08/01/30 社会保障審議会介護給付費分科会第46回議事録 社会保障審議会 第46回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 : 平成20年1月30日(水) 午後5時30分から午後7時30分まで 厚生労働省講堂(中央合同庁舎第5号館低層棟2F) 2 出席委員:天本、池田、石川、井部、大島、大森、沖藤、勝田、川合、神田(代理:牧野参考 人)、木下、木村、小島、齋藤、高橋(代理:遠藤参考人)、田中(雅)、池主、中田、村川、山本 の各委員 3 議題 <審議事項>  1.療養病床から転換した介護老人保健施設について    (1)「療養病床から転換した介護老人保健施設」における看護職員の配置について    (2)療養病床から転換した介護老人保健施設の療養室の面積基準に係る経過措置につい   て    2.介護事業運営の適正化について   3.その他  (鈴木老人保健課長)  それでは、定刻になったので、第46回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていた だく。  初めに、本日の委員の出席状況だが、田中滋委員、対馬委員、矢田委員が御欠席との御連絡をい ただいている。  なお、本日は、神田委員に代わり牧野参考人、高橋委員に代わり遠藤参考人にそれぞれ出席して いただいている。  また、木下委員はちょっと遅れているようだが、御出席ということなので、出席していただけれ ば定員数である過半数に達し分科会として成立するということを御報告させていただく。  また、本日は保険局から総務課の医療費適正化対策推進室長、また医療課企画官に出席してもら っている。  それでは、以降の進行は大森分科会長にお願いする。 (大森分科会長)   本日は、御連絡申し上げているように、今日は2時間ということになっている。御協力のほどお 願いしたい。  それでは、まず最初に、お手元の資料について事務局から確認してもらう。 ○鈴木老人保健課長より各資料について確認。 (大森分科会長)  それでは、議事次第に沿って進めていく。 最初に、医療病床から転換した介護老人保健施設について2つある。1つは、前々回、11月12日 に当分科会において、夜間等の看護職員配置について御議論があった。それを踏まえ、事務方から 関連資料を用意してもらっているので、その説明をしてもらう。 ○鈴木老人保健課長より資料1の「『療養病床から転換した介護老人保健施設』における看護職員 の配置について」を説明。 (大森分科会長)  それでは、資料1の説明があったので、しばらくこの点について議論したい。どなたか御意見等 あるか。 (小島委員)   質問を兼ねて意見を述べたい。  療養病床から転換した場合の入居者の医療ニーズも踏まえた夜間の看護師配置ということで、今、 必要な人数について説明があった。夜間の場合でも中には急性増悪等の患者がいると思うので、そ の対応として、本当に夜間1人の配置でいいのかどうかということもあると思う。本来は複数配置 が望ましいと思うが、今回の資料の考え方で、深夜は1人、日勤は3人ぐらいという配置で、十分 入所者の対応は可能なのか。 (勝田委員)  同じ関連で、参考資料1の5ページに、夜間休日の急性増悪の発生頻度がある。これによると1 日当たり約0.5人となっているが、ということは2日に1回は急性増悪の方が発生するということ になる。そして、3ページを見ると、やはり経管栄養等が従来より増える訳である。今までは医療 のところにいた人たちが今度は介護になる。そういう中で、今6対1という看護の数字が出されて いるが、いざという場合にはオンコールで医師が来てくれることになっているとはいえ、本当に入 所者の方々の命が守れるのだろうか。従来の老健から見ると、経管栄養にしても、喀痰吸引にして も、必要な人が増える中で、看護職員1人で本当に賄えるのか、とても不安である。そのことにつ いてどのようにお考えなのか、同じことだが、お願いする。 (鈴木老人保健課長)  今、小島委員、勝田委員から御指摘、御質問いただいた。私どもも、やはり入所者の医療ニーズ が、どういうものがどのぐらいの頻度で生じるのかということをきちんとデータの上で把握した上 で、対応可能なものはきちんと整備していかなければという考え方で、現在、算定させていただい ている。  後ほど御説明申し上げるつもりだが、夜間の急性増悪の問題、それから勿論昼間にも医療ニーズ の高まりがあるが、今、我々が想定しているのは、医療区分を基準にして、療養病床の中で、やは りどうしても医療が必要な人は医療保険の方の療養病床で見ていただく、医療区分1や医療区分2 の一部の人については介護保険の方で見ていこうということである。最大限そういう方たちが介護 保険の方に来られると仮定して、どこまでニーズがあるのかを算定させていただいて、その上でき ちんと対応できる数を積み上げていったものが今回の数字である。  その上で2点申し上げたいが、1点は、現行の介護療養病床もやはり基準上は6対1ということ なので、その配置を更に薄めるのではなく、しっかり確保したらどうかということである。  それから、もう1点は、川合委員からも前回御指摘があったが、老人保健施設では、確かに6、 7割は夜勤をしていただいているが、基準としては、夜勤をできるような体制になっていないので、 そこについては、夜、急性増悪の場合もあるし、吸引、もしくは朝夕の経管栄養の対応がどうして も生じてくるので、それに対応可能な体制をきちんと整備できればということで、今回の数値を詰 めており、中に入っている方への対応としては、こういう体制を取れば対応できるのではないかと 考えている。 (大森分科会長)  では、木下委員、川合委員という順番で。 (木下委員)  今の話に関連してだが、数字上は非常にきれいにおさまっていて万全のように思えるが、患者の 急変とか吸引の必要なときというのはならして起こるわけではなくて、同時に2、3人起こる可能 性もあるので、これで100%カバーできるかといえば、現場では決してそういうことはなく、介護 療養型医療施設に比べて、転換した老健では、もし人員が減ると、そこではサービスの質や量が減 るということで利用者に不満が出る可能性はあるということだけお伝えしておきたい。 (川合委員)  私の名前が出たので、言うつもりはなかったが、お話しさせていただく。  まず、この6対1は現行と同じなので、現行がそうであればそうなんだろうなという気がする。 ただ、医療というくくりが、前回の2回前か3回前に出してもらった喀痰吸引と経管栄養を非常に 重要視しているが、聞くところによると、あれは平成13年のデータであって正しくない。だから 18年のデータを見せてほしいと言ったら、手元に18年のデータがあるが、修正した分でも、点滴、 酸素療法、モニター測定、疼痛管理は、現行の老人保健施設の方が修正した療養施設よりもパーセ ントが高い。これまでもいろいろ言ってきたが、我々の施設が地域の多様なニーズに対応してサー ビスを提供してきているという現実をもう少し直視していただきたいと思う。 (大森分科会長)  ほかに御意見等はあるか。 (井部委員)  看護職員の配置に関して、夜間の急変に対する利用者側の心配はあると思う。確かに1人で大丈 夫かどうかという懸念はあると思うが、昼間3人、これは固定した配置ではないと思うので、その ときの状況に応じて、夜間に人を手厚くするか昼間に手厚くするかといったことは、現場の看護の 管理者が判断する余地がかなりあるのではないかと思っている。人数が多いことに越したことはな いが、当面この6対1、つまりこれは介護療養病床と同じ最低基準の配置なので、その意味では一 定の看護のケアを提供することができるのではないかということと、エビデンスに基づいて計算さ れているので、このとおりいかないかもしれないが、各施設でどのように人を割り当てるかという ことは、かなり看護職の裁量でできるのではないかと思う。 (大森分科会長)  ほかに何か特段に御意見はあるか。  このような数字が出ても、すべてこのとおりになるのではなく、実際の運用についてはいろいろ 工夫等があるのでということだが、それが実態だと私も思うので、そんなことを考えていただきな がら、この件についてはよろしいか。   (井部委員)  今後の検討になろうかと思うが、今、医療保険では7対1入院基本料が注目されている。7対1 は看護実質配置の表記であり、ここで言う6対1とは意味が全然違う。医療保険で7対1と言いな がら、こちらで6対1と言って、同じ土俵の上でやると誤解を招く可能性があるので、できれば表 記の仕方を、将来的には医療保険並みに実質どのくらいになるのかという表記をするのがよいので はないかという希望である。 (大森分科会長)  事務局、何か今のことで。 (鈴木老人保健課長)  今、井部委員から御指摘があったが、確かに医療保険の場合の配置のあり方とスタッフの比率の 表記の仕方は、介護保険の場合とは異なっている。ただ、介護保険の場合、すべての施設について 同じような表記になっているので、御指摘の趣旨を踏まえて、今後どうしていくかを我々の方でも 検討させていただき、また御相談させていただく。 (小島委員)  その件については、やはり医療保険の方は中医協の中で、入院されている患者の立場に立って、 何人看護師が配置されているかがわかりやすいように、従来の配置基準の表現の仕方を変えたとい うことになるので、介護保険の施設の人員配置についても、同じように入居者の立場からわかりや すいような表現に検討、見直すことが必要であると思う。 (木下委員)  今の問題については、医療保険で導入されてからまだ2年ということで、それが実際にどうかと いうことが余り評価されていないので、十分に検討する必要があると思う。基本的には、医療保険 3勤務帯に同じ人数がいるということが基本だが、実際には条件を満たしていれば傾斜配分できる ということで、昼間はたくさんいるが夜はやはり1人というケースがあるので、利用者から見た実 質配置が本当に利用者にとってわかりやすいかどうかはまだ疑問があるので、よく検討しないと。 単に医療保険がそうなったから合わせるという議論だけでは、かえって現場が混乱するし、利用者 にはやはりわかりにくいということもあるので、十分に検討する必要があると思う。 (山本委員)  この人員配置は7人が出てくる。この7人については、私はそれで構わないと思うが、ただ、配 置の仕方を変えればいい。グリーンと黄色で書いてあるが、配置の仕方によっては7人が8人分の 役目を果たし得るような体制をつくればいいと思う。よって、これは一つのモデルとして書いたの だろうが、入っている人たちの状態にもよると思う。そんな重症な人ばかりはここには入れず、大 体自分で自分のことはできるという人たちが入ってくる訳だから、看護職員の配置の仕方を考えれ ば、私はこれで十分行けると思う。私の経験からしてそういうふうに言えると思うので、そのよう にお考えいただきたいと思う。 (大森分科会長)  それでは次のテーマで、このテーマも前々回に少し御議論が出て、この転換した介護老人保健施 設の療養室の面積、経過措置をつくるということでは御議論が進んだが、まだいろいろ御意見がお ありだそうなので、これについて議論したいと思う。 ○鈴木老人保健課長より資料2の「療養病床から転換した介護老人保健施設の療養室の面積基準に 係る経過措置について」を説明。 (大森分科会長)  それでは、この件について御意見をいただく。 (小島委員)  この件については、11月のこの分科会で私、意見書を出させていただいた。出席できなかったこ ともあったので。そこで指摘しているのは、やはり基本は既存老健施設の基準である8平方メートルにベース に置くべきだろうと思っている。そういう意味では、今回の転換した場合においても、入居者が転 換によって多少なりとも生活、療養環境がよくなったと感じられるような方向での転換が必要では ないかと基本的には思っている。そうでないと、療養病床の再編あるいは転換というのは財政上の ためだけにやったということになりかねないので、やはり入居されている方の療養環境あるいは生 活環境の改善を中心に置くべきだろうと思っている。そういう意味で、従来から連合が主張してい るのは、既存の現行の8平方メートルを目指すべきだということである。  そうは言っても、先ほども説明のあった医療型、それから介護の方の療養病床において22〜23% が8平方メートルを満たさないので、そのままだとどうしても再編・転換が難しいということで今回のような 考え方が示されているが、やはり、あくまでも8平方メートルを目指すということをきちんと基本に据えて、 そういう方向に向けた対応を進めていく、そういうインセンティブを与える形での施策をきちんと 詰める必要があるだろうと思う。その辺についても十分これから行政としてもチェックをしていく ことが必要ではないかと思うので、そういう方向で是非進めていただきたい。基本はやはり8平方メートルを 目指すべきだと。同じ老健施設で2つの基準、ダブルスタンダードというのは好ましくないと思う ので、やはり8平方メートルを基本に置いておくべきだろうと思っている。 (大森分科会長)  私もできるならばそういう方向がいいと思っているが、今、説明があったように、この前も議論 したが、経過的な措置として、ぎりぎり今日提示したようなことで当面は御了解を得る以外にない かなと個人的に思っているが、今、御議論されているように、目指すべきはそうだと私も思うので、 一応、今日の対応方針で「新たに講じる措置」の最後の○でもその方向で努力すると書いているの で、小島委員がおっしゃったことはある程度盛り込まれているのではないかと私は解釈しており、 できればこの措置で今日はお認めいただければと思っているが、どうか。余り早々と結論めいても。 (齊藤委員)  利用者からすると小島委員がおっしゃったとおりであり、環境を整えてもらいたいということが 大前提である。経過措置ということでやむを得ないものという理解はするが、将来的な話なので随 分待たされるなというのが実感としてはある。ただし、ここにしっかりと大規模改修のときにはき ちんとした基準でやるということを明記していただくことが大前提と、もう一つ、前回申し上げた が、やはり利用者がこういう状況にありながらも利用するという理解をしていただく必要からする と、情報を公開することは、是非義務化していただきたい。これがないまま、うやむやの中で両方 の基準があるということは余り好ましくないと思うので、是非、経過措置という前提の中で、情報 公開の義務化を明示していただきたい。これを是非お願いしたいと思う。 (大森分科会長)  今の御提案だが、具体的に事務局としてはその点どうか。 (鈴木老人保健課長)  やはり一定の情報をきちんと利用者の方々に混乱がないように御説明して御理解いただくとい うのが第一だと思うので、そういう方向に向けて何が具体的にできるかを今後少し御相談させてい ただきたいと思う。 (大森分科会長)  よろしいか。 (齊藤委員)  はい。 (大森分科会長)  ほかにどうぞ。 (遠藤参考人)  2ページ目の一番下のところに「8平方メートルへの移行の促進に努める」と書いてあるが、移行の状況等 については介護給付費分科会に定期的に報告くださるのかどうかを確認したい。また、談話室の面 積も含めて算定するという措置については、基本的には同じように大規模改修のときに解消すると いう趣旨だと理解してよろしいか。 (鈴木老人保健課長)  2点いただいたが、きちんと療養病床から転換した療養室の部分については、定期的にこの分科 会に報告していきたいと思うし、また、談話室の面積を含めてということについては経過措置の期 間内ということなので、これは全体として大規模改修までの間ということで同様である。 (山本委員)  介護と医療を分離した方がいいという議論は大分前に十分にした。療養病棟で1人当たり8平方メートルも 取っているところは当時はなかった。それを療養病棟として使ってきた訳だから、国の都合で今度 は介護と医療を分けるんだということ、それはいいと思う。それは当然分けていいと思うが、ただ、 今まで使っていたところも使えるようにするという便法まで考えるとするならば、8平方メートルにしなけれ ばだめということはなかなか簡単に言えないのではないか。だから、ある期間、こういうふうにし て経過措置を設けるのは、私は当然だと思うし、またそうあるべきだと思う。  この8平方メートルと6.4平方メートルがかなり差があるではないかということになる。8平方メートルのところに入ると快適な 感じがするが、6.4平方メートルの方に入ると窮屈な感じで余り上等でないとなるので、介護費用をどういう ふうに設定するかなどを考えていけばいいのではないか。だから、8平方メートルと6.4平方メートルのところを同じ額 で介護費用を払うことにするのはどうかと思う。その辺の格差が、言うならば8平方メートルの方が1とすれ ば6.4平方メートルの方は80%ぐらいに下げるというようなことを考えていけばいいような気がする。その辺 をきちんとすれば、ある期間、経過措置としてやむを得ないのではないか。だから、提案している ことについては、私は、これはこれで仕方がないと思う。 (大森分科会長)  何か答えるか。やや提案のようなことを含んでいるが。 (鈴木老人保健課長)  資料にもあったが、やはり8平方メートルのところと6.4平方メートルの経過のところは、均衡に配慮した評価をさせ ていただけたらと思う。 (中田委員)  2ページ目の下から2つ目の点だが、平成24年4月以降は8平方メートルに対応している施設との均衡に 配慮した評価をするということだが、この8平方メートルに対応している施設というのは、談話室の面積を加 えたものも含むのか、そうでないのか、その辺だけお聞きしたい。 (鈴木老人保健課長)  8平方メートルに対応している施設は、基本的には老人保健施設としての基準を満たしているところなので、 基本的に6.4平方メートルもしくは基準を満たしていない施設に談話室を入れるかどうかについては、談話室 を入れたものが8平方メートルということで経過期間中は措置したいと思う。 (中田委員)  あくまでも自分の部屋は6.4平方メートルになるが、そうなってくると1割差という問題が出てくるのでは ないか。評価をどういう形でするにしても、費用面で利用者の負担に差が出ないか。 (鈴木老人保健課長)  まず、談話室を入れて6.4平方メートルか8平方メートルかという話について1点言わせていただくと、現状の談話室 の平均としてはとても1.6平方メートルもないので、6.4平方メートル以上はあるが8平方メートルに実際届かないというところに 談話室を加えて8平方メートルを超えるということになる。もちん8平方メートルか6.4平方メートルかで均衡に配慮した評価をす ることになれば、勿論、報酬額の1割が自己負担ということになるので、それは差が出てくるとい うことではある。 (中田委員)  その辺、配慮してほしい。 (大森分科会長)  それでは、この件はこういう方針、まだあるか。 (木下委員)  この経過措置があるのはいいことだと思うが、そもそも6.4平方メートルと8平方メートルがどう違うかという議論は 全くされていないので、面積だけで療養環境をこだわるのはどうかと思う。療養環境というのは、 部屋の面積あるいは清掃のこととか、もっと大きなのが人員配置、人のサービスの面も大きくある ので、余り8平方メートル、6.4平方メートルということだけにこだわるのはどうかという気がするので、総合的な判断 が必要かと思う。 (大森分科会長)  では、この件については、今日御提示のあった対応方針で私どもとしては了解するということで よろしいか。 (「はい」と声あり。) (大森分科会長)  なお、小島委員がおっしゃっていることは基本的なことで、私どもテイクノートさせていただく。 (川合委員)  現行の老人保健施設に関しては、食堂もリハ室も共用娯楽室も談話室も除いて8平方メートルであるから、 現行の老健施設は頑張っているということは御理解いただきたいと思う。   (大森分科会長)  繰り返し頑張っているということを私どもは記憶にとどめるので。  この療養病床の転換について、転換した後の介護老人保健施設をどういうふうに今後進めていく かについては、実はいろいろな方々の御議論があり、今日は少々違う観点からもそういうことがあ るので、事務局から話してもらいたいと思う。 ○鈴木老人保健課長より参考資料1から5までを説明。 (大森分科会長)  今の説明について、どうぞ。 (勝田委員)  私どもは今、看護職員の人数について議論しているのは、転換型の老健施設の新たな介護報酬を どう決めるかということが一番の問題だと思っている。そういう中で、給付費分科会では、前々回、 従来の老健施設に加算をしていくんだということで話し合ったと思う。今回新たにここに出された、 自民党に出した基本的な考え方の中では、新たな施設サービス費を設定した上で個別の加算をする となっている。勿論いろいろな医療関係とかの関連があるかと思うが、こういうふうに、私どもが 分科会に出てきたときに、前回私たちが論議したことが大きく変わっている、こういうことについ て、「あれ、一体どうなっているのだろう」と思う。  資料を出すのは同じ事務局なので、もともと新たなサービス費を設定する案も、それから従来あ るものに加算するという案も事務局案としては従来から持っていたのではないか。私たちとすれば、 そういう案がもしあるなら、早目に出してもらって論議をしていきたいし、今後、当然出されるで あろう介護報酬については、例えばこれぐらいのものという試案を多分お持ちだと思う。自民党介 護委員会の資料の中でも早く出してほしいと書かれているが、例えば今の段階で事務局でこれくら いの金額がという試案をお持ちだと思う。そういうものを3、4通り示してもらい、そのときに、 医療費全体としては財源的にはこうなんだという試算なりを早く出してもらいたい。そういう中で 論議を進めないと、何か私たちはそのときそのときに翻弄されているような気がしてならない。  私自身は委員としてはまだ未熟なのでわからないが、もっと全体が見渡せるように、今後こうい うことなんだ、こういうふうに考えているんだ、介護報酬についてはこれとこれとこれを考えてい るんだ、そして、その条件提示としては、看護職員はこれだけなんだとか、それから広さも含めた ものをきちんと提示し、医療費用の財源はどうなのか、介護保険部分でそれぞれ市町村なり都道府 県が担う部分はどれくらいなのかということを早く出してもらいたい。そういうことを出しながら 論議を進めるべきではないかと思うが、いかがなものか。 (鈴木老人保健課長)  誠にそのとおりであり、我々の方としても、なるべくいろいろな御提示をさせていただいて、御 議論していただくのは当然だと思っている。まず、評価の仕方の問題については、加算なのか、そ れとも施設サービス費の創設なのかについてさまざまな御意見がある。勿論、最終的にこの給付費 分科会の場で決めていただくが、さまざまな御意見があり、我々としては、実際の額の問題が一つ と、もう一つは評価の仕方の問題があるので、それぞれに分けてきちんと御議論させていただけれ ばと考える。  また、具体的にどのぐらいの財政影響があるのかということがあった。それは勿論、最終的には 報酬の額として幾らになって、それが財政影響としてどうなるのかというのは、当然皆さん方にも 御議論いただき、御吟味いただくということだが、その前提として、例えば看護の配置をどうする のかとか、枠組みをまず御議論いただき、その上で、その配置のときにどういう評価に立って、ど のぐらいの影響があるのかということを議論させていただきたいと思う。  現時点で、一足飛びに最後の額の話には行かないのだが、我々としてもステップをきちんと踏み ながら、丁寧に皆様方の御議論を踏まえながら進んでいきたい。 (勝田委員)  参考資料で出されてくるから、一体どこで論議するのかわからない。もう1点だけお願いしたい が、参考資料4である。中央社会保険医療協議会のところで出された介護老人保健施設で行われる 診療行為について、2ページの表がある。それで、介護老人保健施設の中に日常的に必要な医療と か介護は介護保険で出すとなっている。私がこの中で懸念したのは、前回の委員会でも、例えば投 薬について、例えば認知症の場合はアリセプトしかないが、今の老健施設ではそれはマルメであっ てなかなか使えないという現状をお話しした。転換型の中ではそれは別枠できちんと見てほしいと いうことをこの前、意見を言ったのだが、中医協の中で示されているのは、やはりマルメの中での 投薬である。医療保険で見られるのは本当に特殊なもので、それもみだりにやってはいけないと出 ているが、転換型のところで行われる医療について、その投薬などについては、私どもがこの前お 願いしたこととここに出されていることとは少々違うような気がして、それで確認したかった。 (大森分科会長)  事務方はいいか。今の御疑問だが。 (鈴木老人保健課長)  具体的な商品名についてはこういう場で議論させていただくのは控えさせていただきたいと思 うが、やはり入っておられる高齢者の方に必要な医療をどう確保していくのか、これは非常に重要 な問題である。医療を確保していく上で、例えば今、平均的にかかっている医薬品費がどのぐらい あって、それはきちんと今の報酬で見られるのか、それとも医療保険と介護保険との分担の中でど う対応したらいいのかというのは、真摯に検討していきたいと思っている。 (大森分科会長)  御疑問のところで、参考資料1の7ページの図だが、今度はこの緑の枠が上がっている。今の御 質問を具体的に言えば、多分そのことだと思う。だから、この図が実質的にはどういうことか、説 明してもらうとわかりやすいのではないかと。 (鈴木老人保健課長)  先ほどどういう評価の額、レベルになるのかということと、どういう評価の仕方をするのかの2 点があると申し上げた。評価の額をどうするかについては、まさに、例えばどのぐらい看護職員、 介護職員にいていただくことにするのか、その結果、どのぐらい人件費がかかるのか、こういうも のを積み上げていって額が幾らになる、これは額のレベルの問題である。  あともう一つ、評価の仕方の問題だが、大きく分けて、老人保健施設の施設サービス費の上に、 個別のニーズが異なるもの、例えば看取りとかがあった場合に評価する、これは多分議論がないと 思うが、皆さんが等しくサービスを受けられるような、例えば看護のようなものについて、レベル はさっき申し上げたとおりだが、評価の仕方をどうするかというテクニカルな問題がある。それは、 老人保健施設の施設サービス費という一般的な基本サービス費の上に加算で評価をするのか、それ とも、老人保健施設の施設サービス費の中には、通常型の施設とユニット型の施設があるが、その ほかに、いわば転換型のこういう施設というものの枠をつくってそこで評価をするのかというやり 方の問題がある。  そのやり方の問題について、少々事務的になってしまうが、どちらがより簡易簡便かという議論 もあるし、それから、実際に請求される、施設を運営しておられる方にとってどういう意味合いを 持っているのか、受け止め方をされるかという議論があるので、そこについては若干違うというこ とだが、今、大森分科会長から御指摘のあった参考資料1の7ページ目、この青い太線で囲ってあ るのはどういうことかという分科会長の御質問だと思うが、これは、施設サービス費にそういうも のを上乗せして評価してはどうだろうかという評価の仕方である。先ほども申し上げたが、勿論最 終的にはこの分科会でどういう評価の仕方をするかということは決定していただくが、今さまざま な方から御意見をいただいているし、それに基づいて、また御議論いただければと思う。現段階で は、こういう形で、老人保健施設の通常型、ユニット型のもう一つ違う形としてこの転換型を評価 させていただいたらどうだろうかということを検討しているということである。 (大森分科会長)  基本は、御質問があったのは、党の方に説明する言い方と私どもが当初聞いていることと、少な くとも字面が違うではないかと。くくり方の違いだと御説明があるが、違うではないか、同じよう なことは同じ資料で説明するのが筋ではないのかということを言っておられるのではないかと思 うので、違うなら違う、こういう理由で変えたと言ってくれないといけない。党の方には党の方に 違う説明をして、こちらに対しては違う説明をしてというのは困る。だから、きちんと同じ資料で 説明して、自民党の方に納得していただくというのが本来のあり方だから、その御疑問は私もその とおりだと思うので、今のような説明になっているのではないかと思う。 (山本委員)  大事なことを尋ねるが、それと御意見を申し上げたい。ずっとこの会議に出ていると、被保険者 のことを全く考慮していないような言い方が多い。療養病棟で医療と介護と2つに分ける訳だが、 その介護の人も病人だという前提のもとでこういうものが考えられているような気がする。療養病 棟を2つに分けるというのは、医療でこれからずっとやっていかなければならない人と、もう医療 とは縁のない人に分けたらどうかということが議論の始まりなのである。ところが、分けたけれど も、こういう人たちについては医療が起こったときはどうする、こうするというようなことが多い。 そうすると、医療の分野で負担しているものが介護の分野に移ることになる訳である。たまたま平 成21年度は介護保険料の改定の時期に当たる。だから、今度は、なぜ医療の分まで介護保険が受 け持たなければならないのかということになる。そうなると、全国的にみんな、ああ、いいですね、 賛成しましょうなんて簡単にはいかないと思う。  その辺の、医療の方に今何人いるが、それが5年計画というから5年で何人が介護に行き、1年 でこれだけ介護に来て、その費用は全体的にこれくらいかかる、それで大体各県の費用を調べてみ ると、例えば私は福岡県だから、福岡県はこれだけ介護費用が増えるのではないかというようなこ とを一遍も言ったことがない。  最初のときに、介護だけ必要な人だけを介護に入れなさい、医療も必要な人は医療に行きなさい、 ただ、その場合、介護と医療の両方をどうしてもやらなければならない人もいるかもしれないが、 その人たちについては十分検討の上で配慮すべきではないかと言った。分離することになったら、 介護の方に行く人にも医療が一緒についてくるような話はないと思う。当初決めたことを何で今に なって変更するのかわからない。だから、もう少し、介護の方に来る人は何人で、どれぐらいの費 用が要るということを今言っておいてもらわないと。今度、介護保険料を決めなければならないの である。  このごろ私は、この委員会は何の委員会かよくわからなくなった。介護保険料をどうしましょう、 こうしましょうという心配はだれ一人としてしない。全部、ああ、それなら加算すべきだ、いや、 これならこれでいいやとかそんなことばかりではないか。それでは本当の介護保険は実施できない。 今でさえ、全国的に介護保険料が高く、また上乗せするのかとよく言われる。だから、その辺を考 えて、どうしてもそうしなければならないものなら、厳選した上でやってほしい。しかも、何人が 介護に来るが、介護に与える財政的な影響はこれだけ、という説明、資料が、なぜ出されないのか。 全然ない。今まで私は何回かここに出席したが、一遍もそういう話を聞いたことがない。介護保険 を何と心得ているのか。あなた方はその担当だろう。そのあなた方が、介護保険制度を軽視してい るのと一緒ではないか。私は、介護保険の責任者として断じて許すべきことではないと思っている。  医療のことばかりではないか。医療なら医療部会でやったらどうか。どうして、介護保険の周り から、医療はどれくらいするのかということを言わなければならないのか。そんな話は介護のとこ ろにはないはずである。スタートのときに、介護と医療は分けましょう、どうしても両方にまたが るものについては別途に考えますということが最初の出発点なのである。それを守っていないでは ないか。  資料を見ても、たくさん出したからといって、納得いくものではない。そういうことで、自分た ちのことばかりを議論するような委員会は、私はけしからんと思う。だから、もう少し、これだけ 医療で見るならば、介護保険料にこれだけかぶっていくが、介護保険のところはどうするのかとい うような議論、心配もしていただくことこそ大事なことではないか。全然しないではないか。そう なると、介護保険は全国的な反発を受けることになる。それでうまくいくと思うか。その辺を事務 局は考えてもらいたい。  加算をする場合でも、これは病気だから、このぐらいのものはやらないとというのは医療なので ある。本当は介護で見るべきではない。もう仕方がない、どうしようもないというものについては やむを得ないが、一定限度以上のものは行わないということが出されるべきではないか。それが全 然出ていない。  それから、今日の看護職員が何人いなければならないという話は、医療の話である。医療のとこ ろでそのような議論はするが、介護の場合に、「それは必要である、医療がこう決まっているから 介護の場合はこうする」と出してくるならわかる。ところが、何故介護だけでそのような話が突然 出てくるのか。基礎がないではないか。そんなことでうまく介護保険制度の運営ができるとは思わ ない。  いいところは結構なので大いにやってほしい。分離することには賛成する。しかし、それを今の ような、何でもいい、この場だけ切り抜けたらいい、そして制度をつくればいい、全部介護保険料 で負担してもらうというやり方は、私は賛成できない。私の言っていることが理解いただけないな らば再度申し上げる。 (鈴木老人保健課長)  全体の話はまた答えていくが、加算ないし医療面の評価である。我々としても勿論、今、山本委 員がおっしゃったように、医療ニーズが高い方は勿論医療保険で見ていただく、これはもう前提だ と思う。その上で、まさに山本委員がおっしゃっていた、医療もある程度必要だが介護で見るべき 方、これをどうするかということを今、御検討いただいている訳で、その上で、我々としても計算 の前提をはっきり申し上げなかったのは悪かったかもしれないが、決して、今御指摘いただいたよ うな、介護に全部来ればいいとか介護で全部見ればいいということではない。勿論きちんと医療で 見た上で、どうしてもやむを得ない人についての受け皿をどうするかということを議論させていた だいている。 (山本委員)  あなたと議論する気はないが、介護保険料の負担をするのは、国民全部なのである。その人たち のことを一言も書いていない。負担をする側のことも考えて、これはこうなります、こういう数字 になりますという説明をするならいい。全くない、それでは賛成できないと私は言っている。そう いうものではないのか。介護保険はみんなが支えている。みんなが支えているのだから、みんなが 納得するようなやり方を進めていくことが必要ではないか。私はそう思う。私の言っていることが 間違っているなら、もう私はこの委員を今日限り辞める。間違っているなら間違っていると言って ほしい。 (大森分科会長)  総務課長。 (依田総務課長)  今、山本委員が御指摘いただいているように、介護保険制度をきちんと維持していく上では、保 険財政、特に財政への影響、地方自治体の負担、保険料の負担等々を含めて、それらもきちんと踏 まえて制度をしっかり組み立てていくことが不可欠なことだと、私どもも当然のことながら思って いる。  今回の療養病床の再編の問題についても、やはり入院治療の必要な方については引き続き療養病 床でみる。そして、それ以外の方々の受け皿としての一つの選択肢として、療養病床から転換した 老人保健施設というものの具体的な中身について御相談させていただいている訳だが、どのような ニーズがあるか、過剰なものではなくて、本当に今療養病床にいる方々の受け皿として必要なもの についてきちんとした議論をさせていただく中で御提案させていただいている。ただ、それによっ てまた介護保険財政に大きな影響が出てこないように、保険者の皆さん方からの御意見等も踏まえ ながら、まさにこうした場で合意できる方向性について御議論いただいているものなので、決して 保険財政のことを軽視している、供給側のことだけを考えて御議論いただいているものではないこ とを是非御理解いただきたいと思っている。 (大森分科会長)  まだ御不満が残るかもしれないが、先にお2人、天本委員が先だったか。 (天本委員)  議論の中で、やはり介護保険の給付が施設サービスと在宅サービスで大きく異なる。要するに施 設サービスの中には、介護保険ができたときにかなり医療を持ち込んだことから、この混乱が起こ っているのだと思う。今回の転換において、医療保険が導入されるということで、箱によって医療 保険か介護保険かということから少し脱皮する方向に来ている。しかしながら、参考資料1の7ペ ージ目のこのブルーの中には、山本委員が指摘されるように、介護保険に限定したものではなく、 かなり医療が残っている。例えば特別養護老人ホームでは、薬などは医療保険から給付されている。 だから、同じ介護保険の適用を受けている施設でありながら、まだ給付の中身が整理できていない 部分がある。そして、もう一つ重要なことは、施設に入っている方も在宅、特に多様な住まいの特 定施設などにおいては、医療保険の給付も介護保険の給付も在宅と同じような形で公平に受けるこ とができる。ところが、介護保険施設においては医療の給付の面で制限がある。それが一歩前進し た形で今回このような方向で進んできた。しかしながら、課題がたくさん残っている。本来の医療 保険の給付、介護保険の給付というものに、それぞれ保険の目的に基づいた給付に限定されてそれ ぞれが役割分担をしていくという方向に今後も行っていただきたい、議論を進めていただきたいと 思う。  それから、今回、医療の入院の必要性があるかないかということが非常に抽象的な形で語られて いて、医療保険の側からは入院の必要性がないという政策的な判断で介護施設へということで、介 護施設側の受け皿とすれば、現在の介護療養型医療施設における転換をどうしようかということで 進んでいる。中医協でも今、議論になっているというか、医療療養病床における政策的に入院の必 要性がないとした医療区分1というものは、慢性期分科会で調査して検証した結果、医療区分1、 ADL3においては、医療処置時間やケア時間などにおいて、医療の必要性があると判断されてい る。ただし、政策的に入院の必要性がないということで、果たしてこれから受け皿として、意識障 害があって、経管栄養で医療吸引の人がこれから受けていけるかというと、介護職員の方々あるい は利用者の方々の不安を考えると、現在の展開においてはこれで進むと思うが、一般病床からその まま直接介護施設に移って医療が必要な人たちがどんどん増えるということは、現場の方々はます ます不安になり、介護職員の離職にもつながりかねないという危険性もあると思う。そういう意味 において、この受け皿の問題は医療と一体として考えて、医療保険の入院におけるエビデンスに基 づく点数の設定と連動した形で常に考えていただくよう、よろしくお願いしたい。 (川合委員)  3点申し上げる。1点目、鈴木課長に感謝する。前々回か半年前かの資料では、看取りは療養型 と老健とでは比率では13対1であったが、今日の説明では5倍程度だと軌道修正していただき、 我々も看取りを一生懸命やっていたということが1点。  2点目、これは、勝田委員も大森委員もおっしゃったように、資料をダブルスタンダードで使わ ずに、党に出す資料と我々に出す資料は同一の資料でいただきたいと思う。  3点目、今いろいろ議論が出てきたのは参考資料4の2ページ目の介護老人保健施設、恐らく現 況のことを言っていると思うが、その一番上の箱で「日常的に必要な医療」と書いてあるが、これ は、20年前の老人保健施設の日常的な医療行為と、20年間医療技術が進歩した上での日常的な医 療行為がかなり変わってきており、被保険者の方から考えてみたときに、ほかの施設ではできてい るのにどうして老健ではできないのかという非常に素朴な疑問が現場で生じていることを御認識 いただきたい。  このことに関しては、1月10日、我々は阿曽沼局長あてに老人保健施設の医療に関して、1枚 物と別紙説明5枚物を提出した。浅沼老健局長と水田保険局長に出そうと思ったが、水田保険局長 のところの手続が若干後手に回り、今、担当課にお願いしているので、保険局にも提出したいと思 っている。老健をめぐる医療環境はかなり変わってきているし、我々が要求されている医療は、そ れこそ根本的に、今、山本委員あるいは天本委員がおっしゃったように、議論をし直していただき たい。その資料になるようなものを1月10日付で提出したので、もしこの場で議論になるというの であったら、また大森会長あてに提出させていただきたい。我々、積年、20年間の医療行為に関し ては思いがある。 (石川委員)  自民党の政務調査会の介護委員会のことが今紹介されたので、私そこに呼ばれて出席したので、 その辺の紹介を兼ねて、少し事務局にも質問させていただきたい。  まず、天下国家を論じる国会議員の席だからそういうことが中心なのかと思ったら、医療費用そ のものあるいは介護費用そのものがトータルにどうなるのかという、いわば財政論のような質問は ほとんどなかった、極めて細かい質問が多かったなというのが非常に印象的だった。  私の方からは、ここでもお話をしているが、療養病床の再編については、制度の持続可能性を考 えても、また効率性を考えても、医療と介護の役割を明確化していくことは積極的に進める必要が あると申し上げた。2点目として、療養病床から転換する老人保健施設に適用する介護報酬や基準 については、先ほどもお話があったが、第4期の介護保険事業計画の策定作業が4月から本格的に 始まることから、早期に是非示してもらいたい。3点目として、高齢者の負担となる介護保険料へ の影響を最小限とするために、療養病床から転換する老人保健施設の介護報酬については配慮して いただきたい。これは先ほどから、山本委員が切々と訴えていた。そして、4点目として、自治体 の実態を考慮して、国の政策として住民が引き続き適切なサービスを受けられるような支援措置を 講じていただきたい。  こういうお話をさせていただいたが、その中でほかの方から、特に京都の療養病床の協会の方か ら、施設費用と在宅費用との比較データが出された。これは事務局にも行っていると思うが、その 中で、療養病床で医療介護サービスを受けている方は、利用者負担が月額8万8,200円、保険給付 額が月額39万3,600円だが、これを在宅に置き換えた場合は、利用者負担が78万3,630円、保険 給付額が月額で44万7,570円という数字が示されており、在宅介護は非常に効率が悪いというこ とを資料で示された。私、その席では質問する立場ではなかったが、そのまま置いておく訳にもい かないので、是非この際、事務局からこの資料に対する見解をお示しいただきたい。  また、先ほどからお話があるように、介護保険制度は高齢者に保険水準を納得していただきなが ら納めていただいているのが実態なので、負担する側の考え方を是非きちんと認識した上で、今後 作業を進めていただきたい。これは山本委員と全く同意見だが、つけ加えさせていただきたい。  1点だけ、お答えをお願いしたい。 (大森分科会長)  池田委員何か。私も変な資料ではないかと思ったが。 (池田委員)  先ほどの山本委員の発言、それから今の石川委員の発言と関連するが、確かに保険者の立場、あ るいは保険料を支払っている被保険者の立場、これらが割と議論の中で見過ごされているのではな いかというのは、私も共通な感じを持つ。わかりやすく説明すると、例えば療養病床が介護保険で は廃止になって医療保険に統一される、その結果、療養病床のかなりの部分が転換型老人保健施設 にやってくる。その結果介護保険が、例えば3,000億円負担が増加すると言うと、「ああ、大変だ な」とみんな思うだけなのである。実は、今7兆円という費用に対して4,090円というのが全国平 均の保険料である。ということは、3,000億円増えると保険料は180円上がる。そういうふうに言 った方がわかりやすいという感じがする。  だから、財政がどう変わるかは、現段階で老人保健施設へどれくらい行くのか、医療へどれくら い行くのか、あるいはほかへ行くのかということは非常にわからないので出しづらいと思う。それ はよくわかるが、何しろもう時間がないこともあって、幾つかのケースに分けてそういうふうに説 明してもらうと、誤解も比較的避けられるし、わかりやすいのではないかという感じがする。  それから、今の自民党の介護委員会の中で出てきた数字というのは、意味不明というか、施設の 方が在宅にかわったときにどういうふうに費用負担が変化するかというのは、シミュレーションで 何通りでもできる訳である。全国平均的に要介護の人が使っている在宅サービスで換算すれば、は っきり言ってものすごく下がる。在宅にすればすごく下がる。ところが、それでは不十分だからき ちんとしたサービスをするとなると施設より高くなる可能性もある。だから、その辺は、前提条件 を明確にしないで数字を出すと、絶対ひとり歩きするので、そういったものについては基本的に前 提条件をはっきりさせた上で出すことが必要なのではないかと感じたところである。 (大森分科会長)  実際に私どもとして結論を出して、仮に答申することになると、その後、現場の方は動かなくて はならず、一刻も早くやらなければいけないが、もうこれは遅れ始めている。遅れ始めていて、そ れで議論を先に進めさせていただきたいが、今日、自民党の意向というか意見の一部が伝わってき たが、なおかつ、自民党から我々に対して要請があるのだろう。それをどうするか諮っておかなけ ればいけない。 (鈴木老人保健課長)  その前に、石川委員から具体的な御質問があったので、それについて先に答えさせていただけれ ばと思うが、御質問の内容は、22日に自民党の介護委員会でヒアリングをしていただいた際に提出 された資料の中で、在宅の場合の費用と施設の場合の費用を比較したものがあったと。その場合に、 まさに池田委員が言っていただいたように前提条件はどうだったかと申し上げると、要介護5で、 家族のサポートがない、更に1日6回ヘルパーが行くという前提条件があって計算された。それで あれば在宅の方が高くなるということで、そういう前提条件であれば、勿論そういう結果になると 思う。  ただ、勿論一概に施設が安いか、在宅が安いかという議論ではなくて、患者さんの状況とか前提 条件によって異なるので、それはしっかりやっていかなければいけないと思っている。  それから、2点ほど、1点は、今回は我々としては、今、療養病床に入っている方がおられるの で、そういう施設が転換した場合にどうなるかということを中心に議論させていただいているが、 そういう方に在宅に帰っていただくという前提ではないということが一つ。  もう1点は、要介護5で在宅の家族のサポートがないということになると、勿論個別のケースに おいては在宅でということもあり得るとは思うが、おおむね施設で見られるというのが大きな傾向 だと思うので、やはりそういう前提をしっかりした上で、我々の方としても議論させていただけた らと思う。それが今の答えである。  その上で、大森分科会長からあった今後の話だが、先ほど申し上げたが、自民党の方からも、介 護給付費分科会で議論していただく際に、是非現場の声を聞いてほしいという御意見があった。ま た、実は前回の介護報酬改定をする際も現場の方から御意見をお伺いしたという経緯もあるので、 事務局としては、現場の声を是非聞いていただければと思っている。具体的な日程はまた後から申 し上げるが、次回を2月8日に予定しており、この介護給付費分科会においては、実際に療養病床 を運営しておられて転換を行う際にどうしたらいいかということについて、療養病床の関係の方か らの受け皿についてのヒアリングをしていただいた上で、委員の方々といろいろ質問なり回答のや り取りをしていただけたらと思っている。もし今日、皆様方に御首肯いただければ、次回はヒアリ ングをさせていただいて、また少し御議論いただくことも加えてということだが、それでよろしい かどうかをお伺いしたい。 (大森分科会長)  そういう提案になっているが、いかがか。次回は、療養病床関係者、さまざまな関係者がおいで になるそうだが、その方々から、一応、私ども分科会としてはヒアリングをさせていただいて、そ れを踏まえた上で結論を導き出していくというワンステップを置きたいというのが事務局の意向 だが、そういう運びでよろしいか。更に私どもの結論が遅れるが、これだけの大ごとなので、そう いう手続を踏ませていただければと思っているが、次回はそういうことでよいか。 (「はい」と声あり。) (大森分科会長)  それでは、その按配については事務局の方で固めていただくとする。  実は、沖藤委員から御意見、この前、文書が出ていて、改めてこの問題について御意見があるそ うなので伺う。 (沖藤委員)  先ほど老人保健課長から、今回の転換問題は、在宅に関してということではないという発言をも らい大変安心した。しかしながら、利用者の利用しやすさの視点からこの転換問題を考えるという 点で意見を申し述べさせていただく。  これは12月10日に配っていただいた社会保障審議会介護給付費分科会の議論の進め方について の意見の1ページ目のI、療養病床から転換した介護老人保健施設についての3項目を読み上げさ せていただく。 (大森分科会長)   ペーパーがあるなら我々が自分で読むので。   (沖藤委員)  読み上げなくていいか。 (大森分科会長)  あえて読み上げなくても、読むので。それに附属して御説明があるならば伺いたいと思うが。あ るいはポイントがここだとおっしゃってくれれば、そういうふうに読むが。 (沖藤委員)  ポイントを申し上げると、実際問題、3カ月制限というのはないはずなのに、現場の利用者たち は、その3カ月という言葉において大変困難な事態に陥っているということで、この実際の制度に 規定されていないことがなぜ現場で起こるのかをきちんと説明してほしいということである。  それから、前にも言ったことがあるが、医療ニーズの高い利用者が、その理由において医療系サ ービスを利用できないでいる現実、こういうことで利用者からの不安の声が多く事例として寄せら れていることに対して対応していただきたい。  それから、従来型老人保健施設との連携についてわかるように説明してほしい。この3点である。 (大森分科会長)  いずれも大事な疑問点が述べられているので、これはよく考えていかないといけないと思う。  さて、そこで、実は時間がもう7時を超えているが、もう少しよろしいか。あと10分程度で終 わらせていただく。  実は、もう一つ、有識者会議の報告があるので、それを聞く。 ○古都振興課長より資料3から5までを説明。 (大森分科会長)  何か御意見はあるか。 (池田委員)  コムスン問題の解決に尽力された関係者の方々には大変敬意を表したいと思う。その上で、ここ の資料3に書かれていることだが、このことに関しては私、全く異存がない。現在の一律連座制は、 このままであれば抜けない宝刀になってしまって逆にマイナス効果になるということで、今回の改 正は、レッドカードの前にイエローカードを出すとか、そういったきめ細かい方式なので、それに ついては、私、賛成である。  ただし、幾つか気になることだけ聞いていただければありがたいが、ひょっとしたら民間営利団 体がやや不当に厳しく対処されているのではないかという感じがする。こういった問題は、介護保 険の事業者に対して公正公平に取り扱ってほしいということ、これを基本に据えなければいけない と思う。例えば営利団体がこういう悪さをしているというのは一つの世論のように語られているが、 平成12年に介護保険が始まってから平成16年度までの取り消し事例、これは厚生労働省のデータ だが、取り消し率が一番高いのはNPOである。営利団体の倍である。取り分け居宅介護支援、要 するにケアマネジャー部門だが、ここは民間の4倍も取り消し率が高いということがあって、民間 の株式あるいは有限会社が営利目的で違法行為を繰り返しているというイメージがつくられるの は、現実的に正しくはないし非常に誤ったイメージをつけてしまう。その辺、やはり留意しておか なければいけないのではと思う。  逆に言うと、こういった規制は事後規制ということで、私はそれが正しいと思っているが、例え ば社会福祉法人は、現在、事前規制があって事後規制があるという二重の規制になっている訳であ る。それが、実は逆効果になっているのではないかという気もする。具体的な事例を出して大変恐 縮だが、東京で2つぐらい有名な事件が起きてしまった。具体的な施設名は言わない。Kというと ころである。Kという特別養護老人ホームでは、フィリピンの方を使って虚偽申告をして指定取り 消しになった。ところがこれは、文京区が取り消しになったのであって、社会福祉法人は、たしか 理事長は更迭されたと思うが、指定取り消しと何の関係もない。これは、どう考えてもおかしいと 思う。バランスが崩れていると思う。  あるいはもう一つ、同じく東京でSという特別養護老人ホームがあった。性的暴言の虐待でマス コミをにぎわしたところだが、謝って数カ月後に、今度はやってはいけない1人での入浴介助、取 り落としをして死亡事件を起こしている。一体これはどういうことなのだろうか。事前規制と事後 規制、両方ありながら、実はそれが牽制し合って効果を示していないのではないか。そういう問題 も指摘しておきたい。  更に、最後の問題だが、保険者側もかなりこういった適正化という動きの中で厳しい対応、正し い厳しい対応だったらいいが、かなり疑問のある厳しい対応をしているというのがある。例えば軽 度の認定者に対して同居家族がいると生活援助を認めないということがある。こんなばかな話は絶 対ない。社会福祉の措置だったらそれはあり得る。社会保険において、同一の保険事項があったら 同一の給付をするのが当たり前なのだから、家族の洗濯や掃除をするのはいけないが、被保険者本 人の掃除、洗濯については、当然対象になる。そんなものは当たり前である。にもかかわらずそれ を排除しようとするのは、私は、どう考えてみてもおかしいと思う。はっきり言って違法行為だと 思う。だから、保険者がそういう違法行為をするのであれば、そちらの方もきちんと対応してくれ なければ私は困ると思う。  この辺は、むしろ事業者の方が割と良心的な部分は明確に言っている、同居家族がいようがいま いが生活援助は認めるべきであると。しかし、生活援助を認めるときに野放図に認めていいのかと いう議論は当然ある。だから、民介協の場合は、掃除は月2回、洗濯は月4回という形で一律に決 めてくれた方がはるかにやりやすいと言っている訳である。それ以上必要な方は自費で払えばいい。 そういうような基準を明確にして、事業者、取り分け民間の営利事業者をスケープゴートにするの ではなく、事業者もすべて、社会福祉法人もACA団体もみんなすべて公平に。事業者だけではな くて、保険者についても、裏返せば、本当は利用者についてもということだが、そういった適正化 という方向でこれから取り組んでもらうことを期待したい。 (大森分科会長)  ほかに何かあるか。 (小島委員)  時間もないので一言だけ。  今回の有識者会議では、私もヒアリングに呼ばれて発言しているので一言。今回の有識者会議の 報告書については、私も理解するし、そういう方向で賛成したいと思う。処分逃れの対応のための 廃止届の事前届出制の問題とか、あるいは同一グループ内での事業移行について一定の制限を設け るということ、あるいは今あった連座制の見直しについても賛成である。  1つだけ、ヒアリングの場で私も発言したが、この報告書の中で言っているが、指定取消しを受 けた場合に、そこを利用している利用者のサービス確保、これはやはり十分に配慮すべきだろうと 思っている。取りあえず、今回のように事業を広域的に展開しているコムスンのような場合、それ だけ影響が大きい、あるいは場合によっては僻地とか離島の場合で、その事業所しかないという場 合、そういう事業所が取消しになった場合には、利用者のサービスをどう確保するか極めて大きな 問題であるし、それからそこに従事されている就労者の皆さんの雇用の面においても極めて大きな 影響があるので、そういうものについての十分な配慮というのは是非お願いしたい。ヒアリングの 場では、私としては、その受け皿として一定期間、公的なというかそういうものを組織としてつく ることも必要ではないか、そういうことも含めて検討すべきではないかと発言したところなので、 ここについては、最終的な取りまとめのときには十分配慮をお願いしたいと思う。   (大森分科会長)  よろしいか。  平成17年改正のときにいろいろ法律を定めたが、役所の中ではきちんとやるのが普通だが、当 初、一律の連座制について、私は、不明のいたすところだが、企画段階でこんなふうになるとは思 っていなかった。だが、実際に内閣法制局と法令担当者がぎりぎり詰めていって法律をつくるとな っていた。事件が起きて初めて、条文を読んだらそうなっている。だから、企画段階で制度を構想 している段階と具体的な条文になった段階で、今回は必ず細かく、課長の手元でよく見て、意図ど おりに法文が書かれているかどうかチェックしてもらいたい。私どもは法律家ではないが、こんな ふうになると思っていなかったが、法律がなっている。どこでこんなふうになったのかわからなく て、しようがないではないかということになって今回改めるので。あの連中は、法文をつくるプロ みたいな感じで、その結果どうなるかなんて知らないで法律をつくる可能性があるので、私はその 連中を疑っているものだから。ある発想でまとまっていて、こういう方向でやるといったときには、 必ずそういう効果が法律的に生まれるということを今回だけは細かくチェックしていただきたい。 どうせ法律が直されるので。平成17年法改正のときは、私はおやっと思ってしまったので。私が 不明だったかもしれないが、是非ともそのチェックをやってもらいたいと思う。 (古都振興課長)  今、分科会長あるいは池田委員、小島委員からご指摘いただいたように、やはり制度がきちんと 運用される、あるいは実務として回っていなければと私どもも思うので、今回の不正事案一連の対 応過程に自分自身もかかわった訳なので、そうしたことにも留意したい。今後、制度の見直しに当 たっては、詳細も含め、しっかりと準備させていただきたいと思うので、引き続き御指導いただき たいと思う。 (大森分科会長)  よろしくお願いする。  それでは、本日も、恐縮です、こんなに長引く予定はなかったが、事が事なので。 (木村委員)  会長、一つだけよろしいか。 (大森分科会長)  では、その他、どうぞ。 (木村委員)  先ほどちょっと流れに乗れなかったので。参考資料4の一番最後のページ目で、次回説明してほ しいことをお願いしたいが、先ほど、勝田委員もいろいろ医薬品のことで話をされたが、麻薬のこ とは、転換型でなくても、従来の老健も使えるようになると伺っているが、現在の転換型でない老 健でもどこまで医薬品が使えるようになるのか、それから、更にこの資料の緑色のところで、急性 増悪時に往診した医師が診療行為をしたときに医療材料とか医薬品とか、そういうものが必ず使わ れると思う。それが医療保険にレセプトとして出るとは思う。私が一番聞きたいのは、物の流れで ある。ここには、「併設した病院・診療所の場合(イメージ)」と書いてあるが、例えば耳鼻科の医 師がその病院にいない場合は開業医の医師が入ってくると思う。そのときに処方せんが切られて、 具体にその薬をどういうふうに入所している人たちに投与するのか、または老健内での包括なのか とか、そういうことを次回きちんと説明してほしいと思うが、よろしくお願いする。 (大森分科会長)  どうでしょうか。よろしいかな。では、その点、説明をお願いすることにする。  ほかにあるか。 (井部委員)  先ほど自民党に出された資料の中に介護職員の配置のことが書かれていたが、その説明も次回に お願いできればと思う。看護職員の配置は今日審議されたが、介護職員がどうなるのかということ についてもお願いしたい。 (大森分科会長)  それは次回でよいか。 (鈴木老人保健課長)  勿論、次回になるか次々回になるか分からないが、これから以降、きちんと議論していただきた いと思う。 ○大森分科会長より閉会の宣言 - 24 -