08/05/20 平成20年度第4回介護労働者の確保・定着等に関する研究会議事録       平成20年度第4回介護労働者の確保・定着等に関する研究会          日時 平成20年5月20日(火)          10:00〜         場所 中央合同庁舎7号館共用第2特別会議室 ○大橋座長 ただいまから「第4回介護労働者の確保・定着等に関する研究会」を開催 します。なお、本日は佐藤委員、堀田委員がご欠席です。  本日は業界関係者からヒアリングを行いますが、後半の労働組合からのヒアリングに ついては、ヒアリング内容が特定の個人情報に及ぶ可能性があること、また、公開する ことにより特定の者に不利益を与えるおそれがあることから、第1回研究会で委員の皆 様にご了承いただいた議事の公開に関する申合せ事項に基づき、非公開としますのでよ ろしくお願いします。なお、非公開時には一般傍聴及びマスコミの皆様にはご退席をい ただきますので、予めご了承くださいますようお願い申し上げます。  本日は、まず社団法人日本介護福祉士会から、会長の石橋真二様にお願いします。続 きまして、有限責任中間法人「民間事業者の質を高める」全国介護事業者協議会から、 会長の対馬様を予定していましたが、飛行機が欠航ということでありまして、代理の方 にお話をしていただくことになっています。それから、全日本自治団体労働組合に所属 されている、社会福祉評議会介護部会長の小山睦子様、UIゼンセン同盟日本介護クラフ トユニオンに所属されている、訪問介護・居宅介護事業所センター長の加藤美和子様に お越しいただき、お話を伺います。  本日のヒアリングの進め方ですが、事前に送付しているヒアリング事項を中心に、社 団法人日本介護福祉士会、有限責任中間法人「民間事業者の質を高める」全国介護事業 者協議会から、それぞれ15分程度でご説明いただき、その後一括して質疑応答を行いた いと思います。その後は非公開で、全日本自治団体労働組合及びUIゼンセン同盟日本介 護クラフトユニオンの方から、同様の形でヒアリングを行いたいと思います。  ここで配付資料の確認について、事務局からご説明願います。 ○佐藤介護労働対策室長補佐 資料の確認をします。議事次第の次の資料1は、本日のヒ アリング対象団体出席者の名簿。資料2は、ヒアリング対象団体の概要。資料3-1は、日 本介護福祉士会からのヒアリング資料。資料3-2は、民介協様のヒアリング資料の関係。 資料3-3は、自治労様。資料3-4は、日本介護クラフトユニオン様。また、日本介護福祉 様以下関係資料をいただいていますので、それも併せてお付けしています。以上です。 ○大橋座長 ありがとうございます。まず、社団法人日本介護福祉士会からのご説明を いただきたいと思いますので、会長の石橋様から15分程度でお願いします。 ○石橋会長(社団法人日本介護福祉士会) おはようございます。早速資料に沿って、 ご説明を申し上げたいと思います。  まず「基本情報」ですが、私どもの団体は平成6年2月12日に任意団体、介護福祉の職 能団体として設立しまして、平成12年に社団法人化しました。ここに書いてありますよ うに、本会の目的は介護福祉士の職業倫理及び専門性の確立と、介護福祉士の資質の向 上、社会的地位の向上に資するとともに、国民の福祉の増進に寄与することを目的とし た団体で、以下6つの事業内容を行っています。  2頁です。私たちの団体の状況です。正会員数は、平成19年度末で4万1,524名います。 男女の比率の関係、就業者の数の割合は、いまの会員管理システムでは正確に把握でき ていないところもありましたので、別紙の「第7回介護福祉士の就労実態と専門性の意 識に関する調査報告書」の中から抜粋をしています。基本的には女性が84.7%、男性が 15.1%という割合です。就業者は92.8%、無業者は6.3%という割合です。無業者の就 業希望については、いまのところ各都道府県支部において個別に対応していますので、 本部で統計データとしては、いまのところは把握はしていません。  (3)の「現在の介護労働の状況をどのように捉えていますか」という質問です。こちら に書いてありますように、介護労働というのは人の尊厳を守り、生活、生命、人生を支 える対人援助の専門職として大切な役割を担っている職業にもかかわらず、他の医療な どの対人援助専門職または他の産業などと比較しても給料などが安すぎるなど、労働対 価としての評価があまりにも低すぎるというのがいちばん大きな実感です。  また、その介護保険制度の導入前と後では、介護の労働の質、密度というのが非常に 大きく変わってきています。特に介護保険制度導入後においては、ここに書いてあるよ うに、利用者本位の介護、個別的な介護、予防からターミナルまで幅広い介護、ユニッ トケアへの対応、認知症への対応など、以前の介護と比べて介護の内容が非常に幅広く 多様となっていますし、介護者自身により高度な専門性が求められ、介護の現場の労働 内容というのは高度化、質が高いものが求められているというのが大きな現状です。  このように介護労働の質というのは大きく変わっているにもかかわらず、そのため介 護労働者の負担が増加していっている。にもかかわらず、介護労働というのは十分に評 価されてきていない。特に介護保険導入後、介護報酬による経営になってからは逆に年 収の低下を招くなど、現在の介護労働の評価は実態とかけ離れて、非常に低いというの が実感です。そのため、早急に介護労働に対しての正当な評価をすることとか、人材確 保対策を抜本的に行うことが非常に大切かなと思っています。  今般「社会福祉士事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的指針」が 昨年度厚労省で見直しをされましたが、その内容については十分に納得いくものですか ら、それをそのまま作文で終わらせることなく、それが実効性あるものに取り組むこと が大切なことであると思います。それをしなければ、いま行われている介護保険制度も 崩壊するかもしれませんし、社会保障自体の崩壊の危機と考えています。  「就職状況等について」です。「介護福祉士が重視する求人条件は、どのようなもの ですか」という問いかけに対して、私どもが個別にやった調査の中からピックアップし たものがここに書いてあります。特に待遇面におきまして、採用時の給与水準とか、採 用後の昇給等がきちんとあるのか。専門職としてきちんと評価されているのか。キャリ アアップがその後可能であるか。職場環境、企業理念として、上司の理解とか職場内の 人間関係とか、職場の研修制度の充実が図られているかどうかを主に重視しています。  就職先の動向は、アンケート調査の結果から言えることは、介護老人福祉施設の職員 がいま少しずつ減ってきている。逆に、居宅介護支援事業所に勤務される方が少しずつ 増えてきたり、グループホームに勤めている方も少しずつ増えてきている状況が見られ ます。  「介護福祉士の最近の就業実態に、どのような傾向が見られますか」ということです。 給与面に関しては、私たちのデータでは平均給与が非常勤も超勤手当等も含めて19万9, 490円ということで、2年前と比べてほぼ変わっていないのが現状です。非正規職員が最 近増加していますが、非正規職員の賃金は非常に少なくなってきているというのが現状 だと思います。  主な離職理由は、私たちの調査において主な転職理由から抜き出したものですが、給 与の水準の低さとか、職場の人間関係の悪化とか、仕事が大変なために仕事にやり甲斐 を持てないというのが主な理由です。在職期間は、介護の通算年数は11年ぐらいありま すが、いまの職場での経験年数は平均で7.2年あります。ただし、5年未満が40%と非常 に増えてきているのが現状です。  それ以外に、労働時間と労働の負担というのが別紙で、昨年の秋に取りました「人材 確保に関する現状と課題について」の緊急アンケートの中のQ3です。仕事が「非常に増 えた」と「増えた」を合わせましても6割以上ありますし、プライベートな時間がそれ に伴ってなくなったとか、給料については「変わらない」が半分ぐらいで、3割以上が 「減った」と答えています。当然、仕事のゆとりがなくなったとか、体調がそれに伴っ て悪くなったといった労働環境の変化が見られています。  (3)「介護関連職種への就業を希望する会員に対して、何か支援を行っていますか」が あります。私どもにおいては、各都道府県支部において就職相談とか、これから仕事を しようと思っている潜在介護福祉士の人たちに対しての研修などの取組、地域の福祉人 材センターとの情報交換など、連携をしています。  3「介護労働者の定着を図るための措置等について」です。まず私たちの会員の在職・ 離職状況、それから、どのような方法が必要かという質問に対してです。先ほども申し 上げましたが、介護の通算経験年数は11.7年、現在の職場の経験年数が7.2年となって いまして、介護福祉士の会員以外、介護福祉士やそのほかの介護職と比べて、職能団体 に入っているということで、それがメリットとなってまた意欲が高まって、私たちの会 員に限りましては継続率が高いことがわかると思います。  転職経験のある方は43.8%いますが、転職の内訳においても介護関連から介護関連職 種が35.2%、その他も含めて介護以外に転職されている方は僅か4.0%となっています。 転職の理由は、さらにスキルアップしたいとか、職場の都合とか、定年退職、家庭の事 情などが30%ぐらいでいちばん多く、その次に給料が安い、職場の人間関係等になって います。  先ほどのアンケート資料から、介護職が定着しない理由を尋ねてみたところ、給料が 非常に安すぎるというのが約8割ぐらい。それから、介護職への労働対価が低すぎると いうことがいちばんの理由ですが、それ以外に職場環境にも問題がありまして、例えば 介護・職員を使い捨てだと思っているとか、経営者はサービスの質を考えていないとか、 そういったことも1つの大きな理由になっている状況が見られます。したがって、給与 面の労働条件だけではなく、経営者の質の問題にも大きな影響があると言えると思いま す。  さらに最近、介護老人福祉施設においては8割以上が要介護度4か5の高齢者が非常 に多いわけですが、そのときに介護者の身体的負担、特に腰痛を訴える者、体調を崩し て健康を害したとする者が増えつつあります。この辺の改善も非常に大切かなと思って います。  このような結果から、介護職の定着を高めるためには、給与面の改善をはじめとした 労働条件の改善は当然としまして、腰痛予防などの健康管理対策や働き甲斐がある職場 環境をつくるために、優れたリーダーの養成や施設長などの質の確保が十分必要であり、 チームリーダーの任用資格、施設長の資格の見直しなどを含めたキャリアパスを活用す ることが重要であると思っています。  なお、介護福祉士等の専門性の高い人材を配置した場合とか、一定の研修を終了した 者に対しては、介護報酬の加算の仕組みが導入されるなど、より質の高い人材が評価さ れる仕組みもこれから検討されるべきだと思っています。それから、介護の労働の密度 が高まってきたわけですが、介護労働に、より安全かつゆとりあるサービスができる環 境づくりが必要ですが、そのためには人員配置基準の見直しとか、労働時間の短縮等の 労働環境の改善というものが大きな検討課題だと思っています。  なおかつ、そういう状況の中において、ベテランの方が少なくなって若い人たち中心 の介護現場が増えつつあるわけです。そのときにある程度チームリーダーや初任者の指 導係といったものをきちんと養成していかないと、職場がスムーズに回らないという課 題も出てくるかと思います。そのためにも、そういったキャリアアップの仕組みが必要 かなと考えています。同時に「職場における腰痛予防対策指針」というのが出されまし たが、これもなかなか守られていないのが現状です。労働三法も当然ですが、労働安全 衛生法等も含めて、しっかりその辺が遵守される必要性があるかなと思っています。  「潜在的介護福祉士に対して、介護関連職種への求職活動を促すために」という質問 ですが、私どもは先ほど申し上げましたように、各都道府県支部において研修を行った り就職相談を行っています。何分いまの潜在介護福祉士がどの程度どこにいるのかとい った名簿が入手できない状況ですので、折角でありますので、そういった把握を国のほ うにしていただいて、その情報を私たちにいただければ、もっと職能団体としての活動 ができるかなということも考えています。そのために、先ほど申し上げました再研修と か人材センターとさらに連携しておくことが必要だと考えています。しかしながら、そ うはいってもいくら研修情報を流しても、肝心の介護福祉士の待遇とかキャリアアップ の仕組みができていないと、そこには戻ってきませんので、まずは併せてきちんとその こともしておくことが必要だと思っています。  それから女性の方が8割と非常に多いわけですが、特に結婚、出産を機に辞められる 人も多いわけですから、復帰しやすいような仕組みで保育所を設置したり夜勤や変則勤 務を少なくしたり、パート的な働き方も行いやすいようにするなど、多様な働き方を望 む者に対して、労働環境を整えることも非常に大切だと思っています。  「雇用管理の状況について」です。キャリア管理、教育訓練ですが、日本介護福祉士 会はキャリアアップの仕組みを構築するための生涯研修体系というのを行っています。 リーフレットにもあると思いますが、平成18年度から特に一般的な研修以外にも、介護 福祉士が将来どのような介護福祉士を目指していこうか、ということが見えるような仕 組みの研修体系として、初任者研修、チームリーダーを養成するファーストステップ研 修、いまは専門介護福祉士のモデル研修などを実施しています。そのために、会員には 生涯研修手帳を配布して、それを本会で一元管理しています。もちろん中央研修のみな らず、各都道府県支部でその支部のニーズに対応するような研修も企画して、それぞれ 会員のニーズに合うような研修を実施しています。  その次に、介護福祉士の定着率を高めるためにという取組みもあります。それを行う ためには、私たちのアンケートの中で、特に先ほどのキャリアアップを妨げる要因とし ては「経営者は、人材育成にお金をかけない」「上司の無理解」「管理職への登用の道 がない」という項目が非常に多いことから鑑みまして、先ほどから申し上げていますよ うに、施設長の国家資格については、一定の研修終了者とか資格要件を課すということ。 そして、キャリアアップの道筋をきちんと付けること。それから介護福祉士などの専門 職をきちんと評価し、配置を義務づけ、それに対しての介護報酬の加算といった仕組み をもこれから必要になってくるのではないかなと思っています。同時に、そういった研 修参加しやすいような仕組みづくりといったことも、これから検討するべきであると思 っています。したがって、教育訓練費や研修参加者に対する助成金といった仕組みも、 これから構築していただきたいと思っています。  労働環境の改善です。先ほどから申し上げていますが、何と言っても介護を魅力ある 職業として確立するためには、賃金向上などの労働条件の改善は当然ですが、キャリア アップの仕組みの導入、さらに安心して働けるような経営母体も安定する仕組みも併せ て必要かなと思っています。それから女性が多い職場ということもありますから、先ほ どから申し上げているような結婚、出産、育児、家庭と仕事を両立できるような支援策 が必要ということです。  それから、特に施設勤務などにおいては夜勤の回数が4回以上がほとんどです。夜勤 の場合についていまの人員配置基準では、例えば夜40人に対して2名、休憩などを入れ ると1名になる場合もあります。利用者は夜だからといって常に寝ているわけではあり ません。動いていることが多くて、事故も起こりやすいような状況が危惧されるわけで す。このため、夜勤者というのは心身のストレスが非常に溜まる大変な勤務だと思いま すので、夜勤の時間帯をどうするかも含めて職員の配置基準の見直し、夜勤のあり方な どについても改善していくべきだと思っています。  最近では、医療行為の必要な利用者も非常に増えてきており、夜勤では看護師がいな いため、介護職がやむなく医療行為も行っている状況もあります。介護職が医療行為を 行わなければいけないために、事故が起きたらどうしようかということも含めて、かな り精神的にも負担が増加し、リスクを負っている状況もあります。こういったことを抜 本的に解決する仕組みも必要かなと思っています。日中も同様で、3対1というのが標準 ですが、実質のところは昼間は10人に1人とか夜勤は20人に1人という状況で、介護の質 ・中身が大きく変わっているにもかかわらず、いままでの配置基準ではいいわけがない ということです。  施設の運営基準については、常勤、非常勤の方が非常に増えてきていますが、常勤の 責任の重さ、仕事量、内容等に比べて、非常勤はかなり違ってきていますので、非常勤 の方の分のリスクも常勤が負わなければいけないということで、それも少し改善してい く必要があるかなと感じています。併せて、最近はNPO法人とか民間企業などが非常に 増えてきていますが、その場合について福利厚生が十分でないことも1つの課題として あります。福利厚生が十分に図れるような仕組み。それから、超勤手当が支給されない サービス残業が増えてきている実態もありますので、労働三法が遵守されるように徹底 していただきたいと思っています。  「厚生労働省への要望」です。これまでのまとめになるかもわかりませんが、介護職 の労働条件の改善・キャリアアップの仕組みなど、介護福祉士の社会的評価の向上のた め、去年、告示されました人材確保基本指針を実効性あるものにしていただきたいと思 いますし、そのためにお金の問題が絡んでくるかもわかりませんが、介護報酬の改定に 結び付けるような仕組みも含めて検討していただきたいと思います。なおかつ、いま現 在国会で検討されている「人材確保のための介護従事者等の処遇改善法案」が衆議院を 通過していますが、この中身についても、具体的に先ほど申し上げた内容に結び付くよ うな、実効性のあるものにしていただきたいと考えています。いまの社会福祉法では人 材確保の基本指針というのが、社会福祉に従事する者以外の人たちは指針の対象と法的 にはなっていませんので、できれば社会福祉法の条文の改正も検討していただきたいと 考えています。  それと先ほどから申し上げていますように、適切な介護サービスや介護労働の安全か つゆとりあるサービスということで、人員配置基準の見直し、労働三法の遵守を徹底で きるような仕組みをもしていただきたいと思っています。  現在、厚生労働省が賃金等介護労働者の実態や介護事業者の経営実態について調査を 行っていると伺っていますが、これらの調査結果について平成21年の改定時に適切な報 酬改定に結び付くようにご検討いただきたい。特に、事務負担等の軽減等の措置につい てもご検討いただきたいと思っていますし、一般の介護従事者と介護福祉士の国家資格 を有する者との専門性の違いを認識した分析が必要かと考えていますので、そこのとこ ろもよろしくお願いしたいと思います。  今後は後期高齢者が非常に増えていくわけですが、そのときに国民に質の高いサービ スを提供していく必要があるわけです。そのために介護労働者への正当な評価が行える ような介護報酬の見直しも当然そうでしょうし、国民が安心できるような介護保険制度 の構築とか、障害者に対する自立支援法等についても、もう一度きちんと見直しをして、 社会保障全体の充実を目指した幅広い施策を講じていただきたいと考えています。  最近、経済連携協定によりフィリピン、インドネシアから外国人労働者の参入も見込 まれていますが、人手不足だから安易に外国人に頼ることは避けるべきだと思います。 今回申し上げた介護問題を根本から解決しないと、介護の人材確保の問題は解決しない と思います。日本には潜在介護福祉士、潜在介護職が多数存在しますので、まずは日本 における労働環境の整備、潜在介護職をはじめ、若い人が介護を目指すように、国内で の介護労働力確保を最優先すべきだと思っていますので、外国人労働者の受入れに関し ては十分留意していただきたいと思いますし、現場の意見をも尊重していただきたいと 考えています。  介護・福祉に関する普及啓発を促進するために、「介護の日」を是非設けていただき たいと思っています。以上で、私どもの質問事項についての回答を終わります。ありが とうございました。 ○大橋座長 どうもありがとうございました。あとで質問します。引き続きまして、有 限責任中間法人「民間事業者の質を高める」全国介護事業者協議会から15分程度でご説 明をお願いします。 ○馬袋監事(有限責任中間法人「民間事業者の質を高める」全国介護事業者協議会)  それでは報告をします。本日は会長の対馬が発表するところ、所用の交通事情により まして代理で馬袋が報告します。よろしくお願いします。  お手元の配付資料に沿ってご説明します。「基本情報」ですが、当団体は平成14年9 月に設立された団体で、株式会社、有限会社主体で居宅サービスを中心に行っている事 業者団体です。全国約500社で構成されています。主に、訪問介護事業を中核に実施を している団体です。主たる業務としてこちらに記載されているように、訪問介護保険に おける在宅系のサービスを中心に、訪問介護、訪問入浴といった事業の展開をしていま す。事業の現状はどうか。いろいろな現状の出し方があると思います。経営的なもの、 人員確保のものの双方がありますが、事業者団体、経営団体とありますので、経営とし てはどうかという側面から会員の大半が赤字になっている。継続的には非常に厳しい状 態です。ちなみに、年間でこの3月で当会員の更新がありますが、約1割近い方が退会。 退会の原因は、事業を辞める方々が出てきています。  2つ目に、「介護労働者の定着を図るための措置等について」です。(1)の人員構成 と過不足感の質問に対しての回答です。人員構成ということで、有資格者等、括弧の現 状についてどうなっているか。また、全体的な絶対量が不足しているか等のご質問に対 して、この調査の件のご依頼がきまして3日後に資料を出せということでしたので、私ど もも厚生的な資料を正確な資料として全体に調査するには時間が足らないということで、 今回についてはその会の中でも最大手でありますジャパンケアの内容についてご説明を したいと思います。  ジャパンケアは、首都圏及び東日本、北海道にかけて行っている訪問介護を中心とし た事業会社ですので、日本における首都圏、中間山部等も含めた内容のところを実施し ていますので、その内容に従ってご説明していきたいと思います。  人員については、こちらの記載どおり今年の1月現在7,612名います。管理者を除く、 すべての部門については、ヘルパー二級以上の資格を有しています。7,418名のうち正 社員が2,441名ということで、全体の32.9%。大体実態調査をしても、訪問介護系につ いては7対3で、7割が非常勤、3割が常勤。3割の常勤を持っているところは良いほうだ と。訪問介護については、2割が現状であろうかと思います。性別は、当然男性が1割、 女性が9割ということで、女性を中心にした職場になっています。平均年齢は、当社の 場合38歳ということで、中途採用がほとんどです。この中途採用という考え方ですが、 正職員の中途採用及び非正規職員、パートに関しても中途採用は多いのが事実です。  人員に関しては、絶対量が不足をしている状況です。絶対量の不足の要因は、利用量 の、介護提供を受けたいという利用者の数に対して提供する人員が不足をしている。ま た、産業構造上、私どもの介護サービスへ転換していただく方が非常に少なくなったり、 学校等での介護福祉等の定員割れという状況も踏まえて、大きく不足をしている。とり わけ、大都市では確保が困難。ほとんどの事業者は諦めという状況です。特に、訪問介 護系は顕著にそのような状況です。  2頁の(2)です。介護サービスを提供していくために、人材の質的な面と量的な面から 構成を考えた場合、有資格者、無資格者、経験者、正規、非正規、男性、女性、新卒、 中途、年齢層などにどのようなものが理想。理想というのは標準を示されていないので、 理想がどこにあるかという議論は非常に難しいと思いますが、当然ですが介護のプロと して資格を持ってやっていくことが望ましいと思っています。かつ、当初二級のホーム ヘルパーを大量に市場の中というか、介護の現場の中にお願いしていかなければならな い状態がありました。二級の内容が非常に多くありましたが、二級よりも一級、一級よ りも介護福祉士というのが望ましいと思っています。経験については当然介護現場、特 に訪問介護の現場においては1対1でサービスを提供している現場ですので、経験がかな り効果的であることはあります。  正職員については、当然私どもは正職員を採用して実施したいのですが、現在の報酬 体系では非常勤でならざるを得ないというのも実態です。特に男性、女性の比率につい ては、男性ヘルパーを拒否しているわけではないですが、利用者において女性ヘルパー を大半の方が望まれる現実もある関係上、女性職員の採用、確保を望んでいます。新卒、 中途はどちらでも構わないが、基本的ならば業界としては新卒を立てて、将来ある幹部 として育てたいというのが理想です。年齢についてはこちらにありますように、20代、 30代、40代、50代と高齢者の方々に対して幅広い年代層が関わって支えていくという のも、仕事の現場においても必要だと思っています。  非正規は、私は悪いとは思っていません。非正規は、訪問介護等については同じ時刻、 同じ時間帯に大量な人の要求が必要になりますので、これを雇用している正職員でやり 繰るのは非常に困難な状況もありますので、ある意味、非正規職員も必要な社会資源で あると思っています。  2つ目は離職の状況です。今後、離職を防ぎ定着を高めるためには、どのような措置 を講じるべきかというご質問です。まず離職を防ぐ1つの方法として、介護のプロとし て学んで、実践できる職場を提供することだろうと思っています。そのためには運用し ている現場もそうでしょうが、介護というのはまだ未熟であると思っています。医療の ような歴史があるものではありません。その面では、ご利用者自身も何かお手伝いさん が来てくれた利便性の上にお使いになりたいというご希望もあるのも事実です。  実際業務の内容の中でも、調理、洗濯、炊事といったことを望まれたり、代行を望ま れるものがあります。介護福祉士の学校を出た若い子が、料理で5品、10品作れるか。 明日、現場に入るのにどうしようかということで、二晩かけて自分で料理を作って行く というのも現実にあります。そういう面では介護のプロとして身体、そういったところ を中核に据えていく仕事に求めてキャリアアップを図りたい。それが、1つ大きな離職 に対して抑制できるものではないかと思っています。  当然、仕事の大変さについて報酬というもの、介護費にすべて結ぶつもりはありませ んが、仕事をしてもキャリアがあっても、単価としては1回あたりの単価は同じですの で、そういう面ではキャリアアップして頑張った分の内容をどのように評価し、水準を 上げていくかは、報酬の中でもご検討いただきたいものです。  3つ目は定着を図る対策として、どのように考えているかということです。先ほどご 説明しましたように、在宅の有資格者であるという介護のプロとして育てていくことが 1点ですし、介護の経験とか、正職員・非正規とかは一切関係ないと思っています。  3頁は「人材確保の状況について」です。人材の募集に関する募集状況、充足状況は どうか。募集条件を掲示する給与水準はどの程度にしているのかということです。まず 慢性的な人不足で、各事業所は疲労困憊と書いていますが、確かに人が入らないけれど も、利用者の24時間365日を支えるところは待った無しでありますので、どうしても無 理がかかっているのが現状です。いま都心でヘルパーを採用するのに、50万円をかけて 1人集まればというような団体状況です。募集広告を出してもなかなかないということ で、人材の紹介業にお願いをした場合、サービス提供責任者クラスでいま1人を紹介し ていただくのに60〜70万円がかかります。  そしていま、入浴事業のほうでは訪問看護師の設置要件がありますが、看護師が医療 の7対1の供給水準の加算のほうに引っ張られた関係上、看護の慢性的不足がありまして、 在宅現場でも不足をしています。看護師を募集して、常勤でキャリアのある人と申しま すと、訪問看護ステーションの管理者等でありますと、いま募集よりも紹介をいただく のに100〜120万円の紹介料を掛けて、1人が採用できたらいいなというのが都心の現状 です。そういう面では誰でもいいという仕事ではありませんので、募集については困難 な状況であるということです。  かつ、先ほど協会のほうからありましたが、福利厚生費を含んで全体の人件費が70%、 場合によっては80%を超えている。これは、事業としては成り立たないということです。 当然そのことは私どもが事業として成り立たないよりも、いろいろな株価の市場から見 ても介護業界の人件費については経営的にはどうなのだと言われるぐらい、人件費率が 高いと言われています。そのためにも、現行の介護報酬に結び付けではありませんが、 収入全体を介護報酬から得ている事業のために厳しいという状況です。  募集の方法です。当然、募集については新聞等の折込み、インターネット、ハローワ ークとさまざまな手段を講じてやっています。特に工夫として、ジャパンケアの場合で すと上位資格取得の支援や研修会のスキルアップを全面に打ち出していることとか、い ま働いている職場のメンバーのコメント。この職場でこんなことを頑張っている。こう いう人が、私と一緒に仲間として働きたいというように仲間を求めている。給与の云々 ではなくて、この職場、事業、介護が大切だと思う人は一緒にやってくれないかという、 全面的な広告で集めているのが各社の現状であろうかと思います。給与にいくら差を出 しても、人は動いていない。多少動きますが、それが現状です。  4つ目は「雇用管理の状況について」です。キャリア管理、教育訓練ですが、どのよ うなキャリアの形成をする取組が必要かということです。当然私どもの会社でもキャリ アアップの仕組みを導入して、いま組合に提案しています。例えば3年ごとに試験等を 行ってワンランク上げていくとか、当然採用したメンバーには採用時研修、継続的な研 修、各種研修をかなり積極的にやっています。こういった研修ができるのも、組織があ る程度なければこういう研修を組めません。ただ、私の会の実態からすれば、介護事業 所として大半が1カ所から5カ所ぐらいの少ない事業所の運営をしているような所では、 なかなか研修が苦しいというのが事実です。ジャパンケアにおきましては、グループ内 の学校法人がありまして、そこで介護福祉士の対策受験の講座の9割を補助していると いうことで、人材の育成を図っています。  4頁は、労働環境、健康管理のご質問です。介護労働者の労働環境、介護サービスの 利用者の満足度、引いていえば経営との間にどのような相関関係があるかということで す。基本的にヘルパーの仕事は、利用者と1対1の関係になりがちです。よく間違えられ ますが、訪問介護は派遣ではありません。請負です。なぜならば、介護サービスは請負 契約で契約を実施していますし、サービスはヘルパー1人が行うものではなくて、アセ スメントをするサービス提供責任者、ヘルパーを教育する管理者、チームということで 行っているのが介護です。  時たま、ヘルパーの派遣のように、良いヘルパーが来ればいい仕事と捉えがちですが、 全くそういうものではなくて、ケアプランに基づいて訪問介護契約を策定し、チームで ケアをしていく。請負であることが非常に大切。そのことによって、労働の中のチーム によるケア、チームによる関係から労働環境を向上していきたいと思っています。結果、 そのことが利用者にもご理解いただきながら、チームで、組織で質を高めていく。かつ、 そのことがコンプライアンス等についてもサービスの質の向上になると思っています。  すなわち、人材の確保は大変困難ですが、私どもの業界団体で大切なことは、いまい る人材が辞めないこと。いまいる人材を育てること。そして、いまいる人材が夢を発信 して新しい人が来てもらう環境をつくることがテーマだと思っています。  (2)の介護労働者の定着を高める観点から、どのような改善、健康管理が必要かという ことで書いています。基本的に訪問介護事業者についてはまだスタートして間がないと いうこともありますが、先ほど申しましたように、派遣なのか請負なのかがまだはっき りせず事業をしていらっしゃる方も当然あったのも事実だと思います。でも、ここはき ちんとした事業であり、請負であり、業務の責任ある体系の仕事として行わなければい けません。  ただ、いまあります事業所に課せられているさまざまな事務手続等については、大幅 な事務のこと、レセプトのこと、労働環境に関する整備または指針のことに関して、非 常に多岐多忙にわたる業務があります。その面では、事務職員の配置が置けるような事 業所を設置することが私たちの1つの目標です。当然これは売上規模でいきますと、500 万円以上ないといけない。単純に5万円の単価としますと、100名ぐらいの利用者がない といけない。介護労働実態を調べていただきますと平均50名ですので、小規模事業所に とっては非常に厳しくて、管理者、提供責任者が兼務をしているという状況です。当然 それはケアをしたあとでやるということで、残業をお願いせざるを得ないのが現状です。  健康管理については、当然健康診断は事業者として責任を持ってやっていますが、腰 痛の対策、介護病といったものについても腰痛の検査等を義務づけということで、体制 の改善を図るものが必要かと思っています。実は施設と違って在宅の場合、畳の所に寝 ていらっしゃる方もあるし、ベッド自体の高さも調整できたりできなかったりというこ とで、利用者単位で介護の姿勢が全部違うのが実態ですので、より腰痛対策には望まれ るところです。  最後は「厚生労働省への要望」です。要望としては今回は雇用確保ということですの で、ハローワークで介護の社会的な仕事として大切だということを鑑みていただいて、 専門の求人のコーナーや全国での合同説明会等をお願いしたいというのが1つです。  それから、事業所の要である管理者は、運営要件、人員要件の中では管理者の設置義 務というのがありますが、管理者の職務基準については明確に記載されていません。ま してや、管理者が求められるスキルについてはいま検討が始まっていますが、事業所の 要、管理をする責任者である管理者に対する研修。人を大切にして、安全なケアを提供 するということを担っている管理者に対する研修を是非補助というよりは、こういった 助成をいた だきながら各種団体等にご依頼いただいて、管理者の養成研修等を積極的に進めていた だきたい。ここが要になりますと、いろいろな方々に安心して働いてもらう職場とか、 良い職場だよということを自信を持って言える管理者を育てることも、定着に対して必 要であろうかと思っています。以上です。 ○大橋座長 ありがとうございました。ただいまの2団体の方のご議論に対して、質疑 をお願いします。 ○北浦委員 介護福祉士会の方から2つ、3つほどお聞きします。大変厳しい現状にある ことはよく理解できました。たくさんあったのですが、1つは4頁の定着の問題で、調査 によって現状で介護関連から介護職関連に転職した方が35.2%で、あとは云々となって いますが、合算しますと大体半分ぐらいですね。そうすると、半分以外の方というのは、 転職をしていなかったということになるわけですね。それはたぶん1回辞めて、家庭に 戻られたとかの事情ではないかと思いますが、ただこの調査は現在就職なさっている方 に対して聞いているわけで、実際に勤められた方がそのあとどうなったかという意味合 いで考えたときに、介護以外に転職というのは、いま現在勤めている方でしたら、こう いう経験は少ないですが、実際問題介護福祉士の方で、介護以外の所へ転職してしまう ケースが数字ではないのかもしれませんが、実態としてあるのかどうか。その点をこの 調査の関係で教えていただきたいと思います。  もう1つは、その下の管理層の資質の向上がポイントだろうと思いますが、施設長の 資格というのは後ろに「国家資格もあるべし」ということが出ていましたが、チームリ ーダーの任用資格ということで、先ほどの話のご説明からいくと研修か何かを義務づけ て、それを終了した者にさせるということを考えているのかどうか。具体的に、ここは 大変管理層をどう位置づけるかということで、ポイントかと思いました。  ついでにもう1つだけ聞きます。6頁のキャリアアップのところで、介護福祉士会で生 涯研修手帳というのを出されている。大変良い試みだと思いますが、履歴を一元管理し ている。要するに、会員の全従業員というか職員の方がわかるのだろうと思います。こ の一元管理している意味合いです。管理だけではなくて、管理してどうなのか。この辺 を少し教えていただければと思います。以上、少しバラバラですが3点お願いします。 ○石橋会長 ありがとうございます。最初の質問ですが、今回私たちの調査は実際に介 護の現場で働いている人たちに対しての調査ですので、介護福祉士を辞めてどういった ところに行ったかとか、その割合は残念ながら正式に把握はしていない状況です。ただ、 いろいろなところで聞くところによりますと、私も学校の教員の経験がありますが、そ この卒業生が現場に勤めたのですが、特に男性の方はこのままでは生活ができないとい うことで、一般の民間企業等が最近景気が良くなっている関係上、待遇面もいいわけで すので、残念ながら折角勉強したけれども、そちらに行かざるを得なかったということ をここ最近、非常に多く聞いている状況が1つあります。  次の質問のチームリーダーの養成に関しては、基本的には先ほど少し申し上げました 私たちの生涯研修体系の中で、ファーストステップ研修を平成18年度からモデル事業と して行っています。これはチームリーダーとか初任者に対する指導係を養成することが 非常に大切なことかなということで、大体200時間程度の研修。200時間程度の研修とい っても、半分は課題を含めた研修ですから、実質は100時間程度の研修になるかと思い ます。  そういった研修を行った人たちに対しても終了資格を与えて、それができれば任用資 格として位置づけをしていただきたい。いくらそういう研修をしても、折角研修を受け た人たちがその位置づけがきちんとされていないとか、キャリアとしてのポストがきち んとないというのでは困りますので、それを促進するためにも任用資格といった形をこ れから設けることは必要かなと思っています。そのため、当然研修終了者に対しての何 らかの評価が必要となってきますので、介護報酬を加算してその人たちに付与するとか、 そういった仕組みも併せて必要であると思っています。  定着率を高めるためには、優れたチームリーダーがいるか、いないによって、かなり 違ってくる現状がありますので、そういう意味において、リーダー養成研修などは非常 に大切であると思って研修に取り組んでいます。  研修の一元管理については、本人も管理していただくのが当然ですが、本人がたまた ま忘れたりすることもありますので、本会としても一元管理して、必要なときにそれを 情報提供してあげることと、どの支部でどのような職種会員の方が研修をどれだけ受け ているかに対して、きちんと把握することも今後大切になってきますので、そういう意 味においても一元管理をしています。よろしいでしょうか。 ○北浦委員 ありがとうございました。関連して、3つほど簡単に申し上げます。最初 の点については、他産業というか他企業に転職した場合には、この数字から見るとあま り戻ってこないと考えていいのかどうか。こういう傾向が強いのかどうか。これは何年 かするとわかりませんが。  2つ目は、いまの任用資格の研修を非常によくやっていらっしゃるのは、よくわかり ました。全く大事な点だと思いますが、前に養成施設協会にお聞きしましたが、介護福 祉士をそもそもを養成するときに、もう少しこういうポイントを入れて養成すべきでは ないか。何かその辺のお考えがあるかどうか。  3つ目は、ただいまの一元管理のことはよくわかりましたが、例えばスキルとか履歴 として、研修をやったかやらないかではなくて、研修の内容的なものまで履歴管理的に やっていらっしゃるのかどうかの3つです。よろしくお願いします。 ○石橋会長 逆からお答えします。研修の一元管理について、当然内容ですね、何時間 受けたかだけではなくて、どのような研修を受けたかについてもきちんと管理していま す。それがキャリアアップの道にまたつながってくるものだと思いますので、それを行 っています。  養成校で本来であればそういった研修をやればいいというお話がありましたが、今回 は社会福祉士・介護士の一部改正法案について養成時間等の見直しをされていますが、 2年間で完成された介護福祉士になるわけではありません。基礎教育をきちんと受けて、 さらに現場で働きながら学んでくるものもありますので、リカレント教育という意味合 いにおいて、現場経験を踏まえて、なおかつそのあとはきちんと研修していく。そこで 初めて身に付くものがありますので、そういう意味において資格取得後のキャリアアッ プに応じた研修は必要になると考えています。  1つ目の質問です。他産業に行きましても、本人たちはどちらかというと折角介護の 勉強をしたわけですから、本当は戻りたいという人は結構います。けれども、現実はそ れでは生活が成り立たないということで、やむなく他産業に行っているのが事実です。 元々その介護の仕事の魅力といったことは十分にわかっている人たちですが、それでは 現実問題1、2年はうまくいくかもわかりませんが、長期的に見たらこのままでは先が見 えないので、やめざるを得ない。けれども、本当は介護の現場に戻りたいという人たち がほとんどだと思っています。 ○河委員 介護事業者協議会の方にお聞きします。1つは協議会の中で、先ほど介護福 祉士会がおっしゃった施設型の夜間の問題について、もともとの24時間365日というの は在介協の皆さん方が提案したものだと思いますので、それにいまの状況とそれにおけ る人手不足の問題があるかどうかが1点。  もう1点は、やや個人的な形で申し訳ないですが、馬袋監事自身が20年近く在宅の世 界を実践の舞台でやってこられた方でいらっしゃいますので、特に人材を雇うという中 で、介護保険全部の中で介護福祉士を含めて、社会の雰囲気がどう移っているのか、そ れが近年どうなのか。これはやや個人的なご質問のようでいて、ずっと見ていらっしゃ る方というのは、実は必ずしもいらっしゃらないのです。そういう意味ではやや個人的 であれ、この15年間の変化と今の雇用といいましょうか、働く場の問題について、若干 の感想を短くよろしくお願いします。 ○馬袋監事 それでは、いちばん初めの24時間介護の夜の状況について報告します。実 は24時間の訪問介護というのは、民間事業者が開発したものです。コムスンの榎本さん という方と、その当時、全介協という団体が中心で開発したものです。素晴らしいサー ビスで、夜も安心して家で生活ができるということで、これはもう非常に画期的だった と思います。当時はすべて委託で、1ケース1人1カ月20何万円の補助という問題の中でや っていましたので、プランを十分考慮して、医療も設定すると、ほとんど要介護プラス 医療、胃ろう用でチューブありの方でも、在宅で対応できるというレベルにまで達成し ておりました。  これが介護保険になって介護報酬単位となったときに、夜は1.5倍になりました。そ れで夜は高いから、その分昼間が減ってしまうということで、夜のケアプランの重要性 をケアマネージャーがなかなかご認識いただけなくて、夜のプランが減少し続けていっ たという現実があります。当然夜に働く人たちも、夜の仕事がどんどんなくなっていく という中で、従来やっていた事業者のほうも、だんだん先細りして、利用者の確保が苦 しくなりました。  いまも24時間はやっておりますが、都心であれば夜間は江東区から港区、中央区のほ うまで回ってやっているという実態です。それだけの利用者のニーズと人材の確保の内 容であれば、今はそういう実態になっているということです。1区の中で4区分に分けて 24時間やっていたのが全盛のときでしたので、24時間介護の必要性と言いながら、いか に制度の内容と実態には乖離があるかというのも事実です。  人手不足の問題ですが、夜の部分をやってくださっているメンバーというのは、看護 などで昼間働いている人で、夜勤明けの人で、この仕事は大切だと思ってくれる方が夜 勤専門で対応してくれているというのが実態です。  それから先ほど河委員のほうから、介護保険が始まる前と介護保険が始まってから、 そして今日までの15年ぐらいを見てどうかというご質問がありました。実は介護保険が 始まる前については、私どもでは介護保険が余っておりました。平成12年に介護保険が スタートしたときは、産業が非常に不景気だった時代で、二級を取得すれば少しでも社 会に参画できるということで、大量の二級資格取得者が多くおりました。利用者も、介 護保険をお使いになる方がまだまだ少なかったこともあって、従業員の確保についても、 研修した人をそのまま雇用できて、ある部分では非常に選択ができていました。  その後、2000年のスタートから1回、2003年に介護報酬の改定があって厳しくなりまし た。この厳しさというのは、介護は長く入るのではないという厳しさということになり、 1回当たりの収入単価が下がったというのが第1回目の骨子です。第2回目の平成18年には、 はっきり申しまして事業者としては、かなり厳しい経営状況にダウンいたしました。す なわち、2000年に介護保険が始まってから2回の引下げがあった段階で、産業構造で景気 がよくなって、人がそちらに行くようになったのです。給与が上がってきているのに、 私どもは報酬が下がったという逆現象が、この業界での人への対策部分と収入がアンバ ランスになってしまったわけです。かつ、人件費が上がってしまったところに報酬が下 がったという現実があります。  そして平成18年度の改定では、規制強化と言うよりも、根本的な制度を運用するとい うことで、連座制の問題とか、さまざまなものがありました。昨年のコムスン問題は、 業界を震撼させました。いちばんつらかったことは何かと申しますと、働いているヘル パーが、「お前の所は大丈夫か」と家族に言われることです。こんなに素晴らしい仕事 をしているのに。私たちの業界としてもこれをどうするかということが、いま最大の課 題です。  あのときは介護というのはマスコミの方からも、非常に厳しくご指摘をされましたが、 こんなに大変な仕事だということを言っていただきたいのです。この1年頑張っている 介護のメンバーに、「介護の日」などで、これは社会的に必要な素晴らしい仕事だとい う促進をしていただきたいのです。経営する私たちも、当然働く方が天職として長く働 ける環境をつくりたいと思っていますし、しっかり雇用していきたいと思っていますの で、是非ここは国民を挙げて介護の大切さ、そういった運動にしていただきたいという のが切なる願いです。 ○駒村委員 石橋さんと馬袋さんの両方に、賃金の体系はどういう体系が理想なのかと いうことをお聞きしたいと思っております。いまは介護報酬の制約条件がありますので、 実際は別の形になっているとは思いますが、もし、そういう制約条件がないとするなら ば、介護福祉の専門職の賃金体系というのはどういう形が望ましいのか。例えば年齢と 賃金の関係を非常に密接に取り、生活給・年功給型のほうが専門職の賃金としてはいい のか、やはり資格と経験というものにウエイトを置いたほうが、スキルアップのために はよりいいのか。必ずしも二律背反ではないとしても、ウエイトづけはあると思うので、 特に正社員の扱いについてご両方からお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたし ます。 ○石橋会長 私たちも大切なのは、賃金体制をいかに確保するかということだと思いま すが、やはり何といっても、労働分配率をきちんとするということが大切です。介護報 酬をいくら上げても、労働分配率がきちんとされていなかったり、それがうまく労働者 に跳ね返ってこなかったりという懸念から、労働分配率を明らかにするということが必 要ではないかということを、まず1つ考えております。  併せて、賃金体制を示すモデルが必要かと思います。「人材確保の基本指針」の中で も出てきていると思いますが、例えば福祉職の給料表ですね。あのままでいいかどうか、 まだはっきりと申し上げることはできないとしても、それに準ずるような形のもの。例 えば看護職であれば医療職の専門性、最初のところで専門性を高く評価するという仕組 みの給料表がありますよね。今のところはそのようなものを参考にすべきかと考えてお ります。 ○馬袋監事 介護報酬に関係なく、賃金のあり方についてどうかと。報酬についてはい ろいろな要素がありますので、これを避けてお話いたします。まず給与を評価する構造 には何があるか。介護ですから、やはり1つは技術ですよね。これはテクニカルな介護 技術ということです。また逆に、制度であったりマネージメントであったりということ をしないといけませんので、ケアプランを作ったり、計画を作ったりという意味でのコ ントロールをする、マネージメントができるというスキルです。それから人間関係の中 で、自分たちはどのように使うかというヒューマンスキルというものでしょうか。  その面ではテクニカルと、コントロールと、ヒューマンという3つのスキルレベルと、 経験知の中において求めるレベルを明確にして、その状況の中で判断をしていくという 形になろうかと思います。経験があるというのは、どの行為、どのマネージメント、ど のチームワークにおいて、どのような経験があるのかというのが私たちには必要であっ て、何年やったかという経験がすべてではないと思っていますので、そういったことを 明確にしたいと思います。すなわち、そのことが教育研修を作る1つのカリキュラムの 基本になりますので、それと連動した評価もしたいと思っております。 ○大橋座長 私からもお聞きします。まず福祉士会の方にお聞きします。先ほど北浦委 員のご質問の中で、チームリーダーがいると定着率が高くなるというお話でしたが、そ れはどうしてでしょうか。 ○石橋会長 まず1つは、チームリーダーがいることによって、新しく入ってきた人た ちに対して適切な指導教育ができるということです。やはり新しく入ってきた人たちは、 介護に関するいろいろな悩みや相談があっても、それを誰に相談するのか、誰に指導し てもらうのかという体制がきちんと整っているのといないのとでは、これからきちんと 指導されて伸びていく、定着を高めていくという仕組みにはなっていかないと思うので す。そういう意味においては、どちらかというと初任者の指導係も含めたチームリーダ ーということです。  あとは、在宅でも施設でもチームケアが中心で行われておりますので、うまく介護の 仕事をコントロールする役割というのが、チームリーダーの役割だと思います。ですか ら、そういう人たちがある程度しっかりとした理念や介護の方法といったものを、きち んと学んでいって、それが周りの方に指導できれば、周りで働く人たちのモチベーショ ンも高まっていきますし、将来も見据えて仕事ができるのではないかと思っております。 ○大橋座長 チームというのは何人ぐらいですか。 ○石橋会長 例えばユニットケアやグループホームなどを想定すると1もしくは2ユニ ットに対して1人というイメージで考えております。 ○大橋座長 それから在宅関係については職場の組織として、ケアマネージャーとサー ビス提供責任者の仕事が重複しているような気がするのです。要介護を決める審査会の 仕事も、それぞれにオーバーラップしているのではないかという気がします。ただ病院 などの医療行為ですと、医師1人が全部決めて、あとは看護師がアシストするという形 ですが、ここはそうではないのですね。そうしますと、特にケアマネージャーとサービ ス提供者の仕事をうまく組み合わせれば、もう少し効率化できるのではないかという疑 問を持つのですが、いかがでしょうか。 ○馬袋監事 その質問はすごくよく受けます。ケアマネージャーの仕事というのは、大 げさに言えばその人の生き方だと思いますが、その人全般を見て、介護またはその人の あり方をトータルに判断して提案していくという仕事です。サービス提供責任者という のは、その中における、例えば訪問介護全般を利用者の目的や内容に合わせて計画・立 案する仕事です。当然、これらを連携するということが、利用者にとっては非常にいい ことですし、ある意味、ワンストップショッピングのように、すべての情報と内容が一 元化されながらサービスが提供できるというのは、利用者にとっても非常に利便性が高 いし、安心だと思います。  ただ、いまの報酬の中でケアマネージャーが提供責任者に、ある事業所を固めてやる と、集中減算として減算してしまうような逓減制が敷かれています。ですから、しっか りやったチームを作りたいけれども、それ以上出すと減算ということで、チームケアに 反するようなところが、今の報酬体系には若干出ています。そのようなところは是正す べきだろうと思います。  それともう1つは、医療と介護についての私の考えです。介護は面だと思います。全 体を面で受けていくという。医療は点です。ですから医療が取り組まれているのは、バ ランスポイントがどこに入るかによって大きく変わります。そういう意味で、介護はい ろいろな面で広いというようにご理解くださればと思います。ですからいろいろな方々 が議論をして、その人のために面として作っていくサービスだと思っていただければと 思います。 ○大橋座長 ありがとうございました。時間も行っているようですので、その他のご質 問がなければ、次に移りたいと思います。どうもありがとうございました。  続きまして全日本自治団体労働組合UIゼンセン同盟日本介護クラフトユニオンの方か らのヒアリングに移りたいと思います。ここからは非公開とさせていただきますので、 ヒアリングが終了した団体の方と一般傍聴およびマスコミの皆様は、ご退席いただきま すようお願い申し上げます。 ( 以下、非公開 ) ○大橋座長 それではヒアリングはこれで終わりたいと思います。どうもありがとうご ざいました。  次回の研究会ですが、6月6日の金曜日に10時からということで、場所は厚生労働省17 階の専用第21会議室で開催することになっております。次回は、雇用管理の改善に積極 的に取り組んでおられる事業所からのヒアリングを予定しております。ご参集いただけ ますよう、よろしくお願いいたします。それでは、これをもちまして第4回の研究会を終 わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。               連絡先                職業安定局 雇用政策課 介護労働対策室係                Tel:03−5253−1111(内線5785)                Fax:03−3502−2278