08/03/21 政策評価に関する有識者会議           第11回政策評価に関する有識者会議           開催日:平成20年3月21日(金) 場 所:厚生労働省共用第9会議室(18階) ○高橋座長  それではちょうど定刻3時でございますので、第11回の「政策評価に関する有識者会 議」をこれから始めさせていただきます。年度末で大変お忙しい中お集まりいただきま して誠にありがとうございます。  事務局から先ほどご報告いただきましたが、阿部委員、梅田委員、本田委員がご欠席 です。それから紀陸委員と野川委員は遅れてお見えになるというふうに伺っています。    それでは事務局より本日の議事についての説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐   議事の説明に先立ちまして、冒頭にお断りさせていただきます。この有識者会議は昨 年7月30日に開催されたのですが、その後事務局のメンバーが人事異動で替わっており ます。お手元に座席表をお配りしておりますので、これをもちまして事務局のメンバー の紹介は省略させていただきたいと思います。  なお薄井統括官は所用により15時半ごろ退席の予定となっております。  それでは本日の議事につきまして簡単にご説明をさせていただきます。まず平成20 年度に実施する政策評価の見直しについて資料に沿ってご説明を申し上げ、ご意見等を 賜りたいと思っております。また、最近の政策評価に関する動向についてご報告いたし ますとともに、先日編成されて開催されました、厚生労働省政策評価に関する有識者会 議社会保険庁の目標設定及び実績評価に係るワーキンググループについてもご報告いた します。  以上でございます。 ○高橋座長  はい。それでは議事が大まかに言うと3つございまして、今日のメーンディッシュは、 平成20年度に実施する政策評価における見直しについてでございます。これが主たる議 題でございますが、一つこの見直しについて事務局からご説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐   まず横置き「平成20年度に実施する政策評価における見直しのポイント」というタイ トルの資料をご覧下さい。  我が省の政策評価は、基本計画と呼ばれる5カ年の計画、そして毎年度定める実施計 画、そして具体的な実施要領とこの3つに従ってやっております。  厚生労働省における政策評価の種類としては、政策決定をする前に行う事前の政策評 価と、政策を決定した後に行う事後の政策評価とに分かれます。そして評価の方式で実 績評価、事業評価、総合評価とこのように分かれております。  まず実績評価方式でございますが、政策を決定した後政策の不断の見直しや改善に資 するという見地から、政策の目的と手段の対応関係を明示しつつ、あらかじめ政策効果 に着目した達成すべき目標を設定し、これに対する実績を定期的・継続的に測定して、 目標期間が終了した時点で目標期間全体における取組や最終的な実績等を総括し、目標 の達成度合いについて評価するというものでございます。目標期間が終了した時点で行 うものでございますので、評価を行うのは事後ということになります。  実績評価は、政策体系を構成する各施策目標について行うもので、施政方針演説等で 言及されたものについては、重点評価課題として評価するというふうに簡単に記載して おります。  政策体系ですが、実施計画に「厚生労働省の使命と基本目標」というのがございます。 これがまず体系の大もとでございまして、その下に例えば施策目標Iがあり、さらにそ の下に「施策目標1−1 日常生活圏の中で良質かつ適切な医療が効率的に提供できる 体制を整備すること」があります。このような施策目標につきまして実績評価を行って いるものでございます。  具体的には毎年度終わった後に評価を行っております。そして施政方針演説等で言及 されたものについては重点評価課題として評価することとされております。  重点評価課題の一覧も実施計画に記載がございます。例えば選定理由は施政方針演説 ですとか政策群ですとか主要制度改定等ございます。各々に対応してこういうものが今 年度は重点評価課題とされているところでございます。  次に、事業評価方式は、個々の具体的な事業や施策の実施を目的とする政策を決定す る前に、その採否、選択等に資する見地から、あらかじめ期待される政策効果やそれら に要する費用等を推計・測定して評価を行うというものでございます。また、必要に応 じて事後の時点で事前の評価内容を踏まえて検証を行うこととされております。  具体的にはどのようなものを対象としているかというと、一つ目は新規事業、予算要 求等を伴う新たな施策で、1億円以上の費用を要する重点的施策、または10億円以上の 費用を要するもの。二番目に規制影響分析、法律または政令の制定・改廃により創設・ 改廃される規制でございます。これは平成19年10月1日から義務づけされたもので、 あとの議題の2の方で報告させていただきます。三番目に研究開発、10億円以上の費用 を要するもの及び「国の研究開発評価に関する大綱的指針」に基づき事前評価の対象と するもの。四番目の公共事業が10億円以上の費用を要するものとされております。  当然のことですが、平成20年度に何が事前評価の対象となるかというのは、これから 決定されていく話でございますので、計画の中に具体的な形では盛り込まれておりませ ん。  事業評価につきましては、必要に応じて事後評価も行うこととされております。事後 評価の欄の方をご覧ください。(1)事前評価を実施した事業のうち、原則として事業開始 後3年が経過したものについて行うこととされております。(2)は成果重視事業でござい ます。これも計画の中に一覧がございますので後でご参照ください。(3)が研究開発でご ざいます。これは政策評価とは別の枠組みで「国の研究開発評価に関する大綱的指針」 に基づき評価を行っております。公共事業につきましては事業採択後5年間が経過した 時点で継続中のものについて行います。  最後が総合評価方式で、これは政策の決定から一定期間を経過した後政策の見直しや 改善に資する見地から、総合的に分析して評価するものでございます。対象となるもの は主要な制度の新設や改定等があった場合、そして、(2)は後でご説明します今回新たに 設けたものでございまして、経済財政諮問会議から政策評価の重要対象分野として提示 された政策でございます。  それでは、基本計画の変更から説明をさせていただきます。  経済財政諮問会議から政策評価の重要対象分野等として提示された政策につきまして、 総合評価を行うことになりましたのでそれを対象として位置づけ、基本計画等の変更を 行ったところでございます。  昨年の6月19日の閣議決定「経済財政改革の基本方針2007」で、総務大臣が各府省 の評価の実施状況に関する「政策評価・独立行政法人評価委員会」の調査審議を踏まえ、 毎年末、経済財政諮問会議に重要対象分野の選定について意見を述べて、この意見に対 し、経済財政諮問会議は、政策評価の重要対象分野等を提示する、そして、総務大臣は その提示を踏まえた評価の実施を推進するということとされております。  昨年の11月に総務大臣は、政策評価・独立行政法人評価委員会の答申を受けまして、 重要対象分野を提示しました。経済財政諮問会議はそれらを重要対象分野として決定し ました。  まず最初は育児休業制度です。「育児休業については、制度利用者は増加しているもの の、女性の継続就業の増加には必ずしもつながっていないと考えられるということから、 その原因の掘り下げた分析を行うべきである。それを通じて今後の継続就業の増加を図 る施策のあり方の検討に資する評価を行うべきである。」という答申が当省に向けて出さ れております。  次は、少子化社会対策に関する子育て支援サービスです。「子育て支援サービスについ ては、例えば保育所の待機児童が多い地域の固定化が見られることから、これについて は原因の分析と待機児童解消に向けた取組の効果の検証を行うべきである。このような 検証を通じて今後の子育て支援サービスの在り方の検討に資する評価を行うべきであ る。」という答申が、文部科学省と当省に向けて出されております。  三番目が、ワーク・ライフ・バランスでございまして、「ワーク・ライフ・バランスの 実現に向けた諸施策については、これまでの効果を検証するための評価を行うとともに、 策定が予定されている、「働き方を変える、日本を変える行動指針」に基づく新たな施策 について、事後の検証が可能となるよう目標の達成に向けた取組を明らかにした上で適 切なタイミングで評価を行うべきである。」という答申が出されております。これは、昨 年11月の時点の答申なので、「策定が予定されている」となっていますが、「働き方を変 える、日本を変える行動指針」はその後策定されております。  最後が若年者雇用対策で、「フリーターの常用化、ニートの職業的自立を促進する観点 から、各種施策の効果を検討して、より効率的・効果的な施策を見極めるなど、今後の 若年者雇用対策の在り方の検討に資する評価を行うべきである。」という答申で、ここで は文部科学省、当省そして経済産業省に対して言われております。  今後の当省の対応としましては、平成20年度は前述の4部門につきまして重点評価課 題として位置づけまして、必要性、有効性、効率性等の観点から総合評価を行っていき たいと考えています。  スケジュールの案でございますが、4月に評価書の作成を開始しまして、8月ごろに 完成し、9月に総務省に提出して、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会の審議 を経て、それで11月ごろ経済財政諮問会議に総務大臣が評価結果を報告するというスケ ジュールとなっております。  以上が総合評価に関する変更事項の1点目でございます。次に、総合評価に関する変 更点の2点目は「総合評価の実施時期の明確化」でございます。   まず現状ですが、例えば主要な制度改正等の総合評価については、評価対象の問題点 の把握、原因の分析等がなされた時期に評価して、そしてその評価結果を踏まえた見直 しが決定された時期にまた評価するとされていたところでございます。実際はどうなっ ているかというと、制度改正の場合は通常国会への法案の提出に合わせて、その評価対 象の問題点の把握、原因等の分析を踏まえた評価を実施しておりまして、国会で法律成 立後に評価結果を踏まえた見直しが決定された時期の評価に対応するものを実施すると いう形になっております。  本来ならば、評価対象の問題点の把握、原因の分析等がされた時期として通常国会の 法案の提出時というのでは少々遅いという問題意識から、変更をすることとしておりま す。変更案は評価対象の問題点の把握、原因の分析等がなされた時期に速やかに評価を 実施するということでございまして、例えば法律改正でございますれば、その必要性等 について審議会等の場で答申や報告書作成が行われた時期に速やかに評価を実施して、 その評価結果を踏まえた見直し内容が決定された時点でその内容を評価書に追記します。 例えば、評価結果を踏まえて具体的に、法案をいついつ国会に提出しましたというよう なことを追記する、このように速やかな実施というのを徹底したいということでござい ます。  以上が基本計画の段階での変更事項でございまして、それに準じて年度の計画等も変 えているところでございます。  続いて、実施要領の変更でございます。  まず最初に、目標達成率を記載することとしました。これは実績評価書、事業評価書 におきまして目標の達成率を記載するというものでございます。記載例として、施策目 標IV−1−1「公共職業安定機関等における需給調整機能を強化すること」という施策 目標を挙げています。ここでは、公共職業安定所の求職者の就職率ですとか、雇用保険 受給資格者の早期再就職割合という指標で評価することとなっております。各指標に目 標が立ててありまして、求職者の就職率は平成18年度は32%以上にする、早期再就職 割合は平成18年度は16%以上にするとされております。  この例で見ますと、平成18年度就職率32%以上という目標を立てたところ、実際と しては32.4%達成していますから達成率が101%となります。雇用保険受給資格者の早 期再就職割合は16%以上という目標を立てておりましたところ実際は15.1%でしたか ら95%ということになります。これを平成20年度に行う平成19年度実績の評価の際に 記入してもらうということでございます。その意義といたしましては、100%を超えてい るかいないかということで、その目標の達成状況が明確に分かるということでございま す。  これも今の話と似た話ですが、成果重視事業評価書というのがございます。成果重視 事業というのは、事業の目標期間と各年度ごとの定量的な達成目標を明らかにした上で、 各年度ごとに政策評価を行うとされている事業でございます。これにつきましても目標 値が定められておりますので、それによって実績値を割りまして、目標達成率というの をまず算出します。  それからあと達成率を評価書にそのまま書き込むのではなくて、達成度合いをA、B、 C、D、「有効」「概ね有効」「有効性の向上が必要」「有効性に問題あり」という4段階 に分けまして、それを評価書に書き込むこととします。これも平成20年度に行う平成 19年度実績に基づく評価から開始したいと考えています。  次は評価結果分類の変更でございます。これも各政策目標に関して行う実績評価書の 変更内容でございます。現在は実績評価書においては先ほどご紹介しました指標等を踏 まえた評価をやった後【評価結果の分類】という欄がございます。今までは以下の4つ に分類して記載して、見直しを検討する場合はその内容を記載というふうにされており ました。  具体的な欄はそこの枠で囲ってあるとおりでございますけれども、大きな肢が4つ「施 策目標を達成した」「施策目標の達成に向けて進展しており、現在の取組を続ける」「施 策目標の達成に向けた見直しを検討する」そして「達成水準の見直しを検討する」とい う大きな肢が4つ出てございまして、「見直しの検討」の中にまたさらに肢が4つあると いうつくりになっておりました。平成19年度に作成しました実績評価書は40あったの ですが、そのうちの37が「施策目標の達成に向けて進展しており、現在の取組を続ける」 ということに集中しておりました。  この評価結果につきましては毎年一回総務大臣に政策評価の結果の政策への反映状況 というのを通知しております。その反映状況の分類というのがそこの四角に書いてある (1)から(4)でございますが、(1)「政策目標の終了・廃止を検討」、(2)「施策目標内の一部の 政策の縮小等の見直しを検討した上で、引き続き実施」、あるいは単に(3)「引き続き実施」 あるいは(4)「一部の政策の拡充等の見直しを検討した上で、引き続き実施」となって、 この中から選ぶこととされておりました。   何が問題かといいますと、先ほどご紹介しました実績評価書の評価結果分類と総務大 臣に通知する反映状況の(1)から(4)とが少々異なっており、わかりにくいことがございま す。平成19年度に作成した実績評価書を見ても、「現在の取組を続ける」とされている ものの中にも、例えば一部の政策の縮小等の見直し、一部の政策の拡充等の見直しをす るとされたものがありまして、これはわかりにくいという問題点がございました。  それで平成20年度以降実績評価書の評価結果分類をどうするかということですが、具 体的には実績評価書における評価結果分類に、予算の見直し等の有無を明記することと しております。  予算の見直し等の有無は、施策全体として見たときに縮小、拡充というのをどちらの 方向にあるかという分類でございます。例えば新規要求や拡充要求を行う事業がある場 合でも、全体として縮小にあれば縮小として分類しまして、なぜそうしたかという理由 は「理由」欄に記載することとしております。  そして、先ほど説明しました目標達成率というのを今回新たに導入しますので、それ とあわせて、目標達成率がどうだったか、そして評価結果の政策への反映の方向性ある いは指標の見直しをやるのかやらないのかということを一覧できるような形で作り直す というのが今回の変更でございます。以上が評価結果分類の変更の説明でございます。     最後に、よりわかりやすい評価書の作成のための工夫です。厚労省の実績評価書はホ ームページにも掲載されております。そのようなことから、よりわかりやすい評価書に なるよう工夫もしたいということで、具体的には指標に関連する図表やグラフ等を評価 書に添付したりとか、あるいは指標に関連する統計資料等が当省のホームページに掲載 されている場合は、そのURLを評価書に書いて、ホームページでそのURLをクリッ クすればこの指標の基である統計資料を見られるようにするという工夫でございます。 これも実施要領において、作成してほしい具体的な好事例を示しながら徹底していきた いと考えているところでございます。  駆け足で説明をさせていただきましたが、以上でございます。 ○高橋座長  ありがとうございました。19年に作ったものを20年に向けてリバイズドエディショ ンというかバージョンを上げるということについて、20年度何をやるかということをご 説明いただきました。基本計画ベースの見直しが若干ある。とりわけ、経済財政諮問会 議からのミッションというか指令があったものに対応するという話、それから実施要領 の変更についてはよりブラッシュアップする、より分かりやすく端的に理解できるよう にする、そのような方向での改正とご説明いただいたかと思います。ここら辺につきま して、加除訂正の非常に詳細なものを資料として添付していただきましたが、これを最 終的に決定するに当たってのご意見を委員の皆様からちょうだいしたいと思います。  いかがでございましょうか。いろいろなレベルのものがございまして、なかなかご意 見も出にくいところもあろうかと思いますが、どうぞお気がつきのところを率直なご意 見をちょうだいできたらというふうに思います。  それでは篠原委員。 ○篠原委員  事前評価について2点ほど質問したいのですが、1ページで、事後評価に経済財政諮 問会議からの政策評価の重要対象分野について実施するということになっているのです が、これになった場合の具体的には5ページに書かれているのですけれども、これは事 前評価の事業評価でいろいろと出てきますそれに引っかかるものってあるのでしょうか。 引っかかるというか、これは事後評価になっているのです総合評価としては。だけど、 個々には事前評価で対象になるようなもの、やはり1億とか10億以上とか規制とかいろ いろなのがあるのですが、それの対象にはなってこないのですか。 ○政策評価官室長補佐  具体的な評価手法の内容は今検討している最中ですけれども、今までの施策の効果を 検証することということとされておりますので、今回の新規に要求するようなものとか について即対象となることはないと考えております。 ○篠原委員  2点目ですけれども、最近厚生労働省関係でマスコミでいろいろと上がっているもの で、もう少し事前評価をやっておけばよかったかなと感じるものがあるのですが、そう いう問題について今の事前評価が非常に機能しているか、あるいは、外部の識者を入れ て検討するとか、あるいはシンクタンクに検討してもらういろいろなのがあると思うの ですが、そういうもうちょっとやる必要があるとか、その辺の検討はされているのです か。そういうふうにはまだ。 ○高橋座長  ですから事後評価があって、当然事後評価した事業はその前の年度、19年度なら18 年度に事前評価をしているはずだ、それとのマッチングというのが二番目のご質問の趣 旨ですね。 ○政策評価官室長補佐  事業評価につきましては、対象は例えば1億円以上の費用を要するですとか、そうい う限定がありますけれども、その事後の評価というものもセットで行うようになってい るというところはあります。先生が言われた、事前の評価に例えば有識者を入れる仕組 みというのは、例えば国交省は公共事業の評価でそのようなことでやっているやにも聞 いておりますが、当省としてまだそのような課題には上っていないということと、評価 ではないかもしれませんけれども、例えば審議会ですとか、あと具体的に事業を行う独 法の場合、委員会でも評価されたりですとか、そのような仕組みもありますので、全く 外部の目というのが入っていないということでもないだろうと考えております。 ○野川委員  評価結果分類の変更のところですが「平成19年度に作成した実績評価書の評価結果分 類の状況」、これは以前には評価結果3段階になっていて、3段階だとどうしても2の中 間になると言われていました。達成したか、まだ十分達成していないかがあって、その 中間の選択肢があればその選択肢になるということが指摘されて、これに対する改善が 反映されていると思うのですが、これで見ても結局1、2、3、4のうち2の「政策目 標の達成に向けて進展しており、現在の取組を続ける」が37件で、9割以上がそうなっ ているわけですよね。これに対して3は、せっかくさらにブレークダウンして4段階の 評価をしているのですけれども、ここには2件しか入っていない。もちろん事実そうな のだということだと思いますけれども、やはり評価の問題なので、そこにはやはりこの 仕組み自体の問題というのが入ってくると思うのですよ。その点について、4つに分け て、そしてなおこの2番目に37件集中したということについて、この評価結果分類の作 り方についての何か反省点というかはございますでしょうか。つまり、これはこのまま そういうものなのだということでよろしいということでしょうか。 ○政策評価官室長補佐  そのような反省も含めまして、20年度は変更したいということでございます。以前は 目標達成と事業の見直しというのが一連の流れみたいになっていましたけれども、今年 度は、目標の達成というのは目標達成率のところではっきり書いてもらいます。あとは 施策の反映の方向性で、施策全体として見たときに縮小、拡充あるいは現状維持どちら なのかというのをはっきり書いてもらいます。このような変更を行いたいと考えている ところでございます。 ○野川委員  つまり10ページの変更案というのは、今私が申し上げたものを考えた上で、より適切 な反映ができるような一応のツールを設定したというふうにお考えだということですね。 ○政策評価官室長補佐  はい。 ○高橋座長  はい。ありがとうございました。  済みません。ちょっと私から質問させていただいてよろしいかしら。これはここの話 ではないと言えばそれまでなのだけれども、経済財政諮問会議で社会保障費を毎年2200 億ずつ削れといっているじゃないですか。それは微妙な形で実はだけどここへ反映され るわけですよね。その関係って本当は反映されているのだけれども実は反映されていな いような節もあるというか、その辺はなかなか難しい話である。そういうのはどういう ふうに読んだらいいのでしょうか。  介護保険なんて優等生ですよ。2005年改正で実に見事に給付削減をやりましたからね。 そういうのはちゃんと評価の中に反映しなくてはいけないと思ったのですが。 ○政策評価官室長補佐  諮問会議がもとになって始まった今回の重要対象分野でございますが、何分今回が初 年度ということで、我々も事務的には諮問会議に報告された後、どのように利用される というか、どういうふうに予算に反映されていくのかということについてはいろいろ確 認をしているのですけれども、まだ公式に必ずこうなるという説明はございません。事 務的には回答しにくい状況でございます。 ○堀田委員  私も全く同じ点で引っかかっておった。この枠内では答えにくいと思いますけれども、 この枠の作り方は本来の政策目標があって、それを達成するのにどれだけの予算をつけ るかと、その予算を見ながら効率的にやったかどうか、こういう判断をされて、基本的 にそういう構造になっていることが前提での評価の体系になっているのだけれども、と ころが政策目標の前に予算を削減せよという大前提の目標があって、例えば従来の8割 の予算で従来と同じだけの成果を上げようとか、単純化して言えば、そういう予算の削 減自体が政策目標になっておる。これはこれからいよいよ厳しくなってくるからいろい ろな分野で発生してくる事態だと思うのだけれども、そういう点を、削減する方は必死 で削減して非常に大きな影響を及ぼすわけですよね。努力も大変そこで傾注されている。 それがここの評価だと全然見えない。表向きの政策達成度の評価だけになってしまって おるということになりがちだ。その点の基本構造をどうするのかという、これもまた同 じ質問ですけどね。 ○政策評価審議官  今委員がおっしゃいましたように、あくまでもまだ厚生労働省の政策評価体系の中で の見直しというか制度が組み立てられておる話でございますので、与えられた予算とい うか諸要件の中でそれをいかに有効的にその事業が目標達成に向けてできたかという観 点でしかできないという限界がどうしてもあろうかと思うのですね。  そして、2200億みたいな話というのは、やはり政府全体の話でございますので、まず そこの決定段階の議論が、この厚生労働省限りのレベルの話にどこまでストレートに下 りてくるかという話もあろうかと思います。ただ、もう一つは、例えば2200億という額 を減らすというときに、ではそれをどういうふうに反映させて目標を達成するのかとい う各論の部分に下りてくる段階もあろうかと思います。今までは例えば医療保険ですと か介護だとかというある一定の特定の分野の制度改正の中でそういうのを消化してきて いるのというのがここ3〜4年の話としてあるわけですね。ですから、その部分につい ては、何らかの形で事業としてそれに向けた取組ということでの目標設定にも、どこま でダイレクトに結びつけてできているのかはわかりませんけれども、何らかの形では反 映させていただいているのではないかと思うのです。  ただ、今後のことを申し上げますと、これも大変今年以降厳しい話で、2200億という のはどうなるかわかりませんし、またそれをどこに振り分けるかという話になりますと、 今堀田先生がおっしゃったような話でまさにより以上にこちらに影響が及んでくるので はないかという懸念は我々も持っています。ですからそこのところは非常に実際再来年 度の予算を組み立てていく中で、そこを政策評価とあわせて考えていくという難しさと いうのは非常にあるなという気持ちは持っておるのですけれども、すぐにそこをダイレ クトにどこまで反映できるかというのはなかなか限界というか難しい面はあるなという 気がしているところなのです。 ○堀田委員  これは一番影響の大きいところなので、しつこくて申しわけないのですけれども、例 えば予算節約で限界があって、今までやっていた介護サービス、介護予防サービスでも 何でもいいのですが、それを切り落としていくと。現実にいろいろとリハビリを相当切 り落とされたのがあって、それは社会保障、国民の視点から見れば後退なのですよね。 後退だけれども、節約の目標というのが最上位であればそれはやむを得ない、そこを切 り落としとして節約したというのでその視点から見れば100点満点。でも、政策の視点 から見たら、切り落とされた分は国民から見れば明らかにマイナスというときに、それ が例えば予算を少なくしたために本来の政策目標の達成度を下げざるを得なかったとい うぐらいの形でこの中に反映されれば、国民の目から見て、これは予算の節約のために この点が犠牲になっているなということがわかりますよね。そこまでわかれば、国民の 目から見れば非常にわかりやすい評価ということになるのだけれども、それがわからず に予算を切り落として政策目標の達成だけ見てしまうと、一番苦労しておる、一番困っ ておる、一番大変なところが見えないということになってしまいますよね。そこの工夫、 腹決めがどうなるかということを知りたかったのですが。 ○高橋座長  政策評価というのはインターネットに公開されていろいろご覧いただくわけで、する とそういう疑問が出てくる可能性があるなということであって、与えられた枠の中では こうだというのはもう重々承知した上での議論だったかと思っておりますが。 ○政策評価審議官  政策評価制度を各省単位でやっていることの限界になってしまうのかもしれませんけ れども、一つは、予算が骨太の方針で、来年度は政府全体あるいは厚生労働省で社会保 障費をどれだけ削るという話になった場合に、それを所与の前提として来年度の予算は 組むことになるわけなので、それをどこに振り分けていくかという配慮は当然しなけれ ばいけないことになると思います。ですからそういう意味でのサービスの低下の部分と いうのはどうしても出てこざるを得ない部分は確かにあると思います。  ただ、この政策評価の制度というのは、やはりおっしゃいましたように与えられた予 算なりの中で目標をどこまでできるかという設定をして、それがどれだけ反映できたか ということの評価が基本的な考え方になっておりますので、その上の次元での評価をど うするかということになると、なかなかこの制度の枠を超える話になってしまうかなと いう気がしております。 ○高橋座長  ただ、やはり「施策目標の達成に向けて進展しており、現在の取組を続ける」という のが多くなるというのは余りにもどうなのだろうかという印象を持たざるを得ないとい うか、むしろそこら辺が非常にシビアになってきているという感じが多分あるのだろう なとは、これの含意がどうとられるかという話もあるけれども、というようなことをち ょっと感想的にコメントをさせていただきます。 ○政策評価審議官  先ほども説明いたしましたけれども、結局今までだと40のうち37が何らかの形で進 展している、という非常におぼろげな分類に入ってしまうということなので、では全体 として増やすのか減らすのかというようなイメージだけでもしっかり分類できるように しておけば、もちろんここは一つの施策目標の中にさらに細分化して事業が幾つか入っ ておりますので、その一つの事業としては減らす事業もあれば増やす事業もあって、で こぼこはあるのですけれども、トータルとして施策目標単位で考えれば、全体として増 やす方向に見直していくのかそれとも減らす方向に見直していくのかということぐらい は分かるようにしようという形での今回改正をさせていただこうというのが今回の趣旨 でございます。そういう意味では多少明確になると考えているところでございます。 ○高橋座長   だんだん透けて見えるようになるのかもしれない。ありがとうございました。  ○篠原委員  その関連で質問なのですが、発表しているのであればパブリックコメントとか、国会 議員がこの関連で質問したとか下に書くということができれば、そうすれば見た人たち が非常に、例えばここでこうすべきだとか出たらその関連を書くとかという書き込みと いうのは不可能なのですか。それは当然厚生労働省の方を通して書かなければいけない と思うのですが、自由に書き込むというのは難しいと思うのですけれども、そういうよ うなことは可能なのでしょうか。 ○政策評価官室長補佐  法令上は各官庁が自主的に評価するということになっているものですからということ と、あと、実質的に物すごく圧縮して、抽象的かもしれませんけれども、そういう先生 のご指摘とかも国会での審議とかも踏まえて、施策の必要性の記述で説明はなされてい るということになるかと思うのですけれども。 ○政策評価審議官  どこまで細かく書けるかわかりませんけれども、その理由を書く欄がございますので、 そこでのいろいろな外部の指摘とか自主的な反省を踏まえて今回は減らしましたとか、 そういったようなことが書き込めるようにしたいと思います。 ○政策評価官  補足でございますけれども、お手元の資料の1−4に実施要領がございますが、この 62ページの実績評価書の様式に特記事項の欄がございまして、パブリックコメントまで はありませんが、例えば、国会で決議があったといったことは書くようになっています ので、それぞれの部局の判断で入れることは可能になっております。 ○菊池委員  私今回初めて出席させていただきますのでちょっと基本的なところをわかっていない のかもしれないのでその際はご容赦いただきたいのですが、目標達成率のところなので すけれども、達成率を算定できない場合の理由ということなのですが、達成したとして もなぜ達成できたのかあるいは100%を超えたという場合それはなぜなのかという自主 的な要因分析を行うというのは、この実績評価の趣旨にはもとるでしょうか。つまり、 ともすると数字を作ればいいということにならないとも限らないと思いますので、数字 的に達成できない場合でなくても自主的にそれぞれ分析をしていくということも必要で はないかというそういう趣旨なのですが。 ○政策評価官室長補佐  お手元の白い表紙の本「平成19年度実績評価書及び平成19年度実績評価書要旨」を ご覧ください。ここに「施策目標の評価」という欄がございます。先生が言われたよう に例えば目標自体を達成できた、できなかったですとか、その理由の分析はこの欄に記 載されることになるかと思います。我々も目標の数字だけを単純に追いかけてという考 えで作成しているわけではございませんので、そういうところにきっちり書いてもらう ということを徹底していきたいと考えております。 ○森田委員  一つは、先ほどのご説明で私が聞き逃したかもしれませんけれども、最初の資料の説 明だけでは今ひとつよくわからないのですが、厚生労働省の場合、実績評価というのは ある程度施策目標を掲げているものについての評価を、それ以外を総合評価と言ってい らっしゃるのですか。   ○政策評価官室長補佐  まず実績評価は、目標期間を終了した時点で行いますが、目標期間というのは実際に は年度と一致しております。ということで、年度が終わるごとにレビューをやっていく という形になっています。総合評価は、例えば主要な制度の新設・改定等に当たりまし て、総合的な観点からいろいろ評価するというように分けているというところでござい ます。  ○政策評価審議官  そもそも実績評価というのは、厚生労働省がやっている仕事を網羅的に大分類で分け まして、その下に細目の目標を作ってやる。これで全部の事業とか政策目標について項 目を作って、それで評価をしていこうというのがこちらの実績評価の方なのですね。  総合評価の方は、そういう網羅的なものではなくて、新しい制度を作るような場合と か、それから今回新たに取り入れます経済財政諮問会議で重点にされたものかというよ うなピックアップされたものをやるところが総合評価というものでございまして、一番 基本になるのは実績評価でございます。 ○森田委員  というと、要するに評価の対象が網羅的にある程度定型化されたものか、アドホック に上がってきたのかという違いだということですか。要するに、評価手法の違いではな いわけですか。 ○政策評価官  総務省から一応定義が示されておりまして、事業評価方式は原則事業単位で行われま すが、実績評価と総合評価は政策単位で行われるという意味において、明確な対象の違 いはございません。定義を厳密に見れば、実績評価については目標を設定する、総合評 価については掘り下げて分析するということで一応定義上の違いはありますが、いずれ も事後評価でございますので、例えば、今回の重要対象分野についても絶対に総合評価 でやらなければいけないのかというと、必ずしもそういうことではなく、いろいろと省 内で議論して結局は総合評価でやるということといたしましたので、決定的な違いはな いかもしれません。ここに書いている定義以上の説明はありませんので、私どもも臨機 応変に方式を選んで使っていく必要があると思っています。 ○森田委員  私はほかの省でも同じような会議に出席させていただいているのですけれども、そち らの省の実績評価と総合評価のやり方と少しずれているものですから、各省で違うかな という気がしています。評価手法そのものについて何を実績評価で何を総合評価という かについてはすり合わせをしませんと、全体としての評価がしにくいのではないかと思 います。  私が少し前に聞いたところでは、実績評価というのはある程度明確な対象が固定され ていて、しかも目標が数値として掲げられて、それについて達成度を測定できるもので あり、それが必ずしも数値目標が適切に把握できないようなもの、そういうものについ ては複数の数値あるいはそれ以外の要素を加えて総合評価をする、そういう言い方をし ていまして、やっているうちにだんだんだんだん総合評価が増えてくる可能性があるわ けですね。そういうやり方でいいのか議論したことがございまして、その辺につきまし てはちょっとほかとも調整をしていただいた方がいいのではないかなと思っております。 ○野川委員  ちょっと関連してよろしいですか。  今の話ちょっと意外だったのですが、そうすると各省の政策評価のあり方を総務省の ところで調整して、そして枠組みとしては同じ定義で同じやり方をする、という前提で はないのですか。つまり、そうしないと、政策評価の評価ができないのではないかと思 うのですよ。要するに、どういう政策評価を各省庁がしているのかを評価しなければい けないでしょう。その辺はどういうシステムになっているのですか。 ○政策評価官  一応今申し上げましたとおり、3つの方式の定義は総務省から示されていますので、 一定の枠組みはこれで示されております。ただ、今ご指摘もございましたし、他省庁で いろいろ違う例もあろうかと思います。私どもも総務省に確認してみるなり、少し検討 してみたいと思います。 ○野川委員  いや、そうしないと評価の評価ができなくなっちゃう。 ○篠原委員  この政策評価法がスタートするときに、僕は公認会計士法で各省庁を分析したことが あるのですが、これが政策評価法に基づいて作ったとは思えないぐらいばらばらです。 はっきり言って。評価の視点も皆違います。ある省は、前からやっていたので全然別だ とか、どうも総務省は、こんなことを言うとあれなのですが、今言ったように統一とい う方向には持っていっていないような気がしています。 ○高橋座長  むしろ森田先生ご専門なのでちょっとコメントを。 ○森田委員  毎回この種の議論をしているようですが、堀田先生からご指摘があったし高橋座長の ご指摘もあったところですけれども、そもそもある国民社会にとって望ましい目標を設 定してどの程度達成したかというのが評価の対象になるのか、あるいは、限られた予算 の中でどれくらい成果を上げたかというのが対象になるのか、あるいは両方組み合わせ てですけれども、ある目標を達成するためにどれぐらい効率的にそれを達成したのか、 その辺が少なくとも政策評価法の仕組みでは必ずしもはっきりしていないと思うのです ね。ですから、先ほどのように、一定額を削減した場合に何が起こるかという場合、国 民の期待水準から言うとそれを切り下げれば目標を達成したことになりますし、それは ミッションとしてそれぞれの省庁の掲げているところには反することになる。目標を達 成できなかった最大の要因が、予算が足りなかったというのでは評価にならないわけで して、少なくとも与えられた予算でどうするのが最大限効率的かというその効率的な方 法を選択したかどうかというのが評価の対象になるというのは、これはある程度議論に なると思いますけれども、この評価というのは相当大変な話になろうかと思います。後 で出てくるRegulatory Impact Analysisも同じような問題があると思いますけれども、 そういう手法の中で最善のものを選んだかどうかという話になると、これは相当高度な レベルの分析を先にしなければならない。  今ここで言われているのは、むしろそれぞれのところで、自分たちの掲げた目標をど の程度達成しているのかと、そういう趣旨だとしますと、自己評価ですから、後で外か らいろいろ言われたときにはそれに対する言うなれば弁明の理由はいろいろ出てくると は思いますけれども、少なくとも自分たちで与えられた条件のもとで精いっぱいやった ということを自分できちんと評価をしているという趣旨で、そういうものとして位置づ ければそれなりだと思いますけれども、それ以上の過剰な、この制度に、しかもいろい ろな観点から期待をするとなかなかうまくいかない。毎回こういう議論になっておりま すからね。そこのところはある時点でこの評価制度を評価して見直すということを、厚 生労働省もそうですし、ほかの各省も同じようなことを悩んでいらっしゃるので、やは り一度きちんと問題提起をする必要があるのではないかと思っております。  そういう意味で言いますと、これをどう評価するかは別ですけれども、ほとんどが自 分で頑張っていると、見直しがあるところが少ないというのは、私は自己評価としては それなりにそんなものだなと思っておりまして、これは自分がもっと見直すところがた くさんあるとしますと、そちらの方がかなり問題である。100%よくやっているとします とこれはまたちょっと別な問題があるかもしれませんが、その意味で言うと今の制度の もとではこういう形が出てくるのはそれなりに妥当ではないかと思います。これを改善 するとしますと、もうちょっと根本的なレベルから制度を動かしていかなければならな い。皆さん現場の方たちは大変苦労されていて、膨大なペーパーワークもそうですし、 これがどういう形で自分たちの施策に反映されるのか、一生懸命やっていても別な理由 でばさっと予算を切られてしまうとむしろやる気がしなくなる。そういう状況でこの制 度そのものに対する不信感が高まってくるとしますと非常によくないことだと思ってい ますので、この有識者会議でそういう発言をどこでしたらいいのか知りませんけれども、 少々余計なことを述べさせていただきました。 ○篠原委員  この政策評価は自分で点検するということですが、地方公共団体の場合は、それと同 時に住民の視点からの評価というのを入れている。海外でもありますよね。特に、厚生 労働省なんかを見ていると、そういう住民からの視点も必要かなと。これと目的は違う のですが。そういう国のレベルでのそういう動きというのはあるのでしょうか、ないの でしょうか。 ○森田委員  パブリックコメントで公開して、それに対してどういう意見が出るかというのと、一 つはマスメディアがどう取り上げるかというのと、あるいは国会でどういうふうにそれ が議論されるかというそういう間接的なあれがあると思いますけれども、直接例えば国 民の方が何らかの評価に参加してと、そもそもそういう仕組みとして設計されていない と思います。自分たちで自分たちの見直しをしているよということを外に公開していく。 それが間接的に反射されたもので自己規律を保つとともに見直していくというものだと 思いますから、地方公共団体もそもそもそういうものだと思いますけれども、よく引き 合いに出されます例えばアメリカのある地域でやっているような形、いわゆる満足度調 査のようなものをやって、それでどうなのかというのとは少し違うと思います。 ○高橋座長  これは政策評価官で所管する政策評価が、おのずからある枠の中で収まらざるを得な いというのを一応承知した上で、一方でやはりそれは政策統括官のもとに置かれた政策 評価なのだから、やはりそっちの方の仕事は結構ありそうだなというようなそんな流れ の議論なのかなと私なりには思っています。「統括する」というのはそういうことではな いか。「統括官」って何だろうといつも思うのですが。 ○小野政策統括官  最初の堀田委員のあるいは座長からのお話は、まさに政府全体の政策の整合性なり国 民生活との関係で、予算も含めてどういう選択がいいのかという一番大きな問題だろう と思うのですね。それはそれぞれしかるべきところでもいろいろ議論されているのでし ょうけれども、今いろいろなご意見をいただきまして、それから各省との政策評価の整 合性ですね、今いただいた意見は我々自身も我々なりにいろいろな工夫ができないかと いうことも検討したいと思いますし、それから全体論ですね、そこはそういう意見があ ったということも総務省なり関係のところによくお伝えしていきたいというふうに思い ます。 ○高橋座長  ありがとうございます。それではもしほかに何かご発言がなければ、次のトピックス にいってよろしゅうございましょうか。  それでは先ほど森田委員がリファーされました規制の事前評価のご説明をお願いいた します。 ○政策評価官室長補佐  「規制の事前評価の義務付けについて」という資料をご覧ください。  まず経緯ですが、諸外国においては1980年代から規制の事前評価というのが行われて いました。我が国におきましては、政策評価法の施行令改正により平成19年10月1日 から法律または政令により、規制の新設・改廃を行う際には事前評価が義務づけられま した。これに伴いまして、厚労省におきましても、「政策評価に関する基本計画」等の変 更を行ったところでございます。変更の時期は昨年の10月1日以降でございますので、 有識者会議へのご報告は今回が初めてとなる次第でございます。  対象となる規制とは何かということですが、「国民の権利を制限し、又はこれに義務を 課す作用」と定義されております。本当はもう少し細かいのですが、施行令をご参照く ださい。  具体的にどう実施するかというところでございますが、規制影響分析書というのを実 施要領で作ることとしまして、現状・問題分析とその改善方策、この規制を新設するあ るいは改廃する必要性はこういうことですよということを書いてもらい、そして新設・ 改廃はどういう内容で何を目的としているのかと。改廃や新設による便益ですとか費用 はどういうふうに考えるかというのと、あと代替案、新設または改廃する方法以外の代 替案は例えばこういうものが考えられて、それと比較するとこうだというのを書いても らって、それからあと有識者の見解等がある場合は書いていただきまして、また一定期 間経過後に見直しを行う場合はそれも書いてもらいます。  事前評価でございますので、当該規制の新設や改廃が法律による場合は法律案の国会 提出まで、そして政令による場合はパブリックコメント(パブリックコメント適用除外 のものについては閣議決定)までに作成をして、総務大臣に送付するとともに厚生労働 省ホームページに公表という流れで実施しているところでございます。  実施状況ですが、平成20年の3月19日までに19件の規制の事前評価を実施していま す。  資料の別添として実際に作成した規制影響分析書を付けています。先ほどご説明した とおりでございまして、最初にその現状や問題分析を指標等を用いながら説明するとい うことでございます。例えば、この例でいくと、労働者のホルムアルデヒドのばく露の 防止を図ることが必要だと、こういうことを説明します。 そして次に規制の新設・改廃の内容・目的で、例えばこういう内容を書きますというこ とを次の欄で書きます。今回の例では、今までは、事業者に既に義務づけている作業主 任者の選任、大量漏洩を防止するための措置等に加えて、新たに、設備の密閉化又は局 所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置といったこういったものを置いてその作業 環境測定の実施等の措置を義務づけると、こういうことで労働者のホルムアルデヒドの ばく露を防止するということですよという説明を行います。  次に、便益と費用の分析で、期待される便益は、例えば労働者への便益はこうだ、事 業者への便益はこうだという説明をした後、想定される費用として本規制により新たに 伴う費用というのが、例えば換気装置だと数十万円の設置がいるということも書きます。  続いて「便益と費用の関係の分析結果(規制の新設・改廃の総合的な評価)」でござい ます。ここに簡潔に書いておりますが、結論としては、特別に過重な規制をするもので はないから事業者の費用負担の増を考慮しても本規制の実施は必要なものと判断すると いう結論になっております。  四番目が代替案との比較考量で、ここはケースバイケースですが、今回の例では、例 えば指導ベースでちょっと緩やかな義務にするというのを代替案として想定しておりま す。  この代替案をとった場合期待される便益はどうかというのを、先に書いております新 たな規制の便益とを比較するような形で書きまして、同じように代替案についても想定 される費用はこうですというのを記述します。  そして最後にここで代替案との比較という点で結論を書くことになりまして、今回の 例では、「全ての事業者に当該措置を履行させるため、通達による指導(代替案)ではな く、法的強制力をもつ本案を採用すべきである」、こういう結論をしております。  有識者の見解その他の関連事項としては、こういう「リスク評価検討会」というもの で検討されて以下のとおり報告されているとか、あと一定期間経過後の見直しにつきま しては、国際機関等で発がん性等の評価が見直されたりですとか、あるいはホルムアル デヒドによる労働災害が多発した場合において見直しを行うと、こういう結論を書いて おります。具体的な規制分析書をおつけした方がより評価のイメージですとか、大体の 内容のがわかりやすいと思いまして説明させていただきました。  説明は以上でございます。 ○篠原委員  予算規模の大きいのとか事業規模の大きいものということではなく、影響のある規制 が対象となると。そうするとC型肝炎みたいな問題とか例えば社保庁の問題とか結果的 にはものすごく費用が大きくなるという問題は、この政策評価の対象にするかは別とし て、今後どういう形で引っかけるというのですかね。何かの大きな問題、いろいろな形 でマスコミ等の報道を見ていると、指摘は個々にされているけれどもやはりいわゆる省 全体とかがそこで動くような形になっていなかったなという気がするのですが、これは やはり政策評価に上がってくればそうなるけれども、そこの対象より別の対応なのです か。それとも規制のあたりで今僕が言ったようなことは引っかかる対象になる。 ○政策評価官室長補佐  規制の影響分析は先生の今ご指摘な大きな問題というよりは、行政の方でこまめに規 制の方の見直しをやっておりますので、その制定過程の客観性と透明性の向上を目指す と、そういう趣旨で淡々とやっております。今先生が提起されたような問題とちょっと すぐにはつながらないかと思いますが。 ○堀田委員  感想みたいな感じで申しわけないのですけれども、規制をするということになった場 合に割合ここに書いてある実施方法(1)から(6)まで書きやすい、規制する以上は何らかの 不都合があるとかがあって、その不都合をなくするにはどうすればいいかという問題提 起があって、それにはこういう規制だという話になって、その代替案として、法律で強 制するか勧告にするかなどという案がすらすらと書けると思うのですよね。  だけど、実際の問題は、たまたま不都合があったけれどもそこでそれだけの規制をし て多くの人を縛ってしまうと、そこからたくさんのマイナスがこぼれ落ちるのではない か。その規制がなければもっといろいろな人が参加していろいろなことがやれたのに、 それがやれなくなってしまうのではないかとか、あるいはほかのそういう問題があった ら民間の方で当然責任を感ずるだろうからこういう民間の仕組みを作らせれば、その問 題が大体収まるのではなかろうかとか、そういう規制をすること自体を広い目で見てプ ラスマイナスを評価するということが実際には問題になってくる。そのことをここで書 こうとすれば、代替案のところに書くのかなとも思うのですけれども、代替案のところ は規制がなかった場合とか、そこまで考えて書くようには多分なっていないのではなか ろうかと思います。そうすると結局規制しようとする所管課で問題があったから何とか しなければいけないということで、従来法律を作ったり政令を作ったときに書いていた ような趣意書、要綱的に書いたのがこれになってしまう。それだと本当に規制が広い目 で不可避なのか、そこまでの権利を縛ることが必要なのかというところの判断が果たし てできるのであろうかと、これは大変直感的な質問といいますか問題なのですけれども、 幾つかもう既におやりになっているそうですから、その辺のご体験を踏まえて、今私が 申し上げたような疑問点につきましてはどういうお答えなのか。 ○高橋座長  それとちょっと今のに関連するのですが、具体的な事前評価書を書くプロセス、これ は規制の所管課が書きますよね。だけどそこで当然代替案の話だと、政策評価官室から 「これでいいの」というやり取りはあるのですか。それとも「これは代替案と比較しま したか」と聞くだけで、それをそのまま規制の事前評価にするのですか。今のことに若 干関係があるので。 ○政策評価官室長補佐  確かに堀田先生ご指摘の点は、この分析書だけでくみ取れるかどうかという部分はあ ると思います。総務省のガイドラインは、特に規制を緩める場合は、代替案としては規 制全廃との比較が望ましいとしておりますので、そのような問題意識は政府としてもあ るのですけれども、その辺の徹底というのは、今後いろいろそういうご指摘をもらいな がら進めていくものではないかと思います。  あとは評価官室の所管から外れますけれども、決定過程としては例えば政令ですとパ ブリックコメントがあったり、法案だと国会の審議もあったりしますので、今回の規制 影響分析で先生が言われたような包括的な問題を全部のっけて作るのではなく、そうい う大きなプロセスの中での参考の一助となるようなものなのかもしれないと考えており ます。  あと、評価官室は各担当部局が評価を行うに際して技術的支援を行うこととされてお りますので、代替案についても技術的支援を行うことはあります。 ○篠原委員  日本では規制緩和にいったのですけれども、日本で一番僕欠けているのは、アメリカ なんかを見ていると、業界団体のかなり規制ってあるのですね。だから一たん法律がな くなっちゃうと何もなくなっちゃうと。そうすると法律でやるかというという話になっ て、今後やはり本当に政府がどこまでかかわるかということでは、業界団体自体がもう ちょっと親睦団体を超えて何かやらないという気があるのですけれども、これはちょっ とそういう部分の検討もされることはあるのですか。 ○政策評価審議官  確かにそういった国民の目をどうやってチェックするかというところのご指摘は非常 に大事だと思うのですが、ほかの省庁は余り承知しているわけではないのですけれども、 先ほどの例ですと最後の方に有識者の見解だとかというのがございまして、代替の場合 は研究会だとか審議会とかというところにかけて、その報告をいただいて、もちろん法 律や政令は当然そういうプロセスは必須ですので、そういったところでその結果もホー ムページで今はほとんど公開されていますし、こちらのものについてもホームページで あるいはパブリックコメントで問うというような形での担保というのは一応されること にはなっておると思うのです。ただ、事前の段階でより国民に広くどこまでアピールで きるかというのはあると思いますが、もちろん社会的に大きな影響があればマスメディ アだっていろいろな形で報道される可能性はもちろんあるかもしれませんが、我々とし てはそういう意味でこういった配慮のプロセスも入れておるつもりですし、それを踏ま えたこういった制度の枠組みになっておるのではないかという気がしておるのです。  もちろん政策評価官室も、この決定に当たりましては中での決裁は必ず通して、我々 も含めて必要に応じて調整しながら進めております。 ○紀陸委員  今、杉浦さんのお話が出ましたように、法令の改正があるたびに審議会で論議してい て、大体詰まってきたころに最後の方にパブコメが行われます。そうすると、論議の終 着点とパブコメをやってその内容がはっきりするまでのタイムラグが生じます。法令改 正の方針がある程度固まってしまってパブコメをおまけでやっているような場合とか、 逆に、パブコメをやっても、その内容が審議会の審議に反映しないで最終の答申にまで いってしまう場合とか、あるという感じを受けます。  したがって、このパブコメのタイミングとか、意義を明確にして行う工夫をしていた だくといいというふうに思いますね。 ○政策評価審議官  今のお話にもありましたように、なかなか制度改正ですと国会のスケジュール等も踏 まえながらやっているところで、日程的にいつも追われてしまう部分があることはご案 内のとおりだと思いますが、今のご意見は持ち帰りましてまた各局にもそういった配慮 ができないかどうか検討させていただきたいと思います。 ○森田委員  審議会とパブコメについてもいろいろあると思いますけれども、それはともかくとし て、この規制、RIAにしても制度のあり方についてもう少しきめ細かい評価の仕組み を組み込まないとかなり余計な労力がかかるのではないかというのが私の印象です。例 えば、社会的規制の場合と経済的な規制の場合ではかなり違っていると思います。社会 的規制の場合には人の安全にかかわる話ですから、コストの問題をどう考えるかという のとはちょっと別の問題になると思います。  それに対して、通常これが出てきたのは経済的規制で、いわば産業活動の自由化を妨 げているのではないか、それが余計なコストを生み出しているのではないか。したがっ て、規制によって生まれてくるところの社会的なコスト、自由競争だったらもっと安い ものを消費者によく提供できたはずなのに規制があるためにそれができない、その社会 的コストというのをどう測定するかというのでかなり議論があるところでして、規制そ のものにかかるコストだけが問題でないと思います。その辺について社会的規制と経済 的規制がどう区別できるかというのは大変難しい議論ですけれども、経済的規制と同じ 労力をかけてやるべきかどうかというのはもう少しいろいろ試行されて考えられた方が いいのではないかと思っております。  それに関して言いますと、ここで19件ほど上がっていますけれども、いわゆる経済活 動本体に対する規制なのか、これを緩和するというのはなかなか難しいと思いますけれ ども、その規制の仕方についても例えば業規制なのか行為規制なのか資格規制なのかと いうのによって違うと思いますし、また、同じ規制といいましても、この中にあります けれども報告義務という規制もあれば、付随してですね、手続き的な規制もあればさら に純粋な意味での、一番最後にありますけれども、届出ですか申請の期間延長というの も規制緩和になっていると思いますけれども、これはかなり事の性質上比重が違う話で して、同じようにやるかどうか、手続きの緩和なんていうのは別にわざわざ大がかりな 評価をしなくてもいいように思いますし、書類の削減だとかそういうのもいいのではな いか。むしろ手続き的な書類を増やせとか報告義務を増やせという規制をする場合に、 それをすることによって本当に規制の効果が出るのかどうか、そういうチェックが必要 だと思いますけれども、そういう意味で言えば規則で決まっているからやらなければい けないのかもしれませんけれども、明らかに本来やるべきものに絞り込んで、それ以外 のものについては、これは各省の裁量でやらないというわけにはいかないのかもしれま せんけれども、軽微な手続きで済ませるとかそうしませんと本当に重要なものの評価が できなくなってくる。  特に、社会的規制の評価の場合が一番問題になるのは、経済的なコストベネフィット よりもやはり人間の価値みたいな話になりますから、例えば薬品の審査の規制とか何と かの場合、効果はかなり期待できるけれども副作用について不透明であるというケース があるわけですね。それは過去にもいろいろ厚生省が問題になったわけですし、チェッ クしなかった不作為の義務で責任の問題が出るということになりますから、そういうこ とを含めたとき本当にそれをどうするかというのは、これはコストのはかりようがない 話ではないかなと思いますね。そういうものについても評価をするとしますと、これは 別な仕組みを入れざるを得ないのではないかということと、もう一つは今回の事例がつ いているホルムアルデヒド、この規制なんていうのは社会的な規制でコストがかからな いで安全性の効果が高い一番典型だと思いますけれども、規制のコストという場合には、 一つには事前許可制にするかどうするかという話もありますけれども、モニタリングの コストというのがかなりかかるわけで、違反行為をどれぐらい抑制できるか、これはす ごいコストがかかるわけですね。そういうものを考えていった場合に、この評価という のはかなり本当は大変なことになるわけですね。それもだからどこまでやるのかという ことをあらかじめ決めておきませんと、ある効果があると、例えば道路交通でいえば速 度制限でもいいし、私がちょっとかかわった例で言いますと、自動車に幼児を乗せると きにはチャイルドシートを義務づけると。そうすると子供の命がこれぐらい助かるとい うのですけれども、チャイルドシートをつけているかどうかの取り締まりのコストって 物すごくかかるわけです。それを無視しちゃうとほとんど違法行為が野放しになってし まいます。そうすると、規制をやる意味というのは本当にあるのかどうかという議論が 出てきます。  そういうことまで踏み込んでいくと、これは結構大変なことなものですから、いわゆ る厚生労働省でやる場合には、何を申し上げたいかといいますと、こういうものについ てこの範囲についてちゃんと規制を評価する、それが一番重要なのだと、そういう範囲 というものをある程度明確にされるということが望ましいのではないかということです。 ○堀田委員  関連していいですか。森田委員のおっしゃったこと全面的にそういう問題があるとい うことで、社会的規制はある程度コストがかかってもという話でしたけれども、それは 抽象的にはそうなのでしょうけれども、そのコストの中に結局その規制があったために ある行為ができなくなってしまった。よその省庁の例で考えてみますけれども、例えば グループホームに火事があって、極めて特殊な火事で特殊な事情なのだけれども、だか らそんなものほうっておいたってまず起こらないのだけれども、ともかくスプリンクラ ーを全部グループホームにつけろということになった。グループホームに本当に資金の ない人たちがやっと一生懸命開いてやっておるというところがあって、そこでスプリン クラーをつけさせられたら参入できなくなってしまう。かなりそういう声があったので すけれども、結局つけることになってしまって、実態としてグループホームが作りにく くなっている。特に善意の人がシャットアウトされている。  それからさっき森田さんがちょっとおっしゃいましたチャイルドシート、自転車の規 制で子供を二人前後に乗っけてはいけないという。それは一人の方が安全に決まってい る。そんなことは文句なしに決まっているのだから、この文章をさらさらとは書けるの だけど、では二人子供を抱えていてどうしても置いておけない母親というのは山ほどい るわけです。そういう子供たち、上のお兄ちゃんがやっと保育園に行くようになったと きというのはどうする、だれが面倒を見る。そういうところが非常に大きな国民のマイ ナスになる。そういうものが測定できないのですよね。調査もできないし、そういう人 たちはものを言わない。だけど非常に被害が大きい。だから社会的規制であるからコス トはやむを得ないとも言い切れない。 ○森田委員  コストの測定がしにくいという話ですよね。今おっしゃったような場合も同じような ことがありまして、一番そういうので実際に研究が行われた有名な例というのは、借地 借家法で借家人保護のために家主に対する規制を強化したのですね。その結果、家主の 方は収益性が下がってくるものですからビジネスのメリットがなくなって供給が減っち ゃったわけですよ。そうすると、本当に事情があって家を借りたい人が物すごく劣悪な アパートしか借りられなくなってくる。それが本当にいい借家人保護になっているのか という議論があるのですね。  その意味でいくと、どこでバランスをとるかという話で、経済的規制の場合ははっき り言ってそれが本当に国民の便益に結びつくかどうか、社会的な公正に結びつくかどう かということで比較的議論がしやすいと思いますけれども、社会的な規制の場合には、 今のもそうですけれども一方で人の命があると無限に保護しようとしますし、今のケー スもそうですけれども、そこで規制緩和をして子供を二人乗せている自転車で事故が起 こったら、行政は何をしているのかという話になるのですけどね。それで本当に困って いるのはだれかというのと、そういうことを少し表に出すような形できちんと評価をす る、そうしませんと実際に評価を厳しくして見かけはよくなったとして評価が高くなっ ても、本当に困っている人が救済されなくなってくるということが起こってくるのでは ないかと思います。そういうことですよね。 ○堀田委員  そうです。 ○高橋座長  正に厚生労働省は社会的規制が相当大きな守備範囲に入っている省庁だけに、今の議 論を踏まえて規制分析の事業評価のあり方について、いろいろ質を上げるようにと、最 終的に規制があって国民が倒れるでは困るというご意見がございました。一方で国民を 守るための規制であることは間違いがないわけでございますが、それがしばしば逆機能 を及ぼすというのは過去にいろいろと我々も見てきたわけですが、そこら辺この運用に 当たってのご意見とさせていただくということでちょっと整理をさせていただきます。  それでは引き続き、これは報告事項になろうかと思いますが、政策評価に関する有識 者会議の中で社会保険庁の目標設定及び実績評価に係るワーキンググループが開催され まして、先般審議を行ったばかりでございます。この報告をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  それではお手元の資料の3でございます。  1ページ目は「政策評価に関する有識者会議 開催要項」でございます。社会保険庁 の目標設定及び実績評価に係るワーキンググループを編成するために、本要項を改正す ることにつきましては、皆様には事前にご説明を申し上げて、既にご了解をいただいて おりますので、簡潔にご説明をさせていただきます。  まず政策評価に関する有識者会議でございますが、右上に書いてございますように平 成15年に設置されてございます。今回のワーキンググループの編成に伴いまして先月開 催要項を改正してございます。改正した部分については下線を付してございます。  まず1の趣旨でございます。こちらにございますようにこの有識者会議でございます が、厚生労働省が行う政策評価の客観性及び有効性を高めることを目的として開催され、 2でございますけれども検討事項でございますが、(1)にございますように厚生労働行政 に係る政策評価手法などについてご意見を賜ってまいりました。今般、(4)にございます ように、「厚生労働大臣が行う社会保険庁が達成すべき目標の設定及び目標に対する実績 の評価について」という事項を新たに追加してございます。  また3でございます。会議の運営でございますが、(2)にございますように、「また、 ワーキンググループにおいては、政策統括官は、必要に応じ、会議参集者以外の者の参 集を求めることができる」。また(3)といたしまして、「会議は、その定めるところに より、ワーキンググループの意見をもって会議の意見とすることができる」と明記して いるところでございます。  続いて2ページ目をご覧ください。政策評価に関する有識者会議社会保険庁の目標設 定及び実績評価に係るワーキンググループの編成でございます。   1の趣旨でございますが、ワーキンググループは有識者会議の参集者及びその他の専 門家の協力を得て編成してございます。  2の検討事項でございます。ここで検討を行う事項でございますが、(1)にございます ように中央省庁等改革基本法に基づきまして、厚生労働大臣が設定する社会保険庁が達 成すべき目標、(2)といたしまして(1)に定めます目標に対する実績の評価などについての ご検討をいただくこととしているところでございます。  3の運営等に関することでございますが、(3)にございますように、このワーキング におきましては特に非公開とする旨の申し合わせを行った場合を除き公開とするという ことで、公開とさせているところでございます。  続いて3ページ目でございます。ワーキンググループの参集者でございます。参集者 でございますが、本有識者会議からは菊池先生、それから篠原先生、高橋先生のお三方 に参集者としてご協力をいただいてございます。また、全国社会保険労務士会の大谷先 生、それから横浜国立大学の山口先生にもご協力をいただきまして、都合5名というこ とで開催してございます。去る3月5日水曜日には第1回目のワーキンググループを開 催しまして、平成20年度において社会保険庁が達成すべき目標案、こちらについてご意 見をいただいたところでございます。  続いて4ページ目から8ページ目でございますが、厚生労働省における実施庁の評価 について枠組み等考え方を整理したものでございます。5ページ目をご覧いただきたい と思います。  5ページ目の上の四角でございます。「厚生労働大臣は平成13年度より、毎年度開始 前に社会保険庁長官に対して「達成すべき目標」を示し」とございます。下の根拠法令 でございますが、根拠法令といたしましては中央省庁等改革基本法の第16条6項第二号 におきまして「府省の長は、実施庁が達成すべき目標を設定し、その目標に対する実績 を評価して公表する」と、この下線部分でございますが、そのようにされております。 またその公表についてでございますが、具体的には厚生労働省のホームページの政策評 価と同じ場所に掲載して公表してございます。  続いて6ページ目でございます。6ページ目は社会保険庁の実績評価の流れ、イメー ジ図を記載してございます。詳細についてはご説明をいたしませんけれども、今般3月 5日にご議論をいただいたものは19年度欄の中段を見ていただきますと、少し薄いピン ク色で「20年3月目途」ということで「20年度目標の策定」というところがございます。 今回こちらについてご意見をいただいております。  今後このワーキングでございますけれども、同様に20年度の欄、「21年度目標策定」 というのがございます。また実績評価につきましては、20年度になってから20年6月 目途、20年8月目途というところで実績評価、これは19年度の実績評価を行うと。そ れから、21年度になりましては、20年度の実績評価をいただく。  それから右下の枠外にございますが、※でありますが、21年度の計画については平成 22年度に実績評価をいただくということを予定してございます。この21年度の実績評 価が終わりますと、その後実施庁の評価、社会保険庁の評価は行われないという形にな る予定でございます。  続いて7ページ目でございます。7ページ目は厚生労働省におきます政策評価に関す る基本計画、今ご説明をしました内容でございますが、ここで大臣が決定しました基本 計画に定められております。この計画の中で実施する評価につきましては、中央省庁等 改革基本法の規定に基づく実施庁として評価を実施することとされているとともに、同 計画においては、目標の設定及び実績評価の実施に当たって学識経験を有する第三者の 知見の活用に努めることとされているということとなっております。  続いて8ページ目でございます。こちらでは総務省による実施庁に係る実績評価に関 する調査に基づく通知というものをご紹介いたします。  総務省は毎年度様々な調査を行いまして、その結果に基づいて各府省に対して勧告な どを行っているところでございます。今般ここに書いてございますのは平成15年から平 成16年にかけまして実施庁の評価に係る調査が行われまして、こちらは平成16年7月 に厚生労働省を含めました関係省庁に通知が行われたものでございます。  この通知の一部を紹介いたしますと、「可能な限り具体的かつ定量的な目標の設定に努 めること」、それから、「目標の設定や実績の評価を行う際に、有識者等第三者の知見の 活用に努めること」が指摘されております。この通知事項にございますように、言われ ているわけなのですが、皆様既にご案内のように、社会保険庁につきましては社会保険 庁の改革関連法案が成立しておりまして、これから社会保険庁は廃止をされて本年の10 月には「全国健康保険協会」それから平成22年1月には「日本年金機構」という二つの 非公務員型の公法人が新設されることになっているわけでございます。そうなりますと、 今申し上げました実施庁の評価という形での評価は終了し、今回ご審議いただきました 政策評価法あるいは新しい組織の個別法のもとでの評価を行うということになってくる わけでございます。  これまで社会保険庁の評価に当たりましては、社会保険事業運営評議会という場がご ざいまして、こちらでご意見を賜ってきているところでございますが、これはあくまで 社会保険庁に設置をされております有識者の会議でございまして、より幅広い観点から 有識者の方々のご意見をちょうだいするということが必要ではないかということもござ いまして、新たにワーキングチームを設けさせていただいたということでございます。  続いて9ページ目でございます。9ページは平成20年度において社会保険庁が達成す べき目標についての公文の写しとなってございまして、10ページ目以降が平成20年度 において社会保険庁が達成すべき目標の内容となってございます。  まず10ページ目でございますが、目標に向けました前文といたしまして、平成20年 度において重点的に実施する事項といたしまして、3点ほど記載してございます。三段 階に分かれておりまして2行目でございますが、年金記録問題について明記してござい ます。年金記録問題により社会保険庁のこれまでの業務に対する国民の信頼が損なわれ ている状況に対しまして、「年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確 立について」、それから「年金記録問題に関する今後の対応」等に基づく取組を着実に実 施するとともに、「年金記録問題検証委員会報告書」などの指摘も踏まえて業務の管理・ 運営に係る様々な改革を推進し、国民の信頼に足るシステムを再構築していく必要があ るという点が一点目でございます。  また二点目でございますが、(1)としまして「業務改革プログラム」による改革の着実 な実施といった従来からの取組に加えまして、(2)でございますが平成20年10月全国健 康保険協会の設立に伴う健康保険事業の円滑かつ着実な移行、それから(3)といたしまし て22年1月の日本年金機構の設立に向けた組織、業務の運営を円滑に行うための所要の 準備を進める必要があるとしております。  三つ目でございますが、最後に少子高齢化が一段と進む中、国民生活の安定を保障す る社会保険を担う組織として、国民に真に信頼される組織に再生していくために、年金 記録問題の解決と新組織への移行に向けた社会保険庁の改革に全力を挙げて取り組むこ とが年金制度に対する国民の信頼を回復するために必要不可欠であるという3点、こち らについて前文として記載したものでございます。  以上までが平成20年度において社会保険庁が達成すべき目標の策定に当たりまして、 前文として重点的に実施すべき内容を総論として記載したものでございます。  以下四角枠でございますが、達成すべき目標といたしまして、具体的な内容を記載し たものでございます。10ページ目には1ということで、適用事務に関する事項、おめく りいただきまして12ページでございますが、2といたしまして保険料等収納事務に関す る事項、それから次のページ13ページですが、3といたしまして保険給付事務に関する 事項、14ページで社会保険オンラインシステムの見直しに関する事項がございます。15 ページ、広報、情報公開、相談等に関する事項。最後に16ページでございますが、保健 事業及び福祉施設事業に関する事項、あわせて6事項で、項目数でいきますと14項目こ ちらを目標としたものでございます。  平成20年度の目標に当たりましては、先ほど来出てきておりますが「経済財政改革の 基本方針2007」いわゆる「骨太の方針2007」というものでございますが、こちらにおき まして政策ごとに予算と決算を結び付け、予算とその成果を評価できるように、予算書・ 決算書の表示科目の単位と政策評価の単位とを対応させるなどの見直しを行い、平成20 年度予算から実施することとされております。そういうことから、平成20年度の予算案 におきましては、予算書の表示科目の単位と政策評価の単位とを対応させているところ でございます。  これに伴いまして「社会保険庁の事務の実施基準及び準則」を変更するとともに、達 成すべき目標につきましても整合性を図るため、4にございます社会保険オンラインシ ステムの見直しに関する事項、こちらにつきましては新たに目標として設定するという こと。それから目標の順番につきましても予算の単位とあわせるために一部順番の見直 しをしたものでございます。  また、総務省から16年7月に言われている通知の中では、可能な限り具体的かつ定量 的な目標の設定に務めるといった指摘もされておりまして、平成20年度の目標におきま しては、努力目標なども含めますと全14項目中10項目で数値的な目標を設定したとこ ろでございます。個々の目標についての詳細については時間の関係上省略させていただ きたいと思います。  本目標を設定するに当たりましては、繰り返しになりますけれども3月5日水曜日に 第1回の社会保険庁ワーキンググループを開催いたしましてご意見をいただいたところ でございます。ワーキンググループにおきましては、国民の視点に立った目標とすべき ではないかなどといいました大所高所からの貴重なご意見をいただきました。この場を 借りて御礼申し上げたいと思います。いただいたご意見につきましては再度検討を行い まして、大臣にご報告、ご相談の上、3月13日付で社会保険庁長官に通知するとともに、 同日付で厚生労働省のホームページで公表したところでございます。  以上簡単ではございますが、政策評価に関する有識者会議社会保険庁の目標設定及び 実績評価に係るワーキンググループの開催についてご説明、ご報告をいたしました。  以上でございます。   ○高橋座長  はい。ありがとうございました。報告事項ということでございますが、篠原、菊池委 員にもご参画をいただきました。何かご質問等があれば。はい、篠原委員。 ○篠原委員  なければ感想ということで述べさせていただきたいのですが、年金記録問題に関して はもういろいろな組織が出ていて、いろいろと問題があるけれども向かっているなと。 そういう意味でこれを見ると、ここに、新組織への移行に向けた社会保険庁改革に全力 を挙げて取り組むという部分が比較的弱いというか、今のマスコミが余り注目していな いと。  この年金のシステムというのは、海外を見てもいろいろな問題があって、日本はちょ っとひどいかなという感じもするのですけれども、やはり国民というか全力を挙げてや らない限りはきちんとしたものができないのではないかと、そういう意味ではこの評価 委員はそっちに重点的かなという気もして、まだ弱いからそこを我々のワーキンググル ープではちょっとプッシュした方がいいと、僕個人ではそういう印象を持っています。 ○高橋座長  ありがとうございます。というわけで一応これはもう既に大臣に報告は済んでいると いうことでございますが、また引き続きワーキングが何回か開催される予定でございま すので。 ○高橋座長  それではこの件はこれでご報告ということでございますので、引き続き次回以降の予 定等をご説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  先生方にはご審議いただきどうもありがとうございました。最初にご審議いただきま した基本計画や年度計画等今後の決裁の過程等で文言の修正等はあるかもしれませんけ れども、本日先生方からいただきました意見等を踏まえて、我々は、平成20年度の政策 評価に向けての見直しを進めていきたいと考えております。どうもありがとうございま した。  次回の有識者会議でございますが、7月を目途に開催を予定しております。また日に ちや時間等につきましては追って事務局よりご連絡させていただきたいと思います。  以上でございます。 ○高橋座長  それでは若干早く終わることができましてどうもありがとうございました。それでは これで終わらせていただきます。 (終了)