07/12/25 第108回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録 第108回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 1 日時  平成19年12月25日(火)13:30〜 2 場所  厚生労働省職業安定局第1会議室(13階) 3 出席者    委員  公益代表 :鎌田委員、北村委員、清家委員        労働者代表:市川(佳)委員、長谷川委員、古市委員        使用者代表:市川(隆)委員、山崎委員、輪島委員   事務局  大槻職業安定局次長、鈴木需給調整事業課長、        田中派遣・請負労働企画官、松原需給調整事業課長補佐。        松浦需給調整事業課長補佐、佐藤需給調整事業課長補佐 4 議題  (1)労働力需給制度について       (2)その他 ○清家部会長  それでは委員の皆様お揃いですので、ただいまから「第108回労働力需給制度部会」 を開催いたします。本日は、最初に公開で「労働力需給制度について」をご審議いただ きます。また、その後、一般労働者派遣事業の許可の諮問、有料職業紹介事業及び無料 職業紹介事業の許可の諮問に係る審議を行いますが、許可の審査につきましては、資産 の状況等の個別の事業主に関する事項を取り扱いますことから、これについては、「公 開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場 合に該当いたすため、非公開とさせていただきますので、傍聴されておられます方々に は、始まる前にご退席をいただくことになることを、予めご了承ください。  それでは早速ではございますが、議事に入ります。最初の議題は、「労働力需給制度 について」です。前回の部会において、今回、今後の議論の取りまとめとして、公益委 員案をお出しし、ご議論いただくこととさせていただいておりました。このたび、公益 委員案を提出させていただいておりますので、まず、これについて事務局から読み上げ ていただきたいと思います。 ○松原補佐  まず、資料の確認をお願いいたします。資料1「労働者派遣制度の検討状況について (中間報告)(案)」、資料2は横置きのものですが、「労働者派遣制度に関する検討 課題に係る労働力需給制度部会における公労使意見について」、参考として、「労働者 派遣制度に関する検討課題」です。皆様お手元にございますでしょうか。  それでは資料1を読み上げさせていただきます。  「労働者派遣制度の検討状況について(中間報告)(案)」。  「当部会においては、平成17年5月より平成15年労働者派遣法改正後の施行状況を踏 まえたフォローアップ及び検討を行ってきたところであるが、現時点における考え方及 び方向性を、下記のとおり取りまとめたので中間的に報告する。  また、同時に平成15年職業安定法改正のフォローアップを行った職業紹介事業制度に ついては、一定の制度の改善が図られたことから、当面、その施行状況を見守ることが 適切であるとの意見の一致をみたところである。  記1 平成17年5月より、労働者派遣法の施行状況についてのフォローアップを、派 遣元事業主、派遣労働者等の関係者からのヒアリング、労働力需給制度についてのアン ケートの実施、海外の労働者派遣制度に関するヒアリング等により実施してきたところ である。  2 これを踏まえ、本年9月には、「労働者派遣制度に関する検討課題」を取りまと め、現在、当該検討課題に基づき、精力的な検討を行っているところである。しかしな がら、現段階においては、検討課題の一部について労使の意見の一致がみられるものも ある一方で、登録型の派遣労働、派遣受入期間、派遣労働者への雇用申込義務、事前面 接等の派遣労働者の特定を目的とする行為、紹介予定派遣、派遣元事業主・派遣先の講 ずべき措置等の在り方については、労使それぞれ根本的な意見の相違があり、隔たりが 大きい状況にある。  3 このような意見の相違は、労働者派遣が原則自由であるべきと考えるのか、本来 は限定的なものであるべきと考えるのかという基本的考え方の違いに起因するものであ り、労働者派遣制度の根本的な検討を行うことなく、個別の制度の仕組みの議論を続け ても、有意義な結論に到達することは困難であると考える。  4 こうした状況を踏まえると、現時点では、登録型派遣の考え方等労働者派遣制度 の在り方の根幹に関わる問題については、厚生労働省に学識者からなる研究会を設け、 労働者派遣制度の趣旨、登録型派遣の考え方、派遣先の責任の在り方、派遣労働者の処 遇の在り方を踏まえつつ、当部会で出された検討課題等を中心に、幅広く、法的、制度 的な考え方について整理を行うとともに、当部会としては、当該研究会の結果も十分に 踏まえつつ、労働者派遣制度の在り方について、引き続き審議を深めていくべきである。  5 また、日雇派遣、派遣元事業主の情報公開及び効果的な指導監督の実施について は、一定程度労使の意見の一致が得られているが、これらのうち、早急に対応すべきも のについては、現行法制下における労働者保護の仕組みがより適切に機能するよう、必 要な省令、指針の整備について、当部会において速やかに検討を行うべきである。」以 上です。 ○清家部会長  ありがとうございました。それでは、ただいま事務局から読み上げていただきました 公益委員案につきまして、これを踏まえて各委員からご意見をいただきたいと思います。 いかがでしょうか。 ○長谷川委員  今日、中間報告が示されました。この中間報告にも書かれておりますように、2005年 5月から2年半ですが、2003年改正後のフォローアップから始まって、労働者派遣の見直 しについて、本日まで検討を行ってきたわけです。派遣労働者の置かれてきた厳しい現 状、状況を考えれば、いま労働者保護の視点で派遣法を見直すことが、国民からは非常 に期待されていたし、社会からも求められていることだと私は思っております。  しかし、公益委員がまとめられたとおり、労使の意見の隔たりが大きいのは確かであ ります。本日、中間報告というまとめになったことで、結果としては、次期通常国会で の派遣法改正とならなかったことは、私ども労働者側委員にとっては、非常に残念に思 っております。多くの労働者、そして派遣で働く労働者は、労働者保護の派遣法改正が 次期通常国会に提出される、という非常に大きな期待があったわけですが、今回、こう いう中間報告となったことは、大変残念に思っております。労働者側としては、このよ うな状況について、必ずしも納得しているわけではありませんが、本日時点ではやむを 得ないのかなと思っております。  今後、行われるのは学識者の研究会でして、労使が入らないわけですが、この間の部 会での議論を十分に踏まえていただきまして、労働者派遣について根本的に検討してい ただきたいと思います。今日の資料の中にもありますように、労働者保護ということで、 派遣労働者で働いても、どのような働き方をしても、雇用と公正な労働条件が確保され るという法律にしていただきたいと思います。  しかし、派遣法の見直しというのは、やはり、緊急の課題であると思っております。 この間、2年半もいろいろなアンケートやヒアリングをやってきたわけですが、なるべ く、研究会の方向性といいますか、結論を早く出していただいて、派遣法の改正をきっ ちりやることが、私どもに要請されているのではないかと思います。この間、振り返っ てみますと、この労働者派遣法の議論を通じて言えることは、やはり、現在起きている 派遣労働者の問題、とりわけ偽装請負や違法派遣、日雇派遣など、さまざまな問題が社 会的な問題となっているわけでして、単なる派遣法の枠の中だけの問題ではないと思っ ています。むしろ、派遣法の枠を超えた社会問題になっているのではないかということ については、是非、ご認識をしていただいて、少し失礼な言い方ではありますが、小手 先の派遣法改正では済まないと思っておりますので、このような状況については、部会 としては認識しなければならないと思います。私ども労側者側委員の発言は、単なる委 員の発言ではありません。連合の構成組識や地方連合会とも意見を何回も重ねてきまし たし、シンポジウムを開催するときは、いろいろな方からの意見も聞き入れて、そうい う中でずうっと述べてきたことですので、そのような状況については、是非、ご認識を していただきたいと思います。  あと、市川委員のほうからいろいろな個別課題については、意見を述べていただくこ とにして、私のほうからは、中間報告について概括的に意見を述べさせていただきまし た。 ○清家部会長  はい、ありがとうございました。では、市川委員どうぞ。 ○市川(佳)委員  この間、2年以上議論をしてきましたが、次期通常国会の改正がならなかったという ことは、改めて私としても非常に残念であるという意を表したいと思います。ただ、長 谷川委員も申し上げましたが、やはり、この派遣という問題が1つの切り口になって、 社会全体がいろいろなことを問われているのではないかと思っております。特に、働き 方の姿、あるいは人を使って労働をさせる、その使用者の責任、あるべき姿といったよ うなものがトータルに問われる問題ではなかったかと思うわけでして、私の1つ懸念い たしますのは、研究会で議論をされるときに、その派遣法という1つのピンポイントの 視点だけで、それをどうするのかというだけの研究会になってほしくないなと。もう少 しこの人材活用、人材育成といったようなことも含めた幅広い雇用政策にわたるような 研究を、しかも早く結論を出していただければと、非常に緊急性も求められているとい うこともありますので、研究会でのそういう専門的なご議論をお願いしたいということ。 併せて緊急という意味で言えば、この報告書の5の所にございますような足下の問題に 対する必要な省令、指針の整備ということになっているわけですが、この辺につきまし ては、やはり、これも早く、しかもいま出されている問題にきちんと答えられるような 内容での省令指針を、この部会できっちり議論して、早くにこれをまとめていきたいと 考えております。以上、表明させていただきました。 ○清家部会長  ありがとうございました。では、使用者側どうぞ。 ○輪島委員  本日、公益委員の見解という形で、中間報告が取りまとめられるということで、こう いう案が提示されたことを、私どもも非常に重く受け止めて、かつ、このような取りま とめを真摯に受け止めたいと思っております。  この中間報告の中で、現在求められているところが、本当によく書かれているのでは ないかと思っております。まさに、この2年半に議論をしていたところの点について言 うと、3番目の所で、このような意見の相違は、派遣が原則自由であるべきと考えるの か、本来限定的なものであると考えるのか、それぞれ同じ派遣労働というものを議論し、 見つめてきたわけですが、よって立つ立場が違うことから、派遣という働き方は、非常 にニュートラルだと思いますが、なかなかそこのところで意見が労使で埋まらなかった ということは、非常に残念だなと思っております。数少ない私の経験の中でも、労使が 長く議論すれば、なんとなく着地点というのが見えるものなのですが、どうも今回に限 っては、非常に特別な環境の中でこのような形になったと、私どもは理解をしておりま す。  ただ、この中で派遣という働き方が不安定雇用であるというようなことについて、審 議会での議論の中で言えば、常用型の派遣のあり方、登録型の派遣のあり方、それから それをたすきにかけるような形で、専門26業務の働き方とそれから自由化業務の働き方、 その中から、特別、最近は日雇派遣ということについても議論をしてきたということで すが、いわゆる、不安定雇用というところからすれば、常用型で働いている派遣という 働き方ですとか、または、期間制限がない業務についての取扱いなどについて、一定程 度、審議会でフォローアップをし、関係者からのヒアリングや実態調査、アンケート調 査で、そういったものについては、それなりに、労使それぞれ認識を異にしながらも、 情報については共有できたのではないかと思っております。その点では、今後、研究会 が設置されるわけですので、労使の見解の相違を踏まえつつ、しかしながら、労働者派 遣制度のあるべき姿について、じっくり検討していただきたいと思います。ただ、時間 的な余裕がないということも確かだろうと思いますので、そういう意味では、幅広い雇 用政策の中から、派遣制度のあり方、あるべき方向性について、是非、議論をしていた だいて、そこで出てきたものについて、使用者側としても、真摯に対応してまいりたい と思っているところです。以上です。 ○清家部会長  ほかにいかがでしょうか。 ○山崎委員  長谷川さんのほうから日々派遣ということで、前からいろいろ言われているのですが、 この日々派遣を適正に運営するための議論が必要なことはとても理解しているのですが、 現在の日々雇用の派遣の中には、適正かつ有効に機能している業務もありまして、現段 階においては、一口に是非を議論することは、どうなんだろうかと思っております。ど のような働き方や職種に問題が生じているのか、日々雇用に従事する労働者側の実情を 分析して、整理していただけたらと思っております。そして、派遣制度全体としてみま すと、派遣労働者の置かれる実情や状況はさまざまであり、特に登録型派遣につきまし ては、企業側だけでなく、労働者側からのニーズもなければ、ここまで派遣市場が拡大 していかなかったのではないかと思います。その背景を踏まえて、議論を進めていって いただけたらいいと思っております。従って、今後行われる研究会におかれましては、 就業実態だけでなく、こうした労働者の意識についても、広く精査して今後の柔軟な派 遣制度のあり方を検討していただけたらと希望いたしておりますので、よろしくお願い いたします。 ○清家部会長  ありがとうございました。ほかに何かありますか。 ○市川(隆)委員  基本的なところで、やはりこの中間報告案の3ポツにございますように、考え方が違 っているということだと思います。原則自由と考えるのか、あるいは原則は限定的なも のであると考えるのか、そういったところが、労使双方で異なっているのが根本的なと ころだと思うのです。そもそも派遣という制度ができてきた背景には、少子化によって 労働力がこれから将来的に非常に先細ってくる、そういう中で、需給をどう調整するか という問題と、それから山崎委員もおっしゃられましたが、労働者側のニーズ、多様な 働き方が求められているということもあるかと思いますので、そういったところも踏ま えて、この原則論をどちらととらえるほうがいいのか、日本の風土、あるいは雇用環境、 そういった中で、どちらがいいのかという辺りも含めて、是非、この研究会で深くご議 論いただければと思っております。 ○清家部会長  ほかにいかがでしょうか。 ○古市委員  公益委員の皆様のご努力に敬意を表します。今度、研究会が開かれるわけですが、労 働者保護があまりにも置き去りにされているという現状について、非常にたくさん報道 されておりますし、こういうことをなるべく早く解決するというのが、この審議会委員 の課題だと思いますので、そういったことを含めて、是非、ご議論をいただくようにお 願いをしたいと思います。 ○清家部会長  はい、ありがとうございました。ほかに、何かございますか。よろしいですか。それ では、いろいろお考えがあるかと思いますが、ほかにご意見がないようでしたら、この 中間報告については、ただいま事務局に読み上げていただいた内容で、ご了承いただく ということで、よろしいですか。 (了承) ○清家部会長  ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。  そこで、今後は中間報告に沿いまして、労働者派遣制度の見直しの検討を進めさせて いただきたいと思っております。そのうち、早急に対応すべきものに対する措置につき ましては、次回以降、事務局から具体的な案を出していただき、ご審議いただきたいと 思っております。また、当部会が所属しております職業安定分科会に対しましても、次 に開催される際に、私から報告をさせていただくということにさせていただきたいと思 いますが、それでよろしいですか。 (了承) ○清家部会長  ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  次に、一般労働者派遣事業の許可の諮問に移りたいと思いますが、冒頭に申し上げま したように、ここからは傍聴されている方につきましては、ご退席いただきますよう、 お願い申し上げます。また、大槻職業安定局次長につきましても、所用により退席され ると伺っております。よろしくお願いいたします。 (傍聴者、大槻次長退室) ○清家部会長  事務局より、何かございますか。 ○松原補佐  次回の日程ですが、年明け1月かと思いますが、1月の日程は現在調整中ですので、 各委員の方々には、また別途事務局よりご連絡をさせていただきます。 ○清家部会長  では事務局は、そのようにお願いいたします。  それでは以上をもちまして、第108回労働力需給制度部会を終了いたします。本日の 署名委員は、雇用主代表市川(隆)委員、労働者代表古市委員にお願いいたしますので、 よろしくお願いいたします。では、委員の皆様どうもありがとうございました。   照会先    厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係    〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2    TEL03(5253)1111(内線5747)