08/05/19 社会保障審議会 第9回少子化対策特別部会議事録 第9回少子化対策特別部会 議事録 日時:2008年5月19日(月) 17:00〜18:33 場所:厚生労働省 省議室(9階) 出席者:  委員   大日向部会長、岩渕部会長代理、内海委員、大石委員、小島委員、清原委員、   駒村委員、佐藤委員、杉山委員、宮島委員、山縣委員  参考人(オブザーバー)   徳島県保健福祉部次長 穂田英夫参考人(飯泉委員代理)   社団法人日本経済団体連合会経済第三本部長 今井克一参考人(福島委員代理))  事務局   大谷雇用均等・児童家庭局長、村木審議官、高倉総務課長、小林調査官、朝川少子化   対策企画室長、杉上虐待防止対策室長、定塚職業家庭両立課長、田中育成環境課長、   井上児童手当管理室長、義本保育課長、千村母子保健課長、長良雇用保険課課長補佐 議題: 次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた基本的考え方について 配付資料:  資料1-1 次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた基本的考え方(案)  資料1-2 次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた基本的考え方(素案)      から(案)への修正箇所  資料2  次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた基本的考え方(案)      (概要)  資料3  次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた基本的考え方(案)      参考資料集  資料4  杉山委員提出資料  資料5  福島委員提出資料  資料6  宮島委員提出資料  資料7  吉田委員提出資料 議事: ○大日向部会長  定刻になりましたので、ただ今から社会保障審議会第9回少子化対策特別部会を開催い たします。委員の皆様におかれましては、ご多用のところお集まりくださいまして、誠に ありがとうございます。議事に入ります前に、事務局より資料確認と委員の出席状況に関 する報告をお願いします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、お手元に配付しています資料の確認をさせていただきます。最初に議事次第 がありまして、その下に資料1-1「次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた 基本的考え方(案)」という資料。その下に同じ表題ですが、前回からの見え消しでの修正が わかるような形での資料1-2「次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた基本 的考え方(素案)から(案)への修正箇所」を用意しています。この基本的考え方(案)の概要を2 枚に整理したものが資料2です。前回、大日向部会長から宿題としていただきました参考 資料集として、これまで当部会に出させていただきました資料からの抜粋を中心に資料3 を作りました。前回以降に各委員から書面で意見提出をいただいておりまして、資料4は 杉山委員からいただいたご意見、資料5は福島委員からいただいたご意見で、これについ ては15日と12日の日付のものを合わせて綴じ込んでいます。さらに資料6として宮島委 員からいただいたご意見。資料7として吉田委員からいただいたご意見を付けています。 もし不足等がありましたら、事務局の方にお声をかけていただければと思います。  委員の出席状況ですが、本日は飯泉委員、岩村委員、庄司委員、福島委員、山本委員、 吉田委員からご都合により欠席との連絡をいただいています。宮島委員は出席の予定です が、到着が遅れるという連絡をいただいています。内海委員は途中で退席される予定とお 伺いしています。なお、飯泉委員の代理として徳島県保健福祉部次長の穂田英夫参考人に 出席いただいています。福島委員の代理として社団法人日本経済団体連合会経済第三本部 長の今井克一参考人に出席いただいています。ご出席いただいています委員の皆様方は定 足数を超えていますので会議は成立しています。  以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは議事に入ります前に、本日欠席の飯泉委員、福島委 員の代理として出席いただいていますお二人の参考人についてお諮りしたいと思います。 徳島県保健福祉部次長の穂田英夫参考人と社団法人日本経済団体連合会経済第三本部長の 今井克一参考人のお二方の出席について、異議はありませんでしょうか。ありがとうござ います。  それでは、議事に入りたいと思います。本日は、お手元の議事次第にありますように、「次 世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた基本的考え方(案)」につきまして、皆 様のご意見をいただき、本特別部会としてとりまとめを行いたいと思います。  まず、前回ご議論いただきました次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向け た基本的考え方(素案)に対し、前回の議論と前回の特別部会終了後に委員の皆様方から提出 いただきました意見を反映させました次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向 けた基本的考え方(案)の資料を、事務局と相談して作成しましたので、その説明を事務局に お願いしたいと思います。その後に、委員の皆様方に議論をお願いしたいと思います。  それでは、事務局、よろしくお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、資料1-2を使って説明させていただきます。赤字で見え消しが付されている資 料です。前回からの修正点を赤字で、見え消しの形で書いていますので、変更点を説明し ます。  まず、1基本認識の(1)「新制度体系が目指すもの」というところに、今までは三つ書い てありました。「すべての子どもの健やかな育ちの支援」と「国民の希望の実現」と「未来 への投資」です。その中で、「国民の希望の実現」の中に丸が二つありましたが、その二つ 目の丸のところに見出しを付けて「働き方の改革と子育て支援の社会的基盤の構築」とい うことで、前回の内海委員からの、働き方の改革をもう少し前面に打ち出した方が良いと いうご意見も踏まえまして、働き方の改革を記述している9番を前にもっていくことはし ていませんが、ここでその趣旨を出しています。  次に、1ページの一番下の「未来への投資」のところです。前回、吉田委員からいただき ましたご意見で、この未来への投資という要素には、子どもの成長に大きな意義を有する という点と、将来の我が国の担い手の育成の基礎という二つの要素を書いていますが、そ れに加えて社会問題の減少など、長期的な社会的コストの低減も期待されるという要素を 書き加えています。  2ページの基本認識の(2)「新制度体系に求められる要素」という部分について、その一 つ目の(包括性・体系性)のところで、前回、福島委員から関係府省間において、しっかり連 携を図るという趣旨を入れるようにというご意見をいただきましたので、入れさせていた だきました。それから、※印のところは、この新制度体系が念頭におきます給付サービス を書いてあるところですが、ここの例示としまして「児童虐待防止」を加えています。杉 山委員のご意見です。さらに、この最後のところに、杉山委員と吉田委員の両方のご意見 を踏まえまして、「これらサービス・給付が、市町村や都道府県の連携等により、総合的に 行われることが必要」という表現を入れています。  2ページ目の(3)です。前回、飯泉委員から、財政投入規模が諸外国に比べて小さいとい うところを、もう少し明示的に記述すべきであるというご意見をいただきまして、欧州諸 国が2〜3%であるのに対し、日本は1%未満であるということと、併せて、日本の社会保 障全体に占める家族関係社会支出が4%に過ぎないということで、これも欧州諸国と比較し て際立って低いという記述を書き加えています。  2ページの一番下の丸ですが、前回、小島委員あるいは福島委員から、財源投入のところ をもう少し税制改革の動向を踏まえてなどという受身ばかりでなく積極的に、というご意 見をいただきまして、「今後、国民的議論を喚起し、次世代育成支援に対する社会全体での 負担の合意を得る努力を行うことが必要である」という文書を書き加えています。  次に3ページです。杉山委員からいただいたご意見の中で、二つ目の丸のいろいろな子 育て支援サービスを列挙している中に「社会的養護」を付け加えさせていただきました。  その次の丸ですが、前回、佐藤委員からワーク・ライフ・バランスなど既存のもので目 標年次も掲げているものとの関係を明確にすべきであるというご意見をいただきまして、 必ずしもこの場所でというご意見ではなかったかと思いますが、内容として最も近いとこ ろに書かせていただくということで、ワーク・ライフ・バランス憲章の行動指針において 「10年後の目標として掲げられたサービス量の実現に向け」と入れています。その次に、 福島委員から書面で追加の意見の提出があったことを踏まえて、「待機児童の多い地域への 重点的取組とともに」という表現を付け加えています。  次に、(2)の二つ目の丸で、前回、佐藤委員、杉山委員から、保育所をはじめとする従事 者の需給見通しを立てるべきである。あるいは、その処遇の確保、特にこの分野で働く人 のワーク・ライフ・バランスという視点が重要であるというご意見をいただきましたので、 この丸を一つ加えています。「また、従事者の中長期的な需給を見通しながら、その確保の ための方策を検討していく必要がある。その際には、仕事と生活の調和や業務のやり甲斐、 キャリアパスなど、人材の定着に向けた働き方や処遇のあり方についても、併せて検討す る必要がある」と加えています。  3ページの一番下の修正は、前回、飯泉委員からいただいた意見を元に、保育に限らずい ろいろな子育て支援サービスについて、サービスの質の確保とその検証を行っていくとい う「検証」ということを入れています。  4ページ目の(2)「保育サービス」のところの三つ目の丸は保育の基準に関する記述をし ているところですが、前回、清原委員、飯泉委員からいただいたご意見を踏まえまして、 この基準について、地方公共団体や利用者などの意見や創意工夫を十分配慮するというこ ととともに、質の後退があってはならないという趣旨を明確化する意味で、前後を入れ替 えて、保育環境等のあり方については、「配慮しながら、その維持・向上を図ることが必要 であり」と明確化を図らせていただきましたことと、地方公共団体やサービス提供者の創 意工夫に配慮しつつという前回の表現を引き出しながらというご意見を飯泉委員からいた だきましたので、「創意工夫の発揮に十分配慮しながら」と修正しています。  次に、4財源・費用負担のところの(1)「社会全体による費用負担」の一つ目の丸です。 これは福島委員から書面で提出されましたご意見を踏まえまして修正を入れています。修 正点は2点ありまして、一つは、文章として「次世代育成支援は福祉としての側面だけで はなくて、未来への投資という側面と、両立支援という側面がある。従って、我が国の重 要な政策課題である」ということを付け加えています。その上で、この費用負担を考える に際しては、次世代育成支援がこうした側面を有することを踏まえ、1(3)の基本認識の下に、 社会全体で重層的に支え合う仕組みと、「1(3)の基本認識の下」というものを加えています。 この(3)は基本認識の部分で2ページ目の中ほどにある(3)には税制改革の動向を踏まえつつ 検討して必要な負担を次世代に先送りすることがあってはならないという記述も含まれて、 その上で社会全体の負担だという記述になっています。そういった趣旨を踏まえまして、 「1(3)の基本認識の下、社会全体で重層的に支え合う」と修正しています。  次に、5ページの(3)「事業主の費用負担」のところです。これも福島委員からいただい た趣旨を踏まえて修正していますが、必ずしもこの修正が趣旨を解していると受け止めて いただいているかどうかは別としまして、将来の労働力の育成の基礎としての側面という ように、表現を社会経済の発展の礎としての側面から、労働力の育成の基礎と文言の修正 をしています。  5「保育のサービス提供の仕組みの検討」のところにつきましては、それぞれ幾つかの項 目ごとに見出しを入れています。これは、飯泉委員からいただいたご意見で、全体をわか りやすくするということで入れています。まず、基本的考え方を入れていることと、二つ 目の丸のところにつきましては、前回、杉山委員からサービスの定義について少し触れた 方が良いのではないか、あるいはこの二つ目の丸全体としてわかりにくい表現になってい るので是正すべきであるというご意見をいただきまして、それを踏まえて少し修正をして います。二段目のところで「併せて、保育サービスには、対人社会サービスとして、以下 のような公的性格・特性があり、これらを踏まえる必要がある」と。どういう公的性格・ 特性かということについては、箇条書きで書かせていただくという修正をして明確化を図 っています。  次に、6ページの一つ目の丸ですが、前回、「準市場メカニズム」と呼ぶと言葉の定義を しておりました。これにつきまして、吉田委員から書面で意見の提出をいただきまして、 この新しい保育メカニズムという考え方自体は妥当であるけれども、その「準ずる」とい う用語について、市場に準ずるのだという誤解を招く恐れがあるというご意見をいただい ています。そこで、この「準市場メカニズム」という言葉を削りまして、括弧書きの外に 「新しい保育メカニズム」としています。これは二つ下の丸でも、同じ言葉の表現の修正 をしています。「準市場メカニズム」から「新しい保育メカニズム」へ言葉の修文をしてい ます。  上から二つ目の丸ですが、保育に欠ける要件の見直しに関する判断基準の記述のところ で、「地域によって判断が異なることなく」というところを削りまして、「各地域で適切に 判断できる新たな基準」というように、地方の裁量性の観点から少し表現がきつすぎるか と思いますので、用語の修正をしています。  同じく6ページの下から三つ目の丸ですが、これは前回、庄司委員から保育につきまし て若い保護者が必ずしも十分な知識がないままに子育てに入ってしまうということで、も う少し親に対する情報提供の周知等が必要ではないかというご意見をいただきました。そ れを踏まえまして、「保護者が情報を適切に入手・理解できるような支援」を、この情報公 表、第三者評価の仕組みの前に例示として入れています。  次に、7ページの一番上の丸ですが、杉山委員からいただいたご意見で、わかりやすく用 語を補足しています。これは、都市部と過疎地域で問題の質や取組むべき内容が異なると いうことを記述している部分ですが、最後に「異なることに留意しつつ」の後に「実情に 合わせた柔軟かつ質を担保した適切な支援を行う必要がある」と書き加えています。  次に、6の一つ目の丸ですが、これも杉山委員からいただいたご意見で、妊婦健診、一時 預かり、拠点事業とサービスの列挙をしているところに、家庭訪問事業ということで、こ んにちは赤ちゃん事業等の例示をしています。  その次の丸につきまして、これも杉山委員からいただいたご意見で、病児・病後児保育 のサービスの拡充について記述している部分ですが、「保護者、事業主等の理解・協力の下」 という表現を加えています。わかりやすくするための修正です。  三つ目の丸ですが、宮島委員からいただいたご意見で、認定こども園あるいは放課後子 どもプラン等について、地域の実情を踏まえながら、関係府省や地方公共団体とも連携し て、保護者や子ども本位のサービスを行えるよう、柔軟な支援を行っていくことが重要で あるという文を書き加えています。  その一つ下の丸は、杉山委員からいただいたご意見で、このコーディネーター的役割を 果たす体制についての検討のところに、「親の成長の支援の必要性等も踏まえ」と趣旨を一 つ書き加えています。  7「多様な主体の参画・協働」の一つ目の丸ですが、前回、飯泉委員からいただいたご意 見を踏まえまして、「利用者の視点に立った制度の見直し、運用改善を継続的に行い、制度 の弾力性、持続可能性を図っていく仕組みを検討すべき」としています。  その次の丸につきましては、杉山委員からいただいたご意見も踏まえ、大日向部会長と も相談させていただき、「保護者、祖父母」という例示を入れたことと、地域の高齢者とな っていましたものを「地域の」を取って、高齢者をはじめとする地域住民と。必ずしも高 齢者ばかりではなくて中高年齢層の子育てを終えた年齢層の方々、あるいは今でいうと団 塊の世代に当たるような方々、必ずしも高齢者といい切れないような地域の方々もいらっ しゃいますので、表現を修正しています。  8ページですが、サービスの担い手として、行政、社会福祉協議会などの半公的な主体が 大半を占めているという文章につきまして、新規参入のNPO等が参入しづらい現状がある という表現を、杉山委員のご意見で付け加えています。  その次の丸については、宮島委員のご意見ですが、親がサービスの一方的な受け手では なくて、積極的な参画が重要だという文章ですが、そこをどういった場で参画するのかと いう例示を「地方公共団体における施策の決定過程、あるいはサービスの現場等において」 ということで加えています。  8は社会的養護などについての記述の部分ですが、いずれも杉山委員からいただいたご意 見です。一つ目の丸につきましては、虐待を受けた子どもなどという例示のところに、「社 会的養護を必要とする子ども、障害児」という例示を加えています。  二つ目の丸は、「社会的養護を必要とする子どもたちが、家庭的環境や地域社会とのつな がりの中で生活ができるよう、サービスの小規模化や地域化が必要とされる」ということ と、「また、新制度体系下における子育て支援サービスと社会的養護との連結に配慮した仕 組みとすることが必要である」ということを付け加えています。  三つ目は、障害を有する子どもや保護者について、「新制度体系におけるサービスを考え るに際しては、障害を有する子どもやその保護者が地域の中で共に生活ができるよう、そ れらの親子が利用しやすいものとする配慮が必要とされる」という文章を加えています。  次に、9の働き方の見直しに関する部分の二つ目の丸ですが、前回、吉田委員と佐藤委員 からいただいたご意見を踏まえて、まず「その際、仕事と生活の調和の実現と子育て支援 に関する社会的基盤の拡充の両者が相互補完的な役割を有することを踏まえることが重要 である」を加えて、その次の例示としまして「0歳児保育」を加えています。上から4行目 のところは、用語を適切な表現に修正しているものです。「両親」を「父親も母親も」とし ています。その下の「また」以降は、吉田委員からのご意見で、「仕事と調和の実現に取り 組む企業に対する支援についても検討していくべきである」、すなわち看護休暇や働き方の ところで努力している企業についての支援ということです。  最後の9ページの上から二つ目の丸は、宮島委員からいただいたご意見を踏まえて書い た部分です。「また、出産・子育て期の女性が、長時間の正社員か、短時間の非正規かとい った働き方の二極化を余儀なくされないようにしていくためにも、育児期の短時間勤務等 の個人の置かれた状況に応じた多様で柔軟な働き方を選択できるようにするとともに、公 正な処遇を確保することが重要である」という文章を加えています。  その下の丸につきましては、杉山委員からいただいたご意見で、地方公共団体が見直し 予定の後期行動計画、次世代法に基づく平成22年度からの計画を後期行動計画と呼んでい ますが、それにおいても「働き方の見直しに関する検討を深め、実効性ある計画にするこ とが求められる」という文を加えています。  最後の「終わりに」につきましては、前回、小島委員からいただいたご意見を踏まえて、 まずは、「以上が基本的考え方です」とした後、「こうした基本的考え方を推進していくた めに、関係者の意見を聞くとともに、国民的な議論を喚起し、次世代育成支援に対する社 会的資源の投入についての合意を得ていくことが必要である」という文章を加えています。  以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。基本的考え方(案)について、ご説明いただきました。本日の特 別部会を迎えるに当たりまして、事前に委員の皆様方には案をお示しいたしまして、ご意 見も事務局の方からお伺いいたしまして、極力反映していただくようにお願いをいたしま した。そのような作業を経た「基本的考え方(案)」につきまして、ただ今、事務局からご説 明いただいたわけですが、いかがでしょうか。最後に皆様のご意見を伺えればと思います。 もし、ご意見がなければご感想でも結構ですので、よろしくお願いいたします。  それでは、山縣委員、お願いいたします。 ○山縣委員  3点、感想的なものと、私なりの解釈といいますか、これまでの議論の経過を踏まえて、 私はこのように解釈をしていますという、修正を求めるという意味ではありませんけれど も、話をさせてください。  1点目は、何回目かのときに、自分の立ち位置という話をさせていただきました。その際、 私は、子どもの福祉、子どもの育ちの側に日本の立ち位置を置きたいと思っていたのです が、この報告書の冒頭が主体としての子どもの育ちの支援ということで、まずそこから入 っていただいたということについて、私のベースに考えていたことが反映されていてよか ったと思っています。最近の傾向では、社会の維持や親の労働から入る傾向が非常に強く なっていると思いますが、短い文章ですけれども、まず「育ち」という言葉で入ったこと に、私は非常に有難いという思いがあります。  2点目は、修正ではなくて質問なのですが、杉山委員のご意見に基づきまして7ページの 修正が行われています。これは事務局もしくは杉山委員にお伺いしたいのですけれども、 一番上の丸で、過疎化問題のところで、「実情に合わせた柔軟かつ質を担保した適切な支援 を行う必要がある」となっていますけれども、「支援」というのは誰が誰を支援するのか、 すなわち国が地方を支援するという意味なのか、市町村が地域というか親子を支援すると いうのか、どちらを指しているのか。私はできれば地方のあり方を国が支援していただく という解釈をしたいと思っているのですけれども、もしそこがずれているようでしたら、 主語を明確にした方が良いのではないかと思います。  3点目は、若干意見めいているのですが、私はこのように解釈したいということなのです が、同じく、私は途中で地方の問題といいますか、子ども過疎地の問題ということをお話 したのですが、その部分が2ページ、4ページ、7ページの辺りに少しずつ入り込んでいる のですけれども、ただ、読むと量の拡充といいますか、量の確保というトーンが非常にあ って、量の確保というのは決して増やすというだけの量ではなくて、子ども過疎地におい ては生活基盤、子どもの子育てや子育ちに必要な社会サービスの基盤を確保しなければい けない。どんどん減っていく状況になりますから、そこの生活基盤を守るという、そうい う量もあるのだという解釈をして良いのかどうか。ニーズが減れば量を減らせばよいとい う話にはならないようにということをお願いといいますか、読み込みとしてさせていただ きたいと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。第3点目の最後におっしゃったところは、私はその通りだと 理解しておりますが、2点目に関して、誰が誰を支援するのかということについて、朝川少 子化対策企画室長、お願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  もし間違えたら、杉山委員に補足していただければと思います。ここは、全体の文脈か らしますと、やはり主に国が地方を支援するという文脈で書かれているものだと思います。 3点目についても、今、大日向部会長がおっしゃいましたように7ページの一番上に端的に 表れていますように、やはり生活基盤である保育が、地方においても確保されることが必 要であるということは、随所に書き込んでいるつもりです。 ○大日向部会長  杉山委員、今の点で何か。 ○杉山委員  ありがとうございます。山縣委員、朝川少子化対策企画室長のご指摘で大丈夫です。も し主語を入れるとすれば「留意しつつ、『国は』地方の実情に合わせた柔軟かつ質を担保し た」というような言葉を入れると、よりわかりやすくなるかと思います。ありがとうござ いました。 ○大日向部会長  今の点は検討させていただきます。岩渕部会長代理、お願いいたします。 ○岩渕部会長代理  今の山縣委員の話、それから杉山委員のこれまでの話を、もう少し強くといいますか、 敷延して、もう少し書き加えてほしい。本来ここには地方といいますか、地域、地方行政 の代表の方もいらっしゃるので、そういった方たちから、たくさんの意見が出てくるだろ うと思っていたのですが、現実には欠席などで、なかなか反映されていないと思いますの で、あえてもう一度言わせていただきたいと思います。  例えば、中央と地方という捉え方が一つありますが、もう一つ、都市部と農村部といい ますか、過疎地といいますか、そちらの捉え方が足りないと思います。具体的に保育環境、 子育て環境でいいますと、例えば大都市圏でも最近は良くないのですが、過疎地での産科・ 婦人科、小児科の廃止が非常に多くなっているのです。それで産みたくても産めない状況 になっているということがあります。それから、保育についていえば、公立保育所の経費 削減、民間委託。少し上に行きますと、小中学校の統廃合がどんどん進んでいる。さらに いえば、公共交通の削減・廃止が非常に進んでいて、そのようなものをトータルして、地 方・農村部の保育環境がものすごく劣化しているということがいえると思います。現実に 速報値で見ましても、出生数が大幅に増えているのは東京都、福岡県、広島県と、要する に事実上、東海道山陽新幹線沿いの都道府県だけなのです。そのようなことで他の所は出 生率ではいろいろな工夫をして努力をして健闘しているのですが、現実には東京一極集中 をはじめとして、大都市部に若い人口を吸い取られているということがありまして、出生 数自体がかなり減っているということです。このまま放置しておくと、地方はほとんど限 界で、限界市町村が崩壊していく恐れが非常に強いということもあります。  そのような現状認識を少し入れた上で、ではどのようにするのかというと、一つには出 産に対する支援、それから保育ママを中心とする保育サービスの充実、それから三世代同 居というと嫌がられますので、三世代の交流も含めた形と、それともう一つは当然のこと ながら、地方財政に対する保育関係の支援をもっと充実すべきであるというようなこと。 全部はとても無理でしょうから、その中で一つ、二つ拾えるものがあったら書き加えてい ただきたい。深刻な状況になっていますので、ぜひお願いしたいと思います。  それから、もう一つ細かい点ですが、山縣委員もおっしゃいました「子育ち」というの が日本語として認知されているのかどうかというのが私自身は少し疑問を感じているとこ ろです。もちろん研究者の間ではとても好まれて使われているのは承知の上です。一方で、 こちらの「親育ち」というのも最近大流行しているようですが、ここの文言では「親の成 長」という表現を使っているようです。その言葉がどの程度認知されているのか、ここで それを認知するということであれば一向に構わないと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。いずれも貴重なご意見だと思います。特に地域のことに関し ては数々ご指摘いただきまして、ありがとうございます。具体的に、どの辺りに入れるの がよろしいとお考えでしょうか。例えば、6ページの下の辺りに「地域特性への配慮」とい うことで、今おっしゃってくださったような問題あるいは財源の問題も若干書き込んでい ますが、その辺りでよろしいのかどうか。 ○岩渕部会長代理  それでよいと思います。ただ、案の地域特性というのは、別のニュアンスで書かれてい ると受け止められますので、「特に」など、行替えをしながら書き換えていただければと思 います。 ○大日向部会長  検討させていただきます。  それから「子育ち」「親育ち」に関しては日本語としてどうかということもありますが。  事務局、どうぞ。 ○義本保育課長  岩渕部会長代理からお話しいただいたことに若干補足・敷延することがあります。一つ は過疎地において子ども集団自体を維持することが大変だということがあります。今回の 法律改正案では、保育ママもそういった観点から、待機児童対策だけではなくて、子ども の数が減少しているということへの対応も書かせていただいているといった点です。それ から、そもそも認定こども園も待機児童対策だけではなくて、いわゆる幼稚園、保育所そ れぞれについて、子ども集団が確保できないということで、むしろ一体化の形の施設が進 行していますので、そのような点も含めまして、具体的にそういったいろいろな機能も活 用しながら、集団の確保あるいは地域の保育機能の維持・向上という点について敷延させ ていただくことは文案としては可能かと思っています。 ○大日向部会長  よろしいでしょうか、岩渕部会長代理。ありがとうございます。  それから、今少し言いかけました「子育ち」「親育ち」は日本語として収まりがどうかと いうのは、ご指摘の通りかと思いますが、ただ、親としての成長発達あるいは子どもの健 やかな育ちというような文言も本文に書いてありますので、見出しで使うということをお 認めいただけるかどうかということですが、いかがでしょうか。これも少し皆様からご意 見をいただいて、特段ご意見がなければ、今のままでということでやらせていただければ と思います。他に。 ○山縣委員  正直申しまして、今の段階で全部を正確に読み込んではいないのですけれども、「子育ち」 とストレートに使った個所はありましたか。「子どもの健やかな育ち」というのが3、4回 出てきたという記憶があるのですけれども、岩渕部会長代理も日本語として「健やかな育 ち」はあるのではないかと。 ○岩渕部会長代理  伝統的な日本語の使い方としては、「子どもの成長」とか、そのようなものを古来使った 例が多いと思いますが、「子どもの育ち」という日本語が文法的に容認されればよいのです。 ○山縣委員  恐らく「子育ち」自体はなかったような記憶があって、それでまだ違和感がある方がい らっしゃるのだろうという感覚があるのですけれども。私は「健やかな育ち」だったら、 社会的にはほぼ大きな問題はない言葉ではないかと思いました。 ○大日向部会長  清原委員、それから大石委員の順でお願いします。 ○清原委員  ありがとうございます。今までの議論をよく集約していただいて、案をまとめていただ いたと思います。  ただ今の「育ち」という表現ですが、今回、山縣委員もおっしゃいましたように、「すべ ての子どもの健やかな育ちの支援」という形で明記されていますので、このごろ私たちの 地域でも「子どもの育ち」という表現が比較的一般的に使われるようになっていることか らも、この案通りでよろしいのではないかと思います。  そして、むしろこのことが新制度体系の目指すものの冒頭に置かれているということは、 前回もお話ししましたけれども、山縣委員もご指摘のように、大変に意義のあることで、 やはり子どもに視点を置いた新しい制度のあり方を作っていくことを表明するということ が今の状況の中ではより一層重要だと思います。  併せて、少しコメントを続けさせていただきますけれども、2ページ目の冒頭に「新制度 体系に求められる要素」の中で「包括性・体系性」ということで、私も前回意見を申し上 げましたけれども、「関係府省間において連携を図りつつ」ということで、一般的にどうし ても縦割りと思われている府省の壁を超えて全体として臨んでいくということと、その最 後にありますように、「市町村や都道府県の連携等により、総合的に行われる」ということ が明記されていることも基本的なことではありますが、この新制度を提案していく上では、 重要な推進体制の指摘だと思います。  併せて、今回大変意味があると思っていますのは、これに加えて7ページの下に「7多様 な主体の参画・協働」ということで、「参画」のみならず「協働」という言葉が明記されて いる点です。私たち自治体でこのような少子化対策、子ども子育て支援の取組をしている 立場からは、まさにここに例示されていますように、保護者、祖父母をはじめとする当事 者、地域の住民の皆様がどれぐらいかかわってくださるか、具体的な活動や意識の面でも 重要だと思います。厚生労働省の社会・援護局で3月末に「これからの地域福祉のあり方 に関する研究会」が報告書を提案をされたときも、副題が「行政と住民の協働」というこ とで、協働という言葉が明記されました。これは具体的な自治体の取組の中では大変重要 なキーワードとなっています。従って、この7のところで国、それから都道府県、市町村 に加えて、多様な主体の協働ということが明記され、このことが保護者も含めて当事者と しての担い手の層を大きくアピールしている点は、この案の重要な部分だと思います。  なお、もう1点だけ付け加えさせていただきますと、例えば、4ページの「保育環境等の あり方について」というところで、「利用者の意見や地域性、地方公共団体やサービス提供 者の創意工夫の発揮に十分配慮しながら、その維持・向上を図ることが必要であり、科学 的・実証的な調査・研究により継続的な検証を行っていく仕組みを検討していく必要があ る」とあります。これは私たちが地域でもこのような取組を重ねつつ、絶えざる改善を図 っていくわけですが、新制度においてもこのように「検証と改善」という、よく言われま す取組の中でのプラン・ドゥー・シー・チェック・アクション(P・D・C・A)の循環 をしっかりと作っていくということが明記されていることが大切です。  さらに6ページ目の「保育サービスの必要性の判断基準」というところで、「全国どこで も必要な保育サービスが保障されるよう、客観的にサービスの必要性を各地域で適切に判 断できる新たな基準を導入するなど、保育サービスの利用要件のあり方を検討する必要が ある」とあります。これもまた私たちが標準や基準を検証しながら、本当に国民、市民の 皆様にとって適切な判断がなされて、このような制度の運用ができているかということを、 やはり基準についても検証していく。その上で当事者の皆様の声も適切に聞いていくとい う、そのプラン・ドゥー・シー・チェック・アクション(P・D・C・A)の循環が評価 とともに明記されているという意味ある個所だと思います。今回このように提案するだけ ではなくて、絶えざる検証と、そして向上に向けた改善を示唆する個所が、主体としては 国でもあり、都道府県でもあり、市町村でもあり、そしてかかわるすべての担い手という ことになると思いますけれども、明記されているということは大変に重要で、このことも 含めて、冒頭にもありますし最後のページにもありますが「国民的な議論」というものを、 ぜひこの基本的な考え方を事務局には幅広くPRしていただくことによって、喚起できれ ばありがたいと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、大石委員お願いいたします。 ○大石委員  何回かお休みをして申し訳ありません。コメントを2点ほどと、それから文言に関して 細かいものを4点ばかり申し上げたいと思います。  最初に1ページの一番下のところに「社会問題の減少など長期的な社会コストの低減も 期待され」という文言を入れていただきまして、これは大変よろしかったかと思います。  2ページ目の真ん中で家族関係社会支出の対GDP比の話が出ているのですが、その上の ところでは「一定規模の効果的財政投入が必要」と書きつつ、かつ「必要な負担を次世代 に先送りするようなことはあってはならない」と。読む人にとって、なかなか枠を広げる のか、広げないのか、ややすっきりしないところがあるように思います。これにつきまし ては、このような考え方をしてはいかがかと思います。現在ある社会保障、社会支出が全 体として高齢者寄りになっていることは事実ではありますけれども、高齢期に至ってから、 社会的に格差を是正する等の手段を講じるよりは、その人生の前半の特に幼児期・子ども 期におきまして、ここに新制度体系の施策によって、それぞれの子どもにさまざまな機会 が与えられるような施策を行うことによって、早い時期に格差の是正を行うことにより、 トータルでの配分の見直しもできるというようなニュアンスを多少加えていただくと、な ぜここの注書きが来たのかというところが皆様に理解されやすいのではないかと思います。  それから二つ目です。7ページ目の辺りで、子育てを支援するコーディネーター的機能の ことも入れていただいて大変よろしかったと思います。日本21世紀ビジョンを作ったとき に、海外においてはケアマネジャーがある。しかし、子どもを産むときにケアマネジャー 的なコーディネートしていろいろと教えてくれる存在がない。ですから、出産コーディネ ーターではないですけれども、そういった役割をするヘルプがあると良いのではないかと いう議論がそのときにあったと私は記憶しているのですが、やはり同様にそのようなもの として子育てコーディネーターというものを大いに作ってもよいのではないかと考えてい ます。また、その場合に、今はこのようなコーディネーター的な役割が非常に保育所にい ろいろと求められすぎているのですが、保育所の方がかなり大変な状況にありますので、 ある面で役割分担を行ってもよいのではないかとも思っています。  それから細かい文言について4点ばかり申し上げます。3ページ目の下から三つ目の丸に 「業務のやり甲斐」とあるのですけれども、やり甲斐という文言よりも「働き甲斐」ぐら いにしてはいかがかと思います。  それから5ページ目の下から二つ目の丸です。「希望するすべての人が安心して子どもを 預け働くことが」とありますが、その「預け」という言葉に対して抵抗感を持つ方も世代 によってはあるのではないかと思いますので「子どもを持ちながら働くことができるよう に」というような書き方にしてはいかがと思います。  それから、6ページの「保育メカニズム」のところです。国民がこの提言を読むときに「メ カニズム」というのが、なかなかなじみにくいものを感じるのではないかと思いますので、 例えば保育機能なり、市場機能なり、何か違う言葉で、駒村委員の方が良いアイデアをお 持ちかもしれませんが、言い換えてみた方がよろしいのではないかと思います。  それから9ページの最後の「終わりに」のところです。2行目に「今後、サービスの利用 者」とありますが、やはりこの提言はすべての国民が関係者でありまして、例えば、保育 サービスやいろいろなサービスの利用者だけが意見を聞くというのはないと思いますので、 もう少し親とか、関係者といえばすべての人が関係者になるのですが、例えば今、保育サ ービスを利用していなくても、やはり親であればいろいろな施策の関係者になり得ると思 われますので、「サービスの利用者」と対象を狭めるのは、この提言の考え方のスコープを 狭めることにならないかと懸念しています。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。コメントと具体的な修正点を幾つかいただきました。ご意見 を伺いながら、その通りにさせていただける場所はそのようにいたしたいと思いますが、 財源について、日本は人生前半期の社会保障が手薄だということはその通りかと思います。 確か2ページの「財源確保」の辺りでしょうか。この辺りで検討させていただければと思 います。  先ほどの「メカニズム」という言葉がわかりにくいということに関しまして、これは何 人かの委員からご意見をいただいて事務局でおまとめいただいたと思います。いかがでし ょうか、朝川少子化対策企画室長。 ○朝川少子化対策企画室長  即答しかねますが、適切な用語、例えば、今提案がありました「機能」という言葉でよ ければ置き換えを検討してもよろしいかと思います。少し考えさせていただければと思い ます。 ○大日向部会長  ということで、少し検討させていただければと思います。ありがとうございました。  では、佐藤委員、それから杉山委員の順でお願いします。 ○佐藤委員  確認だけです。よくまとめていただいて、どうもありがとうございました。  9ページの「終わりに」の前の上から二つ目と三つ目の丸です。「また」のところは、「多 様で柔軟な働き方を選択できるようにする」と書かれていて、それはそれでよいのですが、 次の「この際、地方自治体が」の「この際」はどこを受けているのかということで、「柔軟 な働き方を選択できるように」を受けているのか、もう少し広いのかということです。そ れはどのようなことかというと、「この際」の文章も、「地方公共団体や見直し予定の後期 行動計画等」と、「等」も入っているのですけれども、「働き方の見直しに関する検討を深 め、実効性ある計画」。この実効性ある計画は多分、後期行動計画だと思います。そうする と後期行動計画は、一つは自治体自体が提供する保育サービスのあり方と働き方の見直し の両方があると思いますが、ただ、働き方の見直しの方だと地方公共団体ができる部分は かなり狭いのです。また住んでいる住民が働いている場所は違う自治体ということもあり ますので、「この際」と書かれている文章が何を受けているのかということと、「働き方の 見直しに関する検討を深め」というのは、具体的にどのようなことを後期行動計画に盛り 込んでほしいという考えなのか。もう少しわかる方がよいのではないかということが質問 です。  後は、先ほど大石委員が言われたように言葉の点ですが、3ページの「業務のやり甲斐」 はやはり仕事のやり甲斐、働き甲斐の方がよいかなと思います。  後は6ページの、今ご検討いただいている「保育メカニズム」です。これは文章を読む と「保育サービス提供の仕組みについては」を受けているのです。ですから、また「保育」 が来るのは変な話なのではないかと。これは、保育サービスの提供の仕組みについて新し い何々によってなのです。新しい原理やルールなどですから、ここに保育はなくてもよい のではないか。つまり保育サービスの提供の仕組みをどのように考えるかということなの で、そういうことでいくと、保育を取る新しい仕組みやメカニズム、原理とか、ルールと そのまま読めばよいということかと。ですから、これはご検討いただければという趣旨だ けです。  質問は最初のところだけです。 ○大日向部会長  ありがとうございます。では最初の点について朝川少子化対策企画室長お願いいたしま す。 ○朝川少子化対策企画室長  9ページ目ですが、確かにご指摘を受けて、「この際」がどこを受けているのか不明です ので、この際「この際」を取らせていただければとよろしいかと。趣旨は確かに働き方の 見直しというのは基本的には国の業務ですので、市町村ができることは確かに限られてい ると思いますが、例えば意識啓発や周知など、市町村も地域のレベルでこのワーク・ライ フ・バランスを盛り上げていくことはできることもあろうかと思いますし、重要だと思い ます。そのような趣旨で書いてありますので、少し明確化を図ることを考えたいと思いま す。  あともう一つ、6ページで見直し自体は少し考えますが、二つ下の丸のところでも「新し い保育メカニズム」と同じ言葉を使っていまして、ここでも使いたいのです。確かに上の 丸で「保育」がなくても、むしろない方が文章として綺麗だとは思いますが、下でも使い たいので、できれば「保育メカニズム」としておいた方が、一つの固まったワードとして 使いたいのでという意味が込められています。いずれにしても考えたいと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは、杉山委員お願いいたします。 ○杉山委員  ありがとうございます。最初に9ページの「この際」から後のことを入れてほしいとお 願いしたのは、実は私だったのです。この場合は「この際」を取るというのもありなので すが、どこに掛かるかというと、この丸の一つ上の「検討を進めるべきである」と「この 際」をつなげてくださいとお願いしました。その趣旨は、地方にできることは限られてい て国の仕事だといって国だけで本当にできるのかというところで、念押しというのでしょ うか、連携して働き方の見直しをやってほしいというつもりで書き添えをお願いしました。  あと何点かお願いしたいのですけれども、2ページ目です。「(2)新制度体系に求められる 要素」の最初のところで、「給付・サービス(※)」と※が付いて後ろに説明がありますが、 これまでも現金給付か現物給付かというところで結構整理が必要だと感じていますので、 少し読ませてもらって、※がどこまで受けるかは、多分、「次世代育成支援に関する給付・ サービス」というところだろうと思いますので、※の最初に「次世代育成支援に関する給 付・サービスについて」と書いて改行して、現物給付が保育・放課後児童クラブといった ようなサービスで、現金給付は児童手当・育児休業給付などというように分けて整理をし ていただいた方が後々よいのではないかと思いましたので、少しご検討いただければと思 います。  それから、4ページです。5番目の丸の「保育サービスの『質』を考えるに際しては」の ところで、「地域のすべての子どもの健やかな育ちを支援するため」もあるので、ここは「保 育」ではなくて、サービス全体を念頭に置いたという方がよいのかなという気がします。  非常に難しいといつも思っているのですけれども、それは例えば5ページ以降のところ でも、これは私もそもそも「保育メカニズム」という新しい名前になっていたり、今まで 出ていた名前が「準市場メカニズム」という話だったので、多分これについての議論はこ れから深めていかなければいけなくて、ここで具体的にどこまでできるかということはあ るので、当面これでよいのかとは思いますけれども、もし時間があれば少しやり取りがで きたらよいと思っています。一つは保育だけなのか、それとも冒頭のサービス、放課後児 童クラブとか地域の子育て支援とか、そういったいろいろなサービス全体をメカニズムの 中でとらえるのかというようなところが、現状では少しまだ消化し切れていないのかなと いうような印象を持ちました。その意味で「保育メカニズム」と命名をしてしまったとき に、それが一人歩きをしないかなというのが少し心配というか、新しい保育メカニズムで、 どんなすごいことかわかりませんが、という懸念が若干ありますので、ここは他の先生方 の意見も聞きたい気がします。以上です。 ○大日向部会長  駒村委員からお手が挙がりましたので、お願いします。 ○駒村委員  先ほどからの6ページの新しい保育のメカニズムのところです。当初は準市場メカニズ ムと書いてあって、今杉山委員から、ここのところはどういうことをこれから考えるのか という話であったと思いますが、これは考え方です。一つの思想みたいなものでして、そ れを受けて新しい仕組みを具体的に考えていく。パーツを考えていきましょうということ です。「擬似市場」という言葉が当初あって、これは確かに吉田委員から指摘があったよう に、市場への一つ手前だと理解されがちなので、それが消えていくわけですが、かえって そうなると、これからまた皆さんで考えていくという、また新しい概念をゼロから考えて いくという危険性が、それはそれで残ってくるわけです。ここは「準市場」という言葉が 抵抗感があるならば「新しい保育メカニズムやシステム」という言葉を置くしかないので、 その辺はきちんと注釈か何かで、この整理はきちんとあると。概念は整理されていると。 それは従来の公的な措置制度でもなく、かといって完全な民間市場でもなく、考え方とし ては公的なフレームワークの中に、部分的に市場の考え方やツールを援用しているのだと。 これはこれ自体が完結した概念だと。これは考え方としてはまだ日本ではそれほど広まっ ていませんが、きちんとした対人社会サービスの考え方として確立されているわけですか ら、本当は他によい言葉がないかどうかと議論のやり取りもしたのですが。整理があると すると、内部市場とか擬似市場とか。「擬似市場」の方がまだ「準」よりは違うものだとい うことが明確だと思いますが、いずれにしても市場メカニズムという言葉が入ってしまう ので、ここはそういう「新しい保育メカニズム」と。これはそういう名前、定義を置き変 えることによって軸がぶれてしまって、際限のない規制緩和の対象にされてしまうことが 大変心配ですので、この辺は言葉としてはこう置くしかないと思いますが。  考え方としては、完全な市場メカニズムが別個の考えに基づくものであり、公的なサー ビス体系の中に市場的な考え方を一部援用したものという意味であると、もう一度明確に 念を押した方がよいかもしれないと思っています。 ○大日向部会長  ありがとうございました。ただ今のような駒村委員のご説明でいかがでしょうか。よろ しいですか。杉山委員よろしいですか。ありがとうございます。他にいかがでしょうか。 今井参考人。 ○今井参考人  コメントというか、少子化対策につきましては、これを改めて申し上げるまでもなく、 国、地方自治体、事業主、個人などそれぞれが連携して取り組むものです。5ページの「事 業主の費用負担」のところに「現在の労働者の両立支援としての側面、将来の労働力の育 成の基礎としての側面」ということが入っていますが、こちらにつきましても事業者のみ ならず、すべてにそれぞれに共通した課題と考えています。4ページにあるように、次世代 育成支援は国の重要な政策課題であるということで、広く国民が税負担をする。いわゆる 公費をベースにして、それぞれの各主体が協力をしていくという趣旨から、今回こうした 整理がなされたものと私どもは理解しています。  それから今回の整理については、新しい保育サービスの仕組みなどさまざまな提案がな されたわけでして、もとより量的な拡充を図るという意味からも長期的に安定した財源を ぜひとも確保していくことが何よりも重要な課題と考えています。ただ、残念ながら現状 では、税制改革の方向性もいまだ定かでないという状況もありますので、実際に財源が確 保されるまでは、一歩も前に進まないということではなしに、できる準備と申しますか、 いろいろな効率化の推進といった点も含めまして、そういった点につきましては、ぜひと も引き続き進めていっていただくようお願いします。 ○大日向部会長  ありがとうございました。他にいかがでしょうか。内海委員お願いします。 ○内海委員  非常によくまとまっていると思うのですが、今回の次世代育成支援のこの制度体系に向 けては、緊急性というのは一つのキーワードだと思うのですが、猶予を許さないというの が、初めのところに1個所あるのと、どこかに一つあったのですがそれくらいしかないの です。もう少し緊急性という言葉をことごとく入れた方が。いつの次世代育成かというの がよくわからないので。本当に猶予を許さない財政投入にしても、例えばこの訂正の赤字 の方が書いてあるものは、全部きれいに書いたものよりもより一層わかりやすいのです。 そういう部分でもう少しキーワードを太字にして読みやすくするとか。  今ごろ言って何ですが、これは誰が読んでどこで生かされるのでしょうか。国民も全部 読むのだと思いますが、検討が必要だとかそういう検討は、次はどこで引き継がれて具体 的にいつごろまでに検討されるとか、そういうものがないと、全部が検討検討で後回しに なっているような感じもしました。  それと2ページ目の上の「妊婦健診等」の後に「乳幼児健診」を一つ加えていただける と、より。子どもの乳幼児健診をされていますので、保育所だけではなく保健所の機能も かなり有効に働いているのです。ですから、そういうところと、次世代育成支援と書いて ありますが、最初からこれが次世代育成支援のためにわりと狭い範囲の話をされているの で、岩渕部会長代理がおっしゃったように、医療とか福祉とか教育の部分はここでは触れ ないというきまりがありましたけれども、例えば子どもを産み育てたい人がどうして産ま ないのかというと、働けなくなるからと同時に教育費が高いというのはデータで出ていま すので、そういうところにも触れないで、そのままでよいのかなと。それでありながら「こ れはここに焦点を当てた制度設計を考えた」という文言が必要だと思うのと、それから9 ページの最後から2行目「その上で、投入される財源の規模に応じた進め方に留意しつつ」 というのは少しインパクトに欠けるので、「この具体的制度設計に必要な財源を投入するこ とに」というように、財源が必要だと、規模に合わせてではなく、最終的には規模に合わ せるのでしょうが、このために具体的制度設計を具体化させる財源を投入すべきであると いう形にもっていった方が良いと思います。それが叶うかどうかはわかりませんが。  それと2ページ目の各国比較の中にもう一言、高齢者に対する社会福祉のパーセントも 一緒に書いていただけると。高齢者を粗末にするということではなく、少子高齢化といわ れているのに、子どもにはこんなものしか使われていないので何とかしてよということで、 具体的に数字があるとインパクトがありますので、ぜひ入れていただきたいと思います。 各箇所に緊急課題だということを、「緊急に」とか「早急に」とか「速やかに」と、しつこ いくらいに入れていただければうれしく思います。 ○大日向部会長  緊急性の認識がいまひとつ足りないのではないかという厳しいコメントをいただきまし たが、具体的に書かれている内容を読みますと、私は新しい制度設計に今後つなげていけ るようなかなり新しく、かつ実施できれば真の意味で画期的なビジョンないし理念を皆様 のご意見を基に書かせていただけたのではないかと思います。  ただ、これが今後どなたに読まれ、どのように利用されていくのかというところを事務 局の方からお答えいただけますと、今の内海委員のご懸念に幾分かはお応えいただけるの ではないかと思いますので、よろしくお願いします。 ○朝川少子化対策企画室長  まず緊急性のところは、盛り込めるところにもう少し緊急であるということを盛り込む ことは検討したいと思います。誰が読んでというところについては、当然この審議会はオ ープンにしていますので、まず国民が当然念頭にあるわけですが、前文にも書かせていた だいているように、本件につきましては、政府部内でのいろいろな関係機関、諮問会議で あるとか地方分権推進委員会であるとか、いろいろな関係機関も強く関心を持っておられ ます。従って、このまとめはそういったところにも訴えていくものでありますし、最後に 書いてあるように国民会議の議論とも関係します。従って、今並行していろいろなところ で議論が行われていることに対する一つの考え方のまとめでもありますし、さらにいえば ここが一番大きいところですが、今後具体化していく上で、それは本部会を中心に議論を していただく必要があると思いますが、今後具体化していく上で、まずは基本的考え方を まとめるというところに意味があると思っています。この部会が対象範囲としている範囲 ですが、まさにそこが最初に書いているところで、重点戦略のとりまとめを受けてこの部 会の議論を始めていますので、その重点戦略がまさにこういう保育でありますとか、いろ いろなサービス、あるいは給付といったものについての新しい枠組みを検討するべきであ るということを受けてやっているということで、一応表現させていただいているつもりで す。  2ページ目の高齢者に対する割合というのは、それを書いたつもりですが、社会保障全体 に占める家族関係支出が4%というのは、社会保障全体というのは高齢者も含めて社会保障 が構成されていて、その中で4%ですというのはまさに同じことを表現しているところです。 2ページ目の(3)の※印の2行目のまた書きのところです。「規模に応じた」のところは、ま さに同じ趣旨の意見を踏まえて、9ページの4行目のところに「国民的議論を喚起し、社会 的資源の投入について合意を得ていく」ということを書いているところが、それに対応し ているところで、かなりの規模の財源の投入については国民の合意の下にやっていかない と財源の確保はできませんので、そこを表現させていただいたとご理解いただければと思 います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。よろしいでしょうか。まだご意見なりご感想をいただいてい ない委員がおられますか。小島委員はいかがですか。 ○小島委員  前回も言いましたように、これをベースにして新しい保育のメカニズムというか新しい 仕組みをどう作るのかというところと併せて、そのための財源をどうするかというところ が、今内海委員も言われたように、まさに緊急性からいっても財源確保が極めて重要なポ イントになってくるということで、前回も最後のところで積極的に打ち出すべきだという 発言をしたところですので、その辺はそれなりに工夫はされたかと思いますが、少しイン パクトとしてはいまひとつという感じがしないでもないのですが、まさにこの部会で具体 的にどう詰めていくかということと、そのために財源がこれだけ必要だとこれからきちん と打ち出していくことが必要ではないかと思っています。内海委員からも指摘されたGD Pに対する家族支援の比率が極めて低いということを高齢者との関係でいいますと、諸外 国との比較をすると、高齢者に対する支出が先進国と比べて日本は高いわけではない。低 いのです。ですから、あまり高齢者との比較だけをいうと、分捕り合戦のように受け止め られる。逆に、やはり高齢者についてのEU・先進国等から比べると、GDPに対する支出 としては、日本は低い方なのです。高くはないのです。そういうことでいえば、まさに家 族・子育てを含めて、いかにこれから財源を確保するかを強調していく必要があると思い ます。 ○大日向部会長  ありがとうございます。杉山委員ですね。その次に穂田参考人も、もしよろしければ後 でお願いします。 ○杉山委員  ありがとうございます。先ほど出た高齢者との比較の部分ですが、できましたらこちら の参考資料集の方に、例えば21ページには次世代育成支援に関する給付・サービスの費用 の4兆3,300億円の割合が載っているのですが、多分これは社会保障給付費全体の中で子 どもが4兆3,300億円で、高齢者は何兆円なのかとか、そういう全体像が見えるものもあ ろうかと思いますので、私は何度か見ていたと思うのですが、これは子どものことばかり ですが、社会保障給付全体の中で子どもはどうなのかというデータも少し入れておいても らった方が、いかに少ないかということがわかって良いのではないかと思っています。  それと財源の話が出たので、意見とは違ってくるかもしれませんが、漏れ聞いたところ によりますと、私の誤解かもしれませんが、介護保険の保険料の支払の年齢を40歳から20 歳に下げて、それを介護保険制度の方に充てるというような話もないではないということ を聞いたことがありまして、もしそうなった場合、20歳から保険料を支払って、それが全 部介護保険にいくというのはあり得ないと思っているのです。そうであれば今ずっと何と なく私たちの中では財源を担保するとするならば消費税でしょうと思いながら議論をして いたと思いますが、そういう話がもしあるならば、保険ということもまた一つ検討課題と して出てきてもよいのかなと思いました。これは確かなどこかに載ったということでもな く、議論があると聞いたものなのではっきりわかりませんが、可能性があるならば財源は どこでもという気もしますので、議論はいろいろやってもよいのかなと思います。  それと前後して意見の方ですが、先ほど内海委員がおっしゃった「もう少し強く言って はどうか」というところは私も賛成で、例えば9ページの最後などは「投入についての合 意を得ていくことが必要である。これら具体的制度設計について国民的な理解・合意を得 て必要な財源を投入すべきである」と言い切ってしまうとか、「必要な財源を投入する必要 がある」と、そう言ってもよいのではないかという気がします。「進め方に留意しつつ」と 遠慮しないでやってもよいのではないかと。以上です。 ○岩渕部会長代理  その関連で、最後の段落のところで「投入される財源の規模に応じた進め方に留意しつ つ」というのは、霞が関的な表現だと思うのですが、一応審議会でやっているわけでして、 国民的なメッセージという意味合いから言っても、やや志が低すぎると言わざるを得ない ということもあって。ですから、後段については今杉山委員が言われた通りでよいと思う のですが、その前段のところは「投入される財源」ではなくて「必要な財源を確保しつつ」 くらいのことで、中身的にそんなに違うものではないのですが、ただ単にメッセージ性の 問題で、そのような格好にした方がよいのではないのかと思われます。そうすることが利 害得失マイナスだという判断をされているのかもしれませんが、どうでしょうか。 ○大谷雇用均等・児童家庭局長  財源を投入する必要があるという思いは私ども事務局も全く同じです。そこは前段に明 記していますが、最後の2行は、いろいろなインパクトやいろいろな意味合いがあるので すが、財源といいましても今言われましたように、重点戦略会議で出たように1兆円〜2兆 円のスケールの話を念頭に置いている人もいれば、経年度のシーディングの中でも重点と して少しでも確保して改善しておこうと、いろいろなレベルがあって。改革論議の中には わずかでも突っ込んだらルール変更まで一気にいけるではないかという部分もあって、ス ケールと改革のテンポはある程度調和していかないと。規制改革のスピードは、財源はい いから先にこちらを決めろという動きもあって、その辺を見極めながらいかないと。改革 論についていろいろペース等、違う考えがあるわけです。そういう意味で志が低いという 見方もあるのでしょうが、やるべきことは着実にやっていく。しかし、それはいわゆる需 給のバランスがどれくらい改善したらここまでいけるというか、その辺を見切りながらい かないと、需給バランスがわずかしか改善していないのに、もう財源が入ったのだから大 改革だということで、できないところまで突っ走るのも難しい。そういう思いもあって、 関係者もこういったくだりについて、安心をもってという一面も、両面あるので、まず投 入の必要性は声を大にしていくのはもちろんですが、またその規模に応じても機敏に検討 していくという、そこはセットでやっていただいてよいのではないかという感じで、こう いう文章があると思います。 ○大日向部会長  それでは大石委員お願いします。 ○大石委員  高齢者関係と家族関係のところにまだこだわっていて申し訳ないのですが、GDP比を 見て高いか低いかというのは、国民負担率の違いなどもありますので、何パーセントが適 正数かというのをここで引用したからといって説得するのは難しいと思います。むしろ問 題は、相対的に見て高齢期なのか子ども家族比なのかというところで比較をした方がよろ しいのではないかと思うのですが。 ○大日向部会長  ありがとうございます。今の大石委員の意見は、私もその通りだと思いまして、先ほど 杉山委員が資料のところで、子ども関係の資料を入れるのであれば高齢者関係も入れたら よいだろうという意見はもっともかと思いますが、ひとつ間違うと高齢者関係の社会支出 とVS構造になってしまうことが懸念されます。先ほど小島委員が言われたように、高齢 者に対する社会支出も、日本は決して高くないということになりますと、その辺りは今大 石委員が言われたように、少し視点を変える必要があると思います。室長が手を挙げてく ださいましたか。 ○朝川少子化対策企画室長  今の部会長の意見通りですが、一応念のために杉山委員が引用された資料集の中の16ペ ージ、先ほど20ページを引用されましたが、何回か前に提出させていただいた資料ですが 16ページを見ていただきますと、これの2ページ目の注意書きで二つ書いてある数字で左 側の棒グラフ、これは家族関係支出に対するGDP比で、これが0.75%という数字ですが、 その真ん中にあります棒グラフがまさに今ご議論、ご意見をいただいているところに対応 するもので、説明が悪いのかもしれませんが、これは社会支出のうち家族分野への支出割 合なのです。要するに社会保障で年金とか医療とか介護とかいろいろある中で、その全体 の支出の中での家族分野が4%であって、これを諸外国と比べても低いですねという資料で す。これを本文の2ページ目の注意書きで引用しています。まさに今いただいているご意 見を踏まえて書いているつもりですので、そこは理解をいただければと思うのですが。 ○大日向部会長 ありがとうございます。清原委員お願いします。 ○清原委員  9ページの最後の記述について幾つか意見が出ましたので、自治体の立場から申し上げた いと思います。今回5ページの「(2)地方財政への配慮」というところで、明確に「保育所 をはじめ子育て支援サービスの実施主体である市町村の厳しい財政事情に配慮し、新制度 体系への地方負担について、財源の確保を図るなどにより、サービス水準を維持・向上さ せることを検討する必要がある」と書いていただきました。これはかねてより私が問題提起を させていただいてきたところで、先ほどの資料集の21ページでも大枠ですが示されていま すように、このような事業をしていくときには地方公共団体の負担がもちろんあるわけで す。従いまして、先ほど局長が慎重に表現されましたように、財政の枠というものを配慮 しながら制度も作っていただきませんと、これが望ましいということで国が示される制 度・サービスについても、地方公共団体の負担がないものはほとんどありません。特に基 礎自治体の市町村が一定の負担をすることによって児童手当であっても、あるいはその他 のサービスについても実現していくので、財源を国が確保されたときに100%国が支払う。 それを負担するということで新サービスができるのであれば、市町村はそれで受け入れま すし、国民・市民も喜んでいただけると思いますが、その制度の中でこの部会でもこの間 何度か現物給付等のあり方で、どういう負担の配分があるかという議論もしてきましたよ うに、全部パイが広がったからといって、税財源の委譲が適切に行われなければ、市町村 の財政規模も広がるわけではないので、この辺りは十分に配慮して、適正な国の負担と市 町村あるいは都道府県の配分等に配慮しながら検討する旨のただし書きの明記なのかなと 最後の2行は受け止めていました。  ですから、部会の他の委員の皆様と私の思いも一緒で、全体としての少子化対策、ある いは次世代育成支援に対する財源の拡充については、申すまでもない総意だと思います。、 その上でただ増えればそれで質の高いサービスが必ずしもできない恐れがあるので、慎重 な制度検討をという意味合いであると受け止めさせていただければありがたいと思います。  その意味でも、この5ページの(2)の三つの丸は大変重要な部分だと思いますし、併せて 適正な負担のあり方について、今回の新しい制度の取組の中で再検討するべきものについ ては、前例などのこれまでの制度の根拠にだけ依存するのではなくて、抜本的に考えてい ただくような、そういう機会にもしていただければより一層心強いと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。先ほど来、何人かの委員の方々から財源投入に関して書き方 が生ぬるいのではないかとか、緊急性が少し足りないのではないかというご意見がありま して、その思いは私も同じくするところも多々ありますが、先ほど局長がお示しくださっ たように、財源の問題というのはバランス的な視点が必要だということですね。その点に ついては今清原委員からも同じ趣旨のご意見があったかと思います。最後の書き方はその ような方向で皆様にもぜひご了解いただければと思いますが、いかがでしょうか。ありが とうございます。  それでは穂田参考人、まだ発言がありませんが。よろしく願いします。 ○穂田参考人  私の方から特にはありませんが、前回飯泉委員がかなり発言していまして、今回も案に ついてかなり取り入れていただいていますので、ありがとうございましたということです。 以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございます。これで一当たり皆様からコメントなりご感想なりをいただいた かと思いますが、まだ多少時間があります。どうぞ、ご発言がおありの方はお願いしたい と思います。よろしいですか。  それでは少し早くはありますが、本日はこの辺りとさせていただきたいと思います。当 部会におきまして、次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた基本的考え方 につきまして、本日の議論を受けまして、もう一度私と事務局で相談いたしまして、必要 な修正を施し、基本的な考え方としてとりまとめたいと思いますが、委員の皆様にご了解 いただけますでしょうか。  宮島委員が今お着きでいらっしゃいますね。一当たり全部終わりそうなところですが、 まだ時間もありますので、せっかくお越しくださいましたので、何かご感想でもあれば一 言いただいて終わりとさせていただきたいと思います。 ○宮島委員  意見書を出させていただきまして、それを事務局の方々にも十分受け入れていただいた と思っています。どうもありがとうございます。 ○大日向部会長  それでよろしゅうございますか。ありがとうございます。  それでは事務局と私の方でとりまとめるということで、ご一任いただきたいと思います が、よろしゅうございますか。ありがとうございます。それでは最後に局長からお願いし ます。 ○大谷雇用均等・児童家庭局長  最後にご挨拶申し上げます。この特別部会におきましては3月に本件についての審議を 再開していただきまして、以来、新しい制度体系の枠組みの基本的な考え方につきまして、 精力的に議論をいただきました。委員の皆様方におかれましては、短期間でしたが緻密な 議論をいただきました。誠にありがとうございました。  部会の過程でも示してまいりましたが、新待機児童ゼロ作戦をはじめとして、経済財政 諮問会議、地方分権推進委員会など国民的な関心も高まっている中、時宜を得た非常に有 意義なまとめをいただいたと考えています。  今回まとめていただきました基本的な考え方を基にして、まずは政府部内の意見調整に 臨んでまいりたいと考えています。また次世代育成支援における新たな制度体系の具体化 に向け、政府としてもさらに検討してまいる所存です。  今後、政府全体の動きを見極めながら、しかるべきタイミングで議論を再開させていた だくこともあろうかと思っておりますので、その節は引き続きよろしくお願い申し上げま す。  次回以降の日程につきましては、事務局より追ってご相談申し上げるつもりでおります ので、今後ともよろしくお願いいたします。  部会長をはじめ、各委員におかれましては、大変ご多忙の中、熱心にご議論いただきま した。心より御礼申し上げます。ありがとうございました。 ○大日向部会長  事務局は、よろしいですか。  それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。 (照会先)  厚生労働省  雇用均等・児童家庭局総務課  少子化対策企画室  (内線7944)