08/03/24 平成20年3月24日薬事・食品衛生審議会薬事分科会議事録 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録 1.日時及び場所   平成20年3月24日(月) 15:00〜   厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(20名)五十音順 赤 堀 文 昭、 伊 賀 立 二、 池 田 康 夫、 板 倉 ゆか子、 岩 田   誠  大 野 泰 雄、 笠 貫   宏、 神 山 美智子、 河 盛 隆 造、 木 津 純 子、 黒 木 由美子、 竹 嶋 康 弘、 永 井 良 三、 西 島 正 弘、 早 川 堯 夫、 藤 田 利 治、 本 田 佳 子、 溝 口 昌 子、◎望 月 正 隆、 望 月 眞 弓  ◎薬事分科会長    欠席委員(4名)   井 部 俊 子、 佐 藤 光 源、 松 本 和 則、 山 口   徹        3.行政機関出席者   高 橋 直 人(医薬食品局長) 黒 川 達 夫(大臣官房審議官) 中 澤 一 隆(総務課長)、田 原 孝 明(総務課医薬情報室長) 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、俵 木 登美子(医療機器審査管理室長) 山 本 順 二(化学物質安全対策室長) 松 田   勉(安全対策課長) 熊 本 宣 晴(監視指導・麻薬対策課長)  新 村 和 哉(血液対策課長)、植 村 展 生(血液対策企画官) 他 4.備考   この会議は、個別案件は企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催され、個  別案件以外は公開で開催された。 ○総務課長 定刻ですので、ただ今から「薬事・食品衛生審議会 薬事分科会」を開催い たします。当分科会の委員数24名のうち、定足数は13名ですが、既にその数を超える方 が御出席されておりますことを御報告します。  本日の議題のうち、議題1と2は会議を公開とします。公開案件の終了後に個別品目の 審議等へ移りますが、こちらは非公開とします。分科会長、以後の進行をよろしくお願い します。 ○望月(正)分科会長 それでは、始めます。最初に、事務局から配付資料の確認をお願い します。 ○事務局 公開案件の審議事項については、資料No.1、資料No.2-1、資料No.2-2となって おります。先生方に事前に送付した資料に訂正等がありましたので、机上に資料No.1、資 料No.2-1、資料No.2-2をすべて差し替えて配付しております。また、薬事分科会の先生方 には、資料No.1の参考資料として、既に昨年12月に公表されている「血漿分画製剤の製 造体制の在り方に関する検討会」の報告書をお配りしております。その他として、議事次 第、座席表、名簿をお配りしております。本日の公開案件は、審議事項2件が予定されて おります。 ○望月(正)分科会長 早速議事に入ります。議題1、資料No.1「血液製剤の安全性の向上 及び安定供給の確保を図るための基本的な方針の改正(案)について」です。本改正は、薬 事分科会における確認事項の第3項に基づき、血液事業部会での審議結果を踏まえて、薬 事分科会にて審議を行うこととなっております。初めに部会での審議結果等を御報告いた だいた後、当分科会で審議をしたいと思います。血液事業部会長の池田委員から御説明を お願いします。 ○池田委員 現在の基本方針は、薬事法の改正と共に平成15年7月30日に施行された血 液法第9条の規定に基づき、法律の施行に合わせて策定されたもので、血液製剤の安全性 の向上、安定供給の確保、献血の推進、適正な使用などに関する基本的な方向や重要事項 を示したものです。血液事業については、この基本方針に基づいて、毎年度国の献血推進 計画、あるいは需給計画、採血事業者である日本赤十字社の献血受入れ計画が策定された 上で、日々の血液製剤の製造・供給が行われております。また、当分科会に置かれた血液 事業部会において、血液事業の前年度までの実績を踏まえながら、次年度のこれらの計画 について審議して答申をしております。3月12日の血液事業部会で、平成 20年度のこれらの計画について審議しましたので、後ほど事務局の方から報告をしてい ただきます。  このような基本方針があるわけですが、状況の変化がありますので、それにきちんと対 応しようということで、5年ごとに再検討を加えて必要な改正を行うことになっておりま す。平成15年度からちょうど5年が経つ平成20年7月に向けて、昨年12月から血液事 業部会で検討を進めてきました。改正を検討するにあたっては、これまでに献血推進計画 や需給計画が毎年度策定されてきたことから、これらと重複する部分は基本方針には入れ ず、整理をしております。基本方針では、今後5年間に向けた基本的な考え方をまとめて おります。  5年前の血液法改正のときからの検討事項であった血漿分画製剤の製造体制の在り方 については、昨年12月27日の血液事業部会で、森嶌先生を座長とする「血漿分画製剤の 製造体制の在り方に関する検討会」の報告が取りまとめられております。本日お手元にお 配りしておりますが、この検討会の報告内容も踏まえて、国内自給が確保されるための方 策などがそこに書いてあります。さらに、血液製剤の代替薬品が最近新たに登場してきま した。遺伝子組換えのアルブミン製剤が昨年承認されたことについては、皆さんも御承知 かと思いますが、このような血液製剤と代替性のある遺伝子組換え製剤に関する事項を更 新し、研究開発の推進に関する事項の記載もまとめました。  このような改正案について、血液事業部会では12月27日と3月12日に審議をし、委 員の先生方から意見をいただいております。また、2月から3月にかけてパブリックコメ ントの募集もしており、その意見が提出されたことから、これらの意見を踏まえた修正を 行い、本日の分科会にお諮りしたものです。基本方針の改正案の詳細については、事務局 から説明があると思いますので、部会長からは今までの経緯を簡単に御説明しました。 ○望月(正)分科会長 ありがとうございました。それでは、事務局から補足等をお願いし ます。 ○事務局 議題1「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方 針の改正(案)について」、主な改正点を中心に御説明します。  資料No.1を御覧ください。部会長から既に御説明いただいたように、現在の基本方針は 平成15年7月の安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律、いわゆる血液法の施 行に合わせて、法第9条の規定に基づき定められたものです。資料No.1は、1ページが諮 問書、3ページからが御審議いただく基本方針の改正案、19ページから現行の基本方針、 31ページが法律の参照条文となっております。  4ページを御覧ください。目次にありますように、基本方針は前文に続いて法律に基づ き第1〜第8の項目によって構成されております。5ページ以降は基本方針の本文です が、前文の部分は現行から基本的に変更はありません。  第一項「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保に関する基本的な方向」について は、5〜7ページにわたっておりますが、血液法第3条に規定された基本理念である、1. 安全性の向上、2.国内自給の原則と安定供給の確保、3.適正使用の推進、4.公正の確 保及び透明性の向上に沿って文言を修正しております。さらに、血液製剤代替医薬品の取 扱いの項では、安全性や供給の状況等についても、血液製剤と同様に十分な情報を公開す る必要があることを追加しております。また、国民の理解と参加の項では、献血への協力 といった国民の血液事業への参加を促すために、分かりやすい情報の積極的な提供という 記載に改めております。  7ページです。第二項「血液製剤についての中期的な需給の見通し」については、輸血 用血液製剤、血漿分画製剤の原料血漿、免疫グロブリン製剤、アルブミン製剤、血液凝固 因子製剤等について、平成19年の実績などを踏まえながら、平成25年度までの今後5年 間の状況を考察しております。  7〜8ページにかけては、昨年12月27日に取りまとめられて血液事業部会に報告され た血漿分画製剤の製造体制の在り方に関する検討会報告書や、本年3月12日の血液事業 部会に報告された血液製剤需要量の将来予測に関する厚生労働科学研究の内容を反映し たものとなっております。  8ページの3「血液凝固因子製剤等」の最後の一文ですが、現在多くを輸入に依存して いる特殊免疫グロブリン製剤等については、国内自給の方策を具体的に検討していくこと が盛り込まれております。  三「血液製剤代替医薬品」において、8ページの一番下の「なお」以降ですが、遺伝子 組換え第VIII因子製剤については、将来的には国内での製造の可能性も検討する必要がある とされております。また、遺伝子組換えアルブミン製剤については、製造・供給状況を確 認していくことが必要とされております。  9ページです。第三項「血液製剤に関し国内自給が確保されるための方策に関する事項」 の一「基本的な考え方」の5行目ですが、アルブミン製剤、免疫グロブリン製剤等につい ても、平成25年をめどに国内自給の達成を目指すものとしております。なお、アルブミ ンの国内自給については、今後の遺伝子組換えアルブミンの供給状況も影響することに留 意が必要であることを付記しております。国内自給が確保されるための具体的な方策につ いては、検討会報告書の内容を踏まえ、1.献血量の確保、2.国内での製造と供給、3. 医療関係者等に対する啓発等、4.適正使用の推進の項目ごとに整理しております。  10ページですが、第四項「献血の推進に関する事項」については、今後の人口動態を 考慮すると、献血可能人口が減少すると推定されていることから、血液製剤の安定供給に は国民一人一人の一層の協力が不可欠であるとして、献血者を増やすために幼少期も含め た若年層を中心に普及啓発を一層推進する必要がある点を示しております。また、赤血球 製剤の在庫水準を常時把握して、不足の場合に早急な対策を講ずること、あらかじめ災害 時の対応を検討し、献血の確保などの所要の処置を講ずることとしております。11ペー ジですが、その上で、毎年度国が策定する献血推進計画、都道府県が策定する都道府県献 血推進計画、日本赤十字社が策定する献血受入計画の基本的な考え方をまとめておりま す。さらに、毎年度の進捗状況の確認と評価が献血推進施策の見直しにも必要であること を指摘しています。  12ページですが、第五項「血液製剤の製造及び供給に関する事項」については、需給 計画の策定を含め、血液製剤の安定供給の確保のための基本的な考え方を取りまとめてお ります。二「血液製剤の安定供給の確保のための需給計画」において、12ページの一番 下の段落ですが、国内自給の推進の一環として、検討会で議論となった日本国内で採取し た献血に由来する原料血漿をいったん海外へ輸出して、外国の工場で製剤化して再輸入す ることについては、検討会報告書に沿って課題ごとに具体的な検討が必要であるとしてい ます。  13ページですが、第六項「血液製剤の安全性の向上に関する事項」については、基本 的に現行の基本方針と同様ですが、平成15年の薬事法改正後の対応を含め、これまでの 取組のほか、14ページでは、二「迅速かつ適正に安全対策を実施するための体制整備」、 三「血液製剤の使用により感染症の発生等が判明した場合の対応」、四「安全性の向上の ための技術の開発促進及び早期導入」、15ページでは、五「自己血輸血等の取扱い」を まとめています。  15ページですが、第七項「血液製剤の適正な使用に関する事項」については、医療関 係者、医療機関の対応として、院内体制の整備、患者等に対する説明などを掲げています。  16ページですが、第八項「その他献血及び血液製剤に関する重要事項」としては、血 液製剤代替医薬品の安全対策、適正使用などを改めて整理しております。採血基準の見直 しについては、献血血液量の確保と献血者の安全確保を図るために、科学的知見に基づき 専門家の意見を聞きながら見直しを行うことが必要としております。  その他、血液製剤の表示の必要性、研究開発の推進と研究開発等における基準の策定で は、より安全性の高い血液製剤、その代替医薬品、人工血液等の研究の促進と共に、研究 開発で血液製剤を使用する場合の基準の策定を示しております。以上、簡単に基本方針の 概要と主な改正点を御説明しました。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○望月(正)分科会長 ありがとうございました。ただ今の説明について、御意見、御質問 等ありますか。 ○神山委員 14ページの二「迅速かつ適切に安全対策を実施するための体制整備」です が、現行にも同じ文言があります。「国の安全性に関する情報を把握し、その情報を評価 し、安全対策の実施を迅速かつ適切に行う」というその現在の体制は、どのようなことに なっているのでしょうか。 ○血液対策企画官 今、御指摘いただいた部分については、平成15年の基本方針の中に 既に盛り込まれている内容ですが、この基本方針が策定されたときに、平成14年に公布 され、平成15年から施行された薬事法と血液法の改正の内容に基づいて、その対応とい うことで整理されております。平成14年の薬事法の改正、あるいは血液法の改正が、ヒ トや動物に由来する生物由来の感染症等についても安全対策の向上が必要であるという ことからの議論があり、特定生物由来製剤の取扱いを、薬事法でも独立した項目として設 けております。それに付随した安全対策が整備され、現状そのような感染症の報告につい ても私どもの方に報告があがり、それに引き継いで救済制度も整備されたという一連の体 制の整備が図られております。感染症の報告、あるいはそれに付随する遡及調査も、現状 行われている状況です。 ○神山委員 遡及調査というのは、国が行っていることなのですか。 ○血液対策企画官 血液製剤の場合、元の原料の製造は日本赤十字社で行われておりま す。輸血用の血液製剤で感染症の報告があると、輸血用血液製剤を製造・供給している日 本赤十字社で、元の献血者から感染の被害の拡大がないかどうかの確認なども行われ、そ れが報告されている状況です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。ほかには、どなたか御意見はありますか。特に 御異議がないということですので、議決に入ります。それでは、部会の報告を踏まえ、当 分科会としても本改正について適当であると認める旨議決したいと思いますが、よろしい でしょうか。 ○望月(正)分科会長 ありがとうございます。異議なしと認めます。それでは、薬事・食 品衛生審議会規定第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議会の議決と し、厚生労働大臣に答申することとします。答申書の文案、その他の取扱いについては、 私に御一任いただいてよろしいでしょうか。 ○望月(正)分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  次に、議題2、資料No.2「審議参加に関する遵守事項等について」です。事務局より説 明をお願いします。 ○総務課長 資料No.2-1、2-2について御説明します。資料No.2-1「審議参加に関する遵守 事項(案)」ですが、後ほど別の者から内容の詳細を御説明します。私からは、経緯につ いて簡単に申し上げます。  資料No.2-1の8ページを御覧ください。本件に関しては、昨年4月23日に開催された 当薬事分科会において、暫定的な申合せを定めていただきました。同時に、新しくワーキ ンググループを作り、引き続き検討することになったわけです。ワーキンググループは、 ここにある8名の方々にお願いしました。当分科会からは5名の方、外部の有識者という ことで3名の方に参加をいただいております。座長は、望月当分科会長にお引き受けいた だきました。  審議経過ですが、次のページです。6月下旬に第1回目のワーキンググループを開催し ました。その後、この3月までの間に関係団体4団体から聞き取りを行っておりますが、 そういった関係団体の聞き取りも含めて合計8回にわたり、検討会を公開で開催しており ます。この間2度にわたり、パブリックコメントという形で意見の募集を行いました。こ のような経緯を経て、今般このワーキンググループで成案をまとめていただき、当分科会 の申合せ案ということで、本日この分科会にお諮りしたいと思います。  資料No.2-2についても、簡単に経過を申し上げます。これは資料No.2-1の遵守事項に関 連するもので、ワーキンググループからの御意見ですが、現在非公開で開催されている審 議会の議事録については、暫定的に発言者氏名を伏せた形で議事録を公開し、2年経過後 に発言者氏名をオープンにするというのが現状です。このワーキンググループにおける議 論の過程の中で、審議会の議事録についても公開と同時に発言者氏名をオープンにするこ とが適当ではないかとの見解が示されたことから、本日当分科会にお諮りするものです。 詳細は別の者から御説明します。 ○事務局 引き続き、詳細を説明します。資料No.2-1に戻って、「審議参加に関する遵守 事項(案)」です。16ページを御覧ください。暫定ルールということで、現在の申合せの 参考資料6を付けております。御案内のとおり、4月23日にこの暫定ルールに合意いた だき、現在はこの申合せに従って行っております。いわゆる利益相反に関するものですが、 内容としては、過去3年間に審議品目の製造販売業者からの寄付金等の受取額が年間500 万円を超える年があるかどうか、超えていれば審議には参加できないというものです。500 万円以下の場合には審議に参加できるわけですが、議決には加わることができないという のが現在のルールです。ただ、寄附金等が講演・原稿執筆、その他これに類する行為のみ による報酬の場合は、年間50万円以下の場合には議決に加わることができることとして います。寄附金等についてはコンサルタント料等々、いわゆる企業からの経済的関係諸々 のものがすべて入る形で取り扱っております。  このような暫定ルールを作り、今お話したワーキンググループでその内容について検討 してきたわけですが、参考資料5で、14ページの1.に、今回提示する案と暫定ルール との比較をお示ししております。1番目の改正点は、現在暫定ルールは個別の医薬品に係 る審議事項のみがルールの適用対象となるわけですが、厚生労働大臣から薬事法に関して 諮問された案件すべての議決に関するルールを作ろうということになったものです。  13ページの参考資料4ですが、表の左側の「個別事項」になっている部分が、現在の 暫定ルールの適用範囲です。右側は「『個別の医薬品等の承認審査、安全対策に係る審議』 以外の審議」ということで、具体的には薬事法第42条基準の全面改正、あるいは臨床等 々のガイドラインの審議を行った場合で、厚生労働大臣から諮問された薬事法に関する 「一般的事項」の審議ルールです。内容は、個別事項の場合には、先ほど申し上げたよう に500万円を超えるか否かで審議に参加する、参加しないというルールですが、この一般 的事項のルールに関してはいわゆる公開ルールを適用するというもので、寄附金・契約金 等の大まかな受取額の申告はしていただきますが、審議・議決には、いずれも参加してい ただく扱いにしようということです。それが14ページの1番目の内容です。  2番目の改正点は、委員等のほかに新たに参考人として招致した者についても、このル ールの対象としたということです。3番目は、現在の暫定ルールでは委員本人のみですが、 これに生計を一にする配偶者及び一親等の家族、両親あるいは子供も対象としたことで す。  4番目は、現在は申請品目は該当品目のみが対象ですが、これに競合品目、競合企業、 複数ある場合には3社までと限定をかけますが、原則的には競合企業も申告の対象としま した。  5番目は、情報開示です。現在も先生方に申告していただいておりますが、その内容を 厚生労働省のホームページで公表するものです。  6番目は、先ほど申し上げたいわゆる50万円ルールで、対象、名目を講演あるいは報 酬等に限定したわけですが、その対象、名目の限定を外したものです。  7番目は、申告対象期間は過去3年間としておりましたが、会計処理の関係もあります ので、当該年度を含む過去3年度としております。  8番目、9番目は、検討見直しの関係です。今後、新たに外部有識者などから構成され るワーキンググループを設置し、本年末を目途に審議不参加等の基準、運用状況の評価、 必要な改善方策の検討を行うという条項を入れております。そのワーキンググループが終 了した後も、評価ワーキンググループを恒常的に設置し、原則年1回運用状況の評価、改 善方策の検討を継続的に行うという内容が改善点です。 その内容を具体的にどのように書き起こしているかについて御説明させていただきます。 1ページを御覧ください。1.「はじめに」ということで、イントロを入れております。 いわゆる産学官連携活動を推進することが、政府全体としての決定事項であることを書い ております。そのほか、これまでの利益相反、あるいは審議の中立性を高めるための取組 を(2)で紹介しつつ、2ページの(3)では暫定的な扱いを4月に行ったことを御紹介して います。その後、審議経過を御紹介するというのが1.の内容です。  2.として、新たに適用範囲を起こしております。(1)適用対象部会等、(2)適用対象 審議事項が、先ほどの変更点の1番目ですが、厚生労働大臣から諮問された案件等すべて の議決を要する審議に適用するということが加わった部分です。(3)は適用対象委員等 で、参考人を含めて委員等と書いておりますが、これが変更点の2番です。  3番目ですが、平成13年に既に申合せのあった申請資料の作成関与者の取扱いです。 この内容を今般1つの申合せに統一したことから、ここに入れ込んだ形にしております。 内容は、基本的には変わっておりません。加わっている部分としては、4ページの(3) で、申請企業だけではなく、競合品目、競合企業についても申告対象になるということで、 申請資料作成関与者についても、競合品目の部分も取扱いを示した形になっております。 これが変更点の4番目です。  4ページの後段ですが、4.で、これがまさに今回の経済的関係に関する利益相反のル ールです。(1)審議不参加の基準ですが、ここに家族を(注4)として示しております。こ れが先ほど申し上げた変更点で、家族が加わった部分です。競合企業は3社までとなるわ けですが、その3社までを含めて、それぞれの個別企業からの受取額が500万円を超える かどうかで、審議に参加する、しないの扱いをしていこうというものです。  (2)議決不参加の基準ですが、500万円以下の場合には審議には参加できるけれども、 議決には加われないというものです。ただし書ですが、対象の縛りを取っております。申 告対象期間中、いずれも年度当たり50万円以下の場合には議決に加わることができると いう扱いになっております。  (3)は、会の成立のために必要な規定ということで盛り込んだものです。(4)は、報告 対象を年度単位にしたもので、当該品目の審議を行う部会等の開催年度を含め、過去3年 度というのが変更点です。  (5)は特例事項で、必要と認められた場合には、特例として審議に参加することができ るという規定を設けております。  (6)は情報公開の関係ですが、ホームページで申告書の内容を公開するということで す。(7)、(8)は、先ほど申し上げた検討事項ですが、外部有識者及び寄附金・契約金等 の受取実績が過去3年のいずれの年度も50万円以下の委員等をもって構成するワーキン ググループを設置し、審議不参加等の基準等の検討を行うということです。なお、ワーキ ンググループの委員選定にあたっては、医薬品等によって健康を害した者も含めて行うこ とになっております。  (8)は、評価ワーキンググループを恒常的に設置するというものですが、これについて も原則年1回、運用状況の評価、必要な改善方策の検討を継続的に行うことを盛り込んで おります。  最後に「終わりに」を加えると共に、6.は奨学寄附金、その他の寄附金・契約金等は、 そもそも機関経理されているというもので、資金の透明性は高いわけですが、そういう寄 附金・契約金等を受け取っていることをもって、委員等と企業との間に不適切な関係があ るかのように誤解しやすいので、薬事分科会としても誤解することがないよう希望すると いう国民に対してのメッセージをあえて加えております。  資料No.2-2は、「審議会議事録公開の対応について(案)」です。経緯は、先ほど総務課 長からお話がありましたように、利益相反の関係のワーキンググループで議論するにあた り、情報開示が重要だろうということです。委員の先生方から出していただく申告書の内 容については、部会終了後速やかにホームページで公開する方向にしていこうというもの なので、議事録についても、もちろん個人の秘密、あるいは企業の知的財産に関する部分 は非公開ですが、その他の部分は公開と同時に発言者氏名も公表する形にしてはどうかと いうことを、当分科会に上程することになったものです。 ○望月(正)分科会長 ありがとうございました。それでは、まず本遵守事項(案)について 議論いただきたいと思いますが、その前に、前回の分科会において本遵守事項(案)につい て検討する際には、審議・議決の方法をあらかじめ確認しておく必要があるということに なっておりますので、事務局から考え方を御説明いただきたいと思います。 ○事務局 今、会長からお話があったとおりです。本遵守事項の審議に当たっては、そも そも本遵守事項は外部委員も参加して作成したワーキンググループの案を基に、全体的な ルールを分科会委員の総意として申し合わせようとするものであること、本遵守事項(案) の4.の(7)にあるように、今後外部有識者、あるいは寄附金・契約金の受取実績が年間 50万円以下の委員等のみをもって構成されるワーキンググループを新たに設置し、本年 末を目途に本遵守事項の審議不参加等の基準や運用状況の評価、必要な改善方策の検討を 行うことになっているわけです。したがって、本ルールも、まだ暫定的な意味合いがある のではないかと考えられること、さらに本遵守事項が合意されるまでの間は、いわゆる暫 定ルールにのっとって運営されているわけですが、個別事項の審議の場合には、申告金額 に応じて議決に参加する、あるいは審議・議決に参加する、しないの判断をするわけです が、今回のような一般的事項の審議の場合には、そもそも適用するルールがないことから、 その必要がないのではないかと思われること。以上の点を考えれば、本薬事分科会におい ては、本日御出席の委員全員が参加した形で審議・議決を行ってもよろしいのではないか と考えております。 ○望月(正)分科会長 ありがとうございます。ただ今説明があったように、本分科会にお いて審議及び議決を行ってよろしいというお考えを示されたわけですが、これについては いかがでしょうか。 ○永井委員 この問題はなかなか難しいところがあって、ワーキンググループでも大分議 論されました。そもそも自主的な申合せということでこの問題を決めていいのかどうか、 つまりいろいろな形で寄附を受けている委員が決議すること自体、利益相反と疑われかね ないということで、非常に慎重な対応が必要だろうと思います。特に、この線引きあるい は寄附金の中に何を入れるかも、本当に当事者を入れて決めていいのかどうかが問題にな る可能性があると思います。ワーキンググループでもそのことは議論され、当事者は外れ た方がいいのではないかという議論があったわけですが、状況を知っている人に加わって ほしいということで、ワーキンググループについては私自身も参加する形で議論が進めら れました。  一番の問題は、寄附金の中に何を入れるかについてです。パブリックコメントの中でも いろいろな意見がありましたが、例えば教室員が受けている寄附金も、その委員の寄附金 としてみなすべきではないかとの意見もあるわけです。我々としては、いろいろな意味で 疑念を持たれないようにするのであれば、厳しくしてもやぶさかではないのですが、一方 でそれはもう少し先に検討しましょうとか、入れなくてもいいのではないかという意見も 出てくるわけです。そうすると、これはある意味では申合せ事項の緩和の方向に向かうわ けですが、緩和する場合に当事者がいていいのかということになるわけです。  そういう意味で、私個人的には申合せというよりも、むしろ外部の方に決めていただい た方が非常に気が楽ですし、そこに参加する人たちの立場も守りやすいのではないかと思 いました。特に、審査委員は自分たちが立候補してなっているわけではないのです。ある いは、委員長に任命権があるわけではなく、あくまでも厚生労働省から委任されて任用さ れているので、できれば任用基準として決めていただいて、そこに参加する人たちがそれ を守る方が分かりやすいのではないかと思います。  しかし、余り急激な厳しい案が出てきたときに、審査が止まる可能性もあるし、今の委 員も場合によっては交代することになろうかと思います。そのような混乱を避ける意味で は、先ほど御説明があったように、一種の暫定案という位置付けで自主的な申合せをする のであれば、ある程度納得できるかなと思いました。恐らく年末には新しい審査委員が決 まると思うので、そのような方たちを選ぶときには、外部の方、あるいは研究者であって も寄附金を受けていない人たちを中心として基準を作っていただいて、それがこの検討の 意味だと思いますが、それを設置することによって、もう1度来年から新たな体制、枠組 みの中で審査を進めるということで、私自身理解してワーキンググループの案をまとめま した。 ○望月分科会長 ただ今、永井委員がこれまでのワーキンググループの中での議論をまと めて御説明くださったと思いますが、今回はこの遵守事項(案)を出して、新たに作るワー キンググループで本年の末を目途にきちんとした規定を作り上げようということで、今回 はまだ暫定的な意味合いが深いということです。この点に関してはいかがでしょうか。 ○岩田委員 今の永井委員の御意見はもっともだと思います。私はついこの間ある雑誌に 書いたのですが、日本人が規則を重視しすぎて、実際の問題点を規則さえ守っていれば平 気だと理解されがちだと。まさにこういうことが今問題になっているのだと思うのです。 例えば、裁判などではきちんと誓約書があって、公正にやりますと誓ってやるわけです。 幾ら調べてみても、私も臨床の畑にいますから、調べれば調べるほど議決には加わらなく てもいいことになってしまうわけです。そのようなことをするよりは、むしろ誓約書を取 るといった形でやるべきではないかと思うのです。もちろん、これはルールがあった上で やることになるのでしょうが、そのような形で、各委員が公正にやるのだという姿勢をき ちんと示すことがないと、今、永井先生がおっしゃったように、自分たちでこれだけのこ とをクリアしていればいいだろうと、みんなで考えていると取られかねないと思います。 この委員会の外に対する一つの姿勢を示すものですから、私は永井委員のおっしゃったこ とは非常に大事な問題ではないかと思います。もう少し我々の態度を示すようなことをす るのか、あるいは厚生労働省側からそういうことを示してもらうか、どちらかが必要では ないかと思います。私は両方必要ではないかと思っています。 ○望月(正)分科会長 今回の分科会においては、今いろいろ御発言がありましたが、この 暫定案に近いものについて全員で審議するということでよろしいでしょうか。 ○望月分科会長 それでは、議決の方法についてはお認めいただいたということで、続い て遵守事項(案)の内容について御検討いただきたいと思います。ご意見をいただけますで しょうか。 ○赤堀委員 5ページの特例の項になります。パブリックコメントでも、この特例は認め るべきでないと書かれていたのですが、(5)では「当該委員等が審議又は議決への参加を 希望し」となっております。これは委員本人が希望した場合ということになりますが、本 来なら、部会あるいは調査会でその委員の発言を求めたいときに参加してもらうのが筋で はないかという気がしたのです。その辺りの検討はいかがでしょうか。 ○事務局 (5)の前段の部分は、確かに委員本人が寄附金・契約金の性格等から考えて、 参加の正当性を訴えて希望する場合です。後段の「又は」以降ですが、当該委員等の発言 が特に必要であると部会等が認めた場合も参加することができるということを残してい るので、両方の面で特例措置が必要ではないかということです。今回500万円ルールが暫 定的に始まるわけですが、専門家の先生方に集まっていただいて御議論いただきました が、どうしても専門性の高い領域の薬を審議するとき、場合によっては余人をもって代え 難しという先生も当然おられると思いますので、このような特例措置は必要ではないかと の御議論の結果、この特例措置が入ったわけです。 ○望月分科会長 あくまでも特例ということで、例外的なことと考えておりますが、よろ しいでしょうか。 ○池田委員 先ほどの永井委員、岩田委員のお話に戻りますが、遵守事項の案は、先ほど おっしゃったように暫定案の形で内容を議論するということだと思いますが、今後も分科 会の申合せの形でルールを作っていくのでしょうか。分科会の申合せというと、分科会の 委員が最終的に納得して進めていると取られるのではないかと思うのです。今回の遵守事 項の「終わりに」で、産学官連携の活動は国全体が推進しているものであるということと、 「寄附金・契約金を受け取っていることをもって、委員等と企業との間に不適切な関係が あるかのように誤解することがないように希望する」と書いてあるのですが、利益相反が あるから悪だというわけではないのです。表現の仕方、つまりどういう見え方をするかが 一番大事だと思うのです。その見え方は、見る方が多様なので、今回取りあえずの暫定ル ールを決めましょうといういことで構わないと思うのです。そうでないと審議が進まない ですし、審議は滞らせるわけにはいかないので、それはそれで私は構わないと思うのです。 ただ、今後も委員の中の申合せの格好でいくのかどうか、また、ある程度ルールがあって、 厚生労働省の方から任命していただく形も一つの取り得る形ではないかと思うので、その 点をもう一度確認をしたいと思います。 ○事務局 現在申合せの形でこの場に上程しているのは、今も治験に関与した先生方の審 議の参加の扱いは申合せの形でルール化されていて、それを私どもも踏襲したということ です。ただ、今池田先生がおっしゃったような問題認識も当然ありますから、これは今回 の案の中に書いてある次のワーキンググループで、どのような決め方がいいかということ も御議論していただければと考えております。 ○望月(正)分科会長 よろしいでしょうか。次のワーキンググループはその点も含めて検 討していただくことになっているということです。 ○藤田委員 注5ですが、私自身としても寄附金・契約金等についてのルール作りは必要 だと思っています。その上で、新しく注5になったわけですが、個人の報酬と機関経理が なされる教育研究費が同じ項目で作られています。どうしてこれが同じなのか、理由をお 聞かせ願いたいというのが論点です。  欧米の例が引かれておりますが、アメリカでは寄附金と研究費に限定して10万ドル、 報酬は5,000ドルという具合に二つを分けておりますし、欧州では寄附金・契約金は除外 した上で5万ユーロとなっています。欧米では、個人の収入と機関経理、ある意味では透 明性のある寄附金等が分けて規定されているかと思うのですが、ここでは同じように扱っ ています。つまり、個人の収入という誤解を助長する書き方になっているのではないかと 思っています。 ○望月(正)分科会長 この点については、6ページの6.にも出ていますが、ワーキング グループでも一番大きい議論の内容です。各委員からそれぞれのお考えでいろいろ言って いただいたのですが、決して奨学寄附金とほかの普通の収入と同じに考えるのではなく、 6.に書き表しきれないと言われるとそのとおりなのですが、今後考えてということをこ こに入れようと、この形にまとめたつもりなのです。ワーキンググループの先生方は皆そ のような意識を持っていて、全く奨学寄付金とほかの収入を同じに考える気はないと私は 思っております。ほかの委員で、特に笠貫委員がその点について非常に強く発言されたの ですが、いかがでしょうか。 ○笠貫委員 日本における規制と利益相反の問題は、国民の健康維持・増進のためにある ということを大前提に置いた場合に、より早く良い薬、機械を認可するという要望と、そ の安全性を担保するということ、そこに一方では国策としての産学官連携というものがど のように国民のコンセンサスを得られるかが、一番大事だというように感じておりまし た。  その中で寄附金というものについての文化が、日本ではまだ十分な国民のコンセンサス が得られていないと今回の過程で感じました。  第1回のパブリックコメントで出したときには、奨学寄附金というものを別に扱いまし たが、これについてメディアを含めた国民の十分な理解が得られませんでした。これから 日本が、産学官連携の活動というもので、医学、医療の進歩を目指すならば、寄附金につ いての国民のコンセンサスをどう醸成していくかということは重要な課題だとパブリッ クコメントの1回目を見て感じました。それが今回のこういった形のまとめになったのだ ろうと思います。  これがベストだということではなくて、今回が暫定的な意味合いだとしたら、次回のと きにはさらにそれを深める評価ワーキンググループでは、更に改定を含めて検討を進めて いくことになっています。それを一歩一歩国民のコンセンサスを醸成していく努力は常に 進めていくことが必要なのだろうと思います。その過程の中で、先ほど永井委員からも御 指摘があった、国民から疑念を持たれないようなスピード感で、徐々にコンセンサスを得 たいと感じました。  もう一つ、寄附金に関する国民の理解、あるいは奨学寄附金を受け取る側、それを出す 側の意識の問題というか、共通言語がないということを含めて、ワーキンググループの中 で、表現の仕方をどうするかの第一の解決策は、ディスクロージャーをどうするかという ことだと強く感じました。しかしディスクロージャーの意義付けについての受取り方が、 それぞれ国民各層によって違うことも強く感じましたし、これも寄附金についてのコンセ ンサスを醸成していくと同時に、ディスクロージャーの意義付けを国民的なコンセンサス として醸成していくことが、これからの課題だと思いました。そういう意味で私は、先ほ どの表現の仕方は、今回はまず第一段階なのかという認識で、これが十分だとは感じてお りません。 ○望月(正)分科会長 ただ今の説明にもありましたが、もし必要であれば藤田委員が指摘 されたような点もある程度含めたような寄附金とか契約金のそれぞれの意義というもの を、もう一度考えるということですね。 ○藤田委員 私が言いたいのは、アメリカではダブル・スタンダードでやっていて、報酬 と奨学寄附金的なものというのは違う基準でやっているということです。EUの方では寄 附金的なものは除外しているが、日本は報酬も奨学寄附金も同じというのはいかがか、と 言っているわけです。ですから、2つの基準を設けるのには、私は賛成なのです。ディス クロージャーしていくというのには全く賛成なのですが、同じ基準でいいのですか、とい うことを申し上げています。 ○望月(正)分科会長 将来的にはそういう方向に進めたいのですが、現段階では同様に扱 わざるを得ないという形でこれを考えていただきたいのですが、事務局からコメントはご ざいますか。 ○事務局 今の御指摘部分ですが、藤田先生が御指摘の部分というのは、アメリカの現在 のルールというのは御指摘のとおり寄附金・契約金は10万ドル、あるいは報酬は別の基 準という形になっているわけですが、これに対してアメリカにおきましては、ダブル・ス タンダードというのは逆に分かりにくく、不透明であるという批判があり、御案内のとお り現在示されているガイドラインの案はまだ案ではありますが、そういうものを全部一つ にまとめて5万ドルという基準で扱おうということで、今議論は進んでいます。今回ワー キンググループで議論を進めていく中でも、いろいろ区別しようという議論もあったわけ ですが、先ほど笠貫先生からの発言にありましたように、区別することの理解がなかなか 得られなかったということもあります。したがいまして、取りあえず今回はまとめてとい うことで、ワーキンググループとしてまとめていただいたものと理解しております。 ○望月(正)分科会長 いかがでしょうか。では、溝口委員お願いします。 ○溝口委員 今のことに少し関係ありますのでお聞きします。今後の検討するワーキング グループということが5ページに書いてありますが、ワーキンググループというのは私 は、現状を良く知っている現役の人にも御参加いただいて、検討していただきたいと考え ております。しかし、ここに書かれているものを読みますと、今の審議不参加よりももっ と厳しくなっています。その審議の不参加に関しましては関連企業だけだったのですが、 これはそれがありません。いずれの年度も先ほどの奨学寄附金、それから講演料とか、そ ういうものを全部入れても50万円以下ということになりますと、これがクリアできる方 はもちろんいらっしゃるでしょうし、そういう当事者がいない方がいいとは思います。  今現役で臨床医学、薬学に関わっている人でこれをクリアできる人がいなくなって、各 職種から適正な人を選ぶことができなくなるのではないかということを心配しておりま すが、いかがでしょうか。 ○望月(正)分科会長 ただ今の点に、コメントはございますでしょうか。一応参考人とい う形では現役のお医者さんにも入っていただくことは考えているのですが、決めるときに はやはりいろいろな議論の中で、その方々を含めて決めるのは不可能であろうというの が、医師の先生方の委員の御意見でしたので、こういう形にさせていただいたのです。  ということでよろしいですか。ですから、決して現役の方の意見を聞かないということ はないのです。ここでこれだけを見るとそう読めるかもしれませんが、非常に活躍されて いる方を、参考人として入れるということはあります。 ○溝口委員 それでしたら、ここに参考人としてそういう方を入れる文言を書いていただ いた方がいいように思いますが、いかがでしょうか。 ○永井委員 そういう点の緩和も含めて、当事者以外の方からそういう案を出していただ きたいと思います。自分たちでそれを決めるということ自体が、利益相反の可能性がある ということだと思います。 ○望月(正)分科会長 ここでは出しにくいということなので、このワーキンググループは 当然出してくれるだろうということですね。変な説明ですが。神山委員どうぞ。 ○神山委員 先ほど藤田委員がおっしゃった奨学寄附金の問題なのですが、これはワーキ ンググループで二転三転していきましたが、私のような部外者から見ますと、そもそも奨 学寄附金というものが一義的ではないというところに問題があるような気がするわけで す。金額もものすごく高いものから低いものまであって、割り当てられたものは飲み食い には使ってはいけないが、基本的に自由に使っていいというような話を聞くと、それと報 酬というのはどう違うのかというところが分りません。  もう一つは、研究寄附金というのも機関経理されているわけですが、これを除外すると いうことが分かりません。パブリックコメントではこれも除外するべきだということはあ りましたが、委員の中からはそういう意見もないのです。そうすると、機関経理されてい るというだけで、2つを分けるということがまた分かりません。ですから、どこかに線を 引くというのはものすごく難しい問題なのです。  そもそもは寄附金とは何かというところが分からない、というところに一番大きい原因 があるような気がしました。ですから、各大学やいろいろな団体で、寄附金というものは こういうもので、奨学寄附金というのはこういうものでこのようにしか使ってはいけない というようなきちんとした統一的なルールを作ってくだされば、外しやすいのかなという 気がします。  私も最初は外すことに賛成をしていたのですが、途中から外さないで入れることに転じ てしまったわけですが、それはこんなにいろいろな種類があるという資料を添えたパブリ ックコメントが出て、それを見て、なるほどそちらの方が正しいかなというように傾いた という経過がありました。 ○望月(正)分科会長 ほかにはどなたか御意見ございますか。 ○溝口委員 少し細かいことになりますが、よろしいでしょうか。 ○望月(正)分科会長 はい、どうぞ。 ○溝口委員 7ページの注4の「家族」についてですが、これまでは本人だけでしたが家 族が入るようになりましたので、確認させていただきます。「生計を一にする」というの がとてもあいまいで分からないのですが、扶養家族ではないわけですね。例えば成人した 子どもが同居していた場合とか、配偶者でも単身赴任で別の所で暮らしているという場合 もあります。  「生計を一にする」を拡大解釈しますと、子供、あるいは配偶者が、薬品の製造販売の 企業に勤めていることもあるかと思いますが、そうなりますと、1ページの委員を任命す るときも考えた方がいいのではないかというような考えも出てくると思うのです。この生 計を一にするというのは、どの程度のことを言っているのか、教えていただきたいのです が。 ○望月(正)分科会長 事務局から御説明はございますか。 ○事務局 これはいわゆる税金などを申告するときに生計を一にするという概念は既に 使われていますので、実行上は対応可能ではないかと考えています。同じ屋根の下に住ん でいれば、生計を一にしているケースが多いと思いますが、財布が完全に独立していれば、 それは一にしないということとなります。 ○溝口委員 大分分かってまいりました。同じ屋根の下に住んでいても、独立して生計を 立てて税金を払っていれば、配偶者でもいいという解釈でよろしいのでしょうか。何かの ときに拡大解釈をされて駄目と言われるなど、後から罰せられるのが一番困ります。 ○事務局 所得税の関係で、生計を一にするというのはもう明確に法で規定されておりま す。必ずしも同一の家屋に起居していることが条件ではないということになるのですが、 勤務、あるいは就学、療養等の都合で、住む所は別であっても、例えば夏休みとか余暇の ときには戻ってくる場合、あるいは仕送りをしているような場合、また、生活費と学資金、 療養費等の送金を行っている場合は生計を一にするということになります。  逆に同一の家屋に住んでいる場合には、明らかに独立した生活を営んでいると認める場 合は、同じ家屋であっても生計を一にはしないというようになっています。これは所得税 の関係で、控除対象配偶者、あるいは扶養親族を考える場合の概念として、通達も出てい ますので、基本的には同じ扱いで考えていただければよろしいかと思います。 ○望月(正)分科会長 ここの分科会では、これ以上議論しなくてもいいような気がするの ですが、よろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。 ○神山委員 「終わりに」の後の6.ですが、これは、です・ます調にするという話では なかったでしょうか。国民の皆さんへの呼びかけなのだから、終わりにから独立させて、 です・ます調にしましょうという話だったような気がしているのですが。 ○望月(正)分科会長 いかがでしょうか。そういう方向でよろしいですか。 ○事務局 薬事審議会から国民へのメッセージということですので、格調を持たせるとい う意味で、あえてです・ます調ではなく、こういう表現にしたわけですが、委員の皆様方 がよろしければ、です・ます調に替えることはやぶさかではございません。 ○望月(正)分科会長 このまま出ると、国民へのメッセージとしては伝わりにくいという ことで、です・ます調にしたらということを話したと思うのです。  ここはです・ます調ということも含みますが、先ほどの寄附金や契約金の意義付けにつ いても、少し文章を加えた方がいいということも含まれると思うのですが、その点につい ては事務局で何か提案はございますでしょうか。 ○笠貫委員 寄附金・契約金と産学官連携についての国民への理解と、専門家の英知を集 めてより良い審議を、という二つのことから、国民のコンセンサスをどのように醸成して いくかという意味では、会長がおっしゃいましたように、この最後の所で国民に向けての メッセージとして、誤解をすることのないように希望するだけではなくて、このような寄 附金・契約金等の意義について共に認識することが重要だと思います。先ほど神山委員が おっしゃいましたように、共通言語と共通認識がないところに大きなインフォメーション ギャップがあると思いますので、そういうことを含めて、委員と企業のあるべき関係を共 に構築していくのだというようなメッセージをこの中に入れていただきますと、次のワー キンググループにつながりが出るのではないかと思います。御検討いただけないでしょう か。 ○望月(正)分科会長 いかがでしょうか。事務局で御提案をいただけますか。 ○総務課長 今の先生のお話をその場でお聞きしながら書いてみますと、例えばこんなこ とでしょうか。6番ですが、元の文章の5行目の真ん中の辺りに「も含め」とあります。 その後に「寄附金・契約金などの意義について認識を深め、委員等と企業とのあるべき関 係を共に考え構築していくべきものと考える」として、その後は元の文章を活かしまして、 「少なくとも単に寄附金・契約金等を受け取っているうんぬん」ということでつなげてみ ました。これは一案ですが、いかがでしょうか。 ○望月(正)分科会長 よろしいでしょうか。そのような形で修文していただきます。あと、 です・ます調でいくか、である調でいくかというのは格調の高さと国民へのメッセージ、 その辺りを事務局の方で考えて作っていただくということでよろしいですか。  それでは、ほかの中身について、板倉委員お願いします。 ○板倉委員 この検討について素人の立場では、よく分からないというのが実感です。医 薬品ではありませんが、実際に私自身もテスト等に関わっています。実験というのは非常 にお金がかかるものなのです。特に医療関係ですと、いわゆる人体実験というと言葉が悪 いかもしれませんが、そういうことがありますと、当然治験を受けてくださる患者さんへ の費用などいろいろな費用がかかるわけです。そのような当然必要になる費用が積み重な っていけば、金額は非常に高くなるということ自体を、多分一般の方は、理解されていな いだろうと思います。  今、日本では薬がなかなか許可されない状況についても、余り認識がないので、こうい う中でうたっていただかないと、問題点が何であって、なぜこういう検討をしていて、な ぜこのような意見になっているのかという道筋が全然見えないのです。私も御説明を見て も、自分としてどのようにこの場で消費者サイドから見た発言をしていいのか、実際のと ころは分からなかったのです。  一方、例えば今回対象が、生計を一にするというような対象まで入ってきたので、一見 非常に厳しくなっているようなイメージもあるのですが、悪いことをしようと思えば、例 えば生計を一にしない人に払ってもらうとか、例えば自分の講座の学生にお金を渡すよう な形にして、最終的にはその人からお礼というような形でバックしてもらうとか、幾らで も悪いことをしようと思ったらできる状況があると思うのです。ですから、ある程度身を 正しくしていなければいけないことは示さなければいけないと思いますが、単に厳しさを 増していくだけではなくて、透明性をどのように確保するかが重要だと思います。結局の ところは言ったことがフェアであるのか、アンフェアであるのかというのを誰もが見るこ とができて、それをきちんとチェックできるような体制になっていることの方が、むしろ 重要なのではないかという気がしたのです。  先ほどの特例の(5)に、「当該委員等が審議又は議決への参加を希望し、寄附金・契約 金等の性格、使途等の理由書を添えて申し出、その申出が妥当であれば」ということがあ りますが、こういったことが分かるように公開されていれば、私たちはその方々の審議を 疑わないわけです。その辺りは非常に手間はかかるだろうと思いますから、どこまで要求 するのかは難しいと思いますが、フェアにできていることをどのような形で示すかという ところも含めて考えていただく方が、よろしいのではないかと思います。 ○望月(正)分科会長 これからできるワーキンググループの仕事の大きいポイントは、結 局透明性をきちんとして、それでその上に寄附金の意義付けというのもはっきりうたうと いうことですね。  最初に言われました日本の医薬品開発において産官学連携が必須であるということは、 この前文の所に書いてあるのですが、やや硬いということですね。読んでいただいて、も し硬すぎるようでしたら、少し修文させていただきます。笠貫委員、どうぞ。 ○笠貫委員 私は今の御指摘は大変大事なことと思うのです。科学者の倫理性と自律性を 明文化して、それがディスクロージャーということでやるというのが、私は特例の(5) だと思います。  最初の前文にも書いてあるのですが、最後の国民へのメッセージの所で、先ほど寄附金 ・契約金等の意議についてという所に、「寄附金・契約金等の意義及びその透明性の意義 について理解を深め」というように入れていただけると、前文と最後に国民へのメッセー ジということで、私は更に次のステップに踏み込めるかなという感じがしますが、そこま で国民のメッセージへ入れるのはいかがでしょうか。御検討をいただければと思います。 ○望月(正)分科会長 ただ今の御提案について、いかがでしょうか。方向としてはよろし いですか。  遵守事項(案)についてお認めいただくことになるのですが、この適用の時期ですが、こ れから競合企業の選定などいろいろありますので、これを関係企業に周知したり、また審 議会の委員等へも周知徹底する必要がありますので、適用時期は新年度、今度の5月から とさせていただくのはいかがでしょうか。  それでは、その方向で進めさせていただきます。以上を含めて本遵守事項を申合せとし て決定させていただくことについては、よろしいでしょうか。  ほかによろしければ承認可、として報告とさせていただきます。  次に議事録の公開の件ですが、先ほどの説明のとおりでいかがでしょうか。よろしいで しょうか。 ○赤堀委員 この提案に対しては全く異存はありません。ただ私どもの動物用医薬品等部 会では、委員の先生方の御意見を全く聞いていないものですから、この場でそのまま決め ていくということではなく、少し時間的な猶予をいただけると大変有り難いと思います。 ○望月(正)分科会長 分かりました。それでは、ただ今の御意見も含めまして、薬事分科 会としては、この方針を基本的に御了承いただいたというものにいたしますが、今後念の ため各部会の先生方にも御意見を伺いまして、必要があれば調整を行うということをお認 めいただきたいと思います。  さらにその後についてですが、本方針をできるだけ早く実施に移すことができるよう、 総会の委員には文書等でお諮りするという形にしたいのですが、これについてはよろしい でしょうか。  それでは、本件については今後の進め方も含め、御了承をいただいたものといたします。  以上で公開案件は終了しましたので、以後の議題は非公開とさせていただきます。傍聴 者の皆様は御退席をお願いします。次は、大体4時30分頃をめどに、非公開会議の開始 としたいと思いますので、よろしくお願いします。 ── これより非公開 ── ○望月(正)分科会長 再開いたします。まず、事務局から配付資料の確認と、資料作成、 寄附金等に関する申出状況について報告をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。審議事項については、資料No.3です。報告 事項につきましては、資料No.4〜資料No.24となっています。その他当日配付資料として、 先ほど申し上げました議事次第、座席表、名簿のほかに、文書報告の資料は既に先生方に 送付しておりますが、お手元には参考までに文書報告一覧を配付しております。  続きまして、平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づく資料作成に関与した委員 はいらっしゃいません。また、昨年4月23日の薬事分科会申合せに基づく寄附金等に関 する申出については次のとおりです。議題3、医薬品アログリセムカプセルについて退室 委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は池田委員でございます。本日は審議 事項1件、報告事項21件が予定されております。以上です。 ○望月(正)分科会長 議事に入ります。議題3、資料No.3、「医薬品アログリセムカプセ ル25mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審 査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」であります。  本品目は、既承認の類似薬がない新有効成分を含有する医薬品に関わる事項ですので、 薬事分科会における確認事項第3項に基づき、医薬品第一部会での審議結果を踏まえて、 薬事分科会にて審議を行うこととなっております。  初めに、部会での審議結果等を御報告いただいた後、当分科会で審議をいたしたいと思 います。それでは、医薬品第一部会長の永井委員から御説明をお願いいたします。 ○永井委員 資料No.3-1及び資料No.3-2、アログリセムカプセル25mg、ジアゾキシドとい う物質について概要を御説明いたします。後ほど、詳細につきましては事務局審査管理課 から御説明いただきます。  対象となる疾患は高インスリン血性低血糖症であります。新生児、乳幼児に発症する、 インスリンが過剰に産生される状態で、低血糖を起こします。発症から治療開始までの時 間が予後を左右すると言われ、早急に適切な治療が行われない場合には死に至る、あるい は永続的な脳障害によって知能障害、運動障害を残す重篤な疾患であります。国内の患者 発生数は年間約30名と推定されております。  この有効成分ジアゾキシドは、国内の治療ガイドライン、海外の代表的な教科書では、 第1選択薬に位置付けられております。作用機序は、膵β細胞の細胞膜ATP感受性Kチ ャネルの活性化によるインスリンの分泌抑制とされております。  海外では、1972年にドイツ、フランス、南アフリカで承認されており、それ以来2007 年12月現在で9か国で本剤が承認されております。国内では、既承認薬は存在しており ません。  開発の経緯ですが、我が国では1968年に小児科医らから要望が出され、個人輸入によ り、本剤の無償提供が開始されました。1974年に日本小児科学会から、当時の厚生大臣 宛に要望書が提出され、当時、日本のエッセクス日本株式会社がこの薬剤の承認申請を 1978年に行っておりますけれども、非臨床の追加データを求められたことを主な理由と して承認申請は取り下げられておりました。  一方で、1998年から始まった厚生科学研究で、日本小児内分泌学会薬事委員会は、こ の薬剤を承認すべき最優先の薬剤と位置付け、2005年に開催された第4回未承認薬使用 問題検討会において、本剤のエビデンスは国際的に確立されており、国内の使用実績も学 会によってまとめられているということから、新たな臨床的懸念がない限り、非臨床試験 を追加すべき状況ではなく、国内の治験が早期に開始されるよう検討されるべきであると いう結論が出ております。  これを受けて、申請者は□□年□月に国内第II相試験を開始し、現有の資料をまとめ、 2007年3月に製造販売承認申請を行っております。2007年5月には、本申請は優先審査 の対象となっております。本剤については去る2月22日の医薬品第一部会で審議した結 果、投与全症例を対象とした長期使用成績調査の実施を条件に、承認して差し支えないと いう判断に至りました。  実際には剤形の問題等があり、カプセルを割って用量を調整しないといけないというこ とがありますけれども、それは薬剤師がきちんと対応するということ、また、患者数もそ れほど多いわけではないということで、早期にこれを実用化できるようにした方がいいと いうことで承認ということになりました。  事務局から、もう少し詳しい説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.3-1、資料No.3-2、アログリセムカプセルの審査の概略について、臨床試 験の成績を中心に御説明申し上げます。本申請に際し、評価資料としては国内第II相試験 の成績のほか、参考資料として国内ガイドライン、海外の教科書、公表論文が提出されて います。  本剤の有効性については、23例を対象とした国内第II相試験において、有効性の評価 項目である空腹時血糖値、インスリン値及びHbA1cの平均値が、いずれも12週間の投与 期間中正常範囲内に維持されたことから有効性が示されたと判断しております。  また、安全性については国内第II相試験において、副作用が2例に3件認められました がいずれも軽度であり、また死亡例や有害事象による投与中止例も認められなかったこと から、大きな問題はないものと判断しております。しかしながら、日本人での検討症例が 極めて限られていること、本剤は長期にわたって使用される薬剤であることなどから、本 剤の投与全症例を対象に、製造販売後調査を実施し、長期投与時の安全性及び有効性に係 る情報が収集される予定となっております。  以上、総合機構の審査及び医薬品第一部会での審議の結果、本剤は高インスリン血性低 血糖症に対する有用性が認められ、投与全症例を対象とした長期使用成績調査の実施を条 件に承認して差し支えないと判断し、薬事分科会で審議されることが適当との判断に至り ました。なお、再審査期間は8年、原薬及び製剤は劇薬に該当し、特定生物由来製品又は 生物由来製品には該当しないこととされております。  説明は以上です。御審議をよろしくお願いいたします。 ○望月分科会長 ただ今の説明について、御意見、御質問等がございますでしょうか。 ○望月(眞)委員 余り大きなことではなかったので何もなければいいのですが。添付文書 案が1-8-1に付いているのですが、1ページの右側の段落の一番上に使用上の注意という 項目があり、1番として慎重投与の中に(1)の心予備能が低下している患者の中に「注1) 注意-医師等の処方せんにより使用すること」というのが、わざわざここに書いてある理 由が分かりません。一般的に処方せん医薬品ということで規制区分がなっているものにつ いて、わざわざなぜここに書いたのかが私にはよく分からなかったのです。 ○新薬第四部長 お答えします。添付文書案というタイトルの下に、「規制区分処方せん 医薬品注1)」と書いてあり、それの説明書きなのですが、これは明らかに誤植ですので、 位置をその一番上の欄のタイトルの下の方に移すように直させます。 ○望月分科会長 ミスプリントであったので直すということです。 ○木津委員 教えていただきたいのですけれども、薬剤師がカプセルを外し、分割して投 与するのだと思うのです。カプセルを開けたときの製剤の安定性とか配合の問題について 資料を探してみたのですけれども、そういう部分については検討していないのでしょう か。実際に非常に微量になったときに、いろいろなもので賦形しないと患者に渡すことが できないと思うのです。  例えば、乳糖と混ぜて大丈夫であるとか、現場の薬剤師から非常に問い合わせが来るの ではないでしょうか。症例数が少ないので問題は少ないのかと思うのですが、もし試験が あれば教えていただければと思います。 ○事務局 総合機構からお答えします。残念ながらそのような安定性試験を特別にやった ということはありませんのでデータはありません。ただ、現在まで患者に対し、既に何十 年にもわたって提供されていて、その中でカプセルを開いた状態での使用経験もあります ので、現場で特に混乱はないのではないかと思っております。 ○望月(正)分科会長 ほかにないようでしたら議決に移ります。池田委員におかれまして は、寄附金等に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたしますの で、後ろに用意してあります席にお移りいただきます。  議決に入ります。部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について、製造販売承 認を可、再審査期間を8年、原体、製剤共に劇薬に指定し、生物由来製品及び特定生物由 来製品の指定は不要とすることが適当であると認める旨議決したいと思います。  ありがとうございます。御異議なしということで、薬事・食品衛生審議会規程第3条第 1項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申す ることといたします。答申書の文案、その他の取扱いについては御一任いただきたいと思 います。  池田委員は前の席にお戻りください。これより報告事項に入ります。担当の部会毎に区 切って報告をいただくことにいたします。まず、副作用感染等被害判定第一部会及び副作 用感染等被害判定第二部会の関係の議題4から簡単に説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.4を御覧ください。前回の分科会以降に副作用感染等被害判定第一部会 が2回、第二部会が1回開催されております。資料につきましては、各開催ごとの資料と、 一番上にまとめとして3回の件数を集計した資料となっております。資料のまとめに従っ て報告させていただきます。  医薬品の副作用の判定における3回の合計の審査内訳については、新規が213件、継続 が20件、現況41件の計274件について御審議いただきました。審議結果については、支 給決定することが適当と考えられるものが227件、不支給決定とすることが適当と考えら れるものが42件、追加情報を得て再度審議することが適当と考えられるものが5件あり ました。なお、今回生物由来製品による感染等の健康被害については審議する事例があり ませんでした。  副作用感染等被害判定第一部会及び第二部会の結果報告については以上です。 ○望月(正)分科会長 ただ今の説明に御質問等はございますか。特にないようでしたら、 本件については御承認いただいたことにいたします。続いて医薬品第一部会、第二部会の 関係の議題5〜議題15について説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.5-1、議題5です。ポプスカイン、一般名塩酸レボブピバカイン、効能 ・効果は硬膜外麻酔及び術後鎮痛です。こちらについては、本年1月の医薬品第一部会で 御審議いただき、承認して差し支えない旨の御結論をいただきました。  続きまして資料No.6、議題6です。一般名デフェラシロクス、効能・効果は輸血による 慢性鉄過剰症(注射用鉄キレート剤治療が不適当な場合)です。本品目につきまして、望月 眞弓委員よりあらかじめ御質問をいただいておりますので御回答申し上げます。  御質問は、用法・用量の「空腹時に経口投与する」という記述と、用法・用量に関連す る使用上の注意の「食事の30分前に」の記述の違いはどう考えるのでしょうか。審査報 告書の31ページの臨床薬理試験の結果は必ずしも空腹時投与を指示しているようには思 えませんが、治験時がどのような投与にしていたかにもよるかもしれませんが説明をお願 いしますとの御質問です。  本件について、まず本薬のバイオアベイラビリティですが、食事により上昇し、また標 準食に比較して、高脂肪食を摂取した後にその影響が顕著であったという結果が得られて おります。  しかしながら、食前30分前に投与した場合には、食事の脂肪含有量にかかわらず、C ax及びAUCの増加は20%程度であり、食事及びその内容が薬物動態に与える影響が 少なかったということから、空腹時(少なくとも食事の30分前)に服用することと設定を したものです。なお、有効性及び安全性を確認する臨床試験におきましては、すべて本薬 の投与は、朝食前30分で実施をされているものです。以上です。  続きまして議題7です。ヒュミラ、一般名はアダリムマブです。効能・効果は関節リウ マチ(既存治療で効果不十分な場合に限る)です。本医薬品については備考欄にあるとお り、全例調査等の承認条件を付すこととされております。  本品目につきまして神山委員より事前に御質問をいただいております。ヒュミラについ て承認条件(3)二重盲検比較試験結果を確認した後に承認としない理由は何か。結果を待 たずに緊急に承認する理由は何かとの御質問です。  本剤の評価に当たりましては、米国リウマチ学会の基準であります関節の痛み等の自覚 症状の改善の指標でありますACR20反応率に基づく結果から、関節リウマチに対し高 い有効性が示されており、ここに記載のあります関節リウマチの効能・効果について承認 可能と判断したものです。  一方この承認条件(3)であります関節破壊の進展防止に関する評価を含む、この有効性 等の試験に関しましては、リウマチ治療薬の最近の進歩に伴いまして、自覚症状の改善に 加え、関節リウマチの進展に伴って、実質的変化として現れる関節の破壊自体を防止でき るような薬剤が開発されてきておりますことから、関節破壊の防止効果に関する情報は、 抗リウマチ薬の臨床使用の上で重要な情報と考えられるようになってきております。  そういう観点で、本剤をはじめとする、関節リウマチの効能・効果を取得します既承認 品目としては、インフリキシマブやエタネルセプトもありますが、これらにつきましても いずれも関節リウマチとして承認をしておりますけれども、市販後の承認条件としまし て、関節破壊進展防止にかかわるエビデンスの収集が必要であると考えることから、承認 条件として実施を求めているものです。以上です。  続きまして議題8です。イルベタン錠ほかです。一般名イルベサルタンです。本品の効 能・効果は高血圧症です。本品目につきましては、本年2月の医薬品第一部会で御審議を いただいたものです。  続きまして資料No.9です。ナグラザイム点滴静注液5mgです。一般名ガルスルファー ゼ(遺伝子組換え)です。本剤は、ムコ多糖症VI型を効能・効果とする医薬品です。  続きまして資料No.10です。ファムビル錠250mg、一般名ファムシクロビルです。本剤は 帯状疱疹を効能・効果とする医薬品です。  続きまして議題11、スーテントカプセル12.5mgです。本剤は、イマチニブ抵抗性の消 化管間質腫瘍及び根治切除不能又は転移性の腎細胞癌を効能・効果とする医薬品です。備 考欄に記載しておりますとおり、全例調査を承認条件として考えております。新薬の承認 に関しては以上です。  続きまして議題12です。塩酸ミルナシプラン、トレドミンの再審査結果です。資料No. 12の用法・用量欄を見ますと、今回塩酸ミルナシプランについて再審査を行った結果、 カテゴリー2、製造販売承認事項の一部変更をすれば、いわゆる承認拒否事由のいずれに も該当しないものとする結果が出たことについて御報告するものです。  具体的には用法・用量欄でアンダーラインを引いておりますけれども、初期用量を50mg から25mgに減ずるというものです。本議題につきましては、本年2月の医薬品第一部会 において御審議をいただいたところです。  続きまして議題13です。医薬品デュロテップMTパッチ2.1mg等の毒薬又は劇薬の指 定の要否についてです。このデュロテップMTパッチの主成分はフェンタニルです。フェ ンタニルについては、既に経皮吸収剤がありますけれども、今回2.に示しておりますM Tパッチ、いわゆるマトリックスシステム型の経皮吸収型製剤が新たに承認申請されたこ とから、本剤形のものについて毒・劇薬の指定の要否等について検討したもので、3.毒 劇の指定ですけれども、いずれも劇薬に指定するという形で御結論いただいたものです。  続きまして議題14、「希少疾病用医薬品の指定について」です。2ページに一覧があ りまして、今回は3件あります。いずれも対象患者数が希少であることや、既存の治療法 等に比較して、希少疾病用医薬品に指定することが適当であるとの御結論をいただいたも のです。1番は、OPC-67683、大塚製薬が開発しております肺結核症の薬です。2番と 3番は同じレナリドマイドという薬です。それぞれ多発性骨髄腫及び骨髄異形成症候群に よる貧血の予定される効能・効果で、オーファンの指定の要請があり、その指定について 適当であると判断したものです。これにつきましては、今後治験等が行われて申請される ことになろうかと思います。  続きまして資料No.15です。「生物学的製剤基準の一部改正について」です。資料の一 番最後のページに概要を示しております。今回一部改正を行おうとしていますのは、下の 表に新旧対照表がありますが、医薬品各条の中にあります、ポリエチレングリコール処理 抗HBs人免疫グロブリンです。本剤の生物学的製剤基準の中には、5「その他」、その 下の5.1「表示事項」といたしまして2.ですが、左側の現行の欄にありますとおり、 HBs抗原陽性者には注射してはならない旨を記載することとされております。  今般、この医薬品についてHBs抗原陽性のレシピエントにおける肝移植後のB型肝炎 の再発抑制等の効能が追加されました。したがって、HBs抗原陽性者であっても、肝移 植のレシピエントに対して投与するということがありますことから、この改正案にアンダ ーラインが引いてありますとおり、「肝移植施行患者は除く」というところを明記すると いう改正です。  以上、医薬品第一部会、第二部会について簡単ではありますが御報告させていただきま した。 ○望月分科会長 医薬品第一部会長の永井委員から、追加の御発言はございますか。 ○永井委員 ヒュミラの皮下注40mgですけれども、これはヒトTNFαモノクローナル 抗体でヒト型のものです。TNFαと受容体との結合阻害によって、抗炎症性の効果を発 揮することになっております。  幾つか議論がされましたが、特に今回の国内第II、第III相用量反応試験が、海外の第III 相用量反応試験に対するブリッジング試験として実施されたということです。症状を中心 とした判定においては、海外と同じような結果が得られたということで、日本人と外国人 で大きな差は認められないということが示されております。  また、抗体が日本人では少しできやすいというデータがありましたが、それについては 1回80mgまで増量できるという規定を設けることとしております。最終的には、関節リ ウマチという疾患は、関節破壊を抑制しないといけないわけでありますが、これには時間 もかかりますので、そういう臨床試験を実施するということを承認条件として今回は承認 して差し支えないだろうという結論に至りました。  もう一つはナグラザイムです。これはムコ多糖症VI型における先天性に欠損、あるいは 活性が低下している酵素です。N-アセチルガラクトサミン-4-スルファターゼの遺伝子 組換え体を注射剤として用いようということです。非常に珍しい疾患で、現在、国内での 患者数は6例です。日本での臨床経験も3例ということでなかなか評価は難しいわけです けれども、有効性は多分問題ないということで、不明確な点もまだ多いということはあり ますけれども、市販後の全症例の調査ということで、今回適正使用にかかわる措置を講ず る必要があるということで承認に至りました。  こちらからは、以上2点追加させていただきます。 ○望月分科会長 医薬品第二部会長の池田委員から、追加の御発言をお願いいたします。 ○池田委員 第二部会からは2点ほど追加させていただきます。議題10のファムシクロ ビルは、ペンシクロビルに代謝されて抗ウイルス活性を示す薬剤ということで、帯状疱疹 を効能・効果としているわけです。国内の第III相の臨床試験で、精神・神経症状が見られ たという報告がありました。これは対照群にはなかったということもあり、添付文書の重 大な副作用欄に記載し、注意喚起をしましょうということになりました。  議題11のスーテントカプセルです。スニチニブリンゴ酸塩です。これは先ほど説明が ありましたように、消化管間質腫瘍(GIST)、あるいは腎細胞癌を適用とするわけで す。これは、PDGFのレセプター、あるいはVEGFのレセプター、あるいはKITな どの受容体型のチロシンキナーゼ活性の阻害作用によって腫瘍を抑制すると考えられて いる新しいタイプの抗悪性腫瘍剤です。  類薬において御存じだと思うのですけれども、欧米で用いられている用量で用いた場 合、日本人だととかくオーバードーズになって副作用が少し余計に出る傾向が見られてい るということ。そして、この薬剤はイマチニブなどと違って、三つの受容型のチロシンキ ナーゼ活性阻害という、いわゆるマルチターゲットであるということで、様々な部位に副 作用が見られる可能性があることもあり、この薬はがん化学療法に精通した医師が極めて 慎重に使用する必要がある薬剤であると部会では議論されました。  したがって、製造販売後においては、全例調査ということで有害事象の収集と、それを 迅速に情報提供することを条件に承認したということです。  以上第二部会からは、2議題について御報告申し上げました。 ○望月(正)分科会長 それでは、委員の先生方からの御意見、御質問はございますでしょ うか。 ○望月(眞)委員 事前の質問をさせていただいたエクジェイドについてなのですけれど も、先ほどの説明でなんとなくは分かったのですが、添付文書の記述の仕方がやはり分か りづらいかと思いました。添付文書案の、用法・用量のところは「空腹時に経口投与する」 と書いてあり、用法・用量に関連する使用上の注意の(1)のところは「食事の影響を受け やすいため、食事の30分以上前に必ず」という、この「食事の30分以上前」というのは、 空腹を30分間絶対に担保しておかなければいけないという意味だと思うのです。そのこ とが、混乱を招く書き方になってしまっているかと思います。どう書いたらいいのか分か らないのですけれども、本来だったら、飲んでから30分間は食事をしないでくださいと いう意味なのだろうと思うのですが、そこが少し分かりづらいという点です。  それから、せっかくここの括弧の中に「薬物動態の項を参照」と書いてくださってある にもかかわらず、薬物動態の項を見ても、食事の影響についての記載が全くなされていな いのです。ここに先ほどのデータを書いていただくと、空腹を30分間は保たなければい けないということは理解されるのではないかと思うのですがいかがでしょうか。 ○望月(正)分科会長 事務局からお答えください。 ○事務局 詳しい文言については機構の方で検討させていただきまして、先生の御趣旨が 正確に反映するように検討させていただきたいと思います。どうもありがとうございまし た。 ○望月(正)分科会長 ほかにないようでしたら、本件について御確認いただいたものとい たします。続いて、医療機器・体外診断薬部会の関係の議題16、議題17について説明を お願いいたします。 ○事務局 資料No.16を御覧ください。こちらは大動脈用ステントグラフトというもので す。胸部の大動脈瘤で、血管が瘤のように膨れてしまうという大動脈瘤がありますけれど も、この上部と下部に至るようにステントグラフトというものを挿入し、瘤内部への血流 を遮断することにより、動脈瘤が拡大・破裂することを防ぐ機器です。以前、腹部大動脈 瘤用のステントグラフトとして御承認いただいたものがありますけれども、今回は胸部の ものを対象とするもので国内で初めてのものです。  平成20年2月25日の医療機器・体外診断薬部会で御審議いただきました。10の備考 の承認条件4点を付した上で、承認して差し支えないということで御了承いただいたもの です。再審査期間は3年です。  続きまして資料No.17を御覧ください。「体外診断用医薬品の劇薬指定からの除外につ いて」ということです。こちらは、医薬品の承認の際に、劇薬に指定されたものです。薬 剤感受性を調べる体外診断用医薬品については、ヒトに投与されず、また製剤中の含有量 も少ないので、劇薬の指定から除外するという案について、平成19年12月6日の医療機 器・体外診断薬部会で御了承いただき、その後のパブリックコメントの手続をさせていた だきましたが特段の意見の提出がなく、この案で部会としての結論とさせていただいて答 申をいただいたというものです。  簡単ですが以上です。 ○望月(正)分科会長 医療機器・体外診断薬部会長の笠貫委員から追加の御発言をお願い いたします。 ○笠貫委員 資料No.16の胸部大動脈ステントグラフトについて若干加えさせていただき ます。腹部大動脈ステントは既に承認されておりますが、胸部大動脈ステントは初めてだ という意味では、胸部大動脈瘤で手術を要する患者にとっては大事な治療法になるだろう と思います。  このシステムについては、日本での臨床試験は行われません。海外での非無作為化非盲 検化比較臨床試験234症例を基にして討論されております。そのことと、日本でまだ実際 に使用されていないということでの、海外でのデータを日本人へ外挿することの妥当性に ついて検討されました。  このステントグラフトのデザインについては途中で変更されたことも含め、その安全性 についても検討されました。その結果、欧米を含めて既に2万例を超える症例に使われて いるということを踏まえ、日本でも承認するということになりましたが、承認条件として はかなり厳しいものになっています。全症例5年間登録することと、しかも問題点があっ たときは経年毎にそれを報告するということ。それから、使用する医師についても研修等 厳しい条件を付けたこと。医療機関についても十分その条件を満たすようにという条件を 付けたことで、この新しい治療方法が日本に、安全に、健全に普及されるだろうと考えて いるところであります。 ○竹嶋委員 聞き落としたのかもしれませんが、海外で234例と言われて、実際に欧米で は2万例という表現をなさいました。これは、私の聞き間違いかもしれませんが、心配す るのは先ほど言われましたように、日本では全くこれの臨床試験がないということですの で、海外のそういう例が本当に信頼のおけるものかどうかということなのです。今の数字 は、私の聞き間違いでしょうか。 ○笠貫委員 私の認識している範囲では、1988年2月にヨーロッパでCEマークを受け、 2005年3月にFDAからPMAの承認を得て販売を開始し、現在までに、先ほど言いま した全世界で2万個と理解しております。事務局から加えることはありますか。 ○事務局 先生からも御説明いただいたとおり、臨床試験の段階では、多施設の共同試験 で234症例という形で試験をしていただきましたけれども、その後承認されてから全世界 で2008年1月までの数字として約2万個が使用されている状況です。 ○望月分科会長 ほかにないようでしたら、本件については御確認いただいたものといた します。続いて、生物由来技術部会の関係の議題18について説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.18を御覧ください。ヒト由来の細胞組織を加工した医薬品又は医療機 器については、その治験開始前に、当該医薬品とか医療機器の品質と安全性が確保できて いるかどうか、という確認を厚生労働大臣に求めることとされております。こちらの品目 は、重症熱傷を対象とした製品で、表皮の細胞層と、それから線維芽細胞を含む真皮に似 た細胞層の2層構造を持つ自家の培養皮膚です。平成19年12月25日の生物由来技術部 会で、指針への適合性を確認いただいたものです。  簡単ですが以上です。 ○望月(正)分科会長 部会長の早川委員から、追加の御発言はございますか。 ○早川委員 ございません。 ○望月(正)分科会長 委員の先生方から御意見はございますでしょうか、特にないようで したら、本件についても御確認をいただいたことといたします。続いて、一般用医薬品部 会の関係の議題19について説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.19-1、19ー2、19-3を御覧ください。前回、一般用医薬品部会において、 ニコチン貼付剤について審議をされたところですが、こちらは医療用のニコチン貼付剤の 方が劇薬に指定されており、今回新たに申請された1枚当たりのニコチン量について、そ れぞれ申請者より提出された資料により、急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性及び副作用を 勘案いたしまして、毒薬、劇薬に該当しないということで考えております。  資料No.19-2を御覧ください。こちらのシガノンCQ14というものが一番含量が多くな っておりますが、こちらの78mg以下の貼付剤について、全体として劇薬解除して問題な いと考えております。なお、2.の用法・用量のところの最後のところのただし書の2行 目「禁煙継続に自身がある場合」の「自身」が間違っておりますので修正していただけれ ばと思います。  今回、劇薬解除とは異なるのですが、望月眞弓委員より確認がありました。今回この 78mg製剤が、従来の医療用の52.5mgよりも大きくなっているが、これは吸収量に違いが あるということでよろしいのですね、ということで確認がありました。ニコチネルTTS の20が医療用ですが、こちらはAUCとして約320ng・h/mLですが、シガノンCQ14に ついては約350ng・h/mL、CmaxでもニコチネルTTS20が約18ng・h/mL、シガノン CQ14は約19ng/mLということでそれほど変わらないということで先生にお伝えいたし まして、御了解をいただいております。  以上です。 ○望月(正)分科会長 部会長であります私からは、特に補足する点はありません。委員の 先生から御質問等はございますでしょうか。 ○赤堀委員 資料No.19-2と資料No.19-3を見比べてみますと、資料No.19-3の方はTTS30 を使って52.5mgの濃度です。これを使って実験をしておいて、そして劇薬に指定しない というところでは35mg製剤になっています、これが一つです。資料No.19-2を見ますと78mg 以下のものということになっております。  5ページの実験データを見ますと、ウサギを用いた90日間の反復経皮投与毒性試験で、 投与群も対照群も1匹ずつ死亡した。この死亡した原因は一体何かということが部会で議 論になったかをお伺いします。  それから動物実験で、たかだか90日間の経皮毒性試験期間中で2匹の動物が死亡する、 すなわち原因がよく分からなくて、投与した被験物質が原因ではなくて死亡したというこ ととすると、この実験の信頼性はどのように考えておられたのかをお伺いします。 ○事務局 大用量の方ですが、資料No.19-2については、最初シガノンCQについては高 用量のものも3製剤で申請されておりましたが、それで、そもそも114mg製剤で試験をし ておりました。高用量のものについては、現在医療用のニコチネルTTS30よりも、血 中濃度等が高くなる点等の指摘を踏まえ、企業の方では今回申請を見送ったというもので す。資料といたしましては、その114mg以下で問題はないというデータを一応示している ことになっております。  死亡例については資料No.19-2に添付しております分科会資料用の6ページで、今回の ニコチンとは関係ない疾患によって死亡しているということで、特に問題はないと考えて おります。 ○赤堀委員 くどいようですが、実験に供する動物は、健康で正常な動物を使って実験を する、ということは基本の基だと思うのです。たかだか90日間の経皮毒性試験で、対照 群1例、被験群1例、計2匹の動物が死ぬという環境下での実験の進め方について、その データの信頼性に関し、何の議論もなかったのでしょうか。その辺がちょっと理解しづら いところがあります。 ○審査管理課長 その死亡原因については、6ページの表3に書かれておりますけれど も、どうも感染症だったということです。今回の部会における審議においては、ニコチン のパッチ製剤が既に医療用として非常に広く使われておりますので、正直申し上げまし て、先生が御指摘の毒性試験そのものについて議論があったということは覚えておりませ ん。恐らく、そういう臨床上の今までのニコチンパッチ製剤として、特段大きな問題を起 こしてきていないことを基に御評価いただいたのだろうと思います。そういう意味で申し 上げますと、この動物試験については、御専門の先生にもう一度見ていただくことにさせ ていただくのがいいのかとも思っております。 ○望月(正)分科会長 少なくともコメントはしていただくということでよろしくお願い いたします。ほかにないようでしたら、本件については御確認いただいたものとします。 続いて毒物劇物部会の関係の議題20について説明をお願いいたします。 ○化学物質安全対策室長 それでは、毒物劇物部会、資料No.20です。1番目〜11番目の 化学物質について毒劇物部会で、毒物又は劇物の指定に関して議論をしていただきまし た。簡単に結果だけ御紹介いたします。  1番目〜3番目の三つの物質については、毒物に相当するという結論です。これらの物 質については、いずれも危険物輸送に関する国連勧告において、腐食性の物質ないしは毒 性の物質として分類されているものです。  4番目〜7番目の物質については、いずれも劇物相当であるという結論になっておりま す。このうち4番目の亜硝酸イソブチルと5番目の亜硝酸イソペンチルは、いわゆる脱法 ドラッグであり、薬事法では指定薬物として指定されておりますけれども、試薬としても 流通しておりますので、毒劇法では劇物に指定したものです。  8番目のイミダクロプリドは、劇物になっている農薬ですけれども、これについては 12%以下を含有するマイクロカプセル製剤については、劇物に相当する毒性がないことを 確認しましたので、劇物の指定を解除するという結論に至ったものです。  9番目〜11番目の物質は、いずれも有機シアン化合物で、毒劇法上は劇物に該当する ものでありますけれども、それぞれの物質に関して有害性の資料が提出され、劇物に相当 する毒性がないことが確認されましたので、劇物の指定を解除する結論に至ったもので す。  以上ごく簡単ですけれども御紹介させていただきました。 ○望月(正)分科会長 部会長の大野委員から、追加の御発言はございますか。 ○大野委員 ございません。 ○望月(正)分科会長 それでは、委員の先生方から御意見はございますでしょうか、特に ないようでしたら本件については御確認いただいたものといたします。続いて血液事業部 会の関係の議題21〜議第23について説明をお願いいたします。 ○事務局 議題21〜議題23について御説明させていただきます。資料No.21、議題21、「平 成20年度の献血の推進に関する計画を定めることについて」御報告させていただきます。 本計画は、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律の規定に基づく、献血の推進 に関する計画です。献血により確保すべき血液の目標量、またこの目標量を確保するため に必要な措置に関する事項等を定めるものです。この計画については3月12日開催の血 液事業部会において審議され、了承されました。それを受けて今月中に告示する予定です。  次に資料No.22、議題22、「平成20年度の献血の受入れに関する計画の認可について」 御報告させていただきます。本計画は、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律 の規定に基づき、採血事業者が作成する献血の受入れに関する計画です。献血により受け 入れる血液の目標量を確保するために必要な事項、取組みを定めるものです。この計画に つきましても3月12日開催の血液事業部会において審議、御了承されました。それを受 けて、今月中に認可する予定です。  次に資料No.23、議題23、「平成20年度の血液製剤の安定供給に関する計画について」 御報告させていただきます。この計画は、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法 律の規定に基づく、血液製剤の安定供給に関する計画です。必要と見込まれる血液製剤の 種類及び量、国内において製造され又は輸入されるべき血液製剤の種類及び量の目標、確 保されるべき原料血漿の量の目標に関する事項等を定めるものです。この計画につきまし ても3月12日開催の血液事業部会において審議され、御了承されております。それを受 けて今月中に告示する予定です。  以上です。 ○望月(正)分科会長 部会長の池田委員から追加はございますか。 ○池田委員 ございません。 ○望月(正)分科会長 委員の先生方からご質問はございますでしょうか、ないようでした ら本件については御確認いただいたものとします。続いて動物用医薬品等部会の関係の議 題24について説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.24で御説明いたします。2枚目を御覧ください。「人用医薬品を伴侶 動物用へ転用する場合の添付資料について」です。これは、一部の添付資料を不要とする ものです。  1にあるとおり、イヌ、ネコなどの伴侶動物の診療には人用医薬品も現在使用されてお ります。この理由としては、品揃えが大変少ないことがあって用いられております。動物 用医薬品として承認申請されない理由ですが、開発に要する費用、あるいは市場規模が人 に比べて小さいことが挙げられます。2として、人用医薬品を動物用に用いた場合、副作 用の問題とか薬剤耐性菌の問題があるということです。3で、このような状況から伴侶動 物に有用な医薬品の承認を推進するために、人用医薬品として承認されている医薬品と同 じ成分、組成、剤形、用法の医薬品を伴侶動物用として申請する場合には、毒性試験の添 付を不要とする。薬事試験等についても使用対象動物、イヌ、ネコに係る資料のみの添付 とするというものです。  以上です。 ○望月(正)分科会長 部会長の赤堀委員から追加の御発言はございますか。 ○赤堀委員 ございません。 ○望月(正)分科会長 委員の先生方から御意見はございますか、特にないようでしたら、 本件については御確認いただいたことといたします。  本日の議題はすべて終了いたしましたが、ほかに追加の御発言はございますでしょう か。 ○望月(眞)委員 最後に一つお願いしたいことがあります。今回の資料は全般的に外国人 データを使っているものが多かったのですが、外国人という記述しかない場合が結構多か ったです。(米国)とか、民族差を見ていくために、どういう人種か、どういう国なのかと いうか、その辺りをきちんと明記していただいた方が分かりやすいというか、きちんとし た判断ができると思いましたので、今後資料の作成に当たってはそのような点に配慮して いただければと思います。 ○望月(正)分科会長 事務局は、そのような形で可能でしょうか。 ○審査管理課長 できるだけそのような形にしたいと思いますが、米国においてもいろい ろな人種がありますから、それにどれだけの意味があるかどうか、というのはまた議論の 余地があるのだろうと思います。今進行途上のものもありますので、それはそれでまた御 勘弁いただきたいと思いますが、できるだけそのようなことに配慮したいと思います。 ○望月分科会長 ほかにないようでしたら、以上で終了させていただきます。次の薬事分 科会は、6月を予定しておりますが、具体的な日程は先生方の御都合を伺ってから決めさ せていただきます。どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714)