第1回 医薬品の販売等に係る
体制及び環境整備に関する検討会
資 料
平成20年2月8日

情報提供等に関する環境整備に関する論点

改正薬事法(抄)

(店舗における掲示)

第二十九条の三 店舗販売業者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該店舗を利用するために必要な情報であつて厚生労働省令で定める事項を、当該店舗の見やすい場所に掲示しなければならない。

(直接の容器等の記載事項)

第五十条 医薬品は、その直接の容器又は直接の被包に、次に掲げる事項が記載されていなければならない。ただし、厚生労働省令で別段の定めをしたときは、この限りでない。

六 一般用医薬品にあつては、第三十六条の三第一項に規定する区分ごとに、厚生労働省令で定める事項

第五十一条 医薬品の直接の容器又は直接の被包が小売のために包装されている場合において、その直接の容器又は直接の被包に記載された第四十四条第一項若しくは第二項又は前条各号に規定する事項が外部の容器又は外部の被包を透かして容易に見ることができないときは、その外部の容器又は外部の被包にも、同様の事項が記載されていなければならない。(陳列等)

第五十七条の二 薬局開設者又は医薬品の販売業者は、医薬品を他の物と区別して貯蔵し、又は陳列しなければならない。

2 薬局開設者、店舗販売業者又は配置販売業者は、一般用医薬品を陳列する場合には、厚生労働省令で定めるところにより、第一類医薬品、第二類医薬品又は第三類医薬品の区分ごとに、陳列しなければならない。

部会報告書(抜粋)

○ 第一類医薬品については、いわゆる「オーバー・ザ・カウンター」(注)を義務付けるべきである。

(注)専門家が関与した上で医薬品の選択・購入がなされるよう、販売側のみが医薬品を手にとるような方法で陳列を行うことをいう。

○ 第二類医薬品については、オーバー・ザ・カウンターとするよう努めるべき(努力義務)である。ただし、第二類医薬品のうち、*の付された成分(「相互作用」又は「患者背景」において特に注意すべき「禁忌」があり、その要件に該当する者が服用した場合に健康被害に至るリスクが高まるものや依存性・習慣性がある成分等)を含む医薬品については、オーバー・ザ・カウンター又は積極的な情報提供を行う機会をより確保することが可能となるような陳列・販売方法とすべきである。

○ 着衣の有無や色、名札等により、専門家と非専門家、専門家の中での資質の違い(薬剤師とそれ以外の者の区別)を購入者が容易に認識できるように工夫することも重要である。

○ 掲示すべき内容としては、リスクの程度によって販売方法が異なることや扱っている医薬品の種類、相談対応可能な時間帯等が考えられる。

○ 医薬品の添付文書の内容に関しては、できる限り、購入者が購入前に閲覧できるように環境を整備することが望ましいと考えられる。

○ 制度の実効性を高める観点や薬事監視の限界を考えると、販売方法等(例えば、第一類医薬品を販売する際に説明を行わないなど)について、購入者からの苦情を処理する窓口を設けることも重要である。

苦情処理窓口を設ける機関としては、業界団体や、医薬品販売業の許認可権限を有している都道府県等が考えられる。

販売時の積極的な情報提供及び相談対応時の情報提供が、国民から見てわかりやすく、かつ実効性をもって行われるために、薬局、店舗及び区域において、情報提供の機会が適正に確保されるような環境を整えることが必要となる。

情報提供等に関する環境整備の内容として、リスク区分の表示、医薬品の陳列、従事者の着衣や名札、店舗等における掲示等について検討を行うこととする。

(1)リスク区分の表示についての考え方(第50条第6号、第51条)

(2)医薬品の陳列の考え方(第57条の2)

(3)従事者の着衣や名札の考え方(部会報告書)

(4)薬局及び店舗における掲示の考え方(第29条の3)

(5)購入前の添付文書の閲覧(部会報告書)

(6)苦情相談窓口の設置(部会報告書)

(1)リスク区分の表示についての考え方

○ 一般用医薬品はリスク区分ごとに、区分について定められた事項を表示しなければならない。

○ リスク区分ごとに表示する事項は、消費者にとってリスクの程度がわかりやすい表示にすべきであり、販売名が書かれている面と同じ面に表示することが適当ではないか。

○ 表示すべき事項は具体的には、以下のいずれかの表示にすることが適当ではないか。

第一類医薬品、第二類医薬品、第三類医薬品
A医薬品、B医薬品、C医薬品

○ なお、第二類医薬品のうち、特に注意を要する成分を含む医薬品については、表示によっても、通常の第二類医薬品と区別が出来るようにすべきではないか。

○ また、表示する文字の大きさ等についても、わかりやすい表示となるような工夫が必要ではないか。

(2)医薬品の陳列の考え方

○ 一般用医薬品を貯蔵・陳列する場合は、医薬品以外の品目と分けなければならない。

○ また、第一類医薬品から第三類医薬品を陳列する場合は、区分ごとに陳列しなければならない。同一製品群のものについてまとめて陳列する場合であっても、製品群の中で区分して陳列するなど混在しないようにすべきである。

○ 特に第一類医薬品については、専門家が関与した上で医薬品の選択・購入がなされるよう、販売側のみが医薬品を手にとるような方法(いわゆるオーバー・ザ・カウンター)で陳列を行うべきではないか。

○ 一方、需要者の選択により使用されることが目的とされている一般用医薬品の特性を考えると、専門家による情報提供が十分確保できるのであれば、第一類医薬品のリストを薬局又は店舗等で示すこと等は可能ではないか。

○ 第二類医薬品についても、オーバー・ザ・カウンターとするよう努めるべきではないか。

○ また、第二類医薬品のうち、特に注意を要する成分を含む医薬品については、オーバー・ザ・カウンターによる他、積極的な情報提供を行う機会をより確保することを可能となるような陳列・販売方法とすべきではないか。

○ 積極的な情報提供を行う機会をより確保するような陳列・販売方法として、薬局又は店舗において、例えば、専門家のいるカウンターから一定の距離の範囲内のところに陳列をする方法や現品そのものを陳列せずにそれに代わるものを陳列し、専門家のいるカウンターで現品と交換する方法などが考えられるのではないか。

○ 以上の医薬品の陳列が適切に行われるように、薬局又は店舗においては構造設備基準に陳列に関する何らかの規定を設けるべきではないか。

○ 配置販売業においては、配置箱の中で第一類医薬品から第三類医薬品の分類が明確になるように、区分すべきではないか。

○ 配置箱の場合は、顧客が配置箱内の医薬品の場所を変えることがあり得るため、配置時に医薬品を区分することに加えて何らかの工夫が必要ではないか。

(3)従事者の着衣や名札等の考え方

○ 薬剤師、登録販売者及びその他の従事者を購入者が容易に認識できるように、区別する必要があるのではないか。

○ また、実務経験を行う者については、実務経験を行っていることが客観的にみてとれるよう、実務経験を行っていないその他の従事者との識別が容易に行われるようすべきではないか。

○ 配置販売業においては、業務の際に身分証を携帯することとされているため、身分証を着用することとしてはどうか。また、薬剤師、登録販売者等を購入者が容易に認識できるように、区別する必要があるのではないか。

(4)薬局及び店舗における掲示の考え方

○ 積極的な情報提供及び相談対応時の情報提供の実効性を高める観点から、薬局及び店舗において必要な掲示を行うべきである。

○ 掲示すべき内容としては、具体的には以下のようなものが考えられるのではないか。

・ 第一類医薬品は、販売時に薬剤師が積極的な情報提供を行うこと
・ 第一類医薬品は、販売時の積極的な情報提供の機会を確保するために、購入者が直接医薬品を手にとることができない場所に陳列を行っていること
・ 第二類医薬品は、販売時に薬剤師又は登録販売者が積極的な情報提供に努めること
・ 相談に対して、第一類医薬品については薬剤師、第二類及び第三類医薬品については薬剤師又は登録販売者が応対すること

○ また、購入者が適正に医薬品を購入する観点から、以下のような、薬局・店舗ごとに設定されている項目についても記載すべきではないか。

・ 許可の区分の別
・ 開設者の氏名(名称)
・ 管理者の氏名、業務
・ 勤務する薬剤師、登録販売者の種別、氏名
・ 取り扱う医薬品の種類(第一類医薬品から第三類医薬品まで全て、第二類医薬品及び第三類医薬品のみ、等)とその定義等
・ 購入者が直接医薬品を手にとることができない場所に陳列を行っている医薬品の種類
・ 薬剤師、登録販売者又はその他の従事者の着衣・名札の区別
・ 相談に応じることができる時間(営業時間外を含む)
・ 緊急時の連絡先、住所その他の事項

○ 掲示する場所については、消費者が店舗の外からも容易に見ることができるような場所を基本とすべきではないか。

(5)購入前の添付文書の閲覧

○ 医薬品の添付文書の内容に関しては、購入者が購入前に閲覧できるように環境を整備することが望ましいのではないか。

○ 閲覧の方法については添付文書の写し等を備えつける方法の他、電子的媒体を利用する方法などもあるのではないか。

(6)苦情相談窓口の設置

○ 制度の実効性を高める観点から、販売方法等について、購入者からの苦情を処理する窓口を設けるべきではないか。

○ 苦情処理窓口を設ける機関としては、業界団体や、医薬品販売業の許認可権限を有している都道府県等が考えられるのではないか。


トップへ