08/01/31 「臨床的な使用確認試験」に関する検討会の議事録について   第4回「臨床的な使用確認試験」に関する検討会         日時 平成20年1月31日(木)          16:00〜                    場所 経済産業省別館10階1012号会議室 ○猿田座長  それでは時間になりましたので、第4回「臨床的な使用確認試験」に関する検討会を 始めさせていただきます。  議事に入ります前に、本日の構成員の欠席状況ですが、北村構成員が来られないとい うことで、連絡を受けております。  それでは早速ですが、事務局から配付資料の確認をよろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは事務局より、配付資料についてご説明いたします。まず、お手元のクリップ 止めの資料ですが、1枚目が議事次第です。2枚目が座席表になっております。それか ら資料1として、検討会の開催要綱です。それから資料2として、構成員の名簿になっ ております。資料3として、「臨床的な使用確認試験」の要件です。横長の資料4です が、審査結果の一覧表となっております。資料5-1は、評価表の1つ目で、カフェイン 併用化学療法の評価表になっております。それから資料5-2として、筋過緊張に対する MAB治療の評価表になっております。その次の資料6として、「高度医療評価制度につ いて(案)」となっております。参考資料1といたしまして、いわゆる「混合診療」に ついて、12月14日の資料になっております。1枚紙ですが、参考資料2は、規制改革 会議の12月25日第二次答申の抜粋です。また、委員の皆様のお手元に2つ、ホチキス 止めにした冊子がございまして、1つ目の分厚いほうが、「カフェイン併用化学療法の計 画申請書」、もう1つが「筋過緊張に対するMAB治療の計画申請書」となっています。 資料につきましては、以上です。もし、過不足などございましたら、事務局までお知ら せください。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。資料のほうは、よろしいでしょうか。もし、よろし ければ、それでは早速議事のほうに入りたいと思いますが、まずは、事務局のほうから 説明をお願いします。 ○事務局  それでは議事の1つ目の資料について、ご説明します。資料4をご覧ください。審査 結果の一覧表ということで、前回まで構成員の先生方にご評価をいただきました結果に つきまして、技術ごとに一覧表でまとめております。  まず1頁目で、いちばん左側の欄が技術の番号になっておりまして、右側から2つ目 の列が前回のコメントで、いちばん右側の備考欄に今回までの状況について、簡単にコ メントを書いております。1の「内視鏡下頸部良性腫瘍摘出術」につきましては、前回 までのご評価で、九州大学病院は条件付で「適」となっておりまして、そのほかの日本 医大、岩手医大、岡山大学、自治医大につきましては、他の医療機関と要調整というこ とになっておりました。これらにつきましては、九州大学病院がとりまとめて、それ以 外の4つの病院については、協力するということになりました。また、さらに他の医療 機関と協力して、症例数を確保するということで、修正の連絡をいただいております。  それから次の11の「内視鏡下甲状腺がん手術」につきましては、筑波大学病院から 来ておりまして、こちら条件付「適」で修正の評価表が来ております。特に、コメント は書いてございません。2頁目をご覧ください。こちらにつきましては、2、4、15のい ずれもセンチネルリンパ節の生検であり、2については遺伝子診断ということです。  4の悪性黒色腫のセンチネルリンパ節につきましては、信州大学病院が条件付の「適」 となっておりまして、熊本大学病院、札幌医大病院については、信州大学の申請と統一 化を調整という前回コメントをいただいておりまして、こちらについては、信州大学と 協力するということで、調整ができましたので、ご報告をいたします。  続きまして、3頁目をご覧ください。まず3の「腫瘍性骨病変及び骨粗鬆症に伴う骨 脆弱性病変に対する経皮的骨形成術」の技術ですが、金沢大学病院につきましては、「適」 との評価、九州大学病院と昭和大学病院につきましては、前回コメントで、金沢大学の 申請と統一化が望ましいということになっておりまして、両病院から金沢大学と協力す るということで、申請書の修正が来ておりますので、こちらは金沢大学病院を中心にや っていただくということになっております。  5の「カフェイン併用化学療法」ですが、こちらは、金沢大学病院、福島県立医大病 院、大阪市大病院から申請が来ておりまして、金沢大学病院から申請書の修正が来てお りまして、このあと、評価結果についてご報告をいただきます。なお、福島県立医大病 院、大阪市大病院からは、前回のコメントで金沢大学との統一が望ましいということで して、協力するという修正の連絡をいただいております。  続いて7の「筋過緊張に対するmuscle afferent block(MAB)治療」につきまして、 徳島大学病院へは修正のコメントを返しておりまして、修正後の計画書をいただいて、 今日ご評価をいただく予定です。  16の「副甲状腺内活性型ビタミンD(アナログ)直接注入療法」は、和歌山県立医大 病院から申請をいただいておりまして、保留ということでコメントを返しておりまして、 現在、他の医療機関との協力も含め検討中でして、こちらについては、まだ継続検討中 ということです。  続きまして、4頁目です。こちら8、9、12、6、14の5つの技術については、条件付 「適」もしくは、「適」のご評価をいただいておりまして、条件付のものについては、修 正後の評価表をいただいております。  最後13の「下肢静脈瘤に対する血管内レーザー治療法」につきましては、高知大学 病院から申請が来ておりまして、前回、コメントをつけて保留という形で返信をしてお ります。こちらも他の大学との調整も含め、継続検討中という状況です。  以上、審査状況について、ご報告申し上げます。 ○猿田座長   どうもありがとうございました。いま、ご説明いただきましたが、ちょっと確認させ ていただきます。資料4のいちばん最初の内視鏡下頸部良性腫瘍摘出術に関しましては、 九州大学のところの条件を一応、認めさせていただいて、ほかの大学のところは、九州 大学と協力の上でやるということでよろしいですね。続きまして、11の内視鏡下甲状腺 がん手術に関しましては、これは筑波大学が条件付で「適」ということですね。  それから2頁目2になりますが、悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節の遺伝子診 断は、九州大学がこれで「適」ということです。そのほか乳がん、やはり黒色腫に関し ましては、ここに書いてあるとおり、条件付で「適」として特に、悪性黒色腫センチネ ルリンパ節の同定と転移の検索に関しましては、信州大学のものに従って、熊本、札幌 医大もやっていただくということでよろしいですね。それからあと早期胃がんに対する 腹腔鏡下センチネルリンパ節検索というのは、慶応大学の条件付「適」ですね。  3頁目の3が、腫瘍性の骨病変及び骨粗鬆症に伴う骨脆弱性病変に対する経皮的骨形 成術であり、これは金沢大学のほうでいいということを、お認めになったものですから、 あとの昭和大学、九州大学は、金沢大学と協力してやっていただくということです。  それから、5番目のカフェイン、7の筋過緊張に関しては、今日これから先生方に議 論していただくということでして、あとは16が申請者に戻すということと、4頁目の 13の下肢静脈瘤に対しても、申請者に戻さなければいけないということで検討していく。 あとのものは、この間のところで通させていただくということです。何か、ご意見がご ざいますか。もし、ここまでのところはこの間の続きかと思うので、お認めいただくよ うでありましたらば、早速、資料5-1のカフェイン併用化学療法の評価に対しまして、 これは藤原先生のほうから、ご説明いただけますか。 ○藤原構成員  がんセンター藤原です。お手元の資料5-1が修正版の「評価表」で、もう1つ、「臨 床的な使用確認試験実施計画申請書」というのがお手元にあると思うのですが、それが 今回上がってきた申請です。この別の申請書の1頁めくっていただいて、これは金沢大 学の体制で、「別紙2」と書いてある所、3頁目から「使用確認試験実施計画書」という のが、3〜9頁目まで書いております。そのあと、今回は、いろいろな他施設でもやって いる所があったのを、統一してくださいということになりましたので、13頁の「別紙4」 という所で、福島県立医大、大阪市大、宮崎大学、愛媛大学が参加して、統計学的解析 の所は、富山大学の折笠先生が参画されるということが書いてございます。  それから、次の頁の新潟大学の医歯学総合病院の赤沢先生も、統計学的な解析のとこ ろにタッチします。それ以降は、これまでの診療実績等がございまして、21頁から説明 文書、これも前回田島先生のほうから、いろいろなコメント等があったものを踏まえて 改訂されたものです。  全体的に評価といたしましては、資料5-1に戻っていただいて、実施体制としては、 猿田先生にご評価いただいて、今回「適」であります。それから、倫理的観点からの評 価も田島先生から「適」をいただいています。プロトコルの評価につきましては、竹内 先生にも見ていただきまして、有効性・安全性の評価の所が、一応、これは整形外科学 会の判定基準が詳述されているのですが、RECEISTのようなものも、世界的に認知さ れている手法もちょっと視野に入れて、書き振りを訂正していただいたほうがいいので はないかという印象は持ちましたが、これはあまり大きな問題点ではございませんので、 そのほか適切に修正されていると考えます。  総評の所に、最後のコメントを入れたのですが、客観的に十分な評価を行うには、当 該試験単独の結果では困難とも思われます。つまり、骨腫瘍とか軟部腫瘍に対して、シ スプラチンという抗がん剤とアドリアマイシンという抗がん剤に加えて、今回その薬効 を判断するカフェインというものを併用するのですが、シングルアームの試験ですので、 この1本だけでなかなかカフェインの診療上の位置づけを、決定的に言うのは難しいだ ろうというので、こういう表現をさせていただきました。将来的に治験や薬事申請につ ながる地道な臨床試験の蓄積の一翼を担う試験としては、「適」ですと考えております。 これをどんどん積み重ねていくことが非常に大切なので、その一助として重要な位置づ けではないかと思いました。以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。いま、藤原先生からご説明いただきましたが、最後 の所にコメントがございましたが、先生方から何か、ご意見ございますか。今までのと ころでは、かなり効果的だろうという方向ですので、カフェインの副作用のこともあり ますが、あとは実施体制、そのほか、田島先生何かございますか。 ○田島構成員  ございません。 ○猿田座長  そのほかございませんか。藤原先生、予定数としては、大体50というようなことで しょうか。 ○藤原構成員  今回は竹内先生も見ていただいていると思いますが、サンプルサイズの計算というの を、生物統計の方とたぶん相談されたと思うのですが、それから算出された数字になっ ております。 ○猿田座長  いいですね。どなたかコメントございますか。もし、ございませんようならば、この 形でお認めいただくということでよろしいですか。もし、ご意見なければ、それでは、 このカフェイン併用化学療法に関しては、いまの形でやらせていただくということで、 認めたということにさせていただきます。  それでは続きまして、7の筋過緊張に対するMABですね。これに関しまして、ご説 明をお願いいたします。 ○伊藤構成員  muscle afferent blockについてのコメントは、資料5-2に書かせていただいておりま す。前回、症例数の問題とか、研究としての実施体制を整えることとか、有効性・安全 性の問題、加えて倫理的な問題として、本来、ボツリヌス毒素の適応がある患者さんに 使用されるということがあるのでボツリヌス毒素というオプションがあるということも きちんと説明してくださいとか、費用についても、記載が十分ではないといった点につ いて、指摘をさせていただいたところです。それに対して、研究者のほうから、適切な 返答をいただきまして、対応されていると思っています。特に研究として、例えば30 から50例というのは、この施設として徳島大学のほうで、そういった患者さんがいら っしゃるということ。それから、研究の方法と評価の方法につきましても、Primary endpointは臨床的有効性の評価で、Secondary endpointは安全性の評価、自覚的な満 足度としてVAS(Visual Analogue Scale)によるものと、客観的スケールで、各疾患に よって違う評価項目として、Ashworth法とか、ジストニアに対しては Burke-Fahn-Marsdenスケールとか斜頚についてはTsui Scoreを使って、治療前値と8 回の治療終了後で評価するという形の提示をいただきまして、こちらのほうから指摘し たことについては、適切に直されているかと思っているところです。  このあと、竹内先生のほうからご意見があるかもしれませんが、それをちょっと伺っ た上で、大方のほかのところについては、特に大きな問題がないと思われます。ちょっ と有害事象の評価のところのCTCAEのバージョンが2になっているのを3に直してほ しいかなと思っているところです。以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。いまの症例数に対して、竹内先生、何かありますか。 ○竹内構成員  症例数もそうなのですが、これを不適としてあるのは、やはり有効性の評価項目を8 回とっていきますので、果たしてそこまできちんととれる体制があるのですか、ちょっ と心配という気がするのです。なので、もし、できましたらCRF等のことをしっかり とつけていただいて、そういうデータがきちんとその施設でとれるという保証だけはし ていただきたいなという気はいたします。 ○伊藤構成員  では、どういうケースカードを作るのかを、ご提示いただいた上で、竹内先生にご判 断いただければと思います。 ○猿田座長  ありがとうございます。ほかにどなたかご意見、ございますか。徳島大学のほうは、 わりとしっかりやると思うのですが。いまのことだけちょっととどめさせていただいて、 ほかに、先生方特に問題なければ、この形で総合的には、「適」ということでやらせてい ただくということでよろしいですか。  それでは、徳島のものも同じ形でやらせていただくということで、そのまま一応この 場では許可をさせていただくということにさせていただきたいと思います。この両方に 関して、何かご意見がございますか。先生方、特になければ次の議題に移らせていただ いてよろしいでしょうか。  それでは、2番目の議題ですが、先進的な医療技術への対応についてですが、これも 事務局のほうからお願いいたします。 ○事務局  それでは「先進的な医療技術への対応について」ということで、資料6と参考資料1、 参考資料2に沿って、ご説明をさせていただきたいと思います。まず、資料6「高度医 療評価制度について(案)」ということで書いてありますが、こちらの資料6のいちば ん最後の7頁をご覧ください。こちらの高度医療評価制度についてご説明する前に、簡 単に経緯などを時系列にまとめさせていただきました。  そもそもこの検討会が開催されるきっかけになりましたのが、いちばん最初、平成18 年10月、健康保険法等の一部改正がございまして、高度先進医療というものがありま したが、そちらが先進医療と同じ枠組みに組み込まれていくということになりました際 に、高度先進医療であった医療技術のうちに、薬事法の承認が得られていない医薬品・ 医療機器の使用を伴う技術がありまして、こちらについては、安全性・有効性等の観点 から、平成20年3月末で先進医療の対象から除外されることとなり、いま現在は、時 限的先進医療として位置づけられております。このうち、安全性・有効性等の一定の要 件を満たす技術については、「臨床的な使用確認試験」の対象として、引続き保険との併 用を認める方向で検討しようということになりまして、平成19年6月、こちらの検討 会を開催いたしました。  6月以降、こちらの検討会では、「臨床的な使用確認試験」の要件についての検討及び その対象技術の申請計画書に対する審査などを行ってまいりました。前回までに、今回 も含め15の技術に対しての審査もほぼ終わりに近づいているところです。昨年11月に、 規制改革会議から医療技術の保険併用についての問題提起がされまして、その内容と言 いますのが、平成17年7月に設けられた「先進医療」の仕組みでは、当該技術につい て用いられる医薬品や医療機器について、薬事法承認の要件が入ったために、その薬事 法の承認が得られてないような医薬品・医療機器を使う先進的な医療技術の保険併用が、 進んでいないのではないかという問題提起がなされました。  12月14日の経済財政諮問会議におきまして、こちらは、参考資料1のほうを合わせ てご覧いただきたいのですが、舛添厚生労働大臣のほうから、この参考資料1の資料を 提出させていただきまして、いちばん最後の頁の3頁ですが、そうした先進的な医療技 術の保険併用が進んでいないのではないかという問題提起なども受けまして、「今後のさ らなる取組について」ということで、半分から上の部分ですが、「臨床的な使用確認試験」 という検討会を設けて、いま検討していたところですが、その真ん中の囲みの少し色が ついている部分ですが、いま検討している15の技術以外のその他の同様の技術につい ても、同様に一定のルールの下で、医療機関ごとに保険診療との併用を認めていくこと について、今後検討するという方針を説明させていただきました。  それを踏まえてまた資料6の7頁に戻っていただきますが、平成19年12月25日、 昨年末に、規制改革会議の第二次答申が出されまして、その答申の抜粋が参考資料2の 1枚紙です。この参考資料2の部分、いわゆる「混合診療」の見直しとしまして、真ん 中のパラグラフ(1)とついておりますが、先進医療に係る平成17年保険局医療課長通 知が導入した薬事法承認の要件を解除することと併せ、患者の選択肢を可能なかぎり拡 大する観点から、個別の医療技術ごとに実施医療機関について審査を行った上で、国内 未承認の薬物・機械器具を用いた先進的な医療技術に関する保険診療との併用を認める 枠組みを創設することにより、新たな条件整備を行う、ということで、この先進的な医 療技術に関する保険診療との併用を認める枠組みを創設という方向での答申がなされま した。  それを受けまして、この検討会で新しい枠組みとしての高度医療評価制度というもの を、これら現在の臨床的な使用確認試験の要件ですとか、様々なことも踏まえまして、 事務局としてこの資料6で、ご提案をさせていただきたいと思います。今日は、先生方 からこの内容についてご意見をいただきまして、またさらに内容を詰めていきたいと考 えております。 ○猿田座長  今までのご説明の所で、先生方のほうからご意見ございますか。今までの経過で、特 に高度先進医療をやっていましたときに、そのときは、薬事法の承認が得られてないそ ういった医薬品とか、機器に関しましても、一応施設がしっかり検討させていただいて、 そこの施設の状況に応じて、高度先進医療では認めてきたのですね。  そのあと、今度先進医療の形に変わりましたときは、今度施設のほうは、それだけな くなりまして、もう1つそこにただ入ってしまったいちばん重要なことは、薬事法の承 認がやはりある薬とか、そういった機器を使うというところの条件が入ったものですか ら、実際に今まで先進医療を検討してきたときに、そこの点でかなりひっかかって通ら ないものがあったと、そこのところをなんとかしていかなければいけないだろうという のと、それからやはり国のほうとしては、できるだけ今の混合診療のお話がありました が、そういったところをうまくやっていく方法はないだろうかということで、今度の提 案がなされたということだと思うのです。大体、そういうことですね。何か、そこまで のところでご意見がございますか。はい、どうぞ。 ○藤原構成員  がんセンター藤原です。この未承認というところの内容の言葉の意味としてお聞きし ておきたいのですが、いわゆる、国内で全く使われてないお薬は、未承認と理解するの ですが、それ以外に適用外使用と言って、効能・効果とか用法・用量が、薬事法からの 条件から外れるという品目とかもあると思うのですが、そこのあたりも視野に入れた流 れと理解してよろしいのですか。 ○事務局  はい、そうです。 ○猿田座長  いま、先生がおっしゃったように、かなり幅広いのです。それで、やはり議論のとこ ろで随分そこのところがあったのですが、一応いまお話があった通りです。ほかにご意 見がございますか。事務局のほうはいいですか。ご意見がないようでしたら、いまのは、 一応経過ということで、それから次にご説明いただけますでしょうか。 ○事務局  それでは資料6に基づきまして、説明させていただきます。1頁目の1.の基本的な考 え方ですが、先ほどの経過でご説明しましたように、有効性・安全性の確保が期待でき る体制等の一定のルールの下に行われる先進的な医療技術として、「高度医療評価制度」 の下で、「高度医療」として認めて、それらについては、先進医療の一類型として保険と の併用を可能とし、薬事法による申請等につながる科学的評価可能なデータ収集の迅速 化を図る、ということを目的として考えております。  2.の対象となる技術につきましては、薬事法の承認が得られていない医薬品・医療機 器の使用を伴う先進的な医療技術と考えております。3の.その実施要件ですが、基本的 には、臨床的な使用確認試験のときも、そのように考えておりましたが、この科学的評 価可能なデータ収集ができることを確保するための実施要件と考えて設定をいたしたい と思います。実施要件は、大きく医療機関の実施体制によるものと、医療技術の内容に よるものとの2つに分けて考えたいと思っておりまして、同じ医療機関でも複数の技術 を行う場合は、その技術ごとにこの技術内容に係る要件をクリアしていただくという考 え方です。  (1)医療機関の実施体制に関する要件としましては、まずは特定機能病院又は同等 の体制を有することということで考えております。その具体的な内容としましては、緊 急時の対応が可能な体制、あるいは医療安全対策に必要な体制、医薬品・医療機器の管 理体制、入手方法が適切であるということも含んでおります。この資料6の4頁が、参 考としまして、現在の特定機能病院の承認基準を一覧でまとめて添付しております。  例えば、その4頁目の下のほうから4つ目の枠は、高度医療の提供ということも、承 認基準の中には含まれております。それから5頁目になりますが、医療安全対策に係る 基準としまして、そちらにありますように、医療管理を行う者の配置や院内感染対策、 医薬品の安全管理や医療機器の安全管理といったような要件が含まれている状況です。 6頁目をご覧ください。こちらが、平成19年9月1日現在の特定機能病院の承認状況 でして、全部で82の病院があります。  1頁目に戻ります。以上のような体制と、加えまして、(1)の2つ目のポツですが、 「臨床研究に関する倫理指針」に対応した臨床研究の実施体制を有することということ も考えております。なお、以下のような場合には、必要に応じて個別に体制の適否を検 討する、というなお書きを追加させていただいておりまして、特定機能病院82以外に も、例えば、がん対策等の公的研究事業に関係するものですとか、学会等から要望書が 提出されているようなもので必要性等を勘案しまして、そういった場合には、個別にさ らに適否を検討させていただきたいと考えております。以上が、医療期間の実施体制に 関する要件です。  2頁目をご覧ください。(2)が医療技術の内容に介する要件といたしまして、こちら は、行う医療技術ごとにクリアをしていただきたい要件ということで考えております。 基本は、有効性・安全性の確保が期待できる科学的な根拠を有する医療技術であること といたしまして、例えば、国内での使用実績がある、あるいは、有用性を示す文献など が揃っているといったような具体的な要件を考えております。  さらに、倫理的妥当性に関する事項及び実施体制に関する事項としまして、そちらに 記載してありますが、こちらは資料3にありますように、いま現在の「臨床的な使用確 認試験」の要件として考えております要件の2.3.と同じ内容で、少し「てにをは」が変 わっている所がありますが、そうした内容も技術ごとに確認をしてやっていこうという ことで、いまの考え方を踏襲した内容の基準となっております。以上が実施に関する要 件ということです。  それから、2頁目の中段から下で、4.公表等といたしまして、こちらの高度医療の枠 組みの中では、こちらにあるような公表についても行っていただこうと考えております。 (1)のまずは実績の公表ということで、高度医療の実施医療機関は、高度医療に係る 実施状況等について公表することとする。また、定期的に厚生労働省にも報告をしてい ただく。公表の方法等については、厚生労働科学研究の募集要項にあります方法を準用 するということで考えております。 (2)として、重篤な有害事象・不具合等が起こった場合の対応として、高度医療の実 施により、予期しない重篤な有害事象や不具合等が発生した場合には、速やかに倫理審 査委員会等に報告し、倫理審査委員会等の意見を聞き、院内で必要な対応を行い、研究 協力機関へ周知を行うこと。これらの対応結果について、対応後速やかに公表するとと もに、厚労省に報告をするということを考えております。  3頁目をご覧ください。手続き等といたしまして、具体的にどういう手続きで進めて いくかの案です。まず(1)としては、高度医療の技術ごとに倫理審査委員会で承認後、 医療機関の長が厚生労働大臣に対して申請を行っていただく。(2)として、高度医療の 対象となる技術の実施要件等の検討及び審査にあたっては、「高度医療評価会議」を開催 する。これは、また新しく設置をしたいと考えております。審査期間は、申請受付から 3カ月を原則とするということで、これは現在、先進医療専門家会議も3カ月原則とい うことで、やっておるところです。また、会議は原則公開で行うこととすると考えてお ります。  (3)審査結果につきましては、先進医療専門家会議に報告をするということと、申 請医療機関に通知をするということです。  (4)なお、高度医療として認められた後に、実施要件等を満たさなくなったような 場合は、必要に応じて取消し等を行うということです。  (5)高度医療に係る手続き等については、医政局研究開発振興課が行うということ です。以上が手続き等で考えておる内容です。  6.スケジュールの案としては、本日、こちらの検討会で基本的な枠組みなどにつき、 この事務局案に対して、先生方からご意見をいただきます。それらを踏まえまして、3 月末までに手続きなどに係る通知などを発出して、4月から受付を開始して審査を始め ていきたいと考えております。説明は以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。いまお話がありましたように、未承認医薬のことが いちばん問題になるわけですけれども、それに関しまして、いまご説明がありましたよ うに、ひとつは、高度先進のときにもやっていたのですけれども、医療施設がしっかり していれば、そこでやっていても問題はないだろうということがあったものですから、 そういったことを考慮しまして、まず医療機関の実施体制に対する要件として、いまご 説明いただいたような緊急時の対応、非常に重要なのは安全性に対する対策とか、医薬 品・医療機器の管理体制、入手方法、そういったことが非常に重要な点であります。も ちろん倫理的なことも大切ですが、ポイントとしては、そこのところが医療機関の実施 体制とする要件として大切です。  医療技術の内容に関する要件として、やはりいちばん重要なことは、当然有効性がど うかということ、安全性の確保がどうかということが、いちばんポイントになるかと思 います。あと、いまお話いただいたように、これを審査したあとどのように公表してい くかという問題ですが、皆さんにご議論いただきたいのは、実施要件の内容です。そこ のところがいちばん重要ですので、まずそこのところからご意見を伺えればと思います が、どうでしょうか。金子先生は先進医療をやっていまして、高度先進の時は適応外使 用となっている薬剤も使っていて、先進医療ではそこの具合が悪かったのですが。 ○金子構成員  これはあくまで薬事法による申請につながるようなデータを得るということですね。 そうすると初めから治験をするものとしないものというのが、どこかで区別をまずされ ないといけないのですけれども、その指針といいますか、そういったものを具体的に示 されるのでしょうか。例えば薬剤の場合、初めからメーカーに治験をしていただくもの、 あるいは医師主導型の治験をするもの、あるいは高度医療になるものという住み分けみ たいな形になっているように思うのですけれども、それは何か指針を示すのか、それと も自ずとわかるということなのでしょうか。 ○研究開発振興課長  今回のものは企業主体の治験、医師主導治験にならないものが対象でして、治験にな るものはそちらでやっていただければスムーズに続きます。治験にならないようなもの について、保険の中での調整というのが基本的な考えです。もし必要があれば、そのよ うなことがわかるようにしていくことも必要なのかなと思っておりますので、今日のご 議論を踏まえて検討していきたいと考えます。 ○猿田座長  先ほど藤原先生からお話がありましたけれども、どんなものが入っているかですね。 ご存じのとおり、先進医療のときはそこのところでうまく通せなかったものがありまし て、そういったことをできるだけ国としては少しでも通せる方向で、1つでも多く広げ ていきたいという考えですね。それをやっていくためには、高度医療の会議を作って、 ある意味では昔の高度先進医療のやり方になってしまうかもしれないですけれども、や る施設がいかにしっかりしているかということを確認した上で、安全に実施できるか検 討する。いろいろなものがありますから、それを全部どんどんやっていったら、これは 大問題になるということで、どこかで検討しながら、しかしどこかで広げていかなけれ ばいけないということで、こういったことを考えていくということですよね。何かござ いませんか。 ○医療課企画官  確認なのですが、基本的考え方として、先進医療の一類型として、保険との併用可能 ということで、これはあくまで将来、保険導入を目ざすという技術だということでよろ しいのですね。 ○研究開発振興課長  将来はそういうものを目指していただきたいというのが前提になろうかと思います。 目指す程度にもよると思いますが。 ○猿田座長  それまでの過程は今後きちんとしていくということですよね。ただ、いろいろな技術 があるものですから、そこのところは非常に大変だと思います。 ○藤原構成員  こういうことをやるのは、現場としては非常に先進的なものにチャレンジするものと して助かるところがあるのですけれども、一方で実態として、未承認のお薬を個人輸入 してめちゃめちゃな使い方をしているところもあったりして、きちんとした制度を作る のであれば、皆さんなるべくそちらに参加していただく。そうではない、危ない治療を している人たちに関しては、いま個人輸入は医者が申請すればほとんど素通りで通関を 通ることができると思うのです。それで未承認の抗がん剤等を専門家ではない人が投与 して有害事象が発生したりすることがあります。厚労省の「有効で安全な医薬品を迅速 に提供するための検討会」では、コンパッショネート・ユースという議論もされていた と思うのですけれども、こういう枠組みから外れる人たちへの未承認の医薬品や医療機 器の提供機会は、コンパッショネート・ユースに委ねて、あまり個人輸入を今までのよ うにフリーハンドにしないというのも、一方でするのですか。その辺は答えにくいと思 うのですけれども、この制度がガチガチになると、個人輸入をうまく使いそうな人もい るような気がするのですが。 ○研究開発振興課長  コンパッショネート・ユースは担当の審査管理課長が同席していますが、それはまた これからどういう議論になるかということであって、それによってまた調整等が必要に なれば対応をしていく問題だと思っております。そこのところは、コンパッショネート・ ユースに関する医薬食品局の議論をみながら、ということになるかと思います。  問題意識としては、先生がおっしゃるように、やはり有用性について、一定の担保が 必要だと思っておりますが、一方でフレキシブルに対応していくという、その2つを両 立するような制度、即ちどこかで線を引いて、安全策を講じる必要があるということで ございます。そこで先ほど、医療機関と技術の二重の要件で、その要件の内容について は、これからの運用のこともありますけれども、高度先進医療での経験等を踏まえたも のを考えていく必要があるだろうと思っています。ただそれだけではなく、やはり将来 的に薬事法につながるようなことができれば望ましい。最低限必要なのは、患者の安全 性を確保する、ということであり、さらにいくつかの要件を考えていくということにな ろうかと思います。  したがって個人輸入による入手のところは、特にコンパッショネート・ユースのとこ ろは、この制度の中では考えておりません。今のところ入手については、まだこれから 省内で検討しなければならないことは多いですけれども、今後検討していきたいと思っ ております。 ○猿田座長  よろしいでしょうか。高度先進をやめて、実際に先進医療に移ってみて、やはり一番 私どもが気がつきましたことは、かなり未承認の薬とか材料が出てきたこと、そのため になかなか通りにくかったのです。高度先進をやっていましたときは、先ほどあったよ うに、1つは技術の問題、もう1つは施設の問題、はっきり2つに分けて検討して、状 況を見て通してきたということだったのです。  それと同じような形を、今度の高度医療のほうも会議でやっていこうということであ れば、やはりいま先生がおっしゃったような、技術的な問題がありますけれども、とも かく、ちゃんと議論することができるし、技術もしっかり議論できるし、施設も議論で きる。特にその場合に、ちゃんとした施設でやれば、たしかに安全性の問題、あるいは 今後のいろいろなことも、そういう施設でやれば検討できるということです。そのとき に、1つ問題になるのは、特定機能病院でいいだろうか。実は前の高度先進のときに特 定機能病院プラスアルファー、もう少し広げてもらいたいということで、随分議論した ことはございます。でも一応いまのところは、主としては高度先進の特定病院、先ほど 条件がありましたが、がんの問題などでも、事務局からお話があったように、少し広げ ていくことはしております。方向とすれば、高度先進にかなり近い形ということですね。 ○伊藤構成員  特定機能病院になっていない病院もございますので、できれば、ある程度要件を広げ ていただいて、私どもの国立病院機構病院等も参入ができるような形にしていただける とありがたいと思います。特定機能病院だけとか、特定機能病院に準ずるだけですと条 件を満たすのは、ちょっとハードルが高いものですから、ご配慮いただけるとありがた いと思っています。 ○猿田座長  おっしゃるとおりなのです。実際高度先進の最後のころは、病院の幅を広げようとい うことで、ベッド数を300にしようとかいろいろな形を検討したので、これはこれから 準備していく過程において、どの程度の病院でやるかということは、議論していくこと になると思います。あるいは始まってから皆さんの意見を聞いて広げるかですね。最初 の形としてはこういう形でいければということだと思います。 ○飯沼構成員  日本医師会もこれに関しまして議論をしてまいりましたけれども、いちばんの問題は、 いま議論になっている安全性の問題であります。最終的に有害事象が起きたときは、こ れは国が責任を持つのですか、倫理審査委員会が責任を持つのですか。その点からはっ きりしていただきたいと思います。 ○研究開発振興課長  基本は医療機関に責任を持っていただくこと、即ち責任を持てるような医療機関をこ の制度で実施していただきたいと。先ほどの伊藤構成員のお話にも通じるところですが、 そういうことができることがいちばんというか、基準になろうかと思います。 ○飯沼構成員  責任を持てる医療機関にやってほしいと。 ○研究開発振興課長  責任を持つ医療機関を選ぶ責任が我々にあるということだと思います。 ○飯沼構成員  それから、課長はたぶん同じだと思うのですけれども、臨床研究の指針もやっている じゃないですか。あれの条件をクリアできないと、これは当然できませんよね。向こう より先にこの話をしていいのですか。 ○研究開発振興課長  臨床研究の倫理指針は保険併用するかしないかに限らず、すべての臨床研究が守って いただく指針ですので、あれは当然クリアをしていただきたいというふうに思っていま す。タイミングの話になろうかと思いますが、いま改正案を議論していただいておりま すが、現時点で、例えば今日現在で動いている研究は、今の指針に則っております。4 月から運用する段階では、4月時点での指針、4月以降ご議論いただき指針が改正され たときには、その改正されたものに則るというようなことになろうかと思います。 ○飯沼構成員  混合診療に関しましては、厚労省と我々の意見は全く100%同じでありますが、それ も完璧にクリアできるというふうに解釈していいわけですね。その条件を。例えば、貧 富の差が起こるようなことはやめましょうとか、3つか、条件がありますが、そういう ことは常に生きているという解釈でよろしいですね。 ○研究開発振興課長  医政局がお話するのもいかがかと思うのですが、これは全体としては健康保険法なり、 医療保険の体制の中で行うものですので、医療保険の全体としての考えというのは、当 然あった上で、運用としてこのように弾力化しようという方針だと思って実施するつも りですし、おそらく保険局もそういう解釈だと思います。 ○藤原構成員  追加で2点ほど。倫理的なところなのですが、臨床研究倫理指針は私も委員でやって いますけれども、その中で前回問題になったのは、補償のことなのですが、補償金とか いわゆる治験保険のように、非常に幅広い障害年金とか遺族年金とかそういうものも含 めた補償でいくと、結構大変なのですけれども、この先進医療技術で補償と謳っている 場合に、どこまで補償の概念を医療現場に要求するかというのが、見えてこないところ があるのですが、その辺をどのように考えているかというのが1つ目です。 ○研究開発振興課長  補償につきましては、ここで我々が言っておりますのは、どういう補償をするのかと いうことについて、患者や家族によく説明をして同意を得て納得の上でやってください と、ここでは記載しています。その考えは、いくら以上でなければいけないとか、金額、 内容について、具体的に我々が言うものではないと思っております。また、補償の保険 の話が出てまいりましたが、そちらも、臨床研究の倫理指針のほうで検討されておりま すが、そこでより良い補償制度ができれば、それを1つの条件として、医療機関と患者、 家族との間で話し合っていただくべきと思っております。それの有無や、補償のレベル がどうということは考えておりません。あくまでも患者、家族に納得していただけるよ うな、また納得していただく場合に限って実施していただくということになろうかと思 います。 ○猿田座長  いま藤原先生がおっしゃった問題は、臨床的な使用確認試験をやるときに、各施設が どういう形で補償するかと議論しましたよね。あのときは、各施設によって違いがあり ました。いまのところはそういった形で、特に大きな問題なくいけそうだということな のですけれども、かなり幅がありますから、そこのところは細かく検討していく必要が あると思います。 ○藤原構成員  続きですけれども、データマネージメント体制等を謳っているところについてお願い ですけれども、いま実際にいろいろな臨床試験をやっている者として、厚労科研費をも らって臨床試験を実施するときに、人件費の運用が結構厳しくて、なかなかデータマネ ージメントをしっかりやろうと思っても、研究費の運用上、それが難しいところがある ので、その辺については、是非始める段階で、研究費の運用規定等の整合性というか、 うまくしていただいて、弾力的な運用ができれば、現場として助かるなと思います。 ○研究開発振興課長  我々も弾力化については、全く同じ意見でございまして、ご意見を踏まえて省内で検 討をしていきたいと思います。 ○猿田座長  よろしいですか。金子先生。 ○金子構成員  いまの藤原先生のご意見と同じで、今回の検討された技術でもデータマネージメント 体制というのは、あまり実は気を配っていなかったですね。カルテに記載するとか、そ ういったものもありましたし、是非弾力的にやっていただきたいと思うのと、先進医療 でいま、ほとんど返戻になっていますよね。薬事法の関係で半分ぐらいが返戻になって しまっています。これが始まればそういったことも解決するだろうと。非常に歓迎され ると思います。  そのとき、私もその会議で持っていたのですが、もう1つは、文献がいくつか出すよ うに書いてありますけれども、あれがちょっとわかりにくいのと、これは特に今回の薬 事承認を得られていないようなものだと、なおさら審査が難しくなると。先進医療に関 しては、わりと保険直前みたいな感覚があったので、学界によっては厳しい意見を言っ てこられたりするのもあったりしますが、これに関してはどちらかと言うと、みんなこ れに引き上げるみたいな、この枠組みに入ってもらってオープンでやってもらうとか、 そういう形でやってくれるのでしょうか。あるいは数の見込みみたいなもの、先進医療 のときには、数の見込みが出て、全然達成できませんでしたけれども、今回はその辺は どうなのですか。 ○猿田座長  そうなんですよね。結局22しか通っていなかったということが問題になってしまっ たのですよね。たしかにいまお話がありましたように、高度先進のときには、文献とか、 その他のところは非常にしっかり書いてありました。そこがいちばん大切なところです から。各委員の先生方3人ずつやっていましたから、全部調べてやっていました。そこ はこれからも特にこの問題ではポイントになるかと思います。 ○研究開発振興課長  先ほど冒頭の説明で規制改革会議の意見、最終的には閣議決定になっているわけです が、その趣旨が、ここの冒頭にも書いてありますが、患者の切実な要望に応えるという 趣旨がありますので、いまいただいたようなご意見に沿って、また、先ほど申し上げま したような前提の下で、運用を考えていきたいと思っております。いたずらに厳しくす るというのが趣旨ではないということです。 ○猿田座長  ほかにありますか。 ○伊藤構成員  施設要件と技術要件と2つあるということで、技術要件のほうが、例えばこういう委 員会で認められたときに、多くの特定機能病院等が後から追加して参加ができるような 仕組みを作っていただけると、1つの技術が日本全体に広がっていくのかと思います。 この審査を全部施設ごとにやらなければいけないとなると大変になるので、そこら辺を 簡略化して審議ができるような枠組みを作っていただけるとありがたいかなと思います。 ○猿田座長  ある意味では、高度先進のときもそういう形で、最初の技術をどこかの病院で通すと。 それ以降は技術が通っていますから、あとは大体ここの施設ができるかと、施設をチェ ックしまして、それで通していったということで、いま先生がおっしゃったような形で やってきたということです。  ほかにご意見ございませんでしょうか。 ○藤原構成員  最初の頁の「対象となる技術」のところで、薬事法の承認を得られていない医薬品・ 医療機器の使用を伴う先進的な医療技術ということが入って、薬事法の承認という条件 と、先進的なという条件が2つあると思うのですけれども、抗がん剤の領域だと、結構 適応外使用というので問題になっている領域がたくさんありまして、それを臨床試験で やりたいなと思っても、いまだと保険診療のしばりがあってできない。つまりフェーズ Iという早期の開発ではなくて、もう少し後期のII相、III相というレベルの人たちに対 して、保険診療ではないけれども、適応外だという領域があって、そこを先進的なもの で読めませんと言われてしまうと、第III相試験で適応外使用の比較試験を、いまの治療 に比べて本当に優れているかということを明らかにしようとする臨床試験を組みにくく なってしまうのです。先進的なというのはどこまで読むのか。いわゆるすごく新しい細 胞医療、再生医療だけを考えているのか、保険には収載されていないけれども、例えば 肉腫や卵巣がん、頭頸部がんとか、皆さんが聞いたことのないようながんの領域で、100 例規模とか200例規模の、きちんとしたプロトコールを作った臨床試験をやる場合にも、 読んでいただけるのか、先進の定義の仕方によって、だいぶ対象範囲が変わってくると 思うのですけれども。 ○研究開発振興課長  ここは薬事法の承認が得られていない医薬品の使用を伴うというのは、適応外のこと を想定しておりまして、先進的なという意味は、非常に高度な、まさにまだ誰もあまり やったことのないような、というものもあると思いますし、いまお話のような日本でま だ普及性がなく一部でしか行われないようなもの、適応外の抗がん剤のようなものも含 まれてくるのではないのだろうかと思います。そういうものを一つひとつみていきたい と思っています。 ○猿田座長  かなり幅広くなると思います。例えば今日のカフェインの問題も、高度先進に出てい るわけですよね。あれをどう考えるかということですよね。 ○飯沼構成員  例の55年通達がありますよね。バイロテイシンだったか、腎臓病について適応がな くて、高血圧にあり、腎臓病に対して使用した際に査定をされたと言って、裁判までい ったというのがありましたよね。武見先生と橋本厚生労働大臣との間の話だと、あれは 通るわけです。ところが法律は書いていないから駄目だといって裁判になっているわけ ですよね。55年通達がしっかり理解されていれば、適応外使用については、あまり問題 にならないのではないですか。 ○研究開発振興課長  保険局にお答えいただくことかもしれませんが、55年通知などいずれかの形で保険の 適用になっていれば、そちらで使っていただくということになろうかと思います。こう いう条件だったら適応外でも可能というような話だったかと思います。 ○飯沼構成員  あれは薬理・薬効で使っていいということなのです。 ○猿田座長  バイロテイシンとバイミカ-Mと2つあったのですが、違ったのです、結局。同じよ うなものなのですがね。 ○研究開発振興課長  そういうエビデンスというものがあれば、55年通知になると思いますが、その対象 にならないような場合に出てくるのではないかと。こちらは大学病院等やそれ並みにで きるところも含めての話ですので、限られている話でもあり、55年通知は全国規模の 話ということなので、55年通知対応になればこちらの話は出てこないです。 ○猿田座長  1つはこの方向で考えていただいて、あと2カ月ぐらいありますので、その間に議論 を詰めていかなければいけないと思います。ただ、方向とすれば、こういう方向でいけ ば、妥当なのではないだろうかと。少なくとも未承認のものをかなり使っていけるのだ ろうということで、そこはこれから詰めないといけないと思います。私は高度先進会議 をやっていたものですから、この方向でいけるかなという感じはしております。それで 少しでも広く使用できるようになるかなと思っております。  ほかにご意見はありますか。 ○金子構成員  もちろん決まっていないと思いますが、例えば小児なんかはどうなりますか。小児を 含めるような臨床試験のほうを、その辺の症例も少ないし、薬剤も少ないみたいな、そ ういったものをこちらでやることができるようになるのでしょうか。 ○研究開発振興課長  小児に対する適応のような薬事法の承認が得られていない医薬品領域などは、まさに ターゲットとする分野の1つではないかなと思います。臨床研究でこういうものを使っ ているというのが対象になる。簡単に言いますと、そんなイメージなのかなと。もちろ ん運用の細かいところはこれから考えていかなければならないことですが。 ○猿田座長  よろしいですか。今度は公表、手続き等、内容についてのほうです。いまのところは 特に重要なのですけれども、この辺りのところは何かご意見はございませんでしょうか。 ○藤原構成員  公表にも関連すると思うのですけれども、臨床試験の登録制度というのがあって、昨 年の9月にICMJEという国際の学術雑誌の委員会で、フェーズI以外の臨床試験、以 前はフェーズIIIだけに限っていましたけれども、もっと早期の段階からの臨床試験につ いては、いろいろなところに、ICMJEと提携しているNIHのClinical Trials.govとか、 そういうところに臨床試験を登録しておかないと公表をさせないというような動きが世 界的には始まっています。  そうすると、公表というのは、ここを読んでいると、終わったときだけの話のような 気もしますけれども、むしろ、せっかく先進的な医療技術を国内でやっているのであれ ば、WHOの基準がありますから、WHOの基準を満たすような登録機関に臨床試験を きちんと登録しておくということを担保しておいたほうが、我々現場の人間も助かるし、 事務局でも試験を把握するときに、登録データを見ながらするとやりやすいという気が するのです。臨床試験登録というところとの兼合いはどのようにお考えですか。 ○研究開発振興課長  一般論としては、臨床研究の倫理指針の中で登録について議論がされているところで ありますが、これは保険との調整という意味では、より高い透明性が求められると思っ ております。 ○猿田座長  いま藤原先生がおっしゃいましたように、臨床試験に関しましては、ほとんど前もっ て公表しておかなければ、結果をしっかりした雑誌等に公表できなくなりましたよね。 かなりそういったニーズが強くなって、日本の先生方もやるようになったと思っていま す。どのように詰めていくか、大切なことだと思います。ほかにご意見はございません でしょうか。何でも結構でございます。どのぐらいを公表するか、費用の問題とか、症 例数の問題とかいろいろあると思いますけれども。 ○伊藤構成員  ホームページで公開して差し支えないのだろうと思います。例えば保険の適用にして いただくということから考えれば、知的財産権を重視するより公開する方がよい気がす るのですけれども。一方では知的財産権を主張される研究者の方もいるのかもしれない 点は配慮しなければいけないと思います。  これは大切なことだと思うのですが、重篤な有害事象を、どこに報告をするのかを考 えておかないと、大変になる気がします。特に抗がん剤などが入ってくると、量的には 相当大変な量になるだろうと思います。 ○猿田座長  その点で責任ある病院でしっかりやってもらうということになるのだろうと思うので すけれども。何かご意見はございますか。 ○研究開発振興課長  たしかに知的財産と透明性との関係で出てきますので、どの範囲を公開するかという のは、項目の詳細について、知財の話、プライバシーの話等はこれからしていかなけれ ばならないことだと思います。ただ、どこの病院に行ってどういう医療がこういう枠組 みで受けられるのかということを、全国民にわかっていただくような公開というのは必 要だと思いますので、その辺の兼合いということになるのではないかと思います。  有害事象はどこが受けるかというのは、これから検討させてください。そこのところ はしっかり体制を作りたいと思います。 ○猿田座長  伊藤先生がおっしゃった、知的財産の問題は、トランスレーショナルリサーチが動き 出して、トランスレーショナルリサーチの方面からかなり入ってくると思います。それ は非常に重要なポイントですね。 ○藤原構成員  有害事象の関係ですが、抗がん剤では有害事象が普通に出るので、通常の仕組みでや られるととても大変なのですけれども、EUなどを見てみると、添付文書に書いていな いとか、インベスティゲタブルションに書いていないようなもので、重篤なものであれ ば報告しなさいと。それは欧州の規制当局であるEMEAに一括して報告しているので すけれども、あまり広い範囲で報告しても、データばかり集まって、それをハンドリン グするのは難しいですから、ヨーロッパのケースを参考にしていただいて、医薬品医療 機器総合機構で、市販後とか、普通の薬を見ていますから、そういうところでもいいで すけれども、有害事象の判断というのは、各医療機関の中で持っているとわからなくな ってしまうので、どこかで集約して、そこで幅広く見ていく、あるいは海外の規制当局 と、情報交換をしてみるという体制にしておかないと、医療機関の中だけの完結にする とまずいなと思います。  もう1つはここに書いていないですが、薬事法第77条の4の2に、公衆衛生上、問 題ある事項に関しては、厚生労働大臣に報告する義務が医師には発生しているのですが、 知らない人はとても多いので、こういうところに書いて、制度が変わってものすごく大 事なことだと思ったら、開示してくださいという、厚生労働大臣に報告してくださいと いうのも、この際入れておいたらいいかなと思いました。 ○猿田座長  ありがとうございました。そこのところは、これからのところで、特に詰めていかな ければいけないと思います。ほかに何かご意見ございませんか。  方向としては、いまいただいたようなご意見を参考にさせていただいて、2カ月間で 準備していくということですね。基本的な考えをお認めいただけるかということと、さ らに細かいところは、これから準備していくことになると思うのですが、そういうこと ですよね。ここで議論したことは、先進医療のほうで報告もするということですよね。 こういう方向で物事が動いているということをお認めいただけますよね。よろしいです か。  そういう形で準備体制に入るということで、厚生労働省としては、4月からのことを 考えて、あと2カ月ですね。 ○研究開発振興課長  今日のご意見を元にもう少し我々のほうも詰めて、また個別になるかもしれませんが、 ご相談をさせていただければと思います。 ○猿田座長  ほかに先生方、何かご意見はございますか。大体そういう方向でよろしいでしょうか。 事務局、何かございますか。 ○研究開発振興課長  今日のご意見を基に、事務局でも省内で議論しますので、また個別になるかもしれま せんし、大きな変更があればまた開催をお願いするかもしれませんが、ご意見を伺おう と思っていますので、その節はよろしくお願いいたします。 ○猿田座長  ありがとうございました。もしこれでよろしければ、今日のところは以上です。最終 的なことで事務局、何かございますか。 ○事務局  本日の議事録については、また作成次第、先生方にご確認をお願いしたいと思ってお りますので、併せてよろしくお願いいたします。いま猿田座長のほうからありましたよ うに、今日の検討結果などにつきましては、このあとと先進医療専門家会議のほうにも、 報告をさせていただく予定です。以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。これで第4回の会議を終わらせていただきます。ど うもありがとうございました。                          照会先                           医政局研究開発振興課                           03-5253-1111 内線4163