08/03/12 平成20年3月12日議事録 第27回先進医療専門家会議 議事録 (1) 開催日 平成20年3月12日(水) (2) 場 所 全国都市会館 2階 Aホ−ル (3) 出席者 猿田座長、吉田座長代理、赤川構成員、飯島構成員、加藤構成員、       金子構成員、北村構成員、竹中構成員、田中(良)構成員、       谷川原構成員、樋口構成員、渡邊構成員       事務局:審議官、医療課長、医療課企画官、歯科医療管理官、       薬剤管理官、医政局研究開発振興課長、他 (4) 議 題 1.先進医療の科学的評価(12月、1月受付分)について       2.先進医療の届出状況(2月受付分)について       3.先進医療として部分的に継続する技術について       4.臨床的な使用確認試験について       5.高度医療評価制度について       6.その他 (5) 議事内容 ○猿田座長  定刻になりましたので、ただいまより第27回の先進医療専門家会議を開催いたします。  まず、構成員の出欠状況ですが、新井構成員、岩砂構成員、笹子構成員、田中憲一構成 員、辻構成員、坪田構成員、戸山構成員、永井構成員、福井構成員が御欠席です。  最初に、事務局より資料の確認をお願いします。 ○事務局  それでは資料の確認をさせていただきます。まず議事次第、座席表、構成員の名簿がご ざいまして、本日の資料は次のとおりです。  先−1−1 先進医療の新規届出技術(12月受付分)について  先−1−2 先進医療として届出のあった新規技術(12月受付分)に対する事前評価 結果等について  先−2 先進医療の新規届出技術(2月受付分)について  先−3 先進医療として部分的に継続する技術  先−4−1 臨床的な使用確認試験に関する検討会における検討結果について  先−4−2 高度医療評価制度について(案)  先−5−1 平成19年6月30日時点における先進医療の実績報告について  先−5−2 過去5年間の実績  先−5 参考資料として、平成19年6月30日時点における各先進医療技術に係る費 用  先−5−3 先進医療施設基準(要件)一覧表(案)  先−5−4 標榜診療科の見直しに伴う先進医療における対応について  資料は以上ですが、落丁等がございましたら事務局までお申しつけください。 ○猿田座長  それでは早速ですが、議事に入らせていただきます。まず議題の1、先進医療の科学的 評価(12月、1月受付分)について、事務局から説明をお願いします。 ○事務局  先−1−1をごらんください。12月受付分につきましては、105番「子宮頸癌検出 のための液状処理細胞診(LBC)」のみです。  1月受付分につきましては4つありまして、106番「アポダイズ固体型眼内レンズを 用いた水晶体再建術」、107番「角膜ジストロフィの遺伝子診断」、108番「先天性 難聴の遺伝子診断」、109番「アドバンスドテクノロジ−眼内レンズを用いた水晶体再 建術」となっております。  以上5つの技術について、それぞれ先進医療名、適応症、自己負担、保険給付、受付日 がございます。  先−1−2をごらんください。事前評価結果ですが、右から2つ目の「その他(事務的 対応)」のところをごらんいただきたいと思います。今回の5つの技術はすべて返戻とな っています。書類が不足していたり、書き間違いがありましたので、今回は返戻させてい ただき、出し直しをしていただきたいという対応をしております。以上です。 ○猿田座長  12月受付分は1つ、1月受付分は4つですが、いずれも書類不備ということで再提出 していただくことになりましたので、きょうのところは12月分、1月分については審議 できないということです。  次に議題の2、2月受付分について報告をお願いします。 ○事務局  先−2をごらんください。先進医療の新規届出技術、2月受付分ですが、1技術だけと なっています。整理番号110番「再生不良性貧血患者に対する造血幹細胞移植前処置に おける抗ヒトTリンパ球免疫グロブリンの使用」という先進医療名です。適応症は輸血依 存症の中等症および重症の再生不良性貧血となっています。自己負担、保険給付、受付日 は表に示すとおりでございます。次回、御審議いただきたいと思いますので、よろしくお 願いいたします。 ○猿田座長  2月受付分は1つだけで、これは今受け付けて審査をしているところです。これもよろ しいですね。  それでは議題の3、先進医療として部分的に継続する技術についてです。前回の先進医 療専門家会議において御議論いただき、それら技術は中医協の議論も踏まえ、保険導入さ れたわけですが、一部技術の中には、すべての対象疾患が保険に入らなかったことから、 それらについては、再度先進医療として、医療機関から届け出をしていただくこととなり ます。そのうち事務局や担当の先生方とも相談の上、3技術について継続することについ てこれから御審議いただきたいと思います。  最初に事務局から全体の説明をして、そのあと谷川原先生から説明をお願いしたいと思 います。 ○事務局  先−3「先進医療として部分的に継続する技術」ですが、今回、3つの技術について提 案させていただいております。保険適用になっていない10年未満の新しい技術について、 今回、御審議いただきたいと思っております。  1番目は「SDI法による抗悪性腫瘍剤感受性試験(消化器がん、頭頸部がん、乳がん、 肺がん、がん性胸・腹膜炎、子宮頚がん、子宮体がん又は卵巣がんに係るものに限る)と いう技術です。  2番目は「HDRA法又はCD−DST法による抗悪性腫瘍剤感受性試験(消化器がん (根治度Cの胃がんを除く)、頭頸部がん、乳がん、肺がん、がん性胸・腹膜炎、子宮頚 がん、子宮体がん又は卵巣がんに係るものに限る)という先進医療名です。  3番目は「超音波骨折治療法(四肢の骨折(治療のために手術中に行われるものを除 く)のうち、観血的手術を実施した開放骨折及び粉砕骨折以外の場合に限る)という技術 です。  次のペ−ジの別紙1をお開きください。1番目の「SDI法による抗悪性剤感受性試 験」については後ほど担当の谷川原先生から御説明いただきます。告示番号と書いてあり ますのは、今実施している先進医療の告示番号が36番ということで、今後新しい番号が 振られる予定ですが、今回はこういう形で資料を提出させていただいております。  次の2ペ−ジは事務局案ということで、前回の36番の技術を基本として、実施責任医 師の要件、医療機関の要件等を記載しております。事務局案について過不足がありました ら御指摘をいただきながら修正をしていきたいと思っております。  次のペ−ジの別紙2は「HDRA法又はCD−DST法による抗悪性腫瘍剤感受性試 験」の技術ですが、これは今の告示番号41番と76番をまとめたものになっています。 これについても後ほど谷川原先生から御説明いただきたいと思っております。  次のペ−ジは施設基準ですが、事務局案は41番と76番を過不足なく入れた形にして おります。前回の施設基準の見直しの際に谷川原先生からいただいた修正意見が下線部で すが、そうした修正を追加した上で事務局案として提出させていただいております。  次のペ−ジの別紙3は「超音波骨折治療法」の部分なので、これは後ほどということで、 まず、この2つについてお願いいたします。 ○猿田座長  2つとも悪性腫瘍要に対する感受性試験ということですが、1と2について谷川原先生 から御説明いただけますでしょうか。 ○谷川原構成員  それでは御説明いたします。もともと高度先進医療から先進医療として引き継がれた抗 がん剤感受性試験は3種類ありまして、いずれも同じコンセプトなんですが、測定法が3 種類ありますし、適用とするがん種がさまざまにありました。これによって事前に効果の ない抗がん剤の投与を避けることができるという意味で、適切な治療薬を選択する上でも、 不必要に抗がん剤を投与するという無駄な投薬を省く上でも価値があると認められたわけ ですが、個別のがん種を精査していきますと、エビデンスレベルに差があるということが わかってまいりました。すべてまとめて保険適用するのは時期尚早かということがありま して、エビデンスが一番しっかりしている胃がんに関して、今回、保険適用をお認めいた だいたわけです。残りのがん種に関して、この先進医療として引き続き継続していただく ように、今回出たわけです。  測定法が3種類ありますが、最初のSDI法というのは患者さんから採取したがん細胞 を浮遊細胞として培養して薬剤反応性を調べる方法です。2つ目のHRDA法とCD−D ST法は組織のレベルで培養して薬剤感受性を調べる方法です。この方法に関して少し精 査しますと、SDI法の方は測定法自体が十分に標準化されていない部分があります。そ れに対してHDRA法とCD−DST法は手法としても標準化されているということがあ りますので、今回の保険導入に当たりましては、測定法に関しては既に標準化がなされて いるHDRA法及びCD−DST法、がん種に関しては胃がんで根治度Cというものに限 って適用とお認めいただいたわけです。  残りの部分をこのような形で整理しまして、新たな先進医療の本日の1番のSDI法に 関しては、もう少し先進医療として継続して検討していただく。2番のHDRA法又はC D−DST法に関しては、保険適用になる根治度Cの胃がんを除く他のがん種で先進医療 として継続していただきまして、新たなエビデンスができましたら、この場で御審議いた だきまして、将来、保険導入への道をつけていただければと考えております。 ○猿田座長  ただいま御説明いただきましたように、36のSDI法に関してはこのままの形で先進 医療にもっていっていい。2番目については胃がんに関していろいろ議論があったんです が、保険適用にすることになりまして、ほかのがんに関しては先進医療として継続する形 でやっていってはどうだろうかということです。  ただいまの説明について何か御意見はございますか。私もいろいろ当たってみましたと ころ、学会でも意見が分かれているようですが、胃がんに関しては保険適用にしてもいい のではないかということになったようです。あとの2つに関しては、もう少し先進医療と してどうなっていくのかということを見ていただくのがいいのではないかというのが、が ん学会の先生の御意見でした。 ○医療課企画官  別紙1の2ペ−ジと別紙2の2ペ−ジを見比べますと、適用される疾患は胃がんの根治 度Cを除いて同じがんになってると思うんですが、診療科と資格のところが別紙1の方は 整形外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻科などが入っていますが、別紙2では入ってい ません。この違いというのはどういうことなんでしょうか。 ○谷川原構成員  見直した時に私もそれが気になりました。もともとの高度先進医療のところから36番 というものを引きずってまして、36というのはがん性胸・腹膜炎だけなんですが、今お っしゃったように眼科とか皮膚科も含めて幅広い形で承認されてきました。その後に出さ れた41、76はがん種と対応した診療科になっていまして、一番最初のものががん種と 診療科が対応していない、それをそのまま引きずってきてしまってきておりますので、こ こで見直せるものならば、がん種と診療科の関係を整理した方がよろしいのではと思って、 御意見をいただければと思います。 ○猿田座長  そういうことだそうですが、どうしたらいいんですかね。 ○医療課企画官  それぞれ御専門の先生がいらっしゃいますので、必要ならば残すということですし、不 要ということであれば削っていただくということで御議論いただけると我々としてはあり がたいんですが。 ○竹中構成員  治療成績との関係が一番難しいと思うので、そこはさておいたとしても、診療科がすべ てこれを等しく使える状況にあるかというところが疑問です。 ○猿田座長  皮膚科の方はどうですか。 ○飯島構成員  がん性腹膜炎になりますと僕らの手を離れてるかもしれませんので、竹中先生の意見と 同じでございます。 ○吉田座長代理  最初のころに幅広くというので、こうなったんでしょうね。時代がたつにつれて絞られ ちゃったと思うんですけど、最初のころはがんを扱う科は全部が挙げたんじゃないですか ね。36番じゃなくて、41と76の診療科に合わせたらいかがですかね。御了解いただ ければ、そうした方がいいんじゃないですかね。 ○医療課企画官  頭頸部がんというのがありますので、耳鼻咽喉科に入っていただいた方がいいかと思う んです。41と76では抜けてるんですが。 ○竹中構成員  頭頸部がんは別紙2の方にも入っておりますし、こちら側で整理されるのであれば、こ こに入るんだろうと思います。 ○猿田座長  坪田先生がいらっしゃらないけど、眼科はどうですかね。眼科は外してもいいんじゃな いかな。 ○医療課企画官  眼科と整形の先生がきょうはいらっしゃいませんので、こちらで個別に先生方に伺うこ とにさせていただきたいと思います。 ○猿田座長  整理できるものは整理しておいた方がよろしいかと思います。先進医療の形でもう少し 継続させて経過を見ていくということがいいのではないかということです。それでは、こ の件はそういうことで処理させていただきます。 ○事務局  確認させていただきます。SDI法については整形外科と眼科について構成員の先生に 確認をさせていただくということと、HDRA法とCD−DST法については小児科、皮 膚科、泌尿器科等を入れるという形で修正をさせていただきます。 ○猿田座長  加藤先生、よろしいですよね。 ○加藤構成員  入れておいていただいた方がありがたいです。 ○猿田座長  では、1番と2番はそういう形で処理させていただくことにして、3番目の「超音波骨 折治療法」について事務局から説明をお願いします。 ○事務局  本日、戸山構成員が欠席ですので、事務局から説明させていただきます。先−3の別紙 3をごらんください。超音波骨折治療法ですが、四肢の骨折(治療のために手術中に行わ れるものを除く)のうち、観血的手術を実施した開放骨折及び粉骨骨折以外の場合に限る ということでした。今回、保険導入に当たりまして、エビデンスのある医療機器の普及が 限られているので、すべての四肢骨折を一度に保険に入れることは難しいのではないかと いう戸山構成員からの御意見もありまして、開放骨折と粉砕骨折に限って保険導入をさせ ていただいております。そこを除いた部分について先進医療として継続していきたいとい うことで、今回の提案をさせていただいております。  現在、四肢の骨折の治療法においては、牽引・徒手整復、観血的手術、ギブス固定等に よる「整復」と「固定」が主な治療法であるが、超音波骨折治療法は整復、固定後の治療 であり、骨融合過程を促進する技術という点で先進性があるということで、開放骨折や粉 砕骨折以外の四肢の骨折についてお認めいただきたいという形になろうかと思います。  次のペ−ジの施設基準ですが、前回の超音波骨折治療法と同様の内容になっておりまし て、診療科は整形外科、資格は整形外科専門医、当該診療科の経験年数は5年、当該技術 の経験年数は1年以上、当該技術の経験症例数は不要となっております。  医療機関の要件としては、実施診療科の医師数は常勤医師1名以上、他診療科の医師は 不要、看護配置は不要、その他診療従事者の配置は不要となっております。病床数は1床 以上、診療科は整形外科、当直体制は必要、緊急手術の実施体制は不要、院内検査(24 時間体制)は不要、他の医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制は要、倫 理委員会による審査体制は不要、医療安全管理委員会の設置は不要、医療機関としての当 該技術の実施症例数は不要。  その他の要件として、頻回の実績報告は不要。  以上のような施設基準で事務局案として提案をさせていただいております。この中身に ついて御審議いただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○猿田座長  これまでは骨折の場合、整復その他をした後に自然の経過をみていたのが、超音波を2 0分あてることによって治癒が促進されるということで、かなり効果的であるということ です。開放骨折と粉砕骨折以外の場合に限ってお認めいただければということです。施設 基準に関しては説明していただいたとおりで大きな問題はないのではないかと思いますが、 御意見をいただければと思います。 ○金子構成員  当該技術の症例数は不要とありますが、当該技術の経験年数が1年以上ということです から、その間、症例がゼロということはないので、経験症例数は1例以上の方が普通じゃ ないかと思います。 ○猿田座長  1例以上でよろしいでしょうか。ほかに御意見はございますでしょうか。特に御意見が ないようでしたら、これをお認めいただくということでよろしいでしょうか。それでは、 お認めいただいたことにさせていただきます。  それでは議題の4、臨床的な使用確認試験について、事務局から説明をお願いします。 ○新木研究開発振興課長  先−4−1に基づきまして説明させていただきます。臨床的な使用確認試験に関する検 討会における検討結果です。  2ペ−ジをごらんください。目的としては、平成18年10月、健康保険法の改正によ り高度先進医療が先進医療として継続されることになりましたが、一部の技術については 一定の経過期間後に除外されることとなっています。  これらのうち有効性等の一定の要件を満たす医療技術については引き続き保険と併用で きるような仕組みをつくる必要があるということで始まったのがこの検討会です。  3ペ−ジにありますように、検討会のメンバ−は、当会議の猿田先生に座長をお願いし まして、ここに記載されている先生方にお願いいたしました。  臨床的な使用確認試験の内容等につきましてはこれまでも何回かこの会議でも御議論を いただいたところですが、具体的な判断基準としては4ペ−ジにありますように、大きく 分けまして4つほどございます。  まず1番目は医療機関としての施設基準があります。  2番目に試験の実施体制に関する事項として、デ−タマネジメント体制があり、科学的 なデ−タを収集していく体制があること、また、それを収集する計画であることなどを要 件としています。  3番目として倫理的妥当性に関する事項も加味してやっているところです。  4番目として、公的研究費の支援を得ているものについては、それなりの重要性があり、 一定の事実として考慮できるのではないかとしています。  具体的な内容につきましては、5ペ−ジの1番から18番までの技術が時限的な先進医 療としてこの検討会で検討されたところです。  結果につきましては最後のペ−ジの別紙に記載しております。18のうち10番、17 番、18番については引き続き先進医療として行っていくことが適当であるということに なりました。残りのものにつきましては使用確認試験として引き続き保険併用を行ってい くこととしています。13番、16番につきましては今月末をめどに結論を出す予定です が、実務的な審査が終わっておりまして、その中では使用確認試験として適切であるとい う状況です。  なお、臨床的な使用確認試験で一定の科学的なデ−タを得たあと、引き続き薬事法など 必要な申請ということになっていくものと考えております。以上です。 ○猿田座長  ただいま説明がありましたように、臨床的な使用確認試験を行う要件として、1番目が 実施する医療機関の体制がちゃんとしているかどうかということ、2番目が実施体制です ね。特にマネジメント体制とかデ−タの信頼性がしっかり保たれるところでなければ困る。 3番目として倫理的な問題が重要ですから、そういったことがしっかりできるところ。4 番目として、公的研究費の支援のあるところは重視してやっていく。  そうした条件のもとで1番から18番までの技術が挙がってきて、これを委員の先生方 とともに検討させていただいて、その結果が最後のペ−ジにありますような形のもので、 まだ審査中のところがありますが、出てきた施設はちゃんとした施設である。幾つかの施 設から出てくる場合には、ここに名前が出ているところが中心となる施設ということにな ると思います。  ただいまの説明について何か御質問はありますでしょうか。特に御意見がないようでし たら、こういう形で臨床的な使用確認試験が行われているということを御承知いただいて、 よろしいでしょうか。それでは、この議題もお認めいただいたということにさせていただ きたいと思います。  次に議題の5、高度医療評価制度について、事務局から説明をお願いします。 ○新木研究開発振興課長  先−4−2に基づきまして、高度医療評価制度について説明いたします。  (1) 高度医療評価制度を創設する趣旨です。薬事法の承認等が得られていない医薬 品・医療機器の使用を伴う先進的な医療技術については、一般的な治療法ではないなどの 理由から原則として保険との併用が認められないという取り扱いになっておりましたが、 医学医療の高度化やこれらの医療技術を安全かつ低い負担で受けたいという患者からのニ −ズ等に対応するため、今般、これらの医療技術のうち、一定の要件の下で行われるもの については保険との併用を認め、薬事法による申請等につながる科学的評価可能なデ−タ 収集の迅速化を図ることを目的として、この制度を始めたところです。  (2) 高度医療の取り扱いですが、高度医療評価制度においては、安全性及び有効性 の確保の観点から評価を行い、医療機関としての適格性、技術としての適格性について、 医政局長主催の高度医療評価会議で検討し、それに基づいて当専門家会議にも報告させて いただき、この場で保険との併用の可否について御検討いただくという取り扱いになろう かと考えております。  2 高度医療評価制度の対象となる医療技術ですが、薬事法の未承認のもの、薬事法の 適用外のものが適用になってまいります。  3 これを実施する医療機関の要件ですが、高度医療を実施する医療機関は、次の要件 をすべて満たす保険医療機関であることとしています。  (1) 特定機能病院又はその他高度医療を実施するに当たり必要な体制を有する病院 であること。緊急時の対応が可能な体制を有すること。医療安全対策に必要な体制を有す ること。  (2) 臨床研究に関する倫理指針に適合する臨床研究の実施体制を有すること。  (3) 高度医療として実施される医療技術において使用する医薬品・医療機器の管理 体制、入手方法当が適切であること。  (4) 高度医療実施機関の長は、院内で行われるすべての高度医療について実施責任 医師、研究内容等を把握できる体制を確保すること。  4 高度医療に係る要件ですが、次の要件をすべて満たす医療技術であることとしてい ます。  (1) 国内外の使用実績や有用性を示す文献等により、安全性及び有効性の確保が期 待できる科学的な根拠を有する医療技術であること。  (2) 高度医療の試験計画が次の項目をすべて網羅する内容であること。  (1) 臨床研究に関する倫理指針に適合していること。  (2) 万が一不幸な転帰となった場合の責任と補償の内容、治療の内容、合併小や副作用 の可能性及び費用等について、事前に患者やその家族に説明文書により同意を得ること。  (3) 当該医療機関に所属する医師のうち、当該高度医療の実施に関して責任を有する医 師を明示し、当該医師の下に、当該高度医療を実施する医師を管理していること。  (4) 安全性及び有効性が客観的に確認できることが期待でき、院内の倫理審査委員会等 において認められた試験計画であること。  (5) 試験記録の保管や管理が適切に行われ、デ−タの信頼性が一定程度確保されている こと。  (6) 多施設共同研究の場合は、当該研究に協力する施設との調整等を行う医療機関、研 究協力施設及び各施設責任医師が明示されていること。  (3) なお、臨床デ−タの信頼性確保においては、デ−タマネジメント体制、モニタ リング体制がきちんと確保する努力をしていただきたいと考えています。  5 高度医療に係る申請等です。  (1) 高度医療を行いたいという医療機関の長は、高度医療実施申請書を厚生労働大 臣に提出していただきます。  (2) 申請書の添付書類は、高度医療に係る試験計画書、高度医療に係る通知に従っ て実施すること、有害事象等について医療機関が責任をもって対処すること及び立入り調 査等厚生労働省の求めに応じることに対する宣誓書を考えています。  (3) 申請書の添付文献は、査読のある学術雑誌であることを原則とします。  (4) 評価結果については、高度医療評価会議において高度医療として適当であると 認められた技術であって、今後保険導入の可否について当先進医療専門家会議において御 審議いただき、認められた場合には厚生労働大臣の告示を行うこととしています。  また、この結果は申請のあった医療機関の長にも通知いたします。  6 高度医療の取下げですが、高度医療に係る申請書の提出後、高度医療評価会議にお ける科学的評価が行われるまでの間に、何らかの理由により申請を取り下げる場合には、 別に定める様式により、厚生労働大臣に申し出ること。  7 高度医療を実施している機関は、変更があった場合には、変更の申請をしていただ きます。  8 高度医療に係る公表、報告、立入り調査等ですが、高度医療実施機関は、次に掲げ る事項を実施することとしています。  (1) 実績の公表ですが、高度医療実施医療機関は、高度医療に係る実施について公 表すること。また、定期的に厚生労働省に報告すること。  (2) 重篤な有害事象・不具合等が発生した場合には、院内で速やかに対応していた だく。また、倫理審査委員会等に報告し、その場で必要な対策を検討していただくことが 必要だと思っています。また、類似の研究が国内他施設で行われている可能性もあります ので、その情報提供や厚生労働省への報告もしていただきたいと思っています。  (3) 必要に応じて厚生労働省の立入り調査等に協力をしていただきたいと思ってい ます。  9 医薬品及び医療機器の入手等ですが、高度医療評価制度の対象となる医療技術のた めに使用する医薬品・医療機器の入手に関しては次のいずれかの方法によることができま す。  1つは、当該高度医療の実施責任の指示の下での自家製造。他者に委託して製造する場 合、高度医療に係る使用に供するものであることを添えて文書により製造する者に委託す るととともに、当該文書を保管する。  2つ目は、個人輸入の場合も適正な手続を行うこととしています。  10 高度医療の実施状況の確認ですが、試験終了時には報告をしていただきまして、 その報告に基づいて実施計画に沿ったものであったかどうか等の観点から評価をすること としています。  最後の2ペ−ジには先進医療に係る取り扱いの流れ図を示しています。  以上、簡単ですが、これから始まる高度医療評価制度について説明させていただきまし た。これから通知の案文等を作成していくことになりますが、本会議での御審議をいただ いた結果に基づきまして、必要な訂正等があれば行って中医協にも御報告し、4月1日か ら実施していきたいと考えております。できるだけ早く通知、周知を行って、混乱のない ように始めたいと考えているところであります。以上です。 ○猿田座長  今まで先生方には先進医療でやっていただいていて、適用外使用の薬のことで大分引っ かかって、せっかくたくさんの技術を出してもらっても通らないものがありました。高度 先進の時は施設をしっかりさせたところで委員会で2人の専門家が検討して、大丈夫であ ればということでやってきた。  先進医療をやってみたら、先進医療というのはできるだけ前へ進めて保険も通さなくて はいけないということで、未承認薬や機器の使用や適応外使用は認められないところが問 題で、よい先進医療でも、その時点のところでとまってしまったということがあったもの ですから、厚生労働省としては新しい医療制度として、未承認薬や機器の使用を認め、最 先端の医療を提供できるようにと、高度医療評価制度をつくろうということです。ある意 味では昔の高度先進と似た部分があります。実施施設がしっかりしていることが重要です。 実際に取り上げる技術に関しても、国民にとって役立つような技術を検討してもらう。安 全性の問題、倫理的な問題もしっかりしなくてはいけない。そこがポイントになるかと思 います。 ○原医療課長  補足的な説明をさせていただきます。先−4−2の後ろに図が2枚あります。今回の適 用外使用、未承認のものを使う技術について、先進医療の一つの分類として扱っていうこ とで、1枚目にありますのが従来やっている先進医療の取り扱いです。保険との併用です ので、一定の安全性や有効性はどこかで保障してもらわなくてはいけないということで、 従来は薬事法の承認ということを安全性等の担保にしてきたわけですが、今回は高度医療 評価会議というところで一定の安全性、有効性を確認していただく。そこで審査をしてい ただいた上で、その結果を踏まえて先進医療専門家会議で先進医療として認めてもらうと いう取り扱いにするということです。  先ほど18の技術について説明がありましたが、3つについては薬事法上の承認を改め て取る必要がない技術で、これは先進医療にそのままもっていきたいと思っておりまして、 きょうここで御了解が得られれば、そのような手続を進めたい。残りの15の技術につき ましては使用確認試験という形で同じようなスキ−ムで医療機関も含めて中身を吟味して いただいておりますので、使用確認試験を通った技術については高度医療に係る取り扱い に準じて、そのまま先進医療の新しい類型とみなすという取り扱いにもっていきたいと考 えております。 ○猿田座長  ただいま補足をしていただきましたが、どなたか御意見はございますか。 ○樋口構成員  適用外の医薬品を例にとってみますと、適用外医薬品に関して適用拡大を図るために平 成9年か11年に通達が出ていて、何らかの使用成績をもっていて、かつ海外で既に適用 が認められていて、国内の学会からの要望があるものについては臨床試験まではいかなく ても簡便なものをもって申請ができる。あれとの関係というのはどのように考えておけば いいんでしょうか。 ○新木研究開発振興課長  ただいま御指摘のありましたものは我々は公知申請と呼んでおりますが、既に十分公に 認められているもの、これについては薬事法の承認を迅速に得ることによって、すべての 医療の現場で使えるようにするという制度です。今回のこの制度は、そこに至らないもの について、限られた医療機関で行うということで、薬事法の承認を得る前の段階です。高 度医療となって使ったものをさらに全国に広げていくためには薬事法の申請を得る必要が あるということで、薬事法の承認が得られる前の試験的なものというか限定的なものとい うか、そういう使い方であって、ステ−ジが分かれているという状況です。 ○樋口構成員  適用外使用のものを最終的には薬事法に乗せて申請をして、新たな適用を追加で承認し てもらうという、その前段階をこれで行うことも考えていいということになりましょうか。 ○新木研究後発振興課長  高度医療評価制度のデ−タが結果的に薬事法の申請に使えるような精度の高いデ−タに なっていくことを我々が期待しているところです。 ○北村構成員  先駆的医療を推進せよという使命を担っている私どもも含めて、大変ありがたい制度が できたと喜んでおります。厚生労働省は縦割りといわれますけど、これには医政局と保険 局と医薬・食品局という少なくとも3局がまとまってこうしていただいたのは大変ありが たく、評価したいと思います。  高度先進医療から先進医療に移行する場合、時限的先進医療のものを改めて高度医療の 方に申請することは可能なんですか。薬事法の承認が取れないような器具を持ってる場合 があるんですね。 ○原医療課長  新しい類型については高度医療評価会議を通してやっていくわけですが、高度医療評価 会議でやっていただく部分は、既に使用確認試験の委員会で議論していただいて、医療機 関も含めて了解いただいてるということなので、この図でいくと上半分はもう終わってる という形です。これについてはもともと高度先進医療で認めてきた技術ですので、先進医 療専門家会議としては、ここはそのまま素通りしていただく。みなして、そのまま新しい 類型として告示をつくっていきたいと思っているわけです。途切れないようにするために。 ○北村構成員  時限となってますけど、新たに申請し直す時限が決まってましたね。1年間とか。その 時限が過ぎるまでに再申請して移行する必要はないということですね。 ○原医療課長  済みません、訂正します。最後の図ですが、技術が決まったあと「高度医療実施医療機 関より先進医療としての実施について地方社会保険事務所に届出」というのがあります。 先進医療は届出制をとらなくてはいけませんので、この部分については届出をしていただ くようにお知らせをしたいと思います。事実上、途切れることがないような形で進めてい きたいと思っています。 ○谷川原構成員  薬事法上未承認というと医薬品も結構入ってくると思うんですが、薬事法上未承認とい うレベルにはいろいろあると思います。2ペ−ジの対象となる医療技術の(2)にあるよ うに 、既にほかの適用で製造販売されている医薬品は別の適用に使うというものから始 まりまして、薬剤そのものが未承認で、しかしながら海外では承認されて臨床使用されて いるというものと、海外でもまだ治験段階というものと、人に投与するのが初めてという 実験的なレベルのものと幅が広くなってくると思うんです。先ほどPOCとおっしゃった んですが、どのあたりのレベルのものを想定されているんですか。 ○新木研究開発振興課長  御指摘のとおり広い範囲になろうかと思っておりますが、人にファ−ストイマンみたい なものというのは時期尚早ではないかと思っておりまして、国内外で実績があり、自院で も一定の使用経験があるものということで考えています。海外で治験中のものについては 我が国でも治験を行っていただくというのが正式な道ではないかと思っています。個々具 体的な品目につきましては、そうはいっても新しい制度ですので、事前に御相談をさせて いただきまして、幅広に対応していきたいと思っておりますが、保険との併用という観点 を考えますと、安全性や有効性に関するエビデンスがあるものというものと考えておりま す。 ○吉田座長代理  先進医療の最初の段階で提出された脊損患者の常習便秘に対して胃瘻ポ−トを盲腸に使 ったらだめといわれるんですよね。子宮筋腫でスポンゲルを使って簡単にいくというのも 適用外使用でノ−なんですね。その2つの事例でいうと、それは改めて申請し直して、高 度医療評価委員会にかかると、そういう意味ですか。 ○新木研究開発振興課長  その2つについて私は不勉強で内容を存じませんが、現在使えないものにつきましては 検討して、その制度に乗れば使えるようになります。具体的にその2つがどうかというこ とは即答しかねますが、御相談いただければ、それについても対応できると思います。 ○吉田座長代理  今まで8割ぐらい落ちてるんですよね。特定機能病院が入ってますので、改めて調べて、 特定機能病院から申請してもらうということでいいんですか。 ○猿田座長  なぜ高度先進が問題になったかというと、提出する施設が特定機能病院、あるいはそれ に類似した施設からというのが1つですね。もう1つは審査に時間がかかって、1年以上 かかってたんですね。この2つを改善しなくてはいけない。今度は届け出が厚生労働省医 政局の研究開発振興課になってますね。ここは人数体制が大丈夫なんでしょうか。沢山提 出された時に、できるんでしょうか。それを私はものすごく心配してるんですけどね。 ○新木研究開発振興部長  大変重要な御指摘をありがとうございます。人数体制については、審議官もいらっしゃ ることですので、審議官のもとで頑張って確保していきたいと考えております。 ○猿田座長  かなり出てくると思うんですね。そういう時にきちんと調査しなくてはいけないという 点で人手がいると思いますので、その点はよくお考えいただきたいと思います。  新しい技術を発展させて国民に届けるということは非常に重要ですので、皆様方に協力 していただいて、こういう方向でやってみて、少しずつ修正しながらということになるか もしれませんが、いい方向にいけるということで、よろしいのではないかと思います。4 月1日というと時間がありませんから、広報もしっかりしなくてはいけないですから、よ ろしくお願いいたします。 ○事務局  先ほどの先−3の3番の超音波骨折治療について表現を修正させていただきたいと思い ます。先進医療として部分的に継続する技術の3番目、超音波骨折治療法のところなんで すが、「四肢骨折のうち、観血的手術をした場合に限る」と以前あったんですが、今回、 開放骨折及び粉砕骨折のものが保険に入りました。「開放骨折及び粉砕骨折以外の場合に 限る」と書いてしまったんですが、これだと非観血的手術が入ってしまうので、「観血的 手術を実施したもの。(開放骨折及び粉砕骨折以外の場合に限る)」という形に修正させ ていただきたいと思います。 ○猿田座長  それでは議題の6、その他ですが、既存技術における実施医療機関の要件の見直しにつ きまして、事務局より最終結果の報告をお願いします。 ○事務局  先−5−3をごらんください。先進医療施設基準(要件)の一覧表ですが、これまでの 施設基準の見直しを受けまして、最終的にこういった形で取りまとめをさせていただきま した。今回、保険収載になったものと削除になったものがありましたので、修正をさせて いただいております。 ○吉田座長代理  今から修正は可能ですか。16番の「人工括約筋を用いた尿失禁の治療」というのは学 会で今まで実施症例数が0だったんですが、特殊事情があって扱えなかったんですね。今 回、先進医療として残ったので、改めて6施設ぐらいで始めようということになってるん です。1施設に5例もこないので、医療機関としての実施症例数を3例ぐらいにしていた だけないかという希望があるんですが、5例じゃないとだめですか。1件で150万かか るんですよ。患者さんが払いきれないというので、3例ぐらいなら各病院で払ってでもや るというんですけどね。 ○事務局  御議論いただいて、5例を修正するということであれば修正させていただきます。 ○原医療課長  ほかの技術で症例が少ないものは遺伝子診断とか、すぐできるだろうというのが多くて、 眼科領域で1つ技術的なのが入ってますけど、技術的なものは5例ないしは10例を求め ているように思います。個人の技術もありますし医療機関の体制として5例というのは必 要ではないかと思います。生体移植関係ではいろいろ問題があって少なめにということで やってましたけど、高度先進では5例以上を原則にしていたと思います。 ○吉田座長代理  医療課長がどうしても5例とおっしゃるなら、そのように学会に説明します。 ○猿田座長  ほかに御意見はございますでしょうか。細かく見ると議論するところがあるのかもしれ ませんが、これはお認めいただいたことにいたします。  それでは次に「先進医療の実績報告(平成18年度)」についてお願いします。 ○事務局  先−5−1ですが、定例の年に1回の実績報告を各医療機関からいただいておりまして、 平成19年6月30日時点における報告です。平成18年7月1日から19年6月30日 までの実績報告をまとめたものです。  (1) 先進医療技術数は117種類ございました。  (2) 医療機関数は373医療機関ということです。  (3) 全患者数は14.179人。  (4) 総金額は約98億4千万円。  (5) 保険外併用療養費の総額(保険診療分)は約49億4千万円となっております。  (6) 6先進医療の総額(患者の負担分)は約49億円ということです。  (7) 1入院全医療費のうち先進医療分の割合((6)/(4))は49.8%になっています。  次に先−5−2ですが、過去5年間の実績を並べたものです。最後の欄に1枚目の資料 を載せておりますが、こういう形で推移をしています。  次に先−5の参考資料ですが、117種類の中で今回報告のあったものを載せておりま す。114種類になっておりますが、技術名と導入時期、総金額、保険外併用療養費の総 額、平均入院期間がございます。空欄については、報告があったんですが、実施されなか ったものが空欄になっています。  訂正をお願いいたします。5ペ−ジの整理番号215番は216の間違いですので、修 正をお願いいたします。以上です。 ○猿田座長  昨年度の実績ですが、先進医療の総額は49億円ということで、かなりの負担になって るということかと思います。先進医療になってから医療機関の数は373ということで、 かなり広がっているということかと思います。  ただいまの報告について質問等はございますか。よろしいでしょうか。  それでは次に、標榜診療科の見直しに伴う先進医療における対応について事務局から説 明をお願いします。 ○事務局  先−5−4をごらんください。医療法改正に伴って標榜診療科の見直しがありました。  1.経緯に書いてありますとおり、患者や住民自身が自分の病状に合った適切な医療機 関の選択を支援をするという観点から、一つ一つの診療科名列挙して規定する方式を改め、 一定の性質を有する事項を診療科名とする方式とし、医療機関が公告できる診療科名を相 当拡大することとして医療法体系が改正され、標榜診療科は次のとおり見直されることと なりました。  2.見直しの概要ですが、医科と歯科に分けて記載しています。  (1) 医科については、次に掲げる診療科について、ル−ル(1)及び(2)2に基づき、a からdまでに掲げる事項と組み合わせたものを診療科名として認めることとしています。  内科、外科から臨床検査科及び救急科まで13の診療科が列挙してあります。  ・ル−ル(1)は、以下に掲げるaからdまでの事項について、複数組み合わせることがで きます。  例として、「内科」と「bの老人」と「cの心療」を組み合わせ、「老人心療内科」と 公告することが可能です。  ・ル−ル(2)は、aからdまでの事項について、同じ分類に属するもの同士を複数組み合 わせることはできません。  例として、「外科」と「bの老人」と「bの小児」を組み合わせ、「老人小児外科」と 公告することはできません。  代わりに、「外科(老人・小児)」とか「老人外科・小児外科」という形で公告するこ とは可能です。  (2) 歯科については、医科と同じで、ル−ル(1)及び(2)に基づき、a及びbに掲げる 事項を組み合わせたものを診療科名として認めることとしています。  a.患者特性は、小児又は患者の年齢を示す名称であって、これに類するもの。  b.診療方法の名称は、矯正、口腔外科又はこれらの分野に属する歯科医学的処置のう ち、歯科学的知見及び社会通念に照らし特定の領域を示す用語となっています。  この組み合わせの結果、不合理な内容であるものについては診療科名として公告しては いけないというのは医科と同様です。  (3) 施行期日は平成20年4月1日です。  ただし、改正により廃止される診療科名については、経過措置として、施行日前から公 告している場合は、施行日以後も公告を続けることができます。  3.先進医療における対応です。  現在、先進医療においては、「医師が専ら従事する標榜診療科」、「医療機関の標榜診 療科」、この2つを施設基準として取り扱っています。  医科の標榜科としては、ここに記載してあります内科から放射線科まで、歯科について は、ここにあります4つの標榜科の中から設定することとしていましたが、今回の医療法 体系の見直しに合わせ、次のように対応したらどうかということです。  (1) 平成20年4月1日以降、先進医療として認められる医療技術については、今回の 標榜診療科の見直しの内容に合わせて、適切な標榜診療科を施設基準として設定する。  (2) 平成20年3月までに先進医療として認められた医療技術であって、同年4月以降 も先進医療として継続されるものについては、同年3月までに施設基準として設定された 標榜診療科を継続し、必要に応じて見直しを検討する。  この2点について御意見をいただければと思っておりますので、よろしくお願いいたし ます。 ○猿田座長  ただいまの説明について何か御意見はございますでしょうか。 ○北村構成員  ル−ル(1)、ル−ル(2)で何組ぐらいの標榜名考えられますか。「組み合わせの結果、不合 理な内容であるものについては診療科名として公告してはならない」となっていますが、 どこが規制をかけて、どういう罰則があるんですか。 ○事務局  ここに書かれている不可能なものについては省令で記載することになっています。この ル−ルにつきましては医政局で決めているものに基づいて考えますので、それに合わせて 先進医療もやっていく必要があります。 ○猿田座長  非常にたくさんできるので混乱しちゃうような気がするんですね。 ○金子構成員  先進医療では専門医が基準になってますね。学会での名称ですから、そんなに数が多く ならないんじゃないでしょうか。ここに出てくるものに関しては。 ○猿田座長  こういう方向にあるということですが、よく検討させてください。混乱のないようにし たいと思いますけど、そういう方向で動いてるということです。 ○吉田座長代理  先進医療の標榜診療科として全国的に皮膚・泌尿器科という名前は使わないと思うんで すね。医療技術も皮膚科と泌尿器科は別々に出てきますよね。この際、離していただいて、 皮膚科、泌尿器科とした方がいいんじゃないですか。 ○事務局  皮膚・泌尿器科というのはなくなっております。 ○赤川構成員  歯科のことですけど、aとbを必ず組み合わせて標榜するということですか。 ○歯科医療管理官  これは医政の話ですから私も詳細を承知しているわけではないんですが、どうしても組 み合わせたい場合は組み合わせたものを認めることはできるということで、必ずしも組み 合わせを前提としたものではない。 ○赤川構成員  専門医のことで学会から出しているのですが、日本歯科医師会になかなか了解がもらえ なくてペンディングになっているのです。その問題のひとつに名称がありますが、このこ とは標榜診療科名できれいにしてしまう手があると理解してもいいですか。 ○歯科医療専門官  あくまでも御議論いただくという前提で、今の時点でどうこうとは言い切れないという ことです。 ○猿田座長  4月1日からですから、余り時間がないんですよね。 ○飯島構成員  先ほどの先−4−3「高度医療評価制度について」の中の「薬事法承認前の医療機器」 というところで、どの程度のものを想定されているのか。薬事法承認がなかなか取れてな いものの中に、ロボットによる手術という医療機器があると思うんですが、これをこのシ ステムの中に想定されているんですか。薬事法承認がなかなか取れないというのは承知し てるんですが、具体例でお示しいただければありがたいんですが。 ○新木開発振興課長  具体例は多数あると思いますが、薬事法の承認を得るべきものであって、得られていな いものということです。ロボット手術の例示をしていただきましたが、手術ロボットとい うのは薬事法の承認を得るものということになりますと、それが得られていないというこ とで、治験に入るもの以外はここで申請していただく対象になるということです。ロボッ ト手術については、ここに申請していただければ評価の対象となります。 ○渡邊構成員  北村先生がやってる「薬事法未承認のニ−ズの高い検討会」というのがありますよね。 遺伝子検査などもこれで申請できるわけですよね。どういう振り分けにすればいいのか具 体的に教えていただかないと、どこへ出していいのかわからないんです。 ○新木開発振興課長  全国の医療機関で必要があれば使うという前提ですと、薬事法の承認を得ていただく必 要があります。未承認の機器や薬の検討会が医薬・食品局で行われていますが、特定の大 学病院だけじゃなくて、いろんなクリニックも含めて使うという前提の議論をしています。 こちらは限られた医療機関で限られた条件のもとで使うことを前提にしたものです。遺伝 子検査というのは日本中のいろんな病院、クリニックで使うという前提でしたら、それは 薬事法の承認を得ていただくように治験に進んでいただく。 ○渡邊構成員  遺伝子検査というのは先進医療の中でも限られたところでしかやらないわけです。そう いうものはどっちでいけばいいかということです。 ○新木開発振興課長  限られたもので研究的に行うということでしたら高度医療評価制度に申請していただく 対象になります。 ○渡邊構成員  研究で限られたものが高度医療評価制度であって、疾患がまれで少ない施設でやるんだ けど、それは臨床的に有用であるということであれば、ここではない。その辺がわかりに くいもんですから、申請する者にわかりやすくしていただかないと、どっちに申請したら いいかわからないんです。 ○新木開発振興課長  今御指摘のものは高度医療評価の方に相談をしていただく対象になり得ると思います。 院内で使うもので、そもそも薬事法の対象にならないものでしたら先進医療で、こっちの 話じゃなくてできますし、流通するような医薬品や医療機器だったら高度医療評価制度で ということです。 ○北村構成員  早期導入については、検討会で1年間ぐらいの内に導入すべきという形で審議され、総 合機構が対処できるのが10件ぐらいに対して、約10倍ぐらいの申請の中から厳選され るんですね。そのために、生命に直結するような大事な医療機器を優先するという形で、 選ばれるのです。そのほか現場で再生医療に使う新たなカテ−テル注射器なども薬事法の 承認が下りてないし、それを導入する日本の企業がなかなか現れない。先ほどのロボット も極めて高額な治験になるために治験をやらない企業が多い。ロボットもそうでしたが、 命に直結することはないだろうというので審査から落ちていくという形になりますと、そ れをやる施設としては新しい高度医療評価制度を使いたいということになります。  どちらが適切なのかはそれぞれ決まってくるような気もしてるんですけどね。施設側は どうすべきか、審査側にとってどうなのかを相談するために、まず医政局も相談してくだ さいという形をとっておられるんじゃないかと理解しておりましたけど、重なってくると ころがあると思います。 ○渡邊構成員  新しい制度ができた場合、混乱しますので、できるだけわかりやすくしていただければ と思っております。 ○猿田座長  それが一番重要な点ですので、事務局とよく相談して、しっかりさせたいと思います。  それでは、本日の議論は以上にしたいと思います。これで第27回の先進医療専門家会 議を終了いたします。ありがとうございました。 (了) 【照会先】  厚生労働省保険局医療課医療係  代表 03−5253−1111(内線3276)