「重点施策実施5か年計画」の構成

(前文)

1.障害者施策は、障害者基本計画及び現行重点施策実施5か年計画に基づき着実に推進

[1]障害者基本法の改正[2]発達障害者支援法の制定[3]障害者雇用促進法の改正[4]障害者自立支援法の制定[5]学校教育法等の改正[6]バリアフリー新法の制定[7]障害者権利条約の採択・署名[8]びわこプラス5の採択

2.今後とも、自立と共生の理念の下に、共生社会の実現に寄与するよう施策展開

[1]地域での自立生活を基本に、障害の特性に応じ、障害者のライフサイクルの全段階を通じた総合的な利用者本位の支援

[2]誰もが快適で利用しやすいユニバーサルデザインに配慮した生活環境の整備と、IT活用等による障害者への情報提供の充実等

[3]障害者自立支援法の抜本的な見直しの検討とその結果を踏まえた本計画の必要な見直し

[4]障害者権利条約の可能な限り早期の締結を目指しての必要な国内法令の整備

「1.重点的に実施する施策及びその達成目標」

(主なポイント)

・施策項目数8分野120項目(旧計画では60項目)

・数値目標数57項目(うち42項目は新規)(旧計画では34項目)

[1]啓発・広報

・将来を担う若者に対する啓発広報の一層の推進等による障害者に関する国民理解の促進

[2]生活支援

・障害者自立支援法の抜本的な見直しの検討及び利用者負担の見直し・事業者の経営基盤の強化

・ホームヘルプサービス等の障害福祉サービス等の計画的な整備

新サービス体系に基づき9項目の新たな数値目標を設定

[3]生活環境

・住宅、建築物、公共交通機関等のハード面及びバリアフリー教室等のソフト面に係るバリアフリー化の推進

都市公園等に係る7項目の新たな数値目標を設定

[4]教育・育成

・福祉、労働等の関係機関との連携による幼稚園から高校までを含めすべての学校における特別支援教育の体制整備

個別の教育支援計画の策定等4項目の新たな数値目標を設定

[5]雇用・就業

・障害者雇用率制度を柱とした障害者雇用の一層の促進

・授産施設等の工賃水準引上げによる福祉的就労の底上げの推進

・国等による福祉施設等の受注機会増大への取組

一般就労への年間移行者数等19項目の新たな数値目標を設定

[6]保健・医療

・脳の損傷による記憶障害等の高次脳機能障害の支援拠点機関の整備

高次脳機能障害の支援拠点機関に係る数値目標を新たに設定

[7]情報・コミュニケーション

・字幕番組・解説番組等の制作の促進

字幕放送時間・解説放送時間に係る数値目標を新たに設定

[8]国際協力

・障害者権利条約の可能な限り早期の締結を目指した必要な国内法令の整備

「2.計画の推進方策」

・新計画は、障害に係るニーズ、社会・経済状況、制度改正の際の見直し規定等を踏まえ、必要に応じ見直し

・毎年度、新計画の進ちょく状況を中央障害者施策推進協議会に報告

・障害を理由とした不当な差別的取扱い等に対する救済措置の整備

・毎年、都道府県との会議を開催するとともに、市町村に対し障害者計画に係る技術的協力を実施

重点施策実施5か年計画〜障害の有無にかかわらず国民誰もが互いに支え合い共に生きる社会へのさらなる取組〜

平成19年12月25日障害者施策推進本部決定案

障害者施策において、政府は、平成14年に、15年度から24年度までの10年間を計画期間とする「障害者基本計画」(以下「基本計画」という。)を策定し、併せて、基本計画に基づく諸施策の着実な推進を図るため、前期5年間に係る現行「重点施策実施5か年計画」を策定した。基本計画においては、我が国が目指すべき社会を障害の有無にかかわらず、国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会とすることを掲げ、そのための課題、分野別施策の基本的方向等を規定したところである。以来、我が国の障害者施策は、基本計画及び現行「重点施策実施5か年計画」に基づき、共生社会の実現に向けて着実に推進され、各分野で法制度の改正等が行われてきたところである。

〈法制度の改正等〉

平成16年

・障害を理由とする差別の禁止等を内容とする障害者基本法の改正

・発達障害者に対する生活全般にわたる支援の促進等を図るための発達障害者支援法の制定

平成17年

・精神障害者に対する雇用対策の強化等を行うための障害者の雇用の促進等に関する法律の改正

・障害者が地域で安心して暮らすことができるよう、障害福祉サービスを質・量共に充実すること等を目的とした障害者自立支援法の制定

平成18年

・複数の障害に対応した教育を行うことのできる特別支援学校の制度化等を行うための学校教育法等の改正

・教育の機会均等に係る規定に障害者の教育に係る支援を盛り込んだ教育基本法の改正

・公共交通機関、道路、建築物等の一体的・総合的なバリアフリー化の促進等を内容とする高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の制定

〈国連の動向等〉

平成18年

・国連総会における、障害者の権利及び尊厳を保護し、及び促進するための包括的かつ総合的な国際条約である障害者権利条約の採択

平成19年

・国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)における「びわこミレニアムフレームワーク」に係る後期5年間の行動指針としての「びわこプラスファイブ」の採択

・障害者権利条約の署名

共生社会は、障害の有無にかかわらず、国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う社会であるとともに、障害者が社会の対等な構成員として人権を尊重され、自己選択と自己決定の下に社会のあらゆる活動に参加、参画し、その一員として責任を分担する社会である。本計画においては、現行「重点施策実施5か年計画」期間において行われた法制度の改正の施行状況等を踏まえ、自立と共生の理念の下に、共生社会の実現に真に寄与するようにするため、以下に重点を置き、施策展開を図ることとするものである。

[1]地域での自立生活を基本に、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害等の障害の特性に応じ、障害者のライフサイクルの全段階を通じた切れ目のない総合的な利用者本位の支援を行うこと。

[2]障害者の地域における自立や社会参加に係る障壁を除くため、誰もが快適で利用しやすいユニバーサルデザインに配慮した生活環境の整備等を推進するとともに、IT(情報通信技術)の活用等により障害者への情報提供の充実等を図ること。

[3]障害者自立支援法の抜本的な見直しの検討を進め、その結果を踏まえ必要に応じ本計画の見直しを行うこと。

[4]障害者の権利及び尊厳を保護し、及び促進するための包括的かつ総合的な国際条約である障害者権利条約の可能な限り早期の締結を目指して必要な国内法令の整備を図ること。

本計画においては、これらを基とし、基本計画の後期5年間における諸施策の着実な推進を図るため、平成20年度からの5年間に重点的に取り組むべき課題について、120の施策項目並びに57の数値目標及びその達成期間等を定めるものである。

「I.重点的に実施する施策及びその達成目標」

1.啓発・広報

[1]啓発・広報活動の推進

・共生社会の理念の普及等

障害者週間の行事の実施等を通じて、共生社会の理念の普及を図る。特に、将来を担う若者に対する啓発・広報を一層推進する。また、障害のある人が障害のない人と同じように生活するために必要な配慮・工夫について国民の理解と協力を得るため、啓発・広報を推進する。

(数値目標・達成期間)

・共生社会の周知度

・世代全体40.2%〔19年〕→ 50%〔24年〕

・共生社会の周知度

・若者(20代)26.7%〔19年〕→ 50%〔24年〕

※直近の実績の数値を矢印の左側に記載している。以下同じ。

・精神障害、知的障害、発達障害等に係る一層の理解促進

国民の障害及び障害者に対する理解を引き続き促進する。とりわけ、国民の理解が遅れているとされる精神障害、知的障害、発達障害等については、その障害の特性や必要な配慮等に関し、国民の理解と協力が得られるよう一層の啓発・広報を推進する。また、地域社会における障害者への理解を促進するため、福祉施設、教育機関等と地域住民等との日常的交流の一層の拡大を図る。

・障害者権利条約及び障害者関連法令の周知

我が国が署名し、今後締結を目指している「障害者の権利に関する条約」への関心を高めるため、同条約の国民への周知を図る。また、国民の障害者に対する理解を促進し、障害者の人権の確保等を図るため、同条約等に係る関連法令を含む障害者関連法令の国民への周知を図る。

・障害者の利活用への配慮等に係る啓発・広報の充実

障害者が利活用する視覚障害者誘導用ブロック、補助犬、補装具等に対する理解を促進するとともに、円滑な利活用に必要な配慮等について周知を図る。特に、障害者用駐車スペースにおける不適切な利用を防止するなど、当該駐車スペースを必要とする障害者等が円滑に利用できるようにするため、当該駐車スペース及びいわゆる国際シンボルマークの趣旨の周知や、分かりやすい表示の普及等を図る。障害者団体等が作成する各種障害を対象とした啓発、周知等のためのマークについて、国民への情報提供を行い、その周知を図る。

・多様な媒体を活用した啓発・広報の推進

インターネットの活用等、創意工夫のある広報媒体・広報手段を活用した効率的・効果的な啓発・広報を推進する。

・関係機関の連携・協力による啓発・広報の推進

企業及び民間団体との連携、マスメディアの協力による啓発・広報を推進するとともに、人権擁護、福祉、労働、教育等の各行政分野の連携による幅広い啓発・広報を推進する。

・「心のバリアフリー」の推進

バリアフリー化の推進に関する取組を表彰し、その取組を広く普及させること等により、障害者が自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性について国民の理解を深め、誰もが障害者等に自然に手助けすることのできる「心のバリアフリー」を推進する。

[2]福祉教育等の推進

・相互理解の促進


トップへ