第16回 医療情報ネットワーク基盤検討会

日時 平成19年10月22日(月)
17:00〜19:00
場所 虎ノ門パストラルホテル新館4階「プリムローズ」

○高崎補佐

定刻になりましたので、ただいまから第16回「医療情報ネットワーク基盤検討会」を開催いたします。委員の皆様には、ご多忙のところご出席いただきまして誠にありがとうございます。本日の検討会は公開形式で行います。最初に、検討会開催に当たりまして、厚生労働省医政局の外口局長よりご挨拶申し上げます。

○外口局長

第16回医療情報ネットワーク基盤検討会の開催に当たりましてご挨拶申し上げます。本日は、ご多忙のところ委員の皆様方にはご出席いただきまして誠にありがとうございます。

さて、平成15年6月に、厚生労働省医政局に設置されたこの検討会では、患者・国民の視点を重視した質の高い、効率的な医療提供体制の実現という観点から、今後の医療情報ネットワーク基盤のあり方について、幅広くご意見をいただいてまいりました。平成17年3月には、ご提言を踏まえまして、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を作成させていただきました。また、昨年度には、総理を本部長とするIT戦略本部の下に設けられました、情報セキュリティ政策会議におきましても、医療におけるIT基盤の災害や、サイバー攻撃等への対応を体系づけ、情報セキュリティ確保に関わる安全基準等を明確化することが求められました。さらに、IT新改革戦略、そのアクションプランである重点計画が発表されました。

このような背景の下で、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインの一部改定を行い、平成19年3月に第2版として公表させていただいたところです。この第2版への改定に当たりましては、本日ご参集いただいております委員の先生方にも多大なるご協力を賜りました。改めて厚く御礼申し上げます。

医療のIT化の着実なる推進は、医療情報のさまざまな活用を生みましたが、一方でこれに伴って医療情報の取扱いに関する責任等のあり方について議論を深めておく必要があります。

また、IT化の進捗状況を踏まえ、処方せんの電子化の可否についても一定の見解を示すこととなりました。さらには、ガイドラインの第2版において提起いたしました、ネットワークのセキュリティ要件でありますが、これについても無線LANやモバイルといった技術についても運用ルールをきちんと定めておくべきとの意見が多く聞かれるところです。医療の情報化を推進していくに当たりまして、いずれも重要な課題であり、今年度末にはこれらの要請に応えるべくガイドラインを再改定し、第3版として公開できればと考えております。適宜作業班も設けて議論を進めていただければと思っております。是非活発なご議論をいただきますようお願い申し上げまして挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○高崎補佐

前回第15回検討会より少し間が開いておりますので、本検討会の委員の方々をご紹介いたします。資料の委員名簿をご覧ください。日本製薬工業協会医薬品評価委員会電子化情報部会長の足立武司委員、名古屋大学名誉教授の石垣武男委員、日本歯科医師会常務理事の稲垣明弘委員、東京工業大学像情報工学研究施設教授の大山永昭委員、東京医科歯科大学大学院政策科学分野教授の河原和夫委員、東京工業大学統合研究院ソリューション研究機構特任教授の喜多絋一委員、保健医療福祉情報システム工業会運営幹事の篠田英範委員、日本医師会常任理事の中川俊男委員、日本薬剤師会理事の原明宏委員、東京大学法学部教授の樋口範雄委員、日本インターネット医療協議会事務局長の三谷博明委員、読売新聞東京本社編集局解説部次長の南砂委員、日本医師会総合政策研究機構主任研究員の矢野一博委員 東京大学大学院情報学環・学際情報学府准教授の山本隆一委員、日本画像医療システム工業会医用画像システム部会長の吉村仁委員。本日ご出席の以上の皆様のほかに、日本看護協会常任理事の廣瀬千也子委員より、本日は都合により欠席するとの連絡を承っております。

続きまして、関係府省よりオブザーバーとして参加していただいております方々を紹介させていただきます。内閣官房情報通信技術担当室の西原栄太郎情報通信技術参与、総務省情報通信政策局情報流通振興課情報流通高度化推進室の藤本昌彦室長、経済産業省商務情報政策局サービス産業課医療・福祉機器産業室の渡辺弘美室長の代理として坂無英徳課長補佐にご参加いただいております。

引き続き事務局の紹介をさせていただきます。厚生労働省医政局研究開発振興課長の新木、同課医療機器・情報室長の冨澤、同じく医療機器・情報室室長補佐の松本、同じく私は医療機器・情報室室長補佐の高崎です。なお、外口医政局長は、公務のため退席させていただきます。

以後の議事進行は大山座長にお願いいたします。

○大山座長

議事進行を務めます大山です。半年ぶりに皆さんにお集まりいただく会を開くことになりました。先ほど事務局から話がありましたように、今年度末には第3版を出したいということです。第1版から第2版と、第2版から第3版の間では時間が短くなっています。そう考えてみますと、医療の中が大きく動き始め、情報化が進み出したのかという気がいたします。特に本日のお話の中には、無線・モバイルの話、処方せんの話、医療情報の取扱いと書いてありますが、極めて重要なテーマですので、なにとぞ皆様方の力をお借りし、第3版へこぎつけるだけの、作業量が多くあると思いますが、お力添えをいただきたいと思います。

議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○高崎補佐

本日の資料は、議事次第、委員名簿、資料1「医療情報ネットワーク基盤検討会開催要領」、資料2「医療情報ネットワーク基盤検討会の進め方」、資料3「規制改革要望(平成19年度)」、資料4「IT新改革戦略評価専門調査会2006年度報告書(抄)」、資料5「無線・モバイルを医療機関で利用する際の技術的要件等について」、資料6「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第2版)」です。

○大山座長

本日の議事に移ります。議事の1は医療情報の取扱いに関する事項、その2は処方せんの電子化に関する事項、その3は無線・モバイルを利用する際の技術的要件等に関する事項についてです。事務局から説明をお願いいたします。

○高崎補佐

本検討会は、平成15年6月より厚生労働省医政局に設置し、医療情報の電子化について、その技術的側面及び運用上の管理の課題解決や、推進のための制度基盤について検討を行い、平成17年3月に医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを公開いたしました。初版公開後、IT戦略本部に設けられた、情報セキュリティ政策会議にて、医療におけるIT基盤の災害、サイバー攻撃等への対応を体系づけ、情報セキュリティ確保に関わる安全基準等を明確化することが求められ、また、さらにIT新改革戦略・重点計画において、「安全なネットワーク基盤の確立」が掲げられ、早急なセキュリティ対策の構築が求められました。

以上の要請に応えるべく、平成18年度には13回から15回の計3回の会議を行い、「外部と個人情報を含む医療情報を交換する場合の安全管理」、「災害等の非常時の対応」等を取りまとめ、ガイドラインを改定いたしまして、資料6にあります第2版として、平成19年3月に公開いたしました。第2版改定後のIT技術の進展、時代の変遷に伴い、解決すべき諸般の課題が析出してまいりましたので、この度本検討会を再開することといたしました。

今回の重要な議事といたしましては、以下の3点です。医療情報の取扱いに関して、処方せんの電子化に関して、無線・モバイルを利用する際の技術的要件等に関してです。詳細については後述させていただきます。

資料2をご覧ください。今回第16回の検討会においてご賛同いただければ、主たる検討課題に応じて作業班を設けたいと考えております。各作業班において、10月中旬から1月末日を目処に、ガイドラインの改定案を作成。改定案につき、第17回検討会において審議、必要があれば作業班に修正指示。指示を反映したパブリックコメント案を第18回検討会で審議し、パブリックコメントを経た後、意見反映版を第19回検討会で審議させていただきます。なお、ごく軽微な修正の場合には開催しない場合もあります。

資料3をご覧ください。医療情報の取扱いに関してです。背景・経緯については、先般個人情報保護法が平成15年5月に成立、平成17年4月に施行されました。個人情報保護法案が審議された衆参両院の個人情報の保護に関する特別委員会の付帯決議及び「個人情報の保護に関する基本方針」、平成16年4月に閣議決定されたものにおいて、医療情報は個人情報の性質や利用の方法等から、特に適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要のある分野であると指摘されました。

厚生労働省では法の趣旨を踏まえ、医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いが確保されるために遵守すべき事項及び、遵守することが望ましい事項を、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」にて具体的に言及いたしました。

さらに、当指針では情報システムの導入、及びそれに伴う外部保存を行う場合の個人情報の取扱いに関しては、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインで示すとされました。

他方、平成17年3月、「診療録等保存を行う場所について」、及びこれに係る「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」にて、医療に関する個人情報の外部保存の委託先を、医療機関又は行政機関に限定いたしました。

また、医療従事者の守秘義務に関してですが、医療関係者の資格者に対しては、刑法第134条の他、保健師助産師看護師法第42条の2等に、罰則付きの守秘義務の規定が置かれ、不妊手術、精神保健、感染症など、その業務の内容によってはそれぞれの関係法律に、資格者でない職員についても罰則付きの守秘義務の規定が置かれています。

さらに、一般医療機関等の職員についても、医療法第15条や薬事法第9条で、管理者に対し、従業者に対する監督義務を規定していて、個人情報保護法第21条と相俟って、管理者を通じた個人データを取り扱う従業員への監督がなされることとなっております。

昨今、これまで想定していなかった民間事業者の診療情報の外部保存について、参入を認めるようここ数年にわたり、規制改革会議等より要請されております。民間事業者が個人情報を取り扱う場合には、刑法や身分法で定められるような罰則を伴う守秘義務等のルールが存在しておりません。

医療に関する個人情報の容易な商用利用などを禁じなければ、民間事業者の参入を認めることは困難であり、また早急に対応が求められていることから、本検討会にて有識者の方々にご議論いただければと考えております。そして、本年度中に改定する「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第3版)」に反映させる予定です。

資料4をご覧ください。処方せんの電子化に関してです。背景ですが、平成16年11月に成立した「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」、通称「e-文書法」ですが、これによって原則として法令等で作成又は保存が義務づけられている書面は電子的に取り扱うことが可能となり、また各省の所管する文書の電子化については、各省令に委ねられることとなりました。

「医療情報ネットワーク基盤検討会」での「今後の医療情報ネットワーク基盤のあり方について」において、保険調剤薬局で調剤を行うために、患者等に交付する院外処方せんについては、電磁的記録による作成及び交付における必要な要件を満たす環境が整っていないとして、法施行後も容認することはできないとされました。

本提言を踏まえまして、「厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令」において、処方せんに関しては法の適用対象外とされました。

今般、IT新改革戦略評価専門調査会医療評価委員会より処方せんの電子化について検討すべきと提言されております。レセプトのオンライン化により、原則としてすべての医療機関、保険調剤薬局を結ぶネットワーク基盤が整備される平成23年以降において、患者による処方せんの内容の確認、薬局の自由選択制を担保した形での処方せんの電子化、及び処方調剤情報の共有化のあり方について、本年度より可否も含めて検討し、不可とする場合にはその根拠についても明確化できればと考えております。

資料5をご覧ください。「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第2版)」において、有線のネットワークに関するセキュリティ要件等を定義したところです。技術の進展を背景に、医療機関等でも、無線LANやモバイルアクセスを活用する場面が散見されます。この無線・モバイルについてのセキュリティ要件の定義を望む声が高まっておりまして、これらを明示することとしたところです。本年度中に改定する「医療情報システムの安全管理に対するガイドライン(第3版)」に反映させる予定です。

ご検討のほどよろしくお願いいたします。事務局からの説明は以上です。

○大山座長

ただいまの、事務局からの説明に対してご意見、ご質問等がありましたらお願いいたします。予定ではこの3つの検討項目に関し、それぞれ作業班をつくっていただき、その結果を2月の頭を目処に皆さん方にもう一回確認していただき、その後パブリックコメントを行ってと、前回第2版を出したときに近い進め方ではあります。したがって、委員の皆様方全員が作業班にお入りいただければ問題はないのですが、お入りいただかないと次は2月までないので、この内容を進めていただくにしても、何か気をつけろというようなこと、あるいは皆さん方の意見等があれば受けたいと思います。

○中川委員

医療情報の取扱いに関する事項のところですが、資料3の2頁目の規制改革要望に対する「厚生労働省の回答」のところに非常に重要な指摘がされています。医療情報というのは、究極の個人情報の1つだと思いますので、この利用が例えば営利目的であるとか、目的外使用といったことがなされないように厳密なルールを決めなければいけません。まして、いまは情報漏洩といいますか、そういうのが頻発していますので、万が一漏洩があった場合の厳しい指導、さらに踏み込めば罰則などもあり得るようなルール作りをしっかりやらなければいけないと思うのです。医療情報も規制改革要望といいますか、そういう中に一般の産業界の規制と同じような位置づけではちょっと違うのではないか。ある意味では特殊な、聖域とまでは言いませんけれどもそういうものだと考え、しっかりした議論をお願いしたいと思います。

○大山座長

いまの件に関係して何かありますか。

○山本委員

全く同じ意見なのですが、議論を急がないといけないというのは、既になし崩し的にアウトソーシングみたいなことが、例えば特定健診の動きでありますとか、そういう所で始まっていますので、これはできるだけ密に議論して、きちんとした対策を作っていかないといけないと考えております。

○矢野委員

いまお2人からあったのはまさしくその通りと思います。私が気になるのは、中川委員の最後のところの実効性の担保のところをどう考えていくか、というところも含めて今後の議論、もしくは作業班での議論を念頭に置いてやるほうがいいのではないかと思いました。なし崩し的にやっている所を、取り締まると言うときついですけれども、やはりそれは駄目なのだよ、とちゃんと言えるような形のものにする必要があるかと思います。

○稲垣委員

医療情報ですが、現行でカルテ等は医療機関の中で保存しておくということで、一定の安全性が保たれていると思うのです。これは民間にかかわらず外部に保存するということはその目的をきちんと明確にしておく。特に、それを民間で外部保存するということは、その辺が必要なのかと思います。現行の医療機関において安全性が保たれるものを、外部保存に対しては必ずリスクが高くなると思うのです。特に民間でなぜ保存をするかということの目的もきちんと明確にすることが必要だと思います。

○石垣委員

外部保存の場合、永久に保管する場合と違って、遠隔医療というか、画像診断の遠隔医療をやっているのですけれども、ある一定期間だけ自分の施設に保管する場合がありますので、その辺も想定するというか、考えていただきたいと思います。

1つ確認させていただきたいのですが、無線・モバイルというのは、無線LANを使った場合と、それからモバイルというのは通常のパソコンも含めた、そういう解釈でいいのですか。

○大山座長

いまの件については、事務局から回答をお願いいたします。

○高崎補佐

無線・モバイルに関してですが、無線LANはベッドサイドでのノートPC等での使用を想定しています。モバイルについては、例えば在宅で情報が発生した場合に入力するであるとか、介護で情報が発生したときに入力するといった利用を想定しています。

○大山座長

藤本室長から、そちらの定義みたいなものはあるのですか。

○藤本室長(総務省)

別に定義というものはございませんが、携帯電話やPHSや無線LAN等の院内外でも使えるような無線システムのことかと思っています。

○足立委員

いまのモバイルの件ですが、もう1つモバイルとして想定されるのは、医療関係者が自宅で患者のデータを整理する。遠隔操作で病院のサーバーにアクセスし、そこで何かデータを整理するということも考えられると思うのですが、そういうところも今回のスコープに入れるのですか。ベッドサイドとか、在宅医療のときのデータ収集というのも当然あると思うのですが、そのときに想定されるのはPHSや電話回線を使ってやる場合もあります。いまはLANが結構どこにでも入っていますので、例えば出張先で患者のデータを見ることもあろうかと思います。そういうときは想定しているのでしょうか。

○高崎補佐

おっしゃられるとおりでして、資料5のいちばん下のパラグラフに、モバイルの利用シーンの想定をいくつか列挙しております。委員が言われる自宅や出張先等での情報参照、入力というのもスコープとしております。

○稲垣委員

もう1点は処方せんのほうです。先ほどの説明では、レセプトの完全オンライン化によってということなのですが、現行のレセプトのオンライン化のネットワークのほうは、いわゆる医療機関と調剤薬局とを直接結ぶような回線ではないわけです。そういう意味で、レセプトオンライン化がイコール処方せんのネットワーク化ができる、あるいは処方せんの電子化ができるという条件は満たされないのではないかということが1つです。

それから、処方せんの電子化の検討という形の表題なのですが、これは処方せんの電子的なフォーマットを含めた検討なのか、その辺の具体的な内容です。現行の処方せんというのはまだ定形的なものがなく、その辺のまとめが大変であるとか、さまざまな問題があるのですが、その2点について説明していただけますか。

○高崎補佐

レセプトオンラインのネットワークの活用についてと、フォーマットについてというご質問ですが、資料4の1枚目のいちばん下の「ネットワーク基盤の活用」のところに、「平成23年度当初までに実現されるレセプト完全オンライン化のために必要となるネットワーク基盤は、オンライン請求のみならず、医療・健康・介護・福祉分野横断的に広範な活用が行いうる拡張性の高い基盤として構築すべきである」と提言されており、今後こういうことも視野に入れられているということです。

フォーマットについては、先ほど申し上げましたとおり、まずは処方せんの電子化の可否についてあり得るのか、現時点での技術水準や社会通念上許容され得るのかどうかということをご議論いただき、次のフェーズで、電子的なフォーマットについて議論されるのではないかと認識しております。

○松本補佐

ただいまの件について補足させていただきます。平成23年度のレセプトのネットワークは、いわゆる薬局と保険医療機関をつなぐわけではないのですが、そのポイントとして入出力の基盤ができるという意味です。そういうものをうまく活用し、何らかの拡張性の高い基盤として構築すべきであるという提言になっております。基本的には各医療機関、保険医療薬局のほうに入出力の窓口的なものが構築されるであろうと。そういうものをよく活用しなさい、というような理解としております。

○矢野委員

確認ですが、資料4というのは厚生労働省の事務局のというものではなくて、医療評価委員会から出てきているということでよろしいですか。

○高崎補佐

はい。

○矢野委員

処方せんの電子化云々が議題に上がっているに当たり、技術的要件を洗い出すということは、オンラインレセプト請求の云々というのはちょっと外して、フラットに技術的要件を洗い出すのがよいと思います。そもそも処方せんの電子化が時期尚早という判断をしたのは、フリーアクセスの問題が1点挙げられていたかと思うのです。仮にフリーアクセスができた場合に必要な要件をフラットに議論するというのがいいのではないかと思います。

○山本委員

資料4の最後に、石垣先生と一緒に名前が出ていますので説明しますと、レセプトオンラインのネットワークを直接利用するという意味ではなくて、レセプトオンラインが100%であるのならば、すべての医療機関、すべての保険薬局で、オンラインというよりもはるかに簡単であるような電子的なレセプトの扱いが可能になるであろうと。したがって、その時点で何かほかに問題があるのならその問題をはっきりさせるという意味で検討をしてほしい、ということだったように思います。

○中川委員

山本先生のご説明にもありましたが、資料4の医療評価委員会報告書のいちばん下に、「平成23年度当初までに実現されるレセプト完全オンライン化のために」と書いてあります。これは、実現を目指しているのですよね。現場を見ると、まさにこれは目指すという表現にとどまるべきだというのが現状です。

それを受けて次の頁に、「処方せん電子化と処方調剤情報の共有」の「方向性」というところに、「レセプトのオンライン化によりすべての医療機関・調剤薬局を結ぶネットワーク基盤が整備された段階では」と。レセプトオンライン化とネットワーク基盤の整備というのは、基本的にこれは違う次元だと思います。

それで教えていただきたいのですが、そのちょっと上の「課題」の2つ目のポツの「処方情報の機械的な監査も困難で」とありますが、この「監査」というのは何を意味しているのでしょうか。

○山本委員

ごく薬剤部といいますか、薬局の言葉で言われている、いわゆる調剤の監査です。つまり、処方どおり薬がきちんと用意されているかどうかを監査するという意味での監査です。薬剤師の主な業務になっていると思います。

○中川委員

それは、監査と言うのですか。

○山本委員

はい。

○中川委員

指導監査と同じかと思いました。

○山本委員

漢字は同じですけれども、意味はだいぶ違います。

○中川委員

意味は違うのですか。ただ、あるかどうかというチェックだという意味であればいいのですが、処方情報というのは機械的にやってはいけないのです。それはそれで個々のケースで違いますので。

○山本委員

処方自体の妥当性を監査するという意味では全くないです。処方せんと同じようにきちんと調剤ができているか。もう1つは、多少配合禁忌であるとか、併用禁忌みたいなものは自動的にチェックするというのは含まれています。例えば、病名に対して処方の妥当性ということは含まれていません。

○中川委員

先ほどのご意見で、レセプトオンライン化よりも、ずっと前段階の電子化がなされていれば、基盤は整っているという話がありましたが、レセプトオンライン化がなかなか難しいというのは、その前の電子化ができていないからというのが実態なのです。そういう意味では、電子化は簡単でしょうということは、現場を見ると全く違います。

それと、電子化されてそれを扱える薬局、調剤薬局もすべて100%ではないはずですし、医療機関も同様のはずです。そこでいちばん問題になるのは、フリーアクセスの阻害といいますか、そういうものも必ず出てくる可能性があるので、まだいまの段階ではというか、当分の間は時期尚早ではないかという印象を非常に強く持っております。

○原委員

いま中川委員が言われたことは全くそのとおりであり、いわゆる処方せん情報、あるいは処方情報の電子化と、いわゆる物である処方せんの電子化とは整理して議論を進めていただきたいと思います。物である処方せんが電子化されるということが、果たして患者にメリットがあるかどうか。先ほど「監査」という表現も出てまいりましたけれども、確認する上で、本当にその処方せんが電子化されている必要があるかどうかということは、やはりその話の論点が違うのではないかとも感じております。

○山本委員

言い訳をするわけではありませんけれども、IT新改革戦略、及び重点計画-2006・2007に書かれていることが、一部の字面だけを実現するためにそれが先走りする。例えば、レセプトのオンラインだけを進めるために、そのことだけをやるというのでは、本質的には意味がない。したがって、やるのであれば全体に最適化するようなことを十分に考慮した上で進めなければいけないというのが医療評価委員会の大体の考え方であります。

例えば、平成23年にレセプトオンラインができるのであればということで、できることを前提に話をしているわけではない。ただ、単にレセプトオンラインで送ることだけが目的ではなくて、そのことによって患者視点、ないしは医療全体として何らかの最適化が行われるような配慮が必要で、それができないのだったら、オンラインをすること自体だけでは意味がないということで提言をさせていただいていると私は理解しております。

したがって、平成23年に必ずレセプトオンラインができているからというわけではなく、レセプトオンラインをやりますというのだったら、こういうこともきちんと考慮しないといけないという意味で書かせてもらっています。

○三谷委員

医療情報ネットワーク基盤検討会が当初開催されてきてだいぶ日時は経つのですけれども、今回取り上げた3つのテーマはいずれも重要なテーマではないかと思っています。

2番目の、処方せんの電子化の検討に関しては、この検討会において平成16年ごろに何回か検討会を重ねる中で議論がされてきたと思います。その当時には、患者あるいは国民の視点に立って利便性の向上等ということでいろいろ議論が出たかと思います。最終的に報告書の中では、まだいろいろと課題があるので、現時点では難しいというような整理だったかと思います。そのときに、処方せんが電子化されることのメリットとか課題等がいろいろ細かく出てきたかと思います。それから3年経って、だいぶ周りの環境も変わってきていると思います。3年経った間に何が変わったのか、変わらないのかというところも含めた議論をしていく必要があるのではないか。

それから、今回やろうとしている3つのテーマの中で、最初の医療情報の外部保存、モバイル云々とありますけれども、処方せんの電子化については、ガイドライン云々の前にその可否というような議論が先行するかと思うのです。その辺の議論が深まっていくのであれば、平成16年9月30日に出ました基盤検討会の最終報告書の中身についても、もう一回議論し直す必要があるのではないでしょうか。

当時、難しくてできないとされていたのが、変わらないのか、あるいは変わったのかというところで、平成16年9月30日の最終報告で取り上げられた議論にもう一回立ち戻っていって議論を深めていってほしいと感じております。

○中川委員

この検討会として、資料3の規制改革要望をどのように認識しているのかを確認したいのです。民間事業者による、電子化された診療録等の外部保存を求める、その目的はどのようにこの検討会として把握するのかということを是非教えていただきたいのです。

これに限らず、処方せんもモバイルも、いわゆる医療におけるIT化というのは、医療の質の向上と安全性の高まり、担保を含めて、もちろんフリーアクセスもそうですけれども、医療のために非常に有益だということでなければ、これは理解を得られないと思うのです。

どうも民間事業者の、診療録も外部保存することを担当させろ、という要望の意図がなかなか理解できないので、是非この検討会として教えていただきたいと思います。

○高崎補佐

例えば診療所を想定したときに、診療録というのはおそらくカルテ庫に何段もいくつもあると思います。それを、悪意のある第三者が盗難しようと思いカルテ庫ごと運び出すのは無理だと思います。ただ、電子化された情報だと、ハードディスク、データベース・サーバーとしてもせいぜいこの程度の大きさの物ですので、セキュリティが確保されていないそれらのデータベースは悪意のある第三者により容易に盗難に遭う可能性があると思います。

これらの対策のために、個々の診療所が、金庫にデータベース・サーバーを入れておくとか、入るのに指紋認証であるとか、数々のセキュリティを設けるというのは現実に負担を診療所の先生方に強いてしまうということになります。診療されている一般の医療機関が、そういうリスクを負わないようにするために、診療録を自分の所で管理するのではなく、よりセキュリティが担保されている所に委ねるということが、臨床の現場においても非常に有益であるということの観点から、今回議論の1つとして挙げさせていただいております。

○大山座長

いまは、厚生労働省の事務局側からの話なので、この件についてもう少し足すのであればあると思います。

○稲垣委員

院内で電子化をする、ということは一定の利便性はあるのだと思うのです。そのセキュリティを考えれば、なにも外部へのネットワークを開くことなく、その医療機関内だけで閉じたもので保存しておいたほうがよほどセキュリティは高いと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○高崎補佐

ご指摘はごもっともだと思います。ただ、いろいろ業者を調査しておりますと、そのような堅牢性を保っているデータベース・サーバー、またそれを保存する場所の医療施設のハード面での設備を整えるためには非常に費用がかかると伺っております。医療のIT化全体を押し進めていくに当たっても、セキュリティの不安を解消するための1つのツールであるとは認識しております。

○足立委員

医政局を弁護するわけではないのですけれども、電子化された情報を間違いなく長い期間にわたって保管する、というのはものすごく大変な作業になります。つまり、災害が起こった場合にどうするのか。医療情報であるとか、そういう大事なものに関しては火事とか、地震などの天災、それから複製の問題、停電の問題等々いろいろあります。製薬企業においても、かなりの部分、外部のデータハウスにサーバーを置いて、そこで維持・管理してもらうといったことが結構行われています。セキュリティの面で、どちらがどうこうというのは難しいのですけれども、データを長期間にわたって安全に保存するという面では、医療機関にサーバーを置くよりも、外部に置いたほうがはるかに安全で確実であるということは言えると思います。

○矢野委員

場所の問題と、情報利用の問題が混然となっているような気がします。場所の問題というのは、確かに事務局から説明がありましたように、診療所に小さいコンピューターを置いておくよりも、堅牢なデータセンターに置いておくのが安全な面もあると思います。それをどこまで認めるかという話も、今回の検討会なり作業班がすればいいと思うのです。

資料3の中で、医療側として危機感を持つのは、「具体的事業の実施内容・提案理由」の中段辺りの「また」からの2行目辺りの「専門的に取り扱う事業者が一括して情報を集積・管理するほうが、医療機関同士の情報共有が促進され」というところが大きな問題になるところだと思います。場所の問題は場所の問題として当然そこに置いておくよりは、水害対策などを考えたらデータセンターでいいのかもしれないのですけれども、その情報がどう取り扱われるかというルールをきちんと決める必要があって、まずそのルールを決める。なおかつ、踏み込んだ上で、不適切に情報が取り扱われた場合に関しては公表するなり、罰則は付けられないのですけれども、指導・勧告するなりすることが必要だと思います。

踏み込みますけれども、やはり個人情報保護法の説明がありましたように、法整備も目指して、その法の整備のための要件としてこういうルールが必要だ、というぐらいの考え方で進めて、不正な利用がなされないようなルール作りというのが必要なのではないかと思います。

○中川委員

いま矢野委員が言ったのと同じ場所なのですが、資料3の「各医療機関ごと独自で対応するよりも、専門的に取り扱う事業者が一括して情報を集積・管理するほうが」とあり、さらに「医療機関同士の情報共有が促進され、患者本意の医療提供体制が確立されると考える」とあります。民間事業者が集積・管理するほうが、医療提供体制が確立されるとまで言っていますので、これをどのように考えるのかということを申し上げているのです。民間事業者だってボランティアでやるわけではありませんし、これが営利目的、もしくは目的外使用など国民が非常に危惧するところにつながるのではないかと思っています。それで私はしつこくお聞きしたのです。

○大山座長

私が言うべきかどうかわかりませんが、普通に考えると、こういうことがあるとすれば、だからこそ情報の取扱いに関するルールを、医療側を含めた中で議論すべきではないか。それが、ここの検討会のミッションだと私は理解しています。ここでこういう紙が出てくることに対して、我々が出してはいかんという話はたぶんできないので、出すほうは出すほうであるわけですけれども、受け取った中では、これに対する対応を、ルール化することを含めて考えていくというのが、今回作業班を立ち上げる目的になっていると理解しています。

先ほど来出ている場所の話ですが、個人情報を取り扱うというのは、非常にセンシティブな情報であることは皆さんそう思っていると思うのです。その場合には、一般的に建物とか、そこの職員の管理のほうに費用を要するわけで、コンピューター・システムが非常に高いということではないのです。そういうことから、データセンターのようなものを共同でシェアして使う。ただし、情報の管理は中でしっかりとしていくという流れが民間の中にもあるのだろうと思います。

民間企業はもちろん業でやっているわけですけれども、隣の敵会社との情報を同じデータセンターでやる、ということだってあるわけです。それは言い方を変えると、情報は彼らにとっても非常に重要なものになっている。もちろん医療情報のように、患者に直接関係するようなものではないと思うのですけれども、ただ情報の重要度についてはビジネスの世界でかなり神経を使って動いていることは事実だと思います。その辺はご理解いただいたほうがよろしいのではないかと思います。

そこがいろいろあるので、こういう医療のほうでもたぶんうまく使える可能性を持つものが出てきているのだろうということを申し上げたいからだけであり、別にやっていいとか悪いとか申し上げるつもりは全くないです。ただ、今回いまのようなルールを作るのがこのミッションになっているのだろうと思います。

○山本委員

まさに先ほど中川委員がおっしゃられたところに対して、このネットワーク基盤検討会で、どういうルールに則らなければこれができない、ないしはこの部分はできないといったことをきちんと明らかにすることがこの検討会のミッションだろうと思うのです。

それから、医療機関の中にあれば安全だというのは間違いだと思うのです。ネットワークでつなごうと、つながらない状態であろうと、例えばレセプト・コンピューター1つにしても、院長先生がすべてメンテナンスできるわけではなくて、事業者が入ってきて、その中の情報を見ることができる状態で保守をするわけです。その守秘が守られているかどうかというのは契約ベースなのです。そういうことから考えると、どこそこにあるから電子情報が安全だという議論ではなくて、これはそうではなくて安全に扱えるようなルールといいますか、法律が必要なら法律が必要でしょうし、そういうものをきちんと整備しないと、現状でさえちょっと不安だと思います。

先ほど、これを急いで検討するべきだと申し上げたのは、これから何か始めるから検討するのではなくて、もう既に現実の状態で利用する、利用しないという意味では、いまは利用されてはいないのかもしれませんけれども、既にリスクは存在する。そのためにきちんとした利活用のあり方を検討する必要があるのだろうと思っています。

○高崎補佐

委員の先生方がおっしゃるとおり、現時点でルールがない状態が非常に由々しき状態であります。先ほど申し上げたとおり、医療関係者には刑法第134条や、身分法によって守秘義務等が明確に定義されております。ただ、民間事業者が取り扱う際にはいまだ規制するものはなく、もし情報事故が起こった場合には、第一義的に医療従事者が責任を負ってしまうという現状があります。そこをきちんと規制するべきであると思っております。

先ほど矢野委員から法律という話も出ましたけれども、今回はガイドラインでの記載でありますけれども、この検討会での議論が今後、より罰則等を有した何らかの規制等への大きく貴重な第一歩になり得ると認識しております。

○大山座長

樋口先生がずっとおやりのことから見て、いまの件についてご意見はありませんか。

○樋口委員

伺っているだけでも、なかなか大変な課題ばかりだということが認識できました。先ほどのご発言に関連させてですが、いま医療情報のところだけで問題にしています。もし、そういうことが可能であればということなのですが、いちばん最初の事務局の説明でも、衆参両院での付帯決議で3分野の情報が特別扱いされていました。1つ目が金融であり、2つ目が通信であり、3つ目が医療でした。そうすると、ほかの金融や通信の分野で、あるいはそれ以外の分野でもいいのですが、第1点の外部保存でいうと、結局全体としての効率化という話をやってきて、規制改革会議という話ですから、そのデータの部門だけは、大きいかはわかりませんが、とにかくデータセンターということで集積しておいて、そして全体としての産業の効率性、安全性を図りつつ、個別の企業が競争関係を保ちながらやっていく事例がほかの分野でどの程度あるのかということが、もしわかるようだとありがたい。もちろん、医療は医療なので、また別個の配慮が必要だということもありますが、ほかの分野でも同じような話があるのかどうかが私はよくわからないので、教えていただく機会があればそれはありがたいと思いました。

○高崎補佐

ご指摘いただいた点については、作業班で適宜情報を情報提供していきたいと考えています。

○大山座長

もし簡単にまとまるものがあれば、たぶん樋口委員のお話は皆さんに共通の協議の事項かもしれないので、お配りいただける方法があればと思います。1週間でやれとかは言いませんから、もう少し時間がかかるとは思いますが。

○藤本室長

いますぐにできるかと言われたのですが、持ち帰って調べたいと思います。個人情報保護の扱いということでよろしいですか。通信の秘密というのは絶対に守らないといけないので、このようなASPサービスを行う届出型の電気通信事業者が、他人から預かった情報をポンポンと出していたら、それ自体で電気通信事業法違反になります。あとは、個人情報の扱いについて電気通信事業者の部分でたしか何か規定していたと思いますので、それは調べて作業班に持ってきたいと思います。

○大山座長

突然、こちらが振って申し訳ありませんが、よろしくお願いします。あとは金融のほうで、そこは与信情報ですよね。そちらは別のところになりますが、西原さんがいらっしゃるし、官房経由ででもいくらでもできると、勝手なことを言うと怒るかもしれませんが、たしか個人情報保護の担当部署はすぐそばにありますよね。

○西原参与

同じ階か上の階にセキュリティセンターがありますし、いまの金融はどこの担当かを調べた上で協議させていただきます。

○大山座長

その件は皆さんのご協力を得て、事務局側でまとめたものをもし配付できるようであればお願いします。

○高崎補佐

わかりました。

○大山座長

ほかはいかがでしょうか。最初に事務局からの案もありましたが、もう1回確認を申し上げますが、3つの作業項目について資料2にあるように、わりと短い時間で結論を出すといいますか、検討を集中的にやりたいというのが正しい言い方だと思います。拙速にやるべきではないということも一方であるという状況ですが、議題ごとに作業班を設けたいということのようです。これは前回、前々回と同じ考え方ですが、このようなやり方に関して皆様方から少しご意見等があればいただきたいと思います。ちなみに、まず作業班でやるということを承認いただけるかどうかを含めて少し意見交換をしたいと思います。また、作業班の人選等についてもそのあとにお聞きしますので、まだ決まったわけではありませんが、まずは作業班を作って集中的に審議をいただくことに関して、皆さん方からご意見があればと思います。作業班ではなくて、ここで全部やれという話があるかどうかということだと思いますが、いかがでしょうか。

○中川委員

確認したいのですが、先ほどチラッと医療情報の利活用と誰かがおっしゃいましたが、これは医療情報の取扱いですよね。外部保存ですよね。それと、責任分界に関する作業班とありますが、言葉は変わらないですよね。

○大山座長

この紙に書いてあるとおりだと思いますが、事務局側、そうですよね。

○高崎補佐

そうです。

○大山座長

3つに分けるというお考えは、いかがですか。

○三谷委員

先ほど少し言った延長にもなりますが、第1番目のテーマと第3番目のテーマについては、第1番目は民間事業者が関係する際の明確なルール作りをするという目標が一応書かれていまして、第3番目はネットワークセキュリティと、無線・モバイルを利用する際の技術的要件等を定義というように具体的な作業が書かれています。処方せんの電子化については処方せんの電子化ができるのか、できないかの初めの議論がまだあるのではないかと思いますが、この作業班の中で何をやるのか。具体的にできるのか、できないのかという検討をやるのか、あるいはこういう条件があればできるという検討なのか。作業班の内容が何なのかというのと、先ほどもこれまでの議論で何度か出てきたと言いましたが、処方せんの電子化の可否についてはこの親委員会で1、2回議論の場があってもいいのではないかと思います。具体的な作業があれば作業班でいいかなと思いますが、いまみたいなやるのかやらないのかという話になるのであれば、いろいろな立場の方がこの場で議論をもう一度継続したほうがいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○大山座長

まず事務局側、資料1の内容だと思いますが。

○高崎補佐

ご指摘は、処方せんの電子化をどのような形で最終的なアウトプットを出すかということだと思いますが、まず是認する、否認する、若しくは条件付き是認といういろいろな形があるとは思います。そのアウトプットの出し方としては先ほど委員がおっしゃられたように、最終報告を現状に照らし合わせて、リバイスするという形もあり得るかとは思います。それは、本検討会で委員の先生方にご検討いただきまして、どのような形でこの処方せんの電子化について世にアウトプットとして出すかということも併せてご検討くださればと思います。また、可否については、こうであれば可能であるという条件付きということも結論としてあり得る。こういう事例であればとか、こういう技術要件がクリアされればというような、いまはできなくても将来こういうことがクリアされれば可能になり得るという形の提言もあり得るかと考えてはいます。

○大山座長

例えば作業班に少し走ってもらって論点を整理いただいて、それをここに上げるというのはあるかなという気がします。いまはここで単に議論を始めても、きっと共通の認識が必要となる課題の整理というのを出さなければいけないと思うので、したがって今日はこのあと時間を取っても無理だろうと思います。作業班を走っていただくのは、主としていまのようなことを最初にやってそのあとというのをここでやるとしたら、事務局側は大変ですか。それでも可能性はありますか。処方せんについて1回分ぐらい途中でやるというのは。

○冨澤室長

先生のおっしゃるとおり論点整理をさせていただきまして、こちらに上げさせていただいて1回ご検討いただくというのも選択肢としてあり得ると思います。その方法はどういう方法がいいのかというのは、また作業班を進めていく中で新たにわかってくる問題もあると思いますので、そこら辺は本日お決めいただくのか、作業班を進めながらやるのかはお決めいただければと思っています。

○大山座長

三谷委員どうですか。

○三谷委員

そういう形でできるならば、いいのではないかと思います。

○大山座長

それでは、ここで決めようとしてもいまはまだ見えないので、まず作業班に走っていただく形になるかと思いますが、いかがでしょうか。もしご了承いただければそれで走ってもらって、途中で中間的なものは当然見させていただいて、申し訳ないですがその辺の状況判断は、私と事務局のほうに一任させていただく。あるいは、作業班の班長を交えて相談するということだと思いますが、そのような案でよろしいですか。

(異議なし)

○大山座長

ありがとうございます。そのような形を取らせていただきます。

ところで、その3つの作業班ですが、これについてはほかに何かご意見はありますか。大体意見も出尽くしたと思いますが、この件についてお伺いします。3つの班に分けて作業を進めることはご了承いただけますでしょうか。

(異議なし)

○大山座長

ありがとうございます。それでは3つの班を設置したいと思います。ちなみに作業班の人選及びそこの班長を含めた議論が必要になるかと思いますが、最初に班長が誰かというよりは作業にかかっていただく方。必要に応じて、外部からも当然入っていただくことがあると思いますが、委員の先生方の中で「この件については興味があるから、私も作業班に入ってやってもいい」と言っていただける方がいらっしゃるかどうかです。その点については、ここで手を挙げろと言っても少し無理がありますか。そこまで事務局側は、皆さんに話を終えていないですよね。

○高崎補佐

その点に関しては、この場で。

○大山座長

どうしましょうか。例えば、こういう班でどうやるかというのがある程度わかったら、最初に素案を事務局と私で作らせてもらって皆さんにお示しして、その中にお入りいただくかどうかを判断いただく形を取りますか。いまのは一案です。

○高崎補佐

座長のおっしゃるとおり、事務局と座長で少し検討して進めていきたいと思います。

○大山座長

素案を作った時点で皆さんに配付して、そのあとに委員の先生方には手を挙げていただく。もちろん先に手を挙げていただいてもいいけれども、中が見えないというお話が出るかもしれないと思って、いまこんなことを申し上げたのですが、何か委員の先生方からご意見、ご要望があればお聞きしますが、いかがですか。いまみたいな進め方でよろしいですか。大体、1週間や2週間ぐらいを目処に、皆さん方に素案を出せる状況ですか。いろいろと時間が厳しいことは厳しいけれども。

○高崎補佐

可及的速やかに進めてまいりたいと思います。

○大山座長

ほかに皆さん方からご意見等はありますか。

○稲垣委員

資料1の「重要な検討事項」で、今日の話合いの中で多少変更点があったと思います。この辺を1回まとめ直す必要があるかなと思います。それぞれの作業班に分かれるにしても、いかがでしょうか。

○大山座長

いまの指摘は、事務局側は大丈夫ですか。

○高崎補佐

本日の議論で、論点が多少変わった点があるということですが、その点も委員の先生方に作業班に入っていただくときに、改めて情報提供をさせていただく形でもよろしいですか。

○大山座長

委員の先生方に修正をかけたものを配ってもらえますかという趣旨だと思います。

○高崎補佐

了解しました。

○大山座長

ほかはいかがですか。予定の時刻まではだいぶあります。会議は短いほうがいいというのが普通だとは思いますが、やめることについてどうこうはないですが、皆様方にはここでご発言いただかないと予定した議事は以上ですから。

○樋口委員

同じように、無い物ねだり的な質問だけで申し訳ないですが、その作業班が設置されてそこで議論すればいいようなものかもしれませんが、ちょうど手元に資料6としていちばん新しい安全管理に関するガイドライン第2版があります。そこで、今日議論になったもののうちの1つは、例えば75頁以降の「電子媒体による外部保存をネットワークを通じて行う場合」。そこに外部保存の場合のことが書いてあります。何らかの外部保存をすることが経費節減、セキュリティ等でプラスになる可能性があるという微妙な言い方をしておいて、81頁にとりあえずはこういうところに限定して、今回それを民間事業者に広げるかどうかというのが議論になるということですが、そこで2点あります。私の思い違いでなければ、今回は電子情報の外部保存という話になっていて、しかし紙ベースのカルテについてとにかく大変な量があるので、倉庫業者等の外部保存というのが何年か前に認められましたよね。もう既にどこかに書いてあるかもしれませんが、あのようなもののその後の実際の状況。紙ベースの話と電子情報の話は違いますよという議論がまずあっていいのですが、全然関係がないかというとそうも言えない。だから、紙ベースのものについて解禁になったあと、実際に外部保存というのがどういう形で行われているのか。実態というのはそう簡単に調査できないものかもしれないので、無理であれば結構です。そういうものがまず議論のベースとして、何か事実的なものがあるといいかなと思ったのが1つです。

2つ目に、ここにあるのは今年の3月の第2版ですから、まだ半年しか経っていないので、これも私が知らないだけで無理かもしれませんが、ここに書いてある「最低限のガイドライン」で病院、診療所、医療法人、行政機関等が開設したデータセンター、それ以外の震災対策等の危機管理上の目的で確保した安全な場所という、いまとりあえず認められているところで実際にどういう動きがあるのかという現状をですね。これをさらに民間事業者の所へと。民間事業者と言って何を指すのかということも、民間事業者と一括りにしてもいろいろな形態があり、つまりそれぞれでイメージしているものが全然違うのではないか。今日の議論の中でも、民間事業者といった場合に一括りにして議論しているけれども、それぞれが持っているイメージが違うのかもしれないけれども、その以前として認められているものについてどういう動きがあるのかについても、作業班の中ででも結構ですが教えていただければ、それはそれで関係する議論の糧になるかと考えました。

○大山座長

非常に重要なご指摘をありがとうございます。まさしく現実がどうかを知っておくことが正しい判断につながると思いますが、そういう資料はありますか。先生方の中に、そういうのをご存じの方もいらっしゃるとは思いますが、統計資料はありますか。

○山本委員

紙やフィルムの物理媒体の電子保存は、この外部保存の通知を出した平成14年に一応公式に通知として出てきたのですが、そのときの検討をさせていただいた経緯から言うと、現実には行われていたのです。それをその時点でたくさん預かる業者にも入ってもらって検討したのですが、行われている状態で98頁に8.3章として「紙媒体のままで外部保存を行う場合」というのがありますが、一応実態を踏まえた上でなおかつ診療に差し支えない。それから、患者の個人情報の安全が担保されるガイドラインを後付で作ったような状況だったように覚えています。あと、医療機関でオンラインで外部保存をしている所は少数ですが、あると思います。自治体のほうはあるかもしれませんが私は聞いていないですし、災害等で外部に、ハウジングと言われているサービスでやっている所も、このガイドラインが改定してからの平成17年以降は、新たに始めたという話は寡聞にして私は聞いてはいない。調べればあるかもしれませんが、おそらく調べればあるかもしれないという程度だろうと思います。

○大山座長

ありがとうございました。ほかに何か関連する情報提供をいただける方はいらっしゃいますか。この辺の話は、工業会は持っていませんか。そうすると、あまりないということですか。樋口委員、そういう状況ですが、ご満足いただける資料が出てくる保証がない雰囲気ですが、これでいいですか。ほかにありますか。

○原委員

処方せんの電子化についてですが、以前にe-文書法のときに処方せんについては例外という取扱いになりましたし、今回も電子処方せんという課題が上がってきています。作業班のほうで今回を機に十分ご議論いただいて、今後の方向を検討するための論点あるいは課題をしっかりと出していただけたらと思います。国民あるいは患者にとって、その電子化というものが本当に必要なものであるかどうか。いま、紙で処方せんというものを患者が持って来られます。そういうことを電子化にすることによって、患者にどういうメリットがあるのかがいちばん基本となる考え方ではないかと考えます。作業班で、十分ご検討をいただきたいと思います。

○大山座長

ありがとうございます。

○中川委員

これらの見直しですが、これはガイドラインの改定というのか、法整備までを目指した提言なのか、その辺の位置づけはどうでしょうか。

○大山座長

事務局側から回答できますか。

○高崎補佐

本検討会で可能なところは、ガイドラインの改定です。

○大山座長

改定になるか追加になるかもいろいろある。理由をはっきりと書けば、一部改定になりますか。けれども、法整備云々の話はここでは当然、第一歩としてガイドラインとして出して、その次に必要であれば準備をすることだろうということですよね。

○高崎補佐

そのとおりです。

○大山座長

一般的には、そういうやり方になるかと思います。

○矢野委員

そうすると、例えば処方せんの電子化をやるやらないを議論するにしても、議論された結果というのは医療情報の取扱いとか、無線・モバイルはガイドラインに反映されるかと思いますが、処方せんを議論した結果はどういう形で出るのでしょうか。最終報告というのを1回作りましたよね。あれと同じように、例えばもう一度提言集というのを作って、そこに法整備も処方せんのあり方も含めてというのを作るようなイメージなのかなと思ったのです。

○高崎補佐

先ほど三谷委員からもご指摘がありましたとおり、1番目と3番目の議論に関してはアウトプットとして通知の改定ということで反映されますが、処方せんの電子化に関してはアウトプットの仕方を含めて検討していただく必要がある。その1つとして、最終報告の追加報告というのも1つの形でしょうし、新たな提言をまとめるというのも1つの形であろうと思います。本日、その点に関しては今後重要な方向性の1つとなりますので、ご議論をいただければと存じます。

○大山座長

いまの情勢から見ると、そういう判断の仕方になるのではないかという気がします。結局、これで大きな問題がなくていけますねというならばガイドラインにそのまま入るということもあるでしょうけれども、いままでの検討の経緯を思い返してみても、そんなに簡単とはあまり思えないです。ただ、今回重要なのは、はっきり条件が何か、あるいはどこが課題なのかというのを明確にしなさいということだと思うので、改めてまずは整理をし、それをもって三谷委員が言っていただいたとおり、場合によってはここへ1回かける。あるいは皆さんにメールでお出しして意見をもらう。必要に応じて会合を開くという手を取るしか、今日の時点ではないような気がします。ご意見をどうぞ。

○稲垣委員

その法律的な点で教えていただきたいのですが、診療録カルテというのは医療機関に5年間という形で、これは長い間法律的にされていた。これを外部保存という形では、だいぶ違うと思います。いままでの委託契約と、それまでの医療機関が保存するのはまだそれを越えていないと思いますが、外部に保存するというのはいままでの中では1歩も2歩も先へ行っていると思います。この辺は問題ないのでしょうか。

○大山座長

事務局側でいいですか。

○高崎補佐

医療機関や行政機関では既に制度上は可能であるということで、技術的な面は既にクリアされております。民間事業者が認められていないというのが現時点での制度的な問題であると思いますので、その点についてのご議論ということで、2歩先という認識ではないと考えています。

○稲垣委員

そういう意味では、この検討会だけで済むようなものではないと思います。

○山本委員

現実には、フィルムやカルテの5年以内の保存期間を外部の倉庫業者に保管されている医療機関はたくさんあります。したがって、紙やフィルムでできていることが電子媒体でできない理由を、きちんと付けないといけないということです。ですから、平成14年に物理紙やレントゲンフィルムの場合は一定の条件を満たせばいいとなっています。民間事業者に預けてもいいとなっています。それが電子媒体では簡単ではないということは当然ですが、簡単ではない理由というのは紙やフィルムだと、それを1枚1枚見ていくと大変な手間がかかるので、民間事業者においても変なことをすることはたぶん少ないだろうという安心感がある。それから、いままでの実績からいって安心感があるからということだろうと思いますが、電子媒体の場合は簡単に検索ができますし、そういったことで分析もできますし、もしもそういうことが行われたら明らかに目的外利用ですし不正な利用になるわけですよね。それをできない保障というのがいままで十分に取られていないのが、これまでの議論。ですから、この検討会で何度も外部保存のところを検討しているのですが、その度にきちんとした罰則がある、守秘義務がある公務員であるとか医療機関でないと、預かることを認めるわけにはいかないという結論が現状です。

これに関して、先ほど精神医療何々法で医療機関でなくても、その情報を扱うことに関して罰則のある法律がある、分野もあるわけです。そういったことがもしも可能であれば、データベース事業者であっても、その情報をもし目的外使用することがあれば医療従事者以上、ないしは同じぐらいの厳しい法的規制があるのだったら、それは可能なのか可能でないのかといった議論を十分にしておく必要があるだろうと思います。一方では先ほども言いましたように、医療情報システムをレセコンであっても、一般の民間の事業者がメンテナンスに入っているわけです。これは、既に民間の事業者が情報を触れる状態にあるわけです。その状態でルールがないというのが、本当に安心な状況なのかということもありますから、ルールとしていまメンテナンスで行われている所ですと、たぶんガイドラインレベルでもある程度の効力がある。しかし、ビジネスとして預かるみたいなことになると、本当にガイドラインでできるかどうかを十分に検討しなければいけなくて、これは法整備が必要かもしれないのです。そういったことをこれから検討していくという意味です。

○大山座長

よろしいですか。ほかはいかがでしょうか。ないようですので、そろそろ今日の会合を終了したいと思います。まずは、さまざまなご意見がありましたので、本日のご議論を踏まえまして私、作業班長、事務局。作業班長案は今日ではありませんが出させていただきますが、それを整理した上で次回検討会には作業班での検討結果を報告したいと思います。

事務局から最後に何かありますか。

○高崎補佐

具体的な作業については座長と相談の上、作業班で今後進めたいと思います。

○大山座長

ありがとうございました。最後にご質問、ご意見等はありますか。それでは、これで閉会とします。本日は、熱心なご議論をいただきましてありがとうございました。

(了)


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