第10回今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会
議事要旨

日時:平成20年5月20日(火) 15:30〜17:30

場所:厚生労働省 共用第8会議室(6階)

出席委員:佐藤座長、大石委員、大津委員、久保委員、中窪委員、両角委員、脇坂委員(座長を除き五十音順)

欠席委員:岩品委員

【議題】

実態調査結果の報告

(1)今後の仕事と家庭の両立支援に関する調査結果の報告

(株式会社ニッセイ基礎研究所 生活研究部門 主任研究員 松浦民恵氏)

(2)有期契約労働者の育児休業等の利用状況に関する調査報告

(独立行政法人 労働政策研究・研修機構 就業構造・ワークライフ

バランス部門 研究員 池田心豪氏)

個別課題の検討

【概要】

松浦氏報告

資料に基づき説明

池田氏報告

資料に基づき説明

有期契約労働者は、産前産後休業が取得できないと思っている人も結構いるのではないか。有期契約労働者の育児休業取得を議論する前に、産前産後休業も取得できることを周知する必要がある。

「既婚・子どもあり」の有期契約労働者は、「既婚・子どもあり」という条件で働ける職場をすでに選んでいるため、結果として、「子育てをしながら現在の勤務先」を希望する回答が多くなっているのではないか。

個別課題の検討

1.期間雇用者の休業について

期間雇用者は、業務限定で雇用されていることが多く、業務があれば更新していて、業務がなければ更新していないのが実態。正社員は、業務を限定していないから、違う業務であっても復帰できるという枠組みになっている。期間雇用者の育児休業についても、この辺りが課題になる。

契約上、「状況に応じて上限なく更新する」ということになっている場合に、要件2(子が1歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれること)あるいは要件3(子が2歳に達する日までの間に労働契約期間が満了し、かつ更新がないことが明らかであること)を満たすかどうかが、わかりにくいのではないか。

育児休業を取れるかどうかという問題と、育児休業後に雇用契約を更新しなければならないかどうかというのは、別の問題。育休を取ったら必ず雇用契約を更新しなければならないとなると、逆に育休を取らせないこととなりかねないので注意が必要。

今の運用では、更新されないことが明らかである者は育休の対象になりませんと言っているが、よほど明らかに更新のない人以外は育休の可能性があると理解してもらう方がよいのではないか。

2.労働者の介護の状況に応じた両立支援制度について

(1)(別立ての休暇を新設)がよい。(2)(現行の介護休業の分割)だと「休業」を取得したことになり、それを避けたい労働者もいる。(3)(子の看護休暇の対象を拡大し、家族のための看護・家族休暇とする)よりは(1)にして、「子の看護」と「親の介護」とを分けた方が使いやすい。また、病院の付き添い等で利用する場合等を考えると、半日単位で取得できるのがよい。

(1)か(3)がよい。介護は、育児と違いいつ終わるかが分からない。全体量(93日)が決まっていると足りないケースも想定されるので、毎年、要介護者一人につき、例えば5日付与する方が「介護」の必要性に合っている。

(2)の場合、給付金をもらえるようにすべき。別立ての制度なら子の看護休暇と同じ様に無給とすべき。

(3)がよい。介護だけ別立ての場合、その対象者の有無により、利用しづらい場合が生じる。

(3)の場合、子の看護休暇を子の人数に応じた日数とすることとの兼ね合いも出てくるので、(2)の別立てが良い。

3.継続就業しながら子育ての時間が確保できる雇用環境の整備

労働者が望まない配転は、不利益取扱いに当たり得るが、労働者が望んでいる場合の配転は、別途考える必要がある。

経営上の理由で短時間勤務を認められない場合、今の仕事では無理なときは、できる仕事が他にあれば配転してでもやりなさいとするのか、法律上使用者が請求を拒否できる事由に当たるとするのか。

仕事の範囲は、各職場で千差万別なので、「今従事している仕事で」と法律や指針には書かない方がよい。書くことによって縛ってしまうことが予想される。むしろ、労使の話し合いによる「自由度」の高い制度とした方がよい。

「このような場合は拒否できるが、それ以外については請求に応じなければならない」と法律に書いた場合でも、その事由に当たるかどうかの判断は、最終的に裁判所の判決を待つことになり、時間がかかる。「今従事している仕事で」ではなく、「当該職場の中で」くらいの限定にして、事業主が請求に応じる義務を定めて、例外を含めて当事者間で話し合うというようなシンプルな仕組みにするのがよい。

事業主側からすれば、短時間勤務制度を設けることができない場合と、制度は設けてもこの人の取得は困る場合とがある。労働者側からすれば、短時間勤務制度がその職場にあり、措置義務・請求権・形成権のいずれであっても、全員が取れるという保障がなければ、利用できない人もいるという意味では同じ。

所定外労働の免除は、使用者に制度を作らせ、適用させるのは割とストレートにいく。短時間勤務は、企業にあらかじめ措置を決めさせるとしても、工夫が必要。

働き方自体の変化を、社会構造を変えていくぐらいの意気込みでやっていく必要がある。

4.両立支援の有効活用

短時間勤務を格上げした場合に、何が不利益取扱いなのかを議論する必要がある。

病気休暇は、法律上の権利ではないので、病気休暇の人と同じならよいことについて疑問がある。産前産後休業と育児休業の不利益取扱い禁止は、男女差別禁止と同じかどうかはっきりしない。

5.父親も母親も育児にかかわることができる働き方の実現

海外と比べてもパパ・ママボーナスというのは2か月とか6か月ぐらいか。

父親が産後8週間に育児休業を取得した場合の分割取得は是非やった方がよい。パパ・ママボーナスについては、2ヶ月辺りから始めてみるとよい。

6.その他

「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」という法律名について、「福祉」に不満がある。法律の総則では、「両立」を非常に謳っている。機会があれば、法律名もよりポジティブなものに改めてはどうか。


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