07/12/26 医療サービスの質の向上等のためのレセプト情報等の活用に関する検討会 第4回議事録 第4回医療サービスの質の向上等のためのレセプト情報等の活用に関する検討会            開催日:平成19年12月26日(水)            場 所:経済産業省別館1028号室 ○開原座長   まだおそろいでない方もいらっしゃるのですが、定刻でございます。  そのうちいらっしゃると思いますので始めたいと思います。第4回「医療サービスの 質の向上等のためのレセプト情報等の活用に関する検討会」をただいまから開会させて いただきます。本日の検討会のメンバーにつきましては、尾崎委員が御欠席ということ でございますので、あとお二方いらっしゃれば総勢18名ということになります。  それでは、議題に入りたいと思いますが、本日はマイクの都合で皆様の前にマイクが ないそうでございますので、御発言になるときはマイクが届けられるそうです。しばし 待ってマイクが来てから御発言いただければと思います。  それではまず、事務局の方から資料の御確認をお願いいたします。 ○藤澤室長   今回は、資料1、2と、資料2の後に参考資料をお付けしております。資料1は2枚 で資料2は3枚あります。それから1枚だけ参考資料ということで、資料2に付く参考 資料でございます。もし何か不足等ありましたらおっしゃってください。 ○開原座長   よろしいでしょうか。本日は、今までいろいろと議論を積み重ねてまいりましたので、 その論点の整理ということが一番のメーンでございますけれども、その前に岡本委員か ら、前回の検討会で少し御紹介がありましたけれども、レセプトデータと健診データの 突合分析に関して、資料に基づいて補足的に御説明をいただくということでございます ので、まず岡本委員から報告をお願いしまして、その上で今度は、論点の整理というと ころに移りたいと思います。それでは最初に岡本委員どうぞよろしくお願いいたします。 ○岡本委員   国立保健医療科学院の岡本です。それでは資料を中心に説明していきたいと思います が、配布資料のページの順番が逆になっておりまして、最初に2ページの方から見てく ださい。  これは某市となっていますが大阪府の東大阪市です。私は以前そこで保健所の基本健 康診査に10年以上従事しました。そこで健診の診察、判定、指導までやっていたのです けれども、それだけではなく、東大阪市は政令市ということもありまして保健所と国保 のレセプトを両方とも持っていましたので、受診者の「要医療」、あるいは「異常なし」 という判定をした後に、どのように受療しているのか,つまり「要医療」とされて、そ れが見事的中して病気の治療に結びついたのか,あるいは結果的に空振りだったのか, あるいはまた「異常なし」としているけれども不安になって受診したり、いわゆる掘り 起こしみたいなものがなかったか,そういったことをレセプトと突合して分析していま した。  2ページ目の左側のところを見ていただきたいのですけれども、下のところに「健診 カルテとレセプトの突合作業の流れ」というフローチャートがあります。基本健康診査 は40歳以上の市民が対象であり、市国保の加入者だけに限らず40歳以上の人はだれで も対象になるわけです。  そのうちの国保の加入者については、医療機関を受診するとレセプトが連合会を通じ て市に送られてくる。だから、そのレセプトと健診カルテを照合することによって、私 の判定により「あなたは要医療です」つまり「受診してください」と言った人と「あな たは異常ないですから心配要りませんよ」と言った人が、どのように行動したのかが把 握できたわけです。  もちろん保健所におきましても、保健師さんが,特に重要な放ってはおけないような 人に関しては電話するとか、あるいは指導のときに個別に指導するということはしてい ましたけれども、医療機関を受診した後で具体的にどのような治療が行われたのか、と なってくると、やはり本人からの聞き取りだけではどうしても限界があります。  例えば、最初の93年から94年度に関しては、私がやった6回分の受診者数は366人 です。その全員が国保の加入者というわけではありませんで、そのうち市の国保の加入 者は58.2%、213人でした。それ以外の社保の人に関してはレセプトとの突合作業はで きなかったのですけれども、213人については健診カルテとその後3カ月間の外来レセ プトを突合することによって、自分の判定が結果的にどうなったのか追跡できました。  右側の上のところに判定結果の分類を書いていますけれども、全項目全く異常なしの 人が受診した形跡がなければ、それはいいわけです。「要医療」とされて、かつ受診した というのは「適合」です。逆に、私が「要医療」と判定したけれども全然医者にかかっ ていない。こういう放置例は「不適合」です。また「異常なし」あるいは「要指導」つ まり「受診する必要はない」という判定だったのに、不安にかられて受診したり、そう いうのは「掘り起こし」のケースです。それぞれの割合を出してみました。  まずわかったことは、健診の医師が「要医療」と判定しても、61人中38人、大体3 分の2ぐらいが放置しているという事実です。逆に「別にこれは心配ないよ」という判 定だったのに、不安がらせてしまったのか、それを契機に受診したというケースも若干 ありました。こういう「掘り起こし」は、たとえば心電図の区分のところに「異常なし」 「要医療」のほかに「異常はあるが医療は不要」という区分がありまして、こういうあ いまいな判定を通知すると、一体どこが悪いのか?放っておいていいのかどうかわから ないから受診するというケースも結構ある,ことがわかりました。  次に1ページに戻っていただきたいのですけれども、これは同じ市の続きの作業であ り、翌年の日本公衆衛生学会に発表した内容で、今度は単に受療状況だけでなく、保健 指導よる医療費への影響も見てみようと分析してみました。  対象者も広げまして、私自身が担当した受診者だけではなくほかの医師が担当したも のも含めて96年度の集団検診の受診者が2,230人この市ではあったわけですけれども、 そのうち要医療かつ市の国保に加入している人を対象にしました。老人レセプトは突合 できなかったので、一般と退職被保険者189人について分析した結果です。  ここでも特に問題なのは「要医療」でありながら医療機関で受診した形跡がない、つ まり放置例が66人ありました。率でいうと34.9%でした。一番上の見出しのところに は「放置例が3分の2」となっていますね。先ほども私は3分の2は放置している、と 言いましたけれども、これで見ると3分の1しかないような感じがするでしょうから理 由説明します。この市では、現在既に医療機関にかかっている、現に受診中であるとい う人も「要医療」という判定の中に入れており、それが189人中86人もおりましたから、 健診で病気が発見される可能性のある人は正味103人しかいなかったわけです。その103 人の中ではちょうど3人のうち2人ぐらいが「要医療」とされながら放置しているとい うわけです。  次に受療状況が「適合」及び「掘り起こし」と判定された37例について、健診によっ て直接増加した医療費の額をレセプトの実物を見ながら算出してみました。「要医療」と 判定されて、医療機関で受診した26例の医療費の総額が7万4,694点。このほかに特に 重篤と思われた3例の医療費総額はかなり金額が高くて、19万点余りとなっておりまし た。  この「特に重篤」という3人がどういう患者だったかの説明は、皆さんの資料には入 っておりませんが、市の報告書には具体例を載せています。そのうちの1人、45歳の女 性の方は、健診の検査結果がGPT2,365、GOT3,895で明らかに肝炎を発症している という状態で、健診結果が受診者に通知されるのは私が判定してから大体1週間か10 日ぐらい後ですけれども、これは郵便で通知しているどころでない、ということで即電 話したところ、やはり「体の調子が悪い」ということで「すぐに医者にかかってくださ い」と伝えました。後でレセプトをチェックしましたら、私が電話した直後に初診して おり、レセプト病名は当然ながら急性肝炎でした。2人目は59歳男性で、既に健診の日 に片目の視力が低下しており、眼底をとってみますと、これも「要医療」という眼科医 の判定であった。後でこの男性のレセプトを見てみますと、網膜剥離ということで入院、 手術していました。こういうケースでこれだけの金額がかかったわけですが、これらは いずれも早期発見で、非常に有効に医療費が活用された例だろうと言えます。  逆に「要医療」と判定したケースで、一回受診したけれども、結局大して治療は行わ れていないようで空振りだったというケースもありましたが、それは5,368点で、大し た額ではなかった。逆に「異常なし」とか「要指導」としか判定されなかった、つまり 「受診する必要はないですよ」と言ったけれども、独自に「これは不安だ」ということ で受診した掘り起こしの例が4例ほどありまして、これは見ようによってはむだになっ たわけですけれども、むだの額というのは4,405点でそれほど大した額ではなかった。  結論としては、この2〜3年にわたる私の経験から言えることは、健康診査というこ とをやってその判定を通知しても必ずしも受診者のコンプライアンスといいますか、言 われたとおりに行動するかというと、必ずしもそのコンプライアンスは高くない。大体 荒っぽく言って「要医療」だと通知を受けても、3人に2人ぐらいはそれを放置してい るという点が、私が10年前試みたレセプトとの突合で初めて明らかになったわけです。  そういう意味で、来年から始まる特定健診や保健指導を有効にするためにも、単に健 診をやりっ放しにするだけではなくて、保険者はレセプトと突合して、その受療状況を 的確に把握することは非常に意義がある。以上です。 ○開原座長   どうもありがとうございました。これから始まる事業のミニモデルみたいな感じの御 研究であったということでございますけれども、何か御質問かコメントがございますか。 よろしゅうございますか。それでは岡本委員からの御発言は以上ということにいたしま して、本題の方へ移らせていただきたいと思います。  本日の本題は、資料が出ておりますけれども、その資料が論点整理になっております ので、これに基づいてこれから議論をしていただきたいということでございます。それ では事務局の方からこの論点整理について御説明をお願いいたします。そんなに長くな いものでございますので、まとめて御説明いただきたいと思います。どうぞよろしく。 ○藤澤室長   資料2について御説明させていただきます。これまで私ども事務局から御説明させて いただいた事項ですとか、あるいはこれまで3回やらせていただいた検討会において、 委員の方々から御指摘、御意見いただきました事項について、箇条書きでまとめてみた つもりでございます。大きな項目が5つになっております。1番2番が現状についてと いうことで、これは断定的に書いてございますが、3番4番5番が具体的な論点に入る かと思っております。  まず、1番と2番について御説明させていただきます。これまでの検討会でも何回か 御説明したこともかなり含まれておりますので、御了承ください。  まず、1番目といたしまして、医療保険・保健施策の現状です。当項目には3つ丸を あげておりますが、最初の丸です。医療費のマクロ分析は全数で行っております。しか し、かなり大きなくくりでの分析になっておりまして、今回、高齢者医療確保法に基づ いて実施したいと思っております具体的な疾病別とか診療内容別といった分析をするた めのデータは現在、収集していないのでできませんということを最初に書いております。  次の丸でございますが、そのために、今回改めてやりたいと思っております疾病別と か診療内容別の調査というのは、現在は、抽出調査であります社会医療診療行為別調査 などで把握しております。抽出調査であるために結果として推計という形で使っており ますし、抽出率のこともありまして、詳細な、例えば都道府県別という切り口での分析 がなかなかできないというのが現状です。  それから、最後の丸でございますが、例えば、生活習慣病の有病者数などについても、 3年なり5年に1回という形でやっている抽出調査で、結果として推計という形で使っ ているという現状がございます。  2番目が、「レセプトデータ等の収集・分析に関する状況」ということで、これも今ま での検討会でも何度か申し上げてまいりましたが、レセプトにつきましては、既に電子 化されているものがレセプト請求件数ベースで約4割になっております。  次の丸ですが、特定健診それから特定保健指導の仕組みにつきましては、来年度から 制度がスタートするわけですが、そのスタート当初から電子的にデータをやりとりする 予定になっております。  それから、高齢者医療確保法第16条に基づいて国が医療費適正化計画の作成、実施、 評価に資するために、保険者から提出いただく情報の調査・分析を行うというのが法令 上の規定になっているということをあげております。  以上を前提に3番以降の論点になります。3番が「レセプトデータ等の収集・分析に 当たっての主な論点」ということでございますが、具体的には前回こちらからいろいろ 御提案し、また御議論いただいたところでもあります。  最初の丸ですが、国が高齢者医療確保法第16条に基づき調査・分析する情報としては、 より正確な分析を行うためには、すべてのレセプトデータ、それからすべての特定健診 及び特定保健指導データが必要ではないかということ。それから、各保険者におきまし ても、それぞれデータが収集されるわけですが、その保険者ごとに集まっているデータ というのは、当然その保険者が抱えている被保険者の集団の特徴を反映したデータとな っておりますので、日本全体の施策のあり方というのを検討する上では、すべての対象 者のデータから分析を行う必要がある。つまりすべての対象者のデータを収集する必要 があるのではないかということを書いてございます。  次の丸でございますが、レセプトデータ、特定健診データ、特定保健指導データ、そ れぞれ病名など非常に慎重に扱うべき情報が含まれているということは言うまでもござ いませんし、高齢者医療確保法第16条に基づく医療費適正化計画の作成、実施、評価に 必要な調査・分析は何かということを考えると、特定の識別された患者、あるいは特定 健診の受診者、あるいは特定保健指導の利用者、そういう特定の個人の方を識別した上 で分析するということは必要ないと思っておりますので、患者、受診者それから利用者 それぞれについては特定の個人が識別できないように、あらかじめ収集時には患者、受 診者、利用者の氏名など個人情報は削除する必要があるのではないかということです。  それから3番目の丸でございますが、今申し上げましたように、特定の患者等の識別 は不要でありますが、いろいろ国で講じる生活習慣病対策などによって、どういう効果 が現れたかということを評価するためには、一定の技術を利用した上で、同一個人の時 系列分析をすることが必要ではないかということを書いてございます。  2ページ目の最初の丸でございますが、患者、受診者、利用者の個人情報は収集しな いということを先ほど申し上げましたが、その場合であっても、残った情報の中に病名 等が入ってございますので慎重に扱うべき情報が含まれています。そのデータを国が収 集するに当たっては、その収集・分析によって得られるメリットと逆にデメリットがあ るとすれば、そのデメリットと比較した場合にメリットが上回っている必要があるので はないか。これは以前より御指摘いただいているところでございます。  それから次の丸でございます。それに関連しまして、そのメリットについて書いたも のでございます。3の最初の丸のところで書きましたように、すべてのレセプトデータ、 それからすべての特定健診等データを収集することによって、次のアスタリスクで書い たような分析も含めた活用が可能になります。そうしますと、正確なエビデンスに基づ いた効果的、効率的な施策が実施でき、医療サービスの質の向上を図れるのではないか ということです。  最初のアスタリスクは、すべてのレセプトデータを用いることによって詳細な分析が できる。医療費の実態をより完全かつ正確に把握できる。  次のアスタリスクが、同じ人物を時系列に分析していくことによって、例えば、特定 健診等データであればそれを経年分析することによって、生活習慣病有病者や予備群で あれば、生活習慣病対策によってどういうふうに発症したか、あるいは発症しなかった か、どういうふうに重症化していったか、あるいはしなかったかというような、いろい ろな効果というものを当然見ることができるということで、最後のアスタリスクは、さ らにレセプトと特定健診等データを突合することによって、生活習慣病に関してこうし た対策が医療費にどう影響を及ぼしたかということについても見ることができるという ことでございます。  それから、デメリットや御不安についてもこの検討会で御指摘いただいているところ ですが、最後の丸になりますが、レセプトデータ、特定健診等データを保管する際、あ るいは利用する際には、当然情報漏洩等がないように十分なセキュリティ対策を講じる 必要があると思っており、その旨を書いてございます。  それから大きな項目の4番でございます。これは、国が行います分析内容に関する基 本的な考え方をまとめたものです。最初の丸は、先ほど2番の最後の丸で申し上げたこ とと同じでございますが、高齢者医療確保法第16条に基づいて収集されたレセプトデー タ、特定健診等データを用いて医療費適正化計画の作成、実施、評価に資する分析を行 います。  それから次の丸ですが、高齢者医療確保法第16条に基づいた分析以外にも、医療サー ビスの質の向上を目指して正確なエビデンスに基づく施策を推進するためには、場合に よって、必要性なり緊急性があれば、そのデータを活用するという場面もあるのではな いか。  そういうことをやる場合も必要ではないかということを書いてございます。ただ、その ような活用をする場合にも、もともとは高齢者医療確保法第16条の調査・分析のために 集めるデータでございますので、本当にそれ以外の分析をする必要性があるのか、緊急 性があるのかということについては、国は説明をし、対外的に明確にする仕組みが必要 ではないかと書いてございます。  それから最後の丸は、前回3人の委員の方々から御報告、御説明いただいた部分でご ざいます。そもそもレセプトは診療報酬あるいは調剤報酬の明細書でございますので、 そういう位置づけで実際にいろいろな様式なり内容が決められているわけで、現行のレ セプトデータにおいては、分析できる内容は場合によって限定されることもあるという ことには十分留意する必要があるのではないかということを、前回の御説明、御意見を 踏まえて書いております。  最後5番でございますが「国以外の主体によるレセプトデータ等の活用のあり方」と いうことで、ここでは丸を4つ書いてありますが、最初の丸は都道府県についてです。 そこで資料2と別に、参考資料で1枚だけ条文を抜粋したものをお付けしているので、 まずそちらを御覧いただければと思います。  高齢者医療確保法第15条と第16条を載せておりますが、今までずっと第16条のこと をいろいろ御説明させていただきましたが、その前に第15条というのがございまして、 厚生労働大臣または都道府県知事は、高齢者医療確保法第11条の評価、それから高齢者 医療確保法第12条の評価を行うために必要があると認めるときは、保険者、医療機関そ の他の関係者に対し、必要な資料の提出に関し協力を求めることができるとあります。  高齢者医療確保法第11条や第12条の条文までお付けしていなくて申しわけないので すけれども、第11条は医療費適正化計画の中間評価について書かれています。中間評価 というのは、医療費適正化計画は5年間の計画ですので、その真ん中の3年目に行う評 価です。それから第12条で書かれているのは最終評価、実績評価のことで、5年の計画 期間の最終年度の翌年度に全体のそれまでの計画についての実績を評価するものです。  以上のような条文がございまして、そうすると高齢者医療確保法第15条は、都道府県 について考えてみますと、都道府県知事は、そういう中間評価とか最終評価を行うため に必要があると認めるときは、保険者、医療機関、それからその他の関係者ということ で国に対しても、必要な資料の提出に関して協力を求められるという条文でございます。  今、説明させていただいたことを前提にお聞きいただきたいのですが、5番の論点整 理の最初の丸は、都道府県は、高齢者医療確保法第15条に基づいて、その都道府県の医 療費適正化計画の評価に必要があるという場合には、国に対して必要な資料の提出に関 し協力を求めることができるということです。ただ、高齢者医療確保法第16条を御覧い ただければおわかりになるように、国が国自身の医療費適正化計画のみならず都道府県 の医療費適正化計画に関しても、それに資する調査・分析を行いますので、基本は、国 が都道府県分も含めて全部調査・分析します。ですけれども、ここで書いているのは、 都道府県によっては独自にこういう分析をしたいとか、括弧のところに書いてあります ように、国が一律にやる調査・分析結果では不足している、追加的に何か新たな切り口 で集計が必要だというケースがあった場合、この第15条が活用できるということになり ます。  ですから、丸の後段に書いてありますように、都道府県からの求めに応じて、国が、 収集したデータを都道府県に提供する場合には、その都道府県において追加的にデータ の必要性があるのかどうかをはじめ、利用目的とか利用範囲なども事前にきちんと明ら かにしておく必要があるのではないかということを書いております。  次の丸は、都道府県と別の観点での第三者利用に関してでございます。もう少し下を 見ていただくと、参考のところに、諸外国等におけるレセプトデータの収集・分析事例 ということで、簡単に2つだけ丸をつけておりますが、2回目の検討会で諸外国の事例 等に詳しい先生方に御説明をいただいた部分を簡単に記させていただきました。  アメリカ、韓国、フランスについて御紹介いただきましたが、いずれもデータを管理 している主体、アメリカであれば国、韓国であれば健康保険審査評価院、フランスでは 保険者だったと思いますが、そういうデータの管理主体自身が当然分析をするのですが、 そのほかに公衆衛生等のいわゆる研究者が、レセプトデータを分析することで、結果と して医療サービスの質の向上に結びつけているという紹介があったかと思います。  そういう御紹介もあったのでそれも踏まえて、5番でいうと上から2番目の丸につい て書いております。例えば、研究者等が、国が収集したレセプトデータ、特定健診等デ ータの提供を受けて学術的な研究を行い、国においてその成果を活用するということも、 今回高齢者医療確保法第16条に基づいて、私どもが最終的に目標としているエビデンス に基づいた施策、それから医療サービスの質の向上につながることもあり得ると思って いまして、そういう意味で有用ではないかと書いてございます。  次の丸ですが、ただその場合であっても、収集データには患者等の個人情報は入って いないのですけれども、病名等慎重に扱うべきデータが含まれているので、研究者等に 対してデータを提供する場合であっても、その研究目的、研究計画、どういう内容でど ういう形で分析するのかといった分析方法などについても詳細に評価した上で、日本の 科学的な研究の進歩とか医療サービスの質の向上につながるのかどうかというところを きちんと見て、限定していく必要があるのではないかと書いております。  それから、そういう形で提供する場合であっても、その提供するデータの内容につい ては、国が収集したデータそのままということでは必ずしもなく、もしそのままという ことであれば当然病名はそのままつきますし、患者の個人名は入っていないのですけれ ども、技術を活用して、前回はハッシュ関数ということを御説明申し上げましたけれど も、何らかの形で同じ人物に同じIDがつくような形になりますので、そういうIDが そのままついているとか、医療機関コードがついているということになりますので、第 三者に提供する際には、そういうものを削除するとか何らかの形で加工するといった対 応も必要な場合があるのではないかということをここで書いております。  5番の最後の丸は、この検討会でも何人かの委員の方々から御指摘いただいたところ でありますが、国の施策に活用することを前提とすると、公益性という観点から営利企 業への提供は認めるべきではないのではないか。また、対象者を限定した場合、例えば 研究者に限るとした場合であっても、その研究者に渡したデータが結果的にもともとの 提供対象者でない方にそのまま渡ってしまい、その方がそのまま利用してしまうことが ないように、データを提供する際には、提供対象者がどのようにデータを使用するか、 その使用方法等を限定しておく必要があるのではないかという御意見を載せております。 以上でございます。 ○開原座長   どうもありがとうございました。ただいま論点の整理を御説明いただいたわけですが、 本日はこれを、さらにいろいろ御意見をいただいてできるだけ最後のまとめの文章に近 いところまで少しずつ持っていければいいなと思っております。いろいろお話をいただ いたものが大体論点としては含まれているのではないかと思います。ただ、いろいろな 部分がありますから、一度にするとあっちへ飛んだりこっちへ飛んだりいたしますので、 できれば最初から1、2というふうに分けて議論をしていきたいと思います。もちろん 途中で戻っていただいても結構でございます。  それでは、まず、1の「医療保険・保健施策の現状」について、これは現状認識であ りますので、それほど大きな論点を含んでいるということではありませんが、もう少し こういう現状認識を加えた方がいいとか、この認識は間違っているとか、何かございま したら御意見いただければと思いますが、いかがでございましょうか。  よろしいですか。それではまたもとに戻っていただいても結構ですが、今度は、2番 目として「レセプトデータ等の収集・分析に関する状況」でございます。これも論点と いうよりは現在どうなっているかということですが、いかがでございますか。どうぞ、 橋本委員。 ○橋本委員   ここに入れるかどうかわからないのですが、前回、井原先生及び健保連の委員などか ら御報告があった現行のレセプトの問題点みたいなものはどこに入れておくかというこ とについて、御意見をいただければと思います。 ○開原座長   これは後ろの方に入っていたと思いますが。 ○藤澤室長   4の最後の丸のところで書いたつもりでございます。なお、レセプトは請求明細書と いうことで作っていただいているものなので、今のレセプトデータにおいては、分析で きる内容が限定される場合もあることに留意する必要があるという記述にしています。 ○橋本委員   ただ今の表現で井原先生、稲垣先生方の意図が伝わるかどうかについて、御意見をい ただいた方がいいのかもしれません。では、これは後ほど4番の議論のときに御意見を 求めたいと思います。 ○開原座長   今でももちろん結構ですが、井原先生、これでどうですか。 ○井原委員   私の前回の説明は、レセプトの様式自体に対する問題点をことさら強調したつもりは 正直言ってございませんので。  医科点数表というのは、皆さん御存知のように何十年にわたって積み重ねてきた歴史 上の経過がございます。レセプト様式もそれに対応してやってこられた。その現状があ りますので、「現状のままですとこういう問題点があります。」という意図でお話しした ということです。  ですから私は、この分析を始めてみれば、そこの壁には一部ぶつかる点はあるでしょ うから、そこでの約束事といいますか、医科点数表自体も多くの約束事で決まっていま すし、レセプトの記載要領というのもまた約束事で規定されているものですから、そこ から分析する場合、そこに一定のルールなり、そこでうまくいかない場合には何らかの 工夫なり、そういうことを加えていかなければならないだろうと思っています。要する にすべて研究データは、どういう母集団からどういうデータを集めたかということが明 確に規定されていないと偏った分析になってしまうので、うまくないだろうという趣旨 でしたので、ここに入らなくても、むしろ4番の基本的な考え方というところに入って いますので、私はそちらでもよろしいかと受け取りました。 ○稲垣(恵)委員   次の3番のところにも書いてございますが、やはり今回、より詳細な分析あるいは全 数を集めた正確な分析というのを求めれば求めるほど、現状の私どもにとってはいろい ろな課題が非常に気になってまいります。前回お話しした後で、この検討会はそれを検 討する場ではないということでコメントをいただいておりますので、これ以上言うつも りはございませんが、我々の気持ちとしては、単に留意ということではなくて、これを まず出発点として第一歩を進めるに当たって、引き続き、検討すべき課題として御認識 いただきたいと思っております。 ○開原座長   ありがとうございました。はいどうぞ、もうお一方の稲垣委員。 ○稲垣(明)委員   歯科医師会の稲垣でございます。問題点ということですが、レセプトデータ自体が診 療行為に対する医療費の支払いという形のデータでございますので、いわゆる病名に対 する診療内容というデータではないので、やはりそこにおのずから限界があると私はと らえております。 ○開原座長   どうもありがとうございました。ただいまの御意見は全部記録にとどめまして、後で また論点を再整理するときに使わせていただきたいと思いますので、どうぞ御自由に御 発言いただければと思います。  2についてはよろしゅうございますでしょうか。それでは、いよいよ3以降は、本当 の意味での論点になってまいりますが、「レセプトデータ等の収集・分析に当たっての主 な論点」というところでございますが、収集・分析することそのものがどうかという問 題がここに含まれておりますので、どうぞ何でも御自由に御発言いただきたく思います。 どうぞ廣松委員。 ○廣松委員   最初の2回を欠席いたしまして、まことに失礼いたしました。本日、幾つかの論点を 伺っていて、まず単純な質問で、1のところにもかかわるのですが、社会医療施設行為 別調査というのがあがっており、標本抽出を行っているということですが、そもそもど れぐらいのサンプルなのでしょうか。もちろんこれを全数調査にするということは非現 実的な話だろうと思いますが、そのサンプルをもっとふやすことによって1の丸のとこ ろで行っているような分析をより詳細な形で行うことはできないのか。もしできるので あれば、すなわち、現状いろいろ行われている調査なり収集された情報から目指してい る分析等が可能ならば必要ないのではないか。それが可能ではないからすべてのレセプ トデータを集める必要であるという論理構成というか、そういう説明の方が説得的では ないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。 ○開原座長   これは事務局の方からでよろしいですか。はい、どうぞ。 ○藤澤室長   社会医療診療行為別調査は、年に1回だけ実施しており、50万件ほどのレセプトを調 査しているものですので、月間平均のレセプト全件数から単純に計算すると、300分の 1という抽出率になります。それに対しての評価はあると思いますけれども、やはり相 当少ないのではないかと認識しております。  それから、それではもう少し抽出率を上げればいいのではないかという御指摘だと思 いますが、仮に抽出調査で対応するとした場合であっても、やはり今回、高齢者医療確 保法第16条に基づいて詳しい項目について分析していく上では、どういうふうにサンプ リングをすべきかということについては、分析内容によってサンプリングを変えていく ことも必要なのかもしれませんし、そういう意味でサンプリングそのものに関しても非 常に多大なコストがかかるのではないかと思っています。  そこでまさにこれに尽きるのですけれども、より正確に実態を把握して、正確なエビ デンスに基づいた施策につなげるためには、全数集めることが一番ではないかと考えて おります。 ○開原座長   はい、どうぞ岡本委員。 ○岡本委員   ただ今、発言がありました社会医療診療行為別調査は、一口でいうとレセプトの調査 です。事務局から説明がありましたように標本数は50万件ぐらい。それでもかなりの数 ですけれども、15億とか16億と言われている年間のレセプト全数から見るとほんの300 分の1にしか過ぎません。  たしかに統計学の本をみると、調査には全数調査と標本調査があるが、例えば、世論 調査は1,000人にアンケート調査するよりも、標本数は少なくても例えば、100人に面 接調査をした方が正しい結果が得られる、といったことが書かれております。  しかし、重要な点は、社会医療診療行為別調査は「調査」という名称ですけれども、 世論調査のような「調査」ではありません。レセプトは調査票ではなく、全数提出され る「業務データ」と呼ばれるものです。紙レセプトを全件手入力する手間をかけられな いので50万件を抽出しているだけなのです。ですから、完全に電子化された場合には、 レセプトのような全数提出される「業務データ」からわざわざ抽出して標本調査を行う 必要性は逆になくなる,ということです。  社会医療診療行為別調査は医科レセプトの調査ですけれども、介護保険レセプトも調 査しておりまして「介護給付費実態調査」と呼ばれています。介護保険は最初から全部 オンラインで出されておりますから、これは完全な全数調査で、しかも被保険者番号も 暗号化して個人が識別できるような形で、現に集められて結果はインターネットでも公 表されています。以上コメントさせていただきました。 ○開原座長   ということでございますが、よろしゅうございますでしょうか。それでは、ほかに御 発言ございますでしょうか。この論点整理の書き方としては、これだけのためにという よりは、逆にこういうデータベースができれば社会医療診療行為別調査もそこから出て くるという、そんなニュアンスの議論があったような感じでございます。それではどう ぞ、稲垣明委員。 ○稲垣(明)委員   歯科医師会の稲垣でございます。ここに書かれている個人情報は、医療情報は最大の 個人情報でございますけれども、やはり非個人情報化する必要があると思います。その 中で、やはり匿名化の中で個人を識別できる情報というのはデータとして出さないとい うのは基本だと思いますが、前回示されたレセプトデータからの削除の中で、患者の氏 名、被保険者番号等がございます。やはり医療機関、薬局の名称も削除されております が、いわゆる医療機関コードというものも医療機関の名称でございますので、受診医療 機関名というのも患者個人に関する情報でございますので、きちんと削除する必要があ ると思っております。  それから、いわゆる同一個人の時系列分析という形でハッシュ関数を利用するという ことですが、これは完全な匿名化にはならないと思います。ハッシュ関数の利用の仕方 によっては個人のデータを抽出することもできますので、その辺で、これがあることに よってより非個人情報化できない形になると思います。  また、その先にいわゆるデメリットとメリットという形でございますが、先ほどのす べてのデータを分析する、あるいは今言ったような必ずしも非個人情報にならないすべ ての国民のデータを収集し分析するということが、どのように公益になるかということ をきちんと明示する必要があると思います。今までルール等説明いただきましたけれど も、その中で、個人情報等が幾らセキュリティ対策を講じても情報の漏洩ということが 完全に否定し切れない状況では、私の感じではメリットがデメリットを上回っていると いうふうには感じません。そういう意味ではきちんとしたデータの利用を明示していた だきたいと思っております。以上でございます。 ○開原座長   これは、御意見として伺っておくことで、まさにここでのいろいろな議論そのもので ございますので、お答えをいただくというような問題でもないかと思います。どうぞ御 自由に御発言をいただければと思いますが、ほかにいかがでございましょうか。はい、 どうぞ大熊委員。 ○大熊委員   非常に素朴なことですけれども、論点というより、まずこの検討会を何の目的のため にしたのかをきちんと書く必要があるのではないかと思います。  必要性については、たまたま、本日は保険局長さんがお座りになっていて、医療費適 正化が目的の中心になるような感じですけれども、「医療の質の向上」も検討会のタイト ルに書いてあります。せっかくですから、医療費だけでなく医療の質と両方、一挙に検 討した方がいいと思っています。  質の向上も目的だとすれば、例えば、診療所名を伏せてしまうというご提案は余りよ くないと思います。ロンドンのある井戸の周りにコレラがいっぱい出ていることに気づ いたことが発端で疫学という学問が生まれました。特定の診療所とか病院が発生源であ ることもしばしばあるので、その情報を消し去るというのはよくないかなと思います。  もう1つ、個人情報保護の法律ができて、情報を知られることがいけないという方ば かりが世の中で強調されています。けれども、個人情報保護法は、御本人が自分の情報 を知る権利がある、自己コントロールできる、フィードバックできることを保証してい るわけです。レセプトの調査が迅速に、きちんとできて、例えば、いま話題になってい るフィブリノゲンについてもレセプト情報から、直ちにその御本人にフィードバックさ れるという仕組みも作っておいた方がいいのではないかと思います。素人の意見で恐縮 でございます。 ○開原座長   どうもありがとうございました。ただいまの御意見になぜこれを作るのかというその 目的の項目がないのではないかという御指摘も大変ごもっともなところがあるので、そ の辺は再整理のときにいろいろ考えていただくといいのではないかと思いますが、その 辺がはっきりしてくると、先ほど稲垣(明)委員の御指摘のあったようなメリット、デ メリットのところももう少し議論しやすくなるのではないかという感じもいたします。 それでは、ほかにいかがでございましょうか。はいどうぞ、廣松委員。 ○廣松委員   この資料を拝見していて、感じたことですが、私の専門分野は統計学で、統計調査の ことをやっているのですが、その分野でまさに同じような議論をしています。要するに 統計調査というのはある目的に合った統計を作るために行うわけですけれども、その結 果を単に統計表を作るだけではなくて、二次的な利用にも使いたい、二次利用を促進す るにはどうすればいいかということを議論しております。  そのときにまさにここにある匿名化をどうするか、それからほかのデータとのリンケ ージというか突合をどうするかについて、かなり技術的な側面も含めて議論しています。 匿名化のことに関して限定していいますと、我々が議論するときは2つに分けて議論し ています。1つは、絶対的な匿名化であり、これは完全にわからないようにする。それ に対して、2つ目は、統計の分野で議論しているのはこちらの方で事実上の匿名化です。 よほど悪意があって与えられたデータから特定の人を特定化しようとすれば、よほどの コストをかけてやればできないことはないかもしれないものの、それは事実上ほぼ不可 能であろうということで、事実上の匿名化と言っています。  両者のどちらを取るかは難しいところですが、絶対的な匿名化をしようとすると、ほ とんど公表ができなくなる。その典型的な例が、これは少し古い話ですが、1980年代に ドイツが国勢調査をやめてしまいました。それはまさに絶対的な匿名化を求めたからで す。結果的にそれで政府も必要な政策がほとんどとれなくなって、12〜13年後に改めて 復活せざるを得なくなったということが歴史的にあります。  その意味で、匿名化に関してはその基本的な考え方と技術上の問題の両方考える必要 があるわけですが、少なくとも先ほどからのお話を伺った限りでは、レセプトデータと か特定健診等データは、いわば業務記録であって、それを政策のために使うという趣旨 のようですので、やはりせっかく集めた記録を有効に使ってその有用性を示すというこ とも考える必要があるのではないかと思います。 ○開原座長   どうもありがとうございました。ほかにも御意見があればどうぞ。よろしいですか。 それではまたもとに戻っていただいても結構でございますが、4番目が「国が行う分析 内容に関する基本的な考え方」でございますけれども、一応ここでは国が医療費適正化 という高齢者医療確保法第15条と第16条に基づいて集める場合の話と、それを今の廣 松先生の言葉を使えば、二次利用という形で国以外のところでそれを利用するという、 そこを分けて議論する構成となっておりますが、まず国の方での使い方に関する基本的 な考え方というところで、いかがでございましょうか。 ○稲垣(明)委員   これもいろいろ考え方があるかと思いますが、基本的には患者の方から医療情報のデ ータをいただいてそれを収集・分析するということは、やはり事前に利用目的あるいは その範囲等をきちんと明示する必要があると思います。  気になるのは、この2つ目の丸の中に「必要性・緊急性等に鑑み、場合によっては当 該データを活用することも必要ではないか。」という形で、この言葉にくくられてその辺 の目的あるいは範囲というものを逸脱する可能性がないかということを危惧しておりま す。 ○開原座長   ありがとうございました。その辺をどうやって、何をもって緊急性と判定するかとい うところですね。今、肝炎の問題などが議論されておりますが、こんなデータベースが できると、場合によるとだれに使ったかというものがある程度出てくるということもな いわけではないかもしれませんけれども、そういうのを緊急と言えるかどうかとか、具 体例を考えるといろいろなことが考えられると思いますけれども。いかがでございまし ょうか。はい、どうぞ。 ○岡本委員   確かに、無制限に拡大解釈されたりすることがあっては、国民の納得も得られない。 やはり具体的に、例えば、健康危機であるとか、もっと具体的に言うと現在ものすごく 国民が関心のあるのはタミフルの安全性とか、ですね。  レセプトの情報には確かに制約はありますけれども、これが全数データベース化され れば、例えば、10代とかあるいは10歳未満とか、男女別にどの程度の数の子供がイン フルエンザにかかって、そのうち何割がタミフルを処方されているのかということはす ぐに出るわけですね。レセプトには異常行動があったということは書かれないでしょう けれども、例えば、それが原因で急死したり大けがをしたという場合には、医療機関あ るいは保険者からの情報でそれを把握することができる。そうすると、ある程度国民の 不安に対してもこたえることができるのではないか。  だから具体的に,いま言った例のような、国民が非常に不安を持っているにもかかわ らず明確な回答が出せないし、1人の患者の危機というわけではなくて、まさに国全体 の安全にかかわるようなものにはこのデータを使って構わない,というふうに明記する ことが必要だと思います。 ○開原座長   ありがとうございました。どうぞどなたでも。はいどうぞ、野口委員。 ○野口委員   今の岡本先生の議論に関連するのですけれども、やはり全数調査をする意味といいま すと、私より御専門の方がいっぱいいらっしゃるのですが、医療科学で、医療をしてい るとどうしても無作為抽出化試験、要するにある薬を使って、その薬を使った人あるい は治療を行った人とそうでない人と無作為にランダムに分けて、その効果を見るという ことをやるわけです。  例えば、アメリカなどでは過激で、要するにそれを社会的実験と言って、ある施策を 行うグループと施策を行わないグループでどういうふうに違うかみたいな社会的実験を 60年代、70年代を通じてやったのですけれども、非常にこれは非人道的である。あるい は非常にコストがかかる。これは倫理的にも人道的にもそうですけれども、コストがか かるということで、例えば、タミフルでもある施策でも結構なのですが、ある施策、あ る治療についてどのぐらいインパクトがあるか。果たしてそれが国民の健康あるいは公 衆衛生上、本当に有用なのかどうなのかということを早く、要するにスピードを持って 何らかの効果をはかるためには、やはり全数調査をやる必要がある。  それは、全数調査をやれば、例えば、そこには非常にリスクが高くてある治療を行え なかった。例えば、高齢者であるとか非常に小さい子供であるとか、そういったリスク の高い人々もデータの中に入ってくる。そこでいわゆる効果があらゆる人に対して計れ るわけですね。それを改めて抽出する、あるいはサンプリングするとなりますと、例え ば、1つの病院で2人ぐらいの患者が代表してしまうことになると非常に偏ったものに なってしまいますし、あるいはいかにうまくサンプリングしても、どうしてもそれだけ 時間もコストもかかってしまいますので、それを考えればこういった全数調査を収集す るということは意味があると思います。  それと関連するのですけれども、この最後の点ですね。レセプトデータに関しては非 常に限界があるということで、そこで疾病名を今後フォーマット化した上でデータを収 集するということを次の課題として考えていただければありがたいと思います。 ○開原座長   どうもありがとうございました。ほかにも御意見があればぜひお願いいたします。 ○樋口副座長   質問とコメントがあるので、まず質問の方からですけれども、4の2つ目の丸のとこ ろは、先ほど稲垣さんがおっしゃった、これは何のためにやるのかというところがこう いう形で書いてあると思うのですね。  法律がある。高齢者医療確保法第16条にははっきりした指示といいますか、そういう ものが書いてあって、それは医療費適正化計画の作成と分析を行えということがあるの で、その目的のために使いますということをまずはっきりさせているのですが、2つ目 の「上記の分析以外にも、」というのが、私にもイメージがわかなくて、とりあえずこの 時点でどういうことをお考えなのか。岡本さんが1つ2つ例示してくださったのでそれ で十分かとも思いますが。  あるいは、大熊さんがおっしゃるように、医療費適正化計画というのは大きな話です ので、ここへ何でも入れ込むことができるような気すらするのですが、一応、別に医療 の質の向上ということがここにもあるから、そういうものを掲げたような目的について は、つまり情報がきちっと使えるものであればやっていくのだということを、例えば2 本柱みたいな形で掲げておくのもいいのかもしれないですよね。  これは憶測ですけれども、次の5のところは、だれがこの情報を使えるかということ ときっとリンクしていて、国だけがやるのであれば、これと、これとはっきり一番初め に特定できるのかもしれませんけれども、そうではなくて適正な目的のためには広く研 究者等にも使ってもらいたいという話になると、余り細かな目的限定ができないのかも しれない。   そうすると、大きな網をかぶせて法律家的な思考ではどうするかというと、次には適 正な目的に利用してもらうためのチェック機能、機構というのですか、チェックの仕組 み的なものを5のところと関連して何らかの形で作っておくという発想はあるかと思い ます。  ともかく質問に戻ると、上記の分析以外にもこういうことがあり得ますよということ で少し補足していただければありがたい。それを伺った上で、別の点についてもし時間 があればコメントさせていただきます。 ○藤澤室長   それは岡本先生あるいは大熊先生からも具体的なお話がございましたので補足になる かどうかちょっとわかりませんけれども、例えば、医療安全が挙げられるかと思います。 それは、医療費適正化計画の作成等のため、とする高齢者医療確保法第16条の中で読み 込むのは難しいのではないかと思います。それから、例えば、疫学研究でも、生活習慣 病に関連した疫学研究であれば高齢者医療確保法第16条でということは十分あり得る と思いますが、そうではなくて、例えば、タミフルに関しての疫学研究など、そういう 生活習慣病と直接関連づけられないようなものに関しての一般的な疫学研究なども入る のではないかと思っています。 ○樋口副座長   これは3のところに戻る話なのでコメントで、しかも可能であればということですが、 いずれこの検討会も何らかの形でこうやって論点を整理して報告書を作っていくことに なると思いますが、その報告書をだれにあてるかというと、それはやはり一般国民です ね。   これは、一般国民全部を対象としている調査になりますから、そうすると一般国民に とって、あくまでもできる限りという話ですけれども、わかりやすさというものがあっ たらいいということで、2点申し上げます。  前提としてはやはり一般国民が何を心配するのかというと、多分2つあって、厚生労 働省はちゃんとした政策を作ってちゃんとやってもらいたいという話と、自分自身の個 人の情報について、大量になりますから自分だけではないのかもしれませんが、漏洩み たいな話になるとそれは嫌だなという話だと思うので、あらゆる人がそう思っているわ けであるとすれば、個人情報保護の話は非常に重要だと思いますね。  しかし、従来のサンプル調査等で50万人についてやっているとしたら、そこだって本 当は個人情報保護が当然なされているわけです。ただ、今回は全数で規模が大きいだけ ではなくて、やはりある種、廣松先生がおっしゃってくださいましたけれども、事実上 の匿名化というものを行って、経年的な変化を見る必要が加わっている。時間を追った 個人の変化だけでなく、政策が何らかの形で影響を与えているのなら、それがいい影響 かどうかということも経年的に評価していこうという話です。   そうすると従来以上の個人情報保護の仕組みが必要なのだと思うのです。  すると、まずこの文章の中にあるのは、3の最後ですが「情報の漏洩等がないよう十 分なセキュリティ対策が講じられることが必要ではないか。」という部分が関係します。 しかし、これは、藤澤さんがおっしゃったようにそもそも必要に決まっているのです。 しかも、医療情報のところは、ほかの厚生労働省の部門なのかもしれませんが、医療情 報あるいは電子化された情報についてのセキュリティのガイドライン等については相当 の蓄積があって、こういう形のセキュリティ対策やそのための基準作りを既にいろいろ なところで行っているということがあるはずなので、それを具体的に盛り込んで書いて くださると、こんなにいろいろやる用意があるのだ、ということが私たち国民にももっ とわかるだろうというのが1つです。  ここは、論点の整理ですからそのようなことを全部掲げているわけにはいかないので しょうけれども、もう一つはチャート、流れ図です。例えば、私が特定健診を受けます ね、40歳以上になっていますから。そうすると来年受けたときに、そのデータがどこか へ流れていくわけですね。中央という表現がよいかわかりませんが、そういうところに 集められるまでに、どういう人がその情報に関与して、その中でどの段階で私の情報、 私の住所氏名などは消えてしまって、ハッシュ関数についての説明は難しいから書いて もだめかもしれませんが、とにかく一定の匿名化がなされ、ちゃんと大丈夫ですよと書 いてくださって、データが集められてデータの管理者というか組織はこういう組織を今 のところ想定していて、そこでこういう形で分析してその分析評価に基づいて何らかの ものを立案して、つまり利用の形態ですけれども、それにまたフィードバックして実際 に効果がなければ再評価して政策立案をやり直すというような、そういう仕組みの中で 私の情報がどういう形で利用されるかが図示されているとありがたい。  あなたの情報はこういう形で利用され、しかし、その中で管理等についてもこういう 形で安全にその保護が図られているのですよということがわかるような図を、とにかく そういう形で何か示してくださると、もっと話がわかりやすくなるような気がいたしま す。これはちょっとないものねだりです。そんな簡単に、おまえが図をかけと言われる とできないので、可能な範囲で、そういうことも考えていただけるとありがたいと思い ました。 ○開原座長   どうもありがとうございました。ほかにもいかがでございましょうか。はいどうぞ、 廣松委員。 ○廣松委員   今の副座長の御意見のとおり、こういう業務記録を利用する場合には、何らかの形で ルール化する必要があり、そのルールを公表する必要があるだろうと思います。その1 つの参考例として先ほどもちょっと触れました統計法があります。統計調査で集めたデ ータの扱い、その利用等に関してはこの統計法で厳しく定められており、これは5のと ころに入りますが、もしそれに違反した場合の罰則規定まで設けられています。これは 安全性なり秘密の保護ということを担保するためのものす。それが1つの参考になり得 るのではないかと思います。  いずれにしても、こういう形でレセプトデータそれから特定健診データを収集し、そ れを利用するときには、やはり明確にルール化する必要がある。先ほど目的という言葉 がありましたけれども、今回の目的は第一義的には4の1つ目の丸に書いてありますと おり、高齢者医療確保に関する法律に基づく作成、分析だと思いますが、その意味でい うと4の2つ目の丸、あるいは5の丸は、統計の言葉で言えば「目的外使用」というこ とになります。  ここに法律として書かれている目的以外の目的に使う場合には、先ほどどなたかおっ しゃいましたけれども、その利用が適切かどうかということに関してかなり厳しく事前 にチェックする必要があると思います。 ○開原座長   どうもありがとうございました。はいどうぞ、大熊委員。 ○大熊委員   繰り返し皆さんもおっしゃっていることですけれども、目的が、なるほどこういう目 的だったらやった方がいいなと思うことがイメージできるようにきちんと書くことが大 事だと思います。  大昔ですけれども、吉武民樹さんという方が障害福祉課長だったときに、障害者の実 態調査がスムーズに行われたことがあります。それまでは、暗礁に乗り上げていました。 障害者の人たちが、厚生省は自分たちを見つけてどこか山奥の施設に入れる魂胆だろう と思って反対していたのです。そうではなくて、障害のある人々のための政策を作るた めに必要ということが周知されたところで非常に協力が得られたということがあります。 お役所としては具体的イメージを示すのは難しいかと思うのですけれども、先ほどから 岡本先生とか皆さんがおっしゃっているような、こういうことに役に立つのだというイ メージが沸くようにきちんと書き込んでいただけたらと思います。  2つ目です。先ほど医療の費用だけではなく、質のことも視野に入れてと申し上げた のですけれども、費用についても、全体の費用を減らすことを念頭に置くと、せっかく できている介護保険の方のデータとつき合わせることも考えに入れておいた方がいいの ではないかなと。  3つ目ですけれども、今のレセプトでは含まれている情報内容に限界がありますとい うお話が井原先生からありました。けれど、その限界は、今は限界だけれども何か手立 てをすれば……データのとり方とか、診療報酬請求に条件づけしたりして困難な事態を 取っ払っていけば非常に質のいいデータが得られるかもしれません。こういうふうにす ればその限界も突破できるというところまで書き込んだ方が、時代的に先を読めるかな と思いました。 ○開原座長   どうもありがとうございました。ほかにはよろしゅうございますか。座長が余り意見 を言ってはいけないのですけれども、先ほどの例示としては、実はこれができると場合 によっては、今のがん登録なども実はこれから出てくるかもしれないのですね。がんも 一種の生活習慣病ではありますが、今のメタボリックからは別立てになっておりますけ れども。   これは考えてみるといろいろなことに使える可能性もないわけではないと思いますの で、今の大熊委員の御意見なども踏まえて少し再整理をしていただくといいのではない かと思います。  それでは、この項はよろしゅうございますでしょうか。次の5の「国以外の主体によ るレセプトデータ等の活用のあり方」ということで、廣松先生に教えていただいた言葉 を使えば、目的外使用という部分になるのかもしれませんが、目的外使用というのは従 来の統計法では非常に使いにくかったのですけれども、今度は、大分、統計法が変わっ て目的外使用も十分可能になったとは伺っておりますが、この、国以外の主体によるレ セプトデータの活用のあり方というところも大変大事な問題ではないかと思いますので、 ここについてもいろいろと御意見をいただきたいと思います。はいどうぞ、森委員。 ○森委員   日本薬剤師会の森でございます。5の2つ目の丸の2行目から、研究者等に対してデ ータを提供する場合には、研究目的や研究計画、データの分析方法等について詳細に評 価した上で提供するということになっていますが、そもそもその前に研究者そのものに ついてもある程度は制限をつけるべきではないかと考えます。  それから、ここのいわゆる国以外が活用するときが一番問題だと思いますが、国以外 に提供を始めるときの当初は、例えば国の委託研究から始めるとか、特に慎重に開始す べきでないかと考えます。以上です。 ○開原座長   ありがとうございます。では、廣松先生。 ○廣松委員   正確に申しますと現在の統計法でいう目的外使用と、これから始めようとしている先 ほど申した二次利用というのは分けて考えています。いま御指摘のあった研究者等が使 う場合ですが、現在のところ全数にアクセスできる人に対しては大変厳しく、誓約書等 を書いてもらい、かつ使える場所も限定して提供する。それ以外の研究目的の場合には 全数ではなくて、そこからサンプリングをしたデータを、提供するという形を考えてお ります。  したがって、全数にアクセスできる人はかなり限定した上で、アクセスできるレベル を何段階かに分けて考える。一番下のレベルは、統計の分野で教育用などに使うデータ をレプリカデータなどと呼びますが、例えば全体の100分の1程度の抽出率にして、そ の上、もし先ほどいろいろ御議論がございました特定化されるような危険性がある場合 には、スワッピングといいますが、分布の形は変わらないようにした上でデータを入れ かえてしまう。したがって、その結果から特定化したと思っても、その人は実在しませ んといえる形にしてしまうような提供の仕方もあります。  今、統計調査の場合にどういう形で提供するべきかいろいろ議論をしておりますが、 少なくとも先ほど申しましたとおり、全数にアクセスできる人に対してはかなり厳しく、 宣誓書もとって、かつ違反した場合には罰則も大変厳しいものをつけた形での利用を認 める。それから何段階かに分けて研究者に利用していただくというような方法を考えて いるところです。   一番下のところにあるで、営利企業への提供を認めないという点ですが、私はそれ で恐らくいいと思いますが、ただ、最近の研究活動、例えば大学における研究でも結構 いろいろな企業から資金をもらってプロジェクトを組んだり、そこに民間の研究者も加 わるケースが多い、そうした場合に学術目的と営利目的をどう具体的に区分けするかと いう、大変難しい点が残るだろうとは思います。 ○開原座長   ありがとうございました。どうぞ、中川委員。 ○中川委員   今の御意見、非常に大事なことだと思いまして、おっしゃっていることに本当に同感 です。この検討会の論点で示された5番が、最も我々が重点を置かなければならないこ とだと思います。  国以外のところで利用する場合にどういうふうに厳しくするかということに尽きると 思うのですが、やはり研究者、それから大学を含めて営利企業と連携しているというの は十分あるわけで、そこのところを何となくだめだよというのではノーガードになると 思うのです。  それで最後の丸が非常に大事だと思うのですが、ちょっと話が広がって恐縮ですが、 昨日、規制改革会議から答申された論点、発表されたものがありますが、規制改革のた めの第2次答申の医療分野のところで、ヘルスサービスリサーチの推進というのがあり ます。  これは12月28日に閣議決定される予定ですが、皆さんよくおわかりだと思いますけ れども、日本では研究体制、データ利用の環境整備などいまだ不十分な状況にあるとあ ります。したがって、収集された医療に関する多種多様なデータについて、「個人情報の 保護に十分な配慮を行いつつ、その個票レベルにおいても一般に公開され、活用するこ とが可能となることが必要である。」とまで書いてあるのですよ。このような透明性、客 観性の高いデータ公開のあり方を含め、医療提供体制についての研究が促進されるため の仕組みを整備することについて検討を開始すべきである、こうあります。  その次の「レセプトオンライン請求化を踏まえたレセプト審査の質の向上、医療費分 析の推進」というところでは、EBMの推進を通じて医療そのものの高度化に貢献する ことについて明記すべきであるとありますが、そのためには、例えば、「傷病名とそれに 対応する医療行為の対応関係を明らかにし、かつ、一般にも公開することとするなど、 レセプト審査の質の向上、医療費分析を推進するための方策について検討すべきであ る。」とまで書いてあるのです。  こういう状況において、この検討会の結論が目的外使用とか二次利用も含めて、これ 以上こんなに厳しくしなくてもいいのではないかというぐらいのことをしてちょうどい いのではないかという印象を持っています。御意見をお願いします。 ○開原座長   はいどうぞ。ただいまのところは、一番議論のあったところでございますので、ぜひ、 どうぞ稲垣委員。 ○稲垣(明)委員   この第三者提供という形のところですけれども、これは質問もあるので後でお答えい ただきたいのですけれども、都道府県に対する情報提供の中で高齢者医療確保法第15 条というのを新たに御説明を受けたのですが、先ほどの参考資料ですね。この高齢者医 療確保法第15条と第16条両方を比較してみますと、やはり大分違うのだと思うのです ね。つまり、情報提供について、第15条については、必要な資料の提出に関し協力を求 めることができるという形で、これは例えば、国が拒否することもできるということだ と思います。  すなわち、これは、収集したデータの一次利用ではなくて二次利用ではないかという 形で、必要な資料について提出を求めるということで、例えば、その資料の範囲あるい は目的、それから活用方法等もきちんと明示して求めるとことが必要であると思います し、先ほどから出ておりますように、この第三者提供というのは極めて制限的に行われ るべきでありますし、いま言った内容を厳しくする必要があると思います。 ○開原座長   それでは、ただいまの点は御質問でございますが、これは事務局の方でお答えいただ けますか。 ○藤澤室長   都道府県に関しての記述の部分でも、その後段の方に書きましたように、都道府県か ら求めがあれば必ず全数のデータをそのまま渡すということでは決してなくて、そもそ も基本は、繰り返しになりますけれども、高齢者医療確保法第16条で都道府県の医療費 適正化計画に資する調査分析も国がいたしますので、都道府県によってどうしてもこう いう分析がしたいということがあれば、どういう必要性があるかというチェックとか、 都道府県が必要だと言ってきている、その前提となる利用目的とか範囲を十分に明確に した上でやる必要があると思っていますし、必要だという場合は、必要な範囲でのデー タの提供ということに当然なると考えています。 ○稲垣(明)委員   気になるのは、この「追加的に新たな切り口での集計が必要と判断する。」というとこ ろです。必要があるからそのデータをどのように利用してもいいということにはならな いと思うのです。ですから、この辺のところを漠然とした表現ではなくて、活用の方法 というものをきちんと明示した上で判断されることをお願いしたいと思います。以上で す。 ○岡本委員   医療費適正化計画の重要な柱のひとつに、都道府県ごとの新しい医療計画があります。  現在、全国の都道府県で来年の4月に向けて準備しております。来年度からの制度改 革は、特定健診や保健指導という国民に密接なところにどうしても関心がいっています けれども、もう一つ重要な柱である新医療計画は、これまではどちらかというと病院の 新設を規制する計画だったのですけれども、今度からは都道府県単位の医療の提供体制 を良くしていく、具体的には4疾病5事業と言っているのですけれども、糖尿病、がん、 心筋梗塞、脳卒中といった疾患や小児救急について、単に「充実を図る」といったスロ ーガンではなく、具体的な数値目標を定め、どの程度達成できたかということが県民に わかるようにしよう、となっています。  特に優先順位が高いのは脳卒中、脳梗塞ですけれども、そういう病気は、救急搬送さ れた初期に、それこそ数時間単位の早さでTPAとか血栓溶解剤を投与することが必要 です。ですから「うちの県においては一体何人脳梗塞で搬入され、そのうち何%の人が 最初の6時間以内に薬を投与されたか」といったことを調べる必要が出てきます。  そうなってくるとやはり医療機関へのアンケート調査ではなかなか正確な数字が把握 できず、レセプト情報の活用が必須となります。具体的な県ごとの個別のニードとは、 医療計画とかそういったものに関係するものであって、それがやはり医療費適正化計画 の定められた要件からはみ出さないという1つの条件となるから、その辺は余り心配要 らないのではないかと思っております。 ○砂原委員   日本経団連の砂原でございます。いろいろな委員の方々がおっしゃっているように、 ある程度最初の段階ではいろいろな利用の制限というのをかけていくのはやむを得ない ことかと思うのですが、先ほど岡本委員が触れられておりましたように、介護保険にお いても個人が識別できる形で電子請求等された全数データを活用して介護保険の給付費 データの分析を7年間できているということもある程度考慮に入れるのも必要ではない かと思います。  当面、限定的に利用できる対象者等を限ってスタートしていくことにしたとしても、 広く国民の知恵を結集して医療サービスの質の向上を図れるよう利用する、そういう対 象者を広げていくという要素もあってもいいのではないかと思います。以上です。 ○開原座長   どうもありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。どうぞ飯倉委員。 ○飯倉委員  連合の飯倉でございます。私どもは労働組合の立場でございますので、医療の専門的 な見知というよりも、患者としてデータを提供する立場からの意見になるかと思います が、レセプトデータの第三者に対する提供については、やはりスタートに当たっては慎 重に行っていただきたいと考えております。いわゆる周辺環境をきちっと整備した上で 段階的な検討というのが必要なのではないかということであります。  レセプトデータについては、もちろん御案内のようにもともと紙ベースで手入力にお いて、分析するにしてもそういった手間がかかっていたという中で、今回、IT化の促 進と合わせてデータとして活用しようということですので、ここでは国だとか都道府県 の医療費適正化というところが大分メーンに押し出されていますけれども、まずは各保 険者の機能強化ですとか、医療機関のまさしく医療の質を高めるための分析といったと ころにどう活用できるのかということも大きな視点だろうと思ってございます。  まさに検討会の名前が、医療費適正化等ためのレセプトではなくて、医療サービスの 質の向上のレセプト情報の活用ということですから、そういう意味では質の向上という ところで保険者とか医療機関がレセプト情報をどう活用するのかという視点も重要です。 例えば、今回のこの論点の整理の中でも、保険者ですとか医療機関についてはレセプト 情報を提供する側という整理になっているのかもしれませんけれども、やはり保険者な り医療機関でも質の向上に向けてきちっと今回のレセプト情報について活用していくの だという、その意義といいますか、まさに目的があるのだということも、例えば、この 論点の中のどこかで触れられてもいいのではないかとも考えております。  そういった周辺環境を整備して、その上で国が何をどういう目的で使っていくのか。 そうした一定のルール化なりをした上で、では第三者に対してはどうしていくのかとい った議論を進めていただけるとよろしいのではないかと感じております。以上です。 ○開原座長   どうもありがとうございました。医療機関も保険者も利用者の方にも回る可能性があ るということは大変重要な御指摘ではないかと思いますが。それではどうぞ、稲垣(恵) 委員。 ○稲垣(恵)委員   健保連の稲垣でございます。私どもは保険者という立場で両面ございまして、そうい う意味で患者の視点に立った医療サービスの質の向上というのは非常に大きな課題で、 やはりこういった重要なデータをいかに広く活用してそれを目指していくかということ は大事かと思っています。  ただ一方で、加入者のプライバシーという観点も我々は十分配慮しなくてはいけない わけで、先ほどあったように個人の名前を省くとかいろいろ対策を講じることになるわ けですが、例えば、非常に限られたまれな疾病で保険者の規模が少ないようなケースで すと、保険者番号が残っているという点で場合によって特定されるのではないかとか、 そういった議論も1つございます。  そういう意味でまずは慎重な運用ということで、第2回目のときですか、外国の事例 を紹介いただいております。アメリカですと個票ベースで提供する場合と集計データあ るいは加工した形で提供する場合など、ルール化されているということも伺っています。 まずは慎重な運用という観点でルール化を図るなど、そういったことについて考慮する 必要があるかと考えます。 ○開原座長   どうもありがとうございました。どうぞ井原委員。 ○井原委員   最初に座長も御指摘になったように、恐らく厚労省の方からの本日の論点の整理とい うのは、たたき台という趣旨だと私は思っているのですね。ですからどうしても包括的 にソフトに書いてあるのはやむを得ないと思うのですが、先ほど副座長や廣松委員、稲 垣委員、中川委員がおっしゃっているように、2番までが現状把握ですが、3番以降い ろいろな問題が出てきていますので、この部分はきちっとルール化すべきだろうという ことは次回の論点整理のときに入れておかないと、皆さんの口からルール化という言葉 がこれだけ出てきますと、表現法がソフトなのでそこが誤解を招いたりいろいろな問題 になるといけないので、そうなさったらいかがかと1つ思いました。  それから、先ほどの大熊委員や岡本委員の御指摘は非常にわかるのですが、タミフル の話にこだわるわけではないのですが、タミフル何件という、そのような議論にすぐに いってしまうことが非常に危惧されるのですね。ということはこの前もお話したように、 レセプトに出てきていない。  レセプトは確かに全件調査をしました。そのうち手術に関しては、99.8%は対象症例 になっています。薬剤に対しては、30数%は包括になっているから、この部分は入って いません。  こういうことをきちっとしてからでないと、インフルエンザは何件だということはわ からない。タミフルがどのくらい使われているか、これは日本の現状ではわかりません から。  そういう議論になってしまうことを私は恐れて、前回、お話をしたのです。  ですから、そこのところもきちっとルール化する。統計処理をする上で、何がわかっ て何が推計によらなければならない部分かというのが残ってしまうのです。そこもきち っとルール化するのだというようにする。大熊先生がおっしゃることは大変よくわかる ので、ではどういう工夫をしていかなければいけないかというのが問題で、その実数す ら正直言って私たちはいま把握できないのです。およそこれぐらいだろうという推定で す。  これはいま、中医協できちっとお話しになるのでしょうが、DPCも私たちが漏れ聞 いているところでは、今の360病院が700に1,400にと倍々ゲームでふえていくと、ま すます入院の診療行為は包括化が進んでいくことになる。その辺のところもございます ので、全件調査をする、だから全件のデータがすぐ出てくるのだというのはいささか議 論としてまずいので、ルール化ということをそこここに挟み込んでいただければ、私は これでいいと思っています。 ○開原座長   ありがとうございました。大変重要な御注意でございますが、どうぞほかにも。はい、 松田委員どうぞ。 ○松田委員   結局いろいろな議論の中で「国が」ということになっているわけですけれども、だれ がこれを集めて、どの組織がこれを分析するかが明確になっていないということが、い ろいろなところで不安の材料になっているような気がします。やはり、公共性に加えて 中立性というのが必要だと思いますし、先ほど副座長がおっしゃったようにチェック機 構が必要だと思うのですね。  いろいろな国、例えば、フランスの場合ですと、それをいろいろな追加の調査研究を するための評価の委員会として「CNIL」というのができているわけですけれども、そう いうチェック機構も含めて具体的なものを見せていく必要があるのだろうと思います。  あと、質ということになってきますと、国にあげる前の、先ほど飯倉委員もおっしゃ っていましたけれども、保険者レベルで分析する部分があるだろうと思います。ところ が現行では、いわゆる健康保険組合と国保のところ、政管健保のところで、それぞれが ばらばらでやっているために、実はその3つの組織で分析の手法なりいろいろなものを そろえていただければ多分そこから上にあがるところでかなりいろいろなことができる だろうと思いますので、ぜひその3つの組織の間での話し合いというのが必要ではない かと思います。  それをやることによって、先ほど飯倉委員が言われたような保険者機能を果たすため のいろいろな分析はそのレベルでできるはずですので、そういうことも含めてこの中に 記載する必要があるのではないかと考えます。 ○開原座長   どうもありがとうございました。ちょっと私が質問するのも変なのですが、今の松田 委員の言われたチェック機構のところは、統計法の中の議論ではかなり具体的なイメー ジというのは出てきておりますでしょうか。廣松委員に私はお伺いしたいのですが。 ○廣松委員   今、制度上、チェック機能は総務省の政策統括官統計基準担当というところがやって います。例えば先ほど申しました目的外使用の申請が出てきたときに、まずはその調査 の実施部局がそれを審査した上で、最終的にそれが統計法上違反しないかどうかを政策 統括官室の審査官がチェックすることになっています。これは昔の行政管理庁の一部局 だったところで、戦後、統計法ができたときすぐからそういう形でチェックが行われて います。  発言の機会をいただいたものですから一言だけ申し上げますと、恐らくこのデータに 関しても、社会一般には誤解があるのですが、これは個人情報保護法ではなくて、行政 機関が保有する個人情報の保護に関する法律に従うはずです。実は統計もそうなのです が、残念ながら社会一般には個人情報保護法というのがすべてをカバーしているという ような誤解があって、それに基づく過剰反応まで起きています。これは先ほど副座長も おっしゃったと思いますが、恐らく地道な活動だろうと思いますけれども、こういうデ ータを収集してどういうふうに使っているか、それからその安全の確保のためにどうい う措置をとっているかということの広報啓発を絶えず行っていく必要があるだろうと思 います。 ○開原座長   はいどうぞ、岡本委員。 ○岡本委員   基本的な質問になってくるのですけれども、いま議論している、暗号化によって匿名 化する、つまり個人が特定できないようになっている場合でも、いま先生がおっしゃっ た行政機関の個人情報に関する法律は適用されるのでしょうか。僕の考えでは、それは 適用対象ではなくなると思っていたのですけれども。 ○廣松委員   これまで統計情報に関しては匿名化したデータは提供してきませんでした。新しくで きました統計法では、それを法律上認めました。ただその場合でも、当然元の源データ は匿名化をするところが持っているわけですから、その源データに関しては当然法律の 対象になります。統計データを匿名化したものに関しては、それを公表した段階で法の 対象ではなくなります。  ただ、この場合は、最初におっしゃったとおり業務記録をまとめたものですので、そ れをもしこういう形で匿名化したときに、行政機関が保有する個人情報保護法の対象に なるのか、あるいはそこから外れるのか、そこは、ちょっと私は法律的なことはよくわ かりません。 ○岡本委員   基本的に個人情報を持つのは保険者ですよね。その保険者というのは、保険組合とか 政管健保も来年の10月からは全国健康保険協会に変わりますし、また市町村とかはいず れも国の機関ではないわけです。その意味で、保険者の段階であれば行政機関が保有す る個人情報保護法の対象にならなくなるというふうに解釈できるのではないでしょうか。 ○廣松委員   法律の専門家に聞いてみないとわかりませんが、恐らく行政機関といったときに、狭 義のものではなくて、かなり広義に解釈していると思います。 ○開原座長   この辺のところは樋口先生も御専門でいらっしゃいますから後でいろいろ整理をして いただくことにいたしまして、いまの問題も法律絡みのところで大変大事ではございま すけれども、ほかに。よろしゅうございますか。  そうすると今まで御議論いただいたところで、本日いただいた論点の整理に対する御 意見は一通り伺ったということでございますが、大変有益な御意見をたくさんいただき ましたのでこれを含めて今度は再整理をしないと当然いけないわけでありますが、再整 理したものが最終的な報告書に近いものになると大変能率がいいわけですけれども、そ こはこれからの作業ということになろうかと思います。  それでは、またもとに戻っても結構でございますが、全体に関してさらに御意見があ れば伺いたいと思いますが、特にございませんか。はいどうぞ。 ○櫻井委員   国保中央会の櫻井でございます。2つ御質問と1つ意見というか要望ですけれども。  1つは、高齢者医療確保法自体は来年4月からスタートするのですけれども、ここで 言っている第16条絡みのデータベースというかデータウェアハウスといいますか、これ 自体のスケジュールについては、国として現時点でどのように考えておられるかという ことと、それから当然20年度からいろいろな仕事が始まると思いますので、政府予算が 決定した直後でございますので、これ絡みで来年度予算としてはどういうものをどの程 度獲得されているのかというのが質問の1点でございます。  2点目は若干技術的な質問になりますけれども、都道府県医療費適正化計画を作ると いうことで、都道府県の医療費ということは、その都道府県に所在している医療機関で 幾ら使われているかという意味ではなくて、当然その都道府県の住民の方が幾ら医療費 を使っているかということだと思います。その点、本日、提出された資料の1番目のと ころにも現在の社会医療診療行為別調査の限界が書いてあって、都道府県別の分析がで きないということが書いてあるわけですけれども、仮にレセプトを全部集めましても情 報は同じレセプトでございますから、レセプト自体には患者の住所は書いていません。 国保の場合は保険者の方から市町村がわかりますので、そういった意味でどの県の住民 だというのはわかるわけですけれども、レセプトの半分を占める社会保険の場合はそう いったことはできないと思いますので、この点については、この分析もそうですし、ま た都道府県の医療費適正化計画作成という意味で何か秘策はあるのかどうかということ が、質問の2点目でございます。  それから3つ目は、電子レセプトが増えてまいりますと、保険者サイドでいろいろな データが分析できるようになりますので、これについては我々としても大変期待してい るところですが、今回議論されておりますのは、国の政策に従ってお国の方にデータを 提出して、それを国ないしいろいろな方が利用する、それに保険者としてデータを提供 するということでございます。この何億件というデータを加工して提供するためにはシ ステムの開発費とか、それなりにコンピューターを回して、月次で出すのかわかりませ んけれども、データを提供するに際しコストというのはおのずからかかるわけです。ど のぐらいかかるかというのはちょっと構想がはっきりしていませんので計算できません が、そういうコストについては私どもの保険者から出すといっても、これは1回目のポ ンチ絵では審査支払機関から出ていくような形にもなっていますが、そういうコストを 審査支払い手数料に反映させるということもなかなかできないと思います。そういたし ますと、こういった国策に協力して提供することにつきましては、それなりの財政支援 をいただかないとなかなか運営ができないのではないかと思います。その点は当然そう いうことを考えていただいていると思いますが、これは検討会として国に出す報告書で すので、そういったことをきちんと手当てするようにということを書いていただけると 大変安心できるということで、3点目は意見というか要望でございます。よろしくお願 いいたします。 ○開原座長   それでは調査課長どうぞよろしくお願いします。 ○石原調査課長   今回の検討会の議題とはちょっとずれますが、医療費適正化計画についての調査につ きましては、来年の4月から医療費適正化計画ということになりますので、できれば年 齢別の医療費とか都道府県別、そういった形のデータがほしいと思っておりまして、現 在、各保険者等にお願いしたいということで準備を進めている段階でございます。  それから、第2点目の御指摘の住所の問題です。基本的には都道府県別の医療費と申 しますのは、現在把握しておりますのは医療機関の都道府県別ですが、それで動向等を 見ている段階でございます。今回の医療費適正化計画ではもちろん住所地ベースという ことが課題としてあるわけでございまして、そういった意味では住所地ベースに直すと いう作業が必要になります。そういった意味では、現在はそういったデータが把握でき ていないものですから、どうしても推計という形で当初出発すると想定しています。以 上です。 ○開原座長   よろしゅうございますでしょうか。 ○藤澤室長   それから、最初におっしゃった予算の関係の御質問に答えさせていただきますと、政 府予算案が決まりましたけれども、このデータを収集し分析する体制を来年度中に構築 したいと思っていまして、その関係でレセプトデータと特定健診等データを含めて7億 円弱が平成20年度予算案に盛り込まれております。平成20年度はハード面それからソ フト面での整備をした上で、それが順調に進めば平成21年度から、当初はレセプトから 分析ができると思います。特定健診等データは、細かく申し上げると平成21年11月に ならないと集まってきませんのでちょっとスタートが遅くなりますが、平成21年度から は、いずれにしても少なくともレセプトの分析は始められるように、いま体制づくりを 進めようとしているところです。 ○開原座長   どうもありがとうございました。よろしゅうございますでしょうか。そうすると来年 度からはいよいよ動き出すということでございますので、その意味ではこの検討会の議 論も大変大事なことになって、方向を誤ると大変なことになると思いますので、どうぞ よろしくお願いしたいと思います。  それでは全体的なことでほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それ では一応この論点整理に対する議論はこれで終わりにさせていただきたいと思いますが、 次回以降のスケジュール等について、事務局から何かアナウンスがありましたらどうぞ よろしくお願いいたします。 ○藤澤室長   どうもありがとうございました。本日またいろいろ皆様から御意見、御示唆をいただ きましたので改めて整理をさせていただきまして、またその際に、副座長からも流れ図 のようなものがあればという御示唆もいただいたので、そういうものも努力しながら、 できましたら次回この検討会としての取りまとめをお願いできればと思っております。  具体的な日程については、前回の検討会のときに皆様に御照会のペーパーを配らせて いただいたのですが、まだ現時点ですべての方から御回答をいただいていないこともあ り、本日御連絡ができませんので、調整でき次第、後日、事務局から御連絡させていた だきます。 ○開原座長   それでも1月ぐらいにはやるのですか。 ○藤澤室長   1月の終わりぐらいにはできればと思っております。 ○開原座長   ということでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。それでは特に御発 言はほかにございませんでしょうか。なければ、本日の検討会はこれで終わらせていた だきたいと思います。どうも大変ありがとうございました。 (終了) 36