08/01/16 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成20年1月16日議事録 08/01/16 中央社会保険医療協議会          第118回診療報酬基本問題小委員会議事録 (1)日時  平成20年1月16日(水)10:02〜12:58 (2)場所  全国都市会館第2会議室 (3)出席者 土田武史小委員長 遠藤久夫委員 小林麻理委員 白石小百合委員        前田雅英委員 庄司洋子委員        対馬忠明委員 小島茂委員 丸山誠委員 高橋健二委員(代 小出)        松浦稔明委員        竹嶋康弘委員(代 天本) 鈴木満委員 西澤寛俊委員 渡辺三雄委員        山本信夫委員       古橋美智子専門委員        <事務局>       水田保険局長 木倉審議官 原医療課長 磯部薬剤管理官 他 (4)議題  ○平成20年度診療報酬改定について (5)議事内容  ○土田小委員長   皆様おそろいになりましたので、ただいまより、第118回中央社会保険医療協議会診 療報酬基本問題小委員会を開催いたします。  松がとれてから言うのもなんですが、明けましておめでとうございます。本年もどうぞ よろしくお願いします。  最初に、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、高橋委員の代理で全日本 海員組合の小出修三さんがお見えになっております。それから、竹嶋委員の代理で日本医 師会常任理事の天本宏さんがお見えになっております。そのほかは全員御出席です。  それでは、議事に入りたいと思います。  本日は、「平成20年度診療報酬改定」について議題としたいと思います。  まず、昨年の末に平成20年度予算・政府原案編成の過程におきまして、平成20年度 診療報酬の改定率が決められております。各委員の皆様には、事務局より、昨年既に連絡 させていただいているかと思いますが、改めて事務局より報告をお願いしたいと思います。  また、本小委員会におきまして、昨年の秋以降、平成20年度診療報酬改定を視野に入 れまして議論を進めてきたところでございますが、「これまでの議論の整理(案)」につ きまして、同じく事務局より資料が提出されておりますので、あわせて説明をお願いいた します。 ○事務局(原医療課長)  医療課長でございます。中医協診−1の資料をごらんいただきたいと思います。  「平成20年度診療報酬改定について」ということで、全体の改定率は▲0.82%と されております。これを診療報酬の本体の部分と薬価等の部分に分けますと、本体の部分 でいきますと、改定率は+0.38%、薬価分につきましては改定率が▲1.2%、差し 引き▲0.82%になっております。内訳は、それぞれのところでそうなっております。  なお、薬価改定に際しまして、薬価の基本調査をやっておりますけれども、2ページ目 の参考をごらんいただきたいと思いますが、最終的に、医薬品価格調査におきます平均乖 離率は約6.9%。また、特定保険医療材料のほうは、最終的に約8.7%となっており ます。  また、3ページ目には、薬につきまして主要薬効群別での乖離率を書いておりますので、 参考にしていただけたらと思います。  続きまして、中医協診−2−1の資料をごらんいただきたいと思います。これにつきま しては、昨年の10月から12月までにかけまして、この診療報酬基本問題小委員会で1 9回にわたりまして議論を行ってきたところでございます。これに際しまして、さまざま な御意見がありましたが、ここにあらわしております資料は、同じく昨年の医療保険部 会・医療部会でまとめられました診療報酬の改定の基本方針の項目に沿いまして整理をし 直したものでございます。緊急課題から、さらに4つの視点の項目、それから5番目に後 期高齢者医療制度についてあわせて書いてございます。これをもとに骨子についてまとめ ていただきたいと思っておりまして、これについて、本日時間の関係もありますので、取 り急ぎ説明をさせていただきたいと思います。  2ページ目をごらんいただきたいと思います。一番下から緊急課題として書いてありま す。「【緊急課題】産科や小児科を始めとする病院勤務医の負担の軽減」、これを一つの 大きな項目にさせていただいたわけですが、これにつきまして、「緊急課題−1 産科・ 小児科への重点評価について」でございます。  (1)、近年非常に増えてきておりますハイリスクの胎児や、あるいは妊娠、妊婦に伴 う対応ということで、(1)、ハイリスク分娩管理加算の対象者の拡大。(2)、同じく分娩に 至らないまでもハイリスクの妊娠の管理ということで、これも新たに項目をつくる。(3)、 それら2つのハイリスクの状況に対する妊産婦共同管理料の対象拡大でございます。(4)、 「ノンストレステスト」についての対象の拡大による妊娠におきます検査の充実を図るも のでございます。(5)、救急搬送時のいわゆる飛び込みの対応ということで、緊急入院時の 加算の創設。(6)、ハイリスクの妊産婦共同管理料、これは現在主として診療所のほうから 医師が搭乗してその病院のほうについていくという、非常にとりにくい点数ということも ありまして、そのあたり、しっかりとした情報を提供していただくということについても 評価してはどうかということでございました。  (2)、小児科、特に地域におきます子ども病院を始めとする地域の中核的な小児医療 について、これを高く評価してはどうか。  (3)、超重症児あるいは人工呼吸器を装着した患者が多い施設についての評価を適切 にしてはどうか。(1)、特にこれらの超重症児等につきまして、乳幼児期についての評価を 上げるということ。(2)、肢体不自由児(者)等の施設において、一定以上の割合で超重症 児等が入院しているということを条件としまして、障害者施設等入院基本料につきまして 7対1の基本料を設定してはどうか。  (4)、小児などにおきます言語障害に対するリハビリテーションとして、集団的なコ ミュニケーション療法というものを評価してはどうか。  (5)、障害者のリハビリテーションございますが、これにつきましては、児童福祉法 に定める施設等に限定されているわけでありますが、これをもう少し、この障害(児)者 を専ら受け入れておられるようなところがございますので、そういうところにも広げては どうかということを議論してまいりました。  「緊急課題−2 診療所・病院の役割分担等について」ということで、(1)、病院と 診療所の再診料の問題でございます。現在14点の点数格差がございますけれども、この あたりは、診療所と病院の役割の機能の違いがあるので、この点数格差は妥当という意見 もある一方で、必ずしもそれが病院と診療所の機能分化及び連携を推進する効果が期待で きないのではないか、これは要するに、患者の自己負担が逆に病院のほうが安くなって、 病院のほうに行きやすくなるのではないか、こういうような指摘もあることがありますの で、この際、診療所の評価を引き下げることについて検討してはどうか。  (2)、病院勤務医の負担となっております休日の夜間等、そういう診療時間以外に来 られる軽症者については、これを診療所で受け入れられないかと、そういうような協力を お願いできないかということで、その部分についての時間外の加算について、夜間診療等 の加算を設けてはどうかということでございます。  (3)、これは小児科領域でございますが、小児科の休日・夜間診療所等へ出向いてい ただく開業の先生方につきます地域連携小児夜間・休日診療料あるいは小児外来診療料等 についての評価を引き上げてはどうか。  (4)、これは地域におきます中核的な急性期を担っている病院について、入院時医学 管理加算の要件を見直して、それを十分な評価をしてはどうかということで、ここでは、 産科、小児科等々につきまして、入院医療を提供するでありますとか、あるいは精神科の 対応ができるでありますとか、それから一定程度の麻酔をやっている、そのような急性期 の病院について評価をしていきたい。その際、あわせて勤務医の負担軽減という点からは、 外来診療を縮小するための体制の確保でありますとか、あるいは病院の勤務医の負担軽減 に資するような計画を作成していただくことを考えております。  ここで、この入院時医学管理加算の要件見直しに当たりまして、特定機能病院及び専門 病院は対象としないということとしております。  そこで、中医協診−2−2の資料をごらんいただきたいと思います。特定機能病院につ きまして、全体的にどう考えていくかという議題ですが、これは今まであまりここだけに 焦点を合わせて議論してまいりませんでした。特定機能病院といいますのは、そもそも医 療法に定められている一つの病院の形態でございまして、そこでは、高度の医療を提供す る能力を有すること、高度の医療技術の開発及び評価を行う能力を有すること、また、高 度の医療に関する研修を行わせる能力を有すること等、このような役割が求められまして、 それに対しまして、当然ながら、施設基準でありますとか人員基準というものが一般の病 院に比べて高く定められているところでございます。  ここで診療報酬上どのような取り扱いをしているかと申しますと、下の入院基本料のと ころでございますが、一般病棟と特定機能病院の入院基本料、ここでは7対1の点数を書 いてありますが、点数そのものは同じ1,555点になっておりますが、その病棟の平均 在院日数が、一般病棟は19日以内ですが、特定機能病院のほうは、さまざまな難病の患 者さんでありますとか非常に複雑な患者さんといいますか、そういう患者さんもどんどん 受け入れていただく必要があるので、平均在院日数は28日以内というふうに緩和されて おります。その一方で、期間によります加算が、一般病棟では、例えば14日以内は42 8点に対しまして特定機能病院は652点というふうに高く評価されているところでござ います。  そこで、この2ページ目でございますが、さらに特定入院料につきましても、特定機能 病院として当然求められる役割でありますとか、あるいは逆にその役割にそぐわないもの については特定機能病院では算定できないということとしております。具体的には、小児 入院医療管理料につきましては算定できない。あるいはまた後でも出てまいりますが、亜 急性期入院医療管理料についても算定できないこととしております。  また、今回のこの勤務医負担軽減策の中で、今、入院時医学管理加算のところで説明し ておりますが、これについて算定できないとして考えておりますし、さらに、また説明い たしますが、次の項目、医師の事務作業の補助に係る加算についても特定機能病院につい ては加算を認めないということをしております。  それは、特定機能病院のそれぞれの持っている役割からいって、これらの加算は必要な いというふうに考えているところでありますが、ただ一方で、それに対応する体制もとれ ているところがございますので、そういう意味では、先ほどの、特に14日以内の期間の 入院基本料の加算について、それのかわりにこの部分で特定機能病院を評価してはどうか と考えているところでございます。  本体の5ページ目に戻っていただきたいと思います。「緊急課題−3 病院勤務医の事 務負担の軽減について」でございます。いわゆる医療クラークと言われている方々であり まして、特に地域の急性期医療を担う病院について、この事務作業を補助する職員の配置 に対する評価を考えていきたいということでございます。  「緊急課題−4 救急医療対策について」でありますが、これは、前回の総会ですか、 2号側の委員から意見がございましたが、この救急医療について特にごく早期の急性期医 療、特にここでは1日目から3日目までを考えておりますが、その部分を重点的に評価し てはどうかということでございます。先ほどの中医協診−2−2の資料の3ページにその あたりを書いてございます。今回の救命救急センターについては、全体としては触れない と考えておりますが、特に早期の非常に医療上管理が重要な時期、あるいは手間暇のかか る時期、そういう時期につきまして高く評価をしていってはどうかということで、このご く早期の救命救急入院料についての評価を新しく高く評価してはどうかと考えております。  本体の5ページに戻っていただきたいと思います。1つ目の視点、「I 患者から見て 分かりやすく、患者の生活の質(QOL)を高める医療を実現する視点」でございます。  「I−1 医療費の内容の情報提供について」。来年度からオンライン請求が義務化さ れる病院がございます。そういうところでは、当然ながら、明細書の発行等の事務処理体 制が整っていると考えられますので、必要な実費の徴収については認めつつ、患者の求め に応じて明細書の発行を義務づけるということとしてはどうかということでございます。  6ページをごらんいただきたいと思います。「I−2 分かりやすい診療報酬体系等に ついて」。  (1)、まずは、全般としての簡素化ができるところについて簡素化を図っていく。  (2)、後期高齢者医療についての点数表を全く別物にしないで、一般の点数表の中に 溶け込ませた形で考えていく。  (3)、診療報酬上の項目名が必ずしも診療内容等がピンとこないというお話もござい ましたので、項目名について、できるだけ分かりやすい内容となるような点検を行ってい きたいと思っております。  (4)、例えば患者にとって、患者へ病状等について懇切丁寧な説明を、あるいは計画 的な医学管理というのを評価しております外来管理加算、これについては、その他の検査 や処置等を行わない場合に加算がされることになっておりますが、これについて、患者へ の懇切丁寧な説明という部分からいって、5分未満の診療時間であれば多分できないだろ うということで、5分以上という時間の目安を設けてはどうかというふうに考えておりま す。  (5)、疾患別リハビリテーション料、昨年の4月に一部を見直したところであります が、その際に財政中立でやる必要がありましたので、逓減制や医学管理料というようなも のを設けたわけでありますが、この際、全体的な改定の中で、(1)、逓減制あるいは医学管 理料を廃止をして点数の一本化を図るということ。(2)、リハビリテーションの早期の実施 の加算というものを考えるということ。(3)、それにあわせまして、逆に病棟におきますA DL加算については廃止をする。(4)、リハビリテーションの計画評価についてなのですが、 これについて月1回算定できることとしたいと考えております。  (6)、診療報酬体系の簡素化という面からもそうですが、標準的な治療方法が確立さ れているものにつきまして、その手術に伴う入院期間、あるいは投入コストがそれほどど この医療機関でも変動がないものについて、1手術単位の支払方式の導入を考える。お示 ししましたのは、5日以内の入院に係ります15歳未満の鼠径ヘルニア手術でございまし た。  (7)、現在検査の部の中に病理学的検査が入っているわけでありますが、病理学的検 査というのといわゆる臨床検査そのものとは、やはり質が違うというところがありますの で、「第13部 病理診断」という項目を設けてはどうか。あわせて、特に急性期医療で 包括されている部分の中では、その病理学的検査診断料あるいは判断料について包括範囲 外として出来高で評価を行うということを考えております。  「I−3 生活を重視した医療について」ということで、(1)、生活習慣病管理料で ございます。これにつきましては、評価をしていただきましたけれども、これを一層普及 促進を行うために、療養計画書の簡素化あるいは療養計画書の交付頻度を減らすというこ と、それにあわせまして、患者負担が高いということも出ておりましたので、その評価に ついては引き下げを考えたい。また、これにあわせまして、2型糖尿病の管理で自己血糖 測定用キットに関する加算項目、いわゆるキット代の加算が現在あるわけですけれども、 これにつきましては、インスリンを打っていない患者さんにつきましても、その教育効果 が非常にあるということで、こういう加算を新設してはどうか。  (2)、糖尿病の合併症についてでありますが、そのうち、特に早期発見、治療あるい は指導が必要でガイドラインが示されているものとして、「糖尿病足病変」というものが ございまして、この足病変に対する重点的な指導・管理についての評価を新設してはどう か。  (3)、人工透析について、これは今現在、透析時間によるものがありませんけれども、 やはり長時間の透析が必要な方もおられるということから、長時間の人工透析についての 評価を行ってはどうか。  (4)、院内検査。検査料については年々実施料は引き下げてきたわけでありますけれ ども、その院内での検査体制が非常に脆弱になっている。そのために、検査結果が速やか に診療側に届かない、あるいは異常値の出現のときの緊急の対応等にも支障があるという ことから、院内検査の体制をしっかりしていただくための引き上げを考える。あわせて、 逆に、その分と相対的には検査の判断料については引き下げてはどうかということでござ います。  (5)、新設項目でありますが、これは後で出てまいりますが、特に今現在先進医療か ら保険導入を考えている項目が幾つかあるわけですけれども、その中で、遺伝子検査の項 目がかなり入ってくる予定でございます。そういう点からいきまして、遺伝疾患について 適切なカウンセリング体制というものをとる必要があるだろう。これは、お子さんの場合 は保護者の方々、あるいは御本人に対しましての、将来自分の子どもへの影響等々、非常 に心理的なサポートも必要になりますので、そのような体制についての評価を考えていき たいと思っているところでございます。  「I−4 保険薬局の機能強化について」でありますが、これにつきましては、先ほど の夜間や早朝での診療所の加算を考えているのとあわせまして、調剤薬局のほうでもその 時間帯に開局していただくということについて評価をしてはどうかということでございま した。  全体の大きな2つ目の視点でありますが、「II 質の高い医療を効率的に提供するため に医療機能の分化・連携を推進する視点」でございます。  「II−1 質が高い効率的な入院医療の推進について」でございます。これにつきまし ては、まず(1)、DPCについて。DPCの支払対象病院の拡大についてということで、 (1)、平成20年度DPC対象病院につきましては、その基準を、まず1つは18年度に基 準にしたものに加えて、それから2年間のデータ提出を求め、さらに提出されたデータが 適切であること、さらにデータと病床の比率が8.75以上であることという要件を加え てはどうかというふうに考えております。  (2)、DPCの対象病院の基準としてこの新しい事項を設けましたので、既にDPC対象 になっているけれども、これを満たさない病院もございますので、それについては一定の 猶予期間を経た後、対象から除外してはどうか。  (3)、医療機関別の調整係数につきまして、平成20年度改定においては、先ほど申しま した全体がマイナス0.82%という改定率でございましたので、このような改定状況を 勘案してこの部分についても見直してはどうか。  (4)、この調整係数を設定する制度、これを廃止に向けた検討を速やかに行っていくとい うことにしておりまして、その結果を踏まえて、平成21年度以降のDPC対象病院の取 り扱いを検討してはどうかということでございます。  (2)、また、DPCに係る診断群分類につきましては、DPC評価分科会でいろいろ と検討をしていただきましたけれども、それについての医療資源の同等性や臨床的な類似 性等々から分類を見直す。それから、アップコーティング防止等の観点からの見直し等も 行うところでございます。  参考資料、先ほどの中医協診−2−2の4ページをごらんいただきたいと思います。  「DPCについて(4)」ということですが、適切な診断群分類の設定ということで、特に今 回高額な薬剤を使う場合について、診断群分類の分岐を行うことを考えていきたいという ことで、やはり高額な薬剤を使うか使わないかで、非常にその同じ分岐の中で点数格差が 出てまいりますので、具体的にはここに出ております慢性肝炎、あるいは慢性C型肝炎と いうところでの「手術・処置等2」の項目の中のインターフェロンβを7日以上投与する かどうかについて分岐を行うということにしていきたい。  5ページでございますが、制度運用の留意事項でございます。ここでは、先ほど申しま したように、対象病院についてどうしていくかということが書いてございまして、(1)、 (2)は、先ほど説明したとおり、20年度からの新しい基準項目をつくりますので、そ の項目を、既に対象病院になっているけれども満たせない場合については1年の経過措置 を設けるということ。  (3)、例えば看護配置基準は10対1以上ということになりますけれども、これにつ きましては、やはり急性期の医療ということを評価しているという観点から、3カ月間の 猶予期間を設けて、それでもなおかつ10対1以上が満たせない場合については対象病院 から外すということとしたい。  (4)、これら対象病院から除外された場合については、引き続きDPCの準備病院と しての調査に参加をしていただけるような仕組みを考えていきたいと考えております。  (5)、調整係数の話で、先ほども述べました。  それから第3の調整係数につきましては、従来、診療報酬改定の前年度調査データに基 づき設定をしておりますけれども、今回は、2年間分のデータをもとにその調整係数を設 定してまいりたいというのが論点の(1)でございます。さらに、前回もこの全体の改定 率はこの5区分で調整をいたしましたけれども、やはり全体の改定率のマイナス0.8 2%につきましては、この調整係数を設定する際にこれを反映させていくということにし たいと思います。  それから、先ほどの勤務医負担軽減策等のところでございますが、その一般病棟に係る 入院基本料の14日以内の期間に係る加算、これはDPCのところに影響する項目もあり ますので、この加算をさらに検討するということにしたいと思います。  もとに戻っていただきまして、本体の8ページでございますが、II−1の(3)、平均 在院日数の短縮の流れに適切に対応するため、急性期治療後の患者さん、現在亜急性期入 院医療管理料というのが設けられておりますが、これについて要件の緩和を考えてはどう かということでございます。  行ったり来たりで申し訳ございませんが、中医協診−2−2の7ページをごらんいただ きたいと思います。急性期入院医療につきましては、特に包括的な評価でありますDPC 制度が導入されてまいりまして、平均在院日数が相当程度短縮化されております。その中 で象徴されますのは、ほぼ治癒に近い状態だけれども完全な治癒までは至らない状態で退 院される方も多々出ております。そういう意味では、この急性期の入院医療を、在院日数 を一層短縮化させるためには、急性期後の入院医療をしっかりと、すぐには家に帰れない という、そういう状況の対応を考える必要があるだろうということで、現在の診療報酬上、 亜急性期入院医療管理料がございます。  これにつきましては、急性期治療を経過した患者さん、今言ったような状態の方と、あ わせて在宅あるいは介護施設等からの患者さんの急性増悪に対する受け皿の2つの機能を あわせ持って、この亜急性期入院医療管理料というのは設定をされているところでござい ます。条件は8ページにございますけれども、さまざまな条件がございまして、1日につ き2,050点という包括評価になっているところでございます。  今回は、この急性期後の入院医療をさらに受け皿を充実させるという意味で、この急性 期の医療機関の後方支援としての急性期治療後の患者の受け入れ、この部分に着目をして、 この亜急性期入院医療管理料の新たな分類を考えてはどうかと考えております。  例えば具体的には、要件のところでいきますと、2の(3)の「当該病室の病床数は、 当該保険医療機関の有する一般病床の数の1割以下であること。」という、これが非常に 強い制限になっておりまして、そういう意味では、もう少しこういうあたりを緩和をして、 積極的に急性期後の患者さんを受け入れていく必要があるだろう。その場合に、この算定 期間、90日というのは、ある意味では逆に長すぎるとか、そういう意味では、急性期後 の入院について着目した部分の項目をこの亜急性期入院医療管理料の中に新たにつくって いきたいと考えているところでございます。  本体に戻りまして、9ページをごらんいただきたいと思います。(4)、長期入院患者 等につきまして、住み慣れた居宅等での療養生活に円滑に移行するための、患者の同意の 下で、退院計画を立案した場合の評価。  (5)、地域における医療連携の促進の観点から、現在、退院時の情報提供料というの はまだ加算があるわけでありますけれども、退院時というのは、他の医療機関へ退院して すぐに移る場合がございますけれども、よく考えられる例としては、退院後数回は自院で 外来で少し様子を見て、それから他の医療機関に紹介するということが考えられますので、 その場合に、退院時のみ算定ができるというこの加算につきまして、これは退院日の翌月 までの範囲で提供した場合に加算の範囲を広げてはどうかということでございます。  (6)、特殊疾患療養病棟入院料等につきましては、20年3月いっぱいで廃止予定で ございましたが、本来この特殊疾患療養病棟の目的でございました重度の肢体不自由児 (者)等につきまして、その対象を明確化した上でその廃止については見直しをするとい うことにしてはどうか。  (1)、その際に、いわゆる脳卒中の後遺症患者さん、あるいは認知症の患者さんについて はこの対象疾患からは明確に除外をしていく。  (2)、その中で、特殊疾患療養病棟から療養病床に転換する場合等につきましては、激変 緩和措置も一定期間は考える。  (3)、名称につきまして、「特殊疾患病棟入院料」としてはどうか。  (7)、障害者施設等入院基本料につきましても、本来これをつくられた趣旨・目的に 照らして対象患者等を限定するという(6)と同等の見直しを行う。  (8)、感染症対策の拡充のため、特に包括評価を行っている病棟におきます、例えば 非常に高額な薬剤については、適切な入院料を確保するという観点から、包括範囲の対象 外とするということを考えております。  (9)、特に排菌量の多い二類感染症患者につきましては、個室での療養の対応につい て評価をするということを考える。  (10)、有床診療所につきまして、医療法が改正されまして48時間を超える入院につ いてその病状急変による対応等々が規定されたところでありますが、これにつきまして対 応が整ったところについての評価を考えてはどうかということでございます。  「II−2 質の評価手法の検討について」ということで、(1)、回復期リハビリテー ション病棟の中で、試行的に、しっかりと回復するかどうかという質の評価を導入してい ってはどうかということでございます。  (2)、慢性期入院医療の評価ということで、ここでは、それぞれの療養病棟におきま す医療区分やADLの項目について検討がなされたわけでありますが、これに対しまして、 その検討結果を踏まえて、一部その評価項目についての見直しを行う。あわせまして、医 療経済実態調査の結果などから、療養病棟入院基本料全体については若干の適正化を図っ ていきたい。  (1)、これは将来的な医療の質の評価ということを想定して、ケアの質を反映する褥瘡の 発生割合や、あるいはADLの低下等についてのこの病棟における測定・評価、記録をお 願いしたい。  (2)、医療区分やADL区分のチェックにつきましては、連日ではなくて、患者の病態の 変化時で構わないのではないか。  (3)は、先ほど言いました区分の評価項目の若干の見直し。  (4)、医療区分2にございました認知機能障害加算については廃止をする。  「II−3 医療ニーズに着目した評価」。ここでは、7対1入院基本料の見直しでござ います。  11ページをごらんいただきたいと思います。(1)が、「看護必要度」による基準を満た す病院のみが届出ができることとするということで、この新たに導入します「看護必要 度」につきましては、今現在ハイケアユニットにおいて用いられております「重症度・看 護必要度」をもとに、一般病棟での対応を考えてここに示された項目についてチェックを していくということにしております。  それから、下の注意事項として、産科の患者さんあるいは小児科の患者さんについては、 やはりこの工夫した「看護必要度」の測定項目が必ずしもふさわしくないということから、 この部分については測定対象から除外をする。  救命救急センター設置病院については、この「看護必要度」による基準を満たさない場 合であっても、7対1の入院基本料の届出ができることとする。  それから、準備期間について3カ月程度必要であろうと考えておりまして、平成20年 7月からの適用とする。  それから、逆に、この「看護必要度」の基準を適用した場合に、7対1入院基本料の算 定ができなくなる病院がございますので、19年度末時点で7対1入院基本料を算定して いる病院で基準を満たせないものについては、2年間の激変緩和措置として、10対1入 院基本料に多分下がってきますので、そこに看護補助加算をその病院のみ認めるというこ とを考えたい。  それから、7対1入院基本料のさまざまな条件につきましては、特定機能病院には適用 しない。  (2)、現時点におきまして7対1入院基本料というのは、やはり全体の看護師数等から見 まして、急性期をしっかりとやっている病院に限定していく必要があると考えておりまし て、そういう意味では、医師がしっかりいる病院ということで、病床数に対して10分の 1以上の医師数、それから医療法の標準を満たしている病院、それにつきまして評価をし たいということで、それを満たさない場合については7対1入院基本料からの減算という ものを考えていく。この際に、へき地等に所在する病院につきましては、特別な配慮をあ わせて行いたいと思っております。  「II−4 在宅医療の推進について」です。  (1)、在宅療養支援診療所についてですが、半径4キロ以内に診療所がない、病院だ けがあるというような地域におきましては、そこでの在宅医療の促進を考える観点から、 病院においても在宅療養支援診療所と同様の評価ができるようにしたい。具体的には、在 宅時医学総合管理料1、高いほうの点数が算定できるということにしたいということでご ざいます。  (2)、療養病床から転換していきます介護老人保健施設におきます医療についてです が、夜間または休日において、この老人保健施設のほうのオンコールの体制をとっていた だくことにしておりますが、対応が必ずしもその医師ではできないというような場合につ いて、このオンコール医師の求めに応じて併設する医療機関からの訪問診療について評価 をしてはどうか。  (3)、転換した介護老人保健施設におきます緊急時に必要となる処置等につきまして、 この医療保険のほうから給付できる項目を、下の創傷処理等々について拡大をしてはどう か。  (4)、訪問看護につきまして、あと後期高齢者のところでさまざま出てまいりますが、 これにつきまして75歳未満の方に対しても必要な部分がございますので、その部分につ いては、75歳未満でも同等に広げていくというような予定でございます。  「II−5 精神障害者の療養生活支援について」でございます。  (1)、長期入院の是正ということで、1年以上の長期入院患者に対する退院支援計画 に基づいて行う地域移行支援、これについての評価。  (2)、同じく長期入院患者さんですが、特に入院期間が5年以上にわたっている患者 さんについて、この退院調整を積極的に行っていただくという観点から、その5年以上の 患者さんが一定割合以上減少したという病棟についての評価を考える。  (3)、逆に長期化を防止するという観点からは、退院前訪問看護・指導というものが、 特に家族調整等々が必要になりますので、その対象範囲を拡大して、3カ月未満の者に対 してもこれができるように拡大をしてはどうか。  (4)、精神障害者が安心して地域での生活を営めるように、例えば服薬の中断等によ り急性増悪した場合などは、必ずしもすぐに入院が必要になるわけではなくして、この場 合にも精神科の訪問看護で対応できる部分がありますので、そういう場合には、その回数 等について緩和をしていってはどうか。  (5)、地域移行を推進する観点からは、今現在、入院期間に応じた加算がありますけ れども、長期の部分については適正化をしてはどうか。  (6)以降は、まずは救急医療でございます。精神科救急につきましては、地域の中核 病院等の精神病床で精神科治療にあわせて身体合併症の治療を行うということの入院料の 創設であります。  (7)、精神科救急入院料について、整備状況の地域格差が非常にございますので、こ のあたりの算定要件の見直しでありますとか、入院早期から在宅への移行支援をさらに推 進するという観点からもあわせた算定要件の見直しを考える。  (8)、精神病床に入院している障害者の身体疾患の合併症の問題。これにつきまして は、慢性期ではありませんが、急性増悪した等の場合におけます急性の発症に対します治 療についての加算を創設をしていきたい。 (9)、精神病床や結核病床で、動けない場合に肺血栓塞栓症が発生するおそれがござ いますので、これについて一定の条件の下に肺血栓塞栓症の管理料の算定を認めてはどう か。  (10)、認知症患者さんについて、入院早期における対応、非常に暴れてくるとか、せ ん妄があるとか、そういう状況がございますので、入院早期の評価の引き上げを考えては どうか。  (11)、認知症につきましては、今後さらに増加をしてくるということが考えられます ので、いわゆるかかりつけ医が、その認知症疾患の専門的診断ができる医療機関に対して、 文書を添えて紹介した場合の評価を考えてはどうか。  (12)、精神科の外来につきましては、診療時間が非常に長時間かかる患者さんと必ず しもそうでない患者さんがいるということから、この精神科の外来精神療法について時間 の目安を設けてはどうか。それから、非常に長時間にわたるという場合は評価を引き上げ てはどうか。それから、地域で療養生活を送っておられる方もおられまして、必ずしも通 院ができない場合、在宅医療というものがございますので、そういう意味では、精神科医 の訪問診療における精神療法の算定を考えてはどうか。  (13)、精神障害者の地域生活の維持や社会復帰に向けた支援の促進のための、服薬状 況や副作用の有無の確認等の主な援助を行うということ、これらの服薬支援ということで す。それから、保健師等の訪問についての加算を考えてはどうか。  (14)、現在長期投薬について非常に限定的にされているものについて、その必要なも のについての緩和を考えてはどうか。  (15)、医療法標準との整合を図るため、25対1以上の看護配置について経過措置を、 当分の間、延長してはどうか。医療法では25対1以下も認めておりますので、それが現 在3月いっぱいで切れてしまうというのを、これは延長してはどうかということでありま す。  参考資料、診−2−2の9ページをごらんいただきたいと思います。「認知症対策につ いて」でございます。認知症につきましては、先ほど申したことがいろいろと書いてござ いまして、認知症がどんどん増えるということは御承知のとおりと思いますが、昨年の4 月、「新健康フロンティア戦略」というものがつくられまして、認知症の医療体制として は、鑑別診断をしっかりする、周辺症状への対応、身体合併症への対応、このような対応 が求められているところでございます。  10ページ目でございますが、現在診療報酬上の評価、認知症についてはこのようなと ころで評価されております。  大変申し訳ございませんけれども、この「A109 有床診療所療養病床入院基本料1  認知症加算(1日につき)20点」とありますが、実は、この項目、既にもう告示上は ありますが、算定しない。要するに、18年6月までの点数でしたので、今現在はその下 の入院基本料2になっております。あわせまして、実は、療養病棟入院基本料の認知症加 算、今回廃止をいたしますけれども、療養病棟入院基本料2におきます医療区分2のAD L区分1のところで認知症加算というのをつくっておりましたが、それについて書き損じ ておりまして、現状としては、ちょっとそれが抜けております。それだけちょっと資料の 訂正といいますか、修正をお願いしたいと思います。  11ページでございますが、入院医療についての、先ほどの3つの観点からいきますと、 鑑別診断にかかわる項目が現在特別の評価をしておりませんので、ここで、先ほど言いま したように、いわゆるかかりつけ医によるそこでの評価をするということと、かかりつけ 医が専門の医療機関に紹介すること、それから認知症の早期発見のための診断・検査・報 告を評価すること。それから2点目は治療病棟の話です。ここは、急性期、特に早期の場 合を手厚く評価するということ。それから身体合併症については、精神病床における身体 合併症治療に対する評価。このような対応を認知症では図っていきたいということにして おります。  12ページから14ページまでは、あと参考資料でございますので、後ほどごらんいた だきたいと思います。  本体の14ページに戻っていただきまして、「II−6 歯科医療の充実について」であ ります。  (1)、口腔全体の口腔衛生の指導管理体系の見直しということでございます。  (2)、指導指針等の見直しを踏まえた治療体系と、それから有床義歯の管理の評価体 系の見直し。  (3)、病院歯科の機能をしっかり見るということで、地域歯科診療支援病院の施設基 準を見直して適切な機能評価を行う。病院としてどちらかといえばやや高度な専門的な歯 科診療機能、これを評価するということであります。  (4)、これはいろいろ議論されましたけれども、患者への文書による情報提供の在り 方について、その頻度やその内容、あるいはその項目、これについて必要な見直しを行う ということでございます。  (5)、安心・安全な歯科医療を提供する観点から、その総合的な歯科医療環境の整備 の取組の評価でございます。  (6)、歯科診療報酬体系の簡素化という視点で、(1)、一つの治療技術として定着して いる関連がある、あるいは共通性の高い技術については、一体としての再評価を行う。  (2)、医科での見直しと同様に対応が求められる技術について、必要な評価の見直しを行 う。  (3)、歯科治療上の重要度、難易度、必要時間等に係る調査結果から、既存の歯科医療技 術の評価を見直して、一部の処置及び手術等については、基本の診療料において包括的に 評価するということにしております。  中医協診−2−2の15ページをごらんいただきたいと思います。歯科診療につきまし ては、「比較的に簡単で短時間で実施できる一部の既存技術の評価の見直し」ということ で、今申しましたように、18年度の歯科医学会が行ったタイムスタディー調査について いろいろございましたが、さらに今回、例えばここでは具体的には、ラバーダム防湿等の 一部の処置でありますとか手術等について項目を削除いたしまして基本診療料の中に包括 的に評価するということで、処置及び手術を包括的に評価するということから、この部分 については再診料を引き上げてはどうかという提案でございます。  本体部分15ページに戻っていただいて、「II−7 調剤報酬の見直しについて」でご ざいます。  (1)、一包化についての一定の要件の見直しということで、一包化についての条件の 緩和ということ。  (2)、自家製剤加算のうち、切り込み、割線が入っている錠剤の半割等々については、 ほかの自家製剤に比べて手間が少ないから、このあたりについてはもう少し合理的な点数 評価にするということ。  (3)、服薬指導について、このあたりは2通りの評価があったと思いますけれども、 それについての簡素合理化等を考えていく。  (4)、長期投薬情報提供料についてですが、これについて、実際に情報提供をすると いうことについて、この評価の体系を考えていく。  それから大きな3点目、「 III 我が国の医療の中で今後重点的に対応していくべきと 思われる領域の評価の在り方について検討する視点」ということであります。  「III−1 がん医療の推進について」でございます。  (1)、放射線治療でございます。放射線治療につきまして、その放射線治療の機器の 保守管理でありますとか精度管理、非常に重要な部分でありますが、これらがしっかり体 制の整ったところの評価。  (2)、がん患者さんの療養生活の質の向上の観点からも、いわゆる疼痛緩和を目的と した放射線治療が増加しておりまして、これらの場合につきましては、外来放射線治療と いうものが必要になってくる、これらについての加算。  (3)、外来化学療法につきましては、もう既に評価しておりますが、専門の医師、看 護師、薬剤師の配置等につきましての、さらに評価をするところ、あるいは現在評価され ていない動脈注射等についても拡大をしていく。  (4)、医療用麻薬の投与に関しまして、WHO方式の適正な使用が行われているとい うことについて、これについての評価を行う。  (5)、緩和ケア診療加算につきまして、専任の薬剤師の配置を要件に追加すると、そ れによって質の向上を図るとともに、地域での療養生活をサポートするという意味で、緩 和ケア病棟の入院医療に専従とされている部分についての若干の医師の勤務要件の緩和で あります。  (6)、緩和ケア病棟本体につきましては、終末期のケアが目的になっておりますが、 さらにこの緩和ケア病棟の目的をもう少し広げてはどうかという要件でございます。  (7)、がん診療連携拠点病院についての機能強化に合わせた評価の引き上げでござい ます。  17ページでございますが、(8)、広範囲なリンパ節郭清というものの後に見られる 四肢のリンパ浮腫への、この発症、一つは非常に大変な  になりますので、それをでき るだけ防止していくという意味で、このリンパ・ドレナージ等につきまして指導を行った 場合の評価の創設。  (9)、在宅における緩和ケアの推進の観点から、その麻薬の服用、保管、廃棄等につ いての在宅患者の管理指導加算の算定要件、これについて廃棄方法等についても追加をし ていく。あるいは麻薬の処方されている外来患者さんについての評価についても、非常に 低い点数だったということですが、この評価を引き上げるということ。  (10)、この医療用麻薬の使用に当たって、在宅患者さんの場合等につきまして、保険 薬局で必要な注射薬あるいはそういう機器が交付できないことになっていますが、これは 機器や注射薬について交付できる範囲を広げるということでございます。  「III−2 脳卒中対策について」でありますが、(1)、地域連携診療計画、いわゆる 地域連携クリティカルパスと言われているものですが、これにつきまして、(1)、脳卒中に つきまして対象疾患を広げて、これでもつくっていっていただこうと。その際、都道府県 でつくられます医療計画に記載されている医療機関について、この対象としたい。  (2)、前回の大腿骨頸部骨折の評価でもありましたが、退院基準や転院基準が確定されて いないようなところがございましたので、そういうものはしっかりと当然つくっていただ く。  (3)、全体としては、地域連携診療計画そのものは、その中身は、数が増えてまいります と、相対的にはその手間暇が下がってまいりますので、そのような評価の引き下げを行う。  それから、脳卒中の(2)は、緊急の対策ということで、脳梗塞、脳の血管が詰まった 場合のt−PAという薬の投与について、これが適切に投与された場合に高く評価を行っ ていきたい。  「III−3 自殺対策・子どもの心の対策について」でございます。  18ページ、(1)、うつ病等の患者さんの早期の専門医療機関の受診ということで、 これに対する受診に、要するに予約をしっかりととった上で精神科医に紹介するという、 その場合の診療情報提供料の加算。  (2)、救急救命などで入ってこられた患者さん、いわゆるその中でも自殺企図者等が 多うございますので、その場合には、やはり精神保健指定医がしっかりと対応する必要が あるという意味で、そこでの診療の評価をする。  (3)、子どもの心の診療において、外来における対応も十分あるのですが、やはり長 時間を要する場合とか、あるいは治療期間が1年を超える場合がございますので、このあ たりの評価の見直し、あるいは算定期間の延長を考える。  (4)、同じく外来でありますけれども、精神科外来診療料の中に、いわゆる通院精神 療法の中で20歳未満の患者に対する加算がございますが、この算定期間が限定されてお りますので、(3)と同様にその延長を考える。  (5)、子どもの心の入院医療でございますが、これについて、入院医療の評価を引き 上げるとともに、算定要件の緩和と、それからユニット単位での評価ということも考えて いくということでございます。  「III−4 医療安全の推進と新しい技術等の評価について」でございます。  (1)、医療機器の安全確保や適正使用の推進のために、ここでは生命の維持に直接関 与する医療機器の専門知識を有する臨床工学技士の配置について評価をしていく。新設す るということ。  (2)、医療安全対策加算というものがございますが、その加算要件としては、医療安 全管理部門に、その他の部門からの職員の配置等を要件にするということ。  (3)、入院患者さんに対する薬学的管理・指導でございますが、これにつきましては、 ハイリスク薬を服用しているかどうかによって、そこの評価を変更、差をつけていこうと いうこと。それから、有床診療所においても同等の対応ができている場合には、病院と同 様の評価も見直していこう。  (4)、手術に係る点数について、特に高度な専門性や集約性が求められる手術につい ては評価を引き上げるということ。  (5)、(6)、画像のデジタル化処理について現在加算を設けておりますが、これに ついては、おおむねデジタル化処理ができるようになってきておりますので、それについ ては加算を廃止し、かわって(6)のコンピューターを用いた適切な画像管理体制、こう いうものの評価を引き上げていくということを考えていきたい。  (7)、(8)、これは、先進医療専門家会議におきます新しい先進医療技術から保険 導入を図る項目と、(8)が、調査専門組織の医療技術評価分科会における検討結果を踏 まえた医療技術の評価・再評価での新規技術の導入、あるいは既存技術の評価の見直し、 これについてはまた後日提示をしたいと思っております。  「III−5 イノベーション等の評価について」は、イノベーションにつきまして、「平 成20年度薬価制度改革の骨子」や「平成20年度保険医療材料制度改革の骨子」に述べ ておりますので、これを参照にしていただきたい。  「III−6 オンライン化・IT化の促進について」でございますが、(1)、オンライ ンの請求義務化の段階実施に応じまして、義務化されていないところにこのIT化加算に ついてはシフトをしていって、義務化されたところには当然IT化加算は削除をする、対 象としない。  (2)、電子点数表への対応ということから考えましても、このロジックの明確化とい うことで、特に今回麻酔量等につきましてロジックを明確化させていきたいと考えており ます。  大きな項目で4点目が、「IV 医療費の配分の中で効率化余地があると思われる領域の 評価の在り方について検討する視点」ということで、「IV−1 新しい技術への置換えに ついて」というところで、(1)、必ずしも医師等による対応が必要でないような、技術 を必要としない処置については、基本診療料の中で包括的に評価するということ。あわせ て、ここでは耳鼻科及び皮膚科領域におきます指導管理というものについて新たに設けて はどうか。  (2)、虫垂切除術について、これを病状に応じた技術の評価を行う。  (3)、心臓超音波検査におけるドプラ法につきまして、これはほぼ普及し終わってい ると言ってもいいぐらいでございますので、これは心臓超音波検査の基本検査料において 評価することとしたい。  「IV−2 後発医薬品の使用促進について」は、(1)、処方せん様式の変更でござい ます。  (2)、後発医薬品の銘柄処方への対応ということで、ここにつきましては、基本的に は(1)の処方せん様式の変更に伴って、必ずしも処方医に改めて確認することなく、後 発医薬品同士の別銘柄への変更ということをできるようにするということ。 (3)、薬局における調剤基本料につきまして、この後発医薬品の使用促進という意味 から、後発医薬品の準備をしていきますとコストがかかりますので、後発医薬品の調剤率 に合わせた調剤基本料の差を設けるということ。  (4)、ここで、いわゆるお試し調剤という形で説明させていただいた事項でございま す。  (5)、先発から後発へかえた場合の後発医薬品調剤加算の算定につきまして、必ずこ れらにつきまして情報を保険医療機関にフィードバックするということ。  (6)、後発医薬品の使用促進のための保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則等の変更 の点でございます。  「IV−3 市場実勢価格の反映について」ということ。これは、医薬品、医療材料、検 査等について、価格調査に基づいた点数設定を行う。  「IV−4 医療ニーズに着目した評価について」。これは、10ページを参照していた だきたいと思います。  22ページ、「IV−5 その他効率化や適正化すべき項目について」ということで、コ ンタクトレンズ検査料でございますが、前回、このコンタクトレンズ検査料を大幅な見直 しをしましたけれども、(1)、今回も算定要件を決めるということ、(2)、初回・既装用者 の区分の廃止をすること、(3)、コンタクトレンズ診療料につきましては、高い診療料と低 い診療料がございますが、コンタクトレンズに係る検査を実施した患者割合、現行は、7 0%以上になりますと、いわゆるコンタクトレンズ診療所ということでしたけれども、こ れを原則として30%以上の場合をそうみなしますということに厳しくするということで あります。  「V 後期高齢者医療制度における診療報酬について」でございます。以下に書いてあ ります75歳に特有なものという制度以外のものについては、基本的には74歳以下の場 合の診療報酬の適用をするということにしております。  「V−1 入院医療について」。  (1)、入院時から退院後の生活を念頭に置いた医療を行う必要性があるということか ら、入院中におきます総合的な評価についての対応。  (2)、在宅での療養生活への移行ということで、その支援体制の退院支援計画という こと、あるいは退院調整を行う場合、これについての評価を行う。  (3)、地域で在宅医療を担う医師との、あるいはその他の関連職種とが共同して逆に 退院時の指導を行った場合についての評価をする。  (4)、これは逆に入院をしてくる場合、在宅で療養生活をしておられる場合につきま して、あらかじめ主治医との連携が図られている場合について、病状急変時の入院の受け 入れについての評価を引き上げる。  (5)、患者の入院時に、この薬剤の服用状況の把握をしっかりしていただく。逆に、 入院中に使った薬について、地域のほうへ退院していただくときに、こういう情報の評価、 例えば「お薬手帳」等に記載するというようなことについての評価を考えるということ。  (6)、退院直後は非常に不安定になるということもありますので、末期の悪性腫瘍等 の患者さんに対しましては、退院時の訪問看護ステーションからの支援、指導について評 価をするということ。  (7)、入院前後において継続的な診療連携を行うことができるよう、入院前に外来を 見ていた先生のところに退院後にまた戻ってもらう、こういうような一連の流れを評価し てはどうか。  (8)、栄養管理について、退院後もしっかりとできるような栄養・食事指導等につき まして評価を行う。  後期高齢者の大きな2番目、「V−2 在宅医療について」でございますが、(1)、 医療サービスや福祉サービスに関する情報の共有化という観点から、療養生活を送る上で 必要な指導及び助言を行った場合について、関連職種に対するものについての評価を行う ということ。  (2)、医師等の医療関連職種がいわゆるカンファレンスを行うということについて評 価を行うということでございます。  (3)、在宅でも安心して療養生活を送ることができる環境のためのしっかりとしたベ ースによります訪問看護、これが重要でございますので、その基本療養費の引き上げと、 それから24時間の電話対応のみならず、24時間訪問対応が可能な体制についての高い 評価を考える。  (4)、人工呼吸器装着患者に対しまして、長時間の訪問看護が必要な場合がございま すので、それについての評価を行う。  (5)、頻回な訪問が必要な場合がありますので、そのときの「特別訪問看護指示書」 の交付の回数を増加するということ。  (6)、さまざまな居住系施設等における外部からの医療サービスの提供。(1)、通常の いわゆる普通の住まいとは違う状況がございますので、そういう状況を想定した中での訪 問診療等についての適正な評価ということを考えていきたい。(2)、特定施設の入居者につ いての訪問診療については、現在在宅療養支援診療所のみ在宅時医学総合管理ができるこ とになっておりますが、それ以外の診療所につきましても、この在宅時の医学総合管理料 が算定できるように広げていきたい。  (7)、寝たきり老人訪問指導管理料につきまして、これはいわゆる役割が終えたと考 えられますので、廃止をいたします。  (8)、在宅歯科医療の推進のため、(1)、この在宅医療をしっかりやっていくための歯 科診療所の評価。(2)、後期高齢者の口腔機能の維持・管理を含めた継続的な口腔管理の評 価。(3)、適切な歯科訪問診療の評価ということで、病院との連携等々がございます。  (9)、調剤薬局に関してでありますが、計画的に患家を訪問して行うこの薬学的な管 理・指導についての評価を見直すということと、それから急変時の対応、このあたりにつ いて考えていくということでございました。  「V−3 外来医療について」でございます。  (1)、後期高齢者の外来診療について、治療の長期化、複数疾患のり患等々から、慢 性疾患の継続的な管理というのが非常に重要なことでありまして、これらについて、そこ の(1)から(6)に書かれているような要件に合わせた形で評価をしていこうということでご ざいます。  (1)、全身的な医学管理の下に計画的な診療を行うということ。  (2)、こういう診療計画というものを定期的に交付すること。  (3)、一定のこういう勉強していただいた医師がいること。  (4)、服薬についての管理及び情報提供、確認等々についての薬関係の要件。  (5)、慢性疾患のうちの主病と認められる治療を行う医療機関1つに限ってこの外来の点 数については認める。  (6)、この診療料につきましては、医学管理等、あるいは検査、画像診断、処置等につき まして包括的に評価する。もちろん病状が急変したときは出来高で算定できるように します。このような形の包括点数を設定する。  (2)、後期高齢者に関します初・再診でございます。初診料につきましては、若い人 と比べまして高齢者はそれだけ生活歴も長いわけでありますので、そういう意味から既往 歴等々の聴取も手間暇がかかるだろうということで、初診料は引き上げる一方で、再診料 については、どちらかというと、慢性疾患等についての継続的な指導・管理が中心という ことで、相対的に再診料の評価を引き下げることについて検討してはどうかということで あります。  (3)、後期高齢者、今現在の老人診療ですが、この外来管理加算における病院と診療 所の間に点数格差が現在10点ございます。この格差についてどうするか。いわゆる老人 医療ではなくて、若人の分については現在これは差がございませんので、このあたり、こ の点数格差をなくしてはどうか。  (4)、複数診療科の受診が多いことにかんがみまして、この調剤報酬における薬剤情 報提供料を統合し「お薬手帳」というものの活用を推進していく。  (5)、医療機関におきましても、このような服薬状況の確認をしていただくというこ とにあわせまして、こういう手帳等による情報提供、院内投薬される場合の情報提供など をしていっていただいてはどうか。  (6)、服薬の自己管理が困難な外来患者さんもおられますので、こういう方々に対す る服薬管理の手法、いろいろございますが、それについての評価をする。  「V−4 終末期医療について」でございますが、(1)、あくまでこれは患者本人の 同意を得てという条件の中で、医師、看護師、その他の医療関連職種が共同して患者本人 及び主に患者の看護を行う家族等々とともに、終末期における診療方針について十分に話 し合って、書面等にまとめて提供した場合に評価を行う。  (2)、在宅患者の看取りについては、死期が迫ってきた状態というものが非常に家族 の不安などを呼び起こしますので、頻回な対応が求められているということでございます ので、そのあたりでの訪問看護ステーションでの訪問看護の対応について高い評価を行っ ていく。  長時間にわたりましたが、説明は以上でございます。よろしく御審議ください。 ○土田小委員長   どうもありがとうございました。  こういう説明を受けてみますと、今回の改革も非常に多岐にわたって課題もいろいろ残 っているということを改めて感じております。  それで、これから議論を進めてまいりたいと思いますが、非常に多岐にわたっておりま すので、この最初の目次にあります「緊急課題」、1、2、3、4と分かれておりますの で、その各項目ごとに議論を進めていきたいと思いますが、と同時に、ここで1号側、2 号側、それぞれ意見が一致している面と意見が異なる面がありますので、それについての 整理もしていきたいと思います。したがって、最初に1号側から御意見をいただいて、そ の後で2号側から御意見をいただき、その後にディスカッションをしていくという、そう いう形で進めてまいりたいと思います。  最初の「【緊急課題】 産科や小児科を始めとする病院勤務医の負担の軽減」というと ころで、4つの項目がございますが、これにつきまして1号側のほうから御意見あるいは 御質問等を承りたいと思います。 ○対馬委員  まず一番重要な問題として、4ページ目の「診療所・病院の役割分担」、要するに、再 診料の問題です。ここでは、「診療所の評価を引き下げることについて、検討する。」と 書いておりますけれども、今回の診療報酬改定の最大の眼目が、御承知のとおり、産科、 小児科、救急等、特に勤務医対策が最重点項目だったと思うのです。それに対しまして一 番分かりやすいメッセージといいますのは、やはり診療所の再診料を引き下げて産科、小 児科、救急等の、病院勤務医の負担軽減のためにつけていくということが必要ではないか と思います。  前回の改定におきましても、初診料については病院・診療所の点数格差の統一ができ、 再診料については結果的に1点だけ是正を行ったという流れもありますので、ここはぜひ そういう方向で検討すべきではないか。また、この表現も、今申し上げた趣旨でちょっと 変えていただくことが必要ではないかと思います。  それから、気になるところを幾つか申し上げますけれども、5ページ目の真ん中あたり、 勤務医の事務負担の軽減を図る、医師の事務作業の補助については真に実効が上がるかど うかということと、要件の設定がポイントだろうと思います。例えば医事課の方で、診療 報酬等を請求している方は当然入らないというのはわかりますけれども、その方が時間が あいたときにこういったことを兼務的にやったときにどうかとか、そういったことがあり ますので、下手をしますと過誤請求ということにつながりかねませんので、ここはよく実 際の中身について、今後もう少し深めた議論をする必要があるだろうと思います。  それから5ページ目の一番最後のところですけれども、実費徴収を認めつつ明細書の発 行を義務付けるということですけれども、オンライン請求義務化の対象は、400床以上 が今度対象になるということだと思うのですけれども、そこまでの規模の医療機関になお かつ実費徴収を認めなくてはいけないのかどうかというのは、議論のあるところだろうと 思います。私どもとしては、本来これは無償でということを申し上げてきましたので、特 にこのオンライン請求のところについては無償ということでいいのではないかと思います。 ○土田小委員長  ほかに1号側、御意見ございますか。 ○小島委員  2ページ、3ページ目の「産科・小児科への重点評価について」の項目です。今回のハ イリスク分娩等について対象拡大するといったような形で、それなりの評価をされており ますけれども、今回の評価だけでは必ずしも十分とは言えないと思っております。さらに 検討あるいは追加措置として、新生児に対する治療についてもう少し評価をすべきではな いかと思っております。  この3ページの(5)には、救急搬送を受け入れた場合の「緊急入院時の加算を創設する」 とありますけれども、ここの緊急入院受け入れの困難あるいは拒否というのか、というよ うなことについての各種の調査を見ますと、最大の理由として挙げられているのは、新生 児の集中治療室、いわゆるNICUが満杯、不足しているということが指摘をされており ますので、これに対するNICU加算も幾つかありますので、そういうものに加算する。 あるいはそうはいっても、早急にNICUが増加するというのは難しいということになれ ば、それに準じた施設を持っていることについてはそれなりの評価をするというようなこ と、あるいは新生児入院管理料の評価といったような、そういうところもつけ加える必要 があるのではないかというのが一つあります。  以上です。 ○土田小委員長  ほかにございますか。 ○松浦委員  私も内容はほとんど変わらないのですけれども、やはり診療所の再診料と病院の再診料 というのは一緒にすべきだと思います。勤務医がどうして開業のインセンティブが働くか というと、やはり楽でもうかるところに行くというのは、これは人間の本性ですから、そ ういうことも次第に是正していくというために、やはり再診料は下げるべきだと、そう思 っております。  それでもう1つは、この中医協の中での議論から逸脱するかもわかりませんけれども、 病院に厚く配慮したお金をいかにして勤務医に届けていくかということも大事なことでし て、ここは病院の先生方もいらっしゃいますが、単に手当をつけるとか、産科・小児科の お医者さんに手当をつけるとか、そういうことだけでやろうとすれば、病院全体のバラン スということを考えると、なかなかそれだけでも難しいかなと思います。ここはやはり国 の意思もはっきり示してもらうという意味から、産科、小児科、それから外科もだんだん 減っているようですから、そういういわゆる足らなくなっている部分について、税制でも ってあわせて優遇していく、そういうことをやれば、はっきりと国の意思も伝わるわけで すし、ぜひそれも一考をお願いしたいと、そういう思いを持っております。  以上です。 ○土田小委員長  ほかにございますでしょうか。  よろしいですか。それでは、2号側のほうで御意見、どうぞ。 ○鈴木委員  まず、本当に10月からこの小委員会でいろいろなことを御指摘のように審議を重ねて きましたけれども、社保審の両部会での基本方針というのも、改定率が決まる以前のこと でありました。非常に微増な改定率に決まったということは、すべての審議項目というも のに対して対応するというと、非常に無理があると思いますので、やはり今回の改定で実 施するものと継続的に審議するものというようなものを、頭の中に入れて議論をすること が必要ではないかと思います。今回は緊急的課題に絞った内容にせざるを得ないのかなと 考えております。  まず、勤務医対策でございますけれども、今回の診療報酬改定では、主眼がこれに置か れておりまして、そもそも勤務医の過重労働の解消については診療報酬だけでは手当てで きないということが中医協での共通認識としてあると思います。先ほど松浦委員からも御 指摘ございましたように、診療報酬だけで勤務医の待遇改善でございますとか、あるいは 補償というようなものができるわけがないわけで、この診療報酬以外に国としてどのよう な施策というようなもので当たるかということをやはり明確にした上で、勤務医に対する 診療報酬というものを考えていかなければならないのではないかと考えております。  松浦委員が先ほど、診療所は楽で、それで勤務医が開業していくのだというようなお話 だったのですけれども、一方で勤務医はいつでも年が来ると開業しなければいけないとい う、そういう運命にあるということも事実なのです。勤務医ですべてが定年までいるとい うようなことはまずございませんので、やはり40代、50代になりますというと、その 自分の先を考えた決定というのは必要になりますので、今回はそういういろいろな過重労 働の背景を含めて、それが重なったというようなことで、決して診療所が楽で逃げ出して いるというようなことばかりではない。すなわち、それでは30代の勤務医の先生方がど れだけやめて診療所を開いたか、開業したかというと、それはもう微々たるもので、御指 摘は多少私は賛同しかねるところであります。  本題に入りますけれども、診療所の再診料の引き下げというようなことが、対馬委員そ れから松浦委員から御指摘がございました。そもそも、よく御承知のように、病院は入院、 診療所は外来というような機能分担の下で、その診療所の再診料が高く維持されてきたと いう経過がございます。経過、昭和60年、もう45年ぐらいからそうなのですけれども、 60年では再診料を病院と診療所に区分をいたしまして、このとき既に病院よりも診療所 のほうが高く評価をされています。昭和61年も、病院、診療所を機能別評価ということ で、病院は入院機能を重点評価するということで一貫してきておりまして、63年に関し てもずっと継続的にされておりまして、平成4年で初めて甲乙一本化がなされて、これは 前にお話ししたことがあると思いますけれども、内科再診料が外来管理加算というふうに 名称変更して、甲乙ともに42点になりましたけれども、そのときに甲表の診療所は81 点から55点に引き下げられておりますけれども、これは外来管理加算42点というもの を考慮された処置でございました。そして、外来管理加算も据え置きが続きましたけれど も、平成10年も診療所は70点から74点に、平成12年は、再診料に継続管理加算の 5点というものが加算をされておりました。これも18年改定ではなくなっておりますけ れども、平成14年改定では、再診料の逓減制の導入がされましたけれども、1年でこの 逓減制というものは廃止をされておりまして、そのときの診療所の点数は73点、病院は 58点ということで、平成18年、前回改定ではマイナス3.16%という緊急避難的な 措置で、診療所の再診料が73点から71点に、病院の58点が57点に下がっておりま す。  再診料の引き下げというのは、各診療科に対しまして一律に行われますことから、医療 機関の機能・バランスに非常に不都合を生ずることになります。そして、処置を含めるな らば、再診料というものは逆に引き上げられなければなりません。先ほどの課長の御説明 では、歯科の場合は処置の包括化に伴う再診料の引き上げというお話がありましたけれど も、医科では再診料の引き下げという矛盾した主張がなされております。私は、再診料に 関しましては長い間、「技術」と「もの」の分離でございますとか、ホスピタルフィーと ドクターフィーを明確にということが課題とされておりますのに、今回の平成20年改定 でその技術料を引き下げるというようなことは承服いたしかね、この件に関しては絶対反 対をいたします。 ○土田小委員長  ほかにございますか。 ○竹嶋委員(代理天本氏)  1号側から特に指摘されたわけではないのですけれども、4ページの緊急課題−2の (2)のところでございます。夜間等の診療所における評価について、我々は加算は必要 ないのではないか。理由といたしまして、これは勤務医の負担軽減にはつながらないと認 識しております。勤務医の負担は、むしろ昼間の大勢の外来診療、その後の病棟勤務ある いは書類とかカンファレンスとか会議などの、要するに間接業務、そして日勤してまた当 直といったこと、またもう1つは、平均在院日数が非常に短くなったというようなことか ら、非常に業務にスピードが求められて濃縮されている、そういったことがむしろ勤務医 の負担ということになっている。そもそも社会保障において、この軽症者の時間外対応加 算していくという、しかも全国一律にカバーしていくといったことが、この社会保障の基 本的スタンスとしていかがなものか。むしろ自助・共助・公助の、この自助の部分であり まして、我々診療する医療提供側が利用者さんに教育・啓蒙していく、あるいは保険者さ んが被保険者への教育・啓蒙していくといった対応ということがまずなされるべきではな いかと思われますので、この(2)については、その加算の必要はなしという意見を述べ させていただきます。 ○土田小委員長  ほかにございますか。 ○西澤委員  5ページの医師の事務作業を補助する職員でございますが、ここの条件が「救急医療等 病院」と書いてございます。たしか以前の議論のときに、私は全病院にというお願いをし たと思ってございます。ところがなっていない。全病院ということになると無理にしても、 少なくとも急性期を担う病院、すなわち一般病床には入れていただきたいなと思ってござ います。  実は、中医協でこの議論が出ましてから、私のほうにいろいろな病院の方から、本当に 今医師が、書類が多いとかインフォームド・コンセントで患者さんにきちっと説明すると かということでかなりの時間を取られていると、こういう職種ができるということはすご くありがたいので、ぜひこれは入れていただきたいというふうな、非常に多くの声をいた だいております。そういう病院の勤務医の切実な声を裏切らないためにも、ここは一般病 床全部に入れていただければありがたいということでございます。 ○土田小委員長   ほかにございますか。 ○対馬委員   今日は議論しても…… ○土田小委員長   ただ、一定程度時間で区切ったらいいと思います。 ○対馬委員   今、鈴木委員のほうから再診料について歴史的な経緯等も含めてお話があったのですけ れども、ただ、先ほど申し上げた点がまず基本なのですけれども、完全3割負担になりま して状況は変わったのだろうと思うのです。今日の資料に、例えば生活習慣病管理料、こ れも患者の負担が重いので、それを下げたらどうかという議論が出ているわけです。また、 前回改定で初診料を統一したときにも、恐らく経緯はいろいろあったのでしょうけれども、 やはり患者の3割負担ということで、患者の理解が得られないではないか。ですから絶対 反対だということを言わずに、病院のほうに厚くして、診療所のほうは少し我慢していた だいて、格差を是正していく。我々としては、できれば統一と申し上げたいのですけれど も、ただ点数を一気にというのもなかなかいかないでしょうから、是正はぜひやっていく べきだと思います。 ○鈴木委員   是正に対して反対しているわけではなくて、現状で反対だと申し上げておりまして、先 ほど申し上げたように、診療報酬自体の物差しというものをきちんと決めていただかない と、ドクターフィー、ホスピタルフィーというような問題、それから、繰り返しますけれ ども、「もの」と「技術」の分離というのは、これは何十年と言われていて、それが放置 されているままに負担が増えたから医者の技術料を下げろというのは、私どもとしても、 それは患者さんの痛みはわからないわけではないのですけれども、そうですねという話は いたしかねます。 ○土田小委員長   この問題について。 ○松浦委員   もうけて楽という言葉はちょっと不適当だったかもわかりません。どうも失礼しました。 ただ、いろいろ実調のデータを見ても、診療所のほうが収入は高いということは、多いと いうのは、これはもうデータで出ていますから、やはり再診料を下げていただきたいとい うのは要望として残しておきます。  それからもう1つは、先ほどおっしゃるのは、この緊急課題−2の(2)のところはも う必要ないと、こういう御意見でしたね。ここで確かに軽症の受け入れについて書いてあ りますけれども、軽症者というのはどういう者をイメージしておっしゃっているのでしょ うか。軽症者がそう病院にどんどん行くということもないのだろうと思うのですけれども、 どの程度が、ある程度の症状を持った者が行くのだろうと思いますけれども。 ○土田小委員長   それについて医療課長。 ○事務局(原医療課長)   前回、特に救急等で小児の場合の意見書を出したと思いますけれども、お手元のこの茶 色い改定資料集の75ページでございます。ここは、年齢を限らず全体のあれですけれど も、救急自動車での搬送人数のうち、全搬送者のうち軽症者の割合が50%を超えており ます。特に小児の場合はさらに多いというふうにも言われておりまして、という事実がご ざいます。全体でも半分ぐらいは軽症者。いわゆる必ずしも病院で診るという必要はない。 ○松浦委員   それはわかりますけれども、しかし、これを自分たちも努力して、医者にかからぬ努力 をせいというその指導を例えば保険者がやる、そういうことが、これはできることかどう か。あるいは、夜中に痛い痛いと言いますと、これ、どこかには行くと思うのです。特に 子どもの場合、そういったときにわかりませんから。我慢しておれというような指導をし て、それも自助の一つだと、君たちも努力しなさいと言うようなことは、ちょっとやはり 僕は医療に関しては不適当ではないか。 ○土田小委員長   いや、ここで言っているのはそういうことではありませんで、病院に集中しているので、 診療所のほうにもう少し患者さんを受け入れてもらいたいという趣旨の話ですから。 ○松浦委員   いやいや、これをやめろという意見は、そういうことだったのではないですか。 ○竹嶋委員(代理天本氏)   この少ない改定率の中で重点的なことに振り向けるということの場合に、救急医療は当 然これは推進するわけでございます。したがいまして、救急医療はアクセスをよくしてい かなければいけない。当然我々医療機関も、その時間外をとってもやっていかなければい けない、そういう認識です。ただし、これを社会保障として受けやすいように時間外をし ていくということで、基本的そういうスタンスでいいのかどうか、きちっとそれはやはり 認識すべきだし議論すべきです。自助への努力というのは、やはりこの改定云々にかかわ らずやっていくべきだろうと私は思います。 ○丸山委員   話があちこち飛んで大変恐縮ですが、さっきの対馬委員の意見に関連して申し上げたい のですが、事はすべて必要な対応をするときの原資の問題だろうと思います。医療課長か ら説明を受けて、これを見ると、評価するとか創設するとかいうのはプラスの方向、それ から、適正化を図るというのはマイナスの方向というような表現に言葉をつくっておられ ると思うのですが、どちらかというとプラスの方向が、項目の数としては非常に多いよう に思うのです。  それは何も悪いことではなくて、それで結構だと思うのですが、今さっき鈴木先生、絶 対反対だとおっしゃったのですけれども、今度の改定の非常に特色は、我が国の医療問題 の緊急課題というのをドーンと最初に挙げているわけですね。産科、小児科、救急等を中 心とした勤務医の負担軽減のためにどれだけ原資を投入するか、こういうことをやらなけ ればいかぬと、しかも早急にやらなければいかぬという共通の認識だと思うのです。しか も、その手当のつけ方は、点数をちょっとつけただけではなくて、ある一定の厚みのある、 意味のある対応をする必要があるのではなかろうかと思うわけです。  それで、その原資が国として認めたのはプラス0.42%という、これは新しい財源で すよね。だから、財源のやりくりで適正化することでさらに減らし、評価することで増や していくとして、それだけでは足らないのか、この緊急対策としての課題に対応する財源 というのをどの程度に踏んでおられるのか。これは実は厚生労働省の事務方しかわからぬ、 まだ提示されていませんから。それが0.42%で賄い切れないならば、これはそのほか の施策の中で財源を見つけてこなければ、何のための緊急対策かということになると思う のです。だから、病院と診療所の再診料の差が14点あるということであるならば、それ も原資の配分の見直しの中の項目の一つには当然入ると、こういう共通認識でないとその 原資は見出せないのではないでしょうかというのが私の意見でございます。  それで、今度は支払側というのは直接・間接に大分大きな影響を受ける。これはむしろ 対馬さんから言ってもらったほうがいわけですが、支払側が影響を受けるというのは、国 民がその負担をしていくということなのです。だから、国民が負担をするのがかなりの量 になるとした場合に、やはり診療側の皆さんのほうも、それにある一定のバランスした考 えをお持ちになって対応していかないと、この緊急課題の財源の捻出はもとより国民の納 得性もなかなか得にくいのではないか。だから、絶対反対と言うだけではちょっと進まな いというふうに思います。 ○鈴木委員  フォーカスがそこに行く話はわかります。しかしながら、一方でこういう事実がありま す。メディアスの直近の話では、人口が3%伸びている70歳以上の高齢者の受診延日数、 これは結局患者数になりますけれども、17年度は対前年比1.7%だったのです。これ が、今年19年度上半期のと比べまして0.2%なのです。受診患者が大幅に減っており ます。原因としては、やはり先ほど御指摘があった自己負担の3割。でも、高齢者は3割 ではございませんけれども、やはり自己負担、それから介護保険の負担がきいているのだ と思いますけれども、何よりも多くうかがえるのは、長期投薬が可能になったことで、や はり頻回受診が相当改善されているのではないかというふうに推定ができます。人口が 1%減少した3歳未満の小児でも、18年度の延日数はマイナス0.5%であったのに対 しまして、19年度の上半期の受診延日数は6%も減っているのです。  こういう事実があるということを認識していただきたいのですけれども、いわゆるやは り医療は、財源が必要になりますけれども、一方で、患者の受診というものは、いいか悪 いかは別問題として、最近大幅に減っているという事実があるということです。 ○土田小委員長  この議論は一応ここまでにしましょう。それで、一番もめるといいますか、一番焦点に なるのがこの緊急課題だろうと思いますが、これは今日ここで結論を出す予定ではありま せんので、一応1号側、2号側から基本的な意見を聞いたということで、今日は次の議論 に移りたいと思います。  ただ、若干のまとめ方をしますと、ここは前回の改定で再診料を病院と診療所、統一し ていくというような基本方針があったわけですが、先ほど鈴木委員のほうから、処置を含 めて包括化が進んでいる中でそれはまた別の話ではないかというような話がありました。 ただ、それについては、もっと改めて議論が必要ですので、したがって、病院と診療所の 再診料がどうあるべきかというところは、これは今ここでやるにはもう時間がありません から、一応そういう課題として次回に残しまして、問題は、前の改定率が予想といいます か、財源を確保するには非常に低かったということから、病院の勤務医に対するには、先 ほど丸山委員から話がありましたように、一定の財源が必要であるということに対して、 それから病院と診療所における若干というか、一応の格差があるということから、そこを どうするかという、そういう議論になろうと思います。したがいまして、もう一度くどい ようですが、再診料はどうあるべきかという話は、一応の前提にはなりますが、そのこと を本格的に議論するには時間がありませんので、病院の勤務医に対する手当てがどこの財 源でもって充てられるかということで、一つの焦点が再診料の引き下げだろうというよう に思います。そういう形で議論を一応整理しておきたいと思います。  それから、メディカルクラークの話につきまして、中身の議論が必要であるというのは、 これはもっともな話ですので、それについては次回に中身の議論に入りたいというように 思います。  それから、明細書の発行について実費徴収の必要があるかどうか、これについて2号側 から特に御意見は出ませんでしたが、そういう実費徴収が必要ではないという1号側の意 見に対して、次回は何らかの結論を出したいと思います。  それから、新生児に対するNICU等について加算が必要ではないかということは、こ れはもう一回事務局のほうで検討していただいて、それで次回それが必要でないというこ とであれば、必要ではないという形で出していただきますし、何らかの検討の余地があれ ば、そういう形で出していただく。今出していただいても結構ですが。  それから、先ほど天本先生のほうから出ました夜間の問題ですが、これは、夜間のほう に対して必要ではないということは、つまり、診療所としてはそういう対応はとりたくな いというように、とらないという、そういうように解釈してよろしいのでしょうか。 ○竹嶋委員(代理天本氏)  いや、先ほどの再診料の議論のように、いかにパイが限られた中でという優先順位を考 えた際に、やはり今回このような加算というよりも、まず我々で努力すべきものとして、 これはとりあえず引き下げていただきたい。 ○土田小委員長  わかりました。1号側も2号側の発言の趣旨は御理解したと思いますが、ただ、具体的 にそうするかどうかというのはもう一度ここで議論して決めたいというように思います。  ですから、緊急課題につきましては、以上のような問題、論点が現在挙げられておりま すので、これを踏まえて次回の基本小委で一定の結論を出したいと思います。ただ、再診 料についてはそれほど時間をかけられませんので、あるいは次回においては取り上げない ということはあり得るかもしれませんが、一応改めて議論したいというように思います。  それでは次の、「I 患者から見て分かりやすく、患者の生活の質(QOL)を高める 医療を実現する視点」という項目につきまして、また1号側から御意見を承りたいと思い ます。 ○対馬委員  6ページ目の(4)の外来管理加算については、「5分以上という時間の目安」がいい かどうかは、やはりもう少し議論をする必要があるだろうというのが1点。  2点目は、7ページ目の(3)の人工透析の問題です。これは4時間ということで、前 回、大分議論はしたのですけれども、時間ではなくて医学的なことも鈴木委員等からいろ いろお話もありましたので、もう少し学術的、医学的な根拠が出ないのかどうかというこ とと、在宅の腹膜透析についてはあまり議論が出ませんでしたけれども、このあたりを含 めてもう少し議論を深める必要があるのではないかということです。 ○松浦委員   私は前から人工透析の件についてちょっと意見を申し上げておるのですが、私はあくま でもここの中医協の場に出されたデータをもとにして申し上げますので、これは重ねて申 し上げますけれども、12月7日に出た、「これまでの宿題事項について−人工腎臓につ いて(2)−」という中に、「透析時間の現状とその問題点」と称して、2に、「患者自身が 透析時間の短縮を希望することも少なからずある。また、医療機関にとっては、透析時間 が短くなれば、それだけ透析に係るコストも減少する。」、この2つが理由として挙がっ ているわけです。私も「患者自身が透析時間の短縮を希望することも少なからず」、これ はやむを得ないと思います。しかし、その後の「医療機関にとっては、透析時間が短くな れば、それだけ透析に係るコストも減少する。」、こういう理由で透析時間が短縮されて いるというのであれば、これは透析を担当なさっておる業界の方すべてに大いに反省をし てもらわなければいかぬ。そういうことで診療報酬改定は平成14年4月になされていな いと思うのです。  私はその辺があるものですから、何か私の発言を誤解なさって、短ければ短いほどいい のだというようなことのようにとられておるようですけれども、そうでは決してありませ んで、きちんとした、今対馬委員からもおっしゃったのですが、この透析が、恐らく汚れ た血をきれいにするのですから、きれいになったときにどういう変化が起こっているかと いうのはわかるはずですから、だから、そのデータに基づいて透析をやめると、それがこ ういうぐあいになっているのだというデータを一つそろえて、そういう理論的なところか ら診療報酬の在り方というのは決定されるべきで、時間のファクターでいたずらにぽんぽ ん決めていくものではないような気がいたしますが、そういう意見を申し上げます。 ○土田小委員長   ほかにございますか。 ○小島委員   私は、患者から見て分かりやすい医療を実現するということで、先ほど対馬委員から初 めに指摘されましたけれども、明細書の発行、これは当然進めるべきだというふうに思っ ております。その実費徴収については前回議論されたときにも、そこは明細書つき領収書 というような扱いということで、実質的にそこは実費を取らないと、無償で発行するとい うようなことで検討するべきではないかと発言しておりますが、改めてそこは強調したい と思っております。  それと、先ほど対馬委員も指摘された人工透析の問題で、これも患者の立場からします と、やはり在宅での透析、腹膜透析というのでしょうか、そういう選択肢を広げるという ことで、そういうことに対する医師の指導なり管理料というか、そういうことに配慮する という形でそういう患者の選択肢を広げることも必要ではないかと思っていますので、ぜ ひそこは検討いただきたいと思います。 ○土田小委員長   すみません、先ほど対馬委員の発言について実費徴収の話を前の緊急課題のほうに入れ てしまいました。これはこのIのほうの話ですので、訂正したいと思います。 ○対馬委員   すみませんでした。 ○土田小委員長   いえ、こちらこそ失礼しました。  それでは、2号側でどうぞ。 ○鈴木委員  まず、時間の問題ですけれども、対馬委員と私は同じ意見を持っております。やはり5 分というようなところを目安にしてよしあしというのは問題が残るというふうに考えてお ります。何となれば、医療の質というのは時間ではかれるものではありませんし、予約制 にしても、途中から緊急の患者さん、急病の患者さんが入ってくれば、一応時間というの はフレキシブルにならざるを得ませんので、そこでそういう時間で外来管理加算を決めて しまうというのは、いかにも不合理というか矛盾が多いと思います。 ○土田小委員長  ちょっとお待ちください。対馬委員が「5分以上」について言ったことと今鈴木委員が 言った趣旨とは違いますよね。同じですか。 ○対馬委員  いや、全く一緒ではありませんけれども、やはり5分ということで…… ○鈴木委員  時間の目安が問題。 ○土田小委員長  時間の目安を入れること自体が必要ないと。 ○対馬委員  いや、必要ないのではなくて…… ○鈴木委員  問題だという。 ○対馬委員  なかなか難しいのではないかということです。 ○土田小委員長  ということは、この外来管理加算については5分であろうと何であろうと加算をつける べきだという話ですか。 ○対馬委員  いや、そうではなくて、外来管理加算というのは、患者から見たら何もしないのにお金 だけしっかり取られると、これは問題だということですよね。それに対する一つの方策と して5分ということが出てきたのですけれども、もう少し知恵とか汗をかいて別な方策を 考えるべきではないかと、こういう趣旨であります。 ○土田小委員長  あるいは時間以外のファクターで基準を設けるべきだと。 ○対馬委員  例えばですね。 ○土田小委員長  鈴木委員もそうですか。 ○鈴木委員  現在の請求の通則では、それは処置等を行わなかった場合に、計画的な医学管理を行っ た場合に算定するということになっているのです。ですから、これが現状なわけなのです けれども、患者さんが来て、慢性疾患であれば、次に来るまでの間を責任を持って管理を するというような意味合いも入った点数だというように私は認識しておりますので、その 診察時間の時間だけが問題にされるのはおかしいのではないかという、そういう考えであ ります。 ○土田小委員長  ただ、それでは現状がいいかというと、やはり何にもしないで診療費を払われるという 問題は依然として残るわけですから、そこは何らかの形でクリアしていかないと、やはり 納得できないということになりますね。 ○鈴木委員  患者さんの立場に立って、何かわからないのにこの外来管理加算がついていたというの は、これはいかにも不当だと思いますけれども、そこのところではっきりした定義づけと いいましょうか、それが時間で定義するというのはいかがなものかというふうに感じます。 ○土田小委員長  わかりました。一応論点が絞れました。どこかで結論を出さなければいけませんので、 どうなるかわかりませんが、一応そういうことにして次に行きましょうか。 ○竹嶋委員(代理天本氏)  これは後ほど後期高齢者でも同じような視点の議論が出てきますので、またそのときに 議論を深めさせていただければと思います。 ○西澤委員  明細書の発行の実費徴収ですけれども、これは領収書というものは徴収しないで出して います。これは別物ですので、ここはやはりこれから患者さんの要求がどんどん多く出て くると、それなりのいろいろなコストはかかりますから、これについては額は別にして、 徴収という言葉はこのまま入れさせていただければと思います。 ○土田小委員長  わかりました。 ○鈴木委員  1点だけ。透析に限ってでございますけれども、小島委員の御指摘のように、在宅の腹 膜透析とか、そういうものに対する患者さんの選択肢というような、これはもう当然のこ とでありまして、患者さんにとって選択肢が多ければ多いほどいいわけであります。しか しながら、在宅腹膜透析での問題点は、ほとんどの請求代が材料代に充てられていまして、 御指摘のとおり、医師の技術料というのは非常に過少に評価されているところはあります。  もう1つは、血液透析の時間、医学的根拠とそれから理論的にというような御指摘であ りますので、これは次回までにちょっと考えてきますけれども、今御説明できる範囲では、 まず、尿毒症の毒というのははっきりしていないのです。それに一番似通った物質として クレアチニンという、そういう筋肉の代謝産物をそれに当てて、ほぼそれを、そういう毒 性の陰で見ているわけなのです。それが、クレアチニンの数字が、少なくとも、そういう わけですから、もうどんどん社会復帰して働いている方は、クレアチニンが通常は、もう 正常な人は2ぐらいなのですけれども、これが8になるともうそろそろ血液透析を考えな ければいけないのですが、20ぐらいになっても、患者さんは治療する間、どんどん働い ていらっしゃいます。高くなるのですけれども、それを半分以下に落としているというの が一つのメルクマールといいましょうか、指標になっております。  前回お話しした適応の部位というものの内容を、もう少しわかりやすく考えてきますけ れども、それは非常に計算式もたくさんありまして、これもまた難しい話で学問的にこう だという結論が出ていない部分もあるものですから、そういう意味で、この分野は、非常 にレトログラフィーに生存率でありますとか余病でありますとか、そういうものを調べざ るを得ないのです。その結論で透析の治療時間が長ければ長いほど長生きができるという ような、そういう数字の結果が出ているものですから、14年改定では、それまでは4時 間未満、4時間それから5時間以上というふうにきちんと体系がとれていたのが、一気に それがなくなりまして、今そうなると、恥ずかしいのですけれども、松浦委員が御指摘の ようなそういうような風潮があれば、この時間設定によって是正もできる、患者さんもい いということで、この点はぜひお認めいただきたいと思います。 ○土田小委員長  わかりました。 ○松浦委員  ちょっと一つ。 ○土田小委員長  これはもう次回にしますので、一応このIの項目では、そうしますと、明細書の問題と、 それから外来管理加算について5分以上というものを設けるか、それから人工透析の4時 間という問題、その3点が課題として残っている。そのほかについては、先ほど医療課長 から説明のあった点について御了解を得たということでよろしいでしょうか。問題があれ ばまた改めて次回に出していただきますが。  それでは、次の項目に移りたいと思います。「II 質の高い医療を効率的に提供するた めに医療機能の分化・連携を推進する視点」ということですが、大分長くいろいろござい ますけれども、これにつきまして、どうぞ1号側で。 ○対馬委員  まず、10ページの一番上の(10)です。これは診療所の問題ですけれども、有床診療 所にも、さまざまな役割や機能、内容がありますので、これまでの議論の中では、どちら かといいますと、夜間対応をとっていくのだということを中心に議論してきたというふう に思うのですが、そういう理解でいいのかどうかということの確認をしておきたいという ことです。  それから、12ページの(2)の老健施設ですけれども、これは、少し議論なり要件を 詰めればいいだけかもしませんけれども、「オンコール医師による対応ができない場合」 という、この「できない」という意味合いが、主観的に、例えば高齢なので対応できない ということだとちょっと困ると思います。つまり客観的に見て医師が対応できない状況だ というふうに思いますので、そこの確認であります。  あと12ページのII−5の精神障害者の療養生活支援については、多くの項目が盛り込 まれているが、全体の財源がない中でこれだけの対応ができるのかどうか、相当の大きな 改正になっているような感じがいたしますので、そこもちょっと確認をしておきたい。  それから15ページの一番上の(5)です。歯科医療については大分議論いたしました けれども、安全な歯科医療の提供に向けた環境整備についてはまだ完全に詰め切っていな いところがあるというふうに思いますので、ここはちょっと議論させていただければと思 います。 ○土田小委員長   今対馬委員のほうから質問が2つ出ておりますが、これについて今医療課のほうで答え られますか。 ○事務局(原医療課長)   有床診療所につきましては議論していただいているのですが、夜間のところで看護師さ んの複数の配置というところと、それから医師の対応ができるというところについて評価 をしている。そういう、おっしゃるとおりでございます。  それから、転換老健のところなのですけれども、これについては、さまざまな場合が考 えられますが、かなりまず併設された医療機関から行くという場合には、評価する場合に は、当然患者の状態も相当重篤な場合を想定しておりますので、そういう意味では、その 場合に先生の能力を超えるという場合もあるでしょうし、それから実は、医師は多くは1 00床当たり大体1人の配置ですので、その方が常に24時間、365日全部対応すると いうのも、これも難しいところもありますので、そういう意味では対応できないという場 合もある。例えば遠隔地におられる場合もありますので、それらも含めて対応できない場 合というふうに想定はしております。 ○対馬委員  オンコール医師については頻繁に対応ができないということのないように、今おっしゃ られたような形であれば理解できますので、そういう要件の設定をよろしくお願いしたい と思います。 ○土田小委員長  IIのほうでほかにございますか。 ○松浦委員  13ページの(5)、「精神病床に入院する患者の地域移行を推進する観点から」とい うことが書いてありますけれども、最近、精神的な障害を持っている方々のいわゆる凶悪 犯罪についてのいろいろな報道が頻発しております。私は、この視点はもちろん結構なの ですが、悪いと言いませんが、この症状が、あくまで患者が移行するわけですから、症状 が出たときのいわゆるまた入院しやすくするという視点に立った議論をぜひ私はしてほし いと思います。今回間に合わなければ次回の改定でそういう視点からの議論をぜひお願い したい。  以上です。 ○土田小委員長  ほかにございますか。  これは先ほど対馬委員から、精神障害についていろいろ対策が盛り込まれているけれど も、十分対応できるのかという話がありましたが、これは当然できるという前提でやって いるわけですよね。それはそうでしょうけれども、一応確認したこととして次回に御意見 を承りたいと思います。  それでは2号側のほうで。 ○竹嶋委員(代理天本氏)  10ページの「II−2 質の評価手法の検討について」の(2)の療養病棟入院基本料 についてでございます。これは、参議院における附帯事項において、診療報酬がエビデン スに基づいているかどうかを検証することが義務づけられている。しかしながら、いまだ 慢性期分科会の報告のみになって、この小委員会で検証という形での議論が深められてい ないと私は認識しております。  しかも、調査結果での報告によりますと、このエビデンスとかけ離れている、あるいは エビデンスを無視した政策判断があると報告書には明記されております。そのことにおい て、例えば患者特性とコストの関連を調査し、9区分がコストに反映していることは確認 できたと。しかし、医療区分、ADL区分を9区分とすることを慢性期委員会の前提条件 にしたにもかかわらず、保険局は政策的に診療報酬上点数を5区分とした。結果として、 点数上の区分においては、医療区分3においてはADL区分が考慮されていない。医療区 分1と2にはADL区分が部分的にしか考慮されていない。このような調査結果が報告さ れているわけですけれども、もっと重大なことは、医療区分1・ADL区分3と医療区分 3・ADL区分1を比べると、かかった費用がほぼ同じで、しかも、医療処置とかケア時 間が逆転しているにもかかわらず、点数に2倍の格差があるといったようなことが調査結 果からわかった。  このようなエビデンスといったものに基づいた形にこの診療報酬の点数をするというこ とで、大体この入院基本料というものを、一律定額制から9区分というものの前提から診 療報酬が決められたにもかかわらず、このエビデンスというものに基づいていないといっ た大きな問題点がある。そこをまずきちっと検証する中で、次回の診療報酬改定というも のを、エビデンスに基づいた形に修正していただきたい。  そして、政策判断というものが、現在の介護の受け皿が整備されていない。しかも、地 域ケア整備構想それから介護施設と医療の在り方というのはいまだ議論されているわけで す。まだ結果は出ていないわけです。したがいまして、受け皿整備ができていないといっ た状況にもかかわらず、この医療区分1を入院の必要性がないと、しかも、調査結果では、 医療処置、ケア時間といったようなことから入院の必要性があるといったようなことがき ちっと報告されておりますし、議事録でもきちっと議論されております。これは、1号側 の委員も出ていらっしゃいますけれども、そのような問題点は同じ認識でありますし、中 間報告においても土田会長からも引き続き議論が必要だと言っていただいておりますので、 この点を議論した上で、この次期診療報酬改定においてはエビデンスに基づく診療報酬改 定をぜひお願いしたいということが第1点。  第2点目は、精神科療法において、やはり時間の目安を設けるといった点、これは先ほ ども議論されておりますように、技術の差の問題、そして医療の必要度に応じたといった ような科学的な根拠というものがない形で、単なる時間という定量的なものでは大きな問 題がある。特に精神科療法においてはそのようなことを指摘したい。ここに時間のことを 入れることには大きな問題がある。  第3点として、転換型老健は、現時点において介護部会においても、この転換型老健に おいて、介護保険の給付の中にもまだ医療の部分が残っております。その点が明確になっ ていないわけでございますので、この点、いろいろと努力していただいております。新た な方向性として介護保険と医療保険がドッキングするといった視点は非常に進歩だろうと 思われますけれども、そこの根幹の介護給付の中に医療がどこまで残されていくのか、介 護療養型から薬の問題、アリセプトなどが高いために老人保健施設で使いにくいとか、い ろいろな問題がありますので、その点で議論を慎重にしていただきたいと思われます。  以上でございます。 ○土田小委員長  今あげられた3点は、いずれも大変重要な御指摘だと思いますが、これについて、今医 療課のほうである程度答えられる点がございますね。最初の療養病棟入院基本料のところ で、これは前に議論した際に、医療区分1でADL区分3というところと医療区分3の点 数の問題について説明していただいたと思いますが、もう一度そこのところを説明してく ださい。 ○事務局(原医療課長)  基本的には、まず評価されているかどうかということですけれども、診療報酬改定の評 価については、特に評価分科会のほうで特別調査をするものと、それから従来の統計で分 析するものと、それからそれぞれの委員会で、コスト分科会なり慢性期の分科会で、特別 に別のところで評価して報告していただくもの、そういう形の3系統に分けて評価をした。 そういう意味で、慢性期のものについては、中医協でその慢性期の分科会からいただいた 資料を報告しておりますので、それは評価が終わっているというのが1点ございます。  それから、あとはエビデンスに基づいてやるべきではないかというところがございます けれども、ただ、それは一方で、コストと見合わないという御指摘もございますけれども、 医療経済実態調査からいいますと、療養病床の多い病院については、確かにその他の病院 に比べて利益率は高かったという実態もございます。そういう意味で、この点数をどうい うふうに組み合わせるかについては一定の配慮が必要だと思いますけれども、政策的な誘 導的なものも含めているという点については御了解をいただきたいと思います。 ○竹嶋委員(代理天本氏)   最後の政策的判断と言う場合には、横断的な形で、医療保険と介護保険、リハビリテー ション、同じでございますけれども、介護保険との継続性、一貫性といったものの上に立 った上で政策的な判断と、後から政策的判断と言われても、前回においても、1回目の調 査結果というのは示されなかったわけです。それで、実態と、エビデンスに基づかない値 づけになっておる。これは値づけの問題は大きな問題があるわけですので、そして受け入 れの問題、受け入れ整備ができていないのに医療の必要性がないという形で……。しかも、 もう1つ重要なのは、受け入れというところで介護の現場で働く人が今急速に減ってきて おります。その人たちに、法的に認められていない医療処置までを行わせるといったよう なことを政策みずから行うこと自体、それは介護労働者において、給料も低い、そして安 心して働けない、そういったことにおいても横断的にきちっと議論をしていただきたいと いうことを述べたいと思います。 ○土田小委員長   西澤委員、関連ですか。今天本委員から話のあった点について、つまり、この療養病床 の問題についてもうちょっと御意見がありましたらどうぞ。 ○西澤委員   療養病棟のことですが、今議論になっているのは10ページの療養病棟入院基本料の適 正化ということで、これを下げるということだと思うのですが、今までの議論の中で、で きればこの場で、医療区分1は、特にコストに見合っていないということで、引き上げを 要望したいなと思ったけれども、諸般のことを考えて、そこのところは私は言わなかった つもりでございます。 今回下げるということに関しては、ちょっとどうかなと考えております。できれば我々 は上げてと要望したいところをある程度我慢しているということでは、下げるということ は、やはり療養病床でも、いろいろ確かに実調を見ると、一見よく見えますけれども、私 から見たら、経営する上ではそんなに楽だとも思っておりませんので、この下げることに 関してはもうちょっと考えていただきたいし、片方では、特殊疾患療養病棟入院基本料 等々での経過措置の延長等もございますので、あわせて、療養病床全体で整合性のとれた 議論というのをもう一度していただければと思います。 ○竹嶋委員(代理天本氏)   基本料を適正化する、要するに下げるといった点においての根拠はまだ明確でない。一 番重要なのはキャッシュフローの問題です。要するに、経営的には。要するに、ハードの 面でかなり設備投資をしたりしておりますので、いろいろな面でキャッシュフローがどう なっているかと、そういうデータは私は見たことはないのです。そういう面において、安 易に、収入が増えている、一般病棟よりも多いからといったような形で下げるというのは、 特にこの療養病床の場合にケースミックスといった形で、40床前後の方々が非常に地域 に根づいた形で一生懸命対応されております。そこの経営実態というのは非常に厳しいと いう報告を我々は受けております。そういう点も含めて、安易にここからまた取ると、前 回あれだけ何千億というものをここから取り上げた形で、またさらに医療療養病床の報酬 を再度引き下げるということは、もう病院も閉鎖しておりますし、いろいろな問題で、こ れから介護療養病棟の廃止などの問題もあって、全体でのビジョンというものがまだ国と して描かれていないわけです。そういう意味においても慎重を期していただきたいと思い ます。 ○土田小委員長   この問題についてはまた次回議論したいと思いますが、ただ、基本的には、コストを反 映したコスト分析の結果を見ながらどうするかということと、もう1つはやはり、前もそ うですが、かなり政策誘導的なファクターが強く反映される項目でありまして、それは介 護保険との絡みなりあるいは社会的入院を少なくしていくというような政策との絡みもあ ります。したがって、必ずしもコストどおりではなくて、ある程度の政策誘導が必要であ ろうというふうには思いますが、ただ、それがどういう結果をもたらすかということ、あ るいは介護保険で十分に対応できるかというような、先ほど天本先生から話がありました ように、転換型老健で一体どこまで病気の治療ができるかというような問題も含めて議論 しながら政策誘導していく必要があろうということでよろしいでしょうか。 ○竹嶋委員(代理天本氏)   この政策的なもので、我々も、医療難民といったデータで医療処置が必要な者、もう1 つ我々が主張したのは介護難民と。要するに、受け皿があればそちらに移れると。あるい は社会的入院も、我々日本医師会自体の調査において、みずからそういう点も認めている わけです。ですから、それは当然介護施設で受けると。ただし、この医療難民と我々が言 っているのは、医療処置、医療ケア時間、法的に医療行為である、そこまで病院から追い 出すというのは、政策としてはこれは間違っている。そこを認識していただきたい。 ○土田小委員長   わかりました。それではこれは、また何らかのエビデンスを出していただいて議論する 必要があるというふうに思います。これはやはり前回の改定で、ある意味で問題点を残し たところでございますから、ある程度慎重に進んでいくということが必要だろうというふ うに僕は判断します。ですから、ここのところはもう一度エビデンスを出していただいて きちっとすることが必要だと思います。  それで、判断としては、一定程度の政策誘導なりそういうことが必要だろうというふう には覚悟しておりますが、それにしても一定の根拠が必要だろうということを改めて認識 しております。  そのほかにございますか。 ○西澤委員   11ページ目の7対1のところでございますが、基準を入れるということは私たちは賛 成したところでございます。その中で、途中で「措置として」云々で、「10対1入院基 本料に加えて「看護補助加算」の算定を認める。」。これが「満たせないものについて は」というのが後ろについて、ちょっとあれっと思ったのですが、前回は10対1看護の ところに看護補助加算ができるというふうに書いてあったような気がするのですが、今回 はなかった。ちょっと限定的なような気もしますが、お教えいただければと思います。 ○事務局(原医療課長)   確かに10対1、改定資料集の610ページですか、「10対1入院基本料算定病院に おいても、日常生活等、手厚い看護が必要な患者が一定以上いることから、看護補助者等 の体制評価について検討することとしてはどうか。」。これについて、10対1病院の看 護師の配置をもう少し詳しく見ていきますと、ここに単純に看護補助加算を導入すると、 財源的に特措法などが必要になってきて対応できないという結果から、今回はその7対1 から10対1に落ちていくところについての対応という形で限定的に考えさせていただき たいということです。 ○西澤委員   かなりショックです。今回、前回の出て、みんなが7対1に行こうとしたときに、やは りなかなか行けないところ、あるいはデータでも、患者の手のかかりぐあいを見たときに は、7対1よりも10対1の病院のほうが手がかかっていたということで、この看護補助 が10対1につくことは私はいいことだと思っておりました。それで、またこれができる ことによって、無理に7対1をとらないで、この補助加算がつくことによって行くのをや めようかという病院も出てくるということでの期待もありました。  今回こういうことになると、またより多くの病院が、やはりでは7対1に行こうという インセンティブが働いて、余計医療費が高くなることが考えられますので、7対1に行く 病院の歯どめということも考えて、ここをつけていただきたいなという気がしております。 すべて今の10対1のところにこの補助をつけていただきたいと思っています。片方では 7対1の条件を厳しくしてございますので、そこでセーブできるということと、ここでも セーブできるということで、私は、トータルで見ると医療費のほうの、例えば上がること を少し防げるのではないかという思いでございます。 ○鈴木委員   7対1だとしても、当初の話では、昨年の秋ぐらいにどういう施設要件になるというよ うなことを前もって発表して、それで、その7対1を現在とっていて、それから外れる病 院に、半年程度の猶予を与えた上でこの7対1入院基本料を見直すというようなお話があ ったと思います。そういう意味では、看護必要度というような分類が非常に難しくて、こ れは、建議書の骨子といいましょうか、建議書にも多少矛盾するところが出てくるという ようなことで、私も遺憾には思っておりますけれども、そのところが、一切の提示がなく て、今回いきなりこの医師要件まであわせて出てきてしまったというような条件から、や はりここは経過措置的な猶予が絶対不可欠だと私は思いますけれども、ぜひその点をお願 いしたいと思います。  それから、入院基本料関連なのですけれども、前回の改定で、72時間という夜勤なの ですが、看護師さんが月に72時間以上夜勤をしないという、そういうルールができまし た。入院基本料すべてにこれが適用されるわけなのですけれども、3人夜勤をやっている ようなところは、それができなくなってしまったのです。夜間手薄な看護体制というもの を強力化しようというふうに、3人、通常は2人程度なのですけれども、3人配置してい るところは、72時間の制限ができて、実は逆に入院患者さんに対する看護量が落ちてし まったという事実がございますので、この72時間というのは非常に前々から要望はされ ておりましたところですけれども、時代も変わりまして、男女雇用機会均等法等もあり、 もうタクシーの運転手さんは女性でも朝まで仕事をされるような時代になっておりますの で、看護師さんだけ72時間でなくてはいけないというのは、もうちょっと考え方がずれ ているのではないかというふうに考えますし、72時間が外れますと、特別入院基本料と いうのは一番最低ランクまでドーンといきなり落ちてしまうのです。こういうようなこと もございますので、ぜひ入院基本料の72時間という問題も、これは私は患者さんのため だと思っておりますので、ぜひ御検討を、なおかつそれを反映させた結果を示していただ きたいと思います。 ○土田小委員長  一応論点として承っておきたいと思います。ただ、僕の印象ですと、ここの7対1問題 はかなり前に議論してある程度合意が形成されているという印象が強かったのですが、今 西澤委員等々からそうではないという意見が出ておりますので、これは次回改めて結論を 出したいと思います。 ○竹嶋委員(代理天本氏)  まず、7対1の問題で、医師要件が入っているのです。この問題、確かに医師が多いほ うがいい、こしたことはないのですけれども、看護師を7対1で、いろいろ議論になって 建議になったのは、要するに、かき集めといったようなことで、また医師がどちらかに集 中するといったことを非常に危惧しているわけです。ですから、今回7対1の建議におい ては、看護必要度といったことで議論をされてきて、ある、突然この医師要件が入ってき たという…… ○土田小委員長  医師要件は前回出しましたよね。前回出しまして、それで一応合意が形成されたという ように僕自身は認識していたのですが。 ○竹嶋委員(代理天本氏)  我々が一番心配するのは、その中小病院などにおいてまた医師が引き抜かれて、また医 師不足という地域が出ることを非常に危惧しますので、この件についても、慎重な予測に 基づく対応をお願いしたい。  それから認知症については、質問よろしいでしょうか。 ○土田小委員長   はい。 ○竹嶋委員(代理天本氏)  認知症についてでございますけれども、かなりいろいろなものが入ってきたということ ですけれども、その認知症において、平成18年度までは、老人性痴呆疾患通院精神療法 が算定できた。そもそも認知症の診療においては非常に時間がかかるわけです。お話を聞 く、情報収集する、そういう面においてあったわけですけれども、それが廃止されました。 いろいろな意味で現在この認知症というものが精神疾患ではないということで、通院精神 療法にはなっていない。では、かかりつけ医から専門医に紹介しても、専門医でも、この 時間をかけて診ていても、ただ初診料・再診料だけといったような対応になっている。こ のような点においてやはりこの認知症対策がもう一つ、入院の面においても特殊疾患療養 病棟でも認知症を外す、それから障害者において外す、理屈はわかりますけれども、では 受け入れ体制がどうなっているのだと。療養病床も削減される。この認知症の場合に精神 疾患と合併症を持っていることが多いわけです。合併症の、では認知症のそういう合併症 もありますけれども、長期の場合は点数を下げるといったようなことで、認知症に対する 医療評価が不十分ではないか。特にここの特殊疾患療養病棟からも外すといったようなこ とになりますと、どこに受け皿があるのか。しかも、受け皿はむしろ縮小されているとい ったようなことから、これも政策的な継続的な受け入れ整備ができていない、非常に大き な問題になる。これは、認知症の家族の方々、非常に困られることが危惧されますので、 その受け皿の問題についてどのように対応を考えていらっしゃるか。それから、精神療法 について御質問したい。 ○土田小委員長   今答えられる問題ありますか。 ○事務局(原医療課長)   まず、認知症について、器質性の例えば脳血管障害性の認知症等が、器質性の障害があ る場合には通院精神療法を算定できるというふうにされています。  それから、特殊疾患療養病棟との関係でいきますと、本来特殊疾患療養病棟は、認知症 の方々のための施設体系をつくっているわけではありませんので、それは認知症の治療病 棟が既定されているわけですので、そちらで対応すべきものと。その中で例えば評価が高 い低いという議論はあったとしても、その全然別の体系のところへ行くというのはやはり 本来の姿ではない。だから今回はそれは是正をしていきたいというふうに考えております。  また、特に認知症の入院医療について、特に入院初期といいますか、多くの場合は家庭 などで非常に暴れ出して連れてこられる方も多い。そういうような、急性期のところが対 応が非常に大変だということから、入院早期について少し評価を上げていくというような 対応を今考えているということでございます。 ○竹嶋委員(代理天本氏)  脳の器質的疾患ということですけれども、認知症というのは疾患であって、脳の機能的 なタンパク質変成から器質的な変化を起こすわけですので、認知症そのものは脳の器質的 疾患という、画像で初めて変化があったからといったような、この解釈の問題で非常に問 題があると思いますけれども、これからの認知症というものの、時間をかけて薬物療法だ けでなしに、介護者のケアとか、いろいろな面でこの対応というものにおいて、特定疾患 にも入っていないし、難病にも入っていないしといった、ちょうどはざまの疾患になって、 非常に御家族、我々も時間をかけてやっている。特にこれからはかかりつけ医の認知症対 策ということで、早期の気づきというようなことでの時間をかけた形での対応というもの がありますので、前向きに考えていただければと思います。  それから、痴呆疾患療養病棟の場合、御指摘のように、短期集中的に精神科は行うとこ ろです。しかしながら、そこの環境においてやっと落ちついたということですけれども、 なかなかその次の場所がなくて、どうしてもそこが長期化しております。どうしても停滞 しがちです。そういうようなことで、やはり痴呆疾患の療養という概念がどうしても必要 で、老人性の療養病棟も、精神科もなくなりましたし、いろいろな面で、そこの、御指摘 のように、特殊疾患とかそういうものに入るというのは確かに私も違和感は覚えますけれ ども、要するに、受け皿がない形でただスポットだけを見た形で制度化しますけれども、 現場とすれば、また家族とすれば、受け皿の問題というものをやはり考えた上での政策誘 導というものをしていただきたい。 ○土田小委員長  この受け皿は、介護保険のほうにも密接に関連してきますので、その辺を含めながら次 回に議論しましょう。 ○竹嶋委員(代理天本氏)  どうしてもこれは医療と介護が必要なところですので、介護療養型が廃止されるわけで す。介護療養型廃止においても、今回も10万人以上の廃止の署名が集まっているのです。 それぐらいにニーズは高いということも知っておいていただきたいと思います。 ○土田小委員長  はい、わかりました。  ほかにございますか。 ○山本委員   15ページのところで調剤報酬が一まとめに整理されていますが、今日配られました診 −2−1、全体を通しまして、大変幅広く薬剤師に対する議論といいましょうか、評価が されていまして、これからの医療の中での薬剤師の役割の重さといいましょうか、期待が 十分にある報告書だというふうに理解をしておりますが、その一方で、今回の目的、社保 審から出されました方針がありますので、その方針に従って議論が進んでいるわけですけ れども、医療上必要な部分でありながら、数が少ない、あるいはあまりなじみがないとい うことで今回の議論から少し落ちてしまっているようなところがございます。  具体的に言えば、年末にも申しましたが、刻みの生薬を用いる漢方処方があります。背 製剤化された医薬品薬と同じように扱えるものもありますけれども、根っこであったり葉 っぱであったりというのを、乾燥し、一人一人に合わせて調剤する、大変手間がかかって おりまして、まさに医療上必要なわけでありますが、その手間暇の部分は忘れられがちで す。今後も限られた財源の中で議論されていくわけでありますけれども、ぜひそうした部 分についても評価を忘れないで検討していただきたいので、よろしくお願いいたします。 ○渡辺委員   14ページ、15ページに「歯科医療の充実について」ということでまとめられました。 基本的には、この項目について了承していきたいと考えておりますが、この本協議会に、 歯科を代表しての要望を出させていただきましたが、当然その中にはいろいろな具体的な 項目を出させていただきました。しかし、それが本体の改定率0.42%の中ですべて行 うのは大変難しいというのは十分理解しております。  そしてもう1つ、基本的に申し上げたいと思っていますことは、歯科は、一つ一つの具 体的な技術の積み重ねで初めて一つの治療が終了するという流れがあります。そういうこ とからしますと、包括ということは基本的に私たちは賛成できないという姿勢をいつも申 し上げているところでございますが、0.42%というわずかな中での改定を行うという ことでは、一部分包括が行われることについてはやむを得ないなという考えでおります。  今後これらの内容に基づいて具体的な項目の検討をしていく中では、私たちが提出いた しました要望書のそれらの項目が具体的に実現されるように検討をさせていただきたいな というふうに考えております。当然、実際に行った診療が患者さんに分かるように評価さ れるということが必要だろうと考えております。  以上で、歯科のほうからは終わります。 ○土田小委員長  ありがとうございました。  このIIのところは随分議論をいただいたわけですけれども、それ以外はいいですか、ち ょっと確認したいのですが。それでは、次回に残された問題としては、7対1をめぐって 今西澤委員から出た問題と、それから認知症に関して天本委員から出た問題、さらに療養 病床の問題という、大きい3点が宿題として残っていると理解しております。  それで、次回にはこれらについてできるだけ決めたいと思いますが、そういう方向でも う一度お帰りになって検討していただきたいということで、次回まで、これはペンディン グにしたいと思います。  それではIII のほうでいかがでしょうか。「我が国医療の中で今後重点的に対応してい くべきと思われる領域の評価の在り方について検討する視点」ということですが、これに つきまして、どうぞ1号側。 ○対馬委員  私が感じたのは1点だけ。19ページ目の(4)専門性・集約性が求められる手術につ いて評価を引き上げることは、やはりかなり厳しい状況にあるということを承っています ので、非常に結構なことだろうと思うのです。それにしてもこれらの引き上げの財源とし て再診料の見直しがやはり必要ではないかと、こういうことでございます。 ○土田小委員長  ほかに1号側ございますか。よろしいですか、その1点ということで。つまり、その1 点を含めて賛成であるという御意見だと承っておりますが、よろしいでしょうか。  2号側、どうぞ。 ○西澤委員  18ページ目の下の(2)、医療安全対策加算ということですが、これは私は以前要望 として、専従要件を専任ということをお願いしてございました。これは、単に今の専従プ ラスのこの要件というふうに読み取れますので、基本的なところを専任、場合によっては 病床規模等の縛りがあっても結構だと思いますが、ぜひ入れていただければと思っており ます。 ○土田小委員長  これは今事務局答えられますか。 ○事務局(原医療課長)  この医療安全管理部門そのものにやはり専従の職員は最低1人はいてもらわないと困り ますので、それプラスあといろいろな部門からやはり協力体制が必要なので、そのほかの 人はもう配置ということで、これは兼務の形でも当然いいというふうに考えていますが、 1人しんになる人がいないとやはりそれを加算としては認められない。 ○西澤委員   中心になる人がいても、病床規模によって、そのする仕事もボリュームが全く違います から、例えば500床、600床で専従の仕事であれば、例えば200床未満であれば、 専従ではなくても2分の1の時間で十分できると思いますので、今言ったような病床のこ とを入れて、ぜひそういうところは専任でもオーケーと。ただ、その専任のうちの2分の 1はそこに携わる、それぐらいの条件でいいと思います。今医療安全は、本気で、これは 一番国民が望んでいることで、病院の規模にかかわらず行われている。それから、医療安 全にかかわるコストについては、収入に対する比率からいうと、規模が小さければ小さい ほど比率は高いということです。ですから、小さいところほどここにお金をかけていると いうことが言えますので、ぜひそのあたりは評価していただきたい。私たちすべての病院 が国民に安全な医療を提供しようと思って今頑張っておりますので、その評価をぜひお願 いしたいと思っております。 ○土田小委員長  御意見として承ります。それで、どういう対応をするか、もう一度事務局のほうで対応 を考えていただきます。 ○鈴木委員   19ページの(5)なのですけれども、いわゆるデジタル映像化処理加算の廃止という ところでございますけれども、これは非常に困る。反対ということを申し上げたいと思い ます。  まず、ほとんどが病院になるのですけれども、病院と、診療所は特定の診療科というと ころにこれがぶつかりますというと、経営上も非常に大きな損害を受けるところでありま して、先ほどお話があったようなこういう大事なことは、医療機関も事業計画を立てなく てはいけませんので、一定の経過措置の期間を置いた上で廃止というような形が望ましい と考えております。 ○土田小委員長  これは、(6)との関連で課長が説明されましたが、(6)との関連ではいかがでしょ うか。つまり、こちらのほうは評価を引き上げるということです。 ○鈴木委員  (6)に対する設備投資が、とてもこれは再投資ができるような額ではないのです、病 院・診療所も一挙に。非常に経費がかからないと(6)になりませんので。 ○土田小委員長  わかりました。御意見として検討させていただきます。 ○鈴木委員  経営計画を突然揺るがすようなこういうことのないように、大幅改定については、必ず ある程度一定期間、先ほども申し上げましたように、事前のアナウンスが必要だというふ うに考えます。 ○土田小委員長  これは前に一度出てきましたか。今回初めてですか。出てきましたか。そうですか、ど うもすみません、僕もちょっとうっかりして。改めて検討します。 ○竹嶋委員(代理天本氏)  今の点、また(6)についてもつながっていることなのですけれども、要するに、ある 誘導策でなると、ある日突然それを切るといったことのこの診療報酬の基本的な決め方と いいますか、やはりそれが突然決められると資本投資した者が非常に困るわけでございま すので、いろいろな意味でこういう誘導策というのは、ある意味で期間限定でも明示する 形でもいいと思うのです。そういうような形で、そしてこちらも事業計画を立てる、何か そういう方向にこれからも進んでいきたいという要望をいたします。 ○土田小委員長  わかりました。納得できる話だと思います。ただ、納得できると言ったのは、これは今 回そうするという意味ではありません。スタンスとしては理解できるということです。 ○竹嶋委員(代理天本氏)   今回の面でも、ですからそういうことから考えれば、経過措置とか明確に次回に廃止す るとか、そういうことを望むということです。 ○土田小委員長   わかりました。  ほかにございますか。  それでは、まだ手術の問題がありますが、先ほど西澤委員から話がありました専従を置 くかどうかという問題、それからこの画像診断の問題、これは次回もう一回改めて検討さ せていただきたいと思います。  それでは次の「IV 医療費の配分の中で効率化余地があると思われる領域の評価の在り 方について検討する視点」ということに関しまして、1号側どうぞ。 ○対馬委員  1つは21ページ目の一番上の(3)、「後発医薬品の調剤率が30%以上の場合の評 価」することは、だめだということではないのですけれども、在庫の問題や、要件のチェ ックはどういった形でするのかということをよく詰めていただきたい。また御説明いただ きたい。つまり、「調剤率が30%以上」ということは、一定の期間をもとにしながらや っていくのでしょうけれども、それに対して実際にどういったチェックをするかというこ とが気になるところです。  もう1点は、ここに書いていないのですけれども、ニコチン依存症管理料の問題があり ます。恐らく入るとするとここのジャンルではないかなと思うので、ニコチンパッチの問 題等々もあるようですので、一切議論なしで、またこういった項目にも入ってこないとい うのはいかがなものかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○土田小委員長   確かにそうなので、ニコチンは次に取り上げてください。  それから、この21ページの(3)、「30%以上」というこの調剤率はどうやって検 証するかという話ですが、これは具体的に何か決まっていますか。まだ決まっていません か。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今詰めているところでございます。 ○土田小委員長  わかりました。  ほかに、それでは2号側、どうぞ。ここではないですか。  それでは、また次回でも出していただければと思います。  それでは、最後の「V 後期高齢者医療制度における診療報酬について」。これは1号 側、どうぞ。 ○対馬委員   ここでは特に25ページ目の「外来医療」のところですけれども、これまでも大分議論 してきましたので、これに対して異論があるということではありませんが、特「高齢者担 当医(仮称)」という名称について、例えばそういったこともパブコメの中で問うてみる ということも一つの試みかなという感じもいたしますので、ちょっと御検討いただければ と思います。 ○土田小委員長   ほかに1号側ございますか。 ○小島委員   同じ25ページの今対馬委員が指摘されたところで、(3)、いわば(5)のところです。具 体的に、1つの医療機関のみに算定するといった場合に、例えば患者がそんなに3つも4 つもということはないと思いますけれども、その高齢者担当医というようなところに高齢 者が行った場合に、そこを1つの医療機関のみにと限定するのか、これはどうやって検証 するのかということを、どういうふうに検討されているのですかということなのです。 ○土田小委員長   これも答えられますか、事務局のほうで。 ○事務局(原医療課長)   まず、患者さんの同意を得て診療計画等々をつくっていくという作業が当然ございます ので、そういう中で、ほかの医療機関を受診しているという状況も当然聞かなければいけ ませんので、例えばこういうような計画書をもらっていますかとか、そういうような形で 当然情報は収集できるだろう。その上で、そちらでこれが算定されているなら、あとの医 療機関ではとれないという形に多分なる。そういう意味で、何が指標かというのが多分メ ーンになるのでしょうけれども、そのあたりは患者さんと十分によく相談して、私は、で はあなたを全体として診ていきましょうというようなことを納得していただく。そういう ところで絞っていけるだろう。  最終的なチェックは、医療機関が分かれている医療機関からのレセプトが集まるところ でないとできませんので、そのあたりは保険者では十分できる。ただ、そのためには、紙 の媒体では大変だろうと、そこら辺の話はつながったわけです。 ○土田小委員長  ほかにございますか、1号側。よろしいですか。  それでは2号側で。 ○竹嶋委員(代理天本氏)  25ページの(2)の再診料の問題でございます。特に後期高齢者といった場合に、予 防・予測的な医療というものが第一原則といったようなことから、いろいろな意味で継続 して医学的管理をしていく際に、一次、二次、三次予防への視点とか、生活への指導とか、 それから早期発見の継続的な専門医への紹介とか、いろいろな意味で今までの医療と違っ た技術、対応というものが、特に生活への視点とか高齢者の心のケアへの配慮だとか、そ れから本人の意向・価値観、医者として治療方針はこうだと言っても、やはり本人の意向 確認をするとか、それから介護者へのケアとか、いろいろな視点で、この再診という面に おいての今までと違った視点というものは私は重要だという認識で、ここで再診料を引き 下げるということには、非常に大きな問題点として、反対の意思表示をしたい。やはり本 人・家族に耳を傾け、非常に細かい気づきというものをしていくといったような視点とい うのは、初診・再診ともにやはり時間を要して、人とのかかわりというものを重要視する ことが、高齢者、特に後期高齢者医療において重要だという認識の下に、この再診料の引 き下げには反対をさせていただきます。 ○西澤委員  まず一つの要望ですけれども、この主治医が要件としては診療所とそれから周囲に診療 所が存在しない病院となってございますが、再三申し上げてございますが、実はこのよう な機能を担っている病院は非常に多くて、現在患者さんもかなりのパーセンテージで、多 分病院が主治医の役割を果たしていると思ってございます。そういうことでは、もっと病 院にも認めていただきたいなと思っております。これは多くの病院団体から要望として私 のほうにも参っております。  1つ質問ですが、この再診でございますが、この後期高齢者とそれからその他とで、今 回点数は分けるつもりでしょうか、それとも同じでいくつもりでしょうか。 ○事務局(原医療課長)  そこは全体、一般部分が初・再診料がどうなるかに当然かかって、一般分の初診料は今 のところ議論になっていませんので、現行点数とすると、この後期高齢者を動かすとした ら、当然それで上がるということになっています。再診料をそれだけに引き下げるなら、 そのもし一般部分がどれだけ下がるか、あるいはそのままかということによって差ができ るかできないかというのはここで決まってきますので、この場合、一般部分の初・再診料 については別個で考えています。 ○西澤委員   ということは、今再診料に関しては一般も老人保健法もたしか同じ点数だったと思いま すが、今回は後期高齢者とは分けるということでよろしいですか。 ○事務局(原医療課長)   ですから、そこは当然ながら考え方が違ってつけていきますので、そこは一般の部分が、 例えば仮に1点下がったとして、こちらは老健としたら相対的に下げるということで3点 下がるかもわからないし、一般部分がゼロの場合にこちらを下げるという場合もあり得る ということで、そこはそこで一応切り離して考えている。これは財源が違ってきますので、 そこで違う点数ができても私は構わない。そのあたりでという考えで、ここでは初・再診 料の重みづけを考えてはどうかと提案をしているということでございます。 ○土田小委員長  すると、74歳との絡みはどうなっていくのですか。74歳から75歳まで。 ○事務局(原医療課長)  ですから、そこは基本的には連続して変わっていくものですけれども、全体としてとら えているときに、後期高齢者医療制度の中での初・再診料は74歳以下の部分と少し性格 が違うだろうという整理をさせていただいているということです。  先ほどの天本委員からの御意見なのですが、天本先生がおっしゃったようなことは、ま さしくこの(1)でやろうとしていることでございまして、そこと(1)で評価をしてい くというふうに考えております。 ○竹嶋委員(代理天本氏)  (1)というのは、包括的なところでございますね。包括的な点のとられるところは、 これは患者さんとの相対契約でそこも重要でしょうけれども、出来高においても同じよう な視点というのは、後期高齢者の場合にやはり必要なわけですので、そういう点で私は主 張しているわけです。  それからついでに、次のお願いとして、これは連動することだろうと思いますけれども、 (3)の外来管理加算において、これは病院と診療所を統一するということは、診療所を 下げるということですので、私は病院を上げることに関しては問題ないわけですけれども、 この下げることに関しては、先ほども言いましたように、高齢者の場合には、いろいろな 意味での生活機能ということで、衛生管理とか栄養管理とか、環境整備等におけるいろい ろな意味の外来における管理加算というのは重要な技術料と私は認識しており、結果とし て引き下げには反対をしたいと思います。 ○土田小委員長  そうすると、この点数格差を同じにするということは反対ではないということですね。 ○竹嶋委員(代理天本氏)  もちろん病院を上げていただいてすることは、非常に財源があれば、私は病院をどうこ うということではなしに、診療所の医師としての本質的な技術料としての再診料、外来管 理加算というものについて、特にこの高齢者という視点について意見を述べさせていただ いた。 ○鈴木委員  しつこいようですけれども、22ページの「医療の連続性に配慮し」というのが、もう 出だしですが、その辺であまり初・再診料が大きく変わってくるということは、いくら財 源が別でも決して望ましいことではないのではないでしょうか。 ○土田小委員長  そこはあわせて次回検討させていただきたいと思います。 ○渡辺委員  24ページ、25ページに歯科関係の記載がございますけれども、この在宅歯科医療の 推進は、医療保険部会・医療部会の基本方針の中にも重要性がうたわれておりますし、ま た、1号側からの要望の中にも、そうした高齢者のケアの重要性の訴えもございました。 そういう意味で、ここには具体的に3項目しか出ておりませんが、こうしたものに関係し て、やはり私たちも在宅歯科医療を推進するという基本姿勢で進めていく中で、制度的に それをプッシュする、推進する、そういう制度としてしっかりお願いしたいと思います。 それにはそれなりのインセンティブが働くということが必要ではないかと思います。  実際に、在宅の方、ほとんどの方が障害者であります。非常に難しい治療をしなければ いけない。また、非常に困難な環境の中で、歯科医療というのは、ほとんど小手術的な処 置をするということは、非常に大変難しいのです。そういうことに対しての評価も十分に お願いしたいということを申し上げたいと思います。  以上です。 ○土田小委員長  よろしいでしょうか。もう1時間ほどオーバーしておりますが。 ○小島委員  今の25ページの外来のところについて、初・再診のところ、特に再診料の引き下げに ついては反対といった意見が強く出ていたのですけれども、ここはやはり確かにおっしゃ るように、75歳を境にしてそう大きく診療報酬自体が変わるということは望ましくない と思いますけれども、ここで言っている、その前の(1)の包括化と、それからそれとの 関連でこの初・再診料の関係、あるいは外来管理加算の問題という、総合的な観点からこ こは検討・判断すべきだろうと思っています。ここだけ取り出して、これはいい悪いと言 うよりは、総合的に判断してどうかということで、そういう観点での見直しというのが必 要ではないかと思います。 ○土田小委員長  まさにそういう議論をして、僕の記憶では、1号側、2号側もこれは了解したというふ うに理解しておりました。したがって、今、天本先生からそういう意見が出てきたのを聞 いて、言葉はきつい言い方ですが、日本医師会の内部でもう少しすり合わせしてほしいと いうような印象を持っているわけです。天本先生個人の御意見はもちろん言っていただい て結構ですが、そういうところも含めて次回もう一度取り上げて整理していきたいと思い ます。  どうも大変時間をオーバーしました。予定では課長の説明が1時間強でしたので、した がって、1時間半ぐらいかかるかなと思いましたが、2時間かかってしまいました。  今後の予定につきましてですが、次回は1月18日金曜日に、やはりこの基本小委を開 かせていただきますけれども、その場で今日御議論いただきましたものについて、「現時 点においての骨子」という形でまとめたいと思っております。「現時点」です、最終的な 骨子ではありません。そこでは必ずしも1号・2号の意見がすべて一致するということに はなっていないと思いますので、両論併記なりあるいは書きぶりは事務局に工夫してもら いますけれども、そこで何らかの形で「現時点の骨子」というものをまとめていただきま す。それについて総会での了解を得た上で、国民からの意見、つまりパブコメを募集した いと考えております。その後、そういう論点について、パブコメに加えて公聴会も行いま すが、その議論を踏まえて最終的な骨子というものを固めるというスケジュールを考えて おります。  したがって、急に1月に入って非常にスケジュールがタイトになってきましたので、皆 様に大変御迷惑をおかけすると思います。別にこれは議論を控えろという意味では決して ありませんで、大いにがんがんやってもらいたいし、前回の改定のように、後で問題が起 こってくるということはできるだけ避けたいと思いますから、したがって、十分な議論を しながら改革の骨子を、次回において「現時点の骨子」という形でまとめたいと思います。  どうぞ、今日お帰りになってから金曜日までまた勉強していただきまして、まとめのほ うに御協力いただきたいと思います。  ということでよろしいでしょうか。何かありますか。よろしいですか。  それでは、今日の基本問題小委員会はこれで終了させていただきます。声がおかしな上 に言葉がきつくてどうも恐縮です。これで終了します。     【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)