08/03/14 医道審議会保健師助産師看護師分科会保健師助産師看護師国家試験制度改善部会 第2回議事録 第2回 医道審議会保健師助産師看護師分科会保健師助産師看護師国家試験制度改善部会 日時 平成20年3月14日(金)  14:00〜             場所 専用第22会議室(18階) ○島田指導官 それでは定刻となりましたので、ただいまから医道審議会保健師助産師看 護師分科会及び保健師助産師看護師国家試験制度改善部会合同会議を開催いたします。委 員の先生方におかれましては、ご多忙中にもかかわらず、ご出席いただきまして誠にあり がとうございます。  まず、委員の出席状況ですけれども、草間委員、津村委員、鈴木委員、高木委員、福井 委員、堀内委員、村島委員よりご欠席の連絡をいただいております。また、井部委員にお かれましては、ご欠席という連絡をいただいておりませんので、間もなくご到着かと思わ れます。では、初めに医政局長よりご挨拶申し上げます。 ○外口医政局長 医道審議会保健師助産師看護師分科会、保健師助産師看護師国家試験制 度改善部会の開催に当たりましてご挨拶を申し上げます。皆様には、日ごろから厚生労働 行政、とりわけ保健師助産師看護師の行政に関しまして、ご協力またご理解いただいてお りますこと、改めて厚く御礼申し上げます。  本日は、保健師助産師看護師国家試験制度改善部会の報告書をおまとめいただくことに なっております。保健師助産師看護師国家試験制度改善部会委員、またワーキンググルー プメンバーの先生方には、長期間にわたり制度の改善に向けてご審議いただきまして、大 変ありがとうございます。改めて感謝申し上げます。  少子高齢化の進展と共に、国民の医療に対する期待も高まっております。また、医療・ 看護の進歩やそれを取り巻く環境の変化、そして国民のニーズに応えうる看護の提供が求 められております。このような中にあって、保健師助産師看護師国家試験は看護の質を担 保する上で、大変重要な役割を担っております。今回ご報告いただきます改善事項を基に して、よりよい国家試験の実現に努めてまいりたいと考えております。今後ともどうぞよ ろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ○島田指導官 事務局に人事異動がありましたのでご紹介させていただきます。審議官の 中尾です。それでは、分科会長の濱田先生、議事進行をよろしくお願いいたします。 ○濱田分科会長 今日はどうぞよろしくお願いいたします。10月1日の合同会議以降、保 健師助産師看護師国家試験制度改善部会ワーキンググループにおいて、国家試験に関する 改善事項についてご議論をいただきました。本日はそのご報告をいただくこととなってお ります。初めに、事務局より資料の確認をお願いします。 ○島田指導官 お手元に配付しました資料の確認をお願いします。まず、議事次第、座席 表、医道審議会保健師助産師看護師分科会委員及び保健師助産師看護師国家試験制度改善 部会委員の名簿の綴りが1つ。そして資料1、保健師助産師看護師国家試験制度改善部会報 告書(案)。乱丁落丁がありましたら、事務局までお申しつけください。以上です。 ○濱田分科会長 ここからは井上部会長に進行をお願いしたいと思います。井上部会長、 よろしくお願いします。 ○井上部会長 早速、議論を進めていきたいと思います。これまで保健師助産師看護師国 家試験制度改善部会ワーキンググループにおいて、分科会委員の皆様からいただいた意見 も含め、保健師助産師看護師国家試験制度の現状の問題点や課題及び改善事項について、 計5回の検討を行い、報告書(案)を作成しました。本日はその報告書を取りまとめたい と思います。  進め方としては、大きな項目ごとに進めていきたいと思います。まずは事務局より報告 (案)の「はじめに」の部分について、読み上げをお願いします。 ○島田指導官 お手元の資料1の「I.はじめに」。近年、人口構造の少子・高齢化が急速 に進展し、医療技術が著しく進歩する中で、医療現場においては一層の医療安全の確保が 求められている。また、効率的に医療を提供する観点から、医師と看護職員等との間で専 門性が発揮できる適切な役割分担の推進が一層必要となっている。一方、人々の療養の場 は拡大しており、在宅や地域で療養する人々を支えることや、災害若しくは虐待等の社会 問題への対応といったことも重要な課題となっている。このような状況の中、保健師、助 産師及び看護師にはこれまで以上に重要な役割を果たすことが期待されており、看護職員 の資質の向上を図るため、平成19年4月に取りまとめられた「看護基礎教育の充実に関す る検討会報告書」を受け、保健師助産師看護師学校養成所指定規則が改正され、看護基礎 教育カリキュラムが改正されることとなっている。また、平成18年の保健師助産師看護師 法の改正により、平成19年4月1日から看護師国家試験の合格が保健師免許及び助産師免 許付与の条件とされたところである。  保健師国家試験、助産師国家試験及び看護師国家試験(以下、「保健師助産師看護師国家 試験」という。)は、それぞれ保健師、助産師又は看護師として必要な知識及び技能を評価 するためのものであり、これまでも医療・看護を取り巻く環境の変化に合わせ、定期的に その改善を行ってきている。最近では、平成14年3月29日にまとめられた保健師助産師 看護師国家試験制度改善部会報告に基づき、試験時間の延長や看護師国家試験における必 修問題の導入等の改善がなされたところである。一方、保健師助産師看護師国家試験出題 基準は、概ね4年毎に医療の実状と看護を取り巻く状況を踏まえて見直すこととされ、現 行の出題基準を見直す時期となっている。こうした状況の中、当改善部会は、平成19年10 月より審議を開始し、保健師助産師看護師国家試験における諸課題及び改善すべき事項に ついて、ワーキンググループでの検討を含め7回にわたって議論を重ね、意見を取りまと めたのでここに報告する。 ○井上部会長 ありがとうございました。今の部分でご意見はありませんか。 ○羽生田委員 1つは文言のことですが、下から5行目の保健師助産師看護師の国家試験で すけれども、「看護を取り巻く状況」だけでよろしいのでしょうか。 ○井上部会長 看護だけでいいのかということです。保健師助産師も含めて看護学という 使い方もしていますので、こういう使い方をすることも多いのですが、違和感があります か。まとめて看護職というような言い方もします。よろしいでしょうか。他にいかがでし ょうか。  それでは続きまして、「改善すべき事項」に入りたいと思います。まずは看護師国家試験 について、事務局より読み上げをお願いします。 ○島田指導官 II.改善すべき事項。1.看護師国家試験について。1)必修問題について。 必修問題は、看護の社会的側面や倫理的側面に関する問題、患者及び看護活動の場に関す る問題、人体の構造と機能、健康障害と回復に関する基本的知識及び看護技術についての 基本的な知識等、看護師として特に重要な基本的事項を問う問題として、平成16年(第93 回)の看護師国家試験から導入された。必修問題の導入が検討された平成13年度保健師助 産師看護師国家試験制度改善部会報告書では「必修問題は30問程度出題することとし、将 来的には出題数を増やしていくことが望ましい」とされている。必修問題の対象となる基 本的知識及び技術は重要であることから、これらの基本的かつ重要な事項を問う問題を強 化するため、現在の30問から20問増やし、合計50問程度とすべきである。ただし、試験 日程を勘案すると現行の試験時間内で対応すべきであり、必修問題は現行の総問題数240 問の範囲内で増やすこととする。なお、必修問題の増加により、これ以外の問題が減少す ることを考慮し、一般問題及び状況設定問題の出題に際してはより良質な問題を出題する よう一層努めるべきである。  必修問題の出題数の増加に当たっては、出題基準の改定において、出題範囲の拡大につ いて検討すべきである。したがって、必修問題の増加は出題基準改定の時期と合わせるべ きである。  2)合格基準について。看護師として必要な知識及び技能を評価するには、基本的な必修 事項だけでなく、広い範囲で様々なレベルの問題が必要とされているが、必修事項に比べ るとこれらの領域では試験問題の難易度が変化しやすい。こうした状況を踏まえ、平成13 年度の国家試験制度改善部会で検討を行った結果、看護師国家試験の合格基準は、絶対評 価による従来の合格基準から、必修問題では絶対基準を用い、一般問題及び状況設定問題 では相対基準を用いる現行の合格基準に変更された。この基準により実施されている第93 回看護師国家試験以降の合格率は安定した水準を維持している。上述の合格基準を変更し た過去の経緯を踏まえ、引き続き現行の合格基準とするが、今後とも試験問題の難易度の 安定化に向けた努力を行いつつ、試験結果の動向を注視し、必要に応じ検討すべきである。  3)禁忌肢について。看護師として不適格な者を選別する方法の一つとして、禁忌肢を含 む問題を出題することの是非について検討をした。禁忌肢を導入することにより、看護師 国家試験に対する社会の信頼性がより一層高まるのではないか、という意見がある一方、 看護倫理に反する者や明らかに死に至らしめるような行為を行う者を禁忌肢で選別するこ とは困難ではないかとの意見もあった。  こうした議論を踏まえ、現時点においては、看護師国家試験には禁忌肢を含む問題の導 入は行わないこととし、看護師として不適格な者を選別するため「患者等の生命を直接脅 かす行為」、「触法行為」及び「非倫理的な行為」を問う問題の出題を強化することとする。 ○井上部会長 ありがとうございました。それではこの看護師国家試験について、ご意見 はありますか。 ○井廻委員 以前の改善報告書では、問題については修正アンゴフ法あるいは修正イーベ ル法での検討もして、質の担保を確実にしていくというのが、今回はなくなっているので すけれど。特に、保健師助産師のところは絶対評価ですから、修正アンゴフ法はやりにく い。できれば何らかの形で、たとえば修正イーベル法でも構いませんので、随時あるいは 時々検討を加えるということをしたほうがいいのではないかと考えました。 ○井上部会長 ありがとうございます。出題形式に関しては、後ほど後ろのほうでまた出 てきます。また、「おわりに」について、課題等についても触れていますので、そのときに またご意見をいただければと思います。 ○井廻委員 途中で抜けるものですから。 ○井上部会長 そうですか、わかりました。ありがとうございます。他にいかがでしょう か。必修問題、合格基準、禁忌肢という非常に重要なことに関して、このようにまとめさ せていただきましたが、よろしいでしょうか。 ○北川委員 文言のことでよろしいですか。2頁のいちばん上に、「看護師として特に重要 な基本的事項を問う問題として」とありますが、ここは「として」が続きますので、私と しては内容的に、最初のところを「看護師にとって」とか「看護師にとり」としたほうが よろしいと思います。 ○井上部会長 ありがとうございました。  それでは先に進めさせていただきます。続きまして「2.保健師国家試験について」、事 務局よりお願いします。 ○島田指導官 2.保健師国家試験について。1)保健師をめぐる現状。近年、看護系大学 の急増に伴い、保健師国家試験受験資格を有する者が大幅に増加しており、受験者の質を 把握することが一層困難になっている。一方、ここ数年間の保健師国家試験結果から、国 家試験問題の難易度が安定していないと指摘されている。  2)合格基準等について。保健師国家試験を取り巻く現状を勘案すると、試験問題の難易 度が安定しないことに対処するため相対基準を取り入れることも議論となったが、後述す る出題形式において改善すべき点があること、また出題基準の改定を行う時期にあること からこれらをまず行うこととし、現時点においては、現行の絶対基準を用いることとする。  なお、必修問題については、現時点において導入しないこととする。 ○井上部会長 ありがとうございます。この保健師国家試験について、ご意見をお願いし ます。よろしいですか。  それでは先に進めさせていただきまして、「3.助産師国家試験について」、事務局よりお 願いします。 ○島田指導官 3.助産師国家試験について。1)助産師をめぐる現状。助産師国家試験に ついては、受験者の質と試験問題の難易度がある程度経年的に担保され、結果として合格 率が比較的安定して推移している。  2)合格基準等について。助産師国家試験の経年的状況を踏まえ、現行の絶対基準を用い た合格基準を維持する。その一方で、助産師として必要な知識及び技能を的確に問うため、 試験問題の一層の精選が求められる。また、今後の試験結果の動向を注視し、必要に応じ 検討すべきである。  なお、必修問題については、現時点において導入しないこととする。 ○井上部会長 ありがとうございました。助産師国家試験についてのご意見をお願いしま す。よろしいでしょうか。  それでは先に進めて、4頁の4番に移ります。「保健師助産師看護師国家試験に共通した 事項について」、事務局よりお願いします。 ○島田指導官 4.保健師助産師看護師国家試験に共通した事項について。保健師助産師看 護師国家試験は、それぞれ保健師、助産師又は看護師として必要な知識及び技能を有して いるか否かを評価するものであり、絶対的な基準をもって評価することが望ましいが、試 験問題の難易度を一定にすることは現実的には極めて困難であると指摘されている。この ような中でも難易度を安定させる取り組みを行っていくことは重要であり、その方策とし て出題形式の改善及びプール制の推進に取り組むことが求められる。  1)出題形式について。現行の保健師助産師看護師国家試験において採用されているK2 タイプでは、解答コード内の2つの肢の双方が適切と分からなくても他の解答コードを参 照することで正答することもできるため、確実な知識がなくても正解できるとの指摘があ ることから、正しい知識があるかを確実に問うことができるX2タイプの導入を検討すべき である。その際、選択肢は4肢にこだわらず多様な形式を検討すべきである。  また、保健師、助産師又は看護師に必要な知識及び技能をより適切に評価するという観 点から、判断の内容を問う問題形式や多数の選択肢群を複数の問題で共用する解答形式な ど、多様な出題形式を導入していくことが望ましい。  状況設定問題においては、より的確に応用力を問う問題とするため、複数の試験科目を またがった出題も可能とするなど、より一層工夫すべきである。  さらに、保健師助産師看護師国家試験では、身体の状態や体位、看護用具の状態などを 問う場合に図で示しているが、写真などの視覚素材を導入することが望ましい。  これらの出題形式等における改善は平成21年の第95回保健師国家試験、第92回助産師 国家試験及び第98回看護師国家試験より導入することが望ましい。  2)試験問題のプールについて。国家試験の度に国家試験委員が問題を作成、修正する従 来の問題作成方法では、試験問題の質や難易度を一定に保ち、かつ出題数を増やすことに 対応することが難しいため、出題する前に試験問題をあらかじめ蓄えておくこと(プール 制)が有用とされており、プール制の活用に向け、試験問題の公募や試験問題の回収によ る既出問題の蓄積により準備が進められてきたところである。しかしながら、プール制導 入から数年が経過したものの、公募問題数は極めて少ない状況である。  今後、プール制を推進していくためには、まず良質な問題を相当数プールすることが必 要である。そのためには、公募問題が増大するような取り組みが早急に求められる。例え ば、現行では看護系大学を含む看護師等学校養成所の看護教員に対して公募を依頼してい るが、今後は、臨床実務看護師等、看護教員以外の者からの公募も可能なシステムとする ことや、職能団体や看護教育関係団体、看護関係学会等に一層の理解と協力が得られるよ うに働きかけることが求められる。より具体的な推進方策として、何問程度のプール問題 が必要かを提示し、看護師等学校養成所に公募数を割り当てるなどの方法も有効と考えら れる。  一方、既出問題については、良質な既出問題を再度出題するためにプールすることとし、 単なる解答の丸暗記による正解率の上昇を防止するため試験問題を回収してきた。しかし、 医師国家試験における試験問題の開示請求に対し、情報公開・個人情報保護審査会の答申 により、試験問題を開示することとなり、保健師助産師看護師国家試験においても試験問 題の持ち帰りを認めることとなった。試験問題が開示されることにより、既出問題を再度 出題し、その正答率を過去の正答率と比較することによって、受験者の質と試験問題全体 の難易度の変化を判断するために利用することを困難にしている。このように、前回の制 度改善部会からの状況の変化はあるものの、既出問題の活用に一定の利点があることには 変わりはなく、これを試験問題作成において活用することは、難易度の安定化の観点から も有用である。すでに相当数蓄積されている既出問題の一層の活用を検討し、実行すべき である。ただし、活用に際しては、問題が公表となっていることを十分考慮すべきである。 ○井上部会長 ありがとうございました。それでは、この共通する事項についてご意見を お願いします。ここでは大きく出題形式の変更とプール制のことについて論じています。  まず、出題形式のほうはいかがでしょうか。なおK2、X2タイプは、7頁の※に説明があ ります。K2は4肢から2つの組み合わせになっているものを1つ選ぶ。X2は、複数の選 択肢から2つの正解肢を選ぶとなっています。出題形式についていかがでしょうか。  試験問題のプール制について、もしくは出題形式でも、どちらでも構いませんのでいか がでしょうか。よろしいですか。それでは先に進めさせていただきます。  次は「5.保健師助産師看護師国家試験出題基準について」、事務局よりお願いします。 ○島田指導官 5.保健師助産師看護師国家試験出題基準について。1)出題基準における 改善事項。今回の出題基準の改定では、従来の改定と同様に、昨今の医療・看護等の実情 を勘案し、専門用語や看護技術等を全般的に見直す必要がある。特に、薬剤の用法や薬効 の理解及び緊急時の対応に関して充実を図るべきである。見直しに際しては、出題基準の 大・中・小項目のそれぞれの位置付けを再確認し、中項目間あるいは中項目と小項目との 整合性についても見直すべきである。また、看護師国家試験において必修問題を増加する 場合、必修問題の出題範囲の拡大について検討すべきである。保健師国家試験では、地域・ 職域等の集団及び多様な対象者に対して何をどのように援助すべきかといった判断力や災 害や虐待等のその時代の社会問題への対応について問う問題が強化されるよう出題基準の 改定において検討すべきである。  さらに、保健師助産師看護師学校養成所指定規則改正に伴い、平成21年度より適用とな る看護基礎教育カリキュラムの改正内容も踏まえて見直しを行うべきである。その際、平 成21年度から数年間の国家試験では、従来の看護基礎教育カリキュラムで学んだ卒業者と 改正後のカリキュラムで学んだ卒業者が混在することから、両者ともに保健師助産師看護 師国家試験の受験に際して不利益を被ることがないよう、特段の配慮が必要である。  2)改定出題基準の適用時期について。改定出題基準の適用時期については、周知期間及 び試験問題作成等の準備期間を勘案し、平成22年の第96回保健師国家試験、第93回助産 師国家試験及び第99回看護師国家試験より適用することが望ましい。 ○井上部会長 ありがとうございました。出題基準に関して、その内容と適用時期につい て述べています。ご意見をお願いします。よろしいでしょうか。  それでは、「III.今後検討すべき事項」と「IV.おわりに」について、併せてお願いしま す。 ○島田指導官 III.今後検討すべき事項。保健師助産師看護師国家試験の適切な実施に向 けて、既出問題を良質なプール問題とするためには、国家試験実施後に改めて試験問題を 適切な方法により評価することが重要であり、妥当な評価方法等について引き続き検討す べきである。また、個々の問題の評価を含めた試験実施結果全体の評価を次回の問題作成 時により効果的に活用するためのフィードバックのあり方等を早急に工夫すべきである。  IV.おわりに。現在、看護基礎教育のあり方については、将来を見渡す観点からの望ま しい教育のあり方に関して抜本的に見直すことが求められており、資質の高い看護職員を 養成していく上での看護基礎教育の充実の方向性について幅広い観点からの議論が行われ ているところである。我が国の社会構造の変化やこうした議論を踏まえ、より良い保健師 助産師看護師国家試験制度を目指して今後も議論を継続していくことが必要である。その 際には、例えば国家試験におけるIT技術の活用についても、長期的視野に立ち、医療関係 資格以外の資格試験の実施方法についても参考にしつつ、議論を進めていくことが望まし い。  一方、看護基礎教育を担う看護教育界は国家試験の改善に関して必ずしも関心が高いと は言えない現状であるとの指摘がある。看護界全体で、より良い国家資験の実施、引いて は看護職員全体の資質の向上に資するよう、国家試験の諸課題に関して継続的に議論して いくことが必要である。そして、これらの検討結果に基づき国家試験制度の改善に向けた 提言を行うなど、自ら積極的に取り組んでいく機運を一層高めていくことが重要である。 ○井上部会長 ありがとうございました。「検討すべき事項」と、「おわりに」ということ ですが、まず「検討すべき事項」の内容につきまして、いかがでしょうか。ここでは実施 後の評価、それのフィードバックのあり方についての工夫ということを述べております。 ご意見いかがでしょうか。  「おわりに」について、先ほどのプール問題の推進も含めて今後の方向性について提言 しておりますが、いかがでしょうか。 ○島田指導官 先ほどの井廻先生からのご指摘が、ここの部分に該当することかと思いま す。 ○井上部会長 そうですね、前回平成14年の改善案のところで提言しております、修正ア ンゴフ法、修正イーベル法等による検討も随時行っていくことが、という文言がありまし て、それらも受けてということです。ありがとうございます。  大変順調にここまできましたが、全体を通じていかがでしょうか。よろしいでしょうか。 事務局からお願いします。 ○島田指導官 いちばん最後の7頁、※1に、K2タイプの説明があります。これは保健師 助産師看護師の国家試験の4肢択一を念頭に置いた注意書きになってしまっています。一 般的には4つの選択肢に限定するものではありませんので、選択肢の内の2つを組み合わ せた解答コードから1つを選ぶ形式というように、2か所の「4つの」を削除したいと思い ます。 ○井上部会長 K2タイプの一般的な説明として、「4つの」を除くということです。ありが とうございます。よろしいでしょうか。 ○井部委員 「おわりに」のところですが、いちばん最後の文章の下から2つ目、「自ら積 極的に取り組んでいく機運」のというのは、どれを受けるのでしょうか。看護界を指すの ですか、看護教育界を指すのでしょうか。 ○井上部会長 これはやはり看護界全体ですね。 ○井部委員 それによっては心意気が違ってくるのです。 ○井上部会長 「看護界全体で積極的に取り組んでいく」と直させていただきます。それ でよろしいでしょうか。 ○井部委員 はい。 ○永山委員 7頁の2行目ですが、これですと国内のみですので、以前アメリカのものもあ りましたし、それも継続してという意味で「諸外国の」としてはどうでしょうか。 ○井上部会長 どこに入れればいちばんいいでしょうか。 ○永山委員 7頁の2行目、「長期的視野に立ち、諸外国や」とぜひ入れていただければと 思います。 ○井上部会長 7頁の2行目の医療関係資格の前に、「諸外国や」と入れたいと思います。 ○島田指導官 確認させていただきたいのですが、その場合の諸外国の医療関係資格以外 の資格試験という意味ですか。それとも諸外国の看護職ということですか。 ○井上部会長 「諸外国や」です。 ○島田指導官 ここは医療関係資格以外と言っていますが、諸外国はどのあたりまでを念 頭に置いた書き方にすればいいのでしょうか。 ○井上部会長 「諸外国や医療関係資格以外の」にすれば、諸外国は看護関係、その次は と読めるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○島田指導官 そういう意味合いでよろしいですか。 ○井上部会長 そのように読んでいただけますでしょうか。よろしいでしょうか。ありが とうございます。他にいかがでしょうか。 ○川村委員 3頁の上から3行目の、「看護師として不適格な者を選別するため『患者等の 生命を直接脅かす行為』、『触法行為』及び『非倫理的行為』を問う問題の出題を強化する」 ということですが、これは看護師の国家試験のところには入っていて、保健師や助産師に ついてはあまりはっきり書いていないのです。どこにどう入れたらいいかはちょっと困り ますが、保健師や助産師にもこういう意識があっても良いのではないかと思います。これ で含めていると読めるのであれば、それで私は構いませんが。看護師が保健師助産師の基 礎的な資格と位置付けられていますけれども、保健師にも助産師にも特徴的なものがある のではないかと思ったので、ちょっと申し上げました。 ○井上部会長 川村先生のご意見は、ここのところは看護師の禁忌肢についてということ で、そのように答申させていただいております。今回は保健師助産師に関しましては答申 事項としての禁忌事項ということではないため、このような記述になっております。 ○川村委員 禁忌肢ということでなくてもいいのですが、こういう意識はきちんとあった ほうがいいのではないかと思うので、こういう意識を踏まえて試験問題を作って適性を判 断していただきたいと思います。 ○井上部会長 ありがとうございます。文章の流れとしては、禁忌肢を導入するかどうか の是非の論議で、こうした議論を踏まえてこのような形になっているのが1点と、看護師 試験合格が保健師助産師の前提となっているところを踏まえて、そういう意図も含めて表 現したつもりであります。決して保健師助産師は要らないというわけではありません。 ○川村委員 そういうふうに読み込めるのであれば、それで構いません。かなり世論は厳 しくなっていると思うので、ちょっと申し上げました。 ○井上部会長 他にいかがでしょうか。 ○坂本委員 6頁の「III.今後検討すべき事項」の中ほどの「妥当な評価方法等について引 き続き検討すべきである」を、「検討し、作成すべきである」と入れておかないと、ただ検 討していてもしょうがないのではないでしょうか。 ○井上部会長 ここは流れを見ますと、既出問題を良質なプール問題とするためには、出 した問題を評価するというところなので、項目としては出した問題の事後評価というニュ アンスなのですが、作成すべきであるという述語があったほうがよろしいですか。ここは 検討どまりなのです。 ○坂本委員 検討どまりですか。 ○井上部会長 事後評価とフィードバックというところですね。それが今後の宿題という か課題のような形になっていますので、これらを踏まえて作成するということが前提とな っています。 ○坂本委員 この検討はフィードバックのほうにかかっていくということですね。次のと ころにかかっていくということですね。わかりました。 ○井上部会長 他にはいかがでしょうか。 ○中山委員 私も川村委員が言ったところは気になっておりまして、看護師の国家試験で 必修問題を30問から50問に増やすときに、多少倫理的な問題も増大すると思っておりま した。禁忌肢の問題は看護師の国家試験の中だけでしか議論はしてきませんでした。ただ 看護職全体には倫理の問題が非常に大きくなっています。  私も、具体的にどこに入れるのがいいのか探してみたのですが、もし文言として社会情 勢に合わせて倫理的な問題を強化することが言えるとすれば、「5.保健師助産師看護師国 家試験出題基準」のところに、どこかに一言そういった看護倫理の問題もかなり強化する というようなことが入ると、川村委員がおっしゃった問題もすこしクリアできると思いま した。  禁忌肢の議論は、確かに看護師だけだったから、保健師と助産師の倫理の問題は言われ ていないのですけれども、全体的には倫理の問題をどう補強するのかということは、私も 読ませていただいてちょっと気になっていました。もし可能ならば出題基準の辺りにそこ が補強されるといいと、思いましたので発言させていただきました。 ○井上部会長 ありがとうございました。今のご意見、ご提言としては、出題基準のとこ ろに敢えて頭出しをして、看護倫理ということを入れる。 ○中山委員 頭出しではなくて、改善事項のところに「必修問題の出題問題の範囲の拡大 について」などと出てくるのですが、全体的には「倫理の問題も補強する方向が望まれる」 ということが入ると、川村委員がおっしゃったことが少し補強されると思います。私自身 も倫理の問題は気になっておりました。禁忌肢の問題は看護師だけでの議論でしたので。 ○井上部会長 頭出しという表現が妥当ではなかったのです。文言として「看護倫理」と いう用語を、敢えて入れたほうがいいということですね。入れるとするならば、薬剤の用 法や緊急時の対応などと並べてという形になると思います。 ○中山委員 それでもいいと思います。 ○井上部会長 流れ等も勘案して、検討させていただきます。ありがとうございました。 他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。たくさんのご意見ありがとうございました。 以上をもちまして、保健師助産師看護師国家試験制度改善部会の報告書としたいと思いま す。皆様活発なご意見、ご審議を、本当にありがとうございました。それではここで分科 会長にお返しします。 ○濱田分科会長 皆様ありがとうございました。本日の審議はこれで終了いたします。そ れでは事務局から報告書の取り扱いについて、ご説明をお願いします。 ○島田指導官 皆様ご活発なご検討をありがとうございました。本日いただきましたご意 見を基に、内容や文言の修正をして、分科会長、部会長にご指示いただき、修正し確認し た後に、後日公表させていただきたいと考えています。報告書は委員の皆様方にも、後日 郵送させていただきます。  それではこれをもちまして、本日の合同会議を終了させていただきます。長時間ありが とうございました。 照会先         厚生労働省医政局看護課(島田/望月) 電話03−5253−1111(内線2599)