08/01/30 医療サービスの質の向上等のためのレセプト情報等の活用に関する検討会 第5回議事録 第5回 医療サービスの質の向上等のためのレセプト情報等の活用に関する検討会             開催日:平成20年1月30日(水)             場 所:厚生労働省9階省議室 ○開原座長   それでは定刻となりましたので、これから第5回「医療サービスの質の向上等のため のレセプト情報等の活用に関する検討会」を開会します。  本日の検討会のメンバーにつきましては、上島先生と中川先生が御欠席というように 伺っております。まだお見えになっていない方もございますが、定刻でございますので 始めさせていただきたいと思います。  それでは早速でございますが、議題の方に入らせていただきたいと思いますが、まず 事務局の方から本日の資料の確認をお願いします。 ○藤澤室長   今回は資料を1種類だけお出ししております。一番上に報告書(案)と書かせていた だいたものが全部で12ページあります。本文が5ページまでで、6ページが参考資料1、 7ページが参考資料2、8ページが参考資料3、9ページが別添1、10ページが別添1 の別紙、11ページが別添2、最後12ページが別添3になっていると思いますが、もし 何か抜けていたりする場合がありましたら、すぐにお知らせいただければと思います。  ○開原座長   よろしいでしょうか。それでは本日の議題は、これまでの議論の取りまとめというこ とですので、この資料をいろいろ御検討いただきたいということでございます。この資 料に基づきまして本日は議論をしてまいりたいと思います。もし御了解いただければ、 この報告書(案)の修正されたものが最終版になると思いますので、この文書は大変大 事な文書でございますので、まずこの御報告を伺った上で各構成に分けながら議論をい ただこうかと思います。それでは最初に事務局の方から説明をお願いします。 ○藤澤室長   前回の検討会で出させていただいた論点整理では、これまでの議論を簡単にまとめた ペーパーをお出ししました。それを元に、皆様方からいただいた貴重な御意見等を踏ま えて、もう少し修正を加えた形で本日はお出ししておりますので、全体を御説明させて いただきます。  まず冒頭、「はじめに」というところでございます。この4月から施行される高齢者医 療確保法において、医療費適正化計画の作成、実施、評価のための調査・分析に必要な 情報を第16条に基づいて保険者は国に提出することとされております。その提出いただ く情報について、医療費適正化計画の作成等に活用することも含め、医療サービスの質 の向上等のためにどう活用すべきかを検討するために、皆様方にこれまで4回にわたり 議論を重ねていただきました。先ほど座長がおっしゃってくださいましたように、本日 は、もしよろしければ、御意見も踏まえた上で取りまとめさせていただければ大変あり がたいと存じますが、ここでは「とりまとめたところであり」としております。  個人情報の保護に十分に留意した上で、正確なエビデンスに基づく施策の実施により、 医療機関側・保険者側それぞれのお立場からそれぞれ必要なお取り組みをなされると思 いますが、その取り組みと相まって医療の効率的な提供の推進による医療サービスの質 の向上、それから国民の健康の保持の推進による国民生活の質の維持・向上が図られる ようにこの仕組みを進めていくことを求めるものであるとしております。  そして1番は、前回お出ししたペーパーとほとんど変わっておりませんで、「医療保 険・保健施策の現状」としております。前回とかなり重複すると思いますが、御説明さ せていただきます。(1)医療費のマクロ分析は現在、全数のレセプトを対象に行ってい るところですが、そこで集めている情報が必ずしも詳細なものではないために、疾病別・ 診療内容別等の詳細な分析ができないというのが現状です。それから(2)でございま すが、疾病別・診療内容別などの詳細なデータは別途、毎年特定の月に抽出調査を行う ということで対応しておりますが、それは推計という形になりますし、そのデータ数が 抽出ということで余り多くないこともあり、都道府県別等の詳細な分析が困難というこ とを書いてございます。それから(3)ですが、生活習慣病の有病者数等についても何 年かに一回の抽出調査により把握しております。その結果、推計を行っている状況にあ ります。  それから2番が、「レセプトデータ等の収集・分析に関する状況」でございます。(1) はレセプトデータに関しては、既に約4割が電子化されておりますということで、参考 資料1と書きましたが、6ページの方を御覧いただきたいと思います。この参考資料1 は、1回目の検討会でもう少し古いデータをお出ししておりますが、それを更新した形 にしております。一番右下の数字を見ていただければと思いますが、現在レセプトの電 子化の準備段階にあります歯科を母数に含めましても、レセプトの件数ベースで4割を 越え41.7%です。4割を超えるレセプトデータが電子化されています。それから2ペー ジ目、(2)で特定健診・特定保健指導データについては、来年度の制度開始当初から電 子的にデータをやり取りすることになっています。(3)では、高齢者医療確保法第16 条に基づき、厚生労働大臣は全国医療費適正化計画、それから都道府県医療費適正化計 画の作成等に資するために、保険者から提出いただいた情報の調査・分析を行うことと なっていることといった概要を書いてございます。  参考資料2は後で7ページを御覧いただければと思いますが、高齢者医療確保法第16 条と後で出てきます第15条の抜粋を載せております。  それから3番でございますが、「レセプトデータ等の収集・分析に当たっての主な論点」、 こちらもこの見出しで前回お出ししているものと、一部ちょっと修正した形で配布させ ていただいております。まず(1)ですが、厚生労働大臣が高齢者医療確保法第16条に 基づき調査・分析する情報としては、冒頭1で御覧いただきましたような現状にかんが みて、より正確な分析を行うためにすべてのレセプトデータ、それからすべての特定健 診等データが必要と考えられる。また保険者側のデータ、各医療保険者でお持ちになっ ていらっしゃるそれぞれの被保険者の特徴を反映したデータになっているため、日本全 体の施策のあり方を検討する上ではやはりすべての対象者のデータ把握が必要だという ことが(1)です。それから(2)でございますが、集めるとしておりますレセプトと、 それから特定健診データ等には患者の病名等慎重に扱うべき情報が含まれている。一方 で、医療費適正化計画の作成等に必要な分析を考えた場合に、特定の患者さん、あるい は特定健診の受診者、特定保健指導の利用者、特定の方というのを識別する必要はない ので、患者等について特定の個人が識別できないように、国がデータ収集する際には患 者等の個人情報は削除する必要があるとしております。  これに関しては参考資料3を御覧いただきたいと存じます。8ページです。こちらは 3回目の検討会でお出ししたものとほぼ同じですが、見出しといたしまして、「国が収集 するに当たって、保険者からあらかじめ削除して提供いただくことを予定している主な 項目」ということで示させていただいております。まずレセプトは、患者の氏名、生年 月日のうち日、被保険者証の記号・番号、公費負担医療受給者番号、医療機関・薬局の 名称、調剤レセプトにおいては保険医師名です。そのほかにも、例えばレセプトの電子 データには医療機関の電話番号なども場合によっては入っている場合もあるようですが、 いずれにしても高齢者医療確保法第16条上必要な分析に照らし必要のないデータもほ かにもありますので、見出しに書いてありますように、「主な項目」ということで最低限 ここに明記した項目は削除しますが、そのほかにももう少し精査して削除できるものが あれば整理させていただきたいと思っております。それから2番の特定健診・保健指導 データでございますが、保険者が支払基金に提出する実績報告用データに関して、受診 者の氏名、住所等の個人情報が除去されることを想定しており、そのデータと同じ内容 をこの仕組みでも想定しております。以上より最後の「→」のところを見ていただけれ ばと思いますが、患者等については「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」 上の個人情報は、収集データに含まれず、国は患者等の個人情報を収集・保有しないと いう整理ができると思われます。  報告書(案)に戻っていただきまして、3の(2)の後段です。なお、医療費適正化 計画の作成等に必要な分析として、これは法令上も明記されておりますが、具体的には 省令になりますが、医療機関の種類別の状況ですとか、医療機関の病床数の状況に関す る分析を行うということにしておりまして、そのためにはレセプトデータ上、医療機関・ 薬局コードの収集は必要になります。ただ、医療機関・薬局コードにつきましては、医 療機関・薬局のうち個人事業者の個人情報に当たると考えられます。したがって、国が 収集するデータに「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」上の個人情報が 含まれることとなることから、収集データは同法に基づき適切に取り扱われなければな らないと明記しております。  それから(3)です。また患者のことに戻りますが、特定の患者等の識別は不要であ るが、生活習慣病対策による生活習慣病の発症・重症化の防止効果の評価等を行うため には、同じ方がどういうような経過をたどっていったかという時系列分析が必要である。 その際にはハッシュ関数の活用等技術的な対応について十分に検討し、特定個人が識別 される形でデータが収集されることのないよう十分留意すべきことは言うまでもないと しております。それから(4)ですが、(2)で明記しましたように、患者等の個人情報 は削除するものの、病名等慎重に扱うべき情報が含まれているデータを収集するという ことですので、収集・分析によるメリットと収集されることによるデメリットを比較し た場合に、メリットが上回る必要がある。それについて次のような分析・活用が可能と なる。要するに、正確なエビデンスに基づいた効果的・効率的な施策が実施できる。医 療サービスの質の向上等を図ることができるということです。  少し具体化した形で(1)〜(3)まで挙げておりますが、(1)はすべてのレセプトデータを用 いることにより、詳細な分析が可能となり、医療費の実態を詳細かつ正確に把握するこ とができる。(2)は同一人物を時系列分析することによって、施策の効果を評価できる。 それから(3)は、レセプトデータと特定健診等データを突合することで、生活習慣病対策 が医療費に及ぼす影響などについても見ることができるということです。  それから最後の(5)ですが、いずれにしてもデータを保管し活用する際は情報の漏 洩等がないように、先ほど(2)のところでも「行政機関の保有する個人情報の保護に 関する法律」について触れましたが、そうした個人情報保護法制のもと、十分なセキュ リティ対策が講じられることが不可欠であるとしております。  それから4番と5番は前回お出ししたペーパーでは一緒になって整理しておりました が、今回、別の項目として整理しました。4番は「国が行う分析の目的に関する考え方」、 5番が「国が行う分析の内容に関する考え方」です。  4番(1)は高齢者医療確保法第16条について書いています。医療費適正化計画の作 成等に資する調査・分析を行うことが、高齢者医療確保法第16条に基づきレセプトデー タと特定健診等データを収集する本来の一義的な目的である。医療費適正化計画は医療 提供体制や医療保険制度の持続可能性を確保する観点から、医療の効率的な提供の推進、 並びに国民の健康の保持の増進、推進を図るために必要な施策をとりまとめたものであ りまして、その趣旨に照らしますと効果的・効率的な施策の実施や施策の効果の検証等 の評価を、データの収集・分析によって正確なエビデンスに基づいて行うものです。と いうのが(1)です。  そして(2)ですが、一方で、高齢者医療確保法第16条において書いてございます医 療費適正化計画の作成等に資する調査・分析以外のものであっても、高齢者医療確保法 第16条のために必要だということで収集したデータを活用するということが新たに別 途データを収集することと比較考量すると、国民負担の軽減につながったり、迅速な分 析、それから迅速な施策の実施というものにつながって、ひいては行政サービスの向上、 行政運営の効率化につながる場合もあると考えられます。そのために、所掌事務の遂行 に必要な範囲内であるということを当然の前提とした上で、高齢者医療確保法第16条に 書かれている分析のほかにも、そこで収集したデータの分析・活用が(1)の後段に書 きましたような分析目的と同様に、医療サービスの質の向上等を目指して正確なエビデ ンスに基づく施策の推進に必要かつ有効となる場合についても、広い意味での国の分析 目的に含めて考えることも必要と書いております。  それから5番が、4を前提とした上で分析の内容に関する考え方です。(1)は4の(1) に対応する形で、高齢者医療確保法第16条に基づいて医療に要する費用に関する地域別、 年齢別又は疾病別の状況、医療の提供に関する地域別の病床数の推移の状況等に関する 情報について調査・分析を行います。それから(2)が4の(2)に対応したものです。 4の(2)に書きましたように、収集データを国が分析・活用するに当たっては、高齢 者医療確保法第16条に活用する場合のみに厳格に限定することは適当ではないので、医 療サービスの質の向上等を目指して収集データを分析・活用する必要性・緊急性等を適 切に判断した上で、データの分析・活用ができるような仕組みも必要と考えられるとし ております。ただし、本来の一義的な目的であります高齢者医療確保法第16条からはみ 出ている部分ということでもありますので、その必要性・緊急性等を事前又は事後に対 外的に明確にしておくような仕組みを検討することが必要と考えられるとしております。 それから、(3)はいわゆる現行のレセプトについての留意点ということで、第2回目の 検討会に3人の方々から御説明いただいた点についての記述です。レセプトは診療報 酬・調剤報酬の請求のために作成されているものです。分析という視点は特に入ってお りませんので、分析という新たな視点から見た場合は、今のレセプトデータでは分析で きる内容が限定される場合もあることに留意する必要があるということと、さらにその 分析内容が限定されるという場合については一定の整理をしておくことも必要であると しております。  最後の6番になります。「国以外の主体によるレセプトデータ等の活用のあり方」とい うことで、(1)は都道府県が使う場合のことです。これも前回のペーパーに書いたもの とほぼ同じでございますが、都道府県は都道府県医療費適正化計画を作成し実施・評価 をしていくわけですが、そのための調査・分析というのも、高齢者医療確保法第16条に 明記されておりますように、国が調査・分析するというのが通常の仕組みになっており ます。ただ、都道府県医療費適正化計画の評価に必要がある場合には、都道府県は、国 に対して、必要な資料の提出に関し、協力を求めることができるという条文が高齢者医 療確保法第15条にございます。具体的にどういう場合が想定されるかと言いますと、国 が高齢者医療確保法第16条に基づいて行った調査・分析結果では足りない。さらに追加 的に新たな切り口で集計が必要だと都道府県が判断する場合、都道府県からの求めに応 じて国が収集したデータを提供する仕組みも必要であるとしております。ただ、その場 合にはデータには慎重に取り扱うべき情報が含まれているということにもかんがみ、国 からのデータの提供が必要であるとする具体的な利用目的や利用範囲等について都道府 県に明確に示してもらった上で、その合理性を判断し、必要な範囲内でデータ提供する 必要があるとしております。  それから(2)が都道府県以外で国以外というものについて書いております。4の(2)、 つまり国が、直接には高齢者医療確保法第16条に基づくものでなくても、医療サービス の質の向上等を目指して正確なエビデンスに基づく施策の推進に当たって必要かつ有効 となる場合も、分析目的に含めた仕組みが必要という部分です。そういう考え方を前提 とするのであれば、国以外の主体も国が収集したデータを用いて同じ目的である医療サ ービスの質の向上等を目指して正確なエビデンスに基づく施策を推進する、それに有益 となる研究を行うということを一律に排除するというのは、国民の負担の軽減や的確で 適切な施策の迅速な実施という視点に立つと、かえって適切ではないのではないかとい うことです。したがって、(1)で書きました都道府県が活用するケースのほかに、国以 外の主体が公益目的で国の収集データの提供を受け、分析・研究し、国で施策を検討す る際にその分析・研究の成果を活用できるような仕組みも必要と考えられるとしており ます。ただし、その際には十分に留意する必要がある事項を次のページに5点書きまし た。  前回の検討会でもかなりの委員の方から、ルールが必要という御指摘をいただいてお りますので、それも踏まえて書いております。まず(1)が、データの利用目的として公益 性の確保が必要であることのほか、研究目的や研究計画、データの分析方法、データの 使用・管理方法等について、個別に審査した上で、その研究に必要な範囲内でデータを 提供すること。それから(2)は、(1)で言っております公益性の確保を担保するものとして の仕組みについてです。個別ケースごとの審査に当たって、公平・中立な観点から、デ ータ利用の目的や必要性等について審査し、提供の可否等を決定する仕組みが必要であ ること。それから(3)は、その審査の基準となる第三者提供に係る具体的なルールが別途 必要であること。そのルールづくりに当たっては、統計法における統計データの目的外 利用、二次利用のルール、こちらは今、総務省において検討されているというように認 識しておりますが、そちらのルールも踏まえて検討する必要があることと書きました。 前回の検討会で非常にお詳しい廣松先生からもいろいろ統計法の世界について御紹介を いただいたところですが、統計法は去年、全部改正されまして、来年の春に全面施行予 定となっております。新統計法の柱というのが幾つかあるのですが、そのうちの一つが 統計データの二次利用の促進を図るということです。そのために学術研究の発展に資す る場合には、委託に応じ集計した統計を提供するとか、それから個票ベースなのですが、 匿名性の確保はきちんと講じた上で、その匿名データを提供するとか、そういう新たな 仕組みもその新統計法に盛り込まれております。その具体的な基準やルールについて来 年の施行に向けてガイドラインのようなものを作るべく、総務省の方でも研究会を作っ て検討を進めていて、そちらの研究会の座長を廣松先生がなさっていらっしゃいます。 この検討会で皆様に御議論いただいているものは、当然統計法上の統計ではないのです が、今後本件で具体的なルールを検討するに当たって、総務省の方で今後定めるルール やガイドラインというものも一つ参考になるのではないかという趣旨で(3)は書いており ます。  それから(4)ですが、そのルールに基づき国から適切にデータの提供を受けた者以外の 者が、結果的にその提供データをそのまま利用してしまうことがないように徹底する。 その点についてもルールの中で必要な措置を講じておくこと。それから最後の(5)ですが、 データの中には、慎重に取り扱うべきデータが含まれていること等にかんがみて、その ルールに基づいてデータを国が提供する際にも、国が収集したデータをそのままの形で 提供するということは適当ではなく、その一部を加工する。例えば患者等については個 人情報は当然入っていないのですが、同じ人物の時系列分析をするために必要な、同一 人物に同一に付される何らかの番号などは入っていることになりますので、そういう番 号とか、それから一部個人情報に当たります医療機関・薬局コード、それから病名もま れな病気の病名なども考えられると思います。このようにデータそのままではなく一部 を加工するといったような対応も別途必要であることとしております。それで、どうい う場合にどういう部分について加工するのか、どのように加工するのかといった対応方 針についても、今後決めていきますルールの中でできるだけ明確に整理しておく必要が あるとしております。  それから下の方に参考1〜4まで書きましたが、参考1は今後のスケジュール(予定) でございますが、来年度この仕組みでレセプトデータ、それから特定健診等データの収 集・分析体制を構築します。それで平成21年度から電子データのレセプトデータが収 集・分析開始できます。それを目指して平成20年度に準備するということです。それか ら平成21年11月から特定健診データの収集が開始されます。参考2は開催要綱を御参 考までにつけております。参考3は、本日までの検討議題を一覧にいたしました。それ から参考4は、文章の報告書案を少しわかりやすくというつもりで絵にしたものでござ います。  これも簡単に御説明させていただきますと、一番上に青い色で「国民」という枠がご ざいます。それから真ん中に「国」、紫で囲っている四角です。それからその下に「都道 府県」が左側、右側に「第三者」がございます。そして一番下に赤い色で、「我が国にお ける医療サービスの質の向上等」という文言を書いてございます。  まず一番上の「国民」からスタートしていただいて、国民は患者となったり、特定健 診の受診者や特定保健指導の利用者になりますが、そのデータはいずれにしても保険者 に行きます。保険者はこの仕組みで患者なり受診者、利用者の個人情報を削除し、匿名 化した上で国にデータを提供します。国では疾病や医療費、医療の提供に関する状況を そのデータで正確に把握し分析する。具体的には、全国医療費適正化計画につなげてい くということになります。全国医療費適正化計画の目標というのは、国民の健康保持の 推進、それから国における医療の効率的な提供の推進です。  その下に全国医療費適正化計画と別枠で( )でくくった斜線部分がございますが、 必要性・緊急性等が認められる場合には、医療サービスの質の向上等に向けて正確なエ ビデンスに基づき対策を実施するために別途活用するという仕組みがあるということで 書いてございます。その全国医療費適正化計画のために調査・分析した結果というのは、 高齢者医療確保法第16条にも明記されておりますが、公表します。国の枠から左の方に 向かった矢印が上と下に流れていくのですが、国民に対して結果を公表する。あわせて、 下の方にも矢印がいっておりまして、都道府県に対してもそれを示す。都道府県はそれ を踏まえて都道府県医療費適正化計画を住民のために作成・実施するわけです。都道府 県の枠の右側の方に矢印が上向きと下向きと出ておりますが、高齢者医療確保法第15 条に基づいて特別に資料提供を国に依頼するという場合があります。それが矢印の上向 きのものです。ただし、その場合というのは斜線で示しましたように、利用目的や範囲 等の明確化をしていただく。そして、それが合理性があると判断されれば国から資料提 供がなされるという仕組みです。  そしてその右側に、全体が斜線で記されている第三者の枠がございますが、利用目的 として公益性の確保が必要、それから統計データの二次利用のルールなども踏まえなが ら、具体的なルールづくりを検討するということです。その第三者の枠の右側にも矢印 が2本、上向きと下向きがございまして、上向きにはデータの利用申請、それから下向 きにはそれが今後検討していくルールに基づいて審査の結果OKとなれば、個人情報の 保護を徹底するためデータ内容を一部加工した上で提供するということになります。そ のデータの提供を受けた第三者は、成果を国の方にバックするという形になります。そ して一番下の赤枠の医療サービスの質の向上等という枠に、国の枠からも、それから都 道府県の枠からも、第三者の枠からも矢印が伸びていく。そしてその医療サービスの質 の向上等は、最後、一番上の「国民」というところに当然ですがつながっていく。その ためにやっていくということを示しております。  それから一番下に小さな字になっておりますが、斜線部分について「※」でコメント させていただきました。斜線部分は3カ所、国の「必要性・緊急性等が認められる場合 には、別途、活用も。」という部分と、都道府県が高齢者医療確保法第15条に基づいて 資料の提供を協力依頼するところと、それから第三者が活用する部分、この3カ所です。 いずれにしてもこの3カ所は一義的な目的である医療費適正化計画の作成等を実施する ための調査・分析という目的からはみ出る部分でもありますので、報告書案の方にも書 きましたように、個々のケースごとに妥当性を審査し、あるいは事前・事後に対外的に 説明するような仕組みが必要ということも明記しております。以上でございます。 ○開原座長   どうもありがとうございました。それではただいま一通り御説明をいただきましたの で、あとは皆様から御意見をいただきたいと思いますが、全体がそれほど長くないので、 全体を通すとあちこち行くかと思います。1・2というように分かれておりますので、 それごとに御意見を伺って、最後にまとめて御意見を伺うというようにしてはどうかと 思っておりますが、よろしいでしょうか。  それでは、「はじめに」という文章がございますが、ここはまさに「はじめに」ですが、 何かここの部分について御意見がございますでしょうか。  ここはよろしいでしょうか。実質的なことはないので。それではまず1の医療保険・ 保健施策の現状、ここはいかがでしょうか。ここも事実を書いてあるわけですので、こ れについてはどうということも余りないと思います。よろしゅうございますか。  それではその次がレセプトデータ等の収集・分析に関する状況ということで、これも (1)〜(3)とございますが、ここも事実をお示ししている部分でありますが、何か コメントとか御意見とかございますか。ちょっと早すぎますか。ここは参考資料1とい うのを参照することになっていますが、これも事実だけでございます。 ○大熊委員   1ページ目の最後のところの、「平成23年度には原則としてすべての」と書いてある のですが、「原則として」というのが入ると非常に物事がふわふわして、いいかげんにな ることがしばしばです。表を見ますと歯科についてはまだこれから取りかかるような状 況ですので、平成23年度には何%ぐらい電算化されるという見込みで皆さんはいらっし ゃるのか、参考までに聞かせていただきたいと思います。 ○開原座長   はい、いかがでございましょうか。 ○藤澤室長  「原則として」とここに書きましたのは、ここではオンライン化のスケジュールにつ いては既に省令で定められておりまして、平成23年度には本当に原則なのですが、それ 以降、一部レセプト件数が非常に少ない医療機関などの場合には、一部経過措置的に期 限を延ばしていることもあって、「原則」と書いたものです。ただ、レセプト件数ベース で見ますと、正確な数字は申し上げられませんが、ほぼ9割を超える形で電子化される 見込みと思っております。 ○大熊委員   それは歯科についても同様であり、それから経過措置の期間は2年となっております が、それはまだ定められていないですよね。 ○藤澤室長   はい、最大2年になっていますが、まだ、定めておりません。 ○大熊委員   その経過措置の後に本当に100%になるのかどうかがちょっと、すべての前提となる のでどのぐらい大丈夫なのかなと思ってお伺いした次第です。 ○開原座長   それでは次に行ってよろしいですか。3のレセプトデータ等の収集・分析に当たって の主な論点、この辺からだんだん実質的な議論に入ってまいります。ここはいろいろ御 意見もありますかね。これは先ほどざっと御説明いただいたのですが、そうたくさんあ るわけではないですから、せっかくですので読み上げていただきましょうか。 ○藤澤室長   はい。3 レセプトデータ等の収集・分析に当たっての主な論点。  (1)厚生労働大臣が高齢者医療確保法第16条に基づき調査・分析する情報としては、 上記1の現状にかんがみ、より正確な分析を行うために、全てのレセプトデータ及び特 定健診等データが必要と考えられる。また、各医療保険者のデータは、それぞれの被保 険者(被扶養者も含む。)の特徴を反映したデータとなっているため、我が国全体の施策 のあり方を検討する上では、すべての対象者のデータを把握した上で分析を行う必要が ある。  (2)レセプトデータ及び特定健診等データには、患者の病名等慎重に取り扱うべき 情報が含まれており、また、医療費適正化計画の作成等に必要な分析上、特定の患者等 (特定健診の受診者、特定保健指導の利用者を含む。以下同じ。)を識別する必要はない ことから、患者等については特定の個人が識別できないよう、国がデータを収集する際 には、患者等の氏名等個人情報を削除する必要がある。なお、医療費適正化計画の作成 等に必要な分析として、医療機関の種類別の状況や病床数の状況に関する分析を行うこ ととしており、このため、レセプトデータ上、医療機関・薬局コードの収集は必要であ る。したがって、国が収集するデータに「行政機関の保有する個人情報の保護に関する 法律」上の個人情報が含まれることとなることから、収集データは同法に基づき適切に 取り扱われなければならない。  (3)特定の患者等の識別は不要であるが、生活習慣病対策による生活習慣病の発症・ 重症化の防止効果の評価等を行うためには、同一人物の時系列分析が必要である。なお、 その際には、ハッシュ関数の活用等技術的な対応について十分に検討し、特定個人が識 別される形でデータが収集されることのないよう十分留意すべきことは言うまでもない。  (4)患者等の個人情報は削除するものの、医療費適正化計画の作成等のために分析 上必要な情報として病名等慎重に取り扱うべき情報が含まれているデータを国が収集す るに当たっては、収集・分析によるメリットと収集されることによるデメリットを比較 した場合に、メリットが上回っている必要がある。しかるに、上記のようにすべてのレ セプトデータ及び特定健診等データを収集することにより、次のような分析も含めた活 用が可能となり、正確なエビデンスに基づいた効果的・効率的な施策を実施し、医療サ ービスの質の向上等を図ることができると考えられる。  (1)すべてのレセプトデータを用いることにより、詳細な分析が可能となり、医療費の 実態を詳細かつ正確に把握することができる。(2)また、同一人物を同定した上で、特定 健診等データを経年的に分析することにより、生活習慣病対策による生活習慣病の発 症・重症化の防止効果等を評価することができる。(3)さらに、レセプトデータ及び特定 健診等データを突合することにより、生活習慣病対策が医療費に及ぼす影響等について 評価することができる。  (5)なお、レセプトデータ及び特定健診等データを保管し、また活用する際には、 情報の漏洩等がないよう、個人情報保護法制の下、十分なセキュリティ対策が講じられ ることが不可欠である。 ○開原座長  どうもありがとうございました。ここはこれまでの検討会でも一番議論したところで ございますが、それがこういう形でまとめられているということでありますが、いかが でございますか。何か御意見があればと思います。 ○廣松委員  意見というか質問なのですが、2点あります。第1は3の(1)で最初の段落では「す べてのレセプトデータ及び特定健診等データが必要と考えられる。」とあり、その次の「ま た」以降なのですが、そこでも「すべての対象者のデータを把握した上で分析を行う必 要がある。」と書かれているのですが、この「すべての対象者のデータ」というのは、上 の段落で言う「すべてのレセプトデータ及び特定健診等データ」のことなのでしょうか。 ○藤澤室長  そのとおりです。 ○廣松委員  わかりました。2番目ですが(2)のところで、参考資料3の一番下に「→」があっ て文章があるのですが、その意味がよくわからないのですが、その先ほどの御説明では ここの部分には、今回、国が収集するデータには患者・受診者・利用者に関するものは 含まれないから、行政機関の保有する個人情報保護に関する法律上の個人情報を収集・ 保有するものではないと読むのですか。そうすると、2番目の段落とちょっと矛盾を起 こすような気がしたのですが、そこはどういうことなのでしょうか。 ○藤澤室長  行政機関の保有する個人情報保護に関する法律上の個人情報に関しては、患者や受診 者・利用者については含まれないという整理ができるのですが、第2段落というのは報 告書の(2)の「なお」書きのところでしょうか。 ○廣松委員  はい、そうです。 ○藤澤室長  医療機関に関しては医療機関コードを収集することが必要なので、医療機関のうち個 人事業者に係る医療機関コードに関しては同じこの法律上の個人情報に当たると考えら れるので、患者等についての個人情報はないのですが、医療機関についての個人情報が 一部含まれる。そういうことを示したかったのです。 ○廣松委員  私はちょっとこの法律的な解釈はよくわからないのですが、一部分は個人情報保護法 に相当しないけれど、一部分は個人情報を含むとした場合には、それは部分的な適用は 可能なのでしょうか。それとも全体、もし一部分でも個人情報に関するものを含んでい る場合には、集めたデータ全体が行政機関の保有する個人情報保護に関する法律の範囲 に入るのでしょうか。そこがちょっと私も法律的にはよくわからないのですが。 ○藤澤室長  少なくとも医療機関の個人情報は一部入ることになるので、国が収集するデータは全 体を通してみてやはり個人情報が入っているということに変わりはないので、この報告 書案にも書きましたように、3の(2)の一番下の部分、収集データ全体について、行 政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に則って取り扱っていかなければいけな いということを明記しました。 ○開原座長  よろしいですか。 ○廣松委員  はい、今の解釈であれば、書き方の問題だろうと思いますから、それで結構です。あ りがとうございました。 ○開原座長  それではほかに何か御意見がございますでしょうか。それでは4に行きましょうか。 では4もそう長い文章ではないので、読み上げていただけますか。 ○藤澤室長  はい。4 国が行う分析の目的に関する考え方。  (1)医療費適正化計画の作成等に資する調査・分析を行うことが、高齢者医療確保 法第16条に基づきレセプトデータ及び特定健診等データを収集する一義的な目的であ る。医療費適正化計画は、医療提供体制や医療保険制度の持続可能性を確保する観点か ら、医療の効率的な提供の推進並びに国民の健康の保持の推進を図るために必要な施策 をとりまとめたものであることから、この趣旨に照らし、効果的・効率的な施策の実施 や、施策の効果の検証等の評価を、データの収集・分析による正確なエビデンスに基づ いて行うものである。  (2)一方、上記(1)の分析以外であっても、当該データを活用することが、新た に別途データを収集することと比較考量すれば、国民負担の軽減につながり、また迅速 な分析、的確・適切な施策の迅速な実施により、行政サービスの向上、行政運営の効率 化につながる場合もあると考えられる(例えば、感染症などの疾患の実態把握に基づく 施策など)。このため、所掌事務の遂行に必要な範囲内であることを前提とした上で、上 記(1)の分析のほかにも、当該データの分析・活用が、上記(1)の分析目的と同様 に、医療サービスの質の向上等を目指して正確なエビデンスに基づく施策を推進するに 当たって必要かつ有効となる場合についても、国が行う分析の目的に含めて考えること も必要と考えられる。 ○開原座長  はい、いかがでしょうか。高齢者医療確保法第16条をこの検討会自身も「医療サービ スの質の向上」ということを考えているわけですから、それに適合するものであれば使 ってもよいであろうということが(2)のところに書かれているわけでありますが、よ ろしゅうございますか。 ○樋口副座長  何も問題がないと私も考えていて、その上での話なのですが。  ここでの議論で触発されて、先ほどもちょっと法律の話がありましたが、今度の計画 に含まれる法律上の論点につき、私の同僚で行政法および個人情報保護法に詳しい人と ディスカッションをする機会を持ちました。そのうち重要なものを御紹介しようと思っ ているのですが、ここで集めた情報は一体何のために集めたのかというと、高齢者医療 確保法というものがあり、その法律の第16条に基づいてこういうことができるというこ とになっていますね。この4のところでは、「それ以外の目的で使う」ということについ て極めておずおずとこういう形で書いてある。そもそもそういうものなのだろうかとい うことなのですね、それで、それをちょっと議論したのですが、結果だけを紹介します が、法律上も大丈夫だということですね。法律上は行政法に侵害留保説というのがあっ て、行政がやることが何であれ、個人の権利、国民の権利を直接に侵害するような行為 であれば、特定の法律に基づくことが必ず必要なのですが、そうでない場合には組織規 範、厚生労働省の設置法に書かれている範囲のことは厚労省は行うことができるという ことです。厚生労働省が一体何のために存立しているのか。特にそのうちのここでは旧 厚生省の部分なのでしょうが、医療の確保であるとか、医療の質の向上であるとか、そ ういうものが高齢者医療確保法でカバーしている範囲以外のものもありますね。しかし、 その法律でなくとも、厚生労働省の存立目的のためにこの情報を使うということであれ ば、それは何の問題もないということになります。この文書では、高齢者医療確保法第 16条の方は「一義的な目的」と書いてありますが、一義というのは第一の目的だという ぐらいの意味で取っていただいて、第2の目的で、あるいはそれ以外の別の目的で使う のも、それが正当な目的である限り、それは大丈夫だということになります。これは法 律論的な話ですが。そういうことであります。  ついでに、先ほどの医療機関コードの話ですが、これは個人情報であるということで 問題となってきました。一般的に行政機関が持つから行政機関の保有する個人情報保護 に関する法律が、3種類ある個人情報保護法の中でその法律が適用になり、個人情報と して保護の対象になるものになりますが、ただ、すぐにわかるのは、つまり全くの患者 とかそういう個人の情報ではなくて、医療機関の情報というのは事業にかかわる情報な ので、個人情報とは言ってもおのずから保護の程度が異なる。保護の程度が異なるから 保護しなくてもいいということではもちろんないので、稲垣さんが何度かおっしゃって くださって、こういう形で明快な文章になったのは非常にいいことだと思いますが、患 者の情報とかそういうものと同じ程度に保護されるようなものかというと、一般論とし て言えばそういうものではない。事業に悪影響を及ぼすようなことだけは避けないとい けないという、それだけの話だということだけは注記しておいてもいいかもしれません。 報告書の中にわざわざそういう趣旨を入れようという話ではもちろんないのです。念の ため。 ○開原座長  どうもありがとうございました。 ○廣松委員  今、副座長がおっしゃった点に関して、これは今後の運用の仕方だろうと思いますが、 一般的に言うと、どうも今の日本の行政機関は、行政記録の利用ということに関して大 変慎重と言えば慎重であってそれはある程度理解できるのですが、一方で大変縦割りで あって、そういう意味で極めて、省庁間もそうなのですが同一省庁内でも、ある局が作 った、あるいは集めた行政記録であってもほかの局では使えないというようなことがよ く起こる。そのようなことは国民全体とか、あるいは社会全体という観点からすれば極 めて非効率な部分だと思います。今回、こういう形でレセプトデータや特定健診のデー タが収集され、それがシステムとして運用できるようになった段階には、やはり単に高 齢者医療確保法の第16条だけでなく、やはり先ほど副座長がおっしゃったように、広く 法制行政全体、厚生労働行政全体、さらに後から出てきますが、学術目的にも使えるよ うな形でぜひ運用をお願いしたいということです。 ○開原座長  どうもありがとうございました。 ○橋本委員  よろしいですか。副座長と廣松先生のお話を聞いて非常に安堵したというか、大変有 効活用するということ、そして負担を少しでも減らして効率よくこのすばらしいデータ を使うという形において、法律的裏づけがこれで得られそうだということを伺えたのは 大変ホッとしました。その上で先ほど、廣松先生もチラッと触れられた、いわゆる学術 目的などでの利用に関しても、こうした形で2番の部分について先ほど副座長がおっし ゃったような解釈でカバーしていただけるものなのかどうかについて、ちょっと御意見 をいただければと思います。と申しますのは、本来官庁が集めたデータ、もしくはこう いう行政データに関しては、それを公益に基づいて官庁が使うということに関してはO Kだと思うのですが、一たびこれが第三者利用という形になったとたんに、現状では法 律的に統計法だけがそれを明記している法律になっていると思うので、ちょっとその部 分だけが、杞憂かもしれないのですが、ちょっと引っかかったので、法的解釈からどう いうものかについて御意見を伺える範囲で伺わせていただければありがたいのですが。 ○開原座長  この問題は後で6にもう一回出てくるのですが。 ○樋口副座長  今、開原先生がおっしゃったように、6のところ、4ページ目に第三者利用のところ はこの報告書ではこういう整理になっているわけですね。こういう整理というのは、下 から7行目ですが、8行目からでもいいのですが、厚生労働省が正確なエビデンスに基 づく施策を推進するに当たって、有益となる分析・研究、学術研究の発展に資するよう な研究を行うということであれば、まず最低限、何の問題もないということですね。だ から、そうすると「施策を推進するに当たって有益となる」というのが本当に縛りにな るのかということですね。それが施策を有効に推進するのが、学術研究というのはすぐ に役に立つものだけが学術研究かというと、基礎研究を含めてやっぱり大きな意味で解 釈すれば、これはもう少し、つまり学術というのは、結局は国のためというか、広くあ えて言えば世界のためという、公益のためにあるわけですから、その公益を推進するの も政府だという意味では完全に一致しているので、さらにここではこういう形になって いるから、ちょっとうまくまとまりの言葉が出てこないのですが、本当に大丈夫ですよ と。そういう言葉で安心できるかどうか疑問ですが。 ○橋本委員  どうもありがとうございました。今のコメントが議事録に残っているだけですごく安 心できました。 ○大熊委員  今の樋口先生と廣松先生が言ってくださったことの具体例なのですが、4の(2)の 真ん中あたりに、「例えば」ということで感染症などの疾患の実態把握というのが載って いますが、それと同列に、「介護」という言葉を入れていただきたいと思います。高齢者 医療とか健診とかの成否は、後の介護制度との関連が非常に密接です。それは、2行上 にある「国民負担の軽減」にも大変影響のあることです。なので、局を超えて情報がつ ながり合うことが大事かなと思います。その場合には、やはり同一人物であるという情 報でピタッと介護保険の方の情報とこちらとがくっつくと、厚生労働省全体としては非 常に意味のある結果がゆくゆくは出てくるのではないかと思いまして、発言させていた だきました。 ○開原座長  いかがでしょうか。 ○岡本委員  先ほど廣松先生から、同じ行政機関の中でも部局を超えて活用してほしいという意見 が出ました。私も全く同感であり、この検討会は御存知のように学会とかいろいろな分 野の方々からも非常に注目されており、いろいろと意見書とか見たりします。最近、薬 剤疫学会という学会が意見書を出しております。その筆頭に「全省庁的な取り組みをし てほしい」と主張しています。つまり、レセプトデータは当然メタボ対策にも使うだろ うし、介護も関係してくるし、医薬品の安全性の確保のためにも活用する。そういう省 内の部局を超えた幅広い活用をしてほしいという、意見を出しておりますので、ちょっ とコメントさせていただきました。 ○開原座長  ありがとうございました。今の大熊先生の御意見は私がお答えするような立場にはな いのですが、介護に関する医療費適正化のところの話であれば、多分この医療費適正化 計画の中には、これは医療だけでなく介護も入っていますから、そういう意味ではここ に書いてなくても読めるのだと思います。ただ、一方でここのデータベースの中には介 護関係のデータが入っていないので、もし将来介護関係のデータもこういうところから リンクさせるべきだという話になるとこれはかなり大きな話になって、ここでは今まで 全然議論はしていないものですから、そこまで話を書き込むのはちょっと無理かなとい う感じもします。私も大熊先生の御意見は非常によく理解できまして、せっかくここま で作ったのなら介護の方もリンクさせるといいのではないかと個人的にはそう思います。 今はそういう意味で、そういう御意見があったということをぜひ記録にとどめさせてい ただいて、この文章自体は医療費適正化ということであれば、そこはある程度介護を含 まない部分、例えば療養病床のような話であればここで読めるというようなことではい けないですかね。 ○大熊委員  お言葉ではございますが、すぐ上に「国民負担の軽減」ということを言っているわけ で、その時には別に医療費のことだけでなく、医療と介護と両方が固まりとなって国民 負担との関係が出てくるわけです。(1)の方に入れるというのはちょっと無理があると 思いますが、「一方」という、「ゆくゆくは」みたいな感じのところには「介護」と言葉 を入れていただきたいと思います。介護保険が後からできたものですから医療保険より もIT化が非常に進んで高度化もされています。「くっつけるよ」という将来像だけ示し ておけば、後で局の壁を越えにくいという禍根を残さないのではないか思っています。 ○開原座長  わかりました。この件についてどなたかほかに御意見はございますか。実はここは健 診等のデータとレセプトのデータということで議論をしてきたのですが、実は少し先行 して電子化されて存在しているデータが、介護関係のデータがあることはまさに事実な のですね。そのことは別に意識しなかったわけではないのですが、一応高齢者医療確保 法第16条のところに縛りがあり、介護データは議論しないで来たものですから、この話 を入れるとなるとほかの方の意見を伺えればありがたいと思います。 ○岡本委員  今、開原座長が言及されたことは現在既に行われていて、その集計表がインターネッ トでも公表されている介護給付費実態調査、これは介護レセプトの調査でして、もう一 つは要介護認定の要介護認定実態調査というものです。我々は医療保険のレセプトデー タや健診等データのことを議論していますが、介護給付費実態調査とは電子化されたデ ータであるということ、データを全数、毎月集めていること、さらにまた被保険者の番 号や生年月日などを暗号化して収集しているという点でも全く共通している。つまり、 データとしての側面で見ると、医療保険レセプトも介護保険レセプトも全く同一のもの です。ですから、報告書でどういう表現をするかどうかは別にしまして、もし実際にレ セプトデータベースをスタートさせるとすると、同種のデータベースが既に存在してお り、それどころか介護保険のレセプトに関しては5年ぐらい前から既に実施されている、 となると両者のリンケージは必然的に俎上にのぼるでしょう。現在の介護給付費実態調 査はただ単に集計表がインターネットに載るだけで、個票データが活用されていない、 だけの違いに過ぎません。実際に体制づくりがスタートすると、医療レセプトと介護レ セプトのリンケージは当然避けて通れない問題です。むしろ体制がスタートした時の技 術的なあり方として議論すべきテーマであり、そういうことは場合によっては報告書で 言及してもいいのではないかという気がします。 ○開原座長  はい、どうもありがとうございました。 ○橋本委員  本当は松田先生が発言されるのではないかと思ったのですが、確かに今、岡本先生が おっしゃるように、技術的にはくっつけることは現時点で可能で、実際に松田先生が非 常に大規模な医療レセプトと介護レセプトを合体させたデータというのを持っていらっ しゃって、私はちょっと一部お手伝いをさせていただいて分析させていただいたことが あるのですが、今後は高齢者医療制度なんかが実際にスタートしていく形になれば、そ うしたデータセットというものを実際に作ることは技術的にも既に可能であるし、また それが非常に大きい分析結果をもたらすということはほぼ明らかだと思います。ただ、 今回のこの議論においては、開原先生がメンションされたように、この高齢者医療確保 法第16条というものの縛りの範疇で現在議論しているものというように考えると、確か にちょっとその根拠を求めるというのがすごく難しいのだろうと。その上でこれは高齢 者医療制度が実際にどのような方向で進むのかちょっと私もよくわかりませんが、そち らの方の大きい流れの中で技術的には可能であるけれど、具体的にどうしたらいいのか ということについては改めて話をしていただく方がより議論を深めることができると思 います。ここでちょっと余りせっかちに、そういうことも可能だよ、という技術論だけ の話を入れるのはちょっと中途半端かなというような印象を持っています。 ○松田委員  では追加で少し説明させていただきます。つなげることはできます。それほど技術的 には難しくないのですが、ただ一点非常に難しい問題があります。それは何かと言いま すと傷病名です。もし介護保険の方の情報と医療保険の方の情報をつなげようとすると、 実際には傷病名というところでつなげないとならない。要するに要介護状態になった傷 病名は何なのかという情報を持っていないと、実はきれいにつながらないのです。例え ば、一人の高齢者について眼科でレセプトが出てくるかもしれないし、耳鼻科で出てく るかもしれない。だけどその傷病に関して、例えば介護施設に入所されている方の場合 には、いわゆる原疾患となった傷病名が医科のレセプトから出てきません。そうすると、 そこをつなげようとすると、実は主治医意見書の傷病に関する情報をコード化して、分 析しなければならないという技術的な問題があります。実は私たちがデータベースを作 る時にそこが一番苦労をしたところです。  それで、ちょっと質問をしようと思ったのですが、そういう意味で実は傷病名のコー ド化が問題です。現行の電子レセプトでは無コード化病名というのがかなりあるという 現状を考えた時に、今後のいろいろな活用を考える時の前提となっている病名の標準化、 コード化、どこまでこの時点で可能になるのかということが多分キーになるのではない かというように考えます。その辺の状況が今どうなのかということにつきまして、少し 情報をいただければと思います。 ○開原座長  今の話はちょっと2つあったのですが、まず簡単な方から。後半の話の、病名がまだ まだ今のレセプトでは不備であるという話は、実はここで一回議論していただいて、不 備があり、そこに限界があるということはよくわかっているけれど、しかし現実のもの がそのまま将来も続くかどうかということはわからないというような議論があったと思 います。それを理解した上でこの話ができているというように思いますので、あの時の 議論でそれをまた繰り返すことにもなりかねないので、その辺のところは今の段階では、 今の御質問はどなたかに改めてお答えいただくことがあってもいいかと思うのですが、 私の解釈では議論は既にした問題ではないかなと思いますが、それではいけないでしょ うか。 ○松田委員  ちょっと議論を混乱させて申しわけないのですが、DPCとの関連で説明させていた だきます。なぜDPCでは傷病名にデータが整理できるのかというと、実は上の6桁、 「010010」というようなところでこの傷病名を使いなさいという形で標準化してしまっ ているわけです。それがレセプトに入ってくるから、これを用いて整理ができるわけで す。他方で、ICD10でそれを分析しよう、あるいは日本語病名で分析しようとしたと たんに、情報が複雑になってしまい、いろいろなことができなくなってしまうわけです。 そうすると、このレセプトで活用を考える時に、多分そのレセプトで使う病名をどのよ うに標準化すべきなのかというのを決めておかないといけないだろうと思います。これ はここで議論すべきことではないと思いますが、実用上は必ず問題になりますので、ぜ ひ合わせて御検討していただければと思います。 ○開原座長  ここは既に井原先生からいろいろ意見をいただいておりますので、今の問題を井原先 生、この間の繰り返しになっても結構ですから、ちょっと御発言いただけますか。 ○井原委員  私も松田先生の研究班のお手伝いをさせていただいているので、全く同感です。ただ、 今回はそういうことを乗り越えて、とりあえずできることから進めていかなければいけ ないのではないかというのが開原座長から出てきた趣旨だったので、私はそのことに深 く立ち入らなかったのですが、いずれ本当にレセプトのデータをすべて受け取ったら、 恐らくびっくりされるほど膨大な量の資料と、どのようにこれを処理したらいいかとい うことにまず真っ先に厚生労働省の方はとまどわれると思うのです。現在のレセプトを 御覧になったら。つい最近も新聞に大変残念な記事が出まして、傷病名の3割程度が違 っているというDPCの病院のことが書かれたりしている現状がございます。ですから、 私は何度も申し上げているのですが、基盤となるデータというものをある程度きちんと 整理する。そして使えるものと使えないものを明確に分けてやらないと。出てきている ものを丸ごと信じて、これでいいのだということでやっていきますと、間違った分析と いうのは間違った結論を生んで、間違った医療費適正化計画になってしまうということ を一番恐れているということについてお話をしたわけです。やはりその点はここにも書 き込んでいただいておりますが、私は厚生労働省の方にはとにかく基盤整備と言います か、未コード化病名の問題など、これは医療機関が厚生労働省が作ったマスターどおり にやっていただければ、一つも出てこなくても本来はいいはずのものです。それで本当 にコード化して入力できない場合は、いち早く情報提供をしていただきたい。それはす ぐにもコード化しなければいけない。やはりすべて電算でできませんと。それはもう落 ちてしまう病名が何割もあったのでは。基本的、基盤となる情報というのは決して確実 なものではないというように考えておりますので、そこはぜひ厚生労働省の方も考えて いただいて御検討いただければ、より正確なデータに基づいた分析ができるのではない かと期待しております。以上です。 ○稲垣(恵)委員  今の件に関連してですが、今回全体のまとめということで振り返った時に、再び議論 するつもりはないのですが、たしか3回目の時に御報告があったように、現状レセプト の1/3にいわゆるワープロ病名が含まれている、それから全体の病名の2割弱にワー プロ病名が含まれている、とのことです。ただ、この問題はレセ電コードの一定のルー ルの中である程度改善されるはずです。ぜひその辺がないと先ほどからも「すべてのレ セプトデータ」とか「正確な分析」とかこういう言葉が随分書いてありますが、それだ けわからない、分析できないデータが含まれているということは非常に問題かと思いま す。そのためにも後で出てまいりますが、留意するとか配慮にとどまらない課題かと思 います。従いまして、ここで議論するテーマではないとすれば、しかるべき検討の場で 検討いただくようにこの報告書に少し文章を残していただければと思っている次第です。 ○開原座長  ありがとうございました。この問題は本検討会としては十分に認識しておりまして、 実はこの中にも例えばレセプトの様式そのものまで変えるべきではないかという御意見 もあって、そういうものも書き込むことも考えられないのではなかったのですが、ちょ っとこの検討会の範囲を超える問題であるので、そこは除いてあるのです。しかし今お っしゃったように、現在のデータが完全なものではないということは、もう少しどこか で明確にしておいた方がいいということもよくわかりますので、その辺はちょっと御意 見をいただいて、この文章のどこかにそれを入れるかどうかということについては考え させていただきたいと思います。  それから元に戻りまして、大熊委員から御意見のあった介護の問題でございますが、 この件についても、実は介護の方で問題が残っているのは、介護には高齢者医療確保法 第16条のような法的根拠がないのですね。ですから、今のところは集めているといって も、基本的には介護保険の保険者が持っているだけの話で、それを国が全部吸い上げる 根拠というのが多分まだないのではないかという感じがしております。従って、これと 同じだと言ってもまだまだ越えなければいけない問題がたくさんあると思うのです。し かし一方でオールジャパンというか、オール厚生労働省というか、局を超えていろいろ やらなければいけないという御意見もわかりますし、介護の情報は医療の情報とリンク するともっともっといろいろな問題がわかってくるということも事実でございますので、 具体的に何らかの言及はあってもいいのかなという感じはいたしますが、どういうよう な文章とするかいうのはちょっとここで今、文章を練っている暇がございません。今の 御意見を伺ったところでは今のレセプトは必ずしも完全でないという話と、それから介 護の問題をどこかで言及しておいたらいいのではないかという、その2つの点について は多少この文章を修正させていただくということでよろしゅうございますか。ただし、 どう修正するかということについては、大変恐縮でございますが座長に預からせていた だければありがたいと思いますが、どうですか。 ○稲垣(明)委員  前にも申し上げているのですが、レセプトの内容等を、それをここで検討する会では ないので、報告書というのはやはり今回のこの検討会に求められているものについての 報告書だと思いますので、御意見としては記録していただいて、報告書としてはそれは この検討会の内容を逸脱するものではないかなと思っています。またそれだけの時間も かけていませんし、意見もあえて申し上げておりませんので、その中で一つの報告書の 案としてまとまったものにすることには反対です。 ○開原座長  いかがでしょうか。私もレセプトをもっと正確にせよというのは権限を越えていると 思いますが、今のレセプトのデータは必ずしも完全なものではないということは、これ は検討会のそういう認識は必ずしもこの検討会の範囲を超えていないのではないかとい う感じはするので、そこは注意しなければいけないということについてはいかがですか。 ○稲垣(明)委員   いろいろな意味で完全という、例えば今回のような分析については完全ではないかも しれませんが、先ほども言いましたが、レセプトというのはやはり診療報酬の請求でご ざいますので、この辺においてもまた別の次元でそれが完全であるか、完全でないかと いう形の検討も必要だと思いますので、この検討会で完全であるか、完全でないかとい うことを報告書の中に入れるというのは危険な結論だと思います。 ○廣松委員   これは言葉の問題でもあるかもしれませんが、私も先程からちょっと気になっていま したのは、統計分野で言いますと、こういう業務記録および統計調査の結果もそうなの ですが、記録とか結果をデータとするためにはかなりクリーニングをやらないことには 使いものになりません。ましてや分析をするためには、さらにそれをクリーニングして いかないと分析目的に合ったものにはならない。その点はある程度、統計の世界では自 明のことだと考えています。ここで「データ」という言葉がたびたび出てくるのですが、 それがどのレベルで使っているのかよく分らないところがあります。例えば単純にあが って来たものを、情報という言葉が適当なのかどうかよくわかりませんが、情報といっ たレベルで言っているのか、それともそれに基づいてここで言う適正化計画を作るため の分析用データという意味で使っているのか不明です。どのレベルのことを言おうとし ているのか。同じデータという言葉でもその辺を意識して書いていただくと今、議論に なっているような誤解というのは解けるのではないかと思うのですが。 ○開原座長   ほかに御意見はございませんか。 ○稲垣(恵)委員   今、歯科医師会の稲垣さんから話があったわけですが、確かに請求書であるわけです が、それを活用して医療サービスの質の向上を図ることで国民の生活も一層向上させよ うということでいろいろ工夫をしているわけですから、やはり今いろいろある問題につ いて、なんらかの工夫ができるのであればそれはやるべきかと思います。多くの方がい ろいろ課題認識を持っておられるのであれば、検討の必要性をここで言うのは別におか しいことではないと考えます。 ○開原座長  それではほかに何か御意見はございますか。なければ、今いただいた御意見を考えさ せていただいて、文章の中に何らかの形で多少入れるか、それも不完全だというような 文章にすれば、またこれは問題があるかもしれませんが、少し考えさせていただきたい と思いますので、お任せをいただければと思いますが、よろしゅうございますか。 (全員 異議なし。) ○開原座長  それでは4のところは終わりまして、5のところに行きたいと思いますので、また読 んでいただけますか。 ○藤澤室長   5 国が行う分析の内容に関する考え方。  (1)高齢者医療確保法第16条に基づき、医療に要する費用に関する地域別、年齢別 又は疾病別の状況、医療の提供に関する地域別の病床数の推移の状況等に関する情報に ついて調査・分析を行う。  (2)上記4(2)により、収集データを国が分析・活用するに当たって、医療費適 正化計画の作成等に活用する場合のみに厳格に限定することは適当ではなく、医療サー ビスの質の向上等を目指して収集データを分析・活用する必要性・緊急性等を適切に判 断した上で、データの分析・活用ができるような仕組みも必要と考えられる。ただし、 実際に上記4(1)の分析以外の分析・活用をする場合には、それが本来の一義的な目 的ではないことにもかんがみ、その必要性・緊急性等を事前又は事後に対外的に明確に しておくような仕組みを検討することが必要と考えられる。  (3)なお、レセプトは診療(調剤)報酬明細書であり、診療(調剤)報酬の請求の ために作成されているものであることから、分析という新たな視点から見た場合には、 現行のレセプトデータにおいては、分析できる内容が限定される場合もあることに留意 する必要があり、分析内容が限定される場合について一定の整理をしておくことも必要 である。 ○開原座長   はい、いかがでしょうか。今の御議論は(3)のところに実はこういう形では入って いるのですが。もう少し書き込むかどうかというのは、先ほどのようにちょっとお任せ いただきたいということですが、この部分はいかがでございましょうか。  それでは次の6までやってしまって、また御議論があれば元に戻ることにします。で は6をお願いします。 ○藤澤室長   はい。6、国以外の主体によるレセプトデータ等の活用のあり方。  (1)都道府県医療費適正化計画の作成等に資するための調査・分析も、高齢者医療 確保法第16条に基づき国が実施し、その結果を公表するものであるが、都道府県は、同 法第15条に基づき、都道府県医療費適正化計画の評価に必要がある場合には、国に対し て、必要な資料の提出に関し、協力を求めることができる。具体的には、同法第16条に 基づき国が都道府県に提供する調査分析結果のほかに、さらに追加的に新たな切り口で の集計が必要と当該都道府県が判断する場合などが想定される。このため、都道府県か らの求めに応じて、国が、収集したレセプトデータ及び特定健診等データを提供する仕 組みも必要である。なお、その場合には、当該データには慎重に取り扱うべき情報が含 まれていることにもかんがみ、国からのデータの提供が必要であるとする具体的な利用 目的や利用範囲等について当該都道府県に明確に示してもらった上で、その合理性を判 断し、必要な範囲内でデータを提供するようにする必要がある。  (2)上記4(2)に示したような考え方を前提とするならば、国以外の主体が、国 が収集したレセプトデータ及び特定健診等データを用いて、医療サービスの質の向上等 を目指して正確なエビデンスに基づく施策を推進するに当たって有益となる分析・研究、 学術研究の発展に資するような研究を行うことを一律に排除することは、国民負担の軽 減、的確・適切な施策の迅速な実施という視点に立てば、かえって適切とは言えないと 考えられる。したがって、上記(1)により都道府県が活用する場合のほか、国以外の 主体がこうした公益目的で国の収集データの提供を受けて分析・研究し、国において施 策を検討する際にその分析・研究の成果を活用できるような仕組みも必要と考えられる。 ただし、その際には、以下の点について十分留意する必要がある。  (1) データの利用目的として公益性の確保が必要であることのほか、研究目的や研究 計画、データの分析方法、データの使用・管理方法等について、個別に審査した上で、 当該研究に必要な範囲内でデータを提供すること。  (2) 個別ケースごとの審査に当たって、公平・中立な観点から、データ利用の目的や 必要性等について審査し、提供の可否等を決定する仕組みが必要であること。  (3) 個別ケースごとの審査の基準となる、第三者への提供に係る具体的なルールが別 途必要であること。当該ルールづくりに当たっては、統計法における統計データの目的 外利用・二次利用のルール(現在総務省において検討中)も踏まえて検討する必要があ ること。  (4) 上記(3)のルールに基づき国から適切にデータの提供を受けた者以外の者が、結果 的に当該提供データをそのまま利用することのないよう徹底すること。また、この点に ついても上記(3)のルールの中で必要な措置を講じておくこと。  (5) レセプトデータ及び特定健診等データには、患者の病名等慎重に取り扱うべきデ ータが含まれていること等にかんがみ、上記(3)のルールに基づいて国がデータを提供す る際にも、収集データをそのままの形で提供することは適当ではなく、当該データの一 部(例えば患者等について原則として同一人物に同一に付される一連の番号、医療機関・ 薬局コード、一部の病名など)を加工するなどの対応が別途必要であること。この場合 の対応方針についても、上記(3)のルールの中でできるだけ明確に整理しておく必要があ ること。 ○開原座長  はい、どうもありがとうございました。それではこの6のところについて御意見をお 願いします。どうぞ。 ○廣松委員  文章上のことでお願いです。(3)の第2段落、「当該ルールづくりに当たっては」という 部分なのですが、事前に事務局の方から御相談を受けてこういう文章でよいと思ったの ですが、その後に動きがありまして、それを踏まえて御了解いただけるのであれば修文 をいただければと思います。具体的には、「当該ルールづくりに当たっては、新統計法」 と、「新」という字を加えていただいて、「新統計法における」としていただきたい。そ の次なのですが、「統計データの目的外利用・二次利用」というのはかなり具体的なもの で事実なのですが、それをもう少し一般的な表現で、「調査票情報等の利用及び提供」と していただきたい。もう一度申し上げますと、「新統計法における調査票情報等の利用及 び提供のルール」。それで( )なのですが、「(現在総務省において)」というのは事実な のですが、一応この検討は年度末に終わる予定で、それを受けた形で現在既にある程度 同時平行で動いている委員会があるため、「(総務省及び内閣府統計委員会において検討 中)」というようにしていただければ、事実の記述として一番正確だと思います。よろし くお願いします。 ○開原座長  どうもありがとうございました。事務局、今のはわかりましたか。これは特に御異論 はないと思いますので、それではそのように修文するということでよろしゅうございま すか。では、ほかに何か御意見はございますでしょうか。 ○砂原委員  日本経団連です。最後なのでもう一度申し上げておきたいと思います。ここにありま すように、個人情報について十分に留意しながら、提供される医療サービスをよりよい サービスにしていくために、レセプトデータの二次利用を考えていくべきだと思います。 先程の議論では二次利用という表現を少し変えるという話になりましたが、すぐには無 理だとしても、将来的にはいろいろな形でいろいろな人が知恵を出し合ってレセプトデ ータを利用した分析・調査・研究等が行われて、その成果が医療サービスの向上につな がるような形で、この検討会での議論が活きてほしいと願っております。加えて言えば、 先程も出ておりましたように、このレセプトデータの収集・分析を実際に行う中で、レ セプトの様式をこういうように変えた方がいいのではないかという話につながってくる といいかなと考えております。以上です。 ○開原座長  どうもありがとうございました。ほかに何か御意見はございますか。 ○廣松委員  たびたびの発言で恐縮でございます。報告書自体に関しては私も賛成であり、特に異 論はないのですが、ただ、統計の分野でも同じ様な議論をしながら一つ大変感じますこ とは、一度この検討会でも出ましたが、国が行政記録なり、あるいは統計情報というも のを一括管理することに関しての国民のアレルギーというか、拒否反応は、大変強いこ とはやはり事実だろうと思います。したがって、こういうシステムを作って利用してい く時に、この報告書の中にも書いてありますとおり、これを使うことによってメリット があるということを広く知らせる啓発・広報が大変重要なことだと思います。それと同 時に、これは利用者側の方の問題なのですが、使う方にもモラルが必要だと思います。 特に学会レベルつまり研究者ですが、その場合、学会レベルで使う側が自分自身で倫理 規定なりルールなりを設ける必要があると思います。それによってせっかくこういう形 で有効な情報が提供されようとしている時にそれに水をさすようなことを行わないよう にすべきであって、そういう使う側の倫理ということに関してもやはり強調しておくべ きことではないかというように思います。 ○開原座長  どうもありがとうございました。本当に重要なことだと思います。ほかに何かござい ますか。それでは6に関しては終わりにしまして、あとは最後に図がございますが、こ の図について何か御意見はございますか。別添3というところであります。よろしいで すか。では、お気づきになりましたら、また後で結構でございます。  それでは大体、チャプターごとの御意見は伺いまして、あと今度は全体に関してまた 元に戻るような感じですが、全体に関して特に何かこの際、御発言をどうぞ。 ○尾崎委員  では、全体を通して3点申し上げたいことがございます。1点は、開原座長のライフ ワークというと言い過ぎでしょうか。本日、統計関係の学識者の方から出ましたとおり、 「行政機関が情報を独占し、それを意図的に使うというのは望ましくないのではないか」 というお考え、それに関するコメントが第1点目です。それから2点目が、ずっと申し 上げているとおり、憲法上の問題がありますので、それについても一応テイクノートを。 これは将来参照される記録のために。3点目は別に議事録とは関係ありませんが、保険 者の方の法的リスクの問題、第1回に出たきりなので、これは一応助言まで述べたいと 思います。   まず第1点目。恐らく開原先生も座長という御立場で御発言しづらかったのではない かと推測しますが、「行政が情報独占して行政の都合のいいようにしか情報が使えない」 という、かような流れがこれまでにあったわけですが、これはやはり望ましくないとい うことで、できるかぎり情報を公開していくべきです。本日、まさに統計数理の学識者 の方々から出ましたが、全くその問題意識は全員が共通していた、と。ただ、余りにも 当たり前だったので本日まで議論が出てこなかった。ただし、このレセプトに限定して 言いますと、私とか、医師会あるいは歯科医師会の委員も同じ立場だと思いますが、こ とレセプトに関して言うとどうなのだろうかと。やはり患者の病歴という極めて重要な プライバシーがあるということと、それに比して本日、病名コードの件とかいろいろ出 ましたが、井原委員が前からおっしゃっているとおり、レセプトでできる研究の内容と かも今一つであって、首ひとつプライバシー侵害の危険性が大きいということです。し たがいまして、私としてはどちらかというと全体の流れについてはブレーキをかける立 場だったんですが、逆にその立場の者からしても開原座長が以前から主張しておられる 「行政機関だけに情報を独占させない、可能な限り国民に開示していくのだ」という点、 これについては賛成であるということは最後に議事録に残していただきたく発言をさせ ていただきました。  これが報告書案の5ページの(2)につながるものでございまして、昨年10月の第2回検 討会で出てきた議論、フランスのCNIL「情報と自由に関する全国委員会」のレセプ ト版みたいなものが本来は望ましい。理想型は、第三者機関であって、厚労省ではなく 独立したものが望ましいのですが、報告書の中で行政として許される先例の表現の中で 書くとしたらこんな書き方になるのかなと思いますが、「その心」は今申し上げたとおり のものです。したがいまして、今回のこの微妙なバランス、つまり慎重派や積極派とか いろいろあるわけですが、今回の議論の中身を踏まえずに行政が情報を独占するのは望 ましくないという理念。これは全員が一致している。消極派である私も含めて「行政が 情報を独占するのは望ましくない」という点については一致しているということです。  それから第2点目、憲法問題。これはこの検討会で何度も申し上げています。  ところで、先ほども学識者の方が非常に心配されていて、樋口先生が行政法の観点か ら大丈夫だよとおっしゃいましたが、学識者の方が心配される必要はなくて、国に対し ては例えば表現の自由があります。これは憲法論になりますが、表現の自由というのは 単に表現する自由だけでなく、情報の受け手と送り手が分離しているこの20世紀型・21 世紀型の社会においては、知る権利・情報開示請求権、これも表現の自由でカバーされ るというのが一般的な考え方ですから、国に対してはもっと強く言っていいのですね。 国に対しては強く言っていい。したがって、二重、三重の意味で法的なことを心配され る必要はないので、そこは安心していただきたい。  むしろ、憲法問題で、心配してほしいのは厚労省さんであって、やはり国として国民 の病歴というプライバシーデータを集めるということに関しては、逆にもう少し慎重に 慎重な態度が必要であるということです。この検討会でも、私からそういう問題意識を 出すまで特に論点にも余り考えていなかったようですけれど、やはり国民の病歴という プライバシーデータを集めるというのは、基本的には基本的人権の侵害で違憲である。 ただ、それを上回る法的な利益というのがきちんと論証できるかどうかというところで 司法的な判断が下るということです。一通りは検討して報告書にも触れられてはいます が、残念ながら、これだけで、仮に憲法が争われた場合に、裁判所が「なるほど合憲で ある」という判断になるかどうかについては最後まで疑問なしとしないということです。 ただ、厚労省さんにとって幸いなことに、日本は憲法裁判所がありませんので、具体的 な訴訟にならない限り裁判にはなりません。具体的な被害が出てから裁判になりますか ら、裁判の時にはこの事務局席に座っておられる行政官の方は一人もいない訳ですね。 困るのは将来の担当者ということになります。彼らにしてみれば「先輩達はとんでもな いことをしてくれた」ということになろうかと思いますので、その辺の経緯を記録に残 す意味で発言させていただきました。  最後の3点目。第1回の時に櫻井委員の方から御疑問が出されたと思いますが、保険 者が国にデータを出した瞬間から、直ちに訴訟の攻撃対象になるのは保険者ということ になります。保険者が国にレセプトを出せば、「なんで私のレセプト情報を無断で国に渡 すのだ」ということでの訴訟は簡単です。第1回の時に御紹介したとおり平成15年に最 高裁判例が出ています。この最高裁判例では、警察の警備上の要望があったからといえ ども、漫然とそういう個人情報とかプライバシー情報なんかを出してはいけないという こと、それが不法行為を構成するということが判示されています。この判例により、保 険者が訴えられた場合、法的に勝つのは難しいということをここで注意喚起はしておき たいと思います。  しかも、実際問題、患者と争いになった時に、国は逃げてしまいます。訴訟になった ら、「国はあくまでも中立」だとか、「原則として、患者と保険者のトラブルは当事者同 士で解決してほしい」ということになるでしょう。原告である患者側からは、この検討 会で既に出た数々の疑問、「なんで保険者は集計結果じゃなく個票を渡してしまったの か」のかというような疑問が出てきます。被告である保険者の方々が理論武装して、原 告なり裁判所を説得できればいいのですが、かような今後生じるであろう保険者の法的 リスクにつき、老婆心ながら注意喚起として最後に補足させていただきます。以上です。 ○開原座長  どうもありがとうございました。そのほか、どうぞ。 ○大熊委員  最後の12ページの絵なのですが、患者は矢印が出る方向にだけ書かれていますが、個 人情報保護法ですと患者は情報の自己コントロール権が保障されているわけですから、 「患者」に向かっても、医療機関とか保険者から本人情報開示の矢印が行くように描い てはいかがでしょうか。このことは、特にここで新たに論議するまでもなく当然のこと です。患者としては自分の情報が出て行くかもしれないけれど、自分自身は自分のもの を見られるのだということを示せば安心するのではないかと思っているのですが。 ○開原座長  今の御意見は最後の図でございますが、患者さんの方からデータが一方的に出ている ようだけど、最終的にはなぜこれをやるかといえば、実際には患者さんのためにやって いるわけですから、そういう意味では矢印がどこかで患者さんの方に返っていくという ことも当然あっていいでしょうし。 ○大熊委員  おっしゃるように、赤い線が国民のところに戻ってくるように描かれていて、「全体と しての成果は国民に返っていくのだよ」というようになっています。ただ、自分のレセ プト情報が国へ行くからには、自身のレセプト情報は個々の患者が望んだら戻せるとい うことがこの図の中にも書き込まれている方がいいのではないでしょうか。それは何の 法律にも反さないし、わざわざ論じるまでもない当然のことなので、どうかと思ったと いうことです。 ○藤澤室長  私も十分に先生の御指摘を理解できていないかもしれませんが、この御検討いただい ている仕組みは国で状況を正確に把握・分析するためのデータを保険者からいただくと いうことになっていますので、保険者から国にデータが来る時には、患者さんなり受診 者・利用者の個人情報は削除して、匿名化していただくというのがまず前提としてあっ て、国や都道府県、第三者というところに行くのですが。 ○大熊委員  厚生労働省の中の検討会などではなかなかカルテの情報開示とかレセプトの情報開示 というのは認められなかったりしていたのですが、個人情報保護法という別な省庁の作 った法律によってレセプトとかカルテというのは現実的に本人が入手できるということ になっていますね。でも、そのことは余り知られていないので、ついでにこういうこと も書いておけば、そうなのだ、ということで特にレセプトを開示すべきであると考えて いる人たちにとっては安心の種になるのではないかと思います。ちょっと矢印の意味が 少し違っているのですよね。これは情報が行きますということで、今逆に一般から開示 を受けることができると言っているのとは若干意味が違ってはいるのですが。 ○開原座長  御意見は、私はよく理解したつもりですが、これは表現の仕方が難しいという感じは しておりますので、そこは事務局の方で大熊先生と御協議いただいて、何かうまく矢印 ができたら別な種類の何か矢印を。つまり、データはだれのものかという話とかかわり 合いを持ってくる話だと思います。そこは工夫をする余地があればしていただくという ことで。ただ、これは機械的な情報の流れだけを示しているということで、それは別に 間違いではないのですが、そこに今言ったそもそも情報はだれのものであるかという話 をこの中に書き込めればいいのですが、そこはちょっと何か大熊先生と工夫をしてみて ください。ほかに何か。 ○櫻井委員  せっかく尾崎先生の方から話をしていただいたので、その点について若干コメントを させていただきたいと思いますが、その前に全くレトリックな話で、修辞上の話で恐縮 なのですが、1ページ目のところで、1番目のところが「医療保険・保健施策の現状」 という立派なタイトルになっているのですが、ここに書いてある(1)〜(3)という のが「医療保険・保健施策の現状」というタイトルのものかどうかというのが若干、羊 頭狗肉という感じがするので。内容的にはむしろ2の「レセプトデータ等の収集・分析 に関する現状」のような感じかと思いますので、1と2を含めてちょっと表現上のこと ですが御検討いただければと思います。  それから3番の(1)、これも表現上の話ですが、先ほど御質問があってやり取りを伺 っていて、私がよく理解していないのかもしれませんが、(1)の2行目で、「すべての レセプトデータ及び特定健診等データ」というこの意味なのですが、これはすべてのレ セプトのデータという意味なのか、それともレセプトに記載されているデータ全てとい う意味なのかちょっとよくわからないのですが、後者だとすれば(2)に例外が出てき ますし、全てのレセプトという意味だとすると、「また書き」のこととほとんど同じこと を言っているような気もするので、ここはちょっと私の理解不足なのかもしれませんが、 御説明があればお伺いしたいと思います。  それから5ページ以下の参考とか別添の関係なのですが、この中で例えば開催要綱で あるとか、あるいは法律の条文とか、これは客観的な資料としてつけられているのです が、参考1の「今後のスケジュール」というのは、これは恐らく国としてこの検討を受 けてこういう方向でやっていきたいという、国としての、前回にこれについてお答えい ただいているわけですが、国としてこういう御説明をこの検討会でされたという資料。 それから8ページの参考資料で、「あらかじめ削除して提供いただくことを予定している 主な項目」、これもそういう意味では国として今後こういうことで運用していきたいとい うお考えだと思いますので、この報告書との関係がちょっと、特に参考1の点は私ども の検討会の報告としてこれが入っているのかどうか、その辺の扱いに注意していただけ ればありがたいということでございます。  それから同じく参考資料で、6ページのレセ電の普及率ですが、これは第1回か第2 回に出た数字をアップデートしたという御説明でしたが、(注2)のところで、レセ電の 普及率が社会保険診療報酬支払基金の分だけ出して記載しているという形になっていま すが、一応11月請求分ということであれば国保分も数字がございますので、私どもは定 期的に記者発表ということはしていないのでが、数字としては求められるようにいつも 出してございますので、まとめていただいて注1と2を合体するようにしていただいた 方が報告書としてはきれいかなと思いますので、必要であればすぐにデータを事務局の 方に届けさせていただきます。  それから最初の御指摘についてですが、第1回に申し上げましたのは、このレセプト データなり健診等データがIT化をしていきますと、保険者の立場としては今まででき なかったようないろいろな分析が可能になるので大変ありがたいと思っているわけです が、これはナショナルデータとして国の方に提供を求められることについてはそれなり にここでもいろいろ出ているように、大変セキュリティ上のリスクを伴うとか、あるい はコストも、コストについては前回質問させていただき、いろいろ国から御支援をいた だけるという前提がありますが、それにしてもコストはかかるということでございます ので、そうするとリスクなりコストをかけるだけの効用というものがあるかどうかとい うことで考えていくべきものだろうというように思っているわけですが、その点につい てはこの報告書ではいろいろ議論になったのですが、結論として先ほどちょっと触れさ せていただいた3の(1)のところで、要は全部集める必要があるのだという、この結 論しか入っていないわけですが、もともと高齢者医療確保法第16条そのもの、あるいは 高齢者医療確保法第16条に基づく厚生労働省令というのは必ずしもデータすべて提供 するということが書いてあるわけではなく、やはりこの検討会の報告を踏まえてデータ を全部集めることが必要だという結論になったらそれをやっていくという、こういうこ とになろうかと思いますので、それを進めていく上ではこれから、省令は既に出ている わけでございますが、その省令自体にはそういうことが書いてあるわけではございませ んので、それを踏まえていろいろな通知とかをお出しになると思います。その中できち んと明確にしていただくことは当然必要だと思いますが、同時にいろいろなリスクも含 めた費用と効果と、それから費用対効果というのを慎重に図りながら進めていっていた だきたいということ、これは皆さんもおっしゃっていることですが、強くお願いしてお きたいと思います。 ○開原座長  ありがとうございました。ほかに何か。どうぞ。 ○岡本委員  先ほど尾崎委員の方から個人情報収集について法的危険性を指摘されましたので、一 言追加コメントをしておきます。例えばこの4月からは御存知のように特定健診が始ま って、40歳以上の人は保健指導が行われるわけです。それ一つ取りましても、単にやれ と言っているだけでなく、「法的担保」という言葉を使いますが、守秘義務に関しても厳 しい規定を、新高齢者医療法の中にも入れているということです。つまり、健保組合の ような非公務員であっても、特定健診のデータについて知り得た者は万一漏洩したりす ると刑事罰の対象にもなります。だから国民側にはそんなに不安を持っていただくこと はないのではないかということと、何よりも過去の歴史を振り返ってみますと、不必要 な情報を集めたことよりも国民全体にかかわる重大な健康危機に関する情報が集められ ていなかった、ということで責任を問われる方がむしろ多かったと思います。例えば、 血液製剤がどういう病気に使われていたかということは何十年か前のレセプトを審査し ていた人はわかっていただろうと思いますが、重要なことはそれが医薬品の行政機関に 伝わっていなかった、ということの方です。レセプトデータ活用は国民にとってはデメ リットよりもメリットの方が大きいと思いますし、理解も得られるのではないか。 ○開原座長  どうもありがとうございました。 ○飯倉委員  連合の飯倉でございます。恐らく本日が発言の最後の機会になると思いますので、一 言だけちょっと感想めいた話で申しわけないのですが、意見を出させていただきたいと 思います。今回この取りまとめをいただいた内容に関しましては、この間、私の方でも 率直に疑問点なりを申し上げさせていただいて、そうしたところも反映させていただい た内容になっているというように理解しております。基本的な中身についてはこの内容 で了解させていただきたいと思います。その上で、やはり第一義的な目標と今回のレセ プト情報の収集と活用に当たっての目的のところでありますように、医療費適正化計画 の策定に資する情報ということで、正確なエビデンスに基づいた医療費適正化計画の策 定をぜひお願いしたいということでございます。  というのは、この間、ともすれば医療費適正化と言えば「医療費の抑制ありき」とい うような議論がやはり先走っているような気がしまして、もちろん不必要な医療とか過 剰な医療、そういうものは適正化を図っていく、あるいは患者の視点からも自己管理の 中で完結できるようなものは改善していかなければいけない。そういうのは当然あって しかるべきでありますが、やはり本当に必要な医療をきちんと受ける、そういうことは やはり守られなければいけないというように考えておりまして、この間の例えば社会保 障給付費の2,200億のシーリングですとか、そういうものが非常に顕著な例としてある と思いますが、まず財源ありきの議論がかなりされてきておりますので、この医療費適 正化計画を正確なエビデンスに基づいてきちんと策定していただくということのために、 ぜひとも御尽力をお願いしたいと思います。以上です。 ○開原座長  どうもありがとうございました。ほかに御発言はございますでしょうか。 ○樋口副座長  もう時間になっているので恐縮なのですが、私はこの検討会に出まして一つ言葉を覚 えました。英語なのですが、「エビデンス・ベースト・ポリシー(evidence based policy)」 という言葉です。データという言葉を簡単に使うとまた廣松先生にしかられるかもしれ ませんが、きちんとしたデータ・情報を集めて、それを分析して、それに基づいて政策 を作っていくという、今回問題になっている分野だけではないと思いますが、非常に重 要な考え方でそれをやっていくということですね。しかし「エビデンス・ベースト・ポ リシー」というのは言葉で言うのは簡単なのですが、ここで出た議論、本日、レセプト の情報の中身がもう一回繰り返されたのと同じで、実際には大変だと思うのです。エビ デンスそのものがどの程度の信用性があるものかとか、それからそれに基づいてポリシ ーメイキングというのはそこから一段上の話ですから、そこからどういう帰結をもたら すのかというのはやっぱり大変な話だと思いますが、それでも追求していくべき方向性 であるということですね。そうだとしたら、これから申し上げるのは今後の課題の一つ となります。すぐに誰でもお考えになれることと思いますが、それから先ほど櫻井委員 からも、これはタダでやっているわけではなくリスクもあり、コストもかけてやるとい うことですから、やっぱりそれに見合うようなものができるだけ早く、いきなり1年や 2年ですごいポリシーが出てくるとは本当はだれも思っていないけれど、やっぱりそれ ではずっと出てこなくてもいいのかというと、そんなことはないので、やっぱりその過 程を追跡して評価するか、調査するか、一緒に協力して本当にどういう形で、コストを 安く、リスクを少なくしながら、いいポリシーを作くるための、いい活用をするための 努力をいかにして行うかという課題があります。もしかしたら宝の山かもしれないわけ ですね。今回のレセプト情報その他は。情報量としては莫大なものがあるわけですから、 だからここから何かを生み出すということをどういう形で、すぐにはうまくいかないの を少し客観的に何らかのワーキンググループでも何でもいいのですが、そういうもので 補充していくか、あるいは矯正していっていい方向に持っていくというような、そうい う仕組みも今後は考えていただければと思います。きっとそういうものが必要になるだ ろうと思いますが、あえて記録に残すために申し上げました。 ○開原座長  どうもありがとうございました。ほかに。よろしゅうございますか。  それでは御意見は出尽くしたようでございますので、今の議論の中で幾つか私が預か らせていただいたものがございます。廣松先生の御意見は大体決着がついたと思います が、そのほか大熊先生の介護のところの問題、それから最後の図のところの問題、それ から松田先生から議論があった病名を含めて限界のようなものをどうするかという話、 それから最後に櫻井委員のおっしゃった文章として多少直した方がいいかなという御指 摘の問題等々がございまして、そこについては恐縮でございますが預からせていただい て、必要があれば御相談申し上げることがあるかもしれませんが、そういう形でまとめ させていただくということにします。こういう形で集まるこの検討会は本日で終了とい うことになります。本日は水田保険局長が御出席でございますので、水田局長から御挨 拶があるということです。 ○水田局長  保険局長の水田でございます。この「医療サービスの質の向上等のためのレセプト情 報等の活用に関する検討会」と、大変長い名前でございますが、この検討会の終了に当 たりまして一言お願いとあいさつを申し上げます。  この検討会に御参集いただきました開原座長、それから樋口副座長をはじめとしまし て各先生方におかれまして、大変お忙しい中精力的に御発言、御議論をいただいたこと を感謝申し上げます。第1回の検討会、7月25日でございまして、6カ月という大変短 い期間に集中的に御検討いただいたわけでございます。一部修正ということでおおむね 取りまとめができましたのも、ひとえに各先生方の御指導・御協力の賜物と考えてござ います。お話にもありましたとおり、40歳からの健診等のデータ、それからすべてのレ セプトデータ、さらにこれらをつなぐという壮大なプロジェクトでございます。活用の 可能性の大きさとともに、お話がありましたとおり適切な管理の必要性というものもと もに感じたところでございます。  本日をもちましてこの検討会そのものは終了しますが、取りまとめをいただいた内容 を踏まえまして今後、分析・活用、それから管理に向けた取り組みというものをさらに 進めてまいりたいと思いますし、またこの検討会を越えるようなさらなる検討課題もお 示しいただいたわけでございます。保険局の所掌の部分もございますし、その他もござ いますが、そういう検討課題、レセプトのあり方、適正化計画そのもののあり方、それ から介護との関係、それから今後の運用というような幅広い御指摘をいただいたわけで ありますので、それも含めまして今後適切に進めていきたいと思います。その際には御 参集いただきました先生方にさらなる御指導、御協力を賜りますようお願い申し上げま して、検討会終了に当たっての私のごあいさつをさせていただきます。どうもありがと うございました。 ○開原座長  どうもありがとうございました。私からも皆様に御礼を申し上げたいと思います。ど うも本当にありがとうございました。これで検討会を終わらせていただきます。  (終了) 1