08/03/11 平成20年3月11日議事録(薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会) 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 食品規格部会議事録 ○日 時:平成20年3月11日(火) 14:30〜16:06 ○場 所:中央合同庁舎第5号館共用第8会議室 ○出席者: 【委員】五十君委員、池上委員、石田委員、香山委員、小西委員、品川委員、西川委員、 廣橋委員(部会長)、米谷委員、宮原委員、山内委員(敬称略)  【事務局】牛尾大臣官房参事官、國枝基準審査課長、西嶋課長補佐 ○議 題  (1)寒天の試験法について  (2)容器包装詰低酸性食品の取扱いについて  (3)その他 ○西嶋補佐 では、定刻になりましたので、ただいまより「薬事・食品衛生審議会 食品 衛生分科会 食品規格部会」を開催いたします。 本日は御多忙のところを、委員の皆様にお集まりいただきまして、誠にありがとうござ いました。 審議に入るまでの間、私、基準審査課課長補佐の西嶋が議事を進行させていただきたい と思いますので、よろしくお願いいたします。 本日は小沼委員、早川委員から御欠席の連絡をいただいておりますが、部会委員13名の うち11名の委員の出席をいただいておりますので、当部会は成立していることを御報告申 し上げます。 続きまして、牛尾大臣官房参事官よりごあいさつを申し上げます。 ○参事官 医薬・食品担当の参事官を拝命しております牛尾と申します。昨年の8月末に 拝命いたしたわけでございますが、それから今日の食品規格部会が始めてということで、 皆様方にごあいさつをさせていただく次第でございます。 まず初めに、年度末の大変お忙しい中にお集まりいただきまして、ありがとうございま した。併せて平素より食品衛生の推進に御尽力いただいておりますことを厚く御礼申し上 げます。 皆さんの耳にたこができたかもしれませんが、昨年は食品の偽装問題ということで、い ろいろな事案がございました。ただ、幸いであったのは、それによる被害者というのがい なかったことでございますが、今年に入りましてから、農薬中毒ということで、一人の方 については非常に重篤に至ったという事案がございます。それも最終的には退院されるに 至ったわけですが、これも御案内のとおりまだ真の原因と申しますか、真相についてはま だ判明していないところでございます。 いずれにしましても、昨年、それから今年1月の中国産冷凍食品の問題を契機にしまし て、ますます食品の安全性に対する消費者、国民一般の関心が高まっているということは 間違いございません。 食品というものが日々欠かすことのできない我々の日常生活のものであるということを 背景にしているというふうにも言えるわけでございます。 同時に、こういった問題と並行しまして、福田内閣が消費者重視という立場を取られ、 消費者行政そのものについても見直しが進められているところでございます。 これは自民党だけではなくて、内閣府におきましても、行政組織、あるいは法律を含め た検討がなされているところでございまして、今年度内にはさまざまな提言等が出てくる ものというふうに思っております。 そういった中におきまして、厚生労働省としては、食品の安全ということについて、ま すます力を尽くさなければならないと我々一同思っているところでございます。 本日でございますが、寒天のホウ素化合物の試験法に関する御審議をいただきたい。 もう一点は、長らく御議論いただいているというふうに聞いておりますが、容器包装詰 低酸性食品によるボツリヌス食中毒の防止対策に関する御審議をいただきたいと思ってお ります。 もし、時間がありますならば、最後にアフラトキシンの問題についても、状況 等を御報告させていただく予定にしております。どうぞ活発な御議論になることを期待し ておりますので、よろしくお願いいたします。 ○西嶋補佐 それでは、座長を部会長の廣橋先生にお願いしたいと思います。廣橋先生、 よろしくお願いいたします。 ○廣橋部会長 廣橋でございます。本日の部会の座長を努めさせていただきます。どうぞ よろしくお願いいたします。 まず最初に事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○西嶋補佐 一番最初に議事次第がございますが、そこからおめくりいただきますと資料 1−1「寒天の規格基準」でございます。 資料1−2「寒天のホウ酸試験法(案)」でございます。 資料2−1「容器包装詰低酸性食品のボツリヌス食中毒対策に係る食品規格部会での審 議状況」でございます。 資料2−2、厚い調査の報告書がございます。 資料2−3は「容器包装詰低酸性食品に関する試験検査−総括報告書−」、17年度のも のでございます。 最後に資料2−4「容器包装詰低酸性食品の取扱いについて(案)」というものがある かと思います。不足等ございましたら、事務局にお申し付けください。 ○廣橋部会長 よろしいですか。それでは、早速議事に入りたいと思います。 本日の議題1「寒天の試験法について」。資料1について、事務局より説明してくださ い。 ○西嶋補佐 資料1−1及び資料1−2で御説明させていただきたいと思います。 従来より寒天の規格基準といたしましては、資料1−1でお示しをしていますように、 「食品、添加物等の規格基準」「第1 食品」の中に、「D 各条」というものがござい ますが、その中でいろんな食品について規格基準等を定めておりますが、そのうちの1つ で、「寒天」ということでございます。 そこに「1 寒天の成分規格」ということで、「寒天はその1kgにつき、ホウ素化合物 の含有量がホウ酸(H3BO3)として、1g以下でなければならない」ということが成分規格 で定められているところでございます。 それに合わせまして、ホウ酸の試験法が告示の中でこのような形で示されているという ところが現状でございます。 本日、御審議いただきたいと思っておりますのは、大きく2つ論点があろうかと思って おります。 1つは、新たにICP-AES法及びICP-MS法という試験法についての御審議でございます。 もう1つは、今まで告示でその試験法を定めていたところでございますが、日々分析技 術は進歩しておりますので、今後、その技術に対応して適宜試験法の修正をするというこ とを考えますと、告示から通知に落として、その通知で試験法をきちんとお示しをすると いうことではいかがかと考えております。 実際に農薬等におきまして、基準値が設定されている物質では通知でその試験法を示し ているという状況もございますので、通知で示してはどうかというところでございます。 主にその2点について御審議をいただければと思います。 なお、現状の資料1−1で示しています試験法自体に何か問題があったということでは なく、新たな試験法が開発されたということでございますので、通知する際には両論併記 でこれらの試験法をお示しをするという形で考えていきたいと思っているところでござい ます。 ○廣橋部会長 ただいまの説明に何か御質問がありましたら、お願いいたします。今日は 2つ議論することがありました。新しい機器分析はどうか。それについての専門的、技術 的な質問は、開発された米谷委員がいらっしゃいますので、直接御回答いただければと思 っております。 もう一点が、それをどういうふうに周知するか。告示か通知かという問題です。 どうぞ御意見をください。 ○山内委員 2点目の告示を通知になさるということで、今、農薬の場合はかなり多くの 場合通知でされているという情報をいただきましたが、ほかの食品とか食品添加物の試験 法についての現状を教えてください。 ○西嶋補佐 例示といたしましては、微生物規格に係る試験ということで、例えばドライ ソーセージなど食肉製品の試験法等については、既に告示から削除し通知に落としている という事例もございますが、その方が迅速に世の中の開発状況を反映できるということで 通知でお示ししております。 ○山内委員 確認ですが、今後、このように新しい試験法、ほかの食品添加物について新 しい試験法ができて、新しく知らせたいときは、徐々に通知の方に移していくと考えてよ ろしいですか。 ○西嶋補佐 基本的にはそういった流れがあろうかと思っております。ただ、通知にする ときには検査及び結果の適否が的確に判断されることが当然必要になってくるかと思って おります。 ○廣橋部会長 ただいま通知にするということについての御議論がありましたが、ほかの 委員の方、この件について御意見ございますか。 ○米谷委員 今回通知に落とされた後は、同等以上の試験法であればOKというか、適否 の判定に使っていいということになるんでしょうか。そのときには勿論、その試験法のガ イドライン等は必要かと思いますが。 ○西嶋補佐 基本的にはこの3つ、従来あるものと今、米谷委員の方から開発していただ いた方法、これらを併記するような形で通知を出すということかと思います。 ○廣橋部会長 米谷委員、よろしいですか。 ○米谷委員 最後に一文が入らないということでしょうか。ほかのものでは入っていると きが多いかと思いますが、実はこの現行の告示法は非常に古いもので、適定法になってお ります。今回つくりましたのは最新の装置を使った機器分析法、ICP-AES法とICP-MS法を 採用しております。その間に比色法というものが1980年くらいにいろいろ改良されまして、 食品衛生検査指針等にも載っております。そういう方法を使っていいかどうかということ に係ってくるかと思いますので、同等以上の試験法であれば使っていいということを入れ ていただくと、そういうような方法も使えるかと思いますので、御検討いただければと思 います。 ○宮原委員 この通知法にする場合の手続についてはどうお考えですか。規格基準にする 場合には、こういう審議みたいなものを経て試験法としてなるんだろうと思うんですが、 通知の場合については、もっと簡略されるというお話だったんですが、具体的にはどんな 手続をお考えなんでしょうか。 ○西嶋補佐 今、宮原委員からも御指摘がございましたように、食品の規格基準等の改正 等のときには、リスク管理機関である厚生労働省から内閣府の食品安全委員会に対して健 康影響評価を出し、その評価をいただいた上で、それを基に規格基準をつくるということ になってございます。 今回は検査法ですので、規格基準そのものではございません。ただ、それに密接に関係 するものでございますので、食品安全委員会に対して健康影響評価を依頼する形になろう かと思います。 ただ、それで食品安全委員会から評価の必要が、明らかに必要でないという意見が返っ てくれば、それを踏まえてパブリック・コメントの募集等必要な手続を行っているという のが今後の流れになろうかと思います。 ○宮原委員 規格基準の一部の試験法とそこから得られる分析結果は一体のもので、規制 取り締まりの根拠となっていました。要するに規格の一部として試験法があったわけで、 この試験法に基づいて何ppmという規格になっていたわけですから、それを通知におとし て企画から外れてしまいますと、複数の機関でそれぞれの分析者が求めた複数の試験法で 分析したとき、それぞれが同じ値を示せば問題がありませんが、それぞれの結果が異なっ た場合、どの試験結果を採用して、取り締まり等を行うのか、その辺のところに関しては、 どのように考えておくのでしょうか。規格は今おっしゃったようなやり方で決めていくん だと思いますが、米谷委員からもありましたか、試験法そのものをどのような手続で定め るのか。2つのこういう質問なんです。 ○西嶋補佐 試験法そのものは、まさにここの部会で御議論いただきたいと思います。 ○宮原委員 わかりました。 ○廣橋部会長 どうぞ。 ○五十君委員 先ほど米谷委員の方から御意見が出ました、同等以上という表現について、 試験を行う現場では常にトラブルになることと認識しております。文言として同等以上の 試験で行うことを認めるというのは大変わかりやすく聞こえるのですが、では、実際に同 等以上の試験というのをどういった基準をもって、だれが決めるのかということがはっき りしていないと思います。同等以上と示されていたときに、どういったものが実際には同 等以上になる。あるいはどういったステップを踏んだら充分であるかというのは勿論です し、だれがどのような基準で判断すればよいかを今後、ここの規格部会で議論して、場合 によってはガイドラインなどを出していく必要があるのではないかと思います。 ○基準審査課長 農薬については、実際に同じような試験をやって、それの範囲内で例え ば5回やった場合にどれくらいの分散があるかとか、ノイズとの比例でどのくらいになる かとか、回収率はどうかという形で一応通知を出していただいて、ただ、農薬の場合は原 材料というのが実際にはいろいろな形で1つの試験法でなかなか難しいものもありますの で、同等以上という形で、そこの部分についての自由度みたいなものが必要だと思うんで すが、今回の鑑定については、比色法もあるというのはよくわかりませんが、ものによっ ては同等以上というのをわざわざ付けなくても、しっかりやればいいと思いますので、今 回の件は米谷委員から御意見をいただいたので、米谷先生のような形で付け加えるのがい いのかどうかというのはあるかと思いますが、もし付け加えるということであれば、そう いうものの適否に関連するような、それを導入していいかとうかというガイドラインとい うのは、やはり示さなければいけないと思います。 一般的には国際的なISO とか、幾つかのものでは示されていると聞いておりますが、そ れを日本で導入する場合にどうかという問題があるので、農薬では国際的なものを参考に しながら、大体この程度のものということで示されたと認識しておりますが、米谷委員、 それでよろしいですか ○米谷委員 今回、この寒天中のホウ酸の分析法の検討を行いましたのは、清涼飲料水中 の金属とか、いろいろ古い告示法が残っておりますので、それを見直す過程において、こ れも一緒に見直したわけです。これから金属の試験法がいろいろ変わってくるかと思いま すが、食品中の金属の試験法の評価ガイドラインにつきまして、既にできております。一 応私どもでつくったガイドラインは、農薬と同じようなものでございますので、それはお 示ししようと思えば近々お示しできるかと思います。あくまでも元素として測った場合と いうことですので、今回は寒天中のホウ酸ですが、ホウ素としてはかっておりますので、 それをホウ酸に換算して、値を出すという方法を採用しております。そういう方向からの ガイドラインはできております。 ○小西委員 私も五十君委員が提案されたガイドラインの作成というのは、ここの部会で 是非やっていただきたいと思います。 ○廣橋部会長 御意見を伺いましたが、今回は新しく検討された2つの機器分析法を加え るということで、それと同等のものというのは今後検討する課題にするということでいき たいと思いますが、よろしいでしょうか。 機器分析法の内容に関しての御意見は特にございませんか。よろしいですか。 ○小西委員 米谷委員のもので、さっきおっしゃられた確認ですが、この新しい試験法と、 従来の試験法というのは、バリデーションを取っていらして、定量限界、検出限界及び回 収率において同等またはそれ以上の良好な結果が得られる。というような根拠があると理 解してよろしいわけですね。 ○米谷委員 新しい試験法につきましては、バリデーションの研究班の中でやっておりま すので、ICP-AES、ICP-MSの両方ともバリデーションは、機関は若干少ないですが、共同 試験はやっております。良好な結果が得られたということでお出ししております。 ただ、現行の告示法が非常に古いものですから、実は20年ほど前に厚生省の方で寒天中 のホウ酸が問題になったときに、そのときも試験法や基準をディスカッションする検討会 に参加したのですが、そのときもどうしてこのようになったのか、わからなかった状況で ございました。現在の告示法をきちんとできるのは、実際に寒天を製造しておられるよう な都道府県と言いますか、そのときは長野県だったのですが、長野県辺りでは今の告示法 でいろいろ検査されていると思います。 その辺の方々の御協力を得て、現行法との比較をきちんとやらないといけないのは、規 格試験法としては当然だとは思います。 ○廣橋部会長 ほかよろしいでしょうか。 それでは、寒天のホウ素化合物の試験法については、機器分析を導入することとし、現 在の試験法も含めて通知で示すということにしたいと思います。よろしいでしょうか。 事務局から今後の予定をお願いします。 ○西嶋補佐 ありがとうございました。本日の審議結果に基づきまして、寒天のホウ素化 合物の試験法ということは、告示に示す方法から通知で示す方法に改めていきたいと思っ ております。 同時に、食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼をしていこうと思っております。 先ほど申し上げましたとおり、基準値そのものの変更ではなくて、新たな試験法の導入 でございますので、これに食品安全委員会の方で新たな食品健康影響評価が明らかに必要 でないという事例に当たるんだという判断がされた場合には、本食品規格部会を改めて開 催することなく、本日の審議結果をもってパブリック・コメントの募集とする必要な手続 を進めていきたいと考えております。 ○廣橋部会長 いかがでしょうか。よろしいですね。今日はそこまで含めて承認させてい ただきたいと思います。 それでは、そのように進めてください。 では、議題1を終えまして、2にまいります。 議題の2は「容器包装詰低酸性食品の取扱いについて」です。まず資料2の説明を事務 局からお願いいたします。 ○西嶋補佐 次の議題の資料2−1〜2−4までございます。これについて事務局の方か ら簡単に御説明させていただきたいと思います。 前回の6月の本部会で既に議論をしていただいたところかと思いますので、過去の経緯 については資料2−1で簡単に御説明させていただきます。 平成11年の食品事例を発端といたしまして、14年から調査研究を行い、この資料2− 1の「2 平成15年6月19日」にございますように、当部会において審議が行われてい るというところでございます。そのときにはレトルト食品と同等のリスクであるというこ とが容器包装詰加圧加熱殺菌食品ということで結論が得られておりまして、必要な指導が されているというところでございます。 裏に行っていただきますと、平成14年〜17年まで研究を行い、必要なデータ等の収集 等を終えまして、3にありますように、昨年の6月に本部会で御議論をいただいたという ことでございます。 前回の部会の審議結果を(1)(2)でまとめさせていただいております。 まず1つ目といたしましては、厚生労働省の調査研究において、ボツリヌス菌の接種試 験を行った容器包装詰低酸性食品のうち、ボツリヌス菌の増殖、または毒素を産生した食 品について、我が国特有の原材料のボツリヌス菌の汚染実態に係る追加調査を実施してく ださいということが審議結果の1つ目でございました。 2つ目といたしましては、そういった追加調査の結果も併せて食品安全委員会にボツリ ヌス中毒に関する安全性評価を依頼するということで部会としての結論が得られたところ でございます。 (1)の結論に対しまして、追加調査をさせていただいた結果が資料2−2の分厚いも のでございます。 1ページに分析の内容ということで、その項目、検体数等の記載がございます。特に米、 豆類等に関しまして、1,000例余りについて実態調査を行わせていただきました。次のペ ージ以降がその結果の一覧でございますが、結果といたしましては、1,021例すべて陰性 ということの結果が出てございます。 ページ数が連続していなくて恐縮でございますが、後半の部分で「食品中のボツリヌス 菌の汚染実態調査に係る文献調査報告書」ということで、文献の調査がございます。 ここは後半のところに、その文献調査結果一覧ということでまとめさせていただいてお りますが、各食品群別、あるいはそれぞれの我が国における食中毒発生状況に関する報告 等々を一覧でまとめているというところでございます。 ●が頭にございます論文が、今回新たに文献収集できたものという整理でございます。 資料2−2の説明は今のとおりでございます。 資料2−3、これが前回の本部会でもお示しをさせていただきましたが、平成17年度の 総括報告書でございます。 この報告書を受けまして、我々リスク管理機関ができる方策にはどういうものがあるか ということをまとめたものが資料2−4でございます。 資料2−4「容器包装詰低酸性食品の取扱いについて(案)」でございます。 その定義といたしましては「pHが4.6を超え、かつ、水分活性が0.94を超える容器包 装詰の食品」でございます。 2といたしましては、ボツリヌス食中毒の防止対策ということでございます。 これは「管理措置(案)」ということで書かしていただいておりますが、これはまさに 資料2−3の総括報告書から基本的には抜粋をさせていただいたものでございます。 「容器包装詰低酸性食品の原材料の処理及び当該食品の製造において、以下に示す方法 等により、(1)当該食品中のボツリヌス菌を除去する、(2)ボツリヌス菌の増殖を防止する、 又は(3)ボツリヌス毒素の産生を防止する、のいずれかの措置を講ずること」を管理措置(案) として示させていただいております。 具体的にどういう方法があるかということで、3つ挙げさせていただいております。 1つ目は「中心部の温度を120 ℃で4分間加熱をする方法又はこれと同等以上の効力を有 する方法での加熱殺菌」。 2つ目は「冷蔵(10℃以下)保存」。 3つ目は「適切な常温流通期間の設定」ということでございます。これがリスク管理措 置(案)、資料2−3からまとめたものでございます。 「3 今後の方針案」でございますが、6月の部会におきまして、今回のボツリヌスに つきましては、リスクがどの程度であるか、危険かそうでないかというところについては、 食品安全委員会に評価をしていただこうということで結論が出ておりますが、その後事務 方で食品安全委員会事務局と調整いたしまして、その際、必要なリスク管理措置(案)を 検討した上できちんと諮問するべきだろうということで指摘がなされたところでございま すので、リスク管理機関として短期的、あるいは中長期的に見たときにどういったリスク 管理措置が考えられるのか。本日はそこを御検討いただきたいということでございます。 それが3番の「今後の方針案」というところでございます。 ここには2つエッセンスがございます。 1つ目のエッセンスは、1段落目でございますが「容器包装詰低酸性食品によるボツリ ヌス食中毒を防止するため、上記2の内容について」は、17年度の報告書の内容でござい ますので、速やかに関係者に対して通知等で指導を行うというくだりでございます。 2つ目のエッセンスといたしましては、もう少し中長期的の視点で考えるならばという ことでございますが、今後、容器包装詰低酸性食品につきまして、上記2の内容の規格基 準を設定することについて食品安全委員会に食品健康影響評価の依頼をするというのが今 後の方針案、2つのエッセンスでございます。 この資料の説明は以上でございます。 ○廣橋部会長 ありがとうございました。昨年6月の部会での議論に基づいて追加の調査 がなされて、その結果によってこの資料2−4に示された容器包装詰低酸性食品の取扱い についての案を事務局で作成したということです。このボツリヌス食中毒対策について、 議論したいと思うんですが、管理措置案、2−4のところの2番目のところにその内容が 書かれていますが、これについてまず御意見を伺いたいと思います。 ○宮原委員 よく調べられておられて、当面ボツリヌスに対する差し迫った危機感という のが感じられないのですが、それでよろしいんでしょうかという点で、もし差し迫った危 機がないとすれば、段階的にそういう規格をつくっていく方向がいいのかなと思います。 ただ、ここに書いてある措置として、前の方に書いてある文中にあって、抜けているの がありまして、酸素透過性の容器に入れるとか、そういうのが前に書いてあるのにこの措 置のところには書かれていない。 もう一つ、ボツリヌス菌の増殖を促進する状況として、単糖類の増加というのがありま すのが、そういうのを防止する措置も必要かなと思います。 また、“いずし”や鶏肉みたいに、魚とか鳥ボツリヌスに対する対策というのもこの中 にあっていいのかもしれないと思ったんです。 以上です。 ○廣橋部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○五十君委員 今の御意見は、1,000検体の調査の結果、ネガティブであったから当面の リスクがないという理解をするのかどうかという御質問かと思いますが、私といたしまし ては、ボツリヌスというのはほかの食中毒原因菌とはちょっと違う立場であるということ を理解しておかなくてはいけないと考えております。 と言いますのは、ボツリヌスの場合には一度発生いたしますと、死者が出るという食中 毒でございますので、細心の注意を払わないといけないという状況でございまして、一般 的には恐らく海外では密封した食品に関しましては、常温で流通した場合、芽胞が1つで も入った場合に担保ができないという考え方で、こういった密封した食品に関しては、常 温流通ということは通常考えられないという状況であると思います。 今回、報告書に書いてありますように、実際に国内で流通している食品につきまして、 芽胞を接種する実験を行った結果、ある期間を経ますと、毒素産生が確認されたというこ とを考えますと、やはり緊急にある程度の対策を立てておく必要はあるのではないかと思 います。 もう一点ですが、規格基準について答申するかということに関してですが、今のように 例えば1,000検体の原材料を調べたら出なかったというデータの状況で、リスク評価は難 しいと思います。リスク評価でベースラインとなる、例えばどの程度のレベルだったらと いう値が出てこない状況で、食品安全委員会に投げたとしても、リスク評価を行おうとし ても非常に難しくて時間がかかる可能性は高いと思います。そういった状況から考えます と、当面何らかの告知を行い皆さんに周知、こういったリスクがありますよと伝え、予防 的措置を取るというのが重要ではないかと考えます。 ○廣橋部会長 当然関連しておりますので、2と3と併せて御議論いただいておりますの で、どうぞそのようにしていただいて結構なんですが、ほかに御意見いかがでしょうか。 ○品川委員 私自身、規格というのは本当にそこまで行くのかというのは1つ考えるんで す。食品安全委員会に評価させるというんですが、今、こういう菌がどのくらいの割合で いたときにいいのか悪いのか。原材料に全部ネガティブだと。しかし、土壌細菌である限 りは、可能性としてはあるわけですね。0.00何%あったらどうなる。この評価というのは 非常に難しい。だから、たくさんやれば出る可能性はあるというだけです。今回1,000検 体では出なかった。 そういう中で食品安全委員会に回したって、これだけのデータだけで判断できるかとい うと非常に難しいと思います。 先ほどから言われているように、まず、この容器包装詰の低酸性食品というのは、非常 に多岐にわたっている中で、本当にぶっ込みでそれだけのものを全部に網をかけられるの か。例えば冷凍食品と同じようなものです。冷凍食品というのは、いろいろな食品を冷凍 したら冷凍食品です。そういう中で全部を込みで本当にそれで規格なり物が言えるのかと いうのは非常に思います。 食品の分け方というのは非常に難しいところがあって、この辺をどう食品安全委員会に 評価させるのかというのも多分難しいんじゃないかなと思っているんです。 今、書かれているようなことというのは、周知徹底するということは非常に大事だと思 います。こういう条件の中でですね。それをやらなければだめだと言えるのかどうかを、 どこまでの範囲でやるのかという問題だと思います。 できれば本当は120 ℃で4分加熱すれば十分だよということですが、組み合わせで行け る形であるし、これは絶対守れなければだめだというのか、基準でつくってしまうと非常 に厳しい形になると思います。この辺をどう考えるかというのは、事務局の方も非常に大 変だと思うんです。 ○廣橋部会長 事務局、あるいはほかの委員から発言ありますか。 ○小西委員 これは1つの案ですが、ボツリヌスのように、汚染頻度は非常に低いが、ゼ ロベースにするのは不可能であって、かつ、危害が非常に重篤であるというような危害要 因で、規格基準をつくるということが難しいものの場合には、通知をするのは当然大事な んですが、ある程度規範を示すというか、通知と同時にHACCPの方に移行して、HACCP認 定を受けさせるような行動を起こしていくというようなことも1つ考えてはいかがかなと 思うんです。そこで問題になるのは、今の法律ですと、HACCPというのは規格基準がない ことには承認が受けられないということになっているわけなんです。 ですから、今、言った汚染頻度は非常に低いが、ゼロベースは望めない。危害が重篤で あるというものを幾つか決めて、それにおいてはもうちょっと食品の幅を広げてHACCPの 承認を必要とする食品の範囲を検討してみるという案を御提案したいと思います。 ○廣橋部会長 今、何人かの委員から御意見が出ておりますが、今の段階で規格基準を設 定するというのはなかなか難しい。まずはこういう防止対策について、速やかに指導する、 通知する。 ここにも書いてありますが、今後一定のフォローアップをして、次の必要な対応につい て考える。今の御意見もありましたし、改めて食品安全委員会に規格基準を設定すること についての答申をするということも含まれるのかもしれませんが、次の点についてフォロ ーアップするということで大体意見が集約できるかなと感じたんですが、いかがでしょう か。 ○山内委員 私も本日の論議を聞いておりまして、この問題が大変よくわかってまいりま した。専門家ではない消費者の立場から申しましても、今、おっしゃっていただいたよう に、出る頻度はとても低いんですが、リスクを完全になくすことはできず、一旦出たら大 変危険度が高いというそのものを消費者にもわかりやすいような言葉で伝えていただくと いうことも含めまして、勿論、一元的には業者の方がきちんとお守りいただくということ を厚生労働省としては指導していただくのが最善かと思いますが、消費者の側も食べる側 として何を気を付けなければならないのかについても学べるような情報提供をいただきた いなと思います。 事業者の方も大きなところは比較的簡単にできる部分があろうかと思いますが、中小の 皆様に対しましても、細やかな実現活性化のある御指導の中身も御検討いただくというこ とで、規格を食品安全委員会がお決めいただく前に速やかな何からの行動をしていただく ということに賛成でございます。 ○廣橋部会長 今のは事務局としては是非検討していただきたいと思います。 ○池上委員 今の消費者の立場からの御発言を伺いまして、ここには適切な常温流通期間 の設定と書いてあるんですが、やはり一般消費者の方が御家庭で不適切に長く置かれると、 それもリスクの対象になると思うんです。例えば今の消費期限みたいな期限設定の中に、 このボツリヌスの問題というのは含まれているんでしょうか。食品形態によっては、その ことも設定の根拠の中に入れていくことによって、消費者にそんなに頻度の高くない危険 を大きく伝えることが適切かどうかというところがありますので、間接的な方法として消 費期限も消費者が適切に管理する方法になるのかなと思いました。 ○廣橋部会長 では、事務局お願いします。 ○西嶋補佐 先ほど池上委員から御指摘がございました期限の設定の仕方についてでござ いますが、消費期限、賞味期限、ともに国といたしましては、その定義そのものは示して おります。それと同時にガイドラインをお示しをしております。この食品もそうなんです が、この食品に限らず世の中に流通する食品というのは本当に多岐にわたります。同じ品 物であっても、製造方法によってどれくらいもつかは変わります。 網羅的にどういった観点で期限を設定するべきなのか。あるいは微生物学試験、感能試 験等を行って適切に期限を設定してください。こんなガイドラインを農林水産省と厚生労 働省が協同で出してございます。 それを基にそれぞれの業界、あるいは会社の方々が科学的に期限を設定をしていただい ているというのが現状かと思いますが、その中にボツリヌスの観点が入っているかと申し 上げますと、網羅的なガイドラインでございますので、ボツリヌスに限らず個別の観点は 入っていなというのが現状かなと思っています。 ○五十君委員 今、西嶋補佐から御発言がありましたように、多分、賞味期限、消費期限 の設定のときには食品の特性や微生物リスクとか、それからその他もろもろのものを加味 して決めていると思うのですが、特に微生物に関して言いますと、腐敗や変敗という観点 で決められている。時に食中毒菌も加味するという形で決められていると思うのですが、 その食中毒菌のところに池上先生が御指摘のように、これまでボツリヌス対策を主眼に置 いて設定するということは行われていなかったと思います。先生御指摘のように、賞味期 限、消費期限を設定するときに、必ずボツリヌスの消長も加味して設定するということは 非常に有効な管理措置になると思います。 ○西嶋補佐 期限を設定するときには、保存条件を一応書くことになっている。また、設 定の際には加味することになっていますので、それも併せて御報告します。 ○池上委員 今、検査をされた食品のグループで見ていきますと、冷凍保存、あるいは冷 蔵保存が適さない食品というのがかなりあります。米の加工品などはそういう貯蔵の仕方 がしにくいものです。ですから、そういう面でも難しい食品群だなということを感じまし た。 ○廣橋部会長 これまでの御意見で、今後の方針の案に関しましては、指導してというこ とでお考えいただいていると思うんですが、防止対策の内容、この3項目がこれでいいの か。それに加えるのかということについて、最後議論したいと思います。 ○宮原委員 先ほど申し上げましたとおり、この中に低酸素にしてはいけないということ があるので、酸素が透過できるような状況の容器包装にしたらどうかというのを付け加え た方がいいのかなと思います。 もう一つは、先ほどの繰り返しになりますが、単糖類が増えるとボツリヌスが増えると いう状況になるらしいので、そういったものを含めて、消費期限、賞味期限、どっちにな るかわからないんですが、この保存状態ではこういうものが増えてくるので、リスクが増 すということも加味する必要があるかもしれないと思います。 ○廣橋部会長 今の御意見に、ほかの委員の方々いかがでしょうか。 ○五十君委員 今の酸素透過性の包装ということに関しましては、恐らく酸素透過性のあ るタイプを使うと、食品の保存状況の問題とか、いろいろな問題が起こってまいりまして、 ボツリヌスの観点からは良いかもしれませんが、ほかの観点からは難しいという意見がい ろいろ出てくると思いますので、そのようにコメントするのは難しいと思います。 ○宮原委員 この前の資料の方にそのように書かれているのですが、この資料の14ページ ですかね。そういうことが書いてあるので、この辺も考慮して、ちゃんと書けるかどうか は別として、検討される方がよいと思います。実際は各業界の努力と技術力で現在でも、 危険が避けられている部分も有ると思います。 特に今申し上げた2点は放射線照射において非常に重要な論点だと思いますから、この 中でもその点を御配慮願えればありがたいと思います。 ○廣橋部会長 最後の防止対策をまとめる段階ですので、どういたしましょうか。ほかの 御意見で今、結論が出せればいいんですが、そうでなければこのまま一旦指導するという 形にしますか。 ○基準審査課長 この管理措置(案)のところでは、一応○印しというのは基本というこ とでございますが、一方、「等」ということが書いてあります。科学的には完全に検証さ れたわけではないのですが、今回の事案について、関係業界とのヒアリングもさせていた だいた中で、たいへんな努力をされておるというところもあると聞いています。こうした 努力で、仮に汚染された場合に本当にボツリヌスの食中毒を防げるかどうかという問題は 別にありますが、そういったいろんな事業者が努力をされているということも事実でござ います。いずれにせよ今回の添加をした試験によりボツリヌスの増殖のリスクがあるとい うことと、それから、暴露状況については今のところ全く白でしたが、これからもっとた くさんサンプルを調査すれば場合によってはあり得るということも含めて、この情報をで きるだけ早くお伝えして、それに対する事業者の取組みを促進するというのが重要と考え ています。その中でフォローアップをして、ここに書いてある○印しが3つ書いてござい ますが、それ以外の取組みがあるというのであれば、先ほど小西先生かおっしゃったよう に、HACCPという形で取れるかどうかというのはあるかもしれませんが、いずれにせよ、 そういったものをしっかりと進めていくことは非常に重要だと思いますので、そんなよう な形で取り組めたらどうかなと考えています。 勿論、その結果として食品の規格として設定ができるようであれは、食品安全委員会の 方にもそれまでの資料を集めて御評価をいただくという形かなと考えております。 ○廣橋部会長 ただいま課長から今後の方針について、この(案)についての説明があり ましたが、いかがですか。その方針で先ほどのような含みも含めて、きちんと指導してや っていくということが効果を上げる上でいいと思うんですが、よろしいですか。 ○品川委員 周知徹底というのは、どういうことを考えているんですか。 ○基準審査課長 まずは各自治体ですし、関係団体にもこういった形で指導するという形 になります。 ○品川委員 多分行政の方でも食品監視員なり、そういうのを見たときに、この容器包装、 これだけ多岐にわたっている食品が、どういうものがあるかというのは、実態を全部把握 できるかというのはなかなかできない。先ほどからここを見ているんですが、食品全体が 低酸素にして包装したら全部それになっていますから、自分の自治体区にどのくらいこう いうものがあって、どう指導したらいいかと。指導する場合にも、こういう食品があると いうことをきっちりやらないと、十分理解が取れない。先ほどのように米飯をそのままや ったものから、魚介類というか、畜肉製品のようなものもありますし、だけれども、畜肉 とか魚介はある程度規制というのはあるし、その辺は本当に整理しなければ、全部込みで これをやっていって、わかりやすいのかというのは非常に今思っているんですが、その辺 いかがですか。 ○西嶋補佐 通知もそうですが、指導する際もそうですが、特に規格基準をつくる場合と いうのは、まさにそこが議論になろうかと思っています。平成15年6月の当部会におきま して、容器包装詰低酸性食品の一覧で、これもすべてを網羅しているわけではないんです が、例示を幾つかお示しをしていると思いますが、そういったものを今の時点で、この食 品群に与えるものはどういうものかと聞かれるとそういったものが資料としてあるのかな と思っています。 ○廣橋部会長 ありがとうございました。それでは、これで皆さんの御了承もいただけま したので、今の方法で進みたいと思いますが、事務局から今後のことについて確認してい ただけますか。 ○西嶋補佐 皆様の御審議を踏まえますと、容器包装詰低酸性食品のボツリヌス食中毒対 策については、まずは通知を行うということだったかと思っています。 通知の内容につきましては、資料2−4にお示しをしているとおりかなと思っておりま す。例示としてこの3つを挙げるということかと思います。 先ほどございますように、指導の仕方と、それをより実効のあるものにするための工夫 ということが通知を出す際には必要なのかなと思っております。 当部会におきましても、通知を出したら出しっぱなしで終わりではなくて、フォローア ップを適宜、必要に応じてする必要があるのかなと思っております。 ○廣橋部会長 では、どうぞよろしくお願いいたします。 では、これで議題2を終わりまして、議題3「その他」にまいります。いかがですか。 ○西嶋補佐 「その他」でございますが、先ほど牛尾参事官からのあいさつの中にもござ いましたように、アフラトキシンの今の国際的な状況について、今日、委員でもございま す小西委員の方からパワーポイントを使って説明していただこうと思っております。 資料をまだお手元に配っておりませんで、今から事務局の方で配付させていただきます。 パワーポイントの準備等設定がございますので、できれば5分ほどお時間をいただければ と思っています。 午後3時27分休憩 午後3時29分再開 ○西嶋補佐 準備が整います前に、アフラトキシンを取り巻く環境について、事務局の方 から簡単に御説明をさせていただければと思います。 この食品中のアフラトキシンにつきましては、コーデックス委員会の食品汚染物質部会 で、木の実のアフラトキシン等の最大基準値の議論が行われているということでございま す。 汚染物質部会から科学的助言機関であるJECFAという機関がコーデックスより幾つかの 基準値案を比較した場合のヒトに与える影響について評価が依頼されているというところ でございます。 本年3月31日からコーデックスの食品汚染物質部会が開催されますが、その場におきま して、JECFAの評価結果に基づきまして、木の実のアフラトキシン等の最大基準値が議論 されるということになってございます。 我が国におきましては、現在、食品中のアフラトキシンに関する調査研究を進めており ますが、そちらの結果も間もなくとりまとまります。なおかつコーデックスでも基準値の 設定が議論されるということでございますので、今後この食品規格部会でのアフラトキシ ンに関する審議が必要になってくるものでございます。 したがいまして、我が国で調査研究を実際に実施していただいており、更には我が国か らJECFAの会議に参加しておりました小西委員の方から、今日は特に「アフラトキシンの リスク評価に関する国際的動向と我が国の現状」ということで講演をしていただければと 思っているところでございます。 ○小西委員 御説明、御紹介どうもありがとうございます。皆様のお時間を拝借いたしま して、今からアフラトキシンのリスク評価に関する国際的動向と我が国の現状ということ で、幾つかの話題を御紹介させていただきたいと思います。 今日お話しすることは、先ほど御説明ございましたように、今年のコーデックス委員会 で議題になります木の実のアフラトキシンに対しての諮問を受けまして、昨年の6月にJE CFA で木の実のアフラトキシンの暴露評価についての会議を行いました。そのときの評価 の結果をお話しさせていただきたいと思います。 次に各国のアフラトキシン規制の現状を御紹介いたしまして、その後我が国の調査研究 の状況、これは平成16年〜18年度厚生労働科学研究費で行いましたアフラトキシンのリ スク評価を御報告させていただきたいと思います。 そして、最後に今後の課題をお話しいたします。 (PP) まず最初に簡単にアフラトキシンの御紹介をさせていただきます。 御存じのように、アフラトキシンはその類似体は非常に多く存在いたしますが、食品に 汚染しているものは、主にアフラトキシンB1、B2、G1、G2の4種類でございます。この4 種類を総称いたしまして、トータルアフラトキシンと呼んでおります。 急性毒性といたしましては、大量に摂取した場合、肝障害を起こしまして、これはヒト においても食中毒事例が出ております。 しかし、我が国を初めとする先進国におきましては、急性毒性よりも長期慢性摂取によ る原発性肝臓がんというものが一番リスクが高いと考えられます。アフラトキシンはIARC でクラス1に分類されております。 (PP) 現在までコーデックスは種子のかび毒の規制をつくっておりますが、そのうち決まって おりますのは、未加工のピーナッツに対するトータルアフラトキシン、これは15μg/kg。 それから牛乳に対してはアフラトキシンM1に基準値を設定しておりまして、0.5 μg/kg。 アフラトキシンではございませんが、リンゴジュースに汚染しているパツリンというかび 毒においても、50μg/kg。この3つ、かび毒において基準値設定が行われております。 今年、この加工ピーナッツに加えて木の実のトータルアフラトキシンに対しての規制が 議題になっております。 (PP) これは簡単に木の実のアフラトキシン規制の流れをお示しいたしましたが、第36回のコ ーデックスのCCFAC から議論されておりまして、38回のときにready-to-eat-tree のナ ッツに関してワーキンググループを設立し、JECFA にトータルアフラトキシンの基準値と して4、8、10、15μg/kgそれぞれ設定した場合の暴露評価を諮問いたしました。 昨年のCCFACでは4つの基準値にプラスして、20μg/kgも考慮に入れて、JECFA で評価 してほしいということを諮問いたしました。それを受けまして、昨年の6月にJECFA でそ の議論が行われたわけなんですが、アフラトキシンは御存じのように発がん性物質でござ いますので、通常の暴露評価というのが閾値を基準には考えられませんので、発がん性の ベンチマークドーズとかJECFA の発がん予測式などを使って、リスク評価を行うわけです。 その結果、もし危険であればリスクマネージメントを行うという方式を取っております。 JECFAでは実際にどのような暴露評価を行っているかということを簡単に御説明させて いただきます。 暴露評価には摂取量すなわちかび毒に汚染している食品の摂取量と、それからその食品 のかび毒汚染量、これが必須のデータになりますが、このデータはGEMS FOODという、こ れもWHO/FAOの配下にありますプロジェクトでございますが、ここで集めているデータベ ースを使って行っております。 そして基準値のシナリオを複数つくります。この木の実の場合は4、8、10、15、20μg /kgのシナリオをつくっています。そのシナリオから1日暴露量、インテークというもの を出しまして、リスクを評価するわけですが、この下に書いてありますのが、ちょっと切 れておりますが、これがかび毒の、例えばTree nutにどのくらいアフラトキシンが汚染し ているというのでグラフをつくります。そして、この場合は各シナリオ、4、8、10、15、 20の当てはめた場合に、この基準値よりも少ないものだけを集めた汚染量と、食品の摂取 量を掛け合わせて、これは普通モンテカルロの確率論を使うんですが、インテーク、暴露 量の対数曲線をつくります。 それぞれのシナリオで曲線ができるのですが、その後発がんリスクを評価いたしまして、 その発がんリスクが高いグループがこの全体のグループのどのくらいを占めるかというこ とで、どこまで発がんリスクが高いグループが許容できるかといういろんな要因を加味し まして、適切な基準値を決めていくという手順になっております。 (PP) JECFAではアフラトキシンの暴露評価だけを行うわけですが、GEMS FOODでは世界地図か ら13地域に分けて、A〜Mまで、この13地区ございますが、ここに代表的な国の名前を 挙げておりますが、このようにそれぞれの摂取量をまとめております。 そのデータからいきますと、トータルアフラトキシンの暴露の汚染となる原因の食品群 の主なものを左側に挙げておりますが、全体的に見てトウモロコシとピーナッツが一番高 いことがおわかりになると思います。 一番下の黄色で示してありますのが、今回議論されますTree nutですが、これを見てお わかりになるように、Bの地域とC、D、Mの地域が比較的高い暴露寄与度を持っている ということがおわかりになると思います。 ですから、コーデックスとしては、トウモロコシ、ピーナッツの次にTree nutの基準値 を決めたいと考えております。 (PP) これはピーナッツの基準を決めたとき、1997年のJECFAの基準値シナリオをお示したも のですが、このカラムは何も基準値を決めない場合の暴露量を示したものです。そして、 これはトータルアフラトキシンを15μg/kgで決めた場合、20μg/kgで基準値を決めた場 合の、それぞれの暴露量を計算したものがこの表でございますが、一目瞭然で基準値を決 めた場合と決めない場合では、決めた場合の方が暴露量が非常に低くなるということがわ かると思います。 (PP) この暴露量はわかりましたが、では、どうやって発がんリスクを出すかということです が、JECFAでつくりました発がんリスクの評価というのがこの図でございます。これはい ろいろな疫学的なデータから計算されたものですが、フィッシャーラットというラットは 非常にアフラトキシンでがんになりやすいラットで有名ですが、それを1といたしますと、 ヒトの場合はラットに比べるとかかりにくい部類に入ります。この数字は、量は体重1Kg 当たり1日1ngアフラトキシンB1を一生食べ続けた場合、10万人に何人がこのアフラト キシンが原因となって肝臓がんになるかという人数でございます。ヒトの健常人、この0. 01という数字は健常人のリスクでございます。この下の0.3という数字はB型肝炎のウイ ルスのキャリアーの方の発がんリスクを示しているものでございます。これはB型肝炎ウ イルスを持っている人は、そのリスクが30倍高くなるという結果が得られております。 (PP) この指標から次にB型肝炎のウイルス患者が少ない低汚染地域、この汚染というのはB 型肝炎ウイルスの汚染という意味です。その地域とB型肝炎が非常に多いグループにおい ての発がんリスク、発症人数の比較というのを、基準値をつくった場合、どのくらい変化 があるかということを計算してみました。それをJECFAではインパクトと言っております。 このインパクトが高ければ高いほど基準値をつくる必要があるということになるわけです。 そのインパクトを計算いたしますと、低汚染の場合には、1億人に2人ですが、高汚染 の場合は300人。非常に高汚染地域、B型肝炎の多い地域においてはこの基準をつくるこ とによって、アフラトキシンにより肝がんになる人を減らせるということがここからわか るわけです。 (PP) それによってピーナッツに対してのトータルアフラトキシンの基準値が設定されました。 同じようにTree nutにおいても、同様の手法が用いられました。 (PP) そうしますと、Tree nutの場合、先ほど申し上げましたように、B、C、D、E、Mの グループが比較的Tree nutからのアフラトキシンB1の摂取量が高い地域でございます。 基準値がない場合には、こういう数字でございますが、ここにトータルアフラトキシン20 μg/kgで規制しても、4μg/kgで規制しても、ぐんと暴露量が減ることがおわかりになる と思います。 しかし、この2つの基準値、シナリオの違いによるインパクトというのは、それほど変 わらないという結論になっております。 Tree nutの曝露評価としては、JECFAはこの結果をコーデックスの方に答申することに なっております。この3月にコーデックスの会議が開かれますが、その結果を待たないと、 基準値が幾つに設定されるかというのはまだわからない状況でございます。 (PP) 次に世界のアフラトキシン、このように発がん性のある有害物質でございますから、多 くの国が規制値を持っております。ここにお示しいたしましたのは、アメリカとEU諸国の 代表的なものを持ってまいりましたが、アメリカではトータルアフラトキシンとして20μ g/kgで規制しております。EUでは、それぞれの食品群によって細かく規制値が変わってい るんですが、共通して言えることは、トータルアフラトキシンとしての規制と、B1として の規制、この両方で規制を掛けているということです。 それに比べまして、日本は今のところは食品衛生法第6条でB1を規制しております。実 際では10μg/kgが規制値と考えられております。 (PP) 世界的に見ますと、ほとんどの国、先ほども申し上げましたがほとんどの国が、トータ ルアフラトキシンとして規制しておりまして、B1のみで規制している国というのは、中国、 韓国、ロシアなど、日本を含めて十数か国に過ぎません。 (PP) そこで、我々は現在の我が国に流通している食品のアフラトキシン量を実態調査いたし まして、そのリスク評価を行ってみました。そのときに基準案として、トータルアフラト キシンとして、基準値をつくった場合、それからアフラトキシンB1、現状のままでつくっ た場合との比較も一緒に行いました。 (PP) ここでシナリオとして4つの案を考えました。 アフラトキシンB1だけが1で、2番、3番、4番の案は、アフラトキシンB1とトータ ル、両方で規制している場合です。 (PP) まず実態調査の結果を御報告いたしますが、陽性の20品目ほど、これは今までに文献上 でアフラトキシンの汚染が報告されているもの、世界中の文献からピックアップいたしま して、20品目ほど決めました。全部で1,000検体近く測りまして、そのうち陽性が出まし たのはここにお示ししているもの。それから陰性が出ましたのは、ここにお示ししている ものでございます。 (PP) これが具体的な数字でございますが、ここは陰性のものは省きまして、陽性のものだけ を出しております。全体的に汚染濃度というのは低いんですが、ピーナッツで150やりま して、そのうち1つが検出限界以上の検出率を見ました。これは最大値は28.0となってお りまして、先ほど申しました10μg/kgよりも上になっておりますが、B1だけで見ると、 これは具体的には4μg/kgにございまして、あとの20μg/kgはアフラトキシンG1に汚染 している。他のアフラトキシンとあわせるとこの数字になりました。すなわちB1では基準 値以下でございます。 これらのデータを使いまして、シナリオをつくりました。一応食べる量というか、種類 も年齢で違ってくるということで、年齢層を4つに分けまして、シミュレーションをいた しました。 (PP) その結果、90%タイルからしか数値が出てこない、非常に汚染量として低いものですの で、ここに示しておりますのは、90%タイル以上の暴露量でございます。 このように非常に低いレベルで推移していることがおわかりになると思います。 それぞれ規制を変えたところでさほど差がないという結果がわかります。 (PP) 先ほどお示しいたしましたJECFAの発がんの予想式に当てはめまして、この規制をした ときにどのくらいの人がアフラトキシン原発性肝がんから助かるかという計算をいたしま したところ、現状からB1 10 μg/kg、トータル20μg/kgという規制に変えた場合には、 1億人に2人がアフラトキシンで肝がんになるのが免れるという数字上の推測になりまし た。 (PP) 以上まとめますと、3年間の通年実態調査で得られた我が国でのアフラトキシン暴露量 は非常に低くて、99.5%タイルにおいても0.315ng/Kg/dayであった。4つの基準値案では、 ほとんど暴露量に違いは認められなかった。 発がんリスクにおいて、現状では非常に低いということが明らかになったということで す。 (PP) 今後どのような課題があるかというと、トータルアフラトキシンとして基準を設定すべ きかということが大きな問題になってまいります。そのときのバックグラウンドとしては、 コーデックスの基準値とのハーモナイゼーションをいかにするか。 それから、輸入食品中で、先ほどもピーナッツでお話しいたしましたように、B1よりも G1が多く検出される例もここのところ増えてきておりますので、その動向を我々は調査し ているところですが、その動向次第ではB1だけで規制するということよりも、全体トータ ルとして規制していくということも考えていく必要があるのではないかということが言え ると思います。 以上でございます。 ○廣橋部会長 どうも小西先生ありがとうございました。 今の御説明に御質問どうでしょうか。 ○品川委員 1点教えてほしいんですが、一番最後のところに出ているんですが、B1、B2、 G1、G2の検出状況はどうなっているんですか。 ○小西委員 汚染状況ですね。10年ほど前までは、B1が約80%。B2、G1、G2は残り20% くらいの比率で出てくるという傾向だったんですが、今は半分半分、G1とB1が半分、50 %、50%で出てくるか、ピーナッツの場合、産地にもよるんですが、下手しますと、B1が 20%でG1が80%という比率もあります。 ○品川委員 発がん性の強弱というのはどのくらいですか。 ○小西委員 あります、B1が1といたしますと、G1は0.1です。B2とG2は発がん性は今 のところ検証されておりません。 ○西川委員 今の質問に関連してですが、肝発がんだけを目的とした規制であれば、やは り発がん性の強さから言ってB1に焦点を当てた規制の方がいいような気がするんですが、 アフラトキシン全体として評価する意味というのは、それ以外に何かあるんでしょうか。 ○小西委員 トータルアフラトキシンとしては、免疫毒性とか、細胞毒性などが考えられ るということが1つあります。 あとB2、G2は今、発がん性がないと申し上げましたが、体内で代謝されてB1になると いう危険性も、ヒトでは実証されておりませんが、ヒナの肝臓などではそういう事例も見 られておりますので、その危険性は否定できないというところはあります。 ○西川委員 そういうことであればいいと思うんですが、測定方法としてまとめて測った 方が楽とかいうことはあるんでしょうか。 ○小西委員 測定方法は現在B1、B2、G1、G2全部測れる方法で測っておりまして、B1だ けを報告して、それで規制をしているという状況でございます。 ○品川委員 データはそれぞれの検体の中でB1はどのくらいというのは全部出ているわ けですね。今までやったデータの中には、自分らが調べた中では。 ○小西委員 はい。 ○品川委員 チョコレートとか何とかというのは結構率が高かったが、その中でもB1、B2 の割合というのは出るんですか。 ○小西委員 はい。 ○香山委員 このシミュレーションをされたデータベースに関してちょっとお伺いしたい んですが、まず、汚染物質のアフラトキシンの濃度のデータベースというのは、スライド No.18 に書かれている実態調査を使われたんでしょうか。 ○小西委員 そうです。 ○香山委員 これは1つの種類に関して何サンプルくらいのデータですか。 ○小西委員 ピーナッツでは150です。チョコは62検体です。 ○香山委員 インテークのデータですね。例えば1歳〜6歳、年齢階層ごとのインテーク の情報というのは何から取られたんですか。 ○小西委員 それは栄養調査です。詳細なデータをいただきました。 ○香山委員 何年分を使われたんですか。 ○小西委員 3年分を使いました。 ○香山委員 約3万人ですね。 ○小西委員 はい。 ○香山委員 この150とか62とか、少ないのもありますが、そういうのは回数正規分布を 推定して、それからランダムにデータを発生させて、計算されたということですね。 ○小西委員 はい ○香山委員 わかりました。どうもありがとうございました。 ○廣橋部会長 ほかに御質問、どうぞ。 ○宮原委員 ここにはないんですが、小麦とかほかのメジャーな穀物については、GAPが 取り入れられ、生産地でのアフラトキシンのコントロールということが非常に進んでおり まして、私がアフラトキシンをやっていたときにはそれが非常に話題でした。黄変米の時 代と異なり、技術の進歩で、その多くの危険が避けられるようになっています。この木の 実についても、そういった生産地での管理というのは、今は行われているのでしょうか。 ○小西委員 それは一番最初に、36回CCFACのときに、ここには書いてありませんが、基 準値設定を提案すると同時に、GAPも議論していると記憶しております。 ○宮原委員 その検査方法について何か御存じだったら教えていただきたいんです。 ○小西委員 検査方法ですか。 ○宮原委員 要するに現場でやる方法が例えば小麦とか値段の高いものであれば、かなり お金もかけられると思うんですが、それ以外の値段が余り高くないものついては、どうい う検査方法が最近使われて、その信頼性についてはどうなんだろうかということです。 ○小西委員 それに関しましては、今すぐに正しいお答えができるかどうかわかりません が、木の実の生産地域の方ではヨーロッパの方法が導入されておりますので、現場で調べ る場合には、ラテラルフローと言いまして、イムノクロマト法でございます。簡単に5分 くらいで結果が出るとか、そういう方法とかELISA法というのが現場では使われていると いうふうに思っております。 ○廣橋部会長 ほかにありますか。どうぞ。 ○山内委員 スライド19番を見せていただきますと、汚染結果としてはピーナッツが一番 高くて、次にアーモンドでして、私の記憶と言うか、経験ですと、アフラトキシンは輸入 されている果実からのものが圧倒的に多いんで、輸入検査のときに引っかかって、国によ って、会社によって輸入をストップされるというケースで引っかかることが多いと認識し ておりましたので、輸入のときに管理をしているというふうに認識をしておりましたが、 チョコレートというのは、どんな具合なんですか。ここには国産のものも入っているんで しょうか。国産のものについての具体的な規制はどんなふうにされているのかということ を教えていただけるとありがたいです。 ○小西委員 説明不足だったかもしれないんですが、チョコレートというのは、アフラト キシンの寄与が高いのはカカオでございます。ですから、カカオは国産はございませんの で、全部が輸入になっておりまして、輸入時にちゃんと検査をして、先ほど来言っており ますが、B1が10μg/kg以上のものは全部チェックされて入ってこない状態になっており ます。 ○廣橋部会長 よろしいですか。 では、小西先生、どうもありがとうございました。アフラトキシンの国際的動向や我が 国の状況の御説明をいただきましたが、事務局からコーデックス委員会の汚染物質部会へ の対処方針について説明がありますか。 ○西嶋補佐 先ほど小西委員の方から御説明がありましたが、この3月31日から汚染物質 部会が開かれます。我が国の基本的な対応方法でございますが、一般的に汚染物質に関し ては、ALARAの原則ということで、科学的データを考慮した上で、消費者の健康が適切に 保護され、合理的な達成可能な範囲でできるだけ低くその値を設定するというALARAの原 則がございますが、そういった考えにのっとりまして、設定すべきだということの方針で 我が国として対応していきたいと思っております。 また、先ほど小西委員の説明の中にもございましたように、我が国では現時点ではアフ ラトキシンB1での規制でございますが、国際的な動向とか今の時代に伴ってB1とそれ以 外のものとの比率が変わってきたりとかしていますので、そんな動向も踏まえつつ今後必 要な措置についてはこの食品規格部会で御議論いただくという形になるかと思っておりま す。 ○廣橋部会長 ただいまの説明に御意見、要望、よろしいですか。 ○小西委員 よろしくお願いいたします。 ○廣橋部会長 ほかによろしいですか。 では、これでアフラトキシンの件に関しましては、審議を終了いたしまして、ほかに何 か事務局から連絡がありましたら、どうぞ。 ○西嶋補佐 そのほか、昨年の6月、前回の部会のときにこのアフラトキシンとか今日申 し上げたボツリヌスとか、そんなものについて審議の状況等について御報告をさせていた だいたと思いますが、それ以外の案件について簡単に、現在の進捗状況について口頭で申 し上げたいと思っております。 まず1つは、カドミウムでございますが、今、食品安全委員会の評価をいただいている ところでございますが、その専門調査会の議論がほぼ終了し、リスクコミュニケーション、 パブリック・コメントの後、審議を経て評価が基本的に終了するということでございます。 それを受けて、今度は我々管理機関である厚生労働省がカドミウムの基準値について、 また、この部会で御審議をいただく形になろうかと思っております。 2つ目、清涼飲料水でございます。これは前回の夏のときに検討グループを立ち上げる ということでしたが、その検討グループの一つが清涼飲料水についてでございました。 この検討グループに関しましては、前回の6月以降2回開催をさせていただいておりま す。その中で現在の規格基準の状況、あるいはどういったところをバージョンアップすれ ばいいのか。そんなところについて御議論を現在いただいている途中でございます。 3つ目、最後でございますが、放射線照射食品についてでございます。これに関しまし ては、今、消費者及び事業者に対しまして、アンケート等を行っているところでございま す。 また、科学的な知見の収集等について現在とりまとめをしていただいているというとこ ろでございます。これも年度が明けまして、御審議いただくことになろうかと思っており ます。 以上でございます。 ○廣橋部会長 皆さんの御協力を得て効率よく議論ができましたが、最後何か御発言があ れば伺いますが、よろしいですか。 では、これで今日の食品規格部会を終了したいと思います。どうも御協力ありがとうご ざいました。 照会先: 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課  規格基準係TEL:03-5253-1111(内線4280)