08/03/03 社会保障審議会介護給付費分科会第49回議事録 社会保障審議会 第49回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 : 平成20年3月3日(月) 午後2時30分から午後4時30分ま で 霞が関東京會舘(35階ゴールドスタールーム) 2 出席委員:天本、池田、石川(代理:石田参考人)、井部(代理:小川参考人)、大 島、大森、沖藤、勝田、川合、神田(代理:牧野参考人)、木下、木村、小島、高橋、田 中(雅)、池主、対馬、中田(古谷参考人)、村川、山本の各委員 3 議題 <審議事項>  1.介護療養型老人保健施設における介護報酬等の見直しに係る諮問  2.その他 (鈴木老人保健課長)  それでは、定刻より若干早いが、先生方おそろいなので、「第49回社会保障審議会介護 給付費分科会」を開催させていただく。  初めに、本日の委員の出欠の状況だが、齊藤委員、田中滋委員、矢田委員が欠席との連 絡をいただいている。  また、本日は、石川委員に代わり石田参考人、井部委員に代わり小川参考人、神田委員 に代わり牧野参考人、中田委員に代わり古谷参考人に出席いただいている。  なお、大島分科会長代理からは、若干遅れて来られるという連絡をいただいているので、 20名の委員の先生方に出席をいただいて、定足数である過半数に達しており、会として成 立することを報告させていただく。  それでは、以降の進行は大森分科会長にお願いする。 (大森分科会長)  本日は諮問答申に関する報告をまとめなければならないので、よろしくお願いする。  まず、お手元の資料について、確認と説明をお願いする。 ○鈴木老人保健課長より各資料について確認。 (大森分科会長)  それでは、議事次第に沿って議論を進める。最初に、「精神的な医療ニーズに着目した 施設要件について」で、先月20日にこの施設要件について議論いただいた。そのときの議 論を踏まえて、事務局の方から関係資料について説明を願いする。 ○鈴木老人保健課長より資料1について説明 (大森分科会長)  先回と少し数値が違っているものだから説明いただいたが、この20%は、これから審議 いただく資料の中では空欄になっている。まず、この件について皆さんの議論をまとめて いただければ、次のとき、空欄の中へ「20」が入るという手順である。これについて意見 を伺いたい。 (古谷参考人)  現場の感覚で言うと、経管栄養、それから喀痰吸引というのが、例えば、医療区分1で も医療区分2でも示されていて、そしてまた認知症も示されているが、医療区分1にして も、2にしても、認知症というのがかなりケアの時間が短くなっている。現場の感覚から すると、このケアの時間のケアの中身というのは不明であるので何とも言えないが、認知 症の方の方がいろんな意味で手がかかる。そうすると、喀痰吸引または経管栄養の総ケア 時間と比べたときに、20%というのが余りしっくりいかない。つまり、認知症の方々のケ アに対する、要するに、手のかかり具合について、ケアの時間数を少なく見過ぎているの ではないか。ひょっとして、このケアの時間の中身というのが、直接体に触れるケアとい うことで考えるならば、認知症の方々特有の、体に触れる部分だけではなくて、さまざま な手のかかる要素があるので、その辺はどう考えているのか。 (大森分科会長)  どうぞ。 (勝田委員)  医療区分の1と要介護度と合わせた場合に、要介護度1とか2の場合に、介護者が動か れたりして、手がかかる。見守りとか声かけがとても重要になる。そういう点では、今お っしゃったとおり、ここの時間には全く換算されない。そういう点では、今までは4人に 1人、5人に1人ということだが、本当にこの時間で十分なケアが受けられるのか心配は ある。そこをどのように考えるかということと、特に認知症の初期というのと、この医療 区分の分け方が妥当ではないのではないか。 (鈴木老人保健課長)  私の説明も悪かったかもしれないが、これは認知症の方、もしくは経管栄養、喀痰吸引 の方にどのぐらい、全体として手がかかるかではなく、むしろ医療ニーズとしてどのぐら いあるかをデータに基づいて積算をしたものである。ここにも少し書いてあるが、看護職 員の方が手をかけた時間が1日にどのぐらいあるかを統計上取ったものである。当然、こ れ以外にも介護の方が手をかけている場合がある。ただ、今回、医療ニーズとしてどのぐ らいなのかを一定の施設の認定の要件としたので、そのうちの精神の部分がこのぐらいに なるということで、あくまでデータに基づいて、しかも看護の方の手のかかり具合という ことで、実際に数値として出ているものと理解いただきたい。 (大森分科会長)  よいか。 (古谷参考人)  認知症の方の医療ニーズということで考えた場合に、その医療ニーズを満足させるため には一体どのくらい手がかかるのかについては触れていないのではという心配がある。確 かに医療ニーズという点から考えても、認知症の方に対する医療の供給体制というか、医 療の処置をするときに、どれだけ手間がかかるのかという辺りがどうかである。認知症で ない方に対する経管栄養とか喀痰吸引に比べて、医療ニーズがひょっとして、この医療区 分に当てはまらない方であったとしても、実際に処置をするときに、認知症の方の処置に 要する時間というのはかなりかかるものだと実は思っており、そういった意味でいかがな ものかという質問をした。 (大森分科会長)  同じことだと思うが、もう一度答えるか。 (鈴木老人保健課長)  同じことである。 (大森分科会長)  ほかに質問等あるか。今回、この比率を20%以上ということでよいか。それでは、この 件は認めていただいたことにする。  次に、資料2だが、「介護療養型老人保健施設における介護報酬等の見直しにかかる諮 問について」という文書がある。先ほど言ったように、この中の空欄は今の「20%」を入 れるような形で説明いただく。これは文書を差し替えるか。 (鈴木老人保健課長)  今、配るので、少しお待ちください。 (差替え資料配付) (大森分科会長)  それでは、この資料についての説明をお願いする。 ○鈴木老人保健課長より資料2及び別紙1から5について説明 (大森分科会長)  ただいまの説明について、今まで議論いただいて、大体了解している内容だと思うが、 何か質問等あるか。 (木下委員)  1つ確認したい。資料2の3ページの一番上の「介護療養型老人保健施設における介護 報酬の見直し」というタイトルだが、名称について前回ここで出たのは、「介護療養型老 健」という名前が出ていたと思うが、「介護療養型老人保健施設」というのが正式に決ま ったという解釈でよいか。 (大森分科会長)  最後のところを略して「老健」でも結構だが、一応、決めたのは今の長い方である。「老 人保健施設」となっている。それでよいと思うが。 (小川参考人)  いわゆる経管栄養とか喀痰吸引が15%以上という割合が示されているが、井部俊子がか ねてからこの場で発言をしているが、この15%以上をクリアするために経管栄養なり吸引 を行うのであれば本末転倒である。今後の話になるが、経管栄養とか吸引が行われなくて もよい、そういう医療や看護の体制を評価する、そういうインセンティブをつけるような 取組みも今後検討する必要性がある。  もう一つ、老健施設の方からの発言があったが、この15%とか20%という数値が妥当で あるのかを、今後の検討課題として検証する必要性がある。その場合に、既存の老健とか、 あるいは特養の施設も含めて、それぞれの施設における入所者の状況がどうなのか、これ は21年度の報酬改定での議論にもなるだろうが、今後、実施状況を調査して検証していく ことが予定されているのか。もし予定がなければ、是非検討いただきたい。 (大森分科会長)  どうか。 (鈴木老人保健課長)  井部委員からも、喀痰吸引、経管栄養について、本末転倒になってはいけないと指摘を 2回以上にわたりいただいている。我々もまさにそうだと思っている。実際に資料3の別 紙4の6ページを見ていただくと、摂食機能療法という加算がある。これは手がかかるが、 口で食べていただくようにきちっと手当てを行った場合の加算をするということで、こう いうインセンティブは是非我々としても考えたいし、小川代理人からの指摘のような本末 転倒があってはいけないと思っている。  それから、従来議論いただいているが、療養病床から転換した老人保健施設は、このま まではなくて、実際に運用した上で、その運営の状況や入所者の状況等については、きち っと検証したいと思っている。 (大森分科会長)  2番目の指摘は大事なので、必ずそうなるものと私も考えており、分科会で答申をまと めると記するぐらい今の意見は大事なことである。当然のことである。 (勝田委員)  新たな施設サービスの中の、家庭から入所した者の割合というのがあるが、この「家庭」 というのは、自宅プラス介護3施設というか、それを除く入居とか、そういうものなのか、 「家庭」の位置づけというのはどうなのか。在宅ということなのか。自宅だけなのか。 (鈴木老人保健課長)  在宅である。 (勝田委員)  わかりました。 (沖藤委員)  今の3ページのところだが、医療機関から入所したものというのがあるが、医療機関か ら入所したときに、医療が継続している場合が当然あり得る。そういう場合は、転換型老 健以外の医師にお願いしたとき医療費は医療保険から支払いすることになると聞いた気が するが、それでいいのか確認したい。それと関連して、介護保険料そのものは今後どうな るのかわからないが、医療保険料が少し安くなるのかと思ったりするが、プラスマイナス 全体で国民の負担というのは今後どうなるのか。私たちの国民負担について、大ざっぱで よいが、見通しを伺いたい。 (鈴木老人保健課長)  まず、最初の方、医療保険との関係だが、この介護療養型老人保健施設に入っていただ いた場合に、前回の資料でもあったが、基本的には、施設サービス費も加算も介護保険か ら給付をされる。ただし、実際に急性増悪等で施設の医師が対応できないような場合に、 今までは老人保健施設というのは、例えば、目であるとか、耳であるとか、歯であるとか、 そういう他科診療だけを医療保険で見ていた。今回の場合はそれを一般診療にも広げて見 ることができるということなので、急性増悪の場合の対応については広げたが、原則的に は介護保険で見ていただくということである。 (沖藤委員)  その件に関してだが、継続して医療が必要な場合は、そこで一旦医療が途切れると考え るのか。私の理解の不足で申し訳ないが、その医療が終了したから介護療養型に入るとい うことであって、医療は継続しない。医療機関にいた人が介護療養型に移るときは、医療 機関で行っていた医療はそこで終了すると考えるのか。急性増悪があった場合は、外部の 医師をお願いして、その場合は医療保険から、1割負担か2割負担かわからないが、私た ちの負担で払うことになるのか。 (鈴木老人保健課長)  基本的に療養病床の再編に当たって、医療的ニーズの高い方は医療保険の医療療養病床 にいていただくということになろう。今回議論いただいているのは、医療的ニーズが比較 的安定していて、余り高くない方をどうするかということである。当然、医療ニーズがゼ ロというわけではない。医療がそこで全く終わって、あとは提供できないということでは なくて、勿論、今の老人保健施設でも、医療提供施設として医療を提供していただいてい る。今回の場合は、それに加えて、例えば、看取りとか、夜間の看護とか、そういう必要 な機能についてはデータとして積み上げた上で見るようにするということである。医療が 中断するかについては、勿論、提供主体としては主体が変わる可能性はあるが、必要な医 療はきちっと提供できるような仕組みにした。 (沖藤委員)  医療機関から入所したという人も心配があるだろうと思った。全体的な話ではどうか。 (矢田地域ケア・療養病床転換推進室長)  今回の療養病床の再編成というのは、1床当たりの費用の高い医療及び介護の療養病床 から老健施設、あるいはその他の介護保険施設等への転換ということであり、1床当たり の単価が下がることから給付は減少する。したがって、医療と介護を通じた全体としての 国民負担は必ず軽減されるであろう。  ただ、前々から繰り返し御説明しているように、医療がどうなるか、介護がどうなるか ということについては、医療全体の病床数はどうなるか、その結果として介護の関係のベ ッド数がどう増えるかというところに依拠している。この点については、現在、都道府県 において計画を定めていただいている状況であり、将来の姿が固まっていないので、現時 点で推計することは難しい。ただ、先ほど申し上げたが、コストが高い方から低い方への 転換であるので、全体として必ず下がると、そういう関係だということで理解をいただき たい。 (沖藤委員)  全体的な数字が出てくるのはいつごろになるのか。 (矢田地域ケア・療養病床転換推進室長)  今日、保険局の方が来ていないが、医療療養病床のベッド数がどうなるかについて、都 道府県で3月末を目標に医療費適正化計画の中でベッド数を決めていくことになる。ただ、 全体の進捗状況がある。現時点では、都道府県は3月末を目標に計画の策定作業に取り組 んでいるので、それがまとまったところでベッド数が決まる。それによって全体の姿が描 けてくるという関係になろうかと思う。 (大森分科会長)  いつごろになるのか。要するに、都道府県の方で今、いろいろ構想を練っておられる。 それが上がってきて全体の姿が見えてくるとどうなるかわかる。基本的に言えば、その時 期と、厚労省の方で検討して明らかにする時期の話である。望ましい時期はいつか。 (矢田地域ケア・療養病床転換推進室長)  医療費適正化計画は、先ほど申したように3月末を目標に各都道府県で今、策定作業を していただいている。実際、その時点で確実に全部できるかどうかというのも確かに難し いところがあるが、それがまとまり次第、それを踏まえて、医療費適正化計画の国として の目標数値を決めるということで、将来の医療療養病床の病床数が決まる。時期をいつと お約束するのはなかなか難しいが、都道府県で一応、3月末を目標にして出していただい た数字を国の方で踏まえて設定をするので、年度が明けてからそう時間がかからないとこ ろでできるのではないかと思っている。 (沖藤委員)  国民負担が安くなるだろうという発言は大変うれしく、ありがたい。 (勝田委員)  新しくなる老健施設については、月単価というか、これだけではわからない。当初、現 在の介護療養病床は41万ぐらい、老健は31万、大体その中間を取るだろうと言ってきた かと思うが、今、出された単価で、幾らぐらいと算定されているのか。  そして、今、沖藤委員も言われたが、試算で、もともとこれくらいにしてほしいという 数字を出された。実際、計画は各県が出すわけだが、きちっとした数字は、前も言ったが、 試算されていたと思う。数字をこれくらいにという厚生労働省からの数値は皆言っている。 そのとおりにいった場合、一体どれくらいの削減効果があるのか。そして当然、今、出さ れる中間的な単価というのが幾らなのか。それによって、介護保険の方が本当に軽減され るのか。プラスマイナスということではどうなのか。  相当医療費が削減されて、だけれども、その部分は介護保険で上がるということを常々 言われたかと思う。今はまだ各都道府県の数値は出そろわなくても、これだけにしてくだ さいという数値が出たものについての金額は出たわけだから出るのではないか。 (大森分科会長)  どうか。 (鈴木老人保健課長)  まず、前半の個別の施設に入った場合のコストの話。勝田委員が言われたのは41万と3 1万ということで、これは私どもが何回か使っている数字で、要介護5の場合である。要 介護度によって価格が違う。要介護5の場合、それから、級地と言って、東京23区とそれ 以外のところは単価が違う。5段階あるが真ん中のものを使ったものが現在の介護療養型 の医療施設、介護療養病床では41万、それから、老人保健施設では31万ということであ る。  試みに計算をすると、今お配りしている資料で、介護療養型老人保健施設について、6 対1、4対1で計算している。同じ6対1、4対1でそろえると、1日当たりの単位が、 介護療養型施設が1,322単位、介護療養型老人保健施設、いわば転換が1,073単位、それ から、通常の老人保健施設が990単位ということである。これを大の月、小の月、28日と、 いろいろあるが、平均的に30.4掛ける。そうすると、41万2,000円と30万8,000円の間 で、33万4,000円となる。ただ、加算については、個別の状況によって異なる。基本施設 サービスのみの算定の場合である。 (勝田委員)  そうすると、今度は転換する介護療養型老人保健施設は33万4,000円と考えてよいか。 これにプラス加算ということか。 (大森分科会長)  よろしいか。 (山本委員)  老健施設のことを最初は中間施設と言っていた。この老健施設に医療から行く。要は、 その人たちは普通の老健施設に入った人よりも高い。そういう施設にも入らない、医療に も関係がないようになればよい。そういうところに入っている人たちは、みんななる。あ る年齢に達すると、体が自然と動かなくなる。  片一方下がるとか何とかいう話はないと思う。中間施設に行った。老健施設に入ったら 出てきた。病院から来た人も、その分だけ余分に費用が要ることになる。医療施設からは 抜けるから、確かに医療は下がるかもしれない。しかし、医療費全体が下がるかというと、 下がらない。そんな重要なことを軽々しく、下がるなどと言ったら、我々保険者はどうす るのか。今度、全部上がる。  今、一生懸命担当は計算ばかりやっている。国保の保険料は上がるのか下がるのか、一 生懸命やっているがわからない。今はまだその計算の根拠がない。言われたとおりに計算 すれば、上がるのか、下がるのかと、実際の実数をつかむことは難しい。  我々保険者側は今、非常に困っている。この分は国民健康保険から負担してする。ある いはこの部分については共済組合から負担する。あるいはこれは健保から負担するとなっ ている。負担が全部行っている。その負担を加えた上で計算をしていくから、保険料は下 がることはない。  施設が変わったからといって、その分が下がってくるということはあり得ない。私が一 番気にするのはあなたたちが決めることは大変結構だが、きちんとそれが明確に、下がっ たり上がったり、こうなると示さないで、軽々に言われる。あなた方は直接来ないから、 何を言っても構わないかもしれないが、私どもに直接来る。被保険者の人たちから言われ る。  被保険者の皆さんは、上がることを望んでいる人は1人もいない。現状か、あるいは下 がってくれればと思っている。こういう改革をやる場合に、きちんと見通しもつけないで 簡単にそういうことを言うのはどうなのか。さっきから話を聞いていると、医療費は下が るとか、あるいは保険料は下がるとか、経費は要らなくなるということを言ったではない か。 (大森分科会長)  今のことについて、もう一度、丁寧にお願いする。では、局長、お願いする。 (阿曽沼老健局長)  財政影響に対して関心があることは十分私どもも承知しているが、この問題は少し複雑 なことがある。1つは、都道府県の負担の問題、それから、山本町長が言われるような、 保険者にとって保険料がどうなるかという問題、それから、全体の社会保障給付費がどう なるかという問題、それぞれ計算が実は非常に難しい。  まず全体のことから申し上げると、当初、医療の方はお金が少し減って、介護の方が増 えるということで、全体の社会保障給付費がそうなるだろうという想定であったが、現実 に療養病床がどう転換するかにかかわる。今、療養病床は、医療保険適用の療養病床と介 護保険適用の療養病床がある。それがどのように転換して、結果として医療療養病床が幾 らになって、残りが介護施設に転換する。それがどれくらいの割合で転換するかによって、 そもそも全体の社会保障給付費に対する影響は変わってくる。  その試算をするためには、当然、医療機関の判断を参考とする必要があるが、その前提 として、例えば、自分が医療療養病床に行くのか、それとも新しく転換型の老健施設に行 くのか、それは、転換型の老健施設の点数がどうなるかが見えないと判断できない。だか ら、できるだけ早く示してくれと今まで言われていて、今日ようやく諮問まできた。  そういう意味で、今回一定の点数表が出るので、今度はそれを踏まえて、各医療機関が 医療療養病床に残るのか、それとも新しい転換型の介護療養型の老健施設に転換するのか、 あるいはそれ以外に転換するのか、それを医療機関に判断していただくことになる。した がって、今この点数を出さないと、医療機関も選択の判断ができないわけで、そういう意 味で私どもとしては早く出したい。  それから、県の負担と保険者の負担の問題についても、先ほど申し上げたように、医療 保険の医療療養病床がどうなるかによって変わる。当然、各市町村では、今保険料は大変 上がっているから苦しんでいる。この点数表によって、医療機関がどれだけ転換するか、 医療療養病床、あるいは介護療養病床からどれだけ転換するかによって、その転換の程度 を各県がどう見込むかによって、結果として各市町村の保険料にはねてくるという構造で ある。 それで、私どもの担当が申し上げた趣旨は、今回の転換老健の点数というのは、 介護療養病床の点数よりは低い。そういう意味では、総体的には、保険者の負担が急に上 がるという方向にはいかないのではないかという趣旨で申し上げた。少し言葉足らずだっ たかもしれないが、それぞれ保険者の費用負担の問題、県の費用負担の問題、国の費用負 担の問題、あるいは全体としての社会保障制度の問題が絡んでいる。これは、さっき申し 上げたように、年度末までに各県で作ることを目標にやっているので、それを踏まえて、 最終的な姿がどうなるかというのは、十分私どもで精査をしてお示ししたい。 (山本委員)  私が言っているのは、下がるでしょうとか、上がるでしょうとか、今日現在、言うべき ことではないと言っている。幾ら計算しても出ない。うちの担当などは、どうしましょう、 こうしましょうと言う。言ったって、私がわかるわけではない。予測のもの以上はない。 だから、今計算ができ得る範囲内の数値を出せと言っている。  だけれども、傾向としては上がる。傾向としては、全部、医療費も保険料も上がる。下 がることはほとんどない。今、下がりますよというようなことを言ったがそれはない。上 がったときに怒られるのは我々である。怒られるのは我々だから、我々に決めさせてくれ れば怒られないようにするが、あなた方が決めてやるのは我々である。そして怒られるの は我々である。だから、軽々にそういうことを言うなと言っている。 (阿曽沼老健局長)  趣旨はよくわかるが、私が申し上げたのは、転換型の老健施設の点数を設定する意味合 いについて申し上げた。結果として、これが各保険者にどういう影響があるかは、当然各 市町村で計算をされるわけだから、軽々には言えないというのは言われるとおりである。 (天本委員)  今までの話と、それから局長の話などにおいて、医療機関がどれだけ転換できるかとか、 お金の話ばかりであるが、これからの後期高齢者で、介護、医療を共に必要としている群 にどのように対応していくのか、どうするかということが一番重要なことである。そうい う対象者はこれからむしろ増える。しかも、単価が減るということはいろいろ指摘された が、安くなって喜んでもらっても医師は減る。そういうことでいいのかどうか、要するに、 運用できるかどうかということも検証するべきである。ニーズを無視したお金の問題だけ ではないことをきちっと頭に入れていただきたい。お金の問題だからこそ、最初に書かれ てある説明の中で、平成18年6月より介護療養型医療施設が法的に位置付けられたが、た かだか5年でその制度を廃止するといった財源論だけで対応しているが、医療ニーズ、介 護ニーズからすれば、逆行している。そういう形の議論も忘れないでいただきたい。 (川合委員)  細かいことは今まで議論があったが、今、まさしく天本委員が言われたとおりだ。制度 の根幹にあるのは、利用者の医療度、介護度をどう考えるのか、日本の社会保障制度をど う考えていくのか。まさしくここ数ヵ月議論してきたことは、財政優先のものに厚生労働 省は同意したのか、負けたのか、それはどうかわからないが、財政優先でこういうことを している。喀痰吸引とか、モニター測定とか、論理矛盾を突いてきたつもりではあるが、 今日出てきた数字を見ると苦労されたであろう。要介護1と2を上げて、要介護3、4、 5を3分の1ぐらいでプラスして、これで果たして本当にお金がついて移ってこられるの か、私も療養型を持っているがこれで移っていいのかなと思う。結局、どういうことかと いうと、軽い人を多く入れなさい、死亡退院で我々がずっと主張してきた末期のターミナ ルケアのことについては、やってきたと言っているにもかかわらず、最大限7万2,000円 のプラスをする。お金のことを言うと我々が今まで善意でしてきたことはゼロかというこ とを再度申し上げたい。  そういうことを考えた上で、ダブルスタンダードということに関して、一刻も早く解消 をしていただきたい。会員に、あるいは代議員、役員にしっかりと申し上げたいことは、 こういう点数が、内容は問わないで7万2,000円を最大限つけるということに対して、我 々は忸怩たる思いがある。やってきたことに対してゼロであって、そういうふうなことに 対して7万2,000円をつけることは、私は本当に砂をかむ気持ちでいっぱいである。 (木下委員)  先ほど説明のあった地域ケア計画についてだが、時期について、都道府県が3月までに 出すから、早々に決まるような話だったが、今日出た報酬を基に、4月以降もう一回調査 があると聞いている。その辺の関係で、最終的な数字が出るのはかなり後になると思うが、 3月に出る数字と4月以降に出る数字との関連はどうなるか確認したい。 (矢田地域ケア・療養病床転換推進室長)  ケア構想の話と、適正化計画の話と2つあろうかと思う。ケア構想は、現在都道府県で 策定していただいており、現在まで18でしょうか、都道府県で策定済みとなっているとこ ろである。その他の都道府県についても3月末に向けて検討していただいている。  それから、もう一つは、先ほどの医療費適正化計画というものも、同じく3月末を目標 に策定を進めていただいている。  医療費適正化計画のその後について申し上げると、3月末までに、あるいは少し遅れる かもしれないが、それまでに各都道府県で作っていただいた計画を踏まえて国の目標値を 定める。そしてまた医療費適正化計画については、中間年である22年に進捗状況の評価を 行い、必要に応じ見直す仕組みになっており、療養病床の再編成の進捗状況等も評価され ることになろうかと思う。  一方、ケア構想のその後については、来年度以降、各都道府県において、介護保険事業 支援計画というのを作り、その中で転換型の老健も含めた全体のサービスの目標量の設定 をしていくことになる。御指摘の、4月以降に調査をするというのは、介護保険事業支援 計画を策定するための必要なサービス料を見込むための調査ということになるが、その調 査結果を踏まえて、各都道府県において、21年からの第4期の介護保険事業支援計画を作 っていくことになる。ケア構想を見直すかどうかについては、各都道府県において、その 出てきた転換意向の結果を踏まえて、必要に応じて見直していただくことになると思う。 (木下委員)  地域ケア計画では何を決めるのか、もう一度確認しておきたい。 (矢田地域ケア・療養病床転換推進室長)  平成23年度末までの各年ごとの介護療養病床、医療療養病床から介護保険施設への転換 の年次計画ということになる。 (木下委員)  今日出された報酬によって、介護療養型医療施設、療養病床が転換をするかどうかを決 める資料に、今日この単位数を出すということだったが、それによって4月以降、調査を やって決めるというはずだが、今の話だとこの3月に出た数字でもう確定するというよう なので、その関連が理解できない。 (大森分科会長)  局長。 (阿曽沼老健局長)  財政影響が目的ではなくて、財政的な影響はあくまで結果としてどうなるかという見通 しの問題であることをまず申し上げておきたい。  それから、今回こういう形で点数が出たので、これを前提にして各医療機関で当然判断 をされると思う。したがって、恐らく各県はもう一回実態調査をして、意向調査をして、 確認をした上で、そういう意味でまた地域ケア計画等に反映させるような形で対応すると 思うので、そういう意味では心配いただかなくてよいのではないか。 (木下委員)  局長の説明だとわかりやすいが、担当者の説明では、3月に出た数字でもう固定するよ うな話だった。そうすると、4月以降、調査した結果で、皆さんが話している最終的な数 字はいつ決まるかが、今は全く想像ができないことになるが、その辺はどうか。 (阿曽沼老健局長)  最終的に、ある程度医療機関の意向が決まって、固まって、また、それと県がすり合わ せをするわけで、県の意向が固まって、それから最終的に国全体としての財政影響が出る ということである。私ども、努力はしたいと思うが、医療機関の意向がまずあって、その 次に県の意向があって、最終的なオールジャパンの計画ということであるので、そういう 意味では、3月末直ちにというわけにはいかない。これから何度もフィードバックする形 で進んでいくのではないかと私は思っている。 ○木下委員  最終的に確認だが、3月に出た数字が最終的な数字ではないという理解でいいのか。 (阿曽沼老健局長)  先ほど3月末と言ったのは、医療保険の計画を各県が3月末を目途に努力をしていると いう意味で、3月末に数字が確定するというふうには思っていない。 (大森分科会長)  よいか。 (木下委員)  はい。それともう一つ、天本委員が指摘されたとおり、今、お金の話ばかり出ているが、 これで結果的にどういうサービスができるかという話は全くない。費用を安くして介護の 質が落ちたでは利用者には全くいい話ではない。その関連を考えることを今後も検証する ことが大変重要なことである。お金の話ではないことを理解しておいていただきたい。 (勝田委員)  この転換によって本当に介護難民は出ないのか、その手だてをどう考えているのか。そ れぞれの医療機関が選ぶと言っているが、本当にそうなのか。国の方でこれくらいにしな さいという計画を明示されているのではないか。それで、それぞれの県では、その数字に 近い形で一生懸命、今計画を立てている。そして、今日数字を出されたが、先ほど33万4, 000円で、最大看取り加算があった場合には7万2,000円ということを川合委員も言われ たが、それだと今の41万と全然変わらない。  疑念に思うのは、転換するのは看板を付け替えるだけではないか。例えば、同じ医療機 関の中に医療病棟と介護病棟とある。では、これは病棟単位なのか、病床単位なのか。例 えば、介護療養が100床あったとする。3年間にわたって、今後の計画の中で、今年度は 30、次の年度は30といったように病床単位で転換をしていけるのか。それとも病棟単位で やらなければならないのか。段階的にそういうことがやれるのか。  そして、私が一番懸念するのは、前回ヒアリングしたところの先生方が、今、この要件 を満たしてやった場合には、本当に生き地獄になるのではないか。特に、サテライトとか 小さなところでは本体があったとしても、医師はいない、看護師もオンコールだという中 で、この金額で本当に選んでいただけるのか。その手だてをどのように考えているのか。 本当に介護難民は出ないのか、そこが私たちは一番懸念されるところである。  そして、もう一度言うが、医療費の削減効果なり、そういうものは試算で出ていると思 う。出てきた結果によってなどということは、国の方針としてはあり得ない。この金額を 出したときにどうなのか、そして、国から出された病棟の数でどうなのかという数を、試 算をしっかり示していただきたい。 (鈴木老人保健課長)  この新しい介護療養型の老人保健施設をつくったことによって、現在入っておられる方 に迷惑がかかることがないのかという御懸念だと思うが、我々は、この場でも累次議論い ただいたように、いわば「えいや」で基準を決めるということではなくて、むしろ入るで あろう方の医療ニーズがどのぐらいであるかを現実のデータを基に積み上げてきたつもり である。勿論、一定程度の安全率を見てである。  したがって、もし我々がお金のことだけを考えて「えいや」で基準を作ったというので あれば、委員の御心配もある程度あるかもしれないが、今回の場合には、我々はきちっと データに基づいて、それに十分対応できるような形で積み上げさせた基準、そして最後は 報酬というステップを踏ませていただいた。勿論、何人かの委員から指摘があったように、 実際にこれを示して、ここに移られたところが、半年なり、一定程度の期間を経た後、そ の運営状況、中に入っておられる方の状況等をかんがみて、このスキームが本当に妥当な のかどうかという検証は必要である。それをやらないと言っているわけではない。  ただ、少なくとも、今、合理的な範囲で、データに基づいて我々として設定をさせてい ただいたので、一定程度以上、これで対応できると思っている。勿論、かなり多くのとこ ろが、恐らくは併設医療機関という、実際に医療機関が全部老人保健施設に変わられると いうよりは、一部機能を残して、例えば、外来機能であるとか、病院の病床機能であると か、そういうものを残して変わられるところがかなり多いと思っている。  1点、委員から指摘があった、病棟単位でいくのか、病床単位でいくのかについては、 これはもともとの在り方委員会の中でも議論をさせていただいたが、老人保健施設と医療 機関が併設している場合、今までは、廊下であれ、エレベーターであれ、全部独立して作 ってください、間にきちっと間仕切りも作ってくださいとしていたが、昨年からその規制 は撤廃をした。そういう意味では、併存していただくことも可能となるので、一気に行く ということではなくて、一定程度の病棟の中で、この方々は老人保健施設で対応できると いうことであれば、そういうふうに転換をしていただくことも可能である。したがって、 1かゼロか、もしくはゼロか100かで、全部が全部変わられることではなくて、ステップ を踏んでいただくことも当然可能であり、勿論、データに基づいて、我々の方としても算 定をした。更に、その上で、一定の期間後、検証して、十分であったかどうかについては 確認をしたい。 (勝田委員)  病床単位でいいということか。 (鈴木老人保健課長)  はい。 (矢田地域ケア・療養病床転換推進室長)  1点、訂正をさせていただきたい。先ほど、医療費適正化計画の中間年での見直しとい うことを申し上げたが、療養病床の目標数についても、現時点において既に中間年で見直 すことを想定しているわけではないということだそうです。  それから、先ほど勝田委員から、再度数字を示すべきという話があったが、先ほど来か ら申し上げているとおり、現在の時点では病床数について確たる数字を持っていないので、 現時点での推計はできないことを御理解いただきたい。 (大森分科会長)  ほかに意見等あるか。 (木下委員)  先ほど示された単位数についてでもよいか。 (大森分科会長)  どうぞ。 (木下委員)  前回までの審議で6対1看護、4対1介護、それから、認知症の問題、施設基準等、か なり医療、介護ができやすい体制は整ってきた部分は評価したいが、今日示された単位数 で見ると、この人員配置を維持していくのに必要な経費が担保されているか、かなり疑問 な点がある。この点については今後も検証していく必要があり、この単位数を見て、実際 に転換しようという意思が医療機関に働くかどうか、やめておこうというようなことも考 え得るので、今後の転換計画にはかなりこの数字は大きな影響がある。それと、先ほど言 いましたサービスの質と関連して、本当にこの単位数で運営できるのか大変疑問に思う。 前回までも言われているように、介護労働者の数が減っている、離職が多いというような データもあるので、本当にこの単位数で転換老健が維持されていくのかどうか大変疑問に 思う。  もう一つ、介護保険法の改正案の中でも、新聞報道などによると、サービスの確保対策 ということで、サービスをやめる場合は、そのサービス業者が責任を持って後のサービス を担保するようにということがある。その中に、「厚労省や行政は、利用者のサービスを 確保するため、利用者、事業者等の関係者間の連絡調整を行う」としか書かれていないの で、全く現場の責任に全部押しかぶせて厚労省は何もしないというような意向が伺われる。 現場が困るような報酬を組んでおいて、後の責任は取らないというのは非常に無責任だと いう感じがしている。これは私の感想であり、別に答えは必要ないが、今後のサービスの 質と関連して疑問点を述べておく。 (池主委員)  少し戻ってしまうが、先ほどから経管栄養が1つの基準になるという話が出ていた。先 ほど小川委員から出た話にも、それがまた基準になるという問題と、いかに大きな流れの 中で在宅なり介護施設を通して人が幸せに最後を迎えられるかという、まさに会長のおっ しゃった個人のニーズの問題に落とせば、経管栄養になるということの意味は非常に個人 にとって大きな意味があるのではないか。今回、摂食機能療法というものが新しく設定さ れたということは、多分そこに歯科が相当関与できるという意味では非常に大きな意味が あると思うが、もう一つ、重要なことは、亡くなるまでの流れの中で、経管栄養を外せる。 経管栄養を外して、人として当たり前な生活を取り戻せる可能性に相当重点を置く施策を 考えてよいのではないか。  その中で1つ、摂食機能療法が認められたことに関連するが、経口維持加算というとこ ろに、実は我々歯科は関与できていない。記載上、歯科が明示されていないため、病院な どの現場では、歯科関係者がかなり関与していてもその評価がないのが現実である。この 状況を、基本的な部分から見直していただきたい。 (大森分科会長)  文章を含めている場合で、当然入っている場合には、歯科と明示するほうがよい。今の ことで、何かあるか。 (鈴木老人保健課長)  今、調べるので、お待ちいただきたい。 (山本委員)  保険料のことを言ったところ、金のことは言うなと言われたが、ここは金の要らない人 ばかりが多い。金が要らない人たちばかりであるから、話は早いと思う。立派な制度を作 ればお金は要らないということと同じことに通ずる。しかし、いろいろ話をしているが費 用は要る。お金は要らないが、費用は要る。その費用をどう適切に出していくか、あるい はどう適切に負担をしていただくかということが制度である。  その議論はもう十分したので、もう思っていることの結論みたいなことを言うべきでは ないかと思うので申し上る。私どもは前回、保険者の代表として2人ほど出席をしてもら って意見を申し上げた。高山市の森市長と私どものところの副連合会長などが出てきて、 そして皆さんにその話をした。私がさっきから申し上げるように、正直なことを言うと、 どう決めたらいいかがわからない。もう3月になったから、議会に提案しなければならな い。ところが、提案する物がきちんと決まらないで困っていることを申し上げたつもりで ある。  更に、さっき申し上げたが、どうしたらよいか、どういう数値を出したらよいか、議会 にどう提案したらよいか、あるいは被保険者にどういう説明をしたらいいのかつかみ得な いから、今、非常に困っている。もう仕方がないから、出てきた数値でいいと私は言った。 介護の療養型の老人保健施設などの介護報酬等については、今日、少し話があったが、で きるだけ具体的に、早目に我々保険者の方に知らせていただきたいことが1点目。  2点目は、本日示されている介護報酬の水準や基準については、これまで何回か話をし てきた。そういうことを考えていけば、報酬水準の内容が、今の場合、考えられる最良の ものである。だから、局長、今日は楽ではないか。向こうの方の人はみんな、お金は要ら ないと言うから。そういうふうに言われた水準で私は十分だと思う。私はお金が必要です から、決められた報酬に出されたものに対して、賛成をするから、そういうことでひとつ 覚えておいていただきたい。  特に、答申をなさるときに、附帯意見として盛り込む必要はないが、介護報酬を示した わけだから、療養病床の再編成とか、介護の保険財政に与える影響について、事務局の方 で、局長の方でいろんな計算かできるならば早目にして、大体こういうことではないかと 示していただきたい。本当は、そういうのをきちんと出して、答申の附帯意見の中に入れ てもらうのが一番よいが、そこまでは必要ないので、できるだけ早く、実際に動かしてい かなくてはならない。試算をして、ある程度の数値を示していただく努力をしていただき たい。そういうことをお願いする。出されているいろんな条件で、こういう規則できてい て私はいいと思うので、諮っていったらいかがか。そう思うので、是非ひとつ、皆さん、 了承してくださるようお願いを申し上げる。 (鈴木老人保健課長)  池主先生から指摘のあった摂食機能加算、それから、経口等の加算だが、摂食機能加算 は歯科医師も明示的に入っている。経口移行加算と経口維持加算と両方あるが、これにつ いては、介護療養も介護老健も両方とも算定することができる加算になっていて、その他 の職種の中で歯科医師が入っているようだが、実際に明示的に歯科医師を書くかどうかに ついては、この諮問とは別問題だが、次回の改定のときにもきちっと相談をしたい。 (沖藤委員)  1つお願いと、1つ質問である。お願いは、「ターミナル加算」という言葉から思うが、 介護難民よりも、むしろ医療難民が増えるのではないかと私は非常に心配している。この 介護給付費分科会で語ることではないかもしれないが、病院が地方に行くとどんどん倒産 している中で、本当にこの方は医療があれば助かるのに、あなたはターミナルですよと言 われて、ターミナルとしての処置であの世に行く。つまり、ここで議論していることは、 日本人の死に方の議論である。今、言われていることは、クオリティー・オブ・ライフか らクオリティー・オブ・デス、QOLからQOD、死に方ということが非常に言われてい る。安易にターミナルということに行ってしまわぬように、これは是非とも制度的な歯止 めが欲しい。「ターミナル加算」という言葉を聞くと、私などはどきっとするということ を申し上げたい。  それから、1点は質問である。各論だが、6ページの小規模介護老人保健施設の基準の 緩和の(2)で、支援相談員とか介護支援専門員に関する基準については、処遇が適切に 行われると認められる、この認める人は指定権者だと先ほど伺った。事情に応じた適当数 でよいということだが、私は、こういう文章に「適当数でよい」というような表現は、説 明を受けたときは気がつかなかったが、これは余りにも適当ではないかという気がする。 それで、ここは、本体の老健から支援相談員や介護支援専門員がかかわるのであることを 明記する必要があるのではないか。指定権者が認めない場合はどうなるのかも含めた文言 訂正をここでしておいた方がよいと思うがいかがか。 (鈴木老人保健課長)  これは全体にかかわる問題であるが、これは諮問の概要であり、諮問の具体的な文言と いうのはまた少し別の場合がある。  それから、「適当数」という言葉は、確かに一般的な日本語であると非常に響きが悪い が、法令用語で「適当数」ということは他にもたくさん出ており、一定の要件を満たす場 合については、これはまさに沖藤委員が指摘のように、本体と連携をして見るという意味 であり、それできちっと中の処遇が行われる場合である。これは指定権者というよりは、 実際に施設の管理者が判断をしていただくということだが、その場合に、その条件を満た す数でよいということである。適当でよいという日本語とは異なり、要件を満たす数とい う意味の法令用語である。 (沖藤委員)  そうすると、本体にいる支援相談員や介護支援専門員が必ずかかわるので、その人たち が小規模の方においても相談やプランに乗ってくれると確認したということでよいか。間 違いないか。 (鈴木老人保健課長)  そういう趣旨である。 (木下委員)  先ほど山本委員から、向こう側の人はお金は要らないと言っていると表現があったが、 そうではなくて、ここに示された報酬で今やっているケアの質が本当に担保できるのかど うかに疑問があるという話をしたので、決してお金が要らないという話ではないことを御 理解いただきたい。 (池田委員)  療養病床の転換と老人保健施設の話が中心だから、しようがないとは思うが、議論の流 れとして、やや気にかかる。給付は充実しろ、負担は上げるなというのは絶対成立しない ことを前提条件に置かなければならない。その辺があいまいになっている。当然、給付を 充実すれば保険料が上がるに決まっている。今、この問題は、ある意味で、負担は上げら れないし、半分公費が入っているから、公費の方は締めつけろという方向になっている。 社会保障費を年間2,200億円削減するという骨太方針から、財務省の圧力もあるだろう。 限定された資源の中でどう充実するかを考えた場合、ある部分を充実するならば、ある部 分を切らなければいけないというゼロサム社会になっている中で、こういう転換はどうだ と、本当はそういう議論で行ってきたはずであり、その流れから少し話が逸脱し始めたの かなという気がする。  もう一つは、私は「介護難民」という言葉を軽々しく使ってほしくない。そもそも老人 病院は、在宅介護も受けられなければ、施設介護も受けられない。介護難民がなだれ込ん だ難民キャンプである。今の療養病床がすべて難民キャンプだなどと失礼なことは言わな いが、その内容、性格を残している。だから、今やろうとしているのは、難民キャンプを 解体して、ちゃんとした生活を取り戻そうと、そういう方向でこの議論は始まったはずで あり、終えるべきである。  私が一番気になるのは、要介護3から5の人は、大体3割から5割が施設に入っている。 だが、逆に言えば、7割から5割の方は在宅で生活している。では、その方たちはどんな サービスを使っているかというと、恐るべきことに3分の1の人たちは月額10万円未満で ある。その分、家族がやっているかといえば、やっていないということはデータとして立 証されている。ということは、今、一番重要なのは、在宅の重度、あるいは認知症の人た ちのための、本当の意味での効果的なサービス、効率的なサービスであるということも必 要だが、それをどうつくっていくかということ、そこに一番焦点が当てられる。  そういった意味では、これは次の、これから始まる介護報酬改定の話と極めて絡んでく ると思うが、中重度及び認知症の在宅サービスがどれだけ開発できるか、そういったとこ ろに流れ込んでいかなければ、結局は同じことになる。これの諮問答申に直接触れること はできないかもしれないが、問題は、そういった中重度、認知症に対する在宅サービスと いうものは極めて未開発で遅れている。それをどう前進させていくかという、その問題意 識を中心に持っていただきたい。 (大森分科会長)  そろそろよいか。報告案について、事務局で用意しているので、その案についてお諮り した上で相談する。 (報告案配付) (大森分科会長)  それでは、読み上げてください。 (鈴木老人保健課長)  平成20年3月3日厚生労働省発第0303001号をもって社会保障審議会に諮問になった表 記について、当分科会は審議の結果、諮問のとおり改正することを了承するとの結論を得 たので報告する。 (大森分科会長)  省令と告示を直す。私から貝塚会長にお出しして、貝塚会長から厚労大臣にこれを答申 すると、そういう手順になっている。これでよいか。 (「はい」と声あり) (大森分科会長)  よければ、今まで皆さんから議論あったことはテイクノートされているので、今後、こ の分科会等でいろいろ審議するときに必ず役立てていくと、そういうふうに御理解いただ きたい。答申はこれでよいか。 (「はい」と声あり) (大森分科会長)  それでは、分科会としては、この報告を貝塚会長に出すということで決した。ありがと うございました。長時間の皆さん方の御協力でまとめることができた。 (川合委員)  先ほども言ったが、我々は既にしていることを、こういうふうにゼロと7万2,000円と いう差額をつけられたことに関しては、100%の施設ではないが、仲間に対して私は顔向け ができないという意味で、忸怩たる思いがある。  ただ今、答申が出た。砂をかむ気持ちで答申を承認させていただいたが、これからは、 来年、再来年度の介護給付費に対する、介護報酬に対する議論が始まると思う。私は後発 者で恐縮だが、私は中医協とこの会議が違うのは、第何号委員というのがいないところで、 そういう仕組みになっていると理解している。私はこの1年間、従来型の老健が今までや ってきたことを述べてきたが、まだ言い足りない点はいっぱいある。しかし、真摯に発言 させていただい。まず、この介護給付費の中で、療養費の中で、巷間言われているような、 介護職員、あるいは看護職員の処遇改善をきちっとしたい。それのためには嵩上げ以外の 何物でもないと思っている。  私事で恐縮だが、年明け早々に全国で施設内介護職員を主にした待遇改善ということで 署名活動をした。2ヵ月の間に165万人の署名をいただいた。これは無視すべき数字では ないと思っている。165万という数字は、今までこういう審議会で集めた数字では最大の 数字だと私は自負している。しかし、この数字は、私の、あるいは後ろに座っている執行 部の方に重くのしかかってきている。  まず提案だが、3月18日に私どもは自前で、ちょっと皮肉った題であるが、「介護職員 は今、要支援」という題名でシンポジウムを開く。是非とも参加いただきたい。我々の現 状を見ていただきたい。在宅もそうだが、施設職員も、本当にこの2回の減額によって、 確かに無駄があったかもしれないが、効率化に努めてきた。そういう点におきまして我々 の主張をしっかりとお聞きいただきたい。  前回も言ったが、行政も立法も、制度ができたら走りながら考えるべきだというふうに 言うが、日本の社会保障制度の将来のことを考えると、一旦ここで立ち止まって考えてみ てはどうか。本当に走りながら考えていいのか。老健が今までチャレンジングに果たして きたことをそんなに過大評価していただくつもりはないが、自負はある。  そういう中で、今回、官邸に社会保障を考える会というふうな、屋上屋を重ねるような 委員会ができた。いろんなことにおいて、もっと厚生労働省は、我々がやっているから、 そういう審議会はあるから、我々に任せろという発言もしていただきたい。こういう流れ を全然御存じない、総理から指名いただいた方がうれしがってと言ったらひがみがあるか もしれないが、そこで発言されることが本当の議論だとは思わない。  年余にわたってこういう議論をしている我々委員こそ、1号委員、2号委員、3号委員 と分かれている審議会ではなく、お互いに、私が対馬さんの団体のところに行って、ある いは山本町長の町村を見て、ああ、なるほどということができるような、皆さん方はこち らに来ていただけるような審議会をこれから、この1年間やっていただきたい。その上で、 施設内、あるいは居宅の我々の仲間が本当に安心して生活できる、エンドユーザーにきち っとサービスができる体制を整えていただける議論をこれからしていただきたい。感情が 激して、前回、今回はちゃぶ台をひっくり返しませんと言ったが、こういうふうな議論が できれば、私は、私以外の方がちゃぶ台をひっくり返されるだろうなというふうに自負は 持っている。 (木下委員)  先ほど池田委員から介護難民キャンプというような言葉があったが、「介護難民」とい う言葉は使うべきではないという中でこういう言葉を使われるのは、それも病院のことを 言われたので、非常に不快だということを表明しておきたい。  それと、前回も言ったが、医療法人の特養開設について、いつ頃、どういう方針で進め るかお示しいただきたいことを再度申し上げる。  それと、今日は保険局の方はいないが、医療費適正化、あるいは地域ケア構想の中で、 都道府県の作った計画の達成率を評価するというふうな文章があったと思うが、この評価 の対象になるのが都道府県の計画数なのか、厚労省がもともと示した計算式の数字なのか というところで、都道府県の解釈がまちまちなところがある。この辺を確認して、次回以 降でもお示しいただきたい。 (大森分科会長)  今のことは次回以降でよいか。 (阿曽沼老健局長)  保険局の関係の部分については、担当部局に伝えて、また返答したい。  それから、医療法人の特養の経営の問題だが、これも前回申し上げたが、特に福祉関係 者の方から、本来、経営主体の議論をする前に、特養での医療の在り方というものをちゃ んと議論してから考えるべきではないかという指摘があった。それはそれで1つの適切な 提言と思う。この給付費分科会は来年度の介護報酬の改定に向けて、これから議論を始め るので、その中で、特養の医療の在り方を含めてまた議論していきたいと思っている。 (大森分科会長)  どうぞ。 (天本委員)  今日の議論は、介護療養型医療施設を持っている者としては、具体的に考えられるとい うことで、進歩だろう。ただし、実際にできるかどうか、運用できるか、利用者ニーズで できるかどうか、これから現場の人たちに考えてもらおうと思う。話題は、現場で介護労 働者の問題が非常に大きな問題となっている。例えば、入学者40名のところが18名だっ た、あるいは介護福祉士を育てる学校が閉鎖したとか、そういう事態が現実に起こってい る。我々介護施設は非営利の組織だが、そこでの経営の非常に危機的状況というものを、 生の声を私自身もつかんでいる。そういう意味において、学校は2年、あるいは3年であ るので、喫緊の課題として、現在でさえ介護労働者が集まらない状況であるので、是非緊 急に調査をし、そして対策を国としても是非考えていただきたい。 (沖藤委員)  私は個人でここに出ているが、属している高齢社会をよくする女性の会においても、介 護労働者の賃金アップに関して署名運動をした。15万人ちょっとの署名活動があった。そ の中で言われてきたことは、介護福祉士の資格を取得している人は結構いる。前にも田中 委員から発言があったが、60万人ぐらいいる。そのうち介護福祉士で実際に働いている人 が20万人ちょっとである。資格を取って潜在化している方をどう活用するのかのめどを、 もうきちんと立てていく必要もある。  辞める理由の最大は、仕事がきついからということと、仕事に不安が大きいからという のが出ている。この不安というのは、先ほど私が言ったように、死に向き合う仕事だとい うことによる不安である。介護職員はお年寄りが亡くなると皆さん泣きます。そういうグ リーフケアをどのようにしていくのかという施設内での職場体制の問題、そういうことも 絡まっていて、離職を食い止めていく対策と、それから、再雇用のための対策を早急に立 てていく必要がある。 (小川参考人)  先ほど介護職の離職の問題が出たが、実は看護職の離職の問題はもう長い間の懸案の課 題であり、いまだに解決していない。ただ、これまでの看護職の確保対策、定着対策の実 績があるので、我々がうまくいっていないという反省点も含めて参考になればと思う。看 護職の離職だが、多分、同じ構造が介護職の離職にもある。いわゆる介護職の確保は難し いと言われているが、実は、一番の確保対策は定着対策である。それがようやく最近わか ってきて、確保対策ではなくて、今はもう辞めさせない努力をいかにするかを主眼にすれ ば、定着対策こそ最大の確保対策であるという実感を持っているので、是非連携を取って 協力したい。 (古谷参考人)  しつこいようで大変恐縮だが、資料1の2ページのところの話をもう一度確認をいただ きたい。数えてみると、ここに「ケア」という字が9ヵ所出ている。今回の認知症につい ても、ケアの時間から算出と書いてある。あくまでも医療の必要度とは書いていない。要 するに、ケアの中身とは何なのだろうか、何をもってケアというのだろうかという辺りで ある。我々施設もそうかもしれないが、施設の機能というものと、一体、ケアの中身とは 何なのだろうか。この辺のところを十分協議いただいた上で、ここで使うような認知症に ついて、アルツハイマーとアルツハイマー以外の認知症のケアの時間と言っているが、あ くまでもこれは治療に要する時間と言っていないから、そういう数字を出して、74.3分と いう、経管栄養、喀痰吸引に引き継ぐ認知症のケアの時間が低いということを言っている。 我々が提供する、もしくはケアというもの、この「ケア」という字の中身について、今後 とも十分協議いただいて、本来あるべきケアとは何なのかという、その辺のところからも またいろいろと意見を聴取して協議いただけるとありがたい。これが実は介護報酬に結び 付き、そしてまた介護職、看護職等の人員の確保にも有意な形で結び付いてくるのではな いかと期待される。 (田中(雅)委員)  介護職の定着の悪さとか、あるいは職を求めてこない話も出ているが、そういった状況 については、これまで我々介護の現場においては、介護職を大切に扱ってこなかった結果 がこのような事態をもたらしたと考えている。すなわち、1人の人間としてきちんと育て るとか、あるいは教育を与えるとか、まさに先ほど小川代理人が言われたように、定着を 図るためのさまざまな工夫をしなかったつけだと私どもは思っている。私ども日本介護福 祉士会の調査においても、離職の理由が、職場の人間関係、あるいは働きがいというもの を上げている。勿論給与の問題も大きな問題だが、そういう意味において、今後、介護職 員が働きがいと生きがいと、そして何よりも生活保障がされるような雇用環境を作ってい くことが大切であり、そういった形で今後報酬についても議論いただきたい。 (大森分科会長)  よろしいか。  今後について、事務方から何かあるか。 (鈴木老人保健課長)  次回日程、議題については、また分科会長と相談の上で連絡をさせていただく。 (大森分科会長)  3月中にあり得るか。 (鈴木老人保健課長)  3月中にあり得るが、詳細についてはまた相談をさせていただきたい。 (大森分科会長)  3月中にやらなければいけないことが出てくるかもしれないので、それは早目にお伝え する。  本日は以上である。ありがとうございました。 - 25 -