08/03/14 「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」第10回議事録 第10回これからの地域福祉のあり方に関する研究会                  開催日:平成20年3月14日(金) 場 所:厚生労働省6階共用第8会議室 ○大橋座長  おはようございます。朝早くからお忙しい中をお集まりいただきましてあり がとうございます。第10回これからの地域福祉のあり方に関する研究会を始め たいと思います。  まず、事務局から委員の出席状況についてご報告いただきたいと思います。 ○事務局  本日は木原委員、清原委員、榊原委員がご欠席でございます。 ○大橋座長  それでは研究会を始めたいと思いますが、前回皆様からいろいろご意見をい ただきました。なかでもこれからの施策のあり方についてどうかという意見も いただいたのですが、今回若干それについて触れてございます。基本的な考え 方、方向等について触れてございまして、それ以上の問題につきましては、今 後いろんな多面的な側面から検討しなければならないということで書いてござ います。  今日はそれがメインというよりも、その前の段階の基本的なこれからの地域 福祉のあり方の考え方の方向なり、あるいは内容がこれでいいかどうかをやや 固めたいというふうに思いますので、その点での論議を今日は深めていただけ れば大変ありがたいというふうに思っております。それでは事務局からご説明 をいただきます。 ○中村企画官  では資料2に沿ってご説明をさせていただきます。前回の会合におきまして 研究会報告書素案をお示しをさせていただきましたが、前回の会合でいただき ましたご意見、またその後にいただきましたご意見を踏まえまして、事務局の 方で修文をしてございます。今回総論部分につきましては、修文をした箇所を 中心にご説明をさせていただきます。  まず1ページ目でございます。「2.いま、地域福祉を議論することの意味」 ですが、こちらを大幅に修文をしております。歴史的な流れを整理いたします とともに、地域での問題にはいろんな違ったタイプの問題があるということで、 そのあたりを整理をさせていただき、また地域福祉が自己実現という側面をも つことに着目いたしまして、その部分を打ち出してございます。読み上げさせ ていただきます。(以下、資料2のP1〜P2「2.いま、地域福祉を議論す ることの意味」を読み上げ)   こういった修正でございます。また、ここで前回の案におきまして、フォー マルサービスというふうに言っておりました部分ですが、できるだけわかりや すくするという意味で、公的な福祉サービスというふうに変えさせていただい ております。  次に4ページ目をお開きください。2.福祉・医療政策の施策の動向でござ います。ここは高齢者、障害者、児童に関します施策の記述を充実させてござ います。まず高齢者でございますが、4ページ目の一番下の○からです。(以 下、資料2のP4下から3行目〜P5上から4行目まで読み上げ)  また、障害者福祉に関しましては、その三つ目の○です。(以下、資料2の P5上から13行目〜17行目まで読み上げ)  また児童についてです。(以下、資料2のP5下から8行目の「また」以下 〜P6上から4行目まで読み上げ)  次は7ページ目です。「3.地域における多様な福祉課題」のところですが、 先ほどもはじめのところで申し上げましたように、地域での課題にはいくつか のタイプがあるということで、それを整理をさせていただきました。7ページ 目の一番下の○ですが、「公的な福祉サービスだけでは対応できない生活課題」 ということで、そういうタイトルをつけさせていただきまして、8ページ目に、 それとは別のタイプの問題として、「公的な福祉サービスによる総合的な対応 が不十分であることから生じる問題」、そしてそれとはまた若干質を異にして いる問題として、「社会的排除の対象となりやすいものや少数者、低所得の問 題」というふうに分けてございます。  また、委員の方のご意見に基づきまして、このニート、ホームレスといった 新たな貧困を含む低所得の問題も、地域にある問題としてもとらえることがで きるという記述を入れさせていただきました。  同じページの下の方ですが、「4.地域の課題」でございます。ここでは地 域の課題をかなり大きくとらえ、また次世代を育む場としての地域を記述して ございます。(以下、資料2のP8下から11行目「4.地域福祉の課題」〜 P9上から5行目まで読み上げ)  同じページ、9ページ目ですが、一番下の○でございます。ボランティアに ついて記述をある程度独立をさせていただいております。(以下、資料2のP 9下から5行目〜P9の終わりまで読み上げ)  次は11ページ目でございます。「II.地域福祉の意義と役割」の1のところ ですが、前回の会合でいただきましたコンセプトといたしまして、「新たな公」 というコンセプトをいただきました。そういった考え方に基づきましてかなり 大幅に修文をしてございます。読み上げます。(以下、資料2のP11「1. 地域における新たな支え合い(共助)を確立する」〜P12上から5行目まで 読み上げ)  そして今度は12ページ目ですが、「2.地域に求められる支え合いの姿」の 三つ目の○、これは幅の広い福祉概念というところに以前入れておった記述を こちらに移動させたものでございます。これはまさに支え合いの姿を記述した ものという考え方に基づきまして、このように移動をしております。  次は13ページ目の中程、ちょっと下あたりですが、地域福祉の意味として、 予防・早期発見、あるいは早期対応ということが重要だというご意見をいただ きました。それに基づきましてこの文を入れてございます。読み上げます。 (以下、資料2のP13上から13行目〜20行目まで読み上げ)  次は14ページ目です。「5.ネットワークで受け止める」のところでござい ます。その二つ目の○に、民生委員または社会福祉協議会、PTAといった主 体を入れてございます。  同じページの下から二つ目の○、地縁団体機能的団体との関係のところで、 様々な活動が自治会、町内会を単位として行われている地域も多いが、都市部 においては役員が1年〜2年交代の持ち回りであることも多く、定型的な活動 が主になっている例も多い。こうした自治会、町内会の機能が弱まっていると いうことは、主に都市部の現象であるという、こういうご指摘に基づきまして このようにさせていただきました。  次は15ページ目です。一番上ですが、地縁団体の機能的団体の関係の一部分 として、PTAにつきまして新たに記述を入れております。「また、各地域に おける学校に通う親の団体であるPTA等は、地縁的かつ機能的な性格をもつ 団体として、地域福祉の推進の一翼を担うことを期待される。」と入れており ます。   その同じページですが、次の部分です。行政や事業者、専門家と住民との関 係です。こちらにつきましては、やはり先日の会合でいただきましたご意見、 あるいはその後にいただきましたご意見に基づきまして、若干加筆をしてござ います。上から二つ目の後半部分「また」以下からです。読み上げます。(以 下、資料2のP15上から7行目後半〜15行目まで読み上げ)  その次ですが、「6.コミュニティ再生の軸としての福祉」ですが、こちら も記述を充実させてございます。先日の研究会で子育て、あるいは健康づくり、 あるいは自己実現という意味を頂戴いたしましたので、そういったことも入れ てございます。読み上げます。(以下、資料2のP15下から11行目〜P16 下から5行目まで読み上げ)  次は17ページ目です。「1.住民主体を確保する条件があること」の三つ目 の○です。住民に情報が提供される必要があるという先日の委員会でのご指摘 を踏まえまして、記述を重視させてございます。読み上げます。(以下、資料2 のP17上から13行目〜16行目まで読み上げ)  同じページの一番下の方は、わかりにくい記述でございましたので、若干記 述を整理をさせていただきました。  次の18ページ目の一番上の○でございますが、先日の会合でいただきました ご意見、問題発見の方法として民生委員等による幅広な訪問活動、市町村によ る調査といった方法があげられましたので、この記述を加えております。(以 下、資料2のP18上から3行目〜6行目まで読み上げ)  同じ18ページの「3.適切な圏域を単位としていること」でございますが、 これは先日の委員会でいただきました顔のみえるという環境づくりというコン セプトを入れるとともに、それぞれの圏域につきまして、ある程度具体的なイ メージがもてるように記述を重視させてございます。下線部を中心に読み上げ ます。(以下、資料2のP18上から13行目〜P18の終わりまで読み上げ)  次は19ページ目ですが、活動の拠点のところですが、この二つ目の○、廃校 となった建物や余裕教室等の学校施設というのは委員の方からのご意見に基づ き入れてございます。  その下の「コーディネーター」の記述を充実をさせていただいております。 コーディネーターのところの下線部を読み上げさせていただきます。(以下、 資料2のP19下から9行目後段〜P20上から3行目まで読み上げ)  20ページ目です。一番下の担い手のところです。先日の会合でいただきまし たご意見を踏まえまして書き加えております。下線部でございます。さらには、 将来地域を支えることになる子どもたちや中・高校生、大学生などに対しては、 学校や地域におけるボランティア体験などを通じて、地域福祉への関心を高め ることも考えられる。(以下、資料2のP20下から3行目〜P20終わりま で読み上げ)  次の21ページ目でございますが、ワーク・ライフ・バランスという先日の研 究会でいただきましたコンセプトを入れてございます。上から二つ目の○です。 (以下、資料2のP21上から5行目〜9行目まで読み上げ)  その次の「6.市町村の役割」ですが、ここも委員の方からのご指摘を踏ま えまして記述を充実させてございます。読み上げます。(以下、資料2のP21 上から11行目〜P22の14行目まで読み上げ)  23ページ、「V.留意すべき事項」のところですが、「2.地域がもってい る負の側面」のところを若干記述を充実させてございます。読み上げます。 (以下、資料2のP23上から12行目後段〜20行目まで読み上げ)  次は25ページの「VI.の既存施策の見直しについて」の最初のところでござ います。先日の委員会でいただきましたご意見を踏まえまして、かなり大幅に 修文してございます。読み上げます。(以下、資料2のP25上から2行目〜 下から3行目まで読み上げ)  以上が先日の委員会でお示しした部分の修文でございます。  以下25ページから最後まででございますが、個別施策につきましての記述の 案を示しております。個別施策につきまして、この研究会で各会それぞれの会 でレビューをしていただきましたが、残念ながらご議論いただくための十分な 時間がとれませんでした。  したがいましてこの案におきましては、委員の皆様方に問題の所在を明らか にしていただければということで、これまでの総論での議論を踏まえまして、 個別施策についてはどうなるかということを事務局においてかなり書かせてい ただきました。もちろん委員の皆様方からの意見を入れた上でございますが。 したがいまして、また読み上げますが、再度研究会終了後、ご覧いただきまし て、次回の研究会にお示しするものに反映できますように、事務局までにご意 見を頂戴できればありがたいと思っております。(以下、資料2のP25下か ら2行目〜P44終わりまで読み上げ)  資料3といたしまして、この報告書の中で主に総論部分で示しております概 念につきまして、図にしてお示しをしてございますのでご参照ください。  それから本研究会の報告書のタイトルでございますが、これも委員の皆様に ご議論をいただきたいと思っておるところでございますが、資料4に事務局 (案)、議論たたき台といたしまして、提出させていただきました。『地域に おける「新たな支え合い」の姿を求めて〜これからの地域福祉のあり方〜』と いうタイトルを提案させていただきたいと思います。以上でございます。 ○大橋座長  本当にありがとうございました。今日榊原委員がいないのが残念ですが、わ かりやすく書いてあります。カタカナで気になるところは3〜4カ所ぐらいで、 ひじょうにわかりやすく書いてあったと思いますし、地域福祉が必要とされる 背景、あるいは考え方もひじょうによく整理をしていただきました。目次をみ ていただきますとIからVのレベルまでは各委員がこの委員会で述べたことを 相当丁寧に配慮して入れてくれているなというふうに思いました。本当に事務 局は大変だったと思いますが、ありがとうございました。  VIの既存設備の見直しについては、各委員から出た意見なり、既存の施策の レビューの中で出された意見をもとにして、事務局なりに、当然事務局は全国 の情報をよくわかっているわけでございますので、その全国の動向も踏まえな がら今後の考え方というものを示していただいたということかと考えていると ころでございます。  それで冒頭に延べましたが、I〜Vのところを主に中心にご論議をいただけ れば大変ありがたい、その辺はできれば固められるものは固めておきたい。VI についてはいろんな意見が当然あってしかるべきでございますし、中身も両論 併記的なところも書いてあるのもそのとおりでございまして、今後いろんな関 係者で詰めなければいけない部分がたくさんあるのだろうというふうに思いま すので、もう一回ぐらい次回その辺は論議をいただくということになるのかと 思いますので、そんな進め方で進めさせていただければと思っております。  それでは最初にI〜Vというところを進めたいと思いますが、主にIとIIぐ らいまでのところでご意見があればいただきたい。それからIII、IV、Vでご意 見があればいただくということで、まず分けて少し整理をさせていただきたい と思います。 ○金井委員  前回は欠席いたしまして、どうも失礼いたしました。前半の方でいえば、ま ず2ページあたりです。要はこの報告書全体を通じることでもありますが、発 見されたニーズを公的サービスにつなぐということ自体がひじょうに重要であ るということです。制度へのアクセスというか、あるいは制度に対するその既 存のバリアが存在しているということが、独自の問題としてあります。単に今 までの制度の間で抜け落ちていたとか、あるいは生活の質とかいうことだけで はなくて、制度にどうつなぐかということを、どこかの段階でより強く出して いただければなというのが一つ目のお願いです。  二つ目は4ページ以下なんですが、これは再三繰り返して言っていることな のですが、やはり生活保護については、ぜひ動向を触れるべきであるというふ うに思います。後半の方で民生委員制度であるとか、あるいは貸付事業の話で チラチラと出てくるわけでありますが、少なくとも生活保護が極めて大きな問 題になってきているということは、並行して社会・援護局でも検討会などを設 けておられるということは伺っておりますが、生活保護についてはやはり近年 の福祉制度の問題として、どういう状況にあるのかということはぜひ触れてお くべきではないかなというふうに思います。  それから三点目は質問になるのですが、7ページあたりですが、社会的排除 とか地域の無理解ということがあって、これが後に地域に対する留意すべき点 につながっていくと思うのですが、社会的排除というのは、これは基本的に地 域住民が排除するということなんでしょうかね、実態問題としては。そうしま すと地域福祉あるいは地域というのは問題の解決の場でもあるとともに、問題 を生み出しているそのものでもあるということですね。  地域の無理解というのは基本的にそういうことでありますから、やはりここ で言う地域というものは、問題を生み得る、あるいはゴミ屋敷問題とか、そう いう大体地域でトラブルが起きているということ自体が大きな問題なわけで、 そのような地域がトラブルを自ら生み出すのではなくて、自ら解決するものに どういうふうに転換していけるのかということは、やはりかなり大きな問題と してあるのではないかなというふうに思っております。とりあえず前半では以 上のような感想をもちました。 ○大橋座長  はい、ありがとうございました。一問一答じゃなくて、考えさせていただく ということで進めたいと思いますが、福祉アクセスビリティの問題の部分はか なり今回の研究会でも大事な問題でしたので、住民が求めている、あるいは住 民が必要としているサービスとうまくつながってない、そのつながってないこ とがどこに要因があるのか、そこは今ご指摘いただいたようなことをもう少し 検討させていただくというふうにしたいと思います。  それから三番目の社会的な排除の部分は、ある意味では行政が施策として取 り上げきれていないという側面もありますし、住民がやっぱり差別偏見をもっ た、無意識のうちにも排除しちゃっているという両方の側面が結果的にはある んだろうと思いますが、ある意味では住民が抱えている負の側面の問題の中に、 何かその辺の書き方も少し書き加えながら、住民の学習のもつ意味みたいなこ との重要性を指摘するということなのかなというふうに考えます。  それから二番目の生活保護の問題は他の部署でもやっています、これがメイ ンではありませんので、どの程度書き込めるのかというのがあるのですが、こ れはまた大きな問題になってしまうので、また事務局と少し相談をさせていた だくということでよろしゅうございましょうか。 ○三本松委員  今のことに関連して、7ページのところで、3の地域における多様な福祉課 題という、この中で、特に二つ目の○の以下のところ、ずっと公的な福祉サー ビスだけでは対応できない生活課題とかがあがっていて、資料3でご用意いた だきました図の方の2ページ目のところをみてみますと、大体ここが対応して いるのではないかというふうに思うのですが、この中の一番左端にある制度外 のニーズという、ここがこの記述でどういうふうに対応をしているのかという ところが気になりました。  そして私自身が自分の研究としても関心をもっている外国人の問題なんかは、 例えばこの制度外のニーズというところに入るのか、それとも社会的排除なの か、制度の谷間なのかというところを含めてちょっとご説明いただきたい。 ○大橋座長  私の理解では両方の側面があるんだと思うのですが、主にどうしても在住外 国人の場合、国籍条項等を考えています。福祉の分野でいくと国籍条項の部分 と現地に住んでいるという現地主義の問題と二通りあるんだろうと思いますが、 現実にはやっぱり国籍条項の部分というのがかなり大きいわけで、それを制度 外というふうに簡単に言っていいかどうかは別としまして、在住外国人の問題 はもう少し考えていかないとならない問題があるんだと思うんですね。  移住した在住外国人の大人の問題もさることながら、その子どもの問題がか なり深刻になり始めているということも実態として各都道府県で聞いています ので、そんな取扱いを少し検討させていただくということでよろしゅうござい ましょうか。何かありますか。 ○中村企画官  この制度外ニーズは7ページ目の下の方、公的な福祉サービスだけでは対応 できない生活課題の中の(1)を具体的に考えてございます。ご指摘いただきまし た外国人の問題は、8ページ目の少数者に主に含まれるのかなという理解をし てございます。 ○大橋座長  ではそんな整理でよろしゅうございましょうか。まあ制度外の問題でもある わけでもあるんだけど、それをどうするかも少し検討するということでよろし いですか。他にはいかがでしょうか。 ○佐藤委員  前回の発言に基づいて随分修正をしていただいているので、加えて言うのは 申しわけないのですが、まず2ページ目の○の一つ目のところで、生活の質と いう観点からということで、 その上乗せの部分を対応していくというようなイメージも入れてほしいという ことで、入れていただきました。そして、その具体的な話が日常のちょっとし た手助けというような生活ニーズということになっているのですが、生きがい をもってその地域の中で要援護状態になっても生活ができるというようなこと を少し触れていただく方が、生活の質という意味では具体的なのではないかと いうのが一つです。  もう一つは三番目の○のところ以下になるのですが、社会的な役割をもって 生活をして自己実現をするということの記述が、提供する側の話として出てい ます。後の11ページの記述には少しそういうことが出てくるのですが、地域福 祉の大事なところというのは、提供する側とされる側が固定をしないというと ころだと思います。この自己実現というニーズを実現するというのは活動に参 加をするということだけではなくて、地域の中で一体的に生活をする中でそう いうことが高まっていくというようなことで、少し記述が加えられないのかと いうことですね。  活動する側だけが自己実現ができるということではなくて、地域の中で生活 を継続していくことを、される側も固定しないということで、生きがいをもっ て生活ができる、自己実現ができるというようなことが、地域福祉というのは 位置づけとしてあると思いますので、少しそういう記述が加えていただけない かということでございます。 ○大橋座長  2ページの(1)のところは少し文言を考えさせていただくことにして、三つ目 の○のところは、要するに直接的な双方向活動だけの部分じゃなくて、地域で 安心して暮らせていること自体が意味をもっているよということのニュアンス を書き込んでほしいということですか。はい、それは少し検討させていただき ます。つまり、言わんとしていることは、ボランティア活動をする側の自己実 現みたいなことの役割が少し強く出すぎているのかもしれないということです ね。はい、わかりました。他にはいかがでしょうか。 ○今田委員  随分イメージが昔の社会福祉のイメージから変わって脱皮ができているんじ ゃないかなという印象をもっております。私は直接関わってこなかったけれど、 違和感がなくなったという印象をもっているんですがね。まあそれはいいんで すが、今ちょっと自己実現とか、支えをする人、ケアする人というのが強く出 ていてという話があって、何かこれは一方的ではないかというお話があって、 それはよく言われていて、やっぱり助けてあげるとか支援してあげるというふ うになるとまずいので、そうやりながら、相互に自己実現という意味で、相互 実現になるんだというあたりを少し出される方が、だからやっぱり一方的に自 分が何かしてやっているという雰囲気が出ちゃうと、本当の支え合いという意 味からちょっとずれる感じがしますので、その辺をちょっと工夫されるといい んじゃないか。ミューチュアルリアライゼーションというふうに呼ぶ方がいい んじゃないかというふうによく僕も言われたりします。  それからもう一点、PTAの話なんですが、圏域を町内会・自治会から広げ ていって、校区というのが一つあり、それから地方自治体みたいになって、校 区というのがあったと思うのですが、PTAというのは2回ぐらい言葉だけ出 ているのですが、このPTAに関して、子どもが、特に小学校へ行く時は、そ の時は正直言って初めて本格的に地域と関わる時なんですね。小学校のPTA やなんかで関わると。  そういう意味からすると、ただそれが終わっちゃうとまた今度地域から離れ てしまうという、じゃあ小学校の6年間ぐらいはものすごく地域のいろんな催 しものか地域活動に関わらざるを得ないし、それはそれなりに意義のあること なんですが、だから例えば小学校の6年間ぐらいPTAを通じてどういうこと が地域社会の中での支え合い、福祉みたいなものに関与できるのかというのを、 もうちょっとしっかり書かれた方がいいのではないか。あくまでも通過地点な のかもしれないけれど、じゃあ通過地点じゃなくする手は何かあるのかとか、 そういうことも問題になってくるので、ちょっとその辺もうちょっとあるとい いなという感じがいたしました。 ○大橋座長  はい、ありがとうございました。確かに文部科学省関係は、PTAは大事だ けれども、いろんな意味で形骸化しているというんですよ。だから学校地域支 援本部みたいなものをつくろうという動きにもなっているので、過度なPTA の期待というのはそう単純ではないんだと思いますね。ただ、川崎の宮前区の すずの会のように、PTAの活動が地域に無関心だった親御さんたちが関心を もつきっかけになるということは大変大事なので、そういう何か形容詞を入れ て、PTAということのもつ意味というのも書き加えた方がいいんじゃないか、 こういうことだと思いますよね。その活動の経験をもっと生かして、継続して どうだと、こういう話なんだと、こういう受け止めましたが、それでよろしゅ うございますね。それではどうぞ。 ○小林委員  この会での検討課題ではないと思いますが、ひとこと発言させていただくと、 IT化社会、いわゆるサイバー空間というコミュニティが、ある意味で非常に 重要な影響を及ぼしていると思います。このようなバーチャル・コミュニティ と、ここで検討している実体的コミュニティは、どのような関係があるのだろ うか。バーチャルな頭の中の世界に対して、ここでの地域福祉活動は重要な意 味を持っているのではないか。この研究会の直接の検討課題ではないのですが、 一言だけ発言しておきたいと思いました。 ○大橋座長  その大変難しい問題をどう書き込むかというのがあるのですが、確かにバー チャルの世界で勝手に増殖していっちゃってというのはありますから、難しい んですが、少し考えます。  それではI、IIはとりあえずこの方向で、細かいことがもしありましたら、 また事務局に個別にお寄せいただくということにいたしまして、次は「III.地 域福祉の意義と役割」、「IV.地域福祉を推進するために必要な条件」、「V. 留意すべき事項」というようなところでお話をいただければと思います。 ○和田委員  前回は欠席して失礼いたしました。先ほどからありましたように、今日読ん でいただいて伺っていて、ひじょうによくまとまってきているなというふうに 思ったんですが、今回地域における新たな支え合い(共助)を確立するという、 ここのところがひじょうに重要なんだというふうに思うのですが、私の印象な んですが、決定過程に自分たちでやっぱり参画して、それをどういうふうな地 域をつくるかを決めていくんだという、そういうことはひじょうにはっきり出 てきていると思うのですが、前にもちょっと言ったと思うのですが、例えばそ の前のところにありました様々なニーズに自由に対応できるような仕組みを行 政で本当につくれるか、制度的なものでつくれるかというと、かなり今回そこ を変えるんだということにはなっていますが、やっぱり限界はあると思うんで すね。  もっと住民自身がニーズに地域の中で自由に応えることができるような仕組 みをつくったり、事業を開発したり運営していくというふうなことについて、 もう少し積極的なイメージを出していったらどうかな。企画はしますが、共同 出資とか共同運営というところについてもっと出していいんじゃないか。  実際、事例のいろんなお話を伺ったところは、ひじょうに意欲的にニーズに 対して自ら住民を中心にした活動事業を起こしてらして、その中で力を蓄えて らっしゃるということがよくわかりましたので、その意思決定をする過程と合 わせて、そういう自分たちの地域の中に必要な事業や活動を自らが生み出して いって、運営をしていくというふうなことについても、これからはひじょうに 重要な意味をもっているんだということを打ち出したらどうかなというふうに 思っています。  そこが本当の意味で育っていくことが、例えば退職者の方々が地域の中でも っと意欲的におもしろそうな活動を起こしていくというふうな視点から考えて もいろんな可能性があり得るというふうに思います。そういう意味で、この共 助のイメージというものを少し力強く打ち出していったらどうかというふうに 思います。以上です。 ○大橋座長  今のはなかなか難しくて、二つの意味があるんですかね。一つはそういう新 しい共助、支えの活動ができるようなシステムをどうつくるかという側面と、 もう一つは今共同出資と共同企画と言われたけど、福祉コミュニティビジネス みたいな新しいサービスを自分たちで開発していく、そのサービス開発の機能 を支援するというようなことをもう少し書き込んだらいいというのと、何か二 通りあるように聞いていたのですが、そんなのでよろしいでしょうか。 ○和田委員  そうですね。今お話があったように、コミュニティビジネスのようなやり方 もあるでしょうし、それから地域を基盤にしたようなNPOができて、そこで やっていくというやり方もあるでしょうし、これはいろんな対応の方法がある と思うのですが、もう少し住民自身が自分たちで必要な活動事業を起こしてい くというふうなことについても、積極的にこれからは行政としても、あるいは 環境としてもつくっていこう、そういうところとしっかりとしたネットワーク も組んでいこうというふうに考えていいんじゃないかなという意味です。 ○大橋座長  NPO支援センターみたいな記述で、もっとそういうことを応援するセクシ ョンをやれというのか、そういうことを社会福祉協議会がもっとやれというふ うに書くのか、どういう落ち所になるのか、もう一つイメージがわかないんで すが。 ○和田委員  それはだから今のように行政としてやるべき基盤をつくっていくとか、ある いはその支援もそういうことを中心にやれるようにしていくということもある と思うのですが、私が今申し上げているのは、支え合い(共助)というものの イメージそのものをもっと広げておく必要があるんじゃないかということを申 し上げているわけです。 ○大橋座長  はい、わかりました。それは検討させていただきます。 ○小林委員  地域福祉のとらえ方についてですが、支え合い(共助)について、広い意味 でのコミュニティという観点からとらえると、このコミュニティは、重層的あ るいは多層的になっているのではないかと思います。今までの議論のなかで、 コミュニティのとらえかたについて少し欠けているのではないかと感じました のは、地域住民のもっている態度、あるいは近隣の人たちに対する見方、少し 文学的に言うと「眼差し」、何かそういうようなものがまずコミュニティのベー スにあるのではないかという気がします。  最近みたデータですが、地域住民が近隣の人々のことで気になることが分類 されていますが、それによると、よくあるような隣の家の新聞がたまっている というような「安否」への、家から出てきた人の顔色が悪いというような「健 康」への懸念、買物に来た人がおかしな買い方をするというような「挙動」に 関する心配というように、日常的な気づきの部分で、長く地域に住んでいます と、あの人は大丈夫だろうかということに気づくということがあるようですね。  このような懸念や心配を持ち込む先として、例えば、地域でいえば地域包括 支援センター、あるいは、役所などがあるわけですが、そのような、近隣の住 民の行動が、何か自分にとって関わりがあるのだという意識を地域住民がもつ かどうかが重要なのではないか。いろいろな活動が必要なことはわかりますし、 住民自身のいろいろな助け合活動が必要なことは分かりますが、その前に、コ ミュニティという以上、何か地域のことに気がつくというのでしょうか、そう いうようなところにもうちょっと触れられないだろうかと思います。  今回の議論の中で重要だと思いましたのは、通報というのでしょうか、こう いう人がいるよ、ということを地域の人が地域の必要な機関に連絡できるとい こともコミュニティの一つのあり方なのではないかなという気がしました。何 かをするという前に、何かちょっとした近隣・近所の人たち、あるいはもう少 し広く校区でもいいのですが、そういったところでの気づきということがある。  それがコミュニティの中の一番基礎になっていて、その中でいろんな交流が生 まれ、活動が生まれてくるということなので、何かそういう共通のイメージを もちたいなという感じがします。全体に活動支援に重点が置かれることは分か りますが、その辺も触れていただくと、地域の基礎的な課題である安全とか防 災のような地域共通の課題とつながるのではないでしょうか。これは木原委員 が言っておられること、つまり、地域にはこういう人がいるということが地域 でわかっている、それをどのようにつなげていくかということも、コミュニテ ィ形成のひじょうに重要な課題なのではないかという気がします。 ○大橋座長  なかなか難しいですが、今田委員が言われたコミュニティのもつ負の側面に 配慮しつつ、今のことで言うと日常生活における関係性の中で認識していくこ とと、あるいは日常のことと異なる生活、挙動ということにもっと気がつくと いうことも重要なコミュニティ形成の課題なんだということを書き込めという ことですね、趣旨は。少し検討しますが、みんなお互いに挙動不審になったり して……。はい、わかりました。 ○三本松委員   今のコミュニティに関連してなんですが、今回、前回の議論をひじょうに反 映していただいていると思いますが、その前回の議論を受けて少し構成が変わ っているところもあるかと思います。構成上、「III.地域福祉の意義と役割」 の中で、その6でコミュニティ再生の軸としての福祉というのが出てきますが、 この6のところでコミュニティという言葉が、少し前にも出ているところがあ るんですが、大きくは出てきて、コミュニティの再生というふうになるので、 少し唐突感があるかと思います。  前回に議論になったことは、空間ということが議論になっていたと思うので すが、前回の構成ではIIIのところで、一番最初のところで、共助の空間を地域 の中に位置づけるという構成になっていました。しかし、今回は前回の議論を 受けて、最初が地域における新たな支え合い(共助)を確立するというふうに なり、その地域における新たな支え合い(共助)の領域を拡大強化することが 求められているというふうに指摘した上で、それ以下の記述がその担い手の議 論、あるいは活動の議論になっているのではないかというふうに思います。  そういった記述を展開した上で、6のところでコミュニティ再生の軸として の福祉につながっている、そうするとこの6の位置づけをどういうふうに考え るかということなんですが、私は活動、担い手の記述だけでなくて、そういっ た活動や担い手の人たちが動けば、そのための場ないしは空間についての記述 が必要なのではないかというふうに考えます。このように考えると、ここで再 生されるべきコミュニティの少し文脈上の説明が必要なんじゃないかというふ うに感じました。  コミュニティというのは、地域社会という意味をもつと同時に、人々がつく りだす共同のための場、あるいは空間というふうに私は考えていますけれども、 例えば15ページの下から二つ目の○の下の方で、コミュニティの脆弱化という ところが出てきますが、この前のところに例えば共同生活の場としてのコミュ ニティというような言葉を一端補ってみて、そして16ページの最後のところで、 地域福祉はコミュニティ再生の軸となりえると言えるという文言の、その前の ところに、地域福祉とは、前述されている地域における新たな支え合い(共助) のシステムを構築する場、空間としてのコミュニティの再生というような形で、 少しコミュニティの位置づけをしてみたらどうかというふうに感じました。 ○大橋座長   コミュニティ論は社会学でもいろいろあって、関係性の上でウエイトをかけ るのか、空間でやるのか、両方考えるのかと、いろいろあるんだと思いますが、 今回は共助の空間というのを、空間というのがちょっとわかりづらいというこ とがあって、関係性ということにやや強調して書いていただいた部分があるの ですが、その関係性を実現できる場みたいなことをもう少し考えてほしいとい うことですね。関係性を実現できる場みたいなことをどう考えるか、圏域とか いろんなことを書いているんだけれど、もう少しそこは何か工夫がないかとい うことです。  ただ、今回すごく大事なことは、コミュニティ再生の軸としての福祉という 考え方はひじょうに強く出したということですよね。これは私はすごく大事な ことで、過疎地であれ、都市の中の限界集落であれ、やっぱりこの福祉を抜き にしてコミュニティというのはもうないよということを考える、つまり経済外 秩序としての福祉じゃないということをかなり強く意識しておく必要があるん じゃないかというふうに思うんですね。  どうしても生活保護の問題を含めて、経済外秩序としての福祉というとらえ 方は従来やってきたけれど、それを変えるよという新しいやっぱり社会哲学な り考え方が入っているという意味では、その言葉はコミュニティ再生の軸とし ての福祉だと、こういうことなんだという、こうご理解いただければと思いま す。 ○金井委員  先ほどの話とつながりますし、小林委員の話ともつながるんですが、やはり 13ページに今回書き加えていただいた、上から四つ目の○ですよね、ここがひ じょうに重要なポイントなので、特にここをさらに強化して書いていただけれ ばなと思います。まず最初に気づく、通報する、それから対応し、そして公的 制度にまでつなげていくというような、シームレスといいますか、そこがちゃ んとつなげられるのかということが一番大きなポイントです。もっと言えばさ らに制度がない場合には制度を立案するとか、制度の提案をしていくというと ころまで含めて、要はニーズを発見するということになるわけですが、それを 専門家の調査ではなくて、地域から発見していくということです。特に公的制 度の利用ということと、それから個別の制度の立案、あるいはバラバラになる ものであれば統合していくとか、いろいろ運用改善も含めた動態的なメカニズ ムを入れていただければなと思います。  もう一つは気づき、通報の場合一番問題になるのは、おそらく回りが気づい た時に、当の本人がいやだというふうにどうするのかです。むしろ状態が悪け れば悪いほど回りからの関わりを拒否したくなるというところもあって、最悪 の事態にならない限り、結局知ってはいたけれども手が出せませんでしたとい うことが多いのではないかなと思うんです。ここについては私自身ちょっとど ういうふうにしたらよいのか、こじ開けるというわけにもおそらくいかないと 思うのですが、ちょっとそこは何かうまい手があれば、あるいはなければまた 今後とも考えていくというふうなことをぜひお願いできればなと思います。  おそらく気づいている方がむしろ普通であって、何となくおかしいと思って いたけれども、家の中まで入っていくわけにもいかないし、それで事件になっ てやっぱりおかしかったねという話になってしまう。これはひじょうに不幸な ことなのではないかなと思います。ぜひそこを記述していただければというふ うに思います。  それから二つ目は、私の学問的な専門が市町村のことなので、特に21ページ 以降の市町村の役割との関係がひじょうに重要だと思うのです。22ページの○ の二つ目ですが、例えば市町村の役割は何かということだと思うのですが、資 金提供といいますか、資金の確保というものがやはり市町村の大きな役割なの ではないか。よくしばしば活動の場とかノウハウとか、あるいはオーソライズ というか、お墨付きを与える機能とか、いろいろ言われるわけでありますが、 資金の話というものがどうしても必要なのではないかなというふうに思います。  資金について、やはり市町村が確保していくということ、それはどういう形 であれ、していくことが必要なのではないか。それに関連して言えば、さらに 清原委員から意見提出もありますが、市町村で確保するということのためは全 国的に確保するという背景がなければ市町村も確保できませんから、地域にお いてまず市町村が確保するとともに、その市町村を国全体として確保していく ということが必要なのではないかなというのが、市町村の方でお願いしたいと ころです。  それから三つ目はやはり市町村で関わることなんですが、合併とか学校で言 えば学校の統廃合及び学校選択制ということです。教育において地域を基盤と した教育というのは急速に崩壊しつつあるという現状の中で、これを果たして 校区という概念が、これまでいただいた圏域の重層的なイメージほど強いもの にもうなっていないのではないかなというところが一つ。  それから市町村が合併をしてきて、そして結果的に限界集落が多数出ている ということがありますから、市町村自体が既にあまねく地域というものをカバ ーするということから急速に撤退しつつある。通常合併をいたしますと、周辺 部旧町村の地域には短期的には支所・出張所とか置きますが、行革で急速に職 員を本庁に引き上げて、ほとんどゼロになっていくということが普通ですね。 これが行財政基盤の強化と称して推奨されるわけでありますが、実態としては 地域の疲弊を加速度的に進めていって、限界集落化をさらに促進するというこ とを行っている。  つまり、政府はそういう方針を別の省では行っているということで、そうい う中で果たしてこういう地域福祉があまねく可能なのかどうなのか、地域福祉 の対象をコンパクトに限定していく必要があるのかどうかという論点です。し かし、いや住み慣れたところに長く住み続けるのが地域福祉であるというと、 かなりこれは政策的に大きな衝突をもち得るので、そこら辺はちょっと市町村 合併と学校の統廃合及び学校選択制のような問題との整合性ないし調整という ものをぜひどこかで方向性を考えていただければなというふうに思います。  それから20ページのところなんですが、これは地域福祉の方でのお金の話で、 市町村がやるかどうかじゃないんですが、活動資金の○の二つ目です。活動に 必要な資金を地域で集めるということは確かに大事なんですが、地域福祉活動 というのは、住民同士の支え合いでありますが、それは重層的に最終的には国 民的といいますか,本来はグローバルにつながる必要があると思うのですが、 国民的な支え合いを下から積み上げていくものなのであって、やはり自分の地 域で集めたお金は自分の地域だけで使うという、何といいますか、パロキアル といいますか、うちのところでうちの金だけを使いたいという、ちょっと偏狭 な地域福祉につながるのはいかがなものかな。  やはり募金にせよ、あるいは政府資金にせよ、やはり全国的な確保とニーズ に応じた配分というふうに地域福祉がいかなければならない。お金のあるとこ ろがお金がある人同士でやっていって、貧乏なところはない金をお互いに自分 のところだけで悲しい金額でやるというのでは、それは地域福祉としてはちょ っとおかしいのではないかなと思います。活動に必要な資金は地域で集めるこ と自体はいいと思いますが、それはやはり全国的に積み上げていく、そして全 国的に調整していくということが必要なのではないかなというふうに思います。 以上が感想です。 ○大橋座長  まず一番目の部分は、児童虐待などにみられる、状況がわかっていてもなか なか踏み込めないというような問題もあったりするわけなので、ゴミ屋敷もそ うなので、そこの書きぶりをどうするかというのは、ある意味ではいつも問題 が起きてから社会福祉関係者がしかられることですが、どういうふうにするか、 しかしそこを我々が入っていかないことには地域福祉にならないので、少し工 夫させていただきたいと思います。  それから市町村の役割の資金提供の部分は、これは本日欠席の清原委員から 意見が出ていますので、財源をどうするか、それは厚生労働省の枠の中だけで 論議できる問題でもないのですが、どういうふうな書きぶりにするか、また事 務局と相談をさせていただきます。  三番目の校区の問題は、地域を基盤とした教育システムが崩壊しているとい う実情がかなり出てきたことは事実ですが、ここの場合の校区は必ずしても教 育そのものの仕組みに関わっているんじゃなくて、校区に代表されるような住 民の一種の生活圏域を表す言葉として校区を使っているというふうにご理解い ただいた方がよろしいのではないかというふうに思うのですね。  昔のように強制移住させるようなことが可能ならばいいんですが、強制移住 できない状況の中で、ひとり暮らしで頑張っている人がたくさん過疎地にいる わけで、そういう中で地域というのをどう考えていくかというのは本当に難し い問題でございます。それから他の省庁との関係など、どう書き込むか、これ は私にはよくわかりませんが、また少し事務局と相談をさせていただく。  それから募金のことにつきましては、中途半端になっているから、もう一つ はもっとコミュニティファンド的な機能を強めながら、一方ではもっと社会的 な全国で使える部分との仕組みも考えたらどうかというようなことが書かれて いるので、それはもう少し意見を踏まえながら調整できれば調整したいという ふうに思っております。 ○小林委員  コーディネーターのところに触れてよろしいでしょうか。先ほどの13ページ の早期発見、早期対応、予防、これは実は金井委員が言ってくださったように、 ある意味では一番対応が難しい場合があります。援助を求めてくれれば、対応 はできるということで、ある意味では楽です。しかし援助を求めてこない人た ちがいるときに、地域がどうするかということはかなり問題になります。  そうしますとこれに対応するのは、やはり地域の専門的な機関で、地域包括 支援センターや行政など、いわゆる第三次的な専門機関ではない機関になりま す。そうすると、19ページのコーディネーターというのはそこに対応すること になるのではないかと思うのですが、併せて地域の専門職とは何だろうかとい う議論になると思います。  19ページのコーディネーターは2つに分けられていますが、この第1と第2 のコーディネーターのイメージが少しわかりにくい感じがします。今のような 地域で難しい問題に対応する方々、例えば民生委員はもちろんそうですし、そ れから地域包括支援センターの職員もそうだと思いますが、そういう地域のコ ーディネーターとのネットワークがある、地域にはこのような機能があるとい うことで、地域の住民は安心できるわけですね。このような、地域活動とは少 し違うルートがあるのではないか。このこととの関連で、ここに書かれている コーディネーターの機能をもう少し明確にしていただくとよいのではないかと 思います。 ○大橋座長  今回のポイントは、コミュニティ再生の軸が地域福祉だという考え方はもう 一つそうですし、それをやっていくためには、やはり住民のエネルギーも大事 だけれど、一方で専門職がそれに関与して、それを推進していく、パワーアッ プしていく、エンパワーメントしていく、すごく大事だということでコーディ ネートがあるので、この部分はすごく重要なので、もし意見があれば、もう少 しこういうふうにしたらどうかということの具体的なイメージを膨らませて実 現可能なものとしてぜひ知恵をください。それはよろしくお願いします。 ○今田委員  要は幅の広い福祉概念というのを考えて、コミュニティの再生の軸としての 福祉という、そのトーンがあるわけですから、せっかくなので、じゃあコミュ ニティ再生したらどういうメリットがあるんですかというところまで本当は書 く方がいい。というのはコミュニティというのは共同性ないし人々の連帯につ ながる制度ですが、社会学の極めて有力なテーゼに、社会の凝集性が低下する と逸脱行動が起きる、逸脱というのは自殺とか犯罪とか、そういういろんなア ノミニックなアノミー現象なんですが、逆に共同性なり連帯というのが高まる と、それが減る。  つまり、ここでやっているのは背伸びしない福祉で、等身大の福祉を狙って いるようにコミュニティの単位で思うのですが、それで人々の間のつながりが できて、連帯とか共同性が高まると、どういうわけか自殺とか逸脱行動とか非 行とか、そういうのは減るんです。これは実証されていますので、だから本当 はそういう形の何か非行が増えたからどうにかしなきゃあいけないとか、起き たから何とかしなきゃあいけないというよりも、まさに予防、ここは予防何と かってどこかに出ていましたが、それをする即効薬ではないんだけれど、ジワ ジワと漢方薬のように社会の病に効くような、そういうのをコミュニティの福 祉というものを通じてもやれるんだというようなことをちょっと書いておくと、 なるほどねという、一般庶民にわかりやすいんじゃないでしょうか。 ○大橋座長  ありがとうございました。確かに自殺が一番多い秋田県で、秋田大学の医学 部の本橋先生が、医学の対応ではもう限界だ、やっぱり地域づくりだと、こう いうふうに言っていろいろ実証的にやっているので、そんなものももし使えれ ばというふうに思いますが、どういうふうにするかということで、なかなかこ れは難しいんでしょうけどね、その直接的な関係を示すのは。まあ、少し検討 させてもらいます。  それでは最後に、前回の意見を聞きまして、25ページ以降、既存施策の見直 しについてということで書いていただきました。これは前回も言いましたよう に、ひじょうに多面的に検討しなくてはいけないことなので、ここだけをスト ライドするというのはひじょうにつらい感じがするのですが、今後詰めていた だくにしても、とりあえずこんな方向で検討する必要があるよということで、 事務局の判断も含めて整理をしていただいたわけですが、次回にこれはまた詳 しく論議をしたいと思いますが、とりあえず今日のところは、この辺はという ところだけいくつかあげておいていただいて、少し検討したいというふうに思 っておりますが、いかがでしょうか。 ○長谷川委員  今日事前に本日資料3の「新しい地域福祉の中の概念」の8ページの「現行 の地域福祉に関する施策」の中で、民生委員の項目中、「名称の検討」という ことが書かれています。私もこれをみてアレッと思ったのですが、今まで議論 をしていたのに、急に唐突的に言われたので、どうかなと思って実は心配して、 何か不都合だというのもあるのかなという、そんなことでもってみていたので すが、今日の31ページの中では両論併記について記載されていますので、我々 や国民もその愛着のある名称で今日まできているわけですから、こういうもの を一つ定着していることを財産として我々も大切にしていきたいと思います。 ぜひ一つ慎重に今後とも扱ってほしいなと思うのですが。  それとともにもう一つは、その上の段でもって、住民とともに活動しやすい 環境整備をしなくてはいけないという見直しについての議論がされております が、これは今いろんな問題がありまして、15ページにもなり手がないという表 現もあるのですが、そうした中でもって、そうした具体策をこれからは何でも かんでも民生委員にというのではなくて、その辺のやはり具体的な制度を、そ れは行政にあるのか、地域でもやるのか、何かもう一工夫あってもしかるべき なのかなという、率直に当事者としましてはそのような感じ方、受け止め方を していたものですから、ちょっと申し上げたいと思います。 ○大橋座長  市長会からも委嘱のあり方を変えたらどうかという意見もあるようでござい ますし、また視察をした際にも、民生委員という名称と、福祉委員との関係と か、いろいろ出ていますので、いろいろ出た意見は整理して両論併記させてい ただいて、こうあるべきだということを言っているわけではない、ただ、関係 者にとってみればやっぱり青天の霹靂のような思いもありましょうから、その 辺を今後どういうふうにしていくかということは、今後やっぱり時間をかける なりしないとならない。ただ、意見があったということだけは触れないわけに はいかないと、こういうことでございますので、ご了解をいただければと思い ます。他にはどうでしょうか。 ○佐藤委員  社協についても同様の名称の変更が出てきております。当然ここの中にいろ いろあるご意見のように、課題の部分もたくさん、実際にこの検討会の中でも 議論をされていますし、法的な位置づけの問題で見直しが必要ということも具 体的にご意見として出てきています。その見直しをする中で、名称の変更につ いても、必要であればするということで、ご理解をいただければと思います。 名称変更が必要であると言われてしまうと、先に名前を変えるという話が出て くるようなイメージになりますので。 ○大橋座長  皆さんは公益的な委員であると同時に、所属団体の代表でも入っていますの で、どうしても我が田に水引く的な論議をしないと、その分野で生きていかれ ないということにもなりかねませんので、お気持ちは十分よくわかります。そ ういうことも含めて慎重にというふうに考えているわけでございます。 ○中村社会・援護局長  今お話がありましたが、先ほど中村企画官の方からもご説明申し上げました が、25ページの下から2行目以降は今日初めて出させていただいたということ で、そういった意味で全く事務局の試案でございますので、ご意見を賜りたい と思います。  先ほども企画官の方から申し上げましたが、ずっと毎回既存施策についてレ ビューをお願いしておりました。その中でまず大体このメニューだけでは実は 地域福祉は足りないんじゃないかというお話がありましたので、25ページの上 の方で、広いんだけれども、我が方からお願いしたことについてはこうじゃな いかというふうに書かせていただいたということと、大変時間がなかったので、 一つ一つについて十分ご議論いただけない分野もございました。  そこで我々の作業方針としては、25ページまでのいわば総論部分で議論を整 理した、その議論を整理した物差しにあてて現行制度を評価すると、論理的に 多分こうなるんじゃないかというような作業仮説でまず整理してみたのが第一 点です。  第二点は、そういう中でもいろんなこのレビューの際に委員からいただいた ご意見なり、レポーターから出されたご意見なり、出てきた意見は覚えている 限り全部盛り込ませていただきました。そういう方針でつくられております。 一つは物差しのあてはめ方について問題があるかどうかについても意見をいた だきたいと思います。  それから、そうは言ってもプロの目からみると、あるいは各関係者の方から みると、他に重要な論点があるよということであれば、ぜひ追加する必要があ ると思います。また、今ご意見いただいたように、ひじょうに書き過ぎの点が あれば、ご意見をいただければ、またそこは次回までに修正の上提出させてい ただきたいと考えております。以上でございます。 ○大橋座長  ありがとうございました。これらの問題はもっと多面的に検討しなくてはい けない部分もありますが、ただ、今局長が言われたような形で、論理的に新し い地域のあり方を考えていく、こういうことをやっぱり検討せざるをえないで しょうという流れだということでご理解をいただければと思います。  それでは最後になるのですが、私も気になるところだけ言わせていただきま すと、7ページのところの全体的な方向性のところは、もう少し個人の尊厳だ とか、生活の全体、あるいは個別性だとか、あるいはICFの視点だとか、確 認しておいた方がいいのかなという気がしましたので、ちょっとこの辺は補充 していただければというふうに思いますことと、それから今局長のご挨拶にあ ったのですが、26ページのなぜこの七つの項目をとりあげたのかということの 説明のところを、もう少し補足的にしておいた方がよろしいのかなということ を実は感じました。もっといろいろ検討すべきことがあるんだけれど、とりあ えずこういうことが必要ではないかということでしょうか。  あとは「ハブ」とか「フラット」だとかが出てくるのですが、こういうカタ カナをどうするかというのは、随分直していだたいたのですが、もう一度ご検 討いただいて、「ハブ」は「ハブ」のままになっていますし、「沖縄のハブ」 と間違えるぐらいかという人もいるかもしれませんので、ちょっとご検討もい ただければということでございます。  それでは最後になりましたが、前回タイトルをどうしようか、わかりやすい タイトルで、なおかつ我々の論議している方向が明確にみえるものというふう なことで、お願いしていましたが、事務局でこの本文の中にもいっぱい出てま いりますが、「地域における新しい支え合いの姿を求めて」ということですね。 この新しい支え合いの姿、本文の中には(共助)というようなことも書いてご ざいますが、タイトルに入れないで、新しい支え合いと書いています。そして サブタイトルはやはり地域福祉のあり方検討会ですから、「これからの地域福 祉のあり方」ということにサブタイトル、一番何か落ち着きやすいかなという ふうに思っているのですが、これについても意見をいただいて、次回はこれで 決定しなくてはいけないのですが、何かありますか。 ○三本松委員  今日の議論の中でも言葉として出てきていたのが、「気づき」というような 言葉がかなり出てきていたと思いますので、そういう何か「気づきから始まる」 とか、何かそういうような言い方ができないかなというふうに思います。 ○今田委員  このタイトルはとてもいいと思うのですが、地域がメインとサブで二回出て くるんですね。それでこれをみていたら、「住民流地域福祉活動」ってなかな かいいねと思って、「住民流新しい支え合いの姿」みたいなことになると遊び すぎですか。 ○大橋座長  今の三本松委員の「気づきから始まる」という、ひじょうに情感的で、そう いうのが行政用語に馴染むのかどうかわかりませんが、「住民流」というのも そうですが、少し検討させていただきます。他にはどうですか。何かやっぱり 地域福祉という言葉をどこかに一つタームとして押さえておきたいなという感 じはするのと、やっぱり新しい支え合いという、昔のとは違うということを打 ち出したいということでしょうかね。  それを共助というふうに言っちゃうと、前回局長の発言にあったように、自 助・共助・公助のとらえ方はいろいろありましたよという話になってしまって、 使いづらいのか、少しご意見をいただいて、本当に事務局にこれでどうかとい う意見を、三本松委員、そのどこに気づきを入れたらいいのか、住民の気づき から始まる新しい支え合いの姿を求めて、住民流とは何かという話、まあ少し ご意見をまたお寄せいただければと思います。もう次回には固めなくてはいけ ないということがありますので、よろしくお願いいたします。  それでは今日はこれでおしまいにしたいと思いますが、よろしゅうございま すか。それでは事務局の方から次回のご案内をいただければと思います。 ○事務局  次回でございますが、3月27日(水)10時から12時、厚労省の5階の会議室 になります。よろしくお願いいたします。 ○大橋座長  それではどうもお疲れさまでございます。これをもちまして終了といたしま す。ありがとうございました。 (終了)