08/02/29 薬事・食品衛生審議会毒物劇物部会 平成20年2月29日議事録 薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会 議事録 1.日時及び場所   平成20年2月29日(金) 14:00〜   厚生労働省共用第7会議室 2.出席委員(10名)五十音順   ○赤 堀 文 昭、 石 川 光 一、◎大 野 泰 雄、 菅 野   純、    黒 木 由美子、 白 濱 龍 興、 鈴 木 和 夫、 出 川 雅 邦、     長谷川 和 俊、 森 田 昌 敏 (注) ◎部会長  ○部会長代理    3.行政機関出席者   山 本 順 二(化学物質安全対策室長)、    廣 田 光 恵  他 4.備  考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 定刻になりましたので、ただ今より平成19年度第1回薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会を開催したいと思います。毒物劇物部会の総委員数が10名ですので、定足 数が過半数の6名ということになっております。本日は10名全員の先生方に御出席いた だいておりますので、この会議は定足数に達していることを、まず御報告申し上げます。  全員の先生方に御出席いただいておりますので、前回の部会を御欠席された先生に御 挨拶いただければと思います。あいうえお順で白濱先生からお願いできますでしょうか。 ○白濱委員 白濱です。 ○事務局 続きまして、出川先生お願いします。 ○出川委員 出川です。よろしくお願いします。 ○事務局 森田先生、お願いします。 ○森田委員 森田です。 ○事務局 なお、本会議は公開で行われ、資料、議事録も公開となっていることを御報 告申し上げます。  まず、開催に先立ちまして、化学物質安全対策室長の山本より一言御挨拶申し上げま す。 ○化学物質安全対策室長 化学物質安全対策室長の山本でございます。本日は毒物劇物 部会の委員の皆様方、御多用のところ会議に御出席いただきまして、誠にありがとうご ざいます。  この会議は、前回は平成19年3月19日に開催されておりますので、ほぼ1年ぶりの 開催ということです。前回のときには、毒物劇物の判定基準の見直しの議論であるとか、 合せて6物質に関して、毒物劇物の指定の見直しの議論をしていただきまして、その結 果に基づきまして昨年の9月1日に指定の政令の改正、施行をいたしまして、6物質に ついて、毒物劇物の新たな指定、劇物から除外等の措置を取ったところでございます。  御存じのように、毒物劇物取締法という法律は、農薬であるとか、工業原料などとし て、日常流通をしている有用な化学物質について、その中で作用の激しいものを、毒物 劇物に指定をいたしまして、国民の保健衛生上の観点から、基本的には適正な目的に使 用するということを前提に、製造とか流通などについて、必要な規制を行うということ を目的とした法律でございます。  その法律の規制の対象となる化学物質については、化学物質の流通の実態などを勘案 して、最新の化学的な知見を踏まえて見直しをしているというところでございます。  本日は、後ほど事務局の方から御説明しますが、新たに11の物質について、毒物や激 物への指定などについてのご議論をいただくことになっております。本審議会の議論を 踏まえまして、我々の方で毒物劇物の見直しをしていきたいというふうに考えています ので、よろしく御審議のほどをお願いしたいと思います。 ○事務局 それでは大野部会長、議事進行をよろしくお願い申し上げます。 ○大野部会長 今日はお忙しいところ、皆さん全員集まっていただきましてありがとう ございました。11品目について御審議いただきますので、よろしくお願いいたします。 配付資料の確認をお願いします。 ○事務局 お手元に今回御検討いただきます、毒物又は劇物の指定に係る7物質の資料 については、資料1から資料7になっています。劇物の指定見直しに係る1物質の資料 については資料8です。劇物の除外に係る3物質の資料については、資料9から資料11 となっています。また、参考資料として、現在の毒物劇物判定基準を末尾に付けており ます。また、既にお配りしている資料について、正誤がございましたので、ダブルクリ ップの上に1枚、「平成19年度第1回毒物劇物部会資料正誤表」という形で置いてあり ますので、御確認ください。資料に不備などございましたら、事務局までお申し出いた だきますようお願い申し上げます。 ○大野部会長 審議に入ります。資料1の「塩化ベンゼンスルホニル」及びこれを含有 する製剤の審議に入ります。説明をお願いします。 ○事務局 名称は「塩化ベンゼンスルホニル」でございまして、現在国連危険物輸送勧 告において、腐食性物質に分類されている物質です。現在日本では、医薬品及び農薬の 原料として流通しています。  この物質の物性については、別紙1を参照していただいて、無色の油性液体で、可燃 性液体です。毒性試験の結果については、別紙2を参照していただいて、経口について は普通物、皮膚についてはデータが見付けられませんでした。吸入については飽和蒸気 圧濃度を考え、試験結果を換算したところ毒物相当で、皮膚、眼の刺激性等においては、 腐食性・刺激性ありとの結果になっています。よって、毒物劇物調査会では、原体及び 製剤について、毒物として取扱うことが適当との結論でした。審議のほど、よろしくお 願いします。 ○大野部会長 いかがでしょうか。吸入毒性の点から毒物に該当するということです。 ○鈴木委員 書き方についてですが、密度と比重などがありますが、本来比重は単位が 無いはずですよね。密度の方にCGSの単位が付いていると思うのですが。 ○大野部会長 間違っていますね。 ○鈴木委員 全部にわたって間違っているようです。空気密度をどのようにするか、空 気1に対して比重のような付け方をしているケースもあるようなのですが。 ○大野部会長 蒸気密度というのは、単位がない方がいいのですか。 ○鈴木委員 密度といえば本来あるはずだと思うのですが。空気1に対してということ で書くのだったら、蒸気密度のところだけは、密度の単位を入れていないということも あるのかもしれません。 ○大野部会長 空気1に対して、その比率をここで示しているのだったら単位は要らな いですね。 ○鈴木委員 読み方として、「密度」と書いてあるので引っ掛かるので。気体性のもの に対して、蒸気密度という言い方は、単位を付けずに使っている例もたくさんあるよう ですが。 ○長谷川委員 蒸気密度が1.38、比重も1.38なのですね、本当にそうなのか。何か信 頼性が心配です。本当にそうだったらいいのですが。 ○大野部会長 それは確認していただいて。 ○森田委員 それは直していただいて。 ○長谷川委員 これはちょっと重たそうだから。空気の5倍ぐらい重いはずですから。 ○大野部会長 蒸気密度の空気に対する比と入れればよろしいですね。事務局で修正を お願いします。 ○事務局 わかりました。 ○大野部会長 蒸気密度が正しい数字であるかの確認もお願いします。  急性吸入毒性の数値そのものは、1がRTECSで、2がIUCLID、データセットですか。 これは間違いないということで御審議いただきたいと思います。事務局の案で毒物に指 定するということでよろしいでしょうか。ほかによろしければ承認可、として報告とさ せていただきます。 ○大野部会長 ありがとうございます。次の資料2の「1,3-ジクロロプロパン-2-オ ール」についての説明をお願いします。 ○事務局 名称は、「1,3ジクロロプロパン-2-オール」でございまして、現在国連危 険物輸送勧告において、毒性物質に分類されている物質です。メッキ工程におけるプラ スチックの膨潤剤として国内では流通しており、国立医薬品食品研究所において、毒性 試験、文献調査が行われた物質です。  この物質の物性については、別紙1を御覧いただきまして、無色の液体であってエー テルのような臭気があるもので、油には容易に溶けるものです。  毒性試験の結果については別紙2です。経口については、RTECSのデータに毒物相当 とありますが、他のデータについては、すべて劇物相当のデータとなっています。経皮 については劇物相当、吸入については飽和蒸気圧濃度を考え、試験結果を換算したとこ ろ毒物相当、皮膚・眼刺激性については、刺激性ありとなっています。よって、毒物劇 物調査会では、この物質の原体及びこの物質を含有する製剤について、毒物に指定する ことが適当との結論でした。審議のほど、よろしくお願いします。 ○大野部会長 急性経口ですと劇物ですが、吸入毒性だと毒物に相当ということですが、 いかがでしょうか。これも物性のところの修正はお願いします。毒物に指定するという ことについてよろしければ承認可、として報告とさせていただきます。 ○大野部会長 次に資料3です。「2-メルカプトエタノール」及びこれを含有する製剤 ということで、説明をお願いします。 ○事務局 名称が「2-メルカプトエタノール」で、国連危険物輸送勧告で毒性物質に分 類されている物質で、現在日本では光学材料の原料や化学繊維・樹脂の添加剤等に用い られているものです。  この物質の物性については、別紙1を参照いただきまして、臭気のある無色の液体で、 酸化剤や金属と反応し、加熱すると分解して有毒な硫化酸化物の蒸気を発するものです。  毒性試験のデータについては別紙2です。経口については劇物相当、経皮については ウサギで毒物、モルモットで劇物、吸入についてはラットにおいて毒物の下限、皮膚と 眼の刺激性は共に刺激性ありとなっています。よって、毒物劇物調査会では、この物質 の原体及びこの物質を含有する製剤については、毒物に指定することが適当との結論で した。  なお、国内のあるメーカーから、当該物質については、食物アレルギー等に関する生 化学実験で、非常に使用頻度の高い還元剤となるため、指定対象から除外していただき たいという御意見がございましたが、当該理由で指定対象物質から除外することは難し いのではないかと事務局から回答しています。審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○大野部会長 いかがでしょうか、ウサギの経皮毒性から毒物に相当するということで す。今の御説明にありましたように、生化学実験によく使っているものですが、特にご ざいませんか。では案のとおり毒物に指定するということでよろしいでしょうか。特に よろしければ承認可、として報告とさせていただきます。 ○大野部会長 次の「亜硝酸イソブチル」についてお願いします。 ○事務局 資料4です。名称は「亜硝酸イソブチル」で、名称については薬事法の省令 で指定している名称です。国連危険物輸送勧告において、引火性液体及び毒性物質に分 類されており、薬事法の指定薬物として、日本では元素又は化合物の化学反応を起こさ せる用途以外には、製造・輸入・販売が禁止されている物質です。現在、日本では試薬 として流通しております。  この物質の物性については、別紙1を参照してください。無色の液体で、沸点が低く 揮発性のものです。毒性試験の結果については別紙2を参照いただいて、経口のラット では普通物、マウスでは劇物、経皮のデータは確認することができず、吸入については 飽和蒸気圧濃度を考え、試験結果を換算したところ劇物相当、また皮膚刺激性について は、in vitro試験にて陽性となっています。よって、毒物劇物調査会においては、原体 及び製剤について劇物として取り扱うことが適当とのことでした。審議のほど、よろし くお願いします。 ○大野部会長 この皮膚刺激性/腐食性の陽性というのは、刺激性が陽性だったのか、腐 食性が陽性だったのか、どちらですか。 ○事務局 腐食性が陽性ということです。 ○大野部会長 劇物相当ということですが、いかがでしょうか。特に問題がなさそうで しょうか。よろしければ承認可、として報告とさせていただきます。 ○大野部会長 劇物に相当とさせていただきます。資料5の「亜硝酸イソペンチル」に ついて御説明をお願いいたします。 ○事務局 資料5を御覧ください。先ほどの資料4と同様な物質で、名称は「亜硝酸イ ソペンチル」です。名称については薬事法の省令で指定しているものです。国連危険物 輸送勧告において、引火性液体と指定されており、薬事法の指定薬物として、日本では 元素又は化合物に化学反応を起こさせる用途以外では、製造・輸入・販売が禁止されて おり、現在日本では試薬として流通している物質です。  この物質の物性については、別紙1を参照してください。黄色の液体です。毒性試験 の結果については別紙2を参照していただいて、経口では普通物、経皮のデータは確認 することができず、吸入については飽和蒸気圧濃度を考え、試験結果を換算したところ 劇物相当、皮膚刺激性/腐食性は陽性となっています。眼刺激性については、粘膜損傷性 となっています。よって、毒物劇物調査会では、原体及び製剤について劇物として取り 扱うことが適当との結論でした。審議のほど、よろしくお願いします。 ○大野部会長 劇物相当ということですが、いかがでしょうか。特によろしければ承認 可、として報告とさせていただきます。 ○大野部会長 劇物相当とします。次に資料6で、「2-(ジメチルアミノ)エチル=メタ クリレートに」ついての説明をお願いします。 ○事務局 名称は「2-(ジメチルアミノ)エチル=メタクリレート」で、塗料やゴム強度 向上安定剤等に用いられている物質です。国際機関で毒性調査が行われた物質の一つで、 そのデータから毒性があるとみられる物質です。昨年同様、SIDS文書を取り扱った わけですが、SIDS文書について簡単にご説明させていただきますと、経済協力開発 機構(OECD)では、高生産量物質、すなわち世界で1,000t以上製造されている物質に ついて、加盟各国の政府で分担して、現存するすべての毒性試験報告や文献を集めて、 初期リスク評価のためのスクリーニング用データセット、これがSIDSというもので すが、これを作成し、SIDS初期評価会議にて評価を行っております。  データ集であるSIDS文書については、先ほどの初期評価会議の評価が終わった後、 インターネット上で公表されております。現在、350物質程度公表されているところで すが、そのうち毒性が強く、なおかつ国内である程度流通しているものについて、毒劇 物の指定の候補として、今回挙げさせていただきました。  当該物質は、吸入毒性試験における曝露形状が特定できなかったこともあって、平成 18年度に蒸気での吸入毒性試験が実施され、劇物相当のデータが得られたところです。  この物質の物性ですが、別紙1にありますとおり、無色透明な液体で水にもよく溶け るようです。次に別紙2の毒性試験結果ですが、経口、経皮では、毒物劇物に該当しま せんが、吸入については劇物という結果になりました。刺激性については、皮膚、眼共 に刺激性ありとの結果です。よって、毒物劇物調査会では、この物質の原体及びこの物 質を含有する製剤について、劇物に指定することが適当との結論でした、審議のほどよ ろしくお願いします。 ○大野部会長 劇物相当という案ですが、いかがでしょうか。別紙2の急性吸入毒性の ところが、蒸気かミストかは不明ということですが、蒸気だとしたら、0.62mg/lだとし たら毒物に相当するのではないかと思うのですが。 ○事務局 そこがSIDS文書では、吸入試験を実施した状況が書かれていなかったと いうことで、昨年度こちらでGLPの試験を実施したという経緯です。 ○大野部会長 やったら劇物相当ということですが、いかがでしょうか。ほかによろし ければ承認可、として報告とさせていただきます。                ○大野部会長 劇物相当とします。 ○石川委員 審議がスムーズに進んでいるところであり、毒劇物の判断基準に照らして 指定ということで、そこは全く問題ないと思いますが、基本的なことでお伺いしたいの です。こういう物質について検討にかけるという要件のことなのですが、今のメタクリ レートのところで、初めて経緯の説明でOECDでは高生産量物質として、OECDの 初期評価会議で評価をしているということでしたが、その前の物質については、危険物 輸送に係る国連勧告で、引火性液体とか、毒性物質に指定されているという経緯でした。 国際的にそういうものに指定されている、もしくは国際的に評価されているという物質 について、毒劇物指定をしていくという考え方でよろしいのでしょうか。  要するに、農薬の場合でしたら、新しく上市されて、それは最終的にエンドユーザー として農家に使われるということで、急性毒性等から見て、使用上の安全から毒劇物指 定は必要になるわけですが、こういう工業化学品等のように一般消費者が直接使うよう な物ではない物質については、国際的な位置付けというものがあって、そういうものに ついて指定をしていくということなのでしょうか。今説明を聞いていて、そのようなイ メージを持ったものですから、そこの確認の意味ですが。 ○大野部会長 考え方について御説明願えますでしょうか。 ○事務局 今石川先生からおっしゃられたとおり、基本的にはなるべく独自の動物試験 をなくそうという流れがありまして、そういった流れから、既に国際的な文献で評価が 終わっているもの、あるいは毒性があるだろうと思われているもの、その中からピック アップをしまして、日本国内の流通量も加味して、審議に挙げさせていただいています。 したがって、物質のハザード、それと日本国内での物質を使うリスクの両方を考えて、 指定していただいています。 ○石川委員 そうしますと、国内での使用量も、要素として入っているのですか。 ○事務局 国内ではほとんど流通量が確認されていないという物質については、物質の ハザードがあったとしても、今の審議の対象としてはなっていません。 ○大野部会長 あと国内で何か問題があった場合も、審議していますね。 ○事務局 はい。 ○長谷川委員 国際的な規格、UN規格の関連でお聞きしたいのですが、資料1の物質 は国連ではクラス8になっているのです。これは腐食性物質としてのクラス8です。毒 物にこれを指定するということは、国連との整合性を考える上では、クラス8プラスク ラス6.1か何かの申請をしていく必要があるのではないかと思うのです。基本的な考え として、国連での指定に合わせる、あるいは国連を日本の考え方に修正するという考え 方が必要だと思うのです。基本的な考え方として。  そういう意味で、クラス8にだけではなくて、クラス6になり得るのかどうかを検討 して、国連へ提案して、国連の指定を拡大してもらうアクションを取るべきではないか と思うのです。 ○大野部会長 ちょっとわからないので説明していただけますか。 ○長谷川委員 国連は、国土交通省の中に外郭団体で、日本海事検定協会というのが在 るのです。その日本海事検定協会から、UNのミーティングに代表を出しているのです。 その海事検定協会が、各省庁から委員を募って、業界からも委員を募って、そういう国 内の要望を吸い上げて、国連へ提出しているという流れがありますので、これを毒物と して国連の毒物の範囲に入れるということは、可能だと思います。  ただ、データによって国連の中での審議も行われますので、データが十分であるかど うかということで対象になると思います。単に国連がこうだからこう決めるというので はなくて、国連の方も、こういう問題があって毒物に指定したのだから、そちらが変え てもらいたいという流れがあって然るべきではないかと思います。 ○大野部会長 私、誤解していたようで、これは国連で作った基準に基づいて各国が独 自にラベリングすると考えていたのですが、国連で審議する場があるということですね。 ○長谷川委員 はい。 ○森田委員 先生、混線しない方がいいと思います。国連の輸送規則のところは、基本 的には国土交通省の仕事で、毒劇法の仕事と違うので、今できることは、ここで毒物と か劇物の指定をしたら、その情報を国土交通省にお知らせするくらいで、余り国連規則 と毒劇法の話をミックスして議論すると、複雑になりすぎるかと思います。情報をもら ったり、いろいろなやり取りはあると思うのですが、そういう範囲内で、ここでの議論 を余り拡散しない方がいいのではないかという意見です。 ○大野部会長 結果を国土交通省に連絡すれば済むということですね。 ○森田委員 そちらがやるべき仕事だと思います。 ○長谷川委員 そういう問題ではなくて、日本は毒物であるけれども、外国では毒物で なくて、腐食物だという輸送形態になってしまうわけです。あるいは取扱い形態になっ てしまうわけです。ですから、そこで貿易などにおいて矛盾が生じるわけです。  そういう矛盾を生じないための委員会でもあるわけです。今の考え方というのは、国 際的に使われているものが、日本だけが違う規制をするという格好なのです。資料1の 物質については、他の国々は、これは毒物として扱っていませんという考え方なのです。  それで、日本に入ってくると、途端にその物質は毒物との規制もかかりますよと、非 常に矛盾した考え方なのです。  そういう矛盾をなくしましょうという流れが、国連の中にもあるわけです。ですから、 別にそのことが非常に大きな問題ではなくて、そういうアクションをどんどん国内から 吸い上げていきたいと。毒劇物なら厚労省からの内容を挙げる。爆発火災の物質であれ ば消防庁なり、経済産業省からの要望を挙げていくわけですから、データに基づいてそ れで審議されるわけですから、余り大きく考えなくてもいいのではないかと思うのです。 むしろそれが国際化だと思います。 ○赤堀部会長代理 そういう例はこれに限らず、他の化学物質でも今までにあったわけ です。例えば過去に、除草剤パラコートは毒性試験のデータからいくと劇物だったので す。しかしながら、日本では毒物にしていた。これはデータは劇物だけれども、流通で あるとか、もし中毒が起きたときに治療法がない。しかも、1980年代には毎年1,000人 以上が死んでいる。そのことを考えたときに、日本では毒物にした。それに対してイギ リスからは「何で毒物にするのだ」とクレームが付いたこともあったのですが、それは 日本のお国の事情だということで、彼らは納得した。それぞれの国の事情も認める。そ れは有り得るだろうと思います。  だから、私たちはデータを見て、これは毒物であるか、劇物であるか、普通物である かを判断することが、この部会の仕事であり、調査会であると理解しています。森田委 員がおっしゃられたとおりで、貴重な先生の御発言があったということで、積極的に関 連の部署に情報を流していくということのお願いはしてもいいのではないかと思ってい ます。 ○大野部会長 私も事務局が考えることかと思います。そうするかどうかということで すね。 ○赤堀部会長代理 長谷川委員の御発現は非常に貴重な御意見ですので、積極的に事務 局でやっていただきたいと思います。 ○化学物質安全対策室長 いずれにしましても毒物劇物に指定するときには、政令で指 定しますので、政令で指定するという場合は、各省庁に全部合議をしますから、こうい う内容でやりますということは各省庁に連絡します。WTOの方もしますので、国際的 にもこういうものは日本で載るということは通知をすることになりますので、その時点 でそういうプロセスがありますから、国際的にも日本で規制をすることは明らかになる と思います。 ○大野部会長 もし、そういう通知で実際の運送とか、いろいろな問題が出たら、申し 入れるということですね。長谷川委員、そういうことでよろしいでしょうか。あくまで も、この場では毒物劇物に指定するかについて、審議していただくということです。 ○長谷川委員 国内の現状ということでは、はい。 ○大野部会長 次に資料7の「1-ブロモ-3-クロロプロパン」の説明をお願いいたしま す。 ○事務局 名称については、「1-ブロモ-3-クロロプロパン」で、国連危険物輸送勧告 において毒性物質に分類されています。現在日本では、医薬品及び農薬の原料として流 通しています。  この物質の物性については、別紙1を参照していただきまして、無色の液体です。毒 性試験の結果については別紙2を参照していただいて、経口、経皮については、普通物、 吸入については飽和蒸気圧濃度を考え試験結果を換算したところ、劇物相当、皮膚につ いては刺激性なしとなっています。よって、毒物劇物調査会においては、原体及び製剤 について劇物として取り扱うことが適当とのことでした。審議のほど、よろしくお願い します。 ○大野部会長 吸入毒性試験結果からは劇物相当ということです。いかがでしょうか、 特によろしければ承認可、として報告とさせていただきます。 ○大野部会長 劇物相当とします。次に資料8、「1-(6-クロロ-3-ピリジルメチル)- N-ニトロイミダゾリジン-2-イリデンアミン」についての説明をお願いいたします。 ○事務局 資料8です。名称は「1-(6-クロロ-3-ピリジルメチル)-N-ニトロイミダ ゾリジン-2-イリデンアミン」でございまして、ISOの名称では農薬としてのイミダ クロプリドという別名が付いています。経緯にも記載されているとおり、既に毒物及び 劇物指定令第2条第1項28の11号において、2%以下を含有するものは除くというこ とで、劇物に指定されている物質です。今回はマイクロカプセル製剤に限り、12%以下 は普通物と指定を見直す提案がなされました。  マイクロカプセルとは、粒径が数μmから数百μmで、構造は中心部に有効成分、周囲 に膜物質から成っています。特徴として、そのような構造から毒性に関しては有効成分 の放出速度が制御されることによって、毒性が軽減されることが知られております。当 該物質のマイクロカプセル製剤はシロアリ防除の薬剤として使用される予定です。  この物質の物性ですが、別紙1にあるように、無色の結晶で水には溶けにくい物質で す。別紙2の毒性データですが、原体は既に指定しているとおり劇物相当、12%マイク ロカプセル製剤については、経口、経皮では普通物、皮膚では軽度の刺激性、眼につい ては刺激性なしという結果です。吸入については、原体の吸入毒性が普通物であること から、実施はされておりません。よって、毒物劇物調査会では、12%以下のマイクロカ プセル製剤について、劇物から除外することが適当との結論でした。審議のほど、よろ しくお願いいたします。 ○大野部会長 原体は劇物ですが、12%のマイクロカプセルは毒性のデータから見て普 通物でいいのではないかということですが、いかがでしょうか。 ○石川委員 現行のものは2%以上のものは劇物になっていて、今回マイクロカプセル 製剤については、12%以下を含有するものについては除外という案ですが、これは単純 に有効成分のコンテンツが12%以下は除外ということではなくて、12%を含有するマイ クロカプセル製剤に限定して、これについては除外しますという意味ですね。だから、 剤形が例えば普通の粉剤を含めて除外ということではないという理解でよろしいです か。 ○事務局 今、石川先生におっしゃっていただいたとおりでございます。あくまでもマ イクロカプセル製剤という形状で、12%以下を除くということです。 ○森田委員 本質的なところではないかもしれませんが、別紙2の皮膚刺激性のところ で、原体に刺激性がなくて、マイクロカプセルは軽度の刺激性です。これはどのように 考えたらいいのでしょうか。カプセル剤のせいであると考えるのでしょうか。 ○大野部会長 そう考えざるを得ないですね。 ○森田委員 どちらにせよ軽度なので余り重要でないことで。 ○大野部会長 マイクロカプセルの成分はどのようなものがあるのでしたか。界面活性 剤とかが入っていて、それで刺激性を出すことはありますね。 ○事務局 膜としては、ポリブレア系の膜物質と聞いています。そのほか余り詳しいこ とはあれですが、有機溶剤等が一部入っています。 ○石川委員 最初の資料8の2ページ目の一番下に、毒劇物指定令を見ればわかるので しょうが、「前例あり」と書いてありますが、これも同じようなものですか。 ○事務局 こちらも別名として、BPMCというもので、農薬の殺虫剤として使用され ている物質です。 ○石川委員 カーバメート系の剤ですね。その場合も2%以下で除外で、何パーセント 以下でマイクロカプセルでは除外という規定になっているわけですね。 ○事務局 はい。 ○大野部会長 少し気になったのは、マイクロカプセルの作り方はいろいろあって、こ のマイクロカプセル剤は安定で毒性を表さないけれども、もっと不安定なマイクロカプ セル剤だったらどうなのだろうかと思ったのですが、それはいいのですか。前にはその ような議論はなかったのですか。 ○事務局 調査会で同じような議論をさせていただいておりまして、基本的には作る農 薬メーカーとしては1社で、作り方としては決められたパーセンテージで薬剤を入れて いくということですので、出来上がった個別のマイクロカプセルについては、多少パー センテージが上下するものはあるかとは思うのですが、平均としては同じようなものが できると聞いています。 ○大野部会長 原料で、例えば何とかグレア系マイクロカプセルとか、そういう形だっ たら、もう少し安心できるかと思うのですが、そういう規定はないのですか。 ○事務局 今までの毒劇法の前例としては、そこまで規定したものはないです。 ○赤堀部会長代理 他社が同じような12%以下のマイクロカプセル剤を作ったときに、 当然有効成分以外のものでいろいろと違ったものが入ってきます。そのときは、その都 度審議会、調査会にかかってくると考えてよろしいですか。 ○事務局 それはないと思います。 ○赤堀部会長代理 そうすると、今、話がありましたように、データから安全性の面で、 いろいろなコメントが付いてきたり、それはなぜだろうかということで出てくると思う のですが、ここではそういうことは関係なしに、毒物劇物、あるいは普通物であるとい う指定をしていけばいいということでよろしいでしょうか。言い方を考えれば、少々カ プセル剤の製剤が変わったとしても、あるいはそこに使われる有機溶媒の種類が変わっ たとしても、影響がないからいいのだという考え方でよろしいのですか。影響というの は、毒物劇物の指定ですね。 ○事務局 毒劇法というのが、一つ一つの物質を指定除外しているものではないところ がありまして、医薬品と違いまして。 ○赤堀部会長代理 そうしましたら、今、先生方から出たことについては、少し議論し た方がいいのかなと。本当に大丈夫ですかと、このデータを信じていいのですかという ことです。 ○大野部会長 そうですね。このマイクロカプセルと言われるものの、どんなマイクロ カプセルの材料を使っても同じだったらいいわけですが、この会社の作ったこの製品に ついては大丈夫だというのだとすると、少し危ないですよね。 ○赤堀部会長代理 なぜ発言したかというと、事務局で、「ほかになくて1社だけです」 とおっしゃられたので、それが考え方の判断のウエイトを大きくしているのかと思った からです。 ○事務局 農薬ですので、基本的に他社が特許等の関係で使用することはできない状況 にあることは間違いないです。 ○石川委員 最初、私がこの剤に特定しての除外ですねと質問させていただいたのも、 そういう意味だったのです。ですから、同じコンテンツの他の素材を用いたマイクロカ プセル剤にも適用されるのか、今回除外して欲しいという申請のあった剤に特定して、 除外するのですかという意味だったのですが。その辺が、必ずしもその剤だけでないと いうことになると、少し危惧する面も出てくるのかと思います。そういうものが出てく れば、そこでまたデータに基づいて審議していただければいいのでしょうけれども。 ○大野部会長 マイクロカプセルの原料の主成分は何とかとするマイクロカプセルと か、そういう形では書けないのですか。 ○事務局 そこまで書く前例がないですね。過去も、前例が下に書いてあるとおり、あ くまでも記載としては「マイクロカプセル製剤」という形状を指定して、除外している ということで、形状の成分までは指定はしていないです。 ○石川委員 性能で規定するしかないのではないですか。徐放性の性能で。 ○大野部会長 そうですね。そういうもので規定できればいいですが、これは法律上で 条文のようになってしまうわけですね。 ○事務局 そうです。 ○大野部会長 その中に、注として性能とかは書けないですよね。 ○事務局 通常、それは書いたことはなかったかと思います。 ○赤堀部会長代理 データを見てトキコロジーの上から、これは毒物であるか、劇物で あるか、それから除外するかを判断していく上で、使っている溶媒がよほど毒性のない 限りは、まずその心配はないだろうと。そういう意味では、12%マイクロカプセル剤、 12%以下のものは、この判断に大きな誤りはないだろうという気はするのですが。 ○大野部会長 この会社で作っている、このものについては問題はないのでしょうけれ ども。 ○赤堀部会長代理 少なくとも、普通物が劇物になるとか、劇物が毒物になると判断が 変わっていくほどではないかなという気がするのです。多少の刺激性が出てくるとか、 そういうことは有り得るとしましても。多分、これは調査会でも同じような議論が出ま して、それを踏まえて今のようなご提案の結論になったということだと思うのです。 ○大野部会長 調査会でのそれについての議論を説明していただけますか。 ○事務局 後ほど確認をしてお知らせさせてください。 ○森田委員 引っ掛かっていたのは、急性経口毒性のマウスのLD50が100mg近辺にあ って、これが劇物指定の要件に合致しているというのが、本体側です。それをマイクロ カプセル化することによって、徐放性になったと。徐放性になったときのマイクロカプ セルの外側の殻は尿素系の樹脂らしいということで、多分シロアリ防除に使う関係であ るとすると、生分解性のある程度悪い剤で、マイクロカプセル化されているので、これ がマイクロカプセル化でも、例えばゼラチン膜のようなものであれば、腸で溶けてしま うので引っ掛かってくるけれども、そんなに大して怖くないかもねというのが今のとこ ろで、その判断でいってしまうかどうかというその辺ですので。 ○大野部会長 前に別のところで聞いたのは、このものはアリが噛って穴が開いて、そ れで入るのだということでした。だから、アリの場合は食べて溶けていくというもので はないようです。 ○森田委員 判断としては悪くないかもしれませんが、ぎりぎり言うと、いろいろ議論 が出てくるという構造ですね。そこまで言う必要があるかどうかです。 ○赤堀部会長代理 原体は劇物で、製剤は濃度が薄くなってというと、その製剤を使っ た毒性試験ではGLP対応のところでやったデータを、これでもって評価をせざるを得 ない。それを駄目だとすると、製剤は外しましょうという考え方はすべて駄目になって いくわけです。あくまでも製剤について、得られたデータに対して毒物であるか、劇物 であるか、普通物であるかと評価しますので、そういう意味では、これは普通物である と結論が出てきたと御理解いただくしかないと思うのです。 ○菅野委員 原体が2%以下はいいとしたところとの整合性さえつければいいのでしょ うね。そこが今どうなっていたのでしたっけ。 ○赤堀部会長代理 これまでの製剤、カプセルでない場合が2%以下ですね。 ○事務局 そうです。2%製剤データを出していただいて、2%の製剤のデータを見る と、すべて普通物相当のデータが出ていたということです。 ○赤堀部会長代理 マイクロカプセル剤でない製剤で、10%前後のものはありますか。 ○事務局 そのときはなかったと思います。 ○菅野委員 カプセルでないと駄目だと言っておかなければいけないわけですが、その 場合、ただ薄めたのと同じようないい加減なカプセルでは駄目だという論理ですよね。 だから、「この会社ならいい」というのは全く問題はないですけれども、カプセルにす ればすべていいということが一人歩きをすることを本当に危惧するのであると、ただし 書が必要になる。それは性能で「虫が噛らない限りほとんど出ないようなカプセルの場 合」というようなものになるのでしょうかね。一律論でいけるかどうかの判断ではない かと思うのです。 ○赤堀部会長代理 そうすると、カプセル剤にしないもので、12%前後の製剤のものの 毒性データが欲しいということですか。 ○菅野委員 いや、それだったら「カプセル」という言葉は要らないので。 ○黒木委員 製剤に関して試験をしたり、ただし書をしたりというと、難しくなってく ると思うのです。客観的な評価も必要ですし、試験法をつくろうという話になってくる と思いますので。この会社以外のマイクロカプセルは、将来的に出てこないとは限らな いので、何かのただし書はしていた方がいいと思うのです。同様のマイクロカプセルで 試験結果というのは出てくるわけですから、それから逸脱するようなものは審議会にか けるということで、それは事務局側から積極的に出していただくようにすると、そうい ったことはできますでしょうか。 ○森田委員 新しい例をここで設計するはめになってしまうのですね。今までの前例に 並んで、特段の問題もなく動いてきたカプセル化のアプローチを全面的に見直すことに なると思いますね。それができるかどうかは、事務局にきちんと考えてもらわないとい けないですね。 ○化学物質安全対策室長 事務局案で出ているものは政令案ですが、12%以下を含有す るマイクロカプセル製剤というのを劇物から除外しますという書き方をするとすれば、 マイクロカプセル製剤の限定はないわけですから、マイクロカプセル製剤になったもの はすべて12%以下のものは劇物ではないという政令の扱いになります。  今は、1社しかないということであれば、その1社のものに限定されるわけですが、 次々と出てきたときに、2社目、3社目が同じような毒性的な特質性のあるもので、問 題ないものかどうかというのは、今回審議で確認していないわけですから、本当に同じ かどうか、同じだということが類推できるのであれば、こういう書き方でもいいですし、 もう少し限定したやり方をしないと、危ないのかもしれないのであれば、何とか何とか のマイクロカプセルという書き方をすることも考えてみます。 ○大野部会長 尿素系樹脂でつくったマイクロカプセルだったら、尿素系樹脂によるマ イクロカプセル製剤と書いてもらえれば問題はないわけです。 ○黒木委員 尿素系樹脂という前書きだけでいいかどうかは、わからないものですから。 ○大野部会長 今まではどうされたのですか。マイクロカプセル化されてきて、除外さ れたケースがあって。 ○化学物質安全対策室長 一回あったというね。 ○大野部会長 それがだからマイクロカプセルしか書いてなくて。 ○化学物質安全対策室長 そうです。それしか書いていない。 ○大野部会長 それで、動かしてきているわけですね。それでどんな支障があるとか、 どういうものであったのかは、参考にはするのがいいと思いますね。 ○赤堀部会長代理 結果として、ただ、そういう事故例はないわけですね。 ○事務局 あとは毒劇物の判定基準の方で劇物から除外する場合は、10倍の安全率をか けているのも、実はそういう個々の物質によってそれぞれいろいろな特性があるという ことも考慮されているのかと考えています。 ○赤堀部会長代理 このようなケースは、多分これからも出てくると思うのですが、一 つ調査会で審議していく上で気になりますのは、菅野委員がおっしゃられましたように 壊れたり、あるいは噛られてカプセルから出てきたときの12%あるいは10%の物質製剤 に曝露される可能性がある。そのとき本当に劇物に指定しておかなくていいかと言われ たときに、それは今まで検討してこなかったのですが、そこまで配慮して劇物から外す か、劇物としてそのまま指定するかを検討しなければならないのでしょうか。 ○大野部会長 菅野委員がおっしゃったのはそうではなくて、もともとマイクロカプセ ルにはいろいろなものがあるということだろうと思います。 ○菅野委員 哺乳類の腸では消化されず、ほとんど便に出てしまうだろうという性能の いいカプセルではないものが出てきたときの想定を申し上げたのです。室長がおっしゃ ったように第二、第三のものの性能がこれと同じかどうかの保証がないので、何らかの ただし書があった方がいいのではないかという意見です。一番正確なのはある種の性能 をうたって、こういう目的のカプセルであれば、これでいいとするのが一番汎用性が高 いかという意見です。 ○大野部会長 法律上は12%以下を含有するマイクロカプセルと言ってしまうと、マイ クロカプセルとはこういうものであるという通知を出さなくてはいけない。そのマイク ロカプセルにもいろいろな仕様があるから、それぞれの仕様ごとにマイクロカプセルは こういうものだとなる。それは大変です。 ○菅野委員 大本に戻って急性経口毒性の安全率を見込んで、2000mg/Kg以上のものな らばいいという手はあります。しかし、それが本当にまた劇毒の体系からして何に波及 するかちょっとわかりません。二重スタンダードになってしまうから恐いことは恐いで す。だから、そうなるとやはりカプセルなど、特殊なメイクであるから、特別にオーケ ーしたとしておかないといけないと思います。原体についての例外事項を作ってしまう と、また複雑になるから、それはやめた方がいいような気がします。そうすると、性能 というか、目的を限定するしかないのかと思う。あるいは、マイクロカプセルと言えば、 そういう用途でしか有り得ないという情報を逆に示していただければ、では大丈夫です となるのかもしれない。そこの情報がないのも事実かと思います。 ○大野部会長 そうですね。どうでしょう、マイクロカプセルについての扱いをどうす るかを整理していただいて、これはペンディングというわけにはいかないですか。 ○菅野委員 調査の方に戻されても、少し難しいかという気がします。 ○事務局 今までの先生方の御議論を伺っていて、一つ方法として考えられますのは、 政令にはこのままマイクロカプセル12%製剤と書かせていただいて、それを出すのと同 時に室長通知のような形で、ここで言うところのマイクロカプセルはこういうものであ るということをお知らせをする。併せ技と言ったら変な言い方かもしれませんが、そう いう形である程度限定をかけていく。あとは追加の情報ですが、原体そのものは今製造 しているメーカーの方で特許がありまして、向こう何か年間かはここしか作らないであ ろうとある程度予測されていますので、当然その特許の期間は少なくともこの会社だけ なのかと考えています。  要するに、政令に書くのはなかなか難しいかと思いますので、マイクロカプセルの定 義については室長通知なり何なりで、ある程度限定をかける方法はあるのかと思います。 ○大野部会長 そういう形で出せれば全然問題はないですね。 ○事務局 事務方でそういう形で考えさせていただいてよろしいでしょうか。 ○大野部会長 局長通知か何かで、マイクロカプセルについてはこういうものだと指定 していただくのでよろしいですか。 ○森田委員 通知というのはどこに通知されるのですか。 ○大野部会長 公示されるということですね。 ○事務局 都道府県並びに各関係団体の方に通知させていただいています。 ○森田委員 それで全部うまくいくのですか。つまり、何を言っているかというと、例 えばマイクロカプセル製剤になって、中国から輸入されてきたときに、それが政令に書 いてなくて適用されるのですかね。 ○事務局 それは荷揚げをされるところの都道府県等にもきちんと言っていますので。 ○森田委員 大丈夫だったらいいのですが、つまりちょっと確認だけです。 ○黒木委員 前例ありということですが、これまで議論が終わってしまったマイクロカ プセル製剤は幾つくらいありますでしょうか。 ○事務局 数は数えてはいないので、必要があれば数は数えて後ほど報告させていただ くのでよろしいですか。 ○黒木委員 それに関しても、本当は同じようなことは議論されるべきだったと思うの ですが。 ○森田委員 それも全部通達を本当に出すのですか。そのようなことは、過去にやった ものまで本当にできるのですか。 ○事務局 数を数えることは可能ですが、過去はちょっと難しいと思います。 ○森田委員 それはそうなのですが、今起こっているのはマイクロカプセル化したもの の評価を更地から議論しましょうという話になっています。更地から議論すると、その ような話になっていきます。それは一つの答え、この時点での判断ですが、なぜ今回の マイクロカプセルだけがそういう通知、通達を受けなければいけないかを含めて、何か 若干不整合な部分が発生するかという心配が少ししますね。 ○大野部会長 それは不整合になりますね。 ○森田委員 大丈夫だというのであればいいと思うのですが。 ○大野部会長 リスクをここで考えたとして、新たな規制をしてもいいのではないかと 思います。ただ、前の方はそのままで不整合ですが、そちらの方で問題がまた出てくる ようだったら、そのときにまたそちらについても指定する。 ○石川委員 最初に私が言い出してしまったような気がしますが、このマイクロカプセ ル剤についてはこのデータに基づいて判断して、劇物除外にすることについては何ら異 存はないわけです。ですから、今存在する物質、剤、もしくはこれから上市予定の剤と いう意味でしょうが、全く違う性質を持ったマイクロカプセル剤が出てきたときにどう するかの心配まで出てきたので、少し複雑になってしまった。それは出てくるか、出て こないか、わからないわけです。ですから、事務局の方で例えば今後新たな毒性が異な ることが予想されるものが出てきた場合には、それについては再度報告をして、審議に かけるというか、そのような余地を残しておけば、取りあえずいいのかと思う。 ○森田委員 毎年新しい製剤が出るたびにかけるのですか。 ○石川委員 新しいものが出てきて、それが毒性が例えば除外できないようなレベルの ものが予想される場合についてはです。あくまで出てきた場合にはです。 ○森田委員 そうですが、今のままですと、12%以下のマイクロカプセル化製剤は自由 に生産して、自由に売り始めて普通物ですという構造にこれからなります。その段階で、 新しい業者が、それはいいことだ、うちも作ろうかといって、作られたときに、その製 剤の毒性試験を義務付けて、ここに書きなさいというロジックは成り立つのですか。 ○大野部会長 それはできないです。ただ、局長通知でマイクロカプセルはこういうも のだと言っておけば、そういう心配はなくなります。 ○石川委員 例えば、新しく出てくるのが農薬の場合でしたら、登録申請上急性毒性デ ータが当然義務付けられます。その中で使用時の安全を考える上で、指定令上は普通物 と読めるが、実際のデータ上はもっと毒性が高いものが出てくれば、そこでは何らかの 対応をすべきだと思う。 ○大野部会長 そのときマイクロカプセルは、こういうものだという局長通知が出てい れば、それに該当するものだけについて今回普通物にしたわけですから、それ以外の溶 出性が高いものなどは当然該当しないわけだから、それはまた普通物にするためには別 途申請してもらわなくてはいけないわけです。そういう理解でよろしいですね。 ○森田委員 法律の面で整備されるのがいいと思うのです。何を言っているかというと、 いろいろな化学物質はいろいろな法律の網の中に存在しています。例えば、おっしゃっ たように、農取法の中にあるものは、農取法で規制されているからそれはいい。それか ら、この毒劇法は流通過程をコントロールしている。だから、生産をコントロールして いないのです。生産側をコントロールしている法律というのは、例えば化審法というの があるのですが、そういうものには当然普通物としてこれから全部載ってきますから、 この元の原体の方を作ることは、ある程度自由にできて、それを外に持っていくとき、 流通させるときにマイクロカプセル化してしまえば、元のものを例え作ったとしても、 普通物として流通できる構造になってくるのです。原体を流通させるとすれば、劇毒法 がかかってくるが、原体でないものを流通させることは自由にできる構造が、これから 起こってきて、そのときにマイクロカプセル化という技術を通じて、普通の人が普通に 流通できる構造になるというのは、少し危ないのではないかという議論が多分根底にあ ったのです。しかし、一方でそのように多くの人が実際に作ったりはしないだろうから、 そのようなことを心配しなくていいという意見が他方に存在して、このまま通してもい いのではないかという意見がある。また、心配する側から言うと、わざわざ劇物指定を 外さなくてもいいのではないかという意見もあるかもしれない。だから、ここをもう一 回、調査会の方に戻すのが難しいとすれば、この形である程度行政の方で相当ケアをし てもらうことになりますが、やはりそういう形ですか。 ○赤堀部会長代理 今後のこともありますから、黒木委員がおっしゃられましたように、 これまでのマイクロカプセル剤の全部の毒性のデータとカプセル剤にした種類、そのと きのデータを一覧表でいただけると、いろいろな意味での判断材料になるかという気が します。マイクロカプセル剤の数はそれほど多くないですよね。 ○事務局 数は多くないのですが、過去のデータにかなり古いものがありますので、こ ちらの行政側に残っているかどうかは、調べてみないと、今は即答はできません。数の 方は確認して、報告はさせていただきます。 ○大野部会長 今回の諮問書レベルのデータはありますね。 ○事務局 いや、それもです。 ○大野部会長 わかりました。取りあえず、大体審議の意見は出そろったと思います。 結論としてマイクロカプセル化したものについては、12%以下に対応するものについて は劇物、それから局長通知としてここで言うマイクロカプセルとはこういうものだと通 知していただくという結論にしたいと思います。ほかによろしければ承認可、として報 告とさせていただきます。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、次に行きたいと思います。資料9「[2 -アセトキシ-(4-ジエチルアミノ)ベンジリデン]マロノニトリル」について説明をお願 いします。 ○事務局 資料9、名称は「[2-アセトキシ-(4-ジエチルアミノ)ベンジリデン]マロノ ニトリル」です。現在、有機シアン化合物として劇物に指定されている物質です。この 物質についての用途は、g線反射防止用の光吸収剤です。ここでg線と言われるものは、 波長が436nm、紫色の光です。電子基盤に回路を描く際に、この光を使用していて基盤 上でこのg線が反射して精密に回路が描けなくなるのを防止するために、光吸収剤が必 要となり用いられることになっています。  この物質の物性については、別紙1を参照していただきます。黄色の粉体で、通常の 取扱いで安定し、存在しています。毒性試験の結果については、別紙2を参照していた だきます。経口、吸入、皮膚、眼において普通物の結果となっていて、経皮については 皮膚刺激性、眼刺激性がなかったことからも、普通物と判断して、問題ないと考えてい ます。  よって、毒物劇物調査会ではこの物質の原体及び製剤は、劇物から除外することが適 当との結論でした。審議のほどよろしくお願いします。 ○大野部会長 光を当てると、何か変わって別のものになるわけですね。何ができるの ですか。 ○事務局 こちらの方は、その物質自体が光の反射防止用の性質を持っていますので、 その性質を利用します。 ○大野部会長 吸収するだけですね。はい、わかりました。いかがでしょうか。毒性の 性質からいくと、普通物だということです。特に問題はありませんでしょうか。 ○出川委員 今までなぜこういうように指定されていたのか、その理由は逆にどうでし ょうか。 ○大野部会長 それはシアンが入っているから、自動的に劇物になってしまって、それ を外なくてはいけないということですよね。 ○事務局 はい、そうです。 ○大野部会長 今まで指定してあったわけではないですよね。自動的に指定されてしま うので、それを外す。 ○事務局 有機シアン化合物というグループで劇物となります。 ○大野部会長 ほかによろしければ承認可、として報告とさせていただきます。 ○大野部会長 それでは、普通物ということにします。次に資料10、「p-トルエンス ルホン酸=4-[[3-[シアノ(2-メチルフェニル)メチリデン]チオフェン-2(3H)-イリ デン]アミノオキシスルホニル]フェニル」について説明をお願いします。 ○事務局 資料10、「p-トルエンスルホン酸=4-[[3-[シアノ(2-メチルフェニル)メ チルデン]チオフェン-2(3H)-イリデン]アミノオキシスルホニル]フェニル」です。現 在有機シアン化合物として劇物に指定されている物質です。この物質についての用途は、 微細パターンを形成するフォトレジスト用光酸発生剤として用いられ、光の反射、こち らも先ほどとよく似た光ですが、藍色の光によってこの物質が分解し、酸を発生します。 半導体チップ、例えばマイクロプロセッサーやフラッシュメモリーなどの製造において、 当該物質を含むフォトレジストと呼ばれる組成物をシリコンウェハー上に塗布し、半導 体回路の形に光を照射し、発生した酸によって、反導体チップ上に微細回路を描く光リ ソグラフィー工程に用いられるとなっています。  この物質の物性については別紙1を参照していただきます。黄色の粉体でして、通常 の取扱いでは安定して存在しています。毒性試験の結果については、別紙2を参照して いただきます。経口、吸入、皮膚、眼において普通物との結果になっていて、経皮につ いては皮膚刺激性、眼刺激性がなかったことからも、普通物と判断してよいものと考え ています。  よって、毒物劇物調査会ではこの物質の原体及び製剤は劇物から除外することが適当 との結論でした。審議のほどよろしくお願いします。 ○大野部会長 いかがでしょうか。 ○菅野委員 分解してできる酸は何なのですか。 ○事務局 スルホン酸と聞いています。 ○菅野委員 スルホン酸ということは、硫酸と同じですか。硫酸と同じですね。波長は どのくらいの光として発生しますか。 ○事務局 457nmです。藍色の光です。 ○大野部会長 普通の光を浴びて、シアンが出たら困ると思ったのですが、そういうこ とはなさそうですね。 ○菅野委員 太陽光を当てても、硫酸はできてこないのですか。 ○事務局 太陽光みたいに強烈な光を当てると、分解してしまいますが、普通の蛍光灯 のような柔らかい光だと安定して存在すると聞いています。 ○菅野委員 現実的には問題がないということですか。 ○大野部会長 劇物から除外するということで、ほかによろしければ承認可、として報 告とさせていただきます。 ○大野部会長 それでは、そのようにします。では、資料11、「(E)-2-(4-ターシャ リ-ブチルフェニル)-2-シアノ-1-(1,3,4-トリメチルピラゾール-5-イル)ビニル= 2,2-ジメチルプロピオナート」の説明をお願いします。 ○事務局 資料11の名称は「(E)-2-(4-ターシャリ-ブチルフェニル)-2-シアノ-1 -(1,3,4-トリメチルピラゾール-5-イル)ビニル=2,2-ジメチルプロピオナート」で す。ISOの別名としまして、シエノピラフェンと付けられています。新規の農薬、殺 ダニ剤として農林水産省から毒物・劇物の該当性照会を受けているものです。有機シア ン化合物ですので、現在劇物に指定されています。  物質の物性は別紙1を参照していただきます。白色の結晶でして、通常の取扱い下で は安定に存在しています。また、別紙2を参照していただきますと、経口、経皮、吸入 については、普通物との結果になっています。また、皮膚の刺激性については刺激性な し、眼刺激性については軽度の刺激性ありとの結果が出ています。  よって、調査会においては、この物質の原体及び製剤は劇物から除外することが適当 との結論でした。審議のほどよろしくお願いします。 ○大野部会長 いかがでしょうか。毒性的な特徴としては普通物に該当するということ です。では、劇物から除外するということで、特になければ承認可、として報告とさせ ていただきます。 ○大野部会長 そのようにさせていただきます。今日の審議品目は、一応終わったわけ ですが、何かありますでしょうか。 ○赤堀部会長代理 今の議題8で議論しましたマイクロカプセル剤について、事務局は どういう形でまとめられたのか。結論として問題なしでそのまま除外するだけでよろし いのでしょうか。それとも、室長通知などを付けることで了解されたのでしょうか。 ○事務局 そのように結論をこの場でしましたので。 ○赤堀部会長代理 それをどのようにまとめられたか教えていただけますか。 ○事務局 政令として改正するのは、ここにお示しした形のものは新たに政令として公 布します。ただ、そのような政令等の法律の改正などがあった場合に、通常役所の場合、 いろいろな形で通知を出して、広く知らしめるという行為をしますので、今回のマイク ロカプセルについてはこういうものであると知らしめます。ただ、従前のものとの整合 が取れないという御意見もあったのですが、今回はそういう形で御議論いただきました ので、これを作っていますメーカーの方にマイクロカプセルの規格等について、なるべ く細かく開示できる部分については開示していただいて、ある程度限定をかけた形で劇 物からの解除としたいと思っています。 ○赤堀部会長代理 それはこの製剤に限ってですか。過去のものにもさかのぼってマイ クロカプセル剤についてはということでしょうか。 ○事務局 過去のものにさかのぼるのは、大変恐縮ですが、今の状況では難しいと思い ます。と申しますのは、今は事務局の方に先ほど黒木委員の方から幾つあるのかという 御下問にもお答えできないような恥ずかしい状況です。まず、幾つあって、それがいつ のときにどうなったのかの調べから始めなければなりませんので、先ほど部会長の方か らも話がありましたように、もしそれで何らかの問題等が起きれば、過去のものについ てもさかのぼる必要が出てくかもしれませんが、今のところマイクロカプセルの不備に よって何らか問題が起きたという事例は、私どもの方に上がってきておりません。過去 のものまで全部通知で規格を規定するのを一緒にしますと、今回の政令の改正がかなり 後ろになってしまいますので、そこの点についてだけは、御勘弁をいただければと思い ます。 ○赤堀部会長代理 そうだとしますと、なぜこの製剤だけそういう規制、枠組をするの か。何か根拠がないと、私たちは判断できなくなるわけです。そういうことは考え方と して出てきませんか。こういう理由があるから、今までのものは規制はしなかったが、 この製剤については、そういう規制をするという根拠です。 ○大野部会長 今回の審議についてそういう懸念があったからです。ただ、毒劇物に対 する考え方は、社会的に一般の国民に健康的な影響があるかどうかを基本的に考えます から、過去にさかのぼって、過去に問題があれば考えざるを得なくなりますが、問題が なければ特にさかのぼらなくてもいいと思います。ただ、今回については今のレベルで 審議して、懸念がやはりあるのではないかとそういう措置を取る方がいいのではないか と思います。何か質問があったら、審議しているわけですから、それに答えることはで きるわけです。 ○菅野委員 過去のリストは、一応この会議に出していただく手続は、正式に取ったわ けです。ですから、それを拝見して、何かのアクションを起こさなければいけないかど うかを一応検討するところは、整合性のごく一部としてアクションを起こしたことにな るのではないかと思います。 ○赤堀部会長代理 判断できる資料が欲しいのです。 ○大野部会長 何についてですか。 ○赤堀部会長代理 この製剤についてはそういう条件を付すわけですね。 ○大野部会長 いや、それは過去のものを一通り見直しする必要があるかの最低限の情 報をまず集める意味合いだと思います。この製剤のために集めるのではないと私は考え ましたが、そこはどうなのでしょうか。マイクロカプセル全体についてそれを考える必 要があるかどうかですね。そのために資料をもらうということですね。 ○黒木委員 それからで結構かと思います。マイクロカプセル自体は、今まで変わって なければ過去全部にさかのぼる必要まではないだろうと思います。 ○赤堀部会長代理 今までと違っていないという意味は、カプセル剤の性能という意味 ですか。 ○黒木委員 今まで1社だけだったというお話でしたので。 ○森田委員 本日の委員会からマイクロカプセル製剤についての判断がきつくなるの が、今起こった出来事です。今きつくなったのだが、しかし過去のものについては余り 事例が挙がっていないこともあるので、もう少し勉強をして、必要があればそういうこ ともある。しかし、必要がなければ、そのまま流通させても大丈夫だという整理になる と思う。だから、この瞬間にきつくなった可能性はあります。それは安全に対する社会 的な国民の意識が高まっているので、特にこの時点ではこうしましたということです。 ○大野部会長 わかりました。よろしいですか。その他に入ってよろしいですか。それ では、その他として御審議していただくことはありますでしょうか。事務局の方から何 か報告みたいなものはありますか。 ○長谷川委員 今のマイクロカプセルの問題を含めて、基本的に試験方法の結果であれ ば、だれしも納得するし、ここでも納得したわけですが、法体系として基本的に名称で 区分しているのがもともとの体系です。先ほどもお話したようなGHSなどの流れも、 厚労省の担当課では奨励しているというか、その方向に行くべきだという考えがあって、 そちらの方は物質指定ではなくて、基本的には試験結果でものが決まってくるわけです。 いつまでもやはりこれが物質指定でやっていくと、今日のマイクロカプセルの問題みた いなものが、非常に複雑なものがどんどん出てくる。その度ごとに一個一個決めていか なければならないわけです。一個一個審査していかなければならないわけです。厖大な 作業だと思う。それを試験でこうなればこうだとしておけば、非常に単純化されて、そ れがメーカーがその結果を出す形でやっていけばいいわけです。そういうような方向性 に、ある程度考えていただきたい。そういうのが今の流れではないかと思います。やは り、ほかの規制法令もそういう方向に行きつつあるようですから、是非そういう考えも 取り入れていただきたいと思います。 ○大野部会長 よくわからなかったのですが、GHSなども化学物質の名前で定義して いないのですか。 ○長谷川委員 基本的な考え方としては、シアン化合物などという名前で指定している わけですが、それらを試験した結果で、一個一個ということでやっているわけです。 ○大野部会長 シアンの場合の除外の考え方ですか。そうですね。 ○長谷川委員 それは一個一個ここで判断しなければいけないわけです。ところが、試 験方法としてこれだと決めておけば、それはメーカーの方が自分自身がやって、判断し なくても機械的に決まってしまう。それが非常に化学物質がたくさん増えてきて、かつ 今度2物質の加工形状、混合物などが増えてきて、今度はそれによる相乗効果などが出 てくるわけです。そういう物質が増えてきますと、そういう物質を物質名で規定してい くというのは、もう限界があるのではないかと思うのです。国連のGHSの分類の基本 的な考え方は、そういう流れだと思うのです。 ○大野部会長 国での指定はもうやめてしまうのですか。 ○長谷川委員 いや、国としては無論それを取り入れた形でやればいいと思います。 ○大野部会長 企業が独自に試験をやって、それで。 ○長谷川委員 体系の根底が違うと思うのです。 ○大野部会長 よくわからないのですが。 ○菅野委員 シアンと言えば自動的に劇物になってしまう、というようなカテゴリーが 毒劇の場合、何通りあるのですかということですか。 ○長谷川委員 そうですね。シアンというと、毒劇物になってしまう。 ○大野部会長 構造や名前だけで自動になってしまうのですか。 ○長谷川委員 決まるというので、試験をやって、結果で一個一個判断する。 ○大野部会長 カテゴリーはどのくらいあるのでしたか。シアンだけではなかったでし たか。 ○長谷川委員 シアン化合物やあとはその塩類など。 ○大野部会長 シアンと塩類ですか。 ○事務局 分類としてそういうグループで指定しているものは、例えば化合物、塩類な どグループで指定しているのはかなりの数がある。 ○森田委員 例えば、砒素及び砒素化合物など後ろについているものがある。そういう 話です。 ○大野部会長 それはたくさんあるわけですね。 ○森田委員 それはものすごくたくさんある。 ○菅野委員 それを全部取り払って、個々のデータ本位にするべきだというお話ですね。 ○長谷川委員 そうです。基本的には試験方法でやる考えだと思います。 ○森田委員 長谷川委員は少し違う次元上の議論をされているわけでしょう。まず、こ ういう劇毒法の個別物質をそれぞれの国内法で意識してやっていること自体が、時代遅 れではないかとおっしゃっているように聞こえました。 ○菅野委員 私もそう聞こえました。 ○森田委員 世界中のグローバルハーモナイゼーションの下に、すべての化学物質を置 いて、そしてそこに協力をしながら進めていくことを考えるべきではないかとおっしゃ っているように聞こえたのですが、違いますか。 ○長谷川委員 基本的にそうだと思います。 ○大野部会長 独自判断で全部やるべきだと私は取ったのです。企業が自分で試験をし て、安全だというようになったら、もうそれでいいのではないか。国でやる必要はない。 ○長谷川委員 いや、結果を然るべきところに出す必要は、それはあると思います。そ れで、審査して、判断する必要があると思います。 ○大野部会長 それだと今と同じではないかと思ったのですが、結局毒性試験、こうい うものをやりなさいというのは、毒劇の判定のために必要な試験は、大体皆さんもう分 かっているわけです。 ○長谷川委員 それから、シアン化合物ならば、例えば今日の最後にやったようなもの は必ず毒物の試験をやらないと外してもらえないわけですね。しかし、それは基本的に はそういうグループで別にしておかなければ、明らかに試験をやれば落ちるとわかるも のまでやらなくてはいけない。非常に大きな分子の中に一個だけシアンが入っているよ うなものは試験をやる必要はないと思います。それは自主保安の考えからいけば、自分 のところでこれは危険だから申請して規定してもらいましょうという考えだと思う。 ○大野部会長 その辺は化学の人に意見を伺ったことはあるのですが、こういう形だっ たらとか、こういう化学的な試験をやって、判断できるのではないか。そういう基準を 出していただけないでしょうかと話をしたことはあるのですが、そのときは化学の人は 出せないのか、出したくないのかはわからなかったのですが、出なかったのです。今後、 そういう方法があったら、それをやった方が能率的だとは思う。 ○森田委員 シアン及びシアン化合物か、砒素及び砒素化合物でとにかくそれが入って いるものは、全部いったん網かけしてというのが今までやられてきた。網かけから外す ためには、それぞれの例えば、砒素を含んでいる化合物でも安全なことを証明して持っ てきなさいと。そうすると、外してあげますよというのは今のアプローチですよね。し かし、予測ができる。例えば、砒素を含んでいても、毒性がないと予測ができるものは、 やらなくてもいいという話になるかどうかは、少し難しいかもしれない。 ○大野部会長 化学的に自明だということは、化学の先生が明確に言っていただければ、 ではそういうように検討しましょうなどとなるのですが、出ないようであればやはり毒 性実験をやらざるを得ない。 ○森田委員 いずれにしても、長谷川先生がおっしゃっているのは、幾つかの視点が多 分混って存在しますので、次の勉強課題にします。 ○大野部会長 毒劇の法体系、運用の仕方もこういうように直したらいいのではないか ということもあると思います。そういうこともこの場に出していただいて、可能なもの は取り入れて、そのための研究をするなどのことを提案していただいてもよろしいと思 います。貴重な御意見をいただいて、ありがとうございました。ほかにその他あります でしょうか。 ○出川委員 物質のいわゆる性状によって、毒性がいろいろと違ってくることがありま す。今、世の中でナノ粒子などという言葉が出てきます。こういう固形の物質でナノ粒 子で何か関わるようなときに、その辺は将来的にはどうするのか。物質が毒物劇物うん ぬんと規定されているが、ナノ粒子にしたら、また違ったことになる。物質、化学物質 自身は同じわけです。そういうものはどう判断をしていったら、将来的にいいのかと思 う。マイクロカプセル一つで、そういうことが起きるので、もっと言うと、化合物自身 は全く同じものだが、形態が違ってしまうと、もしかしたら違ってくることがあるので、 そうするとどうでしょうか。 ○大野部会長 そういうこともありますよね。結晶形が違ったら、それだって違うでは ないかと。 ○出川委員 どう判断しますか。 ○菅野委員 今日のマイクロカプセルの事例はその始まりかと思っていました。ただし 書が付くパターンがこのままでいくと増える。 ○大野部会長 錠剤みたいなものが出てくる可能性があります。そのとき、この場合は 固くしてやるから、大丈夫だから除外であるという話も出てくると思います。物性デー タを見るときに、毒性が出にくいような形態を作ってもらって、毒性データがないから 大丈夫だというと、実際に使うものは少し違ったものになってしまって、大きな問題に なるので、特に化学の得意な先生にチェックしていただけると思います。ほかにありま すでしょうか。事務局からはほかにありますか。 ○事務局 一点御報告します。昨年度のこの部会におきまして、部会長から劇物である 農薬のメソミルを使って、殺人未遂事件の容疑者が逮捕されるという報道がありました が、過去もメソミルに関して発生しているようだけれども、そもそもメソミルの毒性に ついては、現在どういう情報があるのかというご質問をいただきました。そして、事務 局の方から情報収集を行っていますという旨の回答をさせていただきました。現時点で 企業が持っていますデータ等確認しまして、今年度の調査会において御審議いただきま したが、現在流出していますメソミルの成分のデータが不足していましたところから、 メーカーの方で当該データを取っていただくよう依頼しています。今、まさにそのデー タを取得中ですので、来年度、平成20年度の部会においては御審議いただけるものと思 っています。以上、簡単ですが、昨年からの宿題といいますか、メソミルについての御 報告とさせていただきます。 ○大野部会長 それでは、ほかにありますか。それでは、今日の審議はこれで終了とさ せていただきます。どうも貴重な御意見、御議論ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 化学物質安全対策室 室長補佐 廣田(2910)