08/02/20 第34回議事録 第34回労働政策審議会安全衛生分科会 議事録 1 日 時 平成20年2月20日(水)10:00〜12:00 2 場 所 厚生労働省 共用第8会議室  3 出席者 (委 員) 公益代表  平野委員、相澤委員、今田委員、露木委員、中原委員、   名古屋委員 労働者代表 高橋(孝)委員、中桐委員、仲田委員、古市委員、   眞部委員 使用者代表 豊田委員、中村委員、松井委員、三浦委員、山崎委員 (事務局) 青木労働基準局長、鶴田安全衛生部長、坂口計画課長、 平野安全課長、金井労働衛生課長、榎本化学物質対策課長、 春日化学物質評価室長、野澤計画課調査官 4 議事録 ○分科会長 ただいまから第34回労働政策審議会安全衛生分科会を開催いた します。  内藤委員、鈴木委員、芳野委員、伊藤委員、高橋(信雄)委員は所用のた め欠席されています。豊田委員はお着きになっていませんが、労働政策審議 会令第9条に規定する定足数を満たしており、当分科会は成立していること を申し上げます。  本日の一つ目の議題、「第11次労働災害防止計画(案)」についてです。本 件は前回の分科会において御議論いただいたものですが、今回厚生労働大臣 から労働政策審議会会長あて、正式に諮問の手続きがございましたので、当 分科会において審議を行うことといたします。では、事務局から説明をお願 いします。 ○労働基準局長 第11次労働災害防止計画(案)につきまして、昨年に骨子 案、先月にも計画案についてご議論いただきまして、貴重な御意見をいただ きました。本日はその御意見等を踏まえて、修正した計画案について諮問い たしたいと思います。詳細は担当の方から説明します。よろしく御審議のほ どお願いします。 ○計画課調査官 それでは説明いたします。資料No1-1が諮問文です。その 別紙で計画(案)が付いてます。説明につきましては資料No.1-2が修正点をわ かりやすくしておりますので、そちらで説明をいたします。  前回お諮りした計画案に関して、いただいている意見を踏まえて見直した 点を中心に説明いたします。その他に修文している部分としては、語尾等の 平仄を合わせたり、法律番号、あるいは通達番号を付けたりというところで すので、そういうところは少し割愛をさせていただきます。  まず、資料No.1-2の3頁、上から2行目に請負労働者という表現が原案とし てありました。しかしながら請負人に雇用される労働者という意味とは取ら れない場合もあるということで、請負人に雇用される労働者として一旦定義 をして、使用することといたしました。  同じくその下の(2)の建設業の中の、建設工事における労働災害にかかる懸 念の部分について、前回建設行政業界において、対策に取り組んでいるので 特に記載しなくてもよいのではないかという意見がありましたが、原案の問 題意識を前提に表現を精査して改めさせていただきました。  次に、7頁中段のオ、トンネル建設工事の順番については、後ほど関連する 部分がありますので、そこで説明いたします。  続いて8頁下のイ、労働安全衛生マネジメントシステムについて、前回事 項の順番についての御意見がありました。そこで、今回の順番につきまして は、まず事業場が自主的に取組む。そして業界団体が自主的に取組む、それ らのインセンティブとなる計画届けの免除制度の周知についてです。最後に 発注者における労働安全衛生マネジメントシステム等を評価する制度の導入 促進。そういった順番に改めました。  次に10頁2行目の手すり先行工法ですが、他の部分で、ここに「中高層建 設工事の」とありますが、他の部分で特に工事の範囲を記述していない部分 が他にあり、それと整合させて、ここのところを除いております。  次に11頁下の(ウ)の、発注者による安全衛生への配慮の促進についてで すが、まず入札という言葉についてはより広義の表現である「調達」という 表現としました。評価する取組は労働安全衛生マネジメントシステムに限る ものではないことから「等」という言葉を入れております。その下の(エ) の建築物の開口部、梁等からの墜落について、前回説明しました災害の発生 状況を踏まえて、労働災害の多い開口部からの墜落を追加しました。  次に13頁、上のアの、粉じん障害防止対策のトンネル建設工事です。これ につきましては、次の段落で記述しているような対策の見直しが行われてい る、そういう観点から重点としたということが分かるように、そこの記述を 加えました。その結果特にという言葉は不要ということで除いてあります。  次に14頁上のオ、その他の職業性疾病等の予防対策についてです。前回、 新型インフルエンザが職業性疾病等に当たるという説明をしたことに伴い順 番を最後としました。それから14頁下の4行目、欧州においてという表現に ついて、前回特にそこに限定する必要はないのではないかという意見があり まして、それを踏まえて、「海外の動向も踏まえて」という表現にいたしまし た。  それから次の15〜16頁にかけて、メンタルヘルス対策の中の自殺予防対策 につきましては、前回メンタルヘルス対策と並列することは対策の位置付け から違和感があるといった御意見があり、まずメンタルヘルス対策を記述し、 それが自殺予防対策としても資するという位置付けで16頁に、さらに以下を 入れてあります。  17頁下の、地域保健との連携につきましては、前回の意見を踏まえ、地域・ 職域連携推進協議会の活用という具体的な処方を示すとともに、正確な表現 としました。その下3行目の労働者の自主的な健康管理の推進については、 前回のより具体的な取組を示すべきとの意見を踏まえ、健康診断の受診、健 診結果および保健指導を利用した健康の保持への努力、そういったことにつ いて普及啓発するということを盛り込みました。 次に19頁下3行目の製造業の元方事業者による作業間の連絡調整等の徹底に ついて、他の部分にも同じようなところもあり、それとの表現の整合をしま した。以上が前回案に比べた主な変更点です。 ○分科会長 ありがとうございます。ただいまの御説明について御意見、御 質問がありましたらお願いします。 ○古市委員 前回、欠席いたしまして大変申し訳なく思っております。いく つか質問と意見を申し上げたいと思います。  資料No.1-1の2頁に労働災害の発生状況について記述がありまして、3頁に は建設業の状況についても記述があります。そこでですが、労働災害の統計 上の数字については、そのとおりでありましょうが、私は、労働現場で、本 当に災害が減っているのかどうかについて大変疑問をもっており、そのこと につきお話を申し上げます。その前に建設業の現状について若干、お話をし たいと思います。  実は公共工事の設計労務単価を決める際に、国土交通省と農林水産省が毎 年10月に建設現場の労務費の調査を行います。平成17年10月の調査により ますと、公共工事の建設現場、12,241現場、214,384人分の調査をしたとこ ろ、労働基準法等の法令違反があって、サンプルとして採用できなかったも のが42.1%です。国土交通省はこれを棄却率と呼んでおりますが、214,000 人の調査をして、有効な標本は124,076で、42.1%は法令違反があったと。 17年が42%ですので、その他の年をずっと見てみますと、16年は45.1%、 15年は47.2%、14年は46.8%、13年は45.5%と、このように毎年50%近く 棄却率があると、要するに法令違反が現認をされているわけです。国土交通 省は法令違反を現認しているので、これを基準局長のところへもってきて、 こういう現認をしました、労働局長を通じて、しっかり指導してくださいと いうふうになっていれば、毎年減っていくのだと思うのですが、そうなって いませんので、毎年、50%近くの棄却率がある。こういう労働基準法等が半 分も違反状態にあると、こういうことを毎年確認をしているわけです。公共 工事の現場ですから、民間工事の現場であれば、言うに及ばずと、こういう ことだと思います。労働基準法等がこれだけの違反があるということは、そ の現場で安全衛生法だけは適切に守られているであろうと想像することがな かなかできないわけであり、こういう建設の状況があります。このことにつ いてお話を申したいと思っております。  3頁に、建設業の実情についての記述があり、安全衛生経費、コスト割れが 懸念されて、適切な安全経費の確保ができていません。厚生労働省としては 非常に適切な認識をもってくれたかと私は大変うれしく思い、私の組合の会 議でも、厚生労働省もやっとこういう認識になってくれたという報告をした ところでありますが、残念ながら前回私が休んでいたときに、削るべきだと いう意見があり、この肝心なところが削られていることに大変残念に思いま す。  その他の11頁に建設業が重層的な請負構造にあるという記述があります。 どれぐらい重層的なのかについて一つだけ例を紹介いたします。1月19日の 雑誌に、私どもの組合員の現場が出ており、建設のことをたくさん取材して います。私どもの組合員が働いている現場が11次の現場。1次下請け、2次 下請けとありますが、11次という驚くべき重層下請けの状態になっています。 こういったところに適切に安全経費が確保されているとはなかなか思えない。 2億円で元請けが請けた仕事を1次下請けに出すときに2億円で出す人はいま せんので、当然2億円から下まわるわけで、それがどんどん11次まで下りて いって、そこで適切な安全経費が確保されているとはとても思えない、そう いう状態の記述をあえて削除する必要があるのかということに大変不満をも っておりますので申し上げました。  労働現場で労災事故という統計の範疇に入らないかもしれませんが、事故 が多くなっていることについてこれから申し上げます。事業者が必要な労働 力を直接雇用することなく外注などで手当をするということが、いま広く行 われており、これは建設業も全く同様でありまして、実は消費税が導入され たときと、消費税が3%から5%に上がったときに、特に急速にその傾向が加 速をされました。それは建設業は人件費の割合が非常に高い業種ですので、 そこでは労務の提供者を労働者として雇って賃金を支払うのではなく、独立 の事業者として扱って外注経費にする。そういうふうにすることによって、 消費税の負担が相当軽くなります。そういったことがあり、この時期に労働 者の外注化が急速に進んだと。統計上労働災害は減るわけですが、被災者が 事業主扱いをされて、しかも労災保険に特別加入をしていないと労災事故に 該当しない、そういう災害が非常に増えているということについて強調をし たいと思います。労働者の労災保険の特別加入の災害だけではなくて、あら ゆる労務提供者の災害を減らす、そういったことがこの計画の中で必要なの ではないかと、このように思います。実例を若干お話します。  私の所属する組合員は、北海道から沖縄まで468の労働保険事務組合の運 営をいたしております。この労働保険事務組合で、いわゆる一人親方という ふうに分類をされます労災保険の第二種特別加入をする人が、急激に増えて いるという事実です。2004年には94,116人だった一人親方の特別加入者が、 2005年には102,586人、2006年には109,020人、2007年には117,516人と、 どんどん増え、3年間で25%も増えました。要するに労働者ではなくなって 一人親方に強制的にさせられてしまったので、労災保険料を新たに自分が特 別加入をして負担しなければならなくなりました。これは自然に増えている のではなくて、労働組合が一人親方になった方を特別加入をするように強く 加入勧奨を行っており、そのために増えているわけですが、この特別加入の 制度は強制ではなく、任意加入ですから、組合が一生懸命に強く加入勧奨を するということです。冗談ですが、私たちは労働大臣から何回も表彰されて もいいのではないかと思っていますが、そういう話は一向にありません。特 別加入の人が増えるということを、厚生労働省は迷惑だと、もしかしたら考 えているのかな、と思っております。これまで賃金で働いていた労働者が、 雇用を外されることによって自分で国民健康保険と、国民年金保険料を負担 するようになるのに加えて、労災保険の事実上労働者であるにもかかわらず、 労災保険料まで特別加入として自分で負担しなければならないことになりま すので、なかなか二の足を踏んで、わかったそれでは入るよというふうには なかなか言いませんが、私たちは組合員の確定申告の指導などもやりますの で、そういったときに労災保険の特別加入の保険料の支払がない人に対して 強く勧奨をして、特別加入制度に入ってもらうように指導をして、それでこ れだけ増えていると。特別加入している方は労災保険で救われるからいいわ けですが、労災保険の給付対象とならない事故が国民健康保険の方に大量に 流れてくると、こういう事実がありまして、こっち側が非常に増えていくと いうことがあります。私たちは労災隠しをなくすために、健康保険の保険証 に厚生労働省が作りました労災隠しは犯罪です、労働災害に健康保険は使え ませんというポスターを、健康保険証のカバーに刷り込み、配って、これで 抑止力を働かせる、このようなことをしているのですが、それでも労働現場 での事故で健康保険を使って、労災の給付にされないといった事故が非常に たくさん増えているということです。  もう一つ、11頁のイ、建設業の対策で、(エ)の中に墜落・転落災害防止対 策等の強化等という文言があります。ここの最初の木造家屋等低層のところ の足場からの墜落・転落災害防止対策の周知徹底を図る、こういう表現があ ります。その最後の文は、必要な措置を講ずるとなっています。ここは墜落 災害の防止対策については周知徹底を図るよりも、必要な措置を講ずる。こ ういう表現にしていただけないかと思っております。これは答弁をしていた だきたいと思います。それから安全対策の充実について、いま検討を行いと 書いてありますが、どういう検討を行っているかということについても一言 お知らせをいただきたいと思います。あと、国土交通省の工事現場で、先行 手すり工法を義務化したというふうにお聞きしておりますが、その報道の中 で安全性の向上が確認されたので義務化したのだというような報道がされて いますが、そこの安全性の向上が確認されたというのは事実なのか、例えば、 厚生労働省として公共工事の現場の事故率と、民間の事故率がわかるように 把握されているのかどうか、その辺についてお教えをいただきたいと思いま す。  たくさん言って申し訳ありませんが、もう一つ、最近アスベストで、これ まで日本でないと言われていた新しいアスベストが見つかったという報道が されていますので、通知が出たこともお聞きしましたが、これについてコメ ントをお願いします。以上です。長くてすみません。 ○分科会長 ありがとうございました。それでは安全課長、お願いします。 ○安全課長 墜落対策の1点目の件について、11頁のイ、(エ)のところで、 足場先行工法とか、あるいは手すり先行工法、こういうものをガイドライン にして現在周知を図っております。それとともに、やはりまだ墜落災害があ りますので、墜落災害全体について、どういうことで起きているかというこ とを検討して、必要な措置を講じていきたいということですので、検討の結 果によると、いま普及を図っている工法自体が変わってくるかもしれません し、基本的に、委員が言われたように、問題点を検討して、必要な措置を講 じていきたいと考えております。   2点目の手すり先行工法について国交省の件について、標準仕様書のほうで 枠組み足場を設置する場合に、手すり先行工法は原則であるということを示 したと聞いております。国交省のほうではこの手すり先行工法につきまして は、その前に厚生労働省の方で手すり先行工法のガイドラインを作っていま して、働きやすい安心感のある足場ということで、私どもとしても、推奨し ているわけです。そういうことを受けて、国交省の方で、これを標準仕様書 の方で記述したと理解しております。 ○化学物質対策課長 それでは、石綿の関係でお答え申し上げます。今年に なりまして、石綿の吹付け材等について、3種類の石綿以外にトレモライト等 が使われている事実があるという報道を受けまして、私どもで確認しました。 建築物等の解体等を行う場合の事前調査については石綿則3条ではまず目視 あるいは設計図書等による調査を行って、石綿が使われているかどうかを確 認する、また確認できないときは、分析等によって調査を行うという仕組み になっています。従来3種類の石綿だけが使われていたとの認識の下では、 調査が十分徹底されていない可能性があるということから、今回、それを踏 まえまして注意喚起のための通達を発出したところです。 ○計画課長 そのあと2点目の御意見について、3ページの表現ぶりは、我々 としては前回ご提示した素案の問題意識と申しますか、その懸念については 留意、認識しつつ前回等の御意見も踏まえて精査して、記述させていただい たと御理解たまわりたいと思います。  労災事故との関わりについては、いま古市委員も御指摘のとおりで、労災 事故を隠す労災隠しもあってはならない。また、そのために例えば本来労働 者である方のものをねじ曲げてということについては、個々の判断、最終的 には現場現場での労働者としての判断にならざるを得ない部分はありますが、 私どもとしても労災隠しというものがあってはならないとして、しっかり取 り組んでまいりたいと思います。そして、そういう形での取組については、 安全衛生行政のみならず、諸々の行政も含めてしっかり対応してまいりたい と思います。 ○古市委員 ここはもしかしたら労災の担当ではないかもしれませんが、労 災事故は建設業は特に公共工事の割合が約40%と非常に多いものですから、 公共工事の現場と民間の現場と事故の発生率を見ることができますか。 ○安全課長 発生率ではないのですが、手元に例えば最新のものとして平成 16年の数値があります。死亡災害が全体で594、このうち公共工事が209、民 間工事が328、あとは分類不能や自社などが57ありまして、そのような状況 になっています。 ○古市委員 どうしてそういうことを申し上げるかというと、厚生労働省で ガイドラインをつくったからということでしょうが、先行手すり工法の義務 化を国土交通省の現場で昨年夏からやり始めました。今年4月から農水省の 現場でも義務化をすると聞いていまして、それが市町村や都道府県の工事に も普及しつつあるとお聞きしています。もし、先行手すり工法を義務化した ことによって墜落・転落の事故が減ったのが非常に明確にわかるのであれば、 そのガイドラインを民間工事にももう少し勧める方策が取れるのではないか とお尋ねしています。 ○安全課長 先ほど申し上げましたように、手すり先行工法については平成 15年からガイドラインとしてお示しをして、その普及、周知を図っています。 それは別段公共工事だけではなく、民間工事についてもそういう工法の普及 を図っています。さらに、来年度からはそれを支援する事業の充実をして、 民間工事も含めて普及を図っていきたいと考えています。 ○分科会長 ほかにございますか。 ○三浦委員 いま一人親方の特別加入の促進についてお話いただきました。 我々業界も事故が発生したときの対応のために特別加入の促進を進めていま す。あとは労災隠しについては、業界としても排除するように一生懸命取り 組んでいることも御理解いただきたい。また、手すり先行工法の話がありま したが、これについては調査、研究会を立ち上げて、仮設業界、学識経験者、 ユーザー、行政で検討中という話を聞いています。その検討結果が出た段階 で、また審議するような話ではないかと思っていますので、その辺も御理解 いただきたいと思います。 ○古市委員 実は私どもは一人親方の特別加入を普及したくて普及させてい るのではありません。私どもはゼネコンと住宅メーカー約70社と年2回話合 いをしています。そこでどういうことをお願いしているかというと、大きい 会社は、うちの現場で仕事をする場合は必ず一人親方の特別加入をしていな いと、うちの現場で仕事をしてもらうのは困ると言われます。労働者が労災 保険の特別加入をしなくてはいけないのはおかしいのではないか、それはや めてくれというお願いをしています。労働者は労働者として元請が責任を持 って、労災保険をかけるのが当たり前ですが、うちの現場に入るには、一人 親方の特別加入をしていないと、仕事ができませんという現場が非常に多い のです。是非、それはやめていただいて、労災の元請責任でやってほしいと お願いをしています。しかし、現実はなかなか厳しくて、どこの会社の現場 も事実上労働者であるにもかかわらず、労災保険の特別加入を求められるの が現状でして、なかなか厳しいところだという実状です。 ○分科会長 何かありますか。よろしいでしょうか。また場を改めて議論し なくてはいけない問題という感じがします。ほかには何か、この11次防の内 容に関する御意見を伺えればありがたいと思います。 ○松井委員 事務局から御説明がありましたように、私どもがいままで申し 上げたことは概ね反映されていると理解をしています。そういうことで、今 回はこれで是非取りまとめてもらえればと思います。以上です。 ○山崎委員 一つお聞きしたいのですが、No.1−2の18頁の下から3行目に、 中小規模事業場対策の推進の中で、協力して集団的に取り組むことが有効で あることから、その促進を図るとありますが、これは具体的に組織化を進め させることなのか、あるいは集団というのはどんな捉え方をされているので すか。一つの集団が何企業くらいなのかなど、どのような集団の捉え方をし ているのですか。 ○計画課調査官 これについては、従来から中央労働災害防止協会がかなり 以前からいろいろな補助金の制度をやっています。そういうときに中小企業 が一社一社で取り組むのではなかなか効率的にできないと、集団を構成して 取り組んだ場合に補助制度があるということをやっています。現在は通称で ありますが、たんぽぽプランをやっています。そういうことは、今後も中小 企業の実態を考えると必要という判断で書き入れています。ですから、具体 的にどれくらいの大きさというのは、そういう制度設計の中でそれぞれ示さ せていただいています。 ○分科会長 よろしいですか。ほかにはよろしいでしょうか。いろいろと御 意見をいただきましたが、その中には将来、これからやらなければいけない ことについていろいろご提案いただいたと私は受け取っています。古市さん に伺いますが、この労災防止計画の中身の文章で、ここだけは絶対変えなく てはいけないということではないのですね。それでは、この後この計画案を 外に出す前に、少しは中身の言葉を変えなくてはいけないことがあるかもし れませんが、骨格はこれでいくということで、皆さんの御了解をいただきた いと思います。いかがでしょうか。それでは、もし何かあった場合には分科 会長にお任せいただくことにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。 (了承) ○分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただき ます。局長から御挨拶があります。 ○労働基準局長 ただいま、第11次労働災害防止計画案について、妥当と御 報告いただいたことに感謝申し上げます。今後、この計画に基づく対策をし っかりと推進していきたいと思います。皆様には引き続き御協力のほどよろ しくお願い申し上げます。 ○分科会長 次の議題に移らせていただきます。次の議題は労働安全衛生規 則の一部を改正する省令案要綱についてです。事務局から御説明いただけま すでしょうか。 ○安全衛生部長 本日二つ目の議題は、労働安全衛生規則の一部を改正する 省令案要綱についてです。内容としては可燃性ガスが存在するなど、爆発の 危険のある場所で使用する電気機械器具については、電気火花による爆発を 防ぐための一定の性能を具備するよう労働安全衛生規則において規定されて いますが、今般その危険場所の区分について国際的な基準に沿ったものとす るため、所要の改正を行うものであります。詳細は、担当から説明させます ので、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 ○安全課長 詳細について御説明申し上げます。資料No.2−1と2−2です。No. 2−1の別紙が改正省令案の要綱になっています。先ほど部長から申し上げま した爆発の危険のある場所で使用する電気機械器具の防爆性能に関してです。 これを通風等による爆発又は火災防止の措置講じてもなお引火性の物の蒸気 又は可燃性ガスが爆発の危険のある濃度に達するおそれある箇所において、 電気機械器具を使用するときは、当該蒸気又はガスの種類に加えまして、爆 発の危険のある濃度に達するおそれに応じた防爆性能を有する防爆構造電気 機械器具でなければ使用してはならないとするものです。資料2で詳しい内 容について御説明させていただきます。  現在、労働安全衛生規則で電気機械器具を使用する際に、防爆構造電気機 械器具でなければならない箇所を、通風、換気の措置を講じてもなお危険な 蒸気、ガスが存在して、爆発の危険がある濃度に達するおそれがある箇所と していますが、その防爆危険箇所の区分について、IEC(国際電気標準会議) が策定した国際的な基準に沿ったものにする改正です。  具体的に説明させていただきます。現在、労働安全衛生規則の第280条第1 項で、事業者は蒸気又はガスに対して、その種類に応じた防爆性能を有する 防爆構造電気機械器具でなければ使用してはならない。そのガスの発火度や あるいは爆発等級という種類に応じた性能を有する防爆機器を使用しなけれ ばならないとなっています。その辺の具体的な基準は、電気機械器具の防爆 構造規格で定められています。これに加えまして、今回事業者は蒸気又はガ スに対し、その種類及び爆発の危険のある濃度に達するおそれに応じた防爆 性能を有する防爆構造電気機械器具でなければ、使用してはならないと改正 しようというものです。  この爆発の危険のある濃度に達するおそれについては、IEC(国際電気標準 会議)規格でその箇所を危険度に応じまして、zone0〜2と区分しています。 これを今般、電気機械器具防爆構造規格でzone0〜2に対応する形で特別危険 箇所あるいは第1類危険箇所、第2類危険箇所と三つの区分に分類しまして、 それぞれの箇所に応じた防爆性能を有する防爆構造電気機械器具でなければ 使用してはならないとしようとするものです。  ちなみに、特別危険箇所というのは、例えばタンク中のような密閉された 空間の中で、危険なガスが入っている場所です。  第1類危険場所というのは、例えば危険なガスが流れている配管がありま して、そこの配管のフランジを点検等でルーチン作業で開ける箇所です。第2 類危険箇所は、通常開けることが想定されていないようなフランジの周りな どの箇所です。  なお、この3つで危険箇所を区分するという考え方については、労働省の 産業安全研究所が工場電気設備防爆指針をつくっていますが、昭和45年に、 その指針において、3つに区分してそれに応じた防爆性能を有する防爆電気機 械器具でなければ使ってはならないとしています。現在、日本ではそれに基 づいてメーカーは防爆電気機器を製造し、また設置者はそれを設置していて、 非常に定着している状況にあります。ですから、今回の改正はIECに対応し 危険箇所を3つに分ける規格の整合化を図るとともに、産業安全研究所の指 針によりまして、定着している内容を法令で規定することにもなります。  なお、危険箇所の区分を今回法令化しますが、右下に示してありますよう に、そのことにより第2類危険箇所について、これは危険性の少ない箇所で すので、タイプn防爆構造という、簡易型の防爆構造の電気機械器具が使え ることになります。現在は危険箇所の区分がありませんので、こういうタイ プn構造のものが使えませんが、今回の告示を改正することによりまして、 タイプnという簡易型の防爆構造もその箇所については使えるようになりま す。以上が第1の爆発の危険のある場所で使用する電気機械器具の防爆性能 に関してです。  別紙第二は、資料No.2−1免許証等様式の改正です。現在、例えばクレーン 運転士等労働安全衛生法令に基づく免許証については、ペーパー台紙に試験 合格者の写真などを貼りまして、ラミネート加工して発行していますが、持 っている方の利便性を高める観点から今後より損傷しにくくて、また耐久性 にも優れているプラスチックカードによる免許証の発行に切り替えることに しています。これに伴いまして、免許証あるいは免許申請書の様式、これは 労働安全規則の様式で定められていますが、それについて免許証の寸法ある いは申請書の写真の添付欄を2カ所から1カ所へ変更するような改正を行お うとするものです。第三の施行期日については、第一の部分である防爆に関 しましては、平成20年10月1日から施行するものとしています。免許証の 様式に関しては、平成20年12月1日から施行することにしています。なお、 免許証等の様式の改正に関して、施行します12月1日以降でも旧様式で申請 をしてもよいという経過措置を設けることとしています。以上です。 ○分科会長 ただいまの説明について何か皆さんから御質問、御意見があり ましたらお願いしたいと思います。 ○豊田委員 本件に関しては、国際整合性の観点から、こういうことをやる と理解しています。中身についても工場電気設備防爆指針に則って、納入さ れたものについてであれば、それはそれで問題はない。要はいままでの指針 に沿ってきちんとやっていれば問題はないと理解していますが、ただこの改 正の中身が納入メーカー自身はよく防爆指針を理解していますので、問題は ないと思いますが、受け手の設置者側の利用者から見ますと、改正内容が非 常に中身はわかりにくい。そういう意味でこれはお願い事ですが、相談でき る窓口を御用意いただけたらというのが一つです。それから、納入メーカー 側にひょっとしたら各設置者から問い合せがあるかもしれないと思います。 その場合に適切に対応していただくような指導を是非ともお願いしたいと思 います。以上です。 ○安全課長 豊田委員がおっしゃいましたように、施行に当たって、混乱が 起きないようにやっていきたいと思います。 ○分科会長 ごく単純な改正の感じがするのですが、例えば防爆電気機器は どういうものか、タイプnと既存のものはどこが違うかなどのことがありま すので、できましたら解説をどこかでやっていただきたい。やはり業界でや ってもらえばいいのですか。周知をすることが必要ではないかと思います。 ○豊田委員 その辺も事前にいろいろ御相談させていただきました。要はや はり電機メーカーがこの防爆指針に沿ってつくっていれば、問題はありませ ん。たぶん、レアケースであるとすれば、事業者が勝手に自分たちの判断で 付けた場合にそれがマッチングしているかどうかはあると思いますが、非常 にそれはレアケースとは聞いています。 ○安全課長 いずれにしても、きちんと施行をやっていきたいと思います。 ○分科会長 ご発言がありませんようでしたら、当分科会としてはこの省令 案要綱については、妥当と認める方向で報告を私から労働政策審議会会長あ て行うこととしたいと思います。いかがでしょうか。 (了承) ○分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただき ます。報告文については、私に一任させていただきたいと思います。よろし いですか。それでは、安全衛生部長から御挨拶があります。 ○安全衛生部長 ただいま労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱に ついて、妥当と認める旨の報告をいただき感謝します。これを踏まえ、速や かに省令の改正作業を行い、その円滑な施行に努めてまいりたいと考えてい ます。今後とも御協力をよろしくお願いします。 ○分科会長 最後の議題は報告ですが、新規化学物質の有害性の調査結果に 関する学識経験者の意見についてです。本件は労働安全衛生規則第34条17 に基づく報告にあります。事務局から御説明をしていただきたいと思います。 ○化学物質評価室長 資料No.3を御覧いただきます。今回の報告は平成19年 3月27日から平成19年9月27日までに官報に名称が公表された新規化学物 質941物質に係る有害性の調査結果です。資料2枚目有害性の調査の仕組み について、新規化学物質を製造し、また輸入しようとする事業者においては、 労働安全衛生法第57条3第1項に基づきまして、一定の有害性の調査を行っ て、その結果を厚生労働大臣に届け出るとされています。この有害性の調査 は、微生物を用いる変異原性試験またはがん原性試験とされています。その 結果について学識経験者から意見を聞いて、必要に応じて追加試験等の措置 を講じています。届け出のあった物質については、官報による名称の公表も 併せて行っています。必要な措置については、厚生労働大臣による勧告が制 度上ありますが、これとともに健康障害防止措置にかかる指針を局長通達と して示していまして、通達の指針に基づく措置について事業者に要請をして います。  今回、御報告しますのは、941物質について学識経験者に意見を聞いたとこ ろ、そのうち37物質について強い変異原性が認められたと判断されています。 この37物質の内訳については、資料2、3枚目に示しています。内容は公表 年月日、名称、用途及び措置の状況で、措置状況については全て指針の対象 となっています。この指針の内容は、設備の密閉化、作業工程の変更、局所 排気装置の設置、保護具の着用などのばく露防止対策、作業環境の測定、労 働者に対する教育、作業記録の保存などがその指針の内容となっています。  参考1としてこれまでの状況が示してあります。新規化学物質の届け出が 行われましたのは、これまで15,607物質ですが、そのうち変異原性が認めら れた物質は、今回の37物質を加えて660物質でして、指針に基づく措置をお 願いしているのが527物質になります。最後の頁に示してあるのは、学識経 験者委員の一覧です。以上です。 ○分科会長 この件について何か御質問等がありましたらお願いします。よ ろしいでしょうか。では、これで新規化学物質の有害性の調査結果に関する 学識経験者の意見を聞いて報告を承ったことにしたいと思います。本日の議 題は、これだけですが、ほかに何かありますでしょうか。ないようでしたら、 本日の会議は以上をもって閉会としたいと思います。議事録への署名は古市 委員と松井委員にお願いしたいと思います。皆さん本日は忙しい中どうもあ りがとうございました。   照会先:労働基準局安全衛生部計画課(内線5476)