08/03/28 第51回労働政策審議会職業安定分科会議事録 第51回 労働政策審議会 職業安定分科会 1 日 時 平成20年 3月28日(金)13:00〜16:00 2 場 所 厚生労働省職業安定局第1会議室 3 出席者 委 員(公益代表)            大橋分科会長、岩村委員、征矢委員、宮本委員  (労働者代表)            有村委員、徳茂委員、長谷川委員、古市委員、堀委員           (使用者代表)            荒委員、石井委員、市川委員、川本委員、北城委員、            尾崎委員代理(吉村氏)       事務局  太田職業安定局長、大槻職業安定局次長、荒井審議官、            岡崎高齢・障害者雇用対策部長、宮野職業安定局総務課長、            三上雇用開発課長、大隈若年者雇用対策室長、北條就労支援室長、            増田建設・港湾対策室長、川中参事官(地域担当)、            宮川雇用保険課長、長門企画課長、石坂高齢者雇用対策課長 4 議 題 (1)雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案について(諮問) (2)高年齢者等職業安定対策基本方針の一部を改正する告示案について(諮問) 5 議事内容 ○大橋分科会長 定刻になりましたので、ただいまから第51回労働政策審議会職業安定 分科会を開催いたします。 (出欠状況報告)  それでは議事に入ります。本日の議題は2つございます。1つは雇用保険法施行規則等 の一部を改正する省令案についてです。もう1つは高年齢者等職業安定対策基本方針の 一部を改正する告示案についてでございます。最初の議題は雇用保険法施行規則等の一 部を改正する省令案についてです。事務局から説明をお願いいたします。  ○総務課長 私から最初の議題につきまして説明させていただきます。お手元の資料の No.1-1、1-2、1-3です。ご諮問いたします内容は、資料No.1-1の省令案要綱ですが、説明 資料No.1-2、1-3に基づいて内容について説明をさせていただきたいと思います。  まず今回の雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案ですが、これは例年こうし た形でご審議をお願いしているものですが、ただいま国会でご審議をいただいています 20年度予算案の中で、私どもの雇用対策の関係につきまして、雇用保険二事業で行って います助成金について、内容の拡充ですとか、あるいは廃止、見直しといったような内 容が盛り込まれています。助成金の拡充、見直し等々については、根拠としては雇用保 険法施行規則が根拠になっています。したがいまして、この予算が成立しまして、この 予算を執行するために、この雇用保険法施行規則を改正をするという内容です。内容に つきまして説明をさせていただきたいと思います。  資料No.1-2です。今回ご審議をお願いいたします施行規則の改正のポイントです。そ れぞれの具体的な内容に応じて、1〜9の内容に分かれています。1番目が雇用失業情勢 の改善の動きが弱い地域への支援、2番目が若者対策、フリーター等の常用雇用化の推 進、3番目が高齢者対策、4番目が中小企業対策、5番目が有期契約労働者の処遇の改善、 6番目が職業能力開発の関係、7番目が両立支援の関係、8番目が中国残留邦人等に対す る支援、9番目として、その他助成金の廃止等ということになっています。   施行期日は4月1日を予定をしているものです。これが全体のポイントです。以下、 それぞれの見直しの内容につきまして、資料1-3で説明をさせていただきたいと思いま す。  資料1-3の1頁目です。雇用保険二事業で実施をしています各助成金の全体の整理表で す。19年、20年度、それぞれ助成金の項目が並んでいますが、この中で番号にマルが付 いている「内容の見直し」となっているものが、今回ご審議をお願いする、それぞれ助 成金の内容になっています。  なお、9と13、これは網掛けになっていますが、両立支援関係、キャリア形成促進関 係、職業能力開発関係のそれぞれ助成金です。これにつきましては、右のところに書い てありますように、それぞれ育児・介護雇用安定等助成金につきましては、3月26日に 均等分科会でご議論いただいております。また、キャリア形成促進助成金については、 25日に能開分科会でご議論をいただいております。それぞれ、おおむね妥当という結果 をいただいております。  2頁以下で具体的な内容について説明をさせていただきます。まず、2頁です。労働移 動支援助成金です。この労働移動支援助成金については、そのメニューが2つあります が、そのうち、再就職支援給付金について内容の見直しを行っています。これは20年度 予定のところの欄にありますように、この助成金の支給限度額について、1人当たりの 額を見直すという内容です。1人当たり30万→20万、中小企業につきましては40万→30 万と、額を引き下げていますが、これは実際の給付の額の平均を踏まえまして、こうし た見直しを行うという内容になっています。  3頁、定年引上げ等奨励金の見直し。高齢者雇用対策関係の助成金です。その中のメ ニューの1つとして、まず中小企業定年引上げ等奨励金です。これは19年度のところに ありますように、65歳以上への定年の引上げ、または定年の定めの廃止を行った中小企 業事業主に助成をするという内容になっています。この助成の対象につきまして、右の 20年度予定のところにありますように、70歳以上までの継続雇用制度の導入等を行った 事業主に対しても、新たに助成対象にするという内容の見直し・拡充です。これに併せ て、支給額の見直しも行うという内容です。  続きまして70歳定年引上げ等モデル企業奨励金。中小企業高年齢者雇用確保実現奨励 金、それぞれ新規となっています。これは新たなメニューを追加するという内容です。 まず、70歳定年引上げ等モデル企業助成金ですが、これについては、事業概要のところ にありますように、高年齢者の職域の拡大を図る計画を策定をいただきまして、それに 基づいて、特に65歳以降の高齢者の方の職域の開発を行う取組みをしていただく事業主 の方に対して、これはモデル的な取組みとして現在、予算では50件を予定していますが、 そうした事業主の方に対して助成を行うという内容です。  もう1点、中小企業高年齢者雇用確保実現奨励金です。こちらは、現行ご案内のとお り、高年齢者雇用安定法に基づく、65歳までの雇用確保措置については、規模が大きい 企業については、かなり雇用確保措置の普及が進んでいる。一方、中小企業につきまし ては、大企業に比べて、この普及状況が遅れているという状況を踏まえて、これは中小 企業を傘下に持っています事業主団体にお願いをいたしまして、ここにあるような形で 傘下の事業主に対して、高年齢者確保措置に基づく、さまざまな雇用環境の整備を行う 場合について、相談・援助等の事業をしていただく場合について、助成をするという内 容です。  また、併せましてもう1つのメニュー、雇用環境整備助成金というメニューがありま したが、これは実績等を踏まえまして19年度限りで廃止をするという内容になっていま す。  4頁、特定求職者雇用開発助成金です。特定求職者雇用開発助成金は、19年度のとこ ろにありますように、就職が困難な方を雇い入れた場合についての助成措置です。これ については19年度の対象者のところにあります、(4)の中国残留邦人等永住帰国者、この 方々につきまして、従前本邦に永住帰国した日から起算して5年を経過していないもの という条件になっていましたが、中国残留邦人の方の再就職が非常に厳しい状況を踏ま えまして、5年を10年に見直すという内容です。  5頁、自立就業支援助成金の見直しです。これはここにありますように、3本メニュー があります。このうち、上の2つ、高年齢者等共同就業機会創出助成金、受給資格者創 業支援助成金については継続ということです。3点目、子育て女性起業助成金、これに ついては実績を踏まえて19年度限りで廃止をするという内容です。  6頁、試行雇用奨励金の見直し、いわゆるトライアル雇用の奨励金についての見直し です。これもメニューが3点ありますが、それぞれ見直しがあります。まず1点目の試行 雇用奨励金につきましては、奨励金の対象者として、20頁にあります住居喪失不安定就 労者を新たに加えるという内容です。住居喪失不安定就労者、いわゆるネットカフェ難 民です。安定した住居がなくネットカフェ等で寝泊まりをして不安定な就労をしている 方の雇用が昨年来非常に大きな問題になっているという中で、こういった方をトライア ル雇用の対象に加えるという内容です。  2番目が試行雇用奨励金(技能継承分)、いわゆる技能継承トライアル雇用の部分で す。これについては、先ほど資料No.1-2のポイントのいちばん最初でご紹介しましたけ れども、雇用失業情勢の改善の動きが弱い地域への支援の強化という観点から、こうし た雇用失業情勢の改善の弱い地域において、この技能継承に係るトライアル雇用を実施 した中小企業者を新たに対象に加えまして、かつ、助成額としては月額6万円とすると いう内容です。  続きまして3点目の、若年者雇用促進特別奨励金です。これは19年度の事業概要のと ころにありますように、特に就職が困難な年長フリーターについて、トライアル雇用後 に常用雇用に移行した事業主の方に対して支給をするという内容ですが、これも上の技 能継承トライアルと同じく、雇用失業情勢の改善の動きが弱い地域において、常用雇用 に移行した事業主に対して助成額を、ここにありますような額に上乗せをするという内 容です。  資料7頁、地域雇用開発助成金の見直しです。これは1点目、2点目の雇用開発奨励金、 中核人材活用奨励金については、そのまま内容の変更はありません。3点目の沖縄若年 者雇用促進奨励金について、内容の見直しがあります。具体的にはまず現行のこの対象 者について、30歳未満の若年求職者を雇い入れた場合を対象にしていましたが、これは 年長フリーター問題等々に鑑みまして、35歳未満に対象を広げる。その一方で、これま では1人以上雇い入れていただいた事業主を対象としておりましたが、これを3人以上に 見直す。さらに支給額について賃金の3分の1を4分の1に見直すと、そうした内容です。  4点目としていちばん下にあります、地方再生中小企業創業助成金です。これは新た なメニューの追加ですが、これも雇用失業情勢の改善が弱い地域への対策ということで、 こうした地域において法人を設立する。そして、継続して労働者の方を雇い入れていた だくという中小企業の方に、その雇入れ規模に応じて創業経費の一定割合、あるいは雇 い入れた労働者1人当たり30万円という形で助成をするという内容です。  8頁、これは雇用均等分科会におきまして、すでにご議論をいただいている内容です が、育児・介護雇用安定等助成金について、従前、子育て期の柔軟な働き方支援コース ということで助成を行っていたものに対して、これを短時間勤務制度の促進に助成の対 象を特化する形での見直しの内容になっています。  9頁、人材確保等支援助成金の見直しです。まずいちばん最初のメニュー、中小企業 職業相談委託助成金です。これは実積等を踏まえて廃止をするという内容です。その次 の欄の中小企業人材能力発揮奨励金、これは新たなメニューとして追加するという内容 です。具体的には生産性向上が特に必要な中小企業者において、IT化等の設備投資を行 って、職場に新たに必要な人材を雇い入れた場合について、その設備投資に要する費用 の一部を助成するという内容です。  3点目として、中小企業基盤人材確保助成金について、助成対象の見直し、拡充を行 っています。具体的にここにありますように、これまで中小企業基盤人材確保助成金は、 新分野進出等に伴いまして、基盤人材を雇い入れた場合に助成をするという内容になっ ていましたが、これに加えて新たに生産性向上に資する人材を雇い入れた場合について も、助成対象に加えるという内容が1点です。  さらにもう1点、これも雇用失業情勢の改善が弱い地域への対策ということで、こう した地域においては、助成額について上乗せをするという内容です。以下、その下の2 つのメニューについては継続という内容です。  10頁に引き続き人材確保等支援助成金が続いていますが、10頁の2番目の欄です。中 小企業雇用安定化奨励金(新規)とありますように、これはメニューとして、新たなこ うした奨励金を追加をするという内容です。具体的にはここにありますように、中小企 業事業主の方が有期契約労働者から通常の労働者に転換する制度を、就業規則等により 新たに規定をして、かつ、実際に有期契約労働者から通常の労働者として転換をすると いう実績が出た場合について助成をする。さらに一定の人数以上、転換をさせた場合に ついても助成をするという内容です。  以下、建設教育訓練助成金、これは継続ですが、その下、4つの助成金のメニューが 並んでいます。これはすべて建設関係の助成金です。この助成金については雇用保険三 事業の見直しに伴いまして、19年度まで暫定雇用福祉事業という形で実施をしてきたも のですが、これについて20年度以降、雇用安定事業として実施をすることとしまして、 それに伴い内容の精査をするという内容になっています。したがいまして、ここにあり ますように、建設事業主団体向けの助成金、そして事業主向けの助成金の2つに再編を して、かつ、必要な見直しを行って廃止をする事業については廃止をするといったよう な内容です。  11頁、職業能力開発関係の助成金ですが、これも先ほど申しましたとおり、能開分科 会でご議論をいただいて、おおむね妥当ということで答申をいただいている内容ですが、 キャリア形成促進助成金について、制度の拡充等を行っています。具体的な内容を簡単 に申しますと、1つはこれも20年度から実施を予定しているジョブカード制度に基づく 有期実習型訓練を実施する事業主に対する助成を、新たに創設をするという内容が1点 です。  もう1点としては、成長力底上げ戦略等々に基づいて、一定の場合についての助成額 等涛を上乗せをするという内容です。以上が今回お諮りをいたします雇用保険法施行規 則の改正の内容です。私からの説明は以上です。 ○大橋分科会長 それでは本件につきまして、ご意見・ご質問等ありましたらお願いい たします。 ○川本委員 ただいま事務局からご説明いただきました、雇用保険二事業の助成金の見 直しにつきまして、1点確認させていただきたいと思います。雇用保険の二事業の財源 である保険料は、事業主のみが拠出をしておりまして、失業の予防とか、あるいは雇用 機会の増大のための助成措置などに使われているわけですが、したがいまして、この議 題につきましては、二事業を支えています事業主代表の委員の立場で発言をしておかな いとまずいかなと思っています。  1点ばかり確認をさせていただきます。3頁のところですが、右側の上から2つ目のと ころに、「70歳定年引上げ等モデル企業助成金」ということで、新規のものですが、こ れについて確認です。高齢者雇用については、皆さんご存じのとおり、60歳定年が基本 で、その上で改正高年齢者雇用安定法に基づいて、現在、各企業が2013年までを目途と して65歳までの雇用の確保にいま取り組んでいる最中ということです。  他方で意欲と能力があれば、また企業にもニーズがあれば、65歳を超えても働ける社 会の実現に向けて、先進的な取組みを進めていくことも重要であろうかと思っています。 このような取組みを促進するために、この雇用保険二事業による措置として今回、70歳 以上までの定年引上げ等を行う先進的な企業に対して、助成金が新設されたということ で、これは雇用機会の増大という、雇用保険二事業の目的に合致していると思っている ところなのですが、こういう理解でよろしいのでしょうか。 ○高齢・障害者雇用対策部長 おっしゃるとおりでありまして、企業のほうに法律上の 義務としてお願いしているのは65歳、60代前半の話です。ただ、今後の高齢化の進展で ありますとか、あるいは少子化に伴います人口の減少といった中で、やはり働く側の意 欲と能力も当然ありますし、企業側のどこまでできるかということもありますが、やは り可能な部分については、企業にもご努力をいただくことが必要なのだと。ただそれは 法律に基づきますというよりは、私どもとしては奨励する中で、いろいろな努力をして いただくことが必要だと。そういう一環として今回、モデル的な企業への奨励措置をお 願いしているということです。 ○川本委員 わかりました。 ○徳茂委員 いくつかございます。まず、いまの点ですが、3頁の定年引上げ等奨励金 の新設の部分です。二事業の助成金ということですので、財源として経営側が負担をし ているというのは、私ども承知しておりますが、雇用政策の一環として、その政策の影 響については全社会に及ぶものですし、私ども労働側にも大変大きな影響があるもので す。その目的や内容についての整合性が労使のコンセンサスはもとより、国民的なコン センサスに基づいて進めなければならないと思っております。  65歳以上の意欲や体力や気力が十分な方々が社会的に貢献していく、就労の場をもつ ことは、もちろん私ども大賛成ですが、現状のところでは65歳までの引上げについて経 過措置で、その後の雇用の在り方ですね。そのことについては、労働側としてはたびた び意見は申し上げてまいりましたが、問題をいくつか感じています。  まずは65歳までのところが完全に希望する労働者。気力、体力、その他は、条件はさ まざまでしょうけれども、希望する労働者がちゃんと働けるということが確実に確保で きるかということについては、まだまだ不十分な現状であると考えています。そもそも 60までですら大変な重労働の職場もたくさんありますから、そういうところが60まで、 そして65まで確実に働けるような職場にするということが、まだ完全には解決できてい ない。そのことには、もっともっと政策上の手厚い対処が必要であると考えております。  それから65歳以上の雇用の在り方について、70で区切るということについて、果たし てどうなのか。70というマークも最近決まったようですが、施策として打ち出して今回 のように奨励金も付けていくということが、どういう波及効果や意味合いをもっていて、 労働側がどのように納得できるのかについて、まだ労働側としては全く議論ができてい ませんので、このことについては基本方針のときにもそのように申し上げましたし、コ ンセンサスとしては本当に労働側としては全くないという状況でございます。  しかも、ここに相当たくさんのお金の配分がされていまして、そのことも併せて考え ますと、納得できないと考えているところです。かなり恣意的な印承を受けているとい うことです。それが1つ目です。  2つ目は全体についてなのですが、1から14まで今回マルの付いたところについてご説 明をいただきましたが、毎年毎年この時期にこういうことが議論されているわけですが、 19年度の実績及び評価が、19年度の末のこの3月の時点で出せというのは、ちょっと無 理だということは承知していますが、ある程度の時期で区切って、実績やその影響が評 価できる材料付きで出していただけないものか。大幅に金額が動く場合や廃止する場合 に、その根拠についてどういう給付実態になっていて、そのことが政策目的と合致して いるしていない。もう十分目的達成した。だから廃止なのかということの説明が、制度 をこうしたいというご説明はいま伺ったわけですが、そこのところの判断根拠について のご説明をいただかないと、いまいち私としては判断材料がないなという印承を持って おりますので、そのことについて、何か改善の方法はないかということについて伺いた いと思っています。以上です。 ○石井委員 いまの関連ですが、これの背景というのでしょうか、助成金を出すあるい はそういう政策を提案するということは、65歳以上も働くようにという奨励金的な要素 が強いのではないかなと。だから、将来不安なのは労働力人口が減るので、この階層も 広い意味での少子・高齢化のいまの日本経済において、もっと働ける人は労働人口とし てその範疇の中に入れるべきではないかと、そういうふうに何となく感じられるし。  もう1つは年金問題と絡んでいるのかなという感じもするのですが、将来、年金が破 産するということを考えると、年金支給を65ではなくて、もう少し上げていこうという ことに対しての布石かなというふうに取れなくもない。この助成金の本当の意味での目 的がどういうものにあるのかなということを聞きたいのです。 ○長谷川委員 徳茂委員もおっしゃったのですが、この間、70歳まで働く企業の普及促 進に関しては、何回か議論があったわけですが、いつどこで70歳と決めたのかというの が、私の記憶がおかしいのかわからないのですが、どこで決めたかがわからないのです ね。誰がいつどこで70歳まで働き続けようと決めたのかというのがはっきりしない。  最近言われているのは、85歳まで元気にとか、70歳まで働ける企業とかと言われてい るのですが、労使で現時点で確認しているのは、60〜65歳までについて、年金開始年齢 までの間の雇用について、きっちりしましょうねということで、雇用安定法があるのだ と思うのです。その雇用安定法の中で、では、本当に60歳以降の人たちが意欲をもって 働き続けたいと言っている人たちが、きっちりと雇用が保証されているかというと、そ うでもないわけです。  それといま経過措置の段階です。そのことについても何ら触れていなくて、やはり60 〜65歳までの雇用をどうするかという、そもそもの議論がなしに、いつのまにか降って 湧いたように70歳まで働けるようにというのが出てきている。その背景はいま使用者側 の石井委員も言われましたように、少子・高齢化だとか、将来の労働力人口が減少する 中で、高齢者も女性も若者もみんな働きましょうということだと思うのですね。  しかし、そうだとしても、徳茂さんも言ったように、誰も意欲と能力がある人は、ず っと働けばいいわけで、そのことを駄目だと言っているわけではないのですが、その雇 用政策を考えるときの射程距離をいまのところ65までおいているわけですが、なんで70 なのか。助成金を付けるということは70というのが何か目的があるから、70歳という切 り方をしたわけでしょうから、ここについては、いつ、どこで労使で議論をしたのかと いうのが定かではないわけですね。それなのに済し崩し的に何か、いつの間にか70歳ま で付けますよ。  あげくの果てに予算もいままで、これで見るように19年度は13億8,000万だったのに、 20年は55億5,000万。これは、私はずるずるって、何かいつの間にか日本国民は70歳まで 雇用を保証すると、使用者のほうが70歳まで雇用を保証しますよと、では65〜70まで雇 用を保証するので、二事業は先ほど言われたように使用者が負担しているわけですから、 全部、働く意欲のある人に対しては、我々が雇用を保証しますよというのだったらいい ですよ。でも、そういう議論って全然していないわけですよね。しかし、助成金だけが 一人歩きしちゃって、本当にこれでいいのかと。  65からどういう働き方をするかというのは、私はもう少し議論が必要だろうし、この 間の60〜65の働き方もどうなのか。65〜70までの働き方はどうなのかとか、70で区切る ことはいいことなのかどうなのかということについて、私は議論が必要だと思います。 この間、ずうっと70歳までのことは何回も労側が言ってきたわけですが、その都度、私 どもの意見は聞きっぱなしで、その間に、どこかで議論をしたかといったらそういうこ ともなかったわけです。  4月から新年度が始まりますので、こういう奨励金制度を作りますと言われて、本当 にできるのかなと。使用者としては本当に70歳まで雇用をきちんと確保できるのかどう なのか。そういう環境整備もできるのかどうなのかというのは、もう少し労使でしっか りと議論が必要なのではないかと私は思います。 ○大橋分科会長 ほかにございませんでしょうか。事務局のほうから。 ○高齢・障害者雇用対策部長 労使それぞれから、高齢者雇用の部分についてお話があ りました。先ほど申しましたが、高齢者の雇用を確保していくという目的にはいくつか のことがあるだろうと思います。前回の高齢者雇用安定法改正の際には、年金の支給開 始年齢が65歳に段階的に引き上げられていく。そういう状況の下においては、やはり雇 用と年金の接続ということは、年金が上がることを前提として雇用の在り方というのは やはり考なければいけないだろうということでご議論いただいた末に、年金の支給開始 年齢に合わせて、段階的に高齢者雇用確保措置をとっていきましょうと。ですから、こ こまではそういった意味での議論を踏まえたものであると認識しています。  そこから先の部分については、いま年金の引上げの関わり方というお話もあったわけ ですが、私どもそれは全く考えておりません。年金の議論としてということよりは、む しろ今後の労働力の状況その他を考えた中で、一方では高齢者の中で全員が働きたいわ けではないというのは、それはそれでたしかだろうと思いますが、一方では意欲もあり 能力のある方もいる中で、そういう方々の働く場はやはり確保していく必要がある。  長期的な日本の労働力の全体のトレンドの中でも、日本の社会経済の必要のためにも、 やはり働ける方には働いていただけるような環境を作っていくことが必要ではないか。 ただ、そこの部分については、企業の義務とかそういう形ではなくて、まだとっかかり の段階でありますし、それから、労働者の方々も働きたい働き方もいろいろなものがあ るだろうということを前提にしながら、摸索していく段階ではないか。そういう中で奨 励措置をとりながら、いろいろな企業に、それぞれの企業に適した形で、60代後半の方 々の雇用の在り方を探っていただく。そのために一定の奨励措置を二事業の中でお願い していくということかなと思っています。  これ「70歳まで」というネーミングの問題、前回もお話があったわけですが、70歳で 切るという趣旨ではなくて、助成金の要件にも書いてありますように、70歳以上という ことになっていますので、これは別に70歳で切ろうという発想があるわけではないとい うことです。  長谷川委員から、60代後半の雇用を企業が保証するのかどうかというお話もありまし たが、これはいま申したような状況の中で、保証をするとか保証しないという状況では まだないだろうし、そういうことにするのであれば、これは十分な議論が必要だろうと、 私どもも認識しているということです。  もう一方で、では60代前半の雇用のほうはどうかということですが、これは現在の改 正高齢者雇用安定法の施行が順次進んできているわけですが、これは委員の皆様方ご承 知のように、現在は労使協定ないし就業規則で、一定の基準を設けることができるとい うことになっているわけです。そういう中で、特に大企業につきましては、就業規則で 定めることができる経過措置の期間が、来年度いっぱいで切れるわけですが、こういう 状況等を踏まえながら、これは、その時期までに再検討するということにもなっている わけですので、そういう中で60代前半の現在の高齢者雇用確保措置の状況を踏まえた議 論、これはまた分科会長ともご相談したいと思っていますが、来年度、切れるまでの間 の検討の中でまたご議論をいただければと思っております。来年度までにお願いしたい と思っています。 ○長谷川委員 いま高齢者雇用安定法の話をしましたが、60→65のときも大議論だった わけです。大議論で私は法律には少し問題があると思っているのですが、経過措置とし て大企業3年、中小企業5年の経過措置がとられていて、いま現在、経過措置の最中なわ けですよね。経過措置の最中であるにもかかわらず、70歳が早々と登場してきている。 かつ、継続雇用をする場合に、その判断基準をつくると、判断基準は労使協議をやるわ けですが、労使協議が決裂したときは就業規則でできるとなっているわけです。  65まで完全に希望する人たちの雇用が保証されていないような現状を、こっちのほう に追いやって、そして70までなんていうのは虫が良すぎると思うのですね。だったらば、 就業規則で基準が作られるだとか、3年とか5年とかという経過措置を全部取り払って、 65歳までの3つの方法、定年延長をするか、継続雇用にするか、それとも定年制を廃止す るか、それは、それぞれの企業で選んでもらって、そして、いまのもっている3年か5年 の経過措置、それから就業規則でできるだとかというのを全部なくせば、その後、では 70までというのはありますが、そういう経過措置を置きながら、一方で70というのは、 何か変な感じがするのです。  そういう意味では、もう1つは労働者というのは国民の中に本当に70までという雇用 を、どういう形で保証してほしいのかとか、70まで働ける職場環境をどうしてほしいの かという議論は、私は不足していると思うのです。私どものところでも55→60にすると きには、やはりみんな定年延長をしようという動きだったので、定年延長になった。で も60→65のときは定年延長1本ではなかったわけです。だから定年延長もあるし継続雇 用もあるし、それから定年をなくすという方法も、だから3つ作ったわけです。実際は 継続雇用をとっているところが多いわけです。  そうすると国民の中にも、労働者の中にも60以降の働き方については、いろいろ議論 があるわけですから、その働き方の議論は労働者の人生設計にかかわることだから、も う少しきっちりと議論をしてほしいのです。現在70歳ですごく元気な方がいらっしゃっ て、そういう意味では70歳というか結構、働きたいという人はたくさんいると思うので すが、でも、働きたいということと、職場の中でどういうふうに働くかということと、 処遇をどうするかということは、非常に重要な関係にあることで、こういうことをしっ かりと議論しないまま、何か70まで働きましょう、働きましょうというのは、私は少し 問題があるし、労働者もなかなか自分の人生設計が作れないのではないかと思うのです。  もう1つは石井委員からもありましたが、みんなやはり68歳とか70歳の年金開始年齢 を気にしているわけです。またこんなことをやれば、70歳年金開始年齢って延ばされる のではないか。これみんな思っているわけですよね。そういうことに対して、この70歳 が出れば出るほど、みんなが年金を延ばされるのではないかと、この不安と疑問が現時 点では払拭されていないと私は思うのです。 ○石井委員 先ほど労働力確保という観点で、国策的に少子・高齢化では、そうしよう ではないかというような話だったのですが、もしそうであれば、民を入れたらいいので はないかと思うのです。  もう1つは、やはり少子・高齢化になるということはわかっていたのですから、何で 10年先にもう少しそういう対策、いまこういうお金を使うのではなくて、どうして昔に いろいろな対策をとらなかったのか、これは非常に疑問ですよね。未だ以てまだ、大し た対策が打ってない。これはやはりおかしいなと思います。以上2点、運用を入れるべ きかというのと、少しこういう時代に備えて、人口問題対策を早めに作ってほしいとい うのが意見です。 ○岩村委員 1つ確認させていただきたいのですが、今回の定年引き上げ等奨励金の見 直しに関しての内容についてですが、中小企業定年引上げ等奨励金のところで、資料No. 1-3の3頁ですと、見直しの内容として、70歳以上までの継続雇用制度の導入等を行った 事業主に対して、新たに助成ということなので。それから要綱のほうも拝見すると「新 たに助成」ということなので、これは65歳以上への定年の引上げ等という、従前のもの を残してということなのか、それとも70歳以上に切り替えてしまうということなのか。 私の読み方は65歳以上の定年引上げ等という従前のは残るのだろうという理解ですが、 それでよろしいのでしょうか。 ○高齢者雇用対策課長 お答えします。いま委員のおっしゃるとおり、従前の65歳は残 る。 ○岩村委員 残るのですね。 ○高齢者雇用対策課長 はい。 ○岩村委員 そうしますと、おそらく厚生労働省のスタンスとしては、前回の高齢者雇 用安定法で決まった、65歳までの継続雇用の延長というのは、まずきちんとやるのだと、 それは変わっていないと。あと、将来を少し見越して奨励措置として70歳というのも考 えていきましょうということで、来年度からこの新しい70歳以上までという助成金を導 入する。さらにモデル事業もやってみて、どういう形でできるかということを政策的に も厚生労働省としても検討しましょうと、そういうスタンスであるという理解でよろし いのでしょうか。 ○高齢者雇用対策課長 おっしゃるとおりでございます。今回の継続雇用制度を70歳ま で入れているのは、先ほど長谷川委員からもお話がありましたように、希望者全員の制 度を入れた場合に助成対象にしましょうと、こういうようにしていますので、そういっ た意味で、そういった内容についても拡充を図るという中で、継続して雇用ができるよ うな助成の制度を今回は入れているということです。 ○岩村委員 そうすると65歳までの継続雇用を、いま経過期間中でもあるので、とにか くしっかりやっていくという、そのこと自体については厚生労働省としては何も方針の 変更はないと、そういうことですね。 ○高齢者雇用対策課長 はい。 ○岩村委員 先ほとも石井委員からご発言があったように移民ということですが、それ はそれとして大問題で、この場で議論をするのも難しいかなという気がしますが、移民 を入れるということになると、かなり大きな議論になるでしょうねということがコメン トとしては1点です。  それから少子化について、確かに10年前にやっていればということがあるのかもしれ ませんが、しかし、私の理解では、やはりかなり早く前から実際には進めてきた。しか しながら、現実には、なかなかそれが動いていかないというのが、この10年間の流れだ ったのではないかと理解しております。以上です。 ○大橋分科会長 ご意見ございませんでしょうか。この70歳定年引上げ等モデル企業助 成金の中身を見ますと、定年引上げに伴って、具体的に高齢者の方が職場でどういうふ うに働くことができるのかという、職場の改善とかいったことについて、かなり配慮す るようなことが書かれていますので、70歳という年齢がどうというのが、ちょっと恣意 的ではないかというのは、確かに恣意的かもしれませんが、この趣旨のようなことにつ きましては、これ見直しの案を読むかぎり、賛同できるのではないかと思います。  確かに70歳どうのこうのという議論は、まだ十分労使で議論されていないので、別途 そういった機会を設けることは、大変重要かと思います。ただ、この見直しの案そのも のは、高齢者の方が働くために、企業はどうやっていったらいいのかということに対す る助成ですので、賛同していただけるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○徳茂委員 座長のせっかくのご発言でありますが、もう既に70歳という数字を出して 政策の中に落としていくということについて、時期尚早ではないかと、かねてから申し 上げ、また今日もそのように意見を申し上げているわけです。しかも55億という高額の お金の執行が先に始まる、また別の機会で議論をというふうに言われますが、なぜその 順序が逆なのかということについて、本来であれば議論をした上で合意形成をしてお金 の執行になると、そのために今日のような場が設けられていると思います。その点につ いては、ちょっといかがかなという気がいたします。 ○岩村委員 確に今回の平成20年度で55億というお金になっていますが、先ほど私もお 尋ねしたのはその趣旨で、要するに70歳以上のところが入っているけれども、先ほど確 認したように、要するにこれは希望をする全員が70歳以上という、かなり厳しい要件が かかっているので、趣旨はここを膨らませるということではなく、私の理解では65歳と いうところを膨らませていくということではないか。そういう意味で先ほどの厚生労働 省の基本的な考え方は、65歳までのところをちゃんとやるのですねとお尋ねしたつもり なのですが。 ○企画課長 いま岩村委員からお話がありましたが、資料No.1-3の3頁をご覧いただきま すと、55.5億の内訳がございますが、いわゆるモデル企業の奨励の部分については1億 2,500万です。その大半は中小企業定年引上け等奨励金ですが、これは従来定年の引上 げなり廃止を行う企業に対して助成を行うということで創設されたものですが、今回、 額が増えていますのは、まさに希望者全員の継続雇用を行う場合であるとか、既に65を 超えて定年を定めている事業主が、定年の引上げ・廃止又は希望者全員の継続雇用制度 を重ねて導入される場合を助成対象に追加したためです。まさに雇用確保措置の中身を 徹底させるという趣旨での助成金の拡充が大半を占めるわけで、基本的に特に70歳に力 を注ぐという構成にはなってはいないかと思います。  70という年齢が具体的な話として出ているのですが、少なくともこれまでも能力と意 欲のある方に関して年齢にかかわらず働き続けられる環境整備をしようということにつ いては、労使を含めて合意が出来上がっているところかと思います。その具体的な1つ の目安、1つの例として70歳ということが出ていることは前回の基本方針の改正のとき にもご議論があったかと思いますが、そういうことでやっているということであります。  また、先月末、雇用政策の基本方針がまとめられ告示されましたが、その取りまとめ の議論の中でも、やはり意欲と能力のある方について、年齢にかかわりなく働けるとい う方向性については、議論いただいて合意ができ、そこでも例示として70という年齢が 挙がっております。  さらには、直接この労政審の場とは異なりますが、仕事と生活の調和について労使の 代表も入られてご議論をいただいた際には、その推進を図っていくための目安の一つと して、年齢別の就業率が示されており、そこでは65〜69歳までがいちばん上の層の指標 になっていたと思います。そういう意味で、やはり、法律で義務づけた年齢をさらに広 げていこうというときの、1つの目安として、皆さん方の意識の中でそういう議論がさ れてきているということは、これまでもあったかと思っております。  ですから、今後、議論の場をまた作っていかなければいけないということは確かだと 思いますが、この助成金の件については趣旨を汲み取っていただいて、お認めいただけ ればと思っております。 ○長谷川委員 認識の違いが少しあると思ったのですが、この雇用基本政策のときもそ うですし、ワークライフバランスの議論でもそうですが、労側は70歳まで働ける会社と か、70歳まで働けるという年齢に関しては、1回も一言も発言していませんよ。意欲と 能力のある人が高齢者になっても、いきいきと働けるということについては了解してい ますが、70という線引はしていませんよ。  ただ、ある意味では、事務局がいろいろな文書を作ってきて、結果的にああいうふう になった話で、70歳まで働けるという、雇用の場における70歳までの雇用をどうするの かというのは、こういう審議会の中でもきっちりとした議論をした経過は私はないと思 っています。それは何でかというと、現在の高齢者雇用安定法は、60〜65歳までについ て3つの方法から、それぞれの企業が選ぶ。それで、特に継続雇用の場合については、 その判断基準を労使で決めると。だから希望する者全員という原則はあるけれども、全 員ではないのでしょう。その判断基準を決めて、その判断基準が労使合意に至らなかっ たときは、就業規則で使用者が一方的に決めるという基準になっているのですよ。ここ は大きな問題だというふうに指摘されていたわけです。  したがってその問題をどう整理するのかということと、3年と5年の経過措置について もどうするのかという、60〜65までの間の高齢者の雇用問題が、ある意味では政策評価 とどういうふうになっているかという分析もないままに、何かわからないうちに70まで っていうのでいいのですかと言っているのです。だから、誰も働くことを、そういうふ うな会社をつくることに対して、どうかこうかと言っているのではないですよ。いまま での高齢者雇用については55→60、60→65という経過があったのですが、65→70につい てはどうするのかというきちんとした議論はしていませんよ。そこは認識をきっちり統 一してください。 ○企画課長 ですから、ここでは65→70を議論しているということではなくて、年齢に 関わりなく働ける働き方の1つの例が、例えば70とか、60代後半までという働き方だと いうことで、奨励する例もあってもいいのではないか、ということを申し上げているわ けです。法律で義務づけております65までの確保措置をどのように徹底させていくかと いう話と、それは並行して議論できる話だと思います。いずれにしても、今後継続雇用 に関する経過措置についても、少なくとも大企業については、20年度で終期を迎えるこ とが書かれていますから、その見直しについて、機会を設け議論していただくことにな ると思います。その中で、今ご指摘のあったようなことも、さらに議論をしていただく ということではないかと思っております。 ○長谷川委員 もう1つ、しつこいようですけど、55→60、60→65というのは、全部年金 とリンクしている話なのですね。だから70と言われたときも、ほとんどの人たちは、私 のところで会議を開いたときに年金開始年齢70を、厚生労働省は今回は旧労働省が雇用 の機関で70という、年金開始年齢を射程距離に置いて出してきたのではないかと、この 疑問に対して全然私たちには反論できないのですよ。いままでの例がやはり60、65とな ったときに、また5年で70といったときに、どうもこれは年金を70にやるための布石で はないかというふうに、ほとんどの構成組織から言われています。それに対して、それ は違うって私たちは言ったとしても、誰も本当だと思っている人はいないということも 事実なのですよ。最後まで違うと言えますか。70という年金開始年齢は絶対ないと言え ますか。 ○企画課長 年金制度そのものについては、例えばいま社会保障国民会議が設置されて 議論が始まっていますが、まさにどういう制度を作っていくかということは、それは年 金だけではなくて、医療とか介護とかいうものも含めて、そこには当然働き方も影響は すると思いますが、大きな枠組みの中で議論がされていくということだと思います。で すから、全く関係がないという話ではないと思いますが、少なくとも、今ここでは年齢 に関わりなく働ける環境整備をしようということをは、直接年金制度の改正と結び付け て議論しようとしているわけではないということは、ご理解いただきたいと思います。 ○職業安定局長 いまのご意見ありましたけれども、確かに長谷川委員が言われるよう に、16年改正のときに、65歳までの継続措置をやるという点は、私たまたま担当部長で あったのでよく記憶していますが、労働側だけでなく使用者側も含めて大議論がありま した。労側については、確かに労使協定で決めるとか就業規則で決めるという点につい てはご不満があり、あるいは使用者側についても、やはり65歳というのは、なかなか厳 しいのではないのかねという議論があり、そういう中で大議論をした上で、労使コンセ ンサスをいただいて、いまの制度が成り立っています。そういう中で法律が施行され、 実際65歳までの措置を設ける企業が93%まできました。その中で就業率も男性について は3年で5%ぐらい60歳前半層が上がってきている。失業率も下がってきている。法律の 効果だけではありませんが、経済、雇用情勢の変化の中で、そういう経過をたどってき ているわけです。  ですから、いまの制度が完全かというと、それは、それぞれの立場がありますので、 いろいろなご意見はありますが、私どもとしては、いま法律で定められた65歳までの措 置を着実に推進してまいりたいと思っておりますし、そのための予算措置あるいは助成 金等も整備して、労使のご協力をいただきながら、しっかりと進めていきたいと思って います。その上で、さらに全体の枠組みをどうするかというのは、また別途これからの 課題として、十分にご議論をいただきたいと思っています。そういう65歳までの法的な 枠組みがあった上で、その先をどうするかという議論は、まさにこれからもっともっと 議論をしなければいけない課題があると思います。  ただ、65歳を超えた方がラフに言うと2,500万人ぐらいいる。その中で大体500万人ぐ らいが働いておられる。どちらかというと雇用よりも自営業とか農業が多いわけですが、 かなり雇用形態で働いている方もおられる。企業の中でも積極的に取り組んでいる方が いるということで、これは決して強制労働という形ではなくて、働くほうも是非働きた いと。一方で使用者側もできるかぎり高齢者を活用する仕組みを作っていきたいと、そ ういう、いわばモデルケースみたいなものとして、助成金を活用して、そういう枠組み を広げていきたいということです。  したがいまして、65歳の枠組みを今後どうするか、あるいは65歳を超えてどうするか ということは、また別途、労使を含めて十分なご議論をいただきたいと思いますが、こ の助成金はそういう意味でのモデルケースを作っていく、いろいろなケースを積み上げ ていく1つとして、是非ご理解をいただきたいということでございます。 ○大橋分科会長 そうですね、いちばん大事なのはもちろん労使で話し合うということ もですが、労働者の方が何を望んでおられるかということが、やはりいちばん大事だと 思うのですね。こうした施行規則の改正が、そういった意欲と能力のある高齢者の方の、 いつまでも働きたいという意向と矛盾するとは私は思えないのですね。そういう点で、 確かに70歳というのは1つの数字として出てきていますが、ただ、内容はそういった働 きやすい環境をどうやって作っていくかということが趣旨でございますので、70歳等と の具体的な数字につきましては、今後、機会を設けまして討議することとしまして。今 回出されましたこの案については、ご賛同をいただきたいと思うのですが、いかがでし ょうか。 ○長谷川委員 納得しているわけではありませんけれども、やはり60〜65歳までの高齢 者の雇用なり、高齢者の最近のアンケートの中で、処遇に対する不満などもあると私ど もも承知しています。先生がおっしゃられましたように、私たちも労使の関係でこれを 話しているのではなくて、高齢者の人たちがどういう働き方を望んでいるのか、どうい う処遇を望んでいるのかということについても、調査も不十分ですので、そういうこと に関して、これ以降議論をしていくことであれば、私どもも調査をやったりとかいうこ とはしていきたい。いろいろなところのシンクタンクの調査でも、処遇についての不満 などもずいぶんあるみたいですから引き続きですね。それと3年、5年の経過措置をどう するかも含めて、就業規則の問題を含めて、全体的にご議論をしていただければと思い ます。 ○大橋分科会長 わかりました。調査などをやりまして「何歳まで働きたいのですか」 というと、大体切りのいいところで70歳とか、65歳というように答える人が非常に多い ので、その程度の数字だというふうに私は理解をしているのです。それではお認めいた だけたということで事務局から報告文の(案)をお配りいただきたいと存じます。   ○宮本委員 ちょっと違うテーマですが、6頁の試行雇用奨励金のいちばん上ですね。 これについて意見を申し上げさせていただきたいのです。(1)〜(4)という従来のところに、 さらに今度、住居喪失不安定就労者の安定的な雇用機会をということで、増額になって いて、これ計算すると7,100万円増額になっております。先ほどのご説明で、いわゆる ネットカフェ難民等に関して、トライアル雇用を適用するということなのですが、質問 の第1点はこのネットカフェ難民に関しては、当然これ以外の他の施策もあるのかと思 いますが、そういうものの中の一部として、これを考えなければいけないと思いますが、 それがどうだろうかということが第1点です。   それに関わって意見ですが、住む家がなくて、しかも不安定の低賃金の日雇いの仕事 をしている人にとって、トライアル雇用という形で使用者側にこういう助成金を出すと いうことが、どのような効果があるのかということは、かなり疑わしいように思われま す。しかもこれ3カ月間ですよね。最大3カ月間。つまり、住む家のない不安定な人を3 カ月トライアル雇用をする場合に、その3カ月間の彼らの住む家はどうするのか。  もし、トライアル雇用期間の賃金で住まいまでやれということになれば、彼らはネッ トカフェから事業所に通うことに当然なると思われます。しかも3カ月が終わったとこ ろでトライアル雇用から安定した雇用へと移行して、家賃が払えるような状態になるか どうかですが、ほとんどそういうことは考えにくい状態かと思います。つまり、この人 たちにとっての最大の問題は、住む家なのだと思います。そういう点でいうと、雇用者 に対してこういう助成金を与えるのではなく、ネットカフェの問題に関しては、もっと 別の方法のほうが効果があって、7,100万円は無効になってしまう可能性があるのでは ないかということです。  そうでなくても若い不安定な人たちが、どうして家を失わないかといったら、親の家 にいるからでして、もし、これが親の家がなければ、相当の人がネットカフェ難民に近 い状態になるような賃金でやっているわけですから、この考え方というのは、かなりア バウト過ぎるのではないかと思います。 ○就労支援室長 ネットカフェ難民の関係ですが、まずこの7,100万円の話がございまし たが、これは住居喪失不安定就労者、つまり、ネットカフェ難民の分だけで7,100万円の 増額ではなくて、全体的な見直しをする中でこの増額になっています。ちなみに住居喪 失不安定就労者分だけ取り出しますと、680万円、それほど大きな額ではないというこ とです。まずそれを前提で申し上げます。  それから、ネットカフェ難民の対策全体の中で、どういうふうに位置づけられるかと いう話ですが、基本的にはハローワークとNPOの共同で施策を進めるということです。 ハローワークでは職業相談をする、NPOでは生活支援をする、そこの連携で住居を確保 しながら、より安定的な雇用を確保するという方策を、見い出していきたいと思ってお ります。それを基本とした上で、その上に試行雇用の奨励金ですとか、ほかに技能構習 だとか、公共職業訓練だとか、その上に乗ってくるというふうな位置づけになっていま す。  それからトライアル雇用の効果ですが、ただちに常用雇用に結びついて、しかも雇用 の確保ができて、住む家も確保できるかということについては、直接的にトライアル雇 用をやったからといって、すぐにはならないというふうに思います。いま申し上げたよ うなNPOとハローワークの連携による相談の中で、それが結果として実現できるのでは ないかなと。1つには3カ月間の雇用の中で、例えば寮付きの雇用を斡旋をして、そこの 企業で寮付きでとりあえず、3カ月間雇用していただいて、それで、この方がなかなか 働けると見込まれるのであれば、それを常用雇用に転換していただくということもある でしょう。  それから、住む家については、東京都で住宅確保についての支援策を講じるというこ とにしていますので、そこのところは東京都と私どもの連携によって施策を展開してい きたいと考えています。そうしますと、東京都以外はどうするのだという話がすぐに出 てくるのですが、それ以外の自治体についても国から働きかけて、同様の措置をとれな いかということで、いま働きかけていくことを考えている状況です。 ○審議官 宮本委員のご心配は、そもそも家も何もなくて、住む所もなくて、労働政策 だけで十分な効果があるかというご趣旨だと思うのですが、全く同じ問題意識を共有し ています。私どもは当然、労働政策、職業安定の立場からやれることは限度があります。 したがいまして、家の確保についても、例えば低利の住宅は福祉のほうでありますので、 そういうものを活用できないか。自治体に対しても何か対応はできないか、いろいろ検 討をしてきています。  いま説明しましたように、東京はそれに対して福祉サイドですが、融資制度をつくっ ていただいて、それに乗れば何とか住宅の確保はできる。ただ、私どもができることと しては相談をする過程の中で、保証人の付け方みたいなものを相談しながら、相談で自 分で何とかお金が確保できそうな人については、そういう努力をしてもらいながら住宅 を確保し、そこで私たちの政策に乗ってもらう。  ここで正面から言えないところですが、例えばホームレスのいろいろな対策がござい ますが、ホームレスについては自立支援のための施設があります。これはホームレスの ための施策ですので、直接このための施策ではありません。例えばトライアル雇用の対 象になるようなケースについては、空きがあればそういった所も活用しながら対応する 方向で担当のところとは話をしています。そういった意味では、住宅の確保については 安定行政としてできることは一通り全部やり、またお願いをしながら現在の対策になっ ているというようにご理解いただければよろしいと思います。 ○宮本委員 わかりました。これだけで、単独でいくのかなと思いましたので。 ○審議官 最後は生活保護という手法がございます。これはいろいろ要件がありますの で、難かしい点がありますが、本当に生活ができない場合には、こういう制度によりな がら、とりあえず住宅を確保して働いてもらうということもあり得る。 ○岩村委員 いまのネットカフェ難民ですが、先ほどのご説明で、NPOとの共同という ことだったので、それならばと思ったのです。たぶんこういう方々がハローワークと接 触をもつということ自体があまり想定できないような気がするので、その辺については 十分NPOとの共同その他、そういうところへのアクセスが、ネットカフェ難民と言われ るような人たちがそういうアクセスを持ち得るような環境整備というのも、是非よろし くお願いしたいと思います。 ○大橋分科会長 その他ございませんか。それでは、この議題につきましては当分科会 として、厚生労働省案をおおむね妥当と認め、その旨、私から労働政策審議会長にご報 告申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。それでは案の配付をお願いい たします。  お手元の案のとおりですが、これでよろしいでしょうか。                 (異議なし) ○大橋分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきま す。  次の議題は、高年齢者等職業安定対策基本方針の一部を改正する告示案についてです。 事務局から説明をお願いいたします。 ○企画課長 お手元の資料のNo.2-1と2-2で説明をさせていただきます。高年齢者等職業 安定対策基本方針の改正についてお諮りをしたいと思います。資料No.2-1の裏面です。 高年齢者等職業安定対策基本方針については、平成17年の4月に策定いたしましたが、今 回、2点改正を行いたいと考えております。  改正の1点目は、高年齢者等の雇用支援については、独立行政法人の高齢・障害者雇用 支援機構がその一翼を担っておりますが、19年度をもちまして、同機構の中期目標期間 が終了することから新たな中期目標を策定するに当たりまして、同機構の業務の見直し を行う中で、同機構が行っておりました再就職支援コンサルタントによる相談援助業務 を廃止することとし、再就職支援については、今後は事業主団体等が関係機関と連携す る中で行うこととしました。こうした機構の業務の見直しを踏まえまして所要の改正を 行うこととしたのが改正点の1点めです。  もう1点は、昨年10月から施行されておりますが、改正雇用対策法の中で、採用・募 集についての、年齢制限の禁止規定が設けられました。それについて年齢制限の部分に 関する記述について、所要の規定整備を今回行っています。  資料No.2-2に新旧の対照表を付けておりますが、その中ほど、3番の再就職の援助等に 関する指針の欄のところの修正が第1点目の修正で、その上下の部分の修正が雇用対策 法において募集・採用に係る年齢制限の禁止規定が設けられたことに伴います第2点目 の修正です。以上です。 ○大橋分科会長 ご意見・ご質問があればお願いいたします。よろしいでしょうか。ご 意見・ご質問がございませんようですので、特にないようでしたら当分科会としては、 厚生労働省案を妥当と認め、その旨、私から労働政策審議会長にご報告申し上げたいと 思いますが、よろしいでしょうか。                 (異議なし) ○大橋分科会長 ありがとうございました。それでは事務局から報告の案をお配りいた だきます。  お手元の案のとおりですが、これでよろしいでしょうか。                 (異議なし) ○大橋分科会長 それではそのように報告させていただきます。ほかにご意見ございま すか。特にないようでしたら、本日の分科会はこれで終了します。 (署名委員指名)  どうもありがとうございました。                        (照会窓口)                         厚生労働省職業安定局総務課総務係                          TEL:03-5253-1111(内線 5711)