08/03/25 第39回議事録(労働政策審議会職業能力開発分科会) 第39回 労働政策審議会職業能力開発分科会 日時 平成20年3月25日(火) 10:00〜 場所 厚生労働省18階専用第22会議室 ○今野分科会長 時間になりましたので、第39回労働政策審議会職業能力開発分科会を開 催いたします。本日は、江上委員、黒澤委員、佐藤委員、西原委員、大野委員、草浦委員がご 欠席です。まず、事務局を代表して、新島局長からご挨拶をお願いします。 ○新島局長 おはようございます。年度末の非常にお忙しい中お集まりいただきまして、誠にあ りがとうございます。本日の分科会は、議事次第にございますように、2つの諮問事項、それか ら5つの報告事項がございます。  まず諮問事項の関係ですが、1点目は、職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省 令案で、これは電気・電子分野の訓練基準の見直し、あるいは指導員訓練の訓練科の再編等 を行うというものでございます。  2つ目は、雇用保険法の施行規則等の一部を改正する省令案でございます。事業主が実施 をします訓練経費を助成するキャリア形成促進助成金ですが、この助成率を引き上げるという ものでございます。  それから、報告案件ですが、いくつかございます。平成20年度、新年度の能力開発局の重点 施策と予算案が1点で、主にジョブ・カードについてのご報告を申し上げたいと思っております。  このジョブ・カードは、平成20年度の職業能力開発行政の最重点施策ということで位置づけ、 すでに先行ということで、キヤノンあるいは松下電機で取組が開始されておりまして、この点は 一部報道もされています。いよいよ4月から本格実施ということでございます。  このジョブ・カード制度は、これまで分科会におきましても、先生方からいろいろご意見をいた だいており、検討中の内容について、すでにご報告はしておりますが、本日は、昨年の12月に 取りまとめられましたジョブ・カード構想委員会の最終報告の内容を踏まえて、ご報告させてい ただきたいというふうに思っております。  それから、独立行政法人の改革の関係でございます。独立行政法人雇用・能力開発機構に つきましては、昨年の12月に閣議決定されております独立行政法人の整理合理化計画で、法 人自体の存廃について、1年を目途に検討を行うということになっております。このことを踏まえ、 現在検討会を開催しておりまして、その経緯等についてご報告させていただきたいというふうに 思っております。  資料をたくさん用意してございますけれども、いま人口が減少する中で、特に自然減の状態 に入ったということで、これから一人ひとりの能力を高めることが、経済社会の維持につながる ということでございまして、我々、新年度もジョブ・カード制度をはじめとして職業能力開発行政 を積極的に推進してまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○今野分科会長 議事に入ります。最初の議題は「職業能力開発促進法施行規則の一部を 改正する省令案要綱について」で、諮問案件です。これについて事務局から説明をお願いしま す。 ○水野能力開発課長 ただいまお話のありました、職業能力開発促進法施行規則の一部を改 正する省令案要綱につきまして、ご説明いたします。資料1-1に省令案要綱を2つ付けていま すが、これだけですとわかりづらいと思いますので、そのあとに資料1-2としてポンチ絵を付け ていますので、そちらでご説明いたします。  その資料の上のほうに青い枠がありますが、そこにあるように、公共職業能力開発施設で実 施する職業訓練については、能開法第19条に基づいて、施行規則の第10条から第15条に おきまして、訓練課程ごとに、訓練の対象者、教科、訓練時間、訓練期間といったものについて、 基準が定められています。また、同じく能開法の第28条に基づいて、施行規則の36条の6に おきまして、職業訓練の指導員を養成する長期課程の訓練基準が定められています。  これらの基準につきましては、さらにその下の大きな枠の中のいちばん左側にありますように、 それぞれ「規則別表」という形で、訓練科ごとに標準的な訓練内容等が規定されています。これ らの規則別表につきましては、右向きの薄茶色の大きな矢印がありますが、そこにありますよう に、内容の一部に近年の技術や産業動向等との乖離が見られるということで、見直しの必要 性が生じたということです。  このため、「見直しの必要」と書いてある水色の枠の中に3点ありますが、まず1点目として、 「普通職業訓練の普通課程」、これは中卒2年高卒1年の訓練を行う課程ですが、その普通課 程の普通職業訓練の電気・電子分野です。それから2点目として「高度職業訓練の専門課程」、 これは高卒を対象に2年間の訓練を行う、先ほどの普通課程の高卒は1年の訓練ですが、こ ちらはより高度な訓練をやるということで、高卒を対象に2年の訓練を行うものですが、その高 度職業訓練の専門課程の電子・情報通信分野です。さらに、3点目として、先ほど申し上げた 職業訓練の「指導員訓練の長期課程」の3点について、見直しを行うことにしました。  今回の見直しを行うに当たりましては、関連の分野や職業訓練の専門家の方々にお集まりい ただきまして、専門調査委員会を開催しました。そこで必要な検討を行って、今回の省令改正 を行うことにしました。  見直しの中身について、もう少し具体的にご説明させていただきます。次の頁にありますよう に、1点目の普通職業訓練の普通課程は、(1)電気・電子分野の訓練科について、教えるべき 教科や訓練時間数の配分等について見直しを行ったわけです。より具体的には、技術の進歩 に伴い、訓練時間数を減らしたケースがあります。例えば製図等につきましては、最近はCAD でやるようになっていますので、その分訓練時間を減らしたケースです。そういった見直しを、 「改正した訓練科」というところにありますように、製造設備科をはじめとする、全部で9つの訓 練科について見直しを行っています。  それから、2点目としては、高度職業訓練の専門課程については、最近、電子分野と情報分 野の両方を知っている人材に対するニーズが強くなっていますので、そういった人材ニーズの 変化を踏まえまして、電子情報制御システム系の電子情報技術科という訓練科を新たに設け たいということです。  さらに、3点目の見直しは、指導員訓練の長期課程については、より幅広い分野の知識や技 術、技能を求められているという、ものづくり分野の訓練ニーズに対応するために、現在7科あ る訓練科を4科に再編するとともに、取得できる指導員免許の職種を拡大するために、選択科 目制を導入するとしたところです。  また、これと併せて資料のいちばん下にあるように、長期課程の各訓練科ごとに取得できる 免許の職種を整理した、能開法の施行規則第38条というものがあるのですが、その施行規則 の第38条についても、改正させていただくこととしました。  最後にそれぞれの見直しの施行日ですが、1点目の見直しは今年の4月1日からです。2点 目、3点目は、募集の対象となる高校等に一定の周知期間が必要となるので、来年4月1日か らの施行となっています。以上です。 ○今野分科会長 ご質問、ご意見はありますか。 ○水町委員 中身についてはあまりよくわかりませんが、見直しを決めたのがいつぐらいで、見 直しの中で、別表の第2、第6、第8を見直そうと決めたのがどのぐらいで、専門調査委員会を 設置して検討する期間のタイムスパンがどのくらいあって、今回改正して施行が平成20年4月 1日と、平成21年4月1日のタイムスパンと、今後さらにこの表を改正するとか、他の表を見直 す場合には、いつどこで始まって、改正が行われるまでにどれぐらいかかるかを教えてくださ い。 ○水野能力開発課長 実は、別表が制定されてから10年以上経っていまして、先ほど申しまし たように内容の一部が近年の技術の進歩といったこととの乖離が生じているということで、各都 道府県からも見直しの要望が出ていました。  このため、これは毎年計画的に見直しを行うことにしていまして、昨年度も機械・金属分野の 見直しを行いました。来年度は建築・土木と、非金属加工について、特に乖離の大きな分野を 選んで、毎年1つずつ見直していくことにしています。  こうした見直しというのは、2年がかりで行うことにしています。今回の電気・電子分野は、昨 年は雇用・能力開発機構の職業能力開発総合大学校に、カリキュラムの開発とか教材の開発 をする能力開発研究センターというところがありまして、そこで見直しに係る基礎的な研究を行 い、それを基に今年度は、先ほど申しましたように関連する分野の専門家の方にお集まりいた だいて、1年間かけて検討してきました。 ○水町委員 話はよくわかりました。最大の危惧は、技術変化のスピードがどんどん早くなって いて、間に合っているのか。特にそういうことをご存じの委員の方にお伺いしたいのですが、こう いうタイムスパンで回していけば、実態とそんなに齟齬がないものをずっと回していけるのか、 それとも早くなっているからタイムスパンももっと短くしたり、プロセスも濃密にする形で進めてい ったほうがいいのかを危惧しています。 ○水野能力開発課長 おっしゃるところはよくわかります。かなり技術的なことになりますので、 専門家の方のご意見もよくお伺いしながら、そこら辺の見直しのペースも考えてまいりたいと思 っています。 ○今野分科会長 他にございますか、よろしいでしょうか。それでは、当分科会としては、「職業 能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、おおむね妥当と認める旨 の報告を、私から労働政策審議会会長宛てに行うことにしたいと思いますが、よろしいでしょう か。                  (異議なし) ○今野分科会長 ありがとうございます。では事務局から報告文の案を配付してください。                (報告文(案)配付) ○今野分科会長 短い文章ですが、確認の意味もありますので事務局から読み上げていただ きます。 ○水野能力開発課長 平成20年3月25日、労働政策審議会会長菅野和夫殿。職業能力開 発分科会分科会長今野浩一郎。「職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要 綱」について。平成20年3月25日付け厚生労働省発能第0325001号をもって労働政策審議 会に諮問のあった標記について、本分科会は、下記の通り報告する。  記。「職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、厚生労働省 案は、おおむね妥当と認める。これは先ほどご説明しました3点あったうちの1点目です。  もう一枚ございます。内容はほぼ同様ですが、読み上げさせていただきます。こちらは先ほど 申し上げた3点のうちの2点目と3点目です。平成20年3月25日、労働政策審議会会長菅 野和夫殿。職業能力開発分科会分科会長今野浩一郎。「職業能力開発促進法施行規則の一 部を改正する省令案要綱」について。平成20年3月25日付け厚生労働省発能第0325002 号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記について、本分科会は、下記の通り報告する。  記。「職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、厚生労働省 案は、おおむね妥当と認める。以上です。 ○今野分科会長 これでよろしゅうございますか。                  (異議なし) ○今野分科会長 ありがとうございます。このように報告をさせていただきます。  次は2番目の議題で、「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について」で す。事務局から説明をお願いします。 ○高野育成支援課長 ただいまお話のございましたキャリア形成促進助成金の改正に係りま す雇用保険法施行規則の改正について、ご説明いたします。資料2-1をご覧ください。本日付 けで労働政策審議会へお諮りした、雇用保険法施行規則等の一部を改正する省例案の要綱 案です。具体的な制度改正の中身については、別途資料を用意していますので、そちらでご説 明します。  資料2-2をご覧ください。キャリア形成促進助成金の改正概要を新旧対照表の形で整理して います。昨年の分科会でご説明したとおりですが、キャリア形成促進助成金については、事業 主が事業内職業能力開発計画に基づき作成した年間職業能力開発計画等に基づいて、従業 員に職業訓練等を受けさせた場合に、訓練等に要した費用の一部を助成する制度です。  このキャリア形成促進助成金の中には、目的別に、訓練等支援給付金、職業能力評価推進 給付金、地域雇用開発能力開発助成金、中小企業雇用創出等能力開発助成金の4つのメニ ューを設けています。  今回、このうちの訓練等支援給付金、地域雇用開発能力開発助成金、中小企業雇用創出等 能力開発助成金の3つのメニューについて、成長力底上げ戦略及び地域再生戦略に基づく措 置としての改正を行うものです。  資料のいちばん下のほうに、赤色、緑色、紫色で書いていますが、それぞれの措置別に改正 部分を色分けで整理しています。成長力底上げ戦略のうち、中小企業底上げ戦略に基づく措 置については赤色、成長力底上げ戦略のうち人材能力開発戦略に基づく措置、これはジョブ・ カード関係の措置ですが、それを緑色、地域再生戦略に基づく措置を紫色で、それぞれ書いて います。  まず、赤色で書いている中小企業底上げ戦略の関係についてです。訓練等支援給付金の右 の欄のいちばん上の列をご覧ください。これは一般的な訓練を行う中小企業に対して助成を行 うもので、キャリア形成促進助成金の最も基本となる部分ですが、この部分についての助成率 の引き上げを考えています。  いちばん下の四角ですが、中小企業雇用創出等能力開発助成金です。こちらは中小労確法 に基づく改善計画の認定を受けた企業に対して、通常の助成率よりも高率での助成を行うもの ですが、現在は中小企業に対して一律の助成率で行っています。この中に、新たに「小規模事 業主」という区分を設けて、小規模事業主に対して、さらなる高率助成を行うことを考えていま す。  次に緑色で書いているジョブ・カード関係の措置です。これについては、訓練等支援給付金の ところをご覧ください。ジョブ・カードシステムに基づく訓練として位置づけられる実践型人材養 成システムによる訓練と、有期実習型訓練を行う企業に対して、手厚い助成を行うことを考え ています。具体的には、Off-JT費用に対する助成率を引き上げることや、訓練中にキャリア・コ ンサルティングや能力評価を行う場合に対する助成を新設することを考えています。  続いて紫色で書いている地域再生戦略関係です。下から2つ目の四角にある地域雇用開発 能力開発助成金です。こちらは地域雇用開発促進法に基づく雇用開発地域に所在する企業に 対し、通常の助成率より高い率で助成を行うものですが、これについて助成率の引き上げが1 つと、現在は事業主の要件として、「地域に事業所を設置または整備すること」という要件を設 けていますが、これを「地域内に所在する」といった要件に緩和することを考えています。  以上が、成長力底上げ戦略、地域再生戦略に基づく措置です。両方とも暫定的な措置と考え ていまして、成長力底上げ戦略に基づく措置については平成22年3月31日まで、地域再生戦 略に基づく措置については平成23年3月31日までと考えています。  今回の基本的な改正内容は以上のとおりですが、これに合わせて、先般の雇用保険法改正 において、雇用保険2事業の対象者に、「被保険者になろうとする者」というものが加わったとこ ろですので、これを踏まえて、非正規労働者など、就業時間等の関係から被保険者にならない 者に対する訓練を促進するといった観点から、メニューの一部について、被保険者に加えて 「被保険者になろうとする者を対象者とする」としています。以上です。 ○今野分科会長 ご質問、ご意見はございますか。 ○長谷川委員 今回、訓練等支援給付金のところで、※にもなっていますし、改正要項にも書 いていますが、「被保険者になろうとする者」というのは、雇用保険を使った訓練を行うために、 被保険者だと問題がないわけですが、被保険者になろうとする者としないと、まだ雇用されてい ないとか、雇用保険を払っていない人たちの訓練ができないという考えから、ここにあえて「被 保険者になろうとする者」を加えたという理解でよろしいでしょうか。 ○高野育成支援課長 いまご指摘いただいたとおりの理解で結構でございます。 ○長谷川委員 そのことは否定はしないのです。これから有期で働く人とか、雇用保険を払っ ていなかった、例えば主婦が働きに出るとか、シングルマザーとか、そういう人たちに対する能 力開発が必要だという必要性は認めるのですが、今回の法改正で「被保険者になろうとする 者」を加えたことによって、能力開発を全部雇用保険特別会計でやろうという国の姿勢に問題 があるのではないかと思っているのです。  以前に、能力開発を雇用保険でやるものと一般会計でやるもの、一般と特別会計の金額を 全部書いてもらったことがあると思います。本来は能力開発を人材育成から考えた場合、国の 施策の中で重要な課題なのですが、それをほとんど雇用保険特別会計に頼っていいのだろう かという疑問があります。そういう意味では、一般会計からの能力開発に対する予算の措置は すごく重要なのではないか。そこに国の姿勢が表れるのではないか。これからますます能力開 発が重要になってくるし、厚生労働省の主要な仕事ではないかと思っているのですが、是非こ れを一般会計でもきっちりと予算措置をする取組、行政だけでは大変だとは思いますが、この ことは重要なのではないかと思っています。 ○今野分科会長 いまの点について何かございますか。 ○姉崎総務課長 予算につきましては、資料4-1で平成20年度予算の資料が付いています。 平成20年度の予算の予定額は1,413億円ですが、その内訳を見ますと、一般会計が153億 円で、労働保険特別会計の労災と雇用勘定がありますが、雇用勘定が1,256億円で、長谷川 委員のご指摘のとおり、多くの部分が雇用勘定でして、これは雇用保険2事業のうちの能力開 発事業を基にした予算の支出です。  対象によって一般会計で行うべきもの、雇用保険特別会計が相応しいもの等々があるわけで す。それぞれ両方とも予算の事情は厳しいわけですが、それぞれ予算の趣旨に合う予算をきち んと確保していく努力は、これからもきちんとしていくということです。 ○今野分科会長 そういう意見があったということは、ちゃんと頭に入れておいてほしいというこ とですね。他にございますか。よろしいでしょうか。それでは、当分科会としては「雇用保険法施 行規則等の一部を改正する省令案要綱」について、おおむね妥当と認める旨の報告を、私か ら労働政策審議会会長宛てに行うこととしたいと思いますが、よろしゅうございますか。                  (異議なし) ○今野分科会長 事務局から報告文の案の配付をお願いします。                (報告文(案)配付) ○今野分科会長 確認のために事務局から読んでいただけますか。 ○高野育成支援課長 平成20年3月25日、労働政策審議会会長菅野和夫殿。職業能力開 発分科会分科会長今野浩一郎。「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱につ いて」。平成20年3月25日付け厚生労働省発職第0325001号をもって労働政策審議会に諮 問のあった標記について、本分科会は下記のとおり報告する。  記。「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」について、厚生労働省案はお おむね妥当と認める。 ○今野分科会長 よろしゅうございますか。                   (異議なし) ○今野分科会長 このように報告させていただきます。これ以後の議題は報告案件となります。 3番目の議題として「職業訓練実施計画(平成20年度)の報告について」です。事務局からお 願いします。 ○水野能力開発課長 資料3-1をご覧ください。職業訓練実施計画と申しますのは、1の「計 画の目的」にあるように、来年度1年間において国が実施する職業訓練の対象者数や訓練の 内容等について定めたものです。  簡単に内容を説明いたしますと、2に計画の前提となる「労働市場の動向」について書いてい ます。最初の○の雇用失業情勢については、このところ改善の動きが弱まっていまして、また、 若年者の失業率は依然として高い、フリーターやニートの数も高水準で推移している状況で す。  こういった中で、若年者や子育て終了後の女性、さらには母子家庭の母といった、これまで職 業能力形成の機会に恵まれてこなかった方々が、安定的な雇用に移行できるように支援して いくことが必要だということです。  それから、その下の○にあるように、ものづくり現場を支えてきた団塊世代の熟練技能者の 方々の引退が始まっていますが、そういったことへの対応や障害者の雇用の促進、生活保護 受給者等の自立支援も必要になっています。計画の前提となる労働市場の動向については以 上です。  次に、大きな3は、来年度に実施する職業訓練の対象者数と主な取組です。まず、(1)「離職 者訓練」についてです。対象者数は12万9,700人、そのうち民間に委託をして実施する委託訓 練は10万800人で、これについては最近求職者が減少していることもありまして、今年度に比 べると若干の減になっています。  2つ目の○の「主な取組」としては、民間の教育訓練機関を活用して、離職者や企業の多様 なニーズに応じた訓練を実施することと、併せて次の○の2つ目のポツにあるように、こういっ た民間に委託して実施する訓練については、就職実績に応じて委託費を支払う仕組みを引き 続き導入していくとしています。  それから、ここには書いていませんが、離職者訓練については、先ほど労働市場の動向のと ころで申し上げた、フリーター等の若年者や子育て終了後の女性、さらに母子家庭の母等の安 定的な雇用を促進することが必要になっていますので、このために座学だけではなくて、企業で の実習を組み込んだ実践的な職業訓練である日本版デュアルシステムを積極的に推進してい きたいと考えています。  次に、(2)「在職者訓練について」です。最初の○にあるように、対象者数は8万4,000人で、 これについては、今後は雇用・能力開発機構が実施する在職者訓練は「真に高度なものに限 定する」という方針が出されているので、その方針に基づいて、今年度に比べると1万人ほどの 減となっています。  それから、3つ目の○にあるように、効果的な訓練を実施するために、地域の中小企業等の 事業主のニーズを踏まえた訓練科の設定に努めるとしています。  (3)「学卒者訓練」です。最初の○にあるように、対象者数は6,700人です。これについては、 最近は新規学卒者数が減少していることがありまして、それを踏まえて今年度に比べて600人 の減となっています。  2つ目の○の「主な取組」として、ものづくり現場の戦力となる高度な実践技能者の育成を進 めるとともに、効果的な訓練が実施できるように、産業界や地域の人材ニーズ、さらには就職 実績等も踏まえまして、訓練内容の見直しをしていくことにしています。  それから、(4)「障害者の職業訓練」については、最初の○にあるように、対象者数は1万 1,700人です。そのうち民間に委託して実施する委託訓練が8,200人で、これについては最近 就労を希望されている障害者の方が増えていることがありますので、それを踏まえて、今年度 と比べますと若干の増となっています。  2つ目の○の「主な取組」としては、最初のポツにあるように、障害者職業能力開発校におい て、一般の公共職業能力開発施設で受け入れることが困難な重度の障害者の方を、積極的に 受け入れることと、最近問題になっている発達障害者の方々の訓練コースを拡充していくことと しています。  資料3-2をご覧ください。これは今申し上げた各種の職業訓練の対象者数について、今年度 と来年度を比較したものです。これについては細かい説明はいたしませんが、1点だけご説明 いたしますと、表の上のほうの「離職者訓練総数」のうち「委託」と書いてある委託訓練ですが、 そこに「再チャレンジコース」というのがあります。これは「年長フリーター」と言われる方々の安 定的な雇用を促進するために、雇用・能力開発機構が業界団体と一体となって、採用に有利 な資格や免許が取れるような訓練コースを開発しまして、それを民間の教育訓練機関に委託し て、実施するものです。再チャレンジコースについては、雇用・能力開発機構が、業界団体と一 緒になってコースを開発したということで、その分訓練修了後の就職率も高くなっていまして、 年長フリーターの安定的な雇用の促進に効果的だと思われますので、来年度の対象者数は、 今年度の5,000人から3,000人増やして8,000人としています。以上です。 ○今野分科会長 最後の資料3-2ですが、「DS」というのはデュアルシステムですか。 ○水野能力開発課長 デュアルシステムです。 ○今野分科会長 いまの説明について、ご質問、ご意見をお願いします。 ○水町委員 一般的な話になってしまうかもしれませんが、この計画の中に「地域のニーズ」と いうのがたくさん出ていますが、これは地域のニーズを見ながら国が実施する施策という意味 で、必ずしも自治体等に委託をして、自治体が国の定める枠組みの中で、自由度とか柔軟性を 持ちながらやる仕組みにはなっていないですね。 ○水野能力開発課長 まず、訓練ニーズの把握なり訓練の実施のプロセスについて説明させ ていただきます。ニーズの把握は、国の場合は雇用・能力開発機構が実施母体になりますの で、機構が事業主団体とか、個別企業に行きまして、アンケート調査とか、ヒアリング調査をし て、ニーズの把握をします。あとハローワークにおける求人、求職の状況を参考にしながら、国 のニーズを把握して、具体的にどういう訓練をやるかというコースを設定してやっていきます。  そのときに各都道府県ごとに専門部会というのがありまして、そこに都道府県の代表の方と か、都道府県で訓練をやっているところの代表の方、事業主団体の代表の方、民間の教育訓 練校の代表の方などに入っていただいて、機構で把握した訓練ニーズについて、確かにそのよ うなニーズがあるのかを確認して、それを踏まえてコース設定が適当かどうかを議論していただ きます。  その上で、例えば民間と競合しているようなものがあれば、機構のほうは訓練をやめるとか、 あるいは都道府県との競合を確認したり、専門部会の中で都道府県との整合性を取ることにし ています。 ○水町委員 その中でうまく整合性が取れるとなっているのか、それとも自治体からは、二重行 政になる可能性があるので、もっと権限やお金を自治体に下ろして、自由度を高めてほしいと いう話は出てきていないですか。 ○水野能力開発課長 地方分権の関係ではそういうご意見は確かにございますが、少なくとも 地域レベルでは、可能な限り都道府県の方のご意見を聞いて調整しているのが実情です。 ○今野分科会長 他にございますか。よろしいですか。4番目の議題に入ります。「平成20年 度職業能力開発局重点施策と予算案概要について」です。説明をお願いします。 ○姉崎総務課長 資料4-1「平成20年度能力開発局重点施策と予算案の概要について」です。 平成20年度の予定額は1,413億円で、これは長谷川委員からのご指摘がありましたが、一般 会計と労働保険特別会計の労災勘定と雇用勘定の内訳が、この資料のとおりの金額になって います。労災勘定がわずかに入っていますが、これは障害者の関係と外国人の関係のところ に入っています。  重点の柱は7つありますが、新規だけ簡単にご説明させていただきます。1番の柱がジョブ・ カード制度の構築の関係で、165億円を予定しています。新規としては、産業界が主導する推 進体制の整備で、中央・地方に制度の広報・啓発等の事業を実施するジョブ・カードセンターを 設置するということで、民間の事業主団体に対する委託費で25億円です。下のほうに、ジョブ・ カード制度のプログラムへの誘導のための職場見学、体験講習の実施等の関係の予算で2億 4,000万円がございます。  2頁です。上から2つ目の○で、新規のものとして、携帯サイトを活用した情報提供等の体制 整備で予算を予定しています。その次が具体的な訓練の関係ですが、これまであった実践型 人材養成システムに加えまして、新たに有期実習型の訓練を創設します。実践型人材養成シ ステムは6カ月から2年間の訓練でしたが、新しい有期実習型の訓練は3カ月から6カ月とい うことで、新規に創るということです。  その下の実務・教育連結型人材養成システム、日本版デュアルシステムですが、6つ目の○ にありますが、従来の若年層に加えて、母子家庭の母、子育て終了後の女性等、対象を拡大 したものとして、新しく創設して15億円となっています。企業実習ということで企業で訓練を受け るので、企業の中の評価者に対して、評価手法やモデル評価シートの活用方法等を指導する ための予算を計上しています。  大きな柱の2番が障害者の関係で、障害者に対する職業能力開発の推進ということで、委託 訓練の拡充等を含めて61億円です。  大きな3番が、中小企業の人材確保等の支援ということで、204億です。中小企業、それから 雇用情勢が厳しい地域での従業員の能力開発に対する助成の拡充です。  4頁です。ものづくり立国の推進については、全体として14億円ということで、技能継承の関 係、啓発、各種協議会の予算ということで計上しています。  大きな4番が若者の関係で、全体として151億円です。フリーターについては企業実習を先行 させて、その後必要に応じてフォローアップ訓練を行う年長フリーター自立能力開発システムの 実施です。  5頁です。◎が付いていますが、ニートの関係です。地域若者サポートステーションの発展・強 化ということで、今年度全国50カ所で実施していますが、平成20年度は77カ所に拡充してい ます。若者自立塾は現在30カ所でして、ここは予算が減っていますが、塾に入って来る人の実 績が少し減っているということで、実績見合いの減少となっています。  大きな柱の5番が、持続的なキャリア形成の実現です。新しいものとしては、企業診断システ ムの開発、労働者に対する診断・相談サービスの提供です。  大きな6番が、派遣労働者の能力開発・能力評価・キャリア形成のためのモデルづくりで、平 成19年度から3カ年計画で取り組んでいる2年目です。  大きな7番が、外国人労働者問題の対応で、外国人研修・技能実習制度の適正化と見直し ということで、6億1,000万円ですが、巡回指導の強化、電話相談ホットラインの設置、帰国後 の技能移転状況の調査といったものを、新しい予算として計上しています。簡単ですが以上で す。 ○今野分科会長 ご意見、ご質問をお願いします。 ○玄田委員 資料の3頁の大きな2の母子家庭、生活保護世帯等の74億円のところですが、 ◎が障害者で61億円としか書いていなくて、他は全部足すと大きな数字になるのに、ここだけ 13億円分だけ何も書いていないのは、資料として完全ではない気がするので、残りの13億円 は何に該当するのかをお書きになったほうがいいのではないかと思います。母子家庭について は、その前の2頁の最後に、母子家庭の母等については実践的職業訓練のところの106憶円 に含まれと書いてありますし、障害者も書いてありますから、素直に読むと、残っているのは生 活保護世帯の部分で、このまとめ方は読んだときに素直に読み取れませんでしたので、この13 億円分は何だということをお書きになったほうがいいと思います。 ○姉崎総務課長 資料の作り方について検討させていただきます。実は柱の書き方が、成長 力底上げ戦略の柱の書き方になっていて、各局共通の柱立てになっているので、2番はこうい う大きな柱を立てているのです。ほとんどのうちの関係は、この中で障害者の関係の予算が大 きいので、障害者のものだけ特記したのですが、確かに差額が13億もあります。  ここは、母子家庭の母の就労支援という従前からある施策がありまして、新規とか拡充がな かったもので、従前の施策だったということで書いていませんでした。それが13億円ほぼそのと おりでした。書き方を検討させていただきます。 ○今野分科会長 母子家庭の母の関係の13億円は、大体どんな内容かを簡単にでもお話し ていただいたほうがいいのではないですか。 ○姉崎総務課長 職業訓練を受けていただく場合の訓練期間中の手当てです。 ○長谷川委員 派遣労働者の能力開発と能力評価、キャリア形成のモデルづくりですが、これ はどういうふうにやるのか教えてほしいと思います。 ○伊藤基盤整備室長 ご指摘のありました6頁の派遣労働者等に係る能力開発のモデルづく りは6,400万となっていまして、そのうち半額の3,200万円がモデルづくりに係る部分で、残りの 半額がキャリア形成支援助成金関係です。  このモデルづくりに関して、先ほどの総務課長の説明の中にもありましたように、今年度から の3カ年計画で、大まかなプログラミングとしては、今年度、派遣の中でも特にウエイトの高い 事務系派遣にかかわっての能力開発、あるいはキャリア形成の実態等について、派遣事業者、 派遣労働者を対象としたアンケート調査、ヒアリング調査を実施し、現在その内容を分析、まと めている最中です。  来年度については、2年目ということで、今年度実施したアンケート、ヒアリング調査の結果、 そこで把握された課題を踏まえて、ここにある派遣労働者の能力開発に係るモデルづくり、キャ リア形成のための支援プログラムの開発を考えています。今年度の調査による把握の中でも、 派遣労働者のかなりの方が正社員への希望がある、また同時に、派遣労働者としてのキャリ アアップを目指している方々もいます。そういったいくつかの類型化を行った上で、能力開発の ポイントですとか、その中で派遣元、派遣先、労働者自身が果たすべき役割、留意点といった ものを整理していきたいというのが1点です。  もう1点は、初年度の実態把握を事務系派遣に限定しておりましたが、2年目ということで、製 造派遣あるいは技術系の派遣等の分野を対象とした実態調査・分析に、こちらの予算を活用 し、また業界団体等の協力も得ながら、ただいま申し上げたような取組を進めていきたいと考え ています。 ○今野分科会長 今年度の報告書はそろそろできるのですか。 ○伊藤基盤整備室長 いま取りまとめ中です。 ○長谷川委員 是非取りまとめたものを報告していただきたいと思います。 ○水町委員 同じような疑問なのですが、派遣労働者に対して国がキャリア形成の支援をした り、モデル形成をして、それを促すということですか。誰が誰に対してということですか。例えば 派遣元もありますし、派遣先もあって、私は他の研究会で能力開発のことを研究したことがある のですが、派遣労働者だけを見ても難しいし、派遣元に言っても、派遣元は派遣先からお金を もらってきているから、派遣先も一緒に入れてモデルをつくらないと、現実的なものができない ので、派遣先と、派遣元と、派遣労働者の三方の意見を聞いて、その3つがうまくリンクしたよう な形でモデルをつくって回していかないと、という話をそこでしたことがあるのですが、そこの問 題です。 ○伊藤基盤整備室長 モデルの方向性、あるべき姿としては、いま委員からご指摘のあったと おりだと思っています。派遣労働者のキャリア形成支援、あるいは教育訓練については、派遣 法に基づく、元・先指針の中にも規定はありますが、派遣元事業者あるいは実際の就業場所で ある派遣先等が果たすべき役割というのが、当然あります。今回のモデルにかかわる検討につ きましても、そういった観点から調査そのものにも派遣協会の協力を得、また実際の調査対象 としましても、派遣事業者、派遣労働者を対象に、そこでの具体的な意見、要望等も聞きながら、 分析・取りまとめを進めているところです。いま委員からご指摘のあった観点を十分に踏まえた 形で、この3カ年計画を進めていきたいと考えています。 ○長谷川委員 外国人研修・技能実習制度ですが、7頁で、「研究生・技能実習生の受入れ機 関に対する巡回指導を強化する」とありますが、巡回指導は厚労省がやるのか、JITCOがやる のか、どこなのでしょうか。電話相談のホットラインというのは、全国にどのぐらいつくるのか。技 能研修実習生はいろいろな国から来ていますが、中国語もできてとか、何々語もできてとか、そ ういう形でやるのでしょうか。  帰国後の技能移転状況は絶対に必要だと思っていて、これで予算が付いたのはよかったと 思うのですが、どのくらいやるつもりなのか、いつぐらいに報告が出てくるのか。例えば技能研 修・実習制度に関して、おそらく入管法の改正が来年の通常国会だと言われているのですが、 それに間に合うのかどうなのか。 ○藤枝外国人研修推進室長 まず巡回指導ですが、厚生労働省からの予算を基に、JITCOを 通じて巡回指導を実施しています。来年度におきましても、JITCOを通じた巡回指導を予定し ています。今年度の巡回指導件数は7,300件ですが、来年度は目途として1万件実施したいと 考えています。  電話相談ホットラインにつきましても、JITCOに対する委託事業の中に組み込んでいきたいと 思っています。現在もJITCOにおいては、平日に週1回、中国、インドネシア、ベトナムの3カ 国語で電話相談をしています。これについては、来年度は国としての予算を付けて、土、日を 含めた形でのホットラインをJITCOに回線をおいて実施したいと思っています。  言語については、研修生・実習生の8割が中国の方ですので、まずは中国を、そして体制が 整い次第、インドネシア、ベトナムと増やしていきたいと思います。  帰国後の技能移転の状況調査ですが、例えば今年であればベトナム、去年は中国でしたが、 JITCOが毎年1カ国に行っていました。しかし、特定の受入れ機関などに話を聞いたり、サンプ ル調査をするという把握にとどまっていましたので、来年度は個人調査をやりたいと思っていま す。  ただ、やり方としてはこれから具体的に検討したいと思っていますが、帰国する方々に個人ア ンケートの調査票を持って帰っていただいて、日本国内では本音を書いていただけないというこ ともありますので、帰国後にアンケート調査に記入して郵送していただくことを考えています。実 際のアンケート調査の設計などがありますので、できるだけ早く配付を始めたいと思っているの ですが、どこまで年内に配付できるかはこれから詰めていきたいと思います。部分的なものであ っても、できるだけ早くまとめて、見直しには反映させたいと思っています。 ○今野分科会長 いまの質問で、ホットラインは何カ所ですかという話で、従来は週1回JITCO でということですが、その後は毎日やるということですか。 ○藤枝外国人研修推進室長 土、日の2日ともできるかはこれから検討しますが、土曜日か日 曜日か、どちらかは含めて、週2日以上は必ずホットラインを開設するようにしたいと思います。 ○中村委員 母子家庭の母親に対する就労支援ですが、職業訓練のところだけを支援するこ とで母子家庭の女性たちがキャリアを身に付けていけるかというとそうではなくて、母子家庭の 中でも、特に小学校以前の、0歳から5歳までのお子様を持っていらっしゃるお母様たちが、実 際にジョブ・カードを持って実践に入ろうとしたときに、まずお子様を、一体どこで誰が見てくれる のかということです。いま公立保育園あるいは認可保育園というのは、低年齢児に対する枠が 非常に小さくて、すぐにいっぱいになってしまって、待機児童になっているケースが非常に多い のです。そういった中で、例えば看護師あるいは公務員というのは優先的に入れますが、この 母子家庭の方がジョブ・カードを持って実践に入っていきたいと思っても、お子様をすぐに見て もらえなければ入っていけないわけです。例えば1つの例ですが、ジョブ・カードを保育園に明 示するなり、自治体に明示したら、ある程度優先的に入れてもらえるとか。今日お聞きしたいの は、母子家庭に対する直接の就業支援以外に、働ける環境整備ということについて、どのよう に考えていらっしゃるか、何か政策を持っていらっしゃるかをお尋ねしたいと思います。 ○水野能力開発課長 おっしゃるように母子家庭の方々は就労の希望は非常に強いのですが、 保育サービスを確保しないと就職できないし、その前段階の訓練も受けられないというのは、確 かにご指摘のとおりです。ご指摘のように待機児童が多いという実情がありますが、ジョブ・カ ードを持っている方を優先的にするというのは、それぞれの自治体の判断になりますので、今こ こでお答えするのは難しいと思うのです。ただ、訓練を受けるに当たってそういうサービスが必 要だというのはよくわかりますので、雇児局等と、どういったことができるのかを検討していきた いと思います。 ○今野分科会長 他にございますか。よろしいでしょうか。次の議題に入ります。次は「ジョブ・ カード制度について」です。事務局から説明していただいて、議論をしたいと思います。 ○森川総務課調査官 資料に基づきまして説明いたします。前回の分科会におきましては、内 閣府のジョブ・カード構想委員会中間報告に沿いましてご説明申し上げました。前回の分科会 でたくさんご意見を頂戴いたしまして、私どももそれを踏まえて、さまざまな意見を内閣府等に 出して、変わった点等ございますので、それらの点を中心に説明いたします。  まず、資料5-1ですが、ジョブ・カード制度の全体像については基本的な流れは変わっており ません。職業能力形成機会に恵まれない者にフリーター等が例示として挙がっておりますが、 いわゆる正社員の経験が少ない方が、キャリア・コンサルタントの支援を受けながらジョブ・カー ドの作成をする。そこで能力の整理をして、企業実習と教育訓練機関による座学の組合せ訓 練を受け、そこで企業の評価を得、またキャリア・コンサルティングを受けながら正社員を目指 して就職活動を行うという一連の流れです。  いただいたご意見の中で、職業能力形成プログラムについて、資料5-2のとおり前回4種類、 有期実習1型、2型、委託1型、2型とありましたが、従前からの名称はそのままなるべく活用 することにしました。委託型は日本型デュアルシステムで、35歳未満の若年者対象だけではな く、能力形成機会に恵まれない方にも拡大するということです。実践型人材養成システムは名 称をそのままにして、新たに設ける比較的短期の職業能力形成機会に恵まれない方向けの訓 練を、有期実習型という形で整理をしました。基本的な要件はご覧のとおりで、前回とほぼ同じ と考えております。  前回大変たくさんご意見をいただきましたが、もう1点、ジョブ・カードそのものについて、特に 評価シートについてご意見をいただきました。資料5-3は評価シートの項目なのですが、資料 5-4がジョブ・カードそのものの記載例になります。こちらに従って説明します。中間報告段階で は、ジョブ・カードを「職業能力証明書」と言っていましたが、まさに能力証明というニュアンスが 大変全面に出ておりました。5-4の求職者用の確認事項の点のいちばん最初の○ですが、「ジ ョブ・カードは、自分で作成する過程で自分の能力や、希望を整理し、明らかにしていくもので す」とあります。これはまさにジョブ・カードのコンセプトで、能力を第三者に見せるという部分も ありますが、まず自分のために使うということです。  同じ確認事項の下から2番目の○ですが、「様式5、6」とあります。様式6はA3の評価シート、 様式5はキャリアシートで、基本的には自分で使っていくもの、要するにこれを第三者、企業の 採用の方に見せるかどうかは、ご自身の判断で行ってくださいということを注書きしています。  個別にその点をもう少し具体的に説明します。資料5-4の様式1は全体のサマリーですが、 履歴書の項目をほとんど盛り込んだ形で、ジョブ・カードと別に履歴書を書かなくてもよい形にし ました。4頁のジョブ・カードは、職務経歴について、キャリア・コンサルタントが確認をしていく欄 がありますが、その横に「職務の内容」という欄があります。そこでどういった仕事をしていたの かを、なるべく詳しく書いていただく。ご注目いただきたいのは、その下の行にある「職務の中で 学んだこと、得られた知識・技能」という欄です。事実関係だけではなくて、その中で自分は何を 考えたのかを明示する欄を設けて、キャリア・コンサルティングをしやすい形に様式を変更して おります。  5頁ですが、様式3は「学習歴・訓練歴」という名称にしております。一般的には学歴ですが、 どこの学校を出たかが大事なのではなく、そこで何を学んできたかが大事だろうということで、こ のような名称にし、その専攻、教育訓練の内容等を詳細に記載する欄を設けています。  様式4は免許・資格取得の関係です。これもキャリア・コンサルタントの記入欄の横に「内容 等」ということで、その資格がどういった力を有することを検定するのかを記載する欄を設けまし た。例えば、日商簿記3級であればどういった能力があることを示しているのか、これを記載し ていく過程で改めて確認していただくという工夫をしております。  キャリアシートについては、訓練前のもの、訓練後のものの例を付けております。前はあまり 誘導することはなかったのですが、自分の強み、弱み等を最初に書いて、自分の希望を希望 理由とともに書くということで、できるだけ利用者の使いやすいような工夫をしてきたところです。  様式6の評価シートですが、個々の項目がありますが、いちばんの変更点は、このジョブ・カ ード、評価シートでは、例えば訓練職務は国際物流コースとなっており、訓練生氏名があって、 訓練期間における訓練職務内容と、「当社としての職業能力については以下のとおりですので、 今後のご自身のキャリア形成の参考にしてください」という位置づけです。どういうことかという と、これは自己評価と企業評価に分かれております。従前の考えでは、企業評価でA、B、Cと 付いたことが重要だとご説明したかもしれませんが、自己評価と企業評価の差を認識していた だくことがいちばん重要なのではないかと考えています。  この方の例でいくと、IIの「職務遂行のための基本的能力」のいちばん下の欄で、コミュニケ ーションのところを見ると、自己評価で自分はコミュニケーションがきちんと取れているということ でA、Bと付いていますが、企業評価ではそうではなく、B、Cとなっています。その差を企業の 評価の担当者、訓練の担当者と話し合って、やはりそうだったのだと自己理解を深めていただ くことが大事だろうということです。差をそのままにしていたのでは、Cが付いているとなかなか 就職に結びつかないと考えられるので、この方の記載例で言えばコミュニケーション能力が足 らないということで、5頁に戻って、職業形成プログラムを受けたあとにコミュニケーション能力の 通信講座を受けて、自分の苦手な分野を克服しようとしていると。前向きな姿勢は評価される のではないかと、実際に企業の採用担当の方やキャリア・コンサルタントの方にそういったご意 見もいただいたので、キャリア形成のためのツール、自己理解を深めるためのツールとして使っ ていただくということで、ジョブ・カードのコンセプトのニュアンスを若干変えています。もちろん、 AやBがたくさん付いている方であれば、先ほどの評価シートを就職活動に活用していただくの は結構なことだと考えており、訓練実施、評価の段階でも工夫が必要だと考えております。最 後に評価をするだけではなく、OJTをやっている中間段階で1回評価をしていただいて、足らな い部分は確認していただく。そこを認識して補講をしていただいて、なるべくAやBが多い形に して、就職活動に活用していただくことが重要ではないかと考えております。以上が、前回から のジョブ・カード制度の変更点です。 ○今野分科会長 ありがとうございました。それでは、ご質問、ご意見をお願いします。 ○水町委員 様式6のジョブ・カードと評価シートですが、前回中間報告をしていただいたときに、 先ほども少し触れられたかもしれませんが、自己評価と企業評価に差があって、自己評価に不 満がある場合に、それを第三者がもう1度チェックをするといった苦情処理の制度的な担保が あったほうがいいのではないかという議論があったと思います。これについてはそのあとどのよ うな議論があって、この制度の中でどのような位置づけになったかをもう1度確認したいと思い ます。 ○森川総務課調査官 基本的にはご本人の意識の気づきのために利用していただくということ ですが、評価者がきちんと先ほどのルールどおり評価していたかどうかについては、そこで苦 情があった場合には、評価者の講習等をするジョブ・カードセンターに1回言っていただく、ある いはキャリコンのほうに言っていただく。訓練の日誌等はきちんと備え付ける形で訓練を誘導す ることにしているので、それを踏まえてルールどおり評価されているかどうか、やられていなけ ればジョブ・カードセンターのほうから事業主に言っていただく。ジョブ・カードセンターに行っても 納得いかないのであれば、これは自分の気づきのためということで、そこまでなのかなと考えて おります。 ○水町委員 ジョブ・カードセンターに行って調整や苦情の受付をしていることが、訓練を受け る本人と企業評価をする企業側の人に明示されている制度となっていますか。それとも、どこか に尋ねていけば、もしかしたらそこに行きつくかもしれないという制度ですか。非常に重要な意 味は、そのような苦情処理のことは知らなかったと泣き寝入りする人と、たまたま知っていたか ら苦情を言うことができたという人で差が出てくることが問題だし、企業評価をする人にとっても、 もし間違ったとか、評価をした場合にはそのような所でもう1度チェックをされる可能性があるの であれば、より慎重な判断をするという効果がありうると思います。それが本人や企業にも明示 されることが大切だと思うのです。 ○森川総務課調査官 ジョブ・カードの様式は、厚生労働省のホームページで入手できるよう になっております。そういった点で、これをダウンロードするサイトでご本人等に周知できるよう にしていきたいと思います。 ○水町委員 例えば、資料5-4の「ジョブ・カード使用に当たっての確認事項(求職者用)」です が、これは本人に全部紙で出されるものですね。この求職者用のところにそれを明示することと、 企業評価の人にも何らかの文書の形で紙で明示して、それを踏まえた上で評価してくださいと することはできないのですか。 ○森川総務課調査官 検討していきたいと思います。 ○小林能力評価課長 補足しますと、この評価シートの作成、あるいは評価にあたって、事業 主の方にこのようなことに留意してくださいというマニュアルのようなものをお示しすることを考 えています。その中で、評価の適正さを担保しようということでいくつか考えていて、評価は最終 評価だけではなく、中間評価と最終評価の2回行うようにしてください、評価担当者と評価責任 者を分けてください、また、評価をするときに本人とよく話し合って、悪い所は改善していきまし ょうという、減点主義ではなく加点主義的な考え方で臨んでくださいと。評価の客観性を確保し ようということで、ここに職務遂行のための基準が書いてありますが、このような場合はA、この ような場合はBと、ガイドラインになるようなものを具体的に例を挙げながら示していこうと考え ております。それは事業主にも周知したいと思っております。最後は、先ほどの話にもあったよ うに、最終的な提出判断は本人の意思に委ねられるところはあるのかなと思います。 ○水町委員 ガイドラインが整備されているのは、大変よいことだと思います。ただ、ガイドライ ンどおりに運用がうまくいくかどうかはわからないので、そういうことも踏まえて、このような機会 があることをきちんと明示すべきだと思います。最終的に出すかどうかはご本人の判断ですが、 これは一生に1つのものですね。結局出さないことによって不利益を被ることがありうるので、 本人に最終的に出すか出さないか決める権限があるから、場合によっては、本人が苦情処理 のルートを知っているか知らないかで不利益を被ることになることは、あまり大きな理由にはな らない気がします。 ○小林能力評価課長 ご指摘を踏まえて、事業主と求職者の双方に必要な事項が周知される ように留意していきたいと思います。 ○玄田委員 いまの水町委員のご意見に若干関係するかもしれませんが、資料5-4の冒頭の 手紙の書き手はどなたと理解すればよろしいのでしょうか。これは厚生労働省がお書きになっ ている確認事項の手紙なのか、雇用・能力開発機構なのか、特に書き手はないのか、どう考え ればいいのか。水町委員がおっしゃったように、ジョブ・カードによって使用者側、労働者側の幸 せな出会いが膨らむことを大変期待しておりますが、もしこのジョブ・カードの記載そのものによ って何らかのトラブルが起こった場合に、この文言は多くのガイドラインを具体的に明示してい るので、最終的にトラブルを誰に申し出ればいいのかというときに、一体この手紙を書いたのは 誰かがこれには直接書いていないのです。最後の関連情報を見ると「www.mhlw」と書いてある ので、厚生労働省かなという気もしますが、書いてないと言われたら書いてないかなとも思うの で、どなたがお書きになったか、どう解釈すればいいのか教えていただけますか。 ○森川総務課調査官 この手紙は、キャリア・コンサルタントが、求職者がジョブ・カードを書こ うとするときにこのようなことに留意してくださいと、あえて言葉で言うことを紙にしたものです。も ちろん、原案は厚生労働省でご意見を踏まえて作成しました。 ○玄田委員 そうなると、もしキャリア・コンサルタントの方と求職者が馬が合わないというか、 すれ違いがあって何かあったときに、キャリア・コンサルタントの方はここに書いてあったよね、 とおっしゃいますね。これは厚生労働省がキャリア・コンサルタントの方にお示した方針だという 理解でよろしいですか。冒頭でおっしゃったように、ジョブ・カードの位置づけを多くの方に正確 に認識していただくことはとても大事だと思うのです。このような書き方は非常に丁寧だとは思う のですが、このジョブ・カードの位置づけ自体の大きな価値判断に基づいているものですから、 どなたがこの位置づけを決めたかはとても大きな決定だと思います。いまのお話だと、厚生労 働省がある程度責任を持って作られたという理解にならざるを得ないと思うのですが、よろしい ですか。 ○森川総務課調査官 この様式全体を決めたのは厚生労働省と、内閣府のジョブ・カード構想 委員会なので、まさに政府ですね。 ○今野分科会長 結局、厚生労働省になったのですか。それとも内閣府ですか。政府と言えば 全部ですが。 ○草野審議官 原案は厚生労働省で作っているのですが、オーソライズという意味では内閣府 ですね。ジョブ・カードの中身というか、書いてある確認事項も含めてのジョブ・カードなので、こ ういうものですよということをお示ししているわけです。問題があるとすれば、それをジョブ・カー ドセンターなどを通じてお聞きして修正することは今後ありうるわけですが、現段階ではそういう ものとしてやっていきましょうという、これを含めての全体のジョブ・カードのコンセプトです。少し 書きすぎだとか、これからいろいろ出てくるかもしれませんが、そのようなことがあれば修正する こともありうるわけですが、現段階では専門家の意見などもお聞きした結果、このような内容の ものとして書かないと、何を書いたらいいか、どうしたらいいかわからないので、やりながら修正 していくと。そういうものがないと、何をどうしたらいいのかわからない。そういう意味ではやや介 入っぽいきらいはありますが、最初はそのぐらいのことを書いておかないと、現実に記入するこ とにならないし、かえってトラブルが起こると考えております。 ○今野分科会長 いまの玄田委員の質問に対する答えは、内閣府でしょうか。 ○草野審議官 私どもでいろいろヒアリングをして作っていますので、もちろん最終的には内閣 府でオーソライズされるわけですが、第一義的な責任は私どもにあると思っております。 ○川本委員 1つはご質問、1つはお願いです。質問ですが、このジョブ・カード制度は活用する 企業が増え、利用者が増えていくことが重要です。その意味では、ハローワークとキャリア・コン サルタントが非常に重要な役割を果たすと思いますが、それに対する研修が、いまどんな感じ で進んでいるのか、今後どうなのかをお聞かせ願いたいと思います。  もう1つはお願いですが、現在先行実施ということで2社行われていて、この4月から実施さ れるわけですが、ある程度拡大していった段階で、活用された企業あるいは利用した方の意見 等を聞いて、このシステム上でより見直す所があれば検討していただいて、より使い勝手のい いものにしていただきたいと思います。 ○田中キャリア形成支援室長 キャリア・コンサルタントの研修については、3月中に行われた 先行プロジェクトに関する研修を2月に実施し、東京周辺のハローワークでキャリア・コンサル ティングを行っているアドバイザーの研修を実施し、終了しております。4月からの全国実施に 向けて、2月12〜13日に全国から講師になっていただくキャリア・コンサルタントの方に集まっ ていただき、その方が現在各県でアドバイザーの方に研修を実施している最中です。ジョブ・カ ードを指導できるキャリア・コンサルタントを増やすために、4月以降も引き続き研修を実施して いく計画になっています。 ○森川総務課調査官 先行実施していただいた企業のご協力を得て、そこで受講された労働 者の方にも、終了次第ご意見をいただくように現在お願いしております。そういったご意見を踏 まえながら、制度をよりよいものにしていきたいと思います。 ○長谷川委員 資料5-4の確認事項の○の5つ目に、「ジョブ・カードへのあなたの署名、押印 はこの確認事項に同意したものとみなされます」と書いてあるのですが、ここにこの記載がある ことの効果というか、何に使おうとしてこのような項目があるのか。また、キャリコンはおそらく知 り得た情報は漏らさないことが重要だと思うのですが、キャリコンに携わった人の知り得た個人 情報は、どのような形でキャリコンにかかってくるのか。キャリコンはあとからも出てくるのです が、いろいろな所で資格がいっぱいあって、キャリコンの選び方はどのようになっているのかを お聞かせください。 ○森川総務課調査官 最初のご質問の確認事項ですが、特に大事だと思っているのは、上か ら3つ目の最後に「まずは、ありのままを記載してください。」「決して虚偽の記載はしないでくだ さい。」とあります。ジョブ・カードに書いた内容に嘘はないということが、第三者に見せる、ある いはキャリコンを受けるにあたって大前提になるだろうということで、署名、押印は嘘がないこと を追認するものです。それがいちばんの趣旨で、こういった記載をしております。  ジョブ・カードを記載するキャリア・コンサルタントが、個人情報を第三者に漏らさないことにつ いては、3つ目の○にその旨は書いてありますが、ここで書けるキャリア・コンサルタントは、一 定のキャリコンの資格を持っている方で、先ほどキャリア形成支援室長が申し上げたように、講 習を受けて、登録をしていただくことが前提になっております。登録の段階で個人情報保護は 遵守すると、そうでなければ登録できない仕組みにしております。そこで一定の担保はされるだ ろうと思っております。 ○瀧澤委員 確認事項のアンダーラインの所ですが、何か高圧的な感じがします。いわば、い まコメントがあったように、4つ目の意味が重要だということが伝われば事が済むのではないで しょうか。確認事項に同意したと、誰が求めている確認事項かも明確ではない中で同意を求め るのはどうかなという気がします。 ○森川総務課調査官 いまのジョブ・カードの様式ですと、キャリア・コンサルタントの方がこれ は確かに確認したといろいろ記載する事項が、様式3や4に出てきます。こういう資格を持って いる、こういう学校を出たといった、採用にあたって非常に重要な情報が入っています。そこに 嘘を書いてあるのに、キャリア・コンサルタントが証明したから本当ではないかと、間違って企業 が採用してしまうと、キャリア・コンサルタントに迷惑がかかることになるので、そういったことが ないように、少しきつい言い方だとは思いましたが、あえて書きました。 ○今野分科会長 いずれにしても、何人かの委員から、わざわざ何でこのような表現をするの かとのご意見があったので、それを踏まえて検討していただいたほうがいいかなと思います。 ○長谷川委員 ○の2、4、5は、どういうことが起きるかは自分で勝手な想像ができるのですが、 もう少し個々の扱い方を慎重に検討したほうがいいと思います。これは紛議が起きる可能性を はらんでいるのではないかという気がするのです。  キャリコンの話なのですが、例えば社会保険労務士が個別的労働問題を相談するときは、認 定された特定社労士なのです。社労士の資格があって、100時間だかの講習を受けて特定社 労士になって、個別的労働紛争に携わることができるのです。キャリコンの場合も、こういうもの に携わるわけですから、講習が何時間なのかということと、講習を受けたものがジョブ・カードを 何とかするとか、社労士と同じ形にしないと、非常に個人情報に関わることがあまりにも多いの で、ここのキャリコンの扱い方はもっと重装備にしてほしいと思います。講習の中身も、きっちり と立てる必要があると思います。もし、個人情報を漏らしたとか何かあったときには、キャリコン 資格を剥奪するぐらいでないと、すごく危ないと思います。初めてやる取組みだから、この辺は もう少し慎重さがほしいです。能開分科会でやれば、もっとこの議論はちゃんとできるのですが、 ここまでそんなに議論していないと思います。今日あるらしいですが。 ○森川総務課調査官 わかりました。ご指摘いただいたように、漏らした場合のキャリア・コン サルタントの登録の抹消等は、もちろん視野に入っております。そのような方は、ここにキャリコ ンの登録番号がありますが、そういったものは抹消するということです。引き続き、キャリア・コン サルタントのあり方等を全体の中で検討していきたいと思います。  ただ、ご指摘のとおり、個人情報であるがゆえに、なかなか第三者が管理することができない。 基本的に書いた方に管理していただかないといけない。相当きつい言い方ではあるのですが、 その点について確認していただくことが大事なのだろうということで、現状このような書き方にし ております。下のほうに小さく「Ver.1.0」と書いてありますが、今後さまざまなご意見をいただき ながら、より使い勝手のいいもの、信頼性の足るものにしていきたいと思います。 ○今野分科会長 先ほどどなたかから質問がありましたが、資料5-4は求職者にパッと渡すこ とを想定しているのか、キャリコンがジョブ・カードを使っている人に対して口頭で言っていく、あ るいは対応するときにこういうことに気をつけろと言うためのものか、キャリコン用なのか求職者 に直接渡すものなのかが不明瞭だったので。 ○森川総務課調査官 キャリア・コンサルタントが渡すときには、必ず最初の部分、少なくともア ンダーラインの部分までは、きちんと確認して書いていただくことを講習で周知徹底しておりま す。 ○今野分科会長 そうすると、キャリコン用なのですね。 ○森川総務課調査官 キャリコンが確認しながら渡して、持っていてもらうというものです。 ○今野分科会長 ほかに意見はありますか。いずれにしても、いまの点でご意見がありました ので、いまのところVer.1.0なので、バージョンを上げるときに検討していただきたいと思います。 ○山野委員 このジョブ・カードのシステム自体が、これから大変大事なことだとは思っておりま す。新しくこれをされるわけですから、最初にいろいろなことがあるので慎重にやっていただきた いと思いますが、基本的にこのシステムそのものではなく、問題になるのはキャリア・コンサルタ ントの問題だと思うのです。キャリア・コンサルタントの質の問題というか、能力をきちんと検証し て、いま社会保険労務士のようなシステムがあるとおっしゃいましたが、新しくやることなので、 なかなか時間がないかもわかりませんが、キャリア・コンサルタントをきちんと育成して、資格制 度にしていくことも必要ではないかと感じております。  いま問題になっているジョブ・カードへの署名、捺印について、ここに同意したものとみなすと 書かれておりますが、いまの若い人は割と非常識な人が多くて、そこまで考えていない方が多 いので、教えてあげることも我々にとっては必要なことではないかと思うのです。私はそれほど きつい言い方には取らなかったのです。これぐらいのことを受ける人たちに言ってあげる、心構 えとして教えてあげることも必要ではないでしょうか。 ○草野審議官 キャリア・コンサルタントのレベル向上というのはおっしゃるとおりなので、あとで ご報告しますが、これを統一化していこうと、技能検定2級から始めるということで制令を統裁し ております。これはキャリア協議会、キャリア・コンサルタントを養成している民間機関の集まっ たNPO法人で、そこが中心となって統一化を図ろうということを申請してきているので、基本的 にこれを認めて技能検定2級ということで、しっかりしたものにしていく形になっております。その 考え方の背景となる報告書も、資料6-1のところで併せてご説明します。  いまおっしゃったように、きつい言い方ということもあるので、当然キャリア・コンサルタントは仕 事がどういうものかとか、社会はどういうものかとか、そういうことも話しながらやるわけですから、 その中で使い方もやさしく言ってあげることも必要ですので、書き方はそのような趣旨を踏まえ て考えてみたいと思います。 ○今野分科会長 ジョブ・カードの件は、次の段階で報告されるということですが、いつぐらいの タイミングになるのでしょうか。 ○草野審議官 その前に基本計画を作ります。ジョブ・カードセンターができると、センターを中 心にどのようなことをやっているか、あるいは地域でどのような職種についてどうやっているか など、計画を作ります。それが4月か5月かですから、適当な段階を見て、まとめてご報告して いきたいと思います。これは前から申し上げているように、かなり手探り的な面がありますから、 1度に全部揃ってというのではなく、キャリコンにしてもジョブ・カードにしてもそうですし、能力形 成システム、この訓練のやり方も企業がどうやっていくか、その辺りも試行錯誤しながらやらな ければいけないので、随時ご報告してアドバイスをいただき、修正しながらやっていこうと思い ます。折を見て、途中経過の報告などもしたいと思っております。 ○今野分科会長 では、次に報告いただくときに、今日いろいろご意見がありましたので、その 点についてはどのように対応したかをお話いただきたいと思います。 ○中村委員 もし、受講生がキャリア・コンサルタントと相性が合わなくて、途中でこの人の下で 指導を受けたくないといった気持ちがあったときには、変更可能なのですか。 ○草野審議官 求職者の希望で、そのようなことがあれば変更も可能な仕組みにしたいと思い ます。 ○中村委員 そうすると、新しいキャリア・コンサルタントの下に、その人の印象でジョブ・カード が作られていくのですか。 ○草野審議官 そこは、ジョブ・カードのどの段階でそのようなことになったか、状況もお聞きし た上で調整を図る仕組みを考えていきたいと思います。 ○今野分科会長 ほかにありますか。よろしいでしょうか。  それでは、次の議題に入ります。いま審議官からも話がありましたが、キャリア・コンサルタン ト制度のあり方に関する検討会を設けて研究していますので、その報告書についてお話しいた だきたいと思います。 ○田中キャリア形成支援室長 資料6-1「キャリア・コンサルタント制度のあり方に関する検討 会」報告書についてご説明します。先ほど、ジョブ・カードの件でいろいろご意見をいただきまし たが、キャリア・コンサルタントを質・量両面で充実を図ることが非常に重要だと考えております。 そういったことについて検討するということで、昨年9月に検討会を開催し、11月に報告書をま とめ発表しました。  背景としては、先生方はよく理解されていることと思いますが、キャリア形成のあり方を個人 個人が考えていく必要があるということが、1つ大きくなっています。また、ジョブ・カード制度の 中で非常に大きな役割を担っているということで、専門的なキャリア・コンサルタントを質・量両 面で充実を図る必要があることが前提となっております。キャリア・コンサルタントについては、 現在10機関ほどの養成機関で養成が進められています。講習の時間は大体130時間程度で、 試験をして各機関でキャリア・コンサルタントとして認定している状況です。しかし、能力水準は 一定の評価を得ている一方で、レベルのばらつきや全体としての専門性、経験に差があるとい う問題も指摘されておりますし、社会的な認知度もまだ不十分です。キャリア・コンサルタント制 度そのものが、まだ構築の途上にあるという問題点があります。そういった中で、今後の発展 の方向性ということで、ご検討をお願いしたところです。  報告書のポイントのいちばん最初の○ですが、これがキャリア・コンサルタントの基本となる部 分です。自律的なキャリア形成を促進しつつ、問題解決を図り、円滑な就職や職業の安定、キ ャリアの発展・安定を図るという、雇用政策に寄与する部分です。キャリア・コンサルティングは、 個人支援を中心とするのですが、働く者個人と組織との関係を念頭に行う必要があるといった 意味で、内外の組織集団への働きかけを行うことも、キャリア支援の一環をなすと整理されて おります。  2番目の○ですが、キャリア・コンサルティング制度を労働市場インフラとして機能するように 構築することが重要であると。そのためには、専門職としてのキャリア・コンサルタントの能力要 件、評価の仕組みを明確にし、水準の向上を図るとともに、試験の統一化によってキャリア・コ ンサルタント制度をわかりやすいものとして、認知度の向上を図っていく必要があるというまと め方をしております。  その方向性ですが、2頁の1番目の○です。先ほどご議論がありましたが、参入規制を伴う業 務独占資格のような制度ではなく、技能検定のような一定の能力水準にあることを公証するシ ステムを用いてはどうかと取りまとめをされております。そういった意味で、技能検定の中で1 級、2級というレベルを考えていってはどうかと。  また、先ほどご意見があったように、個人情報を扱い、ある意味非常にセンシティブな情報に 触れる部分もあるので、3頁の3番目の○ですが、キャリア・コンサルタントが一人前のコンサル タントとして広く活躍できるようにするために、技能検定制度とは別にキャリア・コンサルタントの 継続的な学習や実践経験を維持し、フォローアップできるようにするための仕組みや、秘密の 保持といった意味で職業倫理を保つための仕組みが必要で、それを実践するための組織を養 成していかなければいけないという整理をされております。 ○分科会長 ありがとうございました。ご質問、ご意見がありましたらお願いします。よろしいで すか。  それでは、7番目の議題「独立行政法人雇用・能力開発機構の整理合理化計画」についてご 説明をお願いします。 ○姉崎総務課長 資料7-1をご覧ください。経緯ですが、皆様もご承知のように、昨年6月の骨 太方針の中で、独立行政法人制度が創設されて6年が経過し、現在101ある独法について原 点に立ち返って見直しをすることになり、昨年秋以降事務的な打合せ、大臣折衝等があって、 12月24日に整理合理化計画が閣議決定されました。  内容は資料7-2、計画そのものは資料7-3です。資料7-2ですが、整理合理化計画の雇用・ 能力開発機構の部分ですが、最初に中核となる業務ということで職業訓練のところが書いてあ ります。指導員の養成・再訓練を行っている相模原の職業能力開発総合大学校ですが、訓練 科の再編、定員の削減等、あり方を抜本的に見直しをしなさいということです。  勤労者財産形成促進業務ですが、支給実績を踏まえて財形融資制度の見直しを行うととも に、組織の移管を図るということで、この業務自体を別の法人に持っていきなさいということで す。  私のしごと館については、運営を包括的に民間に委託し、その上で第三者委員会による外部 評価を実施し、1年以内に存廃を含めてそのあり方について検討を行うこととされました。  ホワイトカラー向けの職業訓練コースの開発等を実施しているアビリティガーデンについては、 廃止をするということです。  雇用促進住宅については、売却業務の進捗状況が十分でないということで、売却業務を民間 に委託するなどにより、売却の加速化を図っていくことが決定されました。  欄外ですが、こうした業務等の見直しにより、全体としてできる限り大幅な職員の削減を図り、 組織をスリム化する。さらに、法人自体の存廃についても1年を目途に検討を行うこととされま した。  資料7-3は計画そのものですが、この整理合理化計画を踏まえ、2つの検討会を設置してお ります。1つは資料7-4で、「雇用・能力開発機構のあり方検討会」です。メンバーは次の頁に 書いてありますが、雇用・能力開発機構が行う職業能力開発施設の設置・運営業務の必要性 について評価を行い、法人自体の存廃を1年を目途に検討を行うということで、こういった方々 にご検討をお願いしました。3月13日に第1回目を開催し、今後月1回ぐらいのペースで開催 し、夏頃に中間取りまとめを行い、年内に最終的な取りまとめをしていただくというスケジュール で進めております。分科会長である今野先生にも、委員に入っていただいています。  もう1つが資料7-5で、「私のしごと館」ですが、これも別紙にメンバーが書いてあります。第三 者委員会による外部評価を実施するということで、第三者委員会として設置をし、3月6日に第 1回の会合を開きました。次回は3月27日に開くことになっていますが、夏頃を目途に運営の 民間委託を実施し、これについても年内に状況を評価し、報告書を取りまとめるというスケジュ ールで検討を進めていきたいと思っております。 ○今野分科会長 ありがとうございました。ご質問、ご意見はありますか。 ○井上委員 機構のあり方については労働組合としても重視しているところです。あり方検討 会がすでに行われているということですが、開催要項の「構成」に「検討会には必要に応じ関係 者の出席を求めることができる」との記載があります。是非、現場の意見をきちんと吸い上げた 上での見直しをお願いしたいと思いますので、要望としてよろしくお願いします。 ○今野分科会長 私から質問なのですが、「私のしごと館のあり方検討会」について委託のス ケジュールと評価の関係がよくわからなかったので。 ○姉崎総務課長 夏を目途に、私のしごと館の運営を包括的に民間に委託するということです。 どこか受託する会社が現れたときに、そこが夏から運営をスタートする。具体的には7月を目途 にしておりますが、7月1日からです。いまは機構の職員が運営をしていますが、その前に入札 をして業者を決めて、7月1日からは運営が民間企業に変わるということです。その実施状況に ついて第三者委員会で評価を行い、存廃を含めてそのあり方について検討し、報告書を今年 の12月までに取りまとめるということです。 ○今野分科会長 7月に委託して、12月31日までに報告書を出して存廃を決めるのですね。 ○姉崎総務課長 はい。 ○瀧澤委員 先ほどの確認事項に少しこだわっているのですが、資料5-4のジョブ・カードにつ いて、先ほどきついと表現をしたのです。あとの発言もよくわかりますが、そこで求めているのは、 この○全部に書いてある確認事項について確認したと言いたいわけですね。その前には嘘を 書いてはならないと言っておいて押印したのだからと、これが違和感があるのです。全体につい て確認を求めるならば、いちばん最後でもいいわけだし、何に対して確認したのかが大事だと。 この位置の意味するところは、この前の嘘をついてはいけないという所にだけかかってくるわけ です。そこに関してきついという思いがあるのです。求めるのであれば、手順も含めて全部意味 するのであればいちばん最後でもいいと思うので、是非それも考慮してお願いしたいと思いま す。 ○今野分科会長 よろしくお願いします。 ○姉崎総務課長 検討させていただきます。 ○今野分科会長 8番目の議題「その他」について、私のほうから簡単にお話します。去年の 11月の2007年ユニバーサル技能五輪国際大会の開催結果の関係資料、資料8とパンフレッ トがありますので、あとからでもご一読いただければと思います。  それでは、今日予定した議題はここまでですが、その他何かありますでしょうか。よろしいでし ょうか。特にないようですので、本日の議事はこれで終了したいと思います。議事録については、 本日の署名は労働者側は大江委員、使用者側は中村紀子委員にお願いします。ありがとうご ざいました。 【照会先】厚生労働省職業能力開発局 総務課 総括係 (内5738)