08/01/30 研修・技能実習制度研究会第10回議事録             第10回 研修・技能実習制度研究会    日時 平成20年1月30日(水)    17:00〜    場所 中央労働委員会講堂 ○今野座長 第10回の研究会を開催します。本日は北浦委員がご欠席です。  初めに、昨年の夏に職業能力開発局長が交代されておりますので、一言ご挨拶をいた だければと思います。 ○職業能力開発局長 昨年の8月の人事異動で能開局に参りました新島と申します。ど うぞよろしくお願い申し上げます。本日は非常にお忙しい中お集まりをいただきまして、 ありがとうございます。この研究会、一昨年の10月にスタートいたしまして、昨年の5 月に中間報告をいただいたわけでございます。この中間報告の中身につきまして、いろ いろ社会の注目を浴びるということで、いろいろこれに関連しての他の報告書あるいは 意見等も出されたわけでございます。  昨年の12月末、後ほど資料にございますけれども、規制改革の第二次答申におきまし て、実務研修中の研修生に対して、労働関係法令を適用するということが明記をされて おるわけでございます。中間報告でご指摘いただいた方向性を踏まえまして、制度の見 直しを行ってまいりたいというふうに考えております。特に、前の中間報告でも、不適 正事案等についてもいろいろとご指摘を受けたわけでございますが、平成20年度の予算 案につきましても、一部巡回指導等を強化するということで、予算に盛り込んでいると いう状況でございます。  先生方には、引き続き活発なご議論をいただきまして、制度の適正化あるいは改革の ための方向性につきまして、いろいろご議論をいただければと思います。よろしくお願 いします。 ○今野座長 本日は昨年5月の中間報告以来、久し振りの研究会ですので、これまでの 経緯をまず事務局から説明していただきまして、その後に今後の検討課題について議論 をしたいと思います。 ○外国人研修推進室長 委員名簿を改めてお付けしていますが、役職等間違いがござい ましたら、後ほど事務局にご指摘ください。  資料No.1で、現状の統計的なところを簡単にご説明します。資料No.1の技能実習関係の データですが、平成18年の研修生入国者数が9万2,846人、技能実習移行者数が4万 1,000人で、非常に増えている状況には変わりありません。平成19年の数字については、 いま法務省で集計、分析中ですが、間もなく発表される予定と聞いています。この増加 の傾向はあまり変わっていないと聞いています。  2頁です。職種別のデータですが、多いのは繊維・衣服関係で、特に昨今は機械・金 属の伸びのカーブが急になってきています。また、農業や建設関係もやや増えている傾 向があります。平成18年度時点で、受入れ団体数が1,516、受入れ企業が1万7,218と いう状況です。  3頁が都道府県別の状況です。大きな変化はありませんが、地域によって特徴があり まして、北海道であれば水産加工が多い、茨城であれば農業、岐阜や福井であれば縫製、 東海3県であれば機械・金属、広島や愛媛では造船、溶接が多いという状況です。  4頁は不正行為の認定の状況です。法務省入管局の取締まりの強化もありまして、平 成18年は229件です。平成19年も相当な数になると聞いています。労働局においても、 労働基準監督署の監督指導が、平成18年は1,633件実施されています。違反事業場数が 1,209件です。監督署も相当力を入れて監督指導に回っている状況です。左側ですが、 技能実習生本人たちからの申告も平成17年は126件だったのが、平成18年は232件で、 訴えも増加しています。  5頁ですが、JITCOでも、巡回指導は平成17年が5,000件ほどでしたが、6,300件に 増やしています。平成19年については、約7,300件以上を目標に巡回指導を実施してい るところです。指摘の状況は、傾向は去年と変わっておらずに、健康診断、社会保険の 未加入が目立ったところです。以上が概況です。  次に、おさらい的ですが、資料No.2-1で当研究会の中間報告について簡単にご説明し ます。資料No.2-1の1枚目は、昨年5月にまとめていただいた中間報告です。平成21年 通常国会までに関係法案を提出するという前提の中で、研修生が実質的に低賃金労働者 として扱われている等の実態を改善するとともに、国際協力という制度本来の目的が適 正に実施されるように見直しを行う、ということでご提言いただいたところです。  大きく7点ありまして、1点目が「実務研修中の研修生の法的保護のあり方」で、研 修1年と技能実習2年という現在の形については、最初から雇用関係の下での3年間の 実習として、労働関係法令の適用を図るべきである。  2番目で、「技能実習の実効性の確保」については、実習指導員の配置、技能実習終了 時の評価等を義務付けるべきである。また、職種については多能工化などの動きを踏ま えて、実習生の幅広い技能の修得が可能となるよう見直すべきである。  3点目「受入れ団体の役割・責任」です。受入れ団体は研修中は監理責任というもの がありますが、制度上、技能実習中にはないことから、技能実習中についても監理責任 を負うこととすべきである。いわゆる営利目的の受入れのみを目的とした団体の設立を 防止する観点から、本来の事業協同組合等としての活動実績を受入れの要件としてはど うかということ。  4点目「同等報酬要件の実効性の確保」です。同等報酬要件は、いまでも制度上かか っているわけですが、より実効性を確保する観点で、同等報酬要件の判断の前提となる ガイドラインを設定して、それを基に必要な調査等を行ってはどうかということ。  5点目が「より高度なレベルの技能実習」で、再技能実習です。これについては、技 能移転や適正な運営がなされていること、定着のおそれがないことが前提であることか ら、概ね技能移転と適正化が図られており、失踪率も低い「企業単独型」に限って、個 別の審査において2年間に限定して認めるという考え方ではどうかということ。  6点目の「ブローカー対策等」です。受入れ機関・送出し機関の適正化、不正行為を 行った場合の規制の厳格化、こういったことについて措置を講じていくべきである。  7点目で「チェック機能の強化」です。JITCOについて、巡回指導等を強化するととも に、その役割・体制を抜本的に見直すべきである。以上のようなご提言をいただきまし た。  なお、詳細は省略いたしますが、このほかにもさまざまな適正化に向けたご提言をい ただいておりまして、後ほどご説明しますように、実行に移せるものについては実行に 移しつつあるところです。中間報告の中でも、引き続きの検討課題とされた事項があり ますので、そういった点も含めて、後ほどご議論いただければと思います。  続いて、この中間報告は昨年5月11日に発表しました。その後、経済産業省や当時の 法務大臣等々、さまざまな立場から、いろいろな見解ですとか提言がなされたところで す。資料No.3で、事務局の責任において大まかに比較表を作ってみましたので、簡単に 内容をご説明させていただきます。それぞれの本文については、参考資料として後ろに 付けていますので後ほどご覧ください。  この研究会の中間報告に対して、まず5月14日に経済産業省の研究会から報告書が出 されました。基本的に、目的は技能移転を通じた国際協力、現行制度等を維持した上で 適正化を図っていく。さらに、制度の拡充も指向するというものです。適正化という観 点で言えば、我々の中間報告と基本的には同じ方向性です。  制度の枠組みについては、経産省案では、現行の研修1年、技能実習2年の枠組みを 維持した上で、適正化を図るという考え方です。実務研修中の研修生の保護については、 まず「研修」と「労働」の判断基準を明確化したらどうか。制度趣旨の周知徹底、初期 ガイダンスや相談・申告窓口の整備といったところで対応すべきであろうというもので す。  再技能実習については、企業単独型に限定せず、一定の評価をした上で優良な受入れ 機関であれば認めてはどうか。外部評価によって優良かどうかを評価するというのが、1 つのポイントになっています。検討課題としては、さらに優秀な技能実習修了生につい ては、就労ビザの付与を検討してはどうか。職種については、幅広に見直していくとい うことです。  受入れ団体の責任等については、中間報告と同じように、技能実習中についての監理 責任を課すべきであるとか、技能実習の実効性の確保についても、実習終了時の評価を 義務付けるべきであるとか、適正化については中間報告とかなり共通部分、新しいアイ ディア等も入っているところです。外部評価を行うことによって、受入れ団体の選抜を する、こういったことで適正化を図ってはどうかというのがポイントになっています。  続いて、5月15日に当時の長勢法務大臣から私案の形で意見が公表されました。これ については、少し研修・技能実習制度の枠を超えた考え方ですので、質が異なりますが、 参考となる観点もありますので載せています。  法務大臣私案によりますと、目的を「国内で必要な労働力の確保」に改める。就労と して3年間の受入れを図ってはどうかということです。ただ、この私案におきましては、 再入国は認めない、3年限りだという案です。職種は問わない。受入れ枠については、 我が国の労働市場に影響がないことが前提です。例えばとして、受入れ団体の規模や資 金規模によって、受入れ枠を設定してはどうかと提言されています。受入れ団体につい て、許可制をとってコントロールしてはどうか。受入れ団体に、入国・在留管理の責任 も負わせてはどうかという案です。  9月に経済財政諮問会議の下に置かれた労働市場改革専門調査会、座長は国際基督教 大学の八代先生で、樋口委員、山川委員もご参加されている調査会です。こちらで報告 がまとめられました。この労働市場改革専門調査会においては、雇用システムの改革に ついて6つの壁を論点として提言しています。例えば年齢の壁、性別の壁、そういった ものについて議論していくということで、そのうちの1つとして国籍の壁ということで、 外国人労働者問題を扱われています。  ここにおいては、基本的にはいまの研修・実習の枠組みを技能実習にして、実務研修 部分については労働関係法令を適用する。ただ、座学については残して、労働時間とし ては扱わない。賃金支払い対象とはせずに研修として残すという案です。この案で特徴 的なところは、当研究会の中間報告では検討課題とされていた、研修のみで1年以内で 帰国する場合の取扱いについても、実務研修には労働関係法令を適用することを提言し ています。  再技能実習については、当面は企業単独型を主とする。ただ、優良なものについては 団体監理型であっても、将来的には対象とすることを検討してはどうか。職種について は弾力的な見直しを行うべきであるということです。その他の適正化に関する部分につ いては、不正行為認定時の規制の厳格化等、中間報告と同様のような案になっています。  加えて労使です。9月に日本経団連から提言がされています。ここでは、研修・実習 の枠組みについて、研修と実習の期間の配分を柔軟化して、試験を通れば早期に技能実 習への移行をできるようにしてはどうか。再技能実習については、経産省と同様に、企 業単独型に限らず認めるべきである。再技能実習修了後の就労も検討してはどうかとい うものです。  連合ですが、これは平成19年3月に「制度適正化のための追加政策」というものが発 表されています。ここでは制度の枠組みについては特に触れていませんが、基本的には 制度廃止を含めた抜本的改革が必要だ、という認識に立っています。具体的に適正化を 図るべき内容として、以下で、例えば研修生の保護のあり方については、労働者性の判 断基準の明確化、母国語での安全衛生教育等の整備。再技能実習は認めないとなってい ます。  職種ですが、修得技能の帰国後の活用状況をPDCAサイクルで検証して、それを基に随 時判断をすべきである。あるいは受入れ人数枠は5%ルールを厳格に適用すべきである。 事業協同組合については、この中間報告と同様に、活動実績を受入れ要件とすべきであ ろうということが提言されています。最後のブローカー対策では、住居費や食費等につ いて、天引き額の上限を設定すべきではないか。送出し機関、受入れ機関に対する管理 費の適正水準についても検討すべきではないか、という点も指摘しているところです。  以上、簡単ですがご説明をさせていただきました。こういった経過の中で、昨年12 月25日、先ほど新島局長からもご説明いたしましたが、そもそもの規制改革会議で答申 がまとまったところです。資料No.4ですが、12月25日に答申されて、同28日に政府と しても最大限尊重するという閣議決定をしているところです。  この中で「外国人研修・技能実習制度の見直し」については、適正化について縷々指 摘があった後に、3頁のエとオです。エで「実務研修中の研修生に対する労働関係法令 の適用」については、原則として、実務研修には労働基準法や最低賃金法等の労働関係 法令を適用することとし、労働法上の保護が受けられるようにすべきであり、当該措置 の実施に当たっては入管法上の在留資格「研修」の取扱い及びその位置付けとの関係を 整理する等、必要な措置を講ずるべきである、とされたところです。規制改革会議とし ても、少なくとも実務研修については労働関係法令を適用すべきということを明記した ところです。  オで「再技能実習制度の検討」となっています。再来日して、新たな技能実習を2年 間実施することを内容とする「再技能実習制度」の導入について検討すべきであるとし、 「なお」として、検討に際しては、送出し国における技能修得のニーズを的確に把握す る。国内で修得した技能の帰国後の活用が図られていること、一定以上の日本語能力、 技能評価等を再来日の要件にすることや、失踪、不正行為の防止に加え、高度の技能実 習を実施できる体制の確保の有無、こういったものを考慮した受入れ体制の在り方等に ついて検討すべきである、とされたところです。  以上が、これまでの大まかな経緯です。規制改革会議でこのような答申が出ましたの で、基本的にはこの方向に沿って政府内でも検討をさらに進めていくこととしています。  次に資料No.5です。こういった動きの中で、マスコミ等の報道でどういった事件が報 じられているかを少しご紹介します。新聞報道の要約を後ろに付けていますが、大まか に1枚でまとめてみました。昨年4月以降を拾ったものですが、いまだに労働基準関係 法令違反だとか、パスポートの取上げ等の不正行為事案といったものが報じられていま す。最近でこそ全国紙ではあまり見なくなりましたが、地方版を見ておりますと、結構 な数が各県で起こっている状況です。  これまでの傾向として、個別の企業において人権侵害まがいの行為が行われただとか、 最低賃金が払われていないとか、個別企業単位の報じ方が多かったのですが、最近にな りまして、受入れ団体とか、送出し機関に着目した記事も目につくようになっています。 そこにあるように、偽造パスポートによる入国を受入れ団体が手引きした例とか、受入 れ団体に人材派遣会社が介在して、不正とか、手数料を取っているという例、あるいは 受入れ団体関係者が受入れ企業、研修生双方から渡航費用という名目で二重取りをして いた例、あるいは受入れ団体自らが最低賃金違反とか、パスポート管理等を主導してい た例も報じられています。  送出し側とも関係しますが、営利目的のブローカーが急増しているのではないかとい う報道とか、送出し機関において、研修生を派遣する派遣元の企業、これは名義を借り ただけで書類を作って虚偽の申請があるとか、多額の保証金・手数料を取っているとい う報道もありました。  それから、JITCOについて巡回指導が不十分であって、事前に巡回指導に行くことを 予告して行かざるを得ない中で、隠蔽が横行しているという指摘がされています。  いちばん最後に書いていますが、最近非常に目についているのは、研修生・実習生が、 自らあるいは支援団体、労働団体、NPOを介して、労働基準監督署に告訴したり、労働 審判を申し立てたり、裁判を起こしたりと、こういった声を挙げるケースが多くなって きたというか、新聞でも取り上げられるようになっています。聞くところによると、技 能実習終了間際、帰国間際に訴えてくるケースが多いということです。以上、簡単なご 紹介です。  こういった中で政府としても取組みをしていまして、2つご紹介させていただきます。 1つは資料No.6で、これは法務省入国管理局です。「研修生及び技能実習生の入国・在留 管理に関する指針」というもので、入管局はこの指針に基づいて、受入れ機関に対して 遵守すべき事項を周知するとともに指導するというものです。  平成11年以来8年振りの改正で、この中で、当研究会の中間報告で指摘されているよ うな事項についても反映をさせて、かなり大幅な見直しを行っています。便宜的に中に 黄色くマーカーを引かせていただいていますが、主な点だけに引きましたので、これ以 外にも変更点はありますが、そういうものだと思っていただければと思います。  かい摘んで説明させていただきますと、まず指針改正の趣旨ですが、4頁です。「適正 な研修・技能実習を実施するための受入れ機関、送出し機関それぞれの留意点を明らか にするとともに、不正行為に該当する行為についても明確化を図ることとしました」と 書いています。  5頁で「研修生を受け入れる体制の整備」ということで、「受入れ機関の常勤の職員の 中に、常勤の役員を除くと技能実習生以外に従業員がおらず、技能実習生が従業員の全 てを占めるような場合等は、研修実施体制が整備されているとは認められないことがあ ります」と書いてあります。中間報告でも、技能実習生ばかりで日本人がいないのは、 実習の実施体制としてはどうかという点がありましたが、それを踏まえたような内容に なっています。  6頁ですが、「営利目的であっせんを行う機関が介在していないこと」。いわゆるブロ ーカーの介在は趣旨に反することを改めて明記しています。  12頁ですが、ここが結構新聞等でも報じられましたが、「不適正な方法による研修生 の管理の禁止」ということで、パスポートや外国人登録証の取上げを明確に禁止してい ます。研修生から保管してほしい旨の要望があったとしても、預かるべきではないとな っています。実態として、本人の了解を取った上で、パスポート等を預かっているケー スがかなりありまして、これは受入れ機関においては大きなインパクトで、反響が多い ところです。  「研修手当の支払い」のところにも、通帳保管についても、本人から要望があったと しても預かるべきではない。本人のものは本人に渡しなさいとしています。  14頁で「帰国後の修得技術等の活用状況に関するフォローアップ」ということで、帰 国後の技能移転の状況が十分に把握できていない。これはこの研究会でも厳しくご批判 いただいているところです。我々も実態把握をしたいと思っていますが、この入管の指 針の中でも、第一次受入れ機関、受入れ団体に対して、フォローアップを行う必要があ ることを書いています。  15頁の「体制の確保」ですが、ここは受入れ団体の活動実績の問題で、中間報告でも ご指摘いただいた話です。入管の指針においても、「特に、新たに設立する機関は、一定 期間の共同事業の実績もあり十分な事業体制を構築した上で研修生受入れ事業を開始す るなど、研修の監理を実効あるものにする必要があます」と書いています。さらに、中 小企業団体中央会では、本来事業を少なくとも1年間以上実施して、しっかりとした基 盤を構築した上で、受入れを行うよう指導しているとしていて、いま中央会に受入れ団 体が相談に行くと、こういった指導をしていただいているところです。  19頁から20頁ですが、保証金の問題です。送出し機関側の保証金の問題ですが、「送 出し機関が不当に高額な保証金等を徴収している場合には、その送出し機関からの受入 れを取りやめる等の対応が必要となります」ということも、今回新たに書いたところで す。  22頁は「労働関係法規の遵守」で、1点目は労働条件の明示について、本人が理解で きる母国語によって雇用契約書等を作成すべきである、ということを書いています。「賃 金の支払い」のところでは、「食費や寮費等を賃金から控除する場合には、法規にのっと った労使協定の締結が必要であり、この場合において、控除する額は実費を超えてはな りません」という形で明記したところです。  30頁です。不正行為認定を受けた場合に、これまで本人たちが帰国させられてしまう ということで、泣き寝入りの原因になっているのではないかという話がありました。従 来から、法務省入管局としては、継続して実習のできる受入れ先があって、本人たちに 責任がなければ、実習の継続を認めてきたところですが、そこがなかなか明らかになっ ていなかったことで、今回この指針に明記しています。不正行為が認定された場合に、 研修生・実習生本人に責めがなく、引き続き研修・実習を行うことを希望して、適正な 体制を有している他の機関に受け入れられることがある場合については、引き続き在留 が認められます、と入管としても書いたところです。  今後、この指針に基づいて入管局は指導していくということですし、省略しましたが、 どういった行為を行った場合に不正行為認定されるかも、かなり具体的にブレイクダウ ンして書いたところで、一定の抑止効果もあるのではないかと期待しています。  資料No.7です。これは厚生労働省の平成20年度予算内示の概要を1枚付けています。 予算が成立したならばということですが、1つは巡回指導の強化です。今年度はJITCO を通じまして7,300件以上の巡回指導を予定しておりますが、平成20年度においては1 万件を目途に実施していきたいと考えています。  2点目は、本人たちに対する電話相談ホットラインです。苦情処理というか、救済措 置として、こういったものを充実させたいと思っています。JITCOにおいても、いま自 主事業として、中国語、ベトナム語、インドネシア語について、週1回の母国語相談と いう事業を行っております。例えば土、日にフリーダイヤルで電話相談ができるような 体制が講じられないかということで、予算を付けたところです。  3点目は、ご指摘いただいている帰国後の技能移転の状況です。遅ればせながらです が、フォローアップ調査を実施したいと考えていまして、必要な予算を盛り込みました。 こういったことも、引き続き確実に実行に移していきたいと思っています。以上がこれ までの経緯と行政の対応等です。  続いて、資料No.8をご覧ください。こういったこれまでの中間報告以降の経緯の中で、 中間報告でご指摘いただいた中で、特に適正化措置として早急に対応すべきものについ ては、行政としても対応していきたいと思っていますし、実務研修中の研修生の保護に ついては、規制改革のところでも、労働関係法令を適用する形で中間報告に沿った方向 性が示されたところです。  ただ、先ほどマスコミ等の報道をご紹介したように、この制度全体を考えますと、労 働法令の適用というのは最低限の保護措置でありまして、制度全体の、入国から出国に 至る人の流れ、あるいは入国後の管理の問題、こういったものはまだまだいろいろな問 題が生じているところですので、引き続き来年度の入管法等の改正も見越して、この研 究会でさらにご提言がいただければありがたいと思いまして、検討課題を今日ご議論い ただければと思っております。  事務局のほうで、これまでの議論から考えられる項目を掲げてございます。1つは「ブ ローカー対策、技能実習生の需給調整のあり方」。2つ目が「『研修』のみで1年以内に 帰国する場合の取扱い」。3つ目が「帰国後の技能移転の実効性確保」。4点目が「JITCO のあり方」、「その他」としています。  これまでの議論の繰返しになりますが、いま一度私どもの問題認識とか、背景につい てご説明させていただきたいと思っていまして、2頁以降をご覧いただければと思いま す。  まず2頁です。この研修・実習制度の多くが団体監理型でして、受入れ団体が研修実 施機関、受入れ企業に対する研修の監理をする責任を持ってこの制度を運営する仕組み です。しかしながら、この受入れ団体におきまして、必ずしも制度趣旨が徹底されてい ない、あるいは受入れのためのあっせん機関になっている、という批判があるところで す。  ここにあるように、受入れ団体による不正行為等も減っておりません。平成18年の不 正行為認定件数は229件で、うち団体監理型が218件です。過去4年間でいきますと97% を団体監理型が占めています。失踪者も企業単独型に比べて多くなっています。下の円 グラフはデータが古くて、去年お示ししたものと同じですが、JITCO等が指導に行って も、事業協同組合、特に異業種の組合において指摘が多い状況は、新しい数字をいま集 計していますが、おそらく傾向は変わっていない状況です。  3頁です。そういう中で、もう1点問題になっているのが管理費の問題です。送出し 機関あるいは受入れ団体の中には、営利を目的として、いわば人材派遣会社のような感 覚で、高額な管理費等を徴収しているケースがあると言われています。企業の負担も増 えるわけですし、実習生の賃金あるいは拘束的な労働の原因にもなっているという指摘 もあります。これも前と同じデータで恐縮ですが、左側の全体の平均で見ますと、3年 間で、送出し管理費、受入れ管理費を合わせて160万円ぐらいです。月に割り戻すと4 万円とか5万円を管理費として受入れ企業が負担しています。  次の頁です。本人の負担で、保証金等の問題です。これは実態を把握しているわけで はありませんが、国内での締めつけが厳しくなった分、送出し機関が本人からの保証金 の額をたくさん取っているという話も聞くわけです。この保証金等が本人たちの入国後 の、例えば違法な残業も厭わない、失踪を招くといった事例。あるいは保証金の没収を おそれて、人権侵害等があってもなかなか訴えを起こさないこともあるのではないか。 さらに言えば、「送出し機関の実態」という右側の箱に書いていますが、送出し機関が日 本国内に事務所を設けているケースがかなりありまして、送出し機関自体が日本国内に 入り込んで、研修生・実習生の管理をしている実態がございます。  5頁です。これは次の観点ですが、「『研修』のみで1年以内に帰国する場合の取扱い」 です。これは中間報告でも大きな検討課題の1つとされたところで、1年以内で帰国す る場合についても、ほとんどの場合実務研修が行われているということで、実務研修中 の研修生の法的保護を図るべき必要性については変わりはないということです。先ほど ご紹介しましたように、労働市場改革専門調査会のほうでは、この1年以内の研修につ いても、実務研修については労働関係法令を適用すべきだというご提言がされています。  6頁で「帰国後の技能移転の実効性の確保」です。まず、現在制度上、技能実習終了 時、3年経過後の技能の評価というのが義務になっておりません。2006年度の数字を見 ても、技能検定3級レベルの受験率は低い状態です。  帰国後の技能移転の状況は、従来からお叱りいただいているところですが、十分に実 態を把握できていない中で、いかに技能移転効果の把握をしていくか、あるいはその実 効性を高めていくか、こういった観点も引き続き課題だろうと考えるところです。  次の観点は「JITCOのあり方」です。JITCOについては、巡回指導等、取組みを強化し ているところですが、一方で十分に役に立っていないという批判もあります。 JITCOの体制を若干説明させていただきますと、本部と地方駐在事務所が17カ所あり ます。どういった仕事をしているかと申しますと、1つは国際関係として、送出し国政 府とのR/Dの締結、あるいは定期的な協議です。帰国した実習生に対する同窓会の組織 化もやっています。出入国関係で、出入国の手続きですが、入管に出す書類の事前点検 をしています。これは会員以外も対象にしています。入管への書類の取次事業、これは 会員のみで、若干の手数料を取って実施しています。あるいは入管からの依頼などを受 けまして、受入れ機関に対する実地調査もしています。  能力開発関係で、研修成果の評価、1年目修了時の技能検定を受験して、合格してい るかの確認と審査。それから2年目、3年目以降の実習計画の評価をやっています。自 主点検、巡回指導、あるいは実習修了後の証明書の発行です。この辺は厚生労働省から の委託としてやっているところです。研修生たちに対する日本語教育の支援、受入れ企 業や受入れ団体が行う日本語教育への支援、あるいは教材の開発です。その他、企業や 団体向けの相談、あるいは本人たちへの母国語相談もやっているところです。  適正化に向けた「JITCOの取組み」を右側に載せています。受入れ機関への巡回指導 の強化ですが、平成19年度は7,300件以上です。自主点検を昨年行って、それを踏まえ た巡回指導、その結果の労働基準監督署への提供等です。  また、この中間報告が出た後、6月から7月ですが、JITCO主催で、適正化キャンペー ン会議というものを全国7カ所で開催して、適正な実施に対する周知・啓発、それから 労働関係法令等の説明会をやったところです。参加団体は789団体で、およそ半分の団 体が参加したものと考えています。  平成19年度の自主的な取組みとして、受入れ団体で制度を担当する者に対して、しっ かりと労働法令等を説明して理解してもらう。まず担当者にわかってもらう、そういっ た講習会を実施しているところです。なお、監督署あるいは入管の調査結果等について は、このような状況です。  「その他」は、さらにいろいろご意見を後でいただければと思いますが、1つ挙げて いるのは「実習実施体制」です。中間報告でも検討課題とされるところで、先ほど申し 上げましたように、日本人従業員の数を大きく上回って、ほとんどが技能実習生しかい ないという事業場も見られるところで、こういったところをどうしていくかという課題 がございます。  9、10頁には、いつものパターン図を付けています。業種によっては、そもそも研修 生、実習生でないとやっていけない、日本人の高卒並みの賃金を払えないといった声も 聞かれるところで、いろいろなテレビ等の報道番組を見ても、合わせて指摘されるとこ ろです。こういった産業の問題についても、併せて考えていくべきではないかと思って いて、資料として付けています。  以上でございますが、その他ここでは書ききれないことが多数ございますので、そう いったことにもご意見をいただければありがたいと思っています。よろしくお願いしま す。 ○今野座長 ありがとうございました。昨年の5月の中間報告以降の経緯についてお話 をいただきました。これから何回行うかわかりませんが議論していきますので、今日は、 当面どんなことが検討課題になるのかを中心にして議論をしていただければと思います。 それと同時に、今日はたくさん資料の説明をしていただいたので、資料についてのご質 問、ご意見でも結構ですのでよろしくお願いします。ということで全体的にはフリート ーキングで行きます。  それでは私から1つよろしいですか。経産省案と日本経団連案がありますが、そこで 実務実習が終わったら就労を認めるということが書いてありましたが、あれは就労をど ういう形で認めるのですか。私が知っている範囲以内だと、3年とか2年とか有期で就 労と書いてあったような気もするのですけれども。その辺はどうでしたでしょうか。い つまでもいてもいい就労という意味ではないですか。資料でいくと何番でしたか、きれ いにまとめたものが。 ○外国人雇用対策課長 まとめたのは、資料No.3です。 ○今野座長 資料No.3ですか。左側の欄でいくと再技能実習の欄にあって、経産省案だ と「就労ビザを検討」、経団連案だと「再技能実習修了後の就労も検討」と。 ○外国人雇用対策課長 経産省案でははっきりしないんですが、経団連案で見ますと、 参考資料の経団連の提言のポンチ絵になっている2頁目のところに。 ○今野座長 資料ナンバーいくつですか。 ○外国人雇用対策課長 資料ナンバーは、参考資料のほうです。 ○今野座長 参考資料ですか。 ○外国人雇用対策課長 参考資料の4番目、経団連の提言の資料の2枚目にポンチ絵が 付いています。経団連さんは再技能実習後就労という絵を書いておられて、そこには「『技 能』の在留資格を付与し」と書いてあります。現行のこの技能という在留資格を想定さ れているのであれば、これは定住も可能な長期の、更新も何度も可能で永住権取得が可 能なものを想定されているのではないかと。 ○今野座長 ということは、ずうっと居てもいいということを想定しているということ ですか。 ○外国人雇用対策課長 ではないかと思われますが。直接取りまとめたものではありま せんので。 ○上林委員 たしか定住でもいいというような説明図を配りました。これとは別に出し ました、説明をするために。いずれは定住かというような形の言葉が入っていたと思い ます。 ○森永委員 経団連の目的は「労働力ミスマッチへの対応」のわけですから、損ではな いですか。 ○外国人研修推進室長 ちょっと読み上げさせていただきます。経団連の提言の7頁で す。「当面は基本的にローテーション型の受入れとすることが適切だと思われる」。 ○森永委員 そう書いてあります。 ○外国人研修推進室長 したがって「当面、在留期間に上限を設けるとともに」と書い てあります。当面ということです。 ○今野座長 何かございますか。 ○森永委員 帰国後のフォローアップなんですけれども、予算で取られているのが 1,000万円です。私はずっと調査をやってきた経験から言うと、1,000万円の予算でフォ ローアップ調査ができるという感覚が、すごく違和感を覚えるのです。言葉も違うし、 これ例えば私が1,000万円で引き受けろと言われたら絶対に断ると思うんです。具体的 にどういうことをされようとしているのですか。 ○外国人研修推進室長 ちょっと予算的な制約もある中で1つ考えておりますのは、帰 国時に、本人に郵送調査の封筒を、アンケート票を渡して着払いにしておきまして、帰 国後に例えば3カ月とか6カ月の一定期間がたった後の自らの職業の状況だとか、当然 日本国内にいたときの状況なんかも書いていただくことも想定します。そういった形で 1回帰ってからではないと、なかなか本当のことは言っていただけないという傾向もあ りますので、帰国時に渡して、帰国後に書いて着払いで返していただくというような、 アンケート調査を考えています。 ○森永委員 日本語で書いてもらうんですか。 ○外国人研修推進室長 例えば中国語なら中国語で書いていただく。 ○渡邊委員 難しいです。 ○森永委員 実際に調査をやるのはJITCOさんがやることですか。 ○外国人研修推進室長 例えばJITCOなどに委託をして、調査票を作っていただくこと を考えていますけれども。 ○渡邊委員 まずは書くのが大変難しいのではないですか。実効性があってもインセン ティブを付けておかないと、だれも返してくれない。 ○外国人研修推進室長 そういうお話もあります。 ○今野座長 3,000円送りますとかなんとか書いてあれば。 ○渡邊委員 また話は別ですけれど。技能実習にかぎらず、外国人にアンケートという のは、ほとんど絶望的ですよね。 ○森永委員 私はやったことがないですけれど、例えば中国からの料金受取人払いの郵 便はあるんですか。 ○外国人研修推進室長 国際便でもあると聞いております。 ○森永委員 そうですか。 ○外国人研修推進室長 そもそものフォローアップですけれど、この調査もやりますけ れども、当然本来は送出し国に対してJITCOを通じてR/Dを結ぶときに、技能実習の効 果とか技能移転の状況の報告を求め得るようになっておりますので、そういった政府レ ベルでのフォローアップについても、JITCOルートあるいは外務省ルートを使ってしっ かりと要請をしていきたいと思っています。 ○今野座長 やっぱり1,000万円は寂しいですね。 ○外国人研修推進室長 ちょっとそれは。 ○森永委員 これは財務省が予算を切ったということなんですか。 ○外国人研修推進室長 全体の予算枠の中でどこに重点を置くか、という私どもの判断 もありましたけれども。やはり巡回指導の強化ということに重点的に力を入れたいと思 ってやっております。 ○今野座長 何か遠い昔に日本ILO協会がやっている、「橋計画」でしたか。あの場合は、 日本ILO協会が名簿を持っていましたので、アンケートを出したことがありますけれど。 ILO協会での研修生たちはロイヤリティーが高いのではないかと思いますが、回収率は5 割ぐらいです。問題は帰った人がロイアリティーを感じているかです。 ○外国人研修推進室長 回収率の向上策は、ちょっと考えてみたいと思います。 ○今野座長 住所だけを聞いておけばいいという話もあるんです、帰国時に。それで送 ってもらえばいいのではないですか。持って帰ってもらうのとどちらがいいか。 ○渡邊委員 ちょっと関連してフォローアップのことで、JITCOの同窓会が、前にも議 論があったかも知れないのですが、JITCO同窓会ではどの程度把握できているのかと、 いまどれだけ把握できるのか。1,000万でできるのと、そっちでどの程度把握できるの と合わせて、どのぐらい把握できるのかというところを少し知りたいのです。 ○外国人研修推進室長 手元にないのでまた調べてご報告をしますけれども、JITCOの ほうもここ数年でそういう取組みを強化しつつありますので、まだ十分ではない状況で す。 ○今野座長 どうぞ。 ○樋口委員 JITCOについて私も質問をしたいのです。今度予算で1万件の巡回指導と いうことで、3億3,000万追加という話が出ています。この1万件というのが、全体の 中で例えば2年に一遍巡回はするとか、どのような頻度に大体なっているのかというよ うなところ、それが大分増えてきているという話なのかどうかを、ひとつ教えていただ きたい。  それと関連をしまして、こちらの先ほど説明をいただいた課題のほうですか、資料No.8 の7頁のところに「JITCOのあり方」というのがあったわけですが、体制について少し お尋ねしたいんです。本部があっていま地方の駐在事務所が17カ所ということは、各県 にはないわけです。そうするとまずブロックで、何か関東ブロックとか南関東ブロック とか何かわかりませんけれど、そういったところで点在して、まず駐在事務所といった ものがあると考えてよろしいのかなと思うんです。  60名の巡回指導要員というのは、これは全体ですか、17カ所で60名いらっしゃると いう数なのか。60名で現在7,300件回っているということは、大体年間にして、120件 平均で1人で回るのか、2人で回るのかはわかりませんけれど、頻度が相当高い状況に なっているんだろうと。そこら辺のJITCOの体制というものもどのように考えていくの か、重要なポイントだと思うんです。現在の予算ベースで考えると、JITCOの予算とい うのは、会員からの会員料といいますか、メンバー費、それと国からの助成ということ なんでしょうけれど、その比率というか額がどのぐらいになっているのかというのを、 教えていただけたらと思います。  いま例の国民生活審議会のほうで、安全・安心プロジェクトで働き方をやっているの ですが、実はこの外国人研修制度というのも議論に上ってきているんです。そこでは政 策のというか、行政の総点検というのを3月までやれという話ですが、これは多分メイ ンにはならないと思いますが、そういったところの行政としての、行政なのかJITCOを どう位置付ければいいのかは分からないですけれど、十分に機能していると判断してい いのかどうか、というのを含めて教えていただきたかったことです。 ○外国人研修推進室長 まず頻度ですが、目安としましては全受入れ企業に2年に1回 は、つまり1年間に半数は回るというのを1つの目処としてやっております。 ○樋口委員 いちばん気になったときの目処ですか。現状がそうだということですか。 ○外国人研修推進室長 いままでです。来年度、19年度につきましては、いま受入れ企 業は1万7,000件ぐらいですので、半分だとしたら8,000から9,000です。それにプラ スをして、例えば1回行っていろいろ指導はしたけれど、なかなか従わないところには もう一度再指導に行くとか、あるいは特定の地域である業種にいろいろ問題が起きた場 合には、そこに重点的に行くとか、そういった重点的あるいは集中的に行くという体制 も取れるよう、そういったことも含めてプラスアルファーで1万件ぐらいをお願いしよ うと思っています。  現状としても、私どもから委託している予算では7,300件という予算で委託をしてお りますけれども、JITCOは当然その会費で自主財源もありますので、そういった努力も 合わせて7,800ぐらいを目標にいま回っているところです。駐在事務所はいま17カ所で、 確かに全都道府県にはありませんので、その中で担当の地域を決めて回っております。 常勤でいる駐在員もいますし、例えば委託というか、1件いくらで回ってくださいとい う契約で回ってもらったりもしていますので、若干変動はありますが、大体、全国で約 60〜70名ぐらいの巡回指導員で動かしています。  JITCO自体の予算は大まかに申しまして、収入が約28億ぐらいありまして、国からの 補助金等が5億円ぐらい、自主事業として教材を売ったりセミナーをやってテキスト代 をもらっているのが大体5億。会費収入が12億ぐらいです。あとは運用財産等がありま す。国庫から5億、自主事業で5億、会費収入が12億、その他という感じです。 ○樋口委員 いまの60名、プラスアルファーがあったにしても、相当に厳しい労働条件 というか、回数見て回らなくてはいけない。それも1つの市町村ではなくて、いろいろ な所ということになっていると、状況としてはかなり厳しいのかなと思います。 ○外国人研修推進室長 当然1万件のお願いするときの予算ではそういった人件費も含 めて、国からの委託事業という形になりますので、予算措置も人件費も含めた形で予算 を対応しようと思っています。いずれにしても確かに受入れ事業場の存在する場所が、 特に山奥だとか僻地が多かったりしますので、1日1件か2件行くのがやっとだとかい う状況もありますので、かなり大変は大変という状況です。 ○樋口委員 国からの5億円の補助金というのは一般会計からのものですか。 ○外国人研修推進室長 主に一般会計です。厚生労働省であれば雇用勘定と一般会計で す。 ○樋口委員 雇用からも出るということですか。 ○外国人研修推進室長 雇用からも出しています。厚生労働省以外も法務省や経産省か らも一定の調査費用などは出していますが、厚生労働省で言えば一般会計と雇用勘定で す。 ○丹野委員 そうだとすると、JITCOの機能をどこまで高めたとしても、それは書類審 査レベルでの審査が厳しくなること以上のものは、なかなか望めなくて。そうであるな らば、例えば新聞報道で最近増えてきているのは、結局個人からの訴えだということで あるならば、権利なき人々を保護するという非常に難しいところだとは思うのですが、 これ、ある種の内部告発なわけですね。だから、やはり内部告発制度がうまくかかるよ うにして、そして、内部告発をしてきた人たちを保護して、告発者については法で定め られた限りにおいての、保護の要件を満たす限りで回すというか、要するに転職だのほ かの手段を確保してあげる。  そのことを通して、今日のお話だと、いまのところ帰国時でしか訴えが出てこないと いうことだったのですが、適正化を進めていくのであれば、帰国時に訴えが出るのでは なくて、問題があった時点で訴えが出ることが繰り返されていかないと、たぶん適正化 にはならないわけですね。ある種の内部告発制度の枠がこの人たちにかけられて、当人 の権利が守られる。要するに行政側の人員を増やすことでの対応ができない以上は、当 事者からの訴えをいかにして取り込んでいくのか。それをうまくある種のガバナンスの 中に組み込めるかどうかで、多少なりとも良い制度になるかどうかが決まってくるのだ と思うのです。 ○森永委員 先ほどご説明していただいた中で、不適正案件の中に同等報酬要件の違反 というのがなかったですよね。これはいまは取り締まっていないということなのですか。 ○外国人研修推進室長 まず入管のほうで、当然、受入れの段階、技能実習に移行する ときにその雇用条件をチェックするわけですが、入管書類審査で明らかに同等報酬要件 に照らしておかしいというものがあれば、調査をすることもあるのだと思いますが、基 本的には最低賃金以上の金額が払われていれば通っていると聞いています。JITCOでも 最低賃金以上を払っていればそれ以上、比較対照が難しい中で言えないというのが現状 です。 ○森永委員 いまはJITCOが実際に現場に行って、これは明らかに低賃金労働だなと個 人的には思っても、そのガイドラインがしっかりしていないから言えないという状況な のですか。  ○外国人研修推進室長 正直、最低賃金がクリアしているかどうかというところはチェ ックしているとは思いますが、それ以上はなかなかできていない。 ○山川委員 いまの森永委員のお話との関係で、同等報酬要件というのは、基準がはっ きりしていないというのもありますし、それを満たせば入管で入れますということで、 個人の権利ではないのですね。だから仮に同等報酬要件に違反していたとしても、同等 報酬請求権というのは権利としてはないというのが実態で、そういう理解でよろしいの ですね。だから裁判所とか行政に訴えてもその請求権の実現というのは、制度上いまの 段階ではそれが契約内容になっていて、それで合意しましたということが立証できない 限りは、制度的に無理なのではないかと思いますが。 ○森永委員 私も忘れてしまったのですが、労働基準法で同一労働同一賃金の原則とい うのはなかったですか。 ○山川委員 あれは国籍によって差別をしてはいけないという、それに引っかかる場合 は別ですが、同等報酬は入管上の問題なので。国籍差別という認定ができればいいので すが、国籍によって低い賃金を払っているということが、ほかに例えば日本人の従業員 がいないとすると立証できないとかそういう問題があるのです。意見になってしまうの ですが、やれるとしたらせめて契約できちんと、これぐらいのお金を払いますとやった ら、それは入管の問題ではなくて労働契約の問題にして、先ほど丹野委員の言われたよ うに、訴え出られるようにするのが、1つの案ではないかと思うのです。 ○上林委員 JITCOの場合には内部の書類を見せてくださいという権限がありませんね。 最終的には何か違反があった場合には、労働基準局とか警察とか入管にいって、処分と いうか違反を告発する形になりますか。 ○外国人研修推進室長 そのとおりです。たとえば労働基準法違反が、JITCOの職員が 行っても明らかな場合については、これは基準法に違反するから是正したほうがいいで すという口頭指導はしますが、それ以上のことはできないので、そういった情報は労働 基準監督署に提供する。あるいは明らかに不法就労者と思われる方がいたら、入管に情 報を提供する。あくまで情報提供すると。 ○上林委員 情報提供という形を取りますか。 ○樋口委員 基準監督署の担当官はどのぐらいですか、専門はいないのでしょうね。実 際に調査・摘発とかにはどのぐらい入っているのですか。 ○外国人研修推進室長 全体の数は、技能実習生の関係で言えば、1,600件の事業場に 対して年間行っています。どこの企業に技能実習生がいるということは、事前に労働基 準局に流していますのでそれを基に、あるいは告発とか情報提供を基に監督している状 況で、18年度は1,633件です。 ○森永委員 例えばガイドラインで初任給以上は払わなければいけないというのを作っ たとしたら、JITCOが現場の調査に行ったときに、それに基づいて指導はできるように なるのですか。 ○外国人研修推進室長 それはそうさせればいいと思います。 ○上林委員 資料No.3では、やはり再技能実習のところが研究会としてどういうスタン スを取るかが問題だと思うのです。論理的に非常に一貫しているのは、長勢さんの「3 年間経ったら絶対入れない」というのか、あるいは経団連の「いまはだけど、いずれ繰 り返してその人たちの就労を認める」という、これが論理的には一貫していて、その真 ん中はどうしても非常に曖昧になってしまうし、現実は曖昧でしかなかなか進まないの ですが、ここの整合性をどうやって取っていくかが非常に難しいなと思っています。 ○渡邊委員 それは目的というところに、国際協力ということを、ミスマッチ労働力、 ミスマッチへの対応というので出てきています。 ○上林委員 例えば中国では、はっきり中国から日本に来ている人たちに対しては、研 修ビザではなくて就労ビザで来ているわけですね。当然、就労だと意識して向こうは送 ってきているわけです。ですから日本に来ている中国の研修生は全部送り出すときに、 就労というカテゴリーで日本に来ているわけです。研修というのでは外に出さないので す。ですから、中国の送出し団体のまとめているところ、これは特別に国家が認定した 以外の人は、全て就労ビザを出して外国に働きに行く。その外国に働きに行くのがたま たま日本であるかもしれないし、ベトナムであるかもしれないけれども、本当に友好で 出すのはお金を出しているアフリカの諸国ぐらいです。そして積極的に就労していくこ とが重要だということを国家として出しているわけです。  そうすると、どうもそのときに私たちが技能移転ということを言っても、向こうとは 水と油で全然話が合わないと思う。いままではそれがあまり向こうも熱心ではなかった ので、齟齬がなかったのですが、国の政策として労務輸出が1つの方針で、農民移行の 問題がありますので、それを解消するためにもわずかとはいえ、年間50万ぐらいなので すが、世界各国に出すぞと言ったときに、どうもこの日本の技術移転というのでは話が 通じなくなってきているかな、というのがこのごろ感じることなのです。 ○渡邊委員 そうしたら、例えば中国などは、人材派遣会社を通して来ているわけです から、やはり就労で誰も研修とは思わないということになってしまいますよね。  ○上林委員 はい。 ○今野座長 これは中国の場合、伝統的に言うと、専科局はそういう意識ではないので はないですか。要するに2つあるではないですか、専科局ともう1つ服務公司のほうと。 専科局のほうは研修の意識が強いですね。 ○上林委員 最初始まったころはそうだったのですが、技能実習制度が拡大するにした がって、そうではない部分のところが増えてきて、あまりに人身売買的なところがある ので、政府としても送出し機関について締め付けをしますよということを言い出したの ですが、基本的にそこの派遣会社の数が膨大に増えたのですね。そういう事情が向こう にあるときに、こちらで技能実習という名目はほとんど通じなくなってきているという のが、非常に難しいと思います。 ○外国人研修推進室長 これは中国との関係で、最近の状況としては先生ご指摘のよう な実態も当然あるのだと思いますが、中国政府が送出し機関の適正化も、領事局協議と いう外務省ルートの協議の場があるので、そういったところでこれまでも申入れをして いるところです。中国側もこれだけ日本国内でいろいろ研修生のトラブルが出てきたと いうことで、日本の研修制度についての問題意識はかなり持ってきている。それは残念 ながら両面ありまして、同邦である中国人はちゃんと日本国内で保護をしてくれという、 これは真っ当な意見と、あと、よりたくさん送り出すので、そこは拡大してほしいとい うような、先ほど先生が言われた両面があるのです。  どちらにしても中国側もこの問題について着目をして、中国のほうからも日本政府に 対して、この問題の解決について協議をしようではないかというアクションを起こし始 めています。そういう意味ではいい機会なので、領事局協議等の場で、今後日本の研修・ 技能実習制度の趣旨をきちんと説明する機会は増えていくと思っているので、そういっ たチャンネルはしっかり握っていかなければいけないなと思っているところです。 ○今野座長 これは1年の研修でも実務研修のときは雇用として扱いなさいという話が ありましたよね。OFF-JTのところは扱わなくてもいいわけですね。 ○外国人研修推進室長 はい、そうですね。 ○今野座長 そうすると、我々が1年プラス2年でやったときの1年目でも、どこか OFF-JTをやっていますね。例えば安全教育とか。もしそうした場合にこれとの齟齬とい うのはどうなのですか。 ○外国人研修推進室長 そこが実は事務方のほうでまだ詰め切れていなかった部分です が、1つは労働市場改革専門調査会では、いわゆる座学については法律上、労働時間と して扱わないという整理をすれば、そこは賃金支払い義務がないのです。その間の生活 費は当然、何らかの措置はしなければいけないのでしょうけれども、座学中は例えば技 能実習なら技能実習のビザという1つのビザの中ではあっても、その時間は賃金支払い 義務はないという整理ができるのではないかというご提言があります。  一方で、例えば日本人の新入社員の研修を考えれば、研修中でも賃金を支払っている ケースが多いわけです。あくまで指揮命令関係での座学なのだという整理を制度的にす れば、賃金支払い義務を課すという考え方もあるとは思いますが、現実問題として働い ていないではないかという受入れ機関側の考え方もあるでしょうし。労働市場改革専門 調査会の整理が1つの整理なのかなとは思っています。 ○樋口委員 要は日本人が日本企業で働いて受けるOFF-JTの中身は、かなり仕事、オリ エンテートの環境です。それに対して日本語教育をするという話は、必ずしも直接的に つながらないようなこともあるわけで、一概にすべて払えとはいかないのではないかと いう解釈だったと思います。 ○上林委員 そうすると賃金は変わらないということですか。 ○樋口委員 いや、だから時間帯によるのではないですか。 ○上林委員 よりますけれども、例えば実際には日曜日とか休日とかに日本語教育や安 全教育をするとしたら、就労をしている時間が従来と同じだったらそこは賃金不払いで も、もらう人の額は変わらないのでしょうか。 ○樋口委員 就労をしているというのがOFF-JT以外の就労と同じであれば、それは増え ますよ。 ○森永委員 私が専売公社に入ったときに、座学のあと、実際に機械を動かすような研 修がずうっと半年も続けていたのですが、それが賃金支払いの対象になるのですか。 ○樋口委員 それはOFF-JTでなくてOJTであれば。 ○今野座長 そういう制度なのです。教室にいるかいないか、場所です。 ○樋口委員 それとその研修を行う主体は誰であるかといったときに、必ずしも個別の 受入れ企業でなくてもいいわけですよね。公的にそういったものをやるという考え方も あり得るわけです。日本語研修を自治体がやるとか、国がやりますとかというようなこ とも含めて考えていったほうがいいのではないかという形です。 ○上林委員 賃金支払いを義務とすると、研修が疎かになってしまう可能性もあること をおそれて、ここは賃金の支払いがないと提案なさったわけですね。 ○山川委員 いまの話で難しいところは、例えば機械を見学に行くとかという場合に、 ちょっと触ってみたらどうですかとか、そういうのもありますね。そういう場合は実務 研修と言わなくなってしまうのかなという感じがするのですが、そこは一概に言い切れ なくて、座学というのは必ずしも座っていなくても、見学的な、いわばプラスアルファ ー的なものも含み得るのかなとは思いますが、ちょっと微妙ではないですか。 ○森永委員 実際に機械を動かし始めたとき、最初の2、3日は売る製品にならないので すね。実際にはすごく微妙なのですが、樋口委員の言われるような、場所で決めてしま うのだというのは、分け方としてはいちばんすっきりしていると思います。 ○上林委員 研修ではなくて座学という言葉を使ったわけですね。 ○外国人研修推進室長 いまの研修の省令の基準によりますと、実務研修の定義として、 商品を生産しもしくは販売をする業務、または対価を得て役務の提供を行う業務に従事 することによりということなので、例えばお試しに作ってみるのは、たぶん省令にいう 実務研修に当たらないのではないかと思います。実務研修ではない、つまり座学、非実 務になるのではないかと思います。実際に製品として出荷するものを実地で作る、これ が実務研修になるのだと思います。 ○樋口委員 いまの話は日本企業において、一般の日本人の適用の話ですか。外国人研 修制度にそれを当てはめますという話ではなくて。特例ですということではなくて。 ○外国人研修推進室長 入管の研修ビザの受入れ要件として書いています。 ○今野座長 こちらの場合は、中間報告では1年プラス2年で、3年のときに最初に例 えば安全教育をしてもそこは雇用関係ですよという話になっているわけですよね。そこ で今度1年の研修で我々が考えたときに、そこで安全教育をやったのが雇用関係ではな い なんていうと合わなくなりますよね。例えばの話ですが、どうするのでしょうか。 ○外国人研修推進室長 我々の中間報告の案でも、例えば安全衛生教育を義務付けるべ きだとは書いてありますが、そこの賃金支払いの取扱いについては、実は明確になって いません。 ○今野座長 なってないですよね。まさに検討課題なのです。 ○外国人研修推進室長 いまのご議論で1年の研修の取扱いについての問題とセットの 議論になってくると思います。1つは座学については賃金支払いの対象としないという 制度もあると思います。事務局から申し上げますが、いわゆる1年以内の研修、例えば 半年とかの研修の場合、いわゆる政府関係機関で受け入れているような研修とか、ある いは企業単独型で、かなりしっかりとした研修カリキュラムでやっている場合とかもあ りますので、そこを例えば実務研修に限っても、一律に労働法令を適用することがいい かどうかは、議論としてはあるのかなというところです。 ○上林委員 そうするといまでも企業からの要望では、座学の時間を確保するのがすご い大変だと、現実にはすぐ現場に入れてしまうのですが。今度、ここは賃金は支払わな くていいとなると、いかに賃金を支払わない時間を確保したかを、やはり同じ手間がか かりますよね。これは座学だったのだから働いたことにはしないと、書類上はほとんど、 作業としてはいまと変わらないことになりますね。要するに何10時間の研修期間をやり まして、これは誰がどこの場所で何人いましたという、これを証明するのがものすごく 大変なのですよ。だから実際にその手間も考えたら一律に、受け入れたということは毎 月決まったお金を出すのだと思ってもらいたいというのが、中間報告の考え方だったの です。 ○樋口委員 中間報告だと1年というのはやっていないのですか。 ○上林委員 やっていないのですね。 ○樋口委員 これはどうするかはこれから議論することであって。 ○上林委員 要するに座学というものを24時間の生活時間、あるいは1カ月の就業時間 の中からきちんと分けて、これが座学であったということを企業に証明させるという作 業がここには入ってくるわけですね。それが果たしてそれだけの手間に値するかどうか ということです。 ○審議官 それは日本語研修とか、そういうところはいままで団体のほうでやっていて、 実務研修的なのは個別企業でやっているのです。先ほど樋口委員が言われたように、場 所である程度区分けができるのではないかという考え方なのですね。語学研修、安全衛 生まで含めて団体でやってもらえれば、あとは企業でやるのは全部業務ですよというふ うに、仕分けしていくことができるのではないかということです。いま言われたような 難しさというのを、そういう形で整理しきれるかどうかですね。そういう点はご議論い ただくことになってくるのではないかと思います。 ○今野座長 いずれにしても、この1年研修のときはそういう点が問題になりますね。 ○樋口委員 先ほどご指摘になった、中国からはいろいろな国に出しているわけですね。 出していて、いろいろな国で量的質的にトラブルは違うと思うのですが、日本固有のト ラブル、例えばこういった形で研修制度で受け入れているが故のトラブルというのも、 かなりあるのではないかなと思うのです。そうしたときに片方で、では外国人労働者問 題としてこれをどう受け止めていくのかということも、セットで多少議論をしていかな いと駄目かなと。この中間報告が出てから、それ以降、FTAのインドネシアの看護師で あるとかについて、だいぶ進展があったと聞いているのですが、そのところについてど ういう議論がいま行われているのか、あるいは実態としてどう変わってきているのかと いうことについて、少し教えていただけますでしょうか。 ○外国人雇用対策課長 EPAの関係でまず、具体的に二国間協定で介護福祉士と看護師 の候補者を受け入れるということを決めている国は、インドネシアとフィリピンだけで す。これは大筋合意でそういうことが決まっているのですが、肝心の協定自体がまだ発 効していません。フィリピンについては日本の国会の承認手続きは終わっているのです が、向こうの国会手続き、上院でまだ審議中。他方インドネシアについては、日本の国 会にまだかかっていてペンディングになっている状態です。それぞれそういう手続きを クリアした上で、初めて発効するという段取りです。まだ具体的には受入れがいつから ということが言える状況にはなっていません。EPAについての現状を申し上げればそう いうことなのです。 ○今野座長 上院の審議が遅れているのは何か理由があるのですか。 ○外国人雇用対策課長 上院の審議はいろいろ事情はあるようですが、外務省の話によ ると、EPA全体として、日本とEPA協定を結ぶことで、どういう利益がフィリピン社会 にあるのかという、まず非常に大きなところから引っかかって議論になっている。だん だんその議論も煮詰まってきていて、だいぶ時間もかかって議論をしていますので、以 前よりはだいぶその議論も収斂してきているとは聞いているのですが。 ○森永委員 受入れ規模もまだ決まっていないのですか。 ○外国人雇用対策課長 受入れ規模、それは当初の首脳間で大筋合意をしたときに、2 年で1,000人と決めていますので、最初の2年間の枠は決まっています。 ○上林委員 新聞の報道でしか読んでいないのですが、フィリピンではうまく通らなか った理由は、日本の日本語教育とか、介護の期間が非常に長くて訓練費用がかかるので 行きたい人も行けないから、これは特定の日本語学校の人たちや業者を太らせるだけで はないかという反対が向こうの議会にあったようです。日本語で試験を受けて受からな ければ駄目だという基準を設定しているので、なかなか行けないということだと思いま す。新聞で読んだのですが、どうなのですか。 ○外国人雇用対策課長 その点も誤解されているのですが、その点だけは非常に大きく 大きく人によっては問題となっているのだと言われるのですが、そういうことも議論の 中では出ているのかもしれないのですが、それが最大のイシューであったというふうに は理解していません。 ○上林委員 どういうことなのですか。 ○外国人雇用対策課長 向こうの事情なのでその詳細まではわかりませんが、環境廃棄 物の問題であるとか、フィリピンから日本に送る話ではなくて、車の問題とか日本から フィリピンに行く話もあるわけですね。総合的、全体的にEPAでセットしているその事 柄自体がそもそもというような話だったと理解しています。 ○上林委員 向こうの政治情勢の問題ですか。 ○樋口委員 EPA以外の外国人労働者についての最近の動きといいますか、あるいは議 論というのは、どのようなことなのでしょうか。 ○外国人雇用対策課長 最近の動きといえば、事務局から説明がありましたように、こ の技能実習の研究会の中間報告の直後に、労働力確保を正面に置いた新しい制度を考え てはどうかというご提言も、前法務大臣から出されたりしておりますし、その後、専門 調査会でもそういった外国人労働者の問題についてご提言がありました。これも樋口先 生が、まさに座長として関わられたわけですが、雇用政策研究会の中でも外国人の問題 に言及したということで、その検討課題というか議論としては、いろいろな場面でいろ いろなご提言があって、その都度その都度いろいろな形で取りまとめられてきているの だろうとは思っていますが、具体的にいま、一つひとつの提言という形で出ているもの はあるのですが、政府としての方針という、コンセンサスを得てどうするという議論の 部分については、我々としては大きな変更はなかったと理解しています。 ○森永委員 最近ちゃんとフォローしていないのですが、要するに単純労働力としての 外国人労働者は日本は受け入れないのだ、という原則は曲げていないということなので すか。 ○外国人雇用対策課長 いまの入管法の建前は、いわゆる単純労働者は受け入れないと、 簡単に言えばそういうことなのですが、それについていろいろな見直しをすべきではな いかというご意見はあるけれども、そのご意見がまたコンセンサスを得るには至ってい ない。いろいろご提言はあるけれども従来の政策を変更するという、そこまでは物事が 進んでいないということです。  これは与党の中でも政府の中でもいろいろなご意見があって、やはり少子高齢化とか 特定分野で人が足りないというご意見がある中で、安易に受け入れるべきでないと、人 と物を一緒にするような議論は絶対まかりならぬ。うちの大臣がそういうスタンスなの です。いろいろな意見があって、ここはまだコンセンサスが得られていない、非常に国 家的大問題という位置付けなのではないでしょうか。 ○今野座長 これにいろいろな案が出ていますが、極端に言うと外国人労働者の問題と は関係なくて、適正化をしろとみんな言っているわけだから、そこは合意ができている わけですよ。 ○外国人雇用対策課長 はい。 ○今野座長 つぶせという話も法務大臣以外はほとんどないわけだから、そういう点で は合意があるのですね。ただ、あとはそこの細部の問題ですね。 ○外国人雇用対策課長 私が申し上げたのは、技能実習の問題をどうするかという、こ の研究会での主たるテーマとややちょっと離れて、外国人労働力確保とかいうコンテク ストで、どんな議論が行われているかということについてお話しただけですので。 ○今野座長 もちろんそうです。 ○樋口委員 だから再技能実習制度をどう位置付けるか、というところにかなりなって くるのですね。もう3年研修を受けてきたのだから、全くの単純労働ではないだろうか ら。そうであるとすれば、研修という形、あるいは実習という形ではなくて、ときには 入管法の修正で、労働者として熟練労働という位置付けで受け入れたらどうかという案 も経団連はそういう形になっているわけです。だから、そこのところは必ずしも実習だ け切り離して議論をしているのではない提案がいくつか見て取れます。 ○今野座長 もちろんそうなのですが、そこはこの研修・技能実習制度からすると1つ の部品だから、その部品をどう検討するかですね。 ○樋口委員 そういう見方もあるし、実習制度のほうの部品だという見方もあるし、外 国人労働者受入れの部品だという見方だって、片方ではあるわけですよ。見方というの はいろいろです。 ○今野座長 私が言いたかったのは、別にそれは関係がないといっているという意味で はなくて、ここは外国人労働者を正面から扱う場ではないので、これを考える環境条件 としては、もちろんいろいろ情報があったりとか考えますが、そういう点で極端に言う と関係ないよという言い方をしたのです。この制度からすると、外国人労働者の出口と いうか、接点は再実習ですね。ここをどうするかですね。 ○審議官 経団連は再技能実習を実習だと言っていて、正確に言うと就労というのは、 再技能実習修了後ということですね。再技能実習までは実習という性格だということで、 そこを就労と言っている意見はないのです。 ○丹野委員 だから、そういうのと実態はちょっと違っていて、例えば金属・機械産業 でこんなにウワーっと研修生が増えているのは、従来日系人を使っていた請負業者が現 実問題、たぶん請負業者の2割ぐらいは研修生をもう扱っているのです。日系人を扱っ ていた請負業者が日系人を送る部分は請負業としてやって、それとビジネスのスタイル は全く同じですから。  要は1,400円で送り出すのか、時給が300円とか400円という単位で送り出すかの違 いだけであって、業者としていくら1人送るごとにもらうかということから換算すれば、 業者のビジネスからするとどちらを送っても同じなのですよ。そうすると実態的には日 系人、要するに外国人労働者の送出しの仕組みとここの送出しの仕組みが重なりつつあ るので、単純に制度としては別なのだけどとやっていると、実態に追いついていかなく なってしまうから、というところはあると思うのですけどね。 ○上林委員 それは技術者派遣をやっていたところが、工場から単純労働の部分が足り ないから研修生事業も取り扱ってくれというので、技術者派遣をやっていた会社が研修 生受入れ事業に変ってきたりしています。 ○今野座長 少し議論の整理をしなければいけないのですが、いま丹野さんが言われた ようなことはそうだと思うのですが、ここでいろいろな報告書が適正化しろという言い 方をしているというのは、そこをもう一度離せと言っているのに近いのですね。 ○丹野委員 そうです。もっと離したほうがいい。 ○今野座長 離しておいて、また違う問題があったら違う政策で対応しましょうという ことだと思うのですね。だからこの重なったのをもう少し重なるようにやるのだったら、 適正化の議論は出てこないですね。 ○丹野委員 そうですね。もう一度離したら。 ○今野座長 だから、これはこれで少し離しましょうと。離した上でまた違う問題があ ったら、それは別途考えましょうということだと思うのです。そうでなかったら適正化 なんか言う必要はないと思います。 ○山川委員 いまの話の関連でブローカー問題。要は、そういうことでそもそも儲かる というのは、どういうメカニズムで儲かっているのか、ビジネスとして成り立つのか。 その辺りの実態が管理費の問題なのか。保証金・違約金というのはどちらかというと送 出し機関の問題で。もう1つブローカーがなんで儲かるのか、そもそも儲けていけない のか、いいのか。管理費も全面的に禁止されているみたいではなくて、不適切な管理費 ではいけないということで、そうすると、端的に職業安定法違反のようなことになるの か。  その辺りの実態は性質上わからないのかもしれないのですが、ブローカーと言われる ことの類型と、法的にそもそも何がいけなくて、もし法的に規制されていないとしたら、 何を規制すべきなのか。その辺り、いまの座長のお話との関係では整理する必要がある ような気がします。本来的には協同組合は営利企業ではないので、そういうことで儲け てはいけないわけですよね。 ○森永委員 先ほどご説明いただいた資料で業種別に見ると、農業が200万円を超えて いるのに、何か100万円切っているような業種もありますね。管理費が業種によって倍 も違うのは違和感があるのです。 ○外国人研修推進室長 資料No.8の3頁ですが、確かに管理費、これはJITCOでもガイ ドラインを示していて、そこに若干例を挙げていますが、受入れ管理費であれば、研修 生の募集・選考に関する費用だとか、集合研修、座学の費用だとか、受入れ企業に対す る指導の経費とか、まさに実費のかかる部分については、管理費として取ってもいいで しょうというガイドラインを示しています。  ただ、現実にはそういう管理費の内訳はあまり示されている例はないと思われますの で、1カ月当たり、1人当たり管理費いくらで、受入れ企業と受入れ団体が契約する。さ らには送出し機関と受入れ団体は、送出し管理費が1人当たりいくらという管理費で契 約している。まさに中間報告でもありましたが、そこの透明化あるいは内訳の透明化、 適正化は、非常に大きな課題だと思っています。いまはまさにつかみの管理費の中で、 先生が言われるような儲けになっているのではないかと思われる状況です。 ○今野座長 これも実際には企業からすれば、リターンがあれば別に倍でもいいわけで すよね。言っている意味わかりましたか。例えば管理費をたくさん取ってもらっても、 例えば管理団体がいろいろな企業のやるサービスを代替をしてくれていれば、それはそ れで高くていいわけですね。 ○外国人雇用対策課長 職業の派遣の関係について一言だけ補足いたします。安定法で 有料職業紹介事業を規制しているわけですが、手数料の規制があるのです。これは名目 の如何を問わず手数料的なものはその規制の対象なのです。労働者から、求職者から取 るほうは、いくつかの例外を除いて基本的には取れないことにしているのですが、求人 者から取るほうについては、実質的に届出をしておけば上限みたいなものがなくなって しまっている。そういう意味では、例えば職業紹介の形で整理をして許可をして、その 過程でいま言った手数料規制で事前に届出をさせるということをすると、透明化される と思うのです。そのことはこの中間報告の中でも書いたのですが、それ以上のことはな かなか、職業安定法という現行の体系の中では期待できない。 ○山川委員 無許可でやっている場合には、それ自体の違反の責任を問うということで しょうか。 ○外国人雇用対策課長 それは私よりは彼が説明するのが適切なのかもしれませんが。 最初から雇用関係といまは整理されていないので、最初に研修生としてあっせんするの が職業紹介行為になるかならないかという微妙な議論があります。いまの時点では、そ こはならないのではないかというフィクションを、たぶん多くの企業はとっているのだ と思います。それは実態がどうかとかいう難しい議論になって、実際上そういうことで は規制は難しいだろうなと思います。 ○外国人研修推進室長 そこのところはまさに中間報告で、最初から雇用関係にすれば、 そこは適用があるという方向性だと思いますが。 ○外国人雇用対策課長 まさに方向性だと思います。 ○樋口委員 求人側からの就業規制はなくなったのでしょう。 ○外国人雇用対策課長 先ほどうまく説明できなかったのですが、実質的にはなくなっ たと言っていいです。 ○樋口委員  求職者はいまは800万でしょう。 ○外国人雇用対策課長 数まではすみません。 ○樋口委員 年収。 ○外国人雇用対策課長 それもたしか対象、取扱い職業限定でモデル、マネキンとかい う。 ○森永委員 私は日本人材紹介事業協会の理事もしているのですが、法律ではないので すが、そういう団体の中では滅茶苦茶なことはしないようにしましょうねということで はやっているので、国内ではそんなにひどいことはしていないですよ。入っていないと ころはたくさんあるので、そこは知らないですが。ここはちゃんとしたところなのです よというものを、組織化するのも一つの手なのかもしれないですね。 ○今野座長 先ほど丹野委員の話で、これで適正化して離したら何が起こるかね。さっ き言った請負などと離したときに。 ○丹野委員 すくなくとも請負はやらなくなると思いますね。金属・機械産業に働く人 は減ると思いますけれども。 ○上林委員 純粋に技能実習という形を、もっと前面に出す。 ○今野座長 ここで言うと、適正化をした場合にね。 ○樋口委員 森永委員が言われたマル適マークを、例えばこういった紹介というか、相 手にどう伝えるかですよね。日本の企業には国内でそういったものを徹底するとかとい う話はあると思いますが、中国にいる人たちにこれはマル適マークで、こういったもの がちゃんとあるのだということを伝えていかないと。いうならば求人・求職情報の周知 徹底をやらないといけないわけで、それができるかどうかというところですよね。 ○上林委員 中国での送出し機関について、適正化を図って証明書を出すようになって。 ○樋口委員 そこのところ調べてほしいと思っているのですが、いろいろな所にマスコ ミが取材に入っていて、そこのところで何かいろいろ言っているので。 ○上林委員 初めて法律を作って動きはじめたばかりなのですよ。 ○樋口委員 だから実態がそうかというところを。 ○上林委員 やっと始まったということですので。 ○森永委員 人材協の場合はホームページを見にいくと、会員企業はこうなっています よというので、ここだったら大丈夫だろう。例えば弁護士だと、都道府県の弁護士会に 紹介してもらうと悪徳弁護士は一応スクリーニングで外されますよね。だから、何かそ のような仕組みがあってもいいのではないかなという気は。 ○今野座長 いままではあったわけです。事業協同組合というので担保しようとしたわ けです。そういう意味ではあったわけですよ。それが機能しているかどうかです。事業 協同組合だったら共同事業をやっているのだから、あまり悪いことをしないでしょうと いうので担保しようとしたわけです。 ○樋口委員 経産省がいっている外部評価機関によってお墨付きを与えるという発想が 近いのかどうかはわからないけれども、そういう発想なのですよ。だから、外部評価機 関は何を意味するのかよくわかりませんが、どういう組織をイメージしているのかわか りませんけれど、発想としては受入れのそれをマル適マークというか、そこに期間を延 長するとかいう形でやったらということなのだと思います。 ○今野座長 中間報告では3年間ぐらいちゃんとやった所というのを入れるというのは、 それでマル適をしようというわけですね。それで適正かどうか、十分かどうかというこ とですね。 ○外国人研修推進室長 その研修を受けた人、実習を受けた人というのも評価の対象と して入ってくるわけです。 ○今野座長 いまのマル適というと、受入れ企業とか受入れ団体の話ではないのですか。 ○外国人研修推進室長 団体ですが、我々が出した中間報告ではそれだけではなくて、 その個人も検証対象になるのです。 ○樋口委員 要件をかけてという報告でした。 ○丹野委員 団体はマル適マークである程度ドローできると思うのですが、問題は受入 れ企業というか、そこから送ってもらっている企業は、たぶん安ければいいというとこ ろが少なからずあると思うのです。そうすると、そういう所はマル適をあえて外して入 れるという可能性のほうが、むしろ強いのではないかと私なども。 ○森永委員 マル適であろうとマル適でなかろうとどちらでもいいという。 ○上林委員 どこから受け入れたらいいかわからないようなときはJITCOさんに聞いて、 定評のある団体を教えてくれるとか。 ○丹野委員 マル適マークがあった上で、ただ、それを作っただけでは安ければいいと いう人たちをコントロールすることはできないから、そこの部分をあとどうやってコン トロールするのかというのが相変わらず残らざるを得ない。 ○今野座長 いまの意味がわからないのだけれども。マル適機関があって、そこしかい まはやってはいけないという話なのだから。 ○丹野委員 そこしかやってはいけないのならいいのですが、現実問題ではマル適マー ク以外の所でやる人たちが出てくるわけなので、安く入れたい所はあえてマル適ではな くて、とにかく費用の安い所から入れるという選択肢を取るというのは残されてしまう。 そこをコントロールするのは内部告発者を優遇するというか、そこの権利を確保すると いうことしかないのではないかなという気がするのですけどね。 ○今野座長 いろいろ議論をいただいたのですが、今日の検討課題の中では、技能移転 の実効性確保とかいう話は全然出ないのですが、それについても何か。 ○森永委員 1つだけ確認しておきたいのですが、フォローアップの調査は中国の人以 外に例えばインドネシア、フィリピン、タイ、ベトナムとかたくさんいますよね。その 人たちも同じように調査する。 ○外国人研修推進室長 これからの検討ですが、予算の制約とかも考えれば、いちばん 多いのは中国なので、例えば中国なら中国に絞ったほうがいいのかなといまは思ってい ます。 ○森永委員 いまは何カ国ぐらい来ているのですか。たくさんなのですか。 ○外国人研修推進室長 いちばん多いのは中国。 ○上林委員 大部分は中国です。 ○外国人研修推進室長 JITCOのほうでR/Dを締結しているものだけで言えば15カ国で す。 ○森永委員 特定の国の人がひどいめに遭っているとかということはないのですか。 ○外国人研修推進室長 そこはそういう統計の取り方はとっていないのですが、ただ入 って来る実習生の中では中国の方が85%なので、例えば労働基準法違反等の関係でもや はり中国の方が多くなるというのはあると思います。 ○今野座長 あまりそういう話は聞いたことはないね。特定の国だけがあるのですか。 ○上林委員 ベトナムの人は逃亡者が多いので、もうベトナムはやめたという所もあり ますし、受入れ機関がいろいろトラブッて。 ○森永委員 ベトナム人を受け入れている機関が悪質なのです。 ○上林委員 違う、そうではなくて、ベトナム人が逃げちゃうので、商売にならないか ら別の国の人に変えた、中国に変えた。 ○森永委員 ベトナムの人って中国の人より真面目ですよね。 ○上林委員 そうなると個別になってしまうからなんとも言えないですが。 ○渡邊委員 インドネシアは男性が圧倒的に多いですね。だからそう思われているかも しれないけれども。 ○上林委員 なんとも言えないのですが、ただ、商売の観点から見るとベトナムは逃げ ちゃって商売にならないからやめたとか、いろいろそういうことで国が変わったりはし ていますね。 ○森永委員 結局その制度の趣旨は、途上国に技能を移転しましょうということなのだ から、私はむしろ中国よりも本当だったらベトナムに、きちんと未来を考えたら技能移 転をしてあげたほうがいいような気もするのですけどね。もうだいぶ中国は出来ている ので。 ○今野座長 別に政策的にベトナムが嫌だと言っているわけでもないですよ。 ○上林委員 扱う業者がやめたと、いままで中国だったけど、中国の人がトラブルが多 いからフィリピンから入れることにしましたとか、そういうふうに業者が変えているの ですよね。 ○外国人研修推進室長 この制度そのものが、あくまで民間ベースの研修の形で国際協 力をしていこうということで始まっているので、例えば中国なら中国の送出し機関と日 本側の事業協同組合とが、まさに個別に受入れ、送出しの契約を結んで入って来る。ま さにそこは民間ベースでやっているので、実態としては確かに中国人の方を欲しがる受 入れ団体、企業が多い。あるいは中国側の送出しの売込みと言ったら言葉がおかしいか もしれませんが、そういったものの圧力が大きいという結果なのかなと思っていますが。 ○今野座長 今日はフリートーキングでしたが、そろそろ時間ですから閉めると。 ○山川委員 言い忘れたのですが、研修のみで1年以内に帰国する場合の扱い、それは 規制改革会議の資料No.4の3頁に、入管上の在留資格研修の取扱いとの関係を整理する とあります。考えてみますと、研修に労働関係法令を適用することの意味が、研修も労 働関係であるとすると、その研修ビザ自体が、労働に対して研修というビザを与えると いうことになってしまう可能性があるわけです。そうすると、この検討課題の中にはい わば入管、これまでなぜこれを外してきたかというと、これは結局法務省所管というか、 入管法上の問題だからということで外してきたわけですが、研修のみのことを取り扱う というのは、やはり入管制度上の提言もすると。  例えば必ずしもそうならない場合もあって、労働ではないけれども、類推適用みたい な形で準用というのでしょうか、そういう形で特に労働法令を労働ではないけれども適 用するという法整備をするのもあり得るのです。正面から労働法令を適用するというの は、研修はプラスアルファーが付いても労働なのだということを、入管法上の問題とし て議論することになるのですが、それも視野に入れた議論をするということでよろしい のでしょうか。 ○外国人研修推進室長 当然、入管法上の研修ビザの要件とか、また別のビザの話を作 るという話になるかもしれませんが、そういった議論は避けて通れないというか、そう いうことを提言いただかないと前に進まないということなのです。 ○上林委員 ではこの技能実習制度という形のビザを作って、それは従来の研修とは切 り離して、1年であろうと3年であろうと技能実習制度のビザで入った人というような カテゴリーを考えるということですか。 ○外国人研修推進室長 そういうことも当然あり得るということです。 ○山川委員 1年だけの技能実習もあり得ると、それは研修ではない。 ○上林委員 ないということですね。 ○外国研修推進室長 例えばそういう整理もあるということだと思います。 ○山川委員 それができるのなら、そのほうがすっきりしていいですね。 ○外国研修推進室長 もちろんこの提言をいただいて、これから法務省に働きかけてい くというステップになっていくのですが、そのいろいろな考え方はご提示いただいたほ うが。 ○今野座長 そういうのがテーマとしてはあり得るというのはわかりますが、我々は3 年イメージをして、1年終わったらここで資格試験をやってとかいうことでイメージし てやってきましたから、そことのすり合わせの問題とかいろいろあると思うので、テー マとしてはどこまで踏み切れるかということですね。  そういうことで今日は、いちばん最初に言いましたように、久し振りですので、皆さ んから論点を出していただくという趣旨で今日はやりましたので、この辺で終わりにさ せていただければと思います。今日いただいた議論を少し整理をしていただいて検討課 題としてもう一度出していただいて、次回以降で議論をしていきたいと思います。必要 があればまた関係者からヒアリングしてもいいかなとは思っています。何かありますか。 ○外国人研修推進室長 日程はまた調整させていただきます。 ○今野座長 今日は終わりたいと思います。ありがとうございました。 (紹介先) 職業能力開発局海外協力課外国人研修推進室 TEL:03−5253−1111(内線5952)     03−3502−6804(夜間直通) FAX:03−3502−8932