08/01/16 第109回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録 第109回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 1 日時  平成20年1月16日(水)10:00〜 2 場所  厚生労働省職業安定局第1会議室(13階) 3 出席者    委員  公益代表 :鎌田委員、北村委員、清家委員        労働者代表:市川(佳)委員、長谷川委員、古市委員        使用者代表:市川(隆)委員、山崎委員、輪島委員   事務局  大槻職業安定局次長、宮野総務課長        山田公共職業安定所運営企画室長、長良雇用保険課長補佐、        鈴木需給調整事業課長、田中派遣・請負労働企画官、        松原需給調整事業課長補佐、竹野需給調整事業課長補佐、        松浦需給調整事業課長補佐、佐藤需給調整事業課長補佐 4 議題  (1)労働力需給制度について       (2)競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正          する法律案(職業安定法特例)について ○清家部会長  定刻になりましたので、第109回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 を開催いたします。委員の皆様におかれましては、ご多忙のところをお集まりいただき まして、誠にありがとうございます。  早速議事に入ります。最初の議題は「労働力需給制度について」です。まず、前回の 部会において提出させていただいた中間報告の中で、早急に対処すべきものについて、 事務局に具体的な案を出すようにお願いしていたところですが、今回事務局から、日雇 派遣に関わる指針の案を提出していただいていますので、ご説明をお願いいたします。 ○松原補佐  まず資料の確認をさせていただきます。資料1-1から資料3-3までありまして、最後に 参考を付けています。資料1-1が「日雇派遣労働者の雇用の安定等を図るために派遣元 事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針(案)」です。資料1-2が、「派遣元事 業主が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する告示(案)」です。資料1-3が、「 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施 行規則の一部を改正する省令案要綱」です。資料2が「規制改革会議の「規制改革推進の ための第2次答申」に関する対処方針について」です。資料3-1「ハローワークの市場化 テストの概要等について」です。資料3-2が「競争の導入による公共サービスの改革に 関する法律の一部を改正する法律案[職業安定法の特例]について」です。資料3-3は 「ハローワークの概要等について」です。最後に参考で「労働者派遣制度の検討状況に ついて(中間報告)」です。お手元にない資料がございましたら、事務局までお申し出 ください。  それから、今日はご説明申し上げませんが、昨年12月28日に記者発表した労働者派遣 事業の状況と、民営職業紹介事業の状況の記者発表資料を配付していますので、ご参照 いただければと思います。  まず、資料1-1から資料1-3まで、一括してご説明します。まず資料1-1で、「日雇派 遣労働者の雇用の安定等を図るために派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する 指針(案)」です。第1の「趣旨」です。現行でも、派遣元指針、派遣先指針があるわけ ですが、これに加えて、日々又は30日以内に期間を定めて雇用される者、以下「日雇派 遣労働者」と言わせていただきますが、これについて、その適切かつ有効な実施を図る ため必要な事項を定めたものです。この「日々又は30日以内の期間を定めて」というと ころですが、こちらは雇用保険法の日雇労働者の定義も参考に、雇用期間が短期で雇用 が不安定であると考えられるものとして、この定義とさせていただいております。。  また、この指針の構成ですが、現行の派遣元、派遣先指針から基本的にそのまま引用 しているもの、書き加えたものがありますので、その点も含めて説明させていただきま す。  第2の1の(1)(2)ですが、こちらは現行の派遣元、派遣先指針から引用してきてい るものです。「労働者派遣契約の締結に当たっての就業条件の確認」で、(1)「派遣先 は、労働者派遣契約の締結の申込みを行うに際しては、就業中の日雇派遣労働者を直接 指揮命令することが見込まれる者から、業務の内容、当該業務を遂行するために必要と される知識、技術又は経験の水準その他労働者派遣契約の締結に際し定めるべき就業条 件の内容を十分に確認すること。」(2)派遣元事業主は、派遣先との間で労働者派遣 契約を締結するに際しては、派遣先が求める業務の内容、当該業務を遂行するために必 要とされる知識、技術又は経験の水準、労働者派遣の期間その他労働者派遣契約の締結 に際し定めるべき就業条件を事前にきめ細かに把握すること。」です。  2で、「労働者派遣契約の期間の長期化」です。こちらについても、現行の派遣先指針 からほぼ引いてきていますが、変更点があります。真ん中の辺りで、雇用契約の期間に ついて、「可能な限り長く定める」が加わっています。3の「当該期間を当該労働者派遣 契約における労働者派遣の期間と合わせる等、日雇派遣労働者の雇用の安定を図るため に必要な配慮をすること」につきましては、現行の派遣先指針とほぼ同様になっていま す。  4「労働者派遣契約の解除に当たって講ずべき措置」です。最終的には民事上の問題と なりますが、こちらについては(1)から(4)まであります。こちらも現行の派遣先指 針、派遣元指針から引用してきているものが多くなっています。(1)については、現行 の派遣先指針から引用してきています。(2)についても、現行の派遣先指針、派遣元指 針から引用してきています。  (3)の損害賠償の部分で、「派遣先は、派遣元の責に帰すべき事由により労働者派遣 契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行おうとする場合には、日雇派 遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることとし、これができないときには、速やかに、 損害の賠償を行わなければならないこと。」とあり、4行目に「速やかに」という文言が 入っています。現行の指針においては、「30日分の賃金」という文言が入っていますが、 日雇いの場合はそういうことが難しい状況にありますので、「損害の賠償を行わなけれ ばならない」という端的な言い振りにしています。  (4)についても、現行の派遣先指針をそのまま引いていますが、派遣先は、契約の解 除を行う理由を派遣元事業主に明らかにしなければならないということを書いています。  第3「労働者派遣契約に定める就業条件の確保」です。(1)ですが、こちらも前段は 現行の派遣元指針から引いてきています。「派遣元事業主は、派遣先を定期的に巡回す ること等により、日雇派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約の定めに反していない ことの確認等を行うとともに、日雇派遣労働者の適正な派遣就業の確保のためにきめ細 かな情報提供を行う等により派遣先との連絡調整を的確に行うこと。」です。そのあと の「また」以下が、今回新たに加えた部分です。「また、派遣元事業主は、日雇派遣労 働者からも就業の状況が労働者派遣契約の定めに反していなかったことを確認すること。」 日雇派遣労働者は、賃金等をもらうためにその日に派遣元に戻ってくるような例も見ら れるところですので、派遣元事業主は、雇用主として日雇派遣労働者の就業の状況をし っかりと確認していただきたいということです。  (2)ですが、イについては、現行の指針からそのまま引用してきています。  続いてロの「就業先の巡回」です。この1行目の「一の労働者派遣契約について、少 なくとも一回以上の頻度で」という言い方が、今回新たに加えているものです。  ハの「就業状況の報告」ですが、こちらも「一の労働者派遣契約について少なくとも 一回以上の頻度で定期的に当該日雇派遣労働者の就業の状況について報告を求めるこ と。」という言い方が、新たに加わっているところです。ニについては、現行の指針を 引用してきています。  第4「労働・社会保険の適用の促進」です。(1)「日雇労働被保険者及び日雇特例被 保険者に係る適切な手続」は今回新たに加わっている部分です。日雇派遣労働者につい て、特別な保険制度のある雇用保険法と健康保険法について、しっかりその手続を行う ということを書いています。「派遣元事業主は、日雇派遣労働者が雇用保険法(昭和四 十九年法律第百十六号)第四十三条第一項に規定する日雇労働被保険者又は健康保険法 (大正十一年法律第七十号)第三条第二項に規定する日雇特例被保険者に該当し、日雇 労働被保険者手帳又は日雇特例被保険者手帳の交付を受けている者である場合には、印 紙の貼付等の手続(以下「日雇手続」という。)を適切に行うこと。」という書き振り としています。  (2)については、現行の一般被保険者の方々について、開始後速やかに当該届出を行 ってから、労働者派遣を行うことを書いています。  (3)「派遣先に対する通知」ですが、こちらも今回新たに加わっている部分です。 「派遣元事業主は、労働者派遣法第三十五条に従い、派遣先に対し、日雇派遣労働者に ついて届出を行っているか否かを通知すること。さらに、派遣元事業主は、日雇派遣労 働者が手帳所持者である場合においては、派遣先に対し、日雇手続を行うか行えないか を通知すること。」です。いちばん下の「日雇手続を行うか行えないか」というところ ですが、手帳を保持しておりましても、労働者のほうから手帳の提示がないような場合 には手続を行えませんので、そのような事態を想定しています。  (4)「届出又は日雇手続を行わない理由に関する派遣先及び日雇派遣労働者への通知 等」です。「派遣元事業主は、日雇派遣労働者について届出を行っていない場合には、 その具体的な理由を派遣先及び当該日雇派遣労働者に対し、通知すること。さらに、派 遣元事業主は、日雇派遣労働者が手帳所持者である場合であって、日雇手続を行えない ときには、その具体的な理由を派遣先及び日雇派遣労働者に対し、通知すること。」と しています。  (5)は「派遣先による届出又は日雇手続の確認」です。日雇手続の部分が加わってい ますが、現行の指針の書き振りをそのまま引用した形になっています。  第5で、「日雇派遣労働者に対する就業条件等の明示」です。(1)は労働者派遣法に 基づく就業条件の明示です。現行の指針にも書いていますが、新たに加えたところは、 モデル就業条件明示書(日雇派遣・携帯メール用)というものを作りまして、就業条件 等の明示を確実に行うことという形で書いています。  (2)ですが、こちらは労働基準法に基づく労働条件の明示の部分です。新たに加わっ ている部分ですが、「派遣元事業主は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第 十五条に従い、日雇派遣労働者との労働契約の締結に際し、労働契約の期間に関する事 項、就業の場所及び従事すべき業務に関する事項、労働時間に関する事項、賃金に関す る事項(労使協定に基づく賃金の一部控除の取扱いを含む。)及び退職に関する事項に ついて、書面の交付による明示を確実に行うこと。また、その他の労働条件についても、 書面の交付により明示を行うよう努めること。」です。現行の労働基準法に基づき行う べきことを書いてあります。  第6です。ご議論のありました「教育訓練の機会の確保」です。(1)から(6)まであ りますが、(1)から(4)が、今回加わっている部分です。  (1)「派遣元事業主は、職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)及び労 働者派遣法第三十条にのっとり、日雇派遣労働者の職業能力の開発及び向上を図ること。」  (2)は「派遣元事業主は、日雇労働者が従事する職務の遂行に必要な能力を付与する ための教育訓練については、派遣就業前に実施しなければならないこと。」で、労働者が 持つべき職務について、十分チェックした上で派遣するという趣旨に基づきまして、派 遣就業前に実施するという形で書いています。  (3)ですが、こちらは効率的な職務の運営のためということです。「派遣元事業主は、 日雇派遣労働者が従事する職務を効率的に遂行するために必要な能力を付与するための 教育訓練について実施するよう努めること。」  (4)は、ステップアップ的な観点から書いています。「派遣元事業主は、(2)及び (3)に掲げる教育訓練以外の教育訓練については、日雇派遣労働者の職務の内容、職務 の成果、意欲、能力及び経験等に応じ、実施することが望ましいこと。」としています。 (5)(6)については、現行の指針をそのまま引いてきています。  5頁の第7で、「関係法令等の関係者への周知」です。(1)から(4)までありますが、 (1)が今回新たに加わっている部分です。「派遣元事業主は、日雇派遣労働者を登録す るためのホームページを設けている場合には、関係法令等のコーナーを設けるなど、日 雇派遣労働者となろうとする者に対する関連法令等の周知を徹底すること。また、派遣 元事業主は登録説明会等を活用して、日雇派遣労働者になろうとする者に対する関係法 令等の周知を徹底すること。」です。現行の派遣法等の法令を知らない日雇派遣労働者 が多い状況でありますので、さまざまな機会を使って法令の周知を徹底していただきた いという趣旨です。(2)(3)(4)については、現行の指針にも書いていますように、 関係法令、特例等について、文書の配布等の措置を行ってほしいということが書いてあ ります。  第8の「安全衛生に係る措置」です。(1)(2)(3)とありますが、(1)と(3)が 新しく加わっている部分です。基本的に現行の法令に基づく措置を書かせていただいて います。(1)ですが、「派遣元事業主は、日雇派遣労働者に対して、労働安全衛生法 (昭和四十七年法律第五十七号)第五十九条第一項に規定する雇入れ時の安全衛生教育 を確実に行わなければならないこと」。(2)は現行の指針を引用してきている部分で、 派遣先も安全衛生教育については協力してほしいということが書いてあります。  6頁の(3)「派遣先は、日雇派遣労働者の安全と健康の確保に責務を有することを十 分に認識し、労働安全衛生法第五十九条第三項に規定する危険有害業務就業時の安全衛 生教育の適切な実施等必要な措置を確実に行わなければならないこと。」につきまして も、現行の安全衛生法でこの義務がかかっていますので、そこを書いています。  第9「労働条件確保に係る措置」です。(1)(2)とも、基本的に労働基準法上等の措 置を書いています。(1)「派遣元事業主及び派遣先は、日雇派遣労働者の労働条件の確 保に当たっては、第5(2)に掲げる労働条件の明示のほか、特に次に掲げる事項に留意す ること。」です。イ「賃金の一部控除」です。新聞報道等でも一部話題になっていました が、「派遣元事業主は、日雇派遣労働者の賃金について、その一部を控除する場合には、 購買代金、福利厚生施設の費用等事理明白なものについて適正な労使協定を締結した場 合に限り認められることに留意し、不適正な控除が行われないようにすること。」とし ています。ロ「労働時間」については、「派遣元事業主は、集合場所から就業場所への 移動時間等であっても、日雇派遣労働者がその指揮監督下にあり、当該時間の自由利用 が当該日雇派遣労働者に保障されていないため労働時間に該当する場合には、労働時間 を適正に把握し、賃金を支払うこと。」としています。  (2)ですが、「(1)に掲げるほか、派遣元事業主及び派遣先は、日雇派遣労働者に 関して、労働基準法等関係法令を遵守すること。」として、最低賃金なども含まれてい る形にしています。  第10「情報の公開」です。こちらは書き下しになっています。「派遣元事業主は、日 雇派遣労働者及び派遣先が良質な派遣元事業主を適切に選択できるよう、労働者派遣の 実績、派遣料金の額、教育訓練その他事業運営の状況に関する情報を公開すること。」 です。ここでいう派遣料金の額につきましては、具体的に何ということをこちらで定め るわけではありませんが、例えば事業報告の中にある派遣料金の平均額などを想定して いるものです。  第11で、「派遣元責任者及び派遣先責任者の連絡調整等」です。こちらも今回新たに 加わっている部分です。(1)は「派遣元責任者は、労働者派遣法第36条に規定する日 雇派遣労働者に対する必要な助言及び指導等を十分に行うこと。」、(2)は「派遣元責 任者及び派遣先責任者は、労働者派遣法第三十六条及び第四十一条に規定する日雇派遣 労働者から申出を受けた苦情の処理、日雇派遣労働者の安全、衛生等に関する相互の連 絡調整等を十分に行うこと。」としています。  第12「派遣先への説明」です。「派遣元事業主は、派遣先が日雇派遣労働者について この告示に定める必要な措置を講ずることができるようにするため、派遣先に対し、労 働者派遣契約の締結に際し、日雇派遣労働者を派遣することが予定されている場合には、 その旨を説明すること。また、派遣元事業主は、派遣先に対し、労働者派遣をするに際 し、日雇派遣労働者を派遣する場合には、その旨を説明すること。」という書き振りで すが、こちらは派遣される派遣先の事業主につきましては、日雇派遣労働者が派遣され ているかどうかは基本的には知り得ない状況です。例えば派遣元で常用型の形で雇われ ている場合であっても、1日単位の契約を結んで派遣先に派遣することがあり得るわけで すので、1日単位とか、1ヶ月以下の短期の派遣労働者を派遣する場合には、派遣元は派 遣先にその旨を説明して、その上で、今回この指針に書いてある措置について、派遣先 も守っていただきたいということです。  第13の「その他」です。個人情報の関係や、今回この日雇派遣指針に書いていない部 分が、現行の派遣元、派遣先指針にありますので、その部分についても、当然適用され ることに留意していただきたいということです。以上が資料1-1の説明です。  続いて資料1-2「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する告示 (案)」です。先ほど説明した日雇派遣労働者のための指針において、情報の公開の規 定がありますが、これについては、日雇派遣をやっている派遣元事業主だけに求めるの はおかしいのではないかということで、現行の派遣元指針に1条加える改正をしてはどう かということです。第13「情報の公開」ということで、書き振りについては資料1-1の 「情報の公開」と同じにしています。  資料1-3をご覧ください。労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業 条件の整備等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱、チャート図、労働者 派遣事業報告書の改正(案)と、3部構成になっています。まず、省令案要綱に基づい て説明いたします。  第1「派遣先責任者の選任」です。現行、派遣先責任者については、労働者派遣の期 間が1日を超えない場合については選任する必要がないとなっています。こちらを、「 派遣先は、労働者派遣の期間が1日を超えないときであつても、派遣先責任者を選任し なければならないものとすること。(第三十四条関係)」としてはどうかというもので す。  第2、第3、第4が、派遣先管理台帳の作成、記載事項、記載事項に係る通知ですが、 こちらは後ろのチャート図をご覧ください。第2ですが、先ほど申し上げました派遣先 責任者と同様、現行の労働者派遣法においては、労働者派遣の期間が1日を超えないと きであれば、派遣先管理台帳の作成が必要ないとなっています。これを、「派遣先は、 労働者派遣の期間が1日を超えないときであつても、派遣先管理台帳を作成しなければ ならないものとすること。(第三十五条関係)」としてはどうかというものです。これ が改正点の(1)です。  改正点の(2)ですが、「派遣先管理台帳の記載事項」ということで、法律の第42条第1項 第7号で、「その他厚生労働省令で定める事項」と書いていて、この厚生労働省令で定め る事項が、第36条と書いていますが、省令で定められているというものです。こちらに ついては、現行では派遣就業した場所を記載することになっていませんので、派遣先に おいて「派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事した事業所の名称及び所在地その他 派遣就業をした場所」を派遣先管理台帳に記載していただきまして、派遣先においても しっかり把握するようにしてはどうかというものです。  改正点の(3)です。矢印で右から左に「通知」とありますが、現行は法第42条第1項の 2、3号と省令第36条の第1号に、派遣就業した日、派遣就業した日ごとの始業及び終業 した時刻並びに休憩した時間と派遣労働者の氏名を、派遣先は派遣元事業主に対して、 定期的に通知する、又は派遣元事業主から請求があった場合に通知することになってい ます。この通知の中身について、法第42条第1項第4号に従事した業務の種類と、先ほど 追加した派遣就業した場所についても、派遣先から派遣元へしっかり通知していただき まして、派遣契約がそのまま履行されているかを、派遣元においてもチェックできるこ とにしてはどうかというのが、今回の改正の3点です。  続いて2頁の第5で、「事業報告書」です。事業報告書については、「労働者派遣事業 報告書(改正案)」というものがありますが、現行の事業報告書においては、日雇派遣 労働者の数や日雇派遣労働者の従事する業務に係る派遣料金、日雇派遣労働者の賃金等 について、基本的には把握できない状況になっています。そこで、今回事業報告書の様 式を改正いたしまして、日雇派遣の状況を把握できるようにしてはどうかというもので す。こちらについては、派遣法第23条に基づいて、派遣元事業主は、毎事業年度経過後 3カ月以内に、厚生労働大臣に対して報告をすることになっていますので、その際、日 雇派遣労働者の報告も併せて取れるようにしてはどうかということです。  続いて第6で、「施行期日」「経過措置」です。この省令ですが、基本は平成20年4月 1日から、派遣先責任者の選任、派遣先管理台帳の作成等には罰則がかかります。30万 円以下の罰金刑が科されている条文ですので、一定の周知期間も設け、平成20年4月1日 から施行することにしてはどうかということです。ただし、先ほど申し上げました事業 報告書につきましては、公布の日から施行することにしてはどうかと考えております。 施行しても基本的には、3カ月以内に毎事業年度の事業報告書を出せば足りますので、 周知期間等も十分にあるのではないかという考え方です。  2の「経過措置」ですが、いま申し上げました事業報告書の改正については、公布日 施行ということですが、公布日以後に終了する事業年度に係る事業報告書について適用 して、その日の前に終了した事業年度に係る事業報告書については従前の例によるもの としてはどうかというものです。以上が、資料1、資料1-2、資料1-3の説明です。 ○清家部会長  ありがとうございました。ただいまのご説明を踏まえて、ご意見、ご質問をいただき たいと思います。 ○長谷川委員  この指針の効果というのは何があるのでしょうか。ある意味では努力しましょうとい うのが指針だと思うのですが、指針である限りは、どのような効果が期待されるのかが 大事だと思います。労働行政の場合、指針というものがたくさん出てきます。指針は行 政が指導するときの根拠にはなり得るけれども、個々の労働者に対して、派遣の場合は 事業主に対してもですが、罰則があるわけではないし、ここに書かれている内容の効果 がどのような形で出るのかというのが、あまり期待できないのではないかと思っている のです。  だから、今回の日雇派遣をめぐるさまざまな問題点について、この指針に盛り込まれ ていると思うのですが、これで派遣元事業主、派遣先に何か罰則が付くとか、民事効果 があるというものではないので、これで本当に実効性があるのかなというのが第1点で す。だから、私は、これは指針ではなくて、むしろ法律にしたほうがいいのではないか と思います。また、今後派遣法の改正を行うわけですから、指針ではなくて法律で日雇 派遣を規制することが重要ではないかと思っています。これはそもそも論です。  中身についてですが、第2の1の(1)です。「派遣先は、日雇派遣労働者を直接指揮 命令することが見込まれる者から、業務の内容、当該業務を遂行する際に知識を確認す る」となっているのですが、派遣先で直接派遣労働者に業務を指揮する者から、業務の 内容、知識、技能、経験の水準その他就業条件の内容を十分に確認するというのは、も ともとこういう中身だということですが、派遣先で業務を指揮する者がこれをやったと きの効果があるのは、どういう場面なのか教えてほしいのです。私も派遣の人と一緒に 働くことがあるのですが、どういう場面なのか想定できないので教えてください。  それと第2の2の労働者派遣契約の期間の長期化ですが、これがどういう効果があるの かなと思ったのは、派遣労働者の期間について、「可能な限り長く定める等、日雇派遣 労働者の雇用の安定を図るために必要な配慮をすること」です。これは、気持としては わかるのですが、こういうことは実際にあるのですか。  3の「雇用契約の期間の長期化」ですが、「できるだけ長期にする」というのは何なの でしょうか。できるだけ長期というのはどの程度を指すのか。  4の「労働者派遣契約の解除に当たって講ずべき措置」です。現行法もあるのですが、 私はこれは法律にして、民事効果を与えたら、とてもいい法律だと思うのですが、これ は指針であって、派遣法というのは民事効果がある法律かどうかというところで見ると、 契約解除をするときに、両方の合意が必要ですといった場合、契約解除で合意しなかっ たときに、どういう効果があるのですか。  4の(2)ですが、これも現行法にありますが、「互いに連携して、当該派遣先の関連 会社での就業のあっせん等により、新たな就業機会の確保を図ること」ができなかった 場合にどうなるのか。  (3)の「速やかに、損害の賠償を行わなければならないこと。」「適切な善後処理方 策を講ずること。」「派遣元事業主及び派遣先の責めに帰すべき部分の割合についても 十分に考慮すること」とあります。何を言っているかはよくわかるのですが、これがど のように当事者拘束するのか、どのような効果があるのかについて教えていただきたい と思います。  4の(4)で、解除の理由を言わなかった場合はどうなるのですか。  第3「労働者派遣契約に定める就業条件の確保」です。「適正な派遣就業の確保のた めにきめ細かな情報提供を行う等により」云々で、「就業の状況が労働者派遣契約の定 めに反していなかったことを確認する」となっているのですが、どうやってやればいい のかをもう少し具体的に教えていただきたいと思います。  次が(2)で、就業条件の周知徹底は、「書面を交付し、又は就業場所に掲示する等」 とあります。書面交付はわかります。「就業場所に掲示する等」というときに、もし書 面交付と、就業場所に提示がなかった場合にどうなるのか。例えば就業規則は、本来は、 いつでも、誰でも労働者が見られる所に置けとなっているのですが、金庫の中に後生大 事に持っている使用者がいるというのは、就業規則のときの例で言われているわけです。 就業場所に提示するというのですが、これをしなかった場合、金庫に大切に保管してい た場合はどうなるのでしょうか。  ハで、日雇派遣労働者の派遣契約について、「少なくとも一回以上の頻度で」とあり ますが、「一回以上の頻度で」というときに、30日以内ですから、どういうことを考え ているのでしょうか。書いてあることが駄目だと言っているのではなくて、書いてある ことはわかるのですが、もう少し教えてほしいということです。  第4「労働・社会保険の適用の促進」の(1)で「印紙の貼付等の手続を適切に行うこ と」とあります。印紙の貼付というのは、日雇いの人たちが毎日終わったときに、毎回 手帳に貼ってもらうのですが、派遣の労働者のときの印紙の貼付はどうやっているのか、 その場面を教えていただきたいと思います。  それと、Aという事業所で働いたときに手帳を1冊もらって、Bでまたもらったり、手 帳を何冊も持っている人がいると聞いたことがありますが、こういうことを防止するた めのチェックはできるのか。  第4の(3)の「派遣先に対する通知」で、「派遣先に対し、日雇手続を行うか行えな いかを通知する」とありますが、この通知する場面ですが、通知しないより通知したほ うがいいのですが、どういう効果を期待して言っているのかを教えてほしいと思います。  (4)では具体的な理由を通知することとありますが、これはどういう場面を想定して いるのかを教えてほしいと思います。  第5「日雇派遣労働者に対する就業条件等の明示」ですが、いまの派遣法施行規則の 25条でこのように書いてあるのですが、何回か前の審議会で私は言ったのですが、いま としては忸怩たる思いは、携帯メールであったのではないかと思っているわけです。携 帯メールは施行規則の25条で書いてあるわけですから、施行規則の25条の携帯メールを 削除したらどうか。基準法15条でいうように書面だけにしたほうが、労働者ははっきり わかるのではないか。この携帯メールが、今回の日々派遣の問題で、携帯メールでもい いとしたことによって、この方法が出てきたと言われているわけで、携帯メールはやめ たほうがいいのではないかと思います。  基準法の15条では、まだここまでは書いていないのですが、今回パート法でも携帯メ ールの問題が議論されているやに聞いているのですが、私は携帯メールだとか、電子メ ールは、確かに発達しましたから、こういう電子媒体を使ってやるのは理解できないわ けではないのですが、問題が起きていますので、携帯メールのモデル就業条件明示書は、 もう一回考え直す必要があるのではないかと思います。  第9「労働条件確保に係る措置」で、今回の派遣で話題になった「賃金の一部控除」 なのですが、24条協定が結ばれれば賃金控除はできるわけですが、そうだとしても、適 切なものであるかどうか、妥当なものであるかどうかというのは、精査されるわけです。 「適正な労使協定を締結した場合に限り認められること」となっているのですが、不適 切な控除が実際は行われたわけで、例えばここでは、「購売代金、福利厚生施設の費用 等」となっているのですが、「等」のところも読み込めば、ここはまた活用されるので はないか。したがって、日雇いの人の場合の賃金控除のあり方について、もう少し掘り 下げが必要なのではないか。24条協定があればいいということではなくて。あればいい とは書いてはいないのですが、縷々書いてあるのです。例えば日雇派遣労働者が派遣元 で組織されます。常用雇用の人たちの24条協定の結ばれ方は私もイメージできるのです が、日々で、特に1カ月を切っているわけですから、そういうときの24条協定というの はどうなのだろうかと。ここは書いてあることはそのとおりなのですが、もう少し賃金 控除のところについて深掘りが必要なのではないかと思います。  第10の「情報の公開」です。私はこれで派遣料金はわかったのですが、実際は派遣元 が良い派遣会社か、怪しげな派遣会社かを見るときに、労働者がいちばんわかるのは、 マージンをどれぐらい取っているかだと思うのです。そのときにどうやって計算するか というのは、単純な計算は、派遣料金と自分の賃金を比較して、この会社はこのぐらい だ、このぐらいだったら普通の派遣会社だ。でも50%というのはおかしいなという。だ から、ここは派遣料金の額だけでなくて、派遣労働者の賃金と言いますか、そういうも のが入らないと、せっかく情報公開する意味合いがないのではないかと思います。  あとは、今回の指針の中にマージンの話が全然載っていないのですが、例えば有料職 業紹介だとマージン規制があるわけですが、マージンのことに全く触れないでいいのか というのはあります。あとはまた気がついたら申し上げます。 ○清家部会長  事務局からお答えいただけますか。 ○鈴木課長  いちばん最初に指針の効果についてお答えします。指針というのは2種類ありまして、 法律等の裏打ち、例えば法律でこのようなものを守らなければいけないと書いてあると ころを、具体的にどう守らせるかという、具体的な解釈なり、実際の運用なりを書いた ものが1点、望ましい雇用管理に向けて、事業主が講ずべき望ましいやり方を書く、こ の2点が指針には含まれているかと思います。  効果と言いますと、前者については、それを守らないと法律違反になりますので、守 らなかったことイコール基準法の違反の部分や、派遣法違反であれば指導等が行われる という効果になります。  ただ、後者については、望ましい就業条件のあり方について書いたものですので、こ れについては罰則等の効果はありません。ただ、指針ですから、私ども行政がこれを守 らせる義務を負っているわけですので、指針に基づき指導を行うことになります。  今回の日雇派遣については法改正という話もありましたが、前回おまとめいただいた 中間報告では、根本的な問題に当たる部分については、別途検討ということですので、 そういった検討は当然並行してやらせていただくとして、現状で問題になっている点に ついて緊急に指針で対応ということです。  現状で問題になっている点と言いますと、まずは日雇派遣の派遣元、派遣先につきま しては、法律を十分に守っていないことと、本来事業主が果たすべき雇用責任を果たし ていない、こういうことが問題としてありましたので、これに対して、まず法律は守る、 その守り方を指針として書くということと、事業主が果たすべき雇用責任というのはこ ういうものがあって、こういうものを果たすべきだというものを1つにまとめまして、 指導するという趣旨で作らせていただいています。 ○松原補佐  では、個別に長谷川委員からお話のありました質問について回答します。まず、第2 の1の(1)です。派遣先における派遣労働者を直接指揮命令することが見込まれる者か ら、さまざまなことを聴取することはどういう効果があるのかということですが、これ は労働者派遣契約を結ぶ前にこういうことをした上で、例えば派遣をした後に、実際の 働く場では契約と違うとか、そういうことを防ぐ趣旨です。実際に派遣労働者と一緒に 働くその責任者からどういう業務かを、派遣契約を結ぶときに、派遣先はきちんと聴い てくださいと。これで派遣契約の齟齬をできるだけ少なくしたいという趣旨です。  第2の2と3は共通で、「できる限り長くする」とか、「できるだけ長期にする」につ いてです。現行の指針においては、「労働者派遣契約と雇用契約を合わせる等」という 言い方になっているのですが、基本的に派遣先で派遣労働者を求める場合に、イベント などで1日とか2日でどうしようもないこともあると思います。そういう場合には、それ を長くしろといっても難しい部分があるのですが、本当は2週間という派遣期間がある のに、それを労働契約のほうは例えば1週間単位にするとか、そういうことはやめてく ださい、例えば2週間単位の派遣契約であれば、2週間単位の雇用契約を結ぶとか、そう いう形で対応してほしいということで、第2と第3は、そういう意味で、できるだけ長期 にするという言い方にしています。ただ、派遣期間と合わせる等ということも否定して いませんので、先ほど申し上げました、2日とかでどうしようもない場合もありますの で、そういう場合は期間を合わせることでやむを得ないという考え方を取っています。  第2の4です。(1)ですが、解除をするときについてです。契約行為ですので、合意 契約が基本だということで(1)を書いています。この(1)が合意しなかった場合です が、その場合は(3)に書いているように、派遣先の責めに帰すべき場合などは、基本 的に損害賠償になってくるだろうと考えています。正直、合意がなかった場合について どうなるかについては、民事契約ですので、個別の判断としか言いようがないのですが、 合意がなかった場合に損害賠償が生じることがあるとか、そういうことを(3)などに 書いていまして、又、それぞれの責めに帰すべき部分の割合についても考えてください ということを、派遣先、派遣元の両方に求めることによりまして、実際に派遣契約の解 除についてしっかり認識させた上で、派遣契約を結んでいただきたいということで、第 4については書かせていただいています。  第3の(1)の「また」以下だと思いますが、「派遣元事業主は、日雇派遣労働者から も就業の状況が労働者派遣契約の定めに反していなかったことを確認する」です。派遣 元事業主は自分が雇用している労働者ですので、どこで働いたか、どういう状況で働い たかをきちんと把握することが必要あると考えています。そこで、日雇派遣などの場合 においても、実際に働いた後に派遣元に戻ってきて賃金をもらうなど、そういう機会が あると承知していますので、派遣元事業主はそのような際に、実際に働いた就業の状況 を確認して、派遣契約に反していないかをチェックしてほしいという趣旨です。  (2)のイの就業条件について「書面の交付又は就業場所に掲示する等により、周知の 徹底を図ること。」のところで、就業規則を金庫等にしまってあるというお話でしたが、 この部分は、できるだけ労働者に対して就業条件をわかりやすく、周知してほしいとい う趣旨ですので、そういう場面に出くわした場合には、基本的にはそれは就業場所に掲 示を行ってくださいという形で、指導なりお願いなりをする形になるかと考えています。  3頁の上のほうのハの「就業状況の報告」です。現行の指針において、基本的には「定 期的に」という言い方をしています。どの部分にも関連するのですが、例えば1日単位 であっても、1つの派遣契約の期間に1回きちんとチェックをしてください、ということ です。30日でも1回でいいのかということはあるのかもしれませんが、ここで想定して いるのは、1日とか、2日とか、短い期間であっても、1つの派遣契約につき1回以上の頻 度で、就業の状況について派遣先はしっかりとチェックをしていただきたいということ を書いてあります。  第4の(1)の「印紙の貼付」です。雇用保険も健康保険も一緒なのですが、雇用保険 のほうでご説明しますと。まず派遣元事業主がハローワークなりに行き、貼付する印紙 をもらってくる手続がありまして、また日雇派遣労働者の方もハローワークに行き、日 雇労働被保険者の資格取得をしなければなりません。ですから、派遣元と日雇派遣労働 者の両者とも、ハローワークに行きまして、一定の手続が要ります。  ここで「印紙の貼付等の手続を適切に行うこと」というのは、そういう日雇派遣の雇 用保険の適用になるような方がいらっしゃいましたら、派遣元事業主は、ハローワーク に行くなりの手続をしっかりしてくださいというのが1点です。それと、派遣労働者か ら印紙を貼付してくださいという話がありましたら、しっかりと貼付する手続を行って ほしいということです。  第4の(3)です。派遣先に対する通知の効果ということで、派遣先がこれらを知る効 果ですが、現行指針にもこういうことが書かれているわけです。派遣元がしっかりとそ ういう手続を行っている事業主であることを、基本的には派遣先が知ることができます。 雇用保険、健康保険等の手続をしっかり行っていることを派遣先が知ることにより、派 遣元事業主の選択等にも資するのではないかと考えています。  (4)です。一般被保険者で届出を行えない理由というのは、一般被保険者の対象にな らないという具体的な理由を通知していただければよろしいかと思っています。それと、 日雇派遣労働者については、例えば、日雇派遣労働者が印紙の貼付を求めないような場 合についても、その理由を通知していただきたいということです。  第5です。長谷川委員がおっしゃいましたように、平成17年5月に省令の改正を行って いて、基本的にはメールによる就業条件の明示を認めている状況にあります。省令です ので、本部会のご議論によりましては、それをどうするかを議論できないわけではあり ません。ただ、事務局としては、ここはご議論のあることは承知していますが、携帯メ ール、携帯電話というものがかなり普及しておりますので、現行においては携帯メール で就業条件を明示する場合に、きっちりと就業条件を明示する形を担保したいという気 持で、第5の(1)については書いています。  第9の賃金からの一部控除のところです。現行の労働基準法の、こういう事理明白な ものに限り認めるということです。昨今問題になったような場合においても、きっちり と指導等を行う形で対処させていただいているところです。基本的には労使協定ですの で、具体的にどういう形になっているかというのはまちまちありますが、非正規の方で あっても、労働組合に参画できますので、労使協定を結ぶことは可能かと思っておりま す。  第10、マージンです。先ほど課長からありましたように、これは指針という形ですの で、今回、これを示したときに、個々の労働者の派遣料金や派遣賃金を、その事業主が 公開することを否定するわけではありません。ただ、基本的にそこは、一般的に申し上 げて労働分配率と言いますか、事業所情報のかなり精緻なところを公開することになっ てくると考えておりますので、現実的には、そこを公開するのはなかなか難しいのかな と思っております。私どもが考えておりますのは、先ほど申し上げましたが、今回、改 正もお願いしておりますが、事業報告書で派遣料金の平均的な額は、業務ごとに取れる 部分もあります。強制ではありませんが、そういうものを公開していってはどうか。そ ういうことによって派遣料金の大体のところがわかりますので、そこは労働者にとって も、派遣先にとっても、選択に資するということになるのではないかと考えております。  それと、ここに明示しておりませんが、本部会での議論によりますが、賃金の平均的 な額などにつきましては、「情報の公開」に入れることも可能であると考えております。 その他、事業運営の状況の所で読んでいるつもりではありますが、ここで明示せよとい うことであれば、書くことについては可能であろうと考えております。マージンにつき ましては、指針で個別というところまでお願いするのはなかなか難しいのではないかと いう認識です。 ○清家部会長  では、長谷川委員。 ○長谷川委員  私は、今回の日雇派遣の問題の中で重要な点の1つは、労働契約の締結時における不 明瞭さだと思うのです。本来、労働基準法で、労働時間、就業場所といったものについ て書面できっちりと労働者に明示しなさい、というのが15条ですね。今回、法律が出て、 おそらく3月ぐらいに施行されている労働契約法の議論のところで、労働契約の場面を どのように考えるかというのが大議論だったのです。労働者にとって労働契約というの は、契約の非常な重要事項については、丁寧に説明するということが必要なのです。労 働者にとって重要な事項は、労働時間、自分の働く場所、賃金、そういうものだと思う のです。いまの中でいろいろな契約行為のときの重要事項は、必ず相手方が説明するの です。  例えば、私の母の介護のときの介護事業者の説明はすごかったですよ。自宅で風呂に 入れるという契約書を交わすときにその人が来て、3枚ぐらいの契約書でしたが、「長谷 川さん、重要事項をこれから読み上げますので聞いていてください。」そこはゴシック 体になっているのです。それで読んで、「わかりました。」と言って署名で判子だった のです。それは、葬式屋もやはりそうだったのです。それから、介護ベッドをリースす るときの契約書も、「長谷川さん、重要事項は読ませていただきます。」と言って読ん で、署名。労働契約も同じなのです、どこで働くのか、何時間なのか、通勤費はちゃん と払われるのかどうか。  そういう意味では、労働者と使用者は、基本的には対等ではないわけです。使用者の ほうが、経済的にも、情報量でも、交渉力でも、何でも圧倒的に持っているわけで、契 約の場面では、それを対等にすることが重要なわけです。どうやって対等にするかとい うのは、基準法や労組法があるというようになるわけですが、私は、今回の日雇いの問 題は、例えば賃金から何を引くかということだって、本当は重要事項だと思うのです。 1日に6,000円ぐらいしかもらわない自分の賃金の中から250円も引くということは重大 なことだったわけです。本当はそれを説明しなければいけない。  今回、電子媒体が非常に発達して、私は、電子メールとかっていいなと一見思うので すが、ある意味では、労働者と使用者の契約行為のときの状況について、もう少しきっ ちり考えることが必要なのではないかと思います。それで、携帯電話で行うこと果たし て本当にいいのかというのは、私は議論することが大切なのではないかと思って、あえ て15条の話と労働契約法のときの労働契約の締結時のところの話を言わせていただくわ けです。  それと、24条協定です。例えば、労働基準法の24条では、給料から何を引いていい かというのを決めていいとなっているわけです。そのときに、派遣労働者というのは、 特に日雇派遣のところは常に動いている、ストックではないわけです。そういう人たち の給料天引きが、今の基準法の24条のままの労使協定があればその内容でいいというだ けでいいのかどうなのか。やはり本人たちにちゃんと示して納得させるという、ある意 味では合意ですよね、そこのところが必要なのではないか。常用雇用でいる人たちと日 々で雇われる人たちはちょっと違うと思うのです。間接雇用の派遣という働き方のとき の賃金控除のあり方というのは、私は、もう少し議論が必要なのではないかと思います。 ○清家部会長  使用者側のご意見も少し聞いて、また、事務局からお答えいただくことにしましょう か。よろしいですか。では、山崎委員。 ○山崎委員  日雇労働者派遣の指針(案)の3頁のロに「就業場所の巡回」があります。ここには、 1回以上の頻度で定期的にその場所を見るということが書いてあるのですが、すべての 就業場所、派遣元、派遣先を巡回するということは現実的に可能なことなのでしょうか。 それがちょっと疑問だなと思っているのです。それから、もしそうするのであるとすれ ば、どのようなイメージで行うのか、ちょっとお知らせいただければと思います。それ から、第10の「情報の公開」を盛り込む件についてですが、労働者派遣事業を行ってい る商工会議所の会社にヒアリングをいたしている最中ですので、この件に関してもし意 見すべき点があれば、まとめて、また事務局に出させていただきたいと思っております。 ○清家部会長  事務局から、まとめてお答えいただきます。 ○松原補佐  まず、山崎委員のご質問です。ロの「一の派遣契約について少なくとも一回以上の頻 度で」という所です。基本は、派遣労働者は派遣先で働いているわけですので、どこで 働いているかもわかりますので、チェックすることは十分可能であろうとは思っており ます。ただ、例外的なことになろうかと思いますが、例えばツアーコンダクターといっ た方が派遣先にいらっしゃる場合も当然ありまして、その場合は、派遣先の方が実際に そこをチェックできないことが出てくることもあり得るとは思います。こちらも指針で すので、そういうものに無理に適用しようということではありません。そういう場合も ありますが、ただ、それは極めて限定的な場合になるのではないかと考えております。  長谷川委員からありました労基法15条の関係、24条協定の関係です。こちらは労働基 準法に基づくものですので、労働基準局にも話しておきたいと思いますが、確かに新聞 報道等でもさまざま問題になっている部分ですが、これらをどうするかということにつ いては、そもそものあり方についての議論にもなってくるのではないかと考えておりま す。 ○清家部会長  先ほど長谷川委員が24条協定の結ばれ方についてご質問されましたが、その辺はいか がですか。 ○鈴木課長  いわゆる労基法の協定の代表のあり方みたいな話が、派遣に限らずいろいろあります。 パートのときにも、例えばその事業所に組合があったとしても、パートの比率が少ない 場合にその協定でいいのかどうかというと、パート法では、例えば就業規則などはパー トの意見も聞きなさいよというのを作っております。そういうものは、派遣でなくても いろいろあります。例えば協定の有効性ということもあります。流動性が激しい職場に おいて、結んだときの組合員とそれが実際適用されるときの組合員が違うということは よくあるわけで、たぶんそういうことをおっしゃっているのだと思います。日雇いの話 は、そういう場合に特に典型的に現れるケースだということもよくわかりますが、現行 の基準法からすると、労働者の代表、もしくは労働組合というのは、労働者全体の意思 を表すものであって、そこの構成員だけを拘束するものではないという形でやっていま す。それからすると、労働組合、もしくは過半数代表が適切に選任されていれば、その 協定自体は有効だ、それは流動性が激しい職場でも同じだということになろうかと思い ます。ただ、それでいいのかどうかということは、日雇派遣はかなり特殊ですので、ま た別途ご議論いただければと思います。 ○長谷川委員  基準法の24条の協定と言えば、過半数組合があれば過半数組合、過半数組合がない場 合は過半数代表との協定があれば、それでできるようになるのです。  ただ、事業場のところでいつも、大枠、常用雇用でいた場合にはそれでいいかもしれ ないですが、派遣の場合、日々の派遣というのは結局、いつも、しょっちゅう動いて労 働者の入れ替わりがある。いらっしゃる。大体、24条協定などというのは1年に1回ぐら いしか結ばないわけですから、過去協定締結時にその派遣元に登録して働いていた人た ちにとっては、「それ、いいですね」となったかもしれません。しかし、仮に協定が結 ばれていたとしても、締結時にそこにいなかった派遣労働者はやはり納得しないのだと 思うのです。まさに今回の日雇いの例のデータ装備費はそうだったわけですよね、何だ かよくわからない費用だったとなったわけですが。ですから、労基法第24条だけでカバ ーできないような日雇派遣のような場合の給料の天引きに対して、いまの労基法第24条 のままでいいのかをもう少しフォローしなければいけないのではないかと。私は労基法 第24条を否定しているわけではないのです、それだけでは足りないのではないかと思っ ています。 ○清家部会長  ほかにいかがでしょうか。 ○輪島委員  まずは、長谷川委員がおっしゃったように、この指針の効果は非常に重要なポイント だろうと思っております。その点で、まず、総論でいくつか質問させていただきたいと 思います。  ここの指針の定義ですが、「日々又は三十日以内の期間を定めて雇用される者」、こ れが日雇派遣労働者であると今度定義するわけです。参考資料に12月28日に発表した新 しい数字、「321万人」と書いてありますが、この321万人の中の日雇指針のカバーレッ ジはどれぐらいになるのかというのは、まずもってわかるものなのかどうかということ です。  それから、例えば資料1-3ですが、第1で「派遣先管理責任者の選任」となっています。 これで、1日を超えないときであっても選任をするということになると、すべての派遣先 において派遣先管理責任者が選任されているということになるのかどうか、という確認 をしたいと思います。  事業報告書ですが、今度、様式を改正して細かい数字を取るということになるわけで す。経過措置が書いてあるのですが、新様式の事業報告書で数字が上がってくるいちば ん近い将来、いつの事業報告書が出てきて、要は、現状を把握するのが直近ではいつに なるのかということを教えていただきたいと思います。  もう1つは、これは少し懸念なのですが、ここの指針でいう日雇派遣労働者と、いわ ゆる日雇派遣労働者が本当にマッチしているのかどうか。つまり、イベントや軽作業で やっている人が、いわゆる日雇派遣労働者としてそこに何か課題があるというようなこ との議論と、非常に広く日々又は30日以内の日雇派遣指針を作るということとの齟齬が あるのかないのか、というのが今いちよくわからないというところがあります。まず、 そこがしっかり担保されていることが重要だと思うのですが、そこに少し不安があるの ではないかと少し懸念しているということです。  具体的な点は長谷川委員もご指摘になったので、そこの重複は避けつつ、少し聞きた いと思うのは、例えば2頁の第3「労働者派遣契約に定める就業条件の確保」の(1)の 就業条件の確保で、状況を確認するということですが、日々なので給料をもらいに来る ときがあるので、そのときに就業はどうだったかと言えば確認できる、ということです が、給与が振込みだったらどうするのか、どのように担保するのか、というのがやはり あるのではないかと。  3頁目の第4「労働・社会保険の適用の促進」ですが、労働・社会保険の適用も非常に 重要な点だと思います。これは雇用保険の話かもしれませんが、雇用保険課がいたら、 雇用保険課に教えていただければと思います。私の理解では、日々雇用の雇用保険に適 用されるのであれば、対応可能なのは特別な指定されている安定所であって、全体の500 何十カ所のすべての安定所が対応できるというわけではないのではないかという理解で す。ですから、そういう理解が一般的にあまりなければ、要は、日雇いの雇用保険に入 ろうと思っても入る術がないのではないかと。その点を普及させるのであれば、どうい う手立てがあるのかというのは、別途考えなくてはいけないのではないかと。  先ほど長谷川さんが言われたように、派遣元が複数あって、手帳を複数持つというこ とになると、そこも何かちょっと変なので、雇用保険の中で何か1つで管理できるよう な仕組みを考える必要があるのではないかと思います。  4頁目の第5「日雇派遣労働者に対する就業条件等の明示」(1)と(2)です。基本的 に必要なのは、まず(2)の基準法の定めが重要なので、(2)を(1)にして入れ替えた ほうがいいのではないか。場所の問題なのかどうかわかりませんが。(1)の携帯メール ですが、ご心配と懸念は私どももよく理解しているつもりですが、金庫に入れているよ りは携帯電話で通知したほうが今風なのだろうなと。しかも、すべてではないにしても、 いまの若い人たちが携帯電話を持っているということになれば、基本的なものは携帯で 明示しつつ、どこかできちんと説明を受けるとか担保をするというような、そのような 形式があるので、携帯メールというようなものの普及度合からすると、少し戻れないよ うな状況にはなっているのではないかとは思っています。  第7の「関係法令等の関係者へのの周知」です。ここと第8の「安全衛生に係る措置」、 第9の「労働条件確保に係る措置の周知」、どれも重要なのですが、まずもって派遣法な るものがどういうものなのか、派元も派先も派遣労働者も理解が足りない部分があるの ではないかと懸念しております。その点で言うと、周知について、もう少し実際に派遣 スタッフへの周知、労働法全般なのかもしれませんが、そこが重要なのではないか。特 に第7の(1)で「日雇派遣労働者となろうとする者に対する関係法令等の周知を徹底」 ということですが、法律自身を説明するのは非常に難しいので、自分が疑問に思ったと きや困ったときに誰に相談したらいいのかということがストレートにわかるような周知 が必要なのではないかと思っております。  第9の労使協定についてはいろいろ議論がありましたが、まずもって、直接雇用での 労使協定のあり方と間接雇用での労使協定のあり方という整理が必要なのではないかと 思っています。第9にイ、ロと書いてありますが、最低賃金のことを少し書いたほうが、 どこかで触れてもいいのではないかと思っています。  第10の「情報の公開」です。基本的な良質な派遣元を選択するための情報公開と、賃 金がいくらで、結局、逆算するとどのようになっているのか、自分の場合がどのように なったのかということを知ることは、別のことではないかと思います。その点、別途、 何か整理はして、派遣元に問合せをすることはいつでもできるのか、それは答えなけれ ばならないとするのか、そのような仕組みを作ったほうがよろしいのではないかと思い ます。 ○清家部会長  では事務局から、お願いします。 ○松原補佐  輪島委員からのご質問です。雇用保険の部分は雇用保険課からお答えいただきたいと 思います。  まず、指針の定義のところです。日々又は30日以内ということ、これが今回お渡しし ている、いわゆる事業報告書ベースでわかるのかということですが、こちらのほうは、 現在はわかりません。そうであるがゆえに、事業報告書の改正をしてそれを把握できる ようにしたい、ということです。ですから、日々又は30日以内の者が今わかるかという 問いに対しましては、現時点ではわからないというお答えになります。  省令の派遣先責任者の選任の所の「一日を超えないとき」は、いままで除外されてい ましたが、今回、それを除外しなくするというところです。現行の省令で、これのほか にも「当該派遣労働者の数に当該事業所等において雇用する労働者の数を加えた数が五 人を超えないとき」、こういうときには派遣先責任者を選任しなくていいということに なっています。こちらは、今回の措置でこのまま残したいと思っております。  その理由です。もともと1日を除外していましたのも、日雇いというものは突発的な もので事業性に乏しいという理由からですが、1日単位の日雇派遣につきましてはその 派遣を繰り返すというようなことが多々見られますので、これらを踏まえると事業性が あるということで今回見直しをしておりますが、5人を超えない場合につきましては、 従前どおり、事業性というものについてそれほど強くないのではないか等の観点から、 今回も同様の措置を継続したいと考えております。  それと、事業報告の改正をしたときに、これがいつ出てくるのかということです。正 直、事業報告自体は、12カ月がばらばらに出てきていますので、例年、12月末に取りま とめて事業の報告をしているという形になっていますが、中でも、3月に決算期を迎え る所が多くなっているという状況です。大体5割程度と思っていただければいいと思う のですが、その後3カ月に出てくる所は多くなってくるのではないかと思います。ただ、 これはすべてではない、という状況です。  指針の2頁目の第3の(1)です。先ほど私は、ある意味例示的に派遣元に来ることも ありますからという言い方をしたのですが、確かに振込みの場合等もあります。ですの で、ここではそのやり方を限定しているわけではありません。ただ、派遣元事業主はや はり雇用主ですので、そういう意味では、自分の雇っている労働者がどのような状況で 働いているのかということをしっかりチェックしていただく。それは基本的にどういう 形でも構いませんが、やはり雇用主の責務としてチェックしていただきたい。そのよう な趣旨です。  第5の(1)(2)につきましては、また別途ご議論いただくことかと思います。労側の ご意見もあると思いますので、そこはまた検討させていただきたいと考えております。  いわゆる関係法令の周知等のところで、誰に相談したらよいか、苦情処理、そうした 話を入れてみてもいいのではないかというご意見でした。書き振りについては、ここに 書き込むか、または、これがまとまったあとのいわゆる周知等の段階でそういうものを 明確にしていくか、そこにつきましては、検討していきたいと考えております。  最低賃金です。最低賃金法が改正されまして、派遣元が所在する所在地における最低 賃金ではなく、派遣先が所在する所在地の最低賃金となります。たしか7月からだった と承知しております。今回、これを作りましたときに、基準局から「そういうこともあ るので、7月の時点で、また何らか書き込めないか検討してほしい」ということは言わ れておりますので、その際にまた検討したいと思います。雇用保険の件は、雇用保険課 からお願いします。 ○長良補佐  雇用保険課です。輪島委員からの日雇いの手続に関してのご質問にお答えします。  日雇労働求職者給付については、基本的に日々雇用される方で、事業所を転々とされ る方を想定した制度設計にしております。具体的にはその人、つまり日々雇用で働く人 が直接ハローワークに、資格取得届の日雇いバージョンを本人が提出する。これが一般 被保険者だと、事業所がまとめてその届出を出すことになるわけですが、本人がその資 格取得届を提出して、そのタイミングでハローワークから手帳の交付を受ける、という 手続の流れになります。  その際に、まずご本人がどこに行けばいいかと言いますと、住所地を所管するハロー ワークに行くということになります。本人の住所・所在地の所管のハローワークに行っ ていただく。即ち、通帳の交付、資格取得届出の可能性は、全国どこででもあり得ると いうことになります。  その際に、手帳を複数持つ方がいらっしゃる実態というお話があったと思うのですが、 基本的には、まず本人の確認を十分にするという意味で、現在、住民票の提出を求めて おります。これは現在の日雇いの求職者給付の手続に際してもそうですし、日雇派遣の 方に対しても、そこが変わるということはありません。そういう意味で、まず、同じ人 が2回申請するということがないような事前チェックの仕組みを設けているということ です。  同じ人が複数枚持っているというのは、これはちょっと言いにくいのですが、例えば 闇のルートで流通するようなケースで、不正にそういうものを持って、なりすまし受給、 つまり不正受給ですが、実はそのようなケースがあり得るものであり、特に日雇いの給 付に関しては事例としてあります。そういう意味では、事後チェックは、不正受給のタ イミングで措置をするという手続になろうかと思います。 ○清家部会長  輪島委員、よろしいですか。 ○輪島委員  事業所のほうは特定のハローワークでないと、印紙を出さないのではないですか。 ○長良補佐  印紙の手続は、それぞれの事業所所在のハローワークに行って手続をしていただくこ とになります。実はもう1つ、実際の受給の場面で失業認定を行うハローワークがあり ます。いまでも、いわゆる直雇用の日雇いの給付を行う場合は、一定の範囲に限定され ています。日雇派遣の労働者が今後、給付を受ける場面になった場合の安定所をどこに するかというのは、実際にその被保険者、どういう方々が出てくるかを踏まえて、現在、 検討しているところです。基本的には、こういった日雇派遣労働者の方が失業認定をし にハローワークに行く際に、通常の日雇いの給付を受けるハローワークとは別の、例え ば、こういった日雇給付を受ける可能性のある方の実態として非常に若い方が多いとか、 そういったことも踏まえると、常用就職も含めた職業相談機能を少し強化していく必要 があるだろう。そういう観点で、一定のハローワークにそういう機能を持たせるという 仕組みを考えていく必要はあろうかと思います。そういう意味で給付の場面においての ハローワークを特定箇所で行うことについて、現在、検討しているという状況です。 ○長谷川委員  本来、派遣労働者が自分で派遣会社を探して、では、派遣で働こう、と思うわけでは ないですか。そのときは、最近の派遣会社の傾向で、一発で3カ月とか1年契約というの はしない。大体1カ月未満でやって、それを繰り返して、それから長期になる。ですか ら、実態的には何か月間か、雇用保険には入らないような状況が結構ある。そうすると、 派遣で働く労働者は、日雇いの雇用保険や健康保険があるということをほとんど知らな い。証紙を貼って日々で働くということを知っている人は、それほど多くはないと思う のです。日雇保険を使うということを自分で申請しなければいけないのですが、それは 労働者から見たら日雇いなのか普通の保険なのか、そんな器用な仕分けができる労働者 はそんなにいるはずがないと思うのです。本来は、派遣会社で働いたら、自分は、雇用 保険も健康保険も、そこの派遣会社で全部手続をしてもらえる、そのように思っている と思うのです。  私がよくわからないのは、今回は日雇派遣でも適用するとなったわけですが、日雇派 遣と一般の雇用保険、健康保険、そのところを今後どのようにしていくのかというのが 今回の指針でもわからないというか、見えないのです。労働者はそんなに器用ではない ですよ。学校にしても、高校や大学を卒業してくるときに、雇用保険には通常の雇用保 険と日雇保険があります、そんな詳しいことを習ってくるわけではありません。もしか したら、例えば派遣会社に行ったら、「うちはこれとこれの2つがありますが、どうしま すか」「日雇いのものを持っているのだったら出しなさい」と。そういうものがないと、 そこの切分けはなかなか不可能なのではないかと思うのです。日雇労働者の雇用保険と か健康保険というのはどういう形で加入させていったらいいのか、ということがこの指 針でもまだ見えないと思います。それと、労働者が権利実現ができるような状況は、ど のようにつくれば出来るのかというのが、まだやはりわかりません。 ○清家部会長  では、市川委員。 ○市川(佳)委員  私は、もしかしたら輪島委員が最初にちょっとおっしゃったのと似たような考えなの かもしれませんが、ここで日雇派遣労働者と定義が1つ定められたときに、前回の中間 報告での合意ですと、現行法制下における労働者保護の仕組みがちゃんと機能するよう なことを、まず喫緊に必要なことをやりなさいということだったと思います。  いま日雇派遣で何が問題になっているのかと言うと、日雇派遣の方にもいろいろいら っしゃるわけです。いま非常に社会問題化されているようないわゆる就職難民、難民で はないですが、そういう方がスキルもあまり上がらないで日々暮らしをして、まだ若い のに、ネットカフェで泊っているとか、そういう方が社会問題になっています。そうい う日雇いの労働者に何かをしなければという思いが、労働組合としてはすごくあるわけ です。一方で、専門的な方で日々の派遣でやっていらっしゃる通訳の方とか添乗員の方 とか、そういう日々労働者も同じ扱いなわけです。一方で、全然日々ではなくて、同じ 事業所にずっと派遣されているのだけれども、雇用契約が日々だという人も実際にはい るらしいのです。要するに、短い期間の雇用契約だけれども同じ所でずっと働いている。 この人も、日雇派遣労働者という定義になるわけです。その中で、いま何とかしなくて はと社会的にも求められている労働者保護といったことが、この指針でくっきりと「出 来たね」とはやはり言えないですよね。やはり非常に無理がある、無理があると言った ら失礼ですが、1個1個細かいことを見ていくと。ですから、役務の期間を可能な限り長 く定めるとか、できるだけ長期にするというのは、例えば、本来、1年何カ月もあるは ずの雇用契約が、よく見てみたら日々雇用だったというような人はできるだけ長くしな さいよというのは、これは非常にそのとおりだなという感じはしますが、軽作業であっ ちの現場、こっちの現場とやっている人にはこんなこと、できるだけ長くも何もないだ ろう、という感じもします。  あと、教育訓練も非常に重要で、必要な教育訓練をしなさいと書いてありますが、そ ういうものをあまり必要としない、職を転々として日雇いをやっている若者がいるから 問題なのであって、業務にあまりスキルを必要としない所、そういう所を渡り歩いてい る人たちはどうするのかと。必要な教育訓練って一体何なのでしょう、という感じです。 安全衛生法の安全衛生教育を確実に行えということはすごく重要なことなのですが、日 々雇用の人の雇入れ時の安全衛生教育という、この「雇入れ時」というのはいつなのか と。例えば、駅から現場に行くまでのバスの中でやれと言うのかとか。何か安全衛生法 というのは、一定の事業所の中で常態的に働いている人を想定しているような書き振り なのだろうなという気がするのです。「これ、日雇いの人たちにもちゃんと実行しなさ いよ」と言ったときに、本当に実効性があるものなのか。特に危険有害業務です。いま 労災問題などがいろいろ起きています。だから、本当に保護が必要な人たちがこの指針 で、少なくとも現行法上の保護すらできていないのが、これで本当に措置できるのかな という根本的な疑問を感じました。また、いろいろな日々雇用の形態が1つに括られて 定義されるということについて、ちょっと危惧がある気がします。 ○清家部会長  では、輪島委員。 ○輪島委員  たぶん同じようなことを言うのですが、私どもの認識は少し違うのではないかと思っ ています。これまでの全体の格差、貧困、ネットカフェといったものの話題をすべて日 雇派遣に収斂させてきたこと自身、世の中の全体の議論がそこに集中してきて、この間 のグッドウィルの指導のところで、その翌日、新聞各紙の社説で日雇派遣をどうのこう のと出ていましたが、日雇派遣の問題なのか、日々雇って軽作業やイベントで仕事をす る人たちの問題なのかということの整理が全くなく、すべてが日雇派遣の問題なのだ、 としてきたことのツケなのではないかと思っております。私どもは、この指針も重要で すし、この指針が全く意味がないとも思いません。この指針は重要だと思っておりまし て、これをしっかりやっていくことが、むしろ日々の派遣の形態で働く人たちの労働者 保護を図るためには重要だと思っているので、この指針自体を否定するつもりは全然な いのです。  ただ、一方で、例えば日々で働いている若者は、派遣法上の問題ではなくて、むしろ 派遣法で規制して派遣の外に置けばそれで済むのかと言うと、そういう話ではなくて、 おそらく救い上げるというか、社会政策や雇用政策でどうやってそういう人たちの保護 をするのかという別の議論をしなくてはならないという話で、おそらくここのミッショ ンを超えることになるのだろうと思います。市川委員のご心配もわかるのですが、私ど もは、この指針が全く意味がないものになるということではないと理解をしています。 ○市川(佳)委員  私も、この指針は意味がないと言っているわけではありません。それと、言葉が足り なかったかもしれませんが、いま問題になっていることは、この派遣法ではできない、 もっとトータルな雇用政策等が必要だろうという認識は、私も十分理解はしているつも りです。しかし、派遣法の仕組み自体ももう少しきちんとした規制が必要だなという思 いがあると、そのようにご理解いただければと思うのです。 ○古市委員  4頁の第5の「日雇派遣労働者に対する就業条件等の明示」で、輪島委員から(1)と (2)を入れ替えたほうがいいのではないかというご意見がありました。私もそのほうが いいなと思います。  さっき長谷川委員からそもそも論が出ましたが、私もお尋ねしたいのですが、この指 針が決定されると、派遣元の事業主や派遣先の事業主は、この指針をどうやって知るこ とができるのですか。 ○鈴木課長  もちろんこの指針につきましては大臣告示をいたしますので、当然、官報に載せて周 知することになっています。これは当然、派遣元、派遣先、派遣労働者、皆様方がこの 指針を知って初めて守っていただけると、こういうものですので、これは行政としてパ ンフレット、ホームページ等々で周知をするのは当然としまして、例えばその関係の業 界団体もありますし、さらに、ここに労使の皆様方もいらっしゃいますので、あらゆる 手段を使い周知を図っていきたいと思っております。 ○古市委員  人材派遣協会という業界の団体があります。あそこに加盟している会社の売上げは相 当になるのだそうですが、入っている会社の数は非常に少ないですよね。ですから、「 あなたたちは自分が派遣業をやっているのだから、指針なんかは自分で調べて手に入れ るのは当たり前でしょう」というようなスタイルだと、この実効が全然上がらないので はないかということを大変強く危惧しております。最近、事業停止命令が出されるよう なことが何回も続いているわけです。しかも、売上げがナンバー1だったりナンバー2だ ったりするような大きい所が法律を全く無視するというような水準ですので、小さい事 業者などにこの指針を知らせて実効を上げるということについては、厚生労働省は、相 当しっかり頑張って仕事をしていただきたいと思います。労働組合も役割を果たさなけ ればいけませんが、是非お願いしたいと思います。 ○鈴木課長  おっしゃることは大変ごもっともです。まさにそのために今回の省令で報告様式を改 定いたしまして、どこの派遣会社が日雇派遣をやっているかをチェックする仕組みを作 りたいと思っております。報告が上がってきましたら、当然、そこに対しては、行政が アプローチいたしまして、こういう指針があるからちゃんと守ってくださいと、これが スタートだと思っております。そういったところも含めて、周知はしっかりとしていき たいと思っております。 ○清家部会長  まだほかにもご意見があるかと思いますが、今日はもう1つ処理しなければいけない 案件もございます。さらにご意見はこれからもいただいていきたいと思いますので、今 日、さらにご意見をお持ちの方は、別途事務局にご連絡いただきたいと思います。それ は事務局でまた調整していただいて、その結果を踏まえて、次回の部会においてもさら にご議論いただくということにいたしたいと思いますので、今日のところは、議論はこ の辺までとさせていただきたいと思います。次に、規制改革会議の「規制改革推進のた めの第2次答申」に関する対処方針につきまして、事務局から報告をお願いいたします。 ○松原補佐  資料2につきまして、簡単にご説明だけさせていただきます。昨年の12月28日です が、「規制改革推進のための第2次答申」が示されました。この中で、具体的施策につき ましては最大限尊重して所要の策に速やかに取り組むということと、平成19年度末まで に「規制改革推進のための3か年計画」を改定するということに決定してございます。  2頁目です。そこからが労働分野で、かつ、いわゆる派遣関係のものを抜き出したも のです。(1)にイ、ウ、エとありますが、ウとエにつきましては昨年度、つまり平成19年 6月22日に閣議決定されました3か年計画とほぼ同様の内容。「ほぼ」というのは、当部 会で検討してきた状況などを書き加えておりますが、そこにつきましては同じ書き振り になっています。  それと、今回加わりましたのは、イ「派遣と請負の区分の具体的当てはめの一層の明 確化」です。現行、派遣と請負の事業区分に関する基準がありまして、この下に関係業 務取扱要領というものがあります。そこで、それにつきまして、具体的なその告示や要 領というものの改正ということではなく、その具体的な内容の当てはめにつきまして、 実際の監督・指導の観点からそれが適切に行われているかどうかを検証し、「請負事業 主にとってより明確になるように検討を行うべき」として、これが平成20年度中に検討 という形で書いてございます。簡単ですが、この内容についての説明は以上です。 ○清家部会長  ありがとうございました。これは、昨年末に出されました答申について、平成20年度 中に検討してほしいという内容についてのご報告ですので、よろしくお願いいたします。 次に事務局から、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する 法律案[職業安定法の特例]について、ご説明をお願いいたします。 ○宮野課長  総務課長でございます。私からご説明させていただきます。公共サービス改革に関す る法律の一部を改正する法律案ですが、現在、私どもで実施に向けて検討を進めている ハローワークの無料職業紹介に係ります市場化テストを行うに当たり、法的整備が必要 となります。具体的には公共サービス改革法の改正ということになりますが、この公共 サービス改革法自体、これは内閣府の所管ではありますが、具体的な改正内容は職業安 定法の特例を適用するものです。したがって、本部会でご議論いただいた上で職業安定 分科会にお諮りしたいと考えております。それでは以下、資料3-1、3-2、3-3に基づき まして、時間の関係もございますので、簡単にご説明させていただきます。  まず、資料3-1をご覧ください。そもそも今回、実施を検討しておりますハローワー ク市場化テストの概要です。ハローワークの市場化テストにつきましては、一昨年来、 経済財政諮問会議等の場で議論しておりました。結論として、資料3-1の1頁目、2頁目 に、「平成19年5月9日厚生労働大臣説明資料」とありますが、この内容を私どもとして 諮問会議の場でご説明し、了承をいただいたものです。その結果を受け、3-1の4頁です が、いわゆる骨太2007に、市場化テストの推進について、具体的な手段として平成20年 度を目途に市場化テストを行うことが盛り込まれました。さらに、市場化テストの具体 的な内容は、公共サービス改革基本方針の中に盛り込まれることになっていますが、昨 年10月の閣議決定で、5頁のような内容が盛り込まれています。これを踏まえて、いま 申し上げました法的な整備等々の具体的な準備を進めていくというものです。  資料3-1、1頁、ハローワーク市場化テストの具体的な内容です。これは一言で申し上 げますと、1頁の図にありますように、ハローワーク庁舎において職業紹介を行う窓口、 端的に申し上げますと、職業紹介、職業相談を行うハローワークのワンフロアを、この 図にありますように半分ずつに区切って、国家公務員が行う職業紹介と民間事業者が行 う職業紹介を併設して行うという内容です。この市場化テストを行うに際して私どもは、 民間に委託する場合のさまざまな課題、あるいはILO第88号条約との関係を十分に検討 し、これらの要請を満たす内容であるとして、こうした形を取りたいということで提案 をしてご了承をいただいたものです。簡単に申しますと、ここにありますように、求職 者はそれぞれ官、民どちらの窓口でも選択できます。ただし次にありますように、失業 認定の一環として行います職業紹介については官が行う。あるいは政策的に、例えば障 害者、あるいは母子家庭の母等について行っております関係機関と連携をしたチーム支 援については官が行うというような例外がございます。そうした上で職業紹介、職業相 談等の事業を民間と国で併設をして行い、実施施設については都内2カ所、これは3頁に ありますように、ハローワーク渋谷、ハローワーク墨田の2カ所を予定しています。  以下、II、III、IVとあります。「ネットワーク」「求職者選別・求人求職情報管理の 問題」「その他」とありますが、ここに基本的な考え方を示しております。これに基づ きまして、法が成立した後こうした内容について具体的に定める実施要項等を作成して いくことになろうかと考えております。簡単に内容について申しますと、今回こうした 市場化テストを行うに当たっての基本的な考え方は、官と民のイコールフッティングで す。そうした観点から、IIの「ネットワーク」の最初の○と2番目の○にありますように、 現行、ハローワークで提供しております求人情報は基本的には民間事業者に対しても同 じものを提供する。あるいはハローワークにあります求人自己検索端末についても双方 いずれも利用できる形にする。ただしハローワークの企業指導情報については、国とし ての行政指導内容ですので、非提供としております。  2頁目のIIIです。こうした市場化テストを行うに当たり私どもとしての最大の懸案事 項は、ここにありますように、民間事業者が求職者の選別を行わないかということです。 就職が困難な者を、例えば官の窓口に回し、就職しやすそうな方だけを自分のところで やるといったことが起こらないような仕組みを作っていきたいと考えております。また、 当然ながらこの求人求職情報については適正利用、守秘義務などについて適切に対応し なければならないと考えております。  IVの「その他」です。具体的な市場化テストについては、3年程度のテスト期間の結 果を踏まえ、その後の在り方について検討をすることにしております。具体的に入札条 件等の詳細は実施要項で定めることになりますが、労働関係の法令違反企業あるいは障 害者雇用率の未達成企業等は入札から排除する、受託民間事業者においては、窓口業務 のために一定数の正社員を確保する、契約途中でも問題があれば契約を解除する等を確 保しなければならないと考えております。市場化テストの概要は以上のとおりです。  続きまして、今回ご議論をいただきます具体的な法改正の内容です。資料3-2の「概 要」は、いま説明をしたとおりです。次は改正の内容です。公共サービス改革法第32条 第1項の特定業務に、ハローワークの職業紹介業務を追加をするという内容です。これ は3頁の参照条文をお読みいただくとわかりますように、この第32条の第1項の柱書きに おきまして、「次に掲げる公共職業安定所の業務を実施する公共サービス実施民間事業 者であって特定業務を実施する施設において職業紹介事業を行うものは、職業安定法第 30条第1項の許可を受けた者でなければならない」とあります。有料職業紹介の許可を 受けた者でなければならないとなっています。これは、国が委託費を出して職業紹介を 行ってもらう形になりますので、当然有料職業紹介の許可が必要になります。この下に 1号、2号があります。これらは、19年度からすでにハローワーク関連で市場化テストを 行っている事業の内容です。  1号が人材銀行です。2号がキャリア交流プラザ事業です。今回の改正は、この3号に、 新たにハローワークの窓口での無料職業紹介を追加するというものです。さらに、第32 条2項、民間事業者が職業紹介事業を行う場合については、職業安定法第32条の11の規 定は適用しないという内容になっています。これが職業安定法の特例ですが、下にあり ますように、有料職業紹介事業者は、港湾運送業務、それと建設業務についての紹介が できないという内容です。これを適用しないという特例を設けるというものです。  1頁に戻りまして、現行の条文をご覧いただきましたように、有料職業紹介において、 港湾運送業務、建設業務の取扱いが禁止されているわけですが、今般の市場化テストに おいて、先ほど申しましたように官と民のイコールフッティングという観点から、市場 化テストとしてハローワークの窓口に併設して、職業紹介を行う場合については、この 規定を適用しないことになります。さらに、1号、2号の後に3号という今回のハローワ ークでの職業紹介についての具体的な文言を書き加えるわけですが、どのように規定す るかというのが「新たに追加される特定業務の範囲」です。これは冒頭に申しましたよ うな形で国が行う職業紹介部門と、民間の委託部門を併設する形で行うことを、法律の 条文にも明記するということです。それにより、1頁の下にあるように、引き続き国の 職員によるセーフティーネットとしての職業紹介業務が行われることも法文上明記し、 それによりILO第88号条約に違反するという疑念も払拭するというものです。具体的に は「ハローワークの庁舎において、その職員自ら職業紹介を行う窓口に併設する窓口に おいて行う職業紹介業務」と太字で書いてあります。これは右の図をそのまま表したも のです。これを先ほどの参照条文、公共サービス改革法第32条第1項第3号として書き加 えるという内容です。  以上が今回の法改正、法的整備の内容です。なお、資料3-3は、参考資料としてハロ ーワークの現在の概要についてお示ししたものです。時間の関係もありますので、説明 は省略いたします。以上でございます。 ○清家部会長  はい、ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からのご説明について ご意見、ご質問等ありましたらよろしくお願いします。 ○長谷川委員  私は、こういうように決まってから、法律を作るのでそれでやってくれと言われる、 そのこと自体に納得しておりません。私は、ハローワークの市場化テストについては反 対である、という基本的な考え方を述べておきます。  実際こういうことを決めた人たちは、ハローワークで仕事を探したことのない人たち ですね。1回でもハローワークで仕事を探してみればいいのです。労働市場という言い 方も嫌いですが、いま、8割方は全部民間開放されているのです。あとの2割のところの 長期の失業者とか、なかなか就職できないとか、障害者とか、生活保護や児童扶養手当 を受けている人とか、非常に長い間失業しているような人たちは、どちらかというとハ ローワークで探しているのです。それに、事業主のほうに助成金も付いているし。そう いう意味では、日本全国の約600を切っているハローワークが、我が国の中で果たして いる役割についての基本的な認識が弱いと思います。  東京の渋谷などに行かないで、夕張に行けばいいではないですか。どういう状況なの か。沖縄へ行ってみればいいではないですか。どういうことが起きているのか、市場化 テストをやるならそういう所でやればいいではないですか。どうして東京の渋谷でやる のですか。こっちはそういう儲かるところだけにおいしいものがありそうだからやって みようという、この発想が意地汚いというふうに思っているのですね。例えばこれを利 用者から見たときに、渋谷のハローワークへ行って、こっちから右が国で、こっちから 民間ですと。労働者はどうするのですか。どっちへ行こうかなとなります。そういう混 乱を招くようなことを制度設計してはいけない。これは強く言いたいと思います。これ 以上やめてください、本当に。今また失業率は上がってきますから。4%で止まっていて、 3.5%まで戻らなかったわけですから。これから失業率が上がってくるときに、非常に長 いこと失業している人たちもいるし、フリーターの人たちを正規職員にしなければなら ないわけです。それを一生懸命やらなければいけないわけで、どこがやるかと言ったら、 それは公共の空間の場所でやるべきだと思っています。なぜ公共の空間が必要かという と、そこは儲けとは違った視点でやらなければいけないからです。ハローワークという のはそういう仕事をしなければならない所なのです。こういうときにハローワークが何 か言われるのは、もう少し現場も頑張らなければいけないのですが、サービスだから、 もっと積極的なサービスを展開しなければいけないと思います。そういうスキがあるか らこういうところを狙われてくるわけで、もう少し現場も頑張って、長期の失業者、な かなか職を得られない人たちに対するマンツーマンの積極的なサービスを展開すること と同時に、ILO第88号条約を変なふうに解釈しないで、国民のためにハローワークが果 たす役割は何なのかということを明確に打ち出して、民間はすでに8割開放されている のだから、やるべき所で頑張ればいいのです。そのことをきちっと申し述べたいと思っ ています。  法律の制度設計に当たっては、混乱が起きないようにしてください。利用するのは労 働者なので、それも仕事がない労働者というのは、ここにいる私たちとは違うのです。 明日にも、どうしようかと悩んで、早く仕事に付きたい、何とかして一人前になりたい、 自分の働いたお金で暮らしたいという人がハローワークに行くのです。そういう立場に 立って、どういうサービスをするかということをもう少しまじめに、こういうことを決 めたところに対して言いたい。決まってから法律だけ作ってくれというのは非常にひど いと思っています。以上です。 ○清家部会長  事務局のほうから何かありますか。 ○宮野課長  ただいまの長谷川委員のご意見ですが、ハローワークを取り巻く状況の基本的認識と しては全くおっしゃるとおりだと思っております。ご指摘のとおり、就職する方の8割 は民間経由です。残りの2割は、かなりの方が就職困難者です。そういう状況の中で私 どもとしては当然、民間にお願いできるところはすでに民間にお願いしつつ、こういっ た就職困難者の方を中心にナショナルミニマムとして、全国ネットワークとしてのハロ ーワークの必要性、というものはこれまでも国が行うべきであると主張してまいりまし たし、引き続き私どもの考え方としては変わっておりません。ただ、今回こうした形で ハローワークの市場化テストの実施をすることとなりましたので、これについては、長 谷川委員からありましたように、実際の利用者のサービスが低下しないように、あるい は現場で混乱が起きないように制度の設計、実施に当たっては留意をしてまいりたいと 考えております。併せて、ハローワークの現場にもっと頑張ってほしいというご指摘も ありました。私どもは、これまでもハローワークのサービス、業務改善についても日々 取り組んでいるところですが、完全に十分かと言いますと、まだまだのところが正直あ りまして、これにつきましても引き続き取組みを進めていきたいと考えております。 ○古市委員  私も長谷川さんのご意見と同意見であります。加えて、特例で、建設と港湾の業務が 外れるということですので、こういったところからどんどん広がっていくというような ことに懸念を表明して、是非これ限りにしていただくよう、お願いしたいと思います。 ○清家部会長  いまの点は、今回ここに提出されている案件に直接かかわる点ですが、事務局のほう で何かございますか。 ○宮野課長  いまの古市委員の点ですが、これはただいま説明しましたが、あくまでも今回の職業 安定法の特例については、ハローワークの庁舎の中で国の職員が行う職業紹介と併設し て行う場合については、この特例を外しますということですので、これをもって港湾運 送業務、あるいは建設業務の取扱いの禁止の解除がこれからも広がっていくというもの ではないと申し上げておきたいと思います。 ○清家部会長  古市委員、よろしいですか。 ○古市委員  是非そういうふうに。ここを広げたいという意見を持っている人も世の中にはたくさ んいらっしゃるわけですので、そういうことにならないようにお願いしたいと思います。 ○清家部会長  これはあくまでも国家公務員であるハローワークの職員と同じ業務をするという限り において、という意味でよろしいですね。 ○宮野課長  はい。 ○清家部会長  他にございますか。山崎委員何かご意見はございますか。よろしいですか。 ○山崎委員  はい。 ○市川(佳)委員  基本的なことを聞きます。市場化テストはいろんな分野でされていると思いますが、 公共サービス改革に関する法律で、これまではキャリア交流プラザなどがあって、今回 ハローワークも追加するということですね。ハローワークの無料職業紹介の追加は、閣 議で基本方針が決まったから、今回法改正をするので、この審議会で「うん」と言って くれということですか。そうすると、これからも、基本方針の中で、規制改革会議か何 かいろいろな議論の中で閣議決定されて、この分野はこうしていきなさいとなって、職 安法などにかかわる改正が必要だとなると、閣議決定されたから入れてねという手順に なると理解すればよろしいですか。 ○宮野課長  基本的には、資料3-1の4頁、5頁に示しています。ハローワークの市場化テストにつ いては諮問会議の場でも議論があり、それを踏まえて、骨太2007の中にも盛り込まれて いるという経緯はありますが、基本的には、この市場化テストでどのような項目をやる かについては5頁の「公共サービス改革基本方針」にあります。これは、たまたまハロ ーワークの今回の職業紹介事業の内容だけを載せておりますが、他省庁の関係も含めて 市場化テストを行うものについては、表ができています。昨年10月の閣議決定で、ハロ ーワークの職業紹介事業について市場化テストを行うことが決定されました。たまたま 今回のこれに関しては法的な整備も必要とされるということでお諮りしているものです。 ちなみに資料3-1の6頁になりますが、私どものハローワーク関係で市場化テストをすで に行っているものは、「人材銀行」事業、「キャリア交流プラザ」事業、求人開拓事業 の3点があります。このうち求人開拓事業については、特に法定な整備は必要ありませ んので、これは公共サービス改革法の中には出てきていません。 ○清家部会長  今回、民間開放が決まった中で職安法32条の11にかかわる部分が出てきた、その所管 がこの部会であるので、お決めくださいというお話を持ってこられたということですね。 市川委員、よろしいですか。 ○市川(佳)委員  これは駄目ですと言ってもしょうがないわけですね。 ○長谷川委員  法律が先にありきなので、したがって、押し付けられた形ですね。使用者側はまた別 の意見を持っていると思いますが。ILO88号条約には抵触しないという解釈は、私は無 理があると思っています。  この審議会に職安法の改正が諮問されると思いますが、それに対して、「いいですよ」 と簡単には言えないので、どういう形になるかわかりませんが、私は、そこのところは、 「はい、いつものように概ね妥当」とか、物分かりよくは、とても納得はできません。 ○清家部会長  わかりました。輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  私も、最新の経営労働政策委員会報告の中で、ハローワークの重要性、特に全国ネッ トでのセーフティネットとしての役割ということについては十分認識をしているつもり です。その点についてまず確認をしておきたいと思っています。その上で、資料3-3に あるように、ハローワークの機能として職業紹介と雇用保険と雇用対策の一体的な運用 をこれからもしていっていただきたいと思っております。その中で特に職業紹介部門に ついて、民間の活用が多少なりともあるのではないか、という部分もないわけではない と思っています。その点で、これから市場化テストをしてみて、その結果を踏まえてさ らに議論をしていくと。その際に課題もたくさんあると思っておりますので、その点を 今後の審議会の中で議論していきたいと思います。 ○清家部会長  わかりました。それではまだいろいろなご意見もあるかと思いますが、今日はだいぶ 時間が過ぎてしまいましたので、次回の部会において、本日の議論も含めて、改めてご 議論をいただきたいと思います。  言うまでもないことですが、こういった市場開放や民間委託の問題というのは、それ 自体が問題ではなくて、それによって利用者の利便性が高まることが目的なのだろうと 思っております。今回、事務局におかれましてもこのような制度を進められる際には是 非、いま労使双方の委員からご意見がございましたように、ハローワークを利用される 求職者や事業主に対するサービスの向上に繋がっているのかどうかを、しっかり確認し ていただきたいと、私からも改めてお願いを申し上げたいと思います。  それでは次回の部会につきまして、事務局よりお願いいたします。 ○松原補佐  次回の部会ですが、現在日程調整中ですので、事務局のほうから各委員に別途ご連絡 をしていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。 ○清家部会長  それでは事務局はそのようにお願いしたいと思います。以上をもちまして、第109回 労働力需給制度部会を終了いたします。本日の署名委員は、雇用主代表の輪島委員と、 労働者代表の市川委員にお願いいたします。では委員の皆様、どうもありがとうござい ました。   照会先    厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係    〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2    TEL03(5253)1111(内線5747)