08/05/08 平成20年5月8日食品衛生分科会新開発食品調査部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会(平成20年5月8日開催) 議事録 日時 平成20年5月8日(金)14:00〜 場所 厚生労働省共用第8会議室 審議事項 (1)食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼したアガリクス含有食品の取扱いにつ いて (2)その他 出席委員 石綿 肇、井藤 英喜、犬伏 由利子、大野 泰雄、清水 誠、◎田中 平三、手島 玲子、 中村 丁次、米谷 民雄、山添 康、山田 和彦、(敬称略)  注)◎部会長 事務局  牛尾大臣官房参事官、國枝基準審査課長、玉川新開発食品保健対策室長、松井主査 ○松井主査 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会新開発食品調査部会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、 大変御多忙の中御出席いただき、誠にありがとうございます。 議事に入る前に、本日の委員の出欠について報告させていただきます。委員の出席状況 でございますが、本日は寺本委員、渡邊委員が所用により御欠席されておりますけれど も、過半数に達しておりますので、本日の部会が成立いたすことを御報告させていただ きます。 続きまして、配付資料について確認させていただきたいと思います。お手元の封筒の中 に入ってございます。 まず議事次第が1枚紙でございます。 本部会の座席表が1枚紙でございます。 資料1として、議事次第と名前が異なっており誠に申し訳ございませんが「アガリクス を含む製品の食品健康影響評価について」というものが1枚。 資料2−1として、平成18年2月13日に食品安全委員会の方にいたしました食品健康 影響評価についてです。 資料2−2として、その際に添付いたしました「アガリクス(カワリハラタケ)を含む 粉末剤型の加工食品に係るリスクプロファイル」です。 資料3−1として、食品安全委員会よりの追加試験の実施及び資料の提出について(依 頼)」です。 資料3−2として、厚生労働省より食品安全委員会への追加試験の実施及び資料の提出 について(回答)です。 資料3−3として、本年2月に提出させていただきました、厚生労働省から食品安全委 員会への食品健康影響評価に係る追加試験の実施及び資料の提出について(回答)です。 資料4として、本年3月にいただきました食品安全委員会より厚生労働省に対しての指 摘事項について(依頼)です。 資料5として「議論のポイント」とさせていただいております。 参考資料1−1として、食品衛生法と食品安全基本法の抜粋です。 参考資料1−2として、食品安全委員会に評価を依頼いたしました際のものであります、 新開発食品等の販売禁止について、こちらの方の概略図と、そのガイドラインについて、 条文が当時の食品衛生法の条文になっておりますので、4条2項となっておりますが、 現在の条文ですと7条の2ということになっております。 参考資料2として、平成18年2月現在のものでございますが、厚生労働省のホームペ ージの方に掲載させていただいております、アガリクスを含む製品に関するQ&A。 以上が配付資料とさせていただいております。配付資料について、よろしいでしょうか。 それでは、以降の進行につきましては、田中部会長にお願いできればと思います。どう ぞよろしくお願いいたします。 ○田中部会長 それでは、議事次第の「1.食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼 したアガリクス含有食品の取扱いについて」に入ります。当部会におきまして、アガリ クス含有食品について議論をするのは初めてとなりますので、最初に事務局からこれま での経緯等について説明をお願いいたします。 ○玉川室長 それでは、新開発食品保健対策室長の玉川でございますが、私の方から資 料1に基づきまして、アガリクスを含む製品の食品健康影響評価の依頼につきまして、 概略を述べさせていただきまして、その後、各種の資料に基づきまして補足の説明を事 務局からさせていただきます。  資料1でございますけれども、まず「1.アガリクスとは」ということで、アガリク ス属のキノコの一種(和名:カワリハラタケ、学名:Agaricus blazei Murrill)です、 アガリクス属に属しますほかのキノコとしてはマッシュルーム等がございます。 アガリクスにつきましては、免疫活性の作用などがあるとして、これを原料にした健康 食品が広く販売されている状況にございます。 これまでの経緯でございますけれども、アガリクス属のキノコの中にはアガリチンとい う成分が含有されておりまして、以前よりその毒性が懸念されていたということで、以 前の取組みというところでは、12年度におきまして、国立医薬品食品衛生研究所におい て文献検索を実施、14年度にアガリクスを含む製品のアガリチン含有量の実態調査を行 い、翌15年度にキノコ中のアガリチン及びその誘導体の分析法の開発に関する研究を 実施いたしました。 こうした研究を踏まえて、厚生労働省(国立医薬品食品衛生研究所)において調査研究 を進めたところ、平成17年度に実施いたしました遺伝毒性試験及び中期多臓器発がん 性試験において、アガリクス属を含む3製品のうち、1製品に発がん促進作用が認めら れたというものでございます。 なお、補足をいたしますと、従来12年度から行っていたこれらの毒性等に関する調査 というのは、別にアガリクス属に限られるものではありませんで、さまざまな物質につ いて行われておりました。その中で、アガリチンについても調べていたということでご ざいます。 17年度に行われた試験では、当時広く流通していた製品の中で、代表的な異なる製法を 持ったもの3種を選択いたしまして、それについて試験を行ったところ、1製品にプロ モーションの作用が認められたものでございます。 この試験結果を受けまして、平成18年2月13日付で食品安全委員会へ食品健康影響評 価を依頼したものでございます。試験の結果の詳細については、後ほど説明をさせてい ただきます。 この評価依頼と同時に、製品名としてキリン細胞壁破砕アガリクス顆粒、審議の中では 以降B製品と申したいと思いますが、このB製品については、販売者によって自主回収 が行われておりまして、現在、当該製品は流通しておりません。 この評価依頼を受けまして、食品安全委員会におきましては、評価のためのワーキング グループを設置しております。実験系において陽性反応が確認された突然変異及び染色 体異常が動物実験において、どういうふうに発現するか否かを確認するため、B製品に ついて、さらなる試験を追加的に実施すべきという指摘が18年5月9日に行われてお ります。 こうした指摘を踏まえまして、国立医薬品食品衛生研究所において試験を実施して、本 年2月末にイニシエーション作用を支持する結果はないという追加試験がとりまとめら れ、これを食品安全委員会の方に報告し、ワーキンググループで検討をいただきました。 その結果、食品安全委員会の方から、さらなる指摘事項が提示されたものでございます。 このアガリクスを含む製品につきましては、このように評価依頼を行ってから、もう既 に2年以上が経過いたしております。この間の経緯について、専ら今、評価依頼という ことで食品安全委員会の方にステージはあるわけでございますけれども、管理側の機関 といたしましても、薬事・食品衛生審議会の方に現状について御報告するとともに、指 摘事項で食品安全委員会から求められている事項の中に、なかなか実際その対応を考え ると悩ましいところがございます。したがいまして後ほど議論のポイントというところ で御説明しようと思いますが、先生方の方から、この問題について今後どういうふうに 対応していくかについて御意見を伺いたく、本日お集まりいただきました。 それでは、補足の説明をそれぞれの試験等についてさせていただきます。 ○松井主査 食品安全委員会に提出した資料について、順次説明させていただければと 思います。資料に沿っての説明になると思います。  まず、食品安全委員会の方で食品健康影響評価を最初に行いましたのが、資料2−1 にあるものでございまして、今ほど説明がございましたが、厚生労働省の方でアガリク スを含む製品について検査を実施していた。この検査というものが、製品を用いた遺伝 毒性試験及び製品を用いた発がんスクリーニング試験という形で行っておりまして、製 品を用いた遺伝毒性試験では、微生物を用いた復帰突然変異試験及び染色体異常試験及 び小核試験、以上の3つを行っております。  製品を用いた発がんスクリーニング試験といたしまして、中期多臓器発がん性試験を 実施しております。この3つについて検査を実施しましたところ、A、B、C製品がご ざいまして、B製品について復帰突然変異試験及び染色体異常試験及び中期多臓器発が ん性試験、こちらの3つにつきまして陽性反応が出たということでございまして、資料 2−1にありますとおり、B製品について食品として食品衛生法第7条2項の規定に基 づき販売を禁止することはいかがかということが1つと、B製品で発がんプロモーショ ン作用が見られたということでございましたので、残りのA、Cの2製品については、 安全委員会に対してアガリクスを含む製品の安全性がいかがかという形での評価を依頼 しております。  また、厚生労働省の方で検査を実施させていただいておるわけですが、製品の検査を 実施している中で、主要な成分と考えられておりましたアガリチンについて実施がされ ていないということでございましたので、アガリチン及びB製品を用いた遺伝毒性試験 及び微生物を用いた復帰突然変異試験について、再度実施の上、資料の提出をさせてい ただいております。  厚生労働省の方で、食品安全委員会に評価を依頼いたしましたところ、資料3−1に なりますけれども、食品安全委員会より厚生労働省の提出した試験においては、資料が 不足しているということで、追加試験の実施及び資料の提出を求められております。  資料3−1の依頼に基づきまして、厚生労働省の方では資料3−2の方になりますけ れども、追加試験の実施及び資料の提出を行っております。食品安全委員会から求めら れたものとしましては、B製品を用いた発がん試験及びB製品を用いた遺伝毒性試験に ついて実施するべしという形で御依頼をいただいておりまして、こちらについて資料3 −2の後ろの方になるのですが、こちらについて飼料中のアガリチンの安定性の試験等 も含めて、食品安全委員会の方に回答をさせていただいております。 ただ、B製品を用いた遺伝毒性については、出せる部分については18年12月に出させ ていただいているのですが、更に詳しく調べるということもございまして、資料3−3、 本年2月28日までかけまして遺伝毒性試験を順次行っておりまして、遺伝毒性試験の 内容といたしましては、トランスジェニックラットを用いた標的臓器における突然変異 試験及びポストラベリング法によるDNA付加体試験を実施し、食品安全委員会の方に 提出させていただいております。 資料4になりますけれども、厚生労働省から提出させていただきました一連の試験及び 追加試験等につきまして、本年3月に指摘事項という形で検査の追加試験をいただいて おります。こちらの方は、資料4の2枚目になるのですが、まずB製品について二段階 発がん試験の実施及び原因物質の究明を引き続き実施されたいという形でいただいてお ります。 一方、A、C製品につきましては、まずB製品と切り分けて、B製品の試験結果を確認 した上で更に確認する形での依頼をいただいております。 検査の今までの経緯といたしましては、以上になります。 ○田中部会長 ありがとうございました。ただいま事務局から御説明いただいた経緯に ついて、再確認するという意味を込めて、ここで確認させていただきたいと思います。  これまでの試験の中で陽性となったものは、B製品に対して行われた復帰突然変異試 験、染色体異常試験、中期多臓器発がん性試験のみであるという理解でよろしいですか。 ○松井主査 そのとおりです。これらの試験につきましては、発がん促進作用を確認す るための試験でございまして、それ以外で実施したいずれの試験においても陰性という 形で試験結果が出ております。 ○田中部会長 それでは、発がん促進作用についても、簡単に御説明をお願いいたしま す。 ○松井主査 こちらの方につきましては、参考資料2に付けさせていただいております、 アガリクスを含む製品に関するQ&Aの中にも記載させていただいているのですが、再 度説明させていただきます。  まず、発がん促進作用でございますが、こちらはそれ自身が発がんを引き起こすもの ではなく、他の発がん物質による発がん作用を促進する作用をいいます。この発がん促 進作用につきましては、一般の食品にも一部見られるものでございまして、例えば塩分 の過剰摂取の場合ですとか、山菜のあく、そういったものの中でも指摘されているもの でございます。  したがいまして、特定の食品において発がん促進作用が認められたことをもって、直 ちに摂取が認められないほど危険であるものではないということが1つ。また、今回の 試験におきましては、あくまでも動物実験において見られたものであるということで、 直ちに人に試験結果を挿入できるものではないという点がございますので、報告させて いただきます。 ○田中部会長 ありがとうございました。それでは、これまでの事務局からの説明につ いて、御質問がございますか。御意見については、後ほどお伺いしたいと思いますので、 質問がありましたらお願いいたします。よろしいですか。  それでは、今回、食品安全委員会より指摘事項として再追加試験の実施が求められて いるわけですが、指摘事項について検討が必要と考えられる課題について、あらかじめ 事務局で議論のポイントをまとめていただいておりますので、説明をお願いいたします。 ○玉川室長 それでは、資料5に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。 「I.B製品について」と「II.A、C製品について」ということで、大きく2つに分 けさせていただいております。これは、食品健康影響評価の依頼もB製品とA、C製品 では扱いが異なりまして、Bの方では、先ほど説明がありましたように、プロモーショ ン作用が認められる試験があったということで、食品衛生法の7条2項の適用が必要か どうかということで、食品健康影響評価を依頼しているものでございます。そのため、 食品安全委員会からいろいろと追加試験の御指摘も受けまして、これを実施してきたと ころでございますけれども、今回また指摘された試験について、実施すべきか、実施で きるか、そうしたところについて、実際の評価は安全委員会で行っていただくにしても、 指摘された内容をどこまで実現できるかというフィージビリティーのところについてお 伺いをしたいと思います。  一応、形式上IとIIに分けているところでございますけれども、裏腹のことがござい ますので続けていきますと、そもそも再追加試験を実施する場合に、その主体をどうい うふうに考えるのか。今までは厚生労働省の方で、国立医薬品食品衛生研究所の方に、 公費という形で各種の追加試験を行っていたところであります。公費によって当該試験 をなお追加するのが一番素直な考え方ではあろうと思いますけれども、そうしたことが 一製品の安全性の確認のために、どこまで納得が得られるものか。  逆に販売者の方に、そうした試験の実施主体を委ねる場合、検査を強要することがで きるのか。実はもう販売者の方におきましては、当該製品は回収されておりまして、私 どもがお聞きしたところ、当該製品について販売する意図はないとお聞きしております。 そうした際に、販売するつもりがないものについて、そうした検査は強要できるもので はないのではないか、整理としてはそうした問題点もあろうかと思います。  もう少し実際的な試験を実施するに当たっての問題点でございます。けれども、先ほ ど指摘事項ということで、資料4の1の(1)の(1)のところで、飼料中に配合されてい るアガリチンの安定性に配慮するとともに、含有量の確認を行うことといった指摘を受 けているところでございますけれども、こうしたことを実現しようにも、実はB製品に ついては18年2月の段階で出回っていたものについては自主回収されており、製造と いうものも以降行われておりません。 そうした中で、検体というのは当該製品にもともと付していた賞味期限からいたします と、それが超過したものしか残っていないという状況でございます。そうしたものしか 入手できないわけでありますけれども、試験を実施する上で、そうしたことが評価とか に耐え得るようなものが実施できるのかという問題がございます。 今の検体の話ですけれども、どういうものに対して行うかという実際的な問題がござい ます。先ほどありました資料4の1の(1)の(3)で、先ほどのアガリチンの安定性の4 行ぐらい下にございますけれども、雌特有の臓器、特に乳腺についても標的臓器として 実施することというふうに、乳腺については特に特記されているわけでございますけれ ども、それ以外の臓器については指摘事項の中では明示されておりません。したがいま して、仮に何らかの形で検体を使って実施するとしても、どういうものに対してするの かというプロトコルを定めなければならないわけです。仮に実施するとすればどういう ふうなものを対象として行うのか。こうしたことについても問題となろうかと思います。 実施すべきでない、あるいは実施できない、そうしたところの判断の場合でございます けれども、先ほどのお話の逆のようなことでありますけれども、食品健康影響評価に必 要なデータ得るという観点から、いろんな試験を実施すべきという御指摘を受けている 中で、それをしないというのは、具体的にはどういうこととなるのか。 そもそもさかのぼってですけれども、食品衛生法の7条の第2項を参考資料の方にもお 付けしましたけれども、どういうときに発動できるものであるかというと、図のところ にございますとおり、濃縮等をした成分を錠剤化、カプセル化する等によって、通常の 食品の一般的な摂取方法とは著しく異なる方法により摂取される食品で、人の健康を損 なうおそれがない旨の確証がないものについて、食品衛生上の危害発生を防止するため 必要があるということであれば、食品安全委員会、まさにここの部会もそうですけれど も、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、食品として販売することを禁止できるもの でございます。 したがいまして、そういうところからすると、何のために評価しているかというと、ま さに当該製品について販売してよろしいものかどうかを聴くという観点でありますので、 限られた知見であっても、速やかに評価結果がとりまとめられることが管理という観点 から見た場合には重要ではないかということもございます。これは、若干視点が異なる ものでありますけれども、そうしたことも踏まえた上で、サイエンスとしてどこまでと いう話ではなくて、具体的な行政管理と結び付いた上での評価だということを考えてい かなければならないのではないかと思っております。 今、大体B製品について議論が必要かと思われるところをまとめたわけでございますけ れども、A、C製品につきましては、B製品の評価結果に応じてA、Cについての評価 も考えていこうということでございますので、当面差し当たってここで問題となるのは B製品のこうした問題についてではないかと思います。 事務局の方でまとめた資料については以上でございます。 ○田中部会長 ありがとうございました。この再追加試験、もう一度追加試験という意 味ですが、これを実施するに当たり考慮が必要となるような事項は何かありますでしょ うか。これまで関係の試験を実施されてきました、国立医薬品食品衛生研究所に所属さ れておられます大野委員が今日出席されておられますので、大野委員から試験系につい ての問題点等を含めまして、御意見をいただきたいと思います。 ○大野委員 大野でございます。二段階発がん性試験を追加して実施しろというコメン トでございますけれども、これをやる意義がどうも私には理解できません。と申します のは、ラットを用いた中期多臓器発がん性試験の結果認められた発がん促進作用につい て再度検討する観点及び発がん促進作用における閾値の検討の観点からという理由が書 いてございますけれども、もし今回追加してやった実験でネガティブと出た場合に、前 の実験の結果でポジティブというのを否定できるのかということになると、必ずしも否 定できないと思われます。  そういうことと、二段階発がん性試験をやってポジティブと出たということであって も、閾値が求められるのかということになると、これも求められないというのは一般的 だと思っています。というのは、この二段階発がん性試験で求められるのは、この用量 では発がん性プロモーションがない、この用量では発がん性プロモーションがあったと いうことはわかりますけれども、この場合の閾値の意味ですけれども、普通、閾値とい うと一生涯食べても大丈夫だとか、そういう閾値だと思われます。そういうことに関す るデータは得られるかということになると、それは得られないだろうと。単にこの試験 でポジティブだったか、ネガティブだったかということだけだと思われます。あくまで 前やった多臓器発がん性実験でも、二段階発がん性試験でも、そういう発がん性プロモ ーション作用があるかないか、それをスクリーニング的に確認するための試験だと一般 的には考えられているのではないかと思います。  そういうことで、これをやらなければいけない理由がどうもよくわからないというこ とです。逆に言えば、前のものでポジティブと出たということだから発がん性実験をや りなさいというのであれば理解できるのですが、ただ発がん性実験をやるとなると、長 期の時間がかかるという問題はありますけれども、得られたデータの価値という面から いったら、そちらの方がよろしいのではないかと思います。  ただ、今、事務局の方からいろいろ説明がありましたけれども、被験物質の問題があ りまして、もう既に売られてないものについて、そんなに時間と費用をかけてやる意味 があるのかということはまた皆さんで議論していただかなければいけないことではない かと思います。  そういう問題と、被験物質そのものが、その中に含まれている一番懸念されているよ うなものはアガリチンなわけですけれども、ただ発がんプロモーション作用なり遺伝毒 性はアガリチンで説明できなかったという結果が今まで出ていますけれども、少なくと もアガリチンに関しては不安定で、ロットによってかなり含量が違う。  最初に多臓器発がん性試験をやったときには1,700 ppmぐらいの濃度があったわけで すね。回収した製品を後で調べてみたら1,200 ppmだったという報告を受けています。 毒性試験をやるために調整した飼料だと590〜1,300 ppmということで、かなりロット によって差があります。ロットによって差があると考えるのか。もともとアガリチンと いうのは不安定なものなので、保存している間に含量が低下してしまったということも 考えられまして、例えば今、期限切れのキリンでつくったアガリクス製品で発がん性実 験をやったとして、実際に当時売られていた製品についての安全性を評価することに関 して、どれだけ役に立つのかという疑問もございます。  あと、二段階発がん性実験を食品安全委員会の言うとおりやるといったときに、標的 臓器における二段階発がん性実験をやれということを書いてありますけれども、標的臓 器に関してポジティブとして出たのは前胃と甲状腺と腎臓だったので、少なくともその 3つをやらないといけない。前胃は人にないからいいだろうという言い方もできますけ れども、あと雌に特有な臓器ということで乳腺についてやろうと。3臓器か4臓器につ いて、それぞれ別個に試験をやらないとだめなわけです。  そういうことと、(1)の(2)のところで、閾値を十分確認できるような用量設定をやれ ということですけれども、多臓器発がん性試験の低用量と中用量の間を、多分細かく用 量をセットして、それで実験をやったらどうかという御意見ではないかと思うのですが、 そこを細かく取って、そこにちょうど来るかどうかという保証もないので、用量設定の 上なり下も、もう少し細かく取らないといけなくなるだろうということで、非常に大変 な実験になるのではないか。大変というか、時間とお金がかかる実験になるのではない かと思います。  実際にそういう試験をやる意義の問題とテクニカルな問題が、両方あるのではないか と思います。 ○田中部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの大野委員からの御指摘 も含めて、各委員から意見をお願いしたいと思います。どなたかございませんか。なか なか難しい感じがするわけでございますけれども、一応資料5の議論のポイントを見て いただきまして、追加試験を再度実施すべきかどうかというところでありますけれども、 どうぞ。 ○山添委員 今、大野先生からお話がありましたように、なかなか悩ましい問題なので すが、当初この物質、アガリクスのアガリチンというのは、in vitroの試験で遺伝毒性、 DNAの損傷性があるわけです。そういう観点から、アガリクスそのものについても、 遺伝毒性を疑ったということが背景にあって、どちらかというと、それをある程度念頭 に置いた試験が行われた。ところが、トランスジェニックのラットをやってもin vivo における、生態の中における遺伝毒性が検出できないということ、ただし、多臓器発が ん試験、あるいは既に文献の中で肝障害とかいろんな報告があるわけですね。そういう 事実からすると生態にとって何らかの有害作用があることが懸念はされているという事 実は幾つか積み上がっているわけです。  これらのデータから見て、遺伝毒性では説明できないということになって、実際それ 以外の作用ということで発がん性プロモーション作用をどうしても見ないと、これを白 と言うわけにはいかないというふうになってきた背景があるのだと思います。  そういうことで、サイエンスから見ればこの試験をきちっとして、原因を特定すると いう意味で、どこに原因があるのかというのを特定することでは、それなりに意味があ ると思うのですが、大野先生がおっしゃったように、では標的臓器が確定しているのか というと、なかなか確定していないところもあるということで、実際に試験をするとい う点においては非常に難しい問題があるのではないかと思います。  そういう点では、サイエンスの面ではきちっと調べるべきだと思いますけれども、先 ほどのお話からありますように、実際に評価すべき飼料がないときにはなかなかやるこ とが難しいので、私としてはこれ以上公的な機関がこのものを使ってこの試験をする意 義付けは、ちょっと疑問があると思っています。 ○田中部会長 ありがとうございました。  どなたか。どうぞ。 ○大野委員 (2)の方については申し上げなかったのですが、山添先生がおっしゃっ たように、発がんプロモーションが起きた原因物質が何であるかというのはわからない のです。アガリチンが入っているので、製品をやったときの遺伝毒性はアガリチンが原 因ではないかという推定はあるのですが、実際にアガリチンは代謝活性化を受けないと 遺伝毒性は出さないはずなのに、遺伝毒性試験の結果だと、アガリチンそのものの場合 はそのとおりいくのですが、製品の場合には代謝活性化系を入れてしまうとネガティブ なのです。非常にわからないところがあるのです。  非常に複雑で、何が原因かわからないのですが、とりあえずはアガリチンに付随して 動くようなものが原因ではないか、非常にあいまいな表現なのですが、そんなことを考 えています。ただ、その原因を明らかにするという研究は必要ではないかということで、 それが明らかになればほかの製品について、更に検討する必要があるかどうか、そうい うことについての議論もできるのではないかと思います。  そういうことで、B製品についての(2)の原因物質の究明に引き続き努めることと いうのは、非常に重要なことではないかと思います。 ○田中部会長 ほかにどなたかございませんか。井藤先生、どうぞ。 ○井藤委員 私見を述べさせていただきますと、食品は安全であるべきである。安全性 に関しての警鐘は迅速に行われるべきであると考えております。  もう一つ、有害事象に関して、科学的な突き詰めを行うということで考えていきます と、今の論議は動物実験のレベル。動物実験の結果が出たとしても、では人にはどの程 度の意味を持っているのか。あるいは人に対してどの程度の濃度が同様の危険性を持つ のかということも、やはり科学的に検証するのだということになると、ほぼ不可能に近 いということが現実なのだろうと思います。  ですから、そういう意味では科学的に今の段階で、もっと突き詰めてから警鐘を行う という選択は極めて厳しいものになる。次のことを考えるとですね。そういうことで、 今の段階で更に実験に実験を積み重ねるということで時間を取ることに関しては、本来 出すべき警鐘を出すことを遅らせることにつながるだろうと思います。  ただ問題は、今回のものが1つの製品ということに関して、何らかの警鐘を行うこと に限定するのか。それともアガリクス全体の危険性に対して、何らかの科学的な裏付け を持って警鐘を鳴らそうとするのかということで、また論議の仕方が変わってくること になります。  しかしながら、安全委員会に諮問された内容が1つの製品ということではなくて、代 表としての製品ということですので、後世のアガリクス全体への何らかの警鐘を行おう ということになろうかと思いますが、その場合はアガリチンの濃度がどの程度の製品な らいいかということに関しての、別の側面の検討が必要になるということではないでし ょうか。 ○田中部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。非常に難しい問題 ですので、大野先生、私からお聞きしたいのですが、資料1の「2.これまでの経緯」 というのがありますね。(1)の※1のところなのですが、平成12年度に文献検索を実 施したけれども、アガリクスに関する毒性報告はないと書いてございますね。 その後、8年でしょうか、かなりの年月が経っているのですが、その後はこういう毒性 報告はどうなのですか。文献的にはあるのでしょうか。ないのでしょうか。あるいはそ ういう報告は結構少ないと思うのです。と申しますのは、これは日本特有と言っていい ほど、他の欧米諸国では余りないようですので、その辺りも踏まえていかがでしょうか。 ○大野委員 細かい論文は、2006年、2007年でいろいろ出ています。ただ、一番重要 だと思うのは、A製品に関して、これが10年度にあったかどうかはっきりしないで申 し訳ないのですが、発がん性実験をやっていまして、FDAに提出しているのです。そ れは健康食品とか、そういったことの利用ということで提出したと思うのですが、その ときにはネガティブという結果が出ています。  今回、食品安全委員会の方では特にそのデータについてコメントはいただいてないよ うですけれども、それについてどう考えるのかということを食品安全委員会に聞くとい うのも非常に重要なことではないかと思います。B製品については、もう販売されてい ませんから、それ以外のものに対して、これからどう行政的なアクションを起こしたら いいかということを考えるに当たってですね。  A製品については、多臓器発がん性実験についても、一応ネガティブだったという結 果であります。ただ、食品安全委員会の方ではネガティブだったけれども、若干増加傾 向にあるということと、それから多臓器発がん性実験の再現性について問題にしている のです。余り再現性のよい試験ではないから、だから繰り返してやれという御意見なの です。  ただ、長期の発がん性実験をやっていて、それでネガティブだったものについてプロ モーション作用をやれというのは、今まで聞いたことがないのです。その発がん性試験 の結果が、これでは不十分だということがあれば、ほかのプロモーション作用について 検討するなり、ほかの試験をするなりする必要があると思います。 ○田中部会長 ありがとうございました。ほかにどなたかございませんか。やはり重要 な問題ですので、お一人ずつ意見をちょうだいしたいと思います。清水先生からお願い できますか。 ○清水委員 私もサイエンスの立場から言いますと、やはり何が原因でこういうことが 起こっているかというのは、是非知りたい。それは、今後いろいろな形のアガリクス製 品が出てくる場合には、そういった情報が非常に重要になるだろうと思います。  ただ現状では、有害物質がそもそも何かがよくわからない。これがアガリチンだとい うことであれば、対処のしようがあるだろうと思うのですが、それがわからない状態で 何を見ろというのか、そのマーカーが明確でない場合に、非常に技術的に難しいだろう ということ。  それから、もしロットによってかなり違うということになると、極端な言い方をすれ ば、A、C製品だって、あるときのロットでは同じようなことが出るかもしれないとい うことがいえるわけで、そうなるとこれはサイエンスの手を離れてしまうような問題に なってしまうと思うのです。  そういうことを考えると、現時点では、特に実際の問題が出たB製品が既に市場に出 てくることがないということを考え、また追試験にかかる多くの手間とお金と時間とい うことを考えますと、現時点でこれをただ追試するというのは、余り合理的な判断では ないと思います。 ○田中部会長 山田先生、お願いします。 ○山田委員 この資料や先生方のお話を伺っていまして、私としてはもう既に販売され てないものについて、白か黒かというところまで押し詰めてやるのは、実際、プラクテ ィカルには難しいと判断します。  しかしながら、まだこれもアガリクスの中に含まれる何か、これはアガリチン、ある いはほかのものが有害作用を示しているという可能性も否定できない状況からすれば、 研究としてはこのアガリクスに関する成分の幾つかの基礎的な発がん、あるいは遺伝的 なものに対するデータ集めという形の試験は続けるべきだろうと思います。それは、実 際にアガリクスの製品が流通しているという現状からして、将来のためにも必要だろう と思います。  しかしながら、この製品について、今後発がん作用、あるいは有害作用がポジティブ になるまで何かの試験をやる方向で、漠然と進めるのは無駄が多いように思います。 ○田中部会長 中村先生、お願いします。 ○中村委員 私も山田先生とほぼ同様の意見ですが、これ以上追加試験をしても経費は 相当かかるだろうと思うので、こちらが期待するほどのデータは出てこないと予測しま す。  管理上の問題としては、もう既に製品は市販されてないわけでありますから、追加試 験の必要性はないのではないかと考えております。 ○田中部会長 石綿先生、お願いします。 ○石綿委員 私も今までのお話で(1)を再度試験するというのは、現物もないという ことで、非常に困難だという感じがします。  それに対して(2)の促進作用の原因物質の究明は非常に重要なことではないかと思 います。そして、原因物質の究明というのは、資料2−2の7ページの毒性関連情報の (1)のところで、ある程度幾つかの生理活性物質も目途がついている。そういう方向から 逆にさかのぼっていって、それなりの結果が出た場合に問題になっています資料4のB 製品についての何らかの情報が得られるようならば、その時点でアガリクスの作用を調 べることも、よりクリアーな結果を得る方向で進めるのではないかと感じました。 ○田中部会長 犬伏委員、お願いいたします。 ○犬伏委員 公費を使ってここがやるのが、製品の安全性とか、そこを認可するとか、 しないとか、そういうことになりますと、私のような貧乏人は公費を使って、もう既に 売られていないものを検査する必要はないと思います。  ただ、このアガリクスという部分が、とにかく世の中にいろいろと出ていたことは事 実です。ものすごい勢いで、本当に信じているか、あるいはワラにもすがるつもりかわ かりませんが、これはがんに効くとか、いろんな意味でかなりの方たちがアガリクスと いうものにすがっていた、すがっている人も現実にいらっしゃると思います。  そういう方々に対して、この製品だからいろんなものがある、ロットによって違うと いうお話がありましたけれども、この製品にしてしまったときは効果があるないという のがあるのかもしれませんけれども、アガリクスそのものがどうであるのかというのを、 基礎研究として研究してもらえませんかという思いはあるのです。新開発食品、新開発 の食品というものが出てきて、それがサプリメントでありましたり、いろんなものにな っていくときに、現実に出来上がったものをメーカーさんにいろいろものを言って、こ れは安全か、ここはどうか、今までいろいろやってきていますね。それ式でやっていく というのは、ある意味公費を使わないでものがわかりますから、すばらしくいいことだ とは思うのですけれども、そのときにこれだけいろんなことを言われていることは、反 面何かあるのかもしれない。逆に効果はきちんとした実証するところが今はないのだけ れども、もしかしたら何かあるのかもしれないというものも、これだけ言われているこ とがあるのかもしれない。そこら辺のところを大野先生のところ辺りで、基礎研究的に きちんと実証していただけたなら、国民は安心だと思います。 ○田中部会長 手島委員、お願いします。 ○手島委員 私ももう既に市場で売られていないB製品について、多臓器発がん試験を 行うということは、実際にサンプル的に供給することもできない状況であることも踏ま えて必要ではないのではないかと思います。  ただ、アガリクス全体の安全性ということで、B製品で発がんのプロモーション作用 が出たケースがあるということでございますので、そのプロモーション作用を起こした 理由、原因物質についての究明は続けていくべきであるというふうに考えます。そこに はいろんな試験系、例えばin vitroの試験系とかも含めた形で、研究的にはそれを進め ていくべきであると考えます。  ただ、アガリクスで肝障害の疑いが出た事例があるということが報告されております ので、そういうことも含めてアガリクスの副作用的なことがあるのかどうか、そういっ たことの調査は進めていく必要があると考えます。 ○田中部会長 米谷先生、お願いします。 ○米谷委員 リスク管理機関として、速やかに対応する必要があるということだと思い ます。現在のところ、市販されてないといいますか、販売を自粛されているような製品 について、これ以上公費でもっていろいろやっても、対象がないということで、個別の 食品に対してはできないでしょうし、それよりもアガリクスの使用について何らかの警 鐘といいますか、Q&Aとかがいろいろ出ていますけれども、そういうものを出す方が 適切ではないかと思います。  ただ一方では、食品安全部としてアガリクスの一般的な研究は公費を継ぎ込んでやっ た方がいいのではないかと思います。そのときに、どういうものを対象にするかという ことで、アガリチンを対象としてやるのか、あるいはもっと一般的なほかのものも含め てやるのか、今後検討していただければと思います。  それが現在の製品についての私の考えでございますが、少し付け加えさせていただき たいのが、先ほど座長の方からお尋ねがありましたように、昔はアガリクスについて有 害な情報がなかったかというお話でしたけれども、実は昔はアガリチンではなくて、ア ガリクス属の中には有害金属のカドミウムが入っているということが言われていまして、 実は厚生労働科学研究で私の方で分析させていただきまして、2製品ほど高い製品があ りましたので、本省の方へ連絡しまして、それは行政的に指導されまして、1つは販売 中止、1つは社内規格を設けて低レベルに抑えていくということがありました。  実際に皆さんにオープンにする形では、国立健康・栄養研究所のホームページがあり ますので、あそこに載せていただいて、カドミウムが含まれているので注意しなさいと いうことは載せさせていただいています。そういうことが昔はございました。  以上でございます。 ○田中部会長 ありがとうございました。念のためですが、自然にカドミウムの含有量 が多いということですね。製造過程で汚染されたとか、そういう意味ではないですね。 ○米谷委員 特に路地ものといいますか、自然に入ってくるものということで、アガリ クス属の一部のキノコについては多いということが昔から言われていますし、実際、は かってみると多いものがありましたということです。  ほかにどうでしょうか。御指摘等ございますか。よろしゅうございますか。  それでは、事務局から何か補足することがありましたお願いします。 ○玉川室長 議論が、非常に広範に及んだところがございまして、大変ありがたかった と思っています。一応、今回の評価依頼を行っている中での3製品というのは、当時代 表的な3種ということでありますけれども、実際にプロモーション作用が出たのは1製 品ということでありまして、2製品についてはプロモーション作用が認められなかった。 ただ、当時の代表的な製法でつくられていたものであったので、併せて評価依頼したも のでありまして、その辺の経緯につきましては、資料2−2の3ページ以降にあるとこ ろでございます。  それから、毒性の関連情報については、先ほど石綿委員の方からもございましたよう に、資料の7、8ページぐらいから毒性関連情報、これは18年時点でまとめたもので ございますけれども、当時のいろいろな情報をまとめておりまして、更にその後に摂取 状況等でその他のマッシュルーム等についても記載されているところでございます。  こうしたもの全体に、アガリチンということでいいますと広がりを持つ問題でありま すけれども、本当のところそれがそうしたものなのかどうなのかということも、B製品 という中で評価自体は安全委員会で行われるものでありますけれども、なかなかわかり 難いということであります。食品安全部としては、こうしたQ&Aなどを通じて情報の 提供に努めていきたいと思っております。少し脱線をしてしまいましたけれども、以上、 整理のために補足をさせていただきました。 ○田中部会長 ただいまの事務局からの発言について、どのように対処すべきか御意見 等はございますか。特にございませんか。  犬伏委員、何か首をひねっておられるようですけれども、消費者の代表ですので、ど うぞ。 ○犬伏委員 ちょっとわからないのですが、Bに関してはあった、でもA、Cに関して は、食品安全委員会から言われている調査、追試験していなかったら、A、Cに関して は食品安全委員会はどうなるのでしょうか。OKですか。先ほどのアガリクスそのもの についてのあれがわからないと、OKになってしまうのもどうかなという気がします。 ○玉川室長 そもそもA、Cについては、評価依頼の前の実験のところでは陽性のもの は全く出ておりませんでした。そういう意味では、アガリクスを含有しているからとい うことで、合わせて尋ねただけでございます。  ただ、実際B製品がなぜ出たのかという機序が明らかになる過程の中で、いろいろ示 唆が得られることがあれば、そういうことをA、Cについても評価の際にということだ と思うのですが、現時点においては、まだ評価結果をまとめられておりませんので、そ こは安全委員会の中で具体的に今後御検討されることになると思うのです。追加の試験 の中でB製品についても出てこなかったということで、食品の場合は基本的には安全で なければならないという、先ほど井藤先生からあったとおりの話なのですが、逆に言う とすべてのものが証明されないと市場に出せないという形にはなっておりません。ある 程度の確証があって、これによってこのものが有害であるということがわかって、初め て措置がとれるということであります。評価の結果がどうなろうと、どういうものが示 されようと、実際に対応するときには、またこちらの方の審議会等でも御意見を伺うこ とになると思います。 ○田中部会長 どうぞ。 ○犬伏委員 先ほど来アガリチンなるものの安定性はロットによって変わるというお話 とか、たくさん出ていたのですね。A、Cもわからないという話ですね。Bに関しては、 Bに関しての問い合わせ、これをもう少しというお話ではあったと思いますけれども、 これもいいと、Bは売れてないし、製品を評価するという意味では取り下げようという のはわかるのですが、A、Cは現実に動いていますね。それに関して、同等と言えるの かどうか、そこはまた何かがあるのかどうか。諮問そのものが、Bは取り下げますから、 A、Cに関しても今まで出ていなかったのですからいいですと言ってしまうのですか。 そうではなくて、あちら任せで、食品安全委員会の方からA、Cを評価するためにはま た何かしなさいということが来る可能性もあるということでしょうか。 ○田中部会長 どうぞ。 ○玉川室長 具体的にどういう指摘があるかも安全委員会の方で決められる、一応独立 の機関ということでありますけれども、すべてが示されないと評価の結果がまとめられ ないのか、あるいは評価に当たってのいろんなポイントのようなことがあって、それは 考えられるのか、それはうちの方からは予断を持ってお話しすることはできませんが、 とりあえず、こちらの方から評価依頼した趣旨というのは、A、Cについては統計的に 有意な反応が見られなかったということでありますので、そういうものも加味した上で 判断が行われるのだろうと思います。これ以上は、向こうの評価の領分に入るところだ と思いますので、事務局からは答えづらいと思います。 ○國枝課長 誤解があったらまずいと思って確認したかったのですが、B製品について 取り下げるという議論ではなくて、今は食品安全委員会からの指示事項があったので、 これについてどう考えるかということですので、取り下げるという議論ではないので、 誤解なきようにということ。  もう一つは、参考資料1−2をごらんいただきたいと思いますけれども、今回の諮問 というのは、先ほど玉川室長からも御説明がありましたように、食品衛生法の第7条の 2項で、食品として販売することを禁止するということについて、その前のステップと して食品安全委員会、この審議会の御意見を聞くのがあるということで、1つは必要的 な諮問事項ということで食品安全委員会にB製品については行ったと。 これについては、先ほど井藤先生からもお話があったことで、私としては同感だと思っ たのですけれども、ここの第2項のところをずっと見ていただきますと、第1項、第2 項の部分については二段階のところに、人の健康を損なうおそれがない旨の確証がない という、ない、ないという2段階で否定していまして、単純に言えば人の健康を損なう おそれがあるというように書けばいいのに、わざわざこういう形にしているのは、まさ に新開発食品に対しては食経験も十分ではないということで、科学的になかなかわから ない部分も多いということで、やはりリスク分析の中で事前予防という観点から見ると、 やはりエビデンスが十分ではないけれども、確証がないものについては、やはり次のス テップ、つまり食品衛生上の危害の発生を防止するために必要かどうかという議論に入 って、そして最終的に、それが余り乱用されてしまうと自由な経済的な活動も制限され るということで、ここに歯止めがかかっていると私どもは認識しておりまして、そうい う面で見たときに、サイエンスという面でどこまで追求するかという問題とは別として、 リスク管理機関として問題があるということであればできるだけ早く、実際上ものが出 ているか出ていないかは別として、警鐘するという部分が非常に重要ではないかという 部分で、これについてはいずれにせよ食品安全基本法の中で食品安全委員会の御意見を 聞かなければいけないということでしたというもの。 あとAとCについては、実際の実験の中では、懸念というところでマイナスということ があったのですが、これについてはたまたまたくさん売れているものについて、違う分 類のものを国立医薬品食品衛生研究所の方で調べてやったときに、AとCについては一 応白という結果でしたけれども、これは念のために参考諮問ということで、任意ですけ れども念のために聞いたものという趣旨で、位置づけがちょっと違うということも含め て先ほど室長の方から説明させていただいたということでございます。 ○田中部会長 よろしゅうございますか。例えばアガリチン自身が、この3製品に共通 であって、そしてそれが原因物質であるというようなことであればわかりやすいわけで す。でも、一応現時点では、先ほどの資料4の(2)が話題になってありますように、 わからないわけです。仮にですが、B製品は何かほかの物質が入っておったのかもしれ ないし、あるいは汚染されていたのかもしれないし、そうでなかったのかもしれない。 非常に難しい話だと思います。だから、B製品ということになっているのでしょうね。  井藤委員、どうぞ。 ○井藤委員 B製品に何らかの有害事象が出て、A、C製品には出なかった。では、A、 C製品は安全かと言われるとわからない。なぜか。B製品の有害事情につながる原因あ るいは原因物質がはっきりすれば、それがA、Cに含まれているかどうかということが 検証できるのですが、それがわからないからできないということですね。だから、何と も言えないというのが現状です。  それはいいのですが、安全委員会で、例えばこういったB製品だけ何らかの有害事象 が出たときの、いろんな可能性の問題として、栽培方法の問題、抽出方法の問題等が当 然関わってくるわけですね。米谷先生がおっしゃったカドミウムが含まれたということ は、多分栽培する条件の土地にカドミウムがいっぱいあったのだろうと、それを吸い上 げたのだということになろうかと思うのですが、そうすると培養の条件がかなり検討さ れないと、こういう有害事情を起こした物質がアガリクスそのものに含まれているのか、 あるいはそういう培養の条件でそういうふうになって物質が増えたのかわからないわけ ですね。  そういう意味では、安全性に関する何らかのコメントをされる場合には、機序の問題 だけではなくて、多分培養条件であるとか、その物質をつくるプロセスとか、抽出方法 とか、そういったことに関してもコメントされないといけないと思うのですが、そうい う検討はされているのでしょうか。 ○松井主査 このアガリクス製品につきましては、勿論、培地の生えていたところも違 いますし、そもそも原産の国も違ったり、栽培方法も違ったり、そもそもキノコ自体を 用いていたり、キノコではなくて、更に下の菌糸塊の部分を抽出したものを使っていた りということで、そういった観点で製法が違うものという形で、代表的なものをピック アップしてやってみる。製造方法の違いによって、その成分に差が出るのかとか、危険 性に差が出るのかというのを考慮した上で3種類を選ばせていただいたような形になっ ております。 ○井藤委員 私が言っているのは、何らかの危険情報を流されるとして、消費者に対し てアガリクス全般の問題とされるのか、ある特定の製品という形にされるのか、あるい はある特定の条件下で培養されて、特定の抽出法を用いた場合は危険ですという安全情 報を流されるのか。将来的に、どういう形で安全委員会が警鐘、報告を出そうとされて いるのかがよくわからない。 ○玉川室長 評価依頼の対象というのは、あくまでもB製品ということになっておりま すので、それについてこういう理由で、こういう評価をするというのが、向こうから何 か評価で出てくるとすれば、そういう形になろうかと思っております。  ただ、その要素の中で、ほかにも応用が利くような指摘があるのかどうかというのは、 評価結果を見てみないとわからないということであります。 ○田中部会長 どうぞ。 ○國枝課長 食品安全委員会での議論の中では、先ほど山添先生がお話されていました ように、私どもは個々の製品ということでお聞きしていたわけですけれども、勿論、向 こうは科学的にサイエンスとして見た場合には、どういうものが影響しているかという 作業仮説を立てなければいけませんので、その中ではアガリチンの含量が大きなメルク マールではないかというのが、1つ仮説として考えられた中で議論があったことは事実 だと思います。  山添先生、そういうことでよろしいでしょうか。 ○田中部会長 山添先生、追加をお願いいたします。 ○山添委員 実際にB製品の方が、当初アガリチンの含量がA、Cに比べて高かったと いうこともございます。  それから、in vitroでのアガリチンの代謝物、γグルタミルトランスペプチダーゼで 切れたもののヒドラジン体がいろんなDNAの障害性を持っているという事実も知られ ていた。そういうことがあって、それを一応念頭に置いて試験の結果を見ようというこ とで、まず遺伝毒性があるかどうかということを見ていったのですが、実はその点では 肩透かしを食らったということで、結果としてはイニシエーションといいますか、イニ シエーターと呼ばれる最初にDNAに傷を付ける作用では説明がつかないという結論に なって、いろんな結果を総合してみると、プロモーターとして範疇にとらえる必要があ るというふうにシフトしてしまったために、先生方に理解が難しいポイントがあるので はないかと思います。 ○田中部会長 ほかに、どなたか御意見ございますか。なかなか難しい感じがします。 そういたしますと、一応御意見はほぼ出尽くしたのではないかと思います。  今までの御議論をとりまとめるということですが、非常に難しいので、ちょっと困っ てはおりますけれども、アガリクスを含む製品についてはB製品を用いた発がん促進作 用を確認する試験において、当該作用が認められたことから、当初食品安全委員会に対 し食品健康影響評価の依頼が行われたものでありますけれども、食品安全委員会の専門 調査会ワーキンググループの議論によれば、追加試験の結果B製品には遺伝毒性が認め られなかったということであります。 そして、そのワーキンググループからは、B製品について、資料4の裏に示してありま すように、二段階発がん試験の実施が求められたわけですけれども、B製品については 今、御指摘がありましたように、評価依頼をした際に製品の実質的な販売停止と回収が 行われておりまして、追加試験を実施しようとしても、現在は賞味期限の切れた製品し か、切れたものも入手できないのかもしれませんが、そういうものしか入手できないと のことであります。 更に検体の安定性、特にアガリチンの含有量といった問題ですけれども、そういったこ とにも懸念がありますので、求められた試験を実施しても十分信頼性の得られるデータ となるか問題もあると予想されます。それでも、皆さん方の意見では、やはり資料4の 1の(2)で「B製品の発がん促進作用の原因物質の究明に」ということを書いてあり ますけれども、主として清水先生も御指摘のように、科学的なサイエンスの立場からと いう限定が付くのかもしれませんが、大野先生もそのようにおっしゃっておられたよう ですけれども、やっていくべきである。多くの先生がそのようにおっしゃっておられた と思います。 また、消費者の代表であられる犬伏委員からは、やはりアガリクス製品そのものの、あ る意味では有効性も含めてかもしれませんね。そういうことはなかなか難しいのですが、 なかなか歯切れが悪いですけれども、実施していってもいいのではないかということで すが、では実施主体はだれかと申しますと、資料5にも書いてありますように、実施主 体はだれかということでありますけれども、販売者に求めるのか、あるいは公費によっ て再度、国立医薬品食品衛生研究所にしていただくのか、そういったところもまだどう しようという意見は出しにくい感じがいたします。 そんなところでしょうか。ちょっと議論をまとめてみたのですが、いかがでしょうか。 何か歯切れが悪いですけれどもね。  そんなところでお許し願えますか。まとめたところですけれども、よろしいですか。  一応そのようなことでまとめさせていただいたことにさせていただきたいと思います。 しかしながら、今、言ったことについて、資料4に食品安全委員会からの指摘事項があ りますので、我々の調査部会でのまとめについて、確認をもう一度求めるというところ で、返すという意味ではなくて、そのような取扱いができるものかどうかということを、 事務局で可能かどうかという話をしていただけたらありがたいと思います。 ○玉川室長 本日、御指摘いただいた事項は本当に多岐にわたっておりまして、そもそ も部会を開いた趣旨というのは、指摘事項に対してどういうふうに考えるかということ だったわけですけれども、もっと広がりを持った御指摘をいただきました。  食品安全委員会という評価機関と厚生労働省という管理機関との間の確認ということ になりますと、この中のごく一部、管理と評価の関係に関わるところでの切り出しとい うことになると思いますけれども、そうしたものについて具体的に言えば追加の試験の 実施についてのいろいろな、実際上の問題点等でございますけれども、そうしたことに ついて確認を求めることは可能だと考えております。 ○田中部会長 それでは、そのような取扱いにしたいと思いますが、よろしいですか。 (「はい」と声あり) ○田中部会長 ありがとうございました。  それでは、今、歯切れが悪いと申しましたけれども、具体的な文言等につきましては、 整理させていただきまして、そして委員の皆様にも御確認いただいた上でとりまとめを したいと思います。したがいまして、整理することにつきましては、部会長に御一任し ていただきたいと思います。よろしいですか。 (「はい」と声あり) ○田中部会長 ありがとうございました。  ほかに事務局から何かございますか。 ○玉川室長 特にございません。 ○田中部会長 それでは、これをもちまして本日の調査部会を終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。 照会先: 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室 TEL:03−5253−1111(2479)