平成19年12月26日厚生労働省
「福祉から雇用へ」推進5か年計画(概要)〜誰でもどこでも自立に向けた支援が受けられる体制整備〜
1.本計画の目的
障害者、生活保護世帯、母子家庭世帯等公的扶助を受ける者等について、セーフティネットを確保しつつ、可能な限り就労による自立・生活の向上を図る。
2.本計画の目標期間
平成19年度を初年度とする平成23年度までの5年間とする。
3.本計画の具体的目標
障害者、生活保護世帯、母子家庭世帯それぞれの特性や課題に応じた推進方策の実施により、以下の目標を達成。
<障害者>
[1]平成25年度に、雇用障害者数を64万人にする。
[2]平成20年度から平成24年度の間に、ハローワークで24万人の障害者の就職を実現。
[3]平成23年度までに、年間9,000人の障害者を福祉から一般雇用へ移行。
<生活保護世帯・母子家庭世帯>
自立の可能性が見込める者に対し、就労支援を推進し、就職につなげる。
・生活保護世帯については、平成19年度までに就労支援プログラムを全自治体で策定し、当該プログラムの一環である生活保護受給者等就労支援事業の支援対象者の就職率を、平成21年度までに、60%に引き上げること等により、その就労を推進。
・母子家庭世帯については、平成18年度の常用雇用率は42.5%であるが、一貫した就業支援を行うこと等により、引き続き常用雇用を促進。
4.主な推進方策
(1)地域の特性を活かした就労支援体制の全国展開
<障害者に対する主な推進方策>
・障害者就業・生活支援センターを、平成23年度までに、全障害保健福祉圏域に設置するとともに、地域ニーズや支援実績等に応じた実施体制の充実を図る。
・チャレンジ雇用について、厚生労働省が先駆的に実施するとともに、平成20年度までに全府省で実施する。 等
<生活保護世帯に対する主な推進方策>
・自立支援プログラムの導入を一層推進し、平成19年度には、全ての保護の実施自治体において就労支援プログラムを策定する。 等
<母子家庭世帯に対する主な推進方策>
・子育て女性等に対する就職支援サービスの提供を行うマザーズハローワーク事業の拠点の拡充及び機能強化を図る。マザーズハローワーク事業による就職支援を受けた重点支援対象者の就職率を、平成19年度には、70%以上とする。 等
(2)ハローワークを中心とした「チーム支援」
・ハローワークと福祉事務所等の連携による生活保護受給者や児童扶養手当受給者の就労支援の取組を推進するため、就労支援アクションプランを実施する。その結果、生活保護受給者等就労支援事業の支援対象者の就職率を、平成21年度までに、60%以上に引き上げる。 等
(3)障害者雇用促進法制の整備
・短時間労働に対応した障害者雇用率制度の見直し、中小企業における障害者の雇用促進等を図るための制度の見直しを行う。 等
(4)関係者の意識改革
・企業の経営者・労働組合・従業員・福祉関係者等国民全体の意識改革と、相互の協力関係の構築等を通じ、雇用機会を拡大し、特に、障害者について、平成24年度までに全ての公的機関で障害者雇用率を達成する。
「福祉から雇用へ」推進5か年計画〜誰でもどこでも自立に向けた支援が受けられる体制整備〜
我が国は人口減少というこれまで経験したことのない状況の中で、経済成長を持続させ、生活の質を高くしていくことが、今後の日本経済の最も重要な課題である。そのために、意欲と能力を活かせる環境の整備による人材の活用や就業率の向上を進めることが不可欠である。そのような中、我が国の成長力強化に向け、平成19年4月に「成長力加速プログラム」が策定されたところであるが、人材と中小企業という経済の基礎力を高める「成長力底上げ戦略」の柱の一つとして、障害者、生活保護世帯、母子家庭世帯等を対象に、セーフティネットを確保しつつ、可能な限り就労による自立・生活の向上が図られるよう福祉・雇用両面にわたる支援を行う就労支援戦略を取りまとめたところである。この就労支援戦略の中で、障害者、生活保護世帯、母子家庭世帯等の就労支援を計画的に進めるために、本計画を策定することとされたところである。本計画の目標期間は、平成19年度を初年度とする5年間であるが、特に平成19年度から平成21年度までを集中戦略期間として、関係機関間や産業界等との連携を図りつつ、本計画を実施することとしている。なお、授産施設等で働く障害者の工賃水準を引き上げるとともに、一般雇用への移行の準備を進めるため、平成19年度中にすべての都道府県において、「工賃倍増5か年計画」を策定することとしており、関係行政機関や地域の商工団体等の関係者を挙げた協力の下、5か年で平均工賃の倍増を目指しているところである。
1.本計画の目的
「福祉から雇用へ」の基本的な考え方を踏まえ、障害者、生活保護世帯、母子家庭世帯等公的扶助(福祉)を受けている者等について、セーフティネットを確保しつつ、可能な限り就労による自立・生活の向上を図ることを目的とする。
2.本計画の目標期間
本計画の目標期間は、平成19年度を初年度とする平成23年度までの5年間とする。また、特に、平成19年度から平成21年度までの3年間に集中的に取組を強化することとする。
3.本計画の具体的目標
本計画の推進に当たっては、障害者、生活保護世帯、母子家庭世帯それぞれの支援対象者の特性や課題に応じた様々な推進方策を実施することにより、以下に掲げる目標の達成に努めるものとする。また、個別の推進方策については、それぞれの方策毎に、目標期間中の具体的目標を設定し、実績を検証しながら本計画を推進することとする。なお、本計画の達成状況については、定期的な検証を行い、必要に応じて、目標の見直しを行うものとする。
<障害者>
[1]平成25年度の障害者雇用実態調査において雇用障害者数を64万人にする。
[2]平成20年度から平成24年度までの間に、ハローワークにおいて、24万人の障害者の就職を実現する。
[3]平成23年度までに、年間9,000人の障害者を、福祉施策から一般雇用に移行させることとする。
<生活保護世帯・母子家庭世帯>
・生活保護の被保護者や母子家庭の母の中でも、稼働能力を有し、就労意欲のある者で早期に適切な就労支援を行うことにより、自立の可能性が見込める者に対して、就労支援を推進することにより、就職につなげる。被保護者や母子家庭の母の就職に係る目標は以下のとおりとする。
・平成19年度までに生活保護の就労支援プログラムを全自治体で策定するとともに、当該プログラムの一環である生活保護受給者等就労支援事業の支援対象者の就職率を平成21年度までに、60%に引き上げること等により、生活保護の被保護者の就労を推進する。
・平成18年度における母子家庭世帯の常用雇用率は42.5%となっていることから、母子家庭等就業・自立支援センター事業による一貫した就業支援を行うこと等により、引き続き常用雇用の促進を図る。
4.具体的な推進方策
(1)地域の特性を活かした就労支援体制の全国展開
[1]就職・職場定着支援や就業に伴う生活支援など障害者の就業面・生活面の一体的な相談・支援を行う障害者就業・生活支援センターを全障害保健福祉圏域に設置するとともに、地域ニーズや支援実績等に応じた実施体制の充実を図る。
【目標】
・障害者就業・生活支援センターを、平成23年度までに、全障害保健福祉圏域に設置する。
[2]各府省・各自治体において、職場実習を活用するなどして、知的障害者等が、一般雇用に向けて経験を積むための「チャレンジ雇用」を推進する。
【目標】
・平成20年度までに全府省で実施する。
[3]就労移行支援事業等の障害福祉サービスについて、障害福祉計画に基づき、各市町村において推進を図る
【目標】
・福祉施設から一般雇用へ移行する障害者数を、平成23年度までに、年間9,000人以上とする。
[4]障害者の態様に応じた多様な委託訓練(障害者委託訓練)の拡充、公共職業能力開発施設における職業訓練の実施等により、障害者の職業能力開発の推進を図る。
【目標】
・障害者委託訓練の受講者数を、平成23年度までに、平成18年度実績(年間4,814人)の3割増とする。
・障害者委託訓練の受講者の就職率を、平成23年度までに、50%以上とする。
[5]母子家庭世帯を含め生活保護を受給する世帯の自立を推進するため、自立支援の具体的内容と手順を定めた個別の「自立支援プログラム」の導入を一層推進し、全ての保護の実施自治体において就労支援プログラムを策定する。
【目標】
・就労支援プログラムを策定する自治体の割合を、平成19年度には、100%とするとともに、運用の一層の効率化を図る。59.8%(平成18年度)→100%(平成19年度)
[6]母子家庭の母等に対して、就業相談から技能講習、就業情報の提供までの一貫した就労支援サービスの提供を行うとともに、養育費の取り決めなどの専門相談を実施する母子家庭等就業・自立支援センター事業を全ての都道府県、指定都市及び中核市において行う。
【目標】
・母子家庭等就業・自立支援センター事業を行う自治体の割合を、平成19年度には、100%に引き上げ、その後も維持する。
・児童扶養手当受給者に対する就業相談の延べ件数の割合を、平成23年度には、10%以上とする。
[7]子育て女性等に対する就職支援サービスの提供を行うマザーズハローワーク事業の拠点の拡充及び機能強化を図る。
【目標】
・マザーズハローワーク及びマザーズサロンにおける担当者制による就職支援を受けた重点支援対象者の就職率を、平成19年度には、70%以上とするとともに、マザーズハローワーク事業の拠点の拡充及び機能強化を図る。
[8]母子家庭の母に対して、職業能力開発等を支援する母子家庭自立支援給付金事業や、個々のケースに応じたきめ細やかな支援を行う母子自立支援プログラム策定事業を全国展開する。
【目標】
・母子家庭自立支援給付金事業及び母子自立支援プログラム策定事業を実施する自治体の割合を、平成21年度までに、100%に引き上げ、その後も維持する。
・母子自立支援プログラムの策定件数を、平成23年度までに、2万件以上とする。
(2)ハローワークを中心とした「チーム支援」
[1]ハローワークと福祉事務所等の連携による生活保護受給者や児童扶養手当受給者の就労支援の取組を推進するため、就労支援アクションプランを実施する。
【目標】
・生活保護受給者等就労支援事業の支援対象者の就職率を、平成21年度までに、60%に引き上げる。
[2]ハローワークと福祉施設等関係機関により編成された障害者就労支援チームによる、就職の準備段階から職場定着までの一貫した支援を展開する。
[3]障害者の雇用促進を図るため、障害者雇用率の達成指導、きめ細かな職業紹介等による就労支援を推進する。
(3)障害者雇用促進法制の整備
・短時間労働に対応した障害者雇用率制度の見直し、中小企業における障害者の雇用促進等を図るための制度の見直しを行う。
(4)関係者の意識改革
・企業の経営者・労働組合・従業員・福祉関係者等国民全体の意識改革と、相互の協力関係の構築等を通じ、雇用機会を拡大する。具体的には、
[1]ハローワーク等を通じた周知・啓発による、特に障害者をはじめとする就職困難者の雇用に向けた企業経営者、労働組合、従業員に対する理解の促進
[2]特に、障害者については、公的機関に対する法定雇用率達成に向けた指導の徹底
等を図ることとする。
【目標】
特に、障害者について、平成24年度までに全ての公的機関で障害者雇用率を達成