08/01/25 第110回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録 第110回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 1 日時  平成20年1月25日(金)9:00〜 2 場所  厚生労働省職業安定局第1会議室(13階) 3 出席者    委員  公益代表 :鎌田委員、清家委員        労働者代表:市川(佳)委員、長谷川委員、古市委員        使用者代表:市川(隆)委員、山崎委員、輪島委員   事務局  大槻職業安定局次長、宮野総務課長        山田公共職業安定所運営企画室長、鈴木需給調整事業課長、        田中派遣・請負労働企画官、松原需給調整事業課長補佐、        竹野需給調整事業課長補佐、松浦需給調整事業課長補佐、        佐藤需給調整事業課長補佐 4 議題  (1)労働力需給制度について       (2)競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正          する法律案(職業安定法特例)について       (3)その他 ○清家部会長  ただいまから「第110回労働力需給制度部会」を開催します。なお、本日は公益代表 の北村委員がご欠席です。また、山崎委員が少し遅れてご到着と伺っております。  本日は、最初に公開で「労働力需給制度について」をご審議いただきます。その後、 「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律案(職業安 定法の特例)について」、ご議論をいただきます。そして最後に、「一般労働者派遣事 業の許可」の諮問、「有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可」の諮問に関わる 審議要綱になりますが、許可の審査については資産の状況等、個別の事業主に関する事 項を扱うことから、これについては「公開することにより、特定の者に不等な利益を与 え、または不利益を及ぼすおそれがある場合」に該当するため、非公開とさせていただ きますので、傍聴されている方々には、これが始まる前にご退席をお願いすることにな りますので、あらかじめご了承ください。  それでは議事に入ります。最初の議題は「労働力需給制度について」です。前回の部 会において事務局から提出いただいた、日雇派遣に関わる指針の案などについて、前回 のご議論を踏まえた修正を準備していただいておりますので、事務局からご説明いただ きたいと思います。 ○松原補佐  おはようございます。それでは、まず資料の確認をお願いします。資料は全部で5種 類ございます。資料1-1「日雇派遣労働者の雇用の安定等を図るために派遣元事業主及 び派遣先が講ずべき措置に関する指針(案)」、資料1-2「派遣元事業主が講ずべき措 置に関する指針の一部を改正する告示(案)」、資料1-3「労働者派遣事業の適正な運 営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行規則の一部を改正する省 令案要綱」、資料2-1「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正 する法律案要綱(職業安定法関係部分)」。資料2-2「ハローワークの市場化テストにつ いて」、これは参考資料です。それと参考として、「労働者派遣制度の検討状況につい て(中間報告)」を付けてあります。お手元にございますでしょうか。  それでは、まず資料1-1から資料1-3までについて、ご説明を申し上げます。前回の部 会においてご議論いただきまして、今回その意見に基づいて修正を加えている部分、こ れを説明させていただきます。資料1-1の4ページをご覧ください。第5「日雇派遣労働 者に対する就業条件等の明示」の部分です。こちらは、文言は修正していませんが、1 に書いていた内容と2に書いていた内容、当初は1が就業条件のこと、2が労働条件の 明示のことを書いておりましたが、これについて労使双方の委員より順序を逆にするべ きではないかという意見がございましたので、これを逆にいたしまして、1のほうに労 働基準法に基づく労働条件の明示のこと、2については労働者派遣法に基づく就業条件 の明示のことを書かせていただいております。内容的には修正を加えておりません。  続いて6ページの第10「情報の公開」をご覧ください。この部分について、情報の 公開の例示として当初、労働者派遣の実績、派遣料金の額、教育訓練その他事業の状況 という書きぶりをしておりましたが、委員よりご指摘がありまして、労働者派遣の実績、 派遣料金の額の後に、「派遣労働者の賃金の額」というのを加えております。  次に第11「派遣元責任者及び派遣先責任者の連絡調整等」です。1の「派遣元責任 者は、」の後に、「日雇派遣労働者の就業に関し、」という文言を入れています。それ と2の所ですが、こちらも同様に「派遣元責任者及び派遣先責任者は、」の後に、「日 雇派遣労働者の就業に関し、」という文言を入れさせていただいております。資料1-1 の修正点は以上です。  続いて資料1-2「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する告示(案)」 についての修正です。こちらは情報の公開の部分ですが、資料1-1でご説明しましたよう に、日雇派遣指針のほうに「派遣労働者の賃金の額」という文言が入っておりますので、 それと同様の書きぶりをこちらもしまして、労働者派遣の実績、派遣料金の額の後に、 「派遣労働者の賃金の額」、これを入れております。  続いて資料1-3「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整 備等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」についてです。2ページ目の 第5「事業報告書」についてですが、2行目で、「賃金等を追加する等所要の改正を行 う」という文言に変えています。当初は「ものとすること」としておりましたが、「等 所要の改正を行う」という書きぶりにさせていただいております。内容的に異なるもの ではありません。  それと第6の2、「経過措置」についてですが、「改正後の事業報告書の様式は、第 五の施行の日以後に終了する事業年度に係る事業報告書について適用し、」ということ で、「第五の施行の日」という文言にさせていただいているという修正です。主な修正 点は以上です。よろしくお願いします。 ○清家部会長  ありがとうございました。それでは、前回の委員の皆様方のご議論を踏まえて、修正 案を作っていただいて、いまご説明いただいたところですが、これを踏まえて各委員か らご意見をいただきたいと思います。どなたからでも、どうぞ意見をお願いします。 ○長谷川委員  私どもの意見について、修正していただきましてありがとうございます。本日、修正 された箇所も含めて提起されたわけですが、この日雇派遣の指針は、12月にとりまとめ られた中間報告に触れられたように、日雇派遣について緊急に対応しなければならない 課題でありまして、省令指針での対応となったというのが、この間の経過であります。 前回も申し上げましたが、法改正をせずに対応するということであれば、中間報告に従 って、この内容がこの時点では精一杯であり、やむを得ないと思います。  しかし、前回も申し上げましたように、私ども労側委員の問題意識としては、省令指 針による対応ではなく、日雇派遣の問題を根本的に解決することが重要でありまして、 根本的に解決できるかどうか、この指針では疑問があると思っています。盛り込まれた 省令だとか指針の内容については、派遣元、派遣先による着実な法令遵守はもちろんで すし、省令指針を守ることはもちろんですが、行政の指導監督の対応についても、今後 とも厳しくやっていただきたいと、そこのところは強く申し上げておきたいと思います。  労働者派遣事業を営み、そして派遣労働者を使用する以上は、派遣元、派遣先が労働 者派遣法令、派遣元指針、派遣先指針を遵守するというのは当たり前であると考えてお ります。今回の日雇指針や省令についても、法令を守ることは当然であると思っていま す。  本日の指針の内容を詳細に見ていくと、様々な所で、派遣元や派遣先が実際に法令遵 守するには、非常に無理があると言わざるを得ないようなところもあるわけですが、そ れはそもそも日雇派遣という形態が、労働者派遣法の趣旨を逸脱して、労働者派遣とし て認められるべきではないということを示しているのではないかと思います。  今回の対応は、本来、日雇派遣が労働者派遣として本当に認められるものかどうかと いう、根本的な問題については何も答えていないわけですし、法改正をしないで、この ような指針が出来ることによって、本当に日雇派遣を是正することができるのか、むし ろ日雇派遣を追認することになるのではないかという危惧も持っています。  私どもとしては、これまでの日雇派遣の様々な問題を振り返ってみれば、法改正によ って原則禁止をすべきだと考えています。何度も申し上げますが、指針・省令ではそれ が無理なことは承知しているわけですし、やはり法令によって日雇派遣を禁止するとい うことが重要ではないかと思います。  今後、有識者の皆さんで研究会が設置されて、研究が行われるわけですが、その場所 では中間報告の内容にプラスして、日雇派遣なるものを労働者派遣法上、認めるかどう かという根本的な点についても、ぜひ踏み込んで議論していただきたいと考えていると ころです。  全体的なこの間の議論と、今日出された指針についての全体的な意見は、以上のとお りとしたいと思います。ぜひ日雇派遣のそもそもについては、研究会の皆さんでも議論 していただいて、その後、審議会が開催されると思いますが、そこでも抜本的な改正に 向けた議論をしていくことが必要ではないかと思います。以上です。 ○清家部会長  ただいまの長谷川委員からのご意見について、何か事務局からお願いします。 ○鈴木課長  監督指導を厳しくする、今後の研究会でも抜本的な議論をということでしたので、ま ず新省令を作りましたら日雇派遣を行っている事業所、派遣先等に周知徹底してまいる 予定です。その上で私ども行政として、責任を持ってしっかり監督指導をやっていきた いと思っています。  それから、日雇派遣の在り方も含めて研究会においては、中間報告の中にもあるとお り、派遣制度についての根本的な議論も含めて検討して、またこちらの部会にも報告し たいと思っておりますので、それについてもしっかりやりたいと思っています。 ○清家部会長  他にご意見はございますか。 ○輪島委員  まず、今日修正していただいた指針の案について、こういう中身について、これから 周知をしていただいて、実行性を高めていただく。これは前回お願いをした点ですが、 ぜひ実行性のある指針として機能するように、期待をしたいと思っています。  前段はおそらく長谷川委員と同じで、12月25日にとりまとまった中間報告に基づいて、 こういう形になっているということですので、特に中間報告5の、日雇派遣、派遣元事 業主の情報公開及び効果的な指導監督の実施については現法制下できちんとやっていた だくということが、まずもってとりまとまった結論だと思っておりますので、それに基 づいた今般の指針の作成ということと、併せて指導監督の適正な実施を、さらに期待し ているというところです。  そこで、やはり議論の整理というものを前回も申し上げましたが、詳しくやっていた だきたいと期待をしています。特に1日単位での労働者派遣契約に基づいて働く日雇派 遣と、いわゆる1日単位の労働力という作業形態をとる軽作業、イベントのような派遣 というものとの峻別というものが、あまり議論の整理がされていないという懸念を持っ ておりますので、その点も含めて今後ご議論いただきたいと思っています。以上です。 ○清家部会長  ありがとうございました。他に何かご意見はございますか。それでは他にご意見がな いようでしたら、ただいま事務局からご報告いただいた、「日雇派遣労働者の雇用の安 定等を図るために派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針(案)」「派遣 元事業主が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する告示(案)」及び「労働者派遣 事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行規則の一 部を改正する省令案要綱」について、当部会としてはこれを概ね妥当と認め、その旨を 28日に開催される職業安定分科会に報告することとしたいと思いますが、よろしいでし ょうか。 (了承) ○長谷川委員  安定分科会の報告をする際に、労側から「今回の指針は、内容はこれでやむを得ない が、しかし日雇派遣について禁止すべきだという意見があり、これ以降の研究会などで、 日雇派遣について引き続き検討すること」という意見があったということも、一緒に報 告していただければと思います。 ○清家部会長  わかりました。では、それはそのようにします。  ただいまの議論は、私の理解では、長谷川委員は今回の指針等について、中間報告等 を踏まえたものとしてこれは認めるが、長期的には研究会等での検討も含めて了承とい うことだったということだと承知しておりますので、そのような形で報告させていただ きたいと思います。それでよろしいでしょうか。 ○長谷川委員  はい。 ○清家部会長  では、そのようにさせていただきます。それでは、ここで大槻職業安定局次長よりご 挨拶がございます。 ○大槻次長  委員の皆様には、昨年末の中間報告に続いて、年明け早々大変なご尽力をいただきま して、今回、日雇派遣労働対策を中心とする指針・省令について、迅速にとりまとめて いただきました。本当にありがとうございました。感謝を申し上げます。  今後については、所要の手続を経まして、告示の制定、また改正省令の公布等々の手 続をとらせていただくことになります。その上で、ご議論を十分いただきましたように、 この中身の周知徹底に努力をする。そして、また指導監督には万全を期するということ で、努力をさせていただきたいと思っています。  また、中間報告に提起されました、新しく研究会を設ける件については、さっそく研 究会を設置させていただきたいと考えているところです。誠にありがとうございました。 ○清家部会長  ありがとうございました。それでは今後の事務的な手続について、事務局から説明を お願いします。 ○松原補佐  今後の手続ですが、先ほど部会長からお話がございましたように、1月28日の職業安 定分科会へ、今回了解いただいた3本の案について、諮問という形になります。様式だ け縦書きにいたしますが、内容は基本的に変えずに諮問させていただきたいと思ってい ます。  あわせて、パブリックコメントの手続が必要になってまいりますので、本日の案を基 本にして、概ね30日程度のパブリックコメントをさせていただきたいと思っています。 その後、所要の手続を経て、公布等の手続を進めていくことになろうかと考えています。 以上です。 ○清家部会長  ありがとうございました。それでは、事務局にはそのようにお願いします。  次に前回の部会でも議論いただいた、「競争の導入による公共サービスの改革に関す る法律の一部を改正する法律案(職業安定法の特例)について」、ご議論いただきたい と思います。これについて事務局から、前回のご議論を踏まえて補足等があればお願い します。 ○宮野課長  それでは私からご説明させていただきます。資料の2-1「競争の導入による公共サー ビスの改革に関する法律の一部を改正する法律案要綱(職業安定法関係部分)」と2-2 「ハローワークの市場化テストについて」です。法案の具体的な内容については、特段 変更はございません。本日は資料2-1として、前回はお付けしていませんでしたが、こ の公共サービス改革法の一部を改正する法律案の要綱をお付けしています。内容は前回 ご説明したとおりでして、「公共職業安定所の特定業務として、公共職業安定所の庁舎 において、その職員が自ら職業紹介等業務を行う窓口に併設する窓口において行う職業 紹介、職業指導及びこれらに付随する業務を追加すること」という内容です。この部分 が、資料2-2の2ページをご参照いただきたいと思いますが、前回もご説明をしましたが、 この公共サービス改革法第32条の第1項の3号として盛り込まれることになります。そう しますと、これも前回ご説明をしましたが、同条の第2項にある「職業安定法第三十二 条の十一の規定は適用しない」との規定が、第1項がかかってくる。この内容が下にご ざいます職業安定法第32条の11、港湾運送業務あるいは建設業務について、取扱い が禁止されていますが、これが適用されない形になるというものです。私からは以上で す。 ○清家部会長  ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明について、何かご意見はござ いますか。 ○市川(佳)委員  前回もお聞きしたのですが、はっきり言うと、この資料2-2の改正の内容、公共サー ビス改革法の特定業務に職業紹介業務を追加と、これに付随して職安法で例外規定を設 けるということだと思うのですが、この公共サービス改革法にハローワークの職業紹介 業務を追加というのは、どこで決まった話でしたか。 ○清家部会長  では、事務局からお願いします。 ○宮野課長  これは今回お配りしていませんでしたが、前回資料としてお付けしていた中にござい ます。形式としては、具体的にハローワークの市場化テストのみならず、各省庁の市場 化テスト、具体的にどういった業務を実施するのかということについては、この公共サ ービス改革法に基づく公共サービス改革基本方針の中で、内容、項目が定められていま す。今般、このハローワークの職業紹介事業についての実施といいますのも、平成19年 に閣議決定された中に盛り込まれているというものです。 ○市川(佳)委員  ここの上に書いてある概要、閣議決定というのはこのことですか。 ○宮野課長  そうです。 ○市川(佳)委員  それを理由にしているということですか。 ○宮野課長  はい。正確に申し上げますと、この資料に書いてある「経済財政改革の基本方針2007」、 これも前回の資料にお付けしておりますが、このいわゆる骨太2007の中で、基本的な方 針として、ハローワークにおける無料職業紹介についての市場化テストを行うという方 針が、これも閣議決定を6月にされております。それを受けまして、正式な手続として はいま申し上げたような形で、公共サービス改革基本方針の中に盛り込まれて、政府の 方針としてそこで決定をされているというものです。 ○市川(佳)委員  前回、長谷川委員も申したように、やはり求職者にとっての、いちばん最後のと言っ たらおかしいかもしれませんが、セーフティーネットであるハローワークにおける職業 紹介、これをこういう形で市場化テストに入れ込もうということを、一体どなたから意 見が出て、どこで決まったのか。長谷川委員が前回申し上げましたが、やはりいちばん 困っている人がハローワークを頼るのですよね。他にも民間の職業紹介なんていくらで もあるわけで、それなりに競争力のある労働者は、そっちでいくらでも職が決まる。競 争力があまりない、いろいろな意味で不利な状況に置かれている方たちがハローワーク に頼るという中で、そこを民営化して何とかというのは、やはり労働側としては承服で きないという気持ちがございます。そういうものが安易にと言ったら失礼かもしれませ んが、ハローワークが持つ機能は何かとか、十分議論されてそういうところで市場化テ ストの中に盛り込もうと決められたのかということが、非常に危惧を感じているところ がございまして、やはりこういうことを認めていいのかということです。危惧を感じざ るを得ないということが、正直な意見です。  それと、本当にものを知らなくて申し訳ないのですが、この市場化テストで、例えば 渋谷と墨田で、行くと2つの窓口がある。競争の導入ということは、競争させるのだと。 例えば1年なり、2年なり、3年なりという期間において、結果を見るのですね。どのよ うに比べて結果を見るのですか。具体的に、例えば渋谷なら渋谷のハローワークの民間 と国で、例えば成約率で見るのか、あるいは人件費などを含めた、トータルコストで成 約率とコストを、かなり立ち入って精密に比べるのか。こちらにも前の資料でしたか、 何かいい求職者だけ民間が抱え込まないように注意するとありましたが、本当にそうい うことが可能なのか。また、それをどうやって担保するのか。例えば民間と国と人件費 を比べるとして、公務員の方たちの果たす役割、いろいろな幅広い中のことも勘案して やるのか、単にその間の担当者の給料だけで比べていいものかとか、いろいろ疑問があ るのですが、結果というものをどう見るのか教えてもらいたいと思います。 ○清家部会長  では、事務局からお願いします。 ○宮野課長  2点ご質問をいただきましたが、まず1番目、前段のそもそも論としての問題について は、これも前回お答えしたと思いますが、私どもとしてもセーフティーネットとしての 全国ネットワークでの無料職業紹介、これは国が責任を持って行うべきものであると認 識をしています。その上で今回の市場化テストについては、こうした国が行う全国ネッ トワークとしての職業紹介事業と矛盾しない形で行うものであるという認識です。  それから2点目です。これは、まさにこれから3年間、官と民で競争して、具体的にど う評価をするのか、その評価基準等々については、これからまさに今日ご議論いただい ている法律が通った後、実施要項等において、その内容について具体的に検討していく ものです。  ただ、基本的な考え方は、前回あるいは本日の資料2-2の3、4ページにもお付けして いるように、例えばいまご指摘がありました求職者の選別があるのではないかという問 題についても、本日、資料2-2の4ページでありますが、そうしたことがないような形で、 4ページのいちばん上の部分ですが、当然、単純に就職率、ただ何人頭数で就職させたか というだけではなくて、就職困難度についてどのように評価していくか。あるいは、そ うした窓口で選別が行われていないかどうかということをチェックするような仕組み、 当然そうしたものによってチェックしていく必要があると思います。  また、人件費についても、コストについても単純に両者のかかったコストだけを比較 するということではなく、これも4ページの「その他」の所にありますように、先ほど 申し上げたハローワークとしてのセーフティーネットの機能が、利用者の方へのサービ ス低下をすることがないように、受託をした民間事業者にも、窓口業務のために定数の 正社員を確保するという形、こうした形も担保していかなければならないと思っていま す。  例えばコストを非常に安くするために、非常勤、アルバイトの職員だけを窓口全員並 べました、コストは非常に安いですと。ただ、それでは当然、利用される事業主の方、 求職者の方にご迷惑がかかるということになるので、そうした実施に当たってのサービ スの低下等々がないような形で、当然ながら事業を行っていかなければならないと思い ます。  また、繰り返しになりますが、いずれにしても3年間、この事業は実施する。そして、 その結果を踏まえて、あり方について検討するということになっていますが、単純に全 体としての就職率がどちらが高いか、あるいはコストが全体としてトータルでどちらが 安いかということだけではなくて、いま申し上げたような形で総合的に評価をしなけれ ばならないと思っています。その辺りのところは、また引き続き詳細に、きめ細かく詰 めていかなければならないと考えています。以上です。 ○山田室長  これは3年間、事業として予定していますが、3年終わった後にその結果をこちらにご 報告するというようなことだけにせず、事業の途中段階でも適宜こちらにご報告して、 そういったセーフティーネットがきちんと確保されているかどうかということ、それか ら、そもそも競争が適正になされているかどうかというような意味でのチェックも、こ ちらでもそういったことについて、適宜、状況をお知らせするということにしています。 ○清家部会長  ありがとうございました。市川委員、よろしいですか。 ○市川(佳)委員  そのことは納得はしませんが、理解はしました。ただ公共サービス、しかも最低限の セーフティーネット、いちばん下のセーフティーネットになる公共サービス。私は公共 サービスということに、効率化は非常に必要だと思いますが、効率化というのは競争し なければできないのかという、競争だけが効率化の手段なのかというのを、常々疑問に 思っていまして、何か近頃は自由競争あるいは市場化ということが、効率化をもたらす というように言われていることに、やや疑問を持っているものですから、そういうこと をお聞きしました。  4ページの下の所に「民と官のイコールフッティングを確保し」とありますが、官と 民はやはりイコールフッティングみたいなものがないところに官の価値があると私は思 っているので、もう少し公共サービスというものを、市場化テストの公共サービス改革 法を議論された場で、もう少し公共サービスがどのように議論されたのか、自分でも調 べてみようと思います。感想です。 ○清家部会長  わかりました。これは、これからどういう形になるにしても、この枠組みは、あくま でもILO第88号条約の範囲の中でというか、これに抵触しない範囲で、国が無料のセー フティーネットを全国に展開するというのが担保されているということが大前提かとは 思いますが、事務局にはいまの市川委員のようなご意見もあったということを留意して いただければと思います。他に何かございますか。 ○輪島委員  今度の市場化テスト法に基づく職業安定法の特例について、このように議論する。イ コールフッティングの観点からの環境整備という中身について、これは概ねこういうこ とだろうと思っているわけです。  ただ、企業側も多少心配しているところがあるので、その点だけ申し上げておきたい と思います。まず前回の資料3-3にあったものですが、ハローワーク全体の主な業務内 容というものを、雇用保険、雇用対策、職業紹介という3つが大きな柱であって、これ を全体として運用しているということを象徴しているわけですが、まず1点目は、その 中の職業紹介の件です。よく企業の方とお話をしているときに言われるのですが、基本 的にハローワークに出す求人情報を、あまり外に出したくないという、少なからずそう いうニーズがあるようです。よくよく聞くと、実はハローワークで出しても、例えば求 人誌の業界さんが「出てますね」と言って、後から営業に来られるとか、派遣業の方が 営業に来られるとかといって、いろいろな所からその1つの求人に対してアプローチが あって、多少面倒くさいという部分がある。ハローワークに出すのはいいのだけれども、 それ以上に出すということには戸惑いがあるという企業があるとも聞いているのです。  ここでイコールフッティングで、同じ情報だということで競争するというのは重要だ と思いますが、まず企業のほうで求人を出したときに、この求人がどこまで反映される のかということについて、企業のほうのニーズというのですかね、そういうものを踏ま えた確認といいますか、そういうものをしていただく仕組みを作っていただいたほうが いいのではないかと思っています。  それから、もう1つ懸念は、実は先ほど申し上げました雇用対策の所です。これは雇 用対策と資料には書いてありますが、基本的には行政からの、各個別企業への指導の状 況だと理解をしていまして、おそらく障害者雇用率の未達成状況であるとか、またはセ クシャルハラスメントの個別相談の状況であるとか、いろいろ様々なものがあると承知 をしています。その点で職業紹介のところのイコールフッティングということは承知を しているつもりですが、そういう個別の官で持つべき、もしくは官だけで持つべき、企 業に対する指導情報というものも含めて流通するということがないようにしていただき たいと思っています。  そういう意味で、ここからは詮ない話ですが、本当にイコールフッティングでやる必 要があるのかどうかというところも、もう一回、これ以上はたぶんできないのかもしれ ませんが、職業紹介のところを例えばアウトソーシングするというか、そこを上手く活 用するよう、民間にやらせて活用していくという仕組みのほうが、特に渋谷と墨田、都 心でやる部分について言えば、よっぽどそちらのほうが上手く効果が発揮されるのでは ないか。民間に任せた部分、そこをむしろ官は違うところに注力をするというような仕 組みのほうが、むしろ効果が出るのではないかという気もします。そこは、この範疇を 超える話だと思うので、そこは意見というところですが、ぜひ2点、少し企業側も心配 をしている部分があるので、ご配慮いただきたいと思っているところです。以上です。 ○清家部会長  では、ご質問の部分について、何かございますか。 ○宮野課長  いまの輪島委員からのご質問ですが、これも私どもの基本的な考え方は、今日の資料 2-2で申し上げますと、3ページのネットワークの所に、いただいた求人の取扱い、企業 情報の取扱い、基本的な考え方を示しているところです。これも詳細、具体的にどうい った形でシステムを作るのかということについて、いま輪島委員からいただいたご意見 を十分踏まえて、具体的な設計を進めていきたいと思っています。  それから、もう1点いただいたご意見についてですが、今回の市場化テストの枠組み は、こうした形で進めていく。ただ、私どもはそれ以外にも、民間にむしろ特定の業務 でお任せできるものはお任せしていくということで、これは取組みを進めているところ です。例えば同じ市場化テストの別の業務がございますが、求人開拓の事業ですとか、 あるいはキャリア交流プラザですとか、そういったような形で、これはしたがって無料 職業紹介の市場化テストとはやや性格が違うものですが、いずれにしてもスタンスとし て、私ども国が全国ネットとして、セーフティーネットとして、しっかりやらなければ ならない部分については、そうした体制をもちろん維持しなければならない。一方で民 間にお願いしたほうが効率的に行えるという事業も確かにあると思うので、それはこの 市場化テストを別にしても、引き続きそういった事業については工夫をしていくという ことで、進めてまいりたいと考えています。 ○清家部会長  よろしいですか。他に何かご意見はありますか。  では、ただいま事務局からご説明いただいた、「競争の導入による公共サービスの改 革に関する法律の一部を改正する法律案(職業安定法の特例)について」、当部会とし てはこれを概ね妥当と認め、これもやはり28日に開催される職業安定分科会に報告する こととさせていただきたいと思います。なお、いま労使双方の委員から、いろいろ議論 の過程でご意見をちょうだいしておりますので、これらのご意見についても分科会に合 わせて報告させていただくということで、よろしいでしょうか。 (異議なし) ○清家部会長  ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。では、これにつ いても今後の事務的な手続について、事務局から説明をお願いします。 ○宮野課長  この公共サービス改革法の一部を改正する法律案についても、本日お配りした資料2- 1の法律案要綱の形で、1月28日の職業安定分科会に諮問させていただきたいと考えてい ます。その手続が済みました後、これは前回申し上げましたが、法律としては、これは 内閣府の所管の法律ですので、内閣府によりまして、日程としてはおそらく2月下旬にな ろうかと思いますが、閣議決定、国会へ提出するという手続が進められていくものと存 じております。以上です。 ○清家部会長  ありがとうございます。では、事務局にはそのようにお願いします。  それでは次に労働者派遣事業の許可の諮問に移りたいと思いますが、冒頭申し上げた ように、傍聴されている方については、ここでご退席いただきますようお願いします。 また、大槻職業安定局次長についても所要により退席させていただきます。 (傍聴者退室、大槻職業安定局次長退室) ○清家部会長  なお、恐縮でございますが、私もやむを得ぬ他の要務がありましてここで中座させて いただきます。これ以降は鎌田委員に部会長代理として議事進行をお願いしたいと思い ます。どうぞよろしくお願いします。 (清家部会長退室) ○鎌田部会長代理  事務局より何かありますでしょうか。 ○松原補佐  次回の部会の日程ですが、日程調整の上、また委員各位にご連絡したいと思いますの で、よろしくお願いします。 ○鎌田部会長代理  では、事務局にもそのようにお願いします。以上をもちまして、第110回労働力受給 制度部会を終了します。本日の署名委員は、雇用主代表輪島委員、労働者代表長谷川委 員にお願いします。それでは、皆さんありがとうございました。   照会先    厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係    〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2    TEL03(5253)1111(内線5747)