08/01/21 第4回医療機関の未収金問題に関する検討会議事録 第4回 医療機関の未収金問題に関する検討会議事録                         開催日:平成20年1月21日(月)                         場 所:霞が関東京會館  座長 定刻となりましたので、ただいまから第4回医療機関の未収金問題に関する検 討会を開催させていただきます。本日は、お忙しい中をお集まりいただきまして、まこ とにありがとうございます。  今回は、木村委員の代理としまして、全日本病院協会副会長の猪口さんに御出席いた だくことになっておりますが、10分ほどおくれていらっしゃると伺っております。また、 田中委員の代理として国保中央会企画部の稲垣次長に御出席をいただいております。ど うぞよろしくお願いをいたします。そのほか、辻本委員が1時間ほどおくれてみえる予 定となっておりますし、また、鈴木委員は御欠席と承っております。  さらに、今回は無料低額診療事業の説明のために藤木社会援護局総務課長に御出席を いただいておりますので、御紹介させていただきます。よろしくお願いいたします。ま た、前回に引き続きまして現場での未収金の実態につきまして御意見をいただくために、 東京都病院経営本部より中野患者サービス課長に御出席をいただいております。よろし くお願いをいたします。  まず、事務局から本日、御提出いただいている資料の確認をお願いしたいと思います。  神田国民健康保険課長 お手元の資料の御確認をお願いいたします。  議事次第  座席図  資料1.未収金発生の分類(たたき台)  資料2−1.債権回収の手続(一般)  資料2−2.法的措置の実施を通じた問題  資料3.無料低額診療事業について  資料4−1.日本医師会「診療所治療費未払い実態調査」の概要  資料4−2.TKC「診療所の窓口未収金実態調査」の分析  資料4−3.日本医師会「診療所治療費未払い実態調査」の概要より、地域別集計  資料5.一部負担金減免及び保険者徴収実施状況調査の結果について  資料6.国民健康保険(市町村)と国民年金(社会保険庁)の資格情報の提供につい て  参考資料.未収金に関するアンケート調査票  以上でございます。不足等がありましたら事務局まで言っていただければと思います。  座長 ありがとうございました。  それでは、議事次第に沿って進めさせていただきたいと思います。  最初の議題は、「これまでの論点整理」でございます。これにつきまして、事務局から 提出いただいております資料1について御説明をいただきたいと思います。よろしくお 願いいたします。  神田国民健康保険課長 それでは、資料1について御説明をいたします。  これは、前回もこれと同様のものを提出いたしておりますが、委員の方から若干分類 等が粗いのではないかということとか、今は「発生の類型」と書いてあるところが前は 「原因」と書いてございましたので、医療機関側の事情によるというものですとすべて 原因が医療機関側にあるという誤解が生まれるのではないかという御指摘がございまし たので、一番左は「発生の類型」といたしまして、その原因と思われるものを真ん中に 書き出しまして、一番右側に「対策」として考えられるもの。これは、現時点でこれが 必ずできるとかできないということを厳しく絞るということではなくて、考えられるも の、あるいは要望があるものを幅広く書いております。  ちなみに、今回のこの議題で取り上げることにいたしておりますのは、保険者資格の 喪失後の受診とか未加入といったことについて、後ほど御説明いたしますが、社会保険 庁と国保との間の資格情報の交換といったことを書いてございます。  2ページの悪質滞納などのところでございますが、法的措置等の活用ということで、 きょう、畔柳先生方から御発表をいただくことにしております。  それから、本日の調査の中で保険者徴収制度等の運用の実態について御説明をするこ とにいたしております。  また生活困窮のところで一部負担金減免制度の活用ということについて、これも調査 で現在の状況を御説明することにいたしております。  無料低額診療事業もきょうの議題に挙げられております。  以上でございます。  座長 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただきました資料1に つきまして、御質問等がございましたらお願いしたいと思います……。よろしゅうござ いましょうか。  それでは次の議題に移りまして、「未収金債権に係る訴訟手続等について」でございま す。未収金債権の回収に関しまして、債権回収の実務につきまして畔柳委員から資料2 −1の御説明をお願いし、あわせて事務局から資料2−2の御説明をお願いしたいと存 じます。では、まず畔柳委員、お願いいたします。  畔柳委員 資料2−1に基づいて御説明したいと思います。  その前にお断りしておかなくてはいけないのは、私自身は債権回収というのは今から 何十年か前には実験的に集中してやったことがあるのですが、その後は、実務上自分で は全くやっていないということです。ただ、三十余年にわたり、私立大学の大学病院に 関係しているものですから、折に触れて回収についての相談を受けています。その都度 思うことは、その昔徹底的に少額債権の回収をやったときと余り変わっていないなとい う印象を持っております。医療の場合、債務者が患者・遺族という特別に配慮を要する 点があります、本日は医療というふうに特化しないで、一般的な債権回収の手続につい て、御説明させていただきたいと思います。  まずレジュメに沿ってお話しします。何か品物を売った場合でもいいし、あるいはも ちろん病院で患者さんを診療したがその後で、それに対する支払いがないときに、どう するかということをお話しします。一般的に債権を有する当事者がどういう対応をする かといいますと、ここに書きましたように、普通は「電話で催促」する。あるいは、債 権者のところに来ていただいてあるいは債務者のところに出かけて「払ってください」 というようなことを言うこともあろうかと思います。さらにもう少し進むと、「文書で催 促する」ということになります。  裁判以前の催促の段階でもいろいろな問題がございます。まず電話の場合ですが、昔 は電話のない人が多かったわけですが、今は電話が普及するかわりに、かける時間帯と いうのが問題になります。催促する側は普通の勤務時間に催促をするわけです。ところ が催促をされる方は、大抵その時間にはうちにいない、そのため電話があってもなかな か連絡がつかないという問題が発生しています。  実はすべての問題は相手に意思がなかなか通じないということで、後の裁判手続まで 全部同じことが共通の問題としてあります。ですから、まず電話で催促するにしても、 なかなかうまく相手と連絡がとれない。  その次に、直接連絡が取れない場合には、次の策として文書の催促ということが言わ れています。その場合に、経験の浅い法律家は、わりあい簡単に内容証明郵便を出すこ とを指導します。ところが、内容証明郵便は相手が申告した住所にいて、きちんと受け 取ったことまで証明する郵便ですから、普通の時間帯に不在であれば、あるいは受け取 りを拒否されれば相手のところに着かない、書いたことにならない、そういう問題がご ざいます。本来内容証明郵便というものは、例えば時効を中断するとか債権放棄したこ とを証明するとか、特別な場合には意味がありますが、そうでない場合には証明する手 段を講じておけば、むしろ普通の郵便で手紙を出した方が間違いなく着きますし、効果 があります。証拠を残す問題と実際に催促したという話とは違うわけです。とにかくこ ちらの意思を通じさせるためには、むしろ普通の郵便でも届いた方がいいということで す。債権回収になれている人たちは、費用のことも考えて、まず普通郵便で手紙を出す ことが少なくありません。  もう一つの手続は、手続というよりは、直接催促して取り立てにいく、そういう行動 をとることです。一番効果があるのは、実はこの直接催促であり直接の取り立てという ことになろうかと思います。  この二つの手段で成功すれば、2以下の裁判手続は考える必要はございません。  しかし、らちがあかない場合は、次の裁判手続の話に移るわけです。これについても 冒頭に「送達の問題」と書きましたが、書類を債務者に送る、とどけるという問題があ ります。例えば一番簡単な方法としては、「督促手続」と言われるやり方があります。督 促手続の中で出される命令を昔は「支払命令」と呼んでいましたが、民事訴訟法が変わ ったときに「支払督促」と名前が変わりましたが、実体は同じです。これは、簡易裁判 所に支払督促の申し立てをします。手続的にいえば裁判所から2回手紙で書類が郵送さ れて、その結果、判決と同じ効果が出ることになるという手続なのですが、ここでも送 達の問題が伴います。  つまり、支払督促の申立があり、それが様式を備えていると、裁判所は相手方の住所 に手紙で督促命令を送達するわけです。ところがこれが、先ほど申し上げましたように 昼間はいないとか、あるいはもっとずうずうしくなると受け取りを拒否されるというこ とで命令が相手方にとどかないということが少なくありません。最終的には執行官送達、 書記官送達という方法がありますが、お金がかかります、いずれにしてもここのところ をクリアしないと裁判は次の段階に進めない、そういう問題がございます。  督促手続を利用する場合の債権者にとっての利点としては、弁護士でなくて自分のと ころの職員を代理人に立てて裁判所へ行って手続をすることができる点です。弁護士報 酬の問題を考えなくて済むということはあります。  督促手続が順調に進んだ場合には、相手方が任意に支払わなければ、3番目の「強制 執行」というところにいくことになります。この点は後でお話しすることにして、次に もう一つ法的な手続について説明しておきます。督促手続の場合、督促命令に対して異 議が出た場合に、さらに手続を進めようと欲する場合には、手続を普通の裁判に切り替 えることができます。しかし二度手間を省くために最初から裁判を起こすというやり方 もあるわけです。最初から裁判を起こすという場合に、金額によって簡易裁判所へいく かあるいは地方裁判所へいくかという相違がございます。現在は簡易裁判所にいく事件 は140万円を超えない事件と法律上決まっています。140万円あたりになると少額とは 言えないのですが、地裁の負担を軽減するために、簡裁に債権回収関係の事件を大幅に 落としているわけです。  お配りしたレジュメの少し下に地方裁判所と書いてありますが、この二つの裁判所の 関係は金額の違いだけで、実際の裁判手続きということは同じです。ただ一つ大きな違 いがあります。代理人の点です。簡易裁判所の手続の場合は、先ほど申し上げましたよ うに、裁判所の許可があれば自分のところの職員を代理人にして、弁護士ではなくても 手続は進められる、そういうふうになっております。  ここで少し寄り道をさせていただきます。簡易裁判所の方の手続にもう一つ、「少額訴 訟」という制度が今回の民事訴訟法改正のときにできました。これは、一件、60万円ま での訴(裁判)について、1回限りの審理で終了して判決までいく、そういう簡便な手 続をつくったわけですが、これは年間10回までしか利用できないと法律上定められてい ます。どうしてそうなったかと言いますと、サラ金業者など債権回収業者たちがかねて から裁判所のこういう制度を悪用しているという実態があって、それを防ぐために10 回以上は使わせないようにしようと絞りをかけたといわれています。  もう一度裁判手続に話をもどします。簡易裁判所の140万円以下と地方裁判所の140 万円より上の金額の訴(裁判)について、簡単に御説明します。先ほど申し上げました ように、簡易裁判所は弁護士でなくても代理人として自分のところの職員を使うことが できるわけですが、地方裁判所は基本的には弁護士でなければ代理人になれないと法律 で規定されております。ですから、地方裁判所では原則的に弁護士に頼まないとできな いわけです。  督促手続の場合は仮執行宣言付督促命令が送達されて2週間経過すると確定判決が出 たのと同じ効力が発生します。裁判手続の場合には、判決で幾ら払えということが確定 しますと、それに基づいて強制執行ができることになるわけです。督促手続で命令が確 定することこれと同じことができるということです。  以上が正式の裁判手続、督促手続ですがこの中間に調停手続があります。これは裁判 ではなくて調停委員が間に入っていろいろと説得して、一気に140万払うのは大変だろ うから、例えば分割弁済したらどうかというようなことを勧めてある種の話し合いで解 決する手続です。調停で分割弁済の約束が成立して調停調書ができ上がると判決と同じ 効力が与えられます。その約束を破ると強制執行ができます。このような効果のある書 面を債務名義というのですが、確定判決、督促命令、調停調書、公正証書には、そうい う効力があるというふうになっております。  そういうことで、裁判上の諸制度は、最終的に強制執行できるところに意味があると 理解していただければいいわけです。しかし判決で勝っても、あるいは支払い命令が確 定しても、それ自体だけでは絵に描いたモチで、実際にお金が取り立てられないといけ ないわけです。端的には強制執行が、その分野をになうことになりますが、実際に債権 を回収することを考えて事件を処理する法律実務家は、裁判の中で、あるいは先ほどの 調停でもいいのですが、和解あるいは調停手続を利用して債権回収し事件を解決するこ とを考えます。  たとえば150万円という債権があっても、それを一挙に払えということにしないで、 相手がどのくらいで払えるかを裁判所に間に入ってもらって予測し、例えば、では支払 可能な5万円ずつでも仕方がないから30ヶ月かかって払う、そういう約束をしてもらう わけです。裁判所で分割払いの約束をしたときは、意外とよく債権回収ができるわけで す。ただ、これも、30%ぐらい回収できればかなり成功ということになるのかと思いま す。ここでも相手次第ということです。  3番目の強制執行に移ります。今のようなことで強制執行できる権利が確立して初め て強制執行に移るのが原則ですが、実際には、例えば少し高額な債権があるような場合 で、相手が不動産を持っているとか財産を持っていることがわかる場合には、普通はあ らかじめその財産を押さえてしまう。それを仮差し押さえというのですが、そういう手 続を法律実務家はとります。そのときは、保証金といって債権者が裁判所の命ずる一定 金額を供託して、裁判所から命令をもらって財産を仮りに押さえることをいたします。 例えば150万の債権があってそれに基づき財産を押さえようとすると、大体10%ぐらい の金額を裁判所に供託して、それで初めて仮り差し押さえができる、そういう仕組みに なっております。  そういうことであらかじめ財産を押さえておいて、その後、先ほどのいろいろな手続 をやって、債務名義ができて、強制執行ができるようになると、強制執行を申し立てて 最終的な回収に進みます。  ここでもまた問題がございます。例えば動産を押さえようとすると、執行官にお願い して相手のうちへ行って、そこにある財産を差し押さえするわけですが、ここでも送達 とか不在とが同じ問題がまたここでもむしかえされます。もちろんそれに要する費用も 少なくないことを考えておかなければなりません。  結局、全体を通していえることは、相手がいい人であって誠実な人であればかなり債 権の回収はできるけれども、財産がなくてあるいは、財産があっても不誠実な人ずるい 人からはなかなかとれないというのが実態です。法的な少額債権回収手続はいろいろで きてはいるのですが、ほとんど機能していないのが実態だというのが私のこれまでの経 験です。  次に、これは全く普通の債権回収とは違うのですが、この分野の専門家である友人(弁 護士)からカードローンの場合に、どうやって債権回収しているかを聞いてみました。 日本でも有数といわれるこの会社ではカードローンの場合については、電話回収が基本 だということです−別の分野では人海戦術のようです−。最初に債権が発生する段階、 つまり何かものを売った際に、支払者の情報をできるだけ克明にとって残しておかなく てはいけないということです。その上で不払いが起きたところで催促するわけですが、 とにかく不払いが一たんあったらすぐ動くということが鉄則です。  そして、電話の際にも絶対に「払え払え」という催促はするなというのです。むしろ、 払えない事情をやさしく聞いてあげなさいといっていました。そういう対応で分割払い でもいいから払いなさいということを勧めると、かなりこれは回収率がいいということ です。  もう一つ大切なことは、電話の場合のやりとりをきちんと録音しておくということだ そうです。  そこで、全体を総括しますと、債権回収は、誰かが専門化しないと難しい。プロでな いとできないというところがあります。また裁判手続にしても執行手続にしても、しろ うとでは利用しにくいしということがございます。そうすると弁護士に依頼してやるこ とになるわけですが、日本で一番大きな問題は、訴訟費用の敗訴者負担主義を取りなが ら、弁護士会の反対で弁護士報酬を制度をとっていないということです。債権者は弁護 士を頼みますが、弁護士はただで仕事をしないわけですから、当然報酬を支払います。 債権回収の分野では色々と手段を尽くしたものの結果的には、何もとれなくて終わるこ とが少なくありません。そうすると、弁護士に払った報酬分が損になって残ります。つ まり不良債権プラス弁護士報酬が債権者にとっては赤字になる、そういうことになって しまいます。  最近、特定の大手銀行がその子会社を利用して、特定の法律事務所と組んで債権回収 をやるといって大学病院などに話を持ってきているということを聞いています。弁護士 法との関係をどうクリヤーしたか判りませんが、その場合にも、結局はこちらから報酬 を払ってお願いすることになると思います。よほど確実に回収できるのでないと、多分 お願いしても効果はないのではないでしょうか。  大体こんなところで。  座長 どうもありがとうございました。  それでは、引き続き事務局から資料2−2について御説明をいただいて、その後、ま とめて御質問等をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  神田国民健康保険課長 資料2−2でございますが、ごらんいただきますと、国立病 院機構における未収金回収の一環として支払督促とか少額訴訟をやっている。第2回の 資料の1−2をごらんいただきますと数病院ずつで実施をしているということがござい ましたので、実施をしている病院の担当部局を通じて聞き取った内容でございます。申 しわけございませんが、きょうは担当課が別途の会議があって出ておりませんので、私 から御紹介をいたします。  支払い督促とか法的措置の問題ということでございますが、今、畔柳先生のお話にあ ったことと多くは共通しているかと思いますが、支払督促ですと文書送付だけで反応が ない場合がある。あるいは、異議申し立てがあれば訴訟に移行せざるを得ない。あるい は督促としては確定しても入金がないとか、財産確認が困難で差し押さえができない。 名義はとれても実際には実効性がないということかと思っております。  少額訴訟とか訴訟についてということで、前に国立病院機構に聞いたときには、特段、 弁護士を立ててはいない。職員がやっているということだったと思っております。それ は、先ほど先生からあったように職員でもいいということですので、職員がやっている ということです。いずれも、医療を受けた・受けないとか債務の額とかそういうことに ついては余り争いがないので、訴訟でも1回で済む場合が多くて、それは少額訴訟であ れ訴訟であれ、余り差はない。しかし、実態としては分割払いによる和解となる場合が 多くて、先ほど先生のお話にもありましたように、現実的に未払者がどういう形であれ ば払えるかということで申し立てる金額を払える範囲で払ってもらうということで、長 期化をする。それがまた滞る場合には通常の債権と同様に督促が必要になるというよう なことで、聞く限りですと、債務名義はとることはそれほど難しくはないけれども、実 効性というところで実際にはなかなか難しいということでございました。  座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの畔柳委員と事務局からの御説 明につきまして、御質問などがございましたらお願いしたいと思います。また、都の中 野課長にも御出席をいただいておりますので、あわせて都立病院の現状について少し御 説明をいただけると幸いでございます。  崎原委員 一つなのですが、未収金に対して利息が請求をできるかという問題でござ います。これは、自費負担分について学説が二つあるということで、最初に僕はちょっ とお話ししたかと思いますが、取引業務委託説というものが3割の分であると利息がと れないのではないかと。逆に債権譲渡説に立つものであれば、債権ですので利息を請求 できるのではないかというような意見があるのですが、ここいら辺についてはいかがで しょうか。  座長 畔柳委員の方でお答えいただけますか。  畔柳委員 保険の話と離れてお話しします。一般的には支払日が決まっているわけで すから、それから後、損害金がつくのは当たり前の話なのです。ただ、それが保険制度 との関係でどうかとなると、話が違ってくるのではないでしょうか。  座長 恐らくは病院と患者との間の債権・債務関係ということで、通常の民事の債権・ 債務関係ですから、遅延損害金は普通どおり発生すると考えるのだろうと思います。  崎原委員 学説にも関係なしにそれは催促してよろしい、こういうことでよろしいで すか。  畔柳委員 学説というか、自分としては普通の債権管理……。  崎原委員 債権とみればいいわけですね。  畔柳委員 ですから普通の民事上の債権として管理するわけで、多分5%の損害金と か。  座長 ですから、普通、5%とれるというふうに多分考えるのではないかなと思って います。  崎原委員 よろしいと。いろいろな会議へいくとここは意外に問題になるところがあ るので、一応確認ということで。  座長 済みません、ただ、公定的な見解ではないので裁判所でどうなるかという問題 はありますが、多分、普通考えればとれるのではないかとは思います。  畔柳委員 実際に我々が病院から債権回収の依頼を受けたとしますね。そのときには、 保険のことを考えないで、現実に幾ら引っかかっているかということで対応します。そ こで催告するわけですが、そのときは当然、年5%とします。6%というのはちょっと 無理だと思うのです。  崎原委員 もう1点よろしいですか。  座長 どうぞ続けて。  崎原委員 裁判外解決法ということができるようになりまして、これは要請なのです が、行政の方でも医療の未払い金についての特殊事情を考慮していただきまして、行政 もある程度中心になってそういう機関を積極的につくっていただいて、私どもが気軽に 利用できるようになったらいいかなと思っております。  座長 それは御意見の表明ということで承ります。そのほか、いかがでございましょ うか。  それでは、中野課長、お願いいたします。  中野課長(東京都) 東京都の中野と申します。きょうは急でしたので、資料が御用 意できなくて申しわけございません。  私どもでも、国立病院機構様とか先ほど畔柳先生からの御報告があったような形で督 促はやっておりまして、第2回のときにお話しさせていただきましたが、電話の催促、 文書の催告、それからもうちょっときちんとした督促状を出すという形にいたしており ます。その間に、解決できるものはほとんど解決できてしまいます。  あと、分割納入というのもかなり広く利用いたしておりまして、そこでかなりの数が 未収から外れていくことになるのですが、それでもなおかつ残る部分はかなりありまし て、それである一定程度の枠をはめる。つまり、ある程度財産があるであろうと思われ る方ですとか、当然、余り少額のものをやっても費用対効果の面ではもちろん問題があ りますので、一定程度の金額があるもの。あと、お金のこと以外にトラブルがない。例 えば医療ミスを疑っているとかというトラブルがある、そういったトラブルがないもの をある程度選びまして、現時点では我々にはノウハウがないものですから、主税局とい う税金の徴収部門がありまして、そちらに平成16年度から19年、今年度までの4年間 で仕事をお願いしているところでございます。  裁判所にまでいったケースは結構ありまして、支払い督促の申立までいったケースが 3カ年の実績で166件ほどございます。それから、最終的に強制執行までいったケース、 これぐらいになると非常に少なくなりますが、5件ということでございます。5件とは どんなものがあるかというと、動産の差し押さえというのはなかなか難しいところがあ りまして、その5件が全部がどうだったかは覚えていないのですが、だれもが知ってい るような会社に勤めている方の給料の一部を差し押さえるということで解決いたしまし た。  どんな点で苦労しているのかということを担当者にヒアリングをしてまいりましたが、 大きく分けまして二つほどあるだろうと。まず1点目が、調査権がないということです。 2点目が、自力執行権がないということです。  調査権といいましても、ある程度調べられる。その方の自宅に行って、外形的な部分 になりますが、例えばどんな家に住んでいらっしゃるかとか、車を持っているか・持っ ていないのか、そういう点は調べられます。あるいは、その周りの方に聞くというとこ ろまでやっていることもあるようです。  あとは自力執行権。これは病院だからどうしようもないのですが、自分たちで押さえ ることができないということです。  調査権がないことによってどんな制約が出てくるのかという話をしたのですが、二つ ほどあるそうです。1点目は、対象案件、どれを選ぶかという選定をする際に決め手に 欠けるということです。住民票とかそういうのはもちろん見られるのですが、その方の 財産とか収入がどのくらいあるのかということが押さえられないのが非常にネックにな っているということです。それから、話が重なりますが差し押さえ財産の把握ができな い。この2点が調査権がないために制約になっていると聞きました。  以上でございます。  座長 ありがとうございました。貴重なお話であったと思います。そのほか、御質問 等はいかがでございましょうか。  河上委員 一つ伺いたいのですが、連帯保証とか保証人のような形でどなたかの担保 をとっているというようなことは、余りないのでしょうか。その回収のときに保証人を 対象にするということは、どのくらいの割合であるものなのでしょうか。  座長 病院さんの場合はいかがですかね。例えば夫婦などだと、妻が手術を受けると きには夫を保証人にするというようなことは、私自身の経験でも、あるいは逆のケース についてもあるように思うのですが、そういった場合を除くとなかなか受診時に保証人 あるいは連帯保証人を立てるということはないと思うし、未払いになってからだとそれ は余計難しいということだと思うのですが、何かその辺、御経験なり御存じの方がいら っしゃればと思うのですが、都の方はいかがでございますか。  中野課長(東京都) たしか保証人という欄ではなかったと思うのです。それは万が 一のことがありますので、連絡先といいますかそういった記入欄はあったと思いますが、 保証人まではなかったと思いますが。  崎原委員 病院では保証人を立てていただいています。ただ、多くは保証人をすんな りと立てられる方というのは、親族にしろ親にしろ、まず未収金の問題は発生しません。 緊急に入ってきて、保証人に対して逡巡されたり、実際的に立てないでそのまま入院し てきたり、そういう方についてやはり問題が発生するということなので、保証金制度と いうものはあるにはあって、一部はそれなりに活用しているとは思いますが、これがす べての解決につながるわけではないということです。  座長 今の点については、小森委員はよろしゅうございますか。  小森委員 保証人というのは基本的に病院はお金の回収を目当てに決めているわけで はないところが多くて、慣習的にとるという感じなので、それ以外の患者さんが具合が 悪くなったりしたときの連絡先とかいう面が非常に大きくて、今までは債権回収という 意味合いでとっているということはそれほど強くなかったと思います。最近は少しずつ 変わりつつあります。  座長 ありがとうございました。河上委員、よろしゅうございましょうか。  河上委員 もう1点だけ。時効の問題がちょっと出ましたが、内容証明郵便を使うか どうか証拠との関係で少し問題だという話だったのですが、これは民法の170条でした っけ、3年の時効にかかるという前提で通常の国立病院とかそういうのも全部、保険関 係の部分も計算をされていくということよろしいですか。  座長 時効については、多分そういうことになると思います。最近の最高裁判例で、 公立病院の場合も患者に対する診療報酬の債権は3年という判決が出ていますので、そ こは変わらないと思います。  河上委員 変わらないのだとすると、やはり医療機関から患者に対する診療報酬債権 として位置づけていることになるのでしょうか。それから、その中断の手続ということ について言うと方法がある程度限定されてくるということがございますので、そこは気 をつけないといけないと思います。  崎原委員 時効につきましては民法の170条で3年となっておりますが、その3年の 督促の間に債権確認をそのつどつどやっていくと、それからまた3年、3年というふう に延びていくと私どもは理解しておりますので、3年なのですけど、法律上そういうふ うにやっていったり、または裁判を提起したり、そうすると時効の延長はずうっと続く と私は理解しております。  座長 ありがとうございます。ほかに御質問等、いかがでございましょうか……。こ の件についてはよろしゅうございましょうか。どうも、畔柳委員、ありがとうございま した。  次に、前回の検討会で山崎委員から御質問がございました無料低額診療事業につきま して、藤木社会援護局総務課長から資料3を使って御説明をいただくことになっており ます。藤木課長、どうぞよろしくお願いをいたします。  藤木社会援護局総務課長 それでは、前回のこの会議で無料低額診療事業について御 質問があったと伺っておりますので、私からその事業の内容につきまして、資料3を用 いて御説明をいたします。  1ページに「無料低額診療事業の概要」とございます。枠囲みの中にポイントを入れ ておりますが、この無料低額診療事業というのは社会福祉法という法律で定義づけられ ている事業でございます。医療法に対峙いたしまして、社会福祉法の社会福祉サービス の基盤法の中で社会福祉事業あるいは社会福祉法人というものを規定しております。こ の中で社会福祉法では第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業を定義をいたしており まして、特別養護老人ホームとか障害者の施設など、入所系の施設を第一種社会福祉事 業といたしております。それ以外の比較的要援護者に対するかかわりが入所施設ほど濃 くないもの、それを第二種社会福祉事業といたしております。例えばデイサービスなど も第二種社会福祉事業になるわけですが、その中で、生活困窮者のために無料または低 額な料金で診療を行う行為というのを第二種社会福祉事業として位置づけているという ことであります。  この第二種社会福祉事業に位置づけられました場合の法律効果でございますが、社会 福祉法の中では届け出制とか、あるいは第一種社会福祉事業ですと場合によっては許可 制という規制が入ってきますのと、必要に応じて調査権限等があって行政が関与してく るというのがこの社会福祉法のスキームでございます。まさに社会福祉サービスを的確 に行っていくための管理体系が社会福祉法でございますが、実はこの無料低額診療事業 が第二種社会福祉事業に位置づけられた大きな効果は、税制上の優遇措置が税制各法で 講じられておりまして、実質的には社会福祉事業に位置づけられた効果はそちらが極め て大きいということかと思います。  対象者は生活困窮者ということになっておりますが、最近においては、例えばホーム レスでありますとかドメスティックバイオレンスの被害者であるとか、あるいは外国人 というふうな、なかなか医療機関での診療費が払いにくい方々も対象にしているという ことでございます。  無料低額診療事業という定義に当てはまるかどうかの基準でございますが、生活保護 を受けておられる方、あるいは無料または診療費の10%以上の減免を受けた方の延べ数、 これは入院の方は1日とカウントすることになっておりますが、それが取扱い患者の延 べ数の10%以上であること、という要件になっております。診療費の10%以上の減免と いうのは患者負担分ではございませんで、診療費全体の10%以上の減免ということにな っております。その減免を受けた方が総数の1割以上いるというのが無料低額診療事業 の基準でございます。  現在、この定義に当てはまる施設が全国で260ございまして、社会福祉法人が圧倒的 に多うございますが、このうち、済生会病院が半数近くを占めております。あと、民法 法人、日赤、宗教法人等がございます。  この260の医療機関の一般の患者も含めた総取扱い患者数、これは入院の場合は1日 とカウントする数え方でありますが、4429万8000という件数になっております。その うち、無料低額診療の対象患者延べ数が630万余となっております。生活保護の患者数 が半数以上を占めておりますが、その他の方々もいらっしゃるということであります。 右下にございますが、例えばその他の患者数の多くはホームレス。それから、これは調 査の関係もありましてなかなか表面に出にくい面もあるかと思いますが、DV被害者、 外国人という件数も挙がってきているということでございます。  では、実際に無料低額診療事業で医療費の減免・軽減を受けるためにはどうしたらい いのかということで、その受診手続フローを2ページに示しております。これについて は、(1)から(6)というルートで表示しているものと、I番からIV番と示している二つのル ートがございます。  初めに(1)から(6)のルートで申し上げますと、医療機関が関係機関、例えば社会福祉協 議会とか福祉事務所等と協議をいたしまして、それぞれの医療機関で減免額とか減免方 法をあらかじめ決定しておくという作業をまず行います。その次に(2)で、医療機関側で 無料券あるいは低額で診療すると診療券を発行いたしまして、これを社会福祉協議会等 に置いておくことになります。(3)で、なかなか医療費が払えないという方、本人、家族 さんがこの関係機関、社会福祉協議会等へ相談に来て、その上で無料低額診療券を御本 人にお渡しをする。御本人が無料低額診療券を持ってその病院で診療を受けると、窓口 での支払いが軽減または免除されるという仕組み。これが(1)から(6)のルートでございま す。  もう一つですが、こういう無料診療券を持たずに直接ダイレクトに無料低額診療機関 に来られる場合があります。それがI番なのですが、関係機関の相談を経ず、直接、医 療機関側に来られる。そういたしますと、無料低額診療事業を行う場合にはメディカル ワーカー、ソーシャルワーカーを病院に置いていただくことになっておりますので、ソ ーシャルワーカーと相談の上で診療費をまけるかどうかという決定をする。その決定の 上でここで軽減された形で診療を受けていただきまして、以後は無料診療券をきちんと 関係機関で手に入れて受診するように指導するというルートで、直接、医療機関に行く ルートと関係機関に相談に行って無料券をもらって診療を受けるという、大きく二つの フローがあるということでございます。  3ページは、無料低額診療事業の実績。近年、どういうことになっているかというこ とでございます。一番下が実施施設数、医療機関数でありますが、ほぼ横ばいになって おります。取扱い件数も大きな変動はなく、ほぼ横ばいということでありまして、それ ぞれの医療機関における無料低額診療シェアといいますか割合は、大体14%強となって いるのが現状でございます。  4ページですが、それでは無料低額診療事業を行っているところはどういうメリット でやっているかという意味では、税制上の効果が一番大きいわけでございます。この無 料低額診療事業は第二種社会福祉事業になるわけでありますが、どういう税制上のメリ ットがあるのかといいますと、まず法人税がございます。御案内のとおり、社会福祉法 人、民法法人は基本的に法人税は非課税でございますが、収益事業を行った場合につい ては法人税課税となっております。ただ、医療保健事業については社会福祉法人が行っ た場合でも非課税にすることになっておりますので、無料低額診療事業にかかわらず社 会福祉法人が行った医療保健事業は収益事業から除外され、非課税となります。  それから、民法法人が無料低額診療事業を行った場合は収益事業とはしないという整 理がされておりますので、民法法人が無料低額診療事業を行った場合も非課税の扱いに なるということでございます。  それから地方税でございますが、法人住民税としては同じ扱いでございますが、資産 税であります不動産取得税、固定資産税については、無料低額診療事業を行う主体が書 いてございますが、社会福祉法人、日赤、民法法人、農協、生協等は不動産取得税、固 定資産税が免除されることになりまして非課税となります。固定資産税についてはもう 少し弾力的な扱いもありますが、基本的に非課税ということであります。  具体的に資産課税がどうなるかというのは、5ページに出ております。固定資産税に ついては、無料低額診療の受診者割合が10%以上ですと非課税になります。10%までい かない場合、2%を超え10%までの間については固定資産税が軽減されるということで、 そこに書いてあります数値割合に基づいて固定資産税が軽減をされることになっており ます。  不動産取得税については、無料低額診療事業を行う場合は非課税になっております。  具体的に固定資産税の税率がどうなるかというのをグラフ化したのが、6ページの図 になっております。  以上、簡単でございますが無料低額診療事業の内容、それから特に税法上の効果を中 心に御説明をいたしました。  座長 どうもありがとうございました。ただいま御説明いただきました無料低額診療 事業につきまして、御質問等がございましたらお願いをしたいと思います。  山崎委員 この無料低額診療事業というのは、一般の医療法人には適用されていない わけですが、それは単に法律でそうなっているので入っていないのかということが1点 です。  それから、ことしの4月から始まる社会医療法人ですか、あの制度についてこれと同 等の読み方ができるのかどうかということを含めてお聞きしたいと思います。  藤木社会援護局総務課長 お答えをさせていただきますが、ただいま御説明いたしま した資料の4ページをお開きいただきますと、無料低額診療事業、第二種社会福祉事業 というのは基本的に主体を制限しておりません。したがいまして、無料低額診療事業を 行いたいという場合は主体を制限しておらないのでありますが、そこの一番効果のあり ます税制上のメリットをみますと、そこに法人税で社会福祉法人が行う場合、民法法人 が行う場合については法人税、社会福祉法人が行う場合は、無料低額診療に限らず医療 保健事業はすべてでありますし、民法法人が行う場合は無料低額診療事業について非課 税となっております。この主体について医療法人は含まれておりませんので、税制上の 取扱いとしてメリットがないということではないかと思います。  社会福祉法の法体系では、第二種社会福祉事業については特段の主体制限をいたして おりませんので、むしろそういう事業をやった場合のメリットという観点から無料低額 診療事業をやっていないということではないかと憶測をいたします。  あと、社会医療法人については佐藤課長から御説明いたします。  佐藤医政局指導課長 社会医療法人の御質問につきまして、医政局指導課からお答え をいたします。  まずお答えを先に申し上げますと、無料低額診療事業とは直接関係がございません。 これは少し説明をしておきますと、社会医療法人という制度は、去る平成18年6月の医 療法改正に伴いまして制度化された医療法に基づく医療法人の1類型でございます。お かげさまをもちまして、昨年12月の税制改正大綱の中でこの社会医療法人に係る税制上 の優遇措置、具体的には医療保健業に係るものは非課税ということで、それ以外の収益 事業は22%ということで、税制上の大幅な優遇をお願いしたところでございます。  ただ、その条件の中に「無料低額診療をすること」ということは入っておりませんで、 地域に不可欠な医療といわれる5事業、例えば救急医療とか小児救急とか周産期とか僻 地医療、そうした五つの事業をやっていただくことが条件になっている。こういう状況 です。  山崎委員 この無料低額診療事業というのが社会福祉法に基づいて行われているとい うことなのですが、それならば、逆にいえば医療法の中に無料低額診療事業というのを 新たに追加をして、社会福祉法と同じような条件を満たすような医療法人社団について はこの税法上の恩典を要求していくという方向性についてはどのようにお考えですか。  座長 佐藤課長、お願いいたします。  佐藤医政局指導課長 現時点で将来の方向性までお話しする段階にはありませんが、 これまで私どもの知る限り、医療法改正なり医療法改正に伴います医療法人制度改革の 中で、必ずしも無料低額診療事業、つまり経済的な側面なり病院の福祉的役割というこ とに着目をして医療法人制度を議論したことが余りありませんでしたので、今の御提案 のようなことが現行の医療法人制度の中でなり得るのかどうか、また、福祉的な制度、 医療扶助というようなものがあったり、あるいは今の無料低額というものが福祉という 経済的な観点に着目をして御議論いただいているのでしょうけれど、そうしたものでカ バーされていて、医療法でもうこれ以上やらなくていいのか、あるいはそれとは別な視 点が必要なのかということは、繰り返しになりますが、きょうの時点では整理できませ んので、また時期をみてということになろうかと思います。  山崎委員 この未収金の問題を提案した一番の大きな問題は、急速に進んでいく高齢 者の人口がふえると、少子・高齢化ということが大きな問題であるのと、あと、今年度 4月から始まる後期高齢者の保険についても、未収金の問題は非常に大きくかかわって くると思うのです。というのは、年金から引いて徴収できている人はいいのでしょうけ れども、徴収できない人がいると、今回の後期高齢者の保険では保険証は発行しません、 そして従来どおりの資格証明書だけを発行します、と言いますけれども、資格証明書を 持っている人、あるいは全然保険料を最初から払わない患者さんの未払いの確率は非常 に高くなるわけですね。  そうなったときに、未収金を全部、従来どおり、保険制度なのだから医療機関が負担 をしろというのは非常におかしい話であって、したがってここのところのセーフティネ ットというか、医療機関がきちんとみてくれればその分のお金はきちんと払いますよと いう社会保障の仕組みを国としてきちんとつくっておいてくれませんと、我々医療機関 はサービスを提供して、その結果として病院の経営を落としてしまうことになるわけで す。前向きに社会福祉法でそういう制度があれば、医療法でそういう制度がつくれない という方が僕はおかしいと思うし、将来考えられる混乱について、混乱が起こってから 考えるのではなくて、混乱が起こることを前提にした制度をきちんとつくっていかなけ ればおかしいと思います。  座長 ありがとうございました。では神田課長にお答えいただいて、あと、先ほど手 を挙げていただいた方にということでお願いしたいと思います。  神田国民健康保険課長 若干、後期高齢者医療制度の資格証明書のお話がありました ので、そこだけ御説明をさせていただきます。  後期高齢者医療制度においては基本的には年金から特別徴収となっていますので、8 割方の方は年金から徴収されることになるであろうと見込まれております。それから普 通徴収の場合も、現在、市町村で徴収しておりますと、75歳以上の方は99%近い収納率 になっておりますので、相対的には非常に収納率の高いグループだということはいえて いるのだろうと思います。  それから資格証明書の発行に当たっては、これはペナルティをかけることを目的とし ているということではなくて、具体的には例えば世帯主が病気になっていて収入がない とか、そういう特別な保険料を払えない事情があれば保険料の事後的な減免もできるこ とになっておりますし、実際に保険料を払えない場合には分割納付といった納付相談に 応じる機会を確保する。そのために、呼び出しても来ない方については窓口においでい ただくというための仕組みでありますので、形式的な発行にならないように、現在の国 民健康保険制度もそうでありますが、きめ細かい相談に応じるよう、そこは十分周知等 をしていきたいと思っております。  座長 ありがとうございました。  島崎委員 政策論ではなくて、事実関係だけ教えていただきたいことがあります。無 料低額診療事業の対象者として生活保護の受給者というか要保護者が随分入っているの ですが、普通に考えると、生活保護者であれば足りない部分が保護費から支給されるは ずと思うのですが、他法他施策との関係で無料低額診療所に入っている要保護者あるい は被保護者の場合には、まず無料低額の部分が優先されるということなのでしょうか。 生活保護と無料例額診療事業の適用関係について教えていただきたいと思います。  座長 藤木課長、お願いできますでしょうか。  藤木社会援護局総務課長 的確に答えられるかわかりませんが、もちろん生活保護で すから、ほかの施策をすべて使ってということでありますが、これは医療機関にかかっ た場合の費用の減免ということで、いわゆる医療費に限らず、病衣でありますとか歯ブ ラシ代でありますとかそういうものの減免も含めて減免する事業となっておりますので、 確かに生活保護受給者は医療扶助は全額出るのですが、医療費以外の部分の費用につい ても減免した場合、この事業の対象に含めていくことになっております。そういう意味 合いもあって生活保護の人も入っていると思っております。  ただ、先ほど言いましたように現代的な意味から言うと、そういう資力の低い人に限 らず、DVとかホームレスとか外国人、そういう人たちのことも視野に入れた形で制度 の運用は必要かなと思っております。  座長 よろしいですか。  小森委員 今の件で、医療法人は入っていませんが、医療法人でも多くの病院がこの 10%を近くを診ている病院もたくさん今はあります。それと、今言われましたが、歯ブ ラシとか病衣とかそういうものを生活保護の方から、我々の医療法人もほとんど多分と れていない、とらないというルールで縛られていることを報告しておきます。  座長 ありがとうございました。  今村委員 私の方はただ確認だけなのですが、無料低額診療事業の基準というところ で、先ほど総診療費に対する診療費の割合というふうに私は聞いたのですが、それでよ ろしいのでしょうか。実績が全部数で、患者数で何%と出ているものですから、一応確 認なのですが。  藤木社会援護局総務課長 先ほど私は診療費が分母と申し上げましたのは、患者負担 に対しての割合ではないという意味で入念的に申し上げましたが、そういう意味では医 療費10分の10に対する1割以上の減免ということでございます。  今村委員 費用ということですよね。  藤木社会援護局総務課長 はい。  今村委員 そうすると、後でお示しいただいたこの推移というのはこれは全部患者数 ということですから、平均的な医療費という考え方でいいということですね。特にこう いった方たちの医療費が高いとかそういうわけではないと。  藤木社会援護局総務課長 そうです。これはあくまて人数のデータで……。  今村委員 これは診療費のデータもあるのでしょうか。  藤木社会援護局総務課長 そこはとっていないと思います。人員のデータを毎年集め させていただいております。  今村委員 そうしますと、税制上の優遇のところで実際上、10%に満たないケースの 場合の計算は、診療費が出ていないと正確な計算はできないことになるということでし ょうか。  座長 ちょっと御質問とお答えとがずれていて、無料低額診療事業を行う基準は人数 でみているのですね。  藤木社会援護局総務課長 そういうことです。  座長 それで、その人数にカウントする人にだれが入るかというところで診療費の 10%以上の減免と、そういう見方だったのですか。  藤木社会援護局総務課長 そういう人数が1割以上が減免になっています。済みませ ん、不十分でした。  今村委員 わかりました。ありがとうございました。  座長 そのほか、いかがでございましょうか。  河上委員 確認ですが、私は民法を専門にしながら申しわけないのですが、民法法人 の意味というのは、今ですと一般社団法人と同じだと考えてよろしいのですか。  藤木社会援護局総務課長 民法法人で病院経営を行っているところがございますので、 そういうところでございます。  河上委員 医療法人というのは、民法法人にプラスアルファして医療ということにつ いてやっている事業体ではないのですか。  佐藤医政局指導課長 歴史的に言いますと、民法法人というのは医療法に基づく医療 法人ができる前からありましたので、現時点でも数え方というか、私どもは正確に数字 をとったことがないのですが、医療法に基づかない民法34条に基づく法人というのは全 国に220から230ぐらいあると承知しております。こうしたところは医療法に基づく医 療法……、医療法そのものは適用を受けるのですが、医療法人として二重規定になって いることはありませんで、医療法人は医療法人、民法34条に基づく法人は34条法人と いうことで、法の適用に関しては完全に独立をして動いております。  河上委員 それは承知しておりますが、ただ、法人の考え方から言えば全く原則的な 法人タイプに医療事業をやっているのが医療法人として位置づけられるように思うもの ですから、そうだとすると、何か民法法人に適用があるものが医療法人に適用がないと いうのは、何か医療法上、排除する特別規定があるからかなというふうに思ったからで す。そうではないのですか。  藤木社会援護局総務課長 税制上、どういう主体をどういうふうに優遇するかという ことについては、税務当局とのいろいろな調整の中で毎年、税制改正要望等をして積み 重ねてきた経緯があるわけです。そういう中でこれらの優遇税制については過去の経緯 もあり、特に公益法人、最終的には財産については国庫に帰属する、あるいは同種の民 法法人に所属するという制約もあり、恐らく税制上、いろいろな措置を講ずるときには そういう思想もあって整理がされていると、整理上でありますが、いたしております。  座長 今おっしゃったことに加えて、恐らく物すごく単純で、要するに法人税なら法 人税でどう仕切るかという話で、民法なり、今の一般社団に基づいてつくられているも のはというのと、医療法に基づいてつくられているものは、その仕切りだけでやってい るという理解だと思います。ですから、河上先生がおっしゃるように、難しい、より一 般的なものが医療法人に及ぶのかどうか、そういう角度での議論ではないと。単純にど の法律に基づいてつくられているかという、それだけの仕切りの問題なのかなと思いま す。  河上委員 恐らくそれは法人税をかける際の運用の問題で、法制度上、無料何とか事 業というのが適用がないと定められているわけではないわけですね。  座長 それは先ほど御説明いただいたように、税制上の問題と、それからこの事業の 主体となり得るものとの問題は切られているということだと思いますから、税制上の優 遇は受けられないけれどもやりたいというのであれば、民法法人でなくても医療法人で あっても、法の建前上はできるということなのだと思います。  小森委員 要するにそういうことをいちいち出さなくても、現実はやっているのです ね。だからこの数字の中で、過去は限られた施設が全部みましょうという形で始まった のでしょうけど、今はほとんどの医療機関でほとんどみている。だから、今ある機関で これを割ると本当に優遇税制を受けている病院が全体の何%をみていて何%をみていな いのかという方が単純に出されたらわかりやすいのかなと、僕は思ってこれを見ていた のです。  座長 よろしゅうございましょうか。まだ議題が残っておりますので、先に進ませて いただきたいと思います。  次は、「診療所治療費未払いの実態調査等」でございます。現在、4病協に御協力をい ただきまして、厚生労働省で参考資料の未収金に関するアンケート調査票に基づきまし て、病院の未収金の原因別実態調査を行っております。これは前回の検討会で御了解を ちょうだいした調査でございます。その結果はことしの3月以降に判明することになっ ておりますが、その前に既に日本医師会で診療所の未収金について御調査をいただいて いるということでございますので、それにつきましてこの場で今村委員から御説明をち ょうだいしたいと存じます。それでは、資料4−1、4−2、4−3になりますが、こ れらにつきましてよろしくお願いいたします。  今村委員 検討会において病院での未収金の額はお示しいただいたわけですが、その 際に、では診療所で一体どのぐらい未収金が発生しているのかという御質問をいただい て、日本医師会でぜひ調べてみたいということをここで申し上げたところですが、正直 申し上げまして、診療所が自分の未収金をどれぐらい把握しているか、これはなかなか 難しいのかなという思いもありまして、直接、医療機関に対して医師会が調査するだけ ではなくて、外部の会計事務所にも同じような調査をお願いして調べさせていただきま した。  先に4−2の資料を見ていただきたいと思います。これは頭にTKCと書いてありま すが、全国で約9500名の税理士、公認会計士さんのネットワーク、御存じの方も多いと 思いますがそういう全国会がありまして、その中で医業・会計システムの研究会という ものがあるものですから、そこの会計事務所に対して一般診療所、これは病院、歯科診 療所を除いた診療所に対して調査をさせていただきました。これはあくまでも客体とな る診療所の承諾を得て会計事務所がアンケート用紙に記入したものであります。  調査客体の構成ですが、まず有床診療所と無床診療所の割合が、本調査で有床が 15.9%、無床が84.1%ということで、これは全国の有床診療所、無床診療所の割合にほ ぼ匹敵しておるので、対象としては適切であったのかと思っております。  同様に診療所科の構成ということで、内科から始まりまして耳鼻咽喉科、その他まで、 こちらについても一般的な全国の診療科の構成とほぼ同じということになります。  2ページの調査の結果ですが、診療所全体、これは有床と無床を合わせまして、平均 的には無床診療所の未収金発生は少ない。有床診療所の方が断然多いということで、医 業収益に対する未収金の割合が有床が0.38%。1年以上経過している部分は0.04%とい うことで、病院などに比べると随分少ないわけですが、有床がこのぐらいあり、無床が 0.04%、同じく1年以上経過分が0.01%で、全体として0.14%、1年以上の経過分は 0.02%でありました。入院でやはり未収金が発生しやすいということになります。  3ページは、有床診療所についてのものでございます。未収金の金額と医業収益に対 する割合ということで、未収金金額の多寡と医業収益に対する未収金の割合がリンクし ております。期末の未収金の残高は小児科と精神科が多くなっておりますが、これは客 体数が非常に少ない3と4ということで、信頼性に多少欠けるかなと思っておりますが、 1年以上経過未収金が最も多額なのは産婦人科でありました。黒い棒グラフを見ていた だきますと25万9000円ということになります。  4ページは、有床診療所の未収金の有無がどの程度あるか、期末残高別の診療所数と いうことで挙げております。Nの少ないところは多少信頼性に欠けますが、内科では113 のうち97の診療所が金額の多寡は別として未収金があった。同じく外科ではほぼ4分の 3、整形外科でも63分の55、産婦人科が78分の56ということで、かなりの数多い診療 所に未収金があることがわかります。  5ページが、有床診療所における未収金の件数を横軸にとって、縦軸に1件当たりの 未収金の額をとっております。掛け算すると総額が出るという形になっております。1 診療所当たりの未収金の期末残高を今のように分けてみると、産婦人科は1件当たりの 金額が多い。内科よりも外科や整形外科の方が1件当たりの未収金の額が多い。逆に、 未収件数は内科の方が外科、整形外科より多いという傾向がみられます。精神科も1診 療所当たりの未収件数が多いという傾向が出ています。  次に無床診療所ですが、未収金の金額の多寡とやはり医業収益に対する未収金の割合 はリンクしています。期末の未収金の残高は、やはり有床と同じく産婦人科は最も高く、 次いで泌尿器が高い傾向です。産婦人科では期末未収金の5割以上、精神科でも4割以 上が1年以上経過未収金でありました。  先ほどの有床診療所と同じように、無床診療所でもこのように分析しておりますが、 未収金の発生する割合は有床診療所に比べて低い傾向がみられております。同じように 未収金の件数と1件当たりの未収金額を見ますと、有床診療所とほぼ同じような傾向が 認められております。  続きまして4−1に戻っていただきまして、1ページは日本医師会が直接全国の郡市 区の医師会の会員診療所にアンケートをとったものです。11の医師会にお願いしており ます。この医師会の一覧については、1ページにございますような各都道府県の中の地 域が一覧として挙げられております。有床が152、無床が742。無効回答も22ありまし たが、この有床、無床の割合については、先ほどのTKCの割合とほぼ同様になってお ります。診療科についてもほぼ同じような割合です。回収率54%のデータです。  2ページは、調査の結果、未収金の期末残高及び未払い患者の数ともに有効に回答し た客体数が平成17年度が353、平成18年度は430であり、その未収金の期末残高の総 額が、平成17年度が5660万、平成18年度が6500万であります。発生し1年以上経過 したものは、同じく平成17年度が2330万、平成18年度が2620万ということで棒グラ フに掲げてありますが、件数もふえておりますので1件当たりの金額がふえたかどうか ということはなかなか評価は難しいですが、増加傾向があると思われます。  3ページは、1診療所当たりの未収金の期末残高は15から16万円。そのうち、1年 以上経過した未収金は10万円弱でありました。未払い患者の1人当たりの未払い額は 5000〜6000円で、1年以上経過したものも同様の結果であります。  4ページ、分娩を取り扱っている診療所においては明らかに未収金が多い。無床より 有床の方が未収金が多く、救急対応「あり」の方が「なし」より多い。これらは、やは りTKCと同じように有床診療所に多く、それから産科、救急に多いという傾向があり ます。  5ページが、病床の有無別、救急対応の有無別、分娩取扱いの有無別の2カ年の推移 ということでの一覧であります。大きくふえているという傾向は、救急対応のところが 平成17年から18年でふえている。分娩取扱いについても、17年、18年で差が大きくみ られるという傾向が認められます。  6ページは、主たる診療所科別にみると、産婦人科、外科の未収金が多い。そして、 客体数は少ないが泌尿器科も未収金が多かった。この泌尿器科については、TKCもや はり同じような傾向がみられております。未払い患者一人当りの額は、外科で最も多く ありました。  7ページですが、未払いが発生してしまう原因として、これはあくまで印象でありま す。過去のものですので細かく原因を調査することはできないので、診療所側が最も多 いと感じているものは「所持金不足」で42.7%、「経済的理由」25.5%の順に多く、「支 払う意思がない」、どうしてこう考えられたか理由まではわかりませんが、13%ある。か なりの患者さんが払う意思がないというふうに感じたということであります。  発生した未払いを回収できない理由として診療所が多いと感じているものは、「催促し ても払ってくれない」が最も多く、次いで「連絡がつかない」であった。「催促していな い」は、未収金のある診療所の12.5%で最も少なかった。  9ページで、未収金のある診療所の70.3%は、口頭での催促を行っております。64% が電話催促をしている。40.8%が書面の催促を行っているということで、病院などに比 べると金額そのものは多くないにしても、きちんと回収のためのそれなりの努力を診療 所でも行っているということだと思います。  10ページは、書面で催促をしている診療所の割合が高いのは精神科、外科、産婦人科 で、もともと金額が多いところ、件数の多い科、そういったところが対応としてこうい った書面催促まできちんとしているのだろうという傾向だと思います。  11ページは、窓口負担金の受領方法として、こういった未収金が発生することの対応 としてかどうかはわかりませんが、現金以外に何かほかの支払い方法をとっているかと いうことで、口座振替、分割払い、カード等を取り扱っている診療所の割合は、いずれ も未収金のある診療所の方が高い。逆に、このいずれも受け付けていない診療所の割合 は未収金のある診療所の方が低い。結局、未収金のある診療所は受領方法を多様化する 等の努力はしているということであります。  12ページは、窓口負担金の受領方法として口座振込、分割払い、カード等決済のいず れかを取り扱っている割合は、産婦人科が71%、外科が64%の順に多いということで、 逆に小児科、皮膚科、耳鼻科は低い。  未収金の多い診療科が少しでも未収を減らす取り組みをしていることはわかるのだけ れど、結果的には出てくるデータは未収金が多いので、これが改善につながっているか どうかはわからない。本当はもっと多いのにこういう努力をしているからこの程度で済 んでいるのか、その辺の解釈は大変難しいなと思っています。  最後に1枚ペラで4−3ですが、これは何を調べたかと申しますと、11の地域医師会 を調べるに当たって、都市部と都市部でないところに未収金の発生に差があるかどうか ということを調べてみたいと思って医師会を選んだわけです。この残高を総数でみます と、熊本県の鹿本郡市というところだけが非常に未収金のある診療所の未収金額が多い。 それ以外はなべて平均的に同じような傾向がみられるのかなと思っております。  下の表の上の濃い緑で書かれているのが有床診療所ということで、東京の新宿と京都 の下京が非常に少ない。ただし、都市部の有床診療所というのは、有床診療所の形態は とっても実際に入院をとっていないところも非常に多いので、これをもって都市部の有 床診療所の未収金が少ないということはいえないと思いますが、ここでも鹿本郡が非常 に多いということがあります。  一番下でございますが、これは無床の1診療所当たりの未収金の期末残高。これは、 都市部である新宿と京都の下京が多い。しかしながら、同じような都市部である福岡市 が非常に少ないので、これをもって都市部とそうでないところに診療所レベルで未収金 の差があるということはいえなかったのかなということで、あくまで参考ということで 資料として出させていただきました。  以上です。  座長 大変貴重な調査の結果をありがとうございました。ただいまの今村委員からの 御説明につきまして、御質問がありましたらお願いします。  島崎委員 確認的な意味で、未収金という場合の定義について教えていただきたいと 思います。何をお伺いしたいかというと、保険診療が対象で、保険給付の部分はきっち りとれているけれども3割部分が未収になっている。これは明らかに未収だと思うので すが、多分、産科などですと正常分娩で保険診療ではない場合には、そもそもそれが全 額対象になりますね。もう一つは、あるかどうかは別にして、保険者が特定できない場 合もあるかもしれません。そうすると、その診療費100%が未収金として計上されてい るという形になりますね。  調査結果はデータとして非常に貴重なものだと思いますので、細部をあげつらうつも りは全然ないのですが、診療所における未収金の定義や範囲についてどういう扱いをし ているのか、御説明いただけませんでしょうか。  今村委員 御指摘のとおり、正直申し上げて病院よりさらに細かい実態を把握すると いうのは、診療所の場合に難しくて、金額ベースでみていただいても、未収金はあるの だけれども実態としては非常に少ないものですから、そこまで細かく分析はできていま せん。したがって御指摘いただいたような、例えば交通事故の10割の問題であるとか産 科の自費の問題であるとか、そういうものも区別しないで全部入っていると御理解いた だければと思います。  島崎委員 わかりました。  座長 そのほか、いかがでございましょうか。  河上委員 感想めいたことで恐縮なのですが、私は契約法が専門なのですが、医療と いうサービスを受ける契約を除くほかの契約は、たいがい幾らぐらいのサービスを受け るかということをあらかじめ知ってサービスを受ける。弁護士と医者だけですよね、幾 らかかるかわからないという状態でそこへ行かないといけないのは。弁護士さんは、か つて料金表がありましたから相場観がまだあるので、今は病院だけです。病院に行った 場合、最終的にどんな治療が必要なのかわからないから、最初にどのくらいかかるかと いうのは予測できないことはわかるのですが、それにしても幾らかかるかわからない状 態で、でも治してほしいということで病院に行くという状態というのは、少なくともサ ービス契約を前提に考えるときは、異常だと思います。何かもうちょっと患者さんの方 で、これぐらいの治療だったら5000円札1枚持っていっておけば大丈夫だというような 方法というのはないものなのかというのを考えていたのですけども、その辺はいかがな ものなのでしょうか。最初の手当をするだけであれば、少なくとも1万円札1枚の中で おさまるというようなことは不可能なのですか。国民の健康は、国が責任を持って守る から治療費のことなど気にしなくてよろしい、というのなら話は別ですけれども。  小森委員 それは大変難しくて、例えば救急理論でも一緒ですが、救急隊が「軽症で す」と言って連れてきて、本当に軽症であったら簡単に退院できますが、実際に調べて みたら胸を刺されていたりとか、そういう場合は重症ですよね。それは極端な例ですが、 基本的に医療というのは、検査をしてみて、それによって初めてどれだけの治療をする かというのは変わってきますので、金額を決めるというのは難しいと思います。  ただ、高額療養費というのがありますので、ある程度の金額を超えるとここまでです よという国のちゃんとしたセーフティネットみたいのが働いていますので、そういう意 味ではとんでもない金額を請求されることは今のところはないと思います。  座長 これは医療関係の方は釈迦に説法ですが、一応公的医療保険の場合はメニュー 表があるので、これだとお幾らというのはわかるのですが、そもそもこれかどうかがま ず行かないとわからないというところがあるので、本人はもっと軽いものだと思ってい たら、実はCTを撮ってみたらとんでもないということになると全く違う結果になる。 そこが難しいだろうなとは思います。  対馬委員 未収金の医業収益に対する割合ということで、例えばTKCの資料4−2 の2、3ページあたりだと医業収益に対するということになるのですが、医業収益とい う意味合いは、いわゆる収入なのですか、それとも収支を差し引いた後の。  今村委員 ではなくて、企業会計で言う営業収益、いわゆる売上。売上に対してです から非常に低くなるのですが、今、御指摘いただいたように収入ということから言うと、 15万円といえばそれなりの金額になるのかなと思っています。何%かという意味では。  対馬委員 今ちょっと話が出ましたが、無床だと10万円とか8万円とかですね。それ が有床ですと結構多いところもあって、例えば精神科だと二百数十万円とかそういうこ とのようなのですが、全体に調査される前にこのぐらいかなと思ったのが意外と多かっ たとか、そうでもなかったとか、そのあたりの評価はどうなのでしょうか。  今村委員 もともと調べる前に、自分も診療所をやっていますので、そんなに多いと いうことはないだろうなと。ただ、これはあくまで自分の経験は限られた、私などは都 市部でやっていますが地域の患者さんが多いものですから、言葉は悪いのですが踏み倒 すような方はめったにいないわけですが、全国的にみたときにそういう傾向がみんな当 てはまるかどうか、正直いってわからなかったので、今回、冒頭申し上げましたように 日本医師会の調査だけだとどうなのだろうと思って、改めて別に会計事務所のデータも とったのですが、非常によくそろっているので、そういう意味では診療所の実態をある 程度正確に反映しているのではないかなという印象を持ちました。  座長 よろしゅうございましょうか。もう一つ議題として大きなものがございますの で、特段なければ、次の議題に移りたいと思います。  それでは、前回の検討会で調査することになっておりました国民健康保険における一 部負担金減免制度及び保険者徴収制度に関する実態調査ということで、事務局で調査を 実施していただきました。今般、その調査結果がまとまりましたので、これについて事 務局から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  神田国民健康保険課長 資料5に基づいて御説明をいたします。これは昨年の12月の 段階で、18年度1年度間の一部負担金の減免とか保険者徴収の状況について調査をした ものでございます。全市区町村から回答は得られております。  まず調査結果の1で、一部負担金の減免実施状況ということでございます。減免その ものは、法律上は特別の理由がある被保険者に一部負担金を支払うことが困難であると 認められる場合には、その減額とか免除を行うことができるとされております。「制度有」 「無」と書いてございますが、そういう意味で申しますと制度は特段、規則とかそうい うものを定めていなくても根拠はあるわけですが、その制度運用に当たっての条例とか 規則、要綱といったものを定めているかどうか、そういうものを「制度有」「無」と申し ております。(2)に書いてございますように、1818のうち6割弱の市町村で条例とか規則 を定めている。「制度無」というのは、できないという意味ではございませんが、そのよ うなものを定めていないというところであります。  「無」というところの理由で、なぜ決めていないのかということであります。表では、 財政影響が心配だということとか、減免事由に当たるどうか判定が難しいということで 定めていないところが多いということが見ていただけるかと思います。  2ページは、減免についてなにがしかの運営の基準を定めている「制度有」とされて いる保険者の中で、どのような事由で減免を認めるのかということを調べたものでござ います。これでごらんいただきますと、災害とか事業の休廃止、失業というものが多い ことがわかります。  また、低所得であることを基準にして減免をしている市町村は155でございますが、 その中で(5)でありますが、具体的に低所得の基準を定めているかどうかということを調 べたところ、具体的な基準を定めている市町村は111ということでございます。具体的 な基準はどういうものかというのを記載していただいておりますが、ほとんどのところ は生活保護基準を、あるいはその一定割合を乗じた額を基準として減免を決定している ということでございます。  3ページ、減免実施状況ということでございます。基準を決めている1003の市町村に おける実際の申請件数、実施件数でございますが、申請が1万949で実施が1万764で、 申請があればほとんど認められている。減免額総額は6億5000万弱でございます。  「件数が少ない理由」と書いてございますが、減免実績が10件以下のところになぜ件 数が少ないのかという理由を書いていただいたのが(9)であります。一つは、減免事由が もともと災害とか失業とか休廃業ということに限定されていますと、そもそも減免の数 が少ないということで周知はしても数が出てこないということもあろうかと思っていま す。(9)を見ていただきますと「周知不足」というのが非常に多いわけでありますが、周 知は定期的にしているけれども申請がほとんどないというところは、これは事由との関 係ということもあろうかと思っております。  また、生活困窮者ということで言いますと、相談に来る方のほとんどが生活保護の適 用を受ける状況になっていることから、実際の適用に至っていないということがござい ます。  これは全県だけで書いておりますので、満遍なく発生しているとみられるかもしれま せんが、実は1003のうち実際に申請受付をしたのは111ということですので、制度の運 用基準は設けていても9割のところでは申請がなかったということでございます。1割 ぐらいのところで実際の申請があったということでございます。件数が少なかったとこ ろが、そのうち7割方は10件未満というのが実態でございます。  もう少し分析をいたしますと、2ページで低所得ということで低所得の判定基準をつ くっているところは111ございますが、この111の中で実際に申請を受け付けているの は28市町村ということでございます。先ほどの実際の受付を受けたのが111と申しまし たが、たまたま数字が一致しているだけで、低所得基準を設定している111の市町村で 実際に18年度に申請を受け付けたのが28市町村ですが、実は減免実施は1万700件余 あるわけですが、その28市町村で4500件の減免の実績が出ているということですので、 非常に市町村によって集中しているということがいえるかと思います。  6ページ、7ページの地域別の表をごらんいただきますとわかりますように、特定の 地域に非常に多い。ある程度実績が出ているところが、北海道、秋田、埼玉、東京、神 奈川、広島、宮崎、鹿児島といった10県程度のところに非常に集中していることがごら んいただけるかと思います。  4ページ、保険者徴収ということで、医療機関側で善管注意義務を尽くしたにもかか わらずそれでも払ってもらえないときには、保険者は医療機関の請求に基づいて滞納処 分、強制徴収ができるという規定がございます。その実際の運用のために、要領とか取 扱いの基準を定めているところを調べたところ、1818のうち120で具体的な要領なり基 準を決めていたということでございます。数は限られているということがいえるかと思 います。  (2)が具体的な保険者徴収の実施状況ということでございます。1818の保険者のう ち、実際に保険医療機関からの請求を受け付けた市町村は34、総受付件数が159で、保 険者徴収を実施したというのは86でございます。  これも、8ページ、9ページに地域別の状況というのが出ております。全国159件の うち、福岡が105件、沖縄が19件、鳥取が8件、あと、全国的にぱらぱらとあります。 これもごらんいただきますとわかりますように、非常に地域的な偏りがあるといえるか と思います。  実際に実施をしたところでどこまで実施をしているのかということで、4ページをご らんいただきますと、159件請求があって86件実施をしたということですが、ほとんど のところは文書催告までが77件ということで、財産調査までしたところが1件あるとい うことでございます。  実際に回収できた金額ですが、これは33万4000円ということで2件だけでございま す。1件は入院で1件が外来ということでございます。  保険者から請求があったけれども実施していないところにその理由を聞いたのが(8)で ございます。これを見ていただきますと「回収努力」とあります。その説明は5ページ の上に書いてございますが、医療機関側から請求がありましたが、善管注意義務が果た されていないなど、医療機関側での回収努力が不十分と判断したので実施をしなかった という理由が相対的には多くなっているという状況でございます。  以上でございます。  座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの御説明につきま して、御意見等がございましたらいただきたいと思います。  崎原委員 減免処置を実施して、それを現に通知をされているかどうかということが あると思うのです。それから、減免を処置して減免をしていただいたのだけれど、それ だけ病院の収入が合法的に少なくなっているということなのでしょうか。  神田国民健康保険課長 これは法律上は、もともと医療機関には診療報酬点数に基づ く診療報酬から一部負担金を引いた額をお支払いしますよと書いてありまして、減免し たら減免した一部負担金を差し引くことになっていますので、その部分は医療機関の御 負担になることはございません。保険者が負担をするということでございます。  それから通知については、緊急の場合には一時的には事後になることもございますが、 通達上、実際には減免をする場合には証明書を交付するという取扱いになっております ので、医療機関側でも当然、証明書を持っていって保険証と一緒に出してくださいとい うことになっていますので、医療機関側でもそれは継続しているケースであれば確認い ただけるのであろうと思っています。  座長 そのほか、いかがでございましょうか。  崎原委員 初めてこういう結果を見まして非常に参考になりまして、本当にどうもあ りがとうございました。もちろん印象は、今、御報告の方から言われましたように非常 に数が少ないということで、この問題を解決するためには、病院も保険者への忠告をす るとともに、保険者の方もそれにこたえてくださる、そういうお互いの信頼関係ができ ることが非常に重要ではないかと思っていますので、今後、こういうことにつきまして はよろしくお願いしたいと思います。  島崎委員 やはり調べてみるものだというのが率直な印象ですが、それはともかく、 一部負担金の減免についての考え方を教えていただきたい。財政負担の問題があるから 減免について躊躇するというのは、確認なのですが、財政調整交付金の対象にもならな いから保険者としてみればその分だけ穴があくという意味ですか、というのが一つです。  二つ目として、一部負担金の減免についての基本的なものの考え方としては、今、ど ういう立場をとっているのかということです。これは今後のこの検討会での議論の話な のかもしれませんが、基本的には一部負担金というのは法律の定めどおり払っていただ くのが大原則であり、高額療養費の限度額も結構きめ細かく区分しているので、例えば 災害であるとか事業をやっていて倒産をしてしまったとかそういう真にやむを得ないも のに減免というのは限定していくべきだと考えているのか、そうではなくもう少し広く とらえてもよいと考えているのか、その辺の考え方を確認いたしたいと思います。  座長 今、2点御質問だったと思いますので、よろしくお願いいたします。  神田国民健康保険課長 今回の調査でどこまで言えるのかということはございますが、 財政影響というのは、これは非常に件数がふえた場合にどれだけ財政的な負担になるの かということを懸念しているということかと思います。先ほど申しましたように、減免 すると保険者負担になるということですが、保険料積算上、減免分を保険料の賦課の対 象額に入れていないと一般会計で補填するというようなことになりますので、運用がル ーズになれば一般会計からの持ち出しになるのではないかという懸念があるということ かと思っております。  したがって仮にそういう懸念にこたえるとすれば、おっしゃられたような調整交付金 上の一定以上、非常に件数が多いようなところについて調整交付金でなにがしか配慮を するとか、あるいは方法としては保険料算定の中に過去の実績に基づく減免分をきちっ と算入できるように基準上、書き込むということも、可能性としてはあり得るのではな いかと思っております。  2点目は……。  島崎委員 考え方として限定的なのかどうかということですが。  神田国民健康保険課長 法律上は、先ほど申しましたように特別な理由がある被保険 者で一部負担金を払うことが困難であるということしか書いてございませんので、今回 調べてみてわかりましたのは、財政影響を心配しているとか判定困難というところは、 運用の基準を決めていないわけです。先ほど申し上げたように、基準を定めている28 の市町村で4500件の実績が出ている。逆に言うと、きちっと基準を決めないから判定も 難しいし、どこまで財政影響が出るのかわからないという懸念があるのではないか。私 どもとして現時点でこれを積極的にやるとかやらないというスタンスを決めているわけ ではありませんが、事由からいうと保険料の減免事由と非常に似通っているわけですが、 保険料の条例減免というのはどういうふうにやっているかというと、もともと所得は捕 捉して保険料賦課しますので、最初から低所得の方については応益割という人頭割とか 世帯割の保険料をもともとも7割、5割、2割というふうに軽減するのが一般的ですが、 保険料を賦課した後の事情で災害にあった、あるいは失業をした、世帯主が病気になっ て保険料を支払えない事情が生じたときに、条例上の減免としてそれを救済している。 そういうことからすると、今回、事由を調べてみて、保険料の減免事由と非常に似通っ ていますので、特段のそういう事情があったときにこれが運用されるのであろうと思い ます。  もっと申しますと、保険制度というのは基本的に相扶共済で、保険料を持ち寄ってみ んなでリスクヘッジをするということでございますので、それがずっと保険料も持ち寄 れないし一部負担金もずっと負担できないということであれば、もちろん扶養の問題と か財産の問題がございますが、医療扶助とか生活扶助といった方にきちっとつなげて支 援をしていくのが基本ではないかと思っています。  座長 よろしゅうございましょうか。  原委員 保険者の視点の立場でちょっとお話しをさせていただきます。1818の「制度 有」「制度無」と、本当によく調べてもらったことではないかなと。この中でみますと、 5ページに1818の区市町村においては保険料の問題が医療費の未収と同じくあるわけ で、そちらの方が非常に厳しい状態。税金の滞納、その辺で保険者としても医療費の未 収とあわせて税なり料なりの滞納については非常に苦慮している状況であります。意見 として報告しておきます。  座長 ありがとうございました。そのほか、いかがでございましょうか。  崎原委員 減免の方は数がわかりましたが、保険者請求をやっている159件で、その うち、実際に回収したのが2件だけということでございますね。ですから残りの157件 は努力をしたけれど回収はできなかった、こういうことになって、その後、処分はなさ いましたですか。法律によりますと、保険者の徴収をやって、なおかつそれができない 場合には被保険者を処分できるという条文ですよね。ですから、そういう条文に基づい て何か処分をなさったかということが1件です。  それと、国保のことはわかったのですが、社会保険の場合にこういう調査を今度して いただけるかどうかということがもし何かありましたら、教えていただきたいと思いま す。  神田国民健康保険課長 法律上は当然、強制徴収までできるということですので、滞 納処分までできるわけですが、実施していない理由と書いてありまして、160件請求が あったのですが、実施をしたものが86件で、医療機関側の回収努力不十分というのもあ りますが、8に、ちょっと理由は違うのですが、見ていただきますと、調査をしたとこ ろ、保険者に資力がないとか、既に時効になっていたとか、催告に応じて既に払ってい たとか、転出して行き先が不明だとかいう事由が出ております。もちろん法制的にはで きるわけでありますが、実際上は資力があって払っていただけたというのが非常に少な かったということかと思うのです。  先ほどの法的な措置のところでもございましたが、医療機関側から請求したときもな かなか難しいのに、保険者が請求したら途端に払ってもらえるという状況にはなくて、 その辺の資力があるかどうかという点ですとか送達の問題は、保険者が請求しても基本 的には同じ問題を抱えているということではないかと理解しています。  座長 では、岩淵課長。  岩淵保険課長 健康保険の方は調査はないわけですが、検討したいと思います。  座長 時間も押し詰まっておりますので、この件についてはこのくらいでよろしゅう ございましょうか。  では最後に一つ残っておりますので、手短に社会保険庁との資格情報交換ということ について、これも事務局から御説明をいただきたいと思います。  神田国民健康保険課長 資料6でございますが、対策の取りまとめのところで、資格 喪失等の場合に社会保障カードが導入されれば資格喪失後の受診とか保険未加入という ことが防げるのではないかということで、カードをつくるときに何らかの形で保険者の 資格情報のデータベースができれば、それと突合することによってそういうことができ るわけでありますが、それは平成23年度の導入を目途に今年度、基本構想を取りまとめ ることになっております。それまでの間ということで、今、社会保険庁との間で資格情 報のやりとりをして、資格の適正化を図る事業を検討しているということでございます。  具体的には、資料6のポンチ絵でごらんいただきますと、国民年金の第2号被保険者 の資格喪失、これは事業主から届け出が出てまいります。要は会社をやめたということ がございますと年金の2号資格の喪失ということになりますので、その情報を国保に提 供していただいて、例えばそれを市町村の端末で見ることができるとしますと、自分の 市町村に住所があって被用者でなくなったということであれば、基本的には国保の強制 適用の対象の方であることが確認できるのではないか。既に別途に就職しておられると かそういうことはもちろんあろうかと思いますが、それを見ることによって資格の適用 の適正化をしていく。  よくある事例でいいますと、会社をやめたとか失業をした後に、実際にその方を捕捉 して保険料を払っていただくまでにどうしても時間があいて、それを見つけた段階では 未納の状態になっているということで、療養費払いでお支払いしようにも未納ですので お支払いできないという事情があります。そこで、23年度からはカードの導入が検討さ れていますが、その前の20年度中にも今申し上げたようなことができれば、資格の適正 化につなげていきたいということで検討しているということを御報告いたします。  座長 ありがとうございました。今、御説明いただいた資格情報の提供ということも 含めまして、きょう御議論いただいたことにつきまして、もし何か御質問あるいは御意 見がございましたら。  山崎委員 確認なのですが、無料低額診療事業についての申請なのですが、医療法人 というのは、先ほど中間法人的な法人の性格を持っているという話がありました。そう ですと、医療法人が社会福祉法に基づいて一定の税制のバリアをクリアすれば、このま ま無料低額診療事業の申請は可能なのでしょうか。税制上のというのは、法人の解散時 の財産を国庫に帰属するとか一定の条件がありますよね。その税制上の問題をクリアす れば申請ができるのでしょうか。  というのは、先ほど小森委員の発言にもあったのですが、実際、現場の病院でこの条 件をクリアしている病院などはごろごろあるのですね。一方ではそういう組織の形によ って税制上の恩典があって片方にないというのは、非常に不合理だと思うのです。した がって、医療法人というのは民法法人であるならば、では社会福祉法によって申請が可 能なのかどうかということを確認したいのですが。  座長 藤木課長、お願いできますでしょうか。  藤木社会援護局総務課長 私の説明が十分でなかったのかもしれませんが、社会福祉 法と申しますのは事業規制法です。社会福祉事業を行う場合に届け出をしてもらう、あ るいは非常に要援護者に対して強いかかわりを持つものについては許可制にする。それ に対して行政が、場合によっては立ち入り調査をする、必要な書類を求めていく。そう いうことによって社会福祉事業を適正にしていこうという法律でございます。  その社会福祉事業に対してどういう税制上の優遇措置を与えるか。これはある意味で は税務当局の御判断でして、もちろん私どもとしていろいろな要望をさせてもらうとい う立場でございますが、そこは再三お話し申し上げますように、社会福祉法体系として 社会福祉サービスとしての無料低額診療事業がきちんと行われるために行政がどう関与 をしていくかという議論と、その事業に対して税制上どういう優遇措置を行うかという のは、ある意味では所管の役所が違っているということでございます。もちろん、この 事業全体がトータルにうまくいくように私どもは必要な要望をしていきたいと思います が、そこの両面を見て少し現代的な意義づけもしていかなければならないと私どもは認 識しておりますので、勉強していきたいと思っております。  山崎委員 そうすると、現時点では申請ができないのですか、できるのですか。  藤木社会援護局総務課長 そういう意味では、税制上の優遇措置はございませんが、 届け出をしていく、あるいは行政の関与をしていくということになりますが、あえてそ ういうことで無料低額事業、税制上の優遇措置はないけれども、必要な届け出を役所に する、あるいは場合によっては行政庁の必要な調査をしたり、いろいろな方法を求める ということはありますが、それを受けるということであれば、それは若干規定の整備と かそういうことは必要かもしれませんが、基本的な法律の枠組みとしては主体を制限し ておりませんので、社会福祉法としては可能になっているということだと思います。  座長 よろしゅうございましょうか。それでは予定の終了時刻も少し過ぎております ので、本日の検討会はこのあたりで終了させていただきたいと存じます。  次回の開催日程でございますが、これにつきましては調整がつき次第、事務局から御 連絡をさしあげることになろうかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 先ほども触れましたが、恐らくは現在行われております未収金の調査の結果が判明した あたりで、その結果を踏まえて御議論をいただくことになろうと考えております。よろ しくお願いをいたします。  それでは、本日の会議はこれで終了させていただきます。どうも長時間にわたってあ りがとうございました。 (終了) 照会先:保険局 国民健康保険課 電 話:03-5253-1111 内3254