08/02/01 第30回児童部会議事録 第30回 社会保障審議会児童部会 議事録 日時:2008年2月1日(金) 14:30〜16:15 場所:厚生労働省 省議室 出席者:  委員   大日向部会長、網野委員、遠藤委員、柏女委員、津崎委員   山縣委員、吉田委員、渡辺委員  事務局   大谷雇用均等・児童家庭局長、村木審議官、高倉総務課長、義本保育課長   藤井家庭福祉課長、田中育成環境課長、朝川少子化対策企画室長   小林虐待防止対策室長、定塚職業家庭両立課長、千村母子保健課長   井上児童手当管理室長、上村児童福祉調査官 議事次第:  1. 開会  2. 児童福祉法等の一部改正について  3. 閉会 配布資料:  資料1 児童福祉法等の一部を改正する法律案の主な内容  資料2 児童福祉法等の一部を改正する法律案【社会的養護関連部分】の主な内容 参考資料:  第29回社会保障審議会児童部会提出資料   ・社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会報告書(概要)   ・社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会報告   ・「子どもと家族を応援する日本」重点戦略のポイント   ・「子どもと家族を応援する日本」重点戦略 議事: ○大日向部会長  まだ何人かの方がご到着ではないようですが、定刻となりましたので、ただ今から第30回社会保障審議会児童部会を開催させていただきます。本日はご多忙のところ、ご参集くださいまして、ありがとうございました。  議事に入ります前に、事務局より資料確認と委員の出席状況に関してご報告をお願いします。 ○高倉総務課長  それでは、お手元に配布させていただいています資料の確認をさせていただきます。最初に「議事次第」がありまして、それから資料1として「児童福祉法等の一部を改正する法律(案)の主な内容」で、全体像の資料です。資料2として、その中で特に社会的養護に関連する部分、本日の中心的なご検討の部分ですけれども、その部分を抜き出して少し詳しく作成しました「児童福祉法等の一部を改正する法律(案)【社会的養護関連部分】の主な内容」です。後は参考資料ということで、一括して綴じさせていただいていますが、前回12月26日の第29回社会保障審議会児童部会で提出させていただいた資料ですが、特に本日の議題と関係する部分のみにさせていただいてそれを配布させていただいています。もし漏れがあれば事務局の者にお声を掛けていただければと思います。  また委員の出欠状況ですけれども、本日ご欠席のご連絡をいただいておりますのは、阿藤委員、服部委員、前田委員、松原委員、無藤委員の5名です。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。  それでは議事に移りたいと思います。本日はお手元の議事次第にありますように、児童福祉法等の見直しに係るご議論をお願いしたいと考えています。法改正案につきましては次世代育成支援対策推進法などもありますが、それらの点については、この後に開催されます少子化対策特別部会において議論がなされる予定と伺っています。当部会におきましては、児童福祉法の、特に児童の社会的養護の部分を中心にご議論をお願いしたいと思います。  それでは、まず事務局から制度改正案の全体像と、特にその中の児童の社会的養護の部分について説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○高倉総務課長  それでは、まず制度改正の全体像ということで資料1について、雇用均等・児童家庭局総務課長の私がご説明させていただきます。  資料1の右上に「社会的養護関連分野以外に関しては、別途、少子化対策特別部会において検討」とありますけれども、位置付け等を明確にする上で、その全体像もお聞き取りいただきたいということでご説明させていただきます。  まず「趣旨」ですけれども、これは昨年12月26日の児童部会でご報告させていただきました「子どもと家族を応援する日本」重点戦略等を踏まえということです。そして「子育て支援に関する事業の制度上の位置付けの明確化、また、虐待を受けた子ども等に対する家庭的環境における養護の充実、さらに、一般事業主行動計画の策定の促進など、地域や職場における次世代育成支援対策を推進するための所要の改正ということです。  1番目に「児童福祉法の一部改正(1)」として、いろいろな事業を法律上、きちんと位置付けることにより、質を確保して事業の普及・促進をしていこうという部分を書かせていただいています。大きく二つに分けてあります。  一つ目が子育て支援事業として、ここの一つ目の○の(1)、(2)、(3)、(4)とあります四つの事業については、従来から予算事業として実績があるものですけれども、これらについて法律上正面から位置付け、「省令で必要な基準等を設け、都道府県知事への届出・指導監督等にかからしめる」としようというものです。この(1)、(2)、(3)、(4)の具体的な内容の規定ぶりのイメージについては、少し飛びまして恐縮ですが、4ページをご覧いただきたいと存じます。  「子育て支援事業の定義規定のイメージ」ということで書き下させていただいていますけれども、1番目の「乳児家庭全戸訪問事業」と申しますのは、予算事業として通称では「こんにちは赤ちゃん事業」という呼び名で平成19年度から交付金の対象として市町村に取り組んできていただいていますが、今回法律でここに書いてありますような「原則として市町村内の乳児のいるすべての家庭を訪問する」ため、詳細はこの省令で定めるわけですが、そのことにより四つのことを行うということで、一つは「子育てに関する情報の提供」、二つ目には「乳児及びその保護者の心身の状況及び養育環境の把握」、三つ目には「養育についての相談及び助言を行う」、また四つ目として「必要に応じて、これらの者に対して養育支援訪問事業の実施その他の適切な支援が行われるよう連絡調整を行う事業」になります。養育支援訪問事業は次の2番目の事業ですけれども、いわばフォローアップして継続的な見守りの中に入れていく、そのような事業です。このように位置付けようと考えています。  2番目に、今のフォローアップ事業という側面が大きいわけですけれども、「養育支援家庭訪問事業」というものです。これも具体的な内容について、省令できちんと書き抜いてまいりますが、大きく3経路から入ってきた、これは養育支援が必要ではないかと思われるご家庭に対して訪問をしていくということで、(1)番目には、1番目の事業の実施、その他の契機で把握した保護者の養育を支援することが特に必要と認められる児童及びその保護者。(2)番目にはこれも別の経路から入ってきた情報に基づくかと思いますけれども、虐待等の場合に保護者に監護させることが不適当であると認められる児童保護者。あるいは(3)番目としては、出産後の養育についても出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦。こういった方々に養育が適切に行われるよう、居宅において養育相談等々の支援を行う事業ということです。この3番目の妊婦の段階からというのは、従来は必ずしも明確に位置付けられていなかったわけですけれども、今般、法律で規定するに際しまして、やはりできるだけ状況が把握できたら早い段階から支援のネットワークに入れていくことが適切かつ必要であろうということで入れたものです。  そして3番目は「地域子育て支援拠点事業」です。詳細は厚生労働省令で定めるということになりますけれども、乳児または幼児及びその保護者が相互の交流を行う場所を開設する。「親子のひろば」といったような愛称であちこちに今設けられてきているところですけれども、そのような場所を開設し、子育て相談、情報提供、助言その他の援助を行うというような規定を考えています。  4番目は「一時預かり事業」です。「家庭において保育されることが一時的に困難となった乳児又は幼児について、厚生労働省令で定めるところにより、主として昼間において、保育所その他の場所において、一時的に預かり、必要な保護を行う事業」でして、これも実態として、現在予算事業で進め始めているわけですけれども、真正面から全家庭対策として規定していこうと思っています。  5番目の前に、1ページ目にお戻りいただけますでしょうか。以上が(1)、(2)、(3)、(4)の四つの事業を、今申しましたような形で法律上位置付けていきまして、その際に併せて児童福祉法の中で「市町村はこれら(1)〜(4)の事業が着実に実施されるよう必要な措置の実施に努めるものとする」という規定を置き、従来から書いてある事業についても同様の規定がありますけれども、今般明記していく(1)〜(4)についてもこういった市町村の実施努力義務の規定の対象となるということになります。※にありますのは、このように改正するに際しまして、併せて社会福祉法も改正するということです。ご存じの通り、社会福祉法の中で第1種社会福祉事業、第2種社会福祉事業と種別があり、それぞれに対する規制や助成の体系が規定されていますけれども、これらの(1)〜(4)について、そしてまた後ほど触れる養護の関係の小規模住居の事業も含めて、第2種社会福祉事業と位置付けるということを予定しています。そうすることを通じて、社会福祉法におけるいろいろな指導監督規定やメリットである消費税等の非課税措置の対象になるわけです。  続きまして「(2)家庭的保育事業を法律上位置付け」です。これは保育に欠ける乳児または幼児を家庭的保育者の居宅などにおいて保育する事業です。家庭的保育者としては「保育士であって市町村の行う研修を修了した者その他の省令で定める者で、市町村長が適当と認めるもの」と整理しようと考えていますけれども、その方々の「居宅等において保育する事業について、法律上位置付けるとともに、省令で必要な基準等を設ける」ということです。そして位置付けとしては次の○にありますけれども、「保育所における保育を補完するものとして」位置付けるという整理を考えています。3番目に書いてありますのは、必要な規制ということで、事前の届け出が必要とするということ。そしてその上で都道府県による指導監督にかからしめるというものです。  これらの点について、4ページ目をご覧いただけますでしょうか。先ほどご説明の手前で戻りました5番目の「家庭的保育事業」は1ページ目に書いてあることと基本的に同じですけれども、このような規定で書いていこうと考えています。なおこの家庭的保育事業の定義の整理の仕方については、今週に、先に少子化対策特別部会でヒアリングも含めてご議論が行われまして、その結論としてはどのような方がやっていくかという資格に関する事項や、あるいはどのような形で、例えば保育所ときちんと連携しながらやっていくべきであるなど、そのような省令で定めていく事柄については幅広い関係者を入れて、きちんと開かれた形の場で検討して、皆が納得のいく形で具体化していくことを条件として、法律に書いていくことを了解するといったご審議をいただいたところですが、併せてご報告申し上げます。  なおこの関連の最後で5ページ目の資料を少しだけご説明させていただきますと、社会福祉法に第2種社会福祉事業として位置付けていく場合の規制や助成の関係の情報です。  左側が第2種社会福祉事業に位置付ける予定の「乳児家庭全戸訪問事業」あるいは「養育支援訪問事業」また「地域子育て支援拠点事業」ですけれども、これらについては、ある意味緩やかな規制の対象で足りるということで、第2種社会福祉事業は事業開始について事後の届け出をしていただくということでよいと。しかしながら、そのように届け出を通じて把握をさせていただいて、都道府県知事は必要な場合には報告徴収を求められる、あるいは立入検査を行う権限を持つことになりまして、そういったものに応じない、あるいは不当な行為をしたといったような場合には、事業制限や停止命令を掛けられるという体系です。  一方、右側の2は「一時預かり事業」と「家庭的保育事業」で実際に子どもを保護者から分離した形でサービス提供事業者側が預かるという部分については、ある意味でより強い規制の対象とする必要があるのではないかということから、届け出についても事前に届け出ていただくということ。そして指導監督体系としても左側に加えて真ん中に書いてありますけれども、「事業が基準に適合しない場合は、必要な措置を命ずることが可能」と、いわゆる改善命令というような手法も発動できるようにする必要があろうということで、少し左側よりは上乗せの規制体系下に置くということにしています。  下の※で書いてありますのは、その他の法律効果等で、(1)〜(5)はどちらかというと、いろいろ守っていただけなければならないことですが、(6)がメリット面ということで「消費税、登録免許税等の非課税措置の対象となる」ということです。以上が1ページ目の部分の内容の説明です。  2ページ目について、これは児童福祉法の改正のもう一つの柱として要保護児童対策ですが、この部分については後ほど、より詳しくしました資料2でご説明させていただきたいと存じますので、今の時点では省略させていただいて、3ページ目に進ませていただきます。  3ページ目が今回の法律改正の中で同時に行いたいと考えています次世代育成支援対策推進法の改正関係です。大きく地域関係と職域関係がありますけれども、地域の方は3点書いてあります。  まず(1)「国による参酌標準の提示」ということです。これは今、次世代育成支援対策推進法に基づいて、市町村に行動計画を立てていただいておりますけれども、その計画を立てる際に、特段国としてこういったところを目指すべきではないかといったようなものを提示する仕組みになっておりません。しかしながら、これは昨年の年末の重点戦略の中で、今後はそのような顕在需要だけを見て対応していく、過去の延長線で対応していく手法だけでは足りないのではないか。むしろ、あるべき姿を考える。例えば保育等のとても密接な関連がある部分で言いますと、女性の継続就業というような部分に関しまして、働き方を見直していって、そういった希望のある方はすべて全員が働ける世の中をつくっていくべきではないかと。そのようないわばナショナルゴールの考え方をきちんと整理して、それを市町村で行動計画を定める際の、量の整備を考える際の参考としていただく、いわゆる参酌していただく標準として提示すると。このような方法論を盛り込もうというのが1番目です。  (2)は働き方の見直しという重点戦略の中でも、1番目の大きな柱と位置付けられた国民運動的に進めていくべき課題について全国の地域の中でも計画的にきちんと対応ができるようにという観点から、次世代育成支援対策推進法に基づく地域行動計画の策定や変更をしようとする際に、地域の中の労使を参画させるよう努めるという規定を設けようというものです。  そして(3)はさらにこういった地域行動計画について定期的な評価・見直しを行う努力義務を書こうというものです。現在の法制の下では、次世代育成支援対策推進法が10年間の時限立法で、計画策定期間5年とするという規定があるのみです。従って、常識的に5年経ったら見直して次の計画を作るということが読めるわけですけれども、より定期的にきちんと実施状況を評価して、改善するための変更の措置を講ずるよう努めると。いわゆるプラン・ドゥ・シーの考え方を法制的にもきちんとしていきたいというものです。  4番目、今度は事業主の関係ですけれども、民間の事業主を一般事業主とこの法律上呼んでいますが、一般事業主の方々にいわゆる次世代育成支援と両立しやすい働き方のための行動計画を策定していただく義務を、今301人以上の大企業についてのみ義務化していますけれども、これを100人超の中小事業主についても義務対象に含めるように拡大していこうというのが(1)です。  (2)はそのような策定した一般事業主行動計画について、特に策定義務がある事業主については、せっかく作ったものをきちんと公表し、また従業員にも周知をしていただく。これを義務付けるということを考えています。また100人以下の事業主は、策定届け出義務の対象にしないという考え方ですけれども、そのように努力義務にとどまっている事業主についても、実際にお作りになっている方はいますので、作った場合には同様の公表や周知の努力をしていただくといった規定を設けようというものです。  ※に書いてありますのは、やはり上の枠に書いてあります義務、やってくださいということを広げようということですけれども、そのように義務を増やすということだけではなく、サポートしていく、あるいはそういった取り組みをすることのメリットを付けていこうといったような部分で、必ずしも法律改正事項ではないものもありますので、欄外に書いてあります。まず支援のメニューとしては(1)次世代育成支援対策推進センター、これは次世代育成支援対策推進法に基づいて厚生労働大臣が指定するということで、今、全国で94カ所を指定していますけれども、そこに一層機能を発揮していただけるようにしていきたいということが一つです。また国の出先機関である労働局に行動計画を届け出ていただきますけれども、その情報をきちんと地方公共団体とも共有し、また、事業主及び次世代センターなどとも連携していこうということで、こういった連携規定のようなものも設けて、連携・協力を強化して支援を充実したいというのが(1)です。また(2)についてはメリットで、事業主行動計画を策定していただいて、実施期間を経てきちんと実施したということで実績をもって申請していただいた場合に、大臣が認定して、こういった認定を受けた企業であるという「くるみんマーク」と呼んでいますマークを取得して、それをさまざまな営業、人事採用等に活用していただくという制度です。この要件を大企業については、現行では「男性の育児休業取得者1名以上」という認定基準を付けていますが、引き続きこれは、大企業等は大丈夫だろうと考えていますけれども、100人程度の中小企業となりますと、場合によってはそのような該当年齢層の職員が1人もいないといったような規模であることも十分に考えられますので、一方で義務を広げる際にそういった中小企業については、認定基準は合理的な範囲で緩和してメリットを取っていただきやすくしようということを併せて考えています  最後の5番目です。これは事業主の行動計画の中でも、公務セクター、国や地方公共団体の長などが所属職員のために、それぞれに計画を作るというのが法律で規定されていますけれども、それについて、現在従業員への周知義務はまだここも規定していないので、それは民間と同じように義務付ける。そしてまたある意味、民間以上に公的セクターにおいては一層率先垂範していくべきではないかというような考え方から、行動計画の公表は既に特定事業主はありますけれども、加えて実施状況、計画倒れになっていないかどうかという実施状況の公表義務も課すことを今回盛り込もうと考えています。  今回準備しています法律改正の全体像についてのご説明は以上とさせていただきまして、引き続き「社会的養護関連部分」について、藤井家庭福祉課長より説明させていただきます。 ○藤井家庭福祉課長  家庭福祉課長の藤井家庭福祉課長です。それでは私からお手元の資料2に基づきまして「社会的養護関連部分」について、ご説明させていただきます。  全体的に基本的には昨年いただきました専門委員会の報告書に沿った内容になっているところですが、「趣旨」のところをあらためてご覧いただきますと、この専門委員会の報告書を踏まえまして、一つはこの社会的養護を必要とする子どもの数が増加してきている。もう一つは虐待等子どもの抱える背景の多様化あるいは複雑化といったこともあります。こういったことを踏まえまして、社会的養護の質・量の充実を図り、体制整備を図っていくことを基本的な趣旨としています。  この内容につきまして、「概要」のところに、七つの柱を立てて整理をしています。(1)、(2)が専門委員会の報告書では家庭的養護の拡充というような整理になっていましたけれども、まずその中の「(1)里親制度の改正」です。ここでは養子縁組を前提とした里親と養育里親の区別をすると。もう少し具体的に申しますと、養育里親を法律上、明確に位置付けまして、その養育里親の要件として一定の研修を修めるといったようなこと等を定める。そういったことを中心としまして、里親制度を見直すことが一つです。併せまして養育里親については、これは予算上の措置ですが、里親手当を引き上げることにしていまして、現行は子ども1人につきまして3.4万円であるものを、1人目が7.2万円、2人目以降でその半額の3.6万円ずつ加算していくような仕組みに改めようとしています。一方で養子縁組を前提とする里親につきましては、今回予算上、里親手当についてはむしろ出さないといったようなメリハリを付けた仕切りにしていますけれども、もちろん養子縁組を前提とした里親につきましても、里親であるといいますか、社会的養護の一環であることは間違いありませんので、引き続き生活費等については支給されることになりますし、また二つ目の○にあるような里親支援の対象にも当然、引き続きなっているということです。  それから、その二つ目の○ですが、都道府県の業務として、里親に対する支援あるいは普及啓発等を行うことを法律上明確化しますとともに、里親支援の関係の業務を一定の要件を満たすものに委託できることとする。私どもがイメージしていますのは乳児院、児童養護施設等の施設、あるいはNPO法人といったようなところをイメージしていますが、里親支援に関する業務を普及啓発なども含めて、総合的に外に委託ができるような仕組みとするということです。これも来年度の予算上は里親支援機関といった名称で既に盛り込ませていただいています。以上が「里親制度の改正」です。  二つ目の(2)が「小規模住居型児童養育事業」です。名称はまだ仮称ですけれども、法律上の名称はこのようなイメージになりますけれども、こういった新たな事業の創設です。要保護児童の新たな委託先として、養育者の住居において要保護児童養育する事業です。私どもはファミリーホームと俗称していますけれども、こういった新たな事業を創設するということです。これは現在幾つかの自治体の単独事業で、里親ファミリーホームとして上乗せ支援されている事業がありますが、それを一つのモデルとして、先ほど高倉総務課長からも話がありましたけれども、第2種社会福祉事業として位置付けて事業化をするということです。いわばこれまでの施設と里親という子どもの養育の委託先に第3の選択肢を加えるといった整理になっています。  この事業につきましては、二つ目の○にありますように、養育者の要件等事業に関する要件を定めていきますし、また都道府県の監督等必要な規定をかぶせていきたいと考えています。事業に関して必要な要件については今後詰めた検討をしてまいりますけれども、例えば養育者の要件ですと、里親として何人以上の子どもを何年以上受託した、あるいは児童養護施設等での養育経験が何年以上あるなど、そういったことを定めるのかなと。また人員配置、設備等については「家事や養育の補助を行う者」を確保しなくてはならないなど、そういった要件を定めていくのかなと考えています。  それから、(3)、(4)の辺りは、今度は地域の体制という文脈になってきますけれども、まず「(3)要保護児童対策地域協議会の機能強化」です。これは市町村の東京以外の協議対象については、これまで要保護児童ということでしたが、これを広げまして、養育支援が特に必要である児童あるいはその保護者、さらには妊婦にまで拡大をしていくということです。また要保護児童対策調整機関についても、一定の要件を満たす方をいわば事務局的な機能として置くような、そういった努力義務を課すといったようなことも法律上規定したいと考えています。  (4)が「家庭支援機能の強化」ですが、ここは二つございまして、一つは児童相談所における保護者指導を児童家庭支援センターだけではなくて、一定の要件を満たす者にも委託できることとする。これもNPO法人等を想定しております。  また二つ目の当の児童家庭支援センターにつきましても現在法律上、施設に附置するといったような附置要件が課されていますけれども、これを外しまして、児童福祉施設だけではなくて、一定の要件を満たす医療機関あるいはNPO等にも児童家庭支援センターになることを可能にするといったような法改正を考えています。  続きまして2枚目ですが、(5)が「年長児の自立支援策の見直し」ということで、児童自立生活援助事業です。これはすなわち自立援助ホームといわれているものですけれども、この自立援助ホームにつきまして、対象者の利用の申し込みに応じて提供することとする。すなわち今の保育所あるいは母子生活支援施設と同じような形で、その利用者からの申し込みによって都道府県が契約するといったような利用方法に改めるということが一つです。また義務教育修了後の子どもの他、20歳未満の支援を要する者を追加する。これは現行法におきましても、18歳を超えましても措置を延長することはできますけれども、その措置をされていない18歳あるいは19歳の子どもを新たに措置するということは、現行法ではできないわけですが、自立援助ホームにつきましては、本来の機能に鑑みまして、18歳19歳になっても措置が可能なような、そういった利用申し込みによる申し込みが可能となるような見直しを行いたいといったことです。自立援助ホームにつきまして、そういった見直しをするということが(5)です。  それからその下ですが、(6)「施設内虐待(被措置児童等虐待)の防止」とあります。児童養護の世界、なお措置というような行政処分の世界になっていますが、特に措置された児童につきましては、権利擁護について特段の対策が必要ではないかということで、被措置児童等虐待というようなコンセプトのもとに、幾つかの対策を講じることとしています。  まず一つが、施設長・施設職員等々、里親も含めて、こういった養育をする者が行う暴行あるいはわいせつな行為等々につきまして、被措置児童等虐待ということで法律上位置づけるということ。二つ目にあるように、そういった虐待を発見した者に通告義務を課す。あるいは虐待を受けた子どもが届出できることとする。またこの通告ですとか届出の対象として、都道府県あるいは児童相談所だけではなくて、都道府県の児童福祉審議会も加えてまいりたいといったようなことです。三つ目に都道府県の職員は、通告をした者ですとかあるいは届出をした子どもを特定させる事項を漏らしてはいけない。守秘義務となっています。四つ目に通告ですとか届出があった場合の事実確認ですとか保護、施設の立ち入り調査、質問・勧告業務停止等々、都道府県や都道府県児童福祉審議会が講じるべき措置等を明確化するということです。最後に国の方も被措置児童等虐待に関する検証調査研究を実施しまして、その都道府県の方は虐待の状況等についてきちんと公表していくという規定を設けたいと考えています。  (7)「その他」ですが、都道府県におきまして里親あるいは児童養護施設等の提供体制の計画的な整備。量的に不足している地域もたくさんありますので、提供体制の計画的な整備につきまして、法律上必要な措置を講じてまいりたいと考えています。以上が今回の社会的養護の関係で法案として予定している事項ですが、最後に施設機能につきまして、改めて触れています。施設機能の見直しにつきましては、先般の専門委員会の報告書におきまして、一番下に二つポツがあります。子どもの状態や年齢に応じて適切なケアを実施できるよう現行の施設類型のあり方を見直すということ。人員配置基準や措置基準の見直し等を含めて、ケアの改善に向けた方策を検討するということが提言されています。さらに、このような見直しを具体的に進めるためには、必要な財源の確保が必要であるとともに、現在施設内で行われているケアの現状を詳細に調査・分析することが必要であるといった提言が行われています。  私どもとしては、提言を受けまして、来年度施設におけるケアの現状を詳細に調査するようなことを予定していまして、その状況と結果を含めまして、さらに専門委員会に報告しながら検討を進めてまいりたいと考えています。財源の確保につきましては、別途設けられています少子化対策特別部会における議論も注視していく必要があると考えています。以上です。 ○高倉総務課長  1点事務局から連絡の追加です。出欠状況に関して、事務局の手違いで連絡が洩れていて大変失礼しました。榊原委員につきましては、欠席とのご連絡をいただいていたということです。どうも失礼しました。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、ただ今から議論に入っていただきたいと思いますが、今いただきました説明に対して何かご質問・ご意見がありましたらご発言をお願いします。冒頭お願いしましたが、本日は児童福祉法の中でも特に児童の社会的養護の部分を中心にご議論いただければと思います。よろしくお願いします。津崎委員、お願いします。 ○津崎委員  一つ検討についての要望ということで意見を言わせていただきたいのですが、特に社会的養護の(5)の年長児の自立支援策の見直しにかかわる部分です。実は今年の1月20日付けの読売ウィークリーの中に、いわゆる性的虐待の18歳の子どもの救済をするための社会制度がないという記事が載っています。紹介しますと「18歳19歳は虐待の被害を訴えても、たらいまわし。家庭での児童虐待は大きな社会問題になっているが、児童虐待防止法や児童福祉法が規定する児童とは17歳まで。18歳になったとたんに虐待支援の枠組みからその子は落ちこぼれてしまうのだ。筆者は2007年春、家庭内での性的虐待被害を訴える18歳女子の保護を行政に求めた経験がある。そこで立ちはだかったのが18歳の壁だった」ということです。中身をもう少し紹介しますと、この18歳の子はA子というのですが、「A子は東京を離れた。そして次の地域では東京と同じように行政の窓口を回り、シェルターに。シェルターは一時避難の場所なので、次に婦人寮に移った。しかし婦人寮はそもそも戦後、売春をする女性を保護するために作られた施設で、現在は夫からの暴力から逃れている女性が多く暮らす場所。年配女性との集団生活に、虐待を受け続けてきた18歳の少女は、「婦人寮はきつい」と言う。転々とする間、A子は何度も筆者にこう漏らしていた。どこに行っても「あなたのケースは、本来はうちの担当ではない」「ここにあまり長くいてもらうわけにはいかない」と言われる。挙句の果てには福祉担当者に「ネットカフェに行く手もあるし」と、暗にネットカフェ難民になるように勧められたり、「両親のもとに帰りなさい」と地元の警察に通報されもした。これが現実なのかなと本人はひどく落ち込んだ。結局この子は行く場所がなくて、もとの虐待の家に戻らざるを得なかったということです」。要は、先ほども課長が説明されましたように、18歳になってしまうと新規措置ができないのです。今回の改正案では、いわゆる自立援助ホームを使って、場合によってはそういう子どもを救済するという考え方が見えるわけですが、ご存じのように自立援助ホームは数が非常に少ないです。地域的に偏りもありますから、そこでこういうケースが出てきたときに、うまく対応というところまでまだいかない。であるならば、児童相談所長が必要であると判断した場合は、現行の児童養護施設に18歳を超えていても措置が可能であるというような新たな枠組みを、ぜひ検討いただけないかということです。平成16年の法改正のときに、18歳19歳について、親権喪失の申し立てが事実上できない。ご存じのように親族と検察官しかできない。しかし実際上はどちらも機能しないということで、18歳19歳についても必要性があれば、児童相談所長が親権喪失の申し立てができると法律が改正されたところです。ただ、このときには新規措置という部分については、実際上は手が付けられていない。親権喪失については救済の必要があって、そういう措置を取ったのですが、実際上そういう子どもは生活の場所を保障する。そういうところにうまく救済という形で、援助を提供することはできないのです。そうすると既に入っている子はご存じのように必要性に応じて20歳まで延長がきくのですから、新規であればその延長の対象外になるというのは整合性のない話です。児童相談所長が必要であると判断したときは、新規措置も可能という対応が、こういうケースを想定したときは、ぜひ必要だと思いますので、その辺の措置についても今回の法改正の中でご検討願いたいと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございます。いかがでしょうか。今の質問・意見に関して、藤井課長、お願いします。 ○藤井家庭福祉課長  もともと専門委員会でも議論になっていたところで、その前身であります検討会でも議論になっていたところですが、今整合性という意味では措置延長もできますし、今回自立援助ホームについて20歳まで認めていきたいと思っていますが、基本的には児童福祉法上、児童の定義は18歳でありまして、そこで線を引かれていることは間違いありません。かつこの議論は難しいのですが、では20歳でまた線を引くのかというところがあります。今でも自立援助ホームの皆さんが特にそうですが、20歳を超えた子どもに対するニーズは非常に感じていらっしゃって、さらに20歳以上も受け入れられるようにしてほしいという議論もあったわけです。そういう意味では正直どこで線を引けばよいのか、なかなか難しい問題だと思っていまして、確かに先生がおっしゃったようなケース。さほど数の多い少ないはあまり問題ではありませんが、幾つかそういうケースがあることを承知していますが、そこを制度として18歳の子の枠をはずして20歳までいけばそれで十分なのか。さらにその上にいかなければいけないとか、その辺の議論はなかなか難しいというのが、検討会あるいは専門委員会の中での議論です。今回は、そこは将来の課題として置いてきたような、そういう整理になっています。 ○津崎委員  ご返答の趣旨はよくわかるのですが、少なくとも今制度に乗っている子は必要性があれば20歳まで延長ができるけれども、18歳になるまでに相談に来なかった子については除外です。既に18歳までに来た子は20歳まで援助しましょう。たまたま誕生日までに来なかった子は除外します。20歳までの援助については受けられませんということについては整合性がないと思うのです。だから全部取っ払って20歳にしなさいということではなくて、状況を見たときに非常に深刻な状況がある。そして他の仕組みの中でその子が救済できないということが明らかであれば、何らかの形で例外的であっても救済できる道を作っておかないと、その子どもは救われないということです。その辺の例外措置的な形での何らかの救済方法というものを検討していただく必要がると思いますので、再度そのことを申し添えたいと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。今の問題は、個人的には津崎委員がおっしゃることももっともだと思いながら伺いました。新規措置だと18歳の壁があるということですと、本当に救うべき子どもが救えないという、そういう思いからのご発言だと思います。ただ最初に津崎委員がおっしゃったときは憲法改正にかかわるような点についておっしゃるということでしたが、今2度目のご発言ですと、例外的な措置としての何らかの対応を求めるというように、若干その辺りは含みを持たせたご意見と伺ってよろしいですか。 ○津崎委員  指摘していただいたように全部法律の仕組みそのものを変えるということではなくて、救済されない子がいる。それが18歳の壁で矛盾に落ち込んでしまうということがあるのであれば、それを例外的に救済する手立てを制度上作らないと、その子は救済されなくても仕方がないですよという処理の仕方はおかしいということです。例外的な何らかの救済が可能になるような手法ということをぜひお考えいただきたいという趣旨です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。他にいかがでしょうか。柏女委員お願いします。 ○柏女委員  社会的養護のところ以外はここでは検討はないということなので、質問だけさせていただきたいと思います。社会的養護はまた後でご意見を申し上げたいと思います。幾つかあるのですが、資料1(1)の子育て支援事業を法律上位置付けるということで、現在でも子育て支援事業は児童福祉法の中に位置付けられているのですが、その中でこのように個別列挙された子育て支援事業との関係がどのようになるのか。その1点をお伺いさせていただければと思います。家庭的保育事業が第2種社会福祉事業と位置付けられていないと思うのですが、これについて教えていただければと思います。3点目は、議論の過程で、もう一つの家庭的保育であるいわゆる訪問在宅保育のベビーシッターについては何か議論があったのかどうか。今回見送られているのですが、何か理由があるのか教えていただければと思います。4点目が一時預かり事業です。例えば一時預かり事業を地域子育て事業拠点事業がやっているところが一時預かり事業もすると、二つの規定がかかるということと理解してよいのでしょうか。その辺のところを教えていただければありがたいのですが。 ○大日向部会長  それでは、事務局の方からお願いしてよろしいですか。 ○朝川少子化対策企画室長  十分なお答えになるかどうかわかりませんが、それぞれについてお答えします。  1点目につきまして現行でも確かに省令に具体的な事業名は落ちているのですが、これらの事業、一部入っていないものもあるのですが、これらの事業も一応法律上の位置付けのある事業だということですので何が変わるのか、後は今後の省令で残るものと何が違うのかというところについては、それぞれの事業、法律の位置付けということによりまして、特に社会福祉法、第2種社会福祉事業にすることで、法律上の規制。届出の義務であるとか指導監督規定がかかるとか、そこが法律上の効果として一番大きく変わってくるところです。従っていろいろな必要な基準とか省令で定めることになる基準とか、質を担保するような措置が法律上課されるというところが異なってくるところです。  2点目の家庭的保育事業については、今ご意見をいただきましたように、第2種社会福祉事業に位置付ける対象にはしていません。と申しますのは、第2種社会福祉事業は人数要件というのが一般論としてかかっていまして、家庭的保育事業でイメージしているのは3人とか、多くても5人とか、そういう対象者の事業ですので、そういう意味からも第2種社会福祉事業の対象にしないという取り扱いにしています。  3点目のベビーシッターのところにつきましては、今回この四つ五つの事業を法律上位置付けていこうという、もともとのところは「子どもと家族を応援する日本」重点戦略会議でいろいろご議論いただいた中で、特に今後伸ばしていくというか、きちんと位置付けた上で、質の担保を図った上で伸ばしていく。まずはこういったところに取り組もうということで、そもそもご提言のあったことを出発点として規定を位置付けているということです。  4点目はそれぞれの事業両方をしていたらどうなるかというところについては、確かに法律上は二つそれぞれの規制がそれぞれの事業についてかかってくるということになります。   ○柏女委員  ありがとうございました。 ○大日向部会長  ありがとうございます。子育て支援事業に関して、ご質問があればそちらの方、今日の議論は先ほど申しました社会的養護なのですが、子育て支援の方でご質問があれば、まずそちらの方をうかがいましょうか。いかがでしょうか。よろしいですか。 ○山縣委員  1点だけ。一時預かりについて、文章で「主として」という意味は、夜間保育所や延長保育を実施している保育所において夜間の一時預かりは認められるという理解でよろしいでしょうか。 ○大日向部会長  これは、どちらに。 ○朝川少子化対策企画室長  概念的には認められるということです。 ○山縣委員  ありがとうございます。 ○大日向部会長  それでは子育て支援事業に関してはこの辺りで終止符を打ってもよろしいですか。柏女委員が、社会的養護に関して後でとおっしゃっていましたので続けていただけますか。 ○柏女委員  社会的養護専門委員会で座長を務めたものが伺うということで申し訳ないのですが、資料2(2)です。今の説明ですと第2種社会福祉事業に臨時要件があるということですので、ここの小規模住居型児童養育事業これは規定どおりの最低要件がかかるのではないか。常時こうでなければいけないという形になるのか。子どものことですから少なくなったり多くなったりということがあると思うのですが、この辺のところについてどのように考えていけばよいのかを1点お伺いしたいということです。  もう1点は、(3)の要保護児童対策地域協議会の機能強化のところで、こういうふうに拾っていただいたのはうれしいと思うのですが、このつづりですといわゆるDV被害の母を含まれる、DVの視点も含まれると考えてよろしいのでしょうか。この2点をお伺いしたいと思います。   ○大日向部会長  では、藤井家庭福祉課長お願いします。 ○藤井家庭福祉課長  まず1点目ですが、子どもの人数です。職員ではなくて子どもの人数につきましては6人程度を頭においていますが、確かに先生のおっしゃる通り、どうしても子どもの人数は上下しますので、常時何人いなければいけないとか、そういう格好にはならないし、できないと思っています。後者の方はよろしいですか。 ○小林虐待防止対策室長  後者についてですが、これは特にDV被害者だから当然ということではなくて、ここに書いています児童に着目して養育支援が特に必要である児童とその保護者ということと、後半の妊婦ですが、もう少し書き込むことになると思いますが、出産前に出産後子どもを産んだ後にミスが生じ得るようなということに着目した妊婦ということで、子どもに着目して、子どもに被害が及ぶようなリスクのある妊婦ということを考えています。DV被害者はそれだけで入るということではないです。 ○柏女委員  わかりました。確認ですが。適切かどうかわかりませんが、妊婦については胎児ネグレクトが想定されるような妊婦ということでいいですか。子どもに着目しておなかの赤ちゃんに影響が出る妊婦。 ○小林虐待防止対策室長  そういうものも含めてですので、胎児の間だけではなくて出産後明らかに危ないということが、出産前にわかる方ということも含めて。おっしゃる方を含めて。 ○柏女委員  わかりました。ありがとうございます。 ○大日向部会長  それでは網野委員お願いします。 ○網野委員  実は津崎委員のお話と関連して、年長児の自立支援ということで、先ほどのご意見に私も実は非常に関心があって、どういうふうにしたらよいかというのがあります。具体的に言いますと児童福祉法が18歳未満。民法やその他の法律で未成年という段階が20歳未満。この18歳19歳のはざまの問題は他にもありますね。確かに今度の親権喪失宣告請求はそういう法律上の整合性という意味でできた部分もあるかと思います。実はむしろ津崎委員にも最近の様子をお聞きしたかったのですが、私自身ここ何年間か児童相談所の方とこのことでいろいろと話し合う機会がなかったので、実体をお話しできないのは申し訳ないのですが、具体的に言いますと、18歳とか19歳の段階で、親から何か被害を受けたという場合、国際的にどうかというと、こそ子どもの権利条約で18歳未満を対象としており、18歳以上は成人という意味でほとんどの国が捉えていますよね。日本は保護を非常に大切にし、かえって保護主義をこういうところで進めている部分があると思います。非行犯罪もそうです。その間の2歳の間のことについての、特に後者でお話された例外規定といいますか。具体的にいいますと児童相談所がもし18歳の子ども19歳の子どもから何かこういうことの訴えを受けたとき、親権喪失請求は究極の手続きですけれども、これはほとんど虐待ですよね。そういうことで請求するときにどんな仕事をするか。私は不勉強で申し訳ないのですが、現在の手引きとかそういう中では、18歳以上の子どもは受け付けることはできないということできちんとシャットアウトできるのかどうかということは、まさにおっしゃるように、親権喪失宣告請求ができる立場にあることと矛盾すると思います。ですから、例外規定が、あるいはある意味では18歳、19歳は親権に服するという点では、かなり例外に近い部分もありますので、何らかの意味でこの児童自立生活援助事業もそうですし、自立援助ホームもそうです。このようなシステムの中にやはり現在の子どもと成人とのはざまで抱えている部分について、やはり何かシステムといいますか、これで本当に救える部分があるのではないかと思いますので、報告などで18歳、19歳で親権喪失宣告請求を行った例がもしありましたら少しお聞きしたいのと、そのことの運用は、私はもう踏み込んでいるのではないかと思います。 ○大日向部会長  はい、ありがとうございます。これは事務局にお尋ねになりたいということですか。 ○藤井家庭福祉課長  今の例といいますか、親権喪失宣告の関係で児童相談所が動いたケースは把握していません。申し訳ありません。そこの議論ついては、先ほど申し上げたようなことになりますけれども、これをどこで線を引くかは本当になかなか難しいところだと思います。ある意味では、今の18歳を、基本的に原則20歳を基準にしている児童福祉法の中で、それでも幾つか例外的なところで引き延ばしてきているところですので、そこの審議措置を18歳でも19歳でもとなりますと、やはりいかに例外的な整理をするにしても、原則の線引きを突き崩すようなお話になりますし、一方で先ほども申し上げましたように、今、子どもの自立年齢は幾つぐらいなのかというような議論もいろいろと行われている中で、私どももいろいろな所から、21歳、22歳、それから20代半ばでも何とかならないのかというような議論もありますし、そういったところで、児童福祉法の世界でケアをする範囲をどこまでにするのかは、本当に難しい議論なのだと思います。それから、また委員方のおっしゃること、あるいはその思いはよく理解していますので、ここはもう少し時間をかけて検討させていただければありがたいと思います。 ○大日向部会長  それでは津崎委員もよろしくお願いします。 ○津崎委員  18歳、19歳について児童相談所長が親権喪失申し立てをしたいという事例は私もまだ聞いていないのですが、ただこの制度ができる前に、どうもそのような子どもがいたと聞いています。そして児童相談所長ができないということで、申し立て要件者の検察官に事情を話して、検察官から申し立てをしてもらった事例があると伺っています。けれども、検察官は法律上の規定がありますけれども、このようなケースに対してあまりタッチしていないということで、児童相談所長がそのような必要性があるときに対応できるようにと、18歳、19歳は児童相談所長ができると法改正になったといういきさつがあるようです。  今回も自立援助ホームで20歳になるまで何らかの救済をしたいということは、やはり18歳、19歳について、18歳で一律に切ってしまうことが、不合理な実態があるから、そこを自立援助ホームという事業の中で何らかの救済をする必要があるという認識で多分されていることだと思います。そして既に施設に入っている子どもも20歳まで延長できるというのもやはり同じような意味だと思います。現状を踏まえれば20歳までは何らかの保護対応は、今の日本のシステムからいくと、児童の枠組みの中で対処せざるを得ない。それ以外の大人の政策は非常に弱いということで、このような政策がとられていると思います。  私が言っていますのは、18歳になった途端に、以前から相談に来た子どもは救済するけれども、以前から来ていない子ども、18歳を超えて来た子どもは救済しませんというのが基本的には不合理だという意味です。そしてその子どもについての救済の青少年の政策が十分にあるのであればそれでいいのですけれども、それがないわけです。あなたは救済されずに被害を受け続けなさいとは言えないわけですから、そこの例外的な規定のようなものを何らかの形で設ける必要があるのではないかということです。あまり無理を言っているわけではなくて、そのような何らかの例外措置を設けるということは可能だと思います。その辺をぜひご検討いただきたいということです。 ○大日向部会長  ありがとうございました。いかがでしょうか。  この議論について先ほどから津崎委員がおっしゃっていることは、一貫して根本的に法律を18歳に下げろとおっしゃっているわけではないと思います。それはこの部会で議論できることでもないと思います。ただ、今回の法改正を論ずるときに、子どもが抱えている背景が多様化しているということが大きな出発点だったと思います。そうしますと、何歳で保護対象を外すかというような線引きができないからこそ、よけいにある程度の年齢制限を設けるけれども、柔軟に現場で対応できるような例外的な措置を付帯してもらえないかということだと思います。その点に関して網野委員がおっしゃるように、諸外国の何歳でという例もなかなか引きづらいというのが先ほどの事務局からのお答えではなかったと思いますが、そのような柔軟な対応を現場でできるようなことをお願いするということでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。  他に、それでは吉田委員、それから渡辺委員の順にお願いします。 ○吉田委員  今のはごもっともなご意見で、やや関連するのですけれども、どのような制度・仕組みをつくっても、結局その運用をどうするかと。そこがかなり大事になるのではないかと思います。例えば施設内虐待の場合でも、子どもの届け出という規定は入ったとしても、本当に虐待を受けている施設で子どもがいつ誰にそのような届け出をうまくできるのかということを考えると、必ずしもその仕組みをつくっただけで十分かというと、どうもそうではないのでないかと。そういったことを含めて、どのような制度・仕組みにしても、やはりそれがうまく回るように、ある種の血を通わせるような運用の工夫は極めて大事になると思います。  一つはその工夫をいろいろな所でもう一度ご検討いただきたいということと、今回質と量の両方を考えるということですが、やはり大事なのは質だと思います。質を考える際には、一つは質を落とさないという視点で、いろいろなチェック機能をつくったり、基準をつくったり、要件を定めたり、あるいはいろいろな行政のバックアップ体制を取る。これはあろうかと思います。もう一つ大事なのは、質をより積極的に上げるということで、里親・養育里親を含めて研修ということも大事だと思いますが、これも紙に書くとその通りなのですが、受ける側だけではなくて、研修をする側がその質を上げるに至る研修をできる人材が全国各地にどれぐらいいるか。あるいはそのような人材そのものを育てるという視点も多分必要ではないか。そういったことを含めて、やはりかなり具体的な専門的検討が必要だと思います。  その意味でご確認したいのですが、今回これをより具体化するに当たって、既に専門委員会で検討されていますが、この専門委員会でさらにそのような、より開かれた具体的な改善の検討がされるのか、その辺だけ確認したいのです。 ○大日向部会長  これは事務局からお答えいただけますか。 ○藤井家庭福祉課長  開かれたというのは、具体的に施設という。 ○吉田委員  恐らく、当然専門的な検討をしながら、しかしこのような議論をオープンにすることで、今の津崎委員のことを含めて全国にいろいろな実例があると思います。制度・仕組みだけではなかなか気付いていなかった、実際に各地ではこのようなケースがあったらどうするのですかなど、そういったことをもっと拾い上げた方がより運用の改善につながるという意味です。 ○藤井家庭福祉課長  失礼しました。確かにおっしゃるように、これから当然専門委員会を続けて議論してまいりますけれども、すべて議論がオープンになってきますし、そこで提供されるさまざまな情報は、できる限り世の中といいますか、国民の皆さまにも提供していくような格好でやっていきたいと思います。 ○大日向部会長  よろしいですか。  それでは、渡辺委員お願いします。 ○渡辺委員  皆さまのお話を伺いながら、やはり一つ私がぶち当たるのは年齢のこともありますけれども、子どもが本当に苦しくて不安で、自分が危機にさらされていると思ったときに、年齢を問わずにその発達段階なりに訴えていく関係、訴えていくことが保障される関係を、もう少し根本的な形をもって具体化していく必要があるのではないかと思います。乳幼児の虐待に関しては、ここの流れとは少し別の問題なので今は触れませんけれども、例えば、17歳、18歳、19歳で自分が虐待の目に遭ってどうしようもないときに、例えば小学校の高学年、中学生になったときに自分が性的な虐待に遭いそうになったらどう逃げて、そしてどうやって守ってもらえるのかという、もう少し子どもが主体的に、親とのしがらみや教師とのしがらみなど、そういったものから離れて自分の実感でこれは嫌だと、これは自分のプライベートパートを触られて嫌だといったことを堂々と言えるシステムをもっとつくっていく必要があると思います。そういったものは、まだなかなか日本では具体化しないけれども、私自身が養育相談の現場におりまして、子どもたちはそれを聞いてくれる人がいたら言えますし、かなり幼い5、6歳児から言えますので、子どもが自分で自分がされた嫌なことを人間として訴えられるシステムを、もちろん教育の場もそうですし、地域の育児の場もそうですけれども、社会的なバックのない子どもたちにおける施設などで、強力に明確にしていかないといけないと思います。  その流れをつくる上で、私はたくさんの課題があると思いますけれども、まず日本で、これは国際的にもやらなければいけないし、常識的にもやらなければいけないことですけれども、非常に当たり前のことですからみんな何だと思うかもしれませんけれども、子どもに心理的な危害や身体的な危害を与える恐れがあるキレやすさや、感情のコントロールができない大人、あるいは周囲に性愛者と呼ばれている幼い子どもたちと戯れていてかわいくなると性的ないたずらをしたくなる、そのような人たちに対して、児童が生きる生活の現場にアクセスさせてはいけないという法律に、これはすべきだと思います。子どもたちは大好きな先生が自分のプライベートなパートをいじったときに、その先生から「大人はみんなそうするものだよ」と言われますと、本当にそのように飲み込んで、そのまま大人になって、自分がやられたことをおかしいと気付くのに20年、30年かかる。そういうことだらけなのです。特に性的ないたずらに関しての現実は大変深刻で、それを発見できたときにはもう20代、30代。そしてそのときに揺れ動く、うつ状態の母親になったり、混乱する母親になったりして、子どもにも影響を及ぼすことばかりなのです。ですから、これは異年齢にもありますけれども、どの年齢の子どもでもされて嫌なことを堂々と言える、そのようなシステムがつくられている国というのは、例えばフィンランドなどではあるのではないかと思いますけれども、日本にもいのちの電話などもありますけれども、もっと生活の中で見える形で法律的にも見守られている、児童の人権宣言の流れを具体化することにもなりますし、中身を作っていかないと、子どもの言い分をきちんと恐れずに受けとめていく施設、あるいは教育現場、あるいは家庭支援の場というように展開しないと、やはりこれは苦しいと思います。 ○大日向部会長  貴重なご意見をありがとうございます。  山縣委員、お願いします。 ○山縣委員  幾つか質問があるのですけれども、連続してお時間を取るかもしれません。里親制度と小規模住居型児童養育事業と、それから児童自立生活援助事業の虐待についてお伺いしたいと思います。  1点目は里親制度のことですが、説明にありましたように養育里親と養子を前提とされる方を区別しようということですけれども、これは手続的にはどの時点でそのようになるのか、個々の子どもについて考えていくのか、登録のときに別枠で登録ということになるのか、もし登録の時点、もしくは登録後でもいいのですが、分けてしまう場合に当然に二重に登録することが可能になるという理解でよいのでしょうか。養育をやり、養子もありということでよいのでしょうかというのが1点です。  それから2点目です。小規模住居型児童養育事業についてですけれども、これもよく似たところですが、養育者の認定です。これは里親審議会等でその枠組みで認定していくのか。どの形でこの養育者が認定されると想定しているのかを教えていただきたいと思います。  それに関連して、第2種事業になりますので、これは社会福祉法人、NPO法人。とりあえず社会福祉法人を想定してもよいのですが、社会福祉法人がこの事業を第2種事業として行うということも当然あり得ることになると思いますけれども、その場合にはここに携わる養育者は当然労働基準法の外であると考えてよいのかどうか。あるいは第2種事業として法人で採用してしまうと、労働基準法が適用されてしまうのかどうか。その辺を少し今の段階で結構ですので、教えていただけたらありがたいと思います。  3点目。「施設内虐待(被措置児童等虐待)の防止」のところですけれども、施設長、施設職員、里親等が行う暴行うんぬんとなっていますけれども、この「等」の中には自立生活援助事業は入っているかどうかです。自立生活援助事業の中の職員が虐待を行った場合に、この規定が対応されるのかどうかということについて教えていただきたい。  それから、最後になりますけれども、従って通告あるいは届け出がされた場合に、組織レベルの対応については結構書かれていると思いますが、当然のそのことは個人レベルの問題。組織で行われても、Aさんという職員だけの問題がありますよね。この辺の使い分けが出てくるのかどうかです。それから、組織レベルにしても、これは従来の児童福祉法のよくあるパターンで言うと、質問、勧告、業務停止の間に、「指導」があったのではないかと。指導、勧告、停止と、とりあえず指導があって強い勧告が行われて、事業閉鎖や停止という3段階で、例えば認可外保育事業でしたか、保育施設。そのような所も確か指導が一つ入ったような気がするのです。それは今回飛ばすのか、飛ばさないのか、一気に勧告に行ってしまうのか、その辺を今の段階でわかれば少し教えていただきたいと思います。以上です。長い質問で申し訳ありません。 ○大日向部会長  それでは5点お尋ねがありました。それぞれお答えいただければと思います。 ○藤井家庭福祉課長  それではお答えします。若干、運用上のところにかかわるようなご質問もたくさんいただいていますので、まだ十分決まっていないところもありますが、そのようなところは今の検討の方向ということでお許しいただければと思います。  まず里親については、基本的には個々の子どものニーズを見て、児童相談所は養子縁組を全体として里親に委託するのか、あるいは養育里親に委託するのかを考えるのが基本だと思いますけれども、登録時の二重登録をどうするのかは、それはまだこれから検討しますけれども、やはりいずれ登録をする際にどちらかというのをまずは明確にしていただいて、それぞれ登録をしていただくような、そのような格好になるのではないかと思います。  それからファミリーホームのところは、社会福祉法人がやる場合についても労働基準法の外になるような形でないと、このような事業は基本的に現実的なケアが難しくなってまいりますので、そこは労働基準法の外で対応できるような整理をしてまいりたいと考えています。山縣委員が養育者とおっしゃっているのは、3人目といいますか、補助者ということでしょうか。 ○山縣委員  そうではなくて(2)に書かれている「要保護児童の委託先として、養育者の住居」、すなわち小規模住居型児童養育事業の中心になる人です。この人の認定をどうするのかということです。 ○藤井家庭福祉課長  認定と申しますか、要件として定めてまいりますので、実際に第2種社会福祉事業として起こすときに、当然次に確認することになると思います。それから虐待のところでは自立援助ホームもこの中に入れる整理にしたいと思っています。  それから組織レベルと個人レベルとの使い分けですけれども、やはり基本的に法律上は組織と申しますか、実施主体に対して措置をするような形に整理しています。そのような意味では、実際に虐待をした施設職員がいたとすれば、その施設職員との関係は法律上との関係は別途整理をする問題だろうと思います。ちなみに法制度上はこのような条文を並べてまいりますけれども、これに加えまして、これは専門委員会の報告書でもご指摘いただいていますように、実際の現場の対応にもっと役立つようなマニュアルなり、ガイドラインなりは、また別途作ってまいりたいと考えています。  それから「指導」の件については、「指導」という言葉自体は児童福祉法上、特段特出しされていませんので、そのような意味ではここで書いていないのです。今も指導というのが法律上明示的に書かれてはいませんので、そこと全く並べるような整理をしていますので、実際にいわゆる指導についてはそこに規定されていなくても、通常の日常的なベースで行われているようなことは当然行えると考えています。 ○大日向部会長  よろしいですか。遠藤委員、お願いします。 ○藤井家庭福祉課長  失礼しました。申し訳ありません。先ほど自立援助ホームも入ると申しましたけれども、大変失礼しました。自立援助ホームは措置施設という整理にしていませんので、この被措置児童の対象には入っていません。入っていないというか、入れない整理にしたいと考えています。大変申し訳ありませんでした。 ○山縣委員  意見になりますが、自立援助ホームにおいても当然起こり得るという前提で考えざるを得ないのですが、そこで起きる問題については、どのようにお考えになりますでしょうか。 ○藤井家庭福祉課長  これもどこまで対象にするかはなかなか難しいのですが、今回基本的には先ほどご説明申し上げましたように、措置された児童については、基本的には自身で措置されるかどうか、あるいはどこに措置されるかというところも、判断できる余地というのはかなり少ないわけですから、そのような措置された児童について、このような虐待に対する対策を講じる必要性が高いのだろうと整理をしています。  それから、これは自立援助ホームでも確かにあり得る話ではありますので、そこはまたマニュアル等、あるいはガイドライン等を整理していく上で、そのようなレベルでは対応を考えたいと思いますけれども、法制度上、そこは線を引きたいと思っています。 ○大日向部会長  今のご説明でよろしいですか。わかりました。  では遠藤委員、お願いします。 ○遠藤委員  それでは社会的養護関連部分の(4)の「家庭支援機能の強化」のところで質問させていただきたいと思います。子どもやご家庭の多様化を踏まえて、いろいろな形で予防等も含めて、いろいろな立場で、養育をカバーをするという姿勢に立って、こちらに書いてある言葉は非常に有益だと思っています。先ほどの説明の中では一定の要件を満たすNPOということをおっしゃったのですが、ここには「医療機関やNPO等」という長い記述がありますが、私は確かに妊娠中からの、先ほどから何度か説明がありました。いわゆる医療的には正常な妊婦を見ていても社会的な支援を非常に要する妊産婦はいらっしゃいます。その方々はかなりの頻度でうつになったり、あるいは虐待につながったり、それから多胎等の子育ての大変さからなっていくという状況は明らかです。医療機関が家庭支援機能強化の立場で児童家庭支援センターの機能、センターになることを可能にするということで、考え方としては非常に良いと思っていますし、今病院は必ずしも病気の人ばかりを見るわけではなくて予防からということと、アフターケアということも書かれています。そして特に医療機関の、産科の医療機関の中で言いますと、例えばアフターベースセンターのような形で、正常な方が子育てまできっちりとフォローできていくような仕組みも一方でやっています。医療機関の中で一定の要件を満たすという、「一定の要件」は今どのように考えているのかを教えていただきたいということと、この機能を持ちながら、先ほどの子育て支援の中の乳児家庭全戸訪問事業あるいは養育支援、家庭訪問事業につながっていく、そのようなことを併せてそのセンターが持っていくということが可能なのかどうかというセンターの在り方というのを想定しているのかどうか少し教えていただきたいと思います。 ○大日向部会長  これはどちらのご担当にお答えいただけますでしょうか。藤井家庭福祉課長ですか。お願いします。 ○藤井家庭福祉課長  私から。児童家庭支援センターについては、先ほど遠藤委員がおっしゃったように、私どもはこのような医療機関というのも、一つの選択肢として考えられないかということで、今回はこのような措置を取りたいと思っています。申し訳ありません。まだ一定の要件は具体的にどのような要件を課すかというところまで詰めていませんので、まだ何とも申し上げられないところですが、やはり体制面できちんとした相談体制等々を取ります。現在の児童家庭支援センターでも人員はじめ幾つかの基準がありますけれども、割と同じような体制が取れるような所にお願いをするということが基本かと思っています。  また全戸訪問事業などの連携は、そこで一緒にやるなど、なかなか地域の状況もありますので、何とも一概に申し上げられないところがありますけれども、いずれにしてもきちんと連携をしていくといいますか、地域の体制の中で、この児童家庭支援センターも、きちんと組み込まれた形でないと、やはり機能していかないところは間違いないところですので、そこは地域ごとで全体の体制の中に位置付けるようなことでお願いしたいと思っています。 ○大日向部会長  では、お願いします。 ○小林虐待防止対策室長  補足をさせていただきますけれども、今回、要保護児童対策地域協議会の支援対象も広げるということもありまして、地域協議会の中のメンバーとして児童家庭支援センターが入っていただくのは大歓迎というか、そのようなことをやっている協議会もありますので、当然協議会の中でどのような支援が必要かということが関係者で話し合われて、その結果、全戸訪問や育児支援家庭訪問事業につなげていただくようなことは十分可能というか、まさにネットワークとしてやっていただくのは今回の法改正として目指すところです。 ○大日向部会長  よろしいですか。 ○遠藤委員  ありがとうございます。これからという形なのだろうと思いますが、乳児家庭全戸訪問事業も非常に効果を出している事業だと認識しています。ただこれから先、訪問者の質の問題や、本当にその中で支援が十分にできているのかというのが、ある程度。まずはとにかく行くことから、行くことで訴えてくれる。そうすると母親自身がストレスも改善できますし、予防等が取れてくると思いますが、さらにもう一歩踏み込んで、次のハイリスク児といいますか、ハイリスク家庭。その辺りをきちんと支援していくためには、訪問者の質の問題も絡んでまいりますので、何かこの辺りでリンクして良い予防的支援ができるとよいと感じるところです。 ○大日向部会長  ご意見ありがとうございました。いかがでしょうか。どうぞ、網野委員。 ○網野委員  二つほど、質問と少し確認させていただきたいのですが。一つは、小規模住居型児童養育事業についてはこのように理解すればよろしいのでしょうか。つまり、従来の児童養護施設それから地域小規模の児童養護施設的ないわゆるファミリーグループホーム的なもの、里親の方が個人の家庭でというものと、もう一つここに書かれているような特徴を持った養育親というのですか、そのようなシステムで、その里親とこの今度の新しい事業が比較的、例えば労働基準法などはあまり関係なく、ボランティア的と言うと何ですが、ややそういうようなことも含め、もちろん専門性を高めるのは常に大事でしょうけれど、そのような二つの部分とそれから施設型といいますか。この四つの類型でかなりいろいろなニーズに応じたケアができるというシステム方向で、そのような理解でよいのでしょうか。つまり保育で言いますと、保育ママというときには、この小規模住居型のような内容だと思います。  もう一つは、自分の家庭ではなく養育者、保育者の住居ではなく、家庭的に非常に小規模の住居型のことをやっていますが、これもある意味では非常に小規模保育所というような性格があるのです。これでうまく運用できることが結構子どものニーズや保護者のニーズから見るとあり得るかなと思いますが、児童養護の場合にも里親的なものが二つ、施設的なものが二つ。その運用も職員も経費も、やはりそこで大きく違いがあると受け止めてよろしいのでしょうか。 ○藤井家庭福祉課長  基本的には委員とイメージは変わらないと思います。ただ類型としてどのような分け方をするかはいろいろとありますけれども、先ほど網野委員が四つとおっしゃいましたけれども、制度的にといいますか、いわゆる地域小規模児童養護施設は基本的には施設の一運営形態というような整理ですので、制度上はあくまで児童養護施設の一部ということになるわけです。それと比べますと、里親ももちろんですが、今回のこのファミリーホーム事業は、完全に児童福祉法上、里親でも施設でもない第3の類型として位置付けられますので、そのような意味では四つの類型とまで言ってもよいかというと、法制度的には若干議論があると思いますが、ただ養育形態というような視点で見ますと、網野委員がおっしゃるように、里親があって、今度のファミリーホームがあって、地域小規模ないしは同じ児童養護施設等の施設であっても小規模ユニットケアというものもあって、さらに大きな施設があるというような、頭の整理にはなってくるかと思います。 ○網野委員  すみません、続けてもう一つ、施設内虐待この被措置児童と虐待ということで、いろいろなご質問 やご回答を聞いていたのですが、性格的にいいますと、例えば児童虐待防止法は、保護者の子どもに対する虐待のみに限定していますが、施設に入っている子どもは本来虐待があってはならないという前提で営まれているはずなのですが、そこが保護者と子どもとの関係での違いもかなりあると思います。そのように見ていきますと、例えば障害者の施設や高齢者のいろいろな施設などを含めると、かなり共通点があるのかなと。例えば施設としての責務や対応、職員個人のどうのというだけではない部分です。そのように見ますと、社会福祉施設全体での虐待防止や対応という法律で一本化というのは無理かもしれませんが、むしろその方がいろいろな意味で、例えば特に大きな社会福祉法人は各種施設も経営していますし、いろいろな点で、そのような見方もあるのかなと思いますが、やはりそれぞれ独立に、特に子どもの施設の児童虐待は最も今重要なことですので、やはりこのような独立した法律が必要ということで、このような案が出されたのでしょうか。 ○藤井家庭福祉課長  今回の議論の流れから申しますと、まさに網野委員がおっしゃる通りで、やはり措置されている子どもについて、特に権利擁護の観点から措置を講じる必要があるのではないかということで専門委員会でも議論をされましてここまで来ているわけですけれども、法体系的には、既に高齢者については高齢者虐待防止法が議員立法で既に制定されて運用されていますし、また障害者の虐待防止法については、別途、議論がまた行われているところですので、確かに網野委員がおっしゃるように、福祉分野をすべて包括したようなものを構想して考えることも一つの手としてはあるのではないかと思いますが、これまでの経緯から行きますと、既に高齢者はできていて、障害者は別に議論されているということですので、これは私どもとして、今回の被措置児童について一つ独立した法体系をつくるということも喫緊の課題でもありますので、やり方としてはあるのかなということで、進めている次第です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。いかがでしょうか、この辺りで皆さまのご発言は一通り出していただいたと考えてよろしいですか。  それではそろそろまとめに入りたいと思います。前回に続きまして、本日も大変活発なご議論をいただきましてありがとうございました。厚生労働省におかれましては、3月上旬を目途として現在開会中の通常国会に「児童福祉法等の一部を改正する法律(案)」という形で法案提出をすべく準備中と伺っています。事務局の厚生労働省におかれましては、この間、本部会でいろいろと出されましたご意見をどうか十分に踏まえて、法案作成の作業に取り組んでいただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。  それでは最後に、次回以降の日程について事務局からご説明をお願いします。 ○高倉総務課長  ありがとうございました。  ただ今の大日向部会長のご指示を受けて、まとめの作業を全力を挙げて取り組んでまいりたいと申し上げさせていただきます。またその上で、その作業が済んでからになろうかと思いますけれども、次回以降ですが、現時点では明確な予定はありませんので、また必要に応じてお願いさせていただくということで追ってご連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○柏女委員  よろしいでしょうか。1点だけ。これは要望ですけれども、今回の議論はまさに少子化対策特別部会で検討する部分とそれから社会的養護と部会が分かれたわけですけれども、特に政策の総合性ということを念頭においた議論をぜひ今後進めていただければと思っています。子育て家庭の子どもは社会的養護も利用しますし、子育て支援も利用するわけです。それぞれの場所でそれぞれの箱を充実させていくということはとても素晴らしいことだと思いますけれども、それはともすると、双方の政策の整合を乱してしまうということが起こっています。そう考えますと、社会的養護と児童部会と少子化対策特別部会、それから恐らくこの間の障害関係の会議でも障害児の環境・福祉体制についての障害チームが作られたという話が出ていましたけれども、そのようなことを考えますと、社会的養護の分野、子育て支援・保育の分野、そして障害児の分野がそれぞれ関係しているわけですので、総合的な議論ができる場をぜひご検討いただければと思っています。以前は合同部会のような形でやったこともありますので、そうしたことを考えていただくことで、子どもと子育て家庭の福祉を包括的に見ていけるような検討体制を確保してほしいと要望させていただきます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。  ただ今の柏女委員のご要望は大変重く受け止めさせていただきたいと思います。私はこの児童部会の部会長と特別部会の部会長の両方を務めさせていただいていますので、今のご要望を事務局とも相談して総合的な施策と考えて進めさせていただければと思いますので、またいろいろとご意見をいただければと思います。ありがとうございました。  それでは、これをもちまして本日の部会を閉会としたいと思います。どうもありがとうございました。 28