08/05/13 平成20年5月13日先進医療専門家会議議事録 第28回先進医療専門家会議 議事録 (1)開催日 平成20年5月13日(火) 午後3時30分〜 (2)場所  全国都市会館 第2会議室 (3)出席者 猿田座長、赤川構成員、笹子構成員、田中(憲)構成員        田中(良)構成員、永井構成員、樋口構成員、福井構成員        事務局:医療課長、医療課企画官、保険医療企画調査室長、歯科医療管理        官、薬剤管理官、医療指導監査室長 他 (4)議題  1.先進医療の科学的評価(2月、3月受付分)について        2.先進医療の届出状況(4月受付分)について        3.その他 (5)議事内容 ○猿田座長  それでは、時間がまいりましたので、第28回の先進医療専門家会議を始めさせていた だきます。  本日の構成員の出欠状況ですが、新井構成員、飯島構成員、岩砂構成員、加藤構成員、 金子構成員、北村構成員、竹中構成員、谷川原構成員、辻構成員、坪田構成員、戸山構成 員、吉田構成員、渡邊構成員が、一応欠席との連絡をいただいております。  それでは、早速にまず資料の確認を事務局のほうからお願いいたします。 ○事務局  医療課の待鳥です。資料の確認を早速させていただきます。  まずお手元に座席表の1枚紙、続きまして議事次第の1枚紙、構成員のリストが書いて ある1枚紙、続きまして、先進医療の新規届出技術(2月受付分)と書いてあるもの、先 −1と書いてあるものです、1枚紙。続いて、先−2、先−3、先−4と、それぞれ1枚 紙がありまして、続いてホッチキスでとめている別紙1と書いたもの、こちらは中に別紙 2と別紙3というのが一緒にとじられております。続きまして、先−5と書いている1枚 紙。続いて先−5の参考資料1と書いているもの。最後に参考資料2と書いているもの。  以上でございますが、不備等ありましたらお知らせください。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  よろしいでしょうか。お手元に、今御説明ありましたように、先−5までと参考資料と いうことでございます。  よろしければ、もう早速、2月及び3月に届出のございました新規技術に関する審議に 移りたいと思います。  今回提出されております先進技術について、まず事務局のほうから御説明をお願いいた します。 ○事務局  それでは、先−1の資料をごらんください。  まず、先進医療の新規届出技術(2月受付分)についてというものですけれども、2月 受付分は1技術ということで、整理番号110番、再生不良性貧血患者に対する造血幹細 胞移植前処置における抗ヒトTリンパ球免疫グロブリンの使用というものの1技術のみで ございました。  これを事務局で精査いたしましたところ、書類に一部不備がございましたので、返戻と いう形にさせていただいて、また再提出いただくという形にしております。  続きまして、先−2をごらんいただきまして、こちらが3月受付分ということで、5技 術が上がっております。  まず整理番号111番、多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術ということで、適応症 は白内障ということになっておりまして、右側のほうに先進医療の費用と保険外併用療養 費が書かれております。  先−3の資料を併せてごらんいただいて、こちらについて、事前評価の構成員として坪 田構成員に評価をいただいておりまして、総評は「適」というふうにいただいております。 これについて、また後ほど御説明いたします。  続きまして112番、先−2の資料に戻っていただいて、リアルタイムPCR法を用い た歯周病細菌の定量による歯周病診断というものでございますけれども、適応症は歯周病 細菌の感染が疑われる歯周炎及び歯肉炎というもので、費用について右側に書いてあると おりでございます。  これについては、先−3の資料を見ていただきまして、技術的にさらにデータを積み上 げた上で再度申請したいとの医療機関側の判断がございまして取り下げということにさせ ていただいているところです。  続きまして113番ですけれども、先天性難聴の遺伝子診断ということで、遺伝性が否 定できない先天性難聴ということですけれども、先−2の資料に費用について書かれてお ります。  また、先−3のところで事前評価構成員に竹中構成員になっていただいておりまして、 総評は「適」ということでいただいております。これについても後ほど説明いたします。  続きまして114番、フェニルケトン尿症の遺伝子診断ということで、適応症がフェニ ルケトン尿症、高フェニルアラニン血症、ビオプテリン反応性フェニルアラニン水酸化酵 素欠損症ということで、先進医療費用は右側に書いてあるとおりです。  こちらについても、事前評価構成員として辻構成員に評価をいただいておりまして、総 評は「適」ということでいただいております。  最後に115番、末梢血単核球細胞移植による急性心筋梗塞に対する血管新生療法とい うことで、適応症が急性心筋梗塞症ということですけれども、これについても一部書類に 不備がございましたので、また返戻して再度申請いただくという形にしております。  2月、3月受付分については以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  今、御説明ありましたように、111番から115番までと。そのうち112番のリア ルタイムPCR法を用いた歯周病細菌の定量による歯周病診断は、ちょっとまだ一部不備 で取り下げということでございます。それからもう一つ、115番の末梢血単核球細胞移 植による急性心筋梗塞に対する血管新生療法、これに関しましては書類上の不備があった ということで一回戻すということで、残りの3つが一応「適」ということでございますが、 今日残念ながら各委員が欠席でございますけれども、一応ここでそれぞれ諮らせていただ きたいと思います。  それでは、まず最初に111番の多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術に関しまして、 これ、事務局のほうから御説明いただけますでしょうか。 ○事務局  事務局です。  この多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術については、先ほど申しましたとおり、坪 田構成員のほうに評価をいただいておりまして、別紙1のほうをごらんいただきまして、 そちらのほうに概要と、1枚おめくりいただいてその適格性、その次に要件案というもの も記載してございます。  まず概要からですけれども、この多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術ですけれども、 適応症は白内障ということになっておりまして、内容といたしましては、先進性として、 単焦点眼内レンズを使用する従来の白内障手術では調節力が失われると。そのため、単焦 点眼内レンズでは遠方、または近方のいずれに焦点を合わせるのかを決める必要があり、 焦点が合わない距離については眼鏡が必要となると。  多焦点眼内レンズを使用する場合は、単焦点眼内レンズと同程度の遠見時の裸眼視力に 加え、単焦点眼内レンズでは得られない近見視力が同時に得られ、それにより眼鏡依存度 が軽減されると。  術式は従来の眼内レンズと同様に、現在主流である小切開創から行う超音波水晶体乳化 吸引術で行うと。  なお、米国において多焦点眼内レンズは、その先進性によって他の眼内レンズと異なる 保険上の評価を行っている等と概要が書かれております。  先進医療に係る費用としては43万4,000円ということになっておりまして、簡単 に申しますと、今まである単焦点の眼内レンズではなく、遠近両用というような形の多焦 点の眼内レンズができて、その先進的な技術であるというようなものでございます。  1枚おめくりいただきまして、その適格性について坪田構成員から評価をいただいてお りまして、適応症、A妥当である。有効性、A従来の技術を用いるよりも大幅に有効。安 全性についてもA、技術的成熟度はB、社会的妥当性A、現時点での普及性C、効率性C、 将来の保険収載の必要性Aということで、総評は「適」というふうにいただいております。  また、要件(案)というところですけれども、I番の実施責任医師の要件では、診療科 は要で眼科。資格、要で眼科専門医。当該診療科の経験年数5年以上。当該技術の経験年 数5年以上と。当該技術の経験症例数は実施者として10例以上、それに加え助手または 術者として5例以上。  また、医療機関の要件として、診療科は要で眼科。実施診療科の医師数が要で常勤の眼 科専門医が1名以上。他の診療科の医師数が不要。看護配置不要。その他医療従事者の配 置不要。病床数不要。当直体制不要。緊急手術の実施体制不要。院内検査不要。他の医療 機関との連携体制不要。医療機器の保守管理体制不要。倫理委員会による審査体制不要。 医療安全管理委員会の設置不要。医療機関としての当該技術の実施症例数は要で10症例 以上。  その他の要件といたしましては、頻回の実績報告は不要というふうにいただいておりま す。  それで、坪田先生からは評価について、残念ながら今回出席できないということだった んですけれども、できれば次回以降、出席したときに御審議いただきたいというような意 見もいただいておりますことを併せて申し添えます。  以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  坪田先生が出られないということで、今、事務局のほうからお話しいただきましたけれ ども、白内障手術をした後、どうしても眼内レンズが必要であるというのも、これまでも 多くの治療上で行われたことですけれども、それが今までの単焦点レンズですと、どうも その後、また眼鏡かけなければいけない、どうしても遠近の調整がうまくいかないという ことで、今度のような多焦点眼内レンズを入れればかなりそれがいいということで、レン ズもかなり高いようですけれども、一応そこが新しい点であるということでございます。  それで、先進技術としての適格性のところをずっと見ていただきますと、これ、効率性 はCなんですかね。効率性は同程度または劣るんですか。これはどういうことですか。 ○事務局  今現在ある眼内レンズの技術と比較して大幅に効率性とか効率的というわけではなく同 程度、保険収載している眼内レンズの水晶体再建術と同程度ということで言えば、そのC に該当するのではないかという意見だと思います。 ○猿田座長  ということですかね。でも、かなり効率的にはなるはずですけれどもね。  そのあたりの御意見ございませんか。 ○笹子構成員  その後、さらに視力を調整して眼鏡をつくるとか、いろいろなことまで含めて考えれば 効率的ですよね。 ○猿田座長  そうですよね。それでないとちょっと劣るになってしまう。  そのほか御意見いただけますか。どっちみち、坪田先生がいらっしゃるときに最終判断 をしてくれということのようですから、あと御意見を何かいただければ。  一緒に今、お話しいただいた医療機関の要件のほうもちょっと見ていただきたいんです けれども、これは眼科の専門医で5年という、このあたりのところどうでしょうか。  事務局の方とも相談させていただいて、医療機関としての技術の実施例数、一応10例 で、今まで大体整理しています。10例あれば大丈夫ではないかということで、経験症例 数は10例というところにしていただいてありますけれども。何か他にありますか。  はい、どうぞ。 ○福井構成員  看護配置が不要というのは、これはナースが全然いなくてもできるという意味なんです か。 ○猿田座長  どうでしょうか。 ○事務局  このあたり、「不要」がずらっと並んでいるんですけれども、クリニック等を想定して 書かれているのかもしれません。その辺も含めて御議論いただきたいということと、それ も含めて坪田先生の御意見というのも参考にしないといけないところですけれども、御意 見を聞きたく思っております。 ○笹子構成員  今の点は、恐らくデイ・サージェリーで、病床なしでやっていますね。ということで、 病床数も不要になっていますので、この看護配置という言葉そのものが対象にならないと いう意味で、看護師さんは普通いますよね。 ○福井構成員  外来でやるとしても必要ではないかなと思うんで、その「配置」という言葉の意味です ね。 ○猿田座長  外来の場合、これは適応外ということだろうと思いますけれども。 ○事務局  事務局ですけれども、入院を想定した看護配置という言い方をしていると思いますので、 そういうことだと思います。 ○永井構成員  これは多焦点眼内レンズが新規ということなのですか、水晶体再建術が新規ではなく。 薬事との関係は今どうなっていたのでしょうか。薬事承認を得ているかどうか。 ○事務局  薬事承認は得られています。材料について、多焦点眼内レンズについて、薬事承認は得 られているということです。 ○猿田座長  だから、そのレンズを使うところがあれですよね。ということではないでしょうかね。 ○永井構成員  ちなみに、なぜこれは治験に行っていないのかという事情を教えていただけますか。 ○事務局  もう治験は終わっております。 ○田中(良)構成員  そうすると、この先進医療にかかわる費用というのは、これは主に材料費なんですか、 内訳ですけれども、その手技料で例えばほかの、従来よりも余計に手間がかかるとか、そ ういう意味ではないんですか。 ○事務局  少々お待ちください。  そのうち材料が23万円程度です。人件費が20万円程度積算されております。 ○猿田座長  材料も高いけれども。 ○田中(良)構成員  眼内レンズを入れるのは特別な手技が要るとか、そういう意味ではないんですね、これ は。よく分かりませんけれども。 ○医療課長  既存の水晶体の負担率は、眼内レンズ代込みの点数になっているんですね。ですから、 今回、ものが違いますので、手術そのものも保険外になってしまうということなんですね。 ですから、もの代と手術代本体も、入院費用はいいですけれども、入院する場合ですね。 だから、この水晶体の手術の場合は眼内レンズが手術代の中に込みになっていると。です から、今回、その込みの部分のものが全然違う高価なものが出てきたということで、だか ら、違う形で評価しようということで今回先進医療で出てきたと、こういうことです。 ○猿田座長  だから大分高いんですね。  どうぞ。 ○笹子構成員  今、これ、もとの書類を見せていただいているんですけれども、所用時間6時間と書い てあるのですけれども、普通、白内障のレンズを取りかえる手術はあっという間に終わる ので、一日に10人とか20人とかやるんですね。これは効率に劣るというのは、ここで 理解できるんですけれども、本当にそうなのかはよく調べたほうがいいと思います。 ○事務局  この6時間、すべて手術時間というわけではないそうで、調整する時間とか、そういっ たことも含めて6時間というふうになっているということです。 ○猿田座長  そのあたり、坪田先生が出席のときに聞きましょう。  今のところを除けばまあまあ効率はいいということになれば適でよいと思いますが  ほか御意見ございますか、何か。  問題点は坪田先生に伝えまして、ちゃんと答えていただけるようにします。何かあと御 指摘ありますか。  3月の受付のところで、先進医療費のほうが7万3,000円ですね。保険給付もつけ て43万ということですかね。大分違いますけれども。  はい、どうぞ。 ○樋口構成員  技術的な成熟度のところがBになっていますよね。さっきの話と絡んで、材料だけが、 要するにレンズだけが性質の違うものを使って、手技的にはさっきの説明だとほとんど同 じだというふうに。 ○医療課長  手技的には、やはり多焦点ですので、固定するところは精緻にしないと、単焦点のもの に比べては精緻にしないといけないというふうには聞いています。基本的には変わらない と。 ○樋口構成員  技術的には多少高度であるということで、やはり今まで普通のレンズを使った手術をし ている人がそのままやるのではない、多少習熟した人の指導が必要という意味なんですか、 これは。 ○猿田座長  そこのところは、今度、ちゃんと彼にもう1回お聞きする必要があると思います。  はい、どうぞ。 ○赤川構成員  この申請の医療機関は、ほかの診療科がありませんので、クリニックと思われます。こ のような申請は、今まで余りなかったように思うのですが、こういうケースも医療機関の 要件があれば申請してよいと理解してもいいですか。 ○事務局  特にクリニックだからといって受け付けないと、そういったふうには思っておりません し、当然、医療機関であればどこでも申請していただけるということになっております。 ○猿田座長  眼科の場合にはこういった形のものがこれからも出てくるかもしれませんですね。  ほかに御意見ないですか。  一応、今日は保留の形にしておくということでよろしいでしょうか。それでもう一回、 坪田先生がいらっしゃったときに最終決定。それで、今、議論にでました意見は前もって 坪田先生の方へご連絡いただいておいて、そこをしっかりさせてもらいたいと思います。  よろしいですか。  では、そういう形で処理させていただきます。  どうもありがとうございました。  それでは続きまして、今度は113の先天性難聴の遺伝子診断、これは竹中先生でござ いますけれども、ちょっと今日はいらっしゃらないので、また事務局のほうからよろしく お願いいたします。 ○事務局  事務局です。  先天性難聴の遺伝子診断ということで、こちらも竹中先生、残念ながら来られなくなっ たんですけれども、別紙2のところに概要と適格性と要件(案)というものをいただいて おります。また、竹中先生からはコメントを別にいただいておりますので、その部分を紹 介しながら紹介したいと思います。  概要のところですけれども、適応症は遺伝性が否定できない先天性難聴ということで、 内容は先進性のところで、日本人に同定されている難聴遺伝子を網羅的、効果的にスクリ ーニングすることにより、難聴の正確な診断が可能となり、適切な治療法の選択、予後の 推測、合併症の予測が可能となると。また、原因遺伝子変異の種類によっては、発端者の 難聴の進行の予防と、家系内の遺伝因子保持者の発症の予防が可能であるということで、 概要のところですけれども、難聴に関して100以上の遺伝子座が報告され、このうち現 在までに36個の原因遺伝子が同定されているということで、遺伝子変異の種類により、 発症時期、難聴の程度、難聴の進行の有無、聴力の変動の有無、前庭症状の有無、随伴す る症状、糖尿病などの合併症の有無が異なることが明らかとなり、臨床上極めて有用な検 査であると。  日本人に頻度の高い原因遺伝子であるGJB2、SLC26A4、ミトコンドリア12 S rRNA等を中心に10遺伝子47変異をダイレクトシークエンス法、あるいはイン ベーダー法により網羅的、効果的にスクリーニングすることにより難聴の正確な診断、適 切な治療法の選択、予後の推測、合併症の予測、難聴の進行及び発症の予防等が可能とな るというふうなことが書かれておりまして、費用は約4万7,000円ということで、実 施科は耳鼻咽喉科とされております。  1枚おめくりいただいて、適格性に関してですけれども、適応症は、A妥当であると。 有効性はAということで、竹中先生のコメントとしては、疫学調査によれば1,000人 の出生に1例の割合で高度難聴児が生まれてくると考えられていると。新生児聴力スクリ ーニングの導入により多くの難聴児が早期に発見され、その50%が遺伝子の関与するも のと考えられていると。遺伝子変異の種類によって発症時期、進行性、前庭症状や随伴症 状が異なっている。本検査法導入により難聴の正確な診断、適切な治療法の選択、予後の 推測や合併症の予測が可能となるというふうにいただいております。  安全性はAということで、これもコメントいただいておりまして、採血以外に患者に危 険はないということです。  技術的成熟度ですけれども、Bというところですけれども、これもコメントいただいて おりまして、当該施設は約1,500家系4,200名に検査を実施しており何ら問題はな いというコメントをいただいております。  社会的妥当性ですけれども、Aで、倫理的問題等はないということで、コメントですけ れども、多くの自治体で新生児聴覚スクリーニングを行われているが、難聴のメカニズム はほとんど不明であり、予後の合併症の予測が不可能であると。また、少子・高齢社会に おいて児の健全な成育を図ることは社会的使命でもあると。ミトコンドリア遺伝子A15 55G変異を持つ場合、アミノ配糖体の使用により高頻度に難聴が発生することが知られ ており、薬物副作用の観点からも重要な検査であるといただいております。  現時点での普及性ですけれども、Cということで、普及していないということですけれ ども、コメントですけれども、当該施設において全国33協力施設から検体を集めている と。潜在的需用に比し普及性はそれほど高くないといただいております。  効率性ですけれども、既に保険導入されている医療技術に比してA大幅に効率的という ことで、ここにもコメントをいただいておりまして、本検査に係る諸経費を勘案すれば妥 当な金額である。将来難聴の程度を予測し、適切な治療法の選択、人工内耳、適応者の約 25%が遺伝子変異等を持っている。また、発症や進行の予防が可能となり、将来負担と しての医療費削減、軽減にもつながるというふうにいただいております。  また、将来の保険収載の必要性というところでA、将来的に保険収載を行うことが妥当 というところですけれども、ここもコメントをいただいておりまして、有効性、安全性、 技術的成熟度及び社会的な統制と効率性をかんがみ、必要性ありと考えると。  総評ですけれども、「適」ということで他施設からの協力体制を受けているので短期間 に実効が認められるというふうにいただいております。  要件のほうですけれども、実施責任医師の要件ということで、診療科、要で耳鼻咽喉科。 資格は要で耳鼻咽喉科専門医。当該診療科の経験年数は5年以上。当該技術の経験年数が 3年以上と。当該技術の経験症例数が術者して1例以上と。助手または術者としては不要 と。医療機関としての要件としては、診療科として要で耳鼻咽喉科。実施診療科の医師数 が要で、常勤の耳鼻咽喉科専門医が2名以上。他診療科の医師数、ここは書いてございま せんが、不要ということだと思います。看護配置ですけれども、ここは不要と。その他の 医療従事者の配置ですけれども、要で臨床検査技師。病床数ですけれども不要。当直体制 不要。緊急手術の実施体制不要。院内検査24時間実施体制不要。他の医療機関との連携 体制不要。医療機器の補修管理体制が要と。倫理委員会に対する審査体制が要で、届出後、 当該検査を初めて実施するときは必ず事前に開催すると。医療安全管理委員会の設置は不 要。医療機関としての当該技術の実施症例数は要で、要というところにちょっと四角が抜 けておりますけれども、10症例以上。その他で遺伝カウンセリングの実施体制が必要と。  その他の要件ですけれども、頻回の実績報告は要ということで6カ月間は毎月報告とい うふうにしていただいております。  以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  今、竹中先生からのコメントを含めて御説明いただきましたけれども、非常に意義のあ る診断法だということと、既に当該施設ではかなりの多数例での経験が積まれていて有効 性が認められているということで、先進技術としての適格性に関しましても有効性、それ から技術的なこと、大きな問題がないかと思います。それから、医療機関の要件に関しま しても、ちょっと二、三抜けているところがありましたけれども、これは遺伝子診断とい うことでございますから、診療体制もそんなに問題ありません。ただ、倫理委員会の審査 だけは重要であるという形で、余り大きな問題はないように思いましたけれども、どなた か御意見ございますでしょうか。  では田中先生、先に。 ○田中(憲)構成員  最初の概要のところを見させていただきますと、36個の原因遺伝子の中で、一部10 遺伝子を検査するわけですが、全体のどれくらいの率をカバーすることが可能なんでしょ うか。 ○事務局  そこまで専門的な知識はちょっと事務局としては持っていないので、済みません。 ○猿田座長  これを読みますと、日本人に頻度の高い原因遺伝子としてはこれだと書いてあるから、 かなりの部分はここでいけるのではないかと思うんですけれどもですね。  どうぞ、永井先生。 ○永井構成員  やはり今の何%がとらえられるかということと、分かった場合に、その後の治療法とか 診断法、あるいは生活指導に影響があるかどうか。実は前に心筋症で似たような申請が出 てきました。私はあのときは50%程度の検出率だったということと、分かっても特に治 療法が変わるわけではないので、もう少し見合わせましょうという判断をしました。それ と比較してどうかということになるかと思います。 ○猿田座長  はい、どうぞ。 ○事務局  概要のところの効果のところですけれども、2行目以降ですね。本検査を実施すること により、難聴の正確な診断、適切な治療法の選択、予後の推測、合併症の予測が可能であ ると。また、ミトコンドリア原因遺伝子原因による難聴である場合には、発端者の難聴進 行の予防と家系内の遺伝因子保持者の発症の予防が可能であると。さらには遺伝カウンセ リングに関して重要な情報が得られるというふうに書いてありまして、その部分が効果と 言えば効果なのかなと思います。  また、竹中先生からいただいているコメントで、ミトコンドリア遺伝子のA1555G 変異を起こす場合に、アミノ配糖体の使用により、高頻度に難聴が発生することが知られ ている観点から言うと、薬物、副作用の観点からもこれを知っていることは重要ではない かというようなコメントをいただいております。 ○猿田座長  どうでしょうか、ミトコンドリア遺伝子異常で難聴の進行を本当に予防できるんでしょ うか。ちょっとそこは確認が必要だと思いますが。 ○永井構成員  人工内耳の適応がどうとかというのがありましたね。そういうことを早くやることが次 の治療と結びついているわけですね。 ○事務局  そこの部分については将来の難聴の程度を予測して適切な治療法の選択ができると。そ こに人工内耳適応者の約25%が遺伝子変異等を持っているということが書かれておりま して、それが今回のものと直接結びつくかどうかというのは分からないところではあるん ですけれども、何らかの治療法の選択につながる可能性はなくはないということではない かと思いますけれども。 ○永井構成員  というのは、こういうたぐいの検査は幾らでも出てくるのです。研究代わりにこの制度 を使って本当によいかということもありまして、やはりきちっとどういう診断がどういう ふうに役に立って、検出率がどのくらいで治療法と影響力に基づいて絞ったほうがよいよ うに思います。例えば今の内耳の移植の植え込みの件も、本当にこの遺伝子診断に基づい て決めるのか、あるいは別の指標で実は決めているのか、そこもちょっとよく分からない と思います。 ○猿田座長  ありがとうございます。  やはりこれは竹中先生がいるときに1回議論させていただいたほうがよさそうですね。 特に今、田中先生もおっしゃいました、どのくらい診断のカバーできるかということ、そ れから特に永井先生がおっしゃったような、こういった検査がたくさん出てくると思いま すけれども、その将来の治療にどう結びつくかとか、それからもう一つは人工内耳の問題 とかですね。  ですから、一応、今日は保留の形にしておくということでよろしいでしょうか。それで もう一回、竹中先生がいらっしゃったときに最終決定。それで、今、議論に出ましたとこ ろは前もって竹中先生のほうへ御連絡いただいておいて、そこをしっかりさせてもらいた いと。  よろしいですか。  では、そういうことで処理させていただきます。  ありがとうございました。  それでは、次ですね。これも診断になりますけれども、114番のフェニルケトン尿症 の遺伝子診断で、これは辻先生の分ですが、やはり辻先生御欠席ということで、事務局の ほうから御説明お願いいたします。 ○事務局  事務局ですけれども、フェニルケトン尿症の遺伝子診断ということで、これも遺伝子診 断ものなんですけれども、事前評価の担当構成員として辻先生に評価いただいているもの で、先ほどと同様に概要の紙と適格性と要件ということで、別紙3のほうをごらんいただ ければと思います。  適応症はフェニルケトン尿症、高フェニルアラニン血症、ビオプテリン反応性フェニル アラニン水酸化酵素欠損症ということで、内容としてはフェニルケトン尿症、高フェニル アラニン血症はフェニルアラニン水酸化酵素の欠損により発症する。これまでその確定、 病型診断は食事内容とその量で影響を受ける血中フェニルアラニン値によってなされ、し ばしば不確定であったと。遺伝子診断により確定、病型診断を可能とし、各個人に応じた より適切な治療を行うということで、概要ですけれども、分析に供与するDNAを患者末 梢血2から5ミリリットルを通常の採血と同様に採取するという極めて非侵襲的な方法に よって得られると。末梢全血を通常のフェノール法によって除蛋白した後、ゲノムDNA を抽出する。13ある各エクソンをPCR法によって増幅合成した後、DHPLC法にて 遺伝子多型を持つエクソンを同定すると。当該エクソンのシークエンスを行い、遺伝子変 異を同定する。遺伝子欠失変異の同定にはMLPA法を用いて行うということで、効果で すけれども、遺伝子診断を行うことで、これまで診断が困難であったビオプテリン反応性 フェニルアラニン水酸化酵素欠損症の確定診断を可能とすると。また、病型診断を確定で き、各個人に応じた食事療法とビオプテリンの治療が可能となるというふうに書いており まして、費用は3万円となっております。  おめくりいただいて、先進技術としての適格性ですけれども、適応症は、A妥当である。 有効性は、B従来の技術を用いるよりやや有効。安全性は、A問題なしと。技術的成熟度 はA、社会的妥当性がA、現時点での普及性A、効率性がB、将来の保険収載の可能性A ということで、総合判定は「適」というふうにいただいております。  要件(案)のほうですけれども、実施責任医師の要件として、診療科が要で小児科また は内科。資格は要で小児科専門医、内科専門医、または臨床遺伝専門医。当該診療科の経 験年数5年。当該技術の経験年数3年以上。当該技術の経験症例数は実施者、術者として 1例以上と。  医療機関の要件としては、診療科として小児科または内科。実施診療科の医師数が要で、 常勤の小児科専門医、または内科専門医が1名以上と。他診療科の医師数は不要。あと看 護配置不要で、他の医療従事者は臨床検査技師と。あと病床数、当直体制、緊急手術の実 施体制は不要で、院内検査は要で、その後の医療機関との連携体制不要と。あと、保守管 理体制、倫理委員会、医療安全委員会はそれぞれ要で、医療機関としての当該技術の実施 症例数は要で1症例以上と。また、その他として遺伝カウンセリングの実施体制が必要と いうふうになっておりまして、その他の要件では頻回の実績報告は不要というふうにいた だいております。  辻先生のコメントとしては、この申請された技術については、技術的にはとても有用で 将来的には保険適応することが望ましい技術であるということで、ただし、小児分野にお ける専門家である加藤構成員の意見を聞いた上で結論を得るようにしていただきたいとい うようなコメントもいただいておりまして、今回、残念ながら加藤構成員も出席いただい ていないので、それを踏まえて御議論いただきたいと思います。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  一応、先ほどよりは焦点が絞られているかと思いますけれども、フェニルケトン尿症の 遺伝子診断ということでございます。  それで、これまでの方法よりはかなり確実性があって、ビオプテリン反応性フェニルア ラニン水酸化酵素欠損症の確定診断ができるということと、その後の対応も一応しっかり 書かれているということでございます。  それから、あと、医療機関のところで、特にこれは小児科専門医と、内科専門医と別で しょう。内科認定医なのか、それとも内科専門医なのか、神経内科専門医なのか。どうし たらいいですかね。 ○猿田座長  内科の専門医はちょっと別。  違うでしょう、これ内科と。実は内科のほうは認定医の上にいろいろな専門医が乗っか るものですから、専門医とちょっと別なんですね。ですから、ここのところはちょっと変 えなければいけない。認定医ならいいんですけれどもね。  御意見をどうぞお願いいたします。 ○事務局  そういう意味でいうと、診療科のところに内科というのも外すということですか。そこ はいいということですか。 ○猿田座長  それはいいですね。 ○永井構成員  大人でもいますので。 ○猿田座長  入れておいていただいて。内科認定医でよいと思うのですが。  どうぞ、田中先生。 ○田中(憲)構成員  本案件にかかわることではないんですが、こういう遺伝子検査をするときに、医療機関 の要件で、検査体制自体に関するものはほとんどないですよね。将来的にこういう遺伝子 検査がたくさん出てくると思いますが、そのときの医療機関を、例えば本件では、臨床検 査技師がいるというだけが、経験年数、あるいは実施の条件等、もう少し医療機関の要件 を考えられたほうがよろしいのではないかと思います。 ○猿田座長  ありがとうございます。これ、前もちょっと問題ありまして、こういったのは検体を一 番しっかりしたところへ送って、それでやるという方法もあるのですが、現時点では認め られていません。そのあたりも含めて議論が必要と思っています。  何か他に御意見ございますでしょうか。 ○事務局  去年の議論の中で、遺伝子診断については遺伝カウンセリングの実施体制が重要ではな いかということで、基本的に遺伝子診断については遺伝カウンセリングの実施体制を求め ているような対応はさせていただいているところなんですけれども、その臨床検査技師を 含めた経験年数をつくるべきかどうかというのは、また議論する必要があるのかなと思い ますけれども。 ○笹子構成員  今、座長がおっしゃられた、将来例えば保険ということを考えたときに、保険ですとそ こへ診療に行って、患者さんが行かないと成立しませんね。検体だけを移動させてはかる というような場合、ではどこが診療費をもらってどうするかという、前も何かちょっとそ の話は出たと思うんですけれども、結局はっきりしないまま今も来ていますよね。だから、 そういうことも、どういうふうに運用するかということが必要になると思うんですね。  あと、先ほどのものと比べたときに、ちょっと僕はさっきの難聴の一件のときにおかし いと思った点がありました。その他の要件の頻回の実績報告という項目で、難聴のほうで は毎月6カ月間報告しろと書いてあるのですが、この項目はもともとこの医療技術の安全 性がまだかなりあやしいときに6カ月間、頻回に報告するというようなものがあったと思 うんですが、こういうものを測定するのになぜそれが要になっていたのか、今度聞いてみ ないと分かりません。確認が必要です。  僕は遺伝子診断における頻会の実績報告は、こちらのほうのフェニルケトン尿症の様に なしでいいかなとは思います。他の遺伝子診断にあわせて同じパターンで、大体こういう ものはどうするという指針があれば良いと考えます。 ○事務局  今まで遺伝子診断ものというのは、余りここの頻回の実績報告というのは入っていなか ったような記憶があるので、そこについてはまた次回議論のときにまたそこの御意見をい ただいてという対応をさせていただきたいと思います。 ○猿田座長  ほかに御意見ございませんでしょうか。できるだけ御意見いただいておいて、それをお 伝えいたします。  はい、どうぞ。 ○永井構成員  やはりこの場合もフェニルケトン尿症は尿で検査するわけですね。それに比べてどうい う優越性があるかと。特にこのビオプテリン反応性フェニルアラニン水酸化酵素欠損症、 では、これは何%ぐらいいるのかということですね。それから、この欠損症が特殊なグル ープであるならば治療法が違うのかとか、尿だけで判断したときと遺伝子を組み合わせた ときでどういうふうに治療法が変わるかということをやはりきちっと述べる必要があると 思いますね。 ○樋口構成員  私、専門家ではないんですが、たまたまフェニルケトン尿症をやっておられる専門の先 生と話をすることがあるものですから。つい最近伺った話で、今まではフェニルケトン尿 症、尿の中に出てくるのでそれでチェックするということで、ほとんど食事療法だけでや ってきたんです。ところが食事療法でうまくいかないケースがあって、それで改めてその 酵素欠損のところの酵素にかかわる遺伝子を調べてみると、その中の一群としてこのビオ プテリンを使うことによって、その食事療法と併用していくとうまくいくというケースが 見つかってきたということで、そういう意味では非常にこの意味は大きいんだろうという、 それは最近聞いたものですからちょっとコメントさせていただきました。 ○猿田座長  あと問題はどのぐらいのパーセントにするかということですね。 ○永井構成員  そういう方針が違うグループがあれば、パーセントは余り問題ではないんだと思うんで すね。たとえ少ない症例であっても、これに依存せざるを得ないんであれば、それは積極 的に認めるべきであろうと私は思いますけれども。 ○猿田座長  実際どのくらいの頻度とか、そこもちょっと調べておいていただいて、この次に明らか にしていただけます。 ○事務局  了解いたしました。 ○猿田座長  ほかに何か御意見ございませんでしょうか。今日3つとも担当者がいないということで したけれども、できるだけ意見を伺っておいて、直接それを答えていただくほうが、次回 も時間が節約できますので。  よろしいでしょうか。  いずれも技術としてはきちんとしたものであろうと。それから、明らかに役立つものだ ろうということで、あとは御指摘いただいた点をこの次の委員会のときに御出席いただい て決めると。もしできれば、3番目の場合には加藤構成員が出ているときのほうがいいと いうことですね。よろしくお願いいたします。  よろしいでしょうか。今日は中途半端になってしまいましたけれども、担当構成員の方 がいらっしゃらないということで、この3つはそういう形で処理させていただくというこ とにさせていただきます。  それでは、続きまして4月の受付分でございますかね。 ○事務局  事務局です。4月の受付分ですけれども、先−4の資料を見ていただきまして、9件の 技術が上がってきております。  116番から123番までですけれども、先進医療名だけちょっと読ませていただきま す。  細胞培養による先天性代謝異常診断(胎児または新生児に係るものに限る)、次が甲状 腺髄様癌におけるRET遺伝子診断、続いて子宮頸癌検出のための液状処理細胞診(LB C)、続いて細胞培養による先天性代謝異常診断(ライソゾーム病のうち酵素補充療法の 適用となるものを除く)、続いて腹腔鏡下腎孟・尿管切石術、続いて腹腔鏡下子宮体癌根 治手術、続いて活性化自己Tリンパ球と癌化学療法剤との併用療法、続いて腹腔鏡下膣仙 骨固定術、続いて甲状腺髄様癌におけるRET遺伝子診断ということで、一部かぶってい るものもありますけれども、それらは次回までにある程度整理した上で上げさせていただ きたいと思います。  以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  ここのところちょっとなかったので、大分4月は受付が多かったということで、この9 件ですかね、何か御意見ございますでしょうか。  はい、どうぞ。 ○笹子構成員  薬事が絡むものに関して、高度医療の制度ができている一方で、この先進医療があるわ けですけれども、例えば体腔鏡下、胸腔鏡とか腹腔鏡でやるような手術というのは、本当 に安全性において問題がなく、効果において同等であるというようなことを臨床試験で証 明しようとしているのが、今、大腸でやっていて、胃がんもやり始めている。こういった 臨床試験をきちっとやらないと保険としては承認しないというようなスタンスは、やはり もうつくっていい時期に来ているのではないかと思います。ここに出しておいて、時間が たって症例がふえれば、もうそれで保険になるというのでは、やはりぐあいが悪いのでは ないかなというふうに思うんですね。  それで、たくさんの方々がある程度きちっと臨床試験をやられて、非常に施設間の差が すごく大きいとか、そういう問題が出れば、これは選定医療の一つとして、保険適用では ないけれども、上手な人はやってもいいみたいな選別医療というんですかね。混合診療の 一形態として位置づけるほうが妥当なような気がするんですけれども、これ、保険適用で きそうなものでやっているんだと思うんですけれども、そうであれば、そういう臨床試験 をやっていただくのを前提に考えていくほうがいいのではないかなというふうに思います。 ○猿田座長  ただ、一つ問題なのは、この腹腔鏡下の手術で、やはりかなり例数をやっているところ とそうでないところがありますね。それで一番問題だったのは、高度先進に前立腺の例の 問題が起った時ですが、あのときに内視鏡学会の理事長が委員に入っていたんです。まあ いいでしょうと許可したとたんにああいうことが起こったんですね。そういったことで、 各施設によって随分差があることがわかりました。本当にたくさん実績を積んだところで あればいいけれどもと、そのようなことがあったものですから、今、笹子先生がおっしゃ ったのは大切なことなんですけれども、よく検討させていただいて、もちろんどの臓器の ものかによっても違いますけれども、施設もやはりかなり問題だろうということですね。  承りました御意見は非常に貴重ですから検討させていただきます。  あと何か、この9つに関しまして。  なおガンに対する活性化リンパ移入療法も非常に問題が多い。こういった治療は効果的 にもどんどん変わってきていますでしょう。皆さんの意見聞いても、どんどんやり方が変 わってきているし、こういうことも問題です。少し整理しなければいけないなと思ってい ますけれども。  一応、4月受付で、それぞれ先生方に今評価していただいております。  事務局は何かございますか、いいですか、それだけで。  先生方、ほかに何か御意見ございますでしょうか。一応ここの委員会とすれば、できる だけ多くのものを新しい技術として出してもらえることがいいということで、4月はこれ だけのものが出てきていますから、いいと思います。  どうもありがとうございました。  それでは次の議題ですけれども、その他といたしまして、事務局のほうから先進医療に 関連した健康保険情報の取り扱いについてです。実はある施設から出てきたものです。  よろしくお願いいたします。 ○事務局  事務局です。  先−5の資料をごらんいただいて、先進医療に関連した健康危険情報の取扱についてと いうことで、最初のほうに書いてあるとおり、肺腫瘍に対するラジオ波焼灼療法、肺腫瘍 に対するRFAですけれども、2008年4月9日に健康危険情報ということで、情報が 上げられてきたもので、その四角のところに報告内容が書いてございますけれども、米国 で肺腫瘍に対するラジオ波焼灼療法における死亡例の報告と。施行される胸部悪性腫瘍に 対するラジオ波焼灼療法においても、危険性は低いものの治療に伴って死亡する可能性が あると。  情報源といたしましては、FDA(米国食品医薬品局)からの注意喚起(2007年1 2月11日付)で、文献からの死亡例の報告を受け、肺腫瘍に対するラジオ波焼灼療法を 行う場合は、FDAが承認した臨床試験に登録することを推奨しているということで、F DAからの注意喚起の詳細な内容については別紙参照ということで、参考資料1のほうに おつけしているものがそれでございます。  2008年3月13日に情報を入手し、国内の28施設に対して情報提供が行われたと。 各医療機関においても倫理審査委員会等で審議されることとされたということでございま す。  今後に向けてということで、今後、同様の事例が発生した場合に、先進医療専門家会議 における取扱について一定のルールを設けるなど、検討することとしてはどうかというこ とで、ここでちょっと先生方にフリーな議論をしていただいて、こういうのにどういった 対応がふさわしいのかというのをちょっと御議論いただきたいと思っているところです。 ○猿田座長  どうもありがとうございます。  笹子先生、どうぞ。 ○笹子構成員  これは以前一度いろいろな技術に関する合併症の発生の報告をいただいたときに、やた らこのラジオ波の胸腔内腫瘍の合併症が目立ったんです。それで施行数を母数で計算する と約10%ぐらい合併症が起こっていて、もう一つ多かったのが肛門脱の自動吻合器で、 ところが、こっちは母数が数千だったから二、三%でした。  それで、やはり何かある頻度以上、合併の重篤なものが起こっている手技は、死には至 っていないんですけれども、何かとめるルールとか、何か必要かなとそのときには思った んですけれどもね。 ○猿田座長  実際に問題なのは、こういったことで事故が起こったときの補償をどうするかとか、そ ういった問題がしっかりカバーできていればいいんですけれども、ケース・バイ・ケース なんですね。そういう欠点もあるんですけれども。  ほかございますか。どうぞ。 ○田中(憲)構成員  この肺腫瘍に対するラジオ波ですね。末期がんといいますか、ほかに治療法がない患者 さんに用いられているケースが多いのではないかと思うんですね。ですから、普通の一般 的な診療と同じレベルにみるというのも、ちょっと違うように思いますが。 ○笹子構成員  もうすぐ死ぬ人だから何やってもいいというわけではないので、やはり安全性とQOL の評価とかいろいろな方法で検討し、やはり合併症が多ければ、それなりに、例えばQO Lをちゃんととれとか、何かの比較と、極端なことを言えばパリアティブケアと比較して、 本当にやる意味があるのかというのを見ないと、将来保険というのになるとなかなか難し いですよね。何でも腫瘍があるからとっておけばいい、ラジオ波やっておけばいいという ような格好でものが進んでしまうのは非常にぐあいが悪いというふうに思います。 ○猿田座長  実際にかなりこういった事故が多いことは、現在行われている適応拡大試験で問題とな っています。このことに関して2つありまして、そういった人への対応をどうしたらいい かということ、やはりどういうふうに事故が起こったときの保険的なカバーですね。それ が非常に重要な問題です。やり方が施設によって違うんです。そういった点もあって、今 後どうしていくか、重要な問題かなと思っています。。特にラジオ波焼灼の場合、これど うしたらいいですかね。先生おっしゃった、10%ありますかね。  はい、どうぞ。 ○事務局  先ほど参考資料2の説明のほう、ちょっと省いてしまったんですけれども、現在、先進 医療の実績報告で安全性報告というのを求めておりまして、これはここに書いてあるとお りなんですが、先進医療による副作用とか合併症があった場合、1または2に該当する場 合は地方社会保険事務局及び厚生労働大臣に報告することというふうに定めておりますと。 (1)のほうは死に至る、またはそのおそれがある症例については発症7日以内に届け出ると か、そういったことが、去年、この場で議決いただいたところなんですけれども、それと は別に、今回のような、まだ合併症に至っているかどうか分からない、健康危険情報とい うような情報が分かった場合に、我々はどう対応したらいいのかというようなところをで きれば議論いただきたいなというふうに思っております。 ○笹子構成員  一番きっちりするんであれば、こういう情報、今までもあまり、先進医療におけるイン フォームド・コンセントをどうとりなさいという具体的な指導はしていなかったと思うん ですが、技術もたくさんになってふえてきて、そうすると、施設ごとにインフォームド・ コンセントを文章化したものをつくってもらって届けさせるというのが最も確実です。そ して、こういう情報が入ったらそれを説明文書に改定して入れてもらうというのが絶対落 ちのない中身になると思います。補償とか、そういったことも保険でないものがというこ とで、やっているわけだから、その補償は普通の何かが起こったときの保険医療の合併症 と同じように保険を使ってやれる範囲でやるとか、特別な死亡事故があっても、それに対 する補償はできないとか、そういうものは施設で考えてかかれると思いますけれども、薬 事で治験の場合は、非常に細かくそういうものが指導されていると思うんですけれども、 先進医療もやはりある程度の基準をつくって、文章の形で出してもらうというのが、一番 コントロールしやすいというふうに私は思います。 ○猿田座長  ありがとうございました。  ほかに御意見ございますでしょうか。  この問題は非常にこれから重要ですし、これから高度医療が始まると、ますますそこの ところは大切であり、施設がしっかりしたところであれをやる形になりますけれども、事 故は当然起こりますから。  今の笹子先生から貴重な御意見は、よく検討させていただきます。  あとほかに何かございませんか。  インフォームド・コンセントは非常に重要なんで、そこのところは強調していただいて ですね。 ○事務局  事務局でもそういったことを踏まえて、これからちょっと検討させていただいて、今後 また議論させていただければと思います。 ○笹子構成員  具体的に言えば、例えばラジオ波、今これ先進医療でやっている施設にはこのFDAの 情報は行ったわけですけれども、必ずこれを患者さんにインフォームド・コンセントの中 に盛り込んでいただきたいと指導する。それからあと、今までの1年間で我が国で実に1 0%の何がしの合併症が起こっていますということも入れてくださいと。でも、こういう 技術だけどこういういい面もあるからお勧めするというようなインフォームド・コンセン トをやってくださいみたいな指導ですね、現時点では、最終的にはこれ文章にしてもらう のが一番いいと思います。 ○猿田座長  ありがとうございます。  ほかに御意見ございますか。  どうぞ。 ○医療課企画官  笹子先生の、本当にそのとおりなんですけれども、実は我々の問題意識としては、こう いった、今回たまたま海外でこういうのがあったという情報をある医療機関が入手したと きに、それをうちに報告するシステムがないんですね。ですから、できればこちらに報告 していただいて、それでそういう技術をやっている各施設に国のほうからお知らせして、 それを今笹子先生おっしゃったように、さらに患者さんにちゃんと伝えるという、何かそ ういったものが必要なのかなという。 ○笹子構成員  これ、ラジオ波を売っているメーカーには薬事絡みでそういう報告義務とかは行ってい ないんですか。要するに、これは適応拡大の対象に肺の腫瘍というのがもしなっていると するとあり得るんだけれども。これ、薬事では承認されていると思うんですけれども、肺 の腫瘍でも。ただ、その承認後の重篤な合併症の最初の数千例ぐらいの腫瘍においては報 告する義務とかがあるのではないかと思うんですけれども、そういうのはどうなんですか。 医療機械が絡むものであれば、そういう抑え方はある程度できると思うんですけれども。 ○猿田座長  この委員会としてそういうふうにしろというふうにはできないんですか。 ○医療課企画官  ですから、今回参考資料の2で、以前こういう先進医療についての安全性報告のものを 昨年つくっていただいたんですけれども、これをさらに改善、あるいは少し加えて今回の ケースのような場合にも例えば報告していただくというような、そういうものをつくった らどうかなということで。 ○猿田座長  もしできれば、そういう形で文章をつくっていただいて、1回、次の委員会で決定させ ていただいたらどうでしょうか。 ○医療課企画官  できればそうさせていただきたいと思いますので。 ○猿田座長  ぜひそうしていただいたほうがいいですけれども。  どうぞ。 ○笹子構成員  厚生省の中に主立った各国のこういう医療安全情報を情報収集している部局というのは ないんですか。やっている医者か企業から情報が来るまで厚生省は分からないというのも、 何か困ったような気もするんですが。 ○医療課企画官  そういった危険情報、安全情報については、それぞれの担当部署から上がってきて、最 終的には厚生科学課のほうに集約することにはなっているんですけれども、ですから、そ れぞれの部署の上がり方がまた違うので、済みません、ちょっと縦割りなんで申しわけな いんですけれども。だから、当然、向こうからこちらにも知らせてもらえるんですけれど も、やはりうちとしてもダイレクトに実際この先進医療をやっている医療機関から来る仕 組みをつくっておかないと遅れてしまうということがあるのではないかと。 ○猿田座長  この委員会で、今言ったようなことをもう一回きっちり議論して、早くそういった体制 で必ず連絡してもらうという形にすることが大切ではないでしょうか。そうでないとこの 委員会も怖いですものね。  そういう形でよろしいですか。この次までにその文章もちゃんとかけさせていただくと いうことでございます。  一応、今日議論していただくことは以上だと思うんですけれども。今日は担当の構成員 の方がお見えにならなかったので、どれも変な形でのお認めということになりましたけれ ども、もう一回担当者がいらっしゃるところで最終決定させていただくということでござ います。  それからあと、4月の受付分は少したくさんありまして、先生方に届いていると思いま す。どうぞよろしくお願いします。  それから、最後の安全性の問題に関しては、この委員会で書類をつくって次回検討させ ていただくということでよろしいでしょうか。  それでは、ちょっと時間早いですけれども、これで終わらせていただきます。  どうも御協力ありがとうございました。 (了) 【照会先】  厚生労働省保険局医療課医療係  代表 03−5253−1111(内線3276)