08/04/25 平成20年4月25日薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所   平成20年4月25日(金) 16:00〜 厚生労働省 省議室 2.出席委員(15名)五十音順    飯 沼 雅 朗、 川 西   徹、 澤 田 純 一、○首 藤 紘 一、    鈴 木 洋 史、 千 葉   勉、 土 屋 文 人、◎永 井 良 三、    中 澤 憲 一、 成 冨 博 章、 野 田 光 彦、 林   邦 彦、    村 勢 敏 郎、 村 田 美 穂、 本 橋 伸 高 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(4名)    五十嵐   隆、 西 澤   理、 長谷川 紘 司、 松 井   陽  3.行政機関出席者   中 垣 俊 郎(審査管理課長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、 丸 山   浩(独立行政法人医薬品医療機器総合機構センター次長)、   森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 ただ今から「薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会」を開催させてい ただきます。  本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。当部会委員数19 名のうち、14名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますこ とを御報告申し上げます。土屋委員は20分ほど遅れて御出席という御連絡をいただいて おります。また、本日は、五十嵐委員、西澤委員、長谷川委員、松井委員から御欠席とい う御連絡をいただいております。  それでは、部会長の永井先生、進行をよろしくお願い申し上げます。 ○永井部会長 まず事務局から、配付資料の確認と資料作成、利益相反等に関する申出状 況について報告を行ってください。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会 委員の名簿を配付しております。議事次第に記載されている資料1〜7をあらかじめお送 りしております。このほか、当日配付としまして、資料8「審議品目の薬事分科会におけ る取扱い等の案」、資料9「専門委員リスト」、資料10「イルベサルタンにおける 「insurmountable」について」を配付しております。  続きまして、平成13年1月23日の薬事分科会申合せ、及び昨年4月23日の薬事分科 会申合せに基づく、資料作成、利益相反等に関する申出につきましては、次のとおりです。  議題1「イリボー」につきましては、退室委員は千葉委員、議決には参加しない委員は 鈴木委員、永井委員、成冨委員、本橋委員です。  議題2「アトワゴリバース」につきましては、退室委員、議決には参加しない委員、共 にいらっしゃいません。  議題3「マクジェン」につきましては、退室委員はいらっしゃいません、議決には参加 しない委員は鈴木委員、永井委員、本橋委員です。  議題4「ナタリズマブ」につきましては、退室委員、議決には参加しない委員、共にい らっしゃいません。  なお、議題1「イリボー」及び議題3「マクジェン」の審議につきましては、座長を首 藤部会長代理にお願いしたいと存じます。 ○永井部会長 ありがとうございます。本日は、審議事項が4議題、報告事項が3議題で す。  まず、議題1です。これは、首藤部会長代理に進行をお願いいたします。 ○首藤部会長代理 議題1に入ります。千葉委員におかれましては、本議題の審議の間、 別室にて御待機いただきたいと思います。 ── 千葉委員退室 ── ○首藤部会長代理 総合機構から、概要を説明してください。 ○機構 議題1、資料1、医薬品イリボー錠2.5μg及び同5μgの生物由来製品又は特 定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇 薬の指定の要否について、機構から御説明申し上げます。  過敏性腸症候群は器質的疾患を伴わず、腹痛・腹部不快感と便通異常が長期間持続又は 再発・改善を繰り返す機能性疾患ですが、その症状のために、社会的活動に支障を来すこ とが問題となっております。  本邦における現在の過敏性腸症候群の治療は、まずは食事及び生活指導がなされ、改善 が見られない場合に各種薬剤の投与や心理療法が行われておりますが、これらが無効な患 者も存在しております。  一方、過敏性腸症候群において5-HTの重要性が指摘されており、選択的セロトニン 5-HT3受容体拮抗薬であるラモセトロン塩酸塩(以下、本薬)が下痢型過敏性腸症候群の 治療の新たな選択肢となると期待され、開発が行われ、今般、アステラス製薬より申請が 行われました。  本薬を含有する医薬品としては、既に「ナゼア注射液0.3mg」及び「ナゼアOD錠0.1 mg」が、「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心・嘔吐)」を効能・ 効果として承認を取得しており、2008年1月現在、韓国、中国等、アジア5か国におい て承認されております。  なお、本申請効能・効果である「下痢型過敏性腸症候群」においては、現在までに承認 を取得している国はございません。  本品目の専門協議では本日の配付資料9に示すような専門委員が指名されております。  審査の概要を説明させていただきます。  規格及び試験方法、非臨床に関して提出された資料の内容は適当であると判断いたしま した。  臨床試験成績としては、国内臨床試験を中心に、計7試験が評価資料として提出されて おります。主に検証試験である第III相試験について御説明させていただきます。  まず、有効性に関してですが、下痢型過敏性腸症候群患者を対象に、本薬5μg又はプ ラセボを1日1回12週間投与した第III相二重盲検比較試験において、主要評価項目であ る「最終時点の「過敏性腸症候群症状の全般改善効果」の月間レスポンダー率」について、 プラセボ群が25%程度及び本薬5μg群が45%程度の全般改善効果が認められ、プラセ ボ群と本薬5μg群に有意な差が認められたため、本薬の有効性は認められると判断いた しました。  また、安全性に関してですが、有害事象はプラセボ群に50%程度、本薬群に60%程度 認められ、本薬群の便秘及び固形便の発現率が、プラセボ群に比較して高い傾向が認めら れております。  一方、米国において、本薬と同じ5-HT3受容体拮抗薬であるアロセトロン塩酸塩が、 販売開始後に重篤な便秘及び虚血性大腸炎の発現とそれによる死亡例が認められたと報 告されております。本薬では、臨床試験において、便秘、硬便の発現頻度はプラセボ群よ り高かったものの、重篤なものは認められておりません。また、虚血性大腸炎の発現は認 められませんでした。しかし、便秘は虚血性大腸炎の成因の一つと考えられていることか ら、本薬においても便秘及び固形便の発現に注意が必要であると考え、添付文書において 注意喚起するとともに、医療機関及び患者向けの説明資料を作成し、便秘の発現及び虚血 性大腸炎の徴候に関する十分な情報提供を行うこととしております。  また、臨床試験成績に性差が認められておりまして、有効性については、女性における 本薬群とプラセボ群の有効率の差が男性に比べて小さく、また安全性については、女性で は便秘、固形便の有害事象の発現率が男性に比べて高い傾向が認められております。薬物 動態試験では、男性より女性のCmaxが1.5倍、AUCが1.7倍高い傾向が認められてお ります。  以上、これまでの臨床試験成績では、女性に対する本薬の有効性及び安全性、並びに至 適用量は明確になっていないと判断しました。  以上、機構での審査の結果、本薬による下痢型過敏性腸症候群患者に対する有効性及び 安全性は認められたものの、女性患者に対する本薬の有効性及び安全性は確立していない ため、効能・効果を「男性における下痢型過敏性腸症候群」とすることが適当と判断し、 医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。  なお、本薬は生物由来製品又は特定生物由来製品に該当せず、製剤は劇薬に該当し、ま た、新効能・新用量医薬品であることから、再審査期間は4年とすることが適当であると 判断しています。薬事分科会では報告を予定しております。  御審議どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○首藤部会長代理 ありがとうございました。委員の先生から御質問、御意見をいただき たいと思います。 ○村勢委員 安全性について、特に女性における安全性について質問させていただきたい と思います。第III相試験を中心に41ページ〜42ページにいろいろ記載があるのですが、 特に統計のとり方について御質問させていただきたいと思うのです。  有効性では、男性と比較して女性ではその有効性が小さかったということと、女性では ばらつきが認められたというようなことです。これについては、統計的には男性と女性と の差ではなくて、比較対照は、本来、女性は女性のプラセボ群と比較するべきだと思いま すが、ここに関しては、プラセボ群と比較して有効性は認められないという結論になろう かと思います。  問題は安全性の点です。女性では、男性と比べて高い傾向が認められたというような記 述があります。そのときに比較対照とするのは、統計的には、42ページでは男女の発現 率の差でいろいろディスカッションされていますが、実際しなくてはいけないのは、女性 は女性のプラセボ群と比較しなければいけないわけです。  41ページの第III相臨床試験の統計表を見ますと、固形便、便秘、腹部の膨満感は、女 性の場合は、プラセボ群と本薬群を比較した場合に、プラセボ群では42例中4例なので すが、本薬群では55例中19例になるのです。これを見ますと、有害事象の発現率は、本 剤を投与した方が有意に高いということになろうかと思います。42ページのディスカッ ションを見ておりますと、男性と女性との比較ということを議論の主題としていますが、 女性はそういうことで、プラセボ群と有害事象を比べると、明らかに高くなっていると思 います。というようなことで、飲ませることは決していいことではないということになろ うと思うのです。  添付文書の方を見ますと、最初のページのところで「女性における本剤の有効性及び安 全性は確立していない」ということでストップしているのですが、先ほど言いましたよう に、女性は女性のプラセボ群と比較すると有意に発現率が高くなっているわけですので、 女性では有害事象の発現率が増加するので投与すべきではないとするべきではないかと 思います。これですと、やるのならやってみてください、でも、安全性は確立していませ んよ、というような表現になっているのです。これはもう少し強く表現するべきだと思い ます。  同じように男性における有害事象の発現率を見ますと、プラセボ群が227例中7例なの に比較しまして、本薬群は215例中27例なのです。これはやはり、男性でも有害事象の 発現率は高くなっているのではないかと思うのです。3倍くらい高いですので、恐らく、 と思うのです。そうしますと、これはかえって有害だということで、投与すべきではない という結論になろうかと思います。  この文章で見ますと全般改善率ではうんぬんと書いてあるのですが、ここで言う白血球 の数などを抜かして、純粋に、ここに書いてあるように便秘、固形便及び腹部膨満という 3事象について比較すると、男性においても女性においても明らかに本薬群の方が多くな っているわけなので、本当は「有害」と記述するべきところなのだろうと思います。  それから、もしもこれがイレウスなどを起こすとすると、腹部の手術の既往がある患者 では特に注意しなさいということも特記しておかないといけないのではないかと読んだ のですが、お答えいただけますでしょうか。 ○新薬第一部長 機構から幾つかお答え申し上げます。村勢先生からの御指摘はごもっと もです。私どもも、この薬について、決して非常に安全な薬という認識ではございません。 その面で幾つかの審査を行ったものです。  まず、「効能・効果に関連する使用上の注意」で「女性における本剤の有効性及び安全 性は確立していない」という点につきましては、審査報告書の52ページ、「6)効能・効 果について」というところにこの記載をした経緯を若干書かせていただいております。こ の中で、まず、女性については、有効性のデータ及び安全性のデータから対象は男性に絞 るべきだろう、また、女性に対して、使用に関して注意喚起をすべきであるということで、 「効能・効果に関連する使用上の注意」の中でこのような文言を書かせていただきました。  さらに、薬物動態の項で、女性の方が曝露量が高くなると、この辺の注意喚起をしてお いたわけですが、逆にこれが使用を惹起させるというような懸念が出るのではないかとい う御指摘かなとも思いましたので、ここの部分につきましては、そうではなくて、女性に 対する注意喚起を、使用の制限を含め、より適切な情報が伝わるように、文言については 改訂させていただきたいと思っております。  それ以外のところにつきましては、重大な副作用等のところで注意喚起をしております ので、今日御指摘の点を踏まえてさらに、そこの趣旨が伝わるように、私ども、申請者を 指導させていただきたいと思います。 ○村勢委員 注意喚起ではなくて、危険だということを言わないと、これはやはりいけな いと思うのです。42ページの記述を見ていますと、女性の有効性は、と言って比較する のは全部男性なのです。二番目のフレーズでもそうですし、その次もそうです。プラセボ は、女性は女性で、男性は男性でとらなくてはいけないのですが、常に男性と女性との比 較の記述になっていますので、これは、統計のとり方はやはりおかしいと思いますし、そ れではいけないのではないかと思うのです。何か、女性で大丈夫そうだということをカム フラージュするために常に男性と比較しているというのが印象です。ですから、42ペー ジは、ある意味では書き換えなければいけないところだと思います。 ○新薬第一部長 少し誤解を生じるような表記でしたので、詳しい審査の過程につきまし て、今、担当から説明させます。 ○機構 先生から御指摘のありましたところですが、ここにつきましては女性と男性を直 接比較しているのではなく、女性群における本薬群とプラセボ群との差、男性群における 本薬群とプラセボ群との差、その二つを比較して、女性においては有効性が男性に比べる と小さいのではないか、という形で私どもとしては判断をしているところです。表記につ きまして、少し誤解を招くような記載も、もしかしたらあるのかと思うのですが、見方と しては、そういう形で審査をさせていただいております。 ○村勢委員 有効性については、私も余り異議を唱えようとは思っていないのです。問題 は有害事象の発現率なのです。こちらは、先ほど言いましたように女性でもそうですし、 女性は、効かない上に発現率が多いわけです。男性は、効いているかもしれませんが、発 現頻度ではやはり多くなっていると思います。足し算をしてくだされば分かるのですが、 ほかの箇所では全体の有効性に関してはうんぬんと書いてあるのですが、ほかに挙げてあ る固形便と便秘と腹部膨満の三つの発現頻度ということで集計をしますと、男性において も女性においても高くなるということはあるのです。それがここでは何ら言及されていな いというところが問題であろうかと思います。 ○首藤部会長代理 書き振りで誤解させるところがあるということではなくて、機構とし ての判断をきちんと言ってもらった方がいいかなと私は思いますが。 ○機構 便秘、固形便、腹部膨満等の発現率につきまして、男性と女性の発現の例数や率 の部分を直接比較してという形に評価をしたところよりも、むしろ、それぞれについてプ ラセボと比較してという先生からの御指摘かと思います。確かにそこの部分にははっきり 記載しておりませんが、男性においても、本薬を投与しますと、便秘、固形便等の発現率 の上昇は確かに見られておりますが、その度合いが、男性に比べますと、女性の方が発現 比率が高くなっているという形で判断はしております。 ○村勢委員 男性と女性はもともと生理的に違うとか、薬物動態が違うということがディ スカッションされているのです。そうしたら、そのことはそれでいいではないか。問題は、 男性は男性のプラセボと比較し、女性は女性のプラセボと比較しなければいけないという ことなのです。その辺の議論がここではほとんどなされていなくて、何となくほんわかし て、男性と女性との比較になってしまっているのです。その辺を、もう一つきちんと最初 から読み直さなければいけないのではないかという指摘なのです。初めから男性と女性と の比較を言っていますから、それに対して、実際はこういうことがあるのかなとは思いま す。こういう性差があるという薬物は、ホルモン剤などを抜かせば、実際は余りないと思 います。しかし、それは一ついいとして、両方とも、男性は男性、女性は女性としてしな ければいけないというのが私の言いたいことなのです。 ○機構 御指摘ありがとうございます。便秘、硬便等につきましては、安全性の項で、本 剤用量に依存して便秘、硬便の発現率が上がるというお話を、男女をまとめた形で一度さ せていただいております。それに加えて、性差の項で性別での差を比較したということで すので、男女を問わず用量依存的に発現率が上がるということは、議論はしております。 その中で男女を分けたときにということで、先生が御指摘になっているように、これはプ ラセボと比べてどれくらい上がったのかというところを性差の項にももう少し明記すべ きという御指摘は、確かにそのとおりかと思います。 ○村勢委員 それで、添付書類の方にもその結果を反映した表現を使っていただきたいと いうことです。要するに、分かっていないというのではなくて、明らかに差はあるので、 危険ですので投与しない方がいい、するべきではないと強く言うべきなのかなと思いま す。 ○機構 御指摘ありがとうございます。添付文書につきましては、先生からの御指摘を踏 まえて、試験成績を反映した形で記載振りを検討させていただきたいと存じます。 ○首藤部会長代理 大事な問題だと思うのですが、少しかみ合っていないところがあるの かなという気がするのですが、ほかの先生方いかがですか。 ○本橋委員 先ほどおっしゃったように、性差のある薬物というのは、私は臨床医として 今ふと考えて、ほとんど思い当たりません。例えば適応が「男性における下痢型過敏性腸 症候群」と書いてあっても、やがてその効能・効果のところだけが独り歩きして、男性と いうのは忘れられるであろうと私は思います。というのは、例えば10年以上くらい前に、 アスピリンは女性のラクナ梗塞には効かないというのは関係者の中ではかなり有名な話 だったのですが、どんどん使われ始めると、そういうことは一切お構いなしになっていき ますので、よほど強く注意しないと、これは適応ということで、女性にもどんどん出す人 が出てくる。そういうことで、本当に女性がまずいのであれば、女性はまずいということ をかなりきつくうたっておかないと、最初をよく知っている人だけは別として、やがて女 性にもどんどん使うようになるだろうと思います。ですから、本当にまずいかどうかとい うことをかなり厳しく、例えば「禁忌」とか、それくらい強く書いておかないと、臨床で は恐らく、女性にもどんどん使われる危険性が大きいだろうと私は思います。 ○審査管理課長 御議論ありがとうございます。資料の41ページに、どのような有害事 象が見られたのか、男性・女性、プラセボ群・本薬群という形で整理がされているわけで す。ここから判断が非常に難しいのは、例えば、生命に危険があるとか、取り返しがつか ないというような有害事象が見られているのであれば、禁忌であるとか、絶対に投与する なとか、非常に強い注意をすべきだろうと思いますし、仮にそういうものであれば、男性 に限った承認をどうするかということも、また場合によっては考えなければいけない。す なわち、女性にも投与されるかもしれないというリスクをどれくらい大きく見るのかとい うことが議論になってくるのだろうと思います。  一方において、ここに見られている有害事象の重篤さというのか、重大さというのか、 そういうものをどのように考えるかということが一つある。さらには、それと対比する形 で有効性を見ると、女性においては少なくともプラセボと同程度だと。  さらに、43ページの上から4行目から、機構としての判断が(1)、(2)、(3)という形で書 かれているわけですが、特に(3)で、薬物動態で女性が高い。具体的に言うと、1.5倍くら いになるようです。そのようなものもあるということを考えますと、我々としては、例え ば添付文書のところに、村勢委員から御指摘のあったとおり、女性の有効性・安全性は確 立していないというのは少し不親切ではないかと思います。また、添付文書の18ページ においては有効率、レスポンダー率の男女の差が出ていますが、先ほど御指摘のあったよ うな安全性に関する男女の差は出ていないという状況です。ですから、この使用上の注意 の男性、女性というところを、女性においてはこういうデータだったということをまず書 いて、その上で、例えば薬物動態の項を参照されたいとか、臨床成績の項を参照されたい、 というような形で注意を喚起するような状況でどうだろうかと考えているわけですが、い かがでしょうか。 ○村勢委員 二点お話します。先ほど御説明のときに、外国では死亡例があったというこ と、この現象というか、副作用と関連して何か死亡例があったということを発表なさって くださったと思います。それを見ますと、やはりこれは重症であるというような意識を持 っていないといけないのではないかということがあります。  もう一つは、添付文書の方の、今のことは、その表現でいいと思うのですが、添付文書 の最初にそれを書いておかないと、最後の方に書いておくと、最後まで見るのはくたびれ てしまいますので、これの1ページ目の「効能・効果に関連する使用上の注意」というと ころに書いておいて、「確立していない」ではなくて、もう少し厳しい表現を使っておい ていただかないと、結局、なし崩しになってしまうということであります。  それから、本当にここに何も書いていないのですが、男性のプラセボに関しても、私は、 先ほどの41ページの統計を見まして、この中から固形便と便秘と腹部膨満の三つに関し て足し算をして、どうなるのかなと見ましたら、男性でもどうも3倍くらいありそうなの です。頻度としては少ないですが、有意差があったということは確かなのです。それはど こかに記述しておかなくてはいけないと思います。  もう一つ言わせていただくと、例えば、おなかの手術を受けた人などは、腹部膨満から イレウスになったりすることがありますので、腹部手術を受けた既往がある方の場合には 特に注意が必要だということも、強調しておかなくてはいけないだろうと思うのですが、 いかがなものでしょうか。 ○審査管理課長 今、村勢委員から二つ御指摘いただいたと思います。具体的には、使用 上の注意の書き方の問題として、私が先ほど申し上げたのは、16ページの左側、「効能 ・効果」の下に「効能・効果に関連する使用上の注意」があります。ここで、「女性では、 男性に比べ本剤の血中濃度が高くなり、また、女性における本剤の有効性及び安全性は確 立していない」となっているわけです。この「また」から後を少し工夫する。すなわち、 試験によると、有効性はプラセボと同等だった、副作用の発現はプラセボに比べて高かっ たというようなことを書く。その上で、18ページの臨床成績の表が有効性についてだけ 書かれていますから、ここに安全性の表も載せるというような形を一つは御提案している わけです。また、手術をした方の工夫などについては、専門的な話で、載っているかどう か私も確認しておりませんので、それは後で確認させていただきます。  もう一点、いわゆる死亡例の話ですが、これは説明が悪かったのかもしれません。この 薬剤の使用に伴うものではありません。薬理作用が類似しているというものですので、こ れを今の段階でどれほど書くのかどうかというのは、まさしくこれは御判断があるのかな と思います。薬理作用が同じようなものでもそれが頻発するようなものであれば、書いて 注意を喚起していくということもあるでしょうし、その薬理作用が同じものについてもま だまだ議論があるようなところであれば、ここはとりあえずはこういう形でやっていくと いうこともあるでしょうし、そこは御議論があるところだろうと考えております。 ○首藤部会長代理 使用上の注意については、今、審査管理課長が新しい提案をしてくだ さいました。一つ、今のことに絡んでですが、アロセトロンは、やはり5-HT3で、便秘 で死亡例ではなかったですか。 ○機構 重篤な便秘による合併症で死亡が認められております。 ○首藤部会長代理 どうもありがとうございます。澤田委員どうぞ。 ○澤田委員 これは新効能ということで、既にナゼアという錠剤で使用例があるわけです ね。それでどのくらいの数の経験があって、男女差はそこで見られているのか等、そうい う情報があれば、かなり安全性の確認ができるのではないかと思いますが、いかがでしょ うか。 ○機構 ナゼアにおける、男女差に関しては、調査できておりません。ナゼアの便秘や虚 血性大腸炎の発現頻度に関しては虚血性大腸炎は、認められておらず、便秘も、ほとんど 認められておらず、本剤よりも低い傾向が見られています。 ○審査管理課長 一点、訂正させてください。先ほどの類薬の死亡例ですが、添付文書(案) の17ページの左側、「3)重篤な便秘」の2行目から、「類薬では海外において重篤な便 秘の発現とその合併症が報告されており死亡例も認められていることから、本剤の投与に より便秘、硬便が認められた場合には患者の症状に応じて休薬、中止等の適切な処置を行 うこと」という形で、類薬の死亡例についても触れさせていただいております。 ○澤田委員 ナゼアの用量は同じですか。5μg。 ○機構 ナゼアに関しましては、ナゼアOD錠の場合は0.1mg、20倍多い用量となってい ます。 ○首藤部会長代理 投与期間はどうですか。 ○機構 投与期間については、本薬に関しては長期間投与される可能性もありますが、ナ ゼアに関しては、シスプラチン等の抗悪性腫瘍剤を使用しているときの悪心・嘔吐への使 用になりますので、投与期間は短くなると考えられます。 ○首藤部会長代理 どうもありがとうございます。 ○永井部会長 男性も、有効性が本当にどのくらいあるのかよく分からないですね。プラ セボで4分の1効いて、実薬で2分の1効いて、差引き4分の1ですね。副作用も4分の 1くらい出る。本当にリスク・ベネフィットのバランスがとれているのかというところが 少し疑問に思うのですが、いかがでしょうか。 ○機構 有効性の点ですが、先生が御指摘のように、審査報告書の40ページに、特に男 女に分けたものと全体とをお示ししておりますが、プラセボの方でも、確かに20%以上 の有効性が認められているということで、やはり疾患の特性として、どうしてもプラセボ 効果というのがかなり大きくなってきてしまうことは否めないと思います。そのプラセボ との差で、全体において20%程度の有効性が得られているということです。  また、安全性につきましても、確かに御指摘のように、便秘、固形便、腹部膨満の発現 頻度にしますと、決して低いものではない。確かに、本剤を投与すると、発現率としては 上がるのですが、事象そのものは重篤なものはこの中に含まれておりませんので、臨床上、 直ちに問題となるというような有害事象ではないと認識しております。 ○永井部会長 この薬の効果の半分はプラセボ効果だという認識でよろしいのですね。た だ、現場からはこういう薬が必要であるという声が非常に大きいということでしょうか。 ○新薬第一部長 現在も標準治療とされるものがなかなかない中、この手の薬が、現在、 いわゆる高分子吸収剤のようなものは既に出回っていますが、これ以外にないというとこ ろで、お薬としてはかなり渇望されているところです。 ○永井部会長 そうしますと、やはり添付文書に、かなりプラセボ効果もあるということ を書いておいた方がいいのではないでしょうか。プラセボ効果が非常に大きいと思うので すが、そこまでは書けないですか。 ○村田委員 疾患自体がもともとプラセボ効果の非常に高い疾患だと思いますので、ある 程度それはしょうがないと思います。その上でどの程度の効果があったかという考え方を するべきで、プラセボが非常に数字が高いということから駄目というのは少し違うのでは ないかと思います。 ○新薬第一部長 添付文書の17ページの「臨床成績」の中に、プラセボ群と本薬群とい う比較があります。ここを御覧いただくと、プラセボがこの程度あるのかなということも 御理解いただくようには工夫したつもりです。 ○首藤部会長代理 よろしいですか。プラセボでも効いてしまうということですね。でも、 こういう病気は、あることはあるのではないでしょうかね。  一つ質問です。臨床試験の概要しか付いていないので分からないのですが、「性別によ る層別解析を行った結果、男性及び女性共に本剤5μg群のIBS症状の全般改善効果の 月間レスポンダー率は、すべての評価時期でプラセボ群を上回った」とありますが、これ はデータがあるのですか。 ○機構 臨床試験は3か月で行われていますが、その3か月で1か月ごとに月間レスポン ダーを出しておりますので、その成績はございます。 ○首藤部会長代理 データがないからよく分からないのですが、41ページの結果を見る と、そのようなことがあるのかなとも思うのですが、どうなのですか。 ○機構 一応、毎月、それぞれ、プラセボよりも上回っているというような結果はござい ます。 ○首藤部会長代理 「プラセボ群を上回った」と書いてあるのですね。「有意」などとは 一つも書いていないということですね。男性についてはそれなりの効果があると理解し て、まずはよろしいでしょうか。それから、男性でも副作用がある、女性は、少なくとも 現在のこのデータを見ると有効性はない、副作用はある、ということを明確に、100%で なくてもいいですが、まだ例数も少ないからというエクスキューズがあるかと思います が、添付文書に記載する。具体的には、先ほど審査管理課長がお話になったような、使用 上の注意のところをもっと明確に記載するというところでどうでしょうか。機構、審査管 理課、何かありますか。 ○審査管理課長 そのような方向で議決いただけるのであれば、我々としては、当然のこ とながら、それに対応したいと思います。 ○首藤部会長代理 そういうことで、議決をすることになっておりますが、本剤を、今の ような方向で、添付文書を整理するということですが、それで承認してよろしいかお伺い いたします。よろしいでしょうか。 ○事務局 利益相反等の申合せに基づき、議決の際には、鈴木委員、永井委員、成冨委員、 本橋委員におかれましては、議決への参加を御遠慮いただくことにしておりますので、そ の旨を。 ○首藤部会長代理 そのようなことです。特に御反対の方はいらっしゃいますか。 ○村勢委員 反対とは言いませんが、賛成とも言えませんという変な結論になるのです が。今、首藤先生がおっしゃったように、反対の方はいませんか、と言ったら、はい、と なると思いますが。先ほどからおっしゃっている条件の下にということですよね。 ○首藤部会長代理 はい。 ○審査管理課長 使用上の注意について御議論を賜っておりますので、一応これで議決い ただけるのであれば、5月の部会に使用上の注意の改訂案を御報告するという形にさせて いただきたいと思います。 ○首藤部会長代理 もしも言わせていただければ、機構として考え方が変わったというこ とがあったら、審査報告書で追加していただけると有り難いです。これは私の個人的な意 見です。間違っているところとか。必要ないですか。 ○審査管理課長 間違っているところがあるかと言われますと、先ほど来御指摘いただい ている42、43ページの説明というのは、審査報告書の作り方としてそれがいいのかどう かというのはあるのだろうと思いますが、企業からこういう主張があったというのがまず 各項目について書かれています。そして、43ページの4行目から、この場合、機構はこ のように考えるということで、企業からの説明がまずあって、それに対して機構の考え方 が整理されているというような作りになっています。そういう意味で、機構の考え方に間 違いがあったかと言われますと、次からもう少し勉強しろという手もあるかもしれません が、間違いとまで言われるようなところではないのではないかと、私どもは考えている次 第です。 ○首藤部会長代理 分かりました。そういうことです。それでは、改めて、裁決に加わら ない先生がおられますが、その上で本件を裁決したいと思います。添付文書を改めるとい うこと、それが次回のこの部会に出てくるということですので、そういう下で本件を承認 してよろしいかお伺いします。反対の意見はないということでよろしいですか。 ○飯沼委員 これは、賛成と反対の数を全部数えておいた方がいいと思います。後々。こ れを、今日ここでどうしても決めなければいけない理由はないでしょう。その統計の解釈 が、もしかすると間違っているかもしれないという御意見もあるわけですから。 ○首藤部会長代理 課長はどのようにお考えになりますか。 ○審査管理課長 飯沼委員がおっしゃるとおり、賛成、反対を数えるというのは、議決を するわけですから、ある意味、当然の御判断だろうと思うわけです。加えて申し上げます と、次回送りというのも当然あるのだろうと考えますが、それは議事進行の問題であって、 事務局がどうのこうの言う話ではなかろうかと思います。 ○首藤部会長代理 大変難しい判断です。何か御意見はありますか。 ○成冨委員 意見と言いますか、今までに男性だけ、ないしは女性だけに適応のある薬剤 というのは、ホルモン関係以外の一般的な疾患でありますでしょうか。そのような薬剤が 存在するか否かが分かれば、参考になるだろうと思いますが。 ○新薬第一部長 現在、調査した限りですが、男性成人脱毛症、プロペシアが、いわゆる 男性におけるということで、男性限定になっている例があります。 ○成冨委員 実は以前、10何年か前に、脳循環代謝改善薬の再評価を行ったときに、あ る年齢層以下だけ効果が認められ、それ以上の高齢者では有効性がみられないことがあり ました。そこで、ある委員が何歳以下に限って使用を認めるべきであると主張されました。 しかし、ある年齢以下に限って使用を許可するという前例はなく、その主張はしりぞけら れました。今回も少し似たようなケースかなと思います。女性が効かないかどうかという のも、例数が少ないので本当はよく分からないというところもあるかなという気がします が。 ○首藤部会長代理 ほかに何かありますか。どういう裁決にもっていくかということも含 めて御意見をください。 ○審議役 今の成冨委員の御指摘の部分の話について少しだけ御説明します。統計上のト リックで一部だけを切り取ってというお話、そういう御懸念と理解します。これに関して、 今回のものは、試験全体としては、男性、女性、全部を入れてプラセボとの間にはっきり した有意差が出ている。全体としてまず有意になっている。ただ、その中の、あらかじめ 層別解析で予定していた男性、女性、その階層を見たときに、女性のところでの有効性・ 安全性のプロファイルが非常に劣るという所見があって、それに基づいて絞り込むという 判断ですので、後付け、後知恵という話とは違うものです。そういう意味では、かつての、 脳循環の再評価のときに議論された、そういった問題とは異なると思います。 ○成冨委員 男性・女性を合わせた全例の解析で有効性が出ているわけですから、あえて 例数の少ない女性だけを取り上げて女性は駄目と言う必要はないのではないでしょうか。 十分な例数があって結果が悪かったのであれば仕方がないと思いますが、実際には、女性 の例数が少なかったので、有効性を証明できなかっただけではないのでしょうか。 ○審議役 加えて申し上げますと、まさしくそうおっしゃられる部分、例数の問題という 点も、相対的には少ない、それは確かです。ただ、余りにも少なくて物が言えないほど、 そこまで少ないわけでもないですし、見られている様子からしますと、用量も含めて、女 性における有効性・安全性をもっと検討する余地があるのではないかと考えられるところ があります。今回の試験のセッティングは、男女を混ぜて用量の設定を行った上で第III相 試験に入っているという経緯ですので、その意味では、この第III相試験の結果に基づいて 考えられることは、ドーズレベルをもっと下げないと、女性の場合の有効性・安全性のバ ランスのとれた領域が見えていない、そういう考え方も有力な視点としてあります。  そういうことを斟酌しまして、現状では有効性・安全性はよく分からないという表現を 審査チームとしてはしたというところであります。ただ、このものの今のこの承認内容で いった場合、現場においては、用量を下げようなどと考えるよりは、男性の用量をそのま ま女性に使ってしまうということが懸念されるという御指摘だと思いますので、それはそ のとおりだと思います。そういう意味で女性に対する使用を厳重に警戒するようなもっと 詳しい表現をする、そういう御指摘に対してはしっかり対応させていただきたいと考えて いる、そういうことになります。 ○村勢委員 統計に明るい方はここにいらっしゃるかどうか。要するに、そういうことに なると思うのです。少ない、多いというような問題は、統計処理というのは、その辺のこ とを抜きにして有意差があるかどうかということをきちんと見るのではないかと思うの です。後付けうんぬんという話が出ましたが、後からこれはやっぱり少なかったからなど というのもいけない、プロトコルの欠陥だと思いますし、今はこのデータでディスカッシ ョンしなくてはいけない。では、このデータをどのように見るかというのは、統計の専門 家にきちんとそれなりの評価をしていただくということが最初かと思います。 ○林委員 一応、統計の専門家ということでコメントさせていただきます。先ほど説明が あったように、いわゆる有意差があるかどうかということを指標に評価していくという手 順ですと、この評価の手順は通常どおりのものであったと思います。層別をして、多分、 効果も余りなく、逆にリスクが高いだろうと思う部分を除いたというのが今のスタイルに なっていると思います。  問題は、男性の方でベネフィットが本当にリスクを上回っているかどうかをどう判断す るかというところだと思うのです。これは、安全性、効果、それぞれ、有意差があるとい うことだけを指標にしては、多分、議論ができないと思います。先ほど永井先生から御指 摘があったとおり、プラセボでも実薬の半分くらいは効いているではないかというところ で、通常、そういうときによく使われるのがNNTという指標で、1人余計に改善するた めに一体何人投与するのかということを見ると、大ざっぱに言うと、多分4人だと思いま す。4人余計に投与すると、1人が、今まで改善が得られなかったものが余計得られる。 1人は、プラセボを飲んでも得られる。残りの2人は、飲んでも改善しない。大ざっぱに そのような形だと思うのです。それが、先ほど村勢先生などが指摘されている、リスクの 部分がそれに勘案して上回るかどうかというところかなと思います。それは当然、プラセ ボ対照なので、ほかに類薬など、もっと標準に使われるものがもしもあれば別ですが、今 もしもそれがないという前提では、そのように勘案するのかなと思います。 ○首藤部会長代理 結構、議論が尽きないかと思いますが、先ほど飯沼委員が御提案され たように、裁決するか、あるいは次回に延ばすかということですが。 ○野田委員 添付文書案の確定したものを見せていただいてから判断するということで いかがでしょうか。 ○首藤部会長代理 私も今、それを提案しようかなと思ったところです。ということは、 次回ということでしょうかね。 ○審査管理課長 事務局としては、それで差し支えございません。 ○首藤部会長代理 それでは、今日、大変たくさんの活発な意見が出た品目です。いろい ろ記録にも残っていることと思いますので、よく検討して、この次はすっきりと一瞬で通 る添付文書を作ってほしいと思います。大変長らく時間をとりましたが、第1議題は、次 回繰越しということです。どうもありがとうございました。どうぞ、野田委員。 ○野田委員 恐らく男性の患者さんには、これが早く出ればいいと思っている方も多いと 思うのですが、女性に拡大して使われることを現時点でとどめ置きつつ、女性を再評価す るというような方向性が必要なのではないかと私は思います。 ○首藤部会長代理 それと関係する意見ですが、添付文書で高齢者と小児は有効性・安全 性が確認されていないという言葉が常に使われるのですが、それは使っていいですよとい うのに近いなと多くの人は考えているかと思います。ですから、その辺の台詞も考えて、 名文を作っていただきたいと思います。よろしいですか。それでは、第1議題はここで終 了いたします。 ── 千葉委員入室 ── ○永井部会長 それでは議題2にまいります。機構から、概要の御説明をお願いいたしま す。 ○機構 議題2、資料2、医薬品アトワゴリバース静注シリンジ3mL及び同静注シリン ジ6mLの製造販売承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明させてい ただきます。  本剤の有効成分であるネオスチグミンメチル硫酸塩及びアトロピン硫酸塩水和物は、手 術終了時に残存する非脱分極性筋弛緩剤の作用を減弱し、患者の自発呼吸を速やかに回復 させ、かつ副作用を抑えるために医療機関において調製され使用されておりますが、その 際には小容量のアンプルを3〜6本混合する必要があります。その調製過程における菌や 異物の混入、混合量の過誤等が生じる可能性があることから、平成17年4月1日付けで 日本麻酔科学会よりネオスチグミンとアトロピンをあらかじめ配合した製剤が必要であ る旨の要望が厚生労働省医薬食品局審査管理課に提出されておりました。それを踏まえ て、申請者は開発に着手し、文献調査等を行った結果、これらの医薬品の併用は医学薬学 上の公知と考え、本申請に際し新たな非臨床試験及び臨床試験を実施せず、本剤の各成分 の単回静脈内投与試験に関する公表論文及び配合比率に関する調査結果等を基に申請を 行っております。  本申請の専門委員としましては、資料9に示されています4名の委員を指名しておりま す。  審査内容について、説明させていただきます。  品質、薬理、薬物動態及び毒性については、特に大きな問題はないと考えております。 なお、ネオスチグミンメチル硫酸塩とアトロピン硫酸塩水和物の混合により、pHを3.5 〜4.5とすることで3年間安定であることが示されております。  次に臨床成績について説明させていただきます。  本剤は、ネオスチグミンとアトロピンの配合剤であり、ネオスチグミンの非脱分極性筋 弛緩剤の作用の拮抗に対する使用は、国内外の成書及び国内ガイドラインにおいても広く 認識されており、アトロピンについても、ネオスチグミン使用時のムスカリン作用を防止 するために併用することが広く認知されております。また、申請者が実施したネオスチグ ミンとアトロピンの配合比率に関する調査において、ネオスチグミンとアトロピンの投与 方法は「混合して投与」が82.9%と示されております。また、配合比率に関しても「2: 1」が74.1%であったことから、本剤の有効性は、医学薬学上の公知として判断してお ります。  また、公表論文等におきまして、ネオスチグミンとアトロピン混合投与で認められた有 害事象は、徐脈等がありますが、これらの事象については既承認のネオスチグミン製剤や アトロピン製剤においても報告されており、それらの製剤と同様に添付文書により注意喚 起すること、また、混合投与が既に臨床応用されていることを考慮しますと、特に安全性 上の問題はないと考えております。  以上の審査を踏まえまして、本剤の非脱分極性筋弛緩剤の作用の拮抗に対する効能・効 果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判 断いたしました。製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも 該当しないと判断しております。また、本剤の再審査期間については、当初付与する必要 はないと考えておりましたが、その後、厚生労働省とも検討しました結果、日本の医療現 場での配合剤の歴史は浅く、より慎重に対応する必要があり、配合比率の適切性等を確認 することが妥当と考え、現時点では、本剤について再審査期間を4年とすることが適切と 判断しておりますので、本部会でもこれを踏まえて御審議いただきたくお願い申し上げま す。なお、薬事分科会には報告を予定しております。  以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございます。御質問、御討議をお願いします。既にこのような 使い方、混合して使うというのは、臨床の現場で行われているということですね。 ○機構 そのとおりです。 ○永井部会長 そのときの混合比率と今回の比率の違いはどうなのでしょうか。 ○機構 混合比率に関しては、調査結果に基づくと2:1とされているのが最も多く、合 計108施設を調査しておりますが、そのうちの100施設で2:1の配合で使われているの が現状です。ほかには、5:2、若しくは1:1、若しくはその他というところもあります が、多くの施設では2:1で使用されているのが現状になっております。 ○永井部会長 今回の申請では、特に非臨床、あるいは治験も行われていなかったという のは説明ができるのでしょうか。 ○機構 非脱分極性筋弛緩剤の作用の拮抗に関しては、ネオスチグミンの承認に際して、 アトロピンと併用することを適応外通知に基づき審査しております。そのことを踏まえ て、今回の申請に関しても、そのようなデータがなくとも問題ないと考えております。 ○本橋委員 これは主にベクロニウムを対象にして使う薬ではないかと思うのですが、作 用時間の短い非脱分極性筋弛緩剤が最近使われるようになっています。そういったものが 使われるようになっても、これは必要になるのでしょうか。その辺りを教えてください。 ○機構 確かに、他剤で、最近承認されたロクロニウムの方が出ておりますが、こちらに 対しても、これが現場で実際に使用されるかどうかに関しては、そこまでアンケート調査 等は行っておりません。しかしながら、作用機序から考えて、コリンエステラーゼの阻害 によってコリン作用を働かせることを考えれば、非脱分極性筋弛緩剤を使っている場合に おいて、筋弛緩剤のリバースということを考えれば、使われると考えております。 ○永井部会長 ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。もし御意見等がなければ、議 決に入りたいと思います。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議が ないようですので、承認可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。  議題3ですが、これは首藤部会長代理に進行をお願いします。 ○首藤部会長代理 議題3に入ります。総合機構から説明をお願いします。 ○機構 議題3、資料3、医薬品マクジェン硝子体内注射用キット0.3mgの製造販売承認 の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  本剤の有効成分であるペガプタニブナトリウムは、米国NeXstar Pharmaceuticals社(現 (OSI)Eyetech社)で開発された選択的なVEGFの阻害薬であり、ポリエチレングリ コールが結合したオリゴヌクレオチドとなっております。オリゴヌクレオチド部分に関し ては、VEGFのアイソフォームのうち、病的新生血管に関与すると考えられております VEGF165に選択的に結合するように設計されたアプタマーとなっております。海外では 2004年12月に米国で中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性症に対する効能・効果 で承認されており、2008年1月現在、本剤は米国、英国等53か国で承認されております。 なお、類薬としてはベルテポルフィン、販売名で言うとビスダインがあります。  本申請の専門委員としましては、資料9に記載されております8名の委員を指名してお ります。  審査内容について、説明させていただきます。  品質、薬理、薬物動態及び毒性につきましては、特に大きな問題はないと考えておりま す。なお、本薬の作用機序は、脈絡膜でのVEGF過剰分泌による脈絡膜新生血管の誘発 に対し、本薬がVEGF165と結合することで、VEGF165の受容体への結合を阻害するこ とにより、脈絡膜新生血管の形成を抑制すると考えられております。  次に臨床試験成績について説明させていただきます。  有効性につきましては、国内臨床試験で主要評価項目であるベースラインから初回投与 54週後までのETDRS視力表を用いた視力変化で、本剤は0.3mg群で-3.8文字、1mg群で -4.3文字という結果が示されております。国内臨床試験におきましては、本剤による治 療を行わないシャム群が設定されておりませんが、海外臨床試験におきましては、本剤群 はシャム群に比較してベースラインから初回投与54週後までの視力低下を有意に抑制し ていること、公表文献等において国内外での加齢黄斑変性症患者における視力推移の自然 経過に関しては同様であると考えられていること、国内臨床試験成績での視力推移が海外 臨床試験成績と比べ劣るものではなかったことを踏まえますと、日本人での本剤の有効性 は示されたと判断しております。また、本剤の0.3mg群と1mg群の臨床効果に関しては ほぼ同様であり、本剤の有効性は0.3mgでプラトーに達していると考えられ、本剤0.3mg を至適用量とすることに関しては妥当と判断しております。  安全性につきましては、結膜出血、角膜炎、眼内炎及び眼圧上昇等の眼局所における有 害事象が主に認められております。多くは硝子体内投与という本剤の投与手技に起因する 事象と考えられており、本剤との因果関係を関連付けることは困難と考えております。ま た、国内臨床試験では認められておりませんが、本剤の薬物過敏症とされる有害事象が海 外では認められております。本剤は希少疾病用医薬品であり、国内での治験症例も限られ ていることから、本剤が投与された全例を対象とした製造販売後調査を実施することを承 認条件とし、これらの眼局所及び過敏症等の有害事象等の集収、評価を行うことが適切と 判断しております。  以上の審査を踏まえまして、本剤の中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性症に対 する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくこ とが適当と判断しました。本申請は新有効成分含有医薬品であり、希少疾病用医薬品であ ることから、再審査期間は10年、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定 生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会は審議を予 定しております。  以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○首藤部会長代理 どうもありがとうございました。加齢黄斑変性症という大変難しい病 気で、多分、過去で一番難しい構造の医薬品ではないかという感じがする化合物です。御 意見、御質問はいかがですか。品質の問題、また、硝子体の中に直接注射するという特殊 な投与経路です。 ○澤田委員 アナフィラキシーの話が大分書いてあります。海外では既に4年くらいの経 験があると思うのですが、その頻度は実際にはどのくらいで、作用機序はまだ全然分かっ ていないのでしょうか。その辺りの情報で、最近何か追加がないかどうか、あれば教えて いただければと思います。 ○首藤部会長代理 海外の情報についてということです。 ○機構 海外では、2004年12月17日に米国で初めて承認されておりますが、そこから 2007年12月31日までの結果で、市販後の報告の中で21例、過敏症/アナフィラキシー に関する有害事象が認められております。この症例数は21例ということではあるのです が、この間に本剤が投与された症例数として申請者が計算したところ、約79,000人には 投与されており、その患者に計20万回くらいは使われているだろうということを踏まえ ると、発現頻度は非常に低いものと考えられております。 ○澤田委員 興味があるのは、実際の作用機序でポリエチレングリコールが関係している のか、RNAの方が抗原になっているのか、それとも補体をただ単純に活性化しているの か、その辺りの情報はまだ分かっていないのでしょうか。 ○機構 申請者側の方で、外部専門家を集めて、ただ今検討されているところですが、ま だ明確にはなっておりません。 ○野田委員 海外での適応はこれのみに限られているのでしょうか。ほかにも関係する疾 患があるのではないかと思うのですが。 ○機構 本薬については、加齢黄斑変性症、眼の投与だけに限っております。 ○野田委員 網膜疾患でいかがでしょうか。VEGFが関与する血管増生を伴う疾患には 効果があるのではないかと思うのですが。 ○機構 海外でも加齢黄斑変性症のみに限っています。 ○首藤部会長代理 これは希少疾病用医薬品に指定されている品目ですが、ほかにいかが ですか。 ○永井部会長 眼圧が上がるようなのですが、緑内障は禁忌でなくてよろしいのですか。 慎重投与でよろしいのですか。もう一つは、半減期がどのくらいなのか。6週ごとに1回 の投与ということですが、半減期のデータがあれば教えてください。 ○機構 眼圧上昇については、投与1日後には結構上昇するのですが、投与1週間後には 元の眼圧に戻っています。ただ、眼圧が上昇しますので、今回眼圧の高い患者を組み入れ ている中で国内での臨床試験を行っておりますが、そういった患者を組み入れても安全性 に関しては特に大きな問題は起きていないことから、緑内障、高眼圧症の患者に対しては 慎重投与という扱いにさせていただいております。  半減期に関しては、6週間に1回投与するということではあるのですが、その半分、3 週間で血漿中からは消失、定量下限以下になるということです。 ○永井部会長 血漿ではなくて、硝子体内での濃度です。 ○機構 硝子体内濃度は、人では測定できていないので、明確なことは申せませんが、動 物では約1週間となっております。 ○首藤部会長代理 よろしいですか。ほかにないようでしたら、議決に入りたいと思いま す。鈴木委員、永井委員、本橋委員におかれましては、薬事分科会申合せに基づき、議決 への参加を御遠慮いただくことにします。本議題を承認可としてよろしいでしょうか。御 異議がないようですので、承認可ということにいたします。これは、薬事分科会に上程し、 審議する品目です。 ○永井部会長 議題4に入ります。事務局から概要の御説明をお願いします。 ○事務局 ナタリズマブを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、資料4 に基づいて御説明いたします。資料4の「事前審査評価報告書」を御覧ください。医薬品 医療機器総合機構が事前評価を取りまとめておりますので、対象患者数、医療上の必要性、 開発の可能性の三点について御説明します。  品目の名称はナタリズマブ、予定される効能・効果は、本剤の単剤投与による、再発型 多発性硬化症の進行抑制及び再発予防、申請者はバイオジェン・アイデック・ジャパン株 式会社です。  対象患者数についてですが、2004年度の厚生労働科学研究の難治性疾患克服研究事業 では、診断基準に合致するものが9,900人となっています。また、多発性硬化症に対する 特定疾患医療受給者証の交付を受けた件数は、2006年で11,938件となっています。推定 患者数については1989年に実施された疫学調査時の3,700人と比較して増加しています が、毎年の増加患者数が数百人のペースであると推定しても、現在の患者数は10,000〜 15,000人であり、希少疾病用医薬品の指定要件である5万人以下を満たすものと判断し ております。  医療上の必要性についてですが、多発性硬化症は、髄鞘障害を惹起する炎症と様々な程 度の軸索損傷を特徴とする中枢神経の自己免疫疾患と考えられており、中枢神経症候が時 間的、空間的に多発することを特徴とする炎症性脱髄疾患です。  現在、治療薬はインターフェロンβ-1bが再発予防及び進行抑制に対して、インター フェロンβ-1aが再発予防に対して承認されていますが、再発率は減少するものの、な お多くの患者で再発しており、また、副作用として初期のインフルエンザ様症状やインタ ーフェロンβ-1bにおける注射部位症状などの問題もあります。また、これらは自己注 射製剤ですが、投与回数はインターフェロンβ-1bが隔日、インターフェロンβ-1aが 週1回であり、患者の負担も大きくなっています。本剤は、マウス骨髄腫細胞株から産生 された組換え型ヒト化α4インテグリン抗体であり、選択的接着分子阻害薬の一つです。 海外の臨床成績でも本剤の単剤投与により、既存のインターフェロンに比較して、再発率 の低下等が示されており、日本人患者においても有効性が期待され、4週間に1回投与の 利便性からも、本剤は多発性硬化症の治療に貴重な選択肢を与えるものと考えられます。  本剤の開発の可能性についてですが、FDAやEUにおいても、多発性硬化症に対して 承認されています。国内でも、第II相臨床試験が計画されています。海外では、本剤投与 による進行性多巣性白質脳症発現の報告があり、十分な注意が必要ですが、慎重な投与計 画により使用されるのであれば、国内における本剤の開発の可能性はあると考えられま す。  以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の三点を考えると、本剤については 希少疾病用医薬品としての要件を満たすと判断しております。御審議のほどよろしくお願 いします。 ○永井部会長 ありがとうございました。御質問、御意見をお願いします。村田委員、御 専門の立場から何か御意見はありませんか。 ○村田委員 欧米では、多発性硬化症の患者はかなり多いので、薬もかなり開発が進んで いるのですが、日本では、海外に比べるとドラッグラグが非常に大きいのです。患者が非 常に若い方が多くて、本来タックスペイヤーであるべき人がタックスペイヤーになれない という状態になっていて、是非とも必要な薬ですので、早くやっていただきたいと思いま す。希少疾患であるということに関しては、全く問題はないと思います。 ○川西委員 この薬剤に関しては、未承認薬使用問題検討委員会で審議して、やはり早期 に使用できるようにした方がいいという結論です。FDAの方で有害事象と関係する可能 性が考えられたため一時差止めがありましたが、その後の経過を見ると、それほどのこと ではないという結論のようです。ですから、私もこれに関してはこのような手続を支持し ます。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。御質問、御意見がないようでしたら、議決に入りま す。本議題について指定可としてよろしいでしょうか。御異議がありませんので、指定可 として、薬事分科会に報告とさせていただきます。  次に、報告事項に移ります。御説明をお願いします。 ○機構 議題1「医薬品イオメロン350及び同シリンジの製造販売承認事項一部変更承認 について」です。資料5になります。本剤は、ヨード系造影剤であり、現在は「心臓血管 撮影、胸部血管撮影、腹部血管撮影、四肢血管撮影、ディジタルX線撮影法による静脈性 血管撮影、ディジタルX線撮影法による動脈性血管撮影、コンピューター断層撮影におけ る造影、静脈性尿路撮影」の効能・効果で承認されております。今般、ブラッコ・エーザ イ株式会社から、肝臓領域のダイナミックコンピューター断層撮影における造影の新用量 を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。医薬品医療機器総 合機構における審査の結果、承認して差し支えないと判断いたしました。  議題2「医薬品アリクストラ皮下注1.5mg及び同皮下注2.5mgの製造販売承認事項一部 変更承認について」です。資料6になります。本剤は、合成Xa阻害剤であり、現在は「静 脈血栓塞栓症の発現リスクの高い、下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の 発症抑制」の効能・効果で承認されております。今般、グラクソ・スミスクライン株式会 社から、「静脈血栓塞栓症の発現リスクの高い、腹部手術施行患者における静脈血栓塞栓 症の発症抑制」の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされた ものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、承認して差し支えないと判断い たしました。  続いて、議題3「医療用医薬品の再審査結果について」、5品目まとめて報告いたしま す。資料7-1は、一般的名称は「トコンシロップ」、販売名は「トコンシロップ「ツムラ」」 の医薬品再審査確認等結果通知書です。資料7-2は、一般的名称は「クエン酸モサプリド」、 販売名は「ガスモチン他」の医薬品再審査確認等結果通知書です。資料7-3は、一般的名 称は「塩酸オルプリノン」、販売名は「コアテック他」の医薬品再審査確認等結果通知書 です。資料7-4は、一般的名称は「ミルリノン」、販売名は「ミルリノン原末他」の医薬 品再審査確認等結果通知書です。資料7-5は、一般的名称は「ジクロフェナクナトリウム」、 販売名は「ボルタレンゲル1%他」の医薬品再審査確認等結果通知書です。これらの品目 につきまして、市販後の使用成績調査、市販後臨床試験、特別調査の成績等に基づいて再 審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否 事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項につ いて変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。 ○永井部会長 ありがとうございます。何か御質問等はありますか。ないようでしたら、 ただ今の事項については御確認いただいたということにします。  事務局から、何か連絡事項はありますか。 ○機構 最後に、一つ御報告したい事項があります。当日配付資料10を御覧ください。 前回、2月に開催された医薬品第一部会において、イルベサルタンの審査をいただき、イ ルベサルタンのアンジオテンシンII受容体拮抗作用における阻害様式を示す 「Insurmountable」という用語について、適当な日本語が見付からなかった旨を御報告し ましたが、部会の御指摘を踏まえ再度調査した結果を、本日御報告したいと思います。  アゴニストによる用量反応曲線を右側に移動させる様式を「competitive(競合性)」あ るいは「surmountable(克服性)」であるといいますが、「insurmountable」阻害は、 「surmountable」ではない阻害様式ということで、「in-surmountable」、あるいは 「un-surmountable」、「non-surmountable」といった用語のほか、 「apparent-competitive」、「pseudo-competitive」という用語で使われていることが多 いようです。全く違う阻害様式である、用量反応曲線を右側に移動させずに最大効果を減 少させる非競合性阻害ということで使われている「non-competitive」阻害とちょうど中 間的な、併せ持ったような阻害様式として、単純に用量反応曲線を右側に移動させるだけ ではなく、同時に最大反応をも抑制する阻害様式として用いられているようです。  次のページに、実際のイルベサルタンの審査報告書の該当部分を抜き出してあります。 実際にそのような意味として示しているわけですが、前後の流れと一緒に御覧いただきま すと、そのようなものも理解いただける表現になっているのではないかと考えておりま す。  また、会議の席で「申請者が呼ぶところの「insurmountableな拮抗阻害」」という用 語に審査報告書の当該箇所を改めることを検討する旨を発言しましたが、今申し上げたと おり、実際に「insurmountable」という用語はかなり広範に使われている一般的な用語で、 英語でもいろいろな表現が使われている状態で、日本語についても定説がありません。ま た、前例においても、類薬であるテルミサルタン及びオルメサルタンにおいても同様の用 語「insurmountable」という形で使っていることから、あえて用語の変更をせずに、この ままの記載にしようと考えました。 ○永井部会長 ありがとうございました。何か御質問等はありますか。よろしいでしょう か。  それでは、事務局から連絡をお願いします。 ○事務局 次回の部会ですが、既に御案内のように、5月26日(月)午後4時から開催さ せていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。 ○永井部会長 それでは、本日はこれで終了します。どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 河野(内線2746)