評価がなされておりまして、動物用医薬品の評価書、 資料3−1を見ていただければわかるとおり、第2版となっております。 今回、動物用医薬品の承認申請がなされたことに伴って、内閣府食品安全委員会において食品 健康影響評価がなされたことで、今回審議をしていただくことになりました。 資料3−2の2ページ目にあるんですが、本薬については既に基準値もありまして、本薬の使 用方法のところが2ページに表になっておりますが、牛・豚について今回動物用医薬品としての 承認申請がなされておりまして、日本のところが、牛については59日、豚について休薬期間が 57日となっております。外国では、例えば牛については、ニュージーランドで56日の休薬期間、 豚についてはニュージーランドでも49日間の休薬期間というのがあり、日本の休薬期間がそれ よりも短くない。既にそれよりも短い休薬期間の国が存在するということで、本薬について残留 基準を変更しないことが適当であるという答申案、18ページにありますが、そういう答申案に したいと思っております。 御審議のほどをお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。同じ目的に使うのに、国によって 休薬期間が違うというのは何か理解できない気がしますが、特に何か違う理由みたいなものはあ るんですか。 ○大野部会長 農林水産省さんの方からお答えいただければと思うんですが。 ○農林水産省 私もすべて存じているわけではないんですが、設定した時期によって、休薬期間 を決める試験法とか解析の仕方が変わっておったり、国によってその対象とする組織が違ったり しますので、そういったことで国によって若干ずれるということは、ほかの製剤でもあります。 特に新規のものは長くなる傾向というのはあるんですが、国によって違うというのはほかにもあ ると思います。 ○大野部会長 ときどきあるんです。設定した時期と、対象とするものが国によって違うという 可能性があるということですね。 ○農林水産省 それは十分に考えられると思います。 ○大野部会長 ありがとうございました。ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。 それ では、トルトラズリルについての答申案は、現行の食品規格を変更しないことが適当てあるとい う結論でございますが、この部会報告でよろしいでしょうか。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。 次の品目ですが、ピルリマイシンについて御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、説明させていただきます。ピルリマイシンです。 「用途」ですが、「泌乳期の牛乳房炎の治療」ということで、リンコマイシン系抗生物質とな っております。先ほどのトルトラゾリルと同じなんですが、ピルリマイシンについても、食品安 全委員会での評価が既になされておりまして、資料4−1を見ていただければわかるとおり、ピ リルマイシン(第2版)となっております。 「適用方法及び用量」について、資料4−2に示しておりますが、まず1ページのところに「ビ ルリマイシンの使用対象動物の主な国における、用法用及び休薬期間を以下に示す」ということ で、2ページから表があります。 これも先ほどと同じですが、例えば牛のところを見ていただければわかりますが、アメリカで 休薬期間が9日、カナダは14日間、ニュージーランドが10日であるのに対して、日本は20日 となっております。 あと泌乳牛についての休薬期間ですが、アメリカ36時間、カナダ48時間、ニュージーラン ド60時間となっているのに対して、今回の日本の申請については、60時間となっており、最短 ではなくて、外国の休薬期間よりも長い値となっております。 資料4−2の一番最後の11ページに「答申案」ということで、ピルリマイシンについては、 現行の食品規格を変更しないことが適当であるという答申案にしたいと思っております。御審議 のほどをお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。2ページ目の上の表で、泌乳してい る牛の方が休薬期間は短くて、泌乳していない方が長いというのは、これはどういうことなんで すかね。泌乳している方が乳を使うわけだから、もうちょっと長い方がいいんじゃないか、逆み たいな感じがするんですが、これは何か理由があるんですか。 ○事務局 牛と書いてある方は肉に残留するということで、泌乳牛は乳となります。搾乳をして いる牛で、牛乳の場合は60時間、と殺して肉にする場合は20日間を置くことになります。 ○大野部会長 わかりました。ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。特にご ざいませんか。 それでは、ピルリマイシンについても、現行の食品規格を変更しないことが適当であるという 答申案でございますが、この答申書でよろしいですか。 ○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。 それでは、次の品目ですが、豚オーエスキー病(gI−,tk−)生ワクチンについての説明を お願いいたします。 ○事務局 それでは、説明いたします。 豚オーエスキー病(gI−,tk−)生ワクチンの「用途」ですが、豚のオーエスキー病の発症 予防です。本剤は強毒オーエスキー病ウイルスNAL-3 株由来の2.4-N3A 株を弱毒化した Begonia 株を主剤としております。 「有効成分」についてですが、オーエスキー病ウイルスの弱毒化したBegonia 株になります。 「諸外国における使用状況」ですが、本ワクチンについては、欧州等で承認をされております。 「許容一日摂取量(ADI )評価」についてですが、資料5−2の2ページ、食品安全委員会 の食品健康影響評価が示されておりまして、その食品健康影響評価の中において、当生物学的製 剤が適切に使用される限りにおいては、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視で きると考えられるとされております。 答申案ですが、資料5−2の最後のページに「答申案」ということで、豚オーエスキー病生ワ クチンについては、食品規格を設定しないことが適当であるとしたいと思っております。御審議 のほどをお願いいたします。 ○大野部会長 いかがでしょうか。残留基準を設定しないということでございますが、この報告 について、御意見、御質問ございますでしょうか。 特にございませんでしょうか。 それでは、この豚オーエスキー病の生ワクチンに関して、この報告案をもって、この部会の報 告としてよろしいでしょうか。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。 続きまして、資料6−1と6−2のシロマジンについての説明をお願いいたします。 ○事務局 資料6−2、シロマジン、殺虫剤なんですが、動物用医薬品というか、動物を飼育し ている場面での使用ということもございます関係で、農薬の方と分けて説明をさせていただきま す。 まず農薬の部分ですが、2ページ目、こちらは現行の基準がございますが、適用の拡大がなさ れております。表の中のミニトマト、メロン、チンゲンサイというところで農作物の適用の拡大 がされております。 作物残留試験の分析対象としては、シロマジンということです。 9ページ「12.諸外国における状況」ですが、これもやはり先にありました剤のように、2006 年JMPRにおける毒性評価が行われておりまして、ADI が設定されてございますが、23ページ の脚注に書いてございますように、国際基準であるコーデックス基準において、本年のコーデッ クス残留農薬部会において、シロマジンに係る残留基準がStep 5/8に進めることで合意がされ るということで、採用してございますので、その旨を文章中に入れさせていただくようにいたし ます。文章が抜けておりまして、申し訳ございません。 国際基準はセロリ、きゅうり等に設定がされております。米国、カナダ、EU、オーストラリ ア、ニュージーランドに調査をいたしましたところ、米国でブロッコリー、ねぎとう、カナダに おいてセロリ、ほうれんそう等、オーストラリアにおいて畜産物、ニュージーランドにおいて畜 産物に基準値が設定されている状況でございました。 その一段上、食品安全委員会からの健康影響評価の結果です。 無毒性量としては、ラットの混餌投与で2年間の慢性毒性/発がん性併合試験の長期投与試験 での1.81mg/kg 体重/day 、安全係数100 、ADI として0.018mg/kg体重/day という御連 絡をいただいております。 資料の21ページ、こちらが参照基準値を一覧にしましたものなんですが、これも訂正がござ いますので、その分を先に申し上げさせていただきます。 21ページなんですが、下から6行目辺りに「パセリ」というのがございます。参考基準値案、 アメリカで7.0 ppmという記載がございます。基準値案のところ、先ほど御指摘もございまし たが、私どもの方で基準値として確認ができている表示けた数が7.0 ppmということなので、 一応資料を作成する上でのけた数の記載としては、基準値7と書かれていますが、7.0 ppmとい うことで訂正をさせていただければと思います。 記載漏れなんですが、そのすぐ下の「セロリ」のところなんですが、現行基準値として5ppm という数字が置かれてございます。基準値案もこうなっているんですが、登録の有無のところの 欄が○が抜けていますので、こちらを入れておいていただきたいと思います。 24ページ〜25ページにかけて「シロマジン推定摂取量」ですが、基準値の上限一杯まで残留 していると仮定して、算出するTMDIで摂取量の推定を行いますと、本剤につきましては、国 民平均の方で731.0 μg/人/day ということになり、幼小児の方では355.7 μg/人/day とい うことになります。 ADI 比で見ますと、国民平均の方では76.2、幼小児の方では125.1 %ということになりまし たので、EDI による摂取量の評価を行っております。 それによりますと、暴露評価に用いた数字が「基準値案」の隣に書かれていますが、これに基 づきまして、算出したところ、国民平均のEDI としては231.2 μg/人/day ということ。幼少 時におきましては、110.7 μg/人/day ということで、ADI 比で見ますと、24.1%、それから 38.9%という形で推定摂取量の方の評価になってございます。 農薬の方にいきますが、28ページが今回御評価いただきますシロマジンの方の基準値案とい うことですが、先ほど申し上げましたように、パセリのところの数字ですが、7ppmと書かれ ていますが、今確認できているけた数で7.0 ppmに修正をお願いしたいと思っております。 ○事務局 動物薬についても基準値を示しておりまして、28ページの下半分よりも下のところ に動物薬としての基準値を示しております。 御審議のほどをお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございました。ただいまの剤についての御質問、御意見ございますで しょうか。 ○佐々木委員 25ページの摂取量の基準値案ですが、「家禽の肉類」が0.2 ppmとなっています が、これは0.1 ppmではないんでしょうか。 ○大野部会長 いかがでしょうか。 ○事務局 誤りです。それから、先ほどの説明で誤りがありました。答申案という形で示してお りますが、実際に動物薬としての基準値については、資料6−2の23ページに一番右の欄に休 薬期間1日とか3日とありますが、そこのところが今回の動物薬としての基準値になります。そ れ以外のところは飼料由来の農薬としての残留値になります。 ○大野部会長 御説明ありがとうございます。ほかに御質問ございますでしょうか。よろしいで しょうか。 それでは、この答申案をもちまして、その部会の答申とさせていただきたいと思いますが、よ ろしいでしょうか。 ○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。 それでは、次に対象外物質のアスコルビン酸についてお願いします。対象外物質というのは、 この部会の対象外物質ということですが、意味がよくわからなかったんです。 それも含めて説明をお願いします。 ○事務局 それでは、対象外物質アスコルビン酸についての御説明になります。資料7−1と7 −2になります。 まず、対象外物質とはどういうものなのかということですが、対象外物質とは農薬等として使 用されたものが食品に残留した場合であって、その食品を摂取することによって人の健康を損う 恐れがないことが明らかであるものについて、ポジティブリスト制度の規制の対象から除外して おります。そのように食品衛生法第11条第3項に規定されております。 この対象外物質については、食品添加物とかビタミン類のものが幾つか指定されておりまして、 合計65物質が指定されております。対象外物質アスコルビン酸という形になっております。 アスコルビン酸については、L-アスコルビン酸、あるいはL-アスコルビン酸カルシウムとい うものが動物薬、あるいは飼料添加物として使用実態がありまして、これらの物質が化学的に変 化し、生成された物質として整理されたということで、L-アスコルビン酸、あるいはL-アスコ ルビン酸カルシウムについて、アスコルビン酸という相対的な形で対象外物質に指定をされてお ります それでは、アスコルビン酸について説明をさせていただきます。 資料7−2「物質名」アスコルビン酸になります。 「用途」、ビタミンC欠乏症の予防及び治療、そして、ビタミンCの補給になります。 アス コルビン酸はアスコルビン酸及びその塩類がビタミンC欠乏症の予防及び治療並びにビタミン C補給を目的として動物用医薬品及び飼料添加物に既に我が国において承認、利用されておりま す。 また、我が国では昭和32年にL-アスコルビン酸及びそのナトリウム塩が食品添加物として指 定されて以降、食品の酸化防止剤や強化剤等として使用されております。同様に世界中でも動物 用医薬品、飼料添加物、及び食品添加物として幅広く使用されております。 今般、農林水産大臣からL-アスコルビン酸ナトリウムについて、飼料の安全性の確保、及び 品質の改善に関する法律に基づく飼料添加物の指定に係る意見聴取、あと厚生労働大臣からアス コルビン酸について、食品衛生法に基づく人の健康を損う恐れのないことが明らかであるものと して、厚生労働大臣が定める物質、以下対象外物質という。それの設定に係る意見聴取が食品安 全委員会に対してなされたことに伴い、内閣府食品安全委員会によって食品健康影響評価が実施 されました。 資料7−1にアスコルビン酸の食品安全委員会における評価がなされております。 資料4ページ、アスコルビン酸が動物用及び飼料添加物として適切に使用される限りにおいて、 動物に残留したL-アスコルビン酸及びその代謝物が食品を介して人の健康を損う恐れがないと 考えられるという食品安全委員会の評価がなされております。 その評価結果を踏まえ、資料7−2の3ページ、「9.対象外物質としての設定」に、規制対 象としてL-アスコルビン酸及びその塩類ということで、規制案として、食品衛生法第11条第3 項の規定に基づき食品中の残留農薬等に関するポジティブリスト制度導入に際し、対象外物質と して65物質が設定されており、L-アスコルビン酸及びその塩類についても、アスコルビン酸と して設定されたところであり、今般、食品安全委員会における評価結果を踏まえ、L-アスコルビ ン酸及びその塩類をアスコルビン酸とし、食品衛生法第11条第3項の規定に基づく対象外物質 として設定することとする。 「答申案」として、アスコルビン酸については、食品衛生法第11条第3項の規定により、人 の健康を損うおそれがないと明らかであるものとして定めることは妥当であるという答申案に したいと思っております。 御審議のほどお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございました。 それでは、このアスコルビン酸の答申案についての御意見、御質問をお願いいたします。いか がでしょう。 ○志賀委員 もう一つ細かい話で、文字のことです。1ページの「用途」の後半の段落の部分で、 最後の2行の部分にありますこれこれ、農林水産大臣から厚生労働大臣からに続いてくると思う んですが、設定に関わる意見聴取されたことに伴い、これこれがなされたという点ですが、この 意見聴取されたことに伴いというのが、何かつながりがよくないので、後になされたというのが ありますから、重なるのも多少気持ち悪いかもしれませんが、やはり設定に関わる意見聴取がな されたことにより、これこれがなされたとせざるを得ないんじゃないか。もしもどなたか、重な らない表現があれば提案していただければといいと思うんですが、ちょっと主語などの関係が落 ち着きの悪い文章だという感じがしました。 ○事務局 適切に修正したいと思います。 ○志賀委員 御検討いただければと思います。 ○大野部会長 それは確認してください。 ○山添委員 中身のことではないですが、今回アスコルビン酸としてということで、それまでは L-アスコルビン酸だったわけですね。ここに既にL-アスコルビン酸として設定したというのは、 何かそこの経緯を知らないものですから、教えていただければと思います。 ○事務局 ポジティブリスト制度が導入された際に、対象外物質についてのいろいろな議論がな されたようです。その中で具体的にどういう物質の使用実態があるかということを農林水産省な どに確認を取ったところ、飼料添加物あるいは動物用医薬品としてL-アスコルビン酸、あるい はL-アスコルビン酸カルシウムがあったということで、それらの物質について対象外物質とい うことで指定をするということで、対象外物質に設定する際に、整理の仕方として、物質が化学 的に変化して生成された物質ということで、総体という形でアスコルビン酸という形になったと いう記録があります。 アスコルビン酸と言われれば、L体とかDL体とかもあるとは思うんですが、このL-アスコル ビン酸以外の光学異性体については、エリソルビン酸という別の物質と取り扱われており、それ については含まれないということで、対象外物質の中に含まれるものはL-アスコルビン酸とL- アスコルビン酸カルシウムという整理が当時なされております。 ○山添委員 実質的には変わっていない。 ○大野部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。 ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。 よろしければ文章表現が、確認の上で修正される可能性がありますが、それを踏まえて、この アスコルビン酸の答申案をもって、この部会の答申としてよろしいでしょうか。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。 それでは、今日の農薬及び動物薬についての審議は一応終了いたしました。今後の手続につい て説明していただけますでしょうか。 ○事務局 本日御審議いただきました動物用医薬品豚オーエスキー病生ワクチン及び対象外物 質アスコルビン酸については、食品安全委員会からの通知を待って部会報告書とさせていただき ます。 あと、農薬ジメトモルフ、ハロスルフロンメチル、動物用医薬品トルトラズリル、ピルリマイ ン及び農薬・動物用医薬品シロマジンについては、食品安全委員会からの通知を受けております。 一部修正とかがありますので、その部分については先生方に御相談をさせていただいた上で部会 報告書を作成させていただきたいと思っております。 なお、今後の手続につきまして、食品衛生分科会にお諮りするとともに、パブリック・コメン ト、WTO通報の手続を進める予定としております。 ○大野部会長 ありがとうございました。 それでは、今日の議題の2番目として、「急性参照用量について」という議題がございます。 それについて入りたいと思います。 それでは、事務局から背景の説明について説明をお願いいたします。 ○事務局 「急性参照用量」の関係について、若干の経過の説明をさせていただこうと思います。 基準値を設定する際には食品安全委員会の評価書をこちらの方に変えていただくのですが、そ の中に新たな指標ということで、この「急性参照用量」というものが評価書の中に盛り込まれた 形でこちらの方に御連絡をいただいたものがございます。具体的にはメタミドホスということに なってまいりますが、有機リン系の殺虫剤ですが、こちらの方で「急性参照用量」という評価指 標が盛り込まれました。 経過といたしましては、2008年2月12日にこちらの方から、食品安全委員会の方に残留基準 の設定に係る健康影響評価について、要請をいたしまして、2月27日に専門調査会幹事会の方 で御議論がされ、4月22日に専門調査会で評価の確認がされて、4月25日に専門調査会座長 から食品安全委員会委員長への報告がされて、5月1日の会合でその合意がされ、厚生労働省の 方へ健康影響評価の結果として回返されてきているものでございます。 評価書の方の記載なんですが、通常のADI の方から申し上げますと、食品安全委員会の農薬 専門調査会の下に検討されたADI としては、イヌを用いた1年間慢性毒性試験の0.06mg/kg 体 重/日を根拠といたしまして、安全係数100 で除した0.0006mg/kg 体重/日をADI というこ とで、御評価をいただいております。 併せまして、参考という形になりますが、「急性参照用量」の記載をいただいておりまして、 国内で高濃度のメタミドホスを含有する冷凍食品による中毒事例が生じたことを受けて、メタミ ドホスの急性的な毒性影響について、諸外国の記載があるということを参照に、急性的な毒性評 価の指標として、参考情報として示すということで記載をいただきました。 メタミドホスの単回投与試験で得られた無毒性量の最小値がラットを用いた急性神経毒性試 験で得られた0.3mg/kg体重/日であったということから、これに安全係数を加味いたしまして、 0.003mg/kg体重/日ということで「急性参照用量」とすることが妥当ということで、こちらの 方に御連絡をいただいております。一度に摂取するメタミドホスの量がこれを下回る場合に、急 性的な毒性影響は生じないであろうとされる量だということが付記されてございます。 以上のようなことで、「急性参照用量」というものが食品安全委員会の方の評価結果として盛 り込まれたものが回付されてまいりましたので、急性参照用量というものにつきまして、今回こ の部会の方に諮らせていただいたということでございます。 経過としては以上でございます。 ○大野部会長 ありがどうございます。関連して、資料8について、これは加藤先生にお願いし てよろしいですか。 それでは、説明をお願いいたします。 ○加藤委員 「急性参照用量」、Acute Reference Doseという毒性指標が設定されました。この 毒性指標そのものがどういう意味を持っているかということよりも、この委員会で一番重要なの は、リスク管理機関ですから、この値に関連して、どういうリスク管理をしていくか。それにい ろんな指標として、海外、国際機関等ではどんなことをされているのか。それを見て参考にして、 日本でどうしているかということを考える参考にしていきたいということで、今日お引き受けた したわけです。 本来であれば、短期暴露評価につきまして、この部会の前の委員であられる米谷先生の研究班 で吉池先生と、今は農林水産省の山田審議官が、厚生労働省の科研費を使って短期暴露評価用の 食品摂取量のデータベースの構築と、短期暴露評価法の研究をこの16年度から18年度の3年 間、19年度からも続いていたと思いますが、そこで研究されておりますので、このお二人。特 に山田審議官がFAO で、コーデックス委員会のセクレタリーとして長らくAcute Reference Doseを設定し、そして暴露評価をどうしていくか。その手法の設定を中心になってやっておら れた方で、このお二方に評価というか、講義をしていただくのが本当は一番いいんですが、どう いうわけか今日はおいでになれないということですので、ピンチヒッターとして、私がわかる範 囲で代役として僣越ですが、話させていただこうと思っております。 お渡ししている資料は、直接お話することに絡んではおりませんが、特にJMPRでの考え方 はどうなのかは簡単に整理されたもので、そこで使われているいろんな手法について現在どうい う問題点があるんだということを書かれたものが資料(1)のところです。FAO /WHO の2006 年の評価書のジェネラル部分の一部です。2の4区を取ったものです。 それから、次の(2)というの、現在、JMPRでコーデックス基準をつくる際に短期暴露評価をし ているんですが、その短期暴露評価をしているときに使っている数値の一例です。3種類ほどご ざいます。 それから、(3)というのが、実際の評価の例です。この辺りまた後で御説明します。 最後のと ころは、今、冒頭で申し上げました吉池先生と山田先生の18年度分の研究報告書の要旨と重要 な表の一部を抜粋して出したものです。 これを途中で参考にしながら簡単に御説明させていただこうと思います。 最初にAcute Reference Doseと言いますは、90年代の始めには、short-term ADIという ふうに呼ばれていたこともあります。一日当たりの摂取量ということで呼ばれていたわけですが、 当時の定義でデイリーという言葉の問題、それからアクセプタブルというころで多分引っかかり があって、こういうアメリカで慢性毒性に関しては、ADI に相当するものとして、慢性参照量、 cRfDという呼び方がありますので、これに対応した形でのこちらの呼び方、これが1994年の JMPRで採用されるようになったようです。 このAcute Reference Doseに対応する短期暴露評価を理解する上で一番重要な点と言います のは、農薬を散布した農産物中での残留量、これは圃場間でのばらつきは勿論ありますが、同じ 試験区の中でも1個ずつの、例えばトマトであれば1個ずつのトマト、圃場の中の端から真ん中、 それから木の中の方から外、上から下、いろいろなばらつきがあります。そういうばらつきがあ るものについて、1回の食事という急性的な摂取を考えるとき、その中の一番高い濃度だけを食 べる機会も出てきてしまいます。ですから、短期暴露ではこういう場合を考えないといけないと いうこと。 反対に通常の分析の場合は、試験区画とかロットの中のばらつき、それを直接反映させないよ うにできるだけ全体を代表するように複数の場所から選んで混ぜ合わせて、それを混合して混成 飼料として分析するという、平均値を取るという分析をしてきます。 ですから、長期的な暴露を考える際の数値としては非常にいいことになりますが、今申し上げ たように、1回とか2回で一番高い濃度で残っているようなサンプルを食べてしまうことも考慮 して評価していくときの濃度の表し方、考え方ということでは、ずれてしまう。ですから、そこ のところのことが短期暴露評価を考える際の一番重要なポイントになってきます。 以下、国際基準を設定する基礎になっていますJMPRの短期暴露評価について簡単に紹介さ せていただきます。キーワードになるのはここに書いてあるようなことです。 短期暴露というのは、24時間以内の暴露のことである。それから、混成飼料と食品の単位、 ユニットと言いますが、1個ずつでの飼料との関係。 それから、多食者での短期摂取量を問題にしてくるんだというのがキーワードになると思いま す。 このAcute Reference Doseという毒性指標が決まった以上、リスク管理機関としては何ら かのことをやらないといけないわけですが、通常国際機関等でやられることは、Acute Reference Doseを指標にして、従来でしたらADI だけを問題にして、長期暴露量と比較して、長期暴露に よる影響がないというリスク管理をしていたんですが、これからはやり方次第ではあるんですが、 短期暴露量もきちんと評価して、それをAcute Reference Doseと比べて、短期暴露量について Acute Reference Doseを超えることはない。 かつ、長期暴露量についてもADI を超えることはない。こういう管理をしていかないといけ ない。どちらかを超えるようケースがあるんであれば、そういう農薬の使い方は公衆衛生上問題 があるということで残留基準値は設定できないし、そういう使い方も許可できないということに なってくるんだろうと思います。 これはAcute Reference Doseを設定して短期暴露量のリスク評価を実施している国なり国際 機関でどんなところがあるのかということを出したものです。 そもそもAcute Reference Doseという概念が出てきましたのは、1980年代にアメリカとかア イスランドで、アルジカルブを散布したスイカとかきゅうりを食べた人で、消費者の段階で中毒 症状を起こしてしまったという事例が出まして、90年代の初めにCCPR、コーデックス委員会 の総会ですが、これが短期リスク評価の毒性指標としてADI だけでは足らないんだと。評価で きない。JMPRに急性毒性のある農薬の食品系のリスク評価を検討するよう依頼したというとこ ろがそもそもの発端です。 JMPRでは1994年からモノクロドーズとアルジカルブのARfD、Acute Reference Doseの試 算を開始しまして、97年から国際評価のためのいろんな基礎情報の収集、それから99年から正 式に「急性参照用量」の設定と「急性暴露評価」をスタートさせています。現在はずっとやられ ている状態です。 アメリカにつきましては、96年からは間違いなくスタートしているということです。 オーストラリアでも99年辺りから、EUでも2000年辺りから始まっていますし、EUとし てのスタートよりも前にオランダ、ドイツ、UKが先行して進めております。 その評価の手法につきましても、アメリカ、オランダ、UKは確率論的な評価手法、あとで説 明いたしますが、確率論な評価手法を用いています。 ということで、海外では10年近くこの評価の仕方についてはいろんな経験があるという情報 でございます。 ここで改めてAcute Reference Dose、「急性参照用量」というのはどう定義されているかとい うことを見ますと、これはJMPRで2002年に出された定義であります。 日本語でいきますと、既知の全知識に基づいて人は24時間、またはそれより短い期間内、こ こがポイントですが、摂取しても健康上リスクがない食品及び飲料水中の残留農薬の量というこ とで、その表示の単位はADI と同じように体重当たりの量で表現されます。 ここの24時間、それより短い期間というのは、そもそもAcute Reference Doseが問題になっ た当時は、もう少し強いというか、その時点では1回の食事の方に重点がかかったものです。た だ、1回の摂取量データベースでは全然ありませんので、それで現実的なところとして24時間 以内という表現の定義に変わってきたわけであります。 Acute Reference Doseについての課題というのは、言うまでもなく、「急性参照用量」をどう 設定するかということ。 もう一つは、それを生かしていくためには、短期暴露量のリスク評価をどうしていくかという 2つのポイントになるかと思います。 「急性参照用量」の設定の方につきましては、先ほど申し上げたように、97年辺りからいろ んな試行がされて、とんでもない数字のAcute Reference Doseが設定されたことがありました が、大分整備されて、2005年にはほぼ固まってガイドラインも出るようになりました。 今回それを受けて食品安全委員会の方で参考という格好ではありますが、Acute Reference Doseが設定されたんだと思います。 毒性試験のエンドポイントとしては、単回なり短期の反復投与試験のNOAEL 、これをベー スにするということ。その場合の主なターゲットにするのは、血液毒性、肝、腎での障害、神経 毒性、免疫毒性、発達毒性、こういったところを取ります。 安全係数は標準的な動物実験データであれば100 、ヒトのデータで信頼できるものがあれば 10ということが言われています。 カット・オフ・レベルも、実験動物でのNOAEL が500mg/kg体重/日、この辺りが一応出 されている状態です。 こちらの方につきましては、専門外ですので、省きまして、短期暴露リスク評価の方に移りま す。 これは先ほども申し上げたように、管理の方法としては、短期暴露量をどう測るのかは別です が、それがAcute Reference Doseを超えることがないようにしていかなければいけないという ことになります。 この方法にも大きく分けて2つございます。 1つは、決定論的な方法、これは1点での評価法ということになります。JMPRなり、現在オ ーストラリアで取られている方法です。必要なデータベースが小さくて済むという利点がござい ます。これは最初からターゲットにする部分を設定しています。摂食者の暴露量分布の99.94 % タイル値を推定して、その時点レベルがAcute Reference Doseを超えるかどうか、こういうこ とで評価しているという方法です。 これにつきましては、かなり過剰な評価になってきますので、個別の試験ごとの評価をするこ とになっています。 もう一つの方法は、確率論的な方法です。これは非常に膨大なデータベースを要求します。ア メリカ、UK、オランダで取られている方法でありまして、関連の全食品からの暴露量の分布を 推定して、それで評価していくという方法です。 これが確率論的方法の概略です。摂取量のデータと、残留量の分布のデータ、両方の分布のデ ータをかけ合わせて、モンテカロルシミュレーション法を使って、数十万回のシミュレーション をして、最終的に集団としての暴露量の分布を調べ、それでAcute Reference Doseとの関係を 評価しているという方法になってきます。 JMPRによります国際短期暴露量推定法というのがあるんですが、これをJMPRでコーデッ クス基準を勧告する際に、その勧告する基準値がこの国際短期摂取量推定値を超えていないかど うか。それを検証するためにやられている方法です。 ここでのポイントは2つあります。IESTI はprediction of the short-term of a pesticide residue o the basis of the assumptions of high daily food consumption per personと、highest residues from supervised trials, allowing for residues in the edible portion ということで、摂 取量については、high daily food consumption ということで、large portion 、多食者による摂 食量を問題にしているということ。 それから、残留量の方については、可食部、ユニットごとで測定した可食部の最高残留量、こ れを問題にするということです。 ユニットと言いますのは、残留データを取る農産物、可食部の単位ということになります。そ の重量は中央値で表すことになっております。ぶどうであれば1房、バナナであれば1房、ただ し6本、りんごであれば1個、セロリであれば1株ではなくて1本ということであります。 もう少し詳しく言いますと、食品摂取量につきましては、摂食者をターゲットとした摂取量の データの分布の97.5%タイル値を取るということ。この場合季節変動等についてもある程度考 慮しないとまずいということです。 今、長期暴露で使っている、今回も参考資料の方で出ています摂取量の表がありますが、ここ の数字とどれくらいの関係になるかということでは、あとでもう少し詳しく言いますが、長期暴 露で使っている摂取量表は、非摂食者を含めた平均値です。かなり大きな数値の差が出ます。残 留濃度につきましては、ユニット別、個体別といってもいいと思いますが、その中の最高濃度 97.5%タイル値、実際にはもう少し高い数字になります。 圃場間での平均値で見た場合一番高い圃場の中での個体レベルの間での分布の97.5%タイル 値を取るということになります。 この両方から最終的にターゲットにしているのは、暴露量分布の99.94 %タイル値、ここ以 上の暴露量を点評価して、それをAcute Reference Doseと比較していくという評価法になりま す。 こういう取り方をするんですが、その際、農産物の取り方、1回の食事でどう摂っていくかと いうことについて、ある程度現実的なところを取っています。1回の食事で最高濃度のユニット、 それを何個も摂るということはあり得ませんので、1回の食事というのは、24時間以内の食事 ということですが、最高濃度の複数ユニットの農産物は1個だけでしか摂らないということです。 そのほかのものは平均値をベースした最高濃度のものを摂るという評価をしていくことになり ます。 今申し上げた最高濃度というところですが、これは作残試験で各農薬、各作物ごとにすべて実 測するということは到底できません。正確に測ろうとしますと、先ほど書きましたように、1圃 場、1時点の採取ポイント数が120 なり140 個くらいを取って、それを全部分析しないと出ま せんので、そういうことはしない。一定の換算係数を使います。 それは1つの試験区の中の平均値、個別のサンプルで測ったときの平均値、今、混成試料で分 析していますが、その分析値と1個ずつで測ったときの97.5%タイル値の比、variability factor と呼びますが、これを幾つかの試料で調べておいて、それをデホルトv値として、実際に通常の 作残試験で調べられているギャップの最大条件作残試験での最高残留値、これとこういう式で換 算し直すという方式を取っています。 ですから、今、残留試験でやっている値の最高値にあと何倍するかという数値ですが、これは 大分歴史を経て変わってきました。初期の段階では、ここに書きましたように、5とか10とい う数字も結構ありました。ここの大小の符号は間違っています。かなり大きな数字もありました が、 2003 年、現在の段階ではほとんどのものについては3という数字が取られています。 これは2002年〜2003年のところで、全世界13か国で約15,000単位の作物残留性試験、10,000 ユニット程度の市場からのサンプルの分析をして、農薬種では25ほどあるそうです。作物の一 部をここに書いたんですが、そういうデータを解析しますと、このvariability factorとしては、 平均値としては2.7 〜2.9 という数字が出てきます。3を超える%値は、15,000ユニットを分 析した作物残留性試験のデータの方からいきますと、1.7 %、市場でのサンプルを分析した結果 では3.4 %ですが、その程度しかないということで、国際的に評価で使っていくのは、ほとんど 3という数字が確定になります。 これでいくことになるんですが、海外の今の農薬の使い方としては、日本と海外ではかなり使 い方が違うところがあります。日本の場合はどちらかというと、薄い農薬をたっぷりまいて、葉 の裏側にもきちんと付くようにするという処理の仕方をするのに対して、海外では日本よりは濃 い濃度で少量を散布する。ですから、散布のむらは日本よりも海外の方が起きやすいだろうと思 いますので、デホルト値は日本では小さくなるんではないかと推定されます。 それについて先ほどの厚生労働省の科研費の中で山田さんたちがおやりになったデータの一 部をここで収載させていただいています。16年度と17年度でやられているものです。 トマト、 きゅうり、はくさい、大根の葉っぱでやられて、3を超える数字はなくて、1.3 とか2.5 という 範囲に入っています。ここでは出しておりませんが、農林水産省の事業でやられたのでも、3を 超えるような数字はなくて、小さな数字になっていると理解しています。 一方、食品の摂取量の方ですが、これについては御本人がおいでにならないのでよくわからな い点があるんですが、大分整備は進んでいるようです。下の方から先に説明していきますと、 WHO GEMS/Food 、これはJMPRが国際的な短期暴露摂取量を評価する場合にベースにするデ ータになっていくわけですが、そこに日本から提出されているというデータの一部です。ここに 出していますのは、個々のデータはどうなっているかということよりも、今、我々は通常、長期 暴露評価で使っているものに比べてどのくらい大きな数字を使うことになっているのかという ことで、全体の暴露量がどんなものになりそうなのか、そこを想像していただくために出してい るような数字です。 例えば成人については、現在の長期暴露評価用で使っている摂取量は45g/day です。それが 短期暴露評価では摂取量の97.5%タイル値になりますから、271 g 、一番ひどいのはグレープ フルーツです。現在使っている数字、1.2 g に対して800 倍近くの936gという摂取量を考えて の暴露評価をしていくことになります。 幼小児についても同じです。 それに更に細かくやることになりますと、これはJMPRで取っている97.5%タイル値ではな くて、95%タイル値ですが、また、成人の摂食者についてのデータですが、季節間で変動がある ということも、吉池先生たちの研究でわかっております。ここに書きましたように、17年度の 調査、9県10地区、成人、男女2,472 人を対象に年4回不連続の3日間、平日2日と週末1日 で測って調査した結果だそうです。 今、長期暴露評価で使っているのは1年のうちの11月の1日のデータです。それがここに相 当する数字です。 それで平均値を取っていますから、青が相当すると考えていただいてもいいと思います。それ が95%タイル値ということですが、これになると倍くらいの差がありそうということです。 それに更に季節間の変動が2、3倍くらいかかってくるものがあるということです。 このJMPRの国際短期暴露評価で使っているモデルの説明に入りますが、今申し上げた1個 体ずつのユニット別の濃度の分布を考慮する必要がある場合と、全く考慮する必要がない場合と 当然ございます。それは、その食品が加工品であるのか生鮮品であるのか、加工品であれば、そ の加工段階でブレンドされてしまって、混成物になりますので、1個体ずつの濃度を問題にする 必要はない。混成試料の平均値で考えればいいということになります。 そうではなくて、生鮮品の場合は、1口で食べるのは25 gということでJMPRでは算定して いるんですが、その25 gという1口サイズと食品1単位の重量の関係がどうなるのか。1ユニ ットの重量が25 gよりも小さければ1回に複数個を食べることになりますので、平均化される ことも考慮されるということになります。 また、短期摂取量との関係がどうであるか。この要因によって変わってきます。 現在、使われていますのは、生鮮品に関しては1番と2番の2つに分かれて、3つの区分で評 価されています。 1番は、1つのユニットが25 g以下で、この場合ですと複数の単位を1回の食事に摂取する ことになりますので、ユニット別の濃度分布を考慮する必要はない。 反対に1ユニットが25 g以上の場合は考慮が必要になりまして、その場合はケースとして2 つに分かれる。それが一日摂取量未満の場合ですと、1回の食事で2〜3ユニットを摂取するこ とになっています。その場合の算定法としては、最初に食べる1ユニットについては、ユニット 別の最高濃度を食べる。一番濃度の高いものを食べてしまう。2個目以降については、平均値の 最高濃度のものを食べるという算定をするということです。 それから、1ユニットが25 g以上で、かつ一日摂取量以上の場合、この絵でいきますとキャ ベツのように大きなものになりますが、その場合ですと、1ユニットの一部分しか食べないこと になりますから、当然1日に食べる量としては、この1個ずつの個体の最高濃度のものを食べる かもしれないという評価になってきます。 これを式にしたものがこの表です。ケースの1、2a、2b、3に分かれています。 中身としては、今申し上げたことが式になっているだけです。このHR×Vというところが平 均値の最高濃度に換算係数vをかけて、variability factorをかけてユニット別の最高濃度にする という式になります。 こういう面倒な式を使って、JMPRでは短期暴露量を評価しています。 ちょっと整理をしますと、短期暴露のリスク評価に必要な情報として考えられるのは、必要な ものは、まずAcute Reference Doseの設定法と、設定されたAcute Reference Dose。 もう一 つの方法として、短期暴露量評価算定に必要なツール類としては、1番〜5番までに掲げました ような係数なりデータベースが必要になると思います。 短期摂取量のデータベース、これは全体の集団とサブ人口集団が必要になります。 今、長期暴露評価では国民全体、それから幼小児、老人、妊婦という4集団になっていますが、 国際的な評価では、この短期暴露評価について最低限必要なのは全集団と、幼小児の2集団とい うことになります。 その場合、評価を精密化するためにできるだけ各集団を含めた格好でのデータベースになって いることが望ましいわけです。 これにつきましては、どうやら何とか整備されている状態になっています。 それから、ユニット重量のデータベース、これはユニット重量が少し狂えばユニット単位での 最高濃度を考えなくても済むということにもなりますので、かなり重要な数値になりますが、こ れは国によってもサイズが違ったもの。例えばりんごも日本とアメリカではサイズが大分違うよ うなところがありますので、国内でのデータもきちんとそろえておかないとだめですが、それの 整備状況はよくわかりません。幾つか出されていますが、全体としてどれくらいになっているか というのは、よくわからないです。 それから、可食部係数、ここもどの程度そろっているのかというのはよくわからないところが あります。 variability factorにつきましては、先ほどデータでお示ししたように、3を超えることはまず なさそうですので、国際機関で使われている数字そのものを使っても問題はないだろうというふ うに考えられます。 一番困るのはHR、平均値で測った場合の最高濃度です。作残試験での最高残留レベル、これ を算定できる作残試験データがない。2例のデータですから、統計的にHRを算定できるという ことがないというのがあります。 2例では、確率論的な評価法は理想的であっても当然取れないということ。これでどうしてい くかというところは非常に実行に移していくときに問題になってきます。このHRの算定に関し ましては、JMPRでの評価の仕方の中ですが、国際基準をつくっていくときには、その主要な産 物については最低8個の試験例がないと信頼性あるHRは算定できない。ただ、マイナー作物な り、特別な作物では3例でもいいと。2例をどうしていいかというところは、なかなか出てこな い。最初から無理だという論理になってくると思います。 まとめとして、必要な情報がどの程度そろっているか。一番問題になってくるのは、この作残 データからHRをどう算定するかということになろうかと思います。 こういう暴露評価方法をやっていますと、基本的に数字を動かしていくことになって、どちら かというと、細かく細かく、安全側、安全側ということにいって、Over Estimate な評価にな りがちです。そういうことを考えていく上で考慮すべき事項としては、日本で今までの残留基準 なり使用基準で食品を通じた健康影響を生じた例が本当になかったのか、あったのか。こういう こともきちんと押さえていかないとまずいだろうと思います。そういうベースに立って、どうし ていくかということを考えるのが妥当だろうと思います。 もう一点、今申し上げたJMPRの国際短期暴露評価、これはコーデックス委員会の中でも過 剰評価であるという評価が出されていますし、それで精緻化が更に必要だという指摘がされてい ます。 括弧の中は私が書いているんですが、摂食者の摂取量の97.5%タイル値を摂食する人の全員 が残留量分布の97.5%タイル値に相当する量が残留する農産物を摂っているんだということを 前提にした格好での計算になっているはずですので、これはまさに非現実的なレベルだと思いま すので、これをどうやって精緻化していくか。それを考えていくのも同時にやっていかないと、 非常にOver Estimate してしまう部分があるだろうと思います。 その精緻化の1例としては、加工品の考慮をすることが必要だろうと思います。摂取量のすべ てを生食から摂取しているわけではありませんので、そのデータベースとして、例えばトマトで あれば生食の摂取量と、加工品として摂取する量、これに分けた摂取量の表を整備する必要があ ると思います。 生食に関しては、ユニット別の最高残留レベルが適用されることになりますが、加工品でジュ ースになったものは平均値になってきますので、数値としては大分違いが出てきます。 幸いなことに吉池先生たちによる18年度の科研費の研究報告ではそういうデータベースの作 成がされている、ないし完成したということで報告されております。 配布資料をごらんいただきたいんですが、配布資料の一番最後のページに、8ページ目に表1 がございます。これが吉池先生たちが18年度の報告の段階で整備中だったか、整備完了か、そ のどちらかという状態のものです。 短期暴露評価用の食品摂取量表が整備されていまして、109 番までが生鮮品。110 番以降が ジュースとかも含んだ格好での加工品としての摂取量のデータベースもつくっておられるとい うことで、ここのところはそれなりに考えられたものは何とかいけそうだという感じです。 最後になりますが、最高残留量が評価できるような作残試験の整備なり、確率論的な手法を将 来的には何とか取っていくことを考えていかないと、まずいだろうという、これは長期的な計画 になると思いますが、そういうことが今後考えておくことが必要だろうと個人的には考えており ます。 以上、雑駁な格好になりましたが、私からの御報告を終わらせていただこうと思います。 ど うもありがとうございました。 ○大野部会長 加藤先生、どうもありがとうございました。丁寧に説明していただいて、ありが とうございます。今の説明について、質問ございますでしょうか。 それに基づいてAcute Reference Doseを求めることが、可能になったと考えてよろしいんで すね。 ○加藤委員 確認ができないと思っております。摂取量表が報告書では表の分類はしたと。分類 した数値が付いた表はでき上がっているのかどうか確認ができていないんです。それは厚生労働 省の方で確認していただければと思います。 ○大野部会長 18年度ですから、もう確実に入手しているはずですね。欧米でそういう事件が 起きて、やらざるを得なくなったということですが、それは何回も起きたんですか。 ○加藤委員 いろんな物の本に資料で出ているのは、そう頻繁に起きているような書きぶりでは ないです。ただ、分類上は考え得るということで、それでしている部分が大きいんだろうと思い ます。 ○大野部会長 それはすべての農薬についてそういうふうにやっているんですか。 ○加藤委員 そうじゃないです。やはり急性的な毒性影響、健康影響が大きいものについてのみ です。ですから、一般的には有機リン剤とかカーバメイト剤、これを中心としたものです。それ が主体です。 ○大野部会長 ほかの先生方、いかがでしょうか。今後メタミドホスについてやっていかざるを 得ないという状況がありますし、メタミドホスだけではなくて、今説明がありましたように、特 に急性毒性が強いようなものについてはやらざるを得ない状況になると思います。 そういうことで、ここで御質問していただいた方が今後のためによろしいんじゃないか思いま す。 ○山添委員 加藤先生、その2つの手法、点の方法とモンテカルロシミュレーションの方法とい うのがあって、今は両方が共存している状態なんですか。それとも方向として今後サンプルサイ ズとかいろんなものが集められれば、どちらかの方法に集約するという方向で進んでいるのか、 どちらかというのをお教えいただければと思います。 ○加藤委員 私の理解では、私がコーデックス委員会に出させていただいていたのは数年前まで のことですが、その時点までの議論では、少なくとも論理的にはコーデックス委員会としても、 最終的には確率論的な手法が望ましいと。ただし、それには膨大なデータも要りますし、膨大な データを国際的なレベルで集積することは非常に難しいので、当面採用はできないということで、 やはり2本立てで、各国レベルでは得られているデータベースに応じて、より適切な方法で算定 しなさいという方法になっていると思います。 実態に近いと言いますか、より精緻な評価方法と言えるのは確率論的な方法だろうと思います。 ただ確率論的な方法の方が、常に低い暴露量評価になるかというと、必ずしもそうではなくて、 反対のケースもあるようです。これはコーデックスに出ていたときにも、多分、高くなるのを防 ぐためにアメリカが作ったんだろうと言っていたんですが、データを見て反対の場合もありまし て、必ずしもそうとは言えないと思います。 ○大野部会長 自分の国はこっちの方というのは分かれているわけですか。 ○加藤委員 そうですね。ただ、評価が先ほど申し上げたように、確定論的な方法ですと、1つ ずつの食品ごとでの評価になっていかざるを得ないです。それに対して確率論的な方法ですと、 1つずつの食品ということではなくて、全食品からの暴露量という評価になりますので、それを 1つの国の中で並立させて評価するというのはそう簡単ではないだろうと思います。 アメリカもそうですが、段階論的な評価にすれば、2つ並立ということはあり得るでしょうが、 全く同じレベルで並立は難しいだろうと思います。 ○大野部会長 こんなことを私が聞くのは変なんですが、摂取量調査は、1週間当たりの平均で はなくて、1日当たりの摂取量で調査しているんですか。 ○加藤委員 吉池先生が書かれた『食品栄養』などに現在使われている、平成9年〜平成12年 のデータベースをつくった際にレポートされているのがあるんですが、それを読みますと、先ほ どもちょっと申し上げたんですが、今使っているデータは、秋の11月のある平日、1日だけの 聞き取り調査に基づいたデータということになっていると思います。 アメリカはこれが連続しない2日間、ないし3日間という調査です。 17年度の吉池先生たちの研究の中では、それだけではなくて、非連続の3日間という調査、 季節間での調査もされておりますので、それがどう最終的に生かされていくのか、その辺がまだ よく見えないところではあります。 ○大野部会長 基準審査課長、どうぞ。 ○基準審査課長 加藤先生、どうもありがとうございました。事務局から若干補足させていただ きます。米谷先生のところの研究班において、今、お話がありました吉池先生、山田審議官の方 でやっていただいたものです。今日ここにお配りした参考資料というのは、先ほどのお話でもあ りましたように、1年間の中の11月のある1日だけということだったんですが、16年度〜19 年度の4年間の研究では、1日だけですと、例えば果物とかも季節によって全然出ないものもあ りますので、春夏秋冬の不連続の3日間を取って、それについて調べて、ある1日を選ぶことと、 季節間の変動がある場合に、どういう変動があるのかということとか、そもそもこの1日を取る ことについての代表性の検証も含めて御検討いただいていたわけです。  今回、メタミドホスについて、Acute Reference Doseという指標が示されたということで、 この研究班の成果を利用しながら、短期暴露評価のための摂取量データを得ることとしています。 また、作物残留試験データから残留濃度を求め、先程の摂取量とかけあわせて、今回食品安全委 員会の方から提示された部分についての検討をするということになるものと考えております。 研究班そのものは今回のメタミドホスを前提につくられたものではなくて、1日だけでいいの かという検証の問題などであります。加藤先生も言われましたように、Acute Reference Dose というのは、我が国で本当に使う必要があるのかということも含めて議論はあると思います。一 応、海外ではもう10年くらい前から使われているところもありますので、厚生労働省や食品安 全委員会の方も、それぞれの立場で勉強は数年前からさせていただいていたところだったと思い ます。今回、こういう問題が起きましたので、今までのデータの中でとりあえずどんな形でやっ ていけるかということを既存の研究班で、お願いしているところです。あいにく今日は吉池先生 に御出席いただけなかったんですが、それの成果がまとまり次第、それについて、そういう考え でいいのかどうかも含めて、先生方の御意見をいただいて、最終的には新しい指標についての検 討を進めていきたいと考えています。 ○大野部会長 やるとしたときには、メタミドホスについての検討結果はいつごろ出てくるんで すかね。 ○基準審査課長 メタミドホスそのものは既に5月1日に食品安全委員会からADIが示されて おり、これは厚生労働省で以前評価されたものの10分の1までいかないんですが、かなり低く なりました。また、Acute Reference Doseという新しい指標も出ました。まずは、従来のADI で の考え方の中で適用作物と残留基準値を決めて、その決めたものが新しい指標に基づいて問題な いかどうかというのを検証していくという作業になっていくと思います。その検証の際には、加 藤先生が御指摘されたような部分について、ご検討していただく必要があるのではないかと思っ ています。 ○大野部会長 そのAcute Reference Doseに基づいた残留基準の設定というのはいつごろ出て くるんですか。 ○基準審査課長 そこは研究班の方で今御検討いただいていますので、何とも言えないんですが、 今回の件はできるだけ速やかに対応する必要があるということで食品安全委員会においても非 常に力を入れて、御評価いただいていますので、私どものところも、できるだけ早く進めたいと 考えております。本日は、吉池先生にも御参加いただきたかったんですが、御都合が急につかな くなったということで、急遽加藤先生にお願いして、次回以降の審議の促進ということを含めて、 Acute Reference Doseがどういうものかというのを、御説明いただいたような次第です。 ですから、次回以降の部会で準備が間に合えば、ご審議いただきたいと思っております。 ○大野部会長 私はこのガイダンスの英文と和文の訳をいただいているんですが、委員の先生方 には配布しているんですか。 ○事務局 まだお配りしていないと思います。 ○大野部会長 今日のお話を後で先生方に補強してもらう上でも配っておいてくださるように お願いします。 ○基準審査課長 はい。 ○大野部会長 ほかに御質問、御意見ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。 それでは、どうもありがとうございました。 議題の3として、「その他」でございますが、何か案件ございますでしょうか。 ○事務局 次回の本部会の開催日程について、6月20日の金曜日の午後を予定しております。 現在委員の日程につきまして、御確認させていただいております。詳細については追って御連絡 申し上げます。 ○大野部会長 ありがとうございました。 そのほか何かございますでしょうか。 ○大野部会長 ほかに議事はありません。 ○大野部会長 それでは、暑い中、御審議どうもありがとうございました。これで終了いたしま す。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係、乳肉水産基準係 (03−5253−1111 内線2487、2489)