07/12/26 平成19年12月26日薬事・食品衛生審議会薬事分科会議事録 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録 1.日時及び場所   平成19年12月26日(水) 15:00〜   厚生労働省 省議室 2.出席委員(23名)五十音順 赤 堀 文 昭、 伊 賀 立 二、 池 田 康 夫、 板 倉 ゆか子、 井 部 俊 子、 大 野 泰 雄、 笠 貫   宏、 神 山 美智子、 河 盛 隆 造、 木 津 純 子、 黒 木 由美子、 佐 藤 光 源、  竹 嶋 康 弘、 永 井 良 三、 西 島 正 弘、 早 川 堯 夫、 藤 田 利 治、 本 田 佳 子、 松 本 和 則、 溝 口 昌 子  ◎望 月 正 隆、 望 月 眞 弓、○山 口   徹  ◎薬事分科会長 ○薬事分科会長代理   欠席委員(1名)   岩 田   誠        3.行政機関出席者 黒 川 達 夫(大臣官房審議官) 田 原 孝 明(総務課医薬情報室長) 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、俵 木 登美子(医療機器審査管理室長) 松 田   勉(安全対策課長) 山 本   史(監視指導・麻薬対策課監視指導室長)  新 村 和 哉(血液対策課長) 他 4.備考   分科会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○事務局 定刻になりましたので、ただ今から「薬事・食品衛生審議会薬事分科会」を開 催させていただきます。本日はお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうござ います。当分科会委員数24名のうち、現在21名の委員に御出席いただいておりますので、 定足数に達しておりますことを御報告いたします。以後の議事進行は望月分科会長にお願 いいたします。 ○望月分科会長 事務局から配付資料の確認と、資料作成、寄付金等に関する申出状況に ついて報告をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。審議事項については資料No.1〜No.4となっ ております。報告事項については、資料No.5〜No.18となっております。その他、当日配 付資料として、「審議参加と寄付金等に関する申合せの策定状況(中間報告)」を配付させ ていただいております。さらに、議事次第、座席表、名簿、また文書報告の資料は既に先 生方に送付しておりますが、お手元には参考までに「文書報告一覧」を配付しております。  続きまして、平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づく、資料作成に関与した委 員ですが、議題2「医薬品リコモジュリン」については、池田委員と早川委員が関与委員 となっており、退席となりますので審議の間は別室にて待機をお願いいたします。  また、本年4月23日の薬事分科会申合せに基づく、寄付金等に関する申出については 次のとおりです。議題1「医薬品ノベルジンカプセル」については、退室委員、議決に参 加しない委員ともおりません。議題2「医薬品リコモジュリン」については、退室委員、 議決に参加しない委員ともにおりません。議題3「医薬品ゼヴァリン イットリウム」に ついては、退室委員はおりませんが、議決に参加しない委員は、池田委員と永井委員です。 議題4「生理処理用品基準の廃止について」は、利益相反に係る企業はありません。  本日は審議事項4件、報告事項14件が予定されております。以上です。 ○望月分科会長 議事に入ります。議題1(資料No.1)「医薬品ノベルジンカプセル25mg、 同カプセル50mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可 否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。本品目は、既承 認の類似薬がない新有効成分を含有する医薬品に係る事項ですので、薬事分科会における 確認事項第3項に基づき、医薬品第一部会での審議結果を踏まえ、薬事分科会にて審議を 行うことになっております。初めに部会での審議結果等を御報告いただいた後、当分科会 で審議をいたしたいと思います。医薬品第一部会長の永井委員から御説明をいただきま す。 ○永井委員 簡単に御説明させていただきます。詳細については後ほど審査管理課から御 説明いただきます。  これは、ウィルソン病という病気の治療薬です。そもそも、ウィルソン病といいますの は、銅の輸送に関する膜のたん白の遺伝子変異によって起こされる常染色体劣性遺伝の代 謝異常症です。肝臓の細胞から胆汁中への銅の排泄が損なわれるということで、肝硬変等 肝臓の障害、あるいは脳などの臓器に銅が蓄積される。肝障害、腎障害、神経障害等を起 こす疾患です。  既に、国内ではウィルソン病に対して2種類のキレート剤がありますけれども、その投 与によって症状の進行抑制、あるいは改善することが可能ではありますけれども、白血球 減少症、間質性肺炎等の重篤な副作用が報告されております。また、奇形性もあるという ことで、小児あるいは妊婦における安全性が明確ではないという問題点があります。  このノベルジンカプセルは、亜鉛の製剤であり、これを経口投与すると腸管等で金属キ レート作用を持つたん白でありますメタロチオネインの生成が誘導される。その作用を利 用して治療薬に使うということであります。その結果、食物に含まれる銅、消化液中の内 因性の銅が腸管内でメタロチオネインと結合し、吸収が阻害される、あるいは過剰な銅の 体外への排泄が促進されるということで、ウィルソン病に対する治療効果を示すというこ とであります。  この薬剤の成分であります酢酸亜鉛水和物の製剤が、海外では2006年12月現在、欧米 の26か国で販売されておりまして、有用な治療薬であるという位置づけがなされており ます。また、本邦では2004年11月に希少疾病用医薬品に指定されております。  本申請に添付された資料では、ウィルソン病患者を対象とした国内臨床試験で、ALT 等の肝機能検査値、あるいは臨床症状が悪化することはなく、ほぼ一定に保たれたという ことであります。また、血清中の銅の濃度、尿中の銅の排泄量等の銅関連指標がコントロ ール可能である、ということが確認されております。安全性についても、臨床上問題とな るような副作用は見られなかったということでして、キレート剤とは異なる作用機序を有 する薬剤であるというふうに位置づけられますので、臨床現場に提供する意義があると考 えております。  本剤につきましては、11月22日の医薬品第一部会で審議をいたしまして、国内臨床成 績、過量投与に係る情報提供及び糖代謝への影響の有無等について議論をされました。承 認して差し支えないという判断に至りました。以上ですが、事務局からさらに詳細をお願 いいたします。 ○事務局 資料No.1、ノベルジンカプセル25mg、同50mgの審査の概略について、臨床試 験の成績を中心に御説明申し上げます。有効性及び安全性に関する資料として、国内で実 施された第III相試験、長期投与試験、国内製剤切り替え投与試験及び海外臨床試験の成績 が提示されています。  まず、有効性に関して御説明いたします。ウィルソン病患者を対象として、投与期間 24週間の非盲検非対照による国内第III相試験が実施されました。主要評価項目とされた 肝機能検査値ALTは、投与開始後には投与開始前に比べてやや低値を示し、悪化するこ となくほぼ一定に保たれました。  副次評価項目とされた臨床症状に特段の悪化は見られず、また血清中銅濃度、尿中銅排 泄量等の銅関連指標が管理閾値内でコントロール可能であることが確認されました。  次に、第III相試験に継続して、同様の試験デザインによる長期投与試験が実施された結 果、第III相試験と同様の成績が得られております。なお、以上の国内臨床試験では、海外 の市販製剤が用いられたため、長期投与試験の一部の患者を対象に、投与期間を4週間と した国内製剤への切り替え投与試験が実施され、切り替え前後のALTがほぼ一定に保た れることが確認されました。  安全性に関しては、国内第III相試験における副作用発現率は83.8%でしたが、すべて 軽度の事象であり、臨床上の大きな問題はないと考えられました。長期投与試験及び国内 製剤の切り替え投与試験においても、認められた副作用はすべて軽度の事象でした。  なお、本剤の投与により発現する可能性のある膵酵素の上昇については、添付文書にお いて注意喚起されており、また鉄欠乏については必要に応じて鉄剤を投与することで対処 可能であり、承認の可否に影響するような重大な懸念は認められないと判断しました。  疾患の性質から、本剤は長期間投与されることが予想されるため、長期投与時の安全性 及び有効性に関する情報について、本剤が投与される全例を対象に、市販後に収集する予 定です。  以上、総合機構の審査及び医薬品第一部会での審議の結果、本剤はウィルソン病(肝レ ンズ核変性症)に対する有用性が認められ、承認して差し支えないと判断し、薬事分科会 で審議されることが妥当との判断に至りました。  なお、再審査期間は10年、原体及び製剤は劇薬に該当し、特定生物由来製品及び生物 由来製品には該当しないこととされました。説明は以上です。御審議をよろしくお願い申 し上げます。 ○望月分科会長 ただ今の説明につきまして、御意見、御質問等はございますでしょうか。 ○松本委員 これは、申請者に質問すべきことかもしれませんけれども、機構に教えてい ただきたいと思います。確かにウィルソン病というのは、肝症状とか脳症状を含めて多彩 な症状を示すわけです。予後が大変悪いということですので、そういう意味からいけば有 効な薬が出現するというのは大変ありがたいことだと思います。  ただ、この審査資料を拝見しますと、いろいろな症状がある中の何を改善するのかがも うひとつはっきりしないのです。この医薬品が、ウィルソン病のどういう点を改善するか を教えてください。 ○望月分科会長 事務局お答えいただけますか。 ○審査管理課長 審査報告書の38ページを御覧ください。ここに、「(2)主要評価項目 の妥当性について」ということで、最初に国内第III相試験における主要評価項目をALT の変化量としたことの妥当性について説明を求めたということで、このスタディというの はALTの変化量を評価項目とされている。  それについてディスカッションをしていっているわけですが、39ページの「(3)用法 ・用量について」の前の段落に、機構は、血中遊離銅濃度及びスポット尿中濃度でも両群 は同様の推移を示しており、薬力学的に同等の効果が発現しているものと考える。肝障害 の指標として1種類の肝逸脱酵素のみによる評価には限界がある。ALTの変化量と本疾 患による銅の蓄積に伴う肝病変の進行との関連が不明確で、ALTの変化量と本疾患の真 のエンドポイントである生命予後との関連も不明確であると考えられる。しかしながら、 無治療、怠薬及び薬物治療を中断した場合は6か月以内に肝機能の増悪や肝機能障害によ る死亡を来たし得るとの疾患の進行経過を考慮すると、キレート剤等で十分に治療され肝 機能検査値の安定している患者に対して本剤を投与し、肝機能の増悪を抑制することに臨 床的な意義があるものと考える、というのが結論です。  スタディとしては、ALTを指標にこういう考え方で、一応臨床的意義があるのではな いかという結論に達しているということです。 ○松本委員 私自身この薬剤の薬効から考えて、増悪を抑えるということが、発症予防に なれば一番いいのではないかと思っていたのです。35ページで、Brewer-発症前試験で経 過を見ているわけですけれども、この試験で発症予防が可能だったかどうかが分かれば教 えてください。検査値は書いてありますが、ウィルソン病は比較的早い時期に発見するこ とは可能なのですが、なかなか止めることが難しいので、もし万が一こういう薬剤で発症 を止められるのであれば、これは大変有用ではないかと思っていたのです。このBrewer- 発症前試験の経過を見ますと、どういう結末になったかということが書いていないようで すけれども、その点について情報があれば教えてください。 ○新薬第四部長 総合機構からお答えいたします。手元の資料では、残念ながらまだ発症 予防までできたかどうかについては分かりかねるということです。 ○審査管理課長 発症予防については、38ページの上から6行目の「3)発症前型患者に おけるリスク/ベネフィットについて」というのがあります。その6行目に、米国の添付 文書では発症前型患者30例の追跡調査が実施され、1例も症状の進行を認めなかったと されておるということではありますけれども、それが、いわゆるアカデミックな論文とし てまとめられているというような状況ではないと考えております。 ○赤堀委員 前臨床試験の中で、例えば英国原産の狩猟犬に使われておりましたベドリン トンテリアもウィルソン病の疾患モデル動物として、獣医学領域では知られている犬種で す。限られた臨床データしか得られないことを考えると、前臨床試験で、ベドリントンテ リアを使った試験が必要であるというか、そういうことについての議論が調査会なり、部 会でありましたでしょうか。 ○新薬第四部長 審査報告書の8ページから、薬理試験成績の概略が記載してあります。 ここに記載されておりますNIH LOU/MNラット、次のページのLECラットといったもの をモデルとして使っております。これ以上の情報はここではありません。 ○赤堀委員 確かに実験動物としては、LECラットを一般的に用いるわけです。しかし、 松本先生の御質問にもちょっと関わりがあると思うのですが、ラット以外にもそういう疾 患モデル動物があれば、ヒトでなかなかデータが得られないとすれば、前臨床試験のレベ ルといえども貴重なデータが得られるとの観点から議論があったのではないかと思いお 聞きしました。 ○大野委員 薬理のところで、この薬物の作用機序として、腸管からの銅の吸収を抑制す るというか、糞中への排泄を促進するというのがあるのですけれども、これはヒトの臨床 試験の方だと、尿中排泄を主に見ていて、糞中というのは見当たらなかったのですが、糞 中排泄という作用機序はヒトで確認されているのでしょうか。 ○新薬第四部長 総合機構からお答えします。臨床の場で糞中排泄の方まで測定するのは なかなか困難ということで、臨床でのそういうデータは今のところありません。ただ、作 用機序的には、腸管の中でのメタロチオネインによる銅のキレート作用により、糞中への 排泄が増大するであろうということです。尿中排泄についても、体内の銅の蓄積の度合を 反映するであろうということで、臨床では尿中排泄の方を測定しているということだと思 います。 ○望月分科会長 ほかにないようでしたら議決に入ります。部会の報告を踏まえ、当分科 会としても、本品目について製造販売承認を可、再審査期間は10年、原体、製剤ともに 劇薬に指定し、生物由来製品及び特定生物由来製品の指定は不要とすることが適当である と認める旨、議決したいと思いますがよろしいでしょうか。ありがとうございました。御 異議なしと認めます。  それでは、薬事・食品衛生審議会規程第3条第1項の規定に基づきまして、当分科会の 議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申することといたします。答申案の文 案その他の取扱いについては私に御一任いただいてよろしいでしょうか。ありがとうござ いました。そのようにさせていただきます。  それでは次に入りたいと思います。議題2につきましては、先ほどの平成13年1月23 日の申合せに基づき、池田委員、早川委員は別室で待機していただくようお願いいたしま す。 ── 池田委員、早川委員退室 ── ○望月分科会長 議題2(資料No.2)「医薬品リコモジュリン点滴静注用12800の生物由来 製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに 毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。この議題も審議事項です。本品目は、既承認 の類似薬がない新有効成分を含有する医薬品に係る事項ですので、「薬事分科会における 確認事項」第3項に基づき、医薬品第一部会での審議結果を踏まえて薬事分科会にて審議 を行うこととなっております。  初めに、部会での審議結果等を御報告いただいた後、当分科会で審議をいたしたいと思 います。それでは、医薬品第一部会の部会長であられます永井委員から御説明をいただき ます。 ○永井委員 これは、我が国で開発された抗血栓性のたん白でありますトロンボモジュリ ンのSoluble form、細胞外ドメインのみからなる分子を薬品にしたものです。  対象疾患でありますDIC(汎発性血管内血液凝固症)ですが、これは癌などさまざまな 基礎疾患で起こる全身の微小血管に血栓形成が起こる病気です。虚血などによる血管内皮 細胞障害により、臓器障害を呈する。あるいは、さまざまな凝固因子を消費し、二次性の 線溶系の亢進が起こってくるために、出血傾向を起こす症候群であります。  この薬剤の有効成分は、トロンボモデュリン アルファというものでありますけれども、 内皮細胞の膜たん白でありまして、トロンボモジュリンの活性部位を含む細胞外ドメイン のみからなるSolubleな可溶型の分子であります。細胞外ドメインのみですけれども、ト ロンボモジュリンそのものと同じように、血液凝固調整能を有しております。  今回の用法・用量では主に血液凝固因子の一つであるトロンビンの生成阻害により、抗 凝固作用を示すというメカニズムで作用するというふうに考えており、また平成19年 11月現在、海外では承認申請又は販売のいずれもなされておりません。  この薬剤により、血液凝固能の異常亢進が改善することが期待されております。造血器 悪性腫瘍及び感染症を基礎疾患とするDIC用薬である未分画ヘパリンというものがあ りますけれども、これが今使われている薬剤でありますが、それに対する非劣性が示され ているということです。  この薬剤は、既存薬とは異なる作用機序であるということ。また、DIC用薬の選択肢 を増やすという意義があるということで今回申請が出ております。また、DICはさまざ まな病態で起こりますけれども、造血器悪性腫瘍及び感染症以外の基礎疾患については、 今回の第III相試験には含まれておりませんでしたけれども、基礎疾患によらずトロンビン の生成阻害がDICからの離脱に寄与すると考えられるために、市販後の情報収集が重要 ですけれども、本剤の投与対象とするDICの基礎疾患をあえて限定する必要はないと考 えております。  部会では、メカニズムあるいは抗体の産生の有無等が議論になりました。抗体は作られ るそうですけれども、中和抗体ではないということ。また、有効性については先ほど申し ましたように、ヘパリンに対する非劣性が認められるということで、より有効であろうと いうことが判断されております。11月22日に開催されました第一部会において審議し、 承認して差し支えないということに判断をいたしました。概要は以上です。事務局から説 明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.2、リコモジュリン点滴静注用12800、トロンボモデュリン アルファ の審査の概略につきまして、臨床試験の成績を中心に御説明いたします。国内で実施され た第I相試験、前期及び後期第II相試験並びに第III相試験の成績が評価資料として提出さ れています。  まず有効性に関して御説明いたします。基礎疾患を限らず、「DIC」又は「DICの 疑い」のある患者を対象とした第II相試験の成績に基づき、本剤の用法・用量は0.06 mg/kgを1日1回、30分間かけて連日静脈内投与することとされ、同用量の本剤を造血器 悪性腫瘍及び感染症を基礎疾患とするDIC患者に6日間反復投与し、DICからの離脱 率について、既承認の抗凝固薬である未分画ヘパリンに対する非劣性を検証する第III相比 較試験が実施されました。  有効性の主要評価項目とされた投与7日目又は投与中止時におけるDICからの離脱 率は、本剤群で66.1%、未分画ヘパリン群で49.9%であり、非劣性が示されました。  安全性に関しては、第III相比較試験では、主として投与開始14日目までの有害事象発 現状況が観察され、いずれの群においても貧血が約70%の患者に発現するなど、全症例 で有害事象が認められました。  出血症状に関連する有害事象の発現率では、投与開始7日目までにおいて、本剤群43.1 %、未分画ヘパリン群56.5%と本剤群の方が有意に低く、投与開始14日目までにおいて も同様の傾向が認められました。  また「血小板数低値」、「線溶系の過度な活性化状態」等が、本剤による出血の危険因 子であるとの解析結果も得られ、本剤投与中は血小板数、凝固・線溶系マーカーを慎重に モニタリングしつつ、出血傾向に注意を払う必要があると考えられました。  この点を含め、本剤の投与期間、再投与時の注意、他の抗凝固薬との併用、腎機能障害 を有する患者への本剤投与等について、添付文書において注意喚起されており、DICと 診断された患者に適正に使用されれば、承認の可否に影響するような重大な懸念は認めら れないと判断いたしました。  さらに、本剤の適用対象につきまして次のような検討がなされました。本剤の第一義的 な投与対象は、第III相比較試験で対象とされた基礎疾患によるDIC患者とするのが基本 と考えられました。  一方、DIC治療には基礎疾患の緩解が必須ですが、本剤のDICの基礎疾患に対する 治療を成功に導くために、DICから離脱させる等のDICの症状をコントロールするた めの薬剤と位置づけられること。基礎疾患によらず、DICの本態は血液凝固系の異常亢 進であり、トロンビンと結合し、トロンビンによるプロテインCの活性化を促進し、トロ ンビンの産生を抑制する本剤が効果を示すことが期待できること。  第II相試験では、造血器悪性腫瘍及び感染症以外を基礎疾患とするDIC患者において も、一定の有効性・安全性が示されたこと。基礎疾患によらずDICは重篤な病態にある にもかかわらず、既存薬により、必ずしも十分に症状をコントロールできていないこと等 から、効能・効果を造血器悪性腫瘍及び感染症を基礎疾患とするDICに限定する必要は ないものと判断いたしました。  なお、製造販売後には、全例調査による使用成績調査を始め、特定使用成績調査及び臨 床試験等が実施され、使用実態下における本剤の有効性及び安全性等とともに、基礎疾患 等の患者背景の異同が、本剤の有効性及び安全性に及ぼす影響について確認される予定で す。  以上、総合機構の審査、医薬品第一部会での審議の結果、本剤は「DIC」の効能・効 果で承認して差し支えないと判断し、薬事分科会で審議されることが適当との判断に至り ました。なお、再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬又は劇薬に該当せず、生物由来製 品に該当することとされました。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願い申し上げ ます。 ○望月分科会長 ただ今の説明につきまして、御意見、御質問等をいただきたいと思いま す。 ○黒木委員 説明の追加をお願いいたします。DICの評価基準については資料の中にも ありますけれども、簡単にもう一度説明していただければありがたいと思います。 ○審査管理課長 審査報告(2)として、専門委員に協議した結果が76ページにまとめら れております。御覧ください。なお、当初の審査報告におきましては55ページに詳しく 有効性の評価結果について述べられておりますが、76ページにまとめられておりますの で、ここで御説明いたします。  即ち、厚生労働省の研究班で作られました、DICの診断基準が一つあります。これを 軸に評価がなされております。しかしながら、76ページの1.の第2段落の「また」のと ころにありますが、DICを離脱しているにもかかわらず、凝血学的なマーカーが増悪し ている症例もあったということを踏まえ、この研究班の診断基準だけではなくて、個々の 症例における基礎疾患の経過とDIC離脱率との関係、あるいはそれぞれの特定背景を持 つ症例が離脱率に及ぼした影響、さらには厚生労働省のDIC診断基準以外の診断基準、 たしか学会での診断基準だったと思いますけれども、そういうものを複合的に用いたとい うことです。 ○黒木委員 複合的に評価した結果、これで基本としては厚生労働省のDIC診断基準で よろしいであろう、といったことでよろしかったでしょうか。 ○審査管理課長 はい。 ○望月分科会長 ほかに特段の御異議がないようでしたら議決に入ります。部会の報告を 踏まえ、当分科会としても本品目について、製造販売承認を可、再審査期間は8年、原体、 製剤ともに毒薬又は劇薬の指定は不要とし、生物由来製品に指定することが適当であると 認める旨、議決したいと思いますがよろしいでしょうか。ありがとうございました。御異 議なしと認めます。  それでは、薬事・食品衛生審議会規程第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決を もって審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申することといたします。答申書の文案その 他の取扱いについては私に御一任いただいてよろしいでしょうか。ありがとうございまし た。それではそのようにさせていただきます。 ── 池田委員、早川委員入室 ── ○望月分科会長 次は議題3(資料No.3)「医薬品ゼヴァリン イットリウム静注用セット、 ゼヴァリン インジウム静注用セットの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要 否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」 です。  本品目は、既承認の類似薬がない新有効成分を含有する医薬品に係る事項ですので、 「薬事分科会における確認事項」第3項に基づき、医薬品第二部会での審議結果を踏まえ て薬事分科会にて審議を行うこととなっております。  初めに部会での審議結果等を御報告いただいた後、当分科会で審議をいたしたいと思い ます。本来なら、医薬品第二部会長の池田委員から御説明があるのですが、先ほどの寄付 金等の申出において、議決権なしの報告がありましたので、医薬品第二部会員の早川委員 から説明をお願いいたします。 ○早川委員 医薬品ゼヴァリン イットリウム静注用セット、ゼヴァリン インジウム静注 用セットの審査の概略について概要を御説明いたします。本件はCD20に対するマウス 抗体に、キレート剤が結合したイブリツモマブ チウキセタンというものと、β線放射核 種であります塩化イットリウムがセットとなった品目、それから、同じイブリツモマブ チウキセタンと、γ線放射核種であります塩化インジウムがセットとなった品目、この2 種類が申請されているものです。  この抗体と塩化イットリウム、あるいは抗体とインジウムを医療現場で混ぜて標識化さ れたものをヒトに投与することになります。イットリウムで標識化したイットリウム イ ブリツモマブ チウキセタンにつきましては、この抗体がCD20抗原を発現する細胞に結 合し、イットリウムから放出されるβ線により腫瘍の増殖を抑制すると考えられておりま す。  一方、インジウムで標識化したインジウム イブリツモマブ チウキセタンは治療用では ありませんで、γ線を放出するインジウムの性質を利用し、イブリツモマブ チウキセタ ンの生体内分布をシンチレーションにより確認し、適用患者を選択する目的で使用されま す。  また、本治療では正常細胞のCD20抗原に対するイブリツモマブ チウキセタンの結合 を減少させる目的で、前処理といたしましてCD20に対するモノクローナル抗体である リツキシマブの投与が行われます。つまり、本治療では、まずリツキシマブで前処理をし ておいて、インジウム標識化抗体で、抗体の生体内分布に異常がないことを確認すること により、適用患者を選択する。その後、リツキシマブで前処理をしておいて、イットリウ ム イブリツモマブ チウキセタンで治療を行うことになります。イットリウム及びインジ ウム イブリツモマブ チウキセタンは、希少疾病用医薬品に指定されており、海外におい ては42か国で承認されております。  本治療の対象患者は、CD20陽性の再発又は難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリ ンパ腫、それからマントル細胞リンパ腫であります。低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ 腫は、進行は緩徐であるものの、抗悪性腫瘍薬の有効性が低く、治癒が困難であります。 現在、一次治療としては、リツキシマブを含む多剤併用療法が主に実施されておりますが、 一次治療に無効又は再発した場合には、標準的な治療は確立されておりません。マントル 細胞リンパ腫につきましても、標準的治療法は確立しておりませんで、治癒は困難である。 また、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫と比較して進行が早く、予後不良であります。  イットリウム及びインジウム イブリツモマブ チウキセタンにつきましては、去る10 月24日に開催されました医薬品第二部会において審議し、承認して差し支えないとの判 断に至りました。以上概要を御説明いたしましたが、事務局からもう少し詳しい説明をお 願いいたします。 ○事務局 資料No.3、医薬品ゼヴァリン イットリウム静注用セット、ゼヴァリン インジ ウム静注用セットの審査の概略について御説明申し上げます。  品質、毒性、薬理、ADMEについて大きな問題は認められませんでした。主な臨床試 験成績としては、国内で実施された一つの第II相試験と、海外で実施された二つの第III相 試験です。これらの臨床試験の結果、再発又は難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリン パ腫及びマントル細胞リンパ腫患者に、本治療を施行した場合に、標準的な薬剤であるリ ツキシマブに不応又は再発した患者においても、一定の奏効割合と、奏効持続時間が得ら れていることから、本薬の有効性が示されたと判断いたしました。  安全性につきましては、主に血液毒性に十分に注意する必要があり、またインジウムイ ブリツモマブ チウキセタンによる生体内分布の読影による患者選択の必要があるため、 造血器悪性腫瘍の治療の専門医及び放射線治療の専門医が連携をとり、慎重に使用する必 要があると判断しております。  また、機構の審査におきましては、国内臨床試験での結果では、日本人に特有な有害事 象の発現や、有害事象が海外臨床試験と比較して重篤化する傾向はないことを確認してお りますが、検討された症例数は限られているため、製造販売後には全例調査による重篤な 有害事象の収集及び迅速な情報提供を行うことに加えて、製造販売後の使用経験を踏まえ てのインジウムの生体内分布の読影判定基準の再検討により、より適切な患者を選択でき るよう、継続的に検討が必要であり、申請者に指示を行っております。  以上、総合機構の審査及び医薬品第二部会での審議の結果、CD20陽性の、再発又は 難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫の適応につい て、承認することは可能と判断し、薬事分科会で審議されることが適当との判断に至りま した。  なお、イブリツモマブ チウキセタン及び塩化イットリウム並びにこれらを含有する製 剤は劇薬に該当し、塩化インジウム及びこれを含む製剤は毒薬又は劇薬に該当せず、また イブリツモマブ チウキセタンは生物由来製品に該当すると判断したことから、この各々 の品目はすべて生物由来製品に該当すると判断いたしました。説明は以上です。御審議の ほどよろしくお願い申し上げます。 ○望月分科会長 ただ今の説明につきまして、御意見、御質問等はございますでしょうか。 ○望月(眞)委員 二点あります。一点目は、審査報告書の92〜93ページのところに、周 囲環境への放射線の影響についての記述があります。ここに、退出基準を検討されて、厚 生労働省で検討中という書き方になっているのですが、これが発売される段階では、この 退出基準等はどういう形で明確化されるというか、情報提供されるかを一点確認させてく ださい。 ○事務局 審査報告書の92ページに退出基準についての状況がありますけれども、今回 本品目が関わりますイットリウム及びインジウムについて、現在医政局で退出基準を所管 しておりますけれども、既に検討が終了し、本品目の承認に合わせて退出基準の通知が出 されることとなっております。 ○望月(眞)委員 同時に出されるということでよろしいですね。 ○事務局 詳細なスケジュールについては、承認よりは多少発出が遅れるとのことです が、遅くとも2月中には出されると聞いております。実際にこの品目が使用される前には 準備される状況と聞いております。 ○望月(眞)委員 もう一点ですが、私は核医学等々の部門がどういう医薬品の取扱いをし ているか分からないのですが、先ほどこの写真を見させていただきました。もともと名前 もゼヴァリンというのが頭に出てきて、後ろにイットリウムかインジウムかの違いで、名 称もかなり類似していますし、箱の外観も色がちょっと違うだけでかなり類似していま す。水色とイエローになっています。それと、治療用と確認用というのがかなり小さな字 で書いてあります。この辺りが医療現場でどのように管理されていくのか。間違いが生じ ないような工夫がきちんとなされているのかどうかについての説明をお願いいたします。 ○新薬第一部長 総合機構から御説明申し上げます。この品目につきましては、β放出核 種とγ放出核種それぞれの放出特性を組み合わせ、最終的には癌の治療に使うというもの です。製品としては一体として考えたいということもあり、ゼヴァリンという名称を共通 に使ったところです。  一方、それを使うことにより、いわゆる使用の過誤といいますか、取り違え等が起こる 可能性がありますので、望月先生が御指摘のような、包装、ラベル等でまず注意喚起する ということです。β放出核種でありますイットリウムはクリーム系、そしてγ放出核種で あるインジウムはすべて青色で統一をするということが一点です。  それから、実際に注文を受けてから医療の現場へ行くときには、これが合わせて行くわ けではなくて、それぞれ放射性物質の半減期の関係もありますが、まずインジウムの方が 先に行くということで、インジウムの方で投与していただいて、そしてγシンチをかけて、 そのシンチが終わった段階で、イットリウムが行くということもありますので、そういう 面でも二重三重の取り違えの防止策というものを工夫しております。それから、本日はお 配りできないのですが、いろいろな冊子等を含め、念には念を入れながら、使用の間違い というものを防止しようというような方策を考えております。 ○望月(眞)委員 私は、実際の場がよく分かっていないので変な質問かもしれないのです が、同じ日に片方の方が治療用を使って、片方の方が確認用を使う、というようなことが 重なるということはあり得ないことなのですか。 ○新薬第一部長 患者数も非常に少ないですので、そういう例はめったにないと考えてお ります。そこは、そういうことのないようにということで注意喚起をさせていただければ と思っております。 ○井部委員 添付文書の7ページの適用上の注意で、調製時、[1]準備からステップ1で、 準備が非常に難解なのですけれども、これは特定の人がこの薬を扱うのでしょうか。現場 では誰がこのような調製を行うのでしょうか。 ○新薬第一部長 このものについては繰り返しですが、非常に半減期が短いということで 医療の現場で調製をしていただく必要があります。少なくとも放射性物質といいますか、 放射性医薬品を非常に使っている、慣れた専門の施設でお使いいただくことが前提ですの で、そういう所で間違いのないように調製をしていただく必要があるかと思います。  さらに添付文書の記載だけではなかなか御理解いただけないということで、これも現在 申請者との間で調整中ですが、静注用セットの標識手順書で図解入りのものを使いなが ら、より間違いのないような方策を取るように工夫をしているところです。 ○井部委員 是非よろしくお願いいたしたいと思います。 ○望月分科会長 分かりやすい手順を示したものを用意しているということです。ほかに 特段の御異議がないようでしたら議決に入ります。池田委員と永井委員におかれまして は、寄付金等に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたし ます。恐れ入りますが、池田委員と永井委員は後ろに用意してあります椅子席にお移りい ただきます。  議決に入ります。部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について、製造販売承 認を可、再審査期間は10年、イブリツモマブ チウキセタン及び塩化イットリウムは、原 体、製剤ともに劇薬に指定し、塩化インジウムは原体は毒物、劇物の指定は不要とし、製 剤は劇薬に指定し、生物由来製品に指定することが適当であると認める旨、議決したいと 思いますがよろしいでしょうか。ありがとうございました。御異議なしと認めます。  薬事・食品衛生審議会規程第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議 会の議決とし、厚生労働大臣に答申することといたします。答申書の文案その他の取扱い については私に御一任いただいてよろしいでしょうか。ありがとうございました。それで はそのようにさせていただきます。池田委員、永井委員は前の席にお戻りください。  議題4(資料No.4)「生理処理用品基準の廃止について」です。本議題は、基準の廃止で すので、「薬事分科会における確認事項」第5項に基づき、化粧品・医薬部外品部会での 審議結果を踏まえて、薬事分科会にて審議を行うこととなっております。初めに部会での 審議結果等を御報告いただいた後、当分科会で審議をいたしたいと思います。それでは、 化粧品・医薬部外品部会長の溝口委員から報告をいただきます。 ○溝口委員 御報告いたします。生理処理用品基準の廃止につきましては、9月21日に 化粧品・医薬部外品部会を開催し、審議いたしました。最近、生理処理用品は品質が良く なりまして、違反品の流通がなくなっておりますので、今回、昭和41年に制定されまし た薬事法第42条基準を廃止しようとするものです。この基準を廃止いたしましても、個 別品目の承認規格でその品質を確保することができます。したがって、部会では特別な問 題はなく、廃止との結論に達しました。御審議のほどお願いいたしますが、その前に事務 局からさらに詳細を説明させていただきます。 ○事務局 審議事項4番、生理処理用品基準の廃止につきまして御説明させていただきま す。資料No.4-1〜4-3を御覧ください。御審議いただきますのは、資料No.4-2の3ページ以 降に示しております生理処理用品基準を廃止するというものです。  生理処理用品基準は、薬事法第42条第2項に基づき、昭和41年に制定されました基準 です。その内容につきましては、まず材料として挙げた6種類につきましては、個別材料 ごとにその規格を定めていること。生理処理用品の製品について、一律に遵守すべき規格 を定めております。この基準は先ほど申し上げましたが、薬事法第42条第2項に基づき 制定されていますもので、医薬部外品について保健衛生上の危害を防止するために必要な 基準を定めているものです。また、薬事法上基準に適合しないものの販売や製造などが禁 止されております。  一方で生理処理用品を製造販売しようとする際には、薬事法の規定に基づきまして、個 別品目ごとの製造販売承認が必要であり、承認に当たってはその品質などについて、品目 ごとに審査が行われております。また、承認後の製造販売につきましても、承認書に規定 されました規格に適合しないものは、その販売製造などが禁止されています。即ち、医薬 部外品たる生理処理用品は、薬事法第42条基準への適合と、承認された規格への適合の 二つが重複して課せられております。  生理処理用品基準におきまして、6種類の材料の規格を定めていると申し上げました が、生理処理用品材料の多様化に伴い、基準で定めております材料が用いられる割合が半 分以下になっております。また、生理処理用品の品質が年々良くなり、基準違反はこの 10年にわたりございません。また、基準を廃止したとしましても、承認の段階で規格が 設定され、承認規格に合致しない製品の流通は禁止されていますことから、本基準を廃止 しても保健衛生上の支障は考えられないことから、本基準を廃止しようとするものです。  なお、過去には、法第42条基準といたしまして、パーマネント・ウェーブ用剤基準が ございましたが、同じ理由で平成5年に既に廃止をされております。  続きまして、廃止後の対応について御説明いたします。個別品目ごとの承認審査におき まして、品質などについては確保いたしますが、これまでから審査の合理化、迅速化を考 慮いたしまして、生理処理用品につきましては、一部都道府県知事に承認権限を委任して おります。その際、各都道府県におきまして、統一的な審査が行えるように、これまでは 廃止する予定の生理処理用品基準を基といたしまして、代表的な材料の規格などにつきま して、その承認前例をその都度通知をしておりました。  今回それに代わるものとして、生理処理用品承認基準を作成することとしております。 資料No.4-3に生理処理用品承認基準(案)を付けております。生理処理用品基準を核として、 承認前例を基に作成をしております。これにより、承認基準に合致するものは効率的に処 理することができます。また、承認基準に合致しないものにつきましては、改めてその品 質などについて必要な資料の提出を求め、主に国において個別に審査を行うこととしてお ります。  以上、生理処理用品基準の廃止案について御説明させていただきました。御審議のほど よろしくお願い申し上げます。 ○望月分科会長 ただ今の説明につきまして、御意見、御質問等はございますでしょうか。 特段の御異議がないようでしたら議決に入ります。部会の報告を踏まえ、当分科会として も、本基準について廃止することが適当であると認める旨、議決したいと思いますがよろ しいでしょうか。ありがとうございました。御異議なしと認めます。  それでは、薬事・食品衛生審議会規程第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決を もって審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申することといたします。答申書の文案その 他の取扱いについては私に御一任いただいてよろしいでしょうか。ありがとうございまし た。それではそのようにさせていただきます。  これより報告事項に入らせていただきます。御担当の部会ごとに区切って報告をいただ くことといたしますので、まずは副作用・感染等被害判定第一部会及び副作用・感染等被 害判定第二部会の関係の議題5から簡単に説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.5ですが、資料に訂正があります。平成19年9月27日が第一部会判定 結果となっておりますが、正しくは第二部会判定結果でございます。以下、正しくは10 月25日が第一部会、11月22日が第二部会で、すべて一と二が逆になっておりました。 お詫びの上、訂正させていただきます。申し訳ありませんでした。  では、部会結果について報告させていただきます。前回の分科会以降に副作用・感染等 被害判定第一部会が1回、第二部会が2回開催されています。資料は各開催ごとの資料と 一番上にまとめとして3回の件数を集計した資料となっています。それでは資料のまとめ に従って御報告させていただきます。部会開催日は先ほど訂正させていただいたとおり、 第一部会が平成19年10月25日、第二部会については平成19年9月27日及び11月 22日に開催されています。  医薬品の副作用の判定における3回の合計の申請内訳については新規が168件、継続が 24件、現況19件の計211件について御審議いただきました。審議結果については支給決 定とすることが適当と考えられるものが191件あり、その内訳は請求どおり支給決定する ものが96件、請求期間の一部について支給決定するものが89件、請求内容の一部につい て支給決定するものが9件となっています。  また、不支給決定することが適当と考えられるものが17件あり、その内訳は医薬品の 使用方法が不適正であったものが4件、医薬品以外の原因によるものが9件、副作用によ る疾病に対する医療が入院を必要とする程度でない場合が2件、副作用による障害の状態 が日常生活が著しく制限される程度の状態でないものが2件、資料不足により判定不能と されたものが1件でした。  なお、追加情報を得て再度審議することが適当と考えられたものが3件ありました。ま た生物由来製品による感染等の判定については第二部会において3件の審議が行われて います。生物由来製品による感染により、健康被害を起こしたと認められたものについて、 請求どおり支給決定するものが1件、請求期間の一部について支給決定するものが1件あ りました。また、請求された健康被害は生物由来製品による感染以外の原因によるものと して、不支給決定することが適当と考えられるものが1件ありました。以上が副作用・感 染等被害判定第一部会、第二部会の結果報告ですが、事前に神山委員より質問をいただい ておりますので、合わせて回答させていただきます。  御質問については不適正使用と判定されている2事例について、どのような医薬品の使 用が不適正であったのかということですが、1例目は、まず14ページになります。76番 の事例ですが、本事例はロキソニン、パブロンゴールド、ポンタール、セルベックス、ア ンヒバ坐薬などにより、中毒性表皮壊死症と薬物性肝障害を生じたものと判定されていま す。当該患者は感冒に対し市販のパブロンゴールドと半年以上前に別の理由で処方された ロキソニンとポンタールを自己判断で併用して服用されています。  部会においては過去に処方された医薬品を自己判断で服用していること、及び市販のパ ブロンゴールドの使用上の注意において、本剤を服用している間は他のかぜ薬、解熱鎮痛 剤などを服用しないでくださいとしている注意事項が守られていないなどの理由により、 不適正使用であると判定されています。  もう1例は20ページです。60番の事例で、本事例はメルカゾール錠で無顆粒球症を生 じたものと判定されています。メルカゾールの添付文書には、投与開始2か月間は重篤な 無顆粒球症が発現するとの報告があることより、少なくとも投与開始2か月間は、原則と して2週間に1回血液検査を行うこととされているところ、本事例ではメルカゾール投与 後、約6週後に血液検査により、無顆粒球症を確認していますが、その間、一度も血液検 査を実施しておらず、不適正使用と判定されています。以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。それでは委員の先生方から御意見、御質問はご ざいますでしょうか。 ○望月(眞)委員 症例の説明をしていただきたいのですが、9月27日の部会の報告の11 番の症例、[1]でクリノリル、アクトネル、ロキソプロフェンが投与されて消化管出血が起 こって、[2]でクリノリル、アルファロール、ロキソプロフェンが投与されて急性腎不全と 消化管出血が起こって死亡と、この症例の説明をしていただきたいのですが。 ○事務局 支給事例で手元にこの事例の詳細を持ち合わせていないのですが、同じような 薬が二つの副作用の原因になっておりますので、同時にこのような副作用が起こったもの と推測されますが、後ほど資料を用意して御説明させていただくことでよろしいでしょう か。 ○望月(眞)委員 はい。説明をお願いします。 ○事務局 後ほど用意してもう一度分科会の最後にでも御説明させていただきますが、そ れでよろしいでしょうか。 ○望月分科会長 それでは後ほど御説明申し上げます。他にはどなたか御意見はございま すでしょうか。他についてはよろしいですか。それでは本件について御確認いただいたも のとします。続いて医薬品第一、第二部会の関係の議題6〜13についての説明をお願い いたします。 ○事務局 それでは議題6以降について事務局より報告申し上げます。まず、資料6です。 販売名ロナセン錠2mg、同4mg、ロナセン散2%です。一般名はブロナンセリン。効能・ 効果は総合失調症です。本品目は本年10月22日に開催された医薬品第一部会において御 審議いただき、承認して差し支えないとの結論をいただきました。  続いて資料7、クレキサン皮下注キット2000IUです。こちらは一般名エノキサパリン ナトリウム。効能・効果は下記の下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発 症抑制。そして股関節全置換術、膝関節全置換術、股関節骨折手術です。本品目について は本年10月22日の医薬品第一部会において御審議いただき、承認して差し支えない旨の 御結論をいただいています。  資料8です。販売名、アマージ錠2.5mg、一般名ナラトリプタン塩酸塩です。効能・効 果は片頭痛で、本品目は本年10月22日に開催されました医薬品第一部会において御審議 いただき、承認して差し支えないとの御結論をいただいています。なお、本品目について 望月委員より御質問をいただいています。御質問内容ですが、「大きな問題ではないが、 本剤の用法・用量1回2.5mgに決定した際のさまざまな考察から考えると、添付文書の臨 床成績に1mg投与と2.5mg投与において大きな差が認められていない。情報を掲載するに 当たっては、用量設定の考え方が誤解されない配慮が必要かもしれない。」という御質問 をいただいています。  本質問について資料の添付文書の後ろから1枚めくっていただき、左上、臨床成績の項 に、1mg群及び2.5mg群の結果が掲載されています。この点については御指摘のとおり、 1mgについては臨床推奨用量から外れているので添付文書に記載するのは適当でないと 考えています。この1mg群の記載について削除すべきと考えていますが、申請者等との連 絡齟齬のために修正されていなかったという状況で申し訳ございません。御指摘のとお り、この添付文書から1mg群に関する記載を削除するよう、改めて申請者に指示したいと 考えています。  続いて資料9です。チャンピックス錠0.5mg、同1mgです。一般名はバレニクリン酒石 酸塩。この効能・効果はニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙の補助です。本品目は本年 11月22日の医薬品第一部会において御審議いただき、承認して差し支えないとの御結論 をいただいています。  資料10です。販売名ネクサバール錠200mg、効能・効果は根治切除不能又は転移性の 腎細胞癌です。本品目は本年10月24日の医薬品第二部会において御審議いただき、承認 して差し支えない旨の結論をいただいています。なお、承認条件として備考欄ですが、全 例調査を行うこととしています。  資料11です。販売名グレースビット錠50mg、同細粒10%、一般名シタフロキサシン 水和物。効能・効果は、6番の効能・効果欄に記載のある適応菌種と適応症です。なお、 この品目については本年10月24日の医薬品第二部会において、承認して差し支えない旨 の御結論をいただいています。  資料12です。販売名プリジスタ錠300mg、一般名ダルナビル エタノール付加物です。 本品目の効能・効果はHIV感染症です。そして本品目については本年10月24日の医薬 品第二部会において、資料の次ページ、10の備考欄に、使用に当たって安全性・有効性 のデータを引き続き調査中であることを患者に十分説明しつつ、インフォームドコンセン トを得るよう、医師に要請することなどの承認条件を付した上で、承認して差し支えない 旨の御結論をいただいたところです。  資料13、放射性医薬品基準の改定です。これについては先ほど審議事項の議題3で説 明したセヴァリン イットリウム及びインジウムに関連して、塩化イットリウム溶液及び 資料5ページの塩化インジウム溶液の2品目の放射性医薬品基準の改正をするものです。 以上が医薬品第一、第二部会に関係する報告事項です。 ○望月分科会長 ありがとうございました。それでは医薬品第一部会長の永井委員から追 加の御発言等はございますでしょうか。 ○永井委員 いくつか追加させていただきます。議題6のロナセン錠ですが、これは統合 失調症に対する薬です。大日本住友製薬から開発されたものですが、ドパミンD2受容体、 セロトニン5-HT2受容体の遮断作用が示されているというものです。議論の中で安全性 のことがいくつか問題になりました。類薬で耐糖能異常が出るということでしたが、第III 相試験、長期投与試験では特に有害事象は認められなかったということです。この薬剤に よって錐体外路症状が出ることが知られています。そうすると、アンタゴニストを使う可 能性がありますので、その薬物副作用、相互作用について何か問題はないだろうかという ことで、実際にそういう例について検討し、相互作用はなかったということです。しかし ながらケトコナゾール等については血中濃度が非常に上がるということで、併用禁忌にな っているということです。  議題7のクレキサン皮下注キットですが、これは分子量を平均4,500にした低分子量の ヘパリンですが、低分子量化することによって、第X因子への選択性が高まるというもの です。類薬のフォンダパリヌクスというのがありますが、これはプロタミンで中和するこ とが難しいという欠点がありますが、このクレキサンの場合には中和が50%程度は可能 であるということで、すでに海外では標準的薬剤の一つとして使用されています。今後、 国内ガイドラインによる静脈血栓塞栓症のリスク分類、あるいはさまざまな出血に関する リスク因子等、あるいは投与期間等に関する情報を収集するということです。  議題8のアマージ錠です。片頭痛の薬剤で、セロトニン1B/1D受容体に作用して血管を収 縮させるというものです。血管収縮というと日本人に多い冠攣縮性狭心症の問題がありま す。冠血管のスパズムを誘発して狭心症を悪化させるということがあるので、虚血性心疾 患、あるいはその可能性のある患者、異型狭心症の患者に対しては禁忌となっています。  議題9、チャンピックス錠は禁煙補助剤で、ニコチン受容体の一つ、α4β2受容体の 部分作動薬ということです。安全性が問題になりますが、嘔気、嘔吐等の胃腸障害が出て くるということで、しかしながら開始4週間以内に多く発現すること、あるいは継続投与 で発現が特に増えるということでもないということですので、軽度〜中等度であろうとい うことで、特に問題はないということです。今後、重点的に調査をするということでした。 以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございました。それでは医薬品第二部会長の池田委員からの 追加の御発言はございますでしょうか。 ○池田委員 議題10のネクサバール錠の200mgです。これは腎細胞癌に適応があるもの ですが、この薬はRAFキナーゼ活性阻害作用やVEGFRのリセプターなどの受容型のチロ シンキナーゼ活性の阻害作用によって、腫瘍の増殖が抑制されると考えられている抗悪性 腫瘍剤です。この薬に関しては癌の化学療法に精通した医師が、極めて慎重に使用する必 要がある薬剤であり、製造販売後においては全例調査による有害事象の収集と迅速な情報 提供を行うということにしています。  議題11はグレースビット錠50mgです。シタフロキサシン水和物、抗生物質ですが、こ れはフルオロキノロン系の抗菌薬で、グラム陽性菌及び嫌気性菌に対する抗菌活性の増強 のほか、レボフロキサシンと同様に尿路感染症に対する有効性が得られることなどを目的 として開発された薬剤です。レボフロキサシンなどを対象とした比較臨床試験やその他、 一般臨床試験の成績によって、本剤の有効性は確認されています。安全性についても承認 にかかる大きな問題はないと判断しました。  しかし、呼吸器領域及び耳鼻咽喉科領域の緑膿菌に対する本剤の有効性については、情 報が限られているということから、製造販売後、使用成績調査などで引き続き情報を収集 する必要があるというような議論がありまして、その旨伝えています。また、本剤は臨床 試験において、下痢の発現頻度が対照薬よりも高かったことから、本剤の使用に当たって は、リスク/ベネフィットなどを考慮することが必要で、その旨を添付文書において注意 喚起するということにしています。  議題12、プリジスタ錠300mgです。ダルナビル エタノール付加物、これはHIV薬の 新しいものですが、新しいプロテアーゼ阻害剤で、野生型ヒト免疫不全ウイルス、HIV ウイルス及び現在使用可能な各種プロテアーゼ阻害剤に対する耐性HIV株に対して、優 れた抗ウイルス活性を示すとされており、米国では2006年6月に承認をされています。 海外試験成績によって、日本人におけるHIV感染症に対する本剤の有効性・安全性は期 待できると判断されたものです。本邦において日本人を対象とした臨床試験は、まだ実施 されていないことから、承認条件として製造販売後において、日本人における本剤の有効 性・安全性に関する情報を早急に収集することとしています。以上、3議題について、第 二部会から報告させていただきました。 ○望月分科会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方から御意見、御質問等 はございますでしょうか。 ○神山委員 議題8のアマージ錠2.5mgですが、先ほど副作用のところでも出てきました が、ポンタールとかロキソニン、あるいはここで併用禁忌になっているエルゴタミンとか、 そういう痛み止め的なものは、もらった後、結構家庭の中に残っているものだと思うので す。これが併用禁忌になっているということで、その辺りの注意喚起、併用しないように ときちんと患者に伝わるようにということを、是非お願いしたいと思います。 ○望月分科会長 いかがでしょうか。そういう工夫を施してほしいということですが、事 務局から御意見はございますか。 ○新薬第二部長 総合機構からお答えします。先生の御意見、申請者の方に伝えまして、 医療機関を通じて注意喚起するようにさせていただきたいと思います。 ○望月分科会長 ありがとうございました。ほかには御意見はございますか。 ○伊賀委員 一つは資料6のロナセン錠ですが、これは非常に簡単に書いていただいてい るのですが、海外では承認されていないという記載だけで、これについての説明は特にな かったのですが、これは何かまだ十分な有効性が証明されていない、あるいは特に重篤な 何か問題があって、未だに承認されていないのですか。3ページに簡単に書いてあるので すが、何かそれについての情報があればお願いします。 ○新薬第三部長 医薬品機構からお答えします。この品目は国内で開発されています。海 外では開発の準備をしていますが、海外ではまだ申請をしていないと聞いております。 ○伊賀委員 20□年から臨床試験が行われていると書いてあるので、既に□年ぐらい経過 しています。 ○新薬第三部長 検討はしているそうですが、国内の方が先行しており、まだ海外では申 請承認までいっていないと聞いています。 ○伊賀委員 申請承認はいいですが、臨床試験が行われているから、今お聞きしたので、 特にそういったことについては有効性もまだ分かっていないですか。 ○新薬第三部長 そこについては臨床試験の進捗やマーケティングの問題等、単に有効性 ・安全性だけではない要素も入っているのではないかと推測しています。 ○伊賀委員 資料11のグレースビット錠ですが、これは添付文書の記載について若干疑 問です。腎障害の患者での臨床試験が添付文書の3ページの表に出ているのですが、半減 期が重症で倍以上になっています。ところが添付文書の記載は、1ページの用法・用量の ところでは特に投与量は半減させるとかではなくて、慎重にだけ、考えて投与するように と書いてありますが、これについてはきちんとした臨床の議論をされるときも、その点に ついてはいかがでしたか。通常高齢者とかの場合、用量をかなりきちんと記載しますね。 ○池田委員 ええ、そうですね、議論は確かにあったように記憶していますが、添付文書 について、あまり詳しくは。 ○伊賀委員 だから投与量を2分の1にするとか。明らかに半減期で倍以上ですから。 ○池田委員 そうですね、具体的な指示はなかったように思いますけれども。 ○新薬第一部長 伊賀先生の御指摘は腎機能障害の患者さん。 ○伊賀委員 ええ。 ○新薬第一部長 同じ添付文書の中の3ページの左側で、ここに腎機能障害患者における 薬物動態のパラメータが書いてありますが、これだけではなかなか理解がしにくいという 御指摘でしょうか。 ○伊賀委員 3ページの左側の真ん中に薬物動態パラメータで半減期を見ると、軽度の方 が7.5時間で重症の方は16.3時間と倍以上に半減期が延びています。 ○審査管理課長 先生の御指摘は添付文書の「用法・用量に関連する使用上の注意」の2 番のところと。 ○伊賀委員 そうですね、動態の項を参照と書いてありますね。 ○審査管理課長 動態の項参照としてありますのは、3ページ目の先生御指摘の腎機能障 害患者における薬物動態パラメータと、その下に参考として、腎機能障害患者における用 法・用量の目安という形で出ており、これを全面的に1ページ目に書くというやり方はも ちろんあるのだろうとは思いますが、整理の都合上、こういう形にしたということですが、 いかがでございましょうか。 ○伊賀委員 通常私の理解では、これまでの添付文書でも用量を2分の1にするとか、か なり具体的に用法・用量のところには記載されたりするように、他の例ではあるように思 うのでお聞きしたのですが。 ○審査管理課長 ですから、3ページの御指摘いただいている左側の参考として、腎機能 患者におけるシタフロキサシンの用法・用量の目安として、腎機能を3段階とし、用法・ 用量の目安を体重60kgとして書き、さらにはそこから推定されるパラメータを書いてい るわけでして、そういう意味である面で言いますと、かなり充実した情報はここにあるの だろう。このうちの一部を前に書くかどうかというところの御判断なのだろうと思ってい ますが、薬物動態の項に用法・用量の目安も書かれていますよということを書いた方が、 より親切なのかなと今考えたところですが、いかがですか。 ○伊賀委員 御検討いただければと思います。 ○池田委員 それについては検討させていただいて、しかるべく分かりやすいような格好 でやるということで、議論はありましたので。 ○望月分科会長 ありがとうございました。ほかにはどなたか御意見ございますでしょう か。ほかはよろしいですか。それでは今の点について事務局の方でよろしく対応をお願い いたします。それでは本件については御確認いただいたものといたします。続いて、医療 機器・体外診断薬部会の関係の議題14について、説明をお願いいたします。 ○事務局 お手元の資料14です。2の欄にありますように、販売名はシームデュラ、ネ オシームとなっています。4の欄に形状、構造等の記載がありますが、L-ラクチドとε- カプロラクトンからなる共重合体フィルムの間に、グリコール酸重合体の不織布を挟んだ 3層構造を有する生体内吸収性の人工硬膜となっています。使用目的、効能等については 5の欄にありますが、脳硬膜欠損部の補綴ということです。7、8の欄にありますように、 平成19年9月27日、医療機器・体外診断薬部会において御審議いただき、提出された資 料よりみて、承認して差し支えない、再審査期間を3年とするということで御審議いただ いております。以上でございます。 ○望月分科会長 ありがとうございます。それでは医療機器・体外診断薬部会長の笠貫委 員から追加の御発言等がございますでしょうか。 ○笠貫委員 特にございません。 ○望月分科会長 ありがとうございます。それでは委員の先生方から御意見、御質問等は ございますでしょうか。特にないようですので、本件について御確認いただいたものとし ます。続きまして、生物由来技術部会関係の議題15について説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは議題15、資料No.15について御説明申し上げます。本年11月6日に開 催されました生物由来技術部会において、サノフィ・アベンティス株式会社のNV1FGFに ついて遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性について審議されましたので、御報告させて いただきます。資料No.15にありますように、本剤は血管新生を促進する増殖因子FGF の遺伝子を含むプラスミドベクターを有効成分とする遺伝子治療用医薬品です。本剤は重 症下肢虚血の病態を伴う末梢動脈閉塞性疾患に使用されます。末梢動脈閉塞性疾患では末 梢動脈が狭窄・閉塞することによって、四肢末梢に虚血を来すもので、疼痛、潰瘍などの 症状を起こし、重症化すると下肢を切断しなくてはならない状態になります。このような 疾患に対し、本遺伝子治療薬は虚血箇所の筋肉内に投与し、局所的にFGFを産生させ、 血管新生を促す治療を目的としています。  このような遺伝子治療薬については「遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性の確保に関 する指針」に基づき実施する必要があります。この指針は遺伝子治療用医薬品の品質及び 安全性の確保のために必要な基本的要件を定めたものであり、治験を実施する者は治験開 始前に遺伝子治療用医薬品がこの指針に適合していることの確認を、厚生労働大臣に求め なければならないこととされています。  11月6日の生物由来技術部会では、企業からの申請に基づき指針への適合性を確認し たところです。この結果を踏まえ企業は今後、本剤についての治験を実施する予定です。 以上でございます。 ○望月分科会長 ありがとうございます。それでは部会長の早川委員からは追加の御発言 等はございますでしょうか。 ○早川委員 特にございません。 ○望月分科会長 ありがとうございます。それでは委員の先生方から御意見、御質問等は いかがでしょうか。特にないようですので、本件については御確認いただいたものとしま す。続いて、化粧品・医薬部外品部会の議題16〜18について説明をお願いいたします。 ○事務局 医薬部外品の製造販売承認の可否について、まず御報告をさせていただきま す。資料No.16です。エクセランス クリーム ノワールについてですが、新有効成分の塩 酸ヒドロキシプロピルビス(N-ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン)を配合した染 毛剤、毛染めのクリームです。本件については平成19年9月21日開催の化粧品・医薬部 外品部会において御審議いただき、承認して差し支えないとされ、薬事分科会に報告する こととされたものです。承認後2年間の安全性に関する市販後調査を実施することを条件 としています。  資料No.17、カネボウ ホワイトニング エッセンスSについてです。新有効成分の4-(4 -ヒドロキシフェニル)-2-ブタノールを配合する「メラニンの生成を抑え、しみ、そばか すを防ぐ。」という効能を有する化粧水です。  本件については平成19年9月21日開催の本部会において御審議いただき、効能・効果 のうち「日やけ・雪やけ後のほてり。」を「日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。」に改め た上で、承認して差し支えないとされ、薬事分科会に報告するとされたものです。こちら についても承認後、2年間の安全性に関する市販後調査を実施することが条件となってい ます。  続いて資料No.18、化粧品基準の一部改正について御報告させていただきます。本件につ いては9月21日開催の化粧品・医薬部外品部会において御審議いただいたものです。化 粧品については薬事法第42条第2項の規定に基づき、化粧品基準を定めており、その基 準において配合禁止成分や、配合の制限成分を規定しています。  今般、資料No.18に示しているとおり、化粧品に配合されるグリセリンの純度規定を設 け、さらに化粧品の歯磨きについてはジエチレングリコールの配合を不可とする明確な規 定を設けることとしました。これは外国製歯磨きにジエチレングリコールの混入が確認さ れたこと、及び特に輸入品に対する国民の安心・安全の徹底を図るための措置です。化粧 品・医薬部外品部会において御審議いただきました結果、化粧品基準の一部を改正するこ とについて御了承をいただいています。現在その結果を踏まえ、改正手続を行っていると ころです。以上、化粧品基準の一部改正について御報告をさせていただきました。 ○望月分科会長 ありがとうございました。それでは部会長の溝口委員から追加の御発言 等はございますでしょうか。 ○溝口委員 特にございません。 ○望月分科会長 ありがとうございました。委員の方々からは御意見、御質問はございま すでしょうか。特にないようですので、本件についても御了承いただいたものといたしま す。木津委員、発言お願いいたします。 ○木津委員 いろいろな資料を拝見させていただいていますと、添付文書の(案)の記載形 式がそれぞれ異なっていて、見るときに非常に混乱するのですが、できれば添付文書(案) を現在の基準の添付文書のように記載をしていただけるようなことの指示というのは、難 しいものなのでしょうか。 ○望月分科会長 いかがでしょうか。これについて事務局の方から、審査管理課長お願い いたします。 ○審査管理課長 添付文書については先生御存じのとおり、添付文書の書き方のルールの 通知をしております。今御指摘があるとすれば、それがまだ徹底されていない部分がある のかなと反省をしているところで、我々としても重々気を付けたいと思いますし、申請企 業にもその旨をもう一度改めて申し上げたいと思っています。 ○望月分科会長 よろしいでしょうか。今後の検討事項です。 ○審査管理課長 先ほどの宿題となっているものについて、今しばらく時間をいただきた いと思いますので、その前に、本日机上に配付させていただきました審議参加と寄付金等 に関する申合せの検討状況について、御報告させていただきたいと思いますが、いかがで ございましょうか。 ○望月分科会長 はい、よろしくお願いいたします。 ○事務局 それではお手元の、「審議参加と寄付金等に関する申合せの策定状況(中間報 告)」という4枚紙の資料について御説明させていただきます。本件については前々回6 月29日の薬事分科会でも報告させていただきましたが、3月のタミフルをめぐる一連の 動きを受けて、薬事分科会における審議のさらなる透明性・公正性の確保という観点から、 いわゆる利益相反という問題についてのルールづくりに着手したものです。本日はその中 間報告をさせていただくものです。  現在の状況ですが、最後の4枚目にありますように、暫定ルールとして4月23日の分 科会で御了承いただいた申合せに基づいて対応しているところです。その申合せについて はあくまでも暫定ルールということですので、1枚戻っていただき3ページのメンバーか らなるWGにおいて、これまで合計6回検討を続けてきたわけであります。  1ページ目です。第1回目のWGが6月28日に開催されたところで、その後、第2回 目のWGにおいては関係団体からのヒアリングも行い、第4回のWGを終えた後、1回目 のパブリックコメントを実施しています。その後、パブリックコメントの御意見も踏まえ まして、昨日第6回のWGでまた御議論いただいたところです。  現在の検討状況として2ページでは、1番目に書いてある内容がこれまでの御議論から おおむねこの方向になりそうだというものを箇条書きにしているところです。現行の暫定 ルールからの主な変更点ということですが、まず1番目としては、現在の適用範囲につい ては委員、臨時委員、専門委員となっていますが、その他に参考人を呼んだ場合には参考 人も対象とするという形で拡大しています。  二点目は、現在の経済的利益の申告対象は原則委員等本人という形ですが、これを欧米 等を参考にして、生計を一にする配偶者及び一親等の者も申告の対象とするという形にし ています。  三点目は、暫定ルールにおいてはいわゆる申請品目や当該品目だけが申告対象となって いるわけですが、これも欧米に倣い、いわゆる競合品目、あるいは競合会社からの経済的 利益についても申告対象とするということです。ただ、競合品目もどの範囲にするかとい うことについては、3品目までに絞ってはどうかという形になっているところです。その 3品目については申請者がどれが競合品目・会社なのかということについての資料を提出 し、それについては公開するとともに、部会等の冒頭でその申請内容の妥当性について御 検討いただくという形にしてはどうかというものです。  四点目ですが、真に公平性・透明性の確保という観点から、いわゆる利益相反の関係だ けでなく、現在審議会の議事録でいわゆるマスキングということで暫定的に2年間は委員 名を伏せた形で公開する形になっていますが、この点については議事録公開と同時に発言 者氏名も公開するという方向で検討することになっています。  五点目は、こういった形で作ったルールにおいても、いろいろ時代の流れ、運用してい く中で問題点が出てくるかと思いますので、評価WGを設置し、そもそものルールの運用 状況を評価するとともに改善事項等々について定期的に検討し、必要な場合にはそのルー ルを改めていくという体制をつくることにしています。  そのほか、現在まだ継続的に検討中の内容が三点書いてあります。一つは適用範囲で、 現在の暫定ルール、あるいはこれまで議論していた中で、個別の医薬品等に係る審議のと きだけに限っていいのではないかという形で検討してきているところですが、もう少し広 く一般的な基準の全面改正や一般的な事項も対象に含めるかどうかについて、引き続き検 討をしているということです。  二点目は、組織の取扱いです。所属組織に対する寄付等については、個人との関係が特 定できるものについては申告対象とする形になっているわけですが、そうではない一般的 な寄付について、その取扱いをどうするかということについては、まだ引き続き研究をす ることになっています。  三点目は、このWG、あるいは当分科会で最終的にはまたそのルールについて御議論を いただくわけですが、その審議のあり方です。どういうことかというと、一般的なルール を作るにあたり、そもそも特定の企業からの経済的関係のある者がそういうルールを作っ ていいのかという、いわゆる利益相反そのものではないかという御指摘が片方ではあるわ けです。この点についても引き続き議論しています。  この点については臨床の先生、仮に経済的な関係がある先生だとしても、基本的には高 所大所からの御検討をいただいている、あるいはこのルールそのものが薬事分科会の申合 せ、分科会委員の総意としての申合せ事項であるということなので、その委員も加わった 形で作成するというので問題ないだろう。あるいはルール的には現在あるのは暫定ルール なので、暫定ルールでは個別の審議の場合のルールだけを定めているので、一般的な申合 せのような一般的事項についてのルールは定まっていないので、したがって、参加したま まで検討しても差し支えないのではないかという方向で、結論が出たところです。  そのほか、いわゆる基準そのもの、申合せ事項そのものの内容で特に書いていませんが、 大きな争点としてはいわゆる奨学寄付金の扱いが大きな争点となっています。実は 12月のパブリックコメントを行ったときには、奨学寄付金については現在の暫定ルール ではそれもすべて含めていわゆる500万ルールにしているわけですが、奨学寄付金につい ては情報開示を徹底することを原則として、その限りにおいて上限ルールから外すという 扱いにするというパブリックコメントをしたところです。ただ、これについていろいろな、 パブリックコメントを通じて意見が届いています。  「それはおかしいのではないか」という御意見、あるいは開示の内容が負担が大きいな どいろいろな御意見がきています。現在のところ、昨日のWGにおいては、とりあえず奨 学寄付金と受託研究費、それらについて区別せずに、今の暫定ルールと同じような形で、 また同じような形で合算して上限を定めるというような方向でルールを作ったらどうか ということになっているところです。大きな論点はそのようなところです。  今後については1ページ戻っていただきまして、年明け1月にWGを開催し、改めて行 うパブリックコメントの案を固める予定です。その後、改めて2回目のパブリックコメン トを実施し、3月の薬事分科会で御議論いただき、最終的なルールにしたいと考えている ところです。以上でございます。 ○望月分科会長 ありがとうございました。WGは昨夜も随分遅くまで熱心な議論をして いただき、ここまで進んできているのですが、内容については何か御意見、御質問、ある いは委員の先生、WGのメンバーの方で何か補足の御説明がありましたらお願いいたした いと思います。 ○永井委員 私としては最後の2.(3)でWG、あるいは分科会における審議のあり方を しっかり議論しておく必要があるということをお願いしたいと思います。WGについては 当事者である審査員で、かつ利益相反と言われる可能性のある委員が実際に参加していま す。WGでは当事者も含めて議論するということで問題ないだろうということになりまし たが、この分科会で最終的にこのガイドラインを決めるときにどういう議決の仕方をする のか、当事者は退席した方がいいのか、あるいは審議に参加するのであればこの分科会に おける了承を一応確認していただいた方が、後でこのルール自体が利益相反ではないかと いうことを指摘されないためにも重要だろうと思います。 ○望月分科会長 ありがとうございます。その点についてはどなたか御意見はございます でしょうか。WG自身は先ほどありましたように大所高所に立ってルールを作るというこ とです。あと分科会については出来上がったそういうルール、WGで作ったルールを分科 会として考える。ですからWGが勝手に作ったというものではなくて、分科会全体として 作り上げたものを議決するかどうかでして、個々の先生がそれに対して利益相反に関係す るかどうかは別の話だと私は思うのですが。 ○赤堀委員 3月の分科会ではパブリックコメントは私たちの方に御提示いただけるの ですか。 ○望月分科会長 これはパブリックコメントの結果も含めて御提示いたしたいというこ とで進めております。 ○審査管理課長 今、永井委員から提示された問題を整理してみますと、分科会において も、あるいは今、御議論願っているWGにおいても現行のルールというのは暫定ルールで ある。暫定ルールというのは特定の医薬品の承認の可否、あるいは安全性の可否について を対象としているものですから、そういう意味で申し上げますと、現行のルールからいう と寄付金をいろいろな会社、あるいはいろいろな所からもらっているからといって、この 分科会の申合せの検討に加わらないというのは、現行の暫定ルールではそれは対象にはし ていないということなのです。  一方において永井委員が御発言いただいているのは非常に難しい問題で、今日お配りし た2ページの「2.WGにおける継続検討課題」の(1)適用範囲のところです。これを特 定の事項から一般的な事項まで拡大しようかという議論が交わされているところです。一 般的な事項というのは本日の審議でいうと生理処理用品の基準の廃止、すなわちこれは生 理処理用品を作っている企業が、例えば20社あるとしたら、その20社全部に影響がある というものです。あるいは分科会で御審議いただくものの中に、日本薬局方、今だと千数 百品目が日本薬局方に入っておりまして、これを改定するということになると、すべての 医薬品メーカーに関係しますから、そういう意味で申し上げますと約2,000社が関係する わけです。この2,000社について申告してもらうというのは実務的ではないのであろうと いうようなこともあるわけです。一つの考え方としては最も影響を受けるというような会 社1、2社について、例えば寄付金の受取りの状況を開示するとか、あるいはそれをまた 500万ルールにかけるとかというようなことも議論していただいているわけです。その一 つの類型として、この申合せを審議する際にどのようなルールを当てはめるかということ が永井委員から提起されているのだろうと思います。  我々の整理としては今議論する、あるいは次の3月の分科会において議論するのは現行 の暫定ルールからして、全く問題ないわけですが、仮に次に議論する際に新しいルールと して一般的事項まで入れたときに、その申合せについてはどうやって議論するのかなとい うところが永井委員から議論されているところで、これはなかなか難しい。と申しますの も、日本薬局方で最も影響を受けると言えば、売上げの大きい例えばタケダとアステラス ということになるのだと思いますが、タケダとアステラス2社からの研究費、あるいは寄 付金の受領状況を開示してもそれほど利益相反をクリアしたということになるのかなら ないのか、難しいところなのだろうと思います。そういう意味でなかなか難しい問題をは らんでいるということだと私は考えています。 ○望月分科会長 ありがとうございました。難しいという結論ではないかと思います。ほ かの先生方、いかがでしょうか。一般的事項とは言っても、今度の場合のこのルールにつ いては違うかなという気がするのですが、それを何かうまく表現することができないで困 っているのです。あとは何か御意見はございますか。議決の方法以外については特にこの まま進めてよいと理解してよろしいでしょうか。では議決についてはもう一度、最終的に 3月の分科会に出すときに改めて提案させていただくことになるかと思います。 ○神山委員 実はこの問題はWGが始まったときに、WGのメンバーの利益相反をどうす るのだというような意見書が出てきたというところから始まっているのだと思うのです が、もうそのときにはWGができて始まっているわけです。そこでクリアしておけば、あ と一切何もなかったと思うのですが、とにかくその問題をしないでずっとWGをやってき て、最終的に案を作るときに永井委員や笠貫委員が、そういう自分たちの立場でここに参 加しているのはどうするのだ、というお話になったものですから、もう迷路に入り込んだ ようになってしまって、どうにも解決しようがなくなったのだと思うのです。しかし、や はり一応暫定的な申合せをここでやっていて、WGが始まったときにその暫定ルールより も後退はしないようにしよう。アメリカやEUのルールより後退はしないようにしようと いうことをWGでみんなで合意して始めたことなのです。今度できてくる申合せが誰に影 響するかというと、全製薬メーカーとすべての医学研究者や薬学研究者でしょう。そうな ると、ここでの議決は成り立たないのではないかと思うのです。  それこそ薬や医療に関係ない人間しか議決に参加できないといったら、議決数に足りな くなってしまうので、それはもう不可能ということですから、その問題をここで議論して、 大丈夫だということにしたというような議論の議事録を残しておく以外に解決方法はな いのではないかと感じています。 ○望月分科会長 確かにWGの一番最初にそういう話が出まして、そのときには大所高所 から一般的なルールを作り上げるということであるので、利益相反には引っかからないと いうような話をして、スタートしたと思うのです。ですから、また分科会に戻したときも 同じような考えでいくのが適切かと思いますので、そこで利益相反にかかわる先生が、議 決に入る、入らないというのは、何か別の問題のような気がするのですが、ちょっと単純 すぎるのでしょうか。  そういうことでその点についてもう少し時間をいただいて、WGで検討すると言っては いけないのですが、この分科会の冒頭でまた提案させていただくことにしたいと思いま す。他にはこの点についていかがでしょうか。それでは現在の進め方については御承認い ただいたということで、さらにこれを進めていきたいと思いますので、よろしくお願いい たします。では、先ほどの宿題は、いかがでしょうか。 ○事務局 それでは判定の資料No.5の4ページ、11番の事例についての詳細と判定につ いて御報告させていただきます。まず簡単な事例紹介です。本事例については81歳女性 の方で、平成12年ころから変形性膝関節症を患っており、鎮痛剤を飲んでおりましたが、 その後圧迫骨折等によりアルファロール、またエルシトニン、アクトネル等の投与が順次 なされました。平成18年になりまして、食欲低下が認められて、医薬品を中止しました。 医薬品を中止したのは平成18年2月8日です。2月11日に体調不良から救急外来を受診 したところ、急性腎不全との診断を受けられ、持続的血液濾過透析を施行されています。 翌日に大量の吐下血があり、出血性ショックとなられています。その時点で胃内視鏡検査 において消化管粘膜障害と診断されています。その症状については人工呼吸管理により一 時的に全身状態は改善されたが、2月26日になり、再度の大量下血後、心肺停止をきた し死亡された事例です。  本事例においては診断書の記載より、剖検所見から広範囲に胃潰瘍出血があり、小腸、 特に回腸から大腸粘膜が広範囲に消失、びらん出血あり。腎の腫脹、腎壊死、高度に障害 されていると記載されています。また、主治医は急性腎不全と出血性消化管出血について は非ステロイド性抗炎症剤によるものが多く報告されているので、こちらによるものでは ないかというコメント。また死亡の原因については、消化管出血による死亡診断書が提出 されています。それらの資料によりまして、判定については医薬品によるものである可能 性があるということで、消化管出血、腎不全についても添付文書の重要な副作用に記載の あるものについて、当時服用していた薬について、すべて原因薬と挙げて、死亡について は主治医の診断どおり消化管出血により死亡ということで、このような判定にさせていた だいています。以上でございます。 ○望月分科会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。 ○望月(眞)委員 私が分からなかったのは、[1]と[2]の関係です。同一医療機関で[1]が投与 されていて、入院後[2]になったということなのでしょうか。そこを知りたかったのですが。 ○事務局 そもそも変形性膝関節症においてクリノリルと原因薬になっているアルファ ロールとアクトネルについては、この資料の[1]、[2]というのが別の時期に起こったように 読めるのですが、これは同時に起こっていると。この時点で腎不全と消化管出血が起こっ ているので、その時点で飲まれていた薬で、添付文書の記載によって原因薬を振り分ける ということがあるものですから、それによって消化管出血についてはクリノリルとロキソ プロフェン、両方とも消化管出血と腎不全の原因薬になるのですが、アクトネルについて は消化管出血の原因にはなるのですが、添付文書の「重大な副作用」のところに急性腎不 全の記載がないものですから、そちらは原因薬から外されて、代わりにアルファロールに ついては添付文書に急性腎不全という記載がありますので、こちらが原因薬に入ってきた と。この時点ではこれらの薬はすべて服用していたという事実でございます。 ○望月分科会長 ありがとうございました。それではほかに何かございますでしょうか。 ○溝口委員 この文書報告一覧の資料についてでもよろしいですか。資料102のタリムス 点眼液のことなのですが、御存じのようにタクロリムス軟膏の方は8年前成人に、4年前 に小児に承認されております。ここにない資料で申し訳ないのですが、軟膏の添付文書に は、皮膚以外の部位、粘膜等及び外陰部には使用しないことと書かれています。実際に欧 米ではタクロリムスが粘膜の疾患に非常に有効であるとの報告がありますので、今回この 102番のように、粘膜に覆われた眼にこの点眼薬が認められたというのは非常に結構なこ とだと思います。  それでお願いしたいのですが、軟膏の添付文書には、眼の周囲に使用する場合は眼に入 らないように注意すること。万一眼に入った場合には刺激感を認めることがあるので、た だちに水で洗い流すこと。また、洗い流した後も刺激感が持続する場合は医療機関を受診 し、治療を受けるように指導することと書かれています。ここまで書いてしまいますと、 実際にどうなりますかというと、眼の周りのアトピー性皮膚炎の病変にはほとんどタクロ リムス軟膏が使われませんで、ステロイドばかりを使いますので、ステロイドの副作用が 眼の周りに出ている患者がたくさんいます。  このタリムス点眼液のほうは使用後にこういう刺激感が高頻度に認められるので、その 旨を患者に説明することとは書いてあるのですが、洗い流すこととか、そういうことは書 いてありません。もちろん点眼薬と皮膚の外用薬では基剤が違いますので、入れないよう に注意することは必要ですが、ここの軟膏の添付文書をもう少し使いやすいように今後改 定していただきたいと思います。この点眼薬が出たのを機会に、眼に入ってもそんなに危 険がないことが分かったわけですので、もう少し使いやすいように改定していただける と、非常にアトピー性皮膚炎の患者のためになると思いますので、今後検討していただき たいと思います。 ○望月分科会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。 ○審査管理課長 先生御指摘のとおり、どのような基剤が使われているのかということも 調べてみまして、また企業とも相談をし、不必要なことを注意していただく必要は、また それもないわけです。そういう意味で検討させていただきたいと思います。ありがとうご ざいました。 ○望月分科会長 ほかにはどなたかございますか。それでは次の薬事分科会は3月を予定 しています。先生方には改めて御連絡を申し上げますので、よろしくお願いいたします。 本年はタミフルであるとか、リタリンであるとか、いくつかの問題はありましたが、国民 のためによりよい薬を早く出すという精神に則って、本年も無事にここまできたかと思い ます。利益相反の問題については来年まで持ち越しますが、これも来年の3月にはきちん としたものができて、それに沿って進めるかと思いますので、どうぞ来年もよろしくお願 いいたします。それでは本日の薬事分科会をこれで閉会させていただきます。どうもあり がとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714)