08/04/11 第1回今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会 議事録 第1回 今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会(議事録) 1.日 時:平成20年4月11日(金)15:00〜17:07 2.場 所:厚生労働省9階 省議室 3.出席構成員:       伊澤構成員、上ノ山構成員、大塚構成員、尾上構成員、小川構成員 坂元構成員、佐藤構成員、品川構成員、末安構成員、田尾構成員、谷畑構成員、寺谷構成員、長尾構成員、中島構成員、長野構成員、樋口構成員、広田構成員、町野構成員、三上構成員、安田構成員、山根構成員、良田構成員  厚生労働省:       中村社会・援護局長、中村障害者保健福祉部長、川尻企画課長、蒲原障害福祉課長、福島精神・障害保健課長、北障害保健対策指導官、塚本課長補佐、大重課長補佐、名越課長補佐、野崎課長補佐、黒岩課長補佐、矢田貝課長補佐、武田専門官 4.議 事  (1) 精神保健医療福祉の改革の経緯及び現状について  (2) 今後の議論の進め方について  (3) その他 5.議事内容 ○名越課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「第1回 今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」を開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御参集をいただきまして誠にありがとうございます。 私、座長が決まるまでの間、進行役を務めさせていただきます精神・障害保健課の名越と申します。 議事に先立ちまして、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長、中村よりごあいさつを申し上げます。 ○中村障害保健福祉部長 障害保健福祉部長の中村でございます。検討会のスタートに当たりまして一言ごあいさつを申し上げます。 皆様方におかれましては、このたびは大変お忙しい中、構成員として御就任をいただきましてありがとうございます。本検討会は、今後の精神保健医療福祉行政の展望を大きく開くために非常に重要なものであると考えております。ぜひとも皆様方の御経験や御見識を遠慮なく御披瀝をいただければと思っておりますのでよろしくお願いいたします。 精神障害の分野では、精神疾患を有される方が平成17年の時点で300万人を超えるとともに、精神疾患の多様化に伴いまして対応すべき領域が広がってきております。入院医療について見ますと、統合失調症の入院患者さんの減少傾向が続く一方で、高齢化を背景といたしましてアルツハイマー病を含む認知症の入院患者さんが増加をしてきております。また、通院医療を見ますと気分障害、ストレス性障害や認知症の患者さんが増加をしております。 このように、精神科医療におけます疾病構造の変化が起こってきておりますので、これまでの統合失調症を中心とした疾病モデルへの対応から認知症や発達障害など新たな領域への対応が必要となってきております。 一般医療の分野におきましては、さきの医療制度改革におきまして、医療計画制度の見直しが行われておりまして、がん、脳卒中、小児医療、周産期医療といった4疾病5事業について疾病・事業ごとに医療連携体制を構築し、それを医療計画へ明示することとされておりますが、ここに精神科医療は含まれておりません。今後の精神科医療政策につきましては、急性期、慢性期といった病状期に応じた対応はもちろんのこと、疾患ごとに精神科医療のあり方を提示し、医療機能の分化・連携を進めていく必要があると考えておりますので、精神科医療提供体制を再構築するという命題の下で、医療計画への位置付けの充実などの制度的対応を含めまして、地域で患者さんがきちんと医療を受けられるような体制づくりを行っていくべきであろうと考えておるところでございます。 一方で、精神病床にはいまだに5年、10年を超えて長期に入院されておられる患者さんがおられます。入院患者総数に占める割合は、入院期間5年以上で約4割、10年以上でも約4分の1となっております。その中には「受入れ条件が整えば退院可能」とされている患者さんも含まれております。これは入院医療中心であった我が国の精神障害者施策の結果でありまして、行政としてその反省に立って精神保健医療福祉の改革ビジョンの理念でもある「入院医療中心から地域生活中心へ」という政策の転換をより確かなものとし、長期に入院されてきた方々にも、それぞれの方にふさわしい生活を送れるような体制づくりを急いで進めていかなければならないというふうに考えております。 そのためにも地域において精神障害の方々の生活を支援する体制の一層の充実を図らなければなりません。障害者自立支援法で福祉サービスについて一定の制度的枠組みが整備されたとはいいながら、精神障害につきましては他の障害に比べると体制整備が大きくおくれております。また、精神障害につきましては他の障害に比べまして、医療のかかわりが非常に深い障害でございます。長期入院患者を含め精神障害の方が地域において自立して当たり前に生活を送れるように住まいの場、日中活動の場、通院・在宅医療の整備など地域生活支援体制全般にわたり充実を図っていきたいと考えております。 以上、申し上げましたとおり、精神障害者施策につきましては、医療分野でも福祉分野でも依然として大きく立ち遅れておりますので、その改革が急務でございます。検討に際しましては、我が国の現状にとらわれず諸外国の状況など視野を広く持ち、かつ精神障害者の生活を第一として本来あるべき精神保健医療福祉の姿は何か、その視点に立って障害保健医療福祉施策全体を抜本的に見直していきたいと考えておりますので、構成員の皆様方におかれましても御協力をお願いいたしたいと思います。 よろしくお願いいたします。 ○名越課長補佐 続きまして、本検討会構成員の皆様を御紹介させていただきます。お手元の資料の中に参考資料1というのがございまして、検討会の構成員名簿がございますので、詳しくはそちらを御参照いただければと思います。五十音順に当方で御紹介をさせていただきます。 特定非営利活動法人 全国精神障害者地域生活支援協議会・伊澤構成員でございます。 社団法人 日本精神神経科診療所協会・上ノ山構成員でございます。 社団法人 日本精神保健福祉士協会・大塚構成員でございます。 社会福祉法人 全国精神障害者社会復帰施設協会・尾上構成員でございます。 社団法人 日本看護協会・小川構成員でございます。 特定非営利活動法人 十勝障がい者支援センター・門屋構成員でございますが、本日は御欠席の連絡をいただいております。 続きまして、全国衛生部長会・坂元構成員でございます。 日本総合病院精神医学会・佐藤構成員でございます。 特定非営利活動法人 ほっとハート・品川構成員でございます。 社団法人 日本精神科看護技術協会・末安構成員でございます。 社会福祉法人 巣立ち会・田尾構成員でございます。 滋賀県湖南市・谷畑構成員でございます。 山梨県立大学人間福祉学部・寺谷構成員でございます。 社団法人 日本精神科病院協会・長尾構成員でございます。 社団法人 全国自治体病院協会・中島構成員でございます。 特定非営利活動法人 ハートinハートなんぐん市場・長野構成員でございます。 社団法人 全国自治体病院協会・中島構成員でございます。 国立精神・神経センター・樋口構成員でございます。 精神医療サバイバー・広田構成員でございます。 上智大学法学研究科・町野構成員でございます。 社団法人 日本医師会・三上構成員でございます。 読売新聞 社会保障部・安田構成員でございます。 社団法人 日本作業療法士協会・山根構成員でございます。 特定非営利活動法人 全国精神保健福祉会連合会・良田構成員でございます。 なお、本検討会は公開のため、検討会での審議内容は厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定でございますので、あらかじめ御了解くださいますようお願いをいたします。  続きまして、本検討会の座長の選出に移らせていただきます。座長は資料1の検討会開催要綱3の(2)に基づきまして、構成員の互選により決めることとしております。どなたか御推薦いただけませんでしょうか。 ○長尾構成員 はい(挙手) ○名越課長補佐 長尾構成員。 ○長尾構成員 樋口構成員を推薦します。 ○名越課長補佐 いかがでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○名越課長補佐 それでは、樋口構成員を御推薦いただきまして御賛同を得られましたので、樋口構成員におかれましては座長席のほうへお移りください。 (樋口構成員座長席に着席) ○名越課長補佐 以降、樋口座長に進行をお願いしたいと思います。 ○樋口座長 御指名をいただきました国立精神・神経センターの樋口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。大役でございまして、皆様の御協力を得て役割を果たさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  本日の議事次第がお手元に配られております。これに従いまして、これからの議事を進めてまいりたいと思います。  まずお手元にたくさんの資料が配られているようでございますが、資料1、「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会 開催要綱」について、事務局より説明をしていただきたいと思います。 ○福島精神・障害保健課長 精神・障害保健課長の福島でございます。委員の皆様方におかれましては大変御多用の中、構成員に御就任いただきまして改めて御礼を申し上げます。 それでは、私のほうから、本検討会の開催趣旨について、開催要綱に従いまして御説明をしたいと思います。 まず趣旨でございますが、精神保健医療福祉につきまして、平成16年9月に決定いたしました「精神保健医療福祉の改革ビジョン」、これは大臣を本部長とする省内の精神保健福祉対策本部が提示したものでございますけれども、このビジョンにおきまして、「入院医療中心から地域生活中心へ」と、こういう基本的な考え方を提示し、それに従いまして、これまで、障害者自立支援法の制定、あるいはこの間の診療報酬改定等を通じていろいろな対策を講じてきたところでございます。 このビジョンにつきましては、概ね10年間の精神保健医療福祉の見直しに係る具体的な方向性を明らかにした上で、「今後10年間を5年ごとの第一期と第二期に区分し、第一期における改革の成果を評価しつつ、第二期における具体的な施策を定める」と、こういうふうにしておりまして、16年9月に定めたものでございますから、21年9月、来年の9月が中間点ということになっておりまして、それ以降の後期5年間の重点施策の策定が必要となってきておるわけでございます。 このため、精神保健医療福祉を取り巻く環境の変化等を踏まえてビジョンに基づきまして、これまで行ってきた改革の成果を検証いたしますとともに、受入条件が整えば、退院可能な患者さんを含めた長期入院患者の地域生活への移行支援策やあるいは精神医療の質の向上に向けた方策など、今後の精神保健医療福祉のあり方について、客観的なデータに基づいた本格的な検討を行う場としてこの検討会を開催させていただくこととしたところであります。 2の検討事項でございますけれども、検討事項としては3つの柱を立てております。 まず、(1)地域生活支援体制の充実ということでございますが、障害者自立支援法の制定によりまして、福祉サービスにつきましては一定の制度的枠組みは整備されてきたわけでございますけれども、やはり3障害の中で比べますと、その体制整備というものはまだまだ遅れておりまして、今後、居住の場の確保、必要な医療福祉サービスの確保、精神障害者のニーズに応えられるような体制の充実、こういうものを図っていくことが課題となっておりますので、こういう対応についての検討をお願いしたいと思います。特に「受入条件が整えば退院可能」な患者さんを含めた長期入院患者の方の地域生活への移行、あるいは定着を支援することも大変重要な課題でございますので、この支援策についても併せて御検討をお願いしたいと思います。 (2)が精神保健医療体系の再構築ということでございますが、先ほど言いましたように、これまで診療報酬改の何回かの改定によりまして、入院医療の急性期への重点的評価、あるいは入院患者の退院促進の評価の充実ということを行ってきたわけです、それについては一定の成果を上げておりますけれども、病状期や疾患に応じた病床等の機能区分をどうしていくのか、あるいは医療計画における位置付けをどうしていくのか等、制度的な対応というものについてまだまだ多くの課題が残っているわけでございまして、この2つ目の課題を本検討会における検討事項としてぜひ御議論いただきたいと思っております。 (3)が精神疾患に関する理解の深化ということでございますけれども、精神疾患にかかった場合の早期対応を可能とするようなこと、地域生活への円滑な移行のための受入側の意識の変化といいますか、改革といいますか、そういうことを含めた効果的な普及啓発について御検討をお願いしたいと思っております。 以上、この3点について御検討いただきたいと思っておりまして、以下、構成、検討会については、開催要綱にあるとおりでございます。 どうぞ各構成員におかれましては、今までの御経験、御見識を踏まえた御議論をお願いしたいと思います。 以上でございます。 ○樋口座長 ありがとうございました。  続きましてお手元にある資料2「精神保健医療福祉の改革の経緯」、資料3「精神保健医療福祉の現状」というホチキスでとめた2つの資料がございます。この資料につきまして、事務局から説明をいただきたいと思います。 ○野崎課長補佐 精神・障害保健課で課長補佐をしております野崎と申します。私のほうからは、資料2及び資料3について説明させていただきたいと思います。失礼ですが、着席して説明させていただければと思います。  まず、お手元の資料2に基づきまして、精神保健医療福祉施策の改革に向けたこれまでの経緯について御説明を差し上げたいと思います。1ページをおめくりいただけますでしょうか。  1ページは、先ほど話にありました精神保健医療福祉の改革ビジョンを平成16年9月に策定したわけでございますけれども、この策定に向けた議論の経緯をまとめたものでございます。平成14年12月に厚生労働大臣の下に精神保健福祉対策本部を設置いたしまして、平成15年5月に中間報告といたしまして「精神保健福祉の改革に向けた今後の方向について」というものがまとめられたということでございます。  この中間報告に基づきまして3つの検討会が設置されました。  1つは普及啓発に関する検討会、また、地域生活支援の在り方に関する検討会、もう一つが、精神病床等に関する検討会ということでございます。  このそれぞれについて精力的に議論を行っていただき、それぞれの検討会の最終まとめを踏まえまして、平成16年9月に「精神保健医療福祉の改革ビジョン」を策定、そして提示させていただいたわけでございます。  ビジョンにつきましては、その後にまとめられました平成16年10月「今後の障害保健施策について(改革のグランドデザイン案)」、また、それを踏まえて制定されました「障害者自立支援法」の中身にかなり反映されているわけでございます。また、今申し上げましたのは精神障害者福祉の分野でございますが、精神医療の分野におきましても、医療計画における基準病床数算定式の見直しであるとか、あるいは累次の診療報酬改定であるとか、その内容が反映されてきております。 1ページおめくりいただけますでしょうか。2ページ目につきましては、これは改革ビジョンの枠組みをお示ししたものでございます。 ビジョンにつきましては、「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本的な方策に基づきまして、大きく4つの柱を立てております。このうち、特に3つが主な柱ということでございますが、1つは、先ほども申しました国民の理解の深化のための普及啓発をいかに進めていくか。また、精神医療の改革をいかに進めていくか、また、地域生活支援の強化をいかに進めていくかという柱でございます。 また、それに加えまして基盤強化の推進ということについても記載がされております。 ビジョンではこうした主に3つの柱に基づく取組を進めることによりまして、立ち遅れた精神保健医療福祉体系の再編と基盤強化を今後10年間で進めるとされておりまして、その取組を通じまして、今後10年間で、受入条件が整えば退院可能な精神障害者約7万人について、解消を図ることとされているところでございます。 3ページをごらんいただきますと、こちらが「精神保健医療福祉の改革ビジョン」とこれまでの精神障害者福祉あるいは医療の分野における取組を1枚にまとめたものでございます。詳細の説明は割愛させていただきますが、先ほど申しましたように、改革ビジョンが障害者自立支援法の制定を見据えて策定されたこともございまして、この図からもお分かりいただきますように、障害者自立支援法における対応が中心となっているところでございます。 また、医療分野につきましても、医療計画の基準病床算定式の変更であるとか、診療報酬上の評価により一定の対応を図ってきたところでございます。今後福祉分野等での対応の充実に加えまして、医療分野におきましても病床をはじめとして病状期や疾患に応じた機能分化を一層進めていくことが大きな課題となっていると認識しております。 4〜7ページにつきましては、「障害者自立支援法」による対応について詳細をまとめた資料となります。まず4ページは、障害者自立支援法におきましては、3障害の制度格差を解消し、従来の支援費制度で対象外であった精神障害者も対象にいたしました。また、市町村に実施主体を一元化するなど地域における精神障害者福祉の基盤整備について制度的な枠組みを整えたというものでございます。 また、5ページをごらんいただきますと、障害者自立支援法では、大きく分けて3つのサービスがございまして、ホームヘルプやショートステイなどの介護給付、就労支援やグループホームなどの訓練等給付に加えまして、都道府県なり市町村が独自の地域の実情に応じた取組を行っていただけるように相談支援をはじめとする地域生活支援事業というのを位置付けまして、精神障害者を含めた障害者施策全体の支援サービスを用意したというものでございます。 6ページを省略いたしまして7ページをごらんいただけますでしょうか。 障害者自立支援法におきましては、先ほど申しました支援サービスの整備に加えまして、障害福祉計画を各都道府県が策定することといたしました。これに基づきまして、各都道府県における目標数を積み上げたものがこの図になります。各都道府県の障害福祉計画におきましては、入院中の退院可能精神障害者の減少目標値であるとか、障害福祉サービスの見込量を精神障害者の方も含めて記載するということにされておりまして、今後はこの計画に基づく実効ある取組が課題となっております。 8ページをごらんいただけますでしょうか。こちらは、地域における福祉サービスと医療との間をつなぐ入院中から退院に向けた支援を行う事業をこれまで行ってきたところでございますので、その事業について概要をまとめたものでございます。平成15年からモデル事業として、また平成18年からは、障害者自立支援法に基づく地域生活支援事業の必須事業として精神障害者退院促進支援事業というものを実施してまいりました。これは自立支援員という方が、入院中の精神障害者の方に対し入院中から退院に向けて個別の支援を行いまして、長期入院患者を中心といたしまして地域生活への移行を支援していく事業でございます。 9ページでございますが、退院促進事業について、平成20年度予算におきましては大きな見直しを行っております。平成20年度からは「精神障害者地域移行支援特別対策事業」とし新規に約17億円の予算計上をしております。従来の退院促進事業との大きな違いは、これまで退院促進事業ではそれぞれの患者さんに対する個別の支援のみを位置付けていたわけでございますけれども、今回の特別対策事業におきましては、「地域体制整備コーディネーター」という方を配置していただくことといたしまして、言ってみれば個別の支援だけではなくて、地域においていかに地域移行に向けた体制をつくっていくのか、そこの調整をしていただく方を置いていただくこととしたということでございます。 また、この事業につきましては、全国47都道府県全圏域におきまして、事業を実施していただくことをしておりますので、今後大体360〜370圏域ぐらいだと思いますけれども、その各圏域、全国において実効ある地域生活移行への支援といった取組が大きく推進されることを期待しております。 10ページでございますが、こちらは先ほど申しました医療計画における基準病床算定式の見直しについて概要をまとめたものでございます。従来の基準病床算定式は、現状の住民数に入院率を掛けるということで、現状追認型であったというものですが、新しい基準病床算定式につきましては、1年未満群の入院患者さんと1年以上の入院患者さんの群について分け、それぞれ1年未満群については1年後の平均残存率の目標値を定めまして、また1年以上群の患者さんにつきましては、退院率の目標を定めまして、その目標値を病床の算定式に盛り込むことによりまして従来の現状追認型から目標設定型の基準病床算定式に変えたということが大きな趣旨でございます。 11〜13ページは、これまでビジョンに基づいて行ってまいりました診療報酬改定の概要に関する資料でございます。 まず11ページですが、平成18年の診療報酬改定におきましては、1つは入院中の医療ということで、急性期医療への評価を充実しております。また、入院から地域に移行するといった取組を推進するという意味で、退院前訪問指導の評価や退院の促進につながる評価を充実してございます。また、地域に移行された後もきちんと再入院を抑止して地域生活に定着していただけるように精神科訪問看護について充実を行うなど入院中から退院また地域生活までの全体について評価を充実してきたところでございます。 12ページでございますが、平成20年改定におきましても、入院中から退院後まで地域移行支援に係る評価の充実を行っております。この中には、例えば「(4)精神科地域移行実施加算の創設」と書いてございますが、これは長期入院患者を退院させた実績に基づいた評価を行うものを創設するなどその取組をさらに強化しているところでございます。 13ページをごらんいただきますと、先ほど見ていただきましたのが地域生活移行に関する評価の充実に関するものですが、13ページについては、地域移行以外の取組でございます。この中でも精神科救急であるとか身体合併症への対応など精神医療の充実のための評価の見直しを行ってきているところでございます。 14ページをごらんください。こちらは近年の精神保健福祉法の改正の概要の資料となります。 大きく3つの分野に分けております。医療分野、保健福祉分野、その他と分けてございますが、医療分野においては、平成11年の改正におきまして、精神保健指定医による病院管理者への報告義務を新たに設け、また平成17年には、入院患者に関する病状報告制度を導入するなど適切な処遇の確保と透明性の向上のための見直しを実施してございます。特に平成17年改正につきましては、こちらにある法改正事項に加えまして、さまざま基準の見直しを行っているところでございまして、そういった取組を通じて、先ほど申しました処遇の確保、透明性の向上といった取組を行っているところでございます。 また、保健福祉分野につきましては、平成7年の手帳制度の創設であるとか、社会復帰施設、ホームヘルプなどの各種事業の法定化など保健福祉サービスの充実のための改正を行ってきたところでございます。こうした充実を行ってきたところでございますが、平成17年改正においては、障害者自立支援法のサービスとして、全体として整理・統合しているということでございます。 15ページでございますが、もう一つの柱、普及啓発に関する資料でございます。 こちらは先ほど申しました3検討会の1つの普及啓発に関する検討会でまとめられました「こころのバリアフリー宣言」となります。これまでここにある8つの項目につきまして、厚生労働省としてこれまで普及啓発の取組を実施してきたところでございます。 ビジョンにおきましては、上の第1というところでございます最初の項目ですが、「精神疾患は、糖尿病や高血圧と同じで誰でもかかる可能性がある」ということにつきまして、10年後までに約90%までその認知率を引き上げるということを目標としております。 後ほど説明させていただきますが、現時点で大体この目標は概ね達成しているという現状にございます。 以上が資料2の説明でございます。駆け足となりますが、続きまして、資料3の説明に移らせていただきたいと思います。 資料3に基づきまして「精神保健医療福祉の現状」について説明をさせていただきます。 まず1ページでございますが、こちらは患者数の全体像を図にしたグラフでございます。推移を見ますと、全体の患者数ですが、平成17年時点で300万人超えており、特に外来患者の伸びが顕著でございまして、この背景には気分障害、ストレス性疾患、あるいはアルツハイマー病のような疾患の増加がございます。入院患者についても微増傾向にあるということでございます。 2ページをごらんいただきますと、先ほど見ていただいたもののうち精神病床の入院患者の疾病別内訳を見たものでございます。真ん中の大きな枠でございますが、こちらが統合失調症の患者さんの年次推移ということになりまして、平成8年から一貫して減少傾向にあるという状況にございます。 その一方で、下から3つ目の網かけの部分とそのすぐ上の四角の部分でございますが、こちらがアルツハイマー病などの認知症の入院患者さんの年次推移でございまして、こちらを見ると平成8年以降一貫して増加を続けているということでございます。今後高齢化の進行に伴いましてアルツハイマー病等の認知症がさらに増加していくということが予想される状況でございます。 3ページでございますが、こちらはもう一つ、精神疾患の外来患者につきまして疾病別内訳の年次推移を見たものでございます。外来患者の疾病別内訳では、上から3つ目、4つ目ですが、神経症性障害、気分障害、このあたりの増加が顕著でございます。 一方で、また下のほうを見ていただきますと、アルツハイマー病についても平成8年以降増加を続けているという状況にございます。 4〜6ページにつきましては、精神疾患で入院された方について、入院期間別また疾患別に推計入院患者数の年次推移を見たものでございます。 まず4ページでございますが、入院期間別で見ますと、1年未満の入院患者さんの数が大きく増加してきています。平成8年度、平成17年で比べますと、約2万5,000人ほど入院期間1年未満の入院患者が増加しているということでございます。 また、一方で長期の入院患者さんの状況を見ていただきますと、平成8年と比べますと、平成17年で特に10年以上の超長期の患者さんについては1万6,000人程度減少しているという状況にございまして、全体としては入院について急性期化が進んでいるという傾向にあるのではないかと考えております。 5ページを見ていただきますと、特に統合失調症については、10年以上の超長期の入院患者さんが大きく減少してきています。 また、認知症につきましては、比較的長期入院患者さんは少ないという状況でございますが、平成8年と平成17年を比べますと、1年未満の入院患者さんが大きく増加しております。1年以上5年未満でも同様でございまして、また、1年以上5年未満の患者さんが増えてきているということを踏まえますと、入院期間の長期化の傾向も見てとれるのではないかと、そのように考えてございます。 6ページは省略させていただきます。 7ページでございますが、精神病床における統合失調症の患者さんにつきまして、年齢階級別に分布を見たものですが、推計平均年齢を見ていただきますと、昭和56年、平成5年に比べましてかなり高齢化の傾向が進んできているということでございます。 駆け足になりますが、8ページをごらんください。これまで見ていただきましたのは、その静態というか、精神病床であるとか精神疾患群の患者さんの静態でございますが、8ページは精神病床における患者さんの動き・動態の年次推移でございます。 まず左側の大きな矢印でございますが、年間の新規入院患者さんの数でございますけれども、平成14年に33万人であったものが、平成16年には約38万人と約5万人程度増加してきております。 一方で、退院患者をごらんいただきますと、それぞれ1ケ月未満、1ケ月以上3ケ月未満、3ケ月以上1年未満に対応してございますが、それぞれの入院期間におきまして、退院患者さんの数も伸びてきているということでございまして、大体同程度、年間の新規入院患者の増と同程度の伸びを示しております。つまり1年未満の比較的短期で退院される患者さんの数が増えてきているということで、入院については比較的急性期化というか、短期化の傾向が見てとれるということでございます。その結果としまして、真ん中の一番右の矢印ですが、これが1年未満の入院期間から1年以上に移る患者さんの数ですが、平成14〜16年まで見ていただきますと、概ね5万人程度で安定しており、また、1年以上で退院される患者さんが5万人程度でこちらも安定しているということもございまして、その結果として1年以上の入院患者数につきましても、大体23万人程度で数の面では固定化していると、そういう状況にございます。今後は長期の入院患者さんの退院を進めていくということが課題となってございます。 9ページは、新しく入院された患者さんが、毎月毎月どれぐらい残っていらっしゃるかというものを1年間かけて推移を見たものでございます。こちらを見ていただきますと、平成17年と11年を比べますと、11年に1年後に18%の患者さんが残っているという状況だったものが、平成17年には13%ということでございまして、先ほどの動態と同様、入院急性期化の傾向を示しているという状況でございます。 また10ページでございますが、こちらは平均在院日数の推移を示したものでございます。こちらの下の平均在院日数の算定式を見ていただきますと、分母に年間新入院患者数と年間退院患者数が入ってございますので、新規の入院患者さんが増えて比較的短期で退院されると必然的にこの平均在院日数は下がってくるということでございます。先ほど申し上げた短期入院化の傾向を示すように、平均在院日数は、こちらの数値ではかなり減ってきているという状況にございます。 続きまして11ページは平均在院日数を別の観点で見たものでございます。こちらは疾患別の退院患者、実際に退院された患者さんがどれぐらい入院されていたかというものの平均値ですが、統合失調症、真ん中を見ていただきますと、平成8年の623日から平成17年の629日までそれほど大きな変化を見せておりません。また、ほかの疾患を見ますと、全体としては減少傾向にあると言えると思いますが、左から2つ目の血管性及び詳細不明の認知症というところにつきましては、退院患者さんに着目すると入院期間の長期化というものが見てとれるということでございます。 次のページでございますが、先ほど見ていただきました統合失調症の方の退院患者平均在院日数が下がっていないということをもう少し詳しく見てみようということで付けたグラフでございます。在院期間別で退院患者数を見ますと1年未満が増加傾向であるにもかかわらず、先ほど見ていただきましたように退院患者さんの平均在院日数は大きく減っていないということでございます。仮に短期で退院される患者さんの数が増えると、退院患者さんの平均在院日数は下がってくるということが予想されるわけですが、そうなっていないということなので、ここは必ずしも正確にはわかりませんが、例えば「5年以上」と書いてあるかとか、あるいは「1年〜5年」と書いてある患者さんの層につきまして、同じ1年〜5年でも少し退院患者さんの在院期間が長くなっている傾向があるのかもしれないと、そのように考えております。 13ページ以降から17ページぐらいまでが、患者調査でいう受入条件が整えば退院可能な精神疾患を有する方に関する資料でございます。 こちらは、受入条件が整えば退院可能な方につきましては、ビジョン当時は、平成14年の患者調査を用いまして、この斜線の部分、6万9,000人を約7万人と申し上げていたわけですが、これが平成17年調査では約7万6,000人となっているところでございます。 14ページを見ていただきますと、この受入条件が整えば退院可能な患者さんの状況を入院期間別に見たものでございます。 一番左の欄は、1年未満の入院患者さんが約3分の1いらっしゃるということでございます。また、年齢別に見ますと、上の行ですが、65歳以上の高齢者の患者さんの割合が4割以上。また、仮に55歳以上で見ますと約7割にのぼっているなど比較的高齢の患者さんの割合が高くなっている。先ほど申しましたように、新規入院患者さんの9割弱は1年未満で退院されていること、また、高齢者の割合が高いということ、さらに疾病もさまざまであるということを踏まえますと、長期入院患者さんへの対応につきましては、患者さんの特性に応じたきめ細かな対応が必要ではないかと、そのように考えております。 また、15〜17ページは、今ごらんいただきましたものを疾病別に見たものですが、こちらにつきまして、大きく要点だけ申しますと、入院患者さんの総数に占める受入条件が整えば退院可能な方の割合は、疾病、入院期間、年齢を問わず概ね2割強となっておりまして、平均的に分布をしているという状況にございます。 少し飛ばしまして18ページをごらんください。こちらは精神病床数の変化を年次推移で追ったものですが、全体としては精神病床数は減少傾向にあるということでございますが、その内訳を見ますと、精神科病院においても近年減少傾向にありますが、精神病床を有する一般病院における病床の減少が非常に顕著となっており、平成10年と比べますと、平成18年では約6,000床弱の病床が減ってきている、そういう状況にございます。 19ページは、病床規模別の病院数の年次推移を見たものでございます。精神科病院につきましては、平成9年と18年を比べますと微増傾向にあるという一方で、精神病床を有する一般病院につきましては、先ほどの病床と同様に少しずつ減少してきている傾向にあるという状況にございます。 20ページは一般診療所と精神科または神経科標榜診療所の状況を示したものでございます。20ページで、診療所数の推移を見ますと、一般診療所の伸びと比べましても、精神科または神経科を標榜する診療所数の伸びが非常に大きくなっているという状況にございます。平成17年時点では一般診療所の8.2%を精神科又は神経科の診療所が占めるという状況になってございます。 21ページをごらんいただきますと、こちらは精神科医の所在を病院と診療所で比べてみたものですが、診療所数の動きを反映いたしまして、診療所に勤務する精神科医の方の数が増加してきている。一方で病院勤務医は、平成16〜18年で減少傾向にあるという状況にございます。 22ページは、精神科病院における医療関係従事者の状況でございます。こちらを見ていただきますと、准看護師を除きまして、すべての職種で増加傾向にある。特に平成11年と17年を比べますと、作業療法士で約2倍、精神保健福祉士で4倍強に従事者の数が増加してきていると、そういう状況にございます。 23ページ、24ページにつきましては、精神医療費と精神保健福祉費について見たものです。23ページですが、精神医療費は平成17年度で約1.9兆円、一方で精神保健福祉費は501億円になっています。 24ページを見ていただきますと、精神医療費の内訳を見ていただくためのものでございますが、入院関係で約1.4兆円という状況になってございます。 ここまでは医療を主に御説明いたしましたが、25ページは精神障害者社会復帰施設、つまり障害者自立支援法の施行前でございますけれども、その状況をお示ししたものでございます。精神障害者社会復帰施設につきましては、平成5年から、増加傾向にございまして、社会復帰施設の施設数あるいは在所者数のいずれにおきましても、平成5年から18年の間で10倍以上に増加している状況にございます。 最後に26ページ、27ページは、精神疾患に関する国民の理解の状況について資料をお付けいたしております。 26ページは、各疾患に関する理解の状況をお示ししたものでございます。この表ですが、調査方法というところに書いてございますように、左の事例の欄に書いてある5つの疾患につきまして典型的な症状の記載を示して、どういう疾患かと、それを一般の方に回答していただくと、そういう調査になってございます。網かけの部分が正しく回答していただいた方の割合になりますが、見ていただきますと統合失調症で4.8%と、非常にほかの疾患と比べまして理解の進み方が遅れているという状況にあるのではないかと考えております。 27ページでございますが、こちらは改革ビジョンに掲げました目標値の現状でございます。この上の「考えている」「やや考えている」という部分ですが、その一番下の「精神疾患は誰もがかかりうる病気である」と、これがビジョンに掲げた10年後の目標で90%にすると掲げたものでございますけれども、こちらにつきましては、現時点で82.4%ということでかなり普及が進んできている状況にあると、そのように考えてございます。今後は先ほど見ていただきましたように、疾患別にかなり理解の状況が異なっているという現状にございますので、少しターゲットを明確にすることも含めて、今後の普及啓発のあり方について検討してまいりたいと、そのように考えております。 以上、駆け足でございましたけれども、資料2に改革の経緯、また資料3、現状につきまして御説明申し上げました。ありがとうございました。 ○樋口座長 どうもありがとうございました。改革の経緯と精神保健医療福祉の現状に関して、資料をもとに御説明をいただきました。大変膨大な資料でございまして、限られた時間での御説明であったので、実際にどこまですべてフォローできたかというところがあろうかと思いますけれども、ここでこれから今の資料に関しまして構成員の皆様から御質問を頂戴したいと思います。今日は第1回目ということでございますし、時間が限られております。それから構成員の数が大変多く今日はお集まりいただいており、できるだけ多くの方々に御発言をいただきたいと思いますので、それぞれ御質問いただく方はできるだけ簡潔に御質問あるいはコメントをいただければと思います。  それではどうぞ御自由に御発言ください。いかがでしょうか。 ○上ノ山構成員 広範なことを駆け足で御説明していただいたので整理するのが大変なのですけど、ふだん聞けないことですので、せっかくの機会ですので教えていただきたいのですが、改革ビジョンが平成16年9月にできまして、そして、そのすぐ後に16年10月にグランドデザインができております。私たち診療所の立場からいいますと、平成15年5月の中間報告の段階では、診療所も含めた地域ケアの充実ということがうたわれていて、そして、ACTも含めたそういう地域体制をつくっていくということが改革ビジョンにも含まれていたように思います。改革ビジョンには「ACT」という言葉は出ていませんけれども、そういう内容を含んでいたと思います。いわゆる医療モデルが含まれていたと思います。  その1ケ月後に改革のグランドデザインの段階では医療に対する言及がほとんどなくなってしまって、結局は外来医療に関しては通院医療費の公費負担の削減ということぐらいしかなくなってしまって、これから地域移行を推進していくに当たって、地域での生活支援を行うに当たっては、外来精神科医療の充実ということは非常に大事なことになるかと思いますので、この9月と10月の間に何があったのかということですね。つまりちょっと説明していただけたらありがたいなと思って、こんなことめったにどこに行っても答えてもらえないので、よろしくお願いします。 ○野崎課長補佐 平成16年10月のグランドデザインにおいてですが、構成員の御指摘にございましたが、その中にも良質な精神医療の効率的な提供ということで、項目としては、ビジョンを踏まえまして盛り込ませていただいてございますけれども、全体として、このときの施策の流れが、障害者自立支援法を見据えたものとなってございましたので、御指摘にございましたように、少し精神医療の部分が薄いという印象を持たれているのかなと、そのように思います。  ただ、先ほども開催趣旨の中でも若干説明させていただいたと思いますし、また、資料4の説明の中でも出てまいると思いますけれども、実際地域生活を支えるという意味では、医療の機能というのは欠かせない要素だと思ってございまして、そこは今回の検討の中におきましては、地域生活支援体制というのを考えるときに、しっかり通院・在宅医療というものも念頭に置きながらやっていきたいと、そのように考えております。 ○広田委員 広田です。質問と意見ですけど、まず1つ目は、ここにドクターとか地域の関係者がたくさんいらっしゃるのに当事者は私一人なんですね。複数入れていただきたかったというのがまず1点です。  それから、質問の前に意見として、1つ目の資料の9ページですか、「地域体制整備コーディネーター」というのが新しくできたとか、できるとか、その前に自立支援とか、そういうことをやって、社会的入院を出すということはとても大事なんですけど、実際に精神病院に患者をお見舞いに行きますと、「お見舞いは家族だけですよ」とか言われたり「何でですか」というと本人の病状に影響するとかということがかなり多くあったり、また実際には面会・お見舞いにできても病棟の中に入れてもらえないで、「何で病棟の中はだめですか」というと「家族だけです」というんですね。 まさに高齢になった患者さんには家族はいらっしゃらないわけですよ。家族の負担はかかるし、家族はいない人は来る人はいないし、病院の中は風は入らないしということで、ぜひ、これは地方自治体に言ったら、厚生労働省から通達出してもらったほうがいいというんですけど、厚生労働省のほうから、もっとみんながお見舞いに行ったときに入りやすいような通達を出していただきたいというお願いです。 そのときに、今日ドクターがたくさんお見えになっていますけど、よく患者が体調がよくないから、病状に悪化の影響を及ぼすというんですけど、入院しているわけだから、多少病状が悪化しても、そこで治療中だからいいわけで、温室のようなところで治療していて、外に出てからいろんな外の空気を吸って体調崩して再入院ということを考えれば、もっと面会しやすいような状態にしていただけるような通達を出していただきたい。1点お願いです。 それから、さっき4万9,000人が退院可能な精神障害者数というのが各都道府県ということが1番目の資料の7ページで出ていますが、これは前に、私たちが社会保障審議会の障害者部会で、7万2,000人が社会的入院で、これを10年以内に解消するといったことに対する4万9,000人が残っているのかしらという1点の質問と、その次の資料に出てきた13ページの7万人の社会的入院が平成14年度だったのに、17年度には7万6,000人になっているということで、数字の整合性が合わないのですけど、どちらがどうなっているんですか、私だけがわからないのか、教えていただきたいと思います。 ○福島精神・障害保健課長 まずメンバー構成の話で、確かにおっしゃるように、当事者の方は広田構成員だけになっておりますが、どの機会かはわかりませんが、機会を設けて、ほかの当事者の方からもヒアリングをするような、そういう場を設けることを検討したいと思います。 それから、見舞いの場合の通知の話は、これはまた病院の管理という観点もあろうかと思いますけれども、また、それは少し検討させていただきたいと思います。 7万人がどうかという話ですが、まず先に7万人が7万6,000人に増えているという話ですが、患者調査というのは、3年に1回ごとの断面調査、静態調査でありまして、前の7万人を追っかけていっているわけではありません。あくまでその時点において、患者調査に協力していただいておる医療機関のドクターがこの方については退院可能だというところに○をつけた患者さんの数がどうなっているかということでございます。実際に疾病構造を見ても統合失調症が減って認知症が増えているという傾向もありますし、年齢構成も全体としては上がっているということもあって、同じ人たちではなくて、ある程度の入れ替わりはありつつ、全体として増えていると、そういう状況の人が増えているということに間違いない。ただ、前の人がどうなっているかというのは、実はその捕捉はできておりません。それは何らかの調査なり何なりをかけないとそこの捕捉は難しいと考えております。 もう一点、各都道府県がつくった障害福祉計画では数が違うではないかということですが、各都道府県とどう違うかといいますと、患者調査はあくまで医療機関に対して、どういう条件が整えばということ関係なしに受入条件さえ整えば退院できる人はどれくらいですかということで聞いておるわけですが、各都道府県では、具体的に言いますと、定義が、例えば入院期間1年未満を外しているとか、認知症を外すとか、障害福祉計画として、障害者施策としてやっていく部分と、例えば介護でやっていく部分とかいろいろ分けて考えるということで、行政的な計画でございますから、そういうふうに分けて考えていくということで、どうも数が違ってきているように思います。 都道府県に対して、その計画のつくり方は、患者調査の数は念頭に置きつつ計画をつくってくださいというお願いはしてありましたが、それぞれの自治体の御判断もありましたから、それを積み上げた数についてはかなり異なったものになっておるということであります。 ただ、これについて、少なくとも4万9,000人の数を23年度末までに、3万7,000人は退院させるというような目標値が設定されておるわけで、それについては各都道府県がこれから障害福祉施策の充実の中でこれを実現していっていただけるものと我々は考えています。 ○広田構成員 このいわゆる社会的入院というのは、大阪の精神保健福祉審議会などでは人権侵害だというふうに出たりしているんですね。私はこの国がとってきた隔離収容施策を国家的に謝罪してないから、この問題をいつまでも引きずっていると思うんですけど、いわゆる都道府県は3万7,000人ですけど、23年までに。厚生労働省は結局あのときの7万2,000人を追跡調査してないわけですよね。今後そういうことはどうなるんでしょうか。厚生労働省としてはどうなるんですか、今後、社会的入院について。 ○福島精神・障害保健課長 まさにそのことも含めて、ここで議論していただくためにこの場を設けたわけでありまして、ただ、先ほど資料にもありましたけれども、退院対応可能な患者のうちで、例えば入院期間1年未満の患者さんが全体の3分の1も占めている。例えば、そういう患者についてどう考えるのか。それから、55歳以上の方が7割を占め、あるいは65歳以上については4割強占めていると、さっき説明いたしましたけれども、例えばそういう人たちについてどう考えていくか。疾病も認知症とか統合失調症いろいろありますし、それぞれに応じた対応をしなければ多分そこの問題は解決していかない。今までは、どちらかというと、7万人という数だけの議論をしていたような気がいたしますけれども、そうではなくて、それをきめ細かくやることによって、我々行政の責任として、これの解消を目指していきたいと考えているわけです。そのためにこの場を設けて御議論いただきたいと考えているわけです。 ○広田構成員 都道府県は3万7,000人だけど、この場は違うということなんですね。 ○福島精神・障害保健課長 もちろん7万人の問題だけではなくて、入院患者でいえば、32万人、もっといえば、300万の患者さん全体のことを考えながら議論していただきたいということです。 ○長尾構成員 先ほど広田構成員がいみじくも7万人の社会的入院と言われたので、若干ちょっとこれは7万人という象徴的な数字で、先ほど課長も言われたように、3分の1が1年未満、すぐ退院する人も含めて入っているので、7万人という数字が即社会的入院だという誤解を招いているということがあると思いますので、その辺はぜひそういう誤解のないようにやっていただきたいなというふうに思います。  改革ビジョンの枠組みがいろいろ話されて、自立支援法の流れというようなことも言われました。それと退院促進の地域体制整備コーディネーターというものも新たにつくって退院促進をしていくということも述べられましたけれども、障害者自立支援法ができて、それのいろいろな理念というのは非常に結構だと思うんですけれども、実際問題としては、やはりなかなかそれに財政的なものが伴ってない。そのために各所でいろんな問題が出てきて、地域移行が本当に促進されているのかというとそうでは逆になくなっているのではないかというふうに私は考えていますし、そういう受け皿というものがきちんと整備されない中で、支援体制がきちんととられない中での、また地域体制整備コーディネーターというようなものをつくられると、何か屋上屋を重ねて、ただ単に退院促進のことをやればいいのだというように我々は受けとめてしまうのですが、本当にそういう受け皿なり、地域の支援サポートというものをきちんとやられることがまず先決であると私は思っております。  それから、資料2の7ページも、これは障害福祉サービスの見込量の推移ということが出ておりますし、もう一つの資料でも、社会復帰施設の整備が18年度までの分が出ていますけれども、新たな障害福祉サービス見込量の推移の中で、実際は制度上3障害並びということになってしまって、精神の部分というのがはっきり見えなくなってきているわけですね。それが実際に今つかんでおられる中で、また資料を次回でも示していただければと思うんですが、実際の社会復帰施設、旧来の社会復帰施設等から、自立支援法のものにどれだけ移行したのかということもお知らせ願いたいと思います。というのは、実際の自立支援法のさまざまな施設というものもはっきりいえば、財政的な抑制的な部分が非常に強い。そのためになかなか移行できないということが出ていますし、そういったことを含めてぜひともお示ししていただきたいし、今後精神のそういう施設というものがどのようにカウントされていくのかということについても教えていただきたい。  それから、資料3の患者調査の中の患者数内訳、これは一般病床も含めた主病名かなんかで調べられたものですね。それで病床数との差というのがあらわれていると理解してよろしいですね。 ○樋口座長 今の前半の御質問に関しては、何か今の時点でコメントはございますか。あるいはお答えできる範囲のことがありますか。それともこれは資料として後ほど提示されるかどうか。 ○蒲原障害福祉課長 ありがとうございます。いろんなサービスの移行状況については、次回丁寧に、それぞれの種別がどんなふうな進行の体系に移っていくか、わかる範囲でお示ししたいと思います。いずれにいたしましても、地域でいろんなサービスをつくるといったことを自立支援法の下でやっていこうということで計画をつくっておりますので、これは個々の地域ごとの障害福祉計画に基づいて、個々の地域で丁寧に丁寧にやっていきたい。あと、そういうサービスも大事ですし、併せて地域移行を支える相談支援の体制、こうしたところも丁寧にやっていかなければいけないと思っています。市町村中心ということで、市町村のところで、まだ精神のところが不十分な点があるところが私ども認識しておりまして、そうしたところも丁寧にやっていきたいと思っております。 ○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。それでは、大塚構成員から。 ○大塚構成員 計画行政ということでいろいろ事が進んでいくときに、目標値が妥当かどうかということがとても重要だと思っているのですが、御説明いただいた資料の中でもう少しできれば知り得たいなというふうに考えたところがいくつかありました。それは先ほど福島課長からもお話いただいたように「受入条件が整えば退院可能」というときに受入条件の設定の仕方とか、そこの調査を担当される方の基準の持ち方によって随分数値が違ってきているというふうに現場サイドではいろいろ声を聞いています。大まかな数字として挙げられると、それで動き出すわけですが、実は実際どんなふうな受入条件の設定の仕方がその調査の中で基準として持たれているかということを、本当は詳細な項目が挙がってきたり、そこの差異が見えてくると、大変その後の検討には助かるかなというふうに思っているのが1点です。  それから、退院者が少しずつ、特に統合失調症の方については退院者が増えてきているということですが、高齢化ということと長期化ということも踏まえて、退院先、退院した後の内訳というのも、実は恐らく合併症による転院退院であったりとか、いろんな行き先が考えられるわけで、退院として一括りになってしまうととてもハッピーエンドに聞こえるのですが、実際のところで、その内訳もどうなっているかということは知れると大変ありがたいと思っております。  今回の資料には入ってないことで1点、ちょっとずれてしまって申し訳ないのですが、先ごろの3月の課長会議の資料等々で、かなりいろんな詳細な自立支援法の見直しであるとか、さまざまな精神・障害保健課さんから出されている、各都道府県の例えば手帳制度によるメリットですとか、いろんな情報が出ておりましていろいろ参考にさせていただいているのですが、先ごろから現場レベルでは大変大きな騒ぎになっております生活保護を受けていらっしゃる方の通院移送費の問題などで、やはり精神障害の方々の通院先の地域偏在というのが大変大きいものですから、多分移送費とか経済的な条件というのも地域移行においては大変影響が大きいと思っているんですね。そういうところで言いますと、所得保障とかのところも、雇用とか就労支援の検討と併せて出てくるのだと思うのですが、その辺も大変大きな関心を持ってこの検討会で議論できるといいなというふうに思っている次第です。 ○野崎課長補佐 御指摘ございました、7万6,000人あるいは7万人というものの実際のどういう受入条件なのかということでございますが、患者調査では「受入条件が整えば」としか言ってないので、調査の限界でございますので見えてこないのですが、ただ、我々として、確かにどういう受入れ条件なのか、先ほど長尾構成員からもございましたけれども、一体何なのだと、そこをもうちょっとよく見ていかなければいけないと、そのように思っております。今後、過去のものも含めまして資料を整理させていただけるものはさせていただきたいと、そのように考えております。  また、先ほどおっしゃった、実際の退院先でございますけれども、これについてもデータがございますので、次回以降きちんと整理をさせていただいて、今、見ますと、1年未満では家庭復帰などにつながっている方が多いようでございますけれども、実際入院機関別にどういう状況になっているのか、そこについて整理をさせていただいた上で提出させていただきたいと、そのように思います。 また、もう一つ、御指摘のありました通院移送費の話ですけれども、ここはよく関係課の話も聞きたいと、よく相談したいとそのように思います。 ○樋口座長 尾上構成員どうぞ。 ○尾上構成員 精神障害者社会復帰施設の話が出ている中で、やはり社会復帰施設、精神科救急の問題というのはかなり大きいのかなというふうに思います。ここで地域に出た場合に本当に精神科の救急、きちんとした医療にかかれるのかなというのが問題となっております。夜中であろうが何であろうが一般にかかれるというのが普通じゃないかと思うんですけれども、なかなかそこはかかれなくて、精神障害者社会復帰施設なりが担っている部分というのが非常に大きいのかなと思います。 そのような状況の中で精神科救急の、今ここで体制整備をしているというところで、実際のこの数値的なところとか、実際にどうなっているのか、措置入院の数であるとか、その辺はどうなっているのかというのは実際のところ数値として出てきてない部分があるので、その辺は出していただきたいなというところと、あともう一つ、それ以外にもサービスにつながれてない。本当にサービスが必要な人がサービスにつながれてない状況というのがまだまだ行き届いてないという点があると思います。 そういった意味で、先ほど蒲原課長からおっしゃっていただいたように、相談支援体制の整備の強化というところが大変重要なところだと思うんですけれども、同時に訪問ですね。訪問の部分をこの中で、先ほど長尾構成員のほうからも出たのですけれども、全国の集計結果として、日中活動系サービスというところが、訪問系とか全部出ているのですけれども、この辺、3障害が一緒になっちゃって見えない。訪問系サービスが実際どのくらい精神の人たちが利用されているのか。また、利用が必要な人がどのくらい見込みとしているのかというのがなかなかその辺が数値してとれてないのが現状かなというふうに思うところがあると。 もう一つ、都道府県が、今回支援法が市町村一元化になったことによって都道府県の役割というところが、もともと精神のほうは都道府県が主体的に動いていたところがあって、それが市町村一元化になったところで都道府県がその役割を手を引いていくという、都道府県の役割がどんどん引いていく中で、都道府県に求めていってもなかなか応えてくれないような状況もあったりとかという、非常に回りめぐって悪循環な部分が出ていると思うんですけれども、そのあたりについてぜひいろいろと厚生労働省の把握している部分があれば教えていただきたいと思っております。 ○福島精神・障害保健課長 まず、在宅生活を支える上での救急医療の重要性というのは、私ども十分認識しておりまして、予算でもいろんな手当てを今年度もしましたけれども、数字的な例えば件数とか、そういうものについて、次回以降の回で、それぞれのテーマごとに議論する中でお示しをしたいと思います。ただ、確かにそういう認識を持って、在宅生活を支える医療はどうあるべきか。その中に救急医療も1つ大きな役割はあるという認識は持っています。  それからもう一つ、サービスにつながっていない人のところをどうするのかという問題があり、そこについては、先ほど蒲原課長からもお答えしたように、相談支援のあり方について、またこれも御議論いただきたいと思います。  それから、都道府県の役割、特に保健所、精神保健福祉センターも含めてですけれども、保健所の役割をどう考えていくか。地域体制の整備ということの中でその役割をどうするのかという問題も整理が必要だと思います。これについても併せて議論をさせていただきたいと思います。 ○樋口座長 それでは、どうぞ、坂元構成員。 ○坂元構成員 1つは認知症に関してなんですけれども、高齢化に伴って認知症が非常に増えております。地域に帰すということなのですが、実際自治体レベルで認知症を見ていると、地域に帰す。実際はほとんどの老健施設等に、多くの認知症患者がいるのではと思います。精神科の医療施設ということで限定して調査しておりますが、実際は認知症患者のほとんどが地域におり、それは在宅ではないかと思うんです。先ほど小川構成員から、精神科病院から一般病院に移っているのではないかという考えも出たのですけれども、認知症の老健施設とか、ほかの施設で入っている実態もやはりここで数値化しておかないといけないのではないかと思います。それが本当に地域に帰っているという数なのかどうかということも、特に今後の高齢化を見据えてその辺の実態の数字を出す必要があるだろうというふうに思います。 以上です。 ○樋口座長 その点について、福島課長から。 ○福島精神・障害保健課長 確かに認知症について、精神科病院ないしは一般病院も含めた数をお示しをしておりますけれども、介護保険のほうで言いますと、全体としては、自立度「2」以上の認知症の高齢者は170万というふうに言っておりまして、一方で医療の管理下の置かれている患者調査のほうで見ると、外来も含めて32万人というこの数の乖離があります。170万人のうちの半分が在宅、半分が施設というようなことですが、特にここで御議論いただきたいのは、認知症の方に対して精神科医療はどういう役割を果たしていくのか、その中で特に精神科病院、入院機能というのはどういう対象者をカバーすべき、どういう医療を提供すべきなのか、そういう観点で多分整理をしていただく必要があるのだろうと思っております。 認知症について、詳細な資料は改めてお示しをしたいと思います。 ○樋口座長 それでは小川構成員お待たせしました。 ○小川構成員 実は私も同じような趣旨で認知症の問題について、資料について御質問したかったのですけれども、資料を今後出すということですので、詳しくは述べませんが、介護保険施設とグループホームなども含めて認知症の方がどのような状態像にあるのかということがちょっと興味がございました。認知症の方がどういうところで、どういう対応をするのが認知症の方の適切な対応なのかといったようなことも考えると、必ずしも精神病床で処遇をすることが果たしてどうなのかということも含めて今後議論がされるということを期待をしております。 また、広田構成員のほうから、当事者の方が入ってないというような御意見もありました。アルツハイマーの方が研修会等で、あるいは講演等で自らの体験なども含めてお話しをするような時代になっておりますので、ぜひ疾患別にきめ細やかな対応ということで、広田構成員の意見に賛同いたします。 ○樋口座長 ありがとうございました。どうぞ、中島構成員。 ○中島構成員 ごく簡単にあれですけど、この資料の説明だけで今日終わりそうにないんですけど、問題は、平成16年に策定したグランドデザイン、その後に続いて出てきたもの、この枠を出ない範囲で後期の5年間を議論するのか、あるいは状況が変化しているわけだし、構成員も変わったわけでしょうから、もう一度かなり根本的な問題も提示して構わないのかどうか、そこをちょっと教えておいていただかないと、私、強固な妄想を2〜3抱いておるものですから、ぜひお教えいただきたいと思います。 ○樋口座長 福島課長からお願いします。 ○福島精神・障害保健課長 それは次の資料4の今後の議論の進め方のときにお話しをしようかと思っておりましたけれども、もちろん施策としては改革ビジョンの後期5年間の施策の中身がどうあるべきかということがありますけど、その根底にある考え方は、基本的に今後の精神保健医療福祉体系がどうあるべきか、本来のあるべき形というものを目指して議論すると。その中で具体的な施策としてはこういうことをやっていこう、そういう議論をぜひしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。 ○樋口座長 では、あとお二方、安田構成員。 ○安田構成員 今までのお話を聞いていて、ちょっと確認なのですけれども、この資料3の13ページのグラフなんですけれども、平成11年の7万2,000人は、この中で退院した人もいるけれども、精神疾患の患者さんがどんどん増えているので、結果的に平成17年になっても、少し微増したということで、出ている人はいるのだと。しかしどんどん新しい人が入っているというふうに考えて差し支えないのかというのが1点。 それから「受入れ条件が整えば」というところをちゃんと定義する考えは今後あるのかということ。あと、点でとらえたときの、出た方の捕捉はされてないということですけど、それも今後やる予定があるのか、以上3点をお願いします。 ○野崎課長補佐 まず7万6,000人と7万人の数字でございますけれども、実際7万6,000人というのは平成17年の患者調査ですが、こちらと14年の患者調査を比較いたしますと、1年未満の入院患者さんが約4,000人程度増えてございます。一方で、入院期間の長い10年以上の患者さんはほぼ横ばい、少し減っているぐらいです。1年以上5年未満のあたりの患者さんも増えていると。ここは同じ方を追跡したものではございませんけれども、全体として、特に1年未満が4,000人程度増えているということを考えると新しい方が入ってきているということはあるのだろうと思います。  また、受入条件に関する定義の話でございますが、患者調査は抽出調査でありますし、全国的な調査でございますので、仮に「受入条件」を定義したとしても、本当の内訳というか、患者さんの本当の状態像とかわからないという問題がございますので、そこは例えば過去の調査でもそういうのを見ているものもございますし、また今後そういったところもきめ細かく見れるような調査ということについてデータを収集するということについても考えていきたいと思いますけれども、患者調査で定義してもやはり限界があるのだろうとそういうふうに考えております。 大体よろしいでしょうか。 ○樋口座長 もう一点、御質問があったのですが。 ○安田委員 定義をちゃんと決める予定があるのかどうか。捕捉調査。 ○福島精神・障害保健課長 捕捉調査の話は今野崎のほうから御説明したとおりです。定義の話は、これは患者調査の統計情報部が持っております、これは統計法に基づく指定統計として行われておりますけれども、平成何年からその状況をこの項目に入ったか今確認はできませんが、過去からずっと同じ定義で、つまり同じ項目でとっているというのがあって、数字の比較、時系列で比較するという観点では、なかなかそこの定義を明確にしてしまうと、逆に従来の数字との今度は比較が難しくなってしまうという問題があり、統計調査を企画する立場を踏まえるとなかなかそこは難しいのではないかと思います。  問題は、こういう人たちに対してどういう対策を立てるべきかということの議論でいえば、先ほど言ったように、別の調査なり別の資料を見て、こういう人たちにどういう対策を立てるべきかという議論をさせていただければありがたいと思っております。 ○樋口座長 それでは山根構成員、簡潔にお願いいたします。 ○山根委員 医療に関してみれば、入院と外来とがあるのですけれども、入院については、我々リハビリテーションという立場から見ますと、いかに病状を安定して早期退院をするかということと、新たな長期化を予防するということ。それから、もう一つは、長期入院で高齢化された人の対策、これは全く中でのプログラムとシステム、それから退院なさるときの準備も随分異なるのですね。そのあたりをきちんと整理をしないと、退院促進といっても非常に難しいのかなと。そのために我々が呼ばれたのだろうと思うんですけれども、それと併せまして、高齢の人たちというか、10年以上の人たちが少なくなっていると言われていますけれども、確かに入院期間短くなっているのは効果だと思うんですが、長期の人が少なくなっているのは今回の施策の効果としてなのか、それとも寿命と言ったらいけませんけれども、寿命によってたまたま減っているのか、そのあたりがもしつかめておられたらお聞かせ願いたいのですけれども。 ○福島精神・障害保健課長 まずきめ細かくやるべきだという御指摘はそのとおりと思います。10年以上の減少がどういう原因によるものか、先ほど大塚構成員からの御指摘もありましたので、これについては別途既存の資料の中でわかるか、あるいは特別に集計し直さなければいけないかわかりませんが、改めてきちんとお示しをしたいと思います。確かに印象としては高齢の方の場合の、特に長い方は高齢の方が多いわけで、その場合の転院、あるいは死亡による退院割合は高くなっているという印象は持っておりますけど、詳細にはまた今度お示ししたいと思います。 ○山根構成員 それと地域医療と福祉の関連なんですけれども、退院していただいた場合に、できるだけ再燃、再発を防止しながら生活へということが非常に重要になるのですけれども、そういう意味では診療所と外来の医療は非常に重要なのですが、その中でデイケアが果たして本当に生活支援との絡みで機能しているのかどうか。いろんなところがあると思うんですけれども、ある病院のデイケアでは、施設内を禁煙にしたら3割以上の人がデイケアに来なくなった。その人たちが再入院したかというとなさってないんですね。そういうこともございますので、もう少し今のシステムが何十年か前につくられたシステムで、当時の機能は果たしたのですけれども、今の新しい自立支援法の中でいくつかできたものとの中で、地域医療と生活支援がどのくらいうまく機能しているかということは今後の大きな課題だと思うんですね。これは診療報酬とも絡みますので、そのあたりの経済的なものも含めてどのようにお考えかということを少しお聞かせいただければと思います。 ○福島精神・障害保健課長 確かに今の場合、どこかの居場所があるということの必要性ということと、それをどこが担うのかというものの議論は少し分けてといいますか、併せてというか、議論する必要がある問題だと思います。もう一度診療報酬の評価と福祉施策で用意しているものとの役割をどう考えるのか。先ほどの認知症の話とちょっとかぶるところが議論としてあるのかもしれませんが、そういう面でどういう役割を果たすべきなのかということでの整理といいますか、また今後ぜひこの場で議論いただければと思います。 ○樋口座長 まだまだ御質問があろうかと思いますが、大分時間が押してまいりましたので、とりあえずこの資料2と3に関しましての御質問はこの辺で終わらせていただきたいと思います。また次回からの討論の中で折に触れていろいろと取り上げていただけるものと思っております。  もう一つ、今日の議題がございまして、議事の2番目でございます「今後の議論の進め方について」ということで、残りの時間でここのところをお話しいただきたいのですが、まずお手元の資料4、「今後の議論の進め方(案)」というペーパーがございますので、これについて事務局から説明をしていただきたいと思います。 ○福島精神・障害保健課長 それでは、資料4につきまして、私のほうから御説明をしたいと思います。  まず、検討の背景につきましては、部長からのあいさつ、あるいは私のこの会の設置要綱のところで御説明したものでございますので、これについては省略をさせていただきたいと思いますけれども、特にこの会をどういう視点に立って御議論いただきたいかというのが2つ目の今後の精神保健医療福祉施策に関する基本的な考え方及び方向性ということで示しております。 まず、今後も「入院医療中心から地域生活中心へ」とこの基本的な方向性については、これを当然のこととしてさらに推し進めていきたいと考えておりまして、精神障害者をお持ちの方が地域において安心して自立した生活を送れるような社会としていくことを基本的な考え方としていきたい。 そしてこの検討会での御議論については、こういう考え方に基づきまして、以下の4つの柱、次のページまでございますが、まず(1)地域生活を支える支援の充実ということで、精神障害者の方が、地域において質が高く適切な福祉サービスや通院・在宅医療などの必要な支援を十分に受けることができる体制づくりを行うということ。 そして(2)精神医療の質の向上ということで、救急医療の整備、入院医療の急性期への重点化など、疾病や病状期に応じて必要な医療が提供されると同時に、精神医療の質が向上することによりまして、精神障害を有する方が、地域において安心して生活ができる、そういう生活を営むことができ、かつ、入院した場合でもできる限り早期に地域生活に戻ることができる体制づくりを行う。 (3)精神疾患に対する理解の深化。これについては、まず精神疾患に対する正しい理解が進み、1つには精神疾患にかかった場合でも早期に適切な対応が行われるようにすること。そして、精神障害者が地域の住民とともに暮らしていくことができるような社会を構築する。 (4)長期入院患者を中心とした地域生活への移行・定着の支援ということでございますけれども、今まで申し上げました(1)〜(3)の取組を進めることによりまして、既に長期にわたり入院している精神障害者を中心として、それぞれの特性を踏まえながら、地域生活への移行・定着をはじめとして、入院から本人にふさわしい生活への移行・定着までが、円滑に行われる流れをつくり出すということで考えたらどうか。 そして、この検討会では、このような考え方、方向性を念頭に置いていただきながら、ビジョンの後期重点施策群として、私どもが今後取り組むべき具体的方策について御検討・御提言をいただければどうかと考えております。 そして、議論の進め方でございますけれども、入院中の精神障害者の地域生活への移行に係る方策については、21年に障害者自立支援法の見直しや障害福祉サービスに係る報酬の改定が予定されているところでございますが、これとの関連が深いものもかなりございますので、このため、この検討会では、時期的にいいますと20年末を見据えながら、地域生活への移行、地域生活の支援の観点からの議論をまず優先させていただきたいと考えております。 その際に、精神障害者が安心して地域生活を送るための、通院医療や在宅医療といった日常的医療や、病状急変期における精神科救急医療のアクセスが十分に確保されていることが必要であると考えておりますので、その地域生活を支える医療のあり方についても念頭に置きながら御議論いただければどうかと考えております。 なお、長期入院患者への対応については、先ほどから資料でもお示しをしておりますけれども、患者像が年齢や入院期間によって、あるいは疾病によって非常にさまざまである。さらには高齢者の割合が高くなっているということ、中には長期にわたる入院医療をどうしても必要とする方もいる。一方で、近年では、新規入院患者の大半が1年以内に退院しているという状況になっていることを踏まえて、患者の特性、住まいの場などの受け皿、あるいは福祉サービスの確保なども含めて、患者特性ごとにきめ細かい議論を行うこととしてはどうかと考えております。 その上で、これまでの診療報酬改定や医療制度改革の動向を踏まえながら、病状期や疾病ごとの精神医療のあり方を念頭に置いて、病床等の機能分化をはじめとする精神保健医療の具体的な議論を進めていってはどうかと考えています。 普及啓発の効果的実施につきましては、これは先ほど申し上げましたけれども、本人やその周囲の正しい理解や行動を促し早期対応につなげられるようにするという側面と、精神障害者の地域生活への移行を円滑にするという側面両方があると考えられるところから、精神疾患に関する理解の深化については、2つの観点、それからこころのバリアフリー宣言の普及状況等を踏まえて議論を行うこととしてはどうかと考えております。 そして、4 その他でございますけれども、具体的に次回以降の議論については、私ども事務局から、まずそれぞれの各テーマに応じた精神保健医療福祉の現状についての客観的なデータをお示しをし、そしてこの客観的データを踏まえて、私どもとして考える主な論点というものも同時にお示しをし、さらには前回の議論の要旨をお示しをしながら、こういう資料を踏まえて御議論をいただいてはどうかと考えております。 また、それぞれの構成員の皆様から、こういう自分でも説明がしたいということで資料の御提出の御希望がある場合には、その提出を行う回に先立って、この回でこういう資料を出したいという御発言をいただいた上で、その資料の内容に関連するテーマを扱う回におきまして、その御提出した資料に基づいて御説明をいただくと、こういうふうにしてはどうかと考えております。 なお、何回か言いましたけれども、ビジョンの後期5年間の重点施策につきましては、この検討会における検討結果を十分に踏まえて、これは大臣を本部長としておりますので、私どもの行政で定める必要があるわけで、そういう意味ではこの検討結果を十分踏まえて施策の方向性、具体的な目標を提示することとしております。 あと、当面のスケジュールは、ここにあるとおりでございますけれども、2回、3回は全体像について、さらにもう少し細かく議論をし、そして第4回以降、細かくさらに議論を進めていければと考えております。 以上でございます。 ○樋口座長 ありがとうございました。  ただいま課長から今後の議論の進め方、その中では基本的な考え方及び方向性ということで4点挙げられました。そして、それをもとにして今後の議論の進め方としては、2ページにありますように、5点ほど挙げていただいております。今後の議論の進め方について、この進め方の案に対して御意見、あるいは追加等々ございましたらどうぞ御発言ください。 ○上ノ山構成員 地域移行に関連して、福祉サービスの充実と同時に、通院・在宅医療などの必要な支援を十分に受けるということをあえて書いていただいたことに非常に感謝します。というのは、先ほども言いましたように、障害者自立支援法ができてくる過程で、地域で障害者を支えていく医療の問題がほとんど抜け落ちていたと。基本的には医療の問題で語られたのはベッド数の削減と通院医療費の廃止ということで、結局はメンタルヘルスを語っているのか、医療削減を語っているのかわからないといった状況であったように思います。言い過ぎかもしれませんけど。ですからメンタルヘルスに関してちゃんと話しをする機会を与えられたこと、それに関する医療のかかわりに関して話しすることができたことを非常に喜んでいます。  それから、だけど、今日の資料の中に、例えば精神医療費と精神保健福祉費の推移ということで、医療費はこんなにかかっているけれども、福祉はこんなに少ないというふうなことをアピールされるような資料が並んでいますけれども、その意図はわかりませんが、こういう形で関係者の対立をあおるような議論をしないでほしい。我々はただでさえ、ずっとメンタルヘルスを議論する場さえ与えられてこなかった。そういう中でこういう場が与えられて非常に喜んでいるわけなんですけれども、ややもすると関係者が対立するような、そういう議論になりがちであると。 医療が、福祉がといって、全く積算根拠が違うものをこうして比較して、どっちが多いとか少ないとかという話をして、結果的に感情的に対立をあおるような、そういうふうな方向には持っていってほしくないと。基本的にはお互いが助け合って連携して、メンタルヘルス全体を底上げするような議論に持っていってほしい。例えば精神科医療が1兆いくらですけれども、総医療費の中に占める割合は7〜8%ですよね。そういうふうなことが書かれていない。 それから、対象の人数が全然違いますよね。福祉に対しては501億円とかいっていますけど、これも施設整備費なのか、運営費なのかもわからないような、そういう話なので、何ともいえないような数字なのですけれども、そういうものが出ている。要するにそういう根拠のないものを持ち出して対立をあおるようなことではなくて、基本的にはお互いが助け合うような形をつくりたいと。 そして地域移行するに当たっては、お互いに連携して支え合ってやっていくシステムをつくっていきたいと、そういうふうに思います。 以上です。 ○樋口座長 ありがとうございました。どうぞ、中村局長。 ○中村社会・援護局長 社会・援護局長の中村でございます。衆議院の厚生労働委員会の審議がございまして、遅れて参りまして申し訳ありません。ごあいさつを兼ねて一言。  今、お話がありましたけれども、この資料は誤解のないように申し上げますけれども、福祉関係者と医療関係者、あるいはヘルスの関係者と対立をあおるような意図でつくられたものではありません。我々の基本認識としては、精神障害者の方のための社会復帰施策、福祉施策、これは障害者自立支援法で3障害統一されたといえ、私ども福祉を担当している人間から見ると、精神障害の方に対する福祉資源が極めて乏しいと、そういうことを御説明したくて、根拠がどうかという、あるいは医療と比較することがどうかというお話あるかもしれませんが、例えば高齢者の介護と医療費の問題なども比べてみた場合に圧倒的に少ないということが、例えば高齢者の医療費はいろいろ議論になっていますが、11兆円くらいに対して介護の費用はその中にも医療要素が含まれておりますので、必ずしも精神の分野の医療と福祉の問題とパラレルに論じられないかもしれませんが、介護保険の費用が7兆円と。  そういうことから考えてもかなり精神の医療と福祉のバランスが圧倒的にまずいという自覚の下に言っているわけで、だからといって、医療費をどうこうというようなことを言っているわけではございませんので、その点は誤解のないように、また私どももそういう誤解されることのないように気をつけてやっていきますが、意図は福祉担当の局長として申し上げたいことは、あまりにも福祉の資源が乏しいということを御説明したいという意図でございます。 ○末安構成員 日本精神科看護技術協会の末安と申します。前に社会保障審議会の障害部会などでは、今、局長の言われた、データが出ていました。比率、予算というか、費用の比率も出ていたというふうに私も記憶しております。今回はまだそこまでいかない段階だったのでこういう表記でやむを得なかったと思うのですけれども。今回のこの進め方に沿って2点お願いしたいことがあるのですけれども、今後、あらかじめいろいろお願いしてデータをつくっていただいたり、こちらから出すときもこういう発言をして出すということになりますか? なぜかといいますと、今日の検討の方向性を見てみますと、今の費用のことと関係するのですけれども、医療がどういうふうに行われていて、何が課題なっているのかということも議論しようというふうにおっしゃってくださっています。医療はどうしても病院、外来ということ、さっきから救急医療も強調されているのですけれども、同時に地域医療という観点からいうと例えば訪問看護ステーション、今全国に約5,000ケ所あるのですけれども、精神科を熱心にやっているところもあります。 私ども精神科の看護者からいうと、医療が寄与するのは病院の中だけではないと考えております。また、評価も非常にしやすい面がございます。つまり利用した結果、どのような変化、一人ひとりについてはっきり評価が得られるという意味で訪問看護は非常に重視されるものではないか、また、そういう研究もたくさん出ているので、私どもからも御提出したいですし、ぜひ参考資料として厚生労働省からも出していただけたらありがたいと思います。 それからもう一つは、先ほど来出ていますように、評価をどうするかということでは、10年以上の退院の方がこの約10年間で1万6,000人ぐらい減ったということなのですけれども、予後といいますか、経過については御報告いただけるということなのですけれども、そのときに以前の、これも社会保障審議会の資料には出ていたのですけれども、実際どれくらいの方が病院に戻っているのか。精神科の患者さんは医療がすごく必要だという議論はいつも出るのですけれども、どのように必要かとか、誰にとって必要かということを考える時期に来ているのではないかと思うんです。いつの時点で必要かということも含めてなんですけれども、それがこういう場所で話されて、患者さんたちに返されていくと。つまりこういうときには医療は必要になりますということを、それは国が言うのか、医療従事者が言うのか、福祉の方が言うのか、それはさまざまだと思いますけれども、そこをあいまいにしないほうがいいのではないかと思うんです。こういう危険なサインがあったら病院に行きましょう、安心して入院しましょうとか、あるいは一時的に入院しましょうということを病院によっては、入院するのは御本人嫌だと言ったら、外来にひと晩職員がついて泊めて、それはやっぱり形式には入院になってしまうのですけれども、御本人は入院という気持ちではなくて、ひと晩いて安心しましたと、前に広田さんもそういうことをおっしゃっていましたけど、そういうことを医療がやっている現実もあります。医療といってもさまざまな形態、それから再発とか予防とかという観点ですと、やはり地域の中にもっと浸透するとか、精神科病院が役割分担をもっとしていくという、地域における精神科病院の役割というだけではなくて、精神科病院が地域の中でそれぞれにどういう役割とるかということを考えていっていい時期に来ているのではないかなというふうに思います。 そういうことの参考になる資料も出していただきたいですし、私どももできるだけ資料を提出して皆さんと一緒に議論したいと思っております。 ○福島精神・障害保健課長 精神障害の方を地域に移されるために、もちろん福祉も医療も必要だということで言っておりますし、その中で訪問看護ステーションの果たす役割も私ども十分認識しているつもりでございます。資料につきましては、私どもで用意できるものは用意したいと思いますし、また、地域生活を支える医療という観点で議論する回のときに、ぜひ末安構成員のほうからも資料をお出しいただき御説明をいただければと思います。 それから、医療の観点、役割分担ということもございました。医療計画では実は精神病床については都道府県一本ということになっておりまして、例えばそれは精神科における二次医療、三次医療というのをどう考えるのかという議論、医療圏域という精神科における二次圏域、三次圏域というのをどう考えていくのかという議論、多分そういうことの中でその病院間の役割分担あるいはその連携、あるいは診療所の役割分担、機能連携というものも議論すべき課題だと思います。そういうのも併せて議論をしていただければと思っております。 ○樋口座長 ほかに、どうぞ、広田構成員。 ○広田構成員 せっかく中村局長もおいでですので、4年前に小泉総理にお会いすることができました。その折に、アメリカでは精神障害者が地域で暮らせるよう精神病床を閉鎖しましたが、地域ケアにお金をつけきれずにホームレスを生んでしまったと。日本ではそうなってはいけないと思いますというお話を、4年前の3月25日にしたことを読売新聞の記事で連載させていただきました。その最後に私が「あれから2年、厚生労働省は精神病床の7万床削減に取り組んでいるが、病棟を改築して退院患者が暮らせることも認めてしまった。一人でも多くの患者仲間に本来の地域生活が保障されることを祈ってペンを置きたい」というふうに連載記事を終えたのですけど、ぜひ私この場で一言言いたかったのは、地域社会で生きると。 さっきウエノヤマさんが、対立させないでくれと言ったんですけど、いろんな背景が異なれば当然立場性があって対峙すると思うんですね。対峙する中で本音を語り合っていいものを生み出して、そしてそこで人間としての信頼関係をつくっていくと、それがこの委員会だと思っています。 で、そういうふうな中で、退院支援施設、病棟転換して、国会でも出ましたが、お風呂は入院患者と一緒でもいいよというような、それがどうして地域かと。私、地域で暮らしていますが、本当に患者が退院できたと思えるようなことを考えたときに、この退院支援施設というのを多くの日本じゅうの仲間が反対しております。ぜひ凍結していただきたいと一言お願いしたいのと、それから、私のような人間だから考えるのでしょうけど、ほかの病気では、いわゆる「受入条件が整えば」ということを言わずに入院治療が必要ない人という形で退院するんだけど、なぜ精神科の患者だけが「受入条件が整えば」という形の調査なんだろうと。入院治療が必要なければという調査も補足してやればわかりやすいのではないかというように、定時制高校卒業ですから、そんなことを考えております。よろしくお願いいたします。 ○樋口座長 そのあたりについては、今後の議論の過程で議論を深めていきたいというふうに思います。 ○長尾構成員 先ほど末安構成員からもありましたけれども、資料をこちらから提出したいというときは、今その場に応じて提出したいということを言っておけばいいのか、その議題といっても、パッと出てくると我々も用意がなかなかできにくい場合もありますので、それは今言っておけば、出させていただくよということでいいんですか。 ○福島精神・障害保健課長 こういうテーマ、こういう内容に関する資料を出したいと言っていただければ、その適切な回に合わせて、その次のときに何を議論するのかということになるので、大体その前の回のときに、次の回はこういうテーマで、というふうになろうかと思っていますけれども、先ほど全体のスケジュール感の話をしましたけれども、基本的には、まず福祉、あるいは在宅生活を支える医療の話を先にして、それから機能分化の話をするというイメージなので、最初のほうは、そういう在宅を支える医療の中でどういうものがあるよとか、そういう資料を出していただくことになろうかと思いますが、そこはまた事務局に御相談していただければ、とりあえず前もって発言していただかなくてもそれはいいのかと。 ○樋口座長 中村局長どうぞ。 ○中村社会・援護局長 いろんな御意見をいただきたくてお願いしている会議でございますので、資料はウエルカムということでございますので、何も制約するつもりはないのですが、テーマに応じた回に一番適切なものを出していただければよりスムースにいくという趣旨で申し上げておりますので、何もあのときに発言してなかったから、次回出すとこれは認めないとか、そんなつもりはございませんので、できるだけ我々も次回こういうことでお願いしたいというテーマ設定を明確にさせていただきますので、それに応じて自由に出していただけたらありがたいと思います。ただ、ナンバリングするとか、混乱しないようにということがありますので、事前に言っていただいたほうが当日スムースだと思いますので、そういった点ではよろしく御協力をお願いしたいと思います。 ○谷畑構成員 済みません、3点ほど簡単に。まず最初のビジョンの際には、国民の理解、精神医療改革、地域生活支援強化という順番だったと思うんですが、今回のこの進め方の案を見せていただきますと、ちょうど逆転をする順番で示されているのですが、今回のこの議論は地域生活支援への移行というのが主戦場になるのかどうか。それは恐らく市町村が地域サービスの主体ということで担わされると思っておりますので、ここのところが主戦場になるのかどうかという、この順番の違いについて1点教えていただきたいと思います。  それから、その際に都道府県との役割分担のあり方ということが次に出てくると思うんですが、これは地方分権なり財政改革なりとのかかわりも出てくると思います。そういったところまで踏み込む必要があるのかどうなのか、財源、人材の面、ここら辺は市町村においては非常に厳しいところがあるのかなと思っております。ここら辺までの議論を広めていいのかどうなのか。  それから3点目といたしましては、地域生活の部分については、住まい、相談、就労という部分が大きいと思います。この検討会初めて寄せていただきましたが、医療福祉関係者が多いと思っております。地域生活に移行するとそれ以外の主体というのがたくさんおられると思います。当然住まいを求めようと思えばごく一般的な市民の方の感覚ということも必要でありますし、また、就労ということであれば、企業の経営者、また、労働組合側という考え方も必要になってこようと思っておりますが、こういったところについての意見聴取なり資料の出し方ということがどういう形で参加させていただいたらいいのかなと、そういったところで進め方についての疑問をちょっと投げかけさせていただきます。 ○樋口座長 では、それは中村局長お願いします。 ○中村社会・援護局長 この会は、最初に部長のほうからも御説明申し上げたと思いますし、課長のほうからも説明あったと思いますが、精神保健医療福祉改革ビジョンに基づく会となっておりますけれども、要は精神保健医療福祉について、現状を踏まえて、さらによい方向にみんなでいくためにどうしたらいいかということを御議論していただきたいと。言い方は大変行政官として言うと問題があるかもしれませんが、ビジョンの後期ということを機会として皆さんに集まっていただいてやるということでございます。ビジョンをつくったときには、例えば精神障害者の福祉に関する制度見直しもなかったわけでございますし、この数年間の動向も踏まえ、また精神医療のさまざまな進歩なり、そういうものも踏まえてやる必要があると思いますし、また、委員御指摘のとおり、国・地方との関係もいろんな議論が三位一体でもございましたし、さまざまあると。そういう状況を踏まえて、改めて課題を設定して議論していただきたいということで、当時の議論と順番が変わってきているというのは、これは私どもの問題意識で、それ自体が正しいかどうかも含めて御意見賜れればよろしいと思いますが、そういった意味で当初の、例えば障害者自立支援法で、3障害共通ベースで福祉の分野はやっていこうという枠組みができ、都道府県・市町村に障害福祉計画つくっていただくという基盤ができたことを踏まえて、そういうツールもある中で、今度病院の問題、診療所の問題、医療の問題ももう一回とらえ直して双方でよいシステムをつくっていただきたい、両面で考えたいということで設定しておりますので、課題の設定なり、国・都道府県・市町村の関係も含めて議論してよろしいのかということについても、そのとおりであると思います。そういう御意見をまたいただいた上で、もし制度の大幅な見直しをしなければなりませんようでしたら、我々はそれを受けとめて、また政府部内でも議論し、国会のほうにも法案提出するということもあるかもしれませんので、そういうことも十分念頭に置いて、とにかく議論していただきたいというふうに思っておりますので、そういう意味での枠は、委員の御発言ありましたけど、枠に拘束されずに、そういうことを機会に集まっていただいているという意識で、今課題は精神保健医療福祉についてこれからどうしていくのかということについて御意見を伺いたいということです。  そういう意味では、地域生活でやっていく場合にいろんな要素があるのではないかというのもそのとおりでございまして、ここにいらっしゃる委員の方々ですべてカバーされるわけではないと思いますので、そういったときにどうしたらいいかというのは、また、皆様方に御相談して、関係者に来ていただいて、また議論するとか、必要に応じた、本当に必要であれば、さらに下の部会をつくるとか、そういうこともあるかもしれませんので、その辺はむしろ御意見をいただいて進めてまいりたいと思います。 ○樋口座長 ありがとうございました。どうぞ。 ○中村障害保健福祉部長 スケジュール的な面でちょっと補足をさせていただきますと、先ほどの資料4の今後の議論の進め方の3の一番最初の「○」に書いてありますように、実は障害者自立支援法につきましては、平成18年4月から施行されておりまして、ちょうど3年後の見直しというのがこれから本格的に進んでまいります。そのための審議会の部会も近く立ち上がる予定になっておりまして、そこで今御指摘のあったような、かなり幅広い議論をすることになろうかと思いますが、企業の方、あるいは就労の話がございましたけど、そういう議論をする場がございますけれども、精神障害の問題につきましては、この委員会でしっかり議論していただいて、ここでの議論をそういう部会にも反映させていきながら、我々としては成案をまとめていく作業を進めていきたい。そういうことで検討のスケジュールのお願いをしているということでございます。 ○樋口座長 ありがとうございました。時間が大体定刻になったようでございますが、ただいまいただきました今後の議論の進め方につきましては、今日局長のほうからもフレキシブルな、あまり枠にとらわれずにいろいろな角度からの議論をしてほしいということもおっしゃっていただきましたので、そういうことを踏まえながら、そして今日出していただきました意見も踏まえて、また事務局と今後の議論の進め方について詰めていきたいと思います。  では最後に事務局のほうから、次回の検討会のことも含めてお願いいたします。 ○名越課長補佐 次回の検討会につきましては、「地域生活支援体制の充実」をテーマ行うこととしています。日程につきましては、5月1日(木曜日)の15時からということで予定をしております。お手元のほうに次回の出席確認についての用紙を準備しておりますので、そちらに出席の可否、御記入の上、御提出をお願いいたします。正式に決まりましたら、後日御案内をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。  事務局からは以上でございます。 ○樋口座長 それでは、本日はお忙しい中、また長時間にわたっていろいろと御討議をいただきましてありがとうございました。 それではこれをもちまして、第1回の「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」を閉会とさせていただきます。 どうもありがとうございました。 (了) 【照会先】 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 精神・障害保健課企画法令係 電話:03-5253-1111(内線3055)