08/03/17 第23回労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会議事録 第23回労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会議事録 1 日 時  平成20年3月17日(月)15:00〜15:25 2 場 所  厚生労働省共用第8会議室 3 出席者 【委員】 公益委員   今野部会長、勝委員、武石委員、田島委員、中窪委員、 野寺委員 労働者側委員  勝尾委員、加藤委員、高石委員、高橋委員、中野委員、 横山委員       使用者側委員  池田委員、岡田委員、川本委員、原川委員、横山委員、 吉岡委員 【事務局】厚生労働省   氏兼勤労者生活部長、吉本勤労者生活課長、               植松主任中央賃金指導官、吉田副主任中央賃金指導官               吉田勤労者生活課長補佐    4 議事次第   「最低賃金法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」について 5 議事内容 ○今野部会長   それでは定刻となりましたので、ただ今から、第23回最低賃金部会を開催いたします。 本日の議題は、「最低賃金法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」についてです。本件 は厚生労働大臣から、労働政策審議会会長あての諮問案件であります。  まず、事務局から説明をしていただきたいと思います。 ○吉本勤労者生活課長   お手元の資料1に基づきまして、ご説明します。こちらが、厚生労働大臣から労働政策 審議会会長あての諮問文でございまして、その別紙が要綱になっております。まず、要綱 につきまして読み上げさせていただきます。 ○吉田課長補佐   それでは私の方から読み上げさせていただきます。   最低賃金法施行規則等の一部を改正する省令案要綱。  第一 最低賃金法(以下「法」という。)第四条の規定の適用についての換算。賃金が時 間以外の期間等によって定められている場合は、当該賃金が支払われる労働者については、 次に定めるところにより、当該賃金を時間についての金額に換算して、法第四条の規定を 適用するものとすること。  一 日によって定められた賃金については、その金額を一日の所定労働時間数(日によ って所定労働時間数が異なる場合には、一週間における一日平均所定労働時間数)で除し た金額。  二 週によって定められた賃金については、その金額を週における所定労働時間数(週 によって所定労働時間数が異なる場合には、四週間における一週平均所定労働時間数)で 除した金額。  三 月によって定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間(月に よって所定労働時間数が異なる場合には、一年間における一月平均所定労働時間数)で除 した金額。  四 時間、日、週又は月以外の一定の期間によって定められた賃金については、一から 三までに準じて算定した金額。  五 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金については、当該賃金算定期間 (賃金締切日がある場合には、賃金締切期間。以下同じ。)において出来高払制その他の請 負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金算定期間において出来高払制その他の請 負制によって労働した総労働時間数で除した金額。  第二 最低賃金の減額の特例。法第七条第四号の厚生労働省令で定める者は、軽易な業 務に従事する者及び断続的労働に従事する者とすること。ただし、軽易な業務に従事する 者についての同条の許可は、当該労働者の従事する業務が当該最低賃金の適用を受ける他 の労働者の従事する業務と比較して特に軽易な場合に限り、行うことができるものとする こと。  第三 最低賃金の減額の率。法第七条の厚生労働省令で定める率は、次の一から五まで に掲げる者に応じ、それぞれ当該一から五までに定める率以下の率であって、当該者の職 務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を勘案して定めるものとすること。  一 法第七条第一号に掲げる者。当該掲げる者と同一又は類似の業務に従事する労働者 であって、減額しようとする最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているものの うち、最低位の能力を有するものの労働能率の程度に対する当該掲げる者の労働能率の程 度に応じた率を百分の百から控除して得た率。  二 法第七条第二号に掲げる者。百分の二十。  三 最低賃金法施行規則(以下「規則」という。)第三条第一項に規定する者。当該者の 所定労働時間のうち、職業能力開発促進法第二十四条第一項の認定を受けて行われる職業 訓練の時間(使用者が一定の利益を受けることとなる業務の遂行の過程内において行う職 業訓練の時間を除く。)の一日当たりの平均時間数を当該者の一日当たりの所定労働時間数 で除して得た率。  四 規則第三条第二項に規定する軽易な業務に従事する者。当該軽易な業務に従事する 者と異なる業務に従事する労働者であって、減額しようとする最低賃金額と同程度以上の 額の賃金が支払われているもののうち、業務の負担の程度が最も軽易なものの当該負担の 程度に対する当該軽易な業務に従事する者の業務の負担の程度に応じた率を百分の百から 控除して得た率。  五 規則第三条第二項に規定する断続的労働に従事する者。当該者の一日当たりの所定 労働時間数から一日当たりの実作業時間数を控除して得た時間数に百分の四十を乗じて得 た時間数を当該所定労働時間数で除して得た率。  第四 その他。一 労働協約に基づく地域的最低賃金の決定の申請等に係る規定を削除 等すること。  二 その他所要の整備を行うものとすること。  第五 施行期日等。一 この省令は、最低賃金法の一部を改正する法律の施行の日から 施行するものとすること。  二 この省令の施行に関し必要な経過措置を定めるものとすること。  三 関係省令について所要の規定の整備を行うものとすること。以上です。 ○吉本勤労者生活課長  それでは続きまして、内容のご説明をさせていただきます。もう一度前に戻っていただ きます。まず、第一のところです。最低賃金法第4条の規定の適用についての換算という ことで、今回の改正法によりまして、最低賃金の表示単位につきましては、時間額に一本 化するということになっていますが、これに伴いまして、賃金額と最低賃金額を比較する ための換算方法につきまして、これまでありました、日、週又は月によって定められた最 低賃金額に係る規定が不要になることから削除するものです。  第二ですけれども、最低賃金の減額の特例です。ここでは最低賃金法の減額特例の対象 者について定めておりますが、現行の最低賃金法の適用除外の対象者につきましても、同 じような仕組みで定めておりまして、法律で精神又は身体の障害により著しく労働能力の 低い者、試の使用期間中の者、認定職業訓練期間中の者が定められているほか、省令で3 つの類型が定められております。「所定労働時間の特に短い者」、「軽易な業務に従事する者」、 「断続的労働に従事する者」、この3つが定められております。今般、ただ今申しましたよ うに、最低賃金額の表示単位が時間額に一本化することに伴いまして、「所定労働時間の特 に短い者」、これにつきましては不要となりますので、その部分を削除いたしまして、残り の2つの類型のみを記しているものです。  第三ですが、最低賃金の減額率について、次の頁の各号に規定する労働者ごとに定めて います。2頁目の最後のところが、いわゆる柱書きの部分で、各号で定めるそれぞれの減 額対象者の固有の事情に着目して減額率の上限値を定めるわけですが、さらに個々の労働 者の「職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等」を総合的に勘案した上で、減額率を 設定するということにしています。これにつきましては、現行法におきましても、実際の 運用はその適用除外の許可を受けたからといって、極端に著しく妥当性を欠くような低賃 金にならないように、許可書の付款の中で支払い賃金額の下限を定めるという、減額措置 をするといった運用を行っているところで、今から申し上げる今回の省令策定の考え方は、 基本的にはこれまでの運用の考え方を踏襲して、実質的な変更を生じないようにしてまい りたいと考えています。  3頁からの各号に掲げる労働者の減額率の上限、つまり支払額の下限について、基本的 な考え方を申しますと、まず1つ目が、障害者です。障害者につきましては、趣旨としま しては、申し上げるまでもありませんが、障害があることのみをもって、減額できるとい うことではなく、その障害が従事させようとする業務の遂行に直接支障を与えることが明 確で、支障の程度が著しい場合に限り認められるという趣旨です。そこで、具体的な減額 率としましては、一にありますように、現在の運用と同様な形で、同一又は類似の業務に 従事する労働者であって、最低賃金額と同程度以上の賃金が支払われているもののうち、 最低位の能力を有するもの、これと比較して労働能率が下回る程度に減額をするとさせて いただいています。  減額率を定めるといったことですので、応じた率、比較対象者100に対して減額対象者 が100分の90であるとすれば、100分の100から100分の90を引いて減額率の上限は100 分の10になるといった趣旨です。  それから、二の「試の使用期間中の者」です。これにつきましては、試用期間中の者は 必ずしも本採用並みの労働能力を有しているとは限らないということで、こうした対象と して掲げているものですが、一方で本採用になることを想定して採用され、本採用になっ た場合には、研修、経験を積んで能力も高まっていくということが期待される方々ですの で、できる限り減額率については小さくするということが適当だと思っています。具体的 には、休業中であっても、6割以上の賃金が保障されることなどを勘案しまして、8割の 下限、減額率で申し上げますと100分の20とさせていただいています。  1つ飛ばさせていただきまして、四のところが、「軽易な業務に従事する者」です。軽易 な業務に従事する者は、業務の負担の程度が特に軽易であるということに着目して、減額 の対象とされるものです。具体的な減額率としては、減額対象者と異なる業務に従事する 労働者であって、最低賃金額と同程度以上の賃金が支払われているもののうち、業務の負 担の程度が特に軽易なもの、これと比較してさらに業務の負担の程度が下回る割合におい て減額するといったものです。  以上の3つの類型は、その方の労働能率、その業務の負担の程度などの事情に応じて減 額の率を定めるといったスタイルです。  3番目と5番目ですが、これにつきましては実作業時間の違いに着目して、減額してい くといったスタイルのもので、三のところが認定職業訓練を受ける者です。認定職業訓練 を受ける者については、生産活動に従事しない時間があるということに着目して減額措置 の対象になっているということです。これも現在の運用と同様ですが、具体的にそこに掲 げている減額率は、使用者に一定の利益をもたらさない部分の訓練の時間に該当する分。 この割合だけを減額すると。それが減額の条件になるといった考え方で算定するものでご ざいます。  五ですが、「断続的労働に従事する者」です。断続的労働に従事する者は、常態として作 業が断続的であるため、労働時間中においても手待ち時間が多く、実作業時間が少ないと いったことで、減額措置の対象になっているものです。具体的な減額率としましては、実 作業時間分について最低賃金額を保障すべき、ということですが、それ以外の手待ち時間 分については、最低賃金額から一定程度減額したもの。一定程度の上限が4割ということ にして、率を算定するということにしています。  お手元に1枚だけの紙を配付させていただいていると思いますが、ちょっと分かりにく い算定式になっていますが、今申しました考え方に基づいて減額率を算定しますと、一番 下にありますような0.4b÷(a+b)といったことになります。それに即して省令の案文は 書き起こしています。  なお、今申し上げたような形で算定をしますと、減額率の上限は4割、即ち下限が6割 ということになりまして、これは現在の運用実態に即した内容になっています。  4頁のその他というところについては、1つは労働協約拡張方式による最低賃金を廃止 することに伴いまして、それに関連する部分の規定を削除するといったことなどが主要な 改正の部分です。第五は施行期日等ということで、まだ施行日に関する政令は公布されて おりませんが、4月に政省令を公布しまして、改正法を7月頃に施行したいと考えており ます。また、2と3は、必要な経過措置及び条ずれの修正等といった整備です。以上でご ざいます。 ○今野部会長   以上の説明についてご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。いかがでしょう か。よろしいでしょうか。   (質問なし) ○今野部会長   それでは、本部会としては、厚生労働大臣から諮問された「最低賃金法施行規則等の一 部を改正する省令案要綱」を妥当であると認め、労働政策審議会から、厚生労働大臣に答 申することにしたいと思います。よろしいでしょうか。 (了承) ○今野部会長   ありがとうございました。それでは形式的には本部会から労働条件分科会へ報告して、 さらに労働条件分科会から労働政策審議会へ報告し、さらに労働政策審議会から厚生労働 大臣あてに答申がなされるということになります。その案文を事務局から配付をしていた だければと思います。   (報告・答申案文配付) ○今野部会長   ご覧いただきたいと思います。よろしいでしょうか。報告・答申の案文については、今 手元に配付されたとおりとしたいという風に考えております。   (了承) ○今野部会長   ご了承いただいたということにさせていただきます。これより厚生労働大臣に答申をさ せていただきたいと思います。審議会会長に代わって答申を手交いたします。 (部会長から部長へ答申手交) ○今野部会長   それでは、勤労者生活部長からご挨拶をお願いいたします。 ○氏兼勤労者生活部長   ただ今、「最低賃金法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」につきまして、妥当と認 める旨のご報告をいただき、大変ありがとうございます。改正法の施行日につきましては、 政令で定めることとなっておりまして、現在、鋭意作成を進めているところでありますけ れども、7月1日には施行したいと考えています。省令につきましても、ただ今いただい た省令案要綱に基づき、省令案の作成に入り、改正省令の円滑な施行に努めてまいりたい と考えています。  最後に委員の皆様方におかれましては、これまでの間、ご協力いただきまして改めて感 謝申し上げます。ご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。 ○今野部会長  それでは今日予定した議題はこれで終わりですが、何かございますか。 ○中野委員  すみません、本日施行令に関わりまして、要望がございます。試の使用期間中の者に対 しては、現在の運用実態は、8割から85%が35%、85%から90%につきましては60%と いうことで。 ○今野部会長  前回もらった資料ですか。 ○中野委員  前々回の資料です。ということで、減額率が80%という風に省令で決まりました。一方 で、軽易な作業に従事する者の現在の状態というのは、60%から65%が10%で、90%から 95%が34.3%という実態になっています。そうしますと、そこでは減額率が定められてお りませんので、100分の100から勘案して減ずる率という風になっておりますので、現在の 実態よりも少なくとも悪くならないように、厳格な運用を要望しておきたいと思います。 以上でございます。 ○今野部会長  何かございますか。 ○吉本勤労者生活課長  これまでも軽易な業務につきましては、事業主からの申請をいただいた後、きちんと個 別に労働基準監督署におきまして実態を判断いたしまして、許可をしているところです。 今回、適用除外から減額措置にあらためられまして、違反した場合には、直ちにその罰則 の適用になるといったことですので、今のご意見を踏まえまして、的確に運用してまいり たいと思います。 ○今野部会長  他にございますでしょうか。 ○勝尾委員  すみません、先ほど事務局の方から、法律の施行を7月1日という風にお聞きしました けれども、今後、省令も固まったことですし、新しく改正された最低賃金法に基づいた運 用の在り方等について、法律の趣旨に沿った協議を早めにしていただくのが妥当かなと思 いますので、その辺についても早期に中央最低賃金審議会を開くなどして、協議をしてい ただければと思っております。以上です。 ○今野部会長  何かありますか。 ○吉本勤労者生活課長  今回政令は特にお諮りはしませんでしたが、政省令の枠組みについて、ここで方針を出 していただきましたので、今後は7月1日の施行日に向けまして、今回の改正法の趣旨に 沿った中身を、今ご指摘いだきましたように、中央最低賃金審議会の場が適当かと思いま すが、その場におきまして、また議論をお願いしたいと思います。 ○池田委員  内容についてはいいのですが、実際にこれを適用するとなると、非常に文書が難解で分 かりにくいと思いますので、実際には、適用に当たっては、各事業者が分かりやすいよう な文書を書いていただいて、なるべく100%払うのが理想なのですけれども、減額できる部 分については、この文書を何度読んでも非常に難解でありますので、法律用語というのは。 各事業者が分かりやすいような文書で、できればお願いしたいと思います。 ○吉本勤労者生活課長  そのような分かりやすい資料も作りまして、地方のそれぞれの現場におきましても、き ちんと説明会など開きまして、混乱のないようにしてまいりたいと思います。 ○今野部会長  他にございますでしょうか。それでは本日の会議はこれで終了したいと思います。本日 の議事録の署名ですが、中野委員、原川委員にお願いいたします。それでは終わりたいと 思います。ありがとうございました。    【本件お問い合わせ先】    厚生労働省労働基準局勤労者生活部    勤労者生活課最低賃金係    電話:03−5253−1111            (内線5532)