08/02/04 第32回労働政策審議会障害者雇用分科会議事録 第32回 労働政策審議会 障害者雇用分科会議事録 1.日時  平成20年2月4日(月) 17:00〜19:00 2.場所 厚生労働省 共用第7会議室(5F) 3.出席者 ○ 委員 (公益代表)  今野委員、岩村委員、菊池委員、平木委員、松矢委員 (労働者代表) 豊島委員、長谷川委員 (使用者代表) 飯ヶ谷委員、大島委員、斉藤委員、新澤委員、輪島委員 (障害者代表) 鈴木委員、副島委員、松井委員 ○ 事務局  太田職業安定局長、岡崎高齢・障害者雇用対策部長、長門企画課長、 田中企画課長補佐、吉永障害者雇用対策課長、濱島障害者雇用対策課調査官、  白兼障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官、手倉森障害者対策課長補佐 4.議題  (1)障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱について(諮問) (2)その他 5.資料   1.障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱(諮問文)  2.平成20年度障害者雇用施策関係予算案のポイント  3.障害者基本計画・重点施策実施5か年計画  4.成長力底上げ戦略・「福祉から雇用へ」推進5か年計画  5.生活安心プロジェクト緊急に講ずる具体的な施策  参考資料     労働政策審議会意見書「今後の障害者雇用施策の充実強化について」 6.議事録経過 ○今野会長   時間になりましたので、ただいまより「第32回労働政策審議会障害者雇用分科会」を 開催いたします。  今日の出席状況ですが、佐藤委員、泉田委員、高橋委員、野村委員、舘委員がご欠席 です。鈴木委員、松矢委員、平木委員は追っていらっしゃると思います。  早速議事に入らせていただきます。本日の議題は、「障害者の雇用の促進等に関する 法律の一部を改正する法律案要綱」についてです。お手元の資料1を見てください。そ こに法律案要綱があります。昨年12月19日付けで労働政策審議会長から厚生労働大臣あ てに提出された意見書に沿って作成されたものです。本日付けで厚生労働大臣から諮問 を受けています。これについてご審議をいただきたいと考えています。  まず、事務局から説明をお願いします。 ○調査官   事務局です。1枚資料をめくっていただいて、別紙をご覧ください。障害者の雇用の 促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱をお示ししています。読み上げさせて いただきます。  第1、第1条による改正関係。  1、地域障害者職業センターの業務の追加。地域障害者職業センターは、障害者就業・ 生活支援センターその他の関係機関に対する職業リハビリテーションに関する技術的事 項についての助言その他の援助を行うものとすること。  2、関係子会社に雇用される労働者に関する特例。この辺は、特例子会社のない場合 のグループ適用に関する記述です。事業主及び当該事業主と厚生労働省令で定める特殊 な関係のある株式会社(以下「関係子会社」という。)が申請を行い、当該事業主が雇 用する身体障害者又は知的障害者である労働者及び当該関係子会社に雇用される身体障 害者又は知的障害者である労働者の雇用の促進等を確実に達成することができると認め られること等の基準に適合するものとして厚生労働大臣の認定を受けた場合は、雇用義 務等に関する規定の適用については、当該関係子会社が雇用する労働者は当該事業主の みが雇用する労働者と、当該関係子会社の事業所は当該事業主の事業所とみなすこと。  3、事業協同組合等における特定事業主に雇用される労働者に関する特例。ここから は事業協同組合等を活用した障害者雇用に対する障害者雇用率制度の適用に関する記述 になります。事業協同組合等及びその組合員たる事業主(その雇用する労働者の数が常 時厚生労働省令で定める数以上である事業主に限る。以下「特定事業主」という。)が 申請を行い、当該事業協同組合等及び当該特定事業主について、計画に基づき、身体障 害者又は知的障害者である労働者の雇用の促進等を確実に達成できると認められること 等の基準に適合するものとして厚生労働大臣の認定を受けた場合は、雇用義務等に関す る規定の適用については、当該特定事業主が雇用する労働者は当該事業協同組合等のみ が雇用する労働者と、当該特定事業主の事業所は当該事業協同組合等の事業所とみなす こと。  4、障害者雇用調整金の支給。独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構は、厚生労働 省令で定めるところにより、2の事業主若しくは関係子会社又は3の事業協同組合等若し くは特定の事業主等に対しても、障害者雇用調整金を支給することができるものとする こと。  第2、第2条による改正関係。  1、短時間労働者等の雇用義務対象への追加。(1)、雇用義務等に関する規定におけ る労働者数及び障害者雇用率の算定に当たっては、短時間労働者は、その1人をもって、 厚生労働省令で定める数の労働者に相当するものとみなすこと。(2)、雇用義務等に 関する規定における身体障害者及び知的障害者である労働者数及び障害者雇用率の算定 に当たっては、身体障害者又は知的障害者である短時間労働者は、その1人をもって、 厚生労働省令で定める数の身体障害者又は知的障害者である労働者に相当するものとみ なすこと。(3)、雇用義務等に関する規定における身体障害者及び知的障害者である 労働者の算定に当たっては、重度身体障害者又は重度知的障害者である短時間労働者は、 その1人をもって、政令で定める数に満たない範囲内において厚生労働省令で定める数 の身体障害者又は知的障害者である労働者に相当するものとみなすこと。(4)、国及 び地方公共団体の雇用義務等に関する規定における職員数の算定についても、(1)か ら(3)までと同様とすること。  2、障害者雇用納付金の納付義務等の対象範囲の拡大。(1)、当分の間、障害者雇用 納付金の徴収、障害者雇用調整金の支給等に関する規定を適用しないものとする暫定措 置の対象範囲は、その雇用する労働者の数が常時200人以下である事業主とすること。 ここでは、施行日の関係で、まず、201人以上の企業から期日を出させていただいてい ます。後ほど101人以上の企業に関する期日が出てきます。(2)、その雇用する労働者 の数が常時201人以上300人以下である事業主に係る障害者雇用納付金の調整基礎額及び 障害者雇用調整金の単位調整額は、(1)の施行日から5年間は、政令で定める金額以下 の額で厚生労働省で定める額とするものとすること。  第3、第3条による改正関係。  1、障害者雇用支援センターの廃止。障害者雇用支援センターを廃止するものとする こと。  2、障害者雇用納付金の納付義務等の対象範囲の拡大。(1)、当分の間、障害者雇用 納付金の徴収、障害者雇用調整金の支給等に関する規定を適用しないものとする暫定措 置の対象範囲は、その雇用する労働者の数が常時100人以下である事業主とすること。 (2)、その雇用する労働者の数が常時101人以上200人以下である事業主に係る障害者 雇用納付金の調整基礎額及び障害者雇用調整金の単位調整額は、(1)の施行日から5年 間は、政令で定める金額以下の額で厚生労働省令で定める額とするものとすること。  第4、施行期日等。  1、施行期日。この法律は、平成21年4月1日から施行するものとすること。ただし、 第2については平成22年7月1日、第3の1については平成24年4月1日及び第3の2について は平成27年4月1日から施行するものとすること。  2、検討。政府は施行後5年後を目途として、その施行の状況等を勘案しつつ検討を加 え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。  3、その他所要の規定の整備を行うこと。以上です。 ○今野会長   ただいまの説明についてご質問、ご意見等がありましたらお願いいたします。 ○大島委員   ちょっと多いのですが、質問が1点、意見が4点ほどありますので、よろしくお願いし ます。  商工会議所として、また中小企業として、私どもは、これまで障害者雇用の促進にで きるだけ協力してきました。今後も引き続きその協力体制でいきたいと思っています。 そのうえで、法案要綱及びそれに関する事項について申し上げたいと思います。  第1点目は、質問なのですが、納付金の適用対象範囲ですが、年末にまとまった障害 者雇用分科会意見書には、一定の範囲の中小企業の企業規模が101人以上に対し障害者 雇用納付金制度を適用とされています。今回、この法律案要綱の4頁の第3の2の(1)で、 納付金及び調整金を適用しない範囲を100人以下の事業主としていますが、厚労省とし て、この100人以下の企業の障害者雇用促進について、まず、どのようにお考えかが1点 です。  2点目は、意見なのですが、納付金の対象者を101人以上の企業に拡大する時期のこと ですが、意見書では、中小企業の中で企業規模別の障害者の雇用状況や経済的負担能力 等を考慮して、一定の範囲の中小企業のうち当初は比較的規模の大きい中小企業、企業 規模が201人以上から障害者雇用納付金制度の適用対象とすることが適当であるとされ ています。言うまでもなく、法改正の目的は、障害者雇用の拡大でありますので、納付 金の徴収ではないわけです。したがって、本来は、納付金の対象201人以上の企業に拡 大し、その状況を見極めたうえで改めて101人以上の企業に拡大する時期を検討すべき ではないかと思われます。  法案要綱の5頁の施行期日ですが、平成27年度から納付金の対象を101人以上の企業に 拡大するとしていますが、果たして、この規模の企業は対応できるかどうか商工会議所 の会員企業の間では非常に懸念が多い件で、当初の案よりも開始時期を遅らせていただ いたのは非常に評価していますが、平成27年度であれば対応できるという根拠はないた め、対応できるかどうか自信はないのですが、この点は、分科会長が大丈夫とおっしゃ れば、それでやむを得ないなと考えています。  3点目、これも意見ですが、大企業と中小企業の納付金の差をつける期間ですが、意 見書では、中小企業を取り巻く厳しい経営環境や中小企業の負担能力などに配慮するこ とが適当であることから、中小企業において円滑に障害者雇用が進むための十分な期間、 納付金の額を減額とされています。大企業と中小企業の納付金の額に差をつける期間に ついて、当初の3年間から5年間に拡大していただいた点は評価をしています。しかしな がら、大企業と中小企業の負担能力の差を考えると、本来は、恒久的に差をつけていく べきであると考えています。また、中小企業を取りまく厳しい経営環境を考えると、減 額の期間が5年間でも十分かどうか判断をしかねております。現時点で、金額に差をつ ける期間を限定すべきではないと考えています。  4点目、大企業と中小企業の納付金制度の差については、納付金の水準がどのように 示されるのか、これは質問ですが、厚労省にお聞きしたいと思っています。  5点目が中小企業の調整金額ですが、調整金額は一定の水準を上回って障害者を雇用 する企業にとってのインセンティブで、要件を満たしていれば、企業規模によって金額 に差をつけるべきではないと考えています。金額に差をつける合理的な理由が見当らな い点もありますが、意見書では、納付金の額を減額する際、調整金の額を減額するとさ れていますが、昨年の審議会でも申し上げましたとおり、中小企業についても調整金の 額は同額とすべきかなと考えています。  以上、質問が2点で、意見が3点です。よろしくお願いします。 ○今野会長   ご意見はお伺いしておきます。ご質問が2つありますが、100人以下の納付金対象につ いてどう思うかということと、納付金の水準ですね。事務局、お願いします。 ○高齢・障害者雇用対策部長   意見書をまとめる際に、種々の議論があったかと思います。やはり中小企業におきま しても、障害者雇用には積極的に取り組んでいただくことにしています。いま、その中 で納付金、調整金というシステムをどこまで対応していくかというご議論がありました。 意見書をおまとめいただいた中で、101人以上を想定して納付金と調整金の対象にして いくことにしていただいたわけです。  ただ、100人以下の障害者雇用はしないということでは当然ないわけで、雇用義務そ のものはかかっているわけです。私どもとしては、意見書にもありますように、障害者 雇用を進めるための各種の支援施策を充実する中で、100人以下の所については障害者 雇用を進めていくことにしたい。101人以上の所も段階的に調整金の対象にする中で、 経済的調整も含めながら対応していきます。  ただ、そこの部分についても、納付金、調整金だけということではなくて、当然のこ とながら、支援施策、中小企業でもこういう形でやっていただくわけですから、支援施 策もより充実する中で、中小企業で障害者雇用が進むようにという観点から進めていき たいと。大島委員がおっしゃるように、納付金を納めていただくのが目的ではなくて、 障害者雇用を進める中で、そういうシステムを適用していくということですから、そう いう趣旨に沿った形で進めていきたいと考えています。  納付金の額をどのぐらいにするかということは、最終的には法律が成立したあとの省 令で書いていくことになる事項ですが、意見書そのものには書いてありませんが、私ど もとしては、301人以上の所はいま5万円ですが、その8割程度を想定しているというこ とです。ただ、ここについては、また省令の段階でご議論いただいて決めていくことに したいと考えています。 ○松井委員   私どもの思いを、十分とは言えないまでも取り入れた形でおまとめいただいているこ とに、まずは感謝申し上げたいと思います。実施の時期が多少ずれていることも、より 多くの皆さんに、それこそ、より理解をいただいて、円満にこういう形に移行していけ るのであれば、私たちはそのことは心よく了解させていただけるのかなと思っています。  ただ、いま部長さんのお話にもありましたが、どうしても、とにかく商工会議所さん にはひたすらお願いしたいわけですが、お話を聞いていると雇用よりも納付金を納める ことが大変だというふうに、ちょっと私には聞こえて仕方がないのですが、要は、いつ も申し上げてきましたが、何もかもはできないけれども、この事をやらせてもらえば、 こつこつと辛抱強く元気な人以上に頑張る部分も兼ね備えている者もいますので、とも かくご縁があって使っていただければ、納付金は全く関係ないわけですので、雇用の拡 大、中小企業も一役も二役も買おうということで、商工会議所さんにはひたすらお願い しておきたいと思います。 ○副島委員   同じですが、知的障害者も、どうしても障害がありながら仕事をしたい数と就職につ ながる人の数はぐっと差があって、まだまだ仕事につながってないのです。特に、やは り中小企業さんにすごくお世話になっているということで、中小企業さんには、いちば ん我々がお願いしなければいけないし、できることなら協力しなければいけないと思い ます。56名以上を対象とした最初のスタートから考えて、ある程度は今回、段階的に移 行が進むのであれば、是非、いまの雇用のところを中心とした取組みの中で進めていた だきたい。そのためには、やっぱり我々もいろいろな協力の仕方があると思いますから、 そこは是非、協力させてもらおうと思いますが、何とかここは乗り切っていただきたい というのがお願いの一途です。 ○今野会長   先ほど事務局から回答がありましたので、それに対して何かありますか。 ○大島委員   これまでの中で、結局、中小企業の納付金の金額はまだ決めてはいらっしゃらないの ですか。 ○高齢・障害者雇用対策部長   意見書をまとめる段階で、一旦は、案として出させていただいたのは想定している額 ではあります。ただ、意見書そのものの中では、種々の議論の中で、まだ額は出さない 形で意見書になっておりますので、そういった意味では、固まってないということだろ うと思いますが、ある程度皆さんが想定していたのかという額として私どもは受け止め ています。確定的に決めるのは、いずれにしろ厚労省令ですので、法律成立後にまたご 審議いただくことになると考えています。 ○今野会長   ほかにありますか。よろしいですか。何人かの委員からご意見をいただいて、事務局 からも答弁をいただきました。これらについては、本日の議論を踏まえながら今後進め ていただくこととして、本日諮問された「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を 改正する法律案要綱」については、当分科会としては妥当と認めるということにし、そ の旨の報告を私から労働政策審議会会長あてに行いたいと思いますので、よろしいでし ょうか。 (異議なし) ○今野会長   それでは、事務局から報告文(案)を配付していただけますか。 (報告文(案)配付) ○今野会長   これは読み上げてもらいましょうか。 ○調査官   読み上げさせていただきます。  平成20年2月4日、労働政策審議会会長菅野和夫殿。労働政策審議会障害者雇用分科会 会長今野浩一郎。  障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱について。  平成20年2月4日付け厚生労働省発職高第0204002号をもって労働政策審議会に諮問の あった標記については、本分科会は下記のとおり報告する。  記。標記については厚生労働省案は妥当と認める。以上です。 ○今野会長   これでよろしいですか。 (異議なし) ○今野会長   それでは、そのように報告させていただきます。今後は、この内容を労働政策審議会 会長あてに報告し、労働政策審議会会長から厚生労働大臣に答申することになります。 事務局におかれましては、この答申を受けて法律案の作成を進めていただきたいと思い ますので、よろしくお願いします。  続いて、「平成20年度障害者雇用施策関係予算案のポイント」等について、事務局か らご報告をいただきます。資料は、お手元にある資料2から資料5です。 ○調査官   事務局でございます。資料2の「障害者に対する就労支援の推進」として、平成20年 度の予算案のポイントについてご説明させていただきます。平成20年度の予算の予定額 は167億8,000万円となっており、19年度比20.9%の伸びとなっています。内訳について ですが、主だったものは1頁の2、障害者就業・生活支援センター事業の拡充です。こち らについては、設置か所数を135センターから205センターまで70か所増加させるととも に、実施体制の充実が認められました。  また、2頁の5、障害者トライアル雇用事業の拡充についても、要求分について全額認 められました。対象者数は8,000人から9,500人の予定となっております。  3頁の1、障害者雇用の底上げのための意識改革・支援ネットワーク形成推進事業です。 こちらについても、新規ですが要求どおりの内容となっております。また、同じ3頁の 障害の特性に応じた支援策の充実・強化の中に、1番目、精神障害者の特性に応じた支 援策の充実・強化(「精神障害者ステップアップ雇用奨励金(仮称)」の創設等)です が、こちらについても、ほぼ要求どおりの予定額で認めていただいています。  そのほか、要求時に説明させていただいた諸々の予算について結果を掲げさせていた だいていますので、資料をご活用いただければと思います。  続いて資料3の「『重点施策実施5か年計画』の構成」をご覧ください。これは、障害 者雇用基本法に基づいて、平成15年から10年間の計画で基本計画が作られています。前 半の5年と後半の5年で重点施策実施5か年計画というものを基本計画に基づいて作って いくわけですが、平成15年から平成19年にかけての前期計画が終了を迎え、今後、平成 20年から平成24年までの後期計画について検討・策定をしました。  重点的に実施する施策及びその達成目標の主なポイントの5番目に雇用・就業と出て います。25頁をご覧ください。ここに雇用・就業にかかる施策が出ていますが、まず、 この期間の雇用の障害者数を、私どもは平成25年度までに64万人を数値目標・達成に取 り組んでいきます。また、各府省・各地方公共団体における「チャレンジ雇用」として は、チャレンジ雇用を全府省で実施することを平成20年度までの目標として実施してい きます。  次の頁にかかりますが、公的機関における障害者雇用の一層の促進として、まだ未達 成の公的機関がある中、公的機関の障害者雇用率を平成24年度までに達成していくとい う目標を掲げております。  そのほか、主なものは27頁です。総合的支援施策の推進の中で、ハローワークを中心 とした「チーム支援」の充実・強化等ということで、ハローワークを通じた障害者の就 職件数を平成20年から平成24年度の累計として、24万件という目標を持って臨んでいき ます。  また、28頁で職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援の推進として、数値目標と して、現在1,500人いるジョブコーチを、平成23年度までに5,000人に増やすという目標 を持って支援の推進に臨んでいきます。  そのほか、29頁は福祉施設から一般就労への移行の促進として、一般就労への年間移 行者数を、平成17年度の2,000人から平成23年度は9,000人という目標を持って当たって いきたいと考えております。以上、重点施策実施5か年計画の構成でした。  次の資料4は「『福祉から雇用へ』推進5か年計画(概要)」です。こちらの計画の目 的は、障害者のほか、生活保護世帯、母子家庭世帯等の公的扶助を受ける方々について、 就労による自立・生活の向上を図ることが主な目標となっています。そして、本計画の 目標期間は平成19年度を初年度として、平成23年度までの5年間としております。  障害者の就労の関係部分については、先ほどの内閣で作っている5か年計画と重複す るところがあります。雇用障害者数64万人、ハローワークでの職業紹介が24万人、それ から、9,000人の方々を福祉から一般雇用へ移行させる。こういった目標を持って進め ていくと決定をさせていただきました。  最後の資料5は「『生活安心プロジェクト』について」です。このプロジェクトの経 緯のところを読んでいただきたいと思いますが、10月1日の内閣総理大臣の所信表明演 説の中に、「国民の安全・安心を重視する政治への転換」が掲げられ、その後、関係省 庁等に指示が出ています。その中で、緊急に講ずる具体的な施策のとりまとめとして、 年内に、昨年内ということですが、目途にとりまとめるということで、重点分野として 「食べる」「働く」「作る」「守る」「暮らす」の5分野が掲げられました。  このうち、私どもに関連する分野は「働く」ですが、次の頁に5分野の内容が出てお ります。具体的には「働く」の3番目に、就職する希望を持つ全ての人の支援として、 最後のマルになりますが、短時間労働について新たに障害者の雇用義務の対象とする制 度の見直しということで、次期通常国会、障害者雇用促進法の改正ということが謳われ ています。年末にかけてこのような予算の内示、そのほか、政府部内、並びに厚生労働 省内でいろいろな施策が今後展開していくとご報告させていただきたいと思っておりま す。私の説明は以上です。 ○今野会長   ありがとうございました。それでは、ただいまの説明についてご質問、ご意見があり ましたらお願いいたします。何かございませんか。 ○輪島委員   資料3、4は同じ数字を持ってきているようなので、資料3だと思うのですが、平成25 年度に障害者雇用数64万人ということをまずお伺いしたいと思います。今日配られてい る12月19日の報告書の後ろの「参考資料」、障害者雇用の状況[1]の右下に、参考で5人 以上の企業規模では49万6,000人が雇用されていると書いてありますけれども、平成25 年度に障害者雇用数64万人ということは、あと14万人と見るのかどうなのかを教えてい ただきたいと思います。  2つ目に、平成20年度から平成24年度の間にハローワークで24万人の就職と書いてあ りますが、20年、21年、22年、23年、4年間だと1年間に4万人と、単純にそういう計算 なのかどうかをお伺いしたいと思います。  それから、いまご説明にありましたが、福祉から一般雇用へ9,000人と書いてありま すけれども、単年度で平均2,000人、20万人いるところで2,000人が福祉施設から一般雇 用へというルートになっているわけですが、2,000人から年間9,000人というのは、プラ ス7,000人ですから、単年度で7,000人と積み上げではない数字のように見えますけれど も、数字としては非常に重たい数字だと思いますけれども、それについて何をどういう ルートで、施策を何をもってこういう数字にしようと考えていらっしゃるのか、まずそ の3つを伺いたいと思います。 ○今野会長   それでは、3つ質問がございましたけれども、お願いをします。 ○調査官   事務局でございます。障害者雇用状況の中で、参考資料の中に49.6万人という障害者 雇用実態調査による推計が出ていますが、基本的にこの数字をベースに計画を考えてお り、これから、あと14万人この数字に積み上げていくことになろうかと思います。これ は平成15年の調査ですので、ここからまた数字自体が進んでいると見ております。具体 的な調査、今度は平成20年度にやる数値が出るわけですが、あと14万人ということは多 分なくて、現時点からすると少ない数字になると思います。  障害者の職業紹介の数ですが、年間で数えると、平均的に4万人になるということで すが、基本的にそういう積み上げをしております。だいたい平均4万人ぐらいで今後推 移していくと。 ○高齢・障害者雇用対策部長   4万8,000人。 ○調査官   4万8,000人です。 ○今野会長   そうすると、いまのハローワークから、4万3,000人から4万5,000人ぐらいですから、 そんな無理な数字ではない、そういう意味ですか。 ○調査官   いまが4万4,000人ですので、4万8,000人ですから、だいたい4,000人増ぐらいです。 ○輪島委員   2,000人から9,000人にするためには、施策として何をいちばんメインに考えているの ですか。 ○調査官   福祉から雇用については、大変重要な施策のポイントになると考えておりますので、 いろいろな施策を打っていこうと考えています。ハローワークにおけるチーム支援、ト ライアル雇用の施策、諸々の施策を通じてこういったものを実現していきたいと思って おります。 ○輪島委員   現在、障害をお持ちの方の採用の市場ということになると、特に首都圏を中心に、求 人は出していますけれども、なかなかマッチングが難しい状況、採用が難しい状況にな っています。その点で言うと、いまあまり労働市場に、全体として、それほど潤沢に働 き手が、即戦力ということではないのかもしれませんが、なかなか難しい状況です。そ の中でハローワークの機能強化をして、マッチング機能を高めていただかないと、いま のはそんなに難しくない数字なのかもしれませんが、企業側としてはいま全体に求人は 難しいので、本当に大丈夫なのかなと思っています。  2点目は、今度の法律改正の議論で、22回か23回の審議会で、データを事務局からご 提出いただいたのですが、平成18年6月1日の実雇用率1.52と、いまの法定雇用率1.8の 差が7万9,000人あるという数字を事務局から出していただきましたが、それをどういう プロセスで、この計画の中にどうやって達成していくかの考え方が含まれているのかど うか。どうも含まれていないのではないか。法定雇用率をどういうプロセスでどうやっ て達成していくかは計画の中に入らないことなのかどうか。非常に危惧をしています。 いろいろ法律、制度を改正しているけれども、本気で、どういうプロセスで、何をやっ て法定雇用率を達成していこうかの目標管理みたいなものが、どうも希薄なのではない かと思われて仕方がないので、その点で、資料3も資料4も資料5もそういうふうに年末 に決まりましたからと、審議会に対してのご報告のようでありますけれども、どうも、 そこは残念だなと思っているということだけ申し上げておきます。以上です。 ○今野会長   いまの点について何かございますか。 ○高齢・障害者雇用対策部長   障害者の方で仕事を求めている方は、実はいっぱいおられるという話です。一方で、 企業のほうはなかなか採用できないという話も聞いています。実はいろいろな問題があ ると思います。やはり、私ども思っていますのは、企業の側でこういう障害者とイメー ジして求人を出している部分と、ハローワークならハローワークでいま現に休職中の方 と、そこがいろいろな意味でマッチングしていないと。1つは私どもが努力して、うま くつなげていくということがあるわけですが、それだけではなかなかうまくいかなくて、 企業の側にはもう少し、仕事を求めている障害を持った方々はどういう人がいるのかを 見ていただきながらやっていかないと、うちはこういう障害者ならばとあまりターゲッ トを狭くされるとなかなか難しくなる。これは現実にあります。  一方、障害を持っている方々も自分はこういうことしかできないということではなく て、いろいろな、私どもも訓練的なものはサポートしていきますが、そういった中で、 できる範囲をより広げていただいて就職する。その努力はもちろん私どももやりますし、 事業者団体、障害者団体の皆さん方の協力をいただきながらやっていく必要があると思 います。  それから、全体の数字をどうやって目標管理していくかということですが、これは正 直いって機械的にどんどんものごとが進むわけではなくて、企業もさまざまあるわけで、 障害を持っている方も一人ひとりでありますから、機械的に当てはめてものごとが進む ということでは決してない。それをどうやって着実に進めていくかということになると、 機械的にはいきませんが、やはり、そこは全体の数字としては上がってきておりますか ら、それを計画的に、計画的にというのは、この人をここにという計画ではなくて、全 体の努力目標を定めながら、ハローワークを含めていろいろな支援機関を増やしていく 予定にしていますから、そういう中で進めていくことになると考えております。  先ほど50万人を64万人と、どのぐらいの数字かということですが、前期計画では60万 人という数字を出しています。したがって、調査が5年ごとですので、前期計画がうま くいっていれば平成20年度の調査結果で60万に近い数字になっていることを我々は期待 しているわけですが、それを更に4万人伸ばしていくということを考えています。数字 的に見ますと、56人以上の法定雇用のところでいくと、これダブルカウントもあります けれども、15年度の25万人から、19年度は30万人ぐらい。この時点で5万人ポイント数 は増えているわけです。あとは56人未満のところが、同じように伸びてきているかどう かがポイントになるわけですが、そこは比較的小さいところから大きいところにシフト したのか、それとも、全体が増えてきているのかは調査結果を見てみなければわかりま せんけれども、こういう形で進めていけばあながち無理な数字ではない。  一方で先ほど2,000人、9,000人の話がありましたけれども、これも自立支援法の体系 の中で移行支援機関も増えてきておりますし、私どももいろいろなものを作りながらこ の流れを進めていきます。現に労働市場、いまは出てきていないけれども、実は内心で は仕事をしたい障害者の方が相当いるのではないかと思っております。そういったとこ ろもうまく結び付けながら全体として進めていきたいと思います。 ○今野会長   ほかにございますでしょうか。 ○松矢委員   福祉のほうも2,000人から7,000人増という数値目標が出ているのですけれども、全体 計画はこれから5年の、いま出たような数値なのですが、企業にとってはほしい人を求 めやすい環境を求めていると思うのですね。例えば東京の場合には30近い養護学校、公 私立含めて6ブロックに分けて、要するに、個々バラバラに企業にお願いするのをやめ て、窓口校を決めて、企業が求めている生徒を送っていく。要するに、全体で就職率を 上げていく努力に変えてから、20%を割るような状況だったのだけれども、30%を回復 して、その後養護学校の生徒数が増えてもそれが維持できているということがあります。 ですから、これから福祉のほうも移行支援事業が始まっていき、バラバラに企業にお願 いしても、企業はさっぱり求めている人材が見当らないということになってくると思い ますので、やはり、それぞれの地域で、移行支援事業もしっかりとネットワークを組ん でいき、企業が人を求めやすい環境をつくっていく。ネットワークできちんと運んでい き、働きたい人が本当に働きたい仕事に就ける。それから、障害のある人たちも自分の 生き方、自分に合った仕事、できる仕事を見極めていく。そういうキャリア学習という か、キャリアエヂュケイションと言いますかね、能力開発も、働く人たちが的確に自分 の仕事を選べるような、そういうことをちゃんと能力開発のプログラムに組んでいかな ければいけないのではないかと。そういうかなり地道な努力をする中で数値が上がって いくと思います。だから、指導を強化していくのは、育成側、あるいは能力開発側の地 道な努力がないと数字に結びついていかない気がしておりますので、それぞれの地域ご とのネットワークをしっかりして、企業は本当にほしい人が見つかる。そういう環境を 我々の育成側も、あるいは能力開発、福祉のほうも、移行支援事業も努力していかない と達成できないと考えております。 ○今野会長   ほかにご意見はございますでしょうか。よろしゅうございますか。ないようでしたら 今日の議題は終わりなのですが、終わる前に太田職業安定局長よりご挨拶をいただきた いと思います。 ○太田職業安定局長   一言御礼のご挨拶を申し上げます。皆様方におかれましては、昨年8月から大変精力 的なご審議をいただきまして、本当にありがとうございました。共生社会の理念が浸透 する中で、障害を持つ方々の社会への参加、あるいは雇用への意識が大変高まってきて いるわけであり、障害者の雇用に対する支援が、ますますその重要性を増してきている と考えているところでございます。私どもも障害者の雇用にかかる取組みの充実を図っ ているところでございますし、また、今後におきましても、いまご議論いただきました ように、目標を掲げて計画的に施策の強化に努めてまいりたいと考えておりますので、 なお一層のご理解とご協力のほどをよろしくお願い申し上げます。  こういった中で、前回の法改正以来、多様な雇用形態に対応する障害者雇用制度のあ り方、あるいは、中小企業における障害者の雇用の促進等について、研究会等において 検討を積み重ね、更にこれを踏まえて、昨年からこの分科会でのご審議をお願いしてき たわけであり、今日法案要項という形でご承認をいただいたわけでございます。今後、 本日いただいた答申を踏まえて、今通常国会に障害者雇用促進法の一部改正法案を提出 すべく準備を進めていきたいと考えております。更に先の話になりますけれども、法案 が成立した際には、その円滑な施行に向けて準備も進めていきたいと考えております。 その際には、また再度当分科会においてもご審議をいただくことになりますので、今後 とも障害者雇用施策について、より一層のご指導を賜りますようよろしくお願い申し上 げます。どうもありがとうございました。○今野会長 それでは、本日の分科会はこれ で終了いたします。各委員の皆さんには昨年8月から非常に精力的に議論をしていただ きました。12月に意見書をとりまとめて、それについて本日答申を行う運びになりまし た。感謝申し上げたいと思います。終わりますが、次回の分科会についての説明が事務 局からありますので、お願いいたします。 ○調査官   次回の分科会は、3月19日水曜日の10時から12時まで、経産省別館1014号室で行いた いと考えております。議題は「障害者雇用対策基本方針」ほかでございます。この障害 者雇用対策基本方針は雇用促進法の第7条に書かれているものであり、現在、平成15年 から平成19年5年間で定めているものですが、今年度末で期限切れになるものです。改 正案の施行が早くて平成21年4月ですので、これを踏まえて作成するのが適切だという こともあり、1年延長を提案する方向で検討中ですが、改めて委員の皆様にご議論をい ただければと思っております。配付させていただいた出席確認の用紙に記入して残して いただくか、今週水曜日の6日までにファックスで当課にご返信を願えればと思ってお ります。以上でございます。 ○今野会長   最後に議事録の署名委員は労働者代表を長谷川委員に、使用者側代表を斉藤委員に、 障害者代表を副島委員にそれぞれ署名をお願いいたします。それでは、本日はこれで終 わります。ありがとうございました。 〈照会先〉 厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 調整係 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2 TEL 03(5253)1111 (内線5783) FAX 03(3502)5394