08/03/03 厚生科学審議会科学技術部会ヒト胚研究に関する専門委員会 第16回議事録 第15回 科学技術・学術審議会 生命倫理・安全部会「生殖補助医療研究専門委員会」 第16回 厚生科学審議会科学技術部会「ヒト胚研究に関する専門委員会」 議事録 日時:平成20年3月3日(月)15:00〜17:30 場所:厚生労働省18階 共用第9会議室 議事: ○笹月座長  それでは定刻となりましたので、第15回「生殖補助医療研究専門委員会」と、第16回 「ヒト胚研究に関する専門委員会」を開催いたします。事務局から委員の出席状況と資料 についてご確認をお願いいたします。 ○小林母子保健課長補佐  本日は、奥山委員、小澤委員、中辻委員、水野委員、位田委員がご欠席で、14名のご出 席の予定となっております。まだ、おみえになっていない委員がおりますけれども、遅れ ているものと思われます。  資料の確認をさせていただきます。議事次第を1枚おめくりいただくと、配布資料の一 覧があります。資料1、資料2-1〜2-4、資料3、資料4-1〜4-4、資料5-1、資料5-2、資料 6-1、資料6-2、それから参考1〜参考5と参考資料のファイルがあります。ご不足等あり ましたらお申し付けいただければと思います。特にありませんでしょうか。  では笹月座長よろしくお願いいたします。 ○笹月座長  ありがとうございました。それでは議題内容に移りたいと思います。まず前回の議事録 の確認をお願いします。既に委員方には回覧してご意見をいただいていますけれども、何 か特段ありますでしょうか。もしなければこれを前回の議事録とさせていただきます。  それでは次の議題に進みます。厚生労働省の臨床研究に関する倫理指針がありますが、 これにつきましては、この委員会で検討しております生殖補助医療研究に関連する指針と して、既に第3回科学技術・学術審議会 生命倫理・安全部会「生殖補助医療研究専門委 員会」、それから第4回厚生科学審議会科学技術部会「ヒト胚研究に関する専門委員会」に おきまして、その概要を既に説明していただいています。この臨床研究に関する倫理指針 は現在、実施状況や課題などを踏まえて、厚生科学審議会の科学技術部会の臨床研究の倫 理指針に関する専門委員会においてその見直しのための検討が行われております。決定で はありませんが、これまでのところではある程度その方向性が固まったということですの で、その概要につきまして厚生労働省医政局研究開発振興課からご説明をお願いします。 ○佐藤医政局研究開発振興課長補佐  厚生労働省医政局研究開発振興課の課長補佐の佐藤です。本日はどうぞよろしくお願い いたします。本日は臨床研究に関する倫理指針の現在の議論の進行状況ということで、ご 説明をさせていただく機会をいただきましてありがとうございます。本日私どもから提出 させていただいています資料は、資料2-1〜2-4までの四つの冊子です。  はじめに、資料2-1「臨床研究の在り方に関する検討について」ということで、ただ今、 笹月座長からご紹介がありましたように、厚生科学審議会の中で臨床研究の倫理指針に関 する専門委員会を昨年の8月から開催しています。この指針について、平成20年7月の改 正を目標にして現在議論を進めているところです。この資料2-1に「3.専門委員会で検討す べき論点」と書いている事項があります。これはまず「臨床研究の倫理に関する指針の対 象範囲の明確化」「被験者の保護の向上」「研究の信頼性・公平性の確保の向上」「公的 研究費による臨床研究との関係、指針の実施に関する監督機能」「臨床研究の環境整備に 係る他制度との関連」など、多岐にわたる部分を進めているところです。これまでに6回ほ ど開催させていただいて、その中で現在の改正の方向性ということでまだ素案ですが、そ の専門委員会の中で出てきているものが資料2-3です。  資料2-2は専門委員会のメンバー一覧ですので、これはご覧いただければと思います。  資料2-3は「臨床研究に関する倫理指針」の改正素案の概要(案)です。全体像を見ていた だくのに資料2-4の図がありますので、こちらも眺めながら見ていただけるとよろしいかと 思います。資料2-4ということで、臨床研究から見た各指針の範囲のイメージ(案)というも のです。臨床研究に関する倫理指針は、臨床研究のいわゆる一般的なルールといいますか、 遵守すべき事項をまとめたものですけれども、いわゆるヒトゲノムや遺伝子試料やヒト幹 細胞といった、これまでスペシフィックな指針があるものについてはその指針の対象から は除いていると。そういう前提の下にこれまでも疫学研究と臨床研究という大きな二つの 流れがあるとしますと、この絵のように、真ん中より少し左側の部分「疫学研究の倫理指 針の範囲」という部分と「臨床研究倫理指針の範囲」の部分の、大きく二つに分かれる部 分があります。  臨床研究の倫理指針の範囲の方は、医学研究であって人を対象とするものです。そのう ち例えばこの右側の肩の方にありますけれども、医薬品や医療機器を用いて人に直接侵襲 的な行為を行うような臨床研究の部分から、この手術、手技、看護ケア等にかかるような ケアを行うような研究ということで、このグループを介入研究のグループと言っています。 薬事法上の治験はこの対象から除いているということになっています。そういうグループ と、後は観察研究ということでカルテ等による研究や人由来の検体を用いてその中身の分 析、その病原体の研究というような観察研究の部分にこの指針の対象範囲は大きく分かれ てきています。  この観察研究については、左側の疫学研究の指針の範囲ということで、疫学的に行って いる部分とちょうど境界領域にあるような格好になっている部分が全体の俯瞰(ふかん)図 になるかと思います。生殖細胞を用いた研究については生殖補助医療ということになって いて、現時点では臨床研究は行われていないと認識しています。このような部分について、 現状では点線で少し薄く書いてありますけれども、この辺りの位置付けになるのかという ことでこの図は書いてあります。この点線の位置が正しいかどうかという点については、 またご意見をいただければと思いますけれども、現状で臨床研究を行っていないという部 分ですとこの位置にあるのかと思っています。  資料2-3に戻らせていただきます。この臨床研究の倫理指針の改正ということですが、基 本的に改正におきましては、まずこの2-3の1ページの下の方です。今回、介入研究と観 察研究というものを少し定義上も明確に分けた方が良いのではないかということがありま して、2ページ目に参りますけれども、今度はその研究者等の責務ということで、基本的に はこの指針においては事前の倫理審査と同意を基本としたものです。特に倫理審査におけ る部分での機能を強化していこうというような部分、そして計画の透明性を確保していこ うということがありました。2ページ目の「研究者等の責務等」にありますように、介入研 究の場合には研究計画をあらかじめ登録データベース等に登録していただいて、事前に公 表するように努めていただくというような部分などの改正を行おうとしているところです。  後は2ページ目の下の方の「第3、倫理審査委員会」という部分につきましても、臨床研 究倫理指針においては2ページの下から3ページにまたがっていますが、臨床研究機関の 長またはその外部に設置された倫理審査委員会にあってはその設置者の方が倫理審査委員 会の指針の要件に合致しているということを厚生労働省にもご報告いただきまして、実際 の開催状況や委員の方の名簿などを登録していただくような仕組みを作ろうとしていると ころです。後は臨床研究機関自らも、そういった情報を公表していくことを盛り込もうと 現在検討しているということです。  大体の骨格としては倫理審査委員会の強化、計画の透明性ということで、そういった事 項を追加するわけですけれども、インフォームド・コンセントの部分については、冒頭に 申し上げましたように、介入研究と観察研究ということで、特に観察研究の方については 疫学研究指針の範囲と非常に類似している部分があり、そのインフォームド・コンセント については、これまでの臨床研究指針では明確に定めていなかった部分がありますが、今 回の改正においては疫学指針のルールに合わせた改正をしていこうということを検討して います。  そこは先ほどの資料2-4のイメージ案の1ページをおめくりいただいた2ページ目です。 介入と侵襲による同意取得の案と書いてあります。この侵襲性と介入か観察かという、こ の掛ける2×2のマトリックスで文書の同意、後は人体の試料の取り扱いに関する同意規定 という部分を整理しようとしています。これは疫学研究に関する倫理指針の整理をそのま ま臨床研究指針に当てはめて作ってあります。  もう1ページおめくりいただいて、研究開始前に得られた試料の同意の取り扱い案とい うことです。原則は研究開始前に得られた試料においても再同意をお願いするということ ですが、同意の取得が困難な場合として、これも疫学研究に関する倫理指針での整理を踏 まえまして、人体試料についてもともと匿名化されているものについては倫理審査委員会 の承認、研究機関の長の許可と。(2)の包括同意のような形での同意が取られているものに ついては、これに加えて利用目的の公開、研究の合理性の判断など、こういうものを行っ ていく形での要件を定めようとしているところです。  大体このような概要で現在検討を進めているところで、もう1ページおめくりいただい たところの改正後のイメージ(案)というところをご覧いただきますと、今申し上げたよう な部分を補完できるような形で改正案を作っているところです。倫理審査委員会の要件 チェック機能の向上という部分、研究計画の透明性、同意手続き、その他の部分を疫学研 究との整合性という部分を踏まえて検討しているという状況です。  研究開発振興課からの説明は以上です。ご質問等がありましたらご意見をいただければ と思います。どうもありがとうございました。 ○笹月座長  どうもありがとうございました。委員の方からどなたかご質問、コメントなど。まだ最 終案ではないわけですので、何かコメントがあればお聞かせ願いたいと思います。 ○鈴木委員  質問をよろしいですか。今の最後の紙にある「DB」は何の略ですか。 ○佐藤医政局研究開発振興課長補佐  申し訳ございません。そこの説明が不足していましたが「DB」はデータベースの略で、 現在の東京大学のUMINのシステムなど、計画を事前に登録するシステムができあがって きていますので、そういうものに対する登録を考えてはどうかという意味です。 ○笹月座長  よろしいでしょうか。 ○後藤委員  介入研究の場合は登録をするということなのですが、それは研究開始前ということをお 考えなのでしょうか。 ○佐藤医政局研究開発振興課長補佐  ご指摘の通り、事前の登録ということです。 ○後藤委員  それから、観察研究は疫学研究と臨床研究のどちらかで迷うのですが、その線引きはど のように考えているのでしょうか。 ○佐藤医政局研究開発振興課長補佐  後藤委員のご指摘の通り、いわゆる観察研究において、数を対象とするような疫学的な 研究と、それこそ個別的に行われるような臨床研究について、性質的には非常によく似て いるのですけれども、これまで指針上の食い違いがあるのではないかという点のご指摘が ありまして、今回の指針の改正においてはそこがシームレスになるように、どちらの指針 で読んでも同じ規定になるような形で、臨床研究指針を改正しようという趣旨です。 ○笹月座長  よろしいでしょうか。  臨床研究ですと必ずいわゆるCOIが問題になるわけで、COIについては別にまた指針が できたわけですが、それとこれとはどういう関係にあるかなど、何かそのようなことはこ の指針の中にメンションされるのでしょうか。 ○佐藤医政局研究開発振興課長補佐  もともと、ちょうどこの指針が平成15年に作成されたときに、文部科学省でのCOIの 基準作成の委員会が行われていまして、そのときに現在の臨床研究指針においても、いわ ゆるコンフリクト・オブ・インタレストについて倫理審査委員会等で客観的に審査をする ことというものが1行書かれています。ここは先ほど笹月座長からご指摘いただいた点と 関連するのですが、現在、厚生科学審議会の別の部会で、今COIの指針がもうできあがっ てきているというところで、基本的にはCOIの指針、または文部科学省の指針を各施設に おいてご利用いただいて、ここではあらためて臨床研究の指針の対応ということで、ダブ ルやるような形にはならないように整理をしていこうということです。 ○笹月座長  それでは、これでよろしいでしょうか。もし何かお気付きの点がありましたら、またご 連絡をいただければ反映させて議論していただけると思いますので、よろしくお願いしま す。どうもありがとうございました。  それでは続きまして資料3、資料4-1、に沿いまして、前回の委員会で検討しました内容 についての確認をお願いします。事務局から前回の委員会で合意した点について説明をよ ろしくお願いします。 ○高橋室長補佐  それでは前回の確認をさせていただきます。お手元の資料3をご覧いただきたいと思い ます。資料3をひっくり返していただきまして、一番後ろの「4.研究実施の要件について」 の四角で囲った部分を前回議論していただいたと思います。そして「研究実施機関の要件」 が黒丸になっていますけれども、ほぼ議論していただいたのですが、幾つか残っていまし て、その詳細について資料4-1を使ってご説明をさせていただきます。  資料4-1を1枚めくっていただきますと2.「研究実施機関の要件」がありますけれども、 前回の議論におきまして、上から3番目の黒丸から下から3番目の黒丸までの中四つの黒 丸が前回は白丸でしたけれども、その部分が黒丸になりました。読み上げさせていただき ますと、「ヒト受精胚の作成を伴う研究の実験室については、提供者の善意による無償提供 をもとに、ヒト受精胚という生命の萌芽を作成し、減失せざるを得ないという倫理的観点 に加え、作成された胚からの個体産生を事前に防止するという観点、及び作成されたヒト 受精胚を無断で使用したり、持ち出したりすることができないようにするための管理徹底 という観点から、検討することとする」としました。次の黒丸ですが「ヒト受精胚を無断 で使用したり、持ち出したりすることができないようにするための管理徹底という観点か ら、ヒト受精胚の作成を伴う研究の実験室は、臨床(いわゆる生殖補助医療)を行う場と分け ることとする」。次の黒丸です。「ヒト受精胚の作成・利用を伴う生殖補助医療においては、 ヒト受精胚という人の生命の萌芽を作成し、減失せざるを得ないことに配慮し、人の尊厳 を侵すことのないよう、誠実かつ慎重にヒト受精胚の取扱いを行う観点から、ヒト受精胚 の作成を伴う研究の実験室は、原則として他の動物細胞を用いる実験室と分けることとす る」。最後の黒丸ですが、「ただし、研究において必要不可欠な場合には、他の動物細胞等 を当該実験室内で扱うことが出来るとする」。このページではこの四つの丸についてご議論 いただきました。  2枚めくっていただきまして、前々回に白丸として残っていたところです。(2)「研究実 施機関の長の要件」として、下の黒丸三つが前回ご議論いただいたところです。「研究実施 機関の長は、上記の役割を果たす上で、中立性、透明性を確保する観点から、原則として 研究責任者や研究実施者を兼ねてはならないとする」「ただし、技術的な観点から研究責任 者や研究実施者として適当な者が研究機関の長以外にいない場合もあることから、研究実 施機関の長は、当該研究に係る研究実施機関の長としての業務を適切に果たすことができ る者に、その業務を代行させることができるものとする」「また、研究実施機関の長の代行 を置く場合に限り、研究実施機関の長は、研究責任者や研究実施者を兼ねることができる ものとする」。  1枚めくっていただきまして、(3)「研究責任者の要件」ですけれども、上の黒丸二つが 前回ご議論いただいたところです。「研究責任者は、ヒト配偶子を使用して人の生命の萌芽 と位置付けられるヒト受精胚を作成し、滅失せざるを得ない生殖補助医療研究を実施する と共に、その研究にかかる業務を総括する責任を負うという役割が求められることから、 動物又はヒトの配偶子及び胚を取り扱った十分な実績とともに、動物又はヒトの受精胚作 成に関する十分な専門的知識及び実績がなければならないとする」としました。次の黒丸 ですが、この場合に「研究責任者が動物の実績のみしか有していない場合は、研究実施者 のうち少なくとも1名はヒトの実績がなければならないとする」とご議論をいただきまし た。  前回はここまでです。 ○笹月座長  どうもありがとうございました。これは前回の確認ですけれども、どなたか特にご質問、 あるいはコメントがありますか。よろしいでしょうか。 ○秦委員  3ページの下から4番目の黒丸で、「人の尊厳を侵すことのないよう」ということに関し ては、以前の会議では、文言の問題ですけれども、人の尊厳という言葉に関して問題であ ろうという意見があったかと思いますけれども、「人の尊厳」という言葉はそのまま残るの ですか。 ○笹月座長  実際に指針を書くときの文章と言うよりも、最後の結論のところを合意したということ で、その前段としてそれが出てくるかどうかはまた別のことといいますか、文章化すると きのテーマということになりませんか。 ○高橋室長補佐  そうですね。報告書の中にどのような表現で書いていくかというのは、またご議論いた だくかと思いますので、そのときに。 ○秦委員  わかりました。 ○笹月座長  その他はよろしいですね。はい、どうぞ。 ○石原委員  今の項目ですが、これは「ヒト受精胚の作成・利用を伴う生殖補助医療研究」の「研究」 が抜けているではないかと思います。 ○高橋室長補佐  そうです。失礼いたしました。「生殖補助医療研究においては」です。 ○笹月座長  他によろしいですか。  それでは次の議題に進みます。ヒト受精胚の作成に伴う研究を実施する場合の「研究実 施の要件について」の検討を行いたいと思いますので、事務局から資料4-1の説明をお願い します。 ○小林母子保健課長補佐  それでは、前々回の積み残しになっているところとその後の追加ですけれども、資料4-1 の11ページ以降をご説明させていただきます。  (4)の「研究責任者の要件」です。上の黒丸三つは前々回にご議論いただいたということ で、四つ目の白丸から本日ご検討いただきたいところです。「研究実施者の要件」を順番に 読ませていただきます。「研究実施者は、研究責任者の指導・監督の下で、直接ヒトの配偶 子及び受精胚を扱う者であることから、ヒト又は動物の配偶子、受精胚の操作等の技術に 習熟した者であることを必要な要件とする」「直接ヒトの配偶子及び受精胚を扱わない者は、 研究実施者に含めないこととする」「胚の作成・利用を伴う生補助医療研究は、配偶子を使 用して人の生命の萌芽として位置づけられる胚を作成し、滅失せざるを得ない研究である ことから、研究実施者は、生命倫理に関して十分な知識を有した者でなければならないと する」ということで同意をいただいています。四つ目です。「生命倫理に関して十分な知識 を有しているかどうかは、教育研修を受講した実績で判断してよいか」ということをご検 討いただきたいと考えています。  14ページです。(5)「研究実施機関における機関内倫理審査委員会」についてです。倫理 審査委員会の構成等についてですが、上の三つについては同意いただきまして、最後の黒 丸も合意いただいています。四つ目、五つ目の点については、まだ積み残しになっていた ところです。復習を含めて、順番にもう一度読み上げさせていただきます。「機関内倫理審 査委員会は、研究計画の科学的妥当性及び倫理的妥当性を総合的に審査できるように、委 員の構成は、生物学、医学及び法律に関する専門家、生命倫理に関する意見を述べるにふ さわしい識見を有する者、一般の立場に立って意見を述べられる者を含むとする」「またこ の場合、中立的な審査を確保するために、研究機関に属する者以外の者が2名以上含まれ ていることとする」「男性及び女性がそれぞれ2名以上含まれていることとする」というこ とです。四つ目です。「さらに研究計画の専門性に考慮し、ヒト受精胚の作成を伴う研究の 科学的妥当性を審査するために、医学に関する専門家として、生殖補助医療に識見がある 者を委員に含めることを要件とすることとするか」「機関内倫理審査委員会は、研究関係者 と常に中立性を保ち、第三者的立場から意見を述べる立場にあることから、研究実施機関 の長、研究に関係する者(研究責任者、研究実施者、研究責任者との間に利害関係を有する 者及び研究責任者の三親等以内の親族)は、当該案件に関しては機関内倫理審査委員会の委 員となってはならないこととするか」ということをご検討いただきたいと思います。  続きまして、16ページをご覧いただきたいと思います。2-2.「提供機関の要件」です。 (1)の「卵子(卵巣を含む)の提供機関」につきましては前々回確認いただいている事項ですが、 下の方の(2)の「精子(精巣を含む)の提供機関」について本日はご検討いただければと考えて います。読み上げさせていただきます。「提供機関は、提供者から直接ヒトの精子の提供を 受けることから、精子の保存設備など十分な施設、設備が整っているとともに、管理体制(管 理者の設置、管理記録の保存、施錠管理等)及び遵守すべき規則等が整備されていることと するか」「また、採精室が設置されていることが望ましいとするか」「提供機関は、ヒトの 配偶子の提供を受ける目的について、科学的妥当性や倫理的妥当性について、第三者的な 立場から意見を述べることのできる機関内倫理審査委員会を必ず機関内に設置することを 必要とするか」「提供機関は、十分な臨床経験のある産科婦人科又は泌尿器科の医師が所属 していることを必要とするか」次の17ページです。「提供機関は原則、医療機関でなけれ ばならないとするか。また、ボランティアの提供も考慮に入れて、医療機関ではない提供 機関を認めるか」「手術等で摘出された精巣又は精巣切片からの提供の場合については、精 子の採取に必要な採精室のような施設、設備は必要ないとしてよいか。ただし、その場合 であっても、管理体制(管理者の設置、管理記録の保存、施錠管理等)及び遵守すべき規則等 が整備されていることとするか」ということをご検討いただきたいと思います。  20ページ以降は、どういたしましょうか。 ○笹月座長  ここまでを、まずやりましょう。 ○小林母子保健課長補佐  お願いします。 ○笹月座長  どうもありがとうございました。それでは、11ページに戻っていただけますか。(4)「研 究実施者の要件」の上の三つは先ほどのように既に決定していますが、最後の「生命倫理 に関して十分な知識を有しているかどうかは、教育研修を受講した実績で判断してよいか」 について、どなたかご意見ありますか。はい、どうぞ。 ○鈴木委員  意見というより質問です。具体的にこれに該当するようなイメージの教育研修というの は、どこでどのように行われているのか教えていただければ。 ○小林母子保健課長補佐  具体的に決まったフォーマットがあるというわけではありませんが、例えば各大学なり 研究機関の中で、外部の生命倫理に関して詳しい先生を呼んで勉強会をするとか、そこは 施設によっていろいろな形式があろうかと考えています。 ○笹月座長  倫理指針がたくさんありますが、その中のどれかに、セミナーうんぬんは出ていません でしたか。  いずれにしましても、ここでいう教育研修を提示しておかないといけないことになりま すので、その点を※印で、今すぐでないなら残しておいていただけますか。 ○小林母子保健課長補佐  7ページの(2)研究実施機関の長の要件のところですが、一番下の黒丸のところで「研究 実施機関の長は、生殖補助医療研究を行うために必要な教育研修計画(技術的能力及び倫理 的認識を向上させるために必要な教育及び研修を実施するための計画)を策定し、これに基 づき教育研修を実施することとする」ということで、既に決定をいただいているところで す。 ○笹月座長  それでよろしいですね。よろしいですか。 ○鈴木委員  出席しなければいけないのは、必ずしも長が計画したセミナーなり勉強会でなくてもよ いわけですね。例えば外部の講座に1年間くらい通う方がみっちりした研修になったりす ると思うのです。そういうイメージなのですが、その辺はいかがでしょうか。 ○小林母子保健課長補佐  当然、研究責任者が開催する組織の中でのそういう研修会も含まれますし、委員がおっ しゃったような外部での専門的な教育トレーニングを受けることも当然含まれると考えて います。 ○笹月座長  教育研修というものを、どこかで定義していただければと思います。今までも既にこう いう文言が他の倫理指針でも出てきているので、その中身がどうだということは、別の指 針のときに議論したので、どこかに出てくると思いますが。それはあとでチェックして。 ○小林母子保健課長補佐  参考にしてチェックさせていただきます。 ○笹月座長  この研修というものがどういうものか。それがきちんとした暁には、何も内部のものだ けでは当然ないわけで、いろいろな外部で行われているもの、大手機関が行っているもの、 さまざまなものがあると思うので、そういうものを受講した実績で判断してよろしいかと いうことで、逆に言えばそういうものを受講したことはないけれども、常に教育する立場 にあるような人は受講したことはないわけで、「どこかで受講しなければいけない」と言っ てしまうのもどうかと思うので、研修の内容も含めてもう少し検討が必要だと思います。  それでは次へいきます。14ページの(5)「研究実施機関における機関内倫理審査委員会」 について、上の三つは既に合意したもので、四つ目「さらに研究計画の専門性に考慮し、 ヒト受精胚の作成を伴う研究の科学的妥当性を審査するために、医学に関する専門家とし て、生殖補助医療に識見がある者を委員に含めることを要件とすることとするか」これは いかがですか。これは他の倫理審査委員会、倫理指針とは異なって生殖補助医療に資する 研究ということですから、これに関する識見がある者を委員に含めることを要件とすると いうことは必要だと思いますが、それでよろしいですか。では、そのようにさせていただ きます。  その次の「機関内審査委員会は、研究関係者と常に中立性を保ち、第三者的立場から意 見を述べる立場にあることから、研究実施機関の長、研究に関係する者(研究責任者、研究 実施者、研究責任者との間に利害関係を有する者及び研究責任者の三親等以内の親族)は、 当該案件に関しては期間内倫理審査委員会の委員となってはならないこととするか」は、 研究実施機関の長というのは、諮問するのが倫理審査委員会ですから、これは言わずもが なで、ここに出てくる必要はないのではないですか。どうですか。書いておく必要はあり ますか。 ○小幡委員  これは自分に関わる案件を審議するときには、普通は当然退席して加わらないのが当然 でして、今でも普通にしていますね。そういうことを言っているのに過ぎないのです。当 該案件に関しては審議する委員にはならないという意味ですね。言い方が委員となってい るので、わかりにくいのですが、つまり案件を審議するということで、身分的に委員とな らないという意味ではないですね。 ○笹月座長  最初にある研究実施機関の長は、どんなことがあろうが委員ではないのですね。 ○小幡委員  そうですね。研究に関係する、たまたまそういう、その人のなさる研究の案件が来たと きは加わらないのは当然だと思います。それを言っているということですか。 ○笹月座長  それを言っているわけでしょう。 ○小林母子保健課長補佐  そもそも個別の案件の審議に加わるかどうかは会議自体に同席しないとか、途中で退席 を求めることなのか。あるいは議決権を有する委員としては加わらないのだけれども、何 らかの形で研究実施機関の長が同席するなり。 ○笹月座長  いやいや、研究実施機関の長は諮問する側ですから、その委員会に出てくるのは、そも そもおかしいと思います。それは論外で、その次の研究に関係する者が当該案件に関して は参加しませんよということでしょう。だからこれは当然ですね。 ○小幡委員  委員会というのは常設されているわけですね。委員会の委員としては任命されているわ けですね。このかかわる案件については、その方は加わらないということを言っているだ けだという理解でよろしいですか。 ○笹月座長  そうです。ですから文章として最後の「委員となってはならない」というのがおかしい わけで、委員になっているのだけれども、その場は退席しますと。これはそういう意味で す。 ○小幡委員  それでよろしいですね。わかりました。普通そうだと思いますので、あえてという感じ もしますが。 ○高木委員  一度ESの方で近親者が委員になっていたことが実際にあったのです。ですから、これは あえて書いているのだと思います。 ○笹月座長  ですから、その案件のときは退席する。 ○高木委員  退席ではなくて、倫理審査委員会において親がどこかの医学部の教授で、委員長になっ ていた。名前が同じなので、まさかと思ったら、親子だということがわかったということ があったので。 ○笹月座長  特殊な案件のときでしょう。他の案件のときには、その人が委員であるということは構 わないわけです。 ○高木委員  倫理審査委員であれば、どの案件も全部関係してくるわけでしょう。 ○笹月座長  どういう意味ですか。親子だというのは特定の案件が出されてそれを審査するときに、 その委員はその場にいてはいけませんというのが普通で、他の案件の時には。 ○高木委員  機関内の委員だったら関係してくるのではないですか。 ○小幡委員  いろいろな研究がありますから、およそ研究の担当になりそうな方は全く委員にはじめ からなれないという話ではないということだと思います。そのかかわる研究が出てきたと きには、その会議には出られないということです。 ○笹月座長  よろしいですね。では14ページはそういうことで。それでは、続きまして16ページか らの「精子(精巣)を含む提供機関」についてです。「提供機関は、提供者から直接ヒトの精 子の提供を受けることから、精子の保存設備など十分な施設、設備が整っているとともに、 管理体制及び遵守すべき規則等が整備されていることとするか」。これは何か特段異論があ りましょうか。よろしいですね。  「また、採精室が設置されていることが望ましいとするか」。採精室、これは望ましい。 よろしいですか。望ましいということは、なくても仕方がないということです。よろしい ですね。  「提供機関は、ヒトの配偶子の提供を受ける目的について、科学的妥当性や倫理的妥当 性について、第三者的な立場から意見を述べることのできる機関内倫理審査委員会を必ず 機関内に設置することを必要とするか」。精子の提供機関として機関内倫理審査委員会を必 須とするかということです。これはいかがでしょうか。よろしいですか。必ず必要である と。  「提供機関は、十分な臨床経験のある産科婦人科又は泌尿器科の医師が所属しているこ とを必要とするか」。これはいかがですか。泌尿器科医はいなくても産科医あるいは婦人科 医がいればよろしいということですか。この文章はこれでよろしいですか。  続きまして17ページ「提供機関は原則、医療機関でなければならないとするか。また、 ボランティアの提供も考慮に入れて、医療機関ではない提供機関を認めるか」。これはいか がでしょうか。 ○鈴木委員  これも質問ですが、よろしいですか。医療機関ではない提供機関というのは例えばどう いう所のイメージですか。今はっきりわからないので。 ○笹月座長  というよりも、恐らく研究室とか何とかだと思うのですが、その前の16ページの最後の 白丸のところで「提供機関は、十分な臨床経験のある産科婦人科又は泌尿器科の医師が所 属していることを必要とする」と言ったからには、医療機関以外にそういう先生が所属す るというのはあまりないのではないですか。研究機関で医療行為は行っていないけれど、 たまたま産科出身の人がそこの研究部長でいるとか、そういうことはあるのかもしれませ んけれども、その点はいかがですか。本当の意味での医療機関ではない。診療はしていな いけれども産科・婦人科・泌尿器科出身のドクターが研究部長や研究室長という形でいる とか。 ○安達委員  このイメージとして、治験のセンターのような所が確かにあります。治験のため健康ボ ランティアを登録しておいて、そこで薬を飲んでもらったりするときに、血液やいろいろ なサンプルを採るというような。そこには医師が多分一人や二人はいると思いますが、必 ずしも産婦人科医・泌尿器科医がいるとは限らないのです。多分そういうことをイメージ してボランティアの提供も考慮に入れてという言葉が書かれているのではないかと思うの ですが。 ○笹月座長  なるほど。そうすると、確かに診療行為をしていなくても、そういう専門の医師がいれ ばよいということですか。前のところで、いることは必須であると言ったわけですので。 ○安達委員  精子についてのことを考えれば、あまりそういうイメージの所は特に要らないのではな いかという気がします。 ○笹月座長  何が要らないのですか。 ○安達委員  つまり、このボランティア提供を考慮に入れて、医療機関ではない提供機関を認めると いうことは特に要らないのではないかと思います。医療機関にボランティアで提供する人 はいると思いますので。 ○笹月座長  それは具体的には医療機関でなくてもよろしいという意見ですか。 ○安達委員  いいえ。医療機関でなければならないとすべきであるという、私はそういう意見です。 ○笹月座長  医療機関でなければならないと。いかがでしょうか。医療機関ではない。16ページの提 供機関の条件のところで、精子の保存設備うんぬん。それから遵守すべき規則、採精室、 倫理審査委員会、それから産科・婦人科・泌尿器科の医師の存在というようなことまで いってくると、医療機関でなくてそれだけの条件に合致するということは難しいですよね。 ですから、ここは医療機関であるということでよろしいですか。 ○長野対策官  以前に事務局としまして精子については、今でも普通の医療機関でない研究機関でも、 精子を例えば郵送していただいて研究されていることがある。現実問題としてあるという 話も伺ったので、場合によっては研究を実施しようとしている研究実施機関が、直接精子 の場合には提供を受けるという場合も想定範囲としてはあり得ると思いまして、こういっ た記述を加えたのですが。あとは笹月座長がおっしゃったように、前の要件のところで、 ここの要件からすると当然のように医療機関になるかもしれないということであれば。 ○笹月座長  そうではなくて、今は実施機関ではなくてここは提供機関をいっているわけですから。 郵送してもらって、それを使って実験するというのではなくて、(2)は提供機関を提示、規 定しているわけだから。 ○長野対策官  提供機関にもなり得ると。普通の研究機関が提供機関にもなり得る場合が現在はあると 伺っていたので書き加えただけです。 ○笹月座長  今の郵送してもらってやるというのは実施機関であって提供機関ではないですね。です から、提供機関とすれば医療機関でなければならないと。それでよろしいですか。 ○鈴木委員  すみません。もう一つ確認してよろしいですか。精子に関してはボランティアの提供も 良いということになっていたのですか。前に戻りますが、そこだけ確認させてください。 ○小林母子保健課長補佐  資料3の5ページをご覧いただければと思います。5ページの下から二つ目の黒丸で「無 償ボランティアからの精子の提供については、自発的な提供の申し出がある場合は認める こととする」ということで、同意をいただいているところです。 ○鈴木委員  もう一つ確認ですが、これは例えば研究機関内にいる人もその対象者になれるのでした か。そうした議論をしましたか。記憶があいまいなのですが。つまりボランティアになれ る人ですね。 ○小林母子保健課長補佐  確か、そこまでは議論はいただいていないと思います。 ○鈴木委員  していませんね。 ○笹月座長  それは前の案件ですので、先に進ませて下さい。原則医療機関でなければならないとす るかどうかというところを、一つご意見をいただきたいのですが。 ○秦委員  よろしいですか。笹月座長が言われたように、最初に幾つかの条件がありますので、原 則としては医療機関ということで銘うった方が良いと思います。 ○笹月座長  それでよろしいですね。それでは提供機関は原則医療機関でなければならない。  「手術等で摘出された精巣又は精巣切片からの提供の場合については、精子の採取に必 要な採精室のような施設、設備は必要ないとしてよいか。ただし、その場合であっても、 管理体制(管理者の設置、管理記録の保存、施錠管理等)及び遵守すべき規則等が整備されて いることとするか」。これは先ほどの採精室は「あった方が望ましい」という程度なので、 この項目はあえて書かなくてもよいのではないですか。よろしいですね。 ○小林母子保健課長補佐  すみません。今のところの確認ですが、提供機関は原則医療機関でなければならないと するということですが、その後のボランティアについて医療機関でない提供機関を認める かどうかについては明示しないということですか。 ○笹月座長  なぜボランティアだと差別というか区別されるのかというのが私には理解できないので す。 ○小林母子保健課長補佐  いわゆる診療には関係しないのでしょうけれども、例えば研究機関で直接採取するとか、 あるいは明確には。 ○笹月座長  そういうことなら、はじめの文章の意味がなくなりますね。提供機関はというところで。 ○小林母子保健課長補佐  わかりました。 ○笹月座長  それでよろしいですか。 ○深見委員  原則という場合には例外があるという取り方ができると思うのですが、この場合に原則 に対して何か質問等のときの例外はどういうことを想定するのか。 ○笹月座長  ちょっとそれは話をおきまして、ボランティアだと医療機関でなくてよろしいという理 屈はどう考えても成り立たないと思うのです。ですから原則などとせずに、提供機関は医 療機関でなければならないということでよいか。それとも深見委員がおっしゃるように、 原則といったからにはどういう場合を例外とするか。要するに提供機関は医療機関でなけ ればならないということは大原則でよろしいのではないですか。それで。原則とせずに医 療機関でなければならないと。何か不都合なことはありますか。ボランティアは実施機関 がどこか医療機関と提携して採精してもらうということで、それほど面倒なことではない ですね。 ○小林母子保健課長補佐  では「原則」も外して、「提供機関は医療機関でなければならないとする」ということで、 確認をさせていただきます。 ○笹月座長  最後の白丸は、ですから採精室うんぬんよりも、管理体制及び遵守すべき規則等が整備 されていることとするか。これもどうしても必要ならそう述べてもらってもよいですが、 この最初のところで精子(精巣を含む)と書いていますので、今までの文章の中で最後の白丸 のところはカバーされていると思います。これまでのところはそれでよろしいですか。そ れでは次に20ページですか。 ○小林母子保健課長補佐  20ページの(2)「提供機関の長の要件」に移らせていただきます。資料3-2を参照と書い ていますが、資料4-2でございます。申し訳ございません。資料4-2を参照にしながら確認 いただけたらと思います。「提供機関の長は、研究実施機関の長より依頼された研究計画に ついて、インフォームド・コンセントの内容も含めてその妥当性を確認し、その実施を了 解するとともに、提供の進捗状況を把握し、主治医に対し必要に応じて指示を与えること 等の監督業務等の役割が求められるが、研究の実施には直接関わらないことから、提供機 関の長が主治医を兼ねることを認めるか。又は、適切な採取やインフォームド・コンセン トの取得の手続きを審査する機関内倫理審査委員会を提供機関の長が設置することから、 主治医を兼ねてはならないとするか」について、ご検討をお願いします。 ○笹月座長  これはいかがでしょうか。提供機関の長が主治医を兼ねること。 ○石原委員  文章が複雑すぎてよくわからないのですが、おっしゃりたいことは、提供機関の長が主 治医を兼ねることを認めるかということだけと考えてよろしいですか。前半の部分がよく わからないので。 ○小林母子保健課長補佐  そういうことです。認めるか、認めないかということで、端的にいえばそういうことで す。 ○笹月座長  しかも、これは精子に限らず卵子も含めているわけですね。 ○小林母子保健課長補佐  そうです。 ○笹月座長  これはいかがでしょうか。 ○小幡委員  これも、その案件にという意味ですか。二つ目の白丸は、提供機関の機関内倫理審査委 員会の話ですね。 ○笹月座長  20ページの。 ○小幡委員  すみません。失礼しました。21ページを見ていました。 ○笹月座長  提供機関の長は。少しわかりにくいのは、「提供機関の長は」というけれども、それは研 究実施機関の長でもあるわけですね。提供機関も実施機関である場合もあるわけでしょう。 ○小林母子保健課長補佐  別の場合です。研究実施機関と提供機関が別の場合です。4-2の1ページ目のケースです。 同一の場合は22ページ以降で、またご審議いただくということで。 ○安達委員  質問ですけれども、前半の部分は兼ねても良いかと思うのですが、その後の「機関内倫 理審査委員会を提供機関の長が設置することから、主治医を兼ねてはならないとする」と いうのがよくわからないのです。これは提供機関の機関内倫理審査委員会という意味です ね。そうですよね。それを設置してもその機関の長が倫理審査委員会の委員になるわけで はないですよね。ですから、主治医を兼ねてはならないとする、その意味がわかりにくい のですが。提供機関と研究実施機関が別の場合ですので、主治医を兼ねても良いのではな いかと思います。 ○笹月座長  ただ、ここで懸念しているのは、機関の長が主治医であって、卵子の提供ということに 関して何かプレッシャーがというようなことを懸念しているのですね。そういうことです か。 ○小林母子保健課長補佐  ご指摘の通りです。 ○笹月座長  何かこの意味がよくわからない。 ○吉村委員  よろしいですか。(2)の「提供機関長の要件」の白丸の1個目では、「又は」以下はあまり 考えない方が良いのではないですか。「研究の実施には直接関わらないことから、提供機関 の長が主治医を兼ねることを認める」でも良いと思います。そして機関内の倫理審査委員 会については、又別途定めるということでよろしいのではないでしょうか。 ○千村母子保健課長  これは文章が非常に複雑で読みづらいと思うのですが、要するに端的にいいますと「主 治医を兼ねることを認めてよいでしょうか」あるいは「主治医を兼ねることを認めてはい けないでしょうか」という二つの選択肢のどちらかを選んでいただきたいという趣旨でし て、前半の「認める」ということを取るとすれば、その根拠になるものは、それ以前のと ころに書いてあると。「兼ねてはならない」と判断するとすれば、それは施設の長が倫理審 査委員会を設置するという立場を兼ねて持っているので主治医になってはいけないと考え るかという、二つに一つの選択肢の中で、どちらを取りましょうかという端的にいえばご 相談の文章になっているとお読みいただきたいと思います。 ○笹月座長  少なくとも提案された課題について、機関の長が主治医という形で関与している。それ は第三者から見て不都合かどうかということですね。それはいかがですか。 ○千村母子保健課長  もちろん提供者の主治医ですよね。しばしばありそうな感じはしますね。それを容認す るかしないか。長は認めないという立場であるとすれば、それは倫理審査委員会を設置す る責任を持っている立場なので、主治医を兼ねるのはおかしいのではないかという立論に なりましょうし、認めるとすればそれ以前に書いてあるところで研究とは直接かかわりな いという立場であるから認めてもよいのではないかという二つの立場があり得て、そのど ちらの立場を取ったらよろしいでしょうかというのがここの趣旨だと思います。 ○笹月座長  その機関の長が第三者としての諮問委員会を作って、そこの判定を待っているのに、実 は自分が提供者の主治医なので、そこで少し説明の仕方に力が入るのではないかと。主治 医として提供者に説得するような力が働くのではないかということを懸念しているのです ね。 ○小幡委員  要するに提供機関のところのインフォームド・コンセントの手続きが、長が主治医です と大丈夫かというか、倫理審査委員会との関係ですね。懸念はわかりますが、いずれにし てもその場合倫理審査委員会は、形式的な設置は確かに提供機関の長になるかもしれませ んが、中立的に審査しなければいけないということになるので、その主治医は当然入れな い形で審議をする。それが担保されていればよいはずですね。ですから倫理審査委員会は 確かに位置付けとしては機関内ですから置けてしまうのですが、恐らく形式的な問題なの であって、実質的には、そこの担保ができていれば問題ないと思います。倫理審査委員会 の公正さの問題ではないでしょうか。 ○笹月座長  問題になるとすれば、主治医が提供者にぜひ提供するようにという説明をする場合、そ れは何も機関の長ではなくても、研究とは関係のない主治医が提供者に提供するように、 うまくそちらの方向に誘導するような説明をするという問題がある場合、それが諮問委員 会を設置した機関の長であった場合には、具合が悪いだろうという懸念だと思いますが、 それは機関の長に限らずすべての主治医にいえることでしょうということだから、これは よかろうということですね。そこの判定を皆さんにしていただければと思います。 ○小幡委員  先ほど申し上げたのですが、倫理審査委員会でそういうことがチェックできればよろし いわけです。主治医がそういう強引な引っ張り方をしていないかということが、倫理審査 委員会できちんと審査されるということで、それでよろしいと思っています。 ○後藤委員  倫理審査委員会が独自に自由な立場で審査できることが確保されていればよいと私は思 います。だから機関の長の倫理委員会への勧誘などがない状態が、倫理委員会として確立 されていれば、こういうことが起こらないし、当然主治医が一生懸命にインフォームド・ コンセントで何とかするというのは、どの立場の主治医であっても同じだと思いますので。 ○笹月座長  よろしいでしょうか。そういう大勢のようですが、ではそういうことにいたします。 ○小林母子保健課長補佐  確認させていただきますけれども、研究機関の長が主治医を兼ねることを認められると いうことで、「又は」以下の部分は削除させていただきます。  続きまして、21ページで(3)「提供機関における機関内倫理審査委員会の要件」です。今 の案件の続きになってきますが、「提供機関の機関内倫理審査委員会は、研究実施機関の機 関内倫理審査委員会の要件に加え、研究機関が行う研究計画の科学的妥当性及び倫理的妥 当性について、配偶子を提供する提供機関として審査を行うほか、特にインフォームド・ コンセントの手続き等について審査を行うこととするか」「機関内倫理審査委員会は、提供 者と常に中立性を保ち、第三者的立場から意見を述べる立場にあることから、提供に関係 する者(主治医等)も、機関内倫理審査委員会の委員となってはならないこととするか」とい うことについてご議論をお願いします。 ○笹月座長  それでは、この件についていかがでしょうか。ここであえてこれが出てきたのはどうい うことですか。 ○小林母子保健課長補佐  先ほど研究実施機関の倫理審査委員会についてご審議いただきましたが、それとは切り 離して、提供機関における機関内倫理審査委員会の要件を別途に定めて、その委員会で何 を議論いただくかの念のための確認です。 ○小幡委員  先ほど言いかけてしまいましたが、この二つ目の白丸の機関内倫理審査委員会も提供機 関における機関内倫理審査委員会のことですね。 ○小林母子保健課長補佐  そうです。 ○小幡委員  そうであれば、先ほどの関連ですが、当然これはまさに提供のインフォームド・コンセ ントの手続きを審査するのですから、提供にかかわる人はそこの審査はできないというの は当然のことだと思うのですが、この場合「委員となってはいけない」というのは、その 案件については議論できない、審査に入れないという意味ですね。 ○小林母子保健課長補佐  その通りです。 ○笹月座長  ですから「委員となってはならない」という書き方は改めた方が良い。その案件の時に は出席しない。参加しないとか。 ○小林母子保健課長補佐  文言を修正させていただきます。 ○笹月座長  最初の白丸は、あえて言うまでもなく当然のことなわけで、これは出てくる必要はない のではないですか。次の白丸もそれには参加してはならないということでよろしいですか。 上の白丸は要らないのではないですか。 ○小林母子保健課長補佐  確認事項として。 ○笹月座長  科学的妥当性、倫理的妥当性、それからインフォームド・コンセント、これをやるのが 倫理審査委員会だから、ここであえて出てきたのが、よくわからないのです。 ○小林母子保健課長補佐  確認の意味を兼ねて書かせていただいています。 ○笹月座長  倫理審査委員会の要件で当たり前のことだから要らないのではないですか。 ○小幡委員  恐らくは多分提供機関の機関内倫理審査委員会が提供についてのインフォームド・コン セントを審査するのは当然ですね。そうではなくて研究の良し悪しといいますか、妥当性 を提供機関の倫理審査委員会も見るということが大事なのでしょう。 ○小林母子保健課長補佐  そうです。 ○小幡委員  どちらかというと。そういう感じがしているのですが。書きぶりが逆のようですが、む しろ、提供機関の側は、自分では研究をしないのですが、提供をする先の研究というもの を見るということですね。 ○笹月座長  ですから提供機関としてのもろもろの審査はするけれども、提供先の実施機関の科学的 妥当性をうんぬんもしますよと。それだったらわかります。  次の22ページの3「研究実施機関と提供機関が同一の場合」について、これまでと同じ ような項目について決定していただくということですね。 ○小林母子保健課長補佐  では22ページからでございます。「3.研究実施機関と提供機関が同一の場合」の要件です。 1番目の「機関の要件」ですが「機関の用件については、前述の研究実施機関の要件及び提 供機関の要件をともに満たすこととするか」「研究実施機関と提供機関が同一である場合、 当該機関には提供機関として提供者の個人情報を有しているため、個人情報の保護のため の特段の措置を講じることとするか」ということでご議論いただきたい項目を挙げさせて いただいていますが、具体的な個人情報保護法の内容については別途議論をいただきたい と考えています。引き続いて説明させていただいてよろしいでしょうか。  (2)の「機関の長の要件」も資料3-2と書いていますが、資料4-2の間違いです。資料4-2 の最後のページを見ていただければと思いますが、「研究実施機関と提供機関が同一の場合、 機関の長は同一人物となる」ということが大前提となっていますが、この場合の機関の長 の要件については、2-1(2)の研究実施機関の長の要件及び2-2(2)、先ほどご議論いただきま した提供機関の長の要件をともに満たすこととするかということで、項目を挙げさせてい ただいています。  次の24ページでございますが、「研究実施機関及び提供機関の長は、研究計画について、 インフォームド・コンセントの内容も含めてその妥当性を確認し、その実施を了解すると ともに、提供の進捗状況を把握し、主治医に対し必要に応じて指示を与えること等の監督 業務等の役割が求められるが、研究には直接関与しないことから、主治医を兼ねても構わ ないとするか」又は、これは先ほどと同じような表現ですが、兼ねてはならないとするか ご議論願いします。それから(3)「研究責任者の要件」も資料4-2を参照いただきたいと思 いますが、「研究責任者は、生殖補助医療研究を実施するとともに、その研究にかかる業務 を統括するという責任を負うため、配偶子の提供者に対する心理的圧力などを防止する観 点から、主治医を兼ねてはならないとするか」。(4)「研究実施者の要件」です。「配偶子の 提供者に対する心理的圧力などを防止する観点から、主治医が研究実施者を兼ねてはなら ないとするか。又は、医療機関における一般的な研究においては、主治医が研究実施者を 兼ねる場合があることから、主治医が研究実施者を兼ねても構わないとするか」。(5)「機関 内倫理審査委員会の要件」です。「研究実施機関と提供機関が同一である場合、機関内倫理 審査委員会は一つでよいとするが、機関内倫理審査委員会の要件については、2-1(6)の研究 実施機関の機関内倫理審査委員会の要件及び2-2(3)の提供機関の機関内倫理審査委員会の 要件をともに満たすこととするか。上記の要件に加えて個人情報の措置を講じることとす るか」ということで、ご検討をよろしくお願いします。 ○笹月座長  22ページに戻っていただきまして、3の「実施機関と提供機関が同一の場合」の機関の 要件。1番目の白丸はよろしいですね。2番目の白丸の「特段の措置を講じることとするか」 ですが、例えば「します」といったら何をするということなのですが。 ○小林母子保健課長補佐  個人情報の保護については個人情報保護法などもありますので、そこは最後に包括的に まとめて議論いただきたいと考えておりまして、「特段の措置を講じることとするか」とい うクエスチョンで書いていますが、講じることを前提にまた後日改めてご議論いただきた いという趣旨です。 ○石原委員  特段の措置を講じる必要があるのは別の場合であって、同一だと逆のような気がするの ですが、同一の場合に特段の措置を必要とするというのはよくわからないのですが。 ○笹月座長  別の場合には匿名か、しかも連結不可能になっていればつながりませんね。ところが同 一機関であると、それが流れる可能性があるというつもりでこれは出てきたのではないで すか。リークする可能性が大きいから。 ○秦委員  今、石原委員がおっしゃったように同一であろうが別であろうが個人情報の保護は当然 するわけで、特に同一であるという前提は必要ではないと思いますけれど。 ○笹月座長  個人情報の保護がこちらは緩く、あちらは厳しいというのはおかしな話で、いずれにせ よきちんとしていなければいけない。だから「特段の」といったからには、同一機関だか ら今まで考えたより何か別のリークの仕方があるので「何か特段の」ということになるの ですか。何か具体的にそういうものがあれば吉村委員、何か現実問題として何か。同一機 関であることはしばしばあるでしょうから。 ○吉村委員  同一機関である場合も個人情報は保護しなくてはいけないと思います。個人情報の責任 者は置かないといけないことに今なっていますので、これは別に同一である場合以外はや らなくてはいけないということではないと思います。ですから同じようにやっていく必要 性はある。 ○笹月座長  逆に言えば同じようにやっていればよろしいかという、これは逆にクエスチョン。 ○吉村委員  それでよろしいと思います。 ○笹月座長  そうですか。それでよろしいですか。 ○小幡委員  恐らくどういう場合も個人情報保護の措置を講じるというのは当然のことであって、そ れによって何も問題がないようにしていくという目的は全く同じで結論も同じですが、提 供と研究を同じ方がするとなったときに、少し技術的なやり方の工夫のようなものをマニ ュアル的なもので教えてあげるといいますか、こんなやり方をすれば適切に十分配慮でき ますということを考えていると読んだのですが。恐らくやるとしても非常に技術的なやり 方について、指針を示すという程度だと思いますが。 ○笹月座長  「必要があれば別途に特段のものを」ということで委員の方には考えておいていただく ということにしたいと思います。  23ページです。「機関の長の要件」同一の場合の機関の長はもちろん同一人物ですが、「機 関の長の要件については2-1(2)の研究実施機関の長の要件と提供機関の長の要件をともに 満たすこととするか」。これは、これでよろしいですか。 ○星委員  先ほどは提供機関の長は主治医になれるけれども、研究機関の長は主治医になれないの ですね。要件が両方満たせないので。 ○笹月座長  提供機関の長は主治医になれるということになりましたね。 ○星委員  研究機関の長はなれないとなっていますから。 ○笹月座長  研究実施機関の長は主治医になれない。 ○石原委員  代行を置けばよいということになったのではなかったですか。 ○笹月座長  主治医は代行の話は出ていないですね。 ○星委員  失礼しました。黒丸の三つ目に「研究責任者又は研究実施者として適当なものが研究機 関の長以外にいない場合もあることから」と書いてありますから、私の先ほどの発言は控 えさせていただきます。   ○笹月座長  そうすると23ページの(2)の機関の長の要件ですが、「ともにその要件を満たすこと」で よろしいですか。  それから24ページ「研究実施機関及び提供機関の長は、研究計画について、インフォー ムド・コンセントの内容も含めてその妥当性を確認し、その実施を了解するとともに、提 供の進捗状況を把握し」これは、 ○小林母子保健課長補佐  これは、先ほどと同じ内容でして、要するに研究実施機関及び提供機関の長が主治医を 兼ねても良いか、駄目かということで、先ほどの兼ねて良いということからすると、提供 機関と研究実施機関が同一の場合であっても、主治医を兼ねても構わないということで良 いかどうかという確認です。 ○笹月座長  よろしいですか。研究責任者の要件。研究責任者。 ○吉村委員  ちょっと待ってください。今の問題ですが、この絵を見ますと研究実施機関の長と提供 機関の長は一緒になるわけですね。同一になりますね。先ほど提供機関においては主治医 としてよろしいということだったのですが、研究実施機関の長であっても主治医であって も良いということにはならない感じがします。 ○笹月座長  その件はどこかで議論をしたのですか。 ○吉村委員  同一機関においては、していないと思います。 ○笹月座長  同一機関ではもちろんしていないですが、実施機関の長は。 ○吉村委員  主治医にはなれないですね。研究機関と違うわけですから。主治医というのは患者に接 する人ですから提供機関しか主治医にはなれないはずです。研究機関と提供機関が違えば。 ○笹月座長  そうすると、先ほどの両方の要件を満たすうんぬんも難しくなるということになります か。 ○吉村委員  両方を満たすということになると、研究実施機関の長は主治医を兼ねられないというこ とになるので、バツになります。この資料4-2の絵を見ながらやっていくと非常にわかりや すい。ですからクエスチョンマーク三つをどうするかをまず考えて、それから今のことを 考えていくとわかりやすいと思います。この絵を見てみますと4人いるわけですよね。研 究実施機関の長、あるいは兼任している提供機関の長。それが一人。研究実施責任者がい て、主治医がいて研究実施者がいる。4人いれば全部できるということになりますと全部バ ツでも済むということです。それであまり問題はない感じがします。 ○石原委員  責任者と実施者は兼ねられるわけですね。 ○吉村委員  同一の場合はどうするかは後から決めた方が良いと思いますが、これははじめからバツ に書いてありますね。 ○石原委員  研究責任者と研究実施者。 ○吉村委員  同一の場合ははじめからバツに書いてありますね。 ○笹月座長  いや、線が入っていない。 ○吉村委員  そうですね。これは要するに同一かどうかは考えないといけないですが。 ○笹月座長  研究実施機関の長は責任者もこれもならない。機関の長は主治医になってよろしい。そ うすると主治医というのは、研究実施機関は、待ってください。  今の吉村委員がおっしゃった資料4-2の絵を見ますと、なぜ混乱したかというと、これま でのところでは研究実施機関というところには主治医が出てこないのです。それで研究実 施機関の長が主治医を兼ねてはならないということだから議論しなかったのではないです か。 ○吉村委員  それはしていないです。 ○笹月座長  そこで提供機関の長は主治医を兼ねてもよろしいとなったとすると、最後の両者を兼ね た場合の機関の長が主治医とはなれないということにはならないわけですよね。 ○吉村委員  なれるということにもならない。 ○笹月座長  ですから議論していないのです。実施機関の長が主治医になってよろしいかどうかとい う議論をしていないのです。 ○安達委員  そうすると、23ページの(2)の最初の白丸の2行目の2-2(2)が、先ほど議論したところで すが。 ○笹月座長  ですから、そこを議論していなかったのです。 ○安達委員  ですから、この「両方を満たすこととするか」というのは、まだ。 ○吉村委員  そこで今問題を提起したということです。 ○笹月座長  言えないわけです。研究実施機関の長が主治医。提供機関と研究実施機関が別の場合に は、研究機関の長が主治医であるということはそもそもあり得ないわけですよね。そうい う関係はあり得ない。ですから、議論するまでもなかったわけです。そうすると、提供機 関の長と研究実施機関の長が一緒になった場合に、既に提供機関の長は主治医となれると 言ったのだから、これが「同一人物であっても主治医となれるということでよろしいか」 ということです。それはいかがですか。 ○吉村委員  提供機関においてのみの場合には、そのようなことは許されてもよいけれども、研究実 施機関と提供機関の長が同一の場合は主治医であってはならないとした方がよろしいかと 思います。 ○笹月座長  どういう理由か、少し説明していただけますか。 ○吉村委員  要するに自分で研究する、提供する、そのような長でありながら、主治医になり得ると いうことは当然のことながらいろいろな自分の思いが加わってくるだろうと思います。通 常そういった方は主治医になるべきではないと思います。要するに同一機関でできるよう な施設であれば、別の人を見つけるのはそれほど難しいことではないと考えます。 ○笹月座長  いかがですか。他の委員の方はいかがでしょうか。  しかし先ほどの議論のときには、提供機関の長が主治医になれると言ったときには、そ れは倫理審査委員会を諮問機関として、機関の長は付託しているのにそれでよろしいかと いうときに、倫理審査委員会がきちんとして、そこで審査をするのだから良いという理屈 だったわけですよね。もしその理屈をそのまま使うとすれば、同一人物であっても倫理審 査委員会がきちんとやれば良いと。先ほどのせりふそのままでいけば。 ○石原委員  今の件ですが、この場合は同一機関ですので倫理審査委員会が同一になってしまうわけ ですよね。ですから、その担保が非常に難しくなるというのはあり得ると思います。先ほ どの場合は、提供機関と研究実施機関は別の倫理審査委員会ですからよろしいと思います が、今回は多分普通は一つしかありませんので、それを考えると確かにこれを全部兼ねる というは、なかなか難しい問題がありそうな気がします。 ○笹月座長  他によろしいですか。どうぞ。 ○千村母子保健課長  今、吉村委員がご指摘になった点が一つ重要なポイントだと思います。私自身の復習も 含めて申し上げますと、要するに提供機関と研究実施機関が同一である場合に、その長が 主治医を兼ねているというときには、結局、提供機関の長でもあって、研究実施機関の長 でもあって、提供機関の長である限りは研究を推進するというインセンティブは、特にあ ってもなくてもよいと思いますが、研究実施機関の長ということになれば、そこには当然 研究を進めるインセンティブが働いてくるだろうと。その場合に、提供者の主治医と長を 兼ねている場合に、提供者に対して「ください」と言っていくインセンティブが働いてし まうのではないかというのが吉村委員のご指摘ではなかろうかと思います。 ○笹月座長  わかりました。皆さまはいかがでしょうか。 ○女性  その通りだと思います。 ○笹月座長  よろしいですか。それでは足し算では解決できない問題であろうということがよくわか りましたので、同一になった場合には、長は主治医となってはいけませんということです ね。 ○小林母子保健課長補佐  もう一度確認させていただきますと、24ページの一つ目の白丸で、研究実施機関および 提供機関の長が主治医を兼ねることができるかできないかという点については、主治医を 兼ねることができないと。ただその理由については当初は「又は」以下のところで、「機関 内倫理審査委員会を機関の長が設置することから」という理由が書いてありますけれども、 むしろ吉村委員がおっしゃったように、配偶子の提供者に対する心理的圧力などを防止す るという、むしろそちらの理由の方が大きいということで、そこをやはり何か。 ○笹月座長  下の方は、むしろ提供機関の話ですから ○小林母子保健課長補佐  そこについては、後ほど文章を修正させていただきます。 ○笹月座長  ありがとうございます。  続きまして研究責任者の要件です。「生殖補助医療研究を実施すると共に、その研究にか かる業務を統括するという責任を負うため、配偶子の提供者に対する心理的圧力などを防 止する観点から、主治医を兼ねてはならないとするか」。それからその下の「研究実施者の 要件」も同じことで、主治医が研究実施者を兼ねても構わないとするか、あるいは駄目か と。 ○秦委員  これも先ほど吉村委員の言われたことを進めるとなると、これは責任者になれない、あ るいは主治医は研究実施者になれないという形になるのではないでしょうか。要するに、 最低4人が必要になるのではないかと思います。 ○笹月座長  今のご意見ですが、どなたか他の委員の方ご意見はありますか。  そうすると、同一の場合には、機関の長、機関の研究責任者、それから研究実施者はす べて主治医とはなれないということでよろしいでしょうか。よろしいですか。ではそのよ うにさせていただきます。  続きまして「機関内倫理審査委員会の要件」です。研究実施機関と提供機関が同一であ る場合に、機関内倫理審査委員会は一つでよいとするが、機関内倫理審査委員会の要件に ついては、研究実施機関および提供機関の要件をともに満たすということでよろしいかと。 これはいかがでしょうか。これは先ほどのように何か相反するようなことはありますか。 ○高木委員  これは別に倫理審査委員会なので、あえて分ける必要性はないのではないかと思います。 それをきちんと提供。 ○笹月座長  分けるのではなくて一つでよいとするのかと。 ○高木委員  ですから、分ける必要がないから一つでよいのではないかと。 ○加藤委員  これは一つでよいけれども、条件は同じでよいかどうかと。 ○笹月座長  そういうことです。これはよろしいですか。  「個人情報保護の措置を講ずる特段の」というのは先ほどと同じように、特段のことを お考えいただくということにしたいと思います。 ○小林母子保健課長補佐  もう1点、23ページのところでもう一度確認になりますけれども、「機関の長の要件」に ついて、2-1(2)、2-2(2)を四角で囲んでいますけれども、提供機関の長の要件は先ほどご議 論があったように、提供機関と研究実施機関が分けられる場合は提供機関の長が主治医に なれるが同一の場合は駄目だということですけれども、2-1(2)の「研究実施機関の長の要件」 については、同一の場合は全く同じ要件でよいのかのご確認をお願いしたいと思います。 研究実施機関の長の要件を研究実施機関と提供機関が同一の場合であっても、この研究実 施機関の長の要件を満たすこととしてよいのかについて、よろしいでしょうか。 ○笹月座長  特段、問題があるようなことはありますか。よろしいですか。  それでは次の26ページの4.「複数の研究実施機関が共同でヒト受精胚を作成又は利用す る場合について」です。 ○小林母子保健課長補佐  26ページの4.「複数の研究実施機関が共同でヒト受精胚を作成又は利用する場合につい て」ということです。これも資料4-3を参照しながら、ご覧いただければと思います。「研 究実施機関は、作成されたヒト受精胚からの個体産生を事前に防止するという観点から、 原則として、そのヒト受精胚を他の機関に移送してはならないとするか」「ただし、複数の 研究実施機関が共同でヒト受精胚を作成又は利用することが考えられるが、この場合は例 外として、共同で研究を行う研究実施機関の間でのみ作成されたヒト受精胚の移送を認め ることとするか」。複数の研究実施機関が共同でヒト受精胚を作成または利用する研究を行 う場合の研究実施の手続きについては、後ほどあらためてご検討いただきたいと考えてい ます。  それからその研究実施機関の定義ですが、2-1(1)でご議論いただきましたけれども、ここ でいう研究実施機関は、研究目的でヒト受精胚を作成・利用する機関であり、作成された 胚から抽出したDNA、RNA、タンパク質等のみを分析する機関は除くものとして定義を考 えています。よろしくお願いします。 ○笹月座長  4については、よろしいですか。原則として他の機関に移送してはならないと。その次に 「ただし」というので、複数の機関が共同で作成または利用することが考えられると。こ の場合を例外としてうんぬんと。この場合の、ヒト受精胚を作るというところも複数の研 究実施機関が共同して行うことは実際にどのようなことが推定されているのですか。 ○小林母子保健課長補佐  同じプロトコールの実験の中で一つの機関だけではなくて、複数の機関で同時に作成を 行うようなこともあり得るのかと。その場合に作られたものをやり取りするようなことも 当然想定されるということで考えています。 ○笹月座長  よろしいですか。そのような場合にはヒト受精胚の移送を認めることでよろしいですね。  それから研究実施機関の定義が四角で囲ってありますが、これもよろしいですか。 ○深見委員  どうしてこのDNA、RNAのみは除かれなくてはいけないのですか。 ○笹月座長  実施機関が備えるべき要件や提供機関が備える要件をもろもろ決めましたけれども、そ れにはそぐわないということで、これがもし倫理指針だとしたら、その倫理指針の外枠で すと。 ○加藤委員  もうヒト扱いしないということですよね。 ○笹月座長  4まではよろしいでしょうか。では次に5です。 ○後藤委員  26ページの研究実施期間の定義のところですが、「タンパク質等のみを分析する」と書い てありますが、このタンパク質で渡されるものという、抽出されたタンパク質のみを分析 依頼されるものと、そのような言葉を入れてほしいと思います。胚を渡されてそこで自分 がするのではなくてということです。 ○笹月座長  わかりました。よろしいですか。  では次の5です。 ○小林母子保健課長補佐  では5.「研究終了後のヒト受精胚の取扱いについて」です。これはだいぶ前にご議論い ただいた内容ですけれども、資料3にさかのぼっていただきまして、資料3の3ページの 下の方に「ヒト受精胚の作成・利用における禁止事項」が書いてあります。資料3の4ペ ージに、当該研究の終了後、胚を保存する目的で凍結すること。保存目的で凍結していた 胚を他の研究者が違う研究目的で使用することを認めるか否かについては、研究実施の要 件について検討する際に再度検討することとするということが宿題事項となっていますの で、その宿題事項を研究実施の要件の検討の最後で、今あらためてご議論いただきたいと いう趣旨です。この資料3の3ページの下から4ページの上のところのことは四角で囲ん でいますけれども、既に合意いただいた事項としては「ヒト受精胚の作成・利用における 禁止事項について」ですが、「作成・利用した胚の胎内(人・動物)への移植については行わ ないこととする」「胚の取扱い期間については、受精後14日以内とし、14日以内であって も原始線条が形成された場合には利用しないこととする」「作成・利用した胚については凍 結を認めることとする」「作成・利用した胚の凍結については、例えば凍結技術の向上を目 的とした研究等は、認めることとする」「胚を凍結する場合には、その凍結期間については 胚の取扱い期間に算入しないこととする」ということで、同意をいただいていますが、こ の終了後の扱いです。「作成されたヒト受精胚を無断で使用したり、持ち出したりすること ができないようにするための管理徹底という観点から、作成されたヒト受精胚については、 その研究が終了した段階で、速やかに滅失させることとするか」ということでご検討をよ ろしくお願いします。 ○笹月座長  これはいかがでしょうか。はい、どうぞ。 ○深見委員  質問です。この意図しているところは、何か病気や貴重な受精卵を作った場合に、将来 にわたって何か使う可能性があるだろうということを考えるということなのでしょうか。 ○小林母子保健課長補佐  そういう可能性を考慮に入れても、保存を一切認めないかどうかということです。 ○笹月座長  そうしますと、この四角で囲んである既に合意したところの最後の二つです。「作成・利 用した胚の凍結については」。利用したということはもう研究が済んだというイメージを与 えますよね。ですから、それをもう1回凍結して、認めるということ。ですから、ここで いう作成・利用した胚の凍結というところの。 ○小林母子保健課長補佐  ここの「作成・利用した」という場合の「利用した」は、必ずしも研究目的が終わって しまったという意味ではありません。主として作成した胚ということでご理解をいただけ ればよいかと思います。 ○笹月座長  そうすると「利用した」は除いた方がよろしいですか。 ○小林母子保健課長補佐  これまで作成および利用という言い方をずっとしてきていますので、作成および利用を 目的としたガイドラインですので。 ○笹月座長  厳密に言えば、まだ研究が終了していない胚ですね。そういう意味ですね。 ○小林母子保健課長補佐  そういうことです。 ○石原委員  よろしいですか。27ページでは、作成されたヒト受精胚については速やかに滅失させる と書いてあり、「研究が終了した段階」が利用に相当すると取れるので、こちらの前の場合 の「作成・利用した胚については」というのは、凍結を認めることとするという議論はし たわけです。 ○小林母子保健課長補佐  そこは研究の過程、プロセスでということです。 ○石原委員  少しニュアンスが違う気がします。 ○小林母子保健課長補佐  既に合意いただきました凍結というのは、あくまでも研究の過程での凍結ですので、研 究が当初作られたプロトコールの一連の研究が終わってしまった後も引き続き凍結を認め るか、それとも当初のプロトコールが終了してしまった時点で、もはやそれ以降の追加の 凍結を認めずに滅失するかということが論点です。 ○笹月座長  ですから、前に認めたのは研究のまだ途中での胚については認めた。 ○小林母子保健課長補佐  そういうことです。 ○笹月座長  ですから、今回は終了した後の胚をどうするかということを決めていただければよいわ けです。 ○秦委員  よろしいですか。研究計画を倫理委員会にかける時は、当然研究が終わったときにはど うするかを含めて審査を受けるわけです。その場合、受精胚を使った研究は終わるわけで すから、それを(受精胚を)残して他の研究に使うことは禁止するべきだと思います。 ○笹月座長  よろしいでしょうか。いかがですか。 ○高木委員  例えば、再度チェックするというようなことは必要ないのですか。研究が終了したけれ ども、その後それをチェックしたいというようなことが起きた場合は、保存しておかない とできないわけですよね。 ○笹月座長  ですから、もしそのような可能性があるなら、終了したと言わずに、途中で将来またチ ェックしますとしておけば、もう以前認めたことで済むわけです。ですから、本当に完了 したとなると、それで終わりですと。それでよろしいでしょうか。いいですか。 ○後藤委員  凍結期間に関する規定いうのか、そのようなものは考えられないのでしょうか。例えば2 年間は凍結期間として認めるなど、そのような規定の仕方はあり得ないのでしょうか。 ○小林母子保健課長補佐  あり得ないというのか、そこを速やかにというのが猶予を認めずにすぐに滅失させるか どうかということです。 ○後藤委員  そうではなくて、ある程度のところでストップさせておいて、また分析に掛かると。想 像ですけれども、例えば研究で胚を作って、ある程度まで進んだところで一緒にそろえて おいて分析に掛かるという研究もあるのではないかと。そうすると、凍結期間は規定され ないで、無期限でよいのでしょうかというのが私の質問です。 ○秦委員  それは研究の計画のところでそこまでやるかどうかを明確にするわけだから、先生のい われる場合は当てはまらないと思います。それは研究が終了していないわけです。 ○後藤委員  研究は終了していないのですけれども、凍結期間の規定は設けなくてよいですかという のが私の疑問です。 ○笹月座長  現実的な問題として、途中で凍結して20年後に見ますというのはあり得ませんので。 ○深見委員  ただ、再検査等も考えた保存の仕方というと、本当の意味で終了なのか、一時的な終了 というのか、経過段階なのかという辺りの判断がぼやけてきてしまって、例えば再検査の ために取っておきますという段階でストップしたとしても、忘れられてしまうといったら 何ですが、研究がすぐに発表になって終了が明確になるととてもよいのですけれども、な かなかどこで終了か明確にならないことが多いという気がしています。そうすると終了が あいまいになって、何となく保存してしまうという状況が発生するのではないかというこ とが少し気に掛かっています。 ○安達委員  恐らく、研究のプロトコールの中に、一定期間凍結した後にまた何か変性しているもの などを調べるというのが、入っているとすれば、よいのではないかと思います。一律に凍 結期間は何年以内とするというものをここに入れる必要はないと思います。 ○深見委員  心配しているのは、例えば研究者自身もプロトコールの段階で明確にそのようなことが 書けるのかと思うところがあります。要するに、もちろん計画はきちんとしているのです けれども、後々の再検査などまで含めたところを考えると、なかなか計画書に何年以内と 書くのは難しいのかなと思いました。 ○安達委員  そうしますと、最初に倫理審査の委員が研究の審査をする段階の問題かと思います。 ○石原委員  その問題は、以前の資料3の4ページにきちんと書いていただいているわけで、保存目 的で凍結していた胚を他の研究者が違う研究目的で使用することを例として挙げているわ けです。つまり、いろいろな科学や技術の進歩によって、その時点ではわかっていなかっ たことが、保存期間中に別のことが出てくる可能性がある。そうすると最初の研究計画で 書いていなかったものについては、一切他のことを認めないとしてしまってよいのか、そ れともいろいろな時代的変化が起こったことによって、より有用な研究対象が出てきた場 合に、非常に貴重な胚を他のことに使うことを許すかという話ではないかという気がする のですけれども、いかがでしょうか。 ○笹月座長  それは大いにあり得ると思います。 ○深見委員  それは最初に私が質問させていただいたことです。最初の意図は、貴重な受精卵ができ た場合に、そのようなものを一律にこうだからと使うのをやめてしまうと潔くやることが 良いのか悪いのかというのが第1点なのです。今は議論が少し違ってきたと思います。そ れは同じテーマであったとしても、例えば発表してクレームが付いたときに、受精卵をま た起こし直していろいろなことをする必要が、すぐに出てくればよいのですけれども、少 し時間がかかってきた場合に、何年間というところを研究の段階で決めてしまうのは少し 難しいのかなというところです。ですから、議論が今は少しずれてきている。当初私が質 問させていただいたのは石原委員のおっしゃったような他の目的でもと。原則的には駄目 だと思います。 ○笹月座長  私見ですけれども、普通はプロトコールを出して認められて、研究が終了した。研究が 終了したというのは実験そのものが終了したというのではなくて、その成果がきちんとパ ブリッシュされた、アクセプトされたら、それをもって終了ですから、そこまでいったら もう終わりで、それは破棄するというのが常識的には最も受け入れられることだと思いま す。  それを、また何かがあるかもしれないからということで認めるとすると滅失、消却しな いことと同じになってしまって、いつまでも持っていて良いということになるのではない ですか。 ○藤木審議官  ありがとうございます。この点に関連して、我々は一つ悩ましいと思っていることがあ ります。ここに書いてあります「速やかに研究計画完了後は滅失」するかどうかというこ とが今、議論になっております。  実は、この受精卵をわざわざ人為的に作成した場合についての議論は、過去の例えば総 合科学技術会議などでは、それを滅失してよいのは、それを滅失するに補って余りあるプ ラスの有効性があるからだと、そういう場合に限って滅失しても良いというのが、これま での議論ではなかったかと思います。例えば、ES細胞を作って再生医療の研究をする、あ るいは生殖補助医療の研究をするなど、有用性がある場合には「人の命の萌芽」たる生命 を滅失しても良い。それ以外の場合は、そもそも作ってはいけないし、滅失するのはもち ろん駄目だという議論が今までのかなり大本の議論だったような気がしますので、ここで 研究プロトコールが一応完了したと。そのときに、まだいわば余剰となっている、余って いる受精胚が残っている場合の議論をしているわけですよね。そうすると、それについて は既に研究が完了しておりますので、それを何らかにおいて有用に使うということは、あ る意味では論理的にないわけですけれども、その場合、もともと滅失してよい場合の大本 の議論すなわち人の生命の萌芽なのだから、何らかの有用性がなければ滅失しては駄目で はないかという議論との整合性が、率直に言って非常に悩ましいと思っています。できれ ばそこを、この場で整理していただければありがたいと思っていますので、その点をご議 論いただければ大変ありがたいと思います。 ○笹月座長  今の中で2点、私の理解と違うのは、まず一つは、例えば生殖補助医療に資する研究、 要するに有用だから滅失してよろしいというのではなくて、有用なことだから作ってよろ しい。そして滅失すべしということだと思うのです。滅失するところに有用だからという ものが引っ掛かっているかどうかというのは、少し納得できない。それは私の理解が違う のかもしれませんが。  第二は、今、余剰胚ということをおっしゃったのですが、今、我々が議論しているのは 余剰胚ではなくて研究に使って、利用して、もう研究も終わった状況のことを議論してい るのであって、余剰胚のことはまた別途議論すべきだと思います。 ○藤木審議官  すみません。今申し上げたのは、いわゆる生殖補助医療の余剰胚ではございません。今 そういう議論はしていませんので、要するに「研究に使わなかった胚」という意味でござ います。 ○笹月座長  言うならば広い意味では余剰胚ですよね。使われていない。今我々が議論しているのは、 研究のために作成し、研究を実施し利用して、それで研究も終わった。それをどうするか ということを議論していたので、研究に使わなかった作成した胚そのものは、また話は別 だと思います。 ○藤木審議官  ただ、それも研究プロトコールの中で生まれてきたはずですから、その研究プロトコー ルの中で閉じないと。どう処分するか、あるいは処分しないのか。そういうことも決めて おかないと。 ○笹月座長  もちろん議論します。議論しますけれども、今これまで議論してきたのは作成し、研究 に使って、そして研究が完了した後、それをどうするかということで、もちろん元に戻っ て研究のために作成したが、そもそも研究には使用しなかったのでそのまま凍結してある。 それをどうするか。それはまた別途議論する。両方を議論すべきだと思います。 ○藤木審議官  もちろん、そうお願いできればと思います。ここで例えば「滅失する」ということを決 めると、今おっしゃった使わなかった分についての判断をすることになりますので、そこ について、もしここで決断をされるということであれば、ぜひここで議論をしておいてい ただきたいということです。 ○笹月座長  ですから、まず「利用した胚」について議論を今しているつもりなのですけれど。作成 し、利用し、しかも利用し尽くして研究は完了したそのものについて議論して、それから、 もう一方で作成したけれども全く利用しなかったものは、そのまま凍結してあります。こ れはまた、もう一つの項目として議論すべきだと思います。 ○吉村委員  今、藤木審議官がおっしゃったことは、私は逆に滅失すべきであるという考え方に立つ べきであると思います。要するに提供された卵子・精子を使って胚をつくるわけですから、 これは今までできていた胚と全く違う問題です。ですから、そういった考え方からすれば 「滅失すべきである」という考え方に立つべきだと思います。  そして、藤木審議官がおっしゃるように、それを滅失すべきかどうかが非常に大きな問 題となっているということであるならば、前提が間違っています。これは要するに「胚を 作ってよい」といった前提が間違っているということ。総合科学技術会議の判断が間違っ ていると思います。生殖医療の研究に資する研究であれば、胚は作ってもよろしいという 判断をされたわけです。それを考えますと、それは滅失すべきであるという考え方に立つ べきだと思います。  ですから、もし藤木審議官がおっしゃったような疑問があるならば、そのもともとの判 断がやはり間違っている。そういった胚を作ってはいけませんという判断を下されれば、 今の藤木審議官のおっしゃったことは正しいような感じがします。いかがでしょうか。 ○藤木審議官  恐らくここは、総合科学技術会議では大変な大議論があったところではないかと思いま す。恐らく、わざわざ受精卵を作成して研究をするという時点で、その研究の中で利用さ れた後も依然として受精胚であるという状況があるということをあまり想定して議論して いなかったのかもしれませんけれども、一般論、総論としては総合科学技術会議の議論は 極めて明確で、そういうものを滅失しては、有用性がない以上は駄目だという議論が明確 になされていたわけですので、もしそこにかなり相当違う議論がここで明確にされるとな ると、そこは総合科学技術会議のもともとの議論が、まさに吉村先生がおっしゃったのは、 その通りなのですが、もともとの総合科学技術会議の土俵で設定していただいた議論その ものと、かなり整合性が違う可能性がございますので、そこについてはもしかしたら事前 に総合科学技術会議と議論をする必要があるのかもしれないと思いますので、そこは私ど も、今吉村先生からご指摘があったように総合科学技術会議の議論が、もしかしたらそこ は容認しているのかもしれないという可能性について、もう少し当時の議論なども当たっ てチェックしてみたいと思います。その点について私どもは、かなり明確にそこは総合科 学技術会議が規定しているという認識をしておりますので、そこについては、やや慎重な ご議論をお願いできればありがたいと思っております。 ○笹月座長  そもそも私の理解が至らないのかもしれませんが、生殖補助医療に資する研究のために 胚を作る。そして、それを滅失することを認める。ですから、そのガイドラインを作れと いうことですよね。そうすると、胚を作った、研究をした、その研究でいろいろな操作を 加えているのでどのような状況で終わるかはその研究によって違うでしょう。すりつぶし てしまっているかもしれないし、胚のまま残っているかもしれない。しかしながら、研究 が終了したときには滅失させますと。ところが、それはそれで私は当然のこととして理解 していますが、ただし、研究を目的として作ったけれども利用しなかった胚については、 それを滅失するのか、他の研究に利用させるのかは、またきちんと議論しなければいけな いと思っているのであって、何も総合科学技術会議ともう一度すり合わせをする必然性が 理解できない。今のような整理でいくと。 ○吉村委員  藤木審議官の方が正しいと思いますのは、要するに胚の滅失をするか否かということは、 ES細胞でもいろいろな議論において非常に大きな問題となったのです。生命の萌芽として の胚を滅失するかどうかについては、非常に大きな問題点であるということは、総合科学 技術会議の流れの中から出てきているのです。  しかし、そういった理解があっても生殖補助医療の研究に資する研究であれば胚は作っ てもよろしいということになれば、胚はできるわけですから、それをどうするかというこ とになります。それは滅失すべきであるという考え方に立たざるを得ない。  例えば、できた胚を「この胚は誰の胚かわかりませんけれど、あなたに戻します」とい うわけにはいかない。それをいつまでもとっておくわけにもいかない。となりますと、滅 失せざるを得ない。それが前提にないと、この研究はできない、胚はつくれないというこ とになってしまいます。  と私は思います。今、藤木審議官のおっしゃったことについて、笹月座長とは少し違う 意見です。 ○笹月座長  研究に使ってよろしいということは、ほとんど滅失させるということとイコールですよ ね。それを認めていない研究というのはあり得ないと思います。滅失させずに利用せよな どということは、あり得ないです。ですから、生殖補助医療に資する研究には作成し、利 用してよろしいということは滅失させるということが大前提ですよね。 ○吉村委員  大前提なのですが、総合科学技術会議の判断はそうではないと。私は、そのように認識 しています。 ○笹月座長  そうではないということは、滅失させてはいけないということになる。 ○吉村委員  滅失させることにおいては、慎重であるべきであるという態度だと思います。そういう 判断をされていると思います。そうですよね。 ○藤木審議官  はい。私どもはそう認識しておりますので、ここでの議論を混乱させる提起をさせてい ただいたかもしれませんけれども、将来、この点は必ずいろいろな場所で議論になると思 いますので、念のため、ご議論を慎重にしていただければということでございます。 ○笹月座長  ちょっと待ってください。もし、その線で押すとすれば、研究プロトコールの妥当性と いうところで、それは議論せよということになりますよ。この研究プロトコールでは胚は 死んでしまいますよと。あるいは、すりつぶして蛋白を解析します、DNAを解析します、 それを許すか許さないかというところになってしまいます。  けれども、私は生殖補助医療に資する研究のために胚を作成し利用してよろしいという ことは、そういうことをやってよろしいという大前提であるわけで、そのことは、もっと いえば当然のことながら胚は滅失されるでしょうという了解があってのことだと思います。 ○藤木審議官  それはもう当然、もちろん研究のために滅失する。そして、そこから有益な成果が出て くる。そのために滅失するのは当然で、そこは総合科学技術会議も明らかに認めておりま す。今、私がここでぜひ議論をお願いしたいと申し上げましたのは、そういうプロセスが 終わって、なおかつ存在する使われなかった作成された受精卵です。 ○笹月座長  わかります。それは別のところで議論するのであって、今ここで議論しているのは利用 した胚を言っているのです。 ○藤木審議官  ですから二つあるわけですね。全く利用されなかったものと、利用されたもののまだ受 精胚としての能力を持っているもの。 ○笹月座長  そうです。それは、また別途議論しなければならない。 ○藤木審議官  これは、さらに議論いただけるということであれば、別に今解決する必要はないのです けれど。 ○石原委員  以前にもお話ししたのですが、今話題となっていますのは、研究のために胚を作成し、 その結果できた胚について議論しているわけですが、先日からお話ししていますように、 現実問題としては、実際には使われなかった胚について、それを用いる研究をどうするか という方が現実にははるかに大きな問題で、藤木審議官のお話を伺いますと、むしろ逆に、 新たに作ったものは良いけれども既に存在しているものについても滅失させるということ に関しては、非常に難しくなりそうな印象を受けたのですが、そういうことではないので すね。 ○藤木審議官  そこについては、そもそも土俵がこの場で設定されていないと認識していますので、将 来は議論されるものと思いますけれど、今議論しているのは、「新たに作成した受精胚」に ついての議論だと、今は認識しております。 ○笹月座長  よろしいですか。それで、滅失させるかどうかというのは、これまでは「研究に用いた 受精胚」の議論をしてきたつもりです。研究が終了したときに滅失するかどうかというこ とを議論してきたわけですから、研究が終了というのは、よく皆さんは実験が終わったら 研究が終了と言われるのですが、そうではなくて、きちんと論文を書いてそれが公表され た時が研究が終了した時です。そのときにどうするかということを議論しているわけで、 使われなかった受精胚については別途、議論します。 ○深見委員  ただ、ここの条項のところでは、研究終了後の意味を、例えば使われたものと使われな かったものを区別しているのでしょうか。 ○笹月座長  それはどうかわかりませんが、区別しなければ議論できないと思います。ひっくるめて 議論するというのは、良くないと思います。 ○深見委員  藤木審議官の方は、この情報の中に両方を含めたという意識としてとらえているわけで すよね。ですから、ここをこれでOKとしてしまった場合に、 ○笹月座長  いや、それは議論の進め方がおかしいので、「使ったものはどうですか」「使わなかった ものはどうですか」と明解にすべきだと思います。両方をひっくるめて議論しなければい けない理由はないと思います。  例えば、使わなかったものも使ったものも滅失すべしなら、最終的にはそういうことは いわずに「滅失すべし」でよろしいでしょうし、「使ったものは滅失すべし」「使わなかっ たものは再利用の余地を残す」のなら、それはそうでしょうし。そこは、やはりきちんと 分けて議論しなければいけないのではないかと思います。 ○藤木審議官  1点だけですが。今笹月座長が「使わなかった」とおっしゃったのは、要するに「受精胚 としての能力が残っているもの」という理解でよろしいでしょうか。使ったものというの は、既にもう受精胚としての能力がなくなって滅失してしまったものと考えてよろしいで しょうか。 ○笹月座長  要するに、生殖補助医療に資する研究のために、まず受精胚を作ります。あるいは手に します。しかしながら、その一部を使って研究は終了しますけれども、一部はそのまま凍 結されて残っていますと。これとこれとは区別して議論すべきではないかということなの です。  逆にいえば、なぜひっくるめてわざと複雑にする必要があるのか私にはわからないので す。明確にしておいて、ひっくるめてよいことになればそうすればよい。まず別々に議論 すべきだと思います。  というのは、繰り返しになりますけれど研究に利用してよろしいということは、滅失す るという大前提だと、我々研究者は思います。それを生かして将来また子宮に戻すような 形で研究をしなさいということはあり得ないと思います。ですから、作成し利用すること を認めたからには、それは滅失するという大前提だと思います。ただし、使わなかった受 精胚をどうするかは、もう一段議論すべきだということです。  深見委員は、分けずにひっくるめて議論すべきだとお考えですか。 ○深見委員  そういうことを言っているのではないのです。普通の解釈として、やはり分けていない 解釈をしているのではないかと。 ○笹月座長  ですから、それは分けるべきだと申しているのです。 ○深見委員  そうですね。ですからはじめから分けた形になっていればよかったのですけれども、今 そういう誤解がここで生じている。 ○笹月座長  ですから、分けましょうと。 ○深見委員  そうですね。ですから分けるという形で進めるなら、それはそれでよいと思いますし、 やはり普通の一つのプロトコールの中で、使ったものと使わないものを、そのように普通 の人が分けて考えるかどうかという、そういうズレがここで起きたという問題なのだと思 います。  ですから、要するに笹月座長の考え方が普通なのか藤木審議官の解釈が普通なのか、そ の辺がよくわからないけれども、少なくとも明確にどちらかということを決めていただけ れば別に問題はないと思います。 ○笹月座長  ですから、繰り返し申しますように二つに分けて議論する方が、議論しやすいのではな いかと。 ○深見委員  それでしたら、それはそれで、そういう形で指針のところで全部書いていけば全然問題 ないと思います。 ○笹月座長  「作成されたヒト受精胚については、その研究が終了した段階で、速やかに滅失させる こととするか」と。ここだけですと、使われなかった胚も含まれるのではないかというこ とで、そこは分けて議論をしたいと思います。今回は、使った胚について研究が終了した ときにどうするかということを決めていただければよいわけです。 ○長野対策官  もし分けて議論していただけるのであれば、胚を作成して利用する、すなわち胚になっ た後の利用すなわち研究をしていく中で滅失されているか、または研究が終わったときに は滅失されていない状態で胚として存在し続けている場合ということでよろしいでしょう か。  要するに利用すなわち研究している中で滅失されている場合と、 ○笹月座長  「中で」ではなくて、作成はしたけれども利用したか、しなかったかです。 ○長野対策官  恐らく受精させて胚を作成した瞬間にもう胚になっていますので、その瞬間から利用に なり得る概念になるかと思いますので、そういう意味では時間の流れで考えると、作成さ れて利用されていると考えますと、どう考えるかによるのですけれども、何はともあれ胚 を作成して、その状態で研究をするというときに、その研究すなわち利用している中で胚 が滅失された状態になるという研究プロトコールか、または研究している中では滅失され ないようなプロトコールで終わっているかと。 ○笹月座長  そういう言い方をすると、どうやってそれを審査するのかということになりますから、 これはそもそもあり得るのですが、生殖補助医療に資する研究のために受精胚を作り、そ れはとりあえず凍結したということはあり得るのですか。この指針では。以前に議論した と思いますが。 ○吉村委員  ないということはないかもしれないですけれど。それは具体的にどういった研究がある かは今すぐ思い浮かばないのですが。「作成する」ということも研究になるのです。要する に、作成もいろいろな精子を使って、形態の悪い精子で受精するのかどうかを見るのも一 つの研究です。もちろん作成した胚を使ってさまざまなことを調べるということも研究に はなりますね。ですから、それらを凍結しておいて、まとめて使うということはあり得る と思います。そういった研究はあり得ると思います。 ○笹月座長  そうすると、研究には用いられなかった胚というものは、もはやあり得ないと。 ○吉村委員  そういったものは作る必要はないと思います。まずそういったプロトコールで出てくる こと自体がおかしいのではないかと私は思います。  ですから、あまり利用されなくて残った胚のことを考えるというのは、いかがなものか と初めから考えておりましたけれど。 ○笹月座長  そういう使われなかったから、その定義でいくと作成すること自体が研究なので、研究 に用いられなかった胚というものはあり得ないということですか。 ○吉村委員  要するに、また受精胚を作りまして、例えば2細胞・4細胞で凍結しておいて、その4 細胞を使って研究をする。それが余りましたということは研究として、この計画は非常に ルーズな研究であると。そういった研究はあまり考えにくいですが。 ○星委員  その通りだと思います。例えば100個の胚を作って50個を分析したとしても、その100 個のうちの50個を分析したということが研究の一つのカテゴリーに入りますから、100個 作ったことは使われないということにはならないと思います。残りの50個は何もしなかっ たとしても、それは利用されたという概念に入るのではないでしょうか。 ○笹月座長  それは、すべて研究に使われたと。 ○木下委員  それは研究の種類によると思いますけれど、本当にそれほど大体50個同時に作っていく ことはなかなか難しいと思いますけれど、通常はマイクロテクニークでもって凍結して本 当にマイクロの世界でやるというのであれば可能かもしれないですけれども、試料として ある程度数が必要になったときは当然凍結するだろうと思いますし、今おっしゃったよう に半分使ってまた半分ということは当然ある話ですから、やはり、これは受精卵を作った ら即そのまま研究にということの方がむしろ少ないだろうと。逆にいうと、凍結して落ち 着いた段階で、準備をした上できちんとやるというのが通常の研究の姿勢かなと。もちろ ん、いろいろなタイプはあると思いますが。  その意味では笹月座長がおっしゃったように、やはりこれは作っても研究には使わない で置いておいて、その研究の成果を見て、また残ったものでやるということは当然ある話 です。従って、そういう意味では、これはやはり実際に研究したものと、作ったのだけれ ど残しておいてまたやっていくということは当然ある話なので、作ったものはすべて同時 に、速やかに研究したもの以外のものを含めて滅失されることはあり得ないと思いますの で、笹月座長がうまく分けていただいたようなことで、もう一度考えた方が良いのではな いかと思います。  吉村委員は、そういうことは少ないと言われましたけれども、研究の種類からすると、 必ずしもそうではないのではないかということがありますので、両方の部分を考えた方が 良いと思います。 ○笹月座長  非常に現実的に申しますと、例えばゲノム解析や蛋白の解析をするとか、生殖補助医療 ではなく病気のゲノム解析あるいは血清蛋白の解析というときに、そのプロトコールには 0.1ccの血清が必要だからといって0.1ccしか手にしないということはあり得ないですよね。 10ccぐらい手にして、その一部を使って研究し、失敗すればまた残りを使ってやるという ことですから、研究をするから用いる数しか手にしていないということは、普通はあり得 ないというのが常識だと思います。ですから、研究に本当に利用されなかったものという のはあるでしょうが、それも研究の一部と言われればそうかもしれないということになり ますので。  今日はちょうど時間も来ましたので、この滅失させるかどうかということは、次回への 宿題にしたいと思います。 ○鈴木委員  今のところで、一つだけよろしいですか。ここは、あくまで「滅失」という単語を使わ なければいけないのですか。それだけご確認いただければと思います。 ○笹月座長  「滅失」はあまり聞き慣れないということですか。 ○鈴木委員  いいえ。そうではなく、通常治療分野では「廃棄」と言うわけですけれど、「滅失」とい うのは本当にガスで焼いてしまうようなイメージですが、実態としては同じことですよね。 ○笹月座長  イメージは少し違いますね。「廃棄」というとゴミ箱に捨てるような。 ○鈴木委員  「滅失」の方が何となくきつい印象があるので、少しその辺も。 ○小林母子保健課長補佐  そこも含めて、事務局の方で次回までに整理させていただきます。  事務局から連絡させていただきます。次回の第17回「ヒト胚研究に関する専門委員会」 /第16回「生殖補助医療研究専門委員会」は、現在日程を調整中です。日程・場所が決まり ましたら、またご連絡させていただきます。  本日は以上でございます。どうもありがとうございました。 ―― 了 ――  事務局:文部科学省研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室       電話:03−6734−4113(直通)      厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課       電話:03−5253−1111(内線7938)