08/05/22 第8回議事録 08/05/22 厚生科学審議会科学技術部会 第8回臨床研究の倫理指針に関する専門委員会 議事録 ○ 日時 平成20年 5月22日(木)17:00〜18:30 ○ 場所 法曹会館 高砂の間 ○ 出席者 【委 員】 金澤委員長 廣橋委員長代理       飯沼委員 井部委員 江里口委員 倉田委員 小林委員 佐藤委員       橋本委員 藤原委員  前原委員 丸山委員 谷内委員 【事務局】 新木研究開発振興課長 林治験推進室長 佐藤課長補佐 ○ 議 事: 1.「臨床研究に関する倫理指針」の改正案について 2.その他 ○ 配付資料 議事次第 座席表 委員名簿 資 料 1  :第7回臨床研究の倫理指針に関する専門委員会の主な意見 資料2−(1):臨床研究に関する倫理指針(改正案概要)(案) 資料2−(2) :臨床研究に関する倫理指針(改正案・新旧対照表(案)) 資料2−(3) :臨床研究に関する倫理指針(改正に関する論点(案)) 資料2−(4) :臨床研究に関する倫理指針の主な改正点等(案) 資料3−(1) :UMIN臨床試験登録(UMIN−CTR)への登録手順の概略(藤原委員 提出) 資料3−(2) :UMIN臨床試験登録(例)(藤原委員 提出) 参考資料1 :臨床研究に関する倫理指針(現行版) 参考資料2 :改正GCP省令(平成20年2月29日改正) 参考資料3 :高度医療評価制度の概要 ○事務局  定刻となりましたので、「第8回厚生科学審議会科学技術部会臨床研究の倫理指針に関す る専門委員会」を開催いたします。先生方におかれましては、ご多用中のところお集まり いただきまして、ありがとうございます。本日は委員19名のうち12名のご出席をいただ いております。また、井部委員については遅刻との連絡をいただいております。本会議が 成立していることを最初にご報告いたします。本日の会議も公開としておりますので、ご 了承いただきたいと思います。また、今回より委員の交代がありまして、伊賀委員に代わ りまして日本薬剤師会副会長の土屋委員にご参加いただくこととしておりますので、ご紹 介いたします。残念ながら、本日土屋委員からはご欠席との連絡をいただいておりますが、 よろしくお願いいたします。それでは、議事進行を金澤委員長にお願いいたします。 ○金澤委員長  今日はお忙しい中、また大変お暑い中をお集まりいただきまして、誠にありがとうござ います。第8回の厚生科学審議会科学技術部会臨床研究の倫理指針に関する専門委員会を 始めたいと思います。初めに、配付資料の確認を簡潔にお願いいたします。 ○事務局  本日の配付資料は、まず議事次第、座席表、委員名簿があります。次に、資料1、資料2 は(1)から(4)まで、資料3は(1)(2)とあり、参考資料として1、2、3があります。それ以外に、 委員の方々には参考資料として、これまでの審議等に使用した資料をハードファイルにて お配りしております。こちらはお持ち帰りにならないようお願いいたします。資料は以上 ですが、過不足等ありましたら事務局までお知らせください。 ○金澤委員長  早速、議事に入ります。議題1は「臨床研究に関する倫理指針」の改正案です。前回に 引き続き、改正案について議論していただきたいと思いますが、まず、事務局より今回提 出された資料の説明をお願いいたします。 ○事務局  前回の議論に引き続き、本日も臨床研究に関する倫理指針の改正案についての審議をお 願いいたします。私から説明するのは資料2-(1)から(4)で、主に資料2-(1)を中心に説明いた します。資料2-(2)の新旧対照表などは、説明の中で適宜使わせていただきます。資料2-(1) は、前回までの議論等を踏まえて改正された改正案の概要です。1は「臨床研究に関する倫 理指針の改正の方向性について」ですが、これまでの概要と特段の変更はありませんので 説明は省略いたします。  2の「臨床研究に関する倫理指針の改正の概要」、「第1 基本的考え方」は、介入を伴う 研究と、観察研究に関する定義について(1)、(2)と示しております。2頁の上の「試料等」に ついて、観察研究のところに注が付いておりましたが、試料等の定義について注釈を入れ ておりまして、「試料とは、臨床研究に用いようとする血液、組織、細胞、体液、排泄物及 びこれらから抽出したDNA等の人の体の一部並びに被験者の診療情報をいう」等々という ことです。(2)の「通常の診療の範囲内であってランダム化、割付け等を行わない医療行 為における記録、結果、診療に用いた検体等を利用する研究は、介入研究ではなく、観察 研究とする」といった辺りも特段の変更はありません。(3)は用語の定義をここに改めて 加えております。特に、この委員会でも議論していただいた(3)の「匿名化」、(4)の「連結可 能匿名化」の部分については、審議の中身を反映させ、このような記載といたしました。 (5)の「連結不可能匿名化」についても同様です。  3頁には倫理審査委員会の定義を書いております。倫理審査委員会については、この概要 に沿って後ほどまた説明いたしますが、今回の指針から実施施設自らの倫理審査委員会だ けでなく、外部の倫理審査委員会も利用できるという案としており、倫理審査委員会の設 置主体等について個別列挙しております。アは臨床研究の機関の長が設置した倫理審査委 員会、ウは民法法人の場合、エは学術団体、オは他の臨床研究機関の長が設置したものな ど、カ以降には学校法人、独立行政法人、国立大学法人、その他NPO法人に至るまで列挙 しております。  3頁の下の「第2 研究者等の責務」の部分から前回の議論の話に入ってきますが、(1) の研究者の責務等の(1)の研究者等は、医薬品・医療機器による介入を伴う研究を実施する 場合は補償の論点でありまして、前回も活発に議論していただいた部分です。論点につい て、補助資料として資料2-(3)をご覧ください。2頁目に全体的に赤いポンチ絵、「臨床研究 における補償措置について」が出てきます。ここには前回までの専門委員会での意見、論 点、対応等の中身が書かれてあります。これまでの意見としては、健康被害に対する補償 措置の義務化は、かえって臨床研究の実施を阻害するのではないか。努力義務としたほう がいいのではないか。補償措置は義務化するとして、適用期間まで保険商品等が商品化さ れないのではないかなどといったご意見の一方で、総合科学技術会議等からも、被験者の 立場で臨床研究に関する補償について、治験と同様に受けられるような制度を整備するべ きではないかといったご意見がありました。  論点についてはここに書いてあるとおりで、対応案の3.がサマライズしてありますが、 医薬品・医療機器を用いるようなものであり、そういった介入を伴う臨床研究、いわゆる 治験等と並びのものですが、このようなものの補償の対応については、この指針の中で義 務的に書かせていただくということでどうかとしております。対応案の4.には「補償措置 は金銭に限らず、健康被害に対する無償の医療提供等も補償に当たると考えられ、倫理審 査の過程及び被験者とのインフォームド・コンセントにおいて補償内容が決定される」と いう中身をなお書きで書いております。  このポイントを反映させたのが概要の3頁のいちばん下の部分です。医薬品・医療機器 による介入を伴う研究(体外診断を目的としたものを除く)を実施する場合に、「被験者に 生じた健康被害の補償のために、あらかじめ保険その他の必要な措置を講じ、かつ、被験 者に対して当該補償内容を事前に説明し、文書により同意を得なければならないこととす る」という記載に改めております。これについては、またいろいろとご議論いただければ と思いますが、基本的には物ベースのものの介入について、補償の部分はこのように義務 的な書き方としており、その他の臨床研究については、従前のとおり、補償の有無につい ての説明という形にしております。  概要の4頁目の(2)についても前回議論していただいたところですが、臨床研究の登録の 部分です。ただいま補償のところで説明しましたポンチ絵の1頁目の青い紙に、前回まで の議論の論点を書いております。公開データベースへの登録の義務化は現場の研究者にと って新たに作業を課すことになり、実施を阻害する要因になるのではないか。また、公開 データベースへの登録は被験者にとって身体的なリスクの高いものに限るべきではないか。 治験においても、義務化されていない公開データベースの登録を、臨床研究において義務 化するのはバランスが悪いのではないかなどといったご議論もいただいております。  このような議論を受けて対応案ということですが、登録の作業増に対する研究者への負 担というものも配慮しつつ、また、被験者の保護において効果的な対応として、いわゆる 侵襲性を有する介入研究については、公開データベースへの登録を求めていこうと。薬事 法下の治験との整理という意味では、薬事法下の治験は法律により審査当局への事前の届 出が義務づけられているものですが、薬事法外の本指針の対象となる臨床研究にはそのよ うな義務を課しているわけではないので、そういった中での臨床研究の透明性の議論であ るというところを、ここでもう1回整理をしております。将来的なIND、IDEといったシス テムも視野に入れつつ、臨床研究の公開データベースへの登録の水準で、試験の透明性・ チェック体制の確保に関する対応を実施するべきではないかということです。  先ほどの概要の4頁上の(2)に戻り、ここでの書き方の最終的な案としては、「研究責任者 は、医薬品・医療機器による介入を伴う研究(体外診断を目的としたものを除く。)、その 他手術等の侵襲を有する介入を伴う研究」、要するに、身体的なリスクが高いものという意 味でこのように書いたのですが、こういったものについては「研究開始前に、大学病院医 療情報ネットワーク(UMIN)、財団法人日本医薬品医薬情報センター(JAPIC)及び日本医 師会の設置する臨床研究の公表を目的とする登録データベースに登録しなければならない こととする。ただし、臨床研究の実施に著しく支障を生じる場合であって、倫理審査委員 会が承認し、臨床研究機関の長が許可したものについてはこの限りではない」ということ です。例えば、知財の関係等々で研究の実施に支障が生じるような場合、登録して公表す ることによって支障が生じるような場合にあっては、このような対応にしてはどうかとい うことで但し書を付けております。また、いろいろな臨床研究機関の特性により、研究者 に代わって施設の長が登録することもあり得ることですが、登録の責任は基本的に研究責 任者にあるといった整理をしております。この辺りが研究の登録に関する部分の論点と現 時点での案です。  そのあとの概要の4頁の(3)については、研究責任者の有害事象等に対する対応、(4)は進 捗状況の確認、(5)は前回ご議論いただいた部分ですが、臨床研究の倫理に関する講習等の 教育といったところです。資料2-(3)の3頁目の黄色の紙にありますが、前回までの議論の 中で、大学等では研究を実施する研究者に研修の受講を義務づけている所がある。また、 動物実験等においても、実験開始前に講習の受講を義務づけているといった実態もあり、 研修はそれほどコストもかからないという意見もあり、研究者に対する研修というものを 義務的にしてはどうかという論点がありました。  対応案として研修については人的リソース等の観点から、各臨床研究機関で一様の対応 は困難であるものの、基幹病院等が地域単位で研修会を開催することは可能ではないか。 また、e-learning等を使った学習の機会もあるわけですから、そのようなものも研究者が 行うというオプションもあることを考えてみると、研究者にとっては、研修の受講を臨床 研究を実施するときの義務としてはどうかということがありました。同時に、倫理審査委 員会の委員等についての研修といった部分の論点もありましたが、構成・背景の多様な委 員に対する研修の機会の提供や内容の用意が必要とされることから、国等でも倫理審査委 員会の委員に対する研修プログラムは提供していきますが、現時点では努力義務としては どうかということです。  このような対応案を踏まえて、概要の4頁に戻りますと、(5)で「研究者等は、臨床研究 の実施前に、臨床研究の倫理に関する講習その他教育を受けなければならないこととする」 と。「例えば自施設又は他施設が提供する講習を受講すること、e-learning等の通信教育を 受けることなどが考えられる」といった記載にしてはどうかというのがここの案です。以 下、(2)は臨床研究機関の長の責務で、(1)は臨床研究機関の長の責任の下で適切な実施を 図るといった部分、先ほど倫理審査委員会の外部設置の話がありましたが、外部の倫理審 査委員会に審査を行わせようとする場合については、文書により依頼を行う。また倫理審 査委員会の適合状況に対する自己点検を行う。  4頁の(4)ですが、重篤な有害事象、不具合等に対して研究者等が実施すべき事項に関する 簡潔な手順書を作り、手順に従い必要な措置を講じなければならない。5頁の(5)の部分です が、重篤な有害事象、不具合等が通知された場合には、すみやかに対応を行う。倫理審査 委員会等の意見を聴いて、必要な措置を講じると。(6)は侵襲を有する介入を伴う研究にお いて、予期しない重篤な有害事象等が発生した場合については、そういった内容を公表す るとともに、厚生労働大臣に対しても逐次報告を行うといったことがあります。(7)は実施 中又は過去に実施された臨床研究において重大な不適合を知った場合も、倫理審査委員会 に諮った上で、必要な対処内容を厚生労働大臣等に報告するということが書いてあります。 厚生労働省が行う実地又は書面による指針への適合性の調査について、各研究機関の長は 協力しなければならないこととするといったことがあります。  5頁の「第3 倫理審査委員会」についてですが、(1)は冒頭定義の所にあったように、 自ら設置した倫理審査委員会以外にも、ここに書いてあるようなものが利用できるという ことです。(2)は臨床研究機関の長、例えば委員長などといった方々については倫理審査 委員会に出席することはできるが、審議、採決には参加することができない。また、委員 になることはできないということを明確にしております。(3)は倫理審査委員会の設置者 は以下に掲げることを行うということで、(1)として倫理審査委員会の活動状況を年1回厚 生労働省又は委託を受けた機関等に報告を行う。(2)また、厚生労働省が行う実地又は書面 の適合性の調査に協力する。(3)倫理審査委員会の手順書、委員名簿、会議の記録の概要等 を公表する。(4)教育・研修に努めるといったところが入っております。  6頁ですが、これまで倫理審査委員会は当指針には軽微な事項に対する迅速審査というも のがありませんでしたので、その部分についての規定を追加しております。  6頁の「第4 インフォームド・コンセント」は、冒頭、定義の所で介入研究と観察研究 を分けた部分で、観察研究については疫学研究指針と同様の記載としており、人体より採 取された試料を用いる場合は文書により説明し、同意を得ることをベースとしております。 しかし、人体より採取された試料を用いない場合については文書又は口頭を問わず、イン フォームド・コンセントを受けることを必ずしも必要としない。ただし、研究の目的、実 施に係る情報を公開しなければならないといったところが追加されております。  (2)の介入を伴う研究に関する補償ですが、医薬品・医療機器に関する部分については、 事前に十分な補償措置である保険その他の必要な措置について説明と同意を得る。医薬 品・医療機器以外の研究については、補償の部分についての説明と同意を得ることを改め て記載しております。  6頁の「第5 試料等の保存及び他の機関での利用」についてという所以下から7頁に至 る所までは保管検体取扱いで、基本的に疫学指針での保管検体の取扱い、例えば匿名化さ れている場合や過去に包括同意を得ている場合、そういったことがされていない場合等々 の同意等の取扱い、院内の倫理審査委員会の承認、臨床研究機関の長の許可といった部分 での対応について記載しております。7頁の(2)は他の機関の試料等の利用で、他の機関 に試料等が渡る場合の取扱いについても疫学指針と同様の記載で、それぞれ機関内での手 続を定めております。  8頁に入り、3として今回は「倫理指針の適用時期」を少しクリアにしております。この 案では、大まかなところは10月31日より適用すると。実際この指針には7月30日までに 改正をすることとしておりますが、第2の(1)の(5)や(2)の(3)(4)、第3の(3)の(1)(2)(3) (4)といった部分については、院内のいろいろな研修手続や倫理審査委員会の活動状況の報 告など、院内での体制整備を要するような部分については、平成21年4月からの適用にし てはどうかという案を書いております。  最後に9頁ですが、前回も議論していただいたように、倫理指針の内容そのものではな いが、指針の公布に当たり、さまざまな関係者にいろいろな中身の要請をすることについ て、まとめてここに記載しております。指針に関する専門委員会としては指針の公布、施 行の際に関係者に対して、次に掲げる事項に対する協力を要請することとする。(1)の臨 床研究の登録データベースへの登録については議論していただきましたが、これはただ登 録するのではなく、研究者が実施する際に適切に実施できるように相談するような体制、 これは厚生労働省又はその関係機関ということになると思いますが、そういった所で相談 を受付けるような体制を提供していくといったサービスの部分です。  また、(2)は指針の実効性の担保で、公的研究費の支給の要件等に、この指針の対応を 入れるように関係省庁で横断的に対応を行うということです。(3)は適合性の調査を行っ た結果については関係省庁で共有しようと。(4)は、指針に従わない研究者に対しては各 研究機関で適切に是正措置を取ること。(5)は倫理審査委員会等、さまざまな研究を行う に当たっての事務負担というものが、指針の改正に伴って増えてくる部分がありますので、 研究費の間接経費等を利用し、きちんと対応できるようにすること。(6)は倫理審査委員 会に対する研修の機会等を提供すること。  (7)については少し具体的な話で、医薬品・医療機器に関する臨床研究については、先 ほど来保険等の適切な措置と指針の改正案の中でも述べているところですが、保険商品を 作る際の論点として、(1)で望まれる部分、(2)は医薬品副作用被害救済基金、医薬企業法務 研究会のガイドラインなど治験での保険と同等の水準を確保するようなガイドラインに即 した保険の設計をしてほしいと。また、補償を行う際に、健康被害と臨床研究の因果関係 等について、第三者の判定、判断が行われるべきであることから、倫理審査委員会等がこ ういったことに対して協力する。また、公的研究費から保険料がきちんと払えるように、 研究費の取扱いにおいて検討する。現時点で以上のようなことを要請する事項として書い ております。このような点もいろいろとご議論いただければと思います。最後に、4月から 施行された高度医療評価制度について書いております。少し冗長になりましたが、資料概 要についての説明は以上です。 ○金澤委員長  かなりの内容の説明がありました。これより皆様方からのご意見を伺いたいと思います が、まず、今回資料をいただきました藤原委員からお願いいたします。 ○藤原委員  臨床試験の登録などにあまり馴染みがないといけないので、私どもがやっている文部科 学省が始めたUMINの臨床試験登録について簡単に紹介させていただきます。事務局からの ただいまの説明に対して具体的なイメージを持つことができればと思って用意してきまし た。お手元の資料の3-(1)は概略、3-(2)については、いま私どもは医師主導治験をやってい るのですが、それの登録時の実際のものをカット&ペースで持って来たというものです。 資料3-(1)の最初の頁は登録の全体像です。UMINのIDは大学の先生方なら皆さんお持ちだ と思いますが、持っていなければ、UMINのホームページに行き、登録手続をすると1週間 から2週間でID番号が送られてきます。それが済んでいる方は、すぐにUMIN-CTRのホー ムページに行き、登録項目を作成すると、実際上はweb上で登録していくのですが、私ど もの経験からすると、慣れていなくても30分あればできると思います。その後は半年に1 回ほどリマインドメールや進捗状況の確認などが来ます。研究が終わったときには、研究 結果の登録を簡単にします。  次頁には実際の登録をどのようにするかが出ております。いくつかのアイテムがあって、 最初に試験名、試験の簡略名(アブリビエイション)、試験の実施地域(チェックボックス) といった基本情報を入れます。次頁は基本事項の入力画面ですが、テキスト、あるいはプ ロトコルはこのとき既に持っているので、日本語の所はカット&ペースで試験名、アブリ ビエイション(簡略名)を入れ、通常は日本の所にチェックを入れて終わりです。  次頁は基本情報を入れた後の画面です。その後は、目的の所を入力するとか、試験デザ インを入れるなど、自分が準備できた所を時間が空いたときに入れることも可能ですし、 順次入力することもできます。2頁ですが、6頁目、7頁目には実際に登録すべき項目が書 いてあります。赤字はチェックボックス、黒字はテキストですが、通常はカット&ペース で済みます。ただ、英語の記載もしないといけないので、プロトコルが英語で書いていな い場合は別途用意しなければいけません。どのような用意をしなければいけないかと言い ますと、次頁ですが、UMINのホームページのこのURLにアクセスし、左下の「準備作業用 WORLDファイル」をクリックすると、右にPDFで貼り付けている「UMIN-CTR登録用ホーム Version」、これはワードですが、この用紙が出てきます。これを事前に作って用意してお くと入力は簡単にできますから、最初にこのワードのファイルをダウンロードしておくと 楽ではないかと思います。  次頁は、例えばテキストを入れるときには500文字など字数の制限があったりするとこ ろがあるので、その辺りの簡易版の説明は、UMIN-CTRのホームページの上にある「用語の 説明簡易版」をクリックすると、次頁にあるような説明がバーっと出てきます。UMINのホ ームページはいきなりだと非常に見にくいのですが、これはJCOGのデータセンターの方が 2年前ぐらいに臨床試験登録を始めたとき、UMINのホームページが非常にわかりにくかっ たため、別途用意したものです。スライドなどで既に準備してありましたので、それを基 に作りました。このように左手に持ちながらやると簡単です。  実例を少しお見せいたしますので、3-(2)をご覧ください。これは乳がんの術前の化学療 法で、Herceptinを含めた抗がん剤のランダム化比較試験をやっているところです。1頁の 黄色の網掛けの部分がカット&ペースで済む、あるいはチェックボックスで済む所です。 大半がチェックボックス、カット&ペースで済むことがご理解いただけると思います。英 語の所は書かないといけないのですが、論文を書くときは、どちらにしても英語にするの で、ここは諦めるしかないかなと思います。いずれにしても、30分もあればそれほど大変 ではないと思って用意いたしました。 ○金澤委員長  登録の実例を見せていただきましたが、資料2-(1)に戻って、おそらくこれを中心にして の議論になると思います。1頁ごとにやっていってもいいのですが、2度目ですので、皆様 方からの自発的なご意見を伺うことにしたいと思います。私から1つ質問してよろしいで すか。日本語とはおもしろいもので、英語に直すとどうなるかというのを見ていくと、お わかりのように、主語がほとんどないのでちょっとわからないところがあるのです。4頁の (2)にはかなり大事なことが書かれてあるのですが、後半に「ただし」とあり、「この限りで はない」とあるのです。それはわかるのですが、しかし、これは誰が判断するのですか。 どのようなつもりで書かれたのでしょうか。 ○事務局  但し書の所については、判断する方が実は2人、つまり主語が2つありまして、そのた めこのような書き方になっております。1つは倫理審査委員会が承認、つまり倫理審査委員 会が1人目の主語です。もう1つの主語は臨床研究機関の長です。それぞれこの2つの機 関がOKと判断すればということで、そのようにお考えいただければと思います。 ○金澤委員長  両方に相談するわけですか。 ○事務局  そうです。 ○金澤委員長  そのようなことも含めて、他に何かあればお願いいたします。少し細かいところでも結 構です。 ○谷内委員  この前よりも大変わかりやすくなったと思いますが、前回お伺いしなかった点について 質問いたします。有害事象への対応で、研究機関の長に報告するのは重篤な有害事象で、 厚生労働大臣に報告するのは予期しない重篤な有害事象ということで、ここにセレクショ ンがかかっているという理解で正しいかどうかということをお聞きしたく思います。また 予期しない有害事象の定義は、インフォームド・コンセントに書いてない有害事象という ことでよろしいのでしょうか。 ○事務局  文字の上での説明になりますが、5頁の上の(5)と(6)の関係について、いま谷内委員からご 質問いただきました。まず、(5)においては研究者が重篤な有害事象、不具合等の通知をす ると。この主語は臨床研究機関の長ですので、臨床研究機関の長が研究責任者から重篤な 有害事象、不具合を通知されるわけです。ここは臨床研究機関の中の責任において対応い ただく。ただ、その中でも予期しないものについては、谷内委員が指摘されたようにセレ クションがかかっているわけで、これについては厚生労働大臣等に報告していただくこと になります。予期しないというのは、一般的に治験等で行う場合、例えばインベスティゲ ーターのブローシュアーとか、もともとの計画書の中に書かれていないようなものという ことになると思います。 ○谷内委員  もう1点、厚生労働大臣等への報告というのは、私どもの所は国立大学ですが、文部科 学省ではなく、ダイレクトに厚生労働大臣の関係する部署に報告するという理解でよろし いでしょうか。 ○事務局  いまの案では厚生労働大臣又はその委託を受けた者を厚生労働大臣等と言っておりまし て、基本的には厚生労働大臣の所掌の範囲の所に報告していただくということです。 ○藤原委員  いまの谷内委員の質問に関連して、いまの薬事法では、公衆衛生上危害の発生が予測さ れるときには報告する義務があるので、私どもの場合、がんは非常に多いですから、有害 事象が起きたら安全対策課にファックスをする機会も多いわけです。この臨床研究倫理指 針の場合も従来の制度を用いて、さっとファックスを送ってしまえばそれでいいという感 じでよろしいのでしょうか。もう1つは、先ほど谷内委員はIC文書に書いてない有害事象 が全部予期しないと言われたのですが、抗がん剤などでそれをやると、IC文書が全部副作 用で埋まるような長さになってしまうので、先ほど事務局が言われたように、治験や概要 書、添付文書などに書いてないものぐらいにしておいていただかないと、IC文書がちょっ ともたないような感じがするので、その辺の相場感を教えていただきたいと思います。 ○事務局  最初の質問ですが、薬事法で承認を受けている医薬品等を、例えば適用外等で使用する ようなケースについては、この指針に係る以外に薬事法上の報告義務がかかってきますの で、そこは薬事法に沿った対応をしていただくと同時に、こちらのほうにもということに なりますが、この報告については、おそらく様式のようなものがあったほうがいいと思い ますから、この指針を公布する際に、それも併せて用意しようかと考えております。また、 指摘された予期しないの部分の定義ですが、最初に事務局からお答えするときに、文字の とおりの答と申し上げましたが、いろいろな実態がおそらく藤原委員のご経験でもあると 思われますし、この辺りは施行する際にQ&Aのような形で、これ以外に各先生方にもいろ いろなクエッションがあると思いますので、そのようなものをまとめて示してはどうかと 思いますが、いかがでしょうか。 ○金澤委員長  確かにいいですね。そのほうがいいと思います。そのほかに何かあればお願いいたしま す。 ○小林委員  いまの5頁の下にある倫理審査委員会の設置者は、委員に教育や研修をするように努め なさいと書いてあって、これは努力義務でいいと思います。次に研修者については4頁の (5)には、努力義務ではなく、受けなければならないと義務化してあるわけです。そうする と、臨床研究機関の長はそのようなものをやりなさいと。そのような機会を提供すること と義務化しておかなければ、なかなかそのような教育の機会ができないのではないかと考 えられます。長の責務にはそれが書いてないのですが、その辺についてはいかがですか。 ○事務局  いま指摘された部分についてですが、臨床研究機関によっては講習等を自ら提供できな い所もあるかと思います。そういった所に配慮しますと、自施設でない所の講習を受ける ということも広範に認めていかないと、制度としてはおそらく回らなくなるだろうと。ま た、E-learning等の通信教育的なものでも認めていくといった形にしていかないと、すべ ての医療機関の中で、長の命令の下で講習を行うということは、現実的にはなかなか難し いだろうと。 ○小林委員  それでいいですが、(5)の下に例えばと書いてあって、研究者は「自施設又は他施設で提 供するものを受けること」と書いてあります。そうすると、やはり長は他施設でもいいか ら受けなさいとした方が良いと思います。教育を受けることを研究者に義務づけるのであ れば、長もそのようにやらせるということがあったほうがいいのではないかということで す。 ○金澤委員長  わかるような気がいたします。つまり、研究者が一生懸命やろうとしても、トップがな かなか協力してくれないということはないわけではないのです。おそらく、そのようなこ とを言われているのだと思います。そこを入れることは問題があるのですか。 ○事務局  これは本当に文字だけの話ですが、指針で受けることを研究者に義務づけていることと、 医療機関の長から命令しなさいということを書くと、受けなさいということを二重に言う ような格好になるかなという配慮で、ここは機関の長は抜いております。ただ、いま指摘 された部分はありますので、どんな形で文章に書けるか、事務局のほうで工夫し、ご相談 させていただくということでいかがでしょうか。 ○廣橋委員長代理  できる所とできない所があるわけですから、機関の長全部にこの提供を義務づけるとい うことではないわけですよね。 ○小林委員  私が申し上げているのは、その機関でやる必要は全然ないということです。そのような 教育を受けなさいということを機関の長が言うだけの話です。 ○廣橋委員長代理  最後のところに、関係者に対して要請する事項というのがあったと思いますが、このよ うなところでそういった教育を是非きちんと提供してもらうということにしてはどうかと 思います。 ○小林委員  それで結構です。このような教育を受ける要件をここに入れた例として動物実験のこと を言われていますが、実験動物の指針では、たしか長の責任で受けさせる、訓練を受けさ せるとなっていますから、仮にそれと同じように持ってくるのであれば、このようにした 方が良いのではないか。現実的な問題を考えて、あまり強制することはいいとは思わない のですが、バランスで考えればこのようになるのではないかと思います。 ○新木課長 研修の機会を提供することと、従事者と言いますか、研究者に受けさせるという2つの ことは、似ていますが違うことだというのを指摘されているのだと思います。確かに、両 方とも省の努力義務だとは思いますが、勧奨することは必要だろうかと思いますので、そ の辺は少し文章を工夫して記載したいと思います。 ○前原委員 先ほどの話に戻りますが、重篤な有害事象あるいは合併症について、手術手技の件でい ろいろな臨床試験を行う場合に、我が国ではその頻度として1%を目安として患者に説明す ることが平均的に行われていると思います。さらに稀な有害事象が起こる場合があって、 そういったときはインフォームド・コンセントに書いてないではないかということで、臨 床の現場では患者やその家族とトラブルになることもあるわけです。すべてを網羅すると なると電話帳のようなインフォームド・コンセントになり、現実的ではないことから、そ の点は我が国のどの施設も非常に悩んでいるところではないかと思いますし、いま事務局 からQ&Aといった話が出ましたが、具体的にどれぐらいの頻度の有害事象を説明すべきか 認識していただくと現場としてはスムーズにいくような気がいたします。 ○金澤委員長  いま前原委員が言われたのは薬だけではなくて、いろいろなものすべて含めてですね。 薬の場合ですと添付書類というものがあるわけですから、その範囲を越えてまで細かく全 部説明する義務は全くないと思います。 ○前原委員  しかし、起こり得て、書いてないということが医療側にとって責められる1つの大きな ところではあると思います。 ○金澤委員長  前回の話を受けて、今回3つのことが話題になっているわけです。1つは臨床研究計画の 登録についてで、先ほど藤原委員から話がありました。2つ目は臨床研究における補償措置 の話です。3つ目として、いまも話があった倫理審査委員会の委員及び研究者への研修につ いての話です。研究者の研修についてはいま議論がありましたが、倫理審査委員会の委員 の研修については庇われたというか、そのような中で述べようではないかということにな っております。その辺はよろしいでしょうか。残りは補償ですが、これ以上に出るのは難 しいかもしれません。登録についてはよろしいですか。 ○前原委員  前回も質問したのですが、UMIN以外にいくつかの登録センターがありますが、その整備 はなされていくということで認識してよろしいでしょうか。欧米ではUMINでないものはま だ認識されていないということが現実にあるようですが、日本医師会などといった所の登 録センターの整備は、今後早急に対応していくということでよろしいですか。 ○事務局  UMINは現在でもICMJE(国際医学雑誌編集者協議会)の登録サイトになっておりますが、 JAPICと日本医師会については、WHOのネットワークの中でのプライマリー・レジスターと いう形で、現在プライマリー・レジスターになる手続の最終段階にあります。このままい くと、言ってみればUMINと同じように、登録したものは医学雑誌協会にも認められるもの となると考えております。 ○金澤委員長  そのほか何かあればお願いいたします。 ○谷内委員  追加で質問させていただきます。前回は質問しなかった点ですが、7頁に「他の機関の試 料等の利用等について」とあります。他の機関からの試料等を受け取る場合に関しては、 臨床研究の倫理指針の中で初めて出てきた「組織の代表者」の許可を得るということです が、基本的には国立大学を含めた総合大学に関しては総長ということになるのですか。そ れとも研究科長及び学部長で代理ができるかどうかをお聞きしたく思います。やはり定義 上は総長ではないかと考えておりまして、この点を伺いたいと思います。また、前回の委 員会ではたしか1年間の猶予があって平成21年6月30日で、これは少し早くなったので はないかと思います。これだけ多くの点で対応を迫られるのに、急に短くなった理由とい うのがあるかどうか、これが質問の2点目です。  3点目は9頁の倫理指針に関する専門委員会が関係者に対して要請する事項で、この指針 はいま厚生労働省で作っていますが、前の指針では3省合意だったと思います。文部科学 省や経済産業省はどのような対応になるのでしょうか。以上3点について教えていただけ ればと思います。 ○事務局  最初の質問ですが、7頁の下の括弧に「他の機関の試料等の利用については、以下のとお り行うこととする」とあります。(1)には「倫理審査委員会の承認を得て、当該臨床研究を 実施する臨床機関を有する法人の代表者、行政機関の長等の事業者及び組織の代表者(以 下「組織の代表者」と言う)の許可を得る」という書きぶりになっております。例えば、 行った先の機関が必ずしも大学病院等ではないことも想定されるので、臨床研究機関の長 だけではない書き方をしております。ご指摘を受けた部分ですが、実はこれは疫学指針と 同じ書き方になっています。疫学指針の場合、例えば国立大学法人の場合はそこが総長に なるのかどうかについては、どのような適用でやっているかを大学に確認させていただき、 必要があればそれをQ&A等にさせていただくということでどうかと思っております。  8頁の適用時期のところですが、早めた理由に1つ大きく関わってくる部分は、例えば倫 理審査委員会で外部の倫理審査委員会を使えるようにするとか、そのようなものはできる だけ早く皆さんにご利用いただけるようにしたほうがいいだろうということもあります。 それから、あまりリソースをかけずに対応が可能な部分については、できれば早く対応し たほうがと。こういったものは被験者の倫理に還元するところですのでいいのではないか ということで、施行期間を前回の案よりも少し早めたということです。どれぐらいのワー ク、労働がかかるかについてもいろいろな意見があると思いますし、これからパブリック コメントに入る中でもさまざまな意見が出ると思いますので、ご指摘をいただければと思 っております。  3つ目に指摘された倫理指針の所管ですが、もともとこの臨床研究倫理指針はどこが出し ているかと言いますと、本日の参考資料1に現行の臨床研究に関する倫理指針が載ってい ます。この表紙をご覧いただくとわかるように、厚生労働省単独です。疫学指針について は、いわゆる臨床研究機関のみを対象とするものではないので、それについては文部科学 省との共管という形になっております。ただ、いろいろな意味で関係する文部科学省、そ の他の省庁とは協力をしながら進めていかなければならない部分ですので、ここには書い てありませんが、各省連携してこの改正の作業も進めているところです。 ○金澤委員長  研究者の研修に関わることで、e-learningというのは非常にいいと思います。いま聞く と、ほぼ完成に近付いているか、あるいは完成しているのかもしれませんが、これは厚生 労働省の研究班で作ったものですか。そうだとすると、それほどボピュラーなものではな いのだから、サイトを書いておかないと非常に不親切です。ガイドラインの大事さという のは、やはり使いやすいこと、わかりやすいこと、すぐ利用できるということですから、 サイトを書いておいてください。しかし、本当にそれがベストなのですか。皆さんがその ように思っていらっしゃるのでしょうか。たぶん、これは利用する人は多くなると思うの です。 ○事務局  確かに、厚生労働科学研究費等の助成金を受けて作成しているものがいくつもあります。 しかし、こういった教育の機会の教材というものは、当然いろいろな考え方があるもので もありますし、また、言うなればさまざまな方がいいものを作るために競争して出てくる というのも望ましいということもあります。一方で、例えば厚労科研のものだけに限ると いった書き方は、逆にしないほうがいいかなというところもあるかもしれませんが、何ら か例示のようなもので工夫できるかどうか、いま委員長のご指摘もありましたので検討さ せていただこうと思っております。 ○金澤委員長  そのほかに何かあればお願いいたします。 ○藤原委員  9頁の補償に関係するところですが、補償保険だけではなくてたぶん医療の提供も補償の 範囲に入るというのが、今回の臨床研究倫理指針でも明示されているところなのですが、 私どもが医師主導治験をやったとき前回も申し上げたのですが、補償保険には抗がん剤の 場合、通常の指針の中で副作用が起きても、医薬品医療機器の総合機構からの副作用被害 救済には対象にはなっていないので、医療の提供というもので対応して、医師主導治験も 進めてきました。病院によっては、それはけしからんと言われるような議論も過去された ことがありました。できれば、ここの保険に対する各分野の協力というのは書いてあるの ですけれども、例えば医療の提供という補償のほかの部分で、補償を見なければならない 私どものような抗がん剤を使う者にとっては、例えば関係省庁と医療機関等は、そのよう な補償全般、保険以外のところにも協力してほしいとか、対応してほしいと一言入れてい ただくと、研究者がIRBに掛けて何か試験をするときに、そこの病院長があまりそれに理 解がなかったら、ちょっと困ってしまうことが過去ありました。そういう協力事項も補償 保険以外のところにもちょっとほしいなと思ったのですが、可能なことでしょうか。 ○新木課長  先生、もう少しわかりやすくお願いします。 ○藤原委員  わかりやすく言うと、この9頁の(7)のところは、保険についての協力は求めていらっ しゃるのですけれども、補償保険の対象にならないような抗がん剤をやっているような臨 床試験についても、補償について関連省庁や医療機関の長が協力してあげてくださいとか いうのが、ここに入らないかなと思っています。 ○新木課長  それは、すみません、例えば、がんセンターで行う場合、がんセンターの病院長や総長 が非協力的ということでしょうか。 ○藤原委員  いや、がんセンターはよかったのですが。 ○新木課長  進まないと、そういう意味で所属長に我々は言うべきだというご指摘ですか。ちょっと、 ご指摘の趣旨がよくわからなかったのですが。 ○藤原委員  実際に困ったのは、補償として医療を提供するときに予算はどうするんだと事務方から 言われたことです。発生する有害事象を年度当初には予測できないんですよね。そうする と、年度初めに、起きることがわからない健康被害に予算は組めないと言われるような所 があって、折角補償を入れるのなら、補償に対していろいろな各パートが協力してくださ いねという文言を入れておいていただくと、倫理委員会に掛けたときに、そういうことが 書いてあるので是非協力お願いしますと言えるのです。過去の医師主導治験では結構苦労 したので。 ○新木課長  それは、本文のほうでは補償しなければならないということでは、不十分なのですか。 ○藤原委員  それでも十分ですが。 ○新木課長  本文のほうに、確かそういうものがあったと思うのですが。 ○藤原委員  本文のほうは、省令GCPの運用課長通知と多分同じ内容だと思いますので問題ないの ですが、それでも過去ちょっと言われた所があったので、折角この指針以外の文書で何か 協力していただけると文書が出るのなら、そこにちょっと書いておいてもらったらいいな と思った次第です ○新木課長  4頁の(2)の(1)のところで、補償その他の措置が適切に講じられるよう、確保するよう に研究機関の長の責務として書いてありますけれども、これで何かいいような気もするの ですが、不十分だったらまたちょっと。 ○廣橋委員長代理  補償の話が出ましたので、保険は間違いなく準備できるという予測を持っておられるの かどうかということと、その時期がいつになるかということで、いつからこの補償に関す る条項が有効になるのかということについての配慮は、どうなっているのでしょうか。 ○事務局  補償の保険がいつからアベイラブルになるかというご質問かと思いますが、私どもはこ の指針の改正と並行しまして、現在保険会社とも協議を進めているところですが、今日の 時点でいつからというところは、明示的にはなかなか私どものほうから申し上げにくい状 況ではあります。私どもが聞いている範囲では、この改正が行われれば速やかにそういう 商品化の準備について検討をされるというようには聞いています。 ○金澤委員長  他にいかがですか。 ○前原委員  前回、私は手術手技に関する臨床試験の補償責任は非常に難しいということをお話申し 上げましたが、臨床研究を推進するとともに、被験者保護あるいは患者が試験への参加を 進めるためには、抗がん剤以外の医薬品や医療機器など、可能な部分から可及的に保険会 社にその商品を開発していただくことが、現実的に臨床試験が進むのではないかと思いま す。一見ブレーキのようであって、それは実際アクセルになるのではないかと私は前回の 委員会から考えました。  そして、前回も質問をしたのですが、指針の改定をその都度いろいろな状況でできるの ですかとお聞きしましたら、5年に一度ぐらいが現実的であるということで、毎年のように は行えないということでありますから、今回の改定で盛り込むことが良い機会ではないか と思っています。実際、もし補償に関する記述を時期尚早ということになれば、保険会社 としては商品開発を行う根拠がなくなりますので、今回がいい機会ではないかと思ってい ます。  そして、その補償というのは、実際額が気になるところですが、無過失ということです ので、それなりの額なのかなと思っています。今後、今回がいい機会なので、是非補償と いうものも文書の中に取り込んでいただいて進めていただくことが、今後例えば手術手技 や抗がん剤というものについても、取り組む1つのいい機会になるのではないかと思いま す。 ○金澤委員長  ほかにいかがですか。 ○倉田委員  4頁の登録のことについての確認なのですが、前回インフラの整備がされない限りは、登 録はなかなか難しいのではないかという意見が出ていたと思うのですが、ここにあります ように「登録データベースに登録しなければならないこととする」ともう決まっているの ですね。決めたのですね。 ○金澤委員長  いや、決めようとしているのです。 ○倉田委員  決めてください。 ○金澤委員長  ああ、そうですか。はい、わかりました。ただし、すべてというわけではなくて、侵襲 性を有する介入を伴う云々と少し条件が付いていますが。ほかにいかがでしょうか。真に 細かいことになるので恐縮なのですが、7頁のいちばん上の(2)のア)のところに、コード化 や無名化ということと、匿名化の関連がひょいと出てくるのですが、これは出てくる場所 としてここがいいのでしょうか。 ○事務局  これは、一応概要の流れの中で、いちばん関連するところに、一般に行われているコー ド化などはということを書いている状況ではありますが、おそらくこれを倫理指針の本文 に書き移す場合には、おそらくこの新旧対照表2の(2)のようなところになってきますが。 ○金澤委員長  2の(3)の何頁ぐらいになりますか。 ○事務局  7頁です。6〜7頁にかけての部分ですが、定義のところに委員長にご指摘いただいたよ うなものを、細則で書くような形になるかと思います。ただ、この概要は、便宜的に関連 するところに括弧書きで書かせていただいています。 ○金澤委員長  わかりました。ほかにいかがでしょうか。 ○小林委員  9頁のいちばん最後に、補足として高度医療評価制度のことに触れているのですが、これ が今回の倫理指針の要件を適用することと書いてあるのです。しかし、この指針が出るの は10月の末ですよね。この高度医療評価制度は4月から始まっているわけですから、そう すると現実的にはなかなか難しい期間が出てくるように思うのですが、10月以降に本指針 が出てから、この制度に適用されるということですか。いまの時点では、それはどうなる のでしょうか。 ○新木課長  今なら今の臨床指針を、10月31日であれば、10月31日時点で適用になっている臨床指 針になります。 ○金澤委員長  であれば、いまの指針で適用されるのではないですか。ほかにいかがですか。 ○藤原委員  たぶん、Q&Aでやっておいていただいてもいいと思うのですが、実際に私たちが臨床試験 をやっていて、ちょっとそういうときに疑問に思うので、丸山先生などのご意見も伺いた いと思っています。CRF症例調査表に、治験ではない臨床試験でCRFをつくるときに、カル テ番号をときどき使うことがあります。カルテ番号を記載すると、医療機関によってはカ ルテ番号は個人情報だから、そういうものは載せるのはまずいと言われる所もあったり、 ただ個人のアイデンティフィケーションには非常にカルテ番号が載っていると楽なときも あるので、それはこういう個人情報保護との兼合いでどのように考えておいたらいいのか というのを教えていただいて、Q&Aのときにはその辺りを細かく書いていただければなと思 ったのですが。 ○丸山委員  個人情報にはなると思いますので、匿名化のときにはカルテ番号を取り除いていただく ということが必要になると思いますが。 ○金澤橋委員長  そういうことをしたために、間違いが起こったということはありませんか。 ○藤原委員  カルテ番号があるほうが間違いが少ないということもあります。 ○金澤委員長  当然です。だから、そのことを申し上げているのです。 ○丸山委員  匿名化というのは個人情報保護のためのものなのですが、研究の精度といいますか、間 違いを減らすという点では、先生がおっしゃるとおり落とすことはマイナスに働くんです ね。ですがどちらを優位に立たせるか、そのバランスの問題で、1つの対策が対応表を設け て、匿名化をするということなのです。おっしゃるとおり、特に人手で対応表の作成など をやっていますと、間違いが発生する可能性があるというのは否めないのですが、他方個 人情報保護という要請もありますので、その辺りのバランスを図りながらの落し所になる と思います。 ○金澤委員長  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。それぞれの問題点について、皆さ ん方から少しずつはコメントをいただけたと思いますので、よろしいでしょうか。 ○廣橋委員長代理  こんなことをいま言うようなことではないのかもしれませんが、こういう指針を改定す る場合に、この次の改定をどうするのかということは、書き込まれるわけですか。今回の 会議の最初の頃に、かなり他のいろいろな指針との間の整合性が取れていないと、それぞ れ違ったスケジュールで改定をしていると、だから次回のときには、もう少し何か工夫が あってもいいのではないかという議論がありましたよね。ですから、そのようなことが書 かれるようなことがあるのか、あるいはその辺りは別に問題点を指摘しておいて、今後の 課題でやれるのか、どうなのでしょうか。 ○事務局  まず例えばということですが、先ほどの参考資料の1の現行指針ですが、この指針の18 頁に、「第6 見直し」というものがあります。この頁に「この指針は、必要に応じ、又は平 成20年7月30日を目途としてその全般に関して検討を加えた上で、見直しを行うものと する」と書いてあります。おそらく、これと同じように、必要に応じ改正しなければなら ない場合はやると。また、必要に応じというものが発生しなくても、少なくとも5年以内 には、全般に関する検討を加えたうえで見直しをするというような書き方になるかと思い ます。おそらく、法令上の文体としてはこういう書き方になると思いますが、ご指摘いた だいたような疫学指針との統合についても、廣橋委員がご指摘のように、きちんと我々は 組織内でそれを記憶に留めまして、対応させていただきたいと思っています。 ○金澤委員長  それはいけませんよ、記憶では駄目ですよ。この最後の「専門委員会において関係者に 対して要請する事項」に入れていただけなければ困ります。 ○新木課長  次にこれができ上がると、親元の厚生科学審議会の科学技術部会、疫学指針も全部所掌 している所ですので、ご報告をします。そのときに、いまのご意見、疫学指針との統合等 について、この本委員会から強い意見があったということを申し上げて、科学技術部会で 問題意識を共有していただくように、私から説明をさせていただければと思います。テイ クノートされますので。 ○金澤委員長  この中には入らないのですか。こちらにも形式上入れておいてください。まさに関係者 に対して要請する事項なんですから。ほかにいかがですか。よろしいですか。 ○井部委員  どこに書いてあるか教えていただきたいのですが、患者の診療記録からいろいろなデー タを取ってまとめるときに、誰にインフォームド・コンセントをしたらいいのかというの は、どこにありますか。観察研究になるのですが。 ○事務局  いまのご指摘ですが、いわゆる診療記録等をまとめてそれを研究として活用されるよう な場合、観察研究という扱いになるかと思います。その場合は、概要で申し上げますと、6 頁の「第4 インフォームド・コンセント」(1)(2)の観察研究の場合の2つ目のビュレット のところの「人体より採取された試料を用いない場合には」というところになるかと思い ます。 ○金澤委員長  「ICは、必ずしも必要としないということ」ですね。それでいいのではないですか。 ○井部委員  ICは必要としない。どこに書いてあるのでしょうか。 ○金澤委員長  必ずしも必要としないと。 ○井部委員  ああ、ここですね。 ○金澤委員長  2番目ですね。ほかにいかがでしょうか。 ○谷内委員  資料2の(4)ですが、2枚目の「臨床研究から見た各指針の範囲のイメージ」というところ で、いつも出る資料で確認をしたかったのですが、いちばん下の紫色の「診療行為(デー タ収集を目的としない)(特に、現場での改善に類するもの、自由診療)」とあります。基 本的には、自由診療のところも含めて診療行為として扱っていただいて、この指針の範囲 外という理解でよろしいかどうかという点です。診療行為はこの指針の範囲外だと思うの ですが、多分ここにわざわざ自由診療と書かれているということは、自由診療に関しては この指針の範囲外であるという理解でよろしいでしょうか?さまざまな自由診療が行われ ていると思うのですが。 ○事務局  ここは、なかなか定義上難しい部分はありますが、例えばいわゆる診療行為など、その 一環として行われているものであって研究目的でないものというものであれば、それはこ の臨床研究の指針の対象にはならないというところかと思います。 ○新木課長  通常自由診療というと、保険診療、自由診療という意味で使われるので、ちょっとコン フュージングな、すみません、これは言葉使いが適切ではありませんでした。いま事務局 からも申し上げましたように、診療の一環としてということで、保険が効くかどうかとい うのはまた別な議論で、関係ないと。 ○事務局  ちょっと、ここは訂正をさせていただきます。 ○金澤委員長  そうですね、気がつきませんでした。ありがとうございました。ほかにいかがですか。 今日あまり直接話題にしなかった資料についても見ていただきまして、声を挙げていただ ければと思います。パブリックコメントまでいく前に、皆さんで集まるのは今日が最後で すか。 ○事務局  この専門委員会は、今日が最後です。 ○金澤委員長  ですよね。ですから、あとはもしあるとすれば、インターネットの中でのやり取りにな りますか。 ○事務局  それから、本日修正の意見をいただいたところは事務局で修正をさせていただいて、委 員長にご確認。 ○金澤委員長  いや、私だけではなくて、やはり皆さんにお送りして確認をしたほうがいいと思います。 ○事務局  はい、わかりました。 ○金澤委員長  そろそろよろしいでしょうか。あとの予定について、事務局から説明してください。 ○事務局  今後の予定ですが、本日議論いただきました指針の改定案については、必要な修正を行 いまして、各委員の方々、そして委員長に確認をいただいたうえで、5月27日の厚生科学 審議会科学技術部会に報告をさせていただきます。そこで了承いただきますと、パブリッ クコメントの手続きに入りまして、一般の方も含めたご意見をいただいて、その意見に基 づいて、再びこちらの専門委員会で審議をいただいて、必要な修正等を行う形になるかと 思っています。本日委員の方々にお配りした資料については、今後パブリックコメントの 手続きを経るのと並行しまして、事務的にも法律的な文書のチェック等を行っていきます ので、多少文言等は内容を変更しない範囲で、表現ぶり等を変更させていただくこともあ るかと思いますので、そこはご了承いただきたいと思っています。 ○金澤委員長  ありがとうございました。いま科学技術部会にということなのですが、実はその日にち が決まっていまして、5月27日なんですね。それで、私がちょうど海外出張中なものです から、廣橋先生に出ていただくのです。ただ、それまでの時間があまりありません。皆さ んに当然見ていただくわけですが、あまり大きな修正はちょっと勘弁いただきたいと思い ます。たぶん、めちゃくちゃなことはやらないだろうと思いますが、一応私と廣橋先生に 基本的にはお任せいただけると、大変ありがたいと思います。単なる時間の問題だけです。 そうはいうものの、非常に大きな単純ミスもあるかもしれませんので、見ていただきたい ということです。よろしくお願いします。次回の日程は、まだですね。 ○事務局  次回の日程は、またパブリックコメント後になりますと、7月ぐらいになるかと思います が、また改めて調整をさせていただきたいと思います。 ○金澤委員長  以上です。何か特別に意見がないようでしたら、第8回専門委員会を終わりたいと思い ます。皆さん、ご協力ありがとうございました。 照会先:厚生労働省医政局研究開発振興課 総務係 03-5253-1111(2543) 03-3595-2430