08/04/09 社会保障審議会 第6回少子化対策特別部会議事録 第6回少子化対策特別部会 議事録 日時:2008年4月9日(水) 17:00〜19:00 場所:厚生労働省 省議室 出席者:  委員   大日向部会長、岩渕部会長代理、岩村委員、内海委員、小島委員、清原委員   駒村委員、佐藤委員、庄司委員、杉山委員、福島委員、宮島委員、山縣委員   山本委員、吉田委員  事務局   村木審議官、高倉総務課長、小林調査官、朝川少子化対策室長、杉上虐待防止対策室   長、定塚職業家庭両立課長、藤井家庭福祉課長、田中育成環境課長、井上児童手当管   理室長、義本保育課長、千村母子保健課長、宮川雇用保険課長  参考人(オブザーバー)   徳島県保健福祉部次長 穂田英夫参考人(飯泉委員代理)   三鷹市健康福祉部長  玉木 博参考人(清原委員代理) 議題:  1.次世代育成支援に関するサービス・給付の現状と課題(1)(現物給付)  2.次世代育成支援に関するサービス・給付の現状と課題(2)(現金給付)  3.次世代育成支援に関する費用負担の現状と課題  4.多様な主体の参画・協働 配付資料:  資料1-1 次世代育成支援に関するサービス・給付の現状(2)(現金給付)  資料1-2 次世代育成支援に関するサービス・給付の現状(2)(現金給付)(参考資料)  資料2  次世代育成支援に関するサービス・給付の費用負担の現状等  資料3  多様な主体の参画・協働 議事: ○大日向部会長  それでは定刻になりましたので、ただ今から社会保障審議会第6回少子化対策特別部会 を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、ご多用のところお集まりいただきま してありがとうございます。議事に入ります前に、事務局より資料確認と委員の出席状況 に関するご報告をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、まずお手元に配付しています資料の確認をさせていただきます。最初に「議 事次第」です。それから資料1-1「次世代育成支援に関するサービス・給付の現状(2)」、 資料1-2としてその参考資料、資料2「次世代育成支援に関するサービス・給付の費用負担 の現状等」、資料3「多様な主体の参画・協働」を配付させていただいております。また、 委員の皆様の机の上には徳島県の「みらい」という小冊子と、三鷹市の「三鷹市おでかけ マップ」という冊子を配付させていただいています。もし不足等がございましたら事務局に お声掛けいただければと思います。  次に、本日初めてご出席いただきます委員がいらっしゃいますので、僭越ですが事務局 よりご紹介いたします。福岡県添田町町長の山本文男委員です。 ○山本委員  山本です。よろしくお願いします。 ○朝川少子化対策企画室長  ありがとうございます。委員の出席状況ですが、本日は飯泉委員と大石委員から、ご都 合によりご欠席との連絡をいただいております。それから、清原委員と岩村委員はご出席 の予定ですが到着が遅れるとのご連絡をいただいています。まだ二人の委員がいらしてい ませんが、お見えになると思います。なお、飯泉委員の代理といたしまして、徳島県保健 福祉部次長の穂田英夫参考人です。よろしくお願いいたします。清原委員の代理といたし まして、三鷹市保健福祉部長の玉木博参考人にご出席いただいています。よろしくお願い いたします。ご出席いただいております委員の皆様方は定足数を超えておりますので、会 議は成立しています。 ○大日向部会長  ありがとうございました。議事に入ります前に、本日ご欠席の飯泉委員の代理としてご 出席いただいております徳島県保健福祉部次長の穂田英夫参考人、それからご到着が遅れ る見込みの清原委員の代理としてご出席いただいております三鷹市健康福祉部長の玉木博 参考人、このお二方のご出席についてご異議はありませんでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは、議事に入りたいと思います。お手元の議事次第をご 覧ください。最初の議題1「次世代育成支援に関するサービス・給付の現状と課題(1)(現物 給付)」、これは前回からの継続審議です。まず、この点につきまして30分ほどご議論いた だきまして、その後、議題2、議題3、議題4の三つについて一括して事務局から資料のご 説明をいただき、その後ご議論いただきたいと考えております。  それでは、最初にご議論いただきます議題1ですが、これは前回もご議論いただきまし たが、この点について引き続き30分ほど皆様にご議論をお願いしたいと思います。議論に 入ります前に、前回、今井参考人から要求がありました幼稚園に関する資料を事務局がご 用意くださっているようですので、まず事務局から簡単にご説明いただければと思います。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、資料1-1の5ページと資料1-2の8ページを併せてご覧ください。幼稚園に 関しまして、前回の保育園について用意しました資料と基本的には同じような形で整理を させていただいています。まず、「給付の概要」のところですが、括弧書きのところで、 「1日4時間を標準に開設日数39週以上」ということで、預かり保育につきましては公立保育 園の約5割と私立幼稚園の約9割で実施されているということです。これに関しまして、 資料1-2の8ページをご覧ください。預かり保育の実施状況について、少し詳しい資料を 文部科学省からいただきましたのでご紹介します。実施幼稚園数は今申し上げた通りです が、2番の「実施日数・終了時間」は、左側の方が1週間当たりどれくらい行われているか という実施日数です。公立と私立では若干違いがありますが、おおむね5日のところを見 ていただくと、公立で5割強、私立で7割ぐらい、5日、6日行われているところが多いこ とがうかがえます。右側の時間の方ですが、これも公立と私立では若干違うようですけれ ども、公立の方は3〜4時、4〜5時のところが比較的多いかなという感じですが、私立の方 は4〜5時、5〜6時といったところまでやられている割合が高くなっているという状況です。 3番の「受入れ幼児数」ですが、これは1日当たりの平均の幼児数に換算しています。合計 で、おおむね13万人強の受入れをされているという状況です。  資料1-1にお戻りいただいて、幼稚園の数につきましては1万3,700カ所ありまして、 公立と私立でおおむね4対6の割合、児童数の割合では2対8ぐらいになっています。(3) 施設整備費については、公立は国が3分の1以内の補助を出して、設置地方公共団体が3 分の2を負担しています。私立幼稚園の方は学校法人、社会福祉法人を対象として、費用 負担は国が3分の1以内、設置者が3分の2となっています。  次のページをご覧ください。「利用の仕組み(手続)」は、直接、幼稚園に入園を申込んで いただくという形になっているということと、利用料については、所得に応じて就園奨励 費を助成されているという形になっています。  「サービスの質」のところですが、人員配置は1学級35人以下で、施設整備の基準はこ こに書いてあるようなことが設けられています。  「費用負担(運営費)」のところですが、公立幼稚園の方は市町村と設置者による負担とい うことになっていまして、市町村が100%負担するという形です。私立幼稚園の方は2種類 ありまして、一つは私学助成という形での公費負担で、これは都道府県が設置者に対して 行う助成に対して、国が予算の範囲内で補助をするという形のものと、利用者(保護者)に対 して就園奨励費という形で公費負担が行われます。その3分の1を国が公費負担するとい う形になっていまして、(2)「費用額」を見ますと、公費で負担しているのは約3,700億円、 利用者負担になっているのは約3,200億円という状況です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、ここから30分ほど、今の議題1に関しましてご議 論をお願いしたいと思います。 ○朝川少子化対策企画室長  前回の資料は、ファイルの中に入っていますので、それをご覧いただきながらご議論い ただければと思います。 ○駒村委員  今のご説明のところを、先に質問してもよろしいですか。資料1-1の幼稚園のところの「所 得に応じて就園奨励費を助成する」ということを、もう少し細かく説明をいただけますで しょうか。具体的にどのようになっているのか。 ○朝川少子化対策企画室長  就園奨励費につきましては、私立と公立で単価が大きく異なっていますが、まず私立に ついてご説明します。所得階層区分が設定されていまして、四つあります。生活保護世帯 という区分、二つ目の区分が市町村民税所得割非課税世帯、三つ目が所得割の課税額が3 万4,500円以下、1番上が18万3,000円以下という形です。これがさらに第1子、第2子、 第3子で補助の単価が異なっていまして、第2子、第3子になるに従って、高い額が設定 されています。例えば、第1階層での補助単価は第1子で14万6,200円、第2子で19万 円、第3子以降で26万円と設定されています。 ○大日向部会長  よろしいですか。  今のことに関して、私からも一つ伺ってよろしいですか。今は幼稚園の就園奨励費につ いてのご説明でしたが、保育園との違いというのは、今日の資料に出ているのでしょうか。 出ていなければ、今日でなくて結構ですが、保育園と幼稚園がどのように違うのかという ことがよく議論になりますので、次回にでも教えていただければと思います。 ○義本保育課長  次回、資料として用意させていただきますけれど、幼稚園の料金については、一応一律 に決めていて、そこから所得に応じて就園奨励費という形で減免があるという仕組みです が、保育所につきましては、国の基準で7段階、地方ではもう少し細かいですけれども、 それぞれ家計の状況に応じて保育料を設定するという形にしていますので、段階ごとに決 めているという仕組みになっています。 ○大日向部会長  ありがとうございます。もう一つお願いしてもよろしいでしょうか。今、義本保育課長 のご説明を伺っていて、確かに地域によって幼稚園と保育園の機能が違っているかもしれ ないということをよく思うのです。地方によっては幼稚園が保育園を代替しているような 所もあるように聞いているのですが、そうしますと、幼稚園と保育園の地域による偏在状 況なども併せて資料のご準備をいただければ大変ありがたいと思います。お願いしてもよ ろしいですか。 ○朝川少子化対策企画室長  次回までに、何らかの形で用意させていただきます。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他に、どうぞ。 ○駒村委員  考え方を教えてもらいたいのですけれど、幼稚園の奨励費というのはどちらかというと 所得があまり十分にない世帯に対する軽減という性格で、保育料の方は所得段階別に細か く刻んでいるということは、考え方としては所得比例的な負担を求めているというような 整理でよいのか、その辺を確認させてください。 ○義本保育課長  幼稚園につきましては、基本的には所得比例ではなくて、所得に関係なく保育料は一律 です。ただ、政策的には先ほど申しましたように所得に対応した負担の軽減という問題、 それから、先ほど朝川少子化対策企画室長がご説明しましたように、公立の幼稚園と公立 の保育所では保育料にかなり大きな違いがあります。ですから、公立と私立の保育料の負 担の格差の解消という目的の下に制度が始まったと伺っています。それも含めて資料を用 意させていただきます。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。 ○杉山委員  ありがとうございます。何点かあるのですが、幼稚園の預かり保育の実施状況というと ころで、確認というか意見もあるのですが、幼稚園の場合ですと大体午前中から2時くら いで幼児教育のプログラムを行っていて、その後に預かり保育を行っていらっしゃると思 うのですけれども、その預かり保育の内容に関して若干不安があるというような話を聞く こともありまして、そういったところのガイドラインですとか、午前中に幼児教育を行っ た園児に対してどのような保育が望ましいのかという議論ですとか、そういったことが行 われているのかどうか確認できればと思います。  もう1点は、前回は休んでしまったので、前回のこと等がわからずに発言させていただ いているので少しずれてしまうかもしれないのですが、一応、意見書の部分で強調したか ったところを2点ほど発言させていただければと思います。これも内容に関することが多 いのですけれども、病児・病後児保育ですとか一時保育ですとか、保育以外の部分でさま ざまなサービスを実施していこうということで展開しているところだと思うのですけれど も、現状は専門家としてやってきた部分と地域との連携によってどのように行おうかとい う部分で、よくわからずに手探りでやっている部分がとても多くて、子どもを預かるとい う場合にボランティアでよいのかとか、それこそ一時保育というものを今後展開していく ときに、例えば病気の子どもを誰が預かるのかとか、いろいろなケースに合わせて、やは り一度は丁寧な議論を行って、ガイドラインなどを設けながらやった方が良いのではない かと思っています。  もう1点は、意見書にも書きましたけれども、やはりいろいろなサービスが出てくると いうことは大変喜ばしいことではあるのですが、初めて子育てをする親にとっては何が良 くて、自分にとって何が必要なのかというのは、相当判断に迷うところがありますので、 その辺りをコーディネートするような助言者というものが、専門家でなくてもよいので必 要ではないかと思います。そういう方を全戸訪問の事業、あるいは地域子育て支援センタ ーや子育て広場などのスタッフが兼ねても十分だと思うのですが、そういった機能が付加 されていくと良いのではないかと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。2点あるうちの最初の方は、義本保育課長からお答えいただける でしょうか。それから、前回出していただいた杉山委員の資料に関して改めてポイントを ご指摘くださいました。これは前回も皆様関心のあるところだったと思いますので、この 点についてはまた改めてご議論いただければと思います。まず、義本保育課長からお願い いたします。 ○義本保育課長  幼稚園の預かり保育の質の問題は文部科学省の問題ですので、直接の所管ではありませ んけれども、一応聞いている範囲でお答えしたいと思います。今回、保育所保育指針と同 じように、幼稚園については幼稚園教育要領というものが策定されまして、その前段とし て学校教育法の中においても預かり保育をいわゆる教育課程外の活動と位置付け、それに 基づいて教育要領の中においても預かり保育の位置付けをしっかり明確にしたことが、今 回の要領の改定でなされたと聞いています。これは3月28日に策定され、来年の4月から スタートということです。その中においても、預かり保育においての基本的な考え方や、 あるいは通常の教育課程の保育以外のものですから、むしろ生活を重視したような場を作 るとか、あるいは担当する職員については幼稚園の教諭を原則とするというような幾つか の目安を定めて進めていこう。それから、これまでも恐らく質の問題というものがありま したので、事例集を出して望ましい方向を出していく。特に4時間の教育課程とは別の形 で、むしろ子どもの生活リズムを重視していくという姿勢の方向で、どのような環境を設 定するとか、接し方ということをベースとして事例集を出していると聞いております。  それから、一時保育、一時預かりの問題ですが、これは前回でしたか、児童福祉法の改 正の中に病児保育についても今後の課題としてどのような形でやるのかという問題があり ます。ただ、今回予算上明らかにさせていただきましたのは、保育所で体調不良の子ども を預かる場合の対応と、いわゆる病児保育、病後・回復期の保育というのは対応が違いま すので、やはり病児・病後児保育ついては病気、あるいはその回復期ですから通常の保育 の延長では考えられないということになりますので、そこはしっかりしたスペースを設け ていただくとか、あるいはそれに対応する職員については看護師の常勤、それから保育士 がスタッフとして当たるということについて、予算上ですけれどもそこは明記して通知さ せていただいています。それを全体のガイドラインとするかということについては今後の 課題ですけれども、当面の対応としては予算の実施要綱の中でそのようなことについてお 願いしています。 ○大日向部会長  ただ今のご説明でよろしいですか。 ○杉山委員  確認ですが、今のところは事例集と教育要領で出していて、今後はもしかしたらある程 度のケースが重なってくるとガイドラインではないですけれども。午前中に教育をしてい ますので、多分保育園の保育とは違うように思うのです。そういうパターンは本来こうあ ると良いというようなポイントがあればと思うのですが、方向としてはあるかもしれない ということでしょうか。 ○義本保育課長  ここはまさしく文部科学省の政策の問題ですので、私は答える立場にありませんけれど も、そういうご意見があったことは担当の幼児教育課にお伝えしたいと思います。 ○宮島委員  今、病児保育に関してお話がありましたので、意見を申し上げたいと思います。病児保 育は、子育てをしながら働いている母親にとっては本当に肝の部分かと思っております。 もちろん親の気持ちとしては、できるだけ休める方が良いですし、本当に休みたいと思う 親が多いと思うのですけれども、よりによって積み上げてきた仕事の勝負の日に熱を出す とか、兄弟がいるときに交代でうつしあって熱を出すということがあって、職場との関係 で悩む母親が多いと思います。今、交付ベースで735事業ということですけれども、やは りまだ数が十分ではないと思います。季節によって熱を出す子どもの数は違うということ を考えますと、施設に看護師を派遣したり、施設で預かるということは一つの良い方法だ と思うのですけれども、それですと数の季節変動や時期による変動にうまく対応できない のではないかと思います。そんな中で派遣型というところをもう少し突き詰めて考えてい けば良いのではないかと思います。今、NPO法人の取組などでも派遣型の病児保育の取 組をされているところがありますけれども、今、病児保育の派遣型は国がやっているもの で17カ所と聞いていますが、これが広がって病気のときの安心網ができますと母親たちに とっては非常に安心できることになります。今はまだ病児保育の情報も十分に知れ渡って いないと思いますので、そういった情報の周知も含めて進めたいと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。杉山委員、吉田委員の順でお願いします。 ○杉山委員  病児保育についてですが、例えば派遣型でやった場合に知らない人がやってきて、熱の ある子どもを見るのかとか、その人に専門的な知識や技量がなくて大丈夫なのかとか、一 番考えなければいけないのは子どものことだと思うのです。どうしてここでこのように繰 り返して言うのかといいますと、やはりそのようなことを見ていただかなければならない のは職場の方であったり、同僚の方であったり、雇用している人だと思うのですが、その 辺をあまり安易に病児保育があるのだから仕事を優先しなさいというような議論になって いくことを非常に懸念しています。特に病気をしていますので、そのときにどうしますか ということを子どもは言いませんので、できるだけきちんと考えた方が良いと思っていま す。そこが今まであまりに議論が薄かったということを、私は非常に反省しています。ど うしても預けなければならないときに、一体どうしたら良いのかというところで、やはり もう1回立ち返って親のニーズをどこまで満たすのかというところから考えていけたらと 思っています。以上です。 ○宮島委員  そのご意見に対してはもちろん賛成です。本当に安易に預ければよいというわけではな いと思います。ほとんどの保護者は、やはり本当は休みたいと思いますけれども、それも ままならないときがある場合の安心をどこに置くかということだと思います。緊急サポー トサービスのようなものに関しても、実際に派遣される方の質やご家庭との関係というの は、本当に議論しながらやらなければいけないと思いますので、私も十分な議論が必要だ というところに賛成です。 ○大日向部会長  ありがとうございます。お二方はそれぞれ大変重要なポイントを出してくださったと思 います。子どもが病気のときは、一方で親が休めるような働き方を整えつつ、他方で病気 の子どもが最善の環境で見ていただけるような病児保育を慎重にということと考えさせて いただければと思います。ありがとうございます。  吉田委員、お待たせいたしました。 ○吉田委員  せっかく病後児保育が出ましたので、その点と幼稚園の預かり保育についての2点のお 話をさせていただきたいと思います。  病後児保育、病児保育は基本的に今出ていた通りだと思いますが、つまり施設に依存し ない在宅であるのか、施設型であるのか。これも組み合わせの問題だと思います。基本は 例えば前回も少し申し上げた熊本県小津町は次世代の計画の中の一つのキャッチフレーズ で、病後児保育ゼロを目指しますと。それは病後児保育をやらないという意味ではなくて、 その地域の企業とタイアップして、なるべく企業にも協力していただいて、子どもが2、3 日病気である、あるいは病気上がりのときは親がきちんと家庭で面倒を見られるようにす る。しかし、どうしてもそれができない事情がある場合には、きちんと病後児保育、病児 保育のサービスは提供するという組み合わせを考える。ただ、キャッチフレーズというの か、私は理念として、病後児保育ゼロを目指しますという発想は、子どもの視点に立った ときには大事な視点ではないかと。ただ、それは病後児保育、病児保育をやらないという 意味ではなくて、力の入れようというのか、理念の持ちようだと私は思っています。その 意味で、この間申し上げたように、やはり政策の多様性と組み合わせとプライオリティを、 どうバランスさせるかという視点がどうしても必要ではないかと。恐らく0か1という話 ではないだろうと思います。  それから幼稚園の預かり保育は、実は私も少し文部科学省の仕事でかかわっている関係 で、先般の学校教育法改正で預かり保育が一応法的に位置付けられたということもありま すし、その前の一昨年10月に、幼児教育振興アクションプログラムを文部科学省が策定し ました。私もその策定にかかわっていたものですから申し上げますが、その中で今までの ような単なる量的拡大だけではなく、やはり預かり保育の質を充実させなくてはいけない。 当然、保育者という面もそうですし、例えば預かり保育の保育室というのでしょうか、ス ペースや設備の問題、あるいは預かり保育のプログラムの中身の問題。いろいろな面に渡 って質を大事にしようということで、そのための調査・研究をやる、義本保育課長から今 お答えがあったような新しい施策を検討するなど、今はそのような現状だろうと思います。 法律が改正されて間もないので、現実には今そのような具体的なデータを恐らく文部科学 省は持っていないと思いますが、方向としては質的なものを充実させようということだと 思います。ただ、もう一つ問題は、次に資料を出していただくとよいと思いますが、例え ば預かり保育で、夏・春・冬休み等の長期休業中にどれぐらいやっているかというデータ が恐らくあると思います。このデータに入っていないと思いますが、幼稚園が朝9時から なら、始まる前の7時〜8時からの早朝保育も今かなり幼稚園でやり始めている。そのデー タもあればよいと思いますし、もう一つはしっかりした質の高い預かり保育をやろうとし た場合に、当然人を配置しなければいけない。ただ、残念ながら、文部科学省ベースの補 助金は、預かり保育に関してはかなり少ないのです。年額で60万円とか、80万円です。そ のようなレベルですから、きちんとした人を配置するには、補助金ベースで言うと、恐ら くそれは全然足りないだろうという問題があります。多分いろいろな要因が重なり合って いると思いますので、必ずしも質が高くない預かり保育もありますが、かなり質の高いも のもあって、それは単に個々の園のレベルの問題だけではない構想的な問題も多少あるの かと思いますので、もう少しその辺をきちんと押さえた議論をする必要があると思います。 以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。 ○義本保育課長  吉田委員のリクエストについて、次回にできるだけ用意させていただこうと思います。  1点だけですけれども、基本的に預かり保育についてファイナンスは私学助成の一環でや っており、県によってかなり付け方のばらつきがありますので、一概に平均像を出しても 実態はなかなかつかめないところもありますから、その辺のところも少し考えながら、資 料の作り方を考えたいと思います。 ○大日向部会長  それでは、よろしくお願いします。内海委員、どうぞ。 ○内海委員  少しお尋ねしたいのですけれども、幼稚園で早朝保育をやっている理由は何ですか。保 育園に入れない子どもたちが来ているのですか。 ○吉田委員  本当は私が答える立場ではないかもしれませんが、いろいろなケースがあります。一つ 有力なのはやはり働いている方への対応と。 ○内海委員  保育園に入れないのですか。 ○吉田委員  入れない方もあれば、逆にやはり幼稚園教育を受けさせたい意識の親が現実にいらっし ゃって、そうすると早朝保育や預かり保育をやってくれれば、その幼稚園に行ける、選択 できるという要素もあると思います。 ○内海委員  わかりました。  北欧のお話を少しさせていただくと、北欧は幼稚園と保育園を分けていないのです。名 称としては幼稚園・保育園のような形で呼んでいるのですが、今、文部科学省系列と厚生 労働省系列で巣立ってくる子どもたちが2本立てで来て、そして文部科学省の小学校に入 ります。ものすごく話が大事になると思いますけれども、そのままでよいのかという話で す。北欧は幼稚園・保育園というカリキュラムで来て、小学校が7年間ぐらいになるので す。年長から1年生がプレスクールという形で、教育プログラムが入っていくという形に 全部変わってしまっているのです。幼稚園と保育園という二本立てはないということ。そ れから病児保育のことですけれども、病児保育は北欧にはありません。保育園の子どもた ちの健康管理は誰がしているのか。日本だと園医がいます。私の区でしたら、0歳児保育を やっている所へは、園医が週1回行くというかなり濃厚なかかわりをしているのですけれ ども、そのようなものがあるのかと思ったら、なぜ保育園にかかわる医者が必要なのかと。 保育園で熱が出たら、すぐ親に連絡をして、親がすぐ来て、かかりつけ医に行くと言って いましたので、病児保育はあり得ないということがありました。  ですから、どちらを目指すのか。先ほど吉田委員がおっしゃったように、ゼロを目指し つつ、今の補完をする。私は小児科医ですけれども、私の仲間には開業しながら病児保育 をしている人はたくさんいます。それは働く母親が困っているのを見かねてしていること であって、決してこれが良いことだと思っていないと、みんな口をそろえて言っていまし た。その辺をご理解していただきたいと思います。 ○大日向部会長  では、山縣委員、お願いします。 ○山縣委員  預かり保育で盛り上がっているので、参加させてください。文部科学省のデータで見た ことがないので、出ないかもしれませんけれども、データ的には可能性があると思います。 預かり保育を何のためにやっているのかということです。見かけ上は保育所の延長保育に 似通った部分になるわけですけれども、保育所の延長保育は、あくまでも就労支援に事実 上なってしまいます。就労のさまざまな形態に対応していくということですが、この幼稚 園の預かり保育は、私が知っている範囲で言うと、いろいろな形があって、今言われたよ うな就労支援に非常に近づいた預かり保育もあれば、例えば週1回預かり保育をやってい る、週2回やっているというのは、恐らく就労支援ではないと思います。ですから、ここ にある預かり保育の、幼稚園の開所の総時間と週当たりの実施日数、さらに長期休業等の 対応を絡めていくと、その園のイメージというか、その預かり保育はどのようなことを目 的にしているのかが、わかってくるのではないかと。それの公私の差などで考えていくと、 将来的に国でも少しずつ進めています「認定こども園」などの中で、どのように展開して いくか。イメージとして預かり保育をまるで就労支援のような形でとらえている方が多い と思いますが、私は必ずしもそうではないのではないかという気がしています。データが 出てこないかもしれませんけれども、もし可能であれば、よろしくお願いします。 ○義本保育課長  そこは文部科学省と相談して何ができるか考えたいと思います。ただ、私も若干そこに かかわった経験がありますので、少しご報告させていただきますと、おっしゃったように、 15時、16時に終わっているケースがありますので、いわゆる地域に遊びの場や、そのよう に群れて交流する場がない現代において、そのような生活を提供する居場所という観点か らやっているケースも漏れ聞いています。その辺も含めて、事例なども含めて文部科学省 と相談したいと思います。 ○大日向部会長  よろしくお願いします。もし、今の点の資料を出していただけたら、最初に杉山委員が 質問された幼稚園での預かり保育の内容や質ということもかなり考えることができる資料 になると思います。いろいろと委員から次回までのお願いをたくさんさせていただきまし た。大変かと思いますが、どうかよろしくお願いします。そろそろ予定の30分ですが、こ の議題1に関して他にありますか。よろしいですか。  それでは、次に議題2〜4です。議題2の「次世代育成支援に関するサービス・給付の現 状と課題(2)」(現金給付)について。議題3の「次世代育成支援に関する費用負担の現状と 課題」、そして議題4の「多様な主体の参画・協働」について、最初に一括して事務局から ご説明をお願いしたいと思います。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、まず、現金給付の関係からです。資料1-1と資料1-2を併せてご覧ください。  まず、両方とも1ページ目をご覧いただきますと、資料1-1の1ページ目の「1.児童手当」 です。これはかなりご案内のことかとは思いますが、3歳未満の方には1人につき月額1 万円、3歳から小学校修了までは第1子、第2子は5,000円で、第3子以降は1万円とい う制度です。所得制限がありますが、現在9割ぐらいをカバーしているという状況です。  資料1-2を見ていただきますと、これまで制度の沿革を1ページ目に整理してあります が、平成4年に第1子まで、要するにすべての子どもに対して、3歳未満ということで給付 するという現行に近い形が出来上がっています。それ以降、年齢の対象の拡大と所得制限 の緩和と、平成19年度の改正では手当額の引き上げを3歳未満について行ったという拡充 をしてきたというのが沿革です。  資料1-2の2ページ目をご覧いただきますと、財源構成です。3歳未満と3歳以上で分か れていて、そこの3歳未満のところの財源構成が制度の最初のころからあった財源構成の 形が引き継がれているわけですが、まずサラリーマンと自営業者で違いまして、サラリー マンについては、本則給付は7割が事業主負担です。それ以外の3割を国と地方で分担す る。自営業者については全体を公費負担で行う。サラリーマンについては若干所得制限の 緩和が行われていまして、その緩和している部分については全額事業主拠出で対応すると いう姿になっています。  一方、3歳以上のところは、平成に入ってからこの対象年齢を拡充してきているところで す。その拡充のときにサラリーマンも含めて、全体を国と地方の公費で拡充してきたとい うことで、現在そのような形の財源構成になっています。  1枚おめくりいただいて、児童手当との関係です。重点戦略では、現金給付と税制を通じ て総合的に経済的支援を実施する必要性が指摘されています。その関係で、現行制度につ いて税制と児童手当を整理した資料をご用意しました。税制については現在の所得控除と いう形で、扶養控除です。子ども1人につき38万円の控除がある。そして高校生以上にな ると63万円になるということです。児童手当についてはそのようなことです。  資料1-1の2ページ目をお開きください。二つ目の現金給付で「2.出産育児一時金」です。 これは医療保険制度として、出産費用について35万円を支給するという制度です。財源構 成は下にあります通り、サラリーマンについては労使折半の保険料、国民健康保険につい ては保険料財源が3分の1で、市町村の一般財源が3分の2という形です。  1枚おめくりいただいて「3.出産手当金」です。これも医療保険制度の制度です。これは サラリーマンのみの制度ですが、産前・産後の休暇中の所得保障ということで、賃金の3 分の2相当を医療保険者から支給するということで、労使折半の保険料を財源に行われて います。  もう1枚おめくりいただいて、「4.育児休業給付」という現金給付があります。これにつ きましては雇用保険から支給されています。休業開始前賃金の50%を支給するというもの です。そのうちの3割相当を休業期間中に給付して、職場復帰後6カ月後に残りの2割相 当を支給するという形になっています。費用負担は労使折半にプラスして、一部国庫負担 が入っているという形です。  これに関しまして、資料1-2の4ページ目以降に若干、育児休業制度に関する資料を付 けさせていただいています。当部会では、特に育児休業明けから保育サービスに切れ目な く移行できる仕組みを全体として構築していくということが課題です。それにプラスして、 育児休業給付の取り扱いを制度としてどのように考えていくか等に関連する部分ですので、 資料を付けさせていただいています。  4ページ目は現在の育児・介護休業法の概要で、子が最大1歳半までは育児休業を取得す る権利が保障されているという仕組みです。その後、右下に勤務時間短縮等の措置があり ますが、子が3歳に達するまでは、ここにあります(1)〜(6)に挙がっていますような措置を 勤務時間短縮の措置等を事業主に義務付けるという形になっています。左の方に、さらに 子の看護休暇制度がありまして、小学校就学前までは年に5日を限度として看護休暇付与 を義務付けられているという形になっています。  この制度につきましては、次のページで当部会の委員でいらっしゃいます佐藤委員を座 長とします「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会」で、課題についての検討をし ていただいている最中です。下の方に主な検討課題ということを挙げていますが、例えば 1(1)にありますように、3歳まで義務付けられています勤務時間短縮等の措置につきまして、 短時間勤務の取得促進という観点から、どのように図っていくか、子の看護休暇について 子どもが複数いる場合にどのように接していくのか、男性の育児休業はまだまだ取得状況 が悪いので、その取得促進方策をどうしていくかという課題の検討をしていただいている ところです。  1枚おめくりいただいて6ページ目です。育児休業取得率の推移を挙げさせていただいて います。女性は比較的伸びてきておりまして、現在は7割を超えていますが、男性が0.50% と非常に低い状況です。  さらに1枚おめくりいただいて、女性について育児休業取得率自体はアップしています が、出産を契機に就業継続を断念するという方が相当数いらっしゃいます。それに関する 資料としまして、出産を契機に就業を辞めた理由を聞いたものです。その4分の1ぐらい の24.2%の方が「仕事は続けたかったが仕事と育児の両立の難しさで辞めた」というお答 えをされています。育児休業や短時間勤務などの育児と就労を両立しやすい環境整備とい うことが重要であることを示している資料かと思います。以上が現金給付に関します資料 の説明です。  次に資料2として、費用負担に関する資料を幾つかご用意しています。まず、1〜3ペー ジ目です。次世代育成支援に関します主な給付につきまして、大体現在の給付総額がどれ ぐらいになっているかということと、費用負担の構成がどのようになっているか、その考 え方はどのような考え方に基づいてそうなっているかということを整理した資料です。  例えば育児休業給付を見ていただきますと、給付額は平成20年度予算ベースで約1,300 億円で労使折半を基本に国の負担が入ると。その考え方としては、失業や失業に準ずる雇 用継続が困難な状態は、労働者と事業主双方の共同連帯によって対処すべき事項であると いうことで、労使折半で負担する。さらに、保険事故である失業というのは政府の経済雇 用政策と無縁ではないので、その責任の一端を担うべきということで国庫負担が入ってい るというような整理がされています。  保育所のところは、前回ご説明した通りですが、公立については三位一体改革で、全額 市町村で一般財源になっているというところです。その他の病児・病後児あるいは放課後 児童クラブ、次のページの一時預かり等につきましては、国の負担分は児童育成事業の一 環としての補助という形になっていまして、事業主財源で賄われていること。この「児童 育成事業」については、欄外に※で解説がありますが、児童手当制度の中で実施している もので、育児に関する援助、児童の健全育成に関する事業などを支援するというものです。 その観点としては、現在及び将来の労働力確保の観点から、事業主にも一定の負担をして いただいているというものです。以上、1〜3ページはそのようなことです。事業の性格あ るいは経緯から、いろいろな負担構成になっていますが、新しい枠組みを考えていく上で、 ここをどのように整理していくかが課題かと思います。  次に4ページ目です。これは児童・家族関係社会支出としまして、全体で4兆3,300億 円ぐらいありますが、そのうちの約4分の1は国の財源で半分ぐらいが地方の財源、1割強 が事業主、被保険者本人も1割ぐらいで、現状はこのようになっています。新しい次世代 育成支援の枠組みを検討するに当たって、税制改革の動向を踏まえつつ検討ということに なっていますが、この際、国の財源だけではなくて、この次世代育成支援の分野に地方負 担をいただくことについて配慮する必要があるということがこの図からも読み取れるかと 思います。さらには、このような税財源をかけていくということと併せて、事業主負担を どのようにしていくか、どのように組み合わせていくかということも課題かと思います。  1枚おめくりいただいて、これは諸外国の状況を見ているものです。左側のオレンジ色の 部分が家族関係社会支出といわれているものの全体で、この右側の方が財源構成、緑色が 税財源、赤色が事業主財源です。フランス、スウェーデンのように事業主財源が入ってい る所もあれば、ドイツのように入っていない所もあるという形になっています。  1枚おめくりいただいて6ページ目です。社会保障の財政方式として、例えば年金、医療、 介護などは社会保険方式という仕組みを取っています。この次世代育成支援の分野で、こ の社会保険方式についてどのように考えるかという論点があります。これについて2004年 に九州地方知事会で、佐賀県知事が中心になりまして構想が発表されておりますので、ま ず、その紹介をさせていただきます。この内容は、趣旨としては現下の経済情勢では必要 な費用を税財源で賄うのは困難だということで保険方式が提案されています。保険者は市 町村で介護保険のように、介護保険と合わせて作るか、あるいは単独に作るかは、選択と いうことになっていまして、20歳以上の人を被保険者として、給付内容としては保育に始 まり、社会的養護、教育まで含めたものを給付内容として構成すると。給付方式は要支援 度認定のようなものを行いまして、その上で、給付限度額を設定して定率の利用者負担と いうような提案がされています。  もう1枚おめくりいただいて、一方で社会保険方式について、この分野で考える際のメ リット・デメリットがあるかと思います。まず、左側の方は利点を整理しているものです。 これは一般的にも言える話だと思いますが、社会全体で幅広く国民に負担していただくと いう意味では社会保険のメリットがあります。二つ目は負担と給付の関係が見えやすくな るので、仮に給付が増大していったときの負担増について、比較的合意が得やすい。三つ 目としましては、所得水準に応じた負担の設定が可能である。四つ目としましては、例え ば育児休業給付、出産手当などを考えたときに、賃金の水準に給付設計というのが重要な ポイントになろうかと思いますが、そういったものは社会保険になじみやすいということ かと思います。  一方、この課題です。まず、一つ目の課題は、出産や子育てなどは親の裁量・選択によ るものですので、いわゆる「保険事故」として構成するのは、なじみにくいという事情が あります。二つ目としましては、そもそも結婚されない方、あるいは結婚していても子ど もを持つ意思のない方、あるいは高齢者など給付を受ける可能性がない方から保険料の負 担をいただくということについて、現実面としての難しさもありますが、理論的にも妥当 性があるのかという問題があろうかと思います。三つ目としましては、保険という形を取 ると、保険料の負担をいただくわけですが、仮に親が保険料を未納した場合に、子に給付 制限をするのかという課題もあるということです。四つ目としましては、保険料徴収にか かわる問題で、コストの問題や体制の問題もありますし、未納の問題という課題があると いうことです。全体として課題が大きいということが言えると思いますのと、2点目はそう は言いつつも、社会全体で負担していくというような社会保険に典型的にありますような 考え方は重要かと思います。3点目はこの育児休業給付といったもので所得に応じた給付を 考えたときに、保険方式の要素がなじみやすいものが一部あるということをどのように考 えていくかという課題があります。  次に、1枚おめくりいただいて、それらを社会保険以外で社会連帯による次世代育成支援 をしているフランスの例をご紹介したものです。重点戦略会議でも紹介されている資料で すが、10ページを見ながら聞いていただければと思います。フランスには「全国家族手当 金庫」という法人組織がありまして、そこを中心に次世代育成支援に関する施策を行って いる。特色としては、政府も一般財源から拠出をしまして、事業主の拠出金、さらには労 働者の所得に応じた拠出金、税ですけれども、そのような大きく分けて三つの財源を一つ の金庫にプールしまして、社会全体で費用を支える仕組みをつくっているというところが 一つの特色です。  もう一つは、運営について行政の意思だけではなくて、この運営機関は全国の金庫や都 道府県各県ごとの金庫など、そういったところとの契約に基礎を置いて運営が行われてい る。さらに、その運営管理機関には費用を負担する事業主、被保険者の代表が入って理事 会が置かれて、そこで意思決定が行われているという特色ある仕組みがあります。  次に11ページ目です。事業主負担を新しい枠組みでどのように考えていくかという参考 になる資料としまして、各制度がどのような考え方で、事業主負担をお願いしているかと いう資料を付けさせていただきました。医療保険制度でいえば、労働者の健康あるいは健 康に対する安心というのは事業主にとってもメリットがある。あるいは年金保険でいえば、 老後の不安を解消して、安心して働ける環境を作ることは事業主にもメリットがある。さ らには雇用保険であれば、失業という労働者・事業主の双方の共同連帯によって対処すべ き事項という点に着目して、事業主負担をいただいている。児童手当については将来にお ける労働力の維持、確保につながるという観点や、介護保険では親の介護で離退職を余儀 なくされることを防止すること、企業の社会的責任など、そのようなことで事業主負担を お願いしているということです。  次に13ページ目です。この次世代育成支援の分野も、実施主体の中心は市町村に担って いただいていますが、同様に市町村で実施主体になっていただいている制度としては、国 民健康保険、介護保険、障害者の自立支援制度などがあります。いずれも担い手である市 町村の一般財源に大きな負担を掛けないような配慮、つまり保険料や国庫負担や都道府県 の負担など、外から特定な財源が入るような配慮がされている。現行制度の次世代育成支 援の分野でも、私立の保育所であれば75%は外から入っているお金ですけれども、新しい 枠組みを考えていく上で、このような市町村の財政に対する配慮をどのように講じていく のかが課題かと思います。  最後の14ページ目です。先ほどの4ページ目で財源構成として、国、地方公共団体、事 業主、被保険者本人の四つから成っているという説明を申し上げましたが、実はその外側 に利用者負担がありまして、財源あるいはその費用負担という点では利用者負担をどのよ うにしていくかという点も重要です。保育所の例を見ていただきますと、費用総額の約4 割は利用者負担で賄われています。これを年齢別に見ますと、特に0歳児では費用単価が 高いので利用者負担は2割になっていますが、3歳児、4歳以上児を見ますと、6割が利用 者負担という形になっています。従いまして、この利用者負担をどのように構成していく かということも課題かと思います。  最後に資料3ですが、もう一つ重点戦略で触れています「新しい枠組を構築していくに 際して、多様な主体の参画という要素を組み込んでいく必要があるのではないか」という ことに関する資料として用意しました。1ページ目の一番上の網掛けしてある所ですが、こ の多様な主体の参画・協働ということでいいますと、類型として例えば次世代育成の計画 を作るとか、あるいは施策を立案するといった部分に、NPOであるとか、労使の参画を いただくという形の協働の仕方がある。あるいは施策の点検・評価に参画いただくという パターンもあります。さらには行政からいろいろな事業を委託するという形もありますし、 子育て支援団体へ助成するという形もあります。いろいろ多様な形があり得るということ が一つです。  もう一つの形として、企業あるいはNPOと役割分担をしながら一緒に事業を実施する というパターンもあろうかと思います。その幾つかの例を参考に上げさせていただきまし た。最初に挙げていますのが三重県の例ですが、企業が使わなくなった備品や事務用品な どを子育て支援団体に提供する。その提供について行政がネットワークで仲介をするとい う仕組みです。効果としては、中小企業にも取り組みやすい地域貢献の仕組みを作ること によって、地元企業と子育て支援団体の交流が生まれたということが報告されています。  右側の埼玉県の例ですが、これは父親の子育て参加の促進につきまして、これも非常に 重要な視点だと思いますが、埼玉県の例ではNPOが企業に出向いて職員に対して父親の 子育てについて周知・啓発をする事業がタイアップして行われている例です。  2ページ目でございますが、当部会に入っていただいております徳島県と三鷹市の例です が、徳島県の例では、関係するこの分野のNPOや法人などの機関の連携を推進するため の推進会議というものを設けていらっしゃいまして、まず連携会議でいろいろなことを話 し合うということ。あるいは「子育て応援の匠」という形で、医師や資格者を登録してい ろいろな場所に派遣するというような事業をやっていらっしゃったり、あるいはボランテ ィアの養成講座などを行政とNPO法人等が協働してやっていらっしゃる例です。  三鷹市の例は、今日皆様の机上に配付しておりますが、「三鷹おでかけマップ」という子 育て家庭が非常に使いやすいマップを、NPO法人のアイディアを使いまして、NPO法 人と行政が一体になって協働して作られている非常に良い例です。母親の視点でまとめた もの。あるいは母親同士が双方向で得られる情報が中心にまとめられているということで 評価されているものです。これは電子媒体でも、ネットでも提供されているというもので す。  資料の説明は以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、以上の事務局からのご説明を受けまして、ご質問 も含めて意見交換をお願いいたします。  では、駒村委員お願いします。 ○駒村委員  資料2の4ページですが、内訳がわからないので教えていただきたいのです。ここで言 っている「被保険者本人」負担というのは、何が含まれているか教えてください。  もう一つは、5ページの諸外国との比較の中に入っているスウェーデンの事業主負担は、 基本的にはいわゆる社会保険の一種である両親保険の支出分がこのほとんどであるという 理解でよいのか。その2点をお願いします。 ○朝川少子化対策室長  まず4ページ目の方ですが、雇用保険の保険料の本人負担と、医療保険の出産育児一時 金であるとか、出産手当であるとか、医療保険の保険料の個人負担分です。5ページ目は、 おっしゃる通り、両親保険がメインです。 ○駒村委員  では、4ページのこれには利用者の負担は入っていないのですね。 ○朝川少子化対策室長  はい。その通りです。 ○大日向部会長  では、佐藤委員お願いします。 ○佐藤委員  育児休業中の所得保障は非常に大事だと思うのですが、他方で社会保険による次世代育 成支援に関する議論のところで「保険でやるプラス・マイナス」という説明がありました。 既に、この育児休業給付は雇用保険という保険の中で給付しているということです。  ただ、もともとは雇用保険は、失業時の所得保障の仕組みで、それを育児休業取得者に も適用しているということだと思いますが、私は育児休業の所得保障は非常に大事だと思 いますが、これを先ほどの社会保険でやることのプラス・マイナスの議論を踏まえると、 これを今後も続けていくことについて問題がないかということが一つ目の質問です。  つまり、育児休業を取得したい人は男性も含めてみんな取ってくださいと取得を勧めて います。他方で、保険原理ですから、基本的には収支のバランスを取るということで、失 業は特にできるだけ少なくする方がいいわけです。ですから、雇用保険から、育児休業中 の所得保障を給付することがなじむかどうかということです。例えば現状では給付は、1歳 までですけれど、保育園等に入れないときに半年延長した場合も出るわけです。これは保 育サービスが提供されていないので育児休業取得期間を延長するわけです。そうした場合 にも、給付が雇用保険から出している。本来ならば保育サービスの提供ができていないの ですから、そちらの財源で出してもらわなければおかしいのではないとも思います。  二つ目の質問は、失業との関係でいいますと、雇用されてない状態だから雇用保険から 給付するということだと思いますが、例えば育児休業の取得ではなくて、つまり短時間勤 務を選択すると、給付はないわけですけれども、短時間勤務にも給付することは雇用保険 制度では難しいのか。つまり就業は継続しているわけですが、労働時間だけが短くなって いるわけですので。  雇用保険から所得保障するというときに、休業はぎりぎり給付のロジックを作って出せ るのかもしれませんが、短時間勤務に給付を拡大できるかということです。例えば1日4 時間勤務すると所得保障はゼロになってしまいますが、完全に休むと5割出る。短時間勤 務の普及を図るために、短時間勤務の所得保障を考えたときに、雇用保険から所得保障で きるのか、これが質問の一つです。  もう一つは、今回の所得保障の方で説明がなかったのですけれど、育児休業取得時の社 会保険料免除の仕組みがありますが、これは利用者からすれば事実上の所得保障になって いる。こちらは、育児休業の取得期間中は免除されて、その期間は3歳までに育児休業を 取得する場合には、3歳まで社会保険料は免除になっている。ですから、これも育児休業の 所得保障は1歳プラス半年までなのにもかかわらず、社会保険料免除は3歳までというこ とで、両者が対応していないわけです。また、もう一つは社会保険料免除の実際の金額は どれぐらいになっているのか。これは今回出てきていないと思いますので、もしそこがお わかりであればお教えください。  それから、社会保険料免除の現状の仕組みに関していろいろなところでお話しさせてい ただいているのですが、産前・産後休業中は社会保険料免除がないですね。確かに健康保 険の方からの所得保障はあるのですが、それはどういう理由からなのでしょうか。以上で す。 ○宮川雇用保険課長  雇用保険課長でございます。育児休業給付の関係で、少しまとめてご説明申し上げたい と思います。資料は資料1-1の4ページです。概要や仕組みはそこに書いてある通りです が、まず、なぜ雇用保険制度で行っているかについてご説明申し上げます。労働者が育児 休業のために働くことができなくなって賃金収入が得られなくなる状態をそのまま放置す ることは、育児休業の取得を困難としたり、その後の円滑な職場復帰にも支障を生じるこ とにより、さらに深刻な保険事故である失業に結びつきかねないという考え方でございま して、これを失業に準じた職業生活上の事故ととらえて保険事故として雇用の継続を援助 促進するための給付を行うことによって雇用の安定を図ろうというのが、雇用保険制度の 趣旨にも合致するものですし、政策的必要性も極めて高いという論理で行っているところ です。  従いまして、この育児休業給付制度につきましては、基本的には育児・介護休業法とい う、いわば社会的コンセンサスが得られた範囲に、公的保険でありますので、そこに限定 されるという形を逆に読めば、育児・介護休業法により認められた、例えば佐藤委員の最 初の質問であります「1年半まで、なぜ」ということにつきましては、そこがまさに社会的 コンセンサスとして得られたところについて公的保険制度としてカバーするという考え方 で今やっているところです。  そういう趣旨でございますので、やはり制度を創設したのが平成6年の改正ですけれど、 その際の考え方はやはり失業に結びつくか、結びつかないかということが一つのポイント だったと思いますので、短時間勤務について、それをどう解釈し、判断するかというのは さまざまな議論があり得るところだと思います。  それから、完全に休むと育児休業給付が出るというのは、まさにその通りですが、少し ご説明申し上げますと、育児休業給付の内容につきまして給付の対象となるものについて 完全にその期間に全く就業しないということが給付の条件にはなっておりません。支給単 位期間が1カ月ということになっていますが、1カ月の単位期間の中で10日を超えて就業 しているときには1支給単位期間の支給がなされないと。逆読みすれば、20日以上休業し ていれば1カ月間の支給単位期間の給付がなされる仕組みになっていることをご紹介させ ていただきたいと思います。 ○佐藤委員  それは存じ上げています。その半年延長のところは、保育園に入れられないためですね。 実はそれによって保育サービスの方の予算が節約できている。考えてみると事業主や本人 が負担している制度で、保育サービスが十分でないことによる取得期間にも給付している ことになるわけですが。 ○宮川雇用保険課長  その理由は、あくまでも一定のものに限定しましょうというのが育児休業法の中で整理 され、その一つの理由として保育所に入れないということになっていますので、制度の仕 組みとしては保育所に入れない即ちそれだけだというわけではないということはご理解い ただきたいと思います。 ○定塚職業家庭両立課長  続きまして、社会保険料免除についてでございますが、佐藤委員にご指摘いただいたよ うに育児休業期間中の社会保険料免除については現在「子が3歳まで」ということで、こ れは法定の育児休業それから「育児休業に準ずる休業」という意味合いで、3歳まで育児休 業している場合には免除という制度になっています。  実際に免除されている割合について申し上げますと、厚生年金と政府管掌健康保険を合 わせまして、事業主負担で率にして11.598%で、被保険者負担についても同じ率で11.598% ということでございます。つまり働いている労働者側の賃金ベースで見ますと、11.598%、 約12%の保険料が免除になっているという状況でございます。 ○大日向部会長  朝川少子化対策室長、お願いします。 ○朝川少子化対策室長  最後に、産前・産後休業中の医療保険料・年金保険料の免除についてですが、これは重 点戦略の点検・評価分科会でも同じようにご指摘をいただいています。保険局、年金局に 聞いてみますと、考え方としましては産前・産後休業中の出産手当金は賃金の3分の2が 出ているで、育児休業給付と比べると少し高めであるということも踏まえて、まず一つ理 由があるということです。  もう一つは、理由のような理由でないようなことですが「厳しい医療保険財政である」 ということでございまして、そういう状況で制度の改善がなかなか難しい状況にあると伺 っております。 ○佐藤委員  それも存じ上げています。特に産前・産後休業には強制休業期間がありますが。それで も、社会保険料負担は事業主負担もあるわけです。つまり、事業主は全く就業していない 人についても社会保険料を負担しているということなのです。これを、どう考えるかとい うことがあるのではないかと思います。 ○大日向部会長  この点につきましては、この辺りでよろしいでしょうか。他に、いかがでしょうか。 ○福島委員  資料2の4ページに関連し一つお願いがございます。ここに国が1兆1,500億円、地方 公共団体が2兆3,400億円とありますけれど、これは多分この資料の1ページ目からの事 業費目別に足したらこうなるのかと思いますが、ぜひ一度、グロスではなくて事業別に国 と地方公共団体がどのように負担をしているかを出していただければと思います。  なぜかといいますと、この次世代育成支援の費用負担につきましては、国と地方自治体 と事業主と個人が基本的な分担をどうしていくのかということが避けて通れない議論にな ると思いますので、まず現状をきちんと「見える化」していただきまして、これをスター ト台として、これからどの項目にどう振っていくのか。それは今の四者がどのように負担 していくのかという点が多分一番大事なことになってくると思います。そのために整理し て欲しいと思います。  こういうことはほとんど専門ではありませんので、私はこういうグロスを見るのは初め てで、こういうことを国民の皆様に「見える化」して説明するというのが非常に大事だと 思います。そこでみんなで議論して、この手のものにはベストはないと思いますので、何 がベターかなと。この場がそのようなことのきっかけになれば、それも一つの大きな役割 ではないかと思います。  どのように出すかは事務局の方で検討していただきたいのですが、やはり国民にまず知 ってもらう。そういうことがあまりはっきりされていないのではないかと思いますので。  一つ目は内訳を出していただくことに加え、負担のあり方についてシミュレーションし ていただくと山ほどあると思いますが、そのような提起をしていくべきではないかと思い ます。少し抽象的ですけれど、お願いしたいと思います。 ○朝川少子化対策室長  まず事業ごとの資料ですが、1〜3ページ目にあります今日お出ししているものは円グラ フになっていて、確かにそれぞれがいくら負担しているのかは見えない形になっています。 これは次回までに何らかの形で。 ○福島委員  これは足したらなるはずですよね。 ○朝川少子化対策室長  いいえ。足してもならないものがあります。これは主なものしか挙げていませんので足 してもならないのですが、せめて主なものだけでも、今回新しい枠組みを議論していただ く上で重要なサービスについては、それぞれの主体がどれぐらいの負担をしているかを実 額でお示ししたいと思います。 ○福島委員  それから本人負担も明示してください。グロスでとにかくどうなっているのかが、まず 議論のスタートではないかと思います。 ○朝川少子化対策室長  そうですね。準備させていただきます。 ○内海委員  それと同じ4ページですけれど、これが全体の社会保障費のどれぐらいを占めているか ということを、もっとみんなに知らせてください。微々たるものですよね。数パーセント だと思いますが、それがわかれば何とかしよう、それぞれの負担が増えても仕方がないか という意識が芽生える。多分もう高齢者の方から持ってくるわけにはいかないですよね。 そんなことをしたら大変なことになるので、少子高齢化と並列で言われていながら、これ だけの財源しかないということがわかれば、何とかしようという気にならざるを得ない。  このように絶対数で出ると、台所だけやっている一般の人たちにはわからないですよね。 何億円とか何兆円といわれても、そんなにかかっているのかと思うけれど、全体の保障費 から見ればこれしか出せないのだという現状をわかってもらうためには、もっと全体の社 会保障費の中でどれぐらいかというのが必要だということ。  もう一つは資料1-2の4ページですが、不勉強で申し訳ありません。育児・介護休業法 というのは平成何年にできたのですか。 ○定塚職業家庭両立課長  制定は平成3年ですが、何回か改正されまして。一番直近の改正は平成16年に行われて います。 ○内海委員  そうですか。私が子育てをしていたときとずいぶん違っているのですが。例えば「子が1 歳(一定の場合は、1歳半)に達するまでの育児休業の権利を保障」すると書いてあります。 これが本当に保障されているのか。そのためには今何が足りなくて、何をしなければいけ ないかということは、とても必要だと思います。  今は保障されていないですよね。されているのですか。 ○佐藤委員  私が答えるのですか。基本的には制度はあるわけです。会社の就業規則に規定がなくて も。ただ、取らない人がいる。取る必要がない人は、もちろんゼロではないわけです。産 前・産後休業でそのまま復帰する人はいるのですが、取りたかったけれど取らなかったと いう人の理由を見ると、一つは「取りにくいような状況がある」ということと、もう一つ は「知らない」という人も結構いるのです。比率は3割ぐらいでしょうか。3割ぐらいの人 は知らないという人もいるので。  それには二つあって、一つは制度を導入するだけではなくて取りやすい仕組みを作ると いうこと。もう一つは、行政にもいろいろ努力していただいていますけれども、そういう 制度があるということを、やはり子どもを持たれた方に知っていただくようにしなければ、 なかなか難しいと思います。 ○内海委員  企業は、これを知っているのですか。 ○佐藤委員  企業について調査をしたものがあるのですが、基本的には知っているのではないかと思 います。 ○内海委員  ただ、知らないために、女性の育児休業の取得率が7〜8割という数字は出ていますけれ ど、結婚した時点で辞めてしまう、それから妊娠した時点で辞めてしまうというのは、こ れを知っていたら多分道が開ける。頑張れる。女性の就業率が8割で高いというけれど、 もう妊娠した時点であきらめて取っていない人はいるので。実際には3割ぐらいしか取っ ていないのですか。働いていたとしたら。 ○定塚職業家庭両立課長  現在、出産前に働いていた人のうち継続就業している人が30%台です。その継続就業し ている方のうちで育児休業を取得している方が70数パーセントという状況ですので。 ○内海委員  やはり2割強ぐらいですよね。 ○定塚職業家庭両立課長  そうですね。もともと出産する前に働いていた方というところからみると、25%ぐらい になるかと思います。  それから、育児休業を取得しなかった理由のデータをご紹介します。これは女性に聞く のと男性に聞くのとでは理由が違うのですが、女性の方に聞いた理由で一番多いのが「職 場の雰囲気」それから「収入減となって経済的に苦しくなる」とか「保育所に預けられな かった」、「仕事に戻るのが難しそうだった」というような理由で育児休業制度を利用しな いで辞めたり、あるいは利用せずに働き続けたというデータが出ています。  また男性の方は、先ほど佐藤委員からご紹介があったように、そもそも男性で育児休業 が取れることを知らなかったと。今、専業主婦の家庭の夫でも産後8週間は育児休業が取 れることになっているのですが、それを男性本人も企業の人事担当者も知らないといった ようなケースもみられています。 ○大日向部会長  それでは杉山委員、お願いします。 ○杉山委員  資料2の1ページ、保育所のところですが、もしかしたら前回、既に議論があったかも しれないのですけれども、平成16年度に三位一体の改革で一般財源化して公立保育園は市 が10分の10の負担になったという話があるのですが、この一般財源化によって現場が相 当変わったという話を聞いております。果たして良かったのかどうかというところは、も う一般財源化されてしまったから仕方がないというよりは、やはりここでもう一度見直し をしてみるというか、現状はどうなのかということは調べてみたい、知りたいと思います。 もしそういう調査があるのかどうかを確認したいというのが1点です。  もう1点は、同じく保育所のところですが、負担を見たときに、保育所というのはワー ク・ライフ・バランスや仕事と家庭の両立に貢献するとても大事な機関であるにもかかわ らず事業主の負担がほとんど入っていないのは、何となく不自然というか、この辺りは入 ってもよいのではないのかという印象を持ちました。  次に、5ページ目ですけれども、よく出ている資料ですが繰り返し申し上げます。やはり 対GDP比で先進国と比べますと、日本は割合少ないということを以前に申し上げました が、せめてドイツ並みぐらいには頑張っていただきたい。みんなで支え合おうというよう な考え方で進めていくというところは良いのではないかと思っています。  それから、14ページは保育所の利用者負担の現状ですが、0歳児の費用総額が1人当た りの月額が17万3,000円ということで、1・2歳児、3歳児、4歳以上児と比べても非常に 高いにもかかわらず、公費負担が8割で、これから育児休業をどんどん取得していこうと いうようなところにインセンティブをもっていこうということであるならば、ここに公費 負担が8割きているというのは、何となくそのお金を育児休業給付に充てるとか。今は5 割ですけれども、もう少し増やして育児休業のときに給付がある方が、何となく自然なの ではないかと思いますが、いかがでしょうか。以上です。 ○大日向部会長  今、杉山委員から幾つか出されましたが、いかがでしょうか。事務局からお答えいただ けるものがありますか。 ○義本保育課長  三つありました後半の二つはご意見ですから承るということで、1点目のデータにつきま しては、定性的なもの、定量的なものといろいろあってなかなか難しいのですが、一部、 自治体の影響についてのアンケートをしたものなど幾つかありますので、相談しまして次 回までに用意したいと思います。 ○大日向部会長  佐藤委員、どうぞ。 ○佐藤委員  これは他のところでも伺ったと思いますが、事業主負担を入れるということで説明があ ったのですけれど、それを使った現物給付の方を見ると、利用者が被用者とは限らないも のがありますよね。つまり、いわゆる企業に雇われている人以外の人が利用するものに事 業主負担が入っているものがある。その辺が全然入っていないものがある。自営業者の方 とかいろいろな方が使うものも入っている。その辺はどう整理されているのか。多様な主 体にといったときに、事業主負担は、既に、つまり本来なぜ事業主負担が入っているのだ ろうというものも入っているのですが、その辺はどのように整理されているのか。 ○朝川少子化対策室長  今日の資料2の1ページ目をご覧いただきますと、この次世代育成支援の分野でいうと、 例えば病児・病後児保育や放課後児童クラブなどの事業主負担が入っているものは、どち らかというと両立支援系の給付なので、両方ともサラリーマンのお子さんが利用している 可能性が高いものだと思います。  片や、次のページにある一時預かりは専業主婦家庭でもお使いいただくサービスですの で、そういう意味では少なくとも母親はサラリーマンではないというパターンがあると思 います。ただ、夫の方を見るとサラリーマンかもしれません。考え方としては一応1ペー ジ目の下の欄外に書いていますが、一つは確かに現在の労働力確保の観点ということもあ るのですが、もう一つは将来の労働力確保という観点もありますので、そういうことで一 応の合理性を説明しているということだと思いますが、いずれにしてもこの新しい枠組み でうまく整理する必要があるということだと思います。 ○大日向部会長  先ほど杉山委員から保育所はなぜ事業主負担が入っていないのかというご質問があって、 それについてはまだお答えいただいていなかったかと思います。答えづらいかもしれない ですけれど。 ○朝川少子化対策企画室長  現行制度で事業主負担が入っていないというのは、恐らくここの通常保育の本体のとこ ろについては、公的に担うべきであるという整理がされているということだと思います。 前回の資料で少しお出ししているのですが、それ以外の保育にも幾つか種類がありまして、 ここにありますような病児保育もそうですが、そういうサービスの中には事業主財源が入 っているものもあるのです。従って、明確に保育だから絶対に入らないというわけでもな いということだと、現行の制度だけを見てもそう思います。新しい枠組みを作るときにぜ ひご議論いただきたいのは、こういう保育や児童手当も含めて、どこにどういう形で事業 主財源を入れていくのが適当なのか、ここをまずこの部会でもご議論いただきたいところ です。 ○大日向部会長  わかりました。ということで、これからどうぞご議論いただければと思います。小島委 員、どうぞ。 ○小島委員  今の関係でいいますと、保育所に事業主負担が入っていないということで、今そういう 公的な役割だという説明でしたけれども、多分今の保育所ついては、基本的に「保育に欠 ける子」という児童福祉法がありますので、そういう意味合いでいえば措置制度からスタ ートしているということなので公的だということなのです。そこにもし仮に事業主負担と いうように考えた場合には「保育に欠ける子」ということを外す必要があるのではないか。 やはりその辺のことも含めて検討する必要があるのではないかと思っています。私は従来 から「保育に欠ける子」という考え方はやめるべきだと思っていますので、良い機会です から、ぜひそこは突っ込んで議論した方がよいのではないかと思っています。  それから、現金給付との関係で資料には税制との関係で、今日お配りしている資料1-2 の3ページに「現行の税制(所得控除)と児童手当」という税制調査会で出している比較の資 料が出されています。確かに税制調査会のこれまでに幾つか出ている答申などには、既に これからの少子化対策に税制上どう対応するかという税制調査会の関係の形でいえば、今 の扶養控除等の所得控除から現金給付あるいは社会保障による社会手当という方向で、考 えるべきだという、確かにそういう方向性が既に何度か出ているはずだと思いますので、 そういう方向での現金給付、特に児童手当などの財源としては、もし引き上げるというこ とであれば、そういう税制との関係、財源を活用するということも、一つ大きなポイント になってくるのではないかと思っています。  3ページにあるような国の所得税の扶養控除は、子ども1人につき年間38万円で、個人 住民税は33万円です。合わせると71万円ということになりますので、税率が所得税、住 民税10%とすれば年間7万1,000円のいわば給付があるということです。これがさらに税 額控除すれば、もう少し金額で低所得層にとってはより効果があるということであります し、さらにこれは児童手当の現金給付ということにすれば、もっと効果が出てくると思い ますので、そういうこともぜひ考え方としては整理していく必要があるのではないかと思 います。  もう一つ私ども連合は政策の中に、先ほどこれも資料にあるフランスの家族手当金庫の 資料が資料2の8ページからありまして、10ページに具体的な図が出ていますけれども、 こういう家族手当金庫というようなものを作るということで、連合は「子育て基金」とい うフランスの家族手当金庫などを参考にしながらそういうものを作ったらどうかと。そこ に財源を集中するという形で、後は具体的な給付・サービスあるいは各種手当等で支給す るということも大胆に考えていく必要もあるのではないかと思っています。その際、国、 地方の拠出負担の在り方それから事業主、個人の負担をどう考えていくかということで、 子育てのための社会保険方式という参考も出ていますけれども、そういうものとの組み合 わせも含めて、ここは大胆に考えていかなければ諮問会議で出されました「新待機児童ゼ ロ作戦」を本当に10年間であれだけの目標を立てるとなると、相当財源が必要となります ので、そういう大胆な財源構想というものも必要になってくるのではないかと思っていま す。 ○大日向部会長  ありがとうございました。他にいかがですか。 ○福島委員  次回ぐらいには難しいかもしれませんが、この場の議論にあたり、これからの次世代育 成支援の費用負担に関する何か基本的な考え方のようなものが、出しにくいのかどうかわ かりませんが、何かそういうものが要るのではないかと思うのです。それがあって、今連 合が言われていることをどうするのかということや九州地方知事会から出ている意見の前 に、何かやはりベースのところをよく議論して、そこに一定の方向付けをして、それから この辺の事業をどうするかという議論をする必要があると思います。いろいろなことをみ んなやったらよいと思うのです。でも、それにはパイは限られているわけで、ここでの議 論の基本は、費用負担の考え方のようなものをぜひ1回出してほしいと思います。それが、 スタートの一番大事なところではないかと思うので。それを、いろいろなところに発信し ていく。そのスタートが先ほど言いましたが、2ページの棒グラフにありました現状がこう なっていて、現状をこういう考え方で見直すという方向性を示すことが、私の理解では、 それがこの部会の一番大事なミッションではないかと思うのです。そうしませんと連合は そう言っているのかと、私は個人的にもう一つこれはいかがかななど、そうした議論をし てもあまり建設的ではないのではないかと思いました。難しいかもしれませんが、何か費 用負担の考え方のようなものを、現状はこうでこれからこういう方向だというようなこと を出していただいたらどうかと思います。 ○大日向部会長  今、おっしゃったことは本当に大事なことだと思います。福島委員がご提案くださった 基本的な考え方を出すためにも、今日はいろいろな細かいところで、ここはおかしいので はないか、例えばどうしてここに事業主負担が入っているのか、あるいは入っていないの か、など、そのほかにいろいろと疑問点や問題点を出していただく中で、おのずと整理も ついていくかと思いますので、どうぞ活発なご意見を。 ○福島委員  次とは言いません。次々回くらいでも結構ですので。 ○大日向部会長  それはとても大事な点ですので、しっかりと急いで議論していきたいと思います。山縣 委員に手を挙げていただいています。その次に清原委員にお願いします。 ○山縣委員  2点、教えてください。1点目は細かい話になって申し訳ないのですが、保育所の「給付 額」のところですが、公立分が「推計額」になっていますよね。これは制度上をベースに 推計されたのか、公立の場合は市町村の持ち出し分というものがかなりありますね。保育 士の年齢等によって過剰な給付とは言いませんが、年齢に従って当然給料は上がっていき ますから、そうすると非常に膨らんでいます。それを含めた絵なのかどうか。同じように 私立が2対1対1になっていますから、法律上の比率になっているので、ここも恐らく県 や市の上乗せ分が、これはそんなに多額ではないと思いますけれどもあるとすると、ここ に出ている金額がどういう金額なのかを教えていただきたいというのが1点です。  2点目は、私は専門外なのでうろ覚えなのですけれども、先ほどから何人かの委員が言わ れていた5ページの児童・家族関係社会支出です。確かOECDが対GDP比3%を目標な どと言っていたような記憶が頭の隅にあるのですが、日本の国関係の資料では、3%目標値 というのはあまり出てこないような気がするのですが、私の単なる記憶間違いなのかどう か。この前韓国に行ったら、やたらとそれを強調されていて、ここが0.4か0.5で、日本よ りもまだ低いのです。韓国の少子化は非常に進んでいますから、そこを根拠に予算を増や すなど何かそういう戦略を立てるのだと結構主張している方がいらっしゃったので、その 辺の私自身の不勉強なところを補足していただけたらと思います。 ○朝川少子化対策企画室長  まず前者の方ですけれども、公立分の推計は基本的に理論上のものだと理解していただ いた方がよくて、民間の保育所の単価から出していますので、いわゆる地方の持ち出し分 は、ここの推計の額に入っていないと理解していただいた方が正確だと思います。  後段のOECDの対3%目標というのは、すみませんが私も存じ上げませんので、よく調 べてみたいと思います。 ○山縣委員  質問しておかなければいけなかったのですが、14ページの1人当たりの月額というもの は、今の推計を基にやっているので、私の感覚でいうと0歳児が1カ月当たり13.8万円の 費用総額ということは、あり得ない。これの2倍とは言いませんけれども、恐らくかなり の額でやっているはずです。この表自体が間違いとは言いませんけれども、実態にやや合 わない理論上の表であるということを理解しておきたいと思います。 ○大日向部会長  それでは、清原委員。 ○清原委員  遅れてすみません。ご説明を伺ったということを前提にしながら、幾つか問題提起、意 見を申し上げたいと思います。  資料2に、大変わかりやすく費用負担の担い手の違いについて、この次世代育成支援に 関するさまざまな給付種別ごとに整理してくださいました。そのおかげで、例えば資料2 の1ページでは先ほどからご議論がありますように、保育所について公立はいわゆる市町 村が全額ということになっている。しかし、私立にも担い手としてお願いしている市とし ては、それに対してもちろん多額ではありませんが負担させていただいている。その他の さまざまな類型について、多様な費用負担の在り方が存在するということが一目瞭然にわ かることとなりました。その根拠は何なのかということについては、今、小島委員から、 力強い問題提起もありましたけれども、改めて根拠について幼保一元化の動きや認定こど も園の取組もありますし、あるいは在宅保育をしている保護者の皆様に対する一時預り、 あるいはその他の相談事業についても、既存の保育園というのはかなりサービスを拡充し ている現状の中から、この費用負担について改めて適正な基本的な考え方ということを整 理する、今はそういう時期にあるのではないかということが1点です。  もう1点、同じ資料2の13ページに、改めて「市町村に対する財政支援の状況」につい ても整理していただきました。このことで明確になったのは、やはり国が次世代育成支援 に関しては、ほとんど他の制度に比べて負担をしていない。ですから多くの委員の皆様が、 国がもう少し次世代育成支援に関して、適正な負担をすべきであると言われているのも当 然のことです。自治体の自治、地域主権、地方分権を進めるとしても、それはしっかりと した税財源の移譲がないままであるならば、既存のこの制度の中で、ともすると少子長寿 社会の長寿の方のところに行っているのではないかという誤解を招きやすいと思うのです。 実は急速な少子長寿化の中で、介護保険についても、あるいは国民健康保険からこのたび の後期高齢者医療保険制度等の医療保険制度についても、さまざまな制度改革がある中で、 今後もかかる経費は増えることはあっても減ることはないでしょうから、ここのところで 長寿の方に対してきちんとした対応をするということと、次世代育成支援について国が適 正な配分をするということとは両立することだと思っていますので、今回13ページの表に ついては明らかに負担の不均衡というものが明らかになりましたので、今後積極的な整理 をしていただくことになると思います。  最後に1点、先ほどご紹介いただいたということですが、この「多様な主体の参画・協 働」のところで、徳島県と三鷹市という委員をさせていただいている地域も含めて、事例 ということでご紹介がありました。私は公が担うべき子育て支援の取組あるいは企業が主 体的に取り組んでいくべきものについての議論とともに、こうした公と民間の企業とボラ ンティア組織とNPO等々の総合力によって、こうした新たな取り組みが行われている現 状について、私たちがこういう機会に共有するとともに、こうしたことがなかなか実現で きていない地域においても、よりヒントになるように、容易にスタートが切れるように、 呼び水的な情報提供が有用です。それとともに、こうした公民連携の多様な主体の参画を 視野に入れた、固いものではないといいますか、民の発想を生かした柔軟な子育て支援に ついても、国あるいは自治体でも積極的な情報収集とわかりやすい情報提供をしていくと いうことを、さらに進めていただければと思います。以上3点です。ありがとうございま した。 ○大日向部会長  ありがとうございました。他にいかがですか。吉田委員、お願いします。 ○吉田委員  簡単に1、2点だけ。今いろいろとご議論があった通りだと思いますが、理論的な整合性 やいろいろな細かいことがあろうかと思いますが、資料2の5ページを見ると、明らかに パイそのものが絶対的に少ないということは共通認識だと思います。その内訳の比率は、 どこが多い少ないなどはあろうかと思いますが、大前提として考えることは、とにかくこ の小さなパイをもっと膨らますということがまず基本であろうと。ただ、それが消費税そ の他の税制改革にどれぐらい絡める、新しい保険制度に絡めるかという疑問があろうかと 思いますが、前提としてはまずパイそのものをいかに大きくするかということをまずベー スにしたいということが一つです。  それからもう一つは、これも事務局のご判断で差し支えないのですが、前回お願いして 次世代育成支援施策の在り方に関する研究会のポイントは、資料を前回もご提示いただい たのですが、今、福島委員もおっしゃったように、財源の在り方等についての部分だけで ももう少し詳しい資料を出していただければ、その辺の議論が良い意味で無駄なくできる のではないかというのが一つです。  それからもう一つは、重点戦略検討会議はまさにこの財源問題で「子どもに対する社会 的コストは未来への投資である」と。まさに私はそう思います。そうすると先ほども出て いたOECDが、乳幼児期の教育・保育ということは未来への投資というニュアンスで、 かなり力を入れようとしていますので、OECDがそういう未来への投資というニュアン スのことをいろいろと提言している資料を、ほとんど英語だと思いますので、可能であれ ば日本語で用意していただければと。次々回で結構ですので、参考になると思いますので、 お願いします。 ○大日向部会長  ありがとうございます。時間も残り少なくなりましたが、どうぞまだご意見のない方も 含めて、ご意見をお願いいたします。駒村委員お願いします。 ○駒村委員  先ほども散々議論があったのですけれども、財源構成の議論ですが、これは各サービス に何を期待するのかということです。今未来への投資ということもありましたし、今まで のような措置の公費で「保育に欠ける」というシステムの中で、そこにセットになってい たわけです。今度、我々が期待する新しい保育サービスというのは、先ほど言った未来へ の投資的な意味もあるのか。そうなってくると普遍的な意味合いが出てきますし、両立支 援のところに出てくるのならば、最終的な受益者は誰なのかというところも違ってきます から、今度はそれと整合性のある財源政策ということとなると思うのです。財源政策はこ うなっているからそれと整合性のある保育制度にするのではなくて、どういう保育システ ム、保育サービスを期待するのかによって、それと整合的な財源制度という双方向にある かもしれませんけれども、考えなければいけないと私は思っています。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他に、いかがですか。内海委員お願いします。 ○内海委員  少し話がずれるかもしれませんが、今、軽いうつ状態の人が非常に増えていて、精神科 の間でかなり問題になっている軽症うつの研究会に出たときに、皆がこれは医療の問題で はなくて、労働問題だとはっきりおっしゃっていました。これはワーク・ライフ・バラン スも考えていますので、30歳代、40歳代がそういう状況であるということはまさに子育て 世代がそういう状況の中で子どもを育てているという非常に危機的な状況なのです。それ は企業にとっても働く人が次の世代の働く人ではなく、今まさに働いている人たちがおか しくなっている。その人たちが次世代を再生産するということで、本当にこれは大丈夫か なという気がしています。小児科の方からはいろいろと子どもの立場に立ってアドボケー トしていますけれど、精神科の研究会に出たら精神科の先生たちが、もうこれは精神科医 療の問題ではないと、はっきりと明言するぐらい雇用の世界がそうなっていることに、非 常に危機感を感じているので、そのことだけ一つの情報としてお伝えしたいと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他はよろしいですか。そろそろ時間も少なくなってきましたが、 今日は本当に貴重なご意見をありがとうございました。先ほど福島委員が児童・家族関係 の社会支出を国と地方公共団体と事業主と被保険者、そして利用者が、どういう比率で負 担し合うかという理念をしっかりと出すべきだというようなご提言をくださいました。ま さに、それはこの部会の大きな目的だろうと思います。それを考える上で、本日はとても 貴重なご意見をいただけたかと思います。従来、この社会保障給付費を論ずるときに、高 齢者VS児童・家族関係というような感じで、いつも高齢者が多すぎて子ども・家族関係は 少ないという議論をしてきたかと思いますが、決してそういう議論ではないと清原委員が 言ってくださったと思います。高齢者の方も本当により良い形で人生の後半を送るための 施策が必要だという点は、とても大事な議論だと思います。そうしますと、吉田委員が言 われたような、あるいは他の委員もおっしゃったと思いますが、パイそのものをどのよう に確保するかという財源確保の議論というのが、もう一つの大きな課題かと思います。そ の上で負担配分をどうするのか、未来への投資ということで子どもたちにどういう保育を 提供すべきなのか、あるいは家族支援というときに何をどういう理念、哲学の下に私たち は支援していくかという、改めて理念の根本に戻った議論が必要になってくるかと思いま す。この辺りに関して、3月に部会を再開してから3回ご議論していただきまして、いろい ろと委員の皆様から貴重なご意見をいただけたと思います。それで一つ事務局にお願いが あります。今日は事務局にいろいろな方から宿題がたくさん出て、とても申し上げにくい ところではあるのですが、これまでの3回分の委員のご意見を、できればテーマごとに整 理していただきますと、今、私が申し上げたようなところが、さらに次回、次々回で、委 員の皆様に活発にご議論をお願いできるのではないかと思いますので、ご準備いただけれ ば大変ありがたく思います。  それからもう一つですが、この部会には皆様に有識者としてご出席いただいているわけ ですが、毎回大変限られた少ない時間でご意見をいただいておりまして、恐縮です。もし ご準備いただける委員がいらっしゃれば、ぜひお一人10〜15分程度のある程度まとまった ご発表をいただくということも有益なことではないかと考えておりますが、いかがでしょ うか。例えば、確か前々回あたりで駒村委員が保育の量の拡大に当たってのサービス提供 の在り方について、幾つか貴重な視点を整理してくださったと思いますが、次回改めて整 理してご発表いただければ、大変深い議論ができるのではないかと思いますが、駒村委員 いかがですか。 ○駒村委員  次回までに簡単な資料を用意させていただきたいと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。よろしくお願いします。  それでは最後になりましたが、事務局から次回の日程について説明をお願いしたいと思 います。 ○朝川少子化対策企画室長  本日は誠にありがとうございました。次回の日程については、4月21日月曜日17時か ら経済産業省別館10階の第1020号会議室で予定しています。引き続き次世代育成支援の ための新たな枠組みについてのご議論をお願いしたいと考えています。お忙しいところ恐 縮ですが、ご出席いただきますようよろしくお願いします。 ○大日向部会長  それでは、本日はこれで閉会いたします。ありがとうございました。