08/04/08 薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会運営委員会・安全技術調査会 合同委員会 平成20年4月8日議事録 平成20年度 薬事・食品衛生審議会薬事分科会 血液事業部会運営委員会・安全技術調査会 合同委員会 前半の部 議事録 1.日時及び場所   平成20年4月8日(火)13:00〜   九段会館「鳳凰の間」 2.出席委員(16名)五十音順 今井 光信、内山 巌雄、大平 勝美、岡田 義昭、杉浦 亙、高橋 孝喜、◎高松 純樹、高本 滋、新津 望、花井 十伍、半田 誠、水落 利明、山口 一成、山口 照英、○吉澤 浩司、脇田 隆字   (注)◎運営委員会委員長(座長)、○安全技術調査会委員長  欠席委員(1名)   菊地 秀 3.行政機関出席者   黒川 達夫(大臣官房審議官)   新村 和哉(血液対策課長)   植村 展生(血液対策企画官) 他 4.議題   1.不活化技術導入に関するヒアリング(公開)     信州大学医学部附属病院先端細胞治療センター     副センター長 下平 滋隆氏   2.不活化技術を有する事業者からのヒアリング(非公開)     (1)マコファルマ社及び株式会社アムコ     (2)BCT Japan株式会社(旧ガンブロ株式会社)     (3)シーラス社及びバイオワン株式会社   3.その他 5.備考 本合同委員会は、議題1については公開で、議題2以降については企業の知的財 産保護の観点等から非公開で開催された。 ○血液対策企画官 吉澤先生がまだお見えになられておりませんが、時間を過ぎました ので、始めさせていただければと思います。 ただいまから「平成20年度 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会運営委員会・安 全技術調査会 合同委員会」を開催いたします。 本日は信州大学医学部付属病院先端細胞治療センター、副センター長の下平滋隆 先生にお越しをいただいておりますので、今日の会議の前半の部分は公開で御意見を 伺うことといたし、その後は不活化技術を有する事業者からのヒアリングを非公開で行う こととしております。傍聴の皆様方にも御協力をよろしくお願いいたします。 また、本日は委員では安全技術調査会の菊池委員から御欠席の御連絡をいただい ております。 本日、採血事業者、血液事業の担い手といたしまして、日本赤十字社血液事業本部 から経営会議委員の田所憲治さん、同副本部長の日野学さんにお越しをいただいてお りますので、どうぞよろしくお願いいたします。 初めに私ども事務局に人事異動がございましたので御紹介をさせていただきます。課 長補佐の武末に代わりまして、後任として、秋野公造課長補佐が着任いたしておりま す。 ○事務局(秋野課長補佐) 秋野と申します。よろしくお願いします。 ○血液対策企画官 それでは、議事に入らせていただく前に、本日の合同委員会にお きましては、個別品目の承認の可否や個別品目の安全対策の措置の要否の審議はご ざいませんが、「議題2 不活化技術を有する事業者からのヒアリング」におきまして、血 液事業の運営において日本赤十字社が調達する技術の提供企業との利益相反を確認 しておく観点から、「薬事・食品衛生審議会薬事分科会における利益相反問題への対 応」に関する昨年4月23日の薬事分科会申し合わせ、いわゆる暫定ルールでございま すが、それを準用いたしまして、利益相反の確認を行いましたところ、本日、審議及び議 決への参加については、「退室委員及び議決に参加しない委員は、ともになし」ということ でございます。 なお、前回の第1回の合同委員会の利益相反の確認の際に高松委員、花井委員、 半田委員について「審議には参加できるが、議決には参加できない」となってございまし たが、「審議・議決ともに参加できる」との訂正がございましたので、併せて御報告をいた します。 それでは、この後の進行につきましては、本日の合同委員会の座長をお願いいたして おります高松運営委員会委員長によろしくお願いいたします。 ○高松委員長 ありがとうございました。最初に委員会が始まります前に、事務局から 資料の確認をお願いしたいと思います。 ○事務局(秋野課長補佐) 資料の確認をさせていただきます。 まず最初のページ、議事次第でございます。 続きまして、座席表でございます。 めくっていただきまして、運営委員会委員名簿でございます。 安全技術調査会委員名簿でございます。 資料1として、下平滋隆先生からの資料でございます。 参考資料1「平成20年2月27日開催運営委員会・安全技術調査会 合同委員会 議事概要」でございます。 参考資料の議事概要については、先日委員の先生方に確認を取ったものを3月31 日付けにて厚生労働省ホームページに掲載をさせていただいております。 資料の確認は以上でございます。 ○高松委員長 それでは、本日の議題の第1「不活化技術に関するヒアリング」でござ います。 信州大学医学部付属病院先端細胞医療治療センター副センター長の下平滋隆先生 からプレゼンテーションを行っていただきたいと思います。 プレゼンテーションは30分、質疑は50分くらいの予定をしておりますので、よろしくお願 いしたいと思います。 ○下平氏 本日はプレゼンテーションの機会をお与えくださいまして、舛添大臣、本委員 会の委員長の高松先生、吉澤先生に感謝申し上げます。 私はもともと血液内科、消化器内科で診療するとともに、C型肝炎ウイルスの基礎研 究をしておりました。6年前に輸血の部署に配属になりまして、3年前から細胞、再生医 療のセンターに従事している者です。 輸血は諸先生方御存じだと思いますが、血液型の物質、抗原の発見という大きな貢 献のある一方で、感染症、その対策が大きな課題だったと思います。 これは『2006年ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』に載っていた報告なん ですが、米国での輸血のリスク、感染を1つの基準として示されていますが、血小板の細 菌汚染は2,000 分の1、B型肝炎のウイルスは10万を切る水準で、C型肝炎ウイルス、 HIVは100 万を切る水準であるというのが米国の状況のようです。 そこに、いわゆる感染症のリスクを軽減できる対策というものが示されていまして、細 菌の混入に関しては、血小板と赤血球に対する検査、更には不活化というのがあります。 HIV、HBV、HCV、HTLV、西ナイルウイルスに関しては、個別NAT、不活化というも の。 更にはシャーガス病に関しては、スクリーニング検査。 ヒトヘルペスウイルス−8に関しては、抗体検査/NAT検査、更には保存前白血球除 去、特に免疫不受血者の方には必要というのがありました。 ノンエンベロープウイルスのA型肝炎、ヒトパルボウイルスB19は、抗体検査/NAT検 査というのがありますし、vCJD(BSE)では、吸着フィルターやプリオンの検出系が必要 だとありました。 これは新興感染症、再興感染症の動向を示したものですが、実際にこの3月でもブラ ジルでデング熱の流行で死亡がありますし、東南アジア、近隣の諸国でも鳥インフルエン ザで死者が多いこと。中国でも報告されていますし、韓国でもまた発生が見られたと報道 がありました。実際日本でも西ナイルウイルスの感染やチクングニヤ熱の患者さんが報 告されております。 こうした地球温暖化や海外の渡航者、グローバル化に伴って、予期しない病原の侵入 のリスクが高くなっていると思われます。 これは昨年3月のトロントのコンセンサス会議のサマリーを示していますが、ここにもあ りますように、安全性の高い技術が開発された場合には、不活化技術を導入すべきであ る。 コストを理由に決定すべきではない。 更にすべての品目、すべての製剤に導入すべきであることと、更には導入によって必 要でなくなる検査、照射が廃止できる。 最後に重要なことだと思うのですが、市販後調査が重要で国際的なハーモナイゼーシ ョンが必要であると述べられています。 日本の今後の動向を考える上で、米国の検討が非常に参考になると思われますので、 少し詳しく述べます。 これは本年の1月9日、10日に「血液の安全性と確保に関する諮問委員会」からHH S、保健福祉省に対する勧告です。これも病原体の低減化は輸血の安全性で新しいパ ラダイムとして高いプライオリティーがあるとまとめられています。 その中で個別に見ていきますと、血液の供給のリスクに関してなぜ必要かというのは、 現在の安全対策をもってしても、安定供給に支障を来す脅威が存在するからだとありま す。脅威には以下の問題が述べられていまして、1つにはドナーの確保の問題。 検査法がない病原体の問題。 検査感度限界の問題や検査工程の問題。更に病原体の変異の問題という脅威が挙 げられていました。 ここにもありますように、検査に対する安全対策には100 というのはありませんので、 それを埋める安全対策が必要であること。更には検査を増やせば増やすほど、そうした 開発にも財政的な限度が出てくるという問題があります。 どの程度安全かということに関しましては、当然スクリーニング検査のされていない血 液ほど危険なことはないとあります。一般的な疾患、肝炎、ウイルス、更にはHIVといった 一般的な検査は当然担保されなければいけないものだと思いますが、最善は尽くしてい るが、幾つか問題がある。日本においても日赤の最善を尽くした検査等が行われていま すが、問題があるというのも1つだと思います。 更には技術導入には財政的な限界もありますし、いかにもこれは米国的だと思うので すが、投機的な見込みがないというのがありました。 新しいパラダイムとして、病原体の低減化がありますが、リスクが分かっている病原体 も今後認知される可能性のある病原体も、低減化は究極の方法だとNIHのAlterは述べ ていますが、病原体の発見から検査の導入には長い時間を要する。問題が起こってから の対応では遅く、安全対策は先行する必要がある。低減化にはウイルスや細菌、スピー ロヘータ、リケッチア、原生動物の不活化、新興感染症にも対応できると。更に輸血のG VHDの防止にもなっているとあります。 こうした不活化はすべての血液製剤に必要だと。ところが、現段階においても限界は ある。しかし、達成可能なものだとあります。 A型肝炎のウイルスやヒトパルボウイルスB19など、高ウイルス量の病原に対しての不 活化能には限界がある。ただ、10の8乗とかの水準を不活化できるものを求めるというわ けではないと思います。 1つの工程ですべての製剤を不活化できるシステムはありませんし、赤血球の製剤と いうのは、世界的にもまだ確立されていないフェーズIの段階というのが実情です。 こうした新しい技術導入によって、不要となる検査、あるいは放射線の照射、渡航歴によ って献血制限がなされていることは相殺できるのではないかとあります。 いわゆる安全性に関しましては、Chapmanのコメントでは、安全性試験により残留成 分のレベルは毒性試験感度以下であると。 更に現段階で収集できるデータに基づくと、不活化製剤に含まれているいろんな化合 物、あるいは光線により変化した物質等があると思いますが、それによって暴露する有害 リスクというのは、医療器具の消毒、滅菌より低いとありました。 現段階で前回の部会で報告があったと思いますが、3つの主な仕様がヨーロッパでCE マークを取得しています。 1つ目は、いわゆるソラレンの不活化。 2つ目が、リボフラビンの方法。 3つ目が、メチレンブルーとあります。 ソラレンの不活化では16か国、アジアの諸外国でも導入されて、中国、韓国でも近々 承認が下りるという段階のようですし、米国でも承認申請が進んでいる。ベルギーでは保 険薬価が収載されてきている。 このシステムに関しては、臨床の10万人以上の記録がきちんと残されて、報告が出て きている。更には急性の輸血反応が減っている。これはほかのリボフラビンのシステムで も、輸血副作用が減っていると。更にはメチレンブルーの血漿のシステムでは、ノルウェー において輸血関連急性肺障害、TRALIは導入後はないとありました。 米国FDAのある担当官の見解では、この臨床試験から血小板の輸血効率の問題と か、肺障害と因果関係をきちんと精査する必要がある。 更にこの担当官の意見は、1つの考え方だと思いますが、病原体が広範囲に拡散し ていて、高い致命率のある場合には、効果対リスクの関係から導入するメリットがある。 それに対して未知の病原体の想定というのは意義が低いのではないというのがありま した。 現段階では、その諮問委員会とトロントの会議の状況を踏まえて、FDAではアモトサレ ンの前臨床安全性データを受理しておりますし、更には欧州のヘモビジランスのデータを 使って評価するとなっているようです。 この委員会の結論としては、受血者にとって既知あるいは未知の病原による脅威の 低減化を図ることは必要である。スクリーニング検査を増やすことで安全を担保というの も1つの方法ですが、やはり検査の費用がかさむと。その継続的な開発経費の捻出は難 しいということもありますし、不活化導入によっていろんな検査が削減できるといった相殺 できるメリットもあるようです。 以上のことから、この委員会は不活化は高いプライオリティーがあると勧告しておりま した。 これは先ほども示した現状の不活化のシステムとしてメチメンブルー、リボフラビン、ソ ラレンと3つありますが、これは先ほど述べたとおりであります。 その中でソラレンの血小板というのが1つ大変有用かと思われましたので、例として挙 げさせてもらいました。この血小板のシステムに関しては、血漿を65%置換液に変えて 35%血漿が残っている仕様になっています。血漿を除くというのは、確かに非溶血性副 作用の防止になると思いますし、病原体を不活化して残留物を吸着して、使用期限とし ても、現行日本では4日となっていますが、5〜7日間保存できる。使用期限延長もでき るという大きな魅力があると思います。 欧州ではこうした不活化が早期に導入されていますが、ヘモビジランスというシステム の確立なくして不活化の導入は難しいというのがあると思います。委員の先生方も日本 のヘモビジランスの構築に御尽力いただいていますが、献血者も含めて受血者の重篤な 副作用や予期せぬ事象に対するサーベイランスの体制は本当に必要と思います。 日本では日本赤十字社で自発報告を収集していますが、やはり一部にすぎないと思 います。医療機関からの情報収集、分析、更に情報の開示を行えるような独立した組織 は必要かと思います。 日本の状況を比較してみますと、日赤の血液の安全対策は、ここにお示ししますよう に、B型、C型肝炎ウイルスとHIVは20本プールでNAT検査を実施しています。それ以 外のものはチェックできていませんが、その代わりに検体保存、更には遡及調査という形 で日本で確立されています。保存前白血球除去や初流血除去が導入され、より安全な 対策を講じられていますが、更には医療現場でも適正使用の推進、更には輸血前後で 感染症検査を実施するというのは、周知されていることです。実際に新興、再興感染症 の脅威に対しては、問診等の強化で対応しているのが実情と思います。 これは少し古いデータだと思うのですが、いわゆるスクリーニング陰性で個別NAT陽性 という頻度ですが、B型肝炎のウイルスは5万5,000 分の1、HCVは54万、HIVは200 万分の1程度という頻度になっていますが、実際にこれは近年特にHIVの感染者が増加 していますし、累積1万人規模の数になっている。長野オリンピックを境でしょうか。都市 部では非常に多くなっている。我々の長野県でも12番目というところです。 こうした血液の感染リスクに関して、日本赤十字の安全対策として、HBV、HCV、HIV の感染は99年10月のNATに導入によって99%以上抑えることに成功していますが、 実際にB型肝炎になる患者さんがおられる。 更には遡及調査でも半数近くの方は追跡不能か亡くなられている方ということで、その 実数はもう少し多いと考えられております。 更に先ほどお示ししましたように、HIVの感染者が増加の一途をたどっている。更にこ うした検査できるもの以外、なかなか把握がし切れない。血小板も4日に期限が延長され て、細菌感染、汚染の問題も100 %とはいかないと思いますし、鳥インフルエンザに代表 されるような新興、再興感染がブレークしたときの供給というのは大きな課題かと思いま す。 不活化のメリット、デメリットをお示ししますが、実際にこうした不活化技術の導入によ って、必要のなくなる検査もありますし、新たな病原の感染に対する不活化もできる。GV HD予防の照射も不要になりますし、フィルターも必要ないと。血小板も延長できる。今ま では全血由来の血小板は使われていませんが、そうしたものも有効利用できるのではな いかと思いますし、成分採血は献血者にとって一番副作用の起こるものですが、そうした 成分採血の比率を少し減らすことができるのではないかと思いますし、血漿を減らすとい う仕様で非溶血性副作用の低減にもなるのではないかと思います。 課題としまして、赤血球の製剤、それは世界的には臨床試験段階である。更にA型肝 炎ウイルスやヒトパルボウイルスB19は限界がありますし、プリオンは不活化できない。 方法によっては血小板、あるいは凝固因子の活性に影響が出るものもありますし、実際 に治験を行って承認までに日本では大変時間がかかってしまうという問題があります。や はりヘモビジランスの構築なくして、こうした導入はできないでしょうし、不活化製剤の需 給調整も必要ですし、それには国の財政支援が欠かせないと思います。 血液の供給の現状と課題ですが、やはり血小板は日本では成分採血血小板が主とし て行われてきましたので、その変更はなかなか難しいと思いますし、こうした全血由来の 血小板、不活化済みたいなものも、使用としてあってもよいと思いますし、患者さん自身 が選択できるというのも1つ考え方かと思います。 また、今までありました日本赤十字社の機器の更新という側面もあるでしょうし、こうし た輸血用量血液が医薬品という扱いならば、製薬企業が製造できる制度もあってもよい のではないかと思います。 更には少子高齢化で献血する人口の確保が1つ課題なので、その対策にもなると思 います。 最後ですが、まとめとしまして、安定供給にも影響があるような病原の脅威、あるいは 副作用の防止という観点で不活化技術の導入を早期に結論を出す必要があるのではな いかと思います。過去の薬害の教訓を生かして、こうした現在から将来に向けて輸血の 安全の水準を開示する必要があると思いますし、輸血の副作用や有害事象の情報収集、 解析、情報開示、そうした独立したヘモビジランスの構築が必要だと思います。 こうした新しい医療技術、輸血の製剤の承認に向けては、世界標準といったものに準 拠する必要があると思いますし、いわゆるICHのガイドラインに基づいた包括的な臨床試 験や市販後調査は重要と考えます。 こうした導入にはやはり国の財政支援や組織の連携、企業や研究機関等の支援・協 力という体制が望ましいと考えます。 以上です。 ○高松委員長 どうもありがとうございました。 それでは、質疑に移りたいと思いますが、たくさん御質問等があると思いますので、要 領よく質問していただきたいと思います。 その前に私の方から2、3、先生の方にお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いし たいと思います。 今、お話しいただきましたように、一番最初にありますように、輸血ということを述べて いただきましたが、おっしゃるとおり、1つの免疫反応というものは非常に重要な問題であ るということと同時に、輸血が導入された時点から、輸血による感染症というのは大きな 問題でありまして、輸血医療というものの安全性というのは、長い間輸血製剤そのものの 安全性、つまり感染症からいかに逃れるかということが長い間課題になってきたわけであ りますが、現時点においては、ゼロとは申し上げませんが、非常にそれが減ってきている 段階で輸血の安全性ということを先生はどうとらえられているかということ。もう一つは、 今日お話しいただきましたような内容につきましては、先生いろいろインターネットで御意 見を述べられていると思いますが、今日のお話以外にもお答えいただければと思います が、いかがでしょうか。 ○下平氏 輸血の安全性、非溶血性副作用からすると、かなりのものもありますし、感 染症だけではない安全性というのは当然重要かと思います。いわゆる医薬品扱いの血 液製剤に関しては、ゼロリスクの医薬品等はないんですが、限りなくゼロにできる努力は 必要だと思いますし、感染症に関しては過去の薬害といった教訓があると思いますので、 そうしたことに対して世界的な動向に合わせた低減化、不活化といったものもできるとこ ろから進めていく必要はあると思います。 実際に5年先、10年先から現段階の安全基準、安全水準はどのくらいかということを きちんと示せるようなものが必要かと思っております。 ○高松委員長 今日のお話以外の御意見につきましての質問は、個人的に御覧になっ た先生方からの御意見ですから、必ずしも公になった話ではないということかもしれませ んが、幾つか述べられていることに関してもお話をいただけますでしょうか。 ○下平氏 それは安全性ということですか。 ○高松委員長 一般的な今日のお話の中です。 ○下平氏 すみません。質問の意味が分からなかったんですか、今回のは不活化導入 に関する提案ということで、感染症に対する対策と、更にはそれの必要性に関して、いわ ゆる現段階のリスクと諸外国の動向、更には新興・再興感染症、温暖化、グローバル化 に伴うようなリスクに対しての対策、それが米国の今回の1月のカンファレンスでの考え 方というのが1つ参考になるという形でお示ししたものです。 御質問のお答えになっていないかと思いますが、すみません。 ○高松委員長 それでは、先生方から御意見をいただきたいと思いますが、非常に個 別的なお話もありましょうし、総論的なお話もありますので、まず最初に不活化という問 題も含めまして、全体で何か御意見ございましたら挙手、あるいは御発言いただきたいと 思います。 ○山口(一)委員 今日のお話を聞いて、あるいは先生がメルマガでいろいろ意見を述 べられておられるのも拝見しておりますが、現時点で日本で何のために不活化をやるの かという視点から言いますと、幾つか整理できるかと思うんですが、私なりに整理をすると、 1つは、残存病原体のリスクをなくすということ。 2番目は、未知の病原体、エマージェンシーでも何でもいいんですが、未知の病原体に 対して備えるということ。 それから、今日の先生の発表で随分色濃く出たと思うんですが、コストを下げるんだと。 今の血液製剤のコストを下げるという、3番目の理由なのか。それ以外の理由があるの か、その辺からお話をお聞きしたいと思います。 ○下平氏 やはりこうした不活化導入というのは、検査の水準ですり抜けてしまって、肝 炎、あるいはHIVに感染するリスクを極力ゼロに近付けるというのがまず第一点だと思い ますし、いわゆる新興感染症、未知な病原に対する対策を備えておけるというためにも今 から準備しておく必要があると思いますし、コストの面に関しては、それは最終的に結果 として幾つか相殺できるようなものがあると思いますので、それは最終的な目的ではなく て、結果として得られるコスト面のメリットもあるのではないかということです。 更には先ほど血小板の例を挙げましたように、使用期限の延長とか血漿の有効利用 とかいった点もメリットとして挙げられるかと思います。 ○高松委員長 よろしいですか。ほかにどうぞ。 ○山口(照)委員 今日お話を聞かせていただいて、ヨーロッパではかなり長い経験があ る。その間に顕著なというか、有害作用は見られていない。むしろ輸血後のいろいろな副 作用の点で改善が見られているということで、これは多分ポジティブに判断しないといけ ないんだろうと思うんです。 もう一方で、こういう不活化技術がウイルスを、先ほどちょっと御説明になられたと思う んですが、要するにウイルスをゼロにする技術というのは、限界のある技術だという判断 でよろしいかと私は理解したんですが、それでよろしいですね。 ○下平氏 勿論、患者さんの水準を考える必要はなくて、献血者という、健常者を対象 とした上での血液の安全性だと思いますので、限界は当然方法としてはある。しかし、そ れは献血する血液に対しての安全をより追求したものだと思いますので、患者さんのレベ ルは考える必要はないと思っています。 ○山口(照)委員 これまでの論文でも不活化に関してすべてのウイルスが全部不活化 されているわけではないと。要するに、あるウイルスに関してはかなり高度な不活化がさ れているし、先ほどのパルボとかいうノンエンベロープに関しては、薬剤のしみわたりやす さとかいうことで完全でないケースもある。 ということは、不活化の技術を導入したときに先ほどちょっと対費用効果という別の観 点からいろんなものが削減できるんではないかという話のときに、ゼロになるという話と、 ある限界があるという話でちょっと視点が変わってくるかと思うんです。 例えばゼロになるんであれば、こういう検査は必要なくなるとか、そういう視点は勿論あ ると思うんですが、それは1つの柱として導入はできるでしょうが、すべてをそれで変える わけには勿論いかないですし、例えば受白血球などというのは、ウイルスだけではなくて、 もともとヨーロッパなどではBSE対策ということもあります。その辺は多分すべてをこれで 代替していくという方法ではなくて、むしろその1つの柱として費用対効果は言われなかっ たんですが、そういう観点からではないと考えていかないといけないところかなと思ったん です。 ○吉澤委員長 輸血に伴う感染の事象については、これまで80年代からの歴史があり まして、輸血後肝炎が十数%起こっていたときから抗原、抗体反応によるスクリーニング、 そして最終的にはNATが導入され、今日に至っている。輸血に伴う副作用に関しては、 現時点の方法では限界のところまでの安全性が確保されてきているわけです。その時点 において、なぜ今突然に不活化の技術の提示なのか、それを伺いたいと思います。 ○下平氏 当然99.99 %の水準まで日本の安全性ができてきている。それは確立され たものだと思います。 いわゆる諸外国の動向、近隣諸国、アジア諸国の動向を踏まえたときに、やはり世界 的な動向に合わせて、より安全性の高い技術が確立されていたならば、それを導入して、 リスクゼロを限りなく目指すような使用が日本においても検討される時期ではないかとい うことで提言させていただきました。 当然今までの検査の安全対策、それは歴史上当然認められていることですし、更に将 来に向けて考えたときに、新たな製剤の導入とかを考えたときに、5年先、更に10年先ま で踏まえたときに、より安全な患者の立場として見ても、一国民としても、より安全な製剤 を期待するというのはあると思います。 それに対する一つの方法だと思います。 ○吉澤委員長 先生の提案は今の時点ででき上がっている技術はとにかく導入すべき だという意見なんでしょうか。それとも、近い将来、エマージングで未知の病原体が猛威を ふるい始めるかもしれない。それに対してこの国では基本的技術と基本的経験を積んで、 そういう事態が生じたときに対処する基礎をつくっておくべきとお考えなのか。どちらの御 意見なんでしょうか。 ○下平氏 やはり新たな技術の導入というのは、一朝一夕にできることではないと思い ますので、将来の脅威に対しても備えられるような、今からできるところをきちんと結論付 けて、更に段階を踏んで、より安全な製剤の水準を追求していく必要があるのではない かと考えております。 ○半田委員 そういう意味ではちょうど血液法が平成15年に施行されてから見直しの 時期ということで、今の先生のプレゼンテーションというのは、今の我が国での血液の安 全性、そういうものを含めた血液事業全体の見直し、先生はさっきパラダイムシフトという ことをおっしゃっていましたが、まさにそういう観点からすばらしい提言かなと思います。 非常に基本的な問題ですが、先生はたびたび導入という言葉を使われて、勿論はこ れはインプリメンテーションということだと思うんですが、それには医療技術として承認する ということが前提にあります。 導入というのは、それを使って何らかの、いわゆる血液事業の1つとして薬をつくるとい うことになるとも思うんです。その辺の考え方というのは順序だてて整理しておいた方がい いと思うんです。 まず、この薬自体が安全なことと、それから血液製剤自体がより高い安全性を示すよ うな技術であるということから、我が国としてそれを承認する。次は導入に関して、いろん な技術とのコンペティションで廃止すべき技術は廃止して、コスト面からも調整を付ける。 将来に向かって再整理をする。パライダイムをシフトしていくといいと思うんです。 この分野はどんどん進歩する分野ですので、私は外国に追随する必要はないと思うん です。そういう意味では地理的な問題を含め、今おっしゃったように、まさに歴史も含めて、 我が国独自のパラダイムをシフトしていかなくちゃいけない。そのときに承認と導入という ものを区別した方がいいかなと思うんですが、その辺はいかがですか。 ○下平氏 おっしゃるとおりで、いわゆる医薬品の承認というレベルの段階と、それを日 本中でどういう段階を経て導入に向けて、いわゆる医薬品・医療として使えるかという大 きな節目はあると思いますので、先生おっしゃるのはごもっともなことだと思います。 ○花井委員 お話ありがとうございます。 まず総論的なところで、私の意見としては、先生の提言のうちの3番目につきましては、 この時期ではなく、そもそもこのヘモビジランス体制の構築をもう少しすべての輸血後副 作用を監視し、公開できる体制をつくるというのは、実はもう10年くらい前から言っていて、 安全対策は非常に重要だと考えています。これは全面的に賛同するところです。今の議 論とはちょっと違いますが、むしろ足腰の部分で非常に重要な指摘ではないかと思いま す。 2つお聞きしたいんですが、先生の方で先ほどFDAの人が話されている、いわゆるイン ターセプトの臨床試験に関する評価と、先生のお話しされた不活化のメリットのところで、 主に未知の病原体に対するメリットというところで若干温度差があるように思うんです。 未知に病原体に対しては、どのくらいのメリットがあるかというところが非常に重要で気 になるところで、あくまでこれは今のスクリーニングなりNATを補完するプラスαのテクノロ ジーで、ある程度これを導入しておけば未知のものへの備えになるというものではないと いうのがFDAの考え方だと思うんですが、先生の考え方も同じと考えていいのかというの が1つ。  もう一つは、不活化技術を導入することによって、コスト面、検査面とか、減らせる部分 があるのではないかということなんですが、現在血漿分画製剤に関しては、全く同じレギ ュレーションで厳しいスクリーニングとコストをかけた検査をしているわけですが、血漿分 画のウイルスクリアランスの今導入されている技術と、それを比較すると。極端なことを言 えば血漿分画用量だけはほとんど、例えばスクリーニング検査は要らないということも考 えられると思うんですが、その血漿分画の現状に対して、分画に関しては、本当は要らな いんじゃないかとか、その辺のトレードオフが私では整理し切れないので、先生の方で、 現状でも血漿分画は、スクリーニングはある程度減らせるんだという理解なのか、その辺 との関係を御説明していただきたいんです。 ○下平氏 最初にありましたFDAの見解なんですが、この担当官の輸血の回数が増え るのではないかというのと、いわゆる肺障害の問題でこれは問題のあるシステムではない かというのがありましたが、これは実際にいわゆる放射線照射、白血病の患者さん等の 移植前の照射による肺障害のことも加味されているようですし、その辺、最終的には先 ほど注でここに示しましたように、そのシステムの安全性、更にはいわゆる臨床的な安全 性に関しては、いわゆる担当官の判断、考えというのは、ある種因果関係が低いというの がありますし、実際に未知の病原と申しましても、いわゆる新興、再興という分かる範囲 の病原ですね。そういったものに関しては、不活化技術を導入するメリットはむしろあるん ではないかと思います。 ここにあるのは、恐らく効果と、ここに示しましたように、広範囲に拡散して致命率の高 い場合にはメリットがあるというこの先生の尺度だと思いますが、私自身は新たな病原、 デング熱や更には鳥インフルエンザといったような病原体に対しての低減化効果はある と思います。 更には、コスト面というのはありますが、血漿分画製剤の扱いに関して検査も、いわゆ る生物由来製品、特定生物という形で検査を経て、更には不活化、いろんなSD処理等 行われていると思うんですが、そこの基準、どこまでやってあれば検査が不要かというの は、また別の検討で安全の基準を示す必要があるので、それは今後の課題なのではな いかと思います。 ○高橋委員 2、3伺いたいんですが、先ほど来お話が出ています提案の順番ですが、 今回の不活化の提案の前にヘモビジランスの構築、そのほかの話ということは非常に重 要だろうと思うんです。先生の話というのは、非常にすばらしい部分と、ちょっと無理に引 っ張ってきている部分と混在している印象を私は正直に持ちます。この提案に関しても、 順番としては、ヘモビジランスの構築とか、輸血の安全基準の国民への開示とか、そうい う話が先に出てきて、その上で不活化技術導入に関する検討を急ぐべきだと。その際に ハーモナイゼーションの問題も出てきますし、もし、導入するとなれば国の財政支援など が必要だと。そういうコンテクストで提示すべきじゃないかと私は思います。それが1つで す。 もう一つは、先生は不活化技術導入によるメリットと課題と言っているんですが、メリッ トに関しては、理論的なメリット、考えられるだけのメリットを掲げておられるんですが、こ れがどこまで確認された話なのか。理論的に先ほど限界という言葉が出ましたが、ある 程度100%かゼロかではでなくて、実際にこういう側面もあるが、それを本当にプラスにす るためにはこういう限界があるということをメリットに関しても挙げるべきではないかと思い ます。 それから課題というのは、直接的に導入するためには、こういうことが課題になるという ことなんですが、導入した際に、私は一番心配しているんだが、導入することによって新 たな副作用が起こるんではないかということを懸念しているわけです。 あるいは、この課題の3番目に書かれている血小板機能凝固因子活性への影響とい うことにも関連するんですが、それによって血液の使用できる量が相対的に減ってしまう。 つまり、一人当たり必要量がその結果増えざるを得ないという問題があると思うんです。 そういう懸念に対して、こういう根拠があって、それは原理的な意味合いでこうである。あ るいは実際にエビデンスとして確認されているものがあって、こうであるという形で示して いただきたい。 第3点は、いろいろな方の御意見を引用されていますし、先生御自身もかなり推進に 傾いた御意見を言われているわけですが、私自身は必ずしも結論が最初に決まっている という話ではなくて、不活化技術を早期に導入できるように検討を進めるべきではないか というぐらいに私自身は思っているんですが、先生自身は不活化技術導入、早く決めな ければいけない。日本はこのままだと遅れるぞという議論なんですが、もう一度ニュートラ ルな立場に立っていただいて、不活化技術導入に大きな問題がないか懸念している人た ちの疑問、懸念に対して、こういう点でそれは払拭できるんだという議論が建設的になる 一番の要因ではないかと思うんです。 それぞれの方が言われているときも、先生御自身も、この不活化技術を推進するいろ んなメーカーとの関係とかがなくて、ニュートラルの立場でそう言っているのか。あるいは 一定の関係があって言っているのか。そこら辺も明らかにしながらやっていただければと 思います。 ○下平氏 高橋先生、いろいろ御教授ありがとうございます。導入を必要性という形で 私も文献的ないろんな情報を集めて、今後日本でもこうした新しい技術が導入されてより 安全になればよいという期待も込めて提示させていただいたものですし、実際にICHのハ ーモナイゼーションにあるように、この委員会の先生方が実際に生のデータとか査察や 視察等をして御判断いただければ、私の意見は1つの参考としていただいて、御検討い ただければと思います。 提示の内容、順序、不備等あったと思いますが、今後ともお願いいたします。実際にい ろんな文献、情報を医療者の立場として集めたものでして、利益相反のあるといったこと はありません。 ○大平委員 今日はいろいろお話しありがとうございます。 全然別な話なんですが、私は今日出てくるときに、職員の人と論争していまして、若い 人から固定的な観念で考えていくと、なかなか事業が行き詰まってしまいますよということ を、逆に諭されてきましたが、今日、先生のお話を伺っていまして、また新しい血液の安 全性についての御提言だととらえさせていただいている中で、先に報道された中でこうい う不活化技術が導入されて、新たな安全性が増すということで、逆に新たな次元での安 全性の確保となりますと、世間から見ますと、これですごく安心できるようになっていくんで はないかという、まだまだこれからの問題だと思うんですが、社会は先行してしまうんでは ないかという危惧が感じられます。 先生からの御提言もありまして、高橋委員ですとか、ほかの先生方からも御指摘があ りましたが、ヘモビジランスの問題につきまして、日本は本当はもっと早くに全体としてヘ モビジランスに取り組んでいってほしいなというのが実感としてありまして、先生の御提言 がもっと早くにできていれば、私たちもこの不活化技術の導入についてという検討につき まして、もう少ししっかり固めた形でいろいろと検討できるんではないかなと思いました。 そういう意味では、ヨーロッパのヘモビジランスの形態と日本との間のヘモビジランス、 日赤の方で一生懸命やっていただいていますが、全体としての大きなカバーというのはま だないんだろうと思いますので、そういう意味で新たなヘモビジランスが日本で追いついて いればこれを導入するというところではかなりいろいろな試行錯誤の問題ができるんだろ うと思うんですが、そこに日本とヨーロッパとの間の安全性について、今までの歴史的な 経緯とかを踏まえると、もう少し溝がせばまったところに検討という形が本当は望ましいの かなと素人なりに思うんです。その辺を先生にお伺いしたい。 あと中国とかいろいろなところでも導入が検討されて、承認がされ始めているところが、 少し地域的な問題としての安全性確保の問題としては、半田先生からも御指摘がありま したが、そこはいろいろ違って、日本との違いがあるのかなと思います。 その辺、総論だったんですが、先生の方からこれはある程度ヘモビジランスを追いかけ ながらもという話だと思いますが、それを埋めながらかなり急がなければいけないというと ころの根拠をもう一度お話しいただければと思います。 ○下平氏 大平さん、ありがとうございます。 欧州でこうした新しい技術が早期に導入されているのは、ヘモビジランスというシステ ムがきちんと構築されて、それとリンクした形でうまく安全対策が進んでいるというのは確 かだと思います。 日本においてもこうしたきちんとしたシステムが自発報告だけではなくて、きちんと分析 までできて、更に開示ができる組織というのが早く、私も是非それはお願いしたいというの はありますし、まず大前提が新しい医療技術の導入の第一歩がヘモビジランスの構築だ と思います。 地域によって、確かに欧州・米国と日本、更には近隣のアジア諸国と、いわゆる感染 症1つ取っても、国によって全然違うわけです。ただ、日本における状況と申しますと、HI Vの感染者の方が増加している。それは社会的な大きな背景があると思いますし、アジア 諸国で流行しているような鳥インフルエンザ始め、そうしたウイルスがブレークしたときの 対策というのも、1つ視野に入れて構築しておく必要があるのではないか。その1つの方 法として、不活化技術というのも検討していただく必要があるのではないかと思います。 ○内山委員 私は血液の専門家ではございませんで、リスク論の方から質問させていた だきたいんですが、私は化学物質のリスクをやっていますが、ウイルスと何かの疾患なり、 1対1に対応している場合には、欧米の場合には以前から輸血の面に関しましても、リス クの考え方でこのくらいに減らせばいいのでないかということでやってきています。 特に日本人の場合はそういう因果関係がはっきりしているものに対してはゼロリスクを 求める傾向が強いというのは、私どもの今までの経験から、なかなか医薬品の部分とか 輸血の部分にはリスクの概念を持ち込むのが非常に日本人にとっては抵抗があると考 えていたんですが、先生の今のプレゼンテーションを伺っていて、リスクを限りなくゼロに 近付けるというのがぽんぽんと飛び出してきたので、医療の分野でもこういうリスクが論じ られるようになったのかというふうに思っているんですが、実際に不活化の導入によってど のくらいまでリスクがゼロに近付けられるのか。できるだけゼロとおっしゃいましたが、余り 因果関係がはっきりしていないものに関しては、国際的には10の−6乗、100 万分の1 以下であれば何とか受容しようというくらいのコンセンサスができておりますが、日本のB SEですと、1人でも出たらまずいということで全頭検査をやっているわけです。 最終的にもNAT検査も、それをすり抜けるのをゼロにしようと思ったら、全数をスクリー ニングしなければいけないということで、それはコストの面からも非常に難しいということで、 今はだんだん下がってきて、20になっていると思うんです。 そこら辺のところがこの不活化の導入によって、現在やっているものよりも更にどのくら い下げることができるのかということが、構築が必要であるとおっしゃっていた情報開示、 副作用でどのくらいのレベルまで下げることができるんだろうというようなことにも非常に 関わってくると思います。 その辺りのお考えがあったら、少しお聞かせ願えれば非常ありがたいと思います。 ○下平氏 3つほどある不活化技術に関しまして、諸外国でもまだNAT検査と平行して 不活化をやっているわけです。それは恐らくきちんとした保障を取るためのデータを蓄積 しているんだと思いますが、ある国によっては個別NATもやっている。アメリカでは20本よ り16本とか、更に少ない数でNAT検査をやっているとか、国によって多分違うと思うんで す。 既知の献血者のすり抜けるリスクをB型肝炎、C型肝炎、HIV、更に細菌感染を含め て恐らくこうした確立された技術であれば、本当に限りなくゼロに近い水準に持っていけ ると思います。それが検査をいつか減らすことができるのかというのは、また別の段階で 評価しなければいけないと思います。 実際に10の−6乗レベルの水準で、この方法であれば、ここの病原体に対してはどの くらい低減化できるかということを、後半あると思います技術的なプレゼンテーションの中 で、医療者、患者さんが、この病変のリスクはこのくらいですと。この仕様ではどのくらい になりますということをきちんとお示しいただいた方が、今の医療では必要な情報だと思 いますので、具体的にどのウイルスなり、どのくらいの低減化かあるというのを仕様として 示せれば、よりよい医療の質になると思います。 そのくらいしか私の方からは申し上げられないです。 ○高本委員 先ほどヘモビジランスの話題が出ました。先生おっしゃったようにヘモビジ ランスは是非必要なシステムであり、ヨーロッパでも確立されておりますし、アメリカではま だ確立されておりませんが、輸血だけに限らず臓器移植を含めてバイオビジランスという システムをつくろうという話が出ております。ですから、日本としてはできる限り少なくとも ヘモビジランスというシステムは確立する必要はあると考えております。 それと密接に関連はするんですが、このPathogen Reduction という話は少し別な問 題であって、先生お話のように、輸血の歴史というのは、吉澤先生もおっしゃったんです が、感染症の歴史と密接に連携してきたという歴史があります。新しい病原体ができるた びに、それに対する対策をつくる。新しい病原体ができるたびに新しい検査を考案してと いう、モグラたたきみたいな状態が続いてきたんですが、少なくとも今後はいちいちそれに 対応するんではなくて、少なくとも核酸を持った微生物に対しては一遍に対応できる。 Pathogen Reduction というアイデアというものはすばらしい考え方だというふうに私自身 は考えております。それが将来出てくるものも含めて、あらゆる微生物に効くものであれ ば、それは真っ先に我々が活用しなくちゃいけない技術だとは考えているんですが、2つ 条件がある私は思います。 1つには、それは少なくとも核酸を持っている微生物に関して、あらゆるものに対して有 効であるということがまず1つの大きな条件。 それでなければ、今まで対応してきたモグラたたきと同じような格好になります。 2番目、事業としてそれを採用するには、やはり血液製剤すべてについて利用できると いうことがかなって、始めてそれが導入可能な段階に持っていけるんではないかというふ うに考えております。 先生に対する御質問は、なぜ今先生は導入が必要とお考えなのか。それを伺いたい と思います。 ○下平氏 高本先生、ありがとうございます。 確かにあらゆる病原体に対して不活化できる技術は当然必要だと思いますし、全製 剤の導入といったものは、いろんな国々を調べてみますと、なかなかすべて一律に全国 導入というのはできているわけではないと思いますので、それぞれの国々も段階を経て、 こうした不活化技術の導入に踏み切っているのが実情だと思います。 なぜ今必要かというのは一番根本のところだと思うんですが、この提案で述べましたよ うに、HIVの増加を含めて、とにかく病原の脅威に関して現時点でできる対策を今から5 年後を見据えてとか、対策をしておかないと、5年先になっても現状の水準で肝炎の患 者さんも今後も起こっているという状況を、とにかくよりよい医療の水準に持っていくため に、今から考える必要があるのではないでしょうかというのがあります。 実際に承認を得て更に導入となったらば、更に長い年月がかかると思いますし、それ が諸外国での臨床データが出てくるのも時間の問題だと思うんですが、こうした新しい技 術の導入によって、とにかくより安全性の高い技術を日本で是非オピニオンリーダーとし てやっていただきたいという期待を込めているところでして、日本が一番世界で安全な血 液製剤を供給できているということを是非目指していただきたいなというのがまずありま す。 ○高松委員長 今井先生、どうぞ。 ○今井委員 今、再三HIV感染者の増加というのがそのままダイレクトに輸血後の感染 リスクの増加に繋がると聞こえるような説明が、何回かありましたので、ちょっとコメントさ せていただきます。確かに、今、HIV感染者はかなり増加しているわけですが、それによっ てそのままパラレルに輸血後の感染リスクがHIVの感染の広がりと同じ程度の割合で増 えているというようには考えない方が良いと思います。感染リスクの高い集団では、HIV 感染はかなり広がっているけれども、輸血後の感染リスクというのは、それと比べずっと 低いレベルで増えており、その増えは決して感染の広がりとパラレルではありません。 つまり、献血した中での陽性者の増加というのは、感染の広がりに比べればずっと穏 やかであるということなんです。 勿論、輸血後の感染リスクが全然ないというわけではないが、感染の広がりと全くパラ レルに、輸血後の感染リスクが増えているよというイメージは、事実と反するかなというこ とをコメントしておきます。 ○水落委員 私も今の今井先生の質問と同じことを聞こうと思ったんですが、例えばこ の不活化技術を導入する場合に、一番知りたいのは、現在やっている検査に関して何を 先生は減らせると考えていらっしゃるのか。もしスクリーニングまで減らすとなると、今言っ たような問題、HIVに対する陽性率というのは、実際に100 万分の1というものが、この 技術導入によって、それが落ちたというような統計的なことは実際に言えるのかなという のは不思議に思うんです。 もう一つは、実際にこういう不活化技術を導入した場合に、それをすべてに導入するの か、あるいは不活化技術を入れた入れないというのを分けて実際に使うユーザーが選べ ることができるようなことを考えていらっしゃるのか。 ○下平氏 ここにお示ししましたように、不活化のメリットというところにも書きましたが、 日本では行われていませんが、細菌検査、サイトメガロウイルスは当然陰性の受血者の 方用に検査されていますが、こうした検査は必要なくなると思いますし、いわゆるGVHD の照射というのも本当に必要なくなるというのも大きなメリットだと思います。 更にはフィルターによる除去も、この仕様では必要ないというのか1つあると思います ので、検査の削減できる部分というのはそうしたメリットがあると思います。 もう一点に関しまして、全部の製剤を100%導入というのはなかなか困難な状況だと思 いますし、日本においても恐らく諸外国も当然そうなんですが、段階を踏んで徐々に必要 に応じて需給調整を行っているというのが実際だと思いますので、その辺先生方で御検 討いただきたいと思います。 ○水落委員 もう一つ気になったのは、献血する方は患者さんではないとおっしゃったん ですが、献血する方すべてが健常人でもない場合もあると思うんです。そういうことはどう ですか。 ○下平氏 感染症という視点で患者さんのウイルス量を不活化できるということを要求 しているわけではないというのがあると思います。当然問診とか、今まで行われてきたよう な献血の検査の必要なところは当然残すべき話だと思います。 そういう意味で患者さんとの水準、違いというのは、患者さんのウイルス量、一般の健 常者のレベルというのは違うんではないでしょうかということです。 ○高松委員長 いろいろ御意見いただきまして、総論的なこと、一部各論的なこともござ いますが、まだ少し時間がございます。いろいろ御意見の中でもう一度先生、今これを検 討するということはよく分かったんですが、今なぜこれを導入ということをもう一度先生なり に御意見をお話しいただければと思いますが、いかがでしょう。 ○下平氏 この結論でも述べましたように、いわゆるリスクゼロの医療はないんですが、 今後の日本の医療においても、とにかく輸血で感染する患者さんを可能な限りゼロに近 付ける必要はあるのではないでしょうかということと、実際に諸外国の感染症、新興感染 症等を踏まえたときに、将来の安定供給を考えた場合に、できるだけ備えをしておく必要 はあるのではないか。 更には、いわゆる薬害肝炎の教訓を生かして、日本でのよりよい輸血の安全性の水 準をきちんと構築する必要があるというのが、今、しなければならない、できるところから 御検討いただくというのが必要ではないかというのが私の趣旨です。 ○高松委員長 ほかに何か。どうぞ。 ○吉澤委員長 少し各論的な御質問をさせていただきますが、不活化を考えるとき、既 知の病原体は今スクリーニングをしています。どうしても今のスクリーニング体制ではチェ ックできない微量の病原体についての不活化の話と、新興の、つまり未知の病原体と混 ぜてお話になっていますが、前者の場合はウイルス量が少ない。だから、それは不活化 技術の導入によってクリアーできるかもしれない。これは理解可能なんですが、エマージ ングの場合、ウイルス量が少ないという保証はどこにもなくて、先ほど先生がおっしゃった ウイルス量が多いものについて、この不活化技術というのは限界があると繰り返しおっし ゃっていました。この点を分けて、きちんと説明されると、みんな納得がいくんではないか。 それから、欧米の話をされましたが、この新興感染症の表を見ますと、欧米と言いなが ら、亜熱帯地域をテリトリーに持っている国がそこの地域に限定して積極的に考えている。 それ以外のところ、つまり本国ではそれほどでもない。それを1つの国としてまとめて話を すると誤解が生じることになるのではないかということ。 もう一つ、HIV感染者の増加と鳥インフルエンザについても対処すべきだとおっしゃい ましたが、まずHIVに関して申し上げますと、アフリカのある国ですと、輸血用に提供され た血液の10%以上がHIV陽性であるという国がある。そういう国では一度検査をして、陰 性だったものに関して一定のインターバルを置いてもう一度血液の提供を受ける。一定 のインターバルを置いて提供された血液が陰性であったら前の血液を使うというやり方で 対処しているということを現地に調査に行った人から聞いたことがあります。それが蔓延 という状態であって、今の日本の国のHIVの広がり方というのは、先ほど今井委員がおっ しゃったように、陽性の人がある特定の目的で献血に来るというところに問題があるわけ です。そして、数としても、そう多くはない。ですから、感染早期の状態で献血されるという のは極めてまれであるという違いがあります。 鳥インフルエンザの問題については、血液の安全性以前の問題で、これが蔓延したら 相当以上の死者が出るわけでして、血液の安全性不活化という悠長な問題とは全く別 次元の問題だと思いますか、その辺、3つについて先生のお考えをお聞きしたいんです。 ○下平氏 今、先生がおっしゃることはしごく当然のことでして、私の得られた情報等が 一面的な面があったことは否めませんし、先生の言われる今までの実情を踏まえて、当 然のことと納得した次第です。 確かにエマージングのときのブレークといったものと、血液供給というのはちょっと次元 の違う提示だったと思いますので、これは1つの参考として取っていただければと思いま す。 確かに既知のHIVの、いわゆる国々によって感染の蔓延しているレベルというのは違う と思います。この日本において1例以前に報告されたような事例が今後起こってほしくな いというのが1つありまして、既知の病原に対する不活化というのも1つの方法として御 検討いただきたいというのはあります。 更には技術的なレベルの話はこの後のそれぞれのプレゼンターの方々から、いわゆる 正しい情報を入れていただければと思いますので、これは私が今まで文献とか報告とか を踏まえて学んでいた話で提出させていただいたものでございます。 ○吉澤委員長 ということは、今までこの問題についての関連の会議、学会、集会、そう いうところへ行かれて学んでこられたこと。それから、それを契機に文献的に入手された 知識を基に提示されたと理解してよろしいわけですね。 ○下平氏 おっしゃるとおりです。 ○吉澤委員長 先生がおっしゃったことの中に大事なことがいっぱいありまして、ヘモビ ジランスという問題は、極めて大事なことで、具体的に、副反応という事象が起こったとき にエビデンスに基づいて対処するということは極めて大事なことですが、そのエビデンスが ない状態で不安をあおるようなことはなるべく避けた方がよろしいと思います。 不活化技術の導入に関しても、基本的な技術研究チームをつくり、何かエマージェン シーが起こったときに全くゼロの状態から対処するんではなく、それまでに蓄積した技術 の知識と経験を基にして対処するという提案なのか、それとも全面導入を先生は求めて いるのか。そこが不明瞭ですので、その辺も明瞭にして提案をしていただくといいかと思 いました。 ○高橋委員 先ほども申し上げたことなんですが、もう一回先生が説明されたときに余り ストレートにすぱっと言い切られたので、改めて申し上げますが、不活化技術導入による メリットというところは、もう少し慎重に正確に、どういう条件でこういうことが可能になるの かということも含めて言わないと、危険だと思います。 というのは、検査法の改善とか新しい検査法の導入などと違って、ある検査法でかな り高い成果が出ているところに全くそれとは違う方法論で不活化という方法をやっている わけです。言わば水質をチェックして、おいしい水を探している方法をやめて、消毒薬を 入れて飲めるようにしてしまうと。かなりはっきりした切り替えた発想なわけです。 例えばGVHD予防のための血液照射は不要になると言いますが、本当にこれが実現 するには相当慎重にやらないと危険で、40年近く原因が分からなかったものがようやく今、 日本では全例血液照射していることによってGVHDで起こらないで済んでいるわけです から、もし原理的にこれは可能だといったとしても、エビデンスを確認しながらこのGVHD 予防のための照射を不活化技術導入後こういう手順を踏んで、廃止することは可能であ ると。あるいは白血球除去に関しても同じようなことが言えると思うんです。 そこら辺を先生は少しすぱっと言い切られるんですが、それは危ない部分がある。 一方で、危惧されるデメリットに関して、余りにも説明が少ないので、それで皆さん非常 に、先生がニュートラルな立場で言われているのかということを感じてしまうということであ ります。そこら辺を、もし可能であれば追加的にお示しいただければありがたい。 ○下平氏 私の提示に関しましては、総論的な部分で、詳細は別にしても、それを基に 更にいろんな情報収集、正しいデータを、ここでは開示できないような分析データは査察、 視察等をして入手した上で御検討いただければよいと思いますし、この安全性に関しまし ても、やはりアレルギー反応等も、当然化合物ですから、あり得る話なんですが、実際に 欧州での臨床データが2つほど出ておりまして、その中ではアレルギー反応がないという のがありました。 更には非溶血性副作用の低減化もなされていたという記述もありましたので、そうした ことを今回提示できなかったんですが、また、情報を挙げてまいりたいと思いますので、ま た御指導をお願いいたします。 ○高松委員長 時間を過ぎているんですが、どうぞ。 ○岡田委員 将来的には安全性の高い技術が開発された場合には導入と、これはここ に出席されている方も含めて反対する方はいらっしゃらないと思うんですが、現状の方法 で導入を検討するときに、やはり病原体の不活化できる能力と、その一方で副作用です ね。現状では、核酸にバインディングすることによる副作用というのが、皆さん恐らく不安 を持っているので現状の輸血による感染症の発生と、添加することによって生じる新たな 副作用ということを天びんにかけて慎重になっているのだろうと思います。 いただいた資料を見ますと、収集できるデータに基づくと、有害リスクは医療機具の消 毒よりも低いということを言っていながら、その反対に、ヨーロッパにおいてある不活化法 をEUでは16か国が導入をしていると言いながらも、これを見ると10万以上の輸血記録 と、1か国に直すとせいぜい1万行っていないわけです。 そうすると、各国、そうは言いながらも結構慎重に使っているということが考えられると 思うんですが、そういう面では、一方では不活化できる、もしくは病原体の量を減らすこと ができると言うけれども、添加した薬剤の安全性ということは、もし少し明らかというか、問 題がないんだよということを明らかにしないと、今すぐの導入というのは慎重にならざるを 得ないんじゃないかと思うんですが、その辺、先生はどうお考えですか。 ○下平氏 やはり安全性、化合物、あるいは光線照射という組み合わせのシステムなの で、ICHのハーナイゼーションではないですが、そういう毒性試験の専門家にきちんと評 価していただいたり、本当に日本で考える場合に臨床試験等、20万人規模でやるのかと か、あるいは1,000 人でそれを日本人にとっての安全性を再評価する必要があるのかと いうのは、今後の課題だと思います。 ○高松委員長 いろいろ御意見あると思いますし、まだ議論は尽きませんが、時間をか なり超過いたしましたので、これで終わりたいと思います。 輸血の安全性ということと、輸血製剤の安全性ということは、必ずしも同じではありま せん。先ほど下平先生もおっしゃいましたように、輸血そのものは残念ながら感染症も含 めてまだたくさんのリスクがあります。そういう意味でそれをきちんと監視するシステムとい うのは非常に重要だと思います。 そういう意味で1つの感染症というものに絞っていけば個々のディスカッションができる わけですが、しかし、それだけですべて解決できるわけではないということで、今後いろい ろ皆さんから御意見をいただいて、更に検討していきたいと思います。 本日はどうも長時間にわたりまして、ありがとうございました。 それでは、ここで下平先生からお話をお伺いするは終わりまして、ちょっと時間を超過 しましたが、5分間休憩いたしまして、後半の部へ移りたいと思います。 どうもありがとうございました。 (前半の部 了) 連絡先: 医薬食品局血液対策課 後藤(内線2902)