08/02/27 交通労働災害防止専門家検討会(第5回)の議事録 第5回交通労働災害防止専門家検討会 日時 平成20年2月27日(水) 10:00〜 場所 厚生労働省共用第7会議室5階 照会先:厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課 物流・サービス産業・マネジメント班 電話 03-5253-1111(内線5487) ○高橋副主任 開催に先立ちまして、配付資料の確認をさせていただきます。資料No.1は、いつ もお出ししている資料ですが、本検討会の開催要綱です。資料No.2は、前回第4回の議事概要で す。資料No.3ですが、資料No.3-1から資料No.3-3までの3種類の資料を資料No.3として綴じてありま す。資料No.4は、新たな交通労働災害防止のために必要な事項ということで、両面で21頁まであ る資料です。資料No.5は、交通労働災害防止専門家検討会報告書(案)です。これも両面で17頁 まで頁が振ってある資料です。以上、おそろいでしょうか。  ただいまから第5回交通労働災害防止専門家検討会を開催いたします。なお、本日は科学警察 研究所の三井委員はご都合によりご欠席ということでご連絡をいただいております。三浦委員 は、ご都合により若干遅れるとのことです。それでは、座長、以降の進行をよろしくお願いしま す。 ○根本座長 それでは、第5回の検討会を始めたいと思います。今日は最後の検討会ということ で、取りまとめができればと思っているところです。議題の1「新たな交通労働災害防止対策の 検討について」に関しては、前回の皆さんの意見を反映したものを用意しております。これまで の議論を踏まえてガイドラインなどに盛り込む事項が示されています。また、ヒアリング結果も 反映されているようです。これらについて事務局からご説明をよろしくお願いいたします。 ○安井審査官 事務局から資料No.4を使いましてご説明いたします。資料4は、前々回から使って いる資料ですが、今回変更になっている部分につきまして下線部が付いております。その部分に つきましてご説明いたします。まず、2頁です。前回のご議論としましては、高速道路の利用に ついて事故率が相当低くなるというデータがあるというご議論をいただきました。資料No.3-1を ご覧ください。これは根本座長からご提供いただいた資料ですが、「道路種別の事故率の推計」 ということでありまして、いちばん左の列が自動車専用道路、それから幹線道路、市区町村道と 分かれております。事故率、これは事故件数を百万台キロで割っているものですが、それで比較 をしております。自動車専用道につきましては0.11、幹線道路が0.55、市区町村道が3.25という 数字が出ておりますので、いわゆる自動車専用道、高速道路につきましては労働災害発生の頻度 は低いということがありますので、2頁の「詳細事項」の下のほうに下線がありますが、「適正 な走行計画」の所で、「無理のない適正な走行計画の作成のためには、高速道路利用時の交通労 働災害発生の頻度が一般道の走行時と比較して低くなることを踏まえ、適切に高速道路を使用す ること等が考えられる」という記載に入れております。  それから、左側の「基本事項」の所ですが、2行目に「運転者が十分な睡眠時間を確保できる よう」とありますが、これは今までのご議論の中で睡眠時間が5時間を下回ると交通事故の発生 の率が上がるというデータがありますので、「十分な睡眠時間を確保できるよう」という目的規 定を入れたということです。それに加えまして、従来は「改善基準告示を遵守する」となってい たわけですが、人それぞれ状況が違うことを考慮する必要があります。例えば、通勤時間が長い 方もおられるということもありまして、個々の状況を考慮して、必要があればより短い拘束時間 あるいは必要な宿泊施設の確保等運転者が十分な睡眠時間を確保できるための措置を講じること を付け加えております。  それから、いちばん右端の「ヒアリング結果等」ですが、今回は通信業、製造業、建設業、そ ういったところにヒアリングをさせていただきました。通信業、いわゆる郵便局ですが、これに つきましては、昨年の10月から民営化された以降は、貨物自動車運送業としての関係法令の適用 を受けるということですので、こういった改善基準を含め遵守するということだそうです。製造 業につきましては、日勤の範囲ですので、睡眠不足になるような運行はしていないというお話で した。  次は4頁です。ここは前回のご議論は特になかったところですが、今までの資料で調査結果の (5)に書いてありますが、交通労働災害による死亡災害については、午前2時から午前5時までの時 間帯は35%の事故が集中しているというデータです。これは資料No.3-3ということで、今日お配 りしている資料です。第1回の検討会のときにお配りしている資料ですが、ご覧のように、4時か ら5時台にピークが立ち上がっているというデータがありますので、これを踏まえた対策も入れ るべきということで、「また」以下の所に入れております。内容としましては、早朝時間帯に交 通事故による死亡事故が多発していることを踏まえて、走行計画の作成にあたっては早朝時間帯 の走行を可能な限り避けるということです。当然、荷主からの要望が朝一、あるいは運行効率の 関係上夜間を当然走らなければいけない場合もあるわけですが、そういった場合については、十 分な休憩時間あるいは仮眠時間の確保を行っていただきたいということを入れております。  それから、詳細事項の真ん中ですが、従来は走行計画の方法の変更につきまして基本事項に入 れていたわけですが、若干、細かい問題ということですので、細かな方法につきましては詳細事 項の中に移動させております。そのため、基本事項におきましては、4頁のいちばん左上の「な お」書きで、「走行計画は、走行中に柔軟に変更を可能とするよう運用する」という程度の記載 にとどめております。  それから、ヒアリングの結果ですが、まず、通信業につきましては、いわゆる配達ですので順 路は決まっている。ただ、時間について、指定はしていない。昼食時に一旦帰社することになっ ておりますので、その時点で把握しているとのことです。製造業の自家用トラックで配送を行っ ている業者につきましては、配達順路をまず決めます。ただ、時間についてはあまり厳しく縛っ ていないということです。建設業につきましては、いわゆる残土排出、あるいは建機の持込みと いうところで自家用トラックを使うわけですが、特に都市土木という場合は事前に届出を行って いますし、走行時間についてもかなり指定があるようです。それから、都市土木以外でも、残土 排出の経路は契約の金額に相当かかわるということですので、契約の段階でかなり詰めるという ことでした。  現場管理人が複数の現場を持っているというのも多いようでありまして、この場合は運転距離 が相当長くなる方もおられるということでありまして、こういった場合には運転記録を出させる 形で走行管理をしているということだそうです。交通安全マップの活用ということが入っていま すが、これの導入、活用につきましては一部の事業場では行っているということです。乗務状況 の把握につきましては、例えば製造業につきましてはいわゆるタコグラフというものの実態はな いということでした。  次に7頁です。走行前点呼につきましては、7頁にありますように、前回までは点呼によって疾 病、疲労、飲酒、それに加えて睡眠時間についても必ず聞いてくださいというようになっていた わけですが、睡眠時間につきましてはプライバシーの問題もありますので、睡眠時間が疑われる ときだけに聞けばいいではないかということで、「なお」書きという形で、乗務開始前24時間に おける拘束時間の合計が13時間を超える場合は睡眠時間の状況を確認するという形にしておりま す。この13時間につきましては、8頁の真ん中の欄のいちばん上に書いてありますが、人間とし て必要な労働以外の生活時間というものを調べたデータがありまして、おおむね6時間とされて いる。睡眠時間5時間を確保するためには拘束時間が13時間を超えてしまうと24時間を超えてし まいますので、拘束時間が13時間を超えている場合は睡眠不足が疑われるということですので、 このときには点呼において睡眠時間の状況を確認してくださいということにしております。  8頁の左側の欄ですが、従来から、前回お配りした資料も、睡眠不足が累積した場合について は運転を禁止するという記載があったわけですが、これにつきましては必ずしも累積していなく ても、例えば徹夜をした翌日とかがありますので、累積という限定を外しまして、「睡眠不足が 著しい、体調が不調である等正常な運転が困難な状態と認められる者」という明確な定義をいた しまして、こういった場合については運転業務につかせないことを含めた措置を講じるとしてい ます。「また」以下で「1週間連続して拘束時間が13時間を超える等により睡眠不足の累積が認 められる者に対しては、必要な休憩時間の確保等の措置を講じる」としております。これは、右 側に解説がありますが、1週間連続して拘束時間が13時間を超えるということは、運転者が5時間 以上の睡眠時間を確保できていない可能性が非常に高いということで、前々回の資料でお配りし ていましたように、5時間未満の睡眠が1週間継続しますと視覚刺激に対して反応ができなかった という、いわゆる身体能力というか、認知能力の低下が著しくなってくるというデータがありま すので、1週間連続して拘束時間が13時間を超えたような場合については特別な手当てをしてほ しいというふうにしております。ただし、真ん中の欄に書いてありますが、13時間というのはあ くまで拘束時間ですので、運転者が5時間以上睡眠時間を確保できているということが確認でき た場合は、当然、特段の措置を講じる必要はないということです。前半の説明は以上でございま す。 ○根本座長 それでは、ここまでのところを確認していきたいと思います。特に下線を引いた箇 所ということですが、今日は最終回なので、そのほかの所も気がついたところがあったら是非ご 指摘いただきたいと思います。  最初の「適正な労働時間等の管理」の所はいかがでしょうか。2頁で通勤時間に関する言及が 新たに付け加わったということですが、これは定義としては通勤時間は拘束時間に入らないとい うことですね。 ○安井審査官 拘束時間というのは労働時間及び休憩時間ですので、通勤は入りません。 ○根本座長 そうすると、先ほど、後ろのほうでありましたが、生活時間という言葉がありまし たね。生活時間は6時間ぐらいは必要ですという、その生活時間の中に通勤時間が定義上入って くるということですね。 ○安井審査官 入ります。 ○根本座長 わかりました。実際、通勤時間のことを気にしながら労務管理をされますかね。 ○三浦委員 していないのが実態だと思います。 ○安本委員 通勤経路等については事前に報告を出させて、把握はしています。 ○根本座長 著しく遠くから通っているようなことになった場合は考えざるを得ないときという のが出てくるのでしょうね。 ○安井審査官 あと、これは通勤時間等ということになっておりまして、いわゆる個々の労働者 の状況に応じたということになっておりまして、例えば運行が終了した場所が自宅から必ずしも 近いとは限りませんので、そういったときに一旦自宅に帰らせてから来るのか、あるいは宿泊さ せるのかとか、そういったことを考えていただければということも含めて利用しております。 ○根本座長 当然そういうことは考えざるを得ないですから、そういう意味ではいいですかね。  それでは、その先に行きましょう。「適正な走行管理」、4頁〜6頁辺りはいかがでしょうか。 ヒアリングからいろいろなことがわかってよかったと思いますが、特に参考になったところはど こかありますか。 ○安井審査官 自家用トラックを使っている業界が意外に多いというのはちょっと意外でした。 製造業もそうですし、建設業のダンプが白ナンバーがほとんどだという実態もあるということだ そうです。 ○根本座長 自家用トラックもこのガイドラインに従ってきちんと管理していただきたいという のは最後の所で触れることになっていますが、確かにそうですね。 ○安井審査官 早朝時間帯の所の記載はこういう形でよろしいでしょうか。輸送効率の面から夜 走ったほうが当然いいという場合もあると思いますので、もちろん駄目だということではないの ですが、実態論として、明け方、4時から5時に事故が多いというのもまた事実でありまして、そ こは疲労の蓄積のみならず、暗いとかスピードが出せるとか、さまざまな複合要因があると思う のですが、一応配慮はしていただきたいということです。 ○根本座長 特に問題はないようですね。この早朝の4時、5時の事故に関して、それこそ、プロ のドライバー、青ナンバーと白ナンバーとかで違うということはありますか。プロの方は、夜と か早朝、わりと効率よく配達できるということで、そこに特化してやっている人はあまり事故の 心配はないような気もするのです。そういう時間帯が好きなドライバーの方もいらっしゃいます よね。配送効率がよく、そういうシフトで専門にやっている人と、いわゆる自家用、製造業の方 などだとちょっと違うような気がするのです。この早朝の事故率は全部まとめたものですね。 ○安井審査官 ええ。これは交通労働災害ですので、労働者の方が被災したという件数ですが、 いわゆるプロドライバーかどうかの区別はできておりません。ただ、直感的に、夜中にプロドラ イバー以外が走るというのはあまりないかなとは思います。 ○高橋委員 朝の4時、5時は人間の体温がいちばん低くなる時間帯なのですね。その時間帯はど うしてもいろいろな反応が鈍くなるというのがありまして、一般のドライバーであってもこうい うカーブを描くレポートをいくつも見ます。 ○根本座長 それは、例えばいつも夜働いているガードマンの方とか、夜に体、仕事を合わせて いる人も、同じように朝はあまりパフォーマンスがよくないのですか。 ○高橋委員 よくないです。 ○根本座長 それは変えられませんか。 ○高橋委員 変えられません。 ○根本座長 それは太陽の影響ですか。 ○高橋委員 いま話題になっている船の事故も大体4時です。この時間帯というのは、ある意 味、自動車などを運転する人にとっては魔の時間帯です。特に、資料2の6は、怪我とかの大きな 事故や小さな事故をすべて含めたものですが、交通量との関係もあるかと思うのですが、これは 昼間なのです。ところが、死に至る極めて深刻な事故のピークはこのように夜なのです。 ○中村委員 ただ、このグラフからいくと、交通労災全体でとらえているということもあります ので、もともとの母数といいますか、時間帯別のマップの母数の中にプロのドライバーの割合と 一般ドライバーを含んだ割合という意味では単純に比較できないだろうと思います。ただ、そう いった意味を含めたとしても、早朝の時間帯に、高橋委員からお話があったような形で、生理的 ・心理的なパフォーマンスが非常に落ちているという意味から考えるのであればこの時間帯はで きるだけ避けたほうがいいということ自体は問題はないだろうと思います。ただ、実態としてそ れができるかどうかというのはまた別問題だと思います。 ○高橋委員 当然にこの時間帯を走らざるを得ないケースが多々あるかと思うのですが、そうで あってもこういったリスクをどう避けるかというのが重要になるのだと思うのです。 ○根本座長 そういう生理的な問題があるのだから、プロといえども注意してやりましょうとい うことですね。 ○高橋委員 そうですね。 ○根本座長 わかりました。よろしいですか。では、6頁までは特に異論がないということで、7 頁、8頁の「走行前点呼」はいかがでしょうか。これは新たに重要な点が付け加わっていて、乗 務開始前24時間における拘束時間の合計が13時間のときに特に注意して睡眠時間等の確認をしま しょうということになりました。おおむね6時間が人間の生活時間だというのは、なかなか説得 力のある論理構成になっているように思いますが、いかがでしょうか。 ○中村委員 1つ確認なのですが、8頁のほうで、「点呼等に基づく措置」といういちばん左の列 の所で、下から3行目、「13時間を超える等により睡眠不足の累積が認められる者に対しては」 というのがありますが、これはもちろん前の頁から読んでくれば、乗務開始前24時間における拘 束時間の合計が13時間を超えるという意味ですよね。これだけを読んでしまうと1週間の中で13 時間を超えるというふうに読めなくもないというところもあろうかと思います。そういった意味 では、ちょっと言葉を補ったほうがいいのかなと思います。 ○安井審査官 そうですね。例えば、1週間連続して1日当たり拘束時間が13時間を超えるとか、 少しこの辺りは表現を工夫したいと思います。 ○中村委員 同じように、真ん中の「点呼等の実施」とか「点呼等に基づく措置」の所も同じで すね。変に解釈されてしまわないようにした方がよいと思います。 ○根本座長 この厳密な定義はどうなっていますか。例えば、ずっと16時間仕事をしていても途 中で1日抜ければ連続していないからいいと判断するのか、平均的に1日当たり24時間分の13時間 なのかということも、この文章だけではわからないですね。 ○安井審査官 一応、連続していることを前提にしておりまして、座長がおっしゃったように、 一旦どこかで十分に睡眠をとっていれば連続とは解釈しません。 ○根本座長 平均ではないということですか。 ○安井審査官 そうです。これは、前々回の資料でラプスのデータをお配りしていると思うので すが、累積していくのは連続しているときだけでありまして、1日ドカッと寝てしまうとそれで グッと回復するのです。 ○根本座長 何か、以前、寝溜めはきかないという説明がなかったですか。 ○安井審査官 寝溜めは完全には回復しないのですが著しい改善は見られるということですの で、睡眠時間が十分にとれる日が一旦あれば、それはそれで連続とは考えないというふうに考え ておりますがいかがでしょうか。 ○高橋委員 それはちょっと微妙だと思われます。ただ、ここの記述はいわゆる改善基準で示さ れるところの1日の拘束時間及び休息期間との関連がまず大切なのですよね。それで、改善基準 によれば1日の拘束時間は13時間以内を基本とし、これを延長する場合であっても16時間が限度 となっております。ただし、1週間単位で見て15時間を超える拘束時間は週に2回までという、改 善基準上は規定があるのです。 ○根本座長 そういう意味では両方を見ているのですね。 ○高橋委員 そうです。 ○辻室長補佐 ここは睡眠不足の累積ということでの1つの例示で、1週間連続して1日の拘束時 間が13時間がずっと7日間続いた場合というのを1つの例示として示しているというふうに判断し ておりまして、それ以外にも累積というものがあれば、当然そういったものも入ってくるのでは ないかというふうに考えていたのです。 ○根本座長 これ以外は全部いいよという意味ではなくて、これはちょっと要注意だよという意 味の例示だということですね。 ○安井審査官 そうです。とにかく睡眠不足の累積が悪いわけでありまして、13時間を下回って いても睡眠不足の累積の可能性がある場合もありますし、あるいは13時間を超えていても十分に 寝ている場合もありますので、最後は睡眠時間を確認してやるということです。これは13時間と いうのは外形的にとりあえず押さえる、事業者側としてはそれしか押さえられませんので、それ を1つの判断基準として一旦とらえて、あとは実際に睡眠時間を確認することで累積しているか どうかを判断していただくという形を考えております。 ○高橋委員 それは、事故との関係だと、前日に睡眠不足だったかどうかとかいうことに目が行 きがちかと思うのですが、実際には慢性的によく眠れない状況が続くというのがかなり実態かと 思うのです。それによる安全リスクが最近わかってきていますので、そういう意味で、振り返る 時間をちょっと長くとったというのは意味があることかと思います。しかも、直線的に蓄積して いく場合もあれば、睡眠不足の悪影響というのがある一時点からすごく急激に上がるということ も、その睡眠不足の状況によってはあり得ます。そうなると、かなり事故に近づくのではないか と思うのです。  もう少し睡眠について研究が進んで、やはり6時間とらなければ駄目だ、というふうになれば いいのですが、現状ではそこまで明確に示せません。一方、行政的に言えば拘束時間を規定す る。逆に言えば、拘束時間を規定するということは非拘束時間、つまりオフの時間を規定すると いうことで、この場合の13時間ですので11時間をどのように使うかということで、ここの中で は、できるだけきちんと睡眠を確保できるようにすればより安全に走れるのではないか、という 趣旨ではないかと思います。 ○根本座長 わかりました。そうすると、1週間連続して拘束時間が13時間を超えるのは1つの例 示で、これはちょっと困るのではないでしょうかということで、ここであえて示しているという 意味ですね。 ○中村委員 いまの議論を踏まえて思ったのは、そんなことはないだろうとは思うのですが、こ れだけをもし読まれた方が、1週間連続して13時間を超えなければいいんだ、というふうに逆手 にとってしまうことはないですか。 ○根本座長 そこを丁寧に説明するかどうかですね。 ○中村委員 ええ。例えば、改善基準などを併せて参照し、かつ「1週間連続して拘束時間が13 時間を超えるなどにより」云々という形で加えてしまうか。 ○根本座長 少し丁寧に言うかですね。事務局、それはどうですか。 ○安井審査官 そもそも第一前提として、睡眠不足が著しい場合について運転業務につかせない という規定が大前提としてありますので、これは累積していなくても、たった1日でも徹夜をし ていれば非常に危険な状態になるということですので、ランク的には分けて書いているわけで す。ただ、睡眠不足が著しいという例示が確かにきっちりとできていませんけれども、累積の場 合もあるでしょうし、たった1日の徹夜もあると思うのですが、そこはデータで就床3時間程度を 数日間連続すれば非常に高くなるとか、その辺のことを7頁にも示してありますので、そういっ たことから類推してくださいというような形にはなるかと思います。 ○根本座長 よろしいですか。ここまでの説明で特に問題はなかったということでしょうか。そ れでは、後半の説明をお願いします。 ○安井審査官 9頁以降を説明します。9頁、「荷役作業への配慮等」につきましては、前回のご 議論ではフォークリフトとか、そういった荷役の作業についてもう少しわかりやすくすべきでは ないかというご意見と、これはあくまで交通労働災害防止ということなので、荷役作業による運 転の影響という観点から書くべきだというご意見もありましたので、あまり大規模に書いていま せん。ただ、基本事項として、「フォークリフト等の荷役機械の使用に努める」という例示は入 れてありまして、これはあくまで身体負荷の減少という観点から入れているということです。  ヒアリングの結果ですが、通信業につきましてはそれほど重たいものは扱わないということ。 製造業については、荷の積み卸しの場合にアルバイトの方を雇っている、あるいは運転補助員と いう者を常に横に乗せている。これは駐車の関係があるらしいのですが、そういった方が手伝っ ていただけるということで、陸上貨物運送事業よりはだいぶ恵まれた環境にある。建設業は、逆 に重すぎて、人間が荷役をすることはあり得ないということでした。  11頁です。教育につきましては、教育内容に飲酒による運転への影響を記載すべきというご指 摘がありましたので、教育の中に「飲酒の身体的影響」というものを入れる。雇入れ時教育、日 常の教育、両方に入れるという改正をしております。  ヒアリングの結果ですが、通信業につきましては、朝ミーティングを大体実施している、危険 予知活動などもやっている。ただ、ドライブレコーダーとか、ここに例示列挙されているような ものは使っていないということです。製造業につきましては、本社が巡回して教育等を実施して いるということですが、日常の教育はなかなか難しいという状況だそうです。建設業も同様で す。交通安全マップについては、事故の箇所とかはきちんと調べていない所もありますが、特に 交通業の場合は重量物を扱いますので、重量規制とか高さ制限とか、そういったものがあります ので、経路については相当調べてつくっているということでした。あるいは、運転者認定制度に つきましては、大手製造業であれば、雇ったときに合宿教育をやって、運転者認定制度に準ずる 教育をしているというご指摘がありました。  次は14頁ですが、意識の高揚につきましては、前回特にご意見もなかったということで特段の 変更はしておりません。次は15頁ですが、「荷主・元請による配慮事項等」ということです。こ こにつきましては、先ほどご説明しました高速道路の問題が1つありましたので、15頁の下のほ うにありますが、荷主・元請業者に対して、「高速道路の利用が交通労働災害防止に効果がある ことを踏まえ、高速道路の利用について配慮する」という記載を入れております。  それから、前回、発注者の責務とか責任という議論がありまして、若干、強めたほうがいいの ではないかということでした。これにつきましては、15頁の真ん中ですが、到着時間が遅延した 結果として、荷主・元請が実際に運般する運輸事業者に対して不当に不利益な扱いをすることが ないようにするとしています。前回の記述では、ペナルティについては柔軟に対応することとし ていました。何を言っているのか微妙な表現でしたので、より強く、不当に、責めに帰すべき理 由がないのに制裁行為をすることはすべきではないということを明確にしております。  ヒアリングの結果ですが、建設業につきましては、ペナルティについて伺ったところ、残土排 出については地域協定等で決まっていて、遅れてもらっては困るのだと言われるようです。非常 に強い対応でご説明を受けたというところで、厳しい状況はよくわかりました。  それから、17頁の「交通労働災害防止のための管理体制等」ですが、これにつきましては面接 の基準と改善基準の関係のご議論があって、特に整合性が図られているという議論だけだったわ けですが、それに伴いました変更はしておりません。ヒアリングの結果ですが、目標や方針の表 明ということについては、通信業につきましては、交通労働災害ゼロを目標にしているけれど も、きちんとした計画や方針があるわけではない。製造業につきましても、方針の表明はやって いません。ただ、社長をヘッドに安全運動を交通安全週間等の時期に合わせてやっている。建設 業につきましては、建設業のマネジメントシステムというのが別途ありますので、その中の方針 ・目標の中に交通事故も入れている。それから、管理者関係ですが、製造業につきましては、道 路交通法上の安全運転管理者に加えて、自主的に車両管理責任者といった副責任者を置くなどし てきちんと取り組んでいる、安全運転管理者も教育についてはきちんとかかわっている、という お話でした。  次は20頁の「その他」です。これにつきましては、道路運送車両法等の関係で、点検の整合性 についてのご質問等があったわけですが、自動車の点検につきましては道路運送車両法にあるわ けですが、道路運送車両法は道路を走るための点検項目になっています。我々がここで引用して いる労働安全衛生規則151条の75とかは、荷役作業機械についても行っているということですの で、我々は作業の安全ということでありますが、走行のみならず荷役作業も含むという観点で、 若干、点検項目については我々のほうが広い部分があります。それにつきましては、当然、自動 車の点検項目については道路運送車両等の法令にも規制があるということを詳細事項に盛り込ん で、どっちか片方を見ればいいという関係では残念ながらないということはご理解いただきたい と思います。  21頁、貨物運送事業以外に対する対策ということです。これにつきましては、二輪車につきま して走行計画等の作成の必要はないという記載ぶりになっていましたので、これにつきまして は、下のほうにありますが、走行計画の作成あるいは点呼の実施は行うことが望ましいという形 に表現を直しております。ヒアリングの結果ですが、そもそも、ここで規定しているプロドライ バー、運転の業務を主とした職務としている人間が運輸業以外にいるのかというところについて 重点的にヒアリングをしたわけですが、通信業につきましては、配達員は基本的に配達業務しか やっていない。製造業は、営業員と言っていますが、実際に商品の配送を行うような方は外回り しかやっていない。建設業につきましては、現場管理者は、当然、現場の管理が主たる業務なわ けですが、実際の労働時間を考えると運転時間のほうが長い場合も間々あるという状況がある。 残土、砂利等を運ぶダンプトラックについては純然たるプロドライバーである。建設業において は作業員の送迎用のマイクロバスも運行されていますが、これについては、職長といいますが、 作業を行う小集団のグループのリーダーですが、こういった方が運転をしておりまして、プロド ライバーという形では行っていないということです。こういったことを踏まえまして、他産業に おいても相当の数のプロドライバーというのがおられて、そういった方も含めてこのガイドライ ンは適用する必要があるということがよくわかったということでありまして、最終的にはこの 「留意事項」に(1)から(5)までありますが、こういった自家用トラックの運転者につきましてもこ このガイドラインに指定されている内容について走行計画、点呼も含めて実施していただく必要 があるということです。説明は以上でございます。 ○根本座長 それでは、戻りまして9頁です。「荷役作業への配慮等」です。だいぶ煮詰まって きてそれほど書込みはないわけですが、「フォークリフト等への荷役作業の使用に努めるととも に。」ということで、前回の議論を踏まえて少し付け加えているということです。よろしいです か。もし何かあったらおっしゃってください。  それでは、続きまして11頁です。「教育の実施等」、これも飲酒の身体的影響というのが付け 加わりました。あるいは、ヒアリングの結果でも、建設業、製造業等のほうも、教育などはわり あい熱心にしているというような印象ですか。 ○安井審査官 お話を伺ったのが大手の方が多かったので、その会社につきましては非常にしっ かりされているということですが、特に建設業の方で、下請けの方までやっているかどうかは確 信がないというお話でした。 ○高橋委員 これは非常に細かい指摘なのですが、飲酒の「身体的」という所は、見方によって は例えば肝硬変になるなどの健康影響とかいうとらえ方もできる。むしろ、「身体的」という文 言を付けなくてもいいのではないかと思います。 ○安井審査官 「飲酒の影響」ということですか。 ○高橋委員 そうですね。もっと網羅的に、いわゆる運転能力にもかかわるわけですし、もちろ ん肝硬変とかのほかの健康影響もあるわけですが、身体的と言うと変に限定されてしまう。 ○安井審査官 フィジカルの観点からということですか。 ○高橋委員 ええ。ではメンタルはどうなのかとかですね。 ○安井審査官 誤解を与えるといけないと。 ○根本座長 用語の問題ですが、どうでしょうか。 ○安井審査官 いわゆるアルコールにおける生理学的な影響ということで書いてありますが、確 かに、身体的というとそういうふうにとられる方もおられますので外してもよろしいかと思いま す。 ○根本座長 はい。それでは、これに類するようなことで同じような表現がどこかにあるかもし れませんね。調べて基本的に除く方向で検討してみましょう。ほかによろしいでしょうか。  それでは、14頁ですが、これは変わってないのですね。デジタル式運行記録計という文言を少 し直したぐらいですね。  15頁のほうは少し変わっています。これはペナルティの話が変わっていますね。「到着時間が 遅延した結果として、荷主・元請事業者が実際に荷を運般する運輸事業者に対して、不当に不利 益な取扱いを行うことがないようにすること」。この表現に変わっていますが、安本委員、どう ですか。 ○安本委員 「ペナルティには柔軟に対応する」よりもはるかに具体的です。 ○安井審査官 あえて言わせていただけば、これはペナルティがすべて駄目だと書いているわけ ではありませんので、「不当に」というところがかかっているわけです。責めに帰すべき事情が あれば、それは民民の契約ですのでその辺に介入することはないということです。 ○根本座長 あと、高速道路に対して、できるだけ使ったらどうだろうかということが少し付け 加わったということですね。よろしいですかね。  次は17頁、18頁辺りですが、これは変わっていませんね。 ○安井審査官 これはヒアリング結果を付け加えただけです。 ○根本座長 そうですね。これも大企業にヒアリングをしていますから、わりあいしっかりやっ ているという感じですね。  さて、最後の「その他」と、「貨物運送業以外に対する対策の適用等」という所です。22頁の 最後の所の(3)が抜けてしまいましたね。 ○安井審査官 これは印刷の関係で抜けていますが、いわゆる走行計画、点呼以外の措置です。 教育とか高揚、荷主・元請、管理対策等を全部やっていただくという趣旨です。 ○根本座長 よろしいですか。ということであれば、先ほどの「身体的」を入れたほうがいいの かどうかということは検討させていただいてということですが、それ以外に関しては基本的にこ の原案を了承いただいたということにさせていただきたいと思います。  次に、いまの資料に基づいて報告書をつくるのですが、報告書の原案についてご説明をお願い いたします。 ○安井審査官 それでは、資料No.5につきましてご説明いたします。1頁めくっていただくと全体 の構成ですが、まず、検討の趣旨等を述べた後に、新たな対策の盛り込み事項ということで、今 までご議論いただいた内容をそのまま入れているという形です。1頁につきましてご説明しま す。まず、「検討の趣旨等」ということで、「はじめに」でこの検討会のそもそもの設置趣旨に ついて述べております。2で検討の経緯が述べてあるということです。2頁目は名簿です。3頁目 以降が、今回ご議論いただいた内容を盛り込んでいるということです。資料No.4と対応してご説 明しますが、第1「目的等」という所が資料No.4の1頁目に当たるわけですが、ここで「対策に盛 り込むべき事項」という所には基本事項の部分をそのまま張り付けております。次の3頁の第2 「適正な労働時間等の管理」の所は、資料No.4の2頁ですが、まず、「調査結果等」ということ で、資料4についている「調査結果等」をそのまま入れております。「対策に盛り込むべき事 項」という所に「基本事項」をそのまま入れております。「留意事項等」という所に詳細事項に 記載しているものをそのまま入れている形です。以下、同じでありまして、資料No.4をそのまま フォーマットを変える形で整理するというポリシーで報告書を作成することにしております。説 明は以上でございます。 ○根本座長 いかがでしょうか。そうしますと、中身的には、この資料No.4が了承されると報告 書は自動的に了承されるという形かと思います。ただ、こういう体裁がどうかということに関し てご意見があればいただきたいと思います。  この報告書だけ読んで意味がわかるようにしておいたほうがいいですよね。16頁、17頁です が、全く表現だけの問題なのですが、例えば「留意事項」の所に「通信業の配達用の自家用トラ ックの運転者」等々書いていますが、例えば「小売り」「旅館業」「広告宣伝車」とあります ね。これを表で見にいくと、表の所では「商業その他」になっているのです。それから、表の所 で「建設業・林業」「港湾」というのは上の(1)にないのです。この対応を少しわかりやすくして おいたほうがいいですね。それから、この(1)(2)(3)が表の中の(1)(2)(3)なのかなと思って見ると、そ うではなくて、表の中の(1)(2)(3)は最後の所の(1)(2)(3)を示しています。さらに、この(1)(2)(3)をやっ てほしいということは、ここには書いてないのです。これを読んだだけで、なるほど、そういう ことを言いたいのか、ということがわかるようにしてほしいし、(1)と(2)は後ろと前と混乱するの で記号を変えたほうがいいですね。表現だけの問題なのですが、もう一遍、前のほうから後ろの ほうまで、初めて読む人にわかりやすく親切にしたらどうでしょうか。 ○安井審査官 わかりました。特に建設業が抜けていますので。この表と表現ぶりがわかるよう にしたいと思います。 ○根本座長 同じ言葉をなるべく使ったほうがいいですね。 ○安井審査官 はい。あと、この表の前にも、例えば「適用関係を整理すると次のようになる」 とか、説明書きを入れるようにしたいと思います。 ○根本座長 いかがでしょうか。今日この場で気づかなかったとしても、持ち帰って気がついた 点があれば電子メールで事務局宛にご意見をいただければと思います。基本的に、今日それほど 修正がなく原案了承という形で報告書を取りまとめることができるのではないかと思っていま す。ご意見があれば事務局と私のほうで相談をして、必要な修正を加え、また皆さんにメールで 配信するということになるのだと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。 ○安井審査官 もしご意見がありましたら、できれば今週中にいただきまして、来週早々には今 日のご指摘を踏まえました修正版をお送りしますので、それでご意見がないようでしたら最後に 座長にご確認いただいて報告書として取りまとめさせていただきたいと思います。 ○根本座長 よろしいですか。何かご発言ありますか。 ○平川委員 これは言葉の使い方だけなのですが、6頁の4番に「乗務状況の把握」ということで 「デジタル式運行記録計(デジタルタコグラフ)」とありますね。それが7頁の第4の上で4番の 所だと「GPS付きデジタルタコグラフ」としています。その後ろのほうにいくと、何箇所かが 「デジタル式運行記録計」という言葉があります。なぜここの所だけGPS付きデジタルタコグラ フにする必要があるのか。見た方は、何か使い分けがあるのかな、何か違いがあるのかな、とい うことを感じるかもしれませんね。 ○安井審査官 基本事項につきましては市販されている、認可されているデジタル式運行記録計 を使ってやるということが書いてあります。この留意事項につきましては、最近、GPS付きのデ ジタコ等を使って遠隔操作でリアルタイムで運行場所を把握するというシステムがありますの で、ここはちょっと先進的なことを書いております。 ○平川委員 見た方がその違いがわかればいいですね。 ○安井審査官 そうですね。先進的なシステムの表現ぶりを考えさせていただきます。 ○平川委員 意味はわかりました。認可されているものとされていないものの違いですね。 ○安井審査官 普通のタコグラフよりも高機能のものということです。 ○根本座長 先進的にやっている事業所もあるよというのと、標準的にこれを付けなければいけ ない、そして、それをうまく利活用してやっているよ、というのとがあるのですね。 ○平川委員 そうですね。これを見た人がわかればいいのです。 ○根本座長 そこは検討をして、これでもわかると思うのですが、親切にできるかどうか事務局 と相談してみたいと思います。よろしいですか。 (異議なし) ○根本座長 それでは、今日は効率的に進みました。ここまで5回議論いただいたということで だいぶ煮詰まってきたということではないかと思います。ほかにないようでしたら、これで議事 を終了し、進行を事務局にお返ししたいと思います。 ○高橋副主任 ありがとうございました。ここで鶴田安全衛生部長より一言ご挨拶を申し上げま す。 ○鶴田部長 閉会にあたりまして、一言、御礼の挨拶をさせていただきます。根本座長はじめ委 員の皆様方におかれましては、昨年の10月から5回にわたりまして熱心にご議論いただき報告書 をまとめていただきましてありがとうございました。本検討会でいただきました提言につきまし ては、現行の交通労働災害防止のためのガイドラインの改正等に反映させていきたいと思ってい ます。  また、最初の検討会のときに申しましたように、交通労働災害の全労働災害に占める割合は上 昇傾向にありまして、一度に3人以上の方が被災される重大災害も増加しているということで、 今年の4月から始まります第11次労働災害防止計画にも特定災害の一つとして取り上げていると ころであります。引き続き交通労働災害防止対策の充実を図ってまいりたいと思いますので、安 全衛生行政の推進につきまして引き続きご支援、ご協力をお願いしたいと思います。本日は誠に ありがとうございました。 ○高橋副主任 以上をもちまして閉会とさせていただきます。ありがとうございました。 23 - -